(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025113727
(43)【公開日】2025-08-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20250728BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250728BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20250728BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20250728BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G15/00 550
G03G21/00 530
B41J29/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024008022
(22)【出願日】2024-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 達人
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061BB02
2C061BB10
2C061BB15
2C061BB17
2C061BB35
2C061CN01
2C061CN08
2H171FA01
2H171FA06
2H171GA06
2H171GA24
2H171HA22
2H171HA23
2H171HA24
2H171HA33
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA28
2H171JA29
2H171JA31
2H171NA05
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB16
2H171QB17
2H171QB18
2H171QB32
2H171SA11
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H270SA09
2H270SB12
2H270SB13
2H270SB14
2H270SB15
2H270SB16
2H270SC04
(57)【要約】
【課題】操作者の作業性を向上させる。
【解決手段】、外装カバーと、前記外装カバーに設けられ、第一の方向を進入方向として挿入された指が掛かるように前記第一の方向に延びるハンドル部と、前記外装カバーの前記ハンドル部に対向する対向面に設けられたルーバーと、を備え、前記ルーバーは複数の板状部材を含み、前記複数の板状部材のそれぞれは、前記第一の方向に交差する方向を長手方向として延びる長手形状を有し、前記複数の板状部材は、前記第一の方向に間隔をあけて並び、前記複数の板状部材の少なくとも1つは、前記第一の方向においては前記指の進入方向に向かい、かつ、前記第一の方向及び前記長手方向の両方に交差する第二の方向においては前記対向面から前記ハンドル部に向かって突出する突出部を有する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装カバーと、
前記外装カバーに設けられ、第一の方向を進入方向として挿入された指が掛かるように前記第一の方向に延びるハンドル部と、
前記外装カバーの前記ハンドル部に対向する対向面に設けられたルーバーと、
を備え、
前記ルーバーは複数の板状部材を含み、
前記複数の板状部材のそれぞれは、前記第一の方向に交差する方向を長手方向として延びる長手形状を有し、
前記複数の板状部材は、前記第一の方向に間隔をあけて並び、
前記複数の板状部材の少なくとも1つは、前記第一の方向においては前記指の進入方向に向かい、かつ、前記第一の方向及び前記長手方向の両方に交差する第二の方向においては前記対向面から前記ハンドル部に向かって突出する突出部を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記外装カバーに、指が侵入するための開口部が設けられ、
鉛直方向に隣接する2つの板状部材のうちの一方の板状部材の稜線エッジと前記外装カバーの前記開口部の前記第一の方向の端部とを結んだ直線が、前記2つの板状部材のうちの他方の板状部材の突出部を通るように、前記複数の板状部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の板状部材の並ぶ前記間隔は、指が入らない間隔である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記板状部材の前記突出部の突出する方向と、前記第一の方向とは、45°以下の角度をなす、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記板状部材の前記突出部は、円弧形状を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第一の方向は鉛直方向である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
内部部品を支持する枠体と、
前記ハンドル部に対向して設けられ、指が前記内部部品または前記枠体に触れることを防ぐ保護部と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置の内部に設けられ、気流を生成するファンをさらに備え、
前記ルーバーは、前記ファンに対向する位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、外装カバーに外気を導入するためのルーバーを設ける技術が提案されている。特許文献1では、画像形成装置の小型化のため、画像形成装置の把手部にルーバーを設ける構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、把手部の近傍にルーバーを設けると、操作者が把手部をつかもうとするときに時に、操作者の指がルーバーに引っ掛かってしまう可能性がある。その結果、操作者の作業性を損なう可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、操作者の作業性を向上させた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の代表的な構成は、外装カバーと、前記外装カバーに設けられ、第一の方向を進入方向として挿入された指が掛かるように前記第一の方向に延びるハンドル部と、前記外装カバーの前記ハンドル部に対向する対向面に設けられたルーバーと、を備え、前記ルーバーは複数の板状部材を含み、前記複数の板状部材のそれぞれは、前記第一の方向に交差する方向を長手方向として延びる長手形状を有し、前記複数の板状部材は、前記第一の方向に間隔をあけて並び、前記複数の板状部材の少なくとも1つは、前記第一の方向においては前記指の進入方向に向かい、かつ、前記第一の方向及び前記長手方向の両方に交差する第二の方向においては前記対向面から前記ハンドル部に向かって突出する突出部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作者の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】
