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特開2025-11408眼科装置および眼科装置制御プログラム
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  • 特開-眼科装置および眼科装置制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011408
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】眼科装置および眼科装置制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/103 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61B3/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113506
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100184550
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 珠美
(72)【発明者】
【氏名】辺 光春
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA13
4C316AA20
4C316AA24
4C316FA06
4C316FA07
4C316FB02
4C316FB16
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】被検眼と検眼ユニットの間の相対位置を効率良く調整することが可能な眼科装置および眼科装置制御プログラムを提供する。
【解決手段】制御部は、操作ユニットに対して、操作ユニットを微動させる微動操作が行われたことが操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された微動操作に応じて駆動部を制御することで、検眼ユニットの位置を微動範囲内で微動させる。制御部は、操作ユニットに対して、操作ユニットを粗動させる粗動操作が行われたことが操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された粗動操作に応じて駆動部を制御することで、検眼ユニットの位置を粗動させる。制御部は、撮影光学系によって撮影されて表示部に表示される撮影画像上に、微動操作によって微動可能な、被検眼に対する検眼ユニットの微動範囲を表示させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼に検査軸が一致した状態で前記被検眼を検査する検眼ユニットと、
前記被検眼に対する前記検眼ユニットの相対位置を移動させる駆動部と、
前記駆動部を駆動させるために検者によって操作される操作ユニットと、
前記操作ユニットの操作を検出する操作検出ユニットと、
前記被検眼を撮影する撮影光学系と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記操作ユニットに対して、前記検眼ユニットを微動させる微動操作が行われたことが前記操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された微動操作に応じて前記駆動部を制御することで、前記検眼ユニットの位置を微動範囲内で微動させる微動ステップと、
前記操作ユニットに対して、前記検眼ユニットを粗動させる粗動操作が行われたことが前記操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された粗動操作に応じて前記駆動部を制御することで、前記検眼ユニットの位置を粗動させる粗動ステップと、
前記撮影光学系によって撮影されて表示部に表示される撮影画像上に、前記微動操作によって微動可能な、前記被検眼に対する前記検眼ユニットの前記微動範囲を表示させる微動範囲表示ステップと、
を実行することを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1に記載の眼科装置であって、
前記制御部は、
検者によって入力される指示に応じて、前記微動操作によって微動可能な前記微動範囲の大きさを変化させる微動範囲変化ステップをさらに実行し、
前記微動範囲表示ステップでは、前記微動範囲変化ステップにおいて変化された前記微動範囲に応じて、前記撮影画像上に表示させる前記微動範囲の大きさを変化させることを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の眼科装置であって、
前記制御部は、
前記微動範囲表示ステップにおいて、前記微動範囲内で前記検査軸に交差する方向に微動した前記検眼ユニットの位置に応じて、前記撮影画像上に表示させる前記微動範囲の位置を移動させることを特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の眼科装置であって、
前記操作ユニットは、前記検眼ユニットを微動させる微動操作部として、任意の方向に傾倒可能に支持される操作桿を含み、
前記制御部は、
前記微動範囲表示ステップにおいて、前記操作桿の傾倒範囲内における傾倒位置に応じて、前記撮影画像上に表示させる前記微動範囲の位置を移動させることを特徴とする眼科装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の眼科装置であって、
前記制御部は、
前記微動範囲表示ステップにおいて、前記撮影光学系によって撮影されて前記表示部に表示される前記撮影画像の表示倍率に応じて、前記撮影画像上に表示させる前記微動範囲の大きさを変化させることを特徴とする眼科装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の眼科装置であって、
前記被検眼との間の距離に応じて前記被検眼の撮影倍率が変化する前記撮影光学系が、前記検眼ユニットに設けられており、
前記制御部は、
前記微動範囲表示ステップにおいて、前記検査軸に沿う方向における前記検眼ユニットの位置に応じて、前記撮影画像上に表示させる前記微動範囲の大きさを変化させることを特徴とする眼科装置。
【請求項7】
眼科装置を制御する眼科装置制御プログラムであって、
前記眼科装置は、
被検眼に検査軸が一致した状態で前記被検眼を検査する検眼ユニットと、
前記被検眼に対する前記検眼ユニットの相対位置を移動させる駆動部と、
前記駆動部を駆動させるために検者によって操作される操作ユニットと、
前記操作ユニットの操作を検出する操作検出ユニットと、
前記被検眼を撮影する撮影光学系と、
制御部と、
を備え、
前記眼科装置制御プログラムが前記制御部によって実行されることで、
前記操作ユニットに対して、前記検眼ユニットを微動させる微動操作が行われたことが前記操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された微動操作に応じて前記駆動部を制御することで、前記検眼ユニットの位置を微動範囲内で微動させる微動ステップと、
前記操作ユニットに対して、前記検眼ユニットを粗動させる粗動操作が行われたことが前記操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された粗動操作に応じて前記駆動部を制御することで、前記検眼ユニットの位置を粗動させる粗動ステップと、
前記撮影光学系によって撮影されて表示部に表示される撮影画像上に、前記微動操作によって微動可能な、前記被検眼に対する前記検眼ユニットの前記微動範囲を表示させる微動範囲表示ステップと、
を前記眼科装置に実行させることを特徴とする眼科装置制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検眼を検査するための眼科装置および眼科装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼を検査するための種々の眼科装置(例えば、眼屈折力測定装置、角膜曲率測定装置、眼圧測定装置、眼底カメラ、OCT装置、レーザ走査型検眼装置(SLO)等)が知られている。多くの眼科装置による被検眼の検査は、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置が適正位置に調整された状態で実行される必要がある。
