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特開2025-11433画像形成装置、色彩補正方法および色彩補正プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011433
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】画像形成装置、色彩補正方法および色彩補正プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/525 20060101AFI20250117BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20250117BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20250117BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20250117BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B41J2/525
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
B41J29/393 105
B41J29/393 107
H04N1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113547
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 崇
(72)【発明者】
【氏名】山中 大樹
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061BB10
2C061BB11
2C061CK08
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061HH03
2C061HJ06
2C061HK03
2C061HK06
2C061HK11
2C061KK01
2C061KK14
2C061KK16
2C061KK18
2C061KK22
2C061KK25
2H270LA12
2H270LA63
2H270MB04
2H270MB12
2H270MB48
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EA05
2H300EB05
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC02
2H300EF03
2H300EF06
2H300EH16
2H300EJ01
2H300EJ09
2H300GG01
2H300GG02
2H300GG04
2H300SS01
2H300SS08
2H300SS09
2H300SS12
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】起動時に発生する色彩バラツキを修正する。
【解決手段】複数回、複数色からなる画像を媒体に形成する画像形成部10と、画像形成部10によって形成された複数の媒体画像の色彩情報を、画像センサ30を用いて検出する検出部と、複数の色彩情報を用いて、初回に画像形成したときの色彩情報を一次近似式41または対数近似式42で修正する色彩情報修正部22と、色彩情報を修正した修正色彩情報を用いて、画像形成部10の色彩補正を行う色補正部23と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色からなる画像を媒体に形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された媒体画像の色彩情報を検出する検出部と、
前記色彩情報を用いて、画像形成するときの前記色彩情報を修正する色彩情報修正部と、
前記色彩情報を修正した修正色彩情報を用いて、前記画像形成部の色彩補正を行う色補正部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記色彩情報修正部は、一次近似式を用いて、前記修正色彩情報を演算する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記色彩情報修正部は、対数近似式を用いて、前記修正色彩情報を演算する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、複数回、前記画像を連続形成するものであり、
前記色彩情報修正部は、検出された複数の色彩情報を用いて、初回に画像形成したときの前記色彩情報を修正する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記媒体は、試し刷り用媒体と、複数の本印刷用媒体とから構成され、
