(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001148
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報処理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20241225BHJP
【FI】
G16H80/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100581
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 真理子
(72)【発明者】
【氏名】菅原 通孝
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 慎太朗
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】患者に適した確認事項に関して患者から同意を得ることを支援すること。
【解決手段】医用情報処理装置は、取得部と、表示制御部と、入力部と、を備える。前記取得部は、患者に対する処置と、当該患者が所属する集団を示す集団識別情報を取得する。前記表示制御部は、処置の各手順の作業内容に関する前記集団に応じた確認事項が登録されたデータベースに基づいて、前記処置及び前記集団識別情報により特定される前記確認事項を表示部に表示する。前記入力部は、前記表示制御部により表示された前記確認事項に対して同意するか否かを受け付ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対する処置と、当該患者が所属する集団を示す集団識別情報を取得する取得部と、
処置の各手順の作業内容に関する前記集団に応じた確認事項が登録されたデータベースに基づいて、前記処置及び前記集団識別情報により特定される前記確認事項を表示部に表示する表示制御部と、
前記表示制御部により表示された前記確認事項に対して同意するか否かを受け付ける入力部と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
前記入力部は、前記確認事項に対する拒否を受け付け、
前記表示制御部は、前記作業内容のうち前記確認事項の内容を替えた代替案を表示する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記患者が所属する前記集団に応じた言語に前記確認事項を変換する変換部を更に備え、
前記表示制御部は、前記変換部により変換された前記確認事項を表示する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記入力部は、前記確認事項に対する拒否を受け付け、
前記表示制御部は、前記確認事項の必要性を示す説明内容を表示する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、拒否された前記確認事項の重要度が閾値未満の場合に、前記説明内容を表示する、
請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記確認事項に関する参考資料情報を収集する収集部と、
前記参考資料情報から前記確認事項と、当該確認事項について確認する対象の前記集団とを抽出する抽出部と、
前記確認事項と、前記集団とを前記データベースに登録する登録部とを更に備える、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記入力部は、前記確認事項に対する拒否を受け付け、
前記表示制御部は、拒否された前記確認事項の前記処置から変更した変更後の前記処置の各手順の作業内容に関する前記確認事項を表示する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部により表示された前記確認事項が同意された場合に、前記患者に対する前記処置の前記作業内容及び前記確認事項についての同意書を出力する出力部を更に備える、
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
患者に対する処置と、当該患者が所属する集団を示す集団識別情報を取得する取得部と、
処置の各手順の作業内容に関する前記集団に応じた確認事項が登録されたデータベースに基づいて、前記処置及び前記集団識別情報に適合する前記確認事項を表示部に表示する表示制御部と、
前記表示制御部により表示された前記確認事項に対して同意するか否かを受け付ける入力部と、
を備える医用情報処理システム。
【請求項10】
コンピュータに、
患者に対する処置と、当該患者が所属する集団を示す集団識別情報を取得し、
処置の各手順の作業内容に関する前記集団に応じた確認事項が登録されたデータベースに基づいて、前記処置及び前記集団識別情報に適合する前記確認事項を表示部に表示し、
表示された前記確認事項に対して同意するか否かを受け付ける、
ことを実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報処理システム、及びプログラムに関する。
【0002】
近年、医療機関は、国籍、地域、民族、宗教等が異なる様々な患者に適した医療を提供することが求められている。例えば、異性に肌を見せることを禁忌にしている宗教の患者に対して、同意なく、異性の医療従事者が処置するとトラブルになる場合がある。また、欧米では重症な場合に点滴を使用するとの考え方が一般的であるため、同意なく、軽い脱水症状の患者に点滴を行うとトラブルになる場合がある。