【0003】
被検眼と検眼ユニットの間の相対位置を効率良く調整するために、装置の少なくとも一部を微動および粗動させることが可能な眼科装置も知られている。微動とは、相対位置を細かく調整するために、装置の少なくとも一部を小さく(またはゆっくり)移動させることである。粗動とは、相対位置をおおまかに調整するために、装置の少なくとも一部を微動時よりも大きく(または速く)移動させることである。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の眼科装置は、操作桿が一定の傾倒範囲内で傾倒操作された場合に検眼ユニットを微動させると共に、操作桿の上部の押しボタンが操作された場合に検眼ユニットを粗動させる。また、操作桿の傾倒範囲が所定範囲内であれば検眼ユニットを微動させ、操作桿の傾倒範囲が所定範囲を超えると検眼ユニットを粗動させる眼科装置等も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-23960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
微動および粗動を共に実行可能な眼科装置では、検眼ユニットを微動させることが可能な範囲(微動範囲)は制限されていることが多い。従って、微動範囲の限界まで検眼ユニットを微動させても、微動による移動距離が不足してしまう場合がある。この場合、従来の眼科装置では、微動を中断して粗動による位置調整をやり直した後、微動による位置調整を再度実行する必要がある。その結果、粗動と微動を切り替える手間が増えてしまう。よって、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置をさらに効率良く調整するための技術が望まれる。
【0007】
本発明の典型的な目的は、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置を効率良く調整することが可能な眼科装置および眼科装置制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示における典型的な実施形態が提供する眼科装置は、被検眼に検査軸が一致した状態で前記被検眼を検査する検眼ユニットと、前記被検眼に対する前記検眼ユニットの相対位置を移動させる駆動部と、前記駆動部を駆動させるために検者によって操作される操作ユニットと、前記操作ユニットの操作を検出する操作検出ユニットと、前記被検眼を撮影する撮影光学系と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記操作ユニットに対して、前記検眼ユニットを微動させる微動操作が行われたことが前記操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された微動操作に応じて前記駆動部を制御することで、前記検眼ユニットの位置を微動範囲内で微動させる微動ステップと、前記操作ユニットに対して、前記検眼ユニットを粗動させる粗動操作が行われたことが前記操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された粗動操作に応じて前記駆動部を制御することで、前記検眼ユニットの位置を粗動させる粗動ステップと、前記撮影光学系によって撮影されて表示部に表示される撮影画像上に、前記微動操作によって微動可能な、前記被検眼に対する前記検眼ユニットの前記微動範囲を表示させる微動範囲表示ステップと、を実行する。
【0009】
本開示における典型的な実施形態が提供する眼科装置制御プログラムは、眼科装置を制御する眼科装置制御プログラムであって、前記眼科装置は、被検眼に検査軸が一致した状態で前記被検眼を検査する検眼ユニットと、前記被検眼に対する前記検眼ユニットの相対位置を移動させる駆動部と、前記駆動部を駆動させるために検者によって操作される操作ユニットと、前記操作ユニットの操作を検出する操作検出ユニットと、前記被検眼を撮影する撮影光学系と、制御部と、を備え、前記眼科装置制御プログラムが前記制御部によって実行されることで、前記操作ユニットに対して、前記検眼ユニットを微動させる微動操作が行われたことが前記操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された微動操作に応じて前記駆動部を制御することで、前記検眼ユニットの位置を微動範囲内で微動させる微動ステップと、前記操作ユニットに対して、前記検眼ユニットを粗動させる粗動操作が行われたことが前記操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された粗動操作に応じて前記駆動部を制御することで、前記検眼ユニットの位置を粗動させる粗動ステップと、前記撮影光学系によって撮影されて表示部に表示される撮影画像上に、前記微動操作によって微動可能な、前記被検眼に対する前記検眼ユニットの前記微動範囲を表示させる微動範囲表示ステップと、を前記眼科装置に実行させる。
【0010】
本開示に係る眼科装置および眼科装置制御プログラムによると、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置が効率良く調整される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】眼科装置1の外観を示す右側面図である。
図2】眼科装置1の光学系および制御系を示す図である。
図3】操作ユニット60を右斜め後方から見た斜視図である。
図4図3におけるA-A線矢視方向断面図である。
図5】操作桿61を、図4に示す状態から+X方向に所定範囲を超えて傾倒させた状態を示す図である。
図6】眼科装置1が実行する相対位置調整処理のフローチャートである。
図7】撮影画像上に表示された微動範囲100の表示の推移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<概要>
本開示で例示する眼科装置は、検眼ユニット、駆動部、操作ユニット、操作検出ユニット、撮影光学系、および制御部を備える。検眼ユニットは、被検眼に検査軸が一致した状態で被検眼を検査する。駆動部は、被検眼に対する検眼ユニットの相対位置を移動させる。操作ユニットは、駆動部を駆動させるために検者によって操作される。操作検出ユニットは、操作ユニットの操作を検出する。撮影光学系は、被検眼を撮影する。制御部は、微動ステップ、粗動ステップ、および微動範囲表示ステップを実行する。微動ステップでは、制御部は、操作ユニットに対して、検眼ユニットを微動させる微動操作が行われたことが操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された微動操作に応じて駆動部を制御することで、検眼ユニットの位置を微動範囲内で微動させる。粗動ステップでは、制御部は、操作ユニットに対して、検眼ユニットを粗動させる粗動操作が行われたことが操作検出ユニットによって検出された場合に、検出された粗動操作に応じて駆動部を制御することで、検眼ユニットの位置を粗動させる。微動範囲表示ステップでは、制御部は、撮影光学系によって撮影されて表示部に表示される撮影画像上に、微動操作によって微動可能な、被検眼に対する検眼ユニットの微動範囲を表示させる。
【0013】
なお、前述のように、微動とは、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置を細かく調整するために、検眼ユニットを粗動時よりも小さく(またはゆっくり)移動させることである。粗動とは、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置をおおまかに調整するために、検眼ユニットを微動時よりも大きく(または速く)移動させることである。
【0014】
本開示に係る眼科装置では、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲を確認することで、微動範囲内でアライメント(つまり、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置の調整)を完了することが可能であるか否かを適切に判断することができる。従って、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲を確認しながら、微動範囲内でアライメントを完了可能となるまで粗動による位置調整を行った後に、微動による位置調整を行うことができる。その結果、微動を中断して粗動による位置調整をやり直した後、微動による位置調整を再度実行する頻度が減少する。よって、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置が、さらに効率良く調整され易くなる。