前記検出部は、前記試し刷り用媒体の画像形成中に前記色彩情報を検出し、
前記画像形成部は、前記色補正部で色補正を行った条件で、前記複数の本印刷用媒体に画像形成する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出部が検出した複数の前記色彩情報のバラツキの大小を判定するバラツキ判定部をさらに備え、
前記色彩情報修正部は、前記バラツキ判定部が基準値よりもバラツキが大きいと判定したとき、対数近似式を用いて、前記修正色彩情報を演算し、バラツキが小さいと判定したとき、一次近似式を用いて、前記修正色彩情報を演算する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記バラツキ判定部は、第1の連続した画像形成の後半部に前記検出部に前記色彩情報を検出させ、
前記画像形成部は、前記色補正部で色補正を行った条件で、前記第1の連続した画像形成の後の第2の連続した画像形成を行う
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記媒体は、試し刷り用媒体と、複数の本印刷用媒体とから構成され、
前記色彩情報修正部は、前記試し刷り用媒体に画像形成したときの前記色彩情報を修正する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記色彩情報修正部は、経過時間および前記媒体の移動距離の何れか一方を変数とした近似式を用いて、前記色彩情報を修正する
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記色彩情報修正部は、経過時間を変数とした近似式を用いて修正した第1色彩修正情報と、移動距離を変数とした近似式を用いて修正した第2色彩修正情報とを平均し、
前記色補正部は、前記色彩情報修正部で平均した平均色彩情報を前記修正色彩情報として、色補正を行う
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記色彩情報修正部は、一次近似式または対数近似式を用いた修正色彩情報を演算する前では、前記検出した複数の色彩情報の何れかまたはこれらの平均値を前記修正色彩情報とする
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記修正色彩情報は、前記検出した複数の色彩情報の重み付けを変えた重み付け平均値である
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
複数色からなる画像を媒体に形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された媒体画像の色彩情報を検出する検出部とを備えた画像形成装置の制御部が実行する色彩補正方法であって、
前記色彩情報を用いて、画像形成するときの前記色彩情報を修正する色彩情報修正ステップと、
前記色彩情報を修正した修正色彩情報を用いて、前記画像形成部の色彩補正を行う色補正ステップとを備えた
色彩補正方法。
【請求項14】
複数色からなる画像を媒体に形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された媒体画像の色彩情報を検出する検出部とを備えた画像形成装置の制御部に実行させる色彩補正プログラムであって、
前記色彩情報を用いて、画像形成するときの前記色彩情報を修正する色彩情報修正ステップと、
前記色彩情報を修正した修正色彩情報を用いて、前記画像形成部の色彩補正を行う色補正ステップとを実行させる
色彩補正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、色彩補正方法および色彩補正プログラムに関し、例えば、カラー印刷可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷開始時に対して、色調が大きく変動させず安定して印刷するために、印刷画像をセンサにて読み取り、電子写真プロセスの補正制御を行い、色調を安定させる技術が知られている。
例えば、特許文献1に記載の技術では、各色のパターン画像の主走査方向および副走査方向の重心の距離のズレ量ΔH,ΔVで色ずれを演算し、その演算結果に基づいて色ずれ補正を行っている。これにより、各トナー像の中間転写ベルトへの転写位置に相対的な位置ずれを解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-15762号公報(段落0023)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、各色のパターン画像の主走査方向の重心の距離のズレ量と副走査方向の重心の距離のズレ量を測定している。つまり、各色の濃度までは調整されていない。そのため、各色のトナー像の位置が合っていても、合成した色彩が目標色にならないことがある。