図2におけるA-A矢視による断面図である。
【
図9】
図7におけるY3-Y3矢視による断面図である。
【
図10】
図9におけるE-E矢視による断面図である。
【
図11】
図7におけるY4-Y4矢視による断面図である。
【
図13】画像形成装置の左側面を示す斜視図である。
【
図15】(a)(b)比較例のルーバー形状を説明する図である。
【
図16】(a)(b)実施例に係るルーバー形状を説明する図である。
【
図17】実施例に係るルーバー形状を説明する詳細図である。
【
図18】実施例に係るルーバー形状を説明する詳細図である。
【
図19】実施例に係るルーバー形状を説明する図である。
【
図20】(a)(b)ルーバー形状を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下にて、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
(画像形成装置)
まず、
図1、
図2および
図3を用いて画像形成装置100の概略構成を説明する。
図1は画像形成装置100の斜視図である。
図2および
図3は
図1における画像形成装置の概略断面図である。
図1~
図3に示す画像形成装置100は読取装置を備える複写機であるが、実施の形態は読取装置を備えていないプリンタなど、他の画像形成装置であってもよい。また、実施の形態は、
図2および
図3に示すような複数の感光ドラム2を備えるカラー画像形成装置に限られず、1つの感光ドラム2を備えるカラー画像形成装置やモノクロ画像を形成する画像形成装置でも良い。
【0011】
画像形成装置100は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーの画像形成装置であり、パソコン等の外部ホスト装置(不図示)から制御回路部(不図示)に入力した画像情報に基づいてシートSにトナー画像形成を行う。
【0012】
図2および
図3に示す画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4つの画像形成部1Y、1M、1C、1K(以下、総称して単に「画像形成部1」とも称する)を備える。
【0013】
また、画像形成部1Y、1M、1C、1Kは、それぞれ感光体の一例である感光ドラム2Y、2M、2C、2K(以下、総称して単に「感光ドラム2」とも称する)を備える。感光ドラム2は感光ベルトであっても構わない。
【0014】
また、画像形成部1Y、1M、1C、1Kは、感光ドラム2Y、2M、2C、2Kをそれぞれ帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3Y、3M、3C、3K(以下、総称して単に「帯電ローラ3」とも称する)を備える。
【0015】
また、画像形成部1Y、1M、1C、1Kは、感光ドラム2Y、2M、2C、2Kを露光する露光手段としてのLED(Light Emitting Diode、以下LEDと記載)露光ユニット4Y、4M、4C、4K(以下、総称して単に「露光ユニット4」とも称する)を備える。
【0016】
さらに、画像形成部1Y、1M、1C、1Kは、感光ドラム2上の静電潜像をトナーによって現像し、感光ドラム2上に各色のトナー像を現像する現像手段としての現像ユニット24Y、24M、24C、24K(以下、総称して単に「現像ユニット24」とも称する)を備える。なお、符号に付されたY、M、C、Kはトナーの色を示している。
【0017】
図2および
図3に示す画像形成装置100は、感光ドラム2を下方から露光する、いわゆる「下面露光方式」を採用する画像形成装置である。下面露光方式を採用する画像形成装置100は、感光ドラム2の下方に露光ユニット4が配置される。以下、下面露光方式を採用する画像形成装置を前提として説明を進める。なお、図示していないが、実施の形態としては感光ドラムを上方から露光する「上面露光方式」を採用する画像形成装置でも構わない。
【0018】
画像形成装置100は、感光ドラム2に形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト9と、感光ドラム2に形成されたトナー像を当該中間転写ベルト9に順次転写させる一次転写ローラ6(Y、M、C、K)を備える。中間転写ベルト9は、画像形成部1の上部に配置される。なお、中間転写ベルト9を用いた中間転写方式以外に、感光ドラム2から用紙に直接転写する直接転写方式を用いても構わない。
【0019】
また、画像形成装置100は、中間転写ベルト9上のトナー像を給送部11から搬送されてきた記録紙Pに転写させる転写手段としての二次転写ローラ16と、二次転写された画像を記録紙Pに定着させる定着手段としての定着器19を備える。二次転写ローラ16は、中間転写ベルト9のベルト駆動ローラ10に対し、中間転写ベルト9を介して所定の押圧力で当接し、中間転写ベルト9と二次転写部T2を形成している。
【0020】
また、各色の補充用トナーを収容するトナーボトル22Y、22M、22C、22K(以下、総称して単に「トナーボトル22」とも称する)は、画像形成装置100に対して着脱交換が可能なユニットである。トナーボトル22は、中間転写ベルト9の上部に配置される。トナーボトル22は、4つの画像形成部が備える各現像ユニットに対して、それぞれ対応するトナーボトルから不図示のトナー補給機構により適時適量のトナー補給がなされる。
【0021】
また、画像形成装置100は、記録紙Pを給送する給送部11を備える。給送部11は、シートカセット12a,12bと、給送ローラ13a,13bと、レジストローラ15と、を有する。シートカセット12a,12bは、画像形成部1の下部に配置される。シートカセット12a,12bに収容された記録紙Pは、給送ローラ13a,13bによって一枚ずつ給送され、レジストローラ15によって所定のタイミングにて二次転写部T2に搬送される。
【0022】
また、画像形成装置100は、ダクトユニット60を着脱自在に備える。ダクトユニット60は、画像形成部1の下部であって、給送部11の上部に配置される。ダクトユニット60は、昇降ダクト69を通して露光ユニット4に連通し、露光ユニット4を気流により冷却するための露光冷却ユニットである。
【0023】
(画像形成プロセス)
次に上記画像形成装置100の画像形成プロセスについて簡単に説明する。帯電ローラ3Yは、感光ドラム2Yの表面を帯電する。露光ユニット4Yは帯電ローラ3Yによって帯電された感光ドラム2Yの表面を露光する。これにより、感光ドラム2Yには静電潜像が形成される。次に、現像ユニット24Yは感光ドラム2Yに形成された静電潜像をイエローのトナーによって現像する。感光ドラム2Yの表面に現像されたイエローのトナー像は、一次転写ローラ6Yによって中間転写ベルト9上に転写される。マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像も同様の画像形成プロセスで形成され、中間転写ベルト9に重ね合わせるように転写される。