【0015】
本開示で例示する技術は、被検眼の検査(例えば、被検眼の撮影、被検眼の眼特性の測定、被検眼の観察(手術または治療のための観察等を含む)等)を実行するための種々の眼科装置に適用できる。例えば、被検眼の撮影を行う眼科装置として、OCT装置、レーザ走査型検眼装置(SLO)、眼底カメラ、隅角撮影装置、および、角膜内皮細胞撮影装置(CEM)等が挙げられる。被検眼の眼特性の測定を行う眼科装置として、眼屈折力測定装置、角膜形状測定装置、眼軸長測定装置、および、眼圧測定装置等が挙げられる。また、被検眼を観察しながら被検眼の組織の手術または治療を行うための光凝固装置、ヤグレーザ手術装置、スリットランプ等の眼科装置に、本開示で例示する技術を採用してもよい。
【0016】
微動ステップの具体的な方法は適宜選択できる。例えば、微動操作の指示を入力するために検者が操作する操作ユニット(微動操作部)として、任意の方向に傾倒可能に支持される操作桿が用いられてもよい。制御部は、操作桿の傾倒位置と検眼ユニットの移動距離が比例するように、操作桿の傾倒方向と同一の方向に検眼ユニットを微動させてもよい。制御部は、操作桿の傾倒位置と、検眼ユニットの位置が対応するように、操作桿の傾倒操作に応じて検眼ユニットを微動させてもよい。微動操作部として操作桿が用いられる場合、操作桿は、所定の傾倒範囲内で傾倒可能であってもよい。この場合、微動操作(傾倒操作)によって微動可能な検眼ユニットの微動範囲は、傾倒範囲内で傾倒可能な操作桿の傾倒位置と対応してもよい。なお、操作桿の傾倒位置は、傾倒角度に応じて変化する。従って、操作桿の傾倒位置に応じた制御には、操作桿の傾倒角度に応じて検眼ユニットを微動させる制御も含まれる。また、微動操作の指示を入力するための微動操作部として、操作桿以外の構成(例えば、スライド可能な部材、またはトラックボール等)が用いられてもよい。
【0017】
また、検眼ユニットを粗動させるための具体的な制御方法も、適宜選択できる。例えば、微動操作の指示を入力するために検者が操作する操作ユニット(以下、「粗動操作部」という)が用いられてもよい。制御部は、粗動操作部が操作されたことが検出された場合に、粗動操作部が操作された方向に応じた方向に検眼ユニットを粗動させてもよい。粗動操作部には種々の構成を採用できる。例えば、操作桿の外周を取り囲んで配置されるスライド可能な環状の部材が、粗動操作部として用いられてもよい。また、種々の形状のスライド可能な部材、ボタン、ノブ、またはトラックボール等が粗動操作部として用いられてもよい。また、制御部は、操作桿の所定範囲を超える傾倒操作が検出された場合に、操作桿が傾倒された方向に応じた方向に検眼ユニットを粗動させてもよい。この場合、操作桿が微動操作部と粗動操作部を兼用してもよい。
【0018】
制御部は、検者によって入力される指示に応じて、微動操作によって微動可能な微動範囲の大きさを変化させる微動範囲変化ステップをさらに実行してもよい。微動範囲表示ステップでは、制御部は、微動範囲変化ステップにおいて変化された微動範囲に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲の大きさを変化させてもよい。この場合、検者は、微動操作によって検眼ユニットを微動させることが可能な微動範囲の大きさを、所望の範囲に変化することができる。さらに、微動範囲が変化すると、変化した微動範囲が撮影画像上に表示される。従って、検者は、微動範囲を変化させた場合でも、変化させた微動範囲内でアライメントを完了することが可能であるか否かを適切に判断することができる。よって、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置が、さらに効率良く調整され易くなる。
【0019】
微動範囲を変化させるための具体的な方法は、適宜選択できる。例えば、制御部は、実行された微動操作の単位量に対する、検眼ユニットの微動量を、検者によって入力される指示に応じて変化させることで、微動範囲を変化させてもよい。この場合、検眼ユニットの微動速度が変化することで、微動範囲が変化する。従って、微動操作の操作量が制限されている場合(例えば、操作桿の傾倒角度が一定の角度範囲に制限されている場合等)でも、微動範囲が適切に変化する。また、微動操作の単位量に対する、検眼ユニットの微動量を一定としつつ、微動範囲を変化させることも可能である。
【0020】
制御部は、微動範囲表示ステップにおいて、微動範囲内で検査軸に交差する方向に微動した検眼ユニットの位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲の位置を移動させてもよい。この場合、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲を確認することで、検査軸に交差する方向のうち、いずれの方向にいずれの距離だけ検眼ユニットを微動できるかを適切に把握することができる。よって、被検眼と検眼ユニットの間の相対位置が、さらに効率良く調整され易くなる。
【0021】
詳細には、制御部は、微動範囲表示ステップにおいて、検眼ユニットの検査軸に交差する方向に微動範囲内で微動した検眼ユニットの移動方向と反対の方向に、撮影画像上に表示させる微動範囲の位置を、微動した距離に対応する距離だけ移動させてもよい。この場合、検査軸に交差する方向について、いずれの方向にいずれの距離だけ検眼ユニットを微動できるかが、撮影画像上に表示される微動範囲の位置によって適切に把握される。
【0022】
また、撮影光学系による撮影位置が、撮影光軸に交差する方向における検眼ユニットの移動に伴って変化する場合を想定する。この場合、被検眼が完全に固定された状態で、撮影光軸に交差する方向に検眼ユニットが微動されると、検眼ユニットの微動に伴って被検眼の撮影位置は変化するが、撮影画像に写る被検眼と、撮影画像上に表示される微動範囲の間の相対位置が一致し続けるように、撮影画像上に表示される微動範囲が移動されてもよい。
【0023】
操作ユニットは、検眼ユニットを微動させる微動操作部として、任意の方向に傾倒可能に支持される操作桿を含んでいてもよい。制御部は、微動範囲表示ステップにおいて、操作桿の傾倒範囲内における傾倒位置(傾倒角度でもよい)に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲の位置を移動させてもよい。この場合、傾倒範囲内で操作桿が傾倒されると、微動範囲内で検眼ユニットが微動される。操作桿が傾倒されて、検眼ユニットが微動されることに伴って、撮影画像上に表示される微動範囲の位置が移動する。従って、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲を確認することで、検査軸に交差する方向のうち、いずれの方向にいずれの距離だけ検眼ユニットを微動できるかを適切に把握することができる。
【0024】
なお、一定の傾倒範囲内で操作桿が傾倒される場合、検眼ユニットの微動範囲は、操作桿の傾倒範囲と、実行された傾倒操作の単位量に対する検眼ユニットの微動量(つまり微動速度)に応じて定まる。制御部は、微動範囲表示ステップにおいて、操作桿の傾倒範囲と、検眼ユニットの微動速度に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲の大きさを設定してもよい。また、制御部は、微動範囲表示ステップにおいて、傾倒範囲内で傾倒された操作桿の傾倒方向と反対の方向に、撮影画像上に表示させる微動範囲の位置を、傾倒された移動量に対応する距離だけ移動させてもよい。この場合、いずれの方向にいずれの距離だけ操作桿を傾倒できるか(つまり、いずれの方向にいずれの距離だけ検眼ユニットを微動できるか)が、撮影画像上に表示される微動範囲の位置によって適切に把握される。なお、前述したように、操作桿の傾倒位置の移動量に応じた制御には、操作桿の傾倒角度の変化量に応じて制御を行う場合も含まれる。
【0025】