【0003】
このように、国籍、地域、民族、宗教等に応じて、トラブルとなる原因は異なる。そこで、医療機関は、事前に患者から同意を得ることが求められる。
【0004】
しかしながら、患者に対する処置に応じて、患者の国籍、地域、民族、宗教等を考慮した確認事項に関して同意を得ることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-016346号公報
【特許文献2】特開2015-170312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、患者に適した確認事項に関して患者から同意を得ることを支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る医用情報処理装置は、取得部と、表示制御部と、入力部と、を備える。前記取得部は、患者に対する処置と、当該患者が所属する集団を示す集団識別情報を取得する。前記表示制御部は、処置の各手順の作業内容に関する前記集団に応じた確認事項が登録されたデータベースに基づいて、前記処置及び前記集団識別情報により特定される前記確認事項を表示部に表示する。前記入力部は、前記表示制御部により表示された前記確認事項に対して同意するか否かを受け付ける。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る同意取得支援システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、処置データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、意向確認画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置が実行するデータベース生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置が実行する同意書生成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に関する医用情報処理装置、医用情報処理システム、及びプログラムについて説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る同意取得支援システム1の一例を示す図である。同意取得支援システム1は、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)10、患者端末20、及び医用情報処理装置30を備える。病院情報システム10、患者端末20、及び医用情報処理装置30は、ネットワーク40を介して通信可能に接続される。
【0011】
図1に示す同意取得支援システム1は、病院情報システム10、患者端末20、及び医用情報処理装置30をそれぞれ一台ずつ備えているが、各システムや装置の台数は任意である。また、同意取得支援システム1は、
図1に示されていないシステムや装置を有していてもよい。
【0012】
病院情報システム10は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。例えば、病院情報システム10は、電子カルテ情報や、検査オーダ情報を記憶する。
【0013】
電子カルテ情報は、患者の診療に関する記録である。例えば、電子カルテ情報は、患者識別情報、集団識別情報、及び処置情報などを有する。患者識別情報は、患者を特定するための識別情報である。集団識別情報は、患者が所属する集団を特定するための識別情報である。例えば、集団とは、国、地域、民族、宗教等である。また、集団は、これらに限らず、他の集まりであってもよい。処置情報は、患者に対して実施する処置である。なお、電子カルテ情報は、これら全ての情報を有していなくても良いし、これら以外の情報を有していてもよい。
【0014】
検査オーダ情報は、医用画像診断装置による検査のオーダ内容が示された情報である。医用画像診断装置は、検査オーダ情報に基づいて、被検者を撮影することにより医用画像を収集する。
【0015】
患者端末20は、患者が操作する端末である。例えば、患者端末20は、パーソナルコンピュータやタブレット端末やスマートフォンなどのコンピュータ機器によって実現される。
【0016】
医用情報処理装置30は、患者に適した確認事項に関して患者から同意を得ることを支援する装置である。医用情報処理装置30は、サーバ装置や、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ機器によって実現される。
【0017】
医用情報処理装置30は、患者に対する処置に応じて、患者が所属する国や地域や民族や宗教などの集団に適した確認事項を取得する。確認事項とは、患者に対する処置の各手順の作業内容を実施してよいか否かを患者に確認する事項である。また、確認事項は、作業内容に限らず、作業内容に付随して実施される可能性がある事項であってもよい。例えば、確認事項は、異性の医療従事者が案内してもよいか否かや、検査時の体位調整の際に患者の頭部に触る可能性があるがよいか否かである。
【0018】
次に、医用情報処理装置30の一例について詳細に説明する。
【0019】
医用情報処理装置30は、NW(ネットワーク)インターフェース31と、入力インターフェース32と、ディスプレイ33と、記憶回路34と、処理回路35とを有する。
