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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011484
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】海底鉱床掘削機
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/124 20060101AFI20250117BHJP
   E02F 5/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
E21B7/124
E02F5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113625
(22)【出願日】2023-07-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)経済産業省資源エネルギー庁、令和4年度海洋鉱物資源調査に係るコバルトリッチクラスト用採鉱試験機の設計に向けた技術開発等調査に関する業務、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599112113
【氏名又は名称】株式会社東亜利根ボーリング
(71)【出願人】
【識別番号】504117958
【氏名又は名称】独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】下川 眞男
(72)【発明者】
【氏名】徳永 進
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴史
(72)【発明者】
【氏名】大塚 一弘
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA01
2D129BA03
2D129BA05
2D129CA06
2D129DA11
2D129DC13
(57)【要約】
【課題】不陸形状の海底に対して、取り残しを抑えて効率良く海底資源を回収する。
【解決手段】海底鉱床掘削機は、第一方向に走行可能な掘削機本体に固定された掘削装置と、を備える。前記掘削装置は、前記掘削機本体から前記第一方向に延び、第二方向に離間して配置され、前記掘削機本体に対して鉛直方向に互いに独立して揺動自在とされた一対のアームと、前記第二方向に延びる回転軸周りに回転可能とされて外周面に海底に接触可能なカッタ部が形成され、前記第二方向の両端が一対の前記アームに対して自在継手を介してそれぞれ連結されている掘削ドラムと、前記第二方向の両端が一対の前記アームに対して自在継手を介してそれぞれ連結されているとともに前記第二方向に伸縮可能とされた伸縮ビーム、及び、前記伸縮ビームの伸縮長さが初期長さとなるように付勢するビーム付勢部を有する連結機構と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に走行可能な掘削機本体と、
前記掘削機本体に固定された掘削装置と、を備え、
前記掘削装置は、
前記掘削機本体から前記第一方向に延び、鉛直方向及び前記第一方向に直交する第二方向に離間して配置され、前記掘削機本体に対して前記鉛直方向に互いに独立して揺動自在とされた一対のアームと、
前記第二方向に延びる回転軸周りに回転可能とされて外周面に海底に接触可能なカッタ部が形成され、前記第二方向の両端が一対の前記アームに対して自在継手を介してそれぞれ連結されている掘削ドラムと、
前記第二方向の両端が一対の前記アームに対して自在継手を介してそれぞれ連結されているとともに前記第二方向に伸縮可能とされた伸縮ビーム、及び、前記伸縮ビームの伸縮長さが初期長さとなるように付勢するビーム付勢部を有する連結機構と、
を備える海底鉱床掘削機。
【請求項2】
一対の前記アームの基端は、前記第二方向に延びる仮想軸周りに回転可能に前記掘削機本体にそれぞれ接続されている請求項1に記載の海底鉱床掘削機。
【請求項3】
前記連結機構は、一対の前記アームの先端に接続されて、
前記掘削ドラムは、前記連結機構に対して一対の前記アームの基端に近い位置で、一対の前記アームに連結されている請求項2に記載の海底鉱床掘削機。
【請求項4】
一対の前記アームを前記鉛直方向の下方に付勢するとともに、一対の前記アームに生じる前記鉛直方向の衝撃を緩和するように減衰する減衰部をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の海底鉱床掘削機。
【請求項5】
前記減衰部は、油圧シリンダ及びスプリングダンパを有する請求項4に記載の海底鉱床掘削機。
【請求項6】
前記掘削装置は、前記第二方向に複数配置されている請求項1又は請求項2に記載の海底鉱床掘削機。
【請求項7】
前記掘削装置は、前記第一方向に複数配置され、