初期変動の影響を抑えるために、濃度ムラや測定ムラの影響により値がバラついてしまうため、数枚での平均値を目標値としている場合が多い。その数枚における初期変動が起こった場合、数枚これら平均値が変動の影響を受けた値になり、1ページ目の真値と差が生じてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、起動時に発生する色彩バラツキを修正することができる画像形成装置、色彩補正方法および色彩補正プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
【0007】
(1)複数色からなる画像を媒体に形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された媒体画像の色彩情報を検出する検出部と、前記色彩情報を用いて、画像形成するときの前記色彩情報を修正する色彩情報修正部と、前記色彩情報を修正した修正色彩情報を用いて、前記画像形成部の色彩補正を行う色補正部と、を備えた画像形成装置。
【0008】
(2)前記色彩情報修正部は、一次近似式を用いて、前記修正色彩情報を演算する前記(1)に記載の画像形成装置。
【0009】
(3)前記色彩情報修正部は、対数近似式を用いて、前記修正色彩情報を演算する前記(1)に記載の画像形成装置。
【0010】
(4)前記画像形成部は、複数回、前記画像を連続形成するものであり、前記色彩情報修正部は、検出された複数の色彩情報を用いて、初回に画像形成したときの前記色彩情報を修正する前記(2)又は前記(3)に記載の画像形成装置。
【0011】
(5)前記媒体は、試し刷り用媒体と、複数の本印刷用媒体とから構成され、前記検出部は、前記試し刷り用媒体の画像形成中に前記色彩情報を検出し、前記画像形成部は、前記色補正部で色補正を行った条件で、前記複数の本印刷用媒体に画像形成する、前記(1)に記載の画像形成装置。
【0012】
(6)前記検出部が検出した複数の前記色彩情報のバラツキの大小を判定するバラツキ判定部をさらに備え、前記色彩情報修正部は、前記バラツキ判定部が基準値よりもバラツキが大きいと判定したとき、対数近似式を用いて、前記修正色彩情報を演算し、バラツキが小さいと判定したとき、一次近似式を用いて、前記修正色彩情報を演算する前記(1)に記載の画像形成装置。
【0013】
(7)前記バラツキ判定部は、第1の連続した画像形成の後半部に前記検出部に前記色彩情報を検出させ、前記画像形成部は、前記色補正部で色補正を行った条件で、前記第1の連続した画像形成の後の第2の連続した画像形成を行う前記(5)に記載の画像形成装置。
【0014】
(8)前記媒体は、試し刷り用媒体と、複数の本印刷用媒体とから構成され、前記色彩情報修正部は、前記試し刷り用媒体に画像形成したときの前記色彩情報を修正する前記(1)に記載の画像形成装置。
【0015】
(9)前記色彩情報修正部は、経過時間および前記媒体の移動距離の何れか一方を変数とした近似式を用いて、前記色彩情報を修正する前記(8)に記載の画像形成装置。
【0016】
(10)前記色彩情報修正部は、経過時間を変数とした近似式を用いて修正した第1色彩修正情報と、移動距離を変数とした近似式を用いて修正した第2色彩修正情報とを平均し、前記色補正部は、前記色彩情報修正部で平均した平均色彩情報を前記修正色彩情報として、色補正を行う前記(8)に記載の画像形成装置。
【0017】
(11)前記色彩情報修正部は、一次近似式または対数近似式を用いた修正色彩情報を演算する前では、前記検出した複数の色彩情報の何れかまたはこれらの平均値を前記修正色彩情報とする前記(4)に記載の画像形成装置。
【0018】
(12)前記平均色彩情報は、前記検出した複数の色彩情報の重み付けを変えた重み付け平均値である前記(11)に記載の画像形成装置。
【0019】
(13)複数色からなる画像を媒体に形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された媒体画像の色彩情報を検出する検出部とを備えた画像形成装置の制御部が実行する色彩補正方法であって、前記色彩情報を用いて、画像形成するときの前記色彩情報を修正する色彩情報修正ステップと、前記色彩情報を修正した修正色彩情報を用いて、前記画像形成部の色彩補正を行う色補正ステップとを備えた色彩補正方法
【0020】
(14)複数色からなる画像を媒体に形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された媒体画像の色彩情報を検出する検出部とを備えた画像形成装置の制御部に実行させる色彩補正プログラムであって、前記色彩情報を用いて、画像形成するときの前記色彩情報を修正する色彩情報修正ステップと、前記色彩情報を修正した修正色彩情報を用いて、前記画像形成部の色彩補正を行う色補正ステップとを実行させる色彩補正プログラム。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、起動時に発生する色彩バラツキを修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
