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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011402
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】工具
(51)【国際特許分類】
   B25G 1/08 20060101AFI20250117BHJP
   B25G 1/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B25G1/08 C
B25G1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113495
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(74)【代理人】
【識別番号】100231038
【弁理士】
【氏名又は名称】正村 智彦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 一輝
(57)【要約】
【課題】 柄本体に被せられたグリップ内に電子タグが備え付けられた工具において、電子タグをグリップ内に確実に備え付ける。
【解決手段】 柄本体に被せられたグリップ内に電子タグが備え付けられた工具において、前記電子タグを保持するタグホルダを具備し、前記タグホルダが、前記柄本体の少なくとも一部に引っ掛かる引掛部を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄本体に被せられたグリップ内に電子タグが備え付けられた工具であり、
前記電子タグを保持するタグホルダを具備し、
前記タグホルダが、前記柄本体の少なくとも一部に引っ掛かる引掛部を備えていることを特徴とする工具。
【請求項2】
前記柄本体が、前記グリップ内に差し込まれており、
前記引掛部が、前記柄本体の差込方向を向く端面に引っ掛かる請求項1記載の工具。
【請求項3】
前記タグホルダが、長尺シートを長手方向の途中で折り畳んだものであり、その折り畳まれた箇所が、前記引掛部として機能する請求項1記載の工具。
【請求項4】
前記折り畳まれる箇所が括れている請求項3記載の工具。
【請求項5】
前記タグホルダが、シート状をなし、一方面から突出する突条で囲まれた窪みを有し、その窪みに前記電子タグを収容し保持する保持部をさらに備えている請求項1記載の工具。
【請求項6】
前記電子タグが、前記柄本体と対向するように前記タグホルダに保持されている請求項1記載の工具。
【請求項7】
前記電子タグが、前記グリップと対向するように前記タグホルダに保持されている請求項1記載の工具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、航空機の整備現場等において、工具の紛失は安全性に直結することから、徹底的な工具管理がなされている。
【0003】
特許文献1には、柄本体に被せたグリップの外面に電子タグを設け、この電子タグとリーダとの間で無線通信できるように構成された工具が開示されている。このような工具であれば、例えば工具箱に戻されているかなどを管理することができる。
【0004】
出願人は、前記特許文献1に示す工具では、使用時に外部に露出した電子タグが外れる心配があることから、シール状の電子タグを柄本体に貼り付け、その柄本体にグリップを被せることで、電子タグをグリップ内に備え付けようと試みた。
【0005】
しかしながら、柄本体にグリップを被せるため、柄本体をグリップに差し込むと、柄本体に貼り付けられた電子タグがグリップに引っ掛かって剥がれてしまい、グリップ内に備え付けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許10,807,228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、電子タグをグリップ内に確実に備え付けられるようにすることを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る工具は、柄本体に被せられたグリップ内に電子タグが備え付けられた工具であり、前記電子タグを保持するタグホルダを具備し、前記タグホルダが、前記柄本体の少なくとも一部に引っ掛かる引掛部を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、電子タグを保持するタグホルダが柄本体の少なくとも一部に引っ掛かる引掛部を備えているので、柄本体をグリップ内に差し込む際に、タグホルダが柄本体に引っ掛かり、電子タグをグリップ内に確実に備え付けることができる。