【0020】
NWインターフェース31は、処理回路35に接続され、ネットワーク40を介して接続された各装置との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、NWインターフェース31は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0021】
入力インターフェース32は、処理回路35に接続され、操作者(医療従事者)から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路35に出力する。具体的には、入力インターフェース32は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路35に出力する。例えば、入力インターフェース32は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース32は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース32の例に含まれる。
【0022】
ディスプレイ33は、処理回路35に接続され、処理回路35から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ33は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0023】
記憶回路34は、処理回路35に接続され、各種データを記憶する。また、記憶回路34は、処理回路35が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。例えば、記憶回路34は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0024】
例えば、記憶回路34は、参考資料データベース341、翻訳データベース342、及び処置データベース343を記憶する。
【0025】
参考資料データベース341は、参考資料情報が登録されたデータベースである。例えば、参考資料データベース341は、参考資料情報と、集団識別情報とが関連付けられる。参考資料情報は、患者に対する処置の各手順の作業内容について、患者に確認することが好ましい確認事項の生成の参考資料となる情報である。例えば、参考資料情報は、各国のガイドライン、同意書、レセプト、判例、論文等の情報である。集団識別情報は、国、地域、民族、宗教等を特定するための識別情報である。そして、集団識別情報は、参考資料情報が何れの集団に対して記載された情報であるのかを示している。
【0026】
翻訳データベース342は、日本語と、他の言語とが関連付けられたデータベースである。翻訳データベース342は、日本語の単語や熟語と、この単語や熟語に相当する他の言語の単語や熟語とが関連付けられている。そして、翻訳データベース342は、日本語から他の言語に翻訳する場合や、他の言語を日本語に翻訳する場合に使用される。
【0027】
処置データベース343は、患者に対する処置ごとに、処置の各手順の作業内容に対する確認事項が登録されたデータベースである。
図2は、処置データベース343のデータ構成の一例を示す図である。処置データベース343は、処置名称、手順、作業内容、集団、確認事項、代替事項、及び重要度、が関連付けられる。
【0028】
処置名称は、処置の名称である。処置とは、患者に対して行う作業である。例えば、処置とは、医療行為や、医療的ケアや、介助などである。手順は、処置において行われる各工程の順番である。作業内容は、各手順の作業の内容である。集団識別情報は、国、地域、民族、宗教等を特定するための識別情報である。集団識別情報は、関連付けられた確認事項の対象の集団を示している。確認事項は、関連付けられた作業内容において行われる作業のうち、患者に確認することが好ましい事項である。代替事項は、確認事項において患者に拒否された場合に行われる作業の代替案である。代替事項は、作業内容の必要性を示す説明内容が登録されていてもよい。重要度は、患者において確認事項が重要であると推定される度合いである。例えば、重要度には、禁止と、注意とがある。禁止は、患者にとって同意することができないことを示す。注意は、状態に応じては同意することができることを示す。
【0029】
処理回路35は、医用情報処理装置30全体の動作を制御する。処理回路35は、例えば、データベース生成機能351、患者情報取得機能352、確認事項取得機能353、翻訳機能354、同意取得機能355、同意書生成機能356、及び意向通知機能357を有する。実施形態では、構成要素であるデータベース生成機能351、患者情報取得機能352、確認事項取得機能353、翻訳機能354、同意取得機能355、同意書生成機能356、及び意向通知機能357にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路34へ記憶されている。処理回路35は、プログラムを記憶回路34から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路35は、
図1の処理回路35内に示された各機能を有することになる。
【0030】
なお、