制御部は、微動範囲表示ステップにおいて、撮影光学系によって撮影されて表示部に表示される撮影画像の表示倍率に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲の大きさを変化させてもよい。この場合、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲を確認することで、撮影画像の表示倍率に関わらず、微動範囲内でアライメントを完了できるか否かを適切に判断することができる。
【0026】
例えば、制御部は、撮影光学系による被検眼の表示倍率が大きくなる程、撮影画像上に表示させる微動範囲を大きくしてもよい。制御部は、撮影光学系による被検眼の表示倍率が小さくなる程、撮影画像上に表示させる微動範囲を小さくしてもよい。なお、制御部は、撮影光学系による被検眼の撮影倍率を変えることで、表示部に表示させる撮影画像の表示倍率を変えてもよい。また、撮影光学系の撮影倍率を変更可能であるか否かに関わらず、表示部に表示させる撮影画像の表示倍率が変更されてもよい。この場合、検者は、操作部(例えばタッチパネルまたはボタン等)を操作することで、撮影画像の表示倍率を変更させる指示を眼科装置に入力してもよい。制御部は、検者によって入力された表示倍率の変更指示に応じて、撮影画像の表示倍率を変更すると共に、撮影画像上に表示させる微動範囲の大きさを変更してもよい。
【0027】
被検眼との間の距離に応じて被検眼の撮影倍率が変化する撮影光学系が、前記検眼ユニットに設けられていてもよい。制御部は、微動範囲表示ステップにおいて、検査軸に沿う方向における検眼ユニットの位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲の大きさを変化させてもよい。この場合、検眼ユニットが検査軸に沿う方向に移動すると、検眼ユニットと被検眼の間の距離が変化する。検眼ユニットと被検眼の間の距離が変化すると、撮影光学系による被検眼の撮影倍率が変化する。従って、検査軸に沿う方向における検眼ユニットの位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲の大きさを変化させることで、微動範囲内でアライメントを完了できるか否かがより適切に判断され易くなる。
【0028】
例えば、制御部は、検査軸に沿う方向における検眼ユニットの位置が、被検眼に近づく方向へ移動する程、撮影画像上に表示させる微動範囲を大きくしてもよい。制御部は、検査軸に沿う方向における検眼ユニットの位置が、被検眼から遠ざかる方向へ移動する程、撮影画像上に表示させる微動範囲を小さくしてもよい。なお、撮影光学系と被検眼の間の距離が固定された状態で、撮影光学系の撮影倍率を変更可能な場合には、制御部は、撮影光学系の撮影倍率に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲の大きさを変化させてもよい。
【0029】
ただし、撮影光学系として、被検眼との間の距離に関わらず同じ撮影倍率で被検眼を撮影するテレセントリック光学系が採用される場合もある。この場合は、検査軸に沿う方向における検眼ユニットの位置が変化しても、撮影画像上に表示させる微動範囲の大きさを変化させる必要は無い。
【0030】
<実施形態>
以下、本開示に係る典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。本実施形態の眼科装置1は、被検眼Eとの間の相対位置が適正位置に調整された状態で(例えば、被検眼Eに検査軸を一致させた状態で)、被検眼Eを検査する。本実施形態で例示する眼科装置1は、被検眼Eの眼屈折力を測定する眼屈折力測定装置である。ただし、眼科装置1は、眼屈折力の測定とは異なる検査を実行する装置(例えば、OCT装置、レーザ走査型検眼装置(SLO)、眼底カメラ、隅角撮影装置、角膜内皮細胞撮影装置(CEM)、角膜曲率測定装置、眼圧測定装置、または眼軸長測定装置等)であってもよい。以下の説明において、検査に用いられる光の光軸方向(つまり、検査軸に沿う方向)をZ軸方向(前後方向)、Z軸方向に垂直な水平方向をX軸方向(左右方向)、Z軸およびX軸に共に垂直な方向をY軸方向(上下方向)とする。
【0031】
(概略構成)
図1を参照して、眼科装置1の概略構成について説明する。本実施形態の眼科装置1は、筐体3、基台5、顔支持部9、検眼ユニット2、操作ユニット60、駆動部4、制御部50、および表示部8等を備える。筐体3は、基台5を備えると共に、眼科装置1の各種構成(例えば、検眼ユニット2、駆動部4、および制御部50等)を備える。筐体3の基台5は、眼科装置1の全体を支持する。顔支持部9は、被検者の顔を支持する。本実施形態の顔支持部9は、被検者の顎が載せられる顎台と、被検者の額が当てられる額当てを備える。なお、本実施形態の顔支持部9は基台5に設けられているが、基台5とは独立して顔支持部9が設けられていてもよい。
【0032】
検眼ユニット2は、被検眼Eを検査する。検眼ユニット2は、例えば、被検眼Eの眼屈折力、角膜曲率、および眼圧等の少なくともいずれかの検査を行うための構成(本実施形態では光学系)を備えていてもよい。また、検眼ユニット2は、被検眼の組織を撮影するための光学系を備えていてもよい。駆動部4は、検眼ユニット2を基台5に対して上下左右前後方向(三次元方向)に移動させることで、被検眼Eと検眼ユニット2の間の相対位置を移動させる。なお、駆動部4は、検眼ユニット2と共に、または検眼ユニット2の代わりに顔支持部9を移動させることで、被検眼Eと検眼ユニット2の間の相対位置を移動させてもよい。操作ユニット60は、筐体3のうち、被検者が位置する側とは反対側(つまり、検者が位置する側)に配置される。操作ユニット60は、検眼ユニット2を移動させるための指示、および、検査の実行開始指示等を入力するために、検者によって操作される。操作ユニット60の詳細については後述する。制御部50は、眼科装置1における各種制御(例えば、駆動部4の駆動制御等)を司る。表示部8は、各種画像(例えば、被検眼Eの撮影画像、および測定結果等)を表示させる。本実施形態では、表示部8の表面にタッチパネルが設けられている。タッチパネルは、検者が各種指示を入力するために操作する操作部の1つとして用いられる。なお、表示部8は筐体3とは独立して設けられていてもよい。
【0033】
(検眼ユニット・制御部)
図2を参照して、検眼ユニット2および制御部50について説明する。前述したように、本実施形態では、眼科装置1が眼屈折力測定装置である場合を例示する。従って、本実施形態の検眼ユニット2は、被検眼の眼屈折力を測定するための光学系を備える。詳細には、本実施形態の検眼ユニット2は、測定光学系10、固視標呈示光学系30、指標投影光学系40、および撮影光学系(観察光学系)45を備える。本実施形態の撮影光学系45は、被検眼Eの前眼部を撮影する。しかし、撮影光学系は、被検眼Eの前眼部以外の組織(例えば眼底組織等)を撮影してもよい。
【0034】
測定光学系10は、投影光学系(投光光学系)10Aと受光光学系10Bを備える。投影光学系10Aは、被検眼Eの瞳孔を介して、被検眼Eの眼底に光束を投影する。受光光学系10Bは、瞳孔周辺部を介して、眼底からの反射光束をリング状に取り出し、主に屈折力の測定に用いるリング状の眼底反射像を撮影する。
【0035】
投影光学系10Aは、測定光源11、リレーレンズ12、ホールミラー13、および対物レンズ14を、光軸L1上に備える。測定光源11は、リレーレンズ12から対物レンズ14までの光学部材と、被検眼Eの瞳孔中心部を介して、眼底にスポット状の光源像を投影する。測定光源11は、移動機構15によって光軸L1方向に移動される。ホールミラー13には、リレーレンズ12を介した測定光源11からの光束を通過させる開口が設けられている。ホールミラー13は、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置されている。
【0036】
受光光学系10Bは、ホールミラー13と対物レンズ14を投影光学系10Aと共用する。また、受光光学系10Bは、リレーレンズ16、全反射ミラー17、受光絞り18、コリメータレンズ19、リングレンズ20、および撮影素子22を、ホールミラー13の反射方向の光軸L2上に備える。受光絞り18、コリメータレンズ19、リングレンズ20、および撮影素子22は、移動機構15によって、投影光学系10Aの測定光源11と一体的に、光軸L2方向に移動される。移動機構15によって測定光源11が眼底と共役な位置に配置される場合、受光絞り18および撮影素子22も、眼底と光学的に共役な位置に配置される。