【0024】
中間転写ベルト9上に転写された各色のトナー像は、中間転写ベルト9によって二次転写部T2まで搬送される。二次転写部T2まで搬送されたトナー像は、二次転写ローラ16によって、給送部11から搬送されてきた記録紙Pに一括して転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着器19に搬送される。定着器19は、熱と圧力によって記録紙Pにトナー像を定着させる。定着器19によって定着処理がなされた記録紙Pは、排出ローラ20によってトナーボトル22の上部に配置される排出トレイ21に排出される。
【0025】
(ドラムユニットおよび現像ユニット)
本実施例の画像形成装置100における交換可能なドラムユニット23および現像ユニット24について例示して説明する。
【0026】
前述した感光ドラム2と帯電ローラ3とは、不図示のクリーニング装置と共に、一体的にユニット化(ドラムユニット、ドラムカートリッジ)されている。その構成の一例を、
図2および
図3を用いて説明する。
【0027】
画像形成装置100には、感光ドラム2を備えるドラムユニット23Y、23M、23C、23K(以下、総称して単に「ドラムユニット23」とも称する)が取り付けられる。ドラムユニット23は、ユーザやメンテナンス者等の作業者によって交換されるカートリッジである。ドラムユニット23は感光ドラム2を回転可能に支持している。具体的には、感光ドラム2は、ドラムユニット23の枠体によって回転可能に支持されている。なお、ドラムユニット23は帯電ローラ3やクリーニング装置を備えていない構成でも構わない。
【0028】
また、画像形成装置100には、感光体ユニットであるドラムユニット23とは別体の現像ユニット24Y、24M、24C、24K(以下、総称して単に「現像ユニット24」とも称する)が取り付けられている。現像ユニット24は、現像剤を担持する現像剤担持体としての現像スリーブ5Y、5M、5C、5K(以下、総称して単に「現像スリーブ5」とも称する)と、現像スリーブ5に現像剤を供給し現像剤を攪拌するスクリュー7Y、7M、7C、7K(以下、総称して単に「スクリュー7」とも称する)と、を備える。現像ユニット24は、現像スリーブ5とスクリュー7とが一体化されたカートリッジであり、作業者によって画像形成装置100の装置本体から取り外して交換される。
【0029】
また、画像形成装置100は、各画像形成部ごとにカートリッジトレイ30(30Y、30M、30C、30K)を備える。前記ドラムユニット23と現像ユニット24は、各画像形成部ごとのカートリッジトレイ30により支持され、感光ドラムの軸線方向に案内され、画像形成装置100の装置本体に対して挿抜される。
【0030】
なお、カートリッジトレイ30は、
図7に示すように、感光ドラムの軸線方向において、一方が後側板100Bに取り付けられ、他方が前側板100Fに取り付けられている。後側板100Bは、板金で形成され、画像形成装置100の装置本体の奥側において装置本体の筐体の一部を成す。前側板100Fは、板金で形成され、画像形成装置100の装置本体の手前側において装置本体の筐体の一部を成す。
図12に示すように、後側板100Bと前側板100Fは、感光ドラムの軸線方向において、一方側と他方側で対面して配置され、両者の間には板金で形成されたステー102などが橋架されている。後側板100Bと前側板100Fとステー102とはそれぞれ画像形成装置の筐体101の一部を構成する。画像形成装置の筐体101は、内部部品を支持する枠体である。ここで、本実施例の画像形成装置もしくはその構成部材に関して、正面側若しくは手前側とは、ドラムユニット23および現像ユニット24を画像形成装置100の装置本体に対して出し入れ(挿抜)する側である。
【0031】
ドラムユニット23および現像ユニット24は、画像形成プロセスの繰り返しにより劣化していくため、交換や着脱によるメンテナンスが可能なユニット(カートリッジ)の形態をとっている。
【0032】
図3には、交換や着脱を行う際のドラムユニット23、現像ユニット24、露光ユニット4の配置を示している。
図3に示す画像形成装置では、
図2に示す画像形成装置とは異なり、現像ユニット24および露光ユニット4が感光ドラム2から退避し、離間していることが分かる。
【0033】
これは感光ドラム2に対し、
図2に示すように現像ユニット24や露光ユニット4が近接配置された状態が維持されていると、ユニット着脱時の動的干渉により各ユニットに傷が付いたり、更にはユニットが取り出せなくなるおそれがある為である。
【0034】
このため、ユニット着脱時には、現像ステイ(不図示)、回動アーム(不図示)、昇降ダクト69などによる移動機構により、
図3に示すように現像ユニット24と露光ユニット4を感光ドラム2から退避させ、離間させている。
【0035】
ドラムユニット23および現像ユニット24は、それぞれ画像形成装置100の手前側から挿抜され、画像形成装置100の装置本体の所定の位置(装着位置)に装着される。
【0036】
ここで、以下の説明では装置本体に対して前側板側を前側(手前側若しくは正面側)、後側板側を後側(奥側若しくは背面側)と定義する。また、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム2Kを基準としたとき、イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム2Yが配置されている側を左側と定義する。イエローのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム2Yを基準としたとき、ブラックのトナー像に関する静電潜像が形成される感光ドラム2Kが配置されている側を右側と定義する。さらに、ここで定義した前後方向および左右方向に垂直な方向であって鉛直方向上向きを上方向、また、ここで定義した前後方向および左右方向に垂直な方向であって鉛直方向下向きを下方向と定義する。定義した前方向F、後方向B、右方向R、左方向L、上方向U、下方向Dを
図1などに示す。
【0037】
また、以下の説明で記載する感光ドラム2の軸線方向とは、
図1に示す前後方向(手前奥方向)と一致する方向である。また、露光ユニット4の長手方向についても
図1に示す前後方向と一致する方向である。すなわち、感光ドラム2の軸線方向と露光ユニット4の長手方向とは一致する方向である。また、感光ドラム2の軸線方向における一方側はここで定義する後側を意味し、他方側はここで定義する前側を意味する。前後方向における一方側および他方側に関してもここで定義する後側および前側に対応する。左右方向における一方側はここで定義する左側を意味し、他方側はここで定義する右側を意味する。
【0038】
(露光ユニット)
次に
図4~