【0010】
引掛部の具体的な実施態様としては、前記柄本体が、前記グリップ内に差し込まれており、前記引掛部が、前記柄本体の差込方向を向く端面に引っ掛かるものが挙げられる。
【0011】
例えば、タグホルダが長尺シートの一端部を折り曲げたものだと、柄本体をグリップ内に差し込む際に、その折り曲げられた箇所が延びて柄本体に引っ掛からなくなる可能性がある。
【0012】
そこで、前記タグホルダが、長尺シートを長手方向の途中で折り畳んだものであり、その折り畳まれた箇所が、前記引掛部として機能するものであってもよい。
【0013】
このような構成であれば、タグホルダが長尺シートを折り畳んだものなので、柄本体をグリップ内に差し込む際に、その折り畳まれた箇所が延びることなく、柄本体の端面に引っ掛かる。したがって、電子タグをグリップ内により確実に備え付けることができる。
【0014】
この場合、前記折り畳まれる箇所が括れていると、タグホルダを折り畳み易くなる。
【0015】
ところで、電子タグが、グリップと対向するようにタグホルダに保持されていると、柄本体をグリップに差し込む際に、電子タグがグリップに引っ掛かってタグホルダから剥がれてしまう。
【0016】
そこで、前記タグホルダが、シート状をなし、一方面から突出する突条で囲まれた窪みを有し、その窪みに前記電子タグを収容し保持する保持部をさらに備えていてもよい。
【0017】
このような構成であれば、電子タグが窪みに収容されるので、電子タグがグリップに引っ掛からず、タグホルダから剥がれない。
【0018】
また、近年電子タグとして、金属に近づけるほどリーダの読取感度が向上するものが開発されている。
【0019】
そこで、前記電子タグが、前記柄本体と対向するように前記タグホルダに保持されているものでもよい。
【0020】
このような構成によれば、電子タグを柄本体の近くに備え付けられる。
【0021】
また、湾曲した柄に電子タグを備え付ける場合、電子タグが曲がって損傷し易い。
【0022】
そこで、前記電子タグが、前記グリップと対向するように前記タグホルダに保持されているものでもよい。
【0023】
このような構成によれば、柄本体と電子タグとの間にタグホルダが介在するので、電子タグの曲がりが緩やかになり、損傷し難くなる。
【発明の効果】
【0024】
このように構成された本発明によれば、電子タグをグリップ内に確実に備え付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る工具の構成を模式的に示す断面図である。
図2】同実施形態の工具のタグホルダの構成を模式的に示す平面図及び側面図である。
図3】同実施形態の工具のタグホルダの構成を模式的に示す斜視図である。
図4】同実施形態における変形例の工具の構成を模式的に示す断面図である。
図5】同実施形態における変形例の工具のタグホルダの構成を模式的に示す斜視図である。
図6】同実施形態における変形例の工具のタグホルダの構成を模式的に示す斜視図である。
図7】本発明のその他の実施形態に係る工具の構成を模式的に示す断面図である。
図8】本発明のその他の実施形態に係る工具の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
以下に、本発明に係る工具の第1実施形態について説明する。
【0027】
本発明に係る工具は、例えば航空機、車両、鉄道車両、又は、船舶などの整備現場で用いられて物であり、具体的には、プライヤ、ドライバ、ハンマーなどの手動工具が挙げられる。
【0028】
本実施形態に係る工具100は、物を挟む又は切るためのものであり、具体的にはペンチである。この工具は、図1に示すように、回転可能に連結された一対の本体10と、一対の本体10の後端部である柄本体11にグリップ20を被せてなる一対の柄30とを有し、この一対の柄30を開閉させることで、これに連動して本体10の先端部12が開閉する。また、グリップ20内には、電子タグ40が備え付けられており、この実施形態では一方の柄30にのみ備え付けられている。
【0029】
前記本体10それぞれは、金属製のものであり、上述した先端部12と柄本体11との間に連結箇所13が設けられている。
【0030】
前記一対の柄30は、図1に示すように、その外側が作業者に把持されるものであり、互いに回転可能に連結されている。
【0031】