【0037】
リングレンズ20は、対物レンズ14からコリメータレンズ19を介して導かれる眼底反射光をリング状に成型するための光学素子である。リングレンズ20は、リング状のレンズ部と、遮光部を有している。受光絞り18および撮影素子22が、眼底と光学的に共役な位置に配置される場合、リングレンズ20は、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置される。撮影素子22では、リングレンズ20を介したリング状の眼底反射光(以下、「リング像」という)が受光される。撮影素子22は、受光したリング像の画像情報を制御部50に出力する。その結果、制御部50では、表示部8でのリング像の表示、および、リング像に基づく屈折力の算出等が行われる。
【0038】
本実施形態では、対物レンズ14と被検眼Eの間にダイクロイックミラー29が配置されている。ダイクロイックミラー29は、光源11から出射された光、および、光源11からの光に応じた眼底反射光を透過する一方で、固視標呈示光学系30(詳細は後述する)からの光束を被検眼に導く。さらに、ダイクロイックミラー29は、指標投影光学系40(詳細は後述する)からの光の前眼部反射光を反射させて、撮影光学系45に導く。
【0039】
指標投影光学系40は、被検眼Eの前方に配置されている。指標投影光学系40は、主に、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)に用いる指標を、被検眼Eの前眼部に投影する。本実施形態では、指標投影光学系40は、被検眼Eに対する光学系のXY方向およびZ方向の少なくともいずれかの位置合わせに用いられる指標を前眼部に投影する。なお、眼科装置1は、指標投影光学系40を用いずに、前眼部画像における特徴部を検出することで位置合わせを行うことも可能である。
【0040】
本実施形態の指標投影光学系40は、リング指標投影部41と指標投影部42を備える。リング指標投影部41は、被検眼Eの角膜に拡散光を投影することで、リング指標(所謂マイヤーリング)を角膜に投影する。本実施形態では、リング指標投影部41は、被検眼Eの前眼部を照明する前眼部照明としても用いられる。指標投影部42は、被検眼Eの角膜に平行光を投影することで、無限遠指標を角膜に投影する。
【0041】
固視標呈示光学系30は、光源31、固視標32、リレーレンズ33、反射ミラー36、およびレンズ39を、光軸L4上に備える。固視標32は、他覚屈折力測定時に被検眼Eを固視させるために使用される。例えば、光源31によって固視標32が照明されることで、被検眼Eを固視させるための光が被検眼Eに投影される。光源31および固視標32は、駆動機構38によって光軸L4の方向に一体的に移動される。光源31および固視標32の移動によって、固視標の呈示位置(呈示距離)が変更される。その結果、被検眼Eに雲霧が掛けられて屈折力が測定される。
【0042】
撮影光学系45は、撮影レンズ46および撮影素子47を、ハーフミラー48の反射方向の光軸L3上に備える。撮影素子47は、被検眼Eの前眼部と光学的に共役な位置に配置される。撮影素子47は、リング指標投影部41によって照明される前眼部を撮影する。撮影素子47からの出力は制御部50に入力される。その結果、撮影素子47によって撮影される被検眼Eの前眼部の撮影画像(前眼部画像)が表示部8に表示される(図2参照)。また、撮影素子47では、指標投影光学系40によって被検眼Eの角膜に形成されるアライメント指標像(本実施形態では、リング指標RIおよび無限遠指標II、図7参照)が撮影される。その結果、制御部50は、撮影素子47の撮影結果に基づいてアライメント指標像を検出することができる。制御部50は、アライメント状態の適否を、アライメント指標像が検出される位置に基づいて判定することができる。
【0043】
制御部50は、眼科装置1の各種制御(例えば、駆動部4の駆動制御等)を司る。制御部50は、CPU51、ROM52、およびRAM53等を備える。CPU51は、制御を司るコントローラである。ROM52には、眼科装置1を制御するための眼科装置制御プログラム、および初期値等が記憶されている。RAM53は、各種情報を一時的に記憶する。制御部50は、検眼ユニット2、駆動部4、表示部8、操作ユニット60、記憶部(例えば不揮発性メモリ等)54と接続されている。記憶部54は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、または着脱可能なUSBメモリ等を、記憶部54として使用することができる。
【0044】
(操作ユニット)
図3図5を参照して、本実施形態の操作ユニット60について説明する。操作ユニット60は、検者が眼科装置1の検眼ユニット2の移動指示(本実施形態では、検眼ユニット2を微動させる指示、および粗動させる指示)を眼科装置1に入力するために操作される。操作ユニット60が操作されると、制御部50は、操作内容に応じた信号を駆動部4に出力することで、被検眼Eに対する検眼ユニット2の相対位置を移動させる。
【0045】
操作ユニット60は、眼科装置1の筐体3(詳細には、筐体3の基台5、図1参照)に設けられている。しかし、構成の理解を容易にするために、図3図5では筐体3から取り外された状態の操作ユニット60を示している。なお、操作ユニット60は、眼科装置1の筐体3とは独立して設けられていてもよい。この場合、操作ユニット60は、眼科装置1との間で有線通信または無線通信によって接続されていてもよい。図3は、操作ユニット60を右斜め後方から見た斜視図である。図4は、図3におけるA-A線矢視方向断面図である。図5は、操作桿61を、図3に示す状態から+X方向に所定範囲を超えて傾倒させた状態を示す図である。図3において、紙面左手前側を+X方向、紙面右奥側を-X方向、紙面上側を+Y方向、紙面下側を-Y方向、紙面右手前側を+Z方向、紙面左奥側を-Z方向とする。図4および図5において、右側を+X方向、左側を-X方向、上側を+Y方向、下側を-Y方向、紙面奥側を+Z方向、紙面手前側を-Z方向とする。
【0046】
(操作ユニットの概略構成)
図3図5に示すように、本実施形態の操作ユニット60は、操作桿(ジョイスティックと言われる場合もある)61と、粗動操作部70を備える。本実施形態の操作桿61は、筐体3(詳細には、筐体3の基台5、図1参照)から外方(本実施形態では上方)に延びる。操作桿61は、任意の方向に傾倒可能に支持される。粗動操作部70は、検眼ユニット2を粗動させるために検者によって操作される。また、操作ユニット60は、操作桿61および粗動操作部70の操作を検出する操作検出ユニット(後述する傾倒検出部および粗動操作検出部)を備える。
【0047】
本実施形態では、操作桿61の所定範囲内の傾倒操作が検出されると、検出された傾倒操作に応じて(例えば、操作桿61の傾倒方向および傾倒量(傾倒位置の移動量)に応じて)、検眼ユニット2の位置が微動される。操作桿61の所定範囲を超える傾倒操作が検出されると、検出された傾倒操作に応じて(操作桿61の傾倒方向に応じて)、検眼ユニット2の位置が粗動される。また、粗動操作部70の操作が検出されると、検出された操作に応じて(粗動操作部70の操作方向に応じて)、検眼ユニット2の位置が粗動される。つまり、本実施形態の眼科装置1では、検者は、操作桿61の所定範囲を超える傾倒操作、および、粗動操作部70の操作のいずれを行っても、検眼ユニット2の粗動の指示を入力することができる。
【0048】
(操作桿)
図3図5に示すように、操作桿61は、検者によって把持される略棒状の部材である。本実施形態の操作桿61は、筐体3から上方に延びる。本実施形態の操作桿61は、所定の傾倒範囲内で任意の方向に傾倒される。操作桿61の傾倒角度が傾倒範囲の限界に達すると、操作桿61はそれ以上傾倒できなくなる。検眼ユニット2が微動される所定範囲は、操作桿61の傾倒範囲の中心側に位置する。傾倒範囲のうち、検眼ユニット2が微動される所定範囲の外側は、粗動の指示を入力するための領域となる。検者は、検眼ユニット2を移動させたい方向に操作桿61を所定範囲内で傾倒させる操作(微動操作)を行うことで、XZ方向のうち、操作桿61の傾倒方向に対応する方向に検眼ユニット2を微動させるための操作指示を入力することができる。また、検者は、検眼ユニット2を移動させたい方向に、所定範囲を超えて操作桿61を傾倒させる操作(粗動操作)を行うことで、XZ方向のうち、操作桿61の傾倒方向に対応する方向に検眼ユニット2を粗動させるための操作指示を入力することができる。