前記第一方向に並ぶ前記掘削装置は、前記第二方向に並ぶ他の前記掘削装置に対して位置がずれて配置されている請求項6に記載の海底鉱床掘削機。
【請求項8】
前記掘削ドラムは、前記第二方向から見た際に、反時計回りに回転可能とされている請求項1又は請求項2に記載の海底鉱床掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、海底鉱床掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
海底には、例えば熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガンクラスト、メタンハイドレート等の種々の海底資源が存在している。このような海底資源を採掘する際には、海底鉱床掘削機が使用される。
【0003】
このような海底鉱床掘削機として、例えば、特許文献1には、左右一対のクローラが配置された本体フレームと、本体フレームの先方に掘削ブームを介して上下左右に揺動可能に配置された掘削装置とを備える構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-77526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、海底資源の中でも、例えば、コバルトリッチクラストは、海底の表層部に薄く広く賦存する。そのため、コバルトリッチクラストを採取するには、海底の表層部を一定の深さで浅く掘削する必要がある。しかしながら、海底は、凹凸の多い不陸形状であり、平坦な面となっていない。このような海底では、掘り残しが生じやすく、海底資源の回収残しが多く発生する可能性がある。そのため、不陸形状の海底に対して海底資源を、取り残しを抑えて効率良く回収することが求められている。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、不陸形状の海底に対して、取り残しを抑えて効率良く海底資源を回収する海底鉱床掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る海底鉱床掘削機は、第一方向に走行可能な掘削機本体と、前記掘削機本体に固定された掘削装置と、を備え、前記掘削装置は、前記掘削機本体から前記第一方向に延び、鉛直方向及び前記第一方向に直交する第二方向に離間して配置され、前記掘削機本体に対して前記鉛直方向に互いに独立して揺動自在とされた一対のアームと、前記第二方向に延びる回転軸周りに回転可能とされて外周面に海底に接触可能なカッタ部が形成され、前記第二方向の両端が一対の前記アームに対して自在継手を介してそれぞれ連結されている掘削ドラムと、前記第二方向の両端が一対の前記アームに対して自在継手を介してそれぞれ連結されているとともに前記第二方向に伸縮可能とされた伸縮ビーム、及び、前記伸縮ビームの伸縮長さが初期長さとなるように付勢するビーム付勢部を有する連結機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の海底鉱床掘削機によれば、不陸形状の海底に対して、表層部に一定の深さで広がる海洋資源を、取り残しを抑えて効率良く回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る海底鉱床掘削機を示す模式図である。
図2】本開示の実施形態に係る掘削装置の配置を示す鉛直方向の下方から見た模式図である。
図3】本開示の実施形態に係る掘削装置を示す第二方向から見た模式図である。
図4】本開示の実施形態に係る掘削装置を示す第一方向の後方から見た背面図である。
図5】本開示の実施形態に係る掘削装置がピッチ動作を行っている様子を示す側面図である。
図6】本開示の実施形態に係る掘削装置がロール動作を行っている様子を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本開示による海底鉱床掘削機1を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0011】
(海底鉱床掘削機)
海底鉱床掘削機1は、熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガンクラスト、メタンハイドレート等の海底資源を掘削する機械である。本実施形態の海底鉱床掘削機1は、海底Fの表層(1cm~25cm程度)を覆うコバルトリッチクラストを掘削する。したがって、海底鉱床掘削機1は、海中(特に深海)で運転される。図1に示すように、海底鉱床掘削機1は、掘削機本体2と、掘削装置3と、を備えている。
【0012】
(掘削機本体)
掘削機本体2は、海底Fを走行可能とされている。掘削機本体2は、第一方向D1に走行可能とされている。掘削機本体2は、掘削装置3に対して鉛直方向Dvの上方に配置されている。掘削機本体2は、複数のクローラ21を有している。一対のクローラ21は、第一方向D1に離れて配置されている。