この柄30を構成するグリップ20は、筒状をなし、柄本体11が差し込まれる。この実施形態のグリップ20は、柄本体11の後端まで覆い被さるように有底状になっているが、必ずしも有底状になっていなくてもよい。また、グリップ20は、柄本体11が差し込まれた際に伸縮するように、例えば弾性変形可能な樹脂等で形成されている。
【0032】
ここで、柄本体11をグリップ20に差し込む態様としては、柄本体11をグリップ20に対して相対移動させて差し込む態様だけでなく、グリップ20を柄本体11に対して相対移動させ差し込む態様も含まれる。
【0033】
前記電子タグ40は、図示しないリーダとの間で無線通信するとともに、このリーダにより読み取り可能な種々の情報が格納されたものである。
【0034】
具体的にこの電子タグ40は、少なくともICチップ(図示せず)と、このICチップが設けられたアンテナ(図示せず)とを有する。
【0035】
本実施形態では、電子タグ40が柄本体11の軸方向に沿って延びる長尺状をなしている。
【0036】
この電子タグ40は、図1に示すように、グリップ20の外側とは反対の内側に備え付けられている。なお、グリップ20の外側とは、作業者の掌が当たる側であり、グリップ20の内側は、もう一方の柄30を向く側である。
【0037】
然して、この工具100は、図2及び図3に示すように、電子タグ40を保持するタグホルダ50を備えており、このタグホルダ50は、柄本体11の少なくとも一部に引っ掛かるようになっている。
【0038】
前記タグホルダ50は、シート状をなし、例えばPETなどのフレキシブルプラスチックによって形成されており、その一方面に電子タグ40を保持する。
【0039】
より具体的に説明すると、本実施形態のタグホルダ50は、長尺シート51を長手方向の途中で折り畳んだものであり、その折り畳んだ箇所51aが、柄本体11の差込方向を向く後端面11aに引っ掛かる。つまり、この折り畳まれた箇所51aが、引掛部50aとして機能する。
【0040】
この折り畳まれた箇所51aは括れており、その折り畳まれた箇所51aで繋がれた一対の対向片51b,51cそれぞれの幅よりも幅が狭くなっている。
【0041】
この一対の対向片51b,51cのうち一方の対向片51bは、柄本体11の内側を向く内側面に沿っており、他方の対向片51cは、柄本体11の外側を向く外側面に沿っている。そして、一方の対向片51bの一方面に、電子タグ40を保持する保持部50bが形成されている。本実施形態では、保持部50bが一方の対向片51bの外面に形成されている。ここで、この一方の対向片51bの外面とは、もう一方の対向片51cと対向する内面と反対面である。
【0042】
より具体的に説明すると、本実施形態の保持部50bは、一方の対向片51bの外面から突出する突条52で囲まれた窪み53を有し、この窪み53に電子タグ40を収容する。
【0043】
この窪み53は、開口から視て矩形状をなし、突条52の内周面によって形成された側面531と、この側面531によって囲まれた底面532とを有し、この底面532に電子タグ40が貼り付けられる。
【0044】
前記突条52は、電子タグ40の厚みよりも高くなっており、これにより、窪み53の深さが電子タグ40の厚みよりも深くなっている。また、この突条52は、断面中空状に形成されている。本実施形態の突条52は、ブリスター成形によって形成されたものであり、突出方向と反対方向へ開口している。断面中空状とは、このように突条52の内部空間が突出方向と反対方向へ開口した態様も含まれる。この突条52は、長尺シート51と同素材で形成されているが、必ずしても同素材で形成する必要はなく、異素材で形成されたものでもよい。
【0045】
かかる構成により、電子タグ40と柄本体11との間には、タグホルダ50の一部が介在している。したがって、電子タグ40は、グリップ20と対向する。
【0046】
次に、本実施形態に係る工具100の組み立て方を説明する。
【0047】
先ず、電子タグ40を窪み53の底面532に貼り付け、長尺シート51を括れた箇所で折り畳みタグホルダ50を形成する。次に、タグホルダ50の折り畳まれた箇所51aを柄本体11の後端面11aに引っ掛け、一対の対向片51b、51cそれぞれを柄本体11の外側面又は内側面に沿わせる。この状態で、柄本体11をタグホルダ50ごとグリップ20内に差し込む。
【0048】
このように構成された工具100によれば、電子タグ40を保持するタグホルダ50が柄本体11の少なくとも一部に引っ掛かる引掛部50aを備えているので、柄本体11をグリップ20内に差し込む際に、タグホルダ50が柄本体11に引っ掛かり、電子タグ40をグリップ20内に確実に備え付けることができる。