図6を用いて、露光ユニット4について説明する。
図4は、本実施例の画像形成装置が備える露光ユニット4の概略断面図である。
図5は露光ユニット4を上面から見た斜視図である。
図6は露光ユニット4を下面から見た斜視図である。
【0039】
露光ユニット4は、感光ドラム2の長手領域に対応する配置をとる必要があるため、感光ドラム2の軸線方向に延伸した長尺の形状(長手形状)をなす。露光ユニット4は、基板50と、基板50に実装された発光素子と、レンズアレイ52と、基板50とレンズアレイ52とを保持する保持部材と、を備える。
【0040】
なお、本実施例において発光素子は発光ダイオードである半導体LEDであるが、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)でも構わない。このOLEDは、有機EL(Organic Electro-Luminescence)とも呼ばれており、電流駆動型の発光素子である。OLEDは例えばTFT(Thin Film Transister)基板上で主走査方向(感光ドラム2の軸線方向)に沿ってライン上に配置され、同じく主走査方向に沿って設けられた電源配線によって電気的に並列に接続される。ここでは、露光ユニット4は、光を出射する発光素子として、LED51(Light Emitting Diode)を備えている。
【0041】
レンズアレイ52は、発光素子から出射された光を感光ドラム2に集光する。レンズアレイ52は、複数のレンズを有するレンズ集合体である。これら複数のレンズは複数のLED51の配列方向に沿って並べられている。各レンズは、円柱状の硝子製のロッドレンズであって、LED51から出射された光が入射する光入射面52bと、光入射面から入射した光が出射する光出射面52aとを有する(
図4参照)。なお、レンズの材質は硝子製に限らず、プラスチック製でも構わない。レンズの形状についても円柱状に限らず、例えば六角柱等の多角柱でも構わない。
【0042】
保持部材は、筐体54と、筐体54を支持する筐体支持部材55と、を有する。筐体54は、レンズアレイ52と基板50とを保持する。本実施例において、筐体54は、亜鉛メッキ鋼板や冷間圧延鋼板にメッキ処理が施された板材を折り曲げて形成した金属製の部材である。例えば、筐体54は、鉄製の薄板などの板金を、プレス加工にてUの字形状に形成したものである。
【0043】
基板50は、Uの字形状の筐体54の開いた側から挿入され、筐体54の内側に接着剤で高精度に接着される。また、レンズアレイ52も筐体54に接着剤で高精度に接着される。なお、レンズアレイ52は、基板50に実装されたLED51とレンズアレイ52のピント方向の距離が所定の値になるように調整を行った後、筐体54に固定される。
【0044】
筐体支持部材55は、基板50とレンズアレイ52を保持した筐体54を長手方向にわたって支持しており、筐体54に一体に設けられている。筐体支持部材55は、感光ドラム2の軸線方向に延伸した長手形状の部材である。筐体支持部材55には、感光ドラム2の軸線方向である長手方向に、複数の開口55Aが設けられている。筐体支持部材55の開口55Aは、基板50のLED51が実装された実装面(基板50の表面)とは反対側の面(基板50の裏面)に対向する位置に設けられている。
【0045】
以上のように、LED51を有する基板50、複数のレンズからなるレンズアレイ52、筐体54、および筐体支持部材55により、露光ユニット4が一体のヘッドユニットとして構成されている。
【0046】
(露光ユニットの冷却構成)
次に
図7を用いて露光ユニット4の冷却構成について説明する。
図7は、
図2におけるA-A矢視による画像形成装置の断面図である。
図7において、露光ユニット4を冷却するための空気の流れを破線で示し、破線で示す空気の流れを露光冷却エアフローとも称する。
【0047】
露光ユニット4は、LED(発光素子)51の発光量に応じて熱を放散し、また熱に弱いトナーを用いる現像ユニット24と近接配置されることから、冷却手段が必要となる。また、露光ユニット4の冷却構成は、露光ユニット4に隣接する現像ユニット24の周囲のトナーを巻き込まず、混入させない構成であることが望ましい。以上のことから、露光ユニット4は、現像ユニット24とは異なる冷却経路(冷却ダクト)で冷却することが好ましい。本実施例では以下のように構成している。
【0048】
露光ユニット4は、画像形成装置100に昇降可能に配置された昇降ダクト69に装着され、昇降ダクト69と一体になる。露光ユニット4は、昇降ダクト69に装着されることで、露光ユニット4の筐体支持部材55の開口55Aが昇降ダクト69の上側の開口と連通する。昇降ダクト69は、カートリッジトレイ30とともに、露光ユニット4とダクトユニット60とを連通するダクトを形成する。ダクトユニット60は、画像形成装置100に対してカートリッジトレイ30の直下に装着される。ダクトユニット60は、画像形成装置100に装着されることで、ダクトユニット60の開口部61が昇降ダクト69の下側の開口と連通する。
【0049】
このように、露光ユニット4の筐体支持部材55、昇降ダクト69、カートリッジトレイ30、およびダクトユニット60が連続した1つの閉空間である冷却ダクトを形成している。各露光ユニット4は、筐体支持部材55、昇降ダクト69、カートリッジトレイ30、およびダクトユニット60によって形成された前記1つの閉空間である冷却ダクトを流れる露光冷却エアフロー(
図7に示す破線)によって冷却される。
【0050】
図7に破線で示す露光冷却エアフローの流路となる1つの閉空間である冷却ダクト(露光ユニット4の冷却経路)は、
図7に実線で示す現像冷却エアフローの流路となる1つの閉空間である冷却ダクト(現像ユニット24の冷却経路)とは別に、構成されている。
【0051】
(ダクトユニット)
図7及び
図8を用いて、本実施例の露光冷却エアフローの流路となる冷却ダクトの一部を構成するダクトユニット60について説明する。
図8はダクトユニット60を上側から見た斜視図である。
【0052】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69を通して露光ユニット4に連通し、昇降ダクト69を通して露光ユニット4を気流により冷却するための露光冷却ユニットである。
【0053】
なお、昇降ダクト69は、上下に開口を備えた中空の形状に形成されている。昇降ダクト69は、上側の開口が露光ユニット4の開口55aと連通し、下側の開口がダクトユニット60の開口部61と連通したダクトを形成している。昇降ダクト69は、露光ユニット4とダクトユニット60とを連通して露光ユニット4を冷却する空気を流通させる空間を形成する露光ダクトをなす。
【0054】
ダクトユニット60は、露光ユニット4を挟んで感光ドラム2とは反対側に設けられており、画像形成装置100の装置本体に対してカートリッジトレイ30の直下に着脱自在に装着される。