【0013】
なお、本実施形態では、掘削機本体2の走行方向であって、鉛直方向Dvと交差する(本実施形態では直交する)方向を第一方向D1と称する。さらに、第一方向D1の一方であって、掘削機本体2の前進する側を前方D1fと称する。また、第一方向D1の他方であって、前方D1fと反対側の掘削機本体2の後退する側を後方D1rと称する。また、第一方向D1及び鉛直方向Dvと交差する(本実施形態では直交する)掘削機本体2の幅方向を第二方向D2(図2参照)と称する。第一方向D1及び第二方向D2は、掘削機本体2が走行している海底Fの傾きによって、鉛直方向Dvと直交せずに交差した方向となる場合も含まれる。
【0014】
(掘削装置)
掘削装置3は、海底Fの表層を掘削する。掘削装置3は、掘削した後に生じる砂礫土を掘削装置3に対して第一方向D1の後方D1r及び第二方向D2の両側に巻き上げる。掘削装置3は、掘削機本体2に対して、鉛直方向Dvに下方に固定されている。掘削装置3は、第一方向D1において、クローラ21の間に複数(本実施形態では二列)配置されている。図2に示すように、本実施形態の掘削装置3は、第一方向D1だけでなく第二方向D2にも複数配置されている。第一方向D1お及び第二方向D2に並ぶ複数の掘削装置3は、互いに干渉しないように配置されている。第一方向D1に並ぶ掘削装置3は、他の掘削装置3に対して、第二方向D2の位置がずれて配置されている。つまり、複数の掘削装置3は、鉛直方向Dvから見た際に、ジグザクになるように、互いに違いに第一方向D1及び第二方向D2に配置されている。また、第一方向D1の前方D1fに並ぶ掘削装置3(最前列の掘削装置3)は、第二方向D2における掘削機本体2の幅の分だけ、隙間なく配置されている。さらに、第一方向D1の後方D1rに並ぶ掘削装置3(最後列の掘削装置3)は、第二方向D2において、前方D1fの二つの掘削装置3の間に位置するように配置されている。これにより、複数の掘削装置3は、掘削機本体2の下部で、第二方向D2における掘削機本体2の幅の分だけ、隙間なく海底Fを掘削可能とされている。図3及び図4に示すように、本実施形態の掘削装置3は、ベース部4と、一対のアーム5と、少なくとも片側に掘削ドラム6の回転力を受ける機能と第二方向D2に延びる機能を備え且つ第一自在継手60と、掘削ドラム6と、連結機構7と、第二自在継手70と、減衰部8と、を備えている。
【0015】
なお、以下では、海底鉱床掘削機1が水平な海底Fに配置された状態を例に挙げて、掘削装置3の各種構成を説明する。
【0016】
ベース部4は、掘削機本体2の外面である底面20に移動不能な状態で固定可能とされている。ベース部4は、アーム5を回転可能に支持している。ベース部4は、掘削機本体2の底面20から鉛直方向Dvの下方に突出している。ベース部4は、一つのアーム5に対して一つが対応するように配置されている。したがって、本実施形態では二つのベース部4が掘削機本体2に第二方向D2に離れて固定されている。
【0017】
一対のアーム5は、掘削機本体2から第一方向D1に延びている。一対のアーム5は、掘削機本体2に対して、第二方向D2に離間して配置されている。一対のアーム5は、掘削機本体2に対して鉛直方向Dvに互いに独立して揺動自在とされている。一対のアーム5は、掘削ドラム6を揺動自在に保持している。また、一対のアーム5の基端は、第二方向D2に延びる第一仮想軸O1周りに回転可能に掘削機本体2にそれぞれ接続されている。本実施形態のアーム5は、アーム本体51と、ドラム保持部52とを有している。
【0018】
アーム本体51の基端は、ベース部4に対して、第二方向D2に延びる第一仮想軸O1回りに回転可能に支持されている。アーム本体51は、ベース部4から第一方向D1の後方D1rに向かって延びている。したがって、アーム本体51では、基端に対して第一方向D1の後方D1rに位置する先端が、第一仮想軸O1を中心に回転するように、鉛直方向Dvに移動可能とされている。
【0019】
ドラム保持部52は、アーム本体51から鉛直方向Dvの下方に向かって延びている。ドラム保持部52は、第一方向D1において、アーム本体51の中間部から延びている。ドラム保持部52は、第一自在継手60を介して、掘削ドラム6を回転自在に支持している。したがって、ドラム保持部52は、掘削ドラム6を任意の角度に変化させるように、掘削ドラム6に連結されている。
【0020】
掘削ドラム6は、回転によって海底Fの表層を掘削する。掘削ドラム6は、第二方向D2に延びる回転軸O周りに回転可能とされている。掘削ドラム6の外周面には、海底Fに接触可能なビット62が形成されている。掘削ドラム6の第二方向D2の両端は、一対のアーム5に対して、第一自在継手60を介して、それぞれ連結されている。本実施形態の掘削ドラム6は、回転ドラム61と、ビット62とを有している。