【0049】
また、タグホルダ50を構成する長尺シート51の折り畳まれた箇所51aが括れているので、長尺シート51を折り畳み易い。
【0050】
また、電子タグ40が窪み53に収容されるので、電子タグ40がグリップ20に引っ掛からず、タグホルダ50から剥がれない。
【0051】
また、柄本体11と電子タグ40との間にタグホルダ50が介在するので、例え柄本体11が湾曲していても、その柄本体11に沿う電子タグ40の曲がりが緩やかになり、損傷し難くなる。
【0052】
<第1実施形態の変形例>
なお、本発明は、前記第1実施形態に限られるものではない。
【0053】
例えば、前記実施形態では、保持部50bが一方の対向片51bの外面に形成されているが、図3に示すように、一方の対向片51bの内面に形成されていてもよい。
【0054】
かかる構成により、電子タグ40と柄本体11との間に介在するものが無く、電子タグ40が柄本体11と対向し、例えば電子タグ40として、金属に近づけるほどリーダの読取感度が向上するものを採用した場合、読取感度が向上する。
【0055】
また、前記実施形態では、突条52が断面中空状のものであったが、断面中実状のものであってもよい。
【0056】
この場合、例えば、突条52を、一方の対向片51bの一方面に同形状の環状シート52aを複数積層して形成することもできる。具体的には、図4に示すように、長尺シート51の一端から長手方向に沿って同形状の環状シート52aを複数直列状に連結する。そして、これらの環状シート52aを蛇腹状に折り畳んで積層し突条52を形成すれば、シートを折り畳むだけでタグホルダ50を形成できる。
【0057】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、前記各実施形態に限られるものではない。
【0058】
前記第1実施形態では、タグホルダ50が柄本体11の後端面11aに引っ掛かるように構成したが、例えば図7に示すように、柄本体11に軸方向へ延びる切欠き60を形成し、その切欠き60の柄本体11の差込方向を向く側面601にタグホルダ50が引っ掛かるようにしてもよい。この切欠き60は、柄本体11の外側面及び内側面それぞれに形成されているが、いずれか一方にのみ形成してもよい。
【0059】
具体的には、この切欠き60は、柄本体11の軸方向の途中から後端面11aまで達し、その軸方向と直交方向を向く底面602と、底面602から立ち上がって柄本体11の差込方向を向く側面601とを有している。
【0060】
タグホルダ50は、切欠き60の底面602とグリップ20との間に介在するシートであり、そのシートの一方面に電子タグ40が貼り付けられる。
【0061】
かかる構成により、タグホルダ50を柄本体11とともにグリップ20内に差し込んだ際に、タグホルダ50の差込方向と反対方向を向く一端51dが切欠き60の側面601に引っ掛かる。つまり、この一端が引掛部50aとして機能する。
【0062】
また、前記第1実施形態では、タグホルダが長尺シートを折り畳んだものであるが、例えば図8に示すように、タグホルダ50を、長尺シート51を略L字状に折り曲げたものとし、その折り曲げられた部分51eを柄本体11の差込方向を向く後端面11aに引っ掛けてもよい。つまり、この折り曲げられた部分51eが引掛部52として機能する。
【0063】
この場合、タグホルダ50の折り曲げられた部分53以外の部分を柄本体11の側面に沿わせ、その部分の一方面(図8では、内面)に電子タグ40を貼り付ける。
【0064】
また、前記第1実施形態では、タグホルダの引掛部を長尺シートを折り畳んだ形成したが、例えば長尺シートの一端に、柄本体の後端が差し込まれる有底筒部を形成し、この筒部を引掛部としてもよい。
【0065】
また、前記第1実施形態では、工具としてペンチを例示したが、これに限定されず、例えばドライバ、ハンマーなど柄が一つのものであってもよい。また、柄が二つの工具の場合、両方の柄に電子タグを備え付けてもよい。
【0066】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0067】
100・・・工具
10 ・・・本体
11 ・・・柄本体(後端部)
20 ・・・グリップ
30 ・・・柄
40 ・・・電子タグ
50 ・・・タグホルダ
50a ・・・引掛部
50b ・・・保持部
51 ・・・長尺シート
52 ・・・突条
53 ・・・窪み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8