【0055】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69に連通して昇降ダクト69に導入する空気を流通させる空間を形成する吸気ダクト205を有する。吸気ダクト205は、基板50の長手方向中央よりも一方側である画像形成装置100の前方寄り(手前側、正面側)に配置されている。
【0056】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69に連通して昇降ダクト69に空気を導入する露光吸気口201(Y、M、C,K)を、各露光ユニットごとに有する。露光吸気口201は、画像形成装置100の前方寄りに配置された吸気ダクト205の上面に設けられている。露光吸気口201は、基板50の発光素子の実装面とは反対側の面に対向して配置され、基板50の長手方向中央よりも一方側である画像形成装置の前方(正面側)に配置されている。
【0057】
ダクトユニット60は、吸気ダクト205に画像形成装置の外部から空気を吸気する吸気口203を有する。吸気口203は、画像形成装置の外面(ここでは左側面)をなす外装カバーに面して吸気ダクト205に設けられている。吸気口203は、基板50の長手方向中央よりも一方側である画像形成装置の前方(正面側)に配置されている。吸気口203は、前記長手方向と直交する画像形成装置の左右方向の一方の側面(ここでは左側面)に隣接して配置されている。
【0058】
ダクトユニット60は、吸気口203から導入した画像形成装置の外部の空気を、吸気ダクト205を通して露光吸気口201から排出する気流を生成する吸気ファン62を有する。吸気ファン62は、吸気ダクト205の吸気口203に配置されている。
【0059】
吸気口203と各露光ユニットごとの露光吸気口201(Y、M、C、K)は、吸気ダクト205によって接続されている。ダクトユニット60は、吸気ファン62によって吸気口203から導入した画像形成装置外部の空気(フレッシュエア)を吸気ダクト205を通して各露光吸気口201から吸気するよう構成されている。
【0060】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69に連通して昇降ダクト69から導入した空気を流通させる空間を形成する排気ダクト206を有する。排気ダクト206は、基板50の長手方向中央よりも他方側である画像形成装置100の後方寄り(奥側、背面側)に配置されている。
【0061】
ダクトユニット60は、昇降ダクト69に連通して昇降ダクト69から空気を導入する露光排気口202(Y、M、C、K)を、各露光ユニットごとに有する。露光排気口202は、画像形成装置100の後方寄りに配置された排気ダクト206の上面に設けられている。露光排気口202は、基板50の前記反対側の面に対向して配置され、基板50の長手方向中央よりも他方側である画像形成装置の後方(背面側)に配置されている。
【0062】
ダクトユニット60は、排気ダクト206から画像形成装置の外部に空気を排気する排気口204を有する。排気口204は、画像形成装置の外面(ここでは左側面)をなす外装カバーに面して排気ダクト206に設けられている。排気口204は、基板50の長手方向中央よりも他方側である画像形成装置の後方(背面側)に配置されている。排気口204は、前記吸気口203と同様に、前記長手方向と直交する画像形成装置の左右方向の一方の側面(ここでは左側面)に隣接して配置されている。
【0063】
ダクトユニット60は、露光排気口202から導入した空気を、排気ダクト206を通して排気口204から排気する気流を生成する排気ファン63を有する。排気ファン63は、排気ダクト206の排気口204に配置されている。
【0064】
排気口204と各露光ユニットごとの露光排気口202(Y、M、C、K)は、排気ダクト206によって接続されている。ダクトユニット60は、排気ファン63によって各露光排気口202から導入した空気を排気ダクト206を通して排気口204から画像形成装置外部に排気するよう構成されている。
【0065】
ダクトユニット60は、吸気ファン62と、排気ファン63と、吸気ダクト205と、排気ダクト206とを一体に設け、画像形成装置100の装置本体に対してカートリッジトレイ30の直下に着脱自在に装着される。ダクトユニット60は、画像形成装置の左右方向の一方の側面(ここでは左側面)から、画像形成装置に対して左右方向に挿抜され、画像形成装置に装着される。
【0066】
またダクトユニット60は、画像形成装置100の左右方向の同じ面側(左側面側)に吸気口203と排気口204を備え、吸気口203には吸気ファン62、排気口204には排気ファン63がそれぞれ配置されている。本実施例では、
図7に示すように、画像形成装置100の前方寄りに配置された吸気ファン62は装置外部の空気を取り込む吸気ファンとして機能し、後方寄りに配置された排気ファン63は装置外部へ空気を排気する排気ファンとして機能する。
【0067】
なお、ファン62,63の配置は、排気がユーザーに当たりにくくなるように配慮したため、装置前方寄りに吸気ファンを配置し、装置後方寄りに排気ファンを配置したが、これに限定されるものではない。装置前方寄りに排気ファンを配置し、装置後方寄りに吸気ファンを配置しても冷却エアフロ―の機能上は問題無い。むしろ、装置後方寄りは背面の電装部材等の影響で昇温し易いため、冷却効率のみを追求する場合、装置後方を冷却に有利な吸気ファンとし、前方寄りを排気ファンとしても良い。
【0068】
また、
図13に示すように、画像形成装置の外面(ここでは左側面)の外装をなす外装カバー103には、それぞれのファン62,63と対向する位置に、ルーバー104が形成されている。外装カバー103に形成されたルーバー104は、前記ファン62,63がそれぞれ配置された吸気口203、排気口204に連通している。吸気ファン62による吸気口203からの吸気と、排気ファン63による排気口204からの排気は、画像形成装置の左側面の外装をなす外装カバー103に形成されたルーバー104を通して、装置外部に対して直接行われる。
【0069】
(露光冷却エアフロ―の経路)
ここで、
図9、
図10、
図11を参照し、露光冷却エアフロ―の経路の全体像を詳細に説明する。
図9は露光冷却エアフローの吸気側の断面図であり、
図7に示すY3-Y3における断面図である。
図10は露光冷却エアフローの光軸と垂直方向の断面図である。
図11は露光冷却エアフローの排気側の断面図であり、
図7に示すY4-Y4における断面図である。
【0070】
ダクトユニット60が有するファン62,63は、画像形成装置100の内部に設置され、画像形成装置100の内部を冷却する気流(露光冷却フロー)を生成する。
【0071】
前述したように、ダクトユニット60において、画像形成装置100の前方寄りに配置された吸気ファン62は、装置外部から空気を取り込む吸気ファンとして機能する。そのため、吸気ファン62が回転すると、吸気口203を通して吸気ダクト205内に装置外部から空気が取り込まれる。装置外部から取り込まれた空気は、
図9に破線(ダクト内気流310)で示すように、吸気ダクト205に沿って画像形成装置100の左方から右方に向かって流れる。吸気ダクト205内を装置左側から右側に向かって流れる空気は、