【0021】
回転ドラム61は、回転軸Oを中心に回転駆動される。回転ドラム61は、回転軸Oを中心とした円柱状に形成されている。回転ドラム61は、モータ(不図示)によって、回転軸Oを中心として時計回り及び反時計回りのいずれの方向にも回転可能とされている。つまり、回転ドラム61は、いずれの回転方向に回転しても海底Fの表層を掘削可能とされている。特に、回転ドラム61は、第二方向D2から見た際に、反時計回りに回転すると、コバルトリッチのような脆い岩石を有する海底Fに対して、粒のそろった粒度で表層の鉱石のみを掘削可能となる。また、回転ドラム61の端部は、ドラム保持部52に対して、第一自在継手60を介して、回転自在に支持されている。つまり、回転ドラム61の両端は、第一自在継手60によって、異なるドラム保持部52に対して、任意の角度に変化可能な状態で支持されている。これにより、回転ドラム61は、第二方向D2に離れた一対のドラム保持部52の間で、回転軸Oが第二方向D2及び鉛直方向Dvに傾斜するように移動可能とされている。
【0022】
ビット62は、海底Fと接触することで、海底Fを掘削する。ビット62は、回転ドラム61の周囲に複数装着されているカッタ部である。ビット62は、回転ドラム61の外周面から外側に向かって突出するように配置されている。
【0023】
連結機構7は、一対のアーム5に対して第二自在継手70を介してそれぞれ回転自在な状態で連結されている。連結機構7は、一対のアーム5の先端に接続されている。連結機構7は、一対のアーム本体51の先端が鉛直方向Dvで互いに異なる位置に配置されても、一対のアーム5が連結された状態を常に維持する。本実施形態の連結機構7は、伸縮ビーム71と、ビーム付勢部72とを有する。
【0024】
伸縮ビーム71は、第二方向D2に伸縮可能とされている。伸縮ビーム71の第二方向D2の両端は、一対のアーム5に連結されている。伸縮ビーム71の第二方向D2の端部は、それぞれ、アーム本体51の先端に対して第二自在継手70を介して連結されている。アーム本体51の先端は、アーム5における第一方向D1での先端である。したがって、伸縮ビーム71は、一対のアーム本体51の先端の鉛直方向Dvの位置がずれていても、一対のアーム本体51の先端の位置に追従するように伸縮する。本実施形態の伸縮ビーム71は、第一ビーム部材711と、第二ビーム部材712とを有している。第一ビーム部材711と第二ビーム部材712とは第二方向D2に相対移動可能な状態で連結されている。第一ビーム部材711は、第二ビーム部材712と連結されていない端部が第二自在継手70によって、一方のアーム本体51の先端に連結されている。第二ビーム部材712は、第一ビーム部材711と連結されていない端部が、第一連結部材と接続されていない他方のアーム本体51の先端に連結されている。
【0025】
ビーム付勢部72は、伸縮ビーム71の伸縮長さが初期長さとなるように付勢している。ビーム付勢部72は、伸縮ビーム71を第二方向D2において延びる方向と縮む方向との両方に付勢している。ビーム付勢部72は、伸縮ビーム71に固定されている。本実施形態のビーム付勢部72は、第一付勢部721と、第二付勢部722と、第三付勢部723とを有している。
【0026】
第一付勢部721と、第二付勢部722と、第三付勢部723とは、それぞれ独立して伸縮ビーム71を付勢している。第一付勢部721、第二付勢部722、及び第三付勢部723は、スプリングダンパである。第一付勢部721、第二付勢部722、及び第三付勢部723の一方の端部は、第一ビーム部材711にそれぞれ接続されている。第一付勢部721、第二付勢部722、及び第三付勢部723の他方の端部は、第二ビーム部材712にそれぞれ接続されている。具体的には、第一付勢部721、第二付勢部722、及び第三付勢部723は、全体として、第一ビーム部材711及び第二ビーム部材712を第二方向D2で近づく方向と離れる方向との両方に付勢している。具体的には、第一付勢部721は、第一ビーム部材711及び第二ビーム部材712を第二方向D2で離れる方向に付勢している。逆に、第二付勢部722及び第三付勢部723は、第一ビーム部材711及び第二ビーム部材712を第二方向D2で近づく方向に付勢している。
【0027】
減衰部8は、一対のアーム5に生じる鉛直方向Dvの衝撃を緩和するように減衰する。減衰部8は、一対のアーム5を鉛直方向Dvの下方に付勢している。これにより、減衰部8は、衝撃を緩和するように減衰するとともに鉛直方向Dvの下方に一定圧力で一対のアーム5を押し付けることが可能とされている。減衰部8は、一つのアーム5に対して一つが対応して配置されている。減衰部8は、アーム5と掘削機本体2とを接続している。減衰部8は、第一方向D1において、アーム5の基点とアーム5の先端との間に位置している。減衰部8は、ベース部4に対して鉛直方向のDvの上方に位置している。本実施形態の減衰部8は、油圧シリンダ81及びスプリングダンパ82を有している。
