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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011481
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】吸引式トイレ便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/10 20060101AFI20250117BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20250117BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
E03D5/10
E03D11/02 A
E03D9/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113622
(22)【出願日】2023-07-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】712001195
【氏名又は名称】岡本 應守
(72)【発明者】
【氏名】岡本 應守
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D038AA02
2D038AA03
2D039AA02
2D039AC00
2D039AC06
2D039AD04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】節水機能がさらに向上し、換気能力や除湿能力が強化され、使用毎に発生する汚物や飛沫ハネ等を含む汚れの付着を常時抑制されて清掃作業の負担を軽減、精神衛生上良好な環境に改善、清潔を維持することができる吸引式トイレを提供する。
【解決手段】S字トラップ周辺に吸引機8と吸引口13を、汚水用排水管14の下側に配管内を開閉するトイレ用フラッパー弁11を設置し、吸引機8の吸引力を持って汚物並びに汚水を排水する。トイレ便器1の周辺には外気取込口を設置し、外気や湿気を吸引機8から送気用の排気管10を通じて汚水用排水管14へ排出する。次に、液体洗剤を蓄える洗剤タンク15と、洗剤タンク15から液体洗剤をトイレ便器1の溜水面6若しくは給水配管19内に直接送り込む送液管16と、液体洗剤入りの水溶液内を振動させて泡膜層を発生させる装置17を設置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水用排水管のS字トラップ周辺に、吸引機と吸引口を設置しているトイレ便器であって、前記吸引機の吸引力を持って汚物並びに汚水を排出することができることを特徴とする吸引式トイレ便器。
【請求項2】
液体洗剤と、前記液体洗剤を蓄える洗剤タンクと、前記洗剤タンクから前記液体洗剤をトイレ便器の溜水面若しくは給水配管内に直接送り込む送液管を設置していることを特徴とする請求項1に記載した吸引式トイレ便器。
【請求項3】
トイレ便器の前記溜水面若しくは前記給水配管内の水溶液内を振動させて泡膜層を発生させる装置を設置していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した吸引式トイレ便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引式トイレ便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に使用しているトイレ便器について、トイレ便器自体の機能は進化してきているが、節水機能の現状については極限状態まで来ている。
【0003】
これから更なる節水機能を向上するために、新たにトイレ便器自体の構造を見直す必要になってきている状態である。特に流水力だけに頼るのではなく、新たな力を用いて、排水作業をする必要がある。
【0004】