図9に示すように、吸気ダクト205の上面に設けた各色ごとの露光吸気口201を、装置左側から、露光吸気口201Y、201M、201C、201Kの順に分岐しながら流れる。
【0072】
ダクトユニット60の露光吸気口201から送られた空気は、露光吸気口201に連通している昇降ダクト69の下側の開口から上方に送られる。上方に送られた空気は、上下に連通している昇降ダクト69の上側の開口から露光ユニット4の開口55aを通して、露光ユニット4の基板50の裏面に吹き付けられる。基板50の裏面に吹き付けられた気流は、
図7、
図10に破線(ダクト内気流311)で示すように、各露光ユニット4内を基板50の長手方向前側から後側に案内され、その過程で基板50の冷却が行われる。
【0073】
また前述の吸気と同時に、ダクトユニット60において、画像形成装置100の後方寄りに配置された排気ファン63は、ダクトユニット60の内部から装置外部へ空気を排気する排気ファンとして機能する。そのため、排気ファン63が回転すると、排気ダクト206の上面に設けた各色ごとの露光排気口202(Y,M,C,K)から空気が取り込まれる。
【0074】
従って、各露光ユニット4内を基板50の長手方向前側から後側に案内された空気は、各露光ユニット4とダクトユニット60とを上下に連通している昇降ダクト69を通して、排気ダクト206の上面に設けた各色ごとの露光排気口202から取り込まれる。これにより、各露光ユニット4では、
図7、
図10に破線(ダクト内気流311)で示す空気の流れである露光冷却エアフローが加速され、LED51を実装した基板50が冷却される。
【0075】
なお、ダクトユニット60において、排気ダクト206の露光排気口202から取り込まれた空気は、
図11に破線(ダクト内気流312)で示すように、排気ダクト206内部で、装置右側から、露光排気口202K、202C、202M、202Yの順に順次合流し、装置右側から左側に向かって流れる。最終的に排気ダクト206に取り込まれた装置内部の空気は、排気口204を通して装置外部へ排気される。
【0076】
(把手部)
画像形成装置100は、把手部200を有する。
図13には、画像形成装置100の左側面に配設した2か所の把手部200を示している。
図14を用いて、把手部200について説明する。
図14は把手部の構成を説明する断面図である。
【0077】
なお、画像形成装置100の外面の外装を成す外装カバー103は、画像形成装置100の筐体101に取り付けられている。画像形成装置100の筐体101は、
図12に示すように、前側板100Fと、感光ドラムの軸線方向において前側板100Fに対面して配置された後側板100Bと、前側板100Fと後側板100Bとの間に架け渡されたステー102と、を有する。
【0078】
把手部200には、画像形成装置100の筐体101の一部であるステー102が配設されている。ステー102には、運搬者の指が画像形成装置100の内部の奥まで入らないように保護する把手カバー107と、外装カバー103が取り付けられている。外装カバー103は前記ステー102の外側に取り付けられ、把手カバー107は前記ステー102の外側とは反対側である内側に取り付けられている。把手カバー107は、外装カバー103とは別部品として取り付けられているものの、把手カバー107も装置の外装の一部をなす。そのため、外装カバー103と別部品の把手カバー107とが一体的に装置の外装カバーを構成しているといえる。
【0079】
図14に示すように、把手部200は、開口部103aと、窪み部109と、ハンドル部110と、を有する。開口部103aは、運搬者がハンドル部110に指を掛ける際に、画像形成装置100の内部に向けて指を入れることができるように、前記外装カバー103に設けられている。窪み部109は、運搬者の指が画像形成装置100の内部の奥まで入らないように保護するように、前記外装カバー103に設けられている。窪み部109は、前記開口部103aから前記画像形成装置100の内部に向かって窪んだ部位である。なお、窪み部109は、外装カバー103と一体に設けた構成を例示しているが、これに限定されるものではなく、外装カバー103とは別体で設けても構わない。便宜的に窪み部109が外装カバー103とは別体と説明したが、窪み部109も装置の外装の一部をなすため、外装カバー103と別部品の窪み部109とが一体的に装置の外装カバーを構成しているといえる。ハンドル部110は、前記開口部103aの鉛直方向上側に設けられ、前記画像形成装置100を持ち上げる際に運搬者が指を掛ける部位である。ハンドル部110は、鉛直方向に延びた部分を有する。このような構造により、鉛直方向に指を差し込んでハンドル部110を把持することができる。また、複数の指を掛ける仕様にする場合は、ハンドル部110は、
図14の紙面垂直方向(前後方向)に延びている。ハンドル部110の鉛直方向に延びた部分に対して、把手カバー107の一部の面が対向している。
【0080】
また外装カバー103には、前述したようにルーバー104が設けられている。ルーバー104は、長手形状の複数の板状部材105を含む。複数の板状部材105のそれぞれは、
図14の紙面垂直方向(前後方向)を長手方向として延びている。互いの長手方向が揃うように、長手形状の複数の板状部材105が鉛直方向に間隔(開口106)をあけて並設されている。
【0081】
ルーバー104は、前記窪み部109に設けられている。ルーバー104は、開口部103aから画像形成装置100の内部に向かう方向(左右方向)において、前記窪み部109の前記開口部103aに対向する位置に設けられている。ルーバー104の設けられた面と、把手カバー107の一部のなす面とが、実質的に1つの面をなしているとみることができる。つまり、外装カバーのうち、ハンドル部110に対向する対向面に、ルーバー104が設けられている。ルーバー104は、吸気ファン62と排気ファン63のそれぞれに対向する位置に設けられている。
【0082】
(ルーバーの構成)
本実施例の把手部200に設けたルーバー104の構成について、比較例の把手部200に設けたルーバー104と比較して説明する。
【0083】
(比較例のルーバー構成)
図15(a)、
図15(b)を用いて比較例の把手部200に設けたルーバー104について説明する。
図15(a)、
図15(b)は比較例の把手部におけるルーバー形状を説明する図である。
図15(a)にはルーバーの正面図を示し、
図15(b)には
図15(a)のX-X断面図を示している。
【0084】
ここで、運搬者が外装カバー103のハンドル部110に指108を掛けて画像形成装置100を持ち上げる方向を第一の方向と定義する。ハンドル部110に指を掛けるために、運搬者の指108は最終的に第一の方向を進入方向として、窪み部109の内部を移動する。また、運搬者の指108が、ルーバー104の板状部材105間の開口106に入れることができる方向を第二の方向と定義する。第二の方向は、第一の方向及び前記第一の方向に交差する方向(ここでは前後方向)の両方に交差する方向である。