【0028】
油圧シリンダ81は、内部にオイルが封入されている。油圧シリンダ81は、アーム本体51から鉛直方向Dvの上方に延びている。油圧シリンダ81は、アーム本体51とスプリングダンパ82とを接続している。
【0029】
スプリングダンパ82は、油圧シリンダ81に対して鉛直方向Dvの上方に配置されている。スプリングダンパ82は、油圧シリンダ81と掘削機本体2とを接続している。つまり、スプリングダンパ82は、掘削機本体2とアーム本体51との間で、油圧シリンダ81に対して、直列に接続されている。スプリングダンパ82は、単数、或いは複数のコイルスプリングを有している。スプリングダンパ82は、油圧シリンダ81よりも動作速度が速い。
【0030】
以下では、上述したよう掘削装置3が、水平では無く凹凸の多い不陸形状を有する海底Fを掘削する場合について詳述する。例えば、海底Fが第一方向D1の前方D1fが鉛直方向Dvの上方に位置するように傾斜している場合に掘削装置3がピッチ動作を行っている状態ついて、図5を例に挙げて説明する。
【0031】
第一方向D1の前方D1fが鉛直方向Dvの上方に位置するように傾斜した海底Fを掘削する場合、アーム本体51の先端が掘削機本体2の底面20から離れるように、鉛直方向Dvの下方に向かって、アーム本体51がベース部4に対して第一仮想軸O1周りに回転する。その際、アーム本体51に接続されている油圧シリンダ81及びスプリングダンパ82が圧縮される。また、油圧シリンダ81及びスプリングダンパ82によって、伸縮状態に関わらず、アーム本体51には、掘削機本体2の底面20から海底Fに向かって常に、押し付けるように力が働く。そのため、アーム本体51と一体のドラム保持部52に対して、第一自在継手60を介して支持されている掘削ドラム6も海底Fに向かって押し付けられる。そのため、ピッチ動作を行いながらビット62が海底Fの表層に食い込むように接触し、海底Fが掘削される。
【0032】
なお、上述した場合と逆に、海底Fが第一方向D1の後方D1rが鉛直方向Dvの上方に位置するように傾斜している場合についての説明は省略する。ただし、その際、掘削装置3の各構成は、上記説明とは逆方向に移動する。
【0033】
また、海底Fが第二方向D2の一方が鉛直方向Dvの上方に位置するように傾斜している場合に掘削装置3がロール動作を行っている状態ついて、図6を例に挙げて説明する。
【0034】
第二方向D2の一方(図6における紙面左側)が鉛直方向Dvの上方に位置するように傾斜した海底Fを掘削する場合、掘削ドラム6に対して第二方向D2の一方に位置するアーム本体51の先端は、掘削機本体2の底面20に近づくように、鉛直方向Dvの上方に向かって、アーム本体51がベース部4に対して第一仮想軸O1周りに回転する。その際、アーム本体51に接続された油圧シリンダ81及びスプリングダンパ82が圧縮される。
【0035】
また、掘削ドラム6に対して第二方向D2の他方(図6における紙面右側)に位置するアーム本体51の先端は、掘削機本体2の底面20から離れるように、鉛直方向Dvの下方に向かって、アーム本体51がベース部4に対して第一仮想軸O1周りに回転する。その際、アーム本体51に接続されている油圧シリンダ81及びスプリングダンパ82は、伸長される。つまり、第二方向D2に離れて配置された一対のアーム5は、第一仮想軸O1を中心にそれぞれ逆向きに回転する。これにより、第二方向D2に離れて配置された一対のアーム本体51の先端の位置は、鉛直方向Dvでずれた状態なる。その結果、ドラム保持部52に対して、第一自在継手60を介して支持されている掘削ドラム6は、第一方向D1から見た際に回転軸Oが傾いた状態で、海底Fに向かって押し付けられる。そのため、ロール動作を行いながらビット62が海底Fの表層に食い込むように接触する。
【0036】
さらに、一対のアーム本体51の先端の位置が鉛直方向Dvでずれることで、連結機構7では、第一ビームと第二ビームとに対して、第二方向D2で互いに離れるような力が働く。一方で、第二付勢部722及び第三付勢部723によって、第一ビーム部材711及び第二ビーム部材712に対して、初期長さに近づくように、第二方向D2で近づくような力が働く。そのため、第一ビームと第二ビームとは、初期の長さ(海底Fが水平の場合の長さ)が維持されるような力が働いたまま、第一ビームと第二ビームとは傾く。つまり、伸長ビームは、海底Fの傾斜に追従するために必要な最低限だけ伸長する。したがって、一対のアーム5は、第二方向D2で離れすぎてしまうことを抑制されつつ、海底Fの傾斜に掘削ドラム6が追従するように、鉛直方向Dvに移動する。これにより、掘削ドラム6は、回転軸Oが海底Fと平行な姿勢で、海底Fの表層を掘削する。
【0037】
なお、上述した場合と逆に、海底Fが第二方向D2の他方が鉛直方向Dvの上方に位置するように傾斜している場合についての説明は省略する。ただし、その際、掘削装置3の各構成は、上記説明とは逆方向に移動する。