特許文献1に開示された内容やその他類似したもの(最近の溜水面の広い特に貯水タンク無しトイレ便器が主体)は、従来品(溜水面の狭い洗い落し式トイレ便器)と異なり、貯水タンク内にある水を流水力で排水する方法を、ボウル内にある滞水量と一部新たな給水で排水作業を行っている内容である。そのため、現在の形状ではこれ以上の節水対策は望めない状態である。溜水面の広いトイレ便器は、ボウル内の溜水量が貯水タンクの役割も兼ねている。
【0005】
特許文献1に近いトイレ便器(溜水面が広くボウル内の溜水自体が貯水タンクも兼任しているトイレ便器)は、溜水面の狭い洗い落し式トイレ便器と異なりボウル内の水位は高いことにより、トイレを着席で使用しても特に便座裏周辺に飛沫等の汚れ付着が目立っている。ある意味において、溜水量が多いことがその原因となっている状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08-060730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように一般的に使用しているトイレ便器について、トイレ便器自体の機能は進化してきているが、節水機能の現状については極限の状態まで来ている。
【0008】
本発明は、上述の問題点を鑑みなされたものであり、現状の流水に頼る排水作業だけでなく、吸引力を利用した排水作業を行うことによって、更なる節水機能を向上させると吸引力の応用、並びに長期の清潔感を維持することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、前記汚水用排水管のS字トラップ周辺に、前記吸引機と前記吸引口を設置しているトイレ便器であって、流水力による排水だけでなく、前記吸引機の吸引力を持って汚物並びに汚水を排水することができる。詳細な内容としては、図2から図4で示すように、S字トラップ周辺に前記吸引機と前記吸引口を設置する以外に、前記汚水用排水管の下側に配管内を開閉するトイレ用フラッパー弁を設置していることを特徴とするものである。尚、前記吸引機については、吸引能力の高い掃除機などで使用されているモーターとファンを利用した吸引機やバキューム機能を利用したポンプや集塵機で使用されている吸引機を設置する方法が望ましい。前記吸引機の設置場所についても、図2から図4で示す位置に設置するのが望ましいが、場合によってはトイレ便器の外側(S字トラップ周辺外)に設置することも可能である。また前記吸引機から排出される空気については、前記吸引機から送気用の前記排気管を通じて前記汚水用排水管へ排出される。
【0010】
本発明においては、前記吸引機が設置されていることにより、その吸引力を用いて主に使用後の臭気を速やかに外部へ排出することでも活用することができて、また定期的に室内の換気や除湿も同様に行うことができる上で、更に給水作業や換気作業で発生する騒音時間を短縮抑制することができる。詳細な内容としては、トイレ便器の周辺に外気取込口を設置して、前記外気取込口と前記吸引機を繋ぐ配管を複数設けていることと、その外気や湿気を前記吸引機から前記汚水用排水管へ排出される送気用の前記排気管を設置していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した吸引式トイレである。
【0011】
本発明においては、前記液体洗剤と、前記液体洗剤を蓄える前記洗剤タンクと、前記洗剤タンクから前記液体洗剤をトイレ便器の溜水面若しくは前記給水配管内に直接送り込む前記送液管と、液体洗剤入りの水溶液内を振動させて泡膜層を発生させる装置(以下、泡膜発生装置で表記)を設置している。詳細な内容としては、図1並びに図2に示しているように前記洗剤タンク、前記送液管、前記振動させる装置を設置して、トイレ使用前に溜水面上に泡膜層を製造することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した吸引式トイレが望ましい。尚、振動させる装置については、電動歯ブラシや携帯電話でも使用されている小型のバイブレーターやマドラー型のビアフォーマー等の一部を直接溜水体積内に設置する方法やトイレ便器の溜水体積の外郭部(トイレ便器のボウルの外側)に振動させる装置を設置して、伝導による振動で泡膜層を発生させる方法が望ましい。また振動させる装置の直接溜水体積内に設置する場合については、図1並びに図2に示しているように汚物等の汚れ付着の少ない縦溝先端辺りに設置するのが無難(概ね小水のみが掛かる位)である。