【0085】
比較例のルーバー104は、前記窪み部109の前記第一の方向と平行な面109aに設けられている。この窪み部109の面109aは、開口部103aから画像形成装置100の内部に向かう方向(左右方向)において、前記開口部103aに対向する位置にある面である。
【0086】
比較例のルーバー104は、前記窪み部109の前記第一の方向と平行な面109aに、複数の板状部材105が鉛直方向に間隔(開口106)をあけて平行に並設されたものである。
【0087】
比較例のルーバー104は、鉛直方向に平行に並設された複数の板状部材105の前記鉛直方向の間隔(開口106)が、鉛直方向に隣接する上側の板状部材105の下端面と下側の板状部材105の上端面とにより形成されている。比較例のルーバー104の各板状部材105の上端面及び下端面は、前記第一の方向(装置を持ち上げる方向)に垂直な面である。つまり、比較例のルーバー104の各板状部材105の下端面は、前記第一の方向(装置を持ち上げる方向)に垂直な面となる。換言すれば、比較例のルーバー104の板状部材105は、前記第一の方向(装置を持ち上げる方向)に垂直な形状である。
【0088】
比較例のルーバー104を有する画像形成装置100を運搬する際に、外装カバー103の開口部103aから第二の方向に入れた運搬者の指108が、鉛直方向に隣接する板状部材105の間(開口106)に侵入してしまう可能性が考えられる。この場合、ルーバー104の各板状部材105の下端面が前記第一の方向に垂直な面であると、前記鉛直方向に隣接する板状部材105の間(開口106)に侵入した運搬者の指108が上側の板状部材105の下端面に引っ掛かってしまう可能性がある。従って、運搬者の指108がルーバー104の板状部材105の下端面に引っ掛からないようにしなければならない。
【0089】
一方で、前記第二の方向は、
図15(b)に示すように、直線Gと直線G2とのなす角度θの範囲である。直線Gは、鉛直方向(上下方向)に隣接する板状部材105のうちの下側の板状部材105の稜線エッジAと前記外装カバー103の開口部103aの鉛直方向下側の端部Bとを結んだ直線である。直線G2は、前記第一の方向(装置を持ち上げる方向)に垂直な直線である。
【0090】
ここで、運搬者は、角度θの範囲から指108をルーバー104の開口106に入れることとが可能となる。つまり、運搬者は、ルーバー104の板状部材105間の開口106に指108を入れることが可能となってしまう。すると、運搬者は、板状部材105間の開口106に侵入した指108が、前記開口106をなす上側の板状部材105の下端面に引っ掛かった状態で、前記第一の方向に向かって力を入れることができてしまう。このため、装置を安全に運搬することが困難になってしまう可能性がある。
【0091】
(本実施例のルーバー構成)
図16(a)、
図16(b)、
図17、
図18を用いて本実施例の把手部200に設けたルーバー104について説明する。
図16(a)、
図16(b)は本実施例の把手部におけるルーバー形状を説明する図である。
図16(a)にはルーバーの正面図を示し、
図16(b)には
図16(a)のX-X断面図を示している。
図17、
図18は本実施例に係るルーバー形状を説明する詳細図である。
【0092】
本実施例のルーバー104は、比較例のルーバー104と同様に、前記窪み部109の前記第一の方向と平行な面109aに、複数の板状部材105が鉛直方向に間隔(開口106)をあけて平行に並設されたものである。
【0093】
本実施例のルーバー104は、鉛直方向に間隔(開口106)をあけて平行に並設された複数の板状部材105の形状が、比較例のルーバー104の板状部材105の形状とは異なる。
【0094】
比較例のルーバー104の板状部材105は、前述したように前記第一の方向(装置を持ち上げる方向)に垂直な形状である(
図15(b)参照)。
【0095】
これに対し本実施例のルーバー104の板状部材105は、前記画像形成装置100の内部から前記開口部103aに向かって、第一の位置P1から前記第一の位置P1よりも鉛直方向上側の第二の位置P2へ突出した突出部を有する。突出部の突出する方向を各方向成分に分解して説明する。まず、前記第一の方向(鉛直方向)においては、突出部は指の進捗方向に向かって突出している。次に、第二の方向(ここでは、第一の方向に垂直な方向、つまり左右方向)においては、突出部は、ルーバー104の配置された面からハンドル部110に向かって突出している。
【0096】
本実施例では、ルーバー104の板状部材105は、前記突出部であるテーパー部105aを有する。さらにルーバー104の板状部材105は、前記突出部であるテーパー部105aのほかに、前記第一の方向(装置を持ち上げる方向)に垂直な形状であるストレート部105bを有する。ここでは、板状部材105において、前記テーパー部105aは、前記窪み部109の前記第一の方向と平行な面109aよりも開口部103a側に突出して設けられている。しかし、前記テーパー部105aは、前記ストレート部105bよりも開口部103a側に設けられていればよく、前記窪み部109の前記第一の方向と平行な面109aよりも開口部103a側に突出していなくても構わない。
【0097】
このルーバー104の板状部材105が有するテーパー部105aは、以下の(1)~(3)の構成を満たすことでより高い効果を得ることができる。
【0098】
(1)テーパー部105aは、装置を持ち上げる方向(第一の方向)に対し、45°以下(δ≦45°)であること。
【0099】
換言すれば、前記板状部材105のテーパー部105aは、前記第一の位置P1と前記第二の位置P2とを結ぶ直線G3が鉛直方向に対して45°以下の角度δをもった傾斜形状で(テーパー形状)であること。
【0100】
(2)テーパー部105aの稜線エッジAと外装カバー103の開口部103aの下側の端部Bとを結んだ直線Gが、その上の板状部材105のテーパー部105aにぶつかること。
【0101】
換言すれば、前記板状部材105のテーパー部105aは、鉛直方向に隣接する板状部材のうちの下側の板状部材105の稜線エッジAと前記外装カバー103の開口部103aの鉛直方向下側の端部Bとを結んだ直線Gが、前記下側の板状部材105の鉛直方向の上側に隣接する上側の板状部材105のテーパー部105aに突き当たるように形成されていること。
【0102】
ここでは、前記板状部材105の突出部として、前記傾斜形状(テーパー形状)であるテーパー部105aを例示したが、これに限定されるものではない。前記板状部材105の突出形状は、前記第一の位置P1と前記第二の位置P2とを結ぶ直線G3が鉛直方向に対して45°以下の角度δをもった円弧形状であっても構わない。
【0103】
(3)ルーバー104の板状部材105間のクリアランスY(上側のストレート部105bと下側のテーパー部105aの第二方向における距離)は、指が入らないようなクリアランスであること。本実施例では、2.5mmとしてある。
【0104】