図1においては単一のプロセッサにて、データベース生成機能351、患者情報取得機能352、確認事項取得機能353、翻訳機能354、同意取得機能355、同意書生成機能356、及び意向通知機能357を実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路35を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図1においては、記憶回路34等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路35は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0031】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路34に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路34にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0032】
データベース生成機能351は、患者に対する処置において患者に確認することが好ましい確認事項が登録された処置データベース343を生成する。
【0033】
まず、データベース生成機能351は、参考資料データベース341を生成する。さらに詳しくは、データベース生成機能351は、処置の各手順の作業内容に関する、患者が所属する集団に応じた確認事項に関する参考資料情報を収集する。データベース生成機能351は、収集部の一例である。例えば、データベース生成機能351は、ネットワーク40を介して、各国のガイドライン、同意書、レセプト、判例、論文等の予め設定された内容の参考資料情報を取得する。また、データベース生成機能351は、参考資料情報から、参考資料情報の対象の集団識別情報を抽出する。すなわち、データベース生成機能351は、参考資料情報が何れの国、地域、民族、宗教について記載された参考資料であるのかを示す集団識別情報を抽出する。そして、データベース生成機能351は、参考資料情報と集団識別情報とを関連付けて、参考資料データベース341に登録する。なお、データベース生成機能351は、ユーザにより入力された参考資料情報と、集団識別情報とを参考資料データベース341に登録してもよい。
【0034】
また、データベース生成機能351は、患者に対する処置の各手順の作業内容を取得する。例えば、データベース生成機能351は、日本や外国において処置のガイドラインや手順書などの資料から各手順の作業内容を取得する。なお、データベース生成機能351は、ユーザにより入力された操作により各手順の作業内容を取得してもよい。そして、データベース生成機能351は、処置名称、手順、及び作業内容を処置データベース343に登録する。
【0035】
また、データベース生成機能351は、参考資料データベース341に登録された参考資料情報から、作業内容に対する確認事項、確認事項が拒否された場合に行う代替事項、及び確認事項の重要度を抽出する。例えば、データベース生成機能351は、文章解析を実行する学習済みモデルに、各参照資料を入力することにより、確認事項、代替事項、及び重要度を抽出する。さらに、データベース生成機能351は、参考資料データベース341において、参考資料情報に関連付けられた集団識別情報を、確認事項について確認する対象の集団を示す集団識別情報として抽出する。データベース生成機能351は、抽出部の一例である。なお、データベース生成機能351は、ユーザにより入力された操作により確認事項、代替事項、及び重要度を抽出してもよい。
【0036】
また、データベース生成機能351は、参照資料が外国語で記載されていた場合や外国語で入力された場合に、抽出した確認事項、代替事項、及び重要度を日本語に翻訳する。例えば、データベース生成機能351は、翻訳機能354により確認事項、代替事項、及び重要度を日本語に翻訳する。
【0037】
データベース生成機能351は、処置名称、手順、作業内容に対して、確認事項、代替事項、及び重要度を関連付けて処置データベース343に登録する。データベース生成機能351は、登録部の一例である。また、データベース生成機能351は、処置データベース343の登録内容の修正を受け付けた場合に、該当する処置名称、手順、作業内容、確認事項、代替事項、又は重要度を修正する。
【0038】
患者情報取得機能352は、患者に対する処置、及び患者が所属する集団を示す集団識別情報を取得する。患者情報取得機能352は、取得部の一例である。例えば、患者情報取得機能352は、病院情報システム10が記憶する電子カルテ情報から、処置及び集団識別情報を取得する。なお、患者情報取得機能352は、ユーザにより入力された操作により処置、及び集団識別情報を取得してもよい。
【0039】
さらに、患者情報取得機能352は、集団識別情報を一つ限らず、複数取得してもよい。例えば、患者情報取得機能352は、患者が所属する国を示す集団識別情報と、患者が所属する地域を示す集団識別情報と、患者が所属する民族を示す集団識別情報と、患者が所属する宗教を示す集団識別情報とを取得してもよい。また、患者情報取得機能352は、国、地域、民族、宗教の全てに限らず、何れか2つの集団識別情報を取得してもよいし、何れか3つの集団識別情報を取得してもよい。
【0040】
確認事項取得機能353は、処置の各手順の作業内容に関する集団に応じた確認事項が登録された処置データベース343に基づいて、患者情報取得機能352により取得された処置及び集団識別情報により特定される作業内容、確認事項、代替事項、及び重要度を取得する。さらに詳しくは、確認事項取得機能353は、処置データベース343において、処置及び集団識別情報に関連付けられた処置名称、手順、作業内容、確認事項、代替事項、及び重要度を取得する。