図2】本発明の第1実施形態における、画像形成部の色彩バラツキを補正する方法を説明する図である。
図3】画像形成装置が有する画像形成部の構成図である。
図4】画像形成部が画像形成した媒体画像を、画像センサで撮像した撮像画像の一例を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る色彩補正方法を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態における、画像形成部の色彩バラツキを補正する方法を説明する図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る色補正方法を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の比較例における、画像形成部の色彩バラツキを補正する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているにすぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素は、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0024】
本発明の画像形成装置は、複数回、複数色からなる画像を媒体に形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成された複数の媒体画像の色彩情報を検出する検出部と、複数の前記色彩情報を用いて、初回に画像形成したときの前記色彩情報を修正する色彩情報修正部と、前記色彩情報を修正した修正色彩情報を用いて、前記画像形成部の色彩補正を行う色補正部と、を備えた。ここで、色彩情報修正部は、一次近似式または対数近似式を用いて、画像形成部のバラツキが無いときの本来の初回の色彩情報を推定する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
画像形成装置100は、画像形成部10と、制御部20と、画像センサ30と、記憶部40と、を備えて構成される。
画像形成部10は、紙葉類やCD-ROM等の媒体P(図3)に、複数色からなる画像を形成するハードウェア機器である。画像形成部10は、中間転写ベルト14(図3)に中間転写されたトナー像を媒体に転写する中間転写方式であるが、トナー像を媒体Pに直接転写する直接転写方式であっても構わない。画像センサ30には、中間転写ベルト14(図3)に転写されたトナー像をカラー撮像する画像センサ31と、媒体に転写された媒体画像をカラー撮像する画像センサ32との双方がある。画像形成部10は、画像形成毎に色彩がばらつくと共に、画像形成回数の増加に伴って、媒体画像の色彩が徐々に変化する特性を有する。
【0026】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムを実行することにより、色彩情報抽出部21と、色彩情報修正部22と、色補正部23と、バラツキ判定部24と、画像形成制御部25との機能を実現する。色彩情報抽出部21は、媒体画像やトナー像を画像センサ30で撮像した撮像画像の特定領域の色彩情報を抽出する機能部である。ここで、色彩とは、白や黒も入る概念であり、例えば、L表色系やXYZ表色系等で数値化される。なお、これらの色彩情報は、画像センサ30が有する照明の下、RGB値を用いて換算される。本実施形態では、色彩情報抽出部21は、起動時での複数回の画像形成で取得した複数の撮像画像の色彩情報を抽出する。この複数の撮像画像の色彩情報には、バラツキが存在する。なお、色彩情報抽出部21と画像センサ30とを合わせて検出部と称する。
【0027】
色彩情報修正部22は、色彩情報抽出部21が抽出した、複数の色彩情報を用いて、初回(1ページ目)の画像形成で取得すべき、バラツキのないときの本来の色彩情報を推定する。この推定には、1次近似式や対数近似式が使用される。
【0028】
図2は、本発明の第1実施形態における、画像形成部の色彩バラツキを補正する方法を説明する図である。横軸は、紙葉類に画像形成したときのページ数であり、縦軸は、色彩情報としての明度Lである。以下、均等色空間での明度Lについて説明するが、色度a,bについても同様に説明される。また、明度Lの代わりに輝度や濃度であっても構わない。また、色度a,bの代わりに色度座標であっても構わない。
【0029】
1ページ目の画像形成で取得した明度Lを白丸aで示し、1,2,3,4,5,6ページ目に取得した明度Lを白丸b,c,d,e,fで示している。明度Lは、ページ数の増加に伴い、単調増加しつつ、徐々に飽和する。一点鎖線は、白丸a,b,c,d,e,fの近似曲線であり、破線は、バラツキの上限下限を示している。