【0012】
本発明においては、まず吸引力による節水で既存品より大幅に溜水面や溜水体積が縮小するのを更にトイレ便器内の形状変更で削減することにより、汚物等の汚れの付着防止策を新たに行う必要がある。詳細な内容は、図1図2図5に示しているような縦溝を前記排水口周辺に設置していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した吸引式トイレ便器が望ましい。特に段落番号0011で述べられている前記泡膜発生装置を設置していることにより、汚物や汚水から発生する臭気、使用時の音の抑制、溜水面の高さが便座からの距離と近いことでも発生する飛沫の汚れ付着防止と前記縦溝の無い溜水面の狭い洗い落し式トイレ便器と異なり、汚物等の汚れの付着がトイレ便器の素材(便器自体の被膜)以外で防止することができる。また溜水面が広くボウル内の溜水自体が貯水タンクも兼任しているトイレ便器よりも溜水面が狭いことにより、重厚な泡膜層が長期に渡って維持(振動装置をトイレ使用前に稼働することで)できるので、着席使用時においても汚物等や飛沫の汚れ付着防止の役割を果たすことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果は、貯水タンク付きの溜水面の狭い洗い落し式トイレ便器や溜水面が広くボウル内の溜水自体が貯水タンクも兼任しているトイレ便器と異なり、さらに節水能力が向上するという効果を奏する。既存品は流水力による排水作業が主体であるが、本件においては前記吸引機の吸引力を主体とするために、排水作業に必要な水使用量(溜水体積分も含む)を減らすことができる。
【0014】
段落番号0013で述べられていることにより、貯水タンクの大きさ自体を小型化若しくはタンク不要にすることができる。
【0015】
既存品の一部には、トイレ便器周辺にも小型のファン等が設置しているものが存在して、一部消臭機能として設置しているが、本件は臭気の発生源周辺に汚物等の固体や汚水等の液体を吸引する前記吸引機が設置しているので、前記吸引機を消臭並びに換気の機能でも別利用することができる。それにより、消臭並びに換気を短時間で行うことができるという効果を奏する。また既存品は主に換気扇を使用しているが、こちらも天井周辺に設置されている換気扇との設置位置が全く異なることで、稼働率の面からも活躍が期待できる。但し、前記吸引機の能力を生かせるために、トイレ使用後の排出作業と同時(吸引能力が大幅に低下する場合)での使用はできないようにすることもある。
【0016】
前記吸引機を消臭並びに換気の機能で用いることにより、特に高層階の建物に存在する問題であるが、トイレの換気用窓自体が無い物件が多いことにより、常時または定期的に換気扇を使用して換気しなければ、湿気によるカビや雑菌等の発生や室内の使用を含む出入りに伴う埃の流入が存在する。本件は段落番号0015でも述べたように、吸引能力が換気扇に比べて高いこと並びに設置位置が臭気の発生源に近いことにより、段落番号0015以外に湿気や埃等の除去もできるという効果を奏する。既存のトイレの場合は、段落番号0015も含めて基本換気扇のみに頼っているのが現状であり、その換気扇の稼働率(負荷)を低下と新たな選択肢が増えるという効果を奏する。本件は換気窓設置が出来ない高層階建物物件には理想的である。
【0017】
本件のトイレ便器の形状が、貯水タンク付きの溜水面の狭い洗い落し式トイレ便器や溜水面が広くボウル内の溜水自体が貯水タンクも兼任しているトイレ便器の中間(本件は、主に汚物を排出されるであろう箇所(位置)周辺に溜水面や溜水体積が集中している)になるために、前者の場合であれば、特にトイレ便器への汚物等の汚れ付着の防止が、後者の場合であれば、更なる節水の向上以外に飛沫の汚れ付着の防止(溜水面が広い便器の場合は、溜水面の高さが便座からの距離と近いこともあり、着席使用時も含めて、特に便座裏等に飛沫汚れの付着がある)がトイレ便器の形状(縦溝設置)と泡膜発生装置の搭載で、トイレ便器の素材(便器自体の被膜)以外でも防止対策が期待できるという効果を奏する。