【0041】
また、確認事項取得機能353は、患者情報取得機能352により複数の集団識別情報が取得された場合、集団識別情報ごとに、確認事項、代替事項、及び重要度を取得する。
【0042】
翻訳機能354は、翻訳データベース342に基づいて、翻訳を実行する。
【0043】
例えば、翻訳機能354は、翻訳データベース342に基づいて、データベース生成機能351により取得された作業内容、確認事項、代替事項、及び重要度を日本語に翻訳する。なお、翻訳機能354は、データベース生成機能351により取得された他の情報を日本語に翻訳してもよい。さらに、翻訳機能354は、作業内容、確認事項、代替事項、及び重要度のうち、何れかが日本語の場合に、日本語の情報は翻訳しなくてもよい。
【0044】
翻訳機能354は、患者が所属する集団に応じた言語に確認事項を変換する。翻訳機能354は、変換部の一例である。例えば、翻訳機能354は、翻訳データベース342に基づいて、確認事項取得機能353により取得された処置名称、手順、作業内容、確認事項、代替事項、及び重要度を、患者情報取得機能352により取得された集団識別情報により特定される言語に翻訳する。例えば、集団識別情報により特定される言語は、データベース等に登録された集団の公用語等の言語である。例えば、翻訳機能354は、集団識別情報がイギリスを示している場合に、イギリスの公用語である英語に翻訳する。
【0045】
同意取得機能355は、処置の各手順の作業内容に対する確認事項について、患者から同意を取得する処理を制御する。
【0046】
さらに詳しくは、同意取得機能355は、処置の各手順の作業内容に関する集団に応じた確認事項が登録された処置データベース343に基づいて、患者情報取得機能352により取得された処置及び集団識別情報に適合する作業内容、確認事項、及び重要度を患者端末20に表示する。同意取得機能355は、表示制御部の一例である。また、患者端末20は、表示部の一例である。例えば、同意取得機能355は、意向確認画像G1を患者端末20に表示する。
図3は、意向確認画像G1の一例を示す図である。意向確認画像G1は、処置に対する患者の意向を確認するための画像である。意向確認画像G1は、一覧画像G11と、完了ボタンG12とを有する。
【0047】
一覧画像G11は、処置の各手順に対する確認事項の一覧の画像である。一覧画像G11は、処置名称、手順、作業内容、確認事項、及び入力欄を有する。処置名称、手順、作業内容、及び確認事項は、確認事項取得機能353により取得された情報であって、翻訳機能354により翻訳された情報である。すなわち、同意取得機能355は、翻訳機能354により患者が所属する集団に応じた言語に変換した処置名称、手順、作業内容、及び確認事項を表示する。
【0048】
入力欄は、関連付けられた確認事項について同意するか否かを入力する欄である。すなわち、入力欄は、確認事項について入力された場合に、確認事項について同意したことを示す「はい」、又は確認事項について拒否したことを示す「いいえ」が表示される。また、入力欄は、患者情報取得機能352により取得された集団識別情報により特定される言語で表示される。完了ボタンG12は、一覧画像G11の入力欄の入力が完了したことを示す操作を受け付けるボタンである。
【0049】
このように、同意取得機能355は、意向確認画像G1を患者端末20に表示することにより、患者端末20を介して、確認事項について同意するか否かの入力を受け付ける。同意取得機能355は、入力部の一例である。すなわち、同意取得機能355は、患者端末20を介して、確認事項について同意する入力、又は、確認事項について拒否する入力を受け付ける。
【0050】
同意取得機能355は、確認事項に対する拒否を受け付けた場合に、確認事項の必要性を示す説明内容を表示する。さらに詳しくは、同意取得機能355は、拒否された確認事項の重要度が閾値未満の場合に、確認事項の必要性を示す説明内容を表示する。
【0051】
例えば、同意取得機能355は、一覧画像G11の入力欄に確認事項を拒否したことを示す「いいえ」が有る場合に、処置データベース343において拒否された確認事項の重要度を抽出する。同意取得機能355は、重要度が「注意」の場合に、処置データベース343の代替事項に登録された説明内容を表示する。例えば、同意取得機能355は、作業内容についての説明性を示す説明内容を表示する。これにより、同意取得機能355は、患者に確認事項について同意を求める。
【0052】
同意取得機能355は、確認事項に対する拒否を受け付けた場合に、作業内容のうち確認事項の内容を替えた代替案を表示する。さらに詳しくは、同意取得機能355は、拒否された確認事項の重要度が閾値以上の場合に、作業内容のうち確認事項の内容を替えた代替案を表示する。
【0053】
同意取得機能355は、重要度が「代替」の場合に、処置データベース343の代替事項に登録された代替案を確認事項として表示する。すなわち、同意取得機能355は、作業内容を代替案のように変更して行うことを表示する。これにより、同意取得機能355は、患者に代替事項について同意を求める。
【0054】
同意取得機能355は、同意が得られず、且つ代替項目に代替案が登録されていない場合に、処置を変更する。そして、同意取得機能355は、拒否された確認事項の処置から変更した変更後の処置の各手順の作業内容に関する確認事項を表示する。
【0055】