3ページ目の色彩情報を取得したときに、色彩情報修正部22は、白丸a,b,cの3点の明度Lを用いて、1次近似式や対数近似式のパラメータを求め、このパラメータの1次近似式や対数近似式を用いて、1ページ目の明度Lを推定する。この1ページ目の明度Lの推定値(白丸g)を4ページ目以降の目標値(白丸h,i,j)とするように、色補正部23(図1)は、画像形成部10の作像パラメータを補正する。
【0030】
図1(構成図)の説明に戻り、
色補正部23は、色彩情報修正部22が修正した修正色彩情報を用いて、画像形成部10に指示する条件を変更する。これにより、次回の画像形成の色彩補正が行われる。
【0031】
バラツキ判定部24は、画像形成部10のバラツキの大小を判定する。バラツキ判定のための色彩情報抽出は、印刷の後半部の機械が安定した場合や、本印刷以外の印刷中(例えば、試し刷り印刷中)などに行う。また、色彩情報修正部22は、バラツキが基準値よりも大きいときには、予測精度が重要になるので、対数近似式42を用いて色彩情報を修正し、バラツキが該基準値よりも小さいときには、一次近似式41を用いる。連続プリント中は、1分間に数百ページ印刷するため、バラツキが小さい限り、一次近似にて色の目標値を算出するほうが良い。これにより、素早く次の印刷へ正しい色の目標値をフィードバックすることができる。画像形成制御部25は、修正された作像パラメータに基づいて、画像形成部10を制御する。
【0032】
記憶部40には、一次近似式41や対数近似式42が格納されている。
【0033】
図3は、画像形成装置が有する画像形成部の構成図である。
画像形成部10は、主として、感光体11と、現像器12と、帯電器13と、中間転写ベルト14と、二次転写ローラ15と、定着器16と、クリーニング機構17とを有する。なお、画像センサ31は、中間転写ベルト14に転写されたトナー画像を撮像する。また、画像センサ32は、定着された媒体画像を撮像する。
【0034】
感光体11は、帯電器13により帯電され、レーザ光により部分的に露光されて静電潜像が形成される。4色の現像器12(12Y,12M,12C,12K)は、この静電潜像を現像し、感光体11にトナー像を形成する。4色の感光体11(11Y,11M,11C,11K)は、トナー像を中間転写ベルト14に転写する。中間転写ベルト14は、その中間転写ベルト14と二次転写ローラ15に挾持された媒体Pに4色のトナー像を順次転写する。定着器16は、媒体Pに転写されたトナー像を加熱により定着させる。クリーニング機構17は、中間転写ベルト14に残存したトナー像を除去する。
【0035】
図4は、画像形成部10が形成した媒体画像を、画像センサ30で撮像した撮像画像の一例を示す図である。
媒体画像200は、媒体P(図3)の中央部に画像形成したユーザ実画像220と、上端部の裁断余白209aに画像形成した4色の矩形状の補正用パッチ210(Y補正用パッチ211、M補正用パッチ212、R補正用パッチ213、G補正用パッチ214)と、下端部の裁断余白209bに画像形成した異なる4色の矩形状の補正用パッチ210(C補正用パッチ215、K補正用パッチ216、B補正用パッチ217、PK補正用パッチ218)とから構成される。なお、裁断余白209a,209bを特定するために4つのトンボが画像形成されている。
【0036】
図5は、本発明の第1実施形態に係る色彩補正方法を説明するためのフローチャートである。このフローは、電源投入時やリセット時に起動する。
制御部20の画像形成制御部25は、補正用パッチ210(図4)に対応する作像パラメータを決定する(S1)。S1の処理後、画像形成制御部25は、媒体Pへの画像形成を、画像形成部10に行わせる(S2)。S2の処理後、色彩情報抽出部21は、画像センサ30が取得した媒体画像(特に、補正用パッチ210)の色彩情報を抽出する(S3)。
【0037】
S3の処理後、制御部20は、何ページ目の画像形成かを判定する(S4)。画像形成が1ページ目か2ページ目であるときには(S4で「1,2ページ目」)、色補正部23は、色彩情報を補正しない。言い換えれば、色補正部23は、色彩情報修正値を1,2ページ目に抽出した色彩情報とする(S5)。つまり、色補正部23は、画像形成が1ページ目のときには、色彩情報修正値を1ページ目の色彩情報(白丸a)とし、画像形成が2ページ目のときには、色彩情報修正値を2ページ目の色彩情報(白丸b)とする(S5)。また、画像形成が3ページ目のときには(S4で「3ページ目」)、色補正部23は、1次式又は対数近似式で1ページ目の色彩情報を推定すると共に(S6)、色彩情報修正値を3ページ目に抽出した色彩情報とする(S7)。つまり、色補正部23は、1ページ目の色彩情報(白丸a)と、2ページ目の色彩情報(白丸b)と、3ページ目の色彩情報(白丸c)との3つの色彩情報を用いて、バラツキが無いときの本来の1ページ目の色彩情報を推定する(S6)。この推定値を1ページ目の色彩情報推定値(白丸g)という。そして、色補正部23は、3ページ目に抽出した色彩情報(白丸c)を色彩情報修正値とする(S7)。また。画像形成が4ページ目以降のときには(S4で「4ページ目以降」)、色補正部23は、色彩情報修正値(白丸h,i,j)を1ページ目の色彩情報推定値(白丸g)とする(S8)。