【0018】
溜水面が広くボウル内の溜水自体が貯水タンクも兼任しているトイレ便器は、溜水面の関係で軽薄な泡膜層となり、長時間の維持が困難である。本件のトイレ便器は、図1で示すように溜水面が狭い(特に横が大幅に狭い楕円形)ことにより、重厚な泡膜層となり、清潔面で長時間維持することが期待できるという効果を奏する。
【0019】
段落番号0015から段落番号0018で述べられているのと一部重なることがあるが、液体洗剤入り水溶液の溜水であることにより、雑菌等の発生が抑制できるという効果を奏する。また吸引機による換気並び除湿作業を行うことから、カビ等の発生も抑制できるという効果も奏する。
【0020】
重厚な泡膜層があることで飛沫防止以外に、汚物等の臭気やトイレ使用時に発生する音の抑制ができるという効果も奏する。
【0021】
本件においては、重厚な泡膜層を使用しているため、泡膜層自体が汚れや飛沫の付着防止対策以外に、溜水面の汚水全体を覆う蓋の役割も担っている。本件においては、前記吸引機の吸引力を主体とするために、汚水の吸引終了間際に前記排水口からの外気流入を泡膜層自体で遮断することができる。そのため前記排水口周辺の汚染溜水も効率よく吸引することが期待できるという効果を奏する。
【0022】
既存品の一部では、製造方法が異なる(流水力による製造)泡膜で飛沫防止を行っているが、泡膜層が軽薄なときは泡切れが良いが、飛沫の汚れの付着が多く、重厚なときは飛沫の汚れの付着が少ないが、泡切れが悪い。しかし本件においては、常時重厚な泡膜層が溜水面上を覆い、飛沫の汚れの付着が防止出来て、段落番号0021でも述べているように、前記排水口からの外気流入の前に重厚な泡膜層が吸引されるので、泡切れが良く、濯ぎ作業の負担軽減が期待できるという効果を奏する。
【0023】
一部の既存品は、高層階の建物内に設置する場合、排水作業に必要な水圧も考慮する必要があるが、本件においては前記吸引機の吸引力を主体とするために、低水圧であっても支障にならないという効果を奏する。
【0024】
既存品のトイレ使用後は、貯水タンクへの給水作業や消臭等における換気扇による換気作業で騒音が長時間に亘って発生するが、本件においては前記吸引機の吸引力を主体とするために、給水作業時間並びに換気作業時間で発生する騒音時間を大幅に短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、図1図5は、本発明に係る吸引式トイレ便器の構成例を示す図面である。

図1】本発明に係る吸引式トイレ便器の上面図。
図2】本発明に係る吸引式トイレ便器のB-B断面図。
図3】本発明に係る吸引式トイレ便器のB-B断面図。
図4】本発明に係る吸引式トイレ便器のB-B断面図。
図5】本発明に係る吸引式トイレ便器のA-A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
汚水用排水管14のS字トラップ周辺に、吸引機8と吸引口13を設置しているトイレ便器1であって、流水力による排水だけでなく、吸引機8の吸引力を持って汚物並びに汚水12を排水することができる。詳細な内容としては、図2から図4で示すように、S字トラップ周辺に吸引機8と吸引口13を設置する以外に、汚水用排水管14の下側に配管内を開閉するトイレ用フラッパー弁11を設置している。次に吸引機8が設置されていることにより、その吸引力を用いて主に使用後の臭気を速やかに外部へ排出することができて、定期的に室内の換気や除湿も同様に行うことができる上で、更に給水や換気で発生する騒音時間を短縮抑制することができる。詳細な内容としては、トイレ便器1の周辺に外気取込口18を設置して、外気取込口18と吸引機8を繋ぐ配管(トイレ便器1の便座3下の台内に埋設)を複数設けていることと、その外気や湿気を吸引機8から汚水用排水管14へ排出される送気用の排気管10を別で設置している。その次に液体洗剤と、液体洗剤を蓄える洗剤タンク15と、洗剤タンク15から液体洗剤をトイレ便器1の溜水面若しくは給水配管19内に直接送り込む送液管16と、液体洗剤入りの水溶液内を振動させて泡膜層を発生させる装置17(以下、泡膜発生装置で表記)を設置している。最後に本件は、吸引力による節水で既存品より大幅に溜水面6や溜水体積7が縮小するのを更にトイレ便器1内の形状変更で削減することにより、汚物等の汚れの付着防止策を新たに行う必要がある。その対策としての詳細な内容は、図1図2図5に示しているような縦溝部分4を排水口5周辺に設置している。以下からの説明は、主として通常の吸引式トイレの形態に関するものである。