例えば、同意取得機能355は、代替事項等に事前に設定された処置に変更する。または、同意取得機能355は、医師等の処置を決定する医療従事者により指定された処置に変更する。例えば、処置が「超音波検査」であり、身体を隠せないことについて拒否された場合に、同意取得機能355は、処置データベース343の代替事項に登録された「X線CT装置による検査」に処置を変更する。また、同意取得機能355は、X線CT装置により検査するための検査オーダ情報を、病院情報システム10に発行してもよい。
【0056】
また、同意取得機能355により処置が変更された場合に、確認事項取得機能353は、変更後の処置、及び患者の集団識別情報に関連付けられた処置名称、手順、作業内容、確認事項、代替事項、及び重要度を取得する。翻訳機能354は、処置名称、手順、作業内容、確認事項、代替事項、及び重要度を翻訳する。同意取得機能355は、変更後の処置に関する意向確認画像G1を表示する。そして、同意取得機能355は、変更後の処置に関する意向確認画像G1において、各確認事項について同意を取得する。
【0057】
このように、同意取得機能355は、同意書を生成する前に、各確認事項について患者から同意を取得する。これにより、同意取得機能355は、各確認事項について同意が得られないことによる同意書の作り直しを抑制することができる。
【0058】
同意書生成機能356は、患者に対する処置の作業内容及び確認事項についての同意書を示す同意書情報を生成する。そして、同意書生成機能356は、生成した同意書情報を出力する。同意書生成機能356は、出力部の一例である。さらに詳しくは、同意書生成機能356は、同意取得機能355により患者から同意を得た場合に、患者が同意した内容を示す同意書情報を生成する。そして、同意書生成機能356は、同意書情報を患者端末20に表示する。
【0059】
さらに、同意書生成機能356は、同意書情報が示す同意書について同意するか否かの入力を患者端末20が受け付けた場合に、患者端末20から入力結果を取得する。また、同意書生成機能356は、同意書情報が示す同意書について同意する入力を患者端末20が受け付けた場合に、同意書情報と同意したことを示す入力結果とを関連付けて記憶する。なお、同意書生成機能356は、同意書情報を印字出力させてもよい。そして、医療機関は、印字出力された同意書を用いて、患者から同意を取得してもよい。
【0060】
意向通知機能357は、患者が同意した内容を技師等の医療従事者に通知する。さらに詳しくは、意向通知機能357は、患者が同意した内容を技師が使用する情報処理装置に送信する。これにより、意向通知機能357は、患者が同意した内容の処置を医療従事者に実施させる。
【0061】
次に、医用情報処理装置30が実行する処理について説明する。
【0062】
図4は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30が実行するデータベース生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
データベース生成機能351は、参考資料情報を取得する(ステップS11)。
【0064】
データベース生成機能351は、取得した参考資料情報の内容が対象にしている国、地域、民族、宗教等の集団を特定する(ステップS12)。
【0065】
データベース生成機能351は、取得した参照資料情報と、識別した集団を示す集団識別情報とを関連付けて参考資料データベース341に登録する(ステップS13)。
【0066】
データベース生成機能351は、処置データベース343に登録する処置の各手順の作業内容を取得する(ステップS14)。
【0067】
データベース生成機能351は、参考資料データベース341から、処置データベース343の各種情報を抽出する(ステップS15)。すなわち、データベース生成機能351は、処置の手順、各手順の作業内容、作業内容に対する確認事項、確認事項が対象にしている集団、確認事項が拒否された場合に行う代替事項、及び重要度を抽出する。
【0068】
翻訳機能354は、翻訳データベース342に基づいて、データベース生成機能351により抽出された各種情報を日本語に翻訳する(ステップS16)。
【0069】
データベース生成機能351は、処置の各手順の作業内容と、翻訳機能354により翻訳された各種情報と、を関連付けて処置データベース343に登録する(ステップS17)。
【0070】
以上により、医用情報処理装置30は、データベース生成処理を終了する。
【0071】
図5は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30が実行する同意書生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
患者情報取得機能352は、患者に対する処置、及び患者が所属する集団を示す集団識別情報を取得する(ステップS21)。
【0073】
確認事項取得機能353は、処理の各手順の各種情報を取得する(ステップS22)。すなわち、確認事項取得機能353は、処理の各手順の作業内容、確認事項、代替案、及び重要度を取得する。
【0074】
翻訳機能354は、確認事項取得機能353により取得された各種情報を、患者が所属する集団の言語に翻訳する(ステップS23)。
【0075】
同意取得機能355は、確認事項取得機能353により取得された各種情報であって、翻訳機能354により翻訳された各種情報を用いて、意向確認画像G1を生成する(ステップS24)。