【0038】
S5,S6,S8の処理後、色補正部23は、画像形成部10の色補正を行い(S9)、処理をS1に戻し、次ページの作像パラメータを決定する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100によれば、制御部20は、3ページ目の画像形成のときに1ページ目~3ページ目の補正用パッチ210(図4)の色彩情報を用いて、バラツキが無いときの本来の1ページ目の色彩情報(白丸g)を推定する(S6)。そして、4ページ目以降の画像形成のときに、制御部20は、推定した色彩情報推定値(白丸g)で色彩情報を修正する(S8)。そして、制御部20は、修正された色彩情報を用いて、画像形成部10の色補正を行う(S9)。
【0040】
(第2実施形態)
前記実施形態では、画像形成の3ページ目で色彩情報を推定し、4ページ以降で色彩情報推定値を使用したが、4,5ページ目を異なる修正値(仮目標値)を設定することができる。
【0041】
図6は、本発明の第2実施形態における、画像形成部の色彩バラツキを補正する方法を説明する図である。図2と同様に、横軸は、紙葉類に画像形成したときのページ数であり、縦軸は、色彩情報としての明度Lである。以下、均等色空間での明度Lについて説明するが、色度a,bについても同様に説明される。また、明度Lの代わりに輝度や濃度であっても構わない。
【0042】
前記実施形態と同様に、1,2,3,4,5,6ページ目に取得した明度Lを白丸a,b,c,d,e,fで示している。3ページ目の色彩情報を取得したときに、色彩情報修正部22は、3点の色彩情報(例えば、明度L)を用いて、1次近似式や対数近似式のパラメータを求め、このパラメータの1次近似式や対数近似式を用いて、1ページ目の色彩情報(例えば、明度L)を推定する。
【0043】
また、4ページ目の色彩情報を取得したときに、色彩情報修正部22は、1ページ目に取得した色彩情報(白丸a)を仮目標値(白丸k)とする。また、5ページ目の色彩情報を取得したときには、色彩情報修正部22は、1ページ目に取得した色彩情報(白丸a)と2ページ目に取得した色彩情報(白丸b)との平均値を仮目標値(白丸l)とする。色補正部23は、これらの仮目標値(白丸k,l)で画像形成部10の作像パラメータを修正する。
【0044】
そして、6ページ目以降の色彩情報を取得したときには、色彩情報修正部22は、近似式を用いて推定した1ページ目の明度Lを色彩情報修正値(白丸m)とする。色補正部23は、色彩情報修正値(近似式を用いて推定した1ページ目の色彩情報(白丸g))を6ページ目以降の目標値(白丸m)とするように、色補正部23(図1)は、画像形成部10の作像パラメータを補正する。
【0045】
図7は、本発明の第2実施形態に係る色補正方法を説明するためのフローチャートである。
仮目標値設定(S10)では、制御部20の画像形成制御部25(図1)が、作像パラメータを決定し(S11)、媒体(紙葉類)に画像形成する(S12)。S12の処理後、色彩情報抽出部21は、画像センサ30が取得した媒体画像(特に、補正用パッチ210)の色彩情報(例えば、明度L)を抽出する(S13)。
【0046】
S13の処理後、制御部20は、1,2,3ページ目、4ページ目、5ページ目、6ページ目以降の何れの画像形成であるか判定する(S14)。画像形成が1,2,3ページ目であるとき(S14で「1,2,3ページ目」)、色彩情報修正部22は、色彩情報修正値を1,2,3ページの各ページで抽出した色彩情報(白丸a,b,c)とする(S15)。画像形成が4ページ目であるとき(S14で「4ページ目」)、色彩情報修正部22は、色彩情報修正値(白丸k)を1ページ目の色彩情報(白丸a)とする(S16)。画像形成が5ページ目であるとき(S14で「5ページ目」)、色彩情報修正部22は、色彩情報修正値(白丸l)を(1ページ目の色彩情報(白丸a)+2ページ目の色彩情報(白丸b))/2の値とする(S17)。画像形成が6ページ目以降であるとき(S14で「6ページ目以降」)、色彩情報修正部22は、色彩情報修正値(白丸m)を1次式又は対数近似式で1ページ目の色彩情報(白丸g(図2,6))を推定した値(白丸m)とする(S18)。S15,S16,S17、S18の処理後、色補正部23は、画像形成部10の色補正を行い(S19)、処理をS11に戻し、次ページの作像パラメータを決定する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置によれば、1ページ目で読み取った色彩情報を4ページ目にフィードバックし、1ページ目および2ページ目で読み取った色彩情報を5ページ目にフィードバックした仮目標値により、色彩情報の修正が行われる。仮目標値の設定は、1次式又は対数近似式で1ページ目の色彩情報(白丸g(図2,6))を推定した値に、色彩情報修正値(白丸m)を設定するまでに時間的制約があるときには、有用である。また、画像形成が3ページ目から4ページ目に移行したときの色彩情報修正値の変化量が、前記第1実施形態の画像形成装置100よりも少なくなる。