【0027】
吸引機8については、トイレ使用後の排水作業(溜水内の汚水12を汚水一時貯蔵庫9に移送)に作動する。ただ図2で示すように汚水一時貯蔵庫9の底が開放されていることにより、汚水用排水管14内の外気が汚水一時貯蔵庫9内で対流するだけであるため、まずは、汚水用排水管14の外気の流入を遮断するため、汚水用排水管14の下側に設置しているトイレ用フラッパー弁11を使用して閉鎖する。その後吸引機8が作動して、吸引口13より汚水一時貯蔵庫9内の空気を吸引して、汚水一時貯蔵庫9内の気圧を低下させて汚水12を吸引させる。尚、吸引機8については、吸引能力の高い掃除機などで使用されているモーターとファンを利用した吸引機やバキューム機能を利用したポンプや集塵機で使用されている吸引機を設置する方法が望ましい。吸引機8の設置場所についても、図2から図4で示す位置に設置するのが望ましいが、場合によってはトイレ便器1の外側(S字トラップ周辺外)に設置することも可能である。また吸引機8から排出される空気については、吸引機8から送気用排気管10を通じて汚水用排水管14へ排出される。
【0028】
トイレ使用後の排出作業については、汚水12が汚水一時貯蔵庫9に吸引力で移送(図2から図3参照)することにより、溜水面6が低下して、排水口5周辺の溜水量7(汚水12)が入れ替えに近い状態になる。その移送時間の経過と共に、溜水面6の低下から排水口5周辺の残留汚水12の吸引よりも排水口5からの外気が優先的に吸引される可能性が発生する。排水口5周辺の残留汚水12を優先的に吸引させるために、外気を別途遮断する必要があり、その対策としては、トイレ使用前に泡膜発生装置で発生させた重厚な泡膜層を再利用(飛沫や汚れ付着防止以外で)して、排水口5からの外気を遮断(残留汚水12と外気の間に排出作業で残った泡膜層を挟んで、残留汚水12と泡膜層を一緒に吸引)する。
【0029】
吸引機8については、汚水12の移送吸引だけでなく、その吸引力を用いて消臭換気や除湿作業でも利用する。既存トイレの一部で設置している小型ファンや換気扇の役割も兼ねている。臭気や湿気の発生源であるトイレ便器1の近辺に設置することで、効率よく外部に排出することができる。経路としては図1図2図5に示してあるように、トイレ便器1周辺に外気取込口18を設置して、外気取込口18と吸引機8を繋ぐ配管(トイレ便器1の便座3下の台内に埋設)を複数設けて、吸引機8からの排出は汚水用排水管14へ繋がる送気用の排気管10が設置している。この経路で消臭換気作業だけでなく、常時または定期的に除湿作業も行う。
【0030】
本件の排出作業は吸引力が主体であることにより、排水作業で要する水の総使用量の低下以外に、換気作業による位置的有利(天井周辺に取り付けている換気扇)により、給水に要する時間、換気に要する時間が大幅に短縮されて、各作業で発生する騒音も抑制される。但し、吸引機8の能力を生かせるために、トイレ使用後の排出作業と同時(吸引能力が大幅に低下する場合)での使用はできないようにすることもある。そのために吸引機8の先端(吸引口13や外気取込口18との接続部分)を使用用途に応じて、吸引口13または外気取込口18に切替れるようにする。
【0031】
飛沫の汚れ付着の防止対策と、使用後のトイレ便器1における臭気やトイレ使用時の音については、泡膜発生装置の設置により、防止並び抑制される。また溜水面6が狭くなることで、泡膜層自体も重厚となり、まず泡膜層の長時間維持と上述の能力が更に向上する。尚、振動させる装置17については、電動歯ブラシや携帯電話でも使用されている小型のバイブレーターやマドラー型のビアフォーマー等の一部を直接溜水体積7内に設置する方法やトイレ便器1の溜水体積7の外郭部(トイレ便器1のボウルの外側)に振動させる装置17を設置して、伝導による振動で泡膜層を発生させる方法が望ましい。