【0076】
同意取得機能355は、確認事項の全てについて同意されたか否かを判定する(ステップS25)。拒否された確認事項が有る場合に(ステップS25;No)、同意取得機能355は、拒否された確認事項の重要度が禁止であるか否かを判定する(ステップS26)。
【0077】
拒否された確認事項の重要度が注意の場合に(ステップS26;No)、同意取得機能355は、代替事項に登録された作業内容の必要性を示す内容を表示する(ステップS27)。そして、同意取得機能355は、ステップS25において同意するか否かの操作を受け付ける。
【0078】
拒否された確認事項の重要度が禁止の場合に(ステップS26;Yes)、同意取得機能355は、確認事項が拒否された場合に実施する代替案が代替事項に登録されているか否かを判定する(ステップS28)。
【0079】
代替案が代替事項に登録されている場合に(ステップS28;No)、同意取得機能355は、手順の作業内容として、代替事項に登録された代替案を表示する(ステップS29)。そして、同意取得機能355は、ステップS25において同意するか否かの操作を受け付ける。
【0080】
代替案が代替事項に登録されていない場合に(ステップS28;Yes)、患者情報取得機能352は、ステップS21において当初の処置の代替として実施する処置を取得する。更に当初の処置の代替として実施する処置が見つからなかった場合には、患者情報取得機能352は、他の受け入れ可能な医療機関に紹介することとしてもよい。更に詳しくは、患者情報取得機能352は、医療機関と、この医療機関が実施可能な処置とが関連付けられた医療機関一覧情報に基づいて、代替の処置を実施する医療機関を特定する。そして、患者情報取得機能352は、特定された医療機関に関する情報を出力する。例えば、患者情報取得機能352は、表示や印字により出力する。
【0081】
ステップS25において、確認事項の全てについて同意された場合に(ステップS25;Yes)、同意書生成機能356は、処置の各手順について同意された作業内容を示す同意書情報を出力する(ステップS30)。例えば、同意書生成機能356は、生成した同意書情報を患者端末20に表示する。
【0082】
意向通知機能357は、処置の各手順について同意された作業内容を有する同意内容情報を、処置を行う医療従事者に送信する(ステップS31)。
【0083】
以上により、医用情報処理装置30は、同意書生成処理を終了する。
【0084】
以上のように、第1の実施形態に係る医用情報処理装置30は、患者に対する処置と、患者が所属する集団を示す集団識別情報を取得する。また、医用情報処理装置30は、処置の各手順の作業内容に関する前記集団に応じた確認事項が登録された処置データベース343に基づいて、処置及び集団識別情報により特定される確認事項を患者端末20に表示する。そして、医用情報処理装置30は、患者端末20を介して、確認事項に対して同意するか否かを受け付ける。このように、医用情報処理装置30は、患者が所属する国、地域、民族、宗教等の集団に応じた確認事項に対して同意するか否かを受け付ける。したがって、医用情報処理装置30は、患者に適した確認事項に関して患者から同意を得ることを支援することができる。
【0085】
(変形例1)
第1の実施形態において、医用情報処理装置30は、参考資料データベース341、翻訳データベース342、及び処置データベース343を記憶すると説明した。しかしながら、参考資料データベース341、翻訳データベース342、及び処置データベース343の全部又は一部は、医用情報処理装置30に限らず、病院情報システム10が記憶していてもよいし、患者端末20が記憶していてもよいし、他の装置が記憶していてもよい。さらに、参考資料データベース341、翻訳データベース342、及び処置データベース343は、細分化して、複数の装置に記憶されてもよい。
【0086】
また、医用情報処理装置30は、データベース生成機能351、患者情報取得機能352、確認事項取得機能353、翻訳機能354、同意取得機能355、同意書生成機能356、及び意向通知機能357を有すると説明した。しかしながら、データベース生成機能351、患者情報取得機能352、確認事項取得機能353、翻訳機能354、同意取得機能355、同意書生成機能356、及び意向通知機能357の全部又は一部は、医用情報処理装置30に限らず、病院情報システム10が有していてもよいし、患者端末20が有していてもよいし、他の装置が有していてもよい。
【0087】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、患者に適した確認事項に関して患者から同意を得ることを支援することができる。
【0088】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1 同意取得支援システム
10 病院情報システム(HIS:Hospital Information System)
20 患者端末
30 医用情報処理装置
40 ネットワーク
31 NW(ネットワーク)インターフェース
32 入力インターフェース
33 ディスプレイ
34 記憶回路
35 処理回路
341 参考資料データベース
342 翻訳データベース
343 処置データベース
351 データベース生成機能
352 患者情報取得機能
353 確認事項取得機能
354 翻訳機能
355 同意取得機能
356 同意書生成機能
357 意向通知機能
G1 意向確認画像
G11 一覧画像
G12 完了ボタン