【0048】
(比較例)
前記各実施形態では、1-3ページ目の色彩情報(白丸a,b,c)を用いて、1次式又は対数近似式で1ページ目の本来の色彩情報(白丸g)を推定し、推定値を色彩情報修正値したが、4ページ目以降の色彩情報修正値を1-3ページ目の色彩情報(白丸a,b,c)の平均値とすることもできる。
【0049】
図8は、本発明の比較例における、画像形成部の色彩バラツキを補正する方法を説明する図である。
前記各実施形態と同様に、横軸は、紙葉類に画像形成したときのページ数であり、縦軸は、色彩情報としての明度Lである。また、1ページ目の画像形成で取得した明度Lを白丸aで示し、1,2,3,4,5,6ページ目に取得した明度Lを白丸b,c,d,e,fで示している。明度Lは、ページ数の増加に伴い、単調増加しつつ、徐々に飽和する。一点鎖線は、白丸a,b,c,d,e,fの近似曲線であり、破線は、バラツキの上限下限を示している。
【0050】
1-3ページ目の色彩情報を取得したときには、色彩情報修正部22は、取得した色彩情報(白丸a,b,c)を使用する。4ページ目の色彩情報を取得したときに、色彩情報修正部22は、最初の3点(白丸a,b,c)の明度Lの平均値を演算する。この平均値を4ページ目の色彩情報修正値(黒丸k)とする。次に、4ページ目の色彩情報を取得したときに、色彩情報修正部22は、直近の3点(白丸b,c,d)の明度Lの平均値を演算する。この平均値を5ページ目の色彩情報修正値(黒丸l)とする。次に、5ページ目の色彩情報を取得したときに、色彩情報修正部22は、直近の3点(白丸c,d,e)の明度Lの平均値を演算する。この平均値を6ページ目の色彩情報修正値(黒丸m)とする。これら色彩情報修正値(3点の平均値の明度L)を次ページの目標値とするように、色補正部23(図1)は、画像形成部10の作像パラメータを補正する。
【0051】
以上説明したように、本比較例の画像形成装置によれば、直近の3点の平均値を演算するので、ページ数の増加と共に明度Lが増加すると、平均値も高くなる。つまり、目標値としての平均値と、バラツキが無いときの本来の1ページ目の色彩情報(白丸g(図2.6))を推定した色彩情報推定値との差ΔLが発生してしまう。これに対して、前記各実施形態の画像形成装置100であれば、バラツキが無いときの本来の1ページ目の色彩情報(白丸g(図2,6))を推定することができるので、差ΔLが発生しない。
【0052】
(変形例)
本発明は、前記各実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変形実施が可能であり、例えば、次のようなものがある。
(a)前記各実施形態では、前記実施形態の画像形成装置100では、1ページ目から本印刷用媒体を用いて、本印刷を行っていたが、本印刷の前に、試し刷り用媒体を用いて、試し刷り印刷を行うこともある。なお、試し刷り用媒体と本印刷用媒体とは、同一種類の媒体であっても構わない。
【0053】
(b)前記各実施形態では、ページ数を変数とした近似式を用いたが、試し刷り印刷を行う場合には、色彩情報修正部22(図1)は、経過時間および媒体の移動距離の何れか一方を変数とした近似式(一次近似式や対数近似式)を用いることにより、試し刷り印刷を行うときに検出した色彩情報を用いることができる。ここで、経過時間は、感光体11(図3)の回転時間であり、移動距離は、感光体11の回転に伴って、感光体11と媒体とが接触する移動距離のことである。
【0054】
また、色彩情報修正部22は、経過時間を変数とした近似式を用いて修正した第1色彩修正情報と、移動距離を変数とした近似式を用いて修正した第2色彩修正情報とを平均した平均色彩情報を演算しても構わない。そして、色補正部23は、色彩情報修正部22で平均した平均色彩情報を修正色彩情報として、色補正を行う。
また、色彩情報修正部22は、第1色彩修正情報と第2色彩修正情報とを平均するときに各修正色彩情報の重み付けを変えた重み付け平均値を演算しても構わない。これにより、誤補正を抑制することができる。
【0055】
(c)前記第1,2実施形態では、1,2ページ目の色彩情報修正値を各ページの色彩情報としていたが、2ページ目の色彩情報修正値を1,2ページの色彩情報の平均とすることもできる。
【符号の説明】
【0056】
10 画像形成部
11 感光体
20 制御部
21 色彩情報抽出部
22 色彩情報修正部
23 色補正部
24 バラツキ判定部
30,31,32 画像センサ
40 記憶部
41 一次近似式
42 対数近似式
100 画像形成装置
200 媒体画像
209a,209b 裁断余白
210 補正用パッチ
220 ユーザ実画像
P 媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8