【0032】
まず溜水面が広くボウル内の溜水自体が貯水タンクも兼任しているトイレ便器1が生まれた理由は諸説ありますが、主に汚物等の汚れがトイレ便器1内に付着するのを防止、臭気を溜水内だけで抑制、貯水タンクの代用品(トイレ自体の質量やデザイン性重視)と認識しております。そのため有効性もありました。しかしその反面有効性が活かせなかったのが、飛沫の汚れ付着が多い面になります。飛沫の汚れ付着が多い理由は、溜水面の高さが便座からの距離と近いことも一因であるため、本件はその対策として段落番号0031で述べている。しかし本件は、吸引力だけでなくトイレ便器1内の形状を一部変更することで更なる節水能力を高めているが、その反面溜水面6並びに溜水体積7自体が縮小することで汚物等の汚れ付着の可能性がある。よってその防止策として、汚れ付着の可能性が高い箇所に縦溝部分4を設置して、可能性が低い箇所(特に溜水面6の両端)は、溜水面6並びに溜水体積7の縮小対象の構造となっている。
【実施例0033】
以下、通常の吸引式トイレ便器の実施例に関する説明である。基本的には図2から図4に示すような流れで実施される。詳細な内容としては、汚水用排水管14のS字トラップ周辺に吸引機8と吸引口13を設置する以外に、汚水用排水管14の下側に配管内を開閉するトイレ用フラッパー弁11を設置している。次に吸引機8が設置されていることにより、その吸引力を用いて主に使用後の臭気を速やかに外部へ排出することができて、定期的に室内の換気や除湿も同様に行うことができる上で、更に給水や換気で発生する騒音時間を短縮抑制することができる。詳細な内容としては、トイレ便器1の周辺に外気取込口18を設置して、外気取込口18と吸引機8を繋ぐ配管(トイレ便器1の便座3下の台内に埋設)を複数設けていることと、その外気や湿気を吸引機8から汚水用排水管14へ排出される送気用の排気管10を別で設置している。その次に液体洗剤と、液体洗剤を蓄える洗剤タンク15と、洗剤タンク15から液体洗剤をトイレ便器1の溜水面6若しくは給水配管19内に直接送り込む送液管16と、液体洗剤入りの水溶液内を振動させて泡膜層を発生させる装置17(以下、泡膜発生装置で表記)を設置している。最後に本件は、吸引力による節水で既存品より大幅に溜水面6や溜水体積7が縮小するのを更にトイレ便器1内の形状変更で削減することにより、汚物等の汚れの付着防止策を新たに行う必要がある。その対策としての詳細な内容は、図1図2図5に示しているような縦溝部分4を排水口5周辺に設置していることからなっている。
【0034】
使用者がトイレに入室すると、便座蓋2を開放するのに合わせて、泡膜発生装置17が一定時間作動する。溜水面6上には、前の使用後に投入された液体洗剤入りの水溶液が溜まっている状態であり、そこに電動歯ブラシや携帯電話でも使用されている小型のバイブレーターやマドラー型のビアフォーマーなどの一部を直接溜水体積7内に設置して振動させる方法やトイレ便器1の溜水体積7の外郭部(トイレ便器1のボウルの外側)に振動させる装置17を設置して、伝導による振動で泡膜層が発生する。
【0035】
使用者がトイレを使用(用を足す)した後に、手動や人感センサー若しくは操作盤等で排水作業が行われる。まずはトイレ用フラッパー弁11が上昇して、汚水一時貯蔵庫9の底部分が閉鎖する。その後吸引機8が作動する。
【0036】
吸引機8が一定時間作動することにより、吸引機8のそばに設置している吸引口13から汚水一時貯蔵庫9内の空気を吸引して、汚水一時貯蔵庫9内の気圧を低下させる。その後トイレボウル内の汚水12が吸引されて汚水一時貯蔵庫9に移動する。尚、吸引時の汚水一時貯蔵庫9内に存在する外気については、吸引機8から送気用の排気管10を通じて汚水用排水管14へ排出する。
【0037】