【0038】
(作用効果)
上記構成の海底鉱床掘削機1では、掘削機本体2からベース部4を介して第一方向D1に延びる一対のアーム5が鉛直方向Dvに互いに独立して揺動自在とされている。このようなアーム5のドラム保持部52に掘削ドラム6が第一自在継手60を介して連結されている。そのため、不陸を有することで、海底Fが水平ではなく傾斜した状態であっても、揺動自在な一対のアーム5及び第一自在継手60によって、回転軸Oが海底Fと平行な姿勢を掘削ドラム6に維持させることができきる。これにより、どのような不陸形状の海底Fに対しても、安定した姿勢の掘削ドラム6で掘削を連続して続けることができる。
【0039】
また、一対のアーム5では、アーム本体51の先端が伸縮ビーム71及びビーム付勢部72によって連結されている。そのため、一対のアーム本体51は、鉛直方向Dvにおける先端の位置が互いにずれても、伸縮ビーム71及びビーム付勢部72によって、接続された状態が安定して維持される。具体的には、第一ビーム部材711及び第二ビーム部材712を有する伸縮ビーム71によって、一対のアーム5では、アーム本体51の先端の位置が鉛直方向Dvでどのようにずれても、互いに連結された状態が維持される。さらに、ビーム付勢部72によって、第一ビーム部材711及び第二ビーム部材712には、初期長さを維持するような力が常に働く。その結果、第一ビーム部材711及び第二ビーム部材712が伸びすぎてしまうことが抑制できる。そのため、一対のアーム本体51の先端の位置が離れすぎてしまうことが抑制できる。したがって、一対のアーム5の連結が外れてしまうほど、一対のアーム5が別々の方向に大きく回転してしまうことが抑制できる。さらに、第一ビーム部材711及び第二ビーム部材712に初期長さを維持するような力が常に働くことで、一対のアーム本体51には、常に初期の姿勢である水平な姿勢に戻るような力が働く。そのため、掘削中に海底Fの形状がどのように変化しても、掘削ドラム6には初期の姿勢に戻るような力が生じる。したがって、掘削ドラム6が傾いた状態のままとなってしまうことを抑制し、安定した姿勢で掘削を連続して続けることができる。これらによって、不陸形状の海底Fに対して、取り残しを抑えて効率良く海底資源を回収することができる。
【0040】
また、一対のアーム本体51が、ベース部4を介して掘削機本体2に接続されている基端を支点として、先端を鉛直方向Dvに移動するように回転する。つまり、アーム本体51は、回転可能な基端のみで掘削機本体2と接続されている。そのため、海底Fの形状に対してアーム本体51を柔軟に可動させることができる。したがって、海底Fと掘削機本体2との間にアーム5が固定されてしまい、海底Fに向かって強く押し付けるような過剰な力が掘削ドラム6に働くことを抑制できる。さらに、掘削機本体2が浮き上がって、掘削ドラム6の海底Fへの押し付け力が弱まってしまったり、海底Fから掘削ドラム6が離れてしまったりすることを抑制できる。
【0041】
また、伸長ビームは、一対のアーム本体51の先端を接続している。さらに、掘削ドラム6は、第一方向D1でアーム本体51の基端及び先端の間に位置するドラム保持部52に接続されている。アーム本体51の先端では、第一方向D1においてアーム本体51の基端に近いドラム保持部52に比べて、アーム本体51の基端に対する鉛直方向Dvの移動量が大きくなる。移動量の大きなアーム本体51の先端を伸長ビーム、及び、伸長ビームに固定されたビーム付勢部72によって接続された状態が維持されることで、一対のアーム5が大きく動いてしまうことが抑制できる。その結果、掘削ドラム6がドラム保持部52に接続された状態も高い精度で安定して維持できる。
【0042】
また、減衰部8によって、一対のアーム本体51は、鉛直方向Dvの下方に付勢されるとともに、鉛直方向Dvの衝撃が緩和される。そのため、海底Fの形状が変化して、アーム本体51がどのような姿勢となろうとも、アーム本体51を鉛直方向Dvの下方に押し付けることができる。そのため、ドラム保持部52に支持された掘削ドラム6を、海底Fの形状に関わらず、安定して海底Fに押し付けることができる。さらに、海底Fの形状の急激な変化によって、アーム本体51にはね上げるような大きな力が働いても、減衰部8によって鉛直方向Dvの衝撃が緩和されることで、アーム本体51の急激な移動が抑えられる。そのため、鉛直方向Dvにおける掘削ドラム6の位置が海底Fに対して急にずれてしまうことを抑制できる。これらによって、不陸形状の海底Fに対して、海底Fに対する掘削ドラム6の姿勢をより安定して維持できる。
【0043】
また、減衰部8は、油圧シリンダ81及びスプリングダンパ82を有している。そのため、鉛直方向Dvへの衝撃の中でも、短時間での急激な変化に伴う瞬間的な衝撃をスプリングダンパ82で急速に緩和しつつ、比較的長時間であって瞬間的な衝撃よりも大きな衝撃を油圧シリンダ81で緩やかに緩和できる。このように、異なる不陸形状によって異なる種類の複数の衝撃を受けても、減衰部8によって安定して緩和できる。したがって、不陸形状の海底Fに対して、海底Fに対する掘削ドラム6の姿勢をより一層安定して維持できる。