【0049】
操作桿61は、把持部62、回転ダイヤル63、測定ボタン64、球部65(図4および図5参照)、および作用部66(図4および図5参照)を備える。把持部62は検者によって把持される。回転ダイヤル63は、検者が検眼ユニット2を上下方向(Y方向)に移動させる指示を眼科装置1に入力するために操作される。本実施形態の回転ダイヤル63は、操作桿61の把持部62の側面に周方向に亘って設けられる。回転ダイヤル63の回転は、回転検出部(例えばエンコーダ等)によって検出される。例えば、回転ダイヤル63が右回りに回転されると、検眼ユニット2を上方向(+Y方向)に移動させるための操作信号が出力され、回転ダイヤル63が左回りに回転されると、検眼ユニット2を下方向(-Y方向)に移動させるための操作信号が出力される。測定ボタン64は、検眼ユニット2による被検眼Eの検査の開始指示を入力するために、検者によって操作される。
【0050】
図4および図5に示すように、球部65は、略棒状の操作桿61のうち、把持部62よりも基端側(本実施形態では下方)に位置する。球部65は、軸受け部69によって回動可能に保持される。その結果、操作桿61は、球部65を中心として任意の方向に傾倒される。作用部66は、略棒状の操作桿61のうち、球部65よりもさらに基端側(つまり、球部65を挟んで把持部62の反対側)に位置する。従って、操作桿61が傾倒されると、作用部66は、操作桿61の把持部62の傾倒方向とは逆の方向に移動する。
【0051】
操作桿61の一部、または、操作桿61の傾倒操作に連動して移動する部材には、傾倒検出部68が設けられている。本実施形態の傾倒検出部68は、操作桿61の作用部66に接続されている。傾倒検出部68は、操作桿61の傾倒操作の操作方向および操作量(傾倒位置の移動量)を検出する。本実施形態では、傾倒検出部68による操作桿61の傾倒操作の検出結果は、検眼ユニット2を微動させる際に用いられる。
【0052】
(粗動操作部)
図3図5に示すように、本実施形態の粗動操作部70は、略棒状である操作桿61の外周を取り囲んで配置される環状(本実施形態では略円環状)の部材である。粗動操作部70は、XZ平面上で二次元方向にスライド可能に支持されている。従って、検者は、操作桿61を中心として、検眼ユニット2を移動させる場合の操作桿61の傾倒方向と同じ方向に粗動操作部70をスライドさせる操作(粗動操作)を行うことで、操作桿61の所定範囲を超える傾倒操作を行わなくても、適切な方向への検眼ユニット2の粗動の指示を入力することができる。
【0053】
粗動操作部70には、粗動操作連動部71が接続されている。粗動操作連動部71は、粗動操作部70の操作(本実施形態では、XZ平面上のスライド操作)に連動して移動する。図3に示すように、粗動操作連動部71には、X被検出部72XとZ被検出部72Zが設けられている。操作ユニット60の本体のうち、X被検出部72Xの+X側には+X粗動操作検出部77XPが設けられており、-X側には-X粗動操作検出部77XMが設けられている。粗動操作部70が+X方向に操作されると、+X粗動操作検出部77XPは、粗動操作連動部71のX被検出部72Xが+X方向に移動したことを検出することで、粗動操作部70が+X方向に操作されたことを検出する。また、粗動操作部70が-X方向に操作されると、-X粗動操作検出部77XMは、粗動操作連動部71のX被検出部72Xが-X方向に移動したことを検出することで、粗動操作部70が-X方向に操作されたことを検出する。
【0054】
操作ユニット60の本体のうち、Z被検出部72Zの+Z側には+Z粗動操作検出部77ZPが設けられており、-Z側には-Z粗動操作検出部77ZMが設けられている。粗動操作部70が+Z方向に操作されると、+Z粗動操作検出部77ZPは、粗動操作連動部71のZ被検出部72Zが+Z方向に移動したことを検出することで、粗動操作部70が+Z方向に操作されたことを検出する。また、粗動操作部70が-Z方向に操作されると、-Z粗動操作検出部77ZMは、粗動操作連動部71のZ被検出部72Zが-Z方向に移動したことを検出することで、粗動操作部70が-Z方向に操作されたことを検出する。図3図5に示すように、粗動操作連動部71の一部には付勢部79が設けられている。付勢部79は、粗動操作連動部71と連結されている粗動操作部70の位置を、初期位置に向けて付勢する。
【0055】
(相対位置調整処理)
図6および図7を参照して、本実施形態の眼科装置1が実行する相対位置調整処理について説明する。相対位置調整処理では、眼科装置1は、検者によって入力された操作指示に応じて駆動部4の駆動を制御し、検眼ユニット2の位置を移動させることで、被検眼Eと検眼ユニット2の間の相対位置を調整する。さらに、眼科装置1は、撮影光学系45によって撮影されて表示部8に表示される撮影画像上(本実施形態では、被検眼Eの前眼部の撮影画像上)に、操作ユニット60の微動操作によって微動可能な、被検眼Eに対する検眼ユニット2の相対的な微動範囲100を表示させる。眼科装置1の制御部50(CPU51)は、電源がオンとされると、記憶装置(例えばROM52等)に記憶された眼科装置制御プログラムに従って、図6に例示する相対位置調整処理を実行する。
【0056】
まず、制御部50は、表示部8に表示される撮影画像上に、操作ユニット60の微動操作によって微動可能な微動範囲100を表示させるための処理を実行する(S1,S2)。本実施形態では、制御部50は、その時点(現時点)において設定されている微動範囲の大きさと、その時点における検眼ユニット2の位置である現在位置を取得する(S1)。詳細はS4~S6において後述するが、本実施形態では、制御部50は、検者によって入力される指示に応じて、操作ユニット60の微動操作によって微動可能な微動範囲の大きさを変化させることができる。S1では、その時点において設定されている微動範囲の大きさが取得される。また、本実施形態では、操作ユニット60に対する微動操作が行われることで、検眼ユニット2がXZ方向に微動される。S1では、その時点における検眼ユニット2の、微動範囲内におけるX方向の位置が取得される。さらに、S1では、微動および粗動の両方によって移動させることが可能な、検眼ユニット2のZ方向(つまり、検査軸に沿う方向)におけるその時点の位置が取得される。
【0057】
制御部50は、S1で取得された微動範囲および現在位置に応じて、撮影光学系45によって撮影されて表示部8に表示されている撮影画像上に、操作ユニット60の微動操作によって微動可能な、被検眼Eに対する検眼ユニット2の相対的な微動範囲100を表示させる(S2)。従って、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲100を確認することで、微動範囲内でアライメントを完了することが可能であるか否かを適切に判断することができる。
【0058】
図7を参照して、撮影画像と、撮影画像上に表示される微動範囲100の表示の推移の一例について説明する。本実施形態では、撮影範囲の中心は、図7(A)~(C)において一点鎖線で示される十字の交点である。検査軸は、撮影範囲の中心を通過する。従って、撮影範囲の中心と被検眼Eの瞳孔Pが一致すると(つまり、アライメントが完了すると)、眼科装置1による検査が可能な状態となる。例えば、図7(A)に示す例では、撮影画像に写る被検眼Eの瞳孔Pが、微動範囲100内に収まっていない。この状態では、微動だけでは、瞳孔Pを撮影範囲の中心に一致させることは不可能である。検者は、図7(A)における瞳孔Pと微動範囲100の間の位置関係に基づいて、微動だけではアライメントを完了できないと判断すると、検眼ユニット2をX方向に粗動させるための粗動操作、および、Y方向(上下方向)に移動させるための操作を操作ユニット60に対して実行することで、微動範囲100内に瞳孔Pが収まるまで検眼ユニット2を移動させる。図7(B)に示すように、微動範囲100内に瞳孔Pが収まると、微動だけでアライメントを完了することが可能である。従って、検者は、検眼ユニット2をX方向に微動させるための微動操作を実行することで、瞳孔Pを撮影範囲の中心に一致させる(図7(C)参照)。以上のように、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲100を確認しながら、微動範囲100内でアライメントを完了可能となるまで粗動による位置調整を行った後に、微動による位置調整を行うことができる。その結果、微動を中断して粗動による位置調整をやり直した後、微動による位置調整を再度実行する頻度が減少する。よって、被検眼Eと検眼ユニット2の間の相対位置が、さらに効率良く調整され易くなる。