その後、溜水面6が低下することで、排水口5から新たな外気が流入する可能性があるが、トイレ便器1内の溜水面6上には、重厚な泡膜層があることにより、外気が遮断されて、排水口5や縦溝部分4周辺の残留汚水12が優先的(泡膜層自体が排水口5を蓋をする役割)に移動する。
【0038】
汚水12が汚水一時貯蔵庫9に移動完了後、吸引機8が停止して、トイレ用フラッパー弁11が下降して、汚水一時貯蔵庫9の底部分が開放されて排水作業が行われる。
【0039】
それから貯水タンク(または給水装置)より水が放出(溜水体積以上)されて、流水力でトイレ便器1ボウル内側全体の洗浄作業を行う。一部の水が濯ぎとして汚水12を洗浄しながら汚水用排水管14(汚水一時貯蔵庫9の底部分は開放されている)へ排水され、残り給水がトイレ便器1ボウル内側に溜まる。
【0040】
その後送液管16を通じて洗剤タンク15に入っている液体洗剤が、溜水面6に適量投入される。
【0041】
次の使用者がトイレに入室すると、段落番号0034と同じ動作を行う。その後は以下繰り返しになる。
【0042】
通常の排水作業(洗浄作業)とは別になるが、再度吸引機8が常時または定期的に作動して、トイレ便器1周辺に設置している外気取込口18から吸引力でトイレ室内の外気を取り込んで換気作業を行う。換気作業で収容した外気については、吸引機8から送気用の排気管10を通じて汚水用排水管14へ排出する。これにより換気扇の負荷が軽減され、作業で発生する騒音も抑制される。また雑菌の発生が抑制され、埃の除去も定期的にできる。但し、吸引機8の能力を生かせるために、トイレ使用後の排出作業と同時(吸引能力が大幅に低下する場合)での使用はできないようにすることもある。そのために吸引機8の先端(吸引口13や外気取込口18との接続部分)を使用用途に応じて、吸引口13または外気取込口18に切替れるようにする。
【0043】
段落番号0042と同じ動作になるが、吸引機8が常時または定期的に作動して、トイレ便器1周辺に設置している外気取込口18から吸引力でトイレ室内の湿気を取り込んで除湿作業を行う。除湿作業で収容した湿気についても、吸引機8から送気用の排気管10を通じて汚水用排水管14へ排出する。これにより換気扇の負荷が軽減され、作業で発生する騒音も抑制される。またカビの発生も抑制される。但し、吸引機8の能力を生かせるために、トイレ使用後の排出作業と同時(吸引能力が大幅に低下する場合)での使用はできないようにすることもある。そのために吸引機8の先端(吸引口13や外気取込口18との接続部分)を使用用途に応じて、吸引口13または外気取込口18に切替れるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明による産業上の利用される可能性としては、従来品より機能が強化並びに進化しており、利便性がある。また従来品に本発明の機能を一部追加設置することで、従来品自体も進化または強化される。
【符号の説明】
【0045】
1 : トイレ便器
2 : 便座蓋
3 : 便座
4 : 縦溝部分
5 : 排水口
6 : 溜水面
7 : 溜水体積(溜水量)
8 : 吸引機
9 : 汚水一時貯蔵庫
10 : 排気管
11 : トイレ用フラッパー弁(汚水管用)
12 : 汚水
13 : 吸引口
14 : 汚水用排水管
15 : 液体洗剤及び洗剤タンク
16 : 送液管
17 : 振動装置(泡膜発生装置)
18 : 外気取込口
19 : 給水配管
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引口はボウルの外部にある汚水用排水管のS字トラップの下流側の上方部に、吸引機は前記吸引口と同じくトイレ便器の内部または前記トイレ便器の外部に設置されると共に、トイレ用フラッパー弁は前記S字トラップの下流側の汚水配管途中に設置され、液体洗剤と前記液体洗剤を蓄える洗剤タンク、前記洗剤タンクから前記液体洗剤を前記トイレ便器の溜水面または給水配管内に直接送り込む送液管、前記トイレ便器の前記溜水面または前記給水配管内の水溶液内を振動させて、重厚な泡膜層を発生させる装置を各々設置しており、前記吸引機の吸引力を主軸にして汚物並びに汚水を排出させることを特徴とする吸引式トイレ便器。