【0044】
また、掘削装置3は、掘削機本体2に対して鉛直方向Dvの下方で第二方向D2に複数(本実施形態では二列)配置されている。そのため、第二方向D2で異なる掘削機によって連続して海底Fの掘削が実施される。これにより、取り残しを抑えて効率良く海底資源を回収することができる。
【0045】
また、掘削装置3は、掘削機本体2に対して鉛直方向Dvの下方で第一方向D1にも複数配置され、第二方向D2では互いにずれて配置されている。つまり、複数の掘削装置3は、鉛直方向Dvから見た際に、千鳥状に互いに違いに第一方向D1及び第二方向D2に配置されている。そのため、鉛直方向Dvにおける掘削機本体2の下方の領域を、第一方向D1及び第二方向D2の広い範囲で異なる掘削機によって海底Fの掘削が実施される。特に、本実施形態のように、複数の掘削装置3は、掘削機本体2の下部で、第二方向D2における掘削機本体2の幅の分だけ、隙間なく海底Fを掘削可能とされている。これにより、取り残しを高い精度で抑えて効率良く海底資源を回収することができる。
【0046】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0047】
なお、掘削装置3は、一つの掘削機本体2に対して、互いに違いに複数配置される形態に限定されるものではない。掘削装置3は、掘削機本体2の形状や海底Fの形状に合わせて、数や配置を適宜設定すればよい。例えば、掘削装置3は、第二方向D2のみに複数配置されていてもよい。また、掘削装置3は、第一方向D1のみに複数配置されていてもよい。さらに、掘削装置3は、一つのみが配置されていてもよい。また、掘削装置3が第一方向D1及び第二方向D2に複数配置される場合であっても、本実施形態のように千鳥状ではなく、格子状に整列して配置されていてもよい。
【0048】
また、減衰部8は、一つのアーム5に対して一つでなくてもよい。一対のアーム5に対して一つの減衰部8が配置されていてもよい。
【0049】
<付記>
各実施形態に記載の海底鉱床掘削機1は、例えば以下のように把握される。
【0050】
(1)第1の態様に係る海底鉱床掘削機1は、第一方向D1に走行可能な掘削機本体2と、前記掘削機本体2に固定された掘削装置3と、を備え、前記掘削装置3は、前記掘削機本体2から前記第一方向D1に延び、鉛直方向Dv及び前記第一方向D1に直交する第二方向D2に離間して配置され、前記掘削機本体2に対して前記鉛直方向Dvに互いに独立して揺動自在とされた一対のアーム5と、前記第二方向D2に延びる回転軸O周りに回転可能とされて外周面に海底Fに接触可能なカッタ部が形成され、前記第二方向D2の両端が一対の前記アーム5に対して自在継手を介してそれぞれ連結されている掘削ドラム6と、前記第二方向D2の両端が一対の前記アーム5に対して自在継手を介してそれぞれ連結されているとともに前記第二方向D2に伸縮可能とされた伸縮ビーム71、及び、前記伸縮ビーム71の伸縮長さが初期長さとなるように付勢するビーム付勢部72を有する連結機構7と、
を備える。
【0051】
このような構成によれば、アーム5に掘削ドラム6が自在継手を介して連結されている。そのため、不陸を有することで、海底Fが水平ではなく傾斜した状態であっても、揺動自在な一対のアーム5及び自在継手によって、回転軸Oが海底Fと平行な姿勢を掘削ドラム6に維持させることができきる。これにより、どのような不陸形状の海底Fに対しても、安定した姿勢の掘削ドラム6で掘削を連続して続けることができる。また、一対のアーム5は、鉛直方向Dvにおける位置が互いにずれても、伸縮ビーム71及びビーム付勢部72によって、接続された状態が安定して維持される。したがって、一対のアーム5の連結が外れてしまうほど、一対のアーム5が別々の方向に大きく回転してしまうことが抑制できる。さらに、伸縮ビーム71に初期長さを維持するような力が常に働くことで、一対のアーム5には、常に初期の姿勢である水平な姿勢に戻るような力が働く。そのため、掘削中に海底Fの形状がどのように変化しても、掘削ドラム6には初期の姿勢に戻るような力が生じる。したがって、掘削ドラム6が傾いた状態のままとなってしまうことを抑制し、安定した姿勢で掘削を連続して続けることができる。これらによって、不陸形状の海底Fに対して、取り残しを抑えて効率良く海底資源を回収することができる。
【0052】
(2)第2の態様に係る海底鉱床掘削機1は、(1)の海底鉱床掘削機1であって、一対の前記アーム5の基端は、前記第二方向D2に延びる仮想軸周りに回転可能に前記掘削機本体2にそれぞれ接続されている。
【0053】