換言すれば、前記ルーバー104は、鉛直方向に隣接する下側の板状部材105の上端と上側の板状部材105の下端との間隔(クリアランスY)が、指が入らない間隔である。これにより、ルーバー104の隣接する板状部材105の間に、運搬者の指108が侵入してしまうのを防止でき、安全に装置を運搬できる。
【0105】
テーパー部105aは、上記(1)~(3)の構成が必要な理由を、以下に記す。
【0106】
上記(1)の構成だと、装置を持ち上げる方向(第一の方向)とテーパー部105aの角度δが垂直ではなく、鋭角であるため、運搬者が指を引っ掛けた状態で装置を持ち上げてしまうことがない。つまり、画像形成装置を持ち上げる際に、運搬者がルーバー104に指108が突き当たったとしても、テーパー部105aが指108を第一の方向に案内してくれるので、ルーバー104に指108が引っ掛かることがなく、安全に装置の運搬作業ができる。
【0107】
次に、運搬者の指108が、ルーバー104の板状部材105間の開口106に入れることができる方向(第二の方向)は、角度θの範囲である。上記(2)の構成だと、角度θの範囲であれば、隣接する板状部材105の間(クリアランスY)に指108が入っても、指108は板状部材105のテーパー部105aに突き当たり、ストレート部105bには届かない。すると、前述した通りの効果が得られ、結果、運搬者の指108がルーバー104の板状部材105に引っ掛かることがなく、安全に装置の運搬作業ができる。
【0108】
さらに上記(3)の構成だと、仮に運搬者がルーバー104に垂直な方向から指108をまっすぐ入れても、指108が板状部材105のストレート部105bまで届かない。そのため、前述した通り、運搬者の指108がルーバー104の板状部材105に引っ掛かることがなく、安全に装置の運搬作業ができる。
【0109】
つまり、ルーバー104の板状部材105が有するテーパー部105aは、上記(1)~(3)の構成を満たすことで、運搬者の指108がルーバー104に引っ掛かるリスクを低減させることができ、安全に装置を運搬することが可能となる。
【0110】
なお、ここでは最も好ましい構成として、テーパー部105aが、上記(1)~(3)の全ての構成を満たすことを例示して説明した。しかし、これに限定されるものではない。テーパー部105aは、上記(1)~(3)のいずれかの構成を満たすこと、または上記(1)~(3)のいずれかを組み合わせた構成で、上述した効果を得ることができる。
【0111】
また
図17では、ルーバー104の鉛直方向の最上段の板状部材105を例示して説明したが、ルーバー104の他の板状部材105についても同様のことが言える。例えば、
図18に、ルーバー104の最下段の板状部材105の構成を示す。ルーバー104の最下段の板状部材105に関しても、上記(1)~(3)の構成を満たすことで、上述した効果を得ることができる。
【0112】
また、
図19に示すように、ルーバー104の板状部材105は、ストレート部105bがなく、テーパー部105aだけで形成されている構成でも構わない。
【0113】
ちなみに、運搬者の指108がルーバー104の板状部材105に引っ掛からないようにするためには、ルーバー104の開口106の幅a(
図20(a)参照)を運搬者の指108よりも小さい幅a′(
図20(b)参照)にする方法もある。しかし、開口106の幅を小さくすると、その分、開口106を形成するための縁形状面積の割合が増加し、結果、ファンが装置内部を冷却するために必要な総開口面積が減少してしまう欠点がある。なお、ルーバー104の開口106の幅aは、
図20(a)、
図20(b)に示すように、鉛直方向(上下方向)に直交する方向(ここでは前後方向)の長さである。
【0114】
つまり、上述したとおりの本実施例の構成であれば、ファン62、63の吸気開口面積/排気開口面積を確保しつつ、安全に装置を持ち上げ、運搬することが可能となる。
【0115】
なお、前記外装カバー103の前記開口部103aの鉛直方向上側の縁部は、前記ステー102の鉛直方向下側の縁部を覆うように前記画像形成装置100の内部に入り込んだ保護部103bを有する。この保護部103bによって、運搬者の手をステー102のエッジから保護している。
【0116】
換言すれば、画像形成装置100の筐体101の一部を構成するステー102は、画像形成装置100を持ち上げるための把手部の役割を兼ねるとも言える。これにより、画像形成装置100を運搬する際、運搬者は、保護部103bで保護されたステー102の下面を手で持ち上げることで、製品の持ち上げ、運搬が可能となる。
【0117】
上述したように、本実施例によれば、画像形成装置100の運搬時に、運搬者の指108がルーバー104に引っ掛かることがなく、安全に装置の運搬作業ができる。つまり運搬者(操作者)の作業性を向上させることができる。
【0118】
なお、前述した実施例では、板状部材105間の開口106が複数の角形状の開口から成るルーバーを例示したが、その限りではない。鉛直方向に直交する方向において、複数ではなく単一の開口でも良い。あるいは角形状の開口ではなく、円弧形状の開口でも構わない。
【0119】
前述した実施例では、ルーバー104の鉛直方向における位置について、ルーバー104が開口部103aに対向する位置としている。しかし、ルーバー104の鉛直方向における位置はこの位置に限られない。例えば、ハンドル部110に対向する位置にルーバーが設けられていてもよい。運搬者の指が最終的にハンドル部110に接触するまでの指先の移動経路上の少なくとも一部に、ルーバーがあれば本実施例の効果を得ることができる。
【0120】
前述の実施例では、ルーバー104に含まれるすべての板状部材105が突出部を有する構成を説明した。しかし、運搬者の指が特に引っかかりやすい部分だけに絞って、突出部を設けてもよい。すなわち、複数の板状部材105の少なくとも1つが突出部を有し、その他の板状部材105が
図15に示した比較例の形状を有していても、本実施例の効果を得ることはできる。
【0121】
また前述した実施例では、画像形成装置の運搬時の把手部を例示したが、その限りではない。例えば、外装カバーの開閉用の把手部でも構わない。外装カバーの開閉用の把手部においては、鉛直方向の下方向に向かって指を挿入する、あるいは、左右方向や前後方向に向かって指を挿入する構成も採用される。このような場合には、ルーバーの突出形状を指の挿入方向に合わせて設ければよい。
【符号の説明】
【0122】
A …稜線エッジ
B …端部
G,G2,G3 …直線
P1 …第一の位置
P2 …第二の位置
Y …クリアランス
1 …画像形成部
2 …感光ドラム
4 …露光ユニット
30 …カートリッジトレイ
60 …ダクトユニット
62 …吸気ファン
63 …排気ファン
69 …昇降ダクト
100 …画像形成装置
100B …後側板
100F …前側板
101 …筐体
102 …ステー
103 …外装カバー
103a …開口部
103b …保護部
104 …ルーバー
105 …板状部材
105a …テーパー部
105b …ストレート部
106 …開口
108 …指
109 …窪み部
109a …面
110 …ハンドル部
200 …把手部