【0059】
本実施形態のS2で実行される微動範囲100の表示処理について、さらに詳細に説明する。本実施形態では、検眼ユニット2を微動させるために操作される微動操作部として、任意の方向に傾倒可能に支持される操作桿61が用いられる。操作桿61は、所定の傾倒範囲内で傾倒される。本実施形態では、微動操作(つまり、操作桿61の傾倒操作)によって微動可能な検眼ユニット2の微動範囲は、傾倒範囲内で傾倒可能な操作桿61の傾倒角度(傾倒範囲)に対応する。従って、撮影画像上に表示される微動範囲100も、操作桿61の傾倒範囲に対応する。詳細には、本実施形態では、検眼ユニット2の微動範囲は、操作桿61の傾倒範囲と、実行された傾倒操作の単位量に対する検眼ユニット2の微動量(つまり微動速度)に応じて定まる。制御部50は、操作桿61の傾倒範囲と、検眼ユニット2の微動速度に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさを設定する。
【0060】
前述したように、本実施形態では、制御部50は、検者によって入力される指示に応じて、操作ユニット60の微動操作によって微動可能な微動範囲の大きさを変化させることができる。S1では、その時点において設定されている微動範囲の大きさが取得される。S2では、制御部50は、その時点において設定されている微動範囲の大きさに応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさを設定する。つまり、制御部50は、設定されている微動範囲の大きさが大きい程、撮影画像上に表示させる微動範囲100を大きくする。
【0061】
また、本実施形態では、被検眼Eとの間の距離に応じて撮影倍率が変化する撮影光学系45が、検眼ユニット2に設けられている。検眼ユニット2がZ方向(つまり、検査軸に沿う方向)に移動すると、検眼ユニット2と被検眼Eの間の距離が変化するので、撮影光学系45による被検眼Eの撮影倍率が変化する。撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさを、撮影光学系45の撮影倍率に応じて設定すれば、撮影倍率に関わらず、微動範囲100内でアライメントを完了できるか否かを検者に判断させることが可能である。従って、S1では、微動および粗動の両方によって移動させることが可能な、検眼ユニット2のZ方向(つまり、検査軸に沿う方向)におけるその時点の位置が取得される。S2では、制御部50は、その時点の検眼ユニット2のZ方向における位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさを設定する。つまり、制御部50は、検眼ユニット2のZ方向における位置が、被検眼Eの位置に近い程(つまり、撮影倍率が大きい程)、撮影画像上に表示させる微動範囲100を大きくする。
【0062】
また、本実施形態では、その時点で設定されている微動範囲内で、操作ユニット60の微動操作によって検眼ユニット2がXZ方向に微動される。S1では、その時点における検眼ユニット2の、微動範囲内におけるX方向の現在位置が取得される。S2では、制御部50は、S1で取得された検眼ユニット2の微動範囲内における現在位置に基づいて、撮影画像上で表示させる微動範囲100の位置を設定する。例えば、検眼ユニット2の微動範囲内におけるX方向の現在位置が、微動範囲内の中心と一致していれば、制御部50は、表示させる微動範囲100の中心を、撮影画像上の中心位置に一致させる。また、検眼ユニット2の微動範囲内におけるX方向の現在位置が、微動範囲内の右端の限界位置であれば、眼科装置1は、検眼ユニット2をそれ以上X方向における右方に微動させることはできないが、左方には大幅に微動させることが可能である。この場合、制御部50は、表示させる微動範囲100の右端が、撮影画像上の中心位置の近傍に位置するように、微動範囲100の位置を設定する。その結果、検者は、検眼ユニット2をそれ以上右方に微動させることが不可能であることを把握することができる。
【0063】
また、本実施形態のS1では、撮影光学系45によって撮影されて表示部8に表示される撮影画像の表示倍率も取得される。S2では、制御部50は、S1で取得された撮影画像の表示倍率に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさが設定される。従って、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲100を確認することで、撮影画像の表示倍率に関わらず、微動範囲内でアライメントを完了できるか否かを適切に判断することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、図7に示すように、撮影画像上に表示される微動範囲100は円形(詳細には)円環状で示される。しかし、撮影画像上における微動範囲100の表示態様を変更することも可能である。例えば、本実施形態では、検眼ユニット2は微動操作によってXZ方向に移動する。従って、検者にとっては、撮影画像に写る被検眼と微動範囲100の位置関係を確認することで、X方向における微動のみによってアライメントを完了できるか否かを判断することが重要である。よって、撮影画像上に表示される微動範囲100は、X方向において微動可能な範囲を示す態様(例えば、X方向の微動範囲を示すライン、または矩形の領域等)で表示されてもよい。
【0065】
図6の説明に戻る。制御部50は、S4~S22の処理を繰り返すことで、被検眼Eと検眼ユニット2の間の相対位置の調整処理、および、撮影画像上における微動範囲100の表示調整処理等を実行する。まず、制御部50は、操作ユニット60の微動操作によって微動可能な微動範囲の大きさを変化させる指示が、検者によって入力されたか否かを判断する(S4)。入力されていなければ(S4:NO)、処理はそのままS8の判断へ移行する。
【0066】
操作部(例えば、表示部8に設けられたタッチパネル等)が検者によって操作されて、微動範囲の大きさを変化させる指示が入力されると(S4:YES)、制御部50は、入力された指示に応じて、微動可能な微動範囲の大きさを変化させる(S5)。本実施形態では、制御部50は、実行された微動操作の単位量に対する、検眼ユニット2の微動量を、検者によって入力される指示に応じて変化させることで、微動範囲の大きさを変化させる。この場合、検眼ユニット2の微動速度が変化することで、微動範囲の大きさが変化する。従って、微動操作の操作量が制限されている場合(例えば、操作桿61の傾倒角度が一定の角度範囲に制限されている場合等)でも、微動範囲の大きさが適切に変化する。次いで、制御部50は、S5で変化させた微動範囲の大きさに応じて、表示部8における撮影画像上の微動範囲100の大きさを変化させる(S6)。例えば、制御部50は、微動範囲が大きくなる程、撮影画像上に表示させる微動範囲100を大きくする。従って、検者は、微動範囲を変化させた場合でも、変化させた微動範囲内でアライメントを完了することが可能であるか否かを適切に判断することができる。その後、処理はS8へ移行する。
【0067】
次いで、制御部50は、検眼ユニット2をY方向(上下方向)に移動させるための回転ダイヤル63の操作が検出されたか否かを判断する(S8)。回転ダイヤル63の操作が検出されていなければ(S8:NO)、処理はそのままS11の判断へ移行する。回転ダイヤル63の操作が検出されると(S8:YES)、制御部50は、検出された回転ダイヤル63の操作方向(回転方向)および操作量(回転量)に応じて駆動部4の駆動を制御することで、検眼ユニット2の上下方向(Y方向)の位置を、操作方向に対応する方向に、操作量に対応する距離だけ移動させる(S9)。その後、処理はS11へ移行する。なお、眼科装置1は、検眼ユニット2と共に、または検眼ユニット2とは別で、顔支持部9を上下方向に移動させることで、被検眼Eと検眼ユニット2の間の相対位置を調整してもよい。
【0068】