このような構成によれば、アーム5は、回転可能な基端のみで掘削機本体2と接続されている。そのため、海底Fの形状に対してアーム5を柔軟に可動させることができる。したがって、海底Fと掘削機本体2との間にアーム5が固定されてしまい、海底Fに向かって強く押し付けるような過剰な力が、掘削ドラム6に働くことを抑制できる。さらに、掘削機本体2が浮き上がって、掘削ドラム6の海底Fへの押し付け力が弱まってしまったり、海底Fから掘削ドラム6が離れてしまったりすることを抑制できる。
【0054】
(3)第3の態様に係る海底鉱床掘削機1は、(2)の海底鉱床掘削機1であって、前記連結機構7は、一対の前記アーム5の先端に接続されて、前記掘削ドラム6は、前記連結機構7に対して一対の前記アーム5の基端に近い位置で、一対の前記アーム5に連結されている。
【0055】
このような構成によれば、アーム5の先端では、アーム本体51の基端に対する鉛直方向Dvの移動量が大きくなる。移動量の大きなアーム5の先端を伸長ビーム、及び、伸長ビームに固定されたビーム付勢部72によって接続された状態が維持されることで、一対のアーム5が大きく動いてしまうことが抑制できる。その結果、掘削ドラム6がアーム5に接続された状態も高い精度で安定して維持できる。
【0056】
(4)第4の態様に係る海底鉱床掘削機1は、(1)から(3)のいずれか一つの海底鉱床掘削機1であって、一対の前記アーム5を前記鉛直方向Dvの下方に付勢するとともに、一対の前記アーム5に生じる前記鉛直方向Dvの衝撃を緩和するように減衰する減衰部8をさらに備える。
【0057】
このような構成によれば、海底Fの形状が変化して、アーム5がどのような姿勢となろうとも、アーム5を鉛直方向Dvの下方に押し付けることができる。そのため、アーム5に支持された掘削ドラム6を、海底Fの形状に関わらず、安定して海底Fに押し付けることができる。さらに、海底Fの形状の急激な変化によって、アーム5にはね上げるような大きな力が働いても、減衰部8によって鉛直方向Dvの衝撃が緩和されることで、アーム5の急激な移動が抑えられる。そのため、鉛直方向Dvにおける掘削ドラム6の位置が海底Fに対して急にずれてしまうことを抑制できる。これらによって、不陸形状の海底Fに対して、海底Fに対する掘削ドラム6の姿勢をより安定して維持できる。
【0058】
(5)第5の態様に係る海底鉱床掘削機1は、(4)の海底鉱床掘削機1であって、前記減衰部8は、油圧シリンダ81及びスプリングダンパ82を有する。
【0059】
このような構成によれば、鉛直方向Dvへの衝撃の中でも、短時間での急激な変化を伴う瞬間的な衝撃をスプリングダンパ82で急速に緩和しつつ、比較的長時間であって瞬間的な衝撃よりも大きな衝撃を油圧シリンダ81で緩やかに緩和できる。このように、異なる不陸形状によって異なる種類の複数の衝撃を受けても、減衰部8によって安定して緩和できる。したがって、不陸形状の海底Fに対して、海底Fに対する掘削ドラム6の姿勢をより一層安定して維持できる。
【0060】
(6)第6の態様に係る海底鉱床掘削機1は、(1)から(5)のいずれか一つの海底鉱床掘削機1であって、前記掘削装置3は、前記第二方向D2に複数配置されている。
【0061】
このような構成によれば、第二方向D2で異なる掘削機によって連続して海底Fの掘削が実施される。これにより、取り残しを抑えて効率良く海底資源を回収することができる。
【0062】
(7)第7の態様に係る海底鉱床掘削機1は、(6)の海底鉱床掘削機1であって、前記掘削装置3は、前記第一方向D1に複数配置され、前記第一方向D1に並ぶ前記掘削装置3は、前記第二方向D2に並ぶ他の前記掘削装置3に対して位置がずれて配置されている。
【0063】
このような構成によれば、第一方向D1及び第二方向D2の広い範囲で異なる掘削機によって海底Fの掘削が実施される。これにより、取り残しを高い精度で抑えて効率良く海底資源を回収することができる。
【0064】
(8)第6の態様に係る海底鉱床掘削機1は、(1)から(7)のいずれか一つの海底鉱床掘削機1であって、前記掘削ドラムは、前記第二方向から見た際に、反時計回りに回転可能とされている。
【0065】
このような構成によれば、コバルトリッチのような脆い岩石を有する海底Fに対して、粒のそろった粒度で表層の鉱石のみを掘削できる。
【符号の説明】
【0066】
1…海底鉱床掘削機
2…掘削機本体
20…底面
21…クローラ
3…掘削装置
4…ベース部
5…アーム
51…アーム本体
52…ドラム保持部
O1…第一仮想軸
60…第一自在継手
6…掘削ドラム
61…回転ドラム
62…ビット
O…回転軸
70…第二自在継手
7…連結機構
71…伸縮ビーム
711…第一ビーム部材
712…第二ビーム部材
72…ビーム付勢部
721…第一付勢部
722…第二付勢部
723…第三付勢部
8…減衰部
81…油圧シリンダ
82…スプリングダンパ
D1…第一方向
D1f…前方
D1r…後方
D2…第二方向
Dv…鉛直方向
F…海底
図1
図2
図3
図4
図5
図6