次いで、制御部50は、検眼ユニット2を微動させるための微動操作(本実施形態では、操作桿61の所定範囲内の傾倒操作)が操作検出ユニット(本実施形態では傾倒検出部68)によって検出されたか否かを判断する(S11)。微動操作が検出されていなければ(S11:NO)、処理はそのままS20へ移行する。微動操作が検出されると(S11:YES)、制御部50は、検出された操作桿61の傾倒方向および傾倒量に応じて駆動部4の駆動を制御することで、検眼ユニット2の前後左右方向(XZ方向)の位置を、傾倒方向に対応する方向に、傾倒量に対応する距離だけ微動させる(S12)。
【0069】
次いで、制御部50は、S12で実行された検眼ユニット2の微動の方向に、検査軸に交差する方向(本実施形態ではX方向)の成分が含まれているか否かを判断する(S14)。X方向の成分が含まれていなければ(S14:NO)、処理はそのままS17へ移行する。S12で実行された検眼ユニット2の微動の方向に、X方向の成分が含まれている場合(S14:YES)、制御部50は、X方向に微動した検眼ユニット2の位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の位置を移動させる(S15)。従って、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲100を確認することで、検査軸に交差するX方向のうち、いずれの方向(+X方向および-X方向)にいずれの距離だけ検眼ユニット2を微動できるかを適切に把握することができる。
【0070】
詳細には、本実施形態の制御部50は、X方向に微動範囲内で微動した検眼ユニット2の移動方向と反対の方向に、撮影画像上に表示させる微動範囲100の位置を、微動した距離に対応する距離だけ移動させる。例えば、図7(B)~図7(C)では、検眼ユニットが+X方向(右方)に微動されている。従って、制御部50は、+X方向(右方)に微動した検眼ユニット2の移動方向とは反対の-X方向(左方)に、撮影画像上に表示させる微動範囲100の位置を移動させている。その結果、X方向のうちいずれの方向にいずれの距離だけ検眼ユニット2を微動できるかが、撮影画像上に表示される微動範囲100の位置によって適切に把握される。
【0071】
換言すると、本実施形態の制御部50は、操作桿61の傾倒位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の位置を移動させる。詳細には、制御部50は、傾倒範囲内で傾倒された操作桿61の傾倒方向と反対の方向に、撮影画像上に表示させる微動範囲100の位置を、傾倒された移動量に対応する距離だけ移動させる。その結果、いずれの方向にいずれの距離だけ操作桿を傾倒できるか(つまり、いずれの方向にいずれの距離だけ検眼ユニットを微動できるか)が、撮影画像上に表示される微動範囲100の位置によって適切に把握される。なお、操作桿61の傾倒位置は、傾倒角度に応じて変化する。従って、操作桿61の傾倒位置に応じた制御には、操作桿61の傾倒角度に応じて検眼ユニット2を微動させる制御も含まれる。
【0072】
次いで、制御部50は、S12で実行された検眼ユニット2の微動の方向に、検査軸に沿う方向(本実施形態ではZ方向)の成分が含まれているか否かを判断する(S17)。Z方向の成分が含まれていなければ(S17:NO)、処理はそのままS20へ移行する。S12で実行された検眼ユニット2の微動の方向に、Z方向の成分が含まれている場合(S17:YES)、制御部50は、Z方向における検眼ユニット2の位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさを変化させる。つまり、制御部50は、検眼ユニット2のZ方向における位置が、被検眼Eの位置に近い程(つまり、撮影倍率が大きい程)、撮影画像上に表示させる微動範囲100を大きくする。前述したように、本実施形態では、検眼ユニット2がZ方向に移動すると、検眼ユニット2と被検眼Eの間の距離が変化するので、撮影光学系45による被検眼Eの撮影倍率が変化する。撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさを、撮影光学系45の撮影倍率に応じて設定すれば、撮影倍率に関わらず、微動範囲100内でアライメントを完了できるか否かを検者に判断させることが可能である。よって、Z方向における検眼ユニット2の位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさが変化することで、被検眼Eと検眼ユニット2の間の相対位置がさらに効率良く調整され易くなる。その後、処理はS20へ移行する。
【0073】
次いで、制御部50は、検眼ユニット2を粗動させるための粗動操作(本実施形態では、操作桿61の所定範囲を超える傾倒操作、または粗動操作部70のスライド操作)が操作検出ユニット(本実施形態では粗動操作検出部)によって検出されたか否かを判断する(S20)。粗動操作が検出されていなければ(S20:NO)、処理はそのままS4へ戻る。微動操作が検出されると(S20:YES)、制御部50は、検出された操作桿61または粗動操作部70の操作方向および操作量(例えば、スイッチの操作時間)に応じて駆動部4の駆動を制御することで、検眼ユニット2の前後左右方向(XZ方向)の位置を、操作方向に対応する方向に粗動させる(S21)。さらに、S20で実行された検眼ユニット2の粗動の方向に、検査軸に沿う方向(本実施形態ではZ方向)の成分が含まれている場合には、制御部50は、Z方向における検眼ユニット2の位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさを変化させる(S22)。その結果、検者は、検眼ユニット2のZ方向における位置に関わらず、微動範囲100内でアライメントを完了できるか否かを適切に把握することができる。なお、S21における検眼ユニット2の移動処理は、微動処理ではなく粗動処理である。従って、S21~S22の処理が行われても、撮影画像上に表示させる微動範囲100の中心位置は変更されない。
【0074】
なお、制御部50は、撮影光学系45によって撮影されて表示部8に表示される撮影画像の表示倍率を変更することも可能である。例えば、検者は、操作部(例えば、表示部8に設けられたタッチパネル等)を操作することで、撮影画像の表示倍率を変更させる指示を入力することができる。制御部50は、検者によって入力された表示倍率の変更指示に応じて、撮影画像の表示倍率を変更する。ここで、制御部50は、撮影画像の表示倍率を変更する場合には、撮影画像の表示倍率に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100の大きさを変化させる。従って、検者は、撮影画像上に表示される微動範囲100を確認することで、撮影画像の表示倍率に関わらず、微動範囲内でアライメントを完了できるか否かを適切に判断することができる。
【0075】
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。例えば、上記実施形態では、検眼ユニット2は、微動操作によってXZ方向に微動される。しかし、検眼ユニット2が微動操作によって微動する方向を変更することも可能である。この場合、撮影画像上における微動範囲100の表示位置、および移動方向等は、検眼ユニット2が微動操作によって微動する方向に応じて適宜設定されればよい。例えば、眼科装置1は、微動操作によって検眼ユニット2をXY方向に微動させてもよい。この場合、制御部50は、S2において、S1で取得された検眼ユニット2の微動範囲内におけるXY方向の現在位置に基づいて、撮影画像上で表示させる微動範囲100のXY方向における位置を設定してもよい。制御部50は、S15において、XY方向に微動した検眼ユニット2の位置に応じて、撮影画像上に表示させる微動範囲100のXY方向における位置を移動させてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 眼科装置
2 検眼ユニット
4 駆動部
8 表示部
45 撮影光学系
50 制御部
51 CPU
52 ROM
60 操作ユニット
68 傾倒検出部
77XP +X粗動操作検出部
77XM -X粗動操作検出部
77ZP +Z粗動操作検出部
77ZM -Z粗動操作検出部
100 微動範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7