(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025114882
(43)【公開日】2025-08-06
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/38 20060101AFI20250730BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20250730BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20250730BHJP
H01Q 5/335 20150101ALI20250730BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01Q9/30
H01Q13/10
H01Q5/335
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071796
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 正裕
【テーマコード(参考)】
5J045
5J046
【Fターム(参考)】
5J045AB05
5J045DA06
5J045EA07
5J046AA03
5J046AB06
5J046AB08
5J046BA03
5J046UA02
(57)【要約】
【課題】小型化、及び、アンテナ素子間のアイソレーションの改善を可能にするアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1は、平面状の放射電極3を備える第1アンテナ素子21と、放射電極3に形成されるスリット4を備える第2アンテナ素子22と、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と並ぶ第1グランド電極71と、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と第1グランド電極71との間に位置し、第1アンテナ素子21に給電するための第1給電電極5と、放射電極3の厚み方向から見て、放射電極3と一部が重なるか、放射電極3に隣接して位置し、第2アンテナ素子22に給電するための第2給電電極6と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の放射電極を備える第1アンテナ素子と、
前記放射電極に形成されるスリットを備える第2アンテナ素子と、
前記放射電極の厚み方向から見て前記放射電極と並ぶグランド電極と、
前記放射電極の前記厚み方向から見て前記放射電極と前記グランド電極との間に位置し、前記第1アンテナ素子に給電するための第1給電電極と、
前記放射電極の前記厚み方向から見て、前記放射電極と一部が重なるか、前記放射電極に隣接して位置し、前記第2アンテナ素子に給電するための第2給電電極とを備える、
アンテナ装置。
【請求項2】
誘電体層を含む基板を備え、
前記誘電体層は、第1主表面、及び、前記第1主表面とは反対側の第2主表面を有し、
前記放射電極及び前記第1給電電極は、前記第1主表面に位置し、
前記第2給電電極は、前記第2主表面に位置し、
前記第1給電電極と前記放射電極は直接接続され、
前記第2給電電極と前記放射電極は容量結合された、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記スリットの第1端及び第2端は、前記放射電極の外周に接続されていない閉塞端である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記スリットは、前記放射電極の前記厚み方向から見て、線対称であり、
前記放射電極の前記厚み方向から見て前記放射電極と前記グランド電極とは、前記スリットの対称軸の方向に並び、
前記スリットの前記対称軸は、前記放射電極の前記厚み方向から見て前記放射電極の中心を通る、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2給電電極は、前記スリットの前記対称軸上に位置する、
請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記放射電極は、前記放射電極の前記厚み方向から見て、前記スリットの前記対称軸に対して線対称である、
請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1給電電極は、前記放射電極の前記対称軸上に位置する、
請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記スリットの前記対称軸の方向において、前記スリットの中央は前記スリットの前記第1端及び前記第2端よりも前記グランド電極に近い、
請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記スリットの第1端は、前記放射電極の外周に接続されていない閉塞端であり、
前記スリットの第2端は、前記放射電極の外周に接続されている開放端である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記放射電極及び前記グランド電極は、前記放射電極の前記厚み方向から見て第1方向において並び、
前記放射電極は、前記第1方向において前記グランド電極から離れるほど、前記放射電極の前記厚み方向から見て前記第1方向に直交する第2方向での寸法が大きくなる形状を有する、
請求項1~9のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記スリットは、ミアンダ形状の部位を含む、
請求項1~9のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記第1給電電極に接続される第1整合回路を備える、
請求項1~9のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記第1整合回路は、前記第1給電電極の途中に接続された、少なくとも1つのキャパシタと、前記第1給電電極とグランドとの間に接続された、少なくとも1つのインダクタと、を含む
請求項12に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
第2整合回路を備え、
前記第2給電電極は、前記放射電極と容量結合する電極部と、前記第2アンテナ素子に給電するための給電線が接続される配線部と、を含み、
前記第2整合回路は、前記配線部に接続された、
請求項1~9のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記第2整合回路は、前記配線部の途中に接続された、少なくとも1つのインダクタと、前記配線部とグランドとの間に接続された、少なくとも1つのキャパシタ、とを含む、
請求項14に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記スリットは、前記放射電極の前記厚み方向から見て前記放射電極と前記グランド電極とが並ぶ方向に交差する方向に延びる直線部を含む、
請求項1~9のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記スリットは、前記直線部の両端それぞれから延びる第1及び第2延出部を更に含み、
前記直線部に対する前記第1及び第2延出部の角度は鈍角である、
請求項16に記載のアンテナ装置。
【請求項18】
平面状の放射電極及び前記放射電極に形成されるスリットを有する放射素子と、
前記放射電極の厚み方向から見て前記放射電極に隣接するグランド電極と、
前記放射素子を前記放射電極により電界の変化を生じさせる第1アンテナ素子として機能させる第1給電電極と、
前記放射素子を前記スリットにより磁界の変化を生じさせる第2アンテナ素子として機能させる第2給電電極と、
を備える、
アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アンテナ装置を開示する。特許文献1に開示されたアンテナ装置は、導電性基板と、導電性基板上に給電部を有し、給電部から導電性基板と同じ平面内に存在する底面を有する直方体の稜に沿って延在し、少なくとも直方体の頂面を区画する稜に沿って延在する第1のアンテナ素子と、導電性基板上に給電部を有し、給電部から、外縁部を除く直方体の底面、及び、直方体の内部領域の少なくとも一方に延在する第2のアンテナ素子とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたアンテナ装置では、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子とが別々に設けられている。第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子とのアイソレーションを確保するために、直方体を利用して第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子とが立体的に離して配置されている。
【0005】
特許文献1に開示されたアンテナ装置では、第1のアンテナ素子と第2のアンテナ素子とのアイソレーションのために直方体を設ける必要があるため、アンテナ装置の小型化が難しい。
【0006】
本開示は、小型化、及び、アンテナ素子間のアイソレーションの改善を可能にするアンテナ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様にかかるアンテナ装置は、平面状の放射電極を備える第1アンテナ素子と、放射電極に形成されるスリットを備える第2アンテナ素子と、放射電極の厚み方向から見て放射電極と並ぶグランド電極と、放射電極の厚み方向から見て放射電極とグランド電極との間に位置し、第1アンテナ素子に給電する第1給電電極と、放射電極の厚み方向から見て、放射電極と一部が重なるか、放射電極に隣接して位置し、第2アンテナ素子に給電する第2給電電極とを備える。
【0008】
本開示の別の態様にかかるアンテナ装置は、平面状の放射電極及び放射電極に形成されるスリットを有する放射素子と、放射電極の厚み方向から見て放射電極に隣接するグランド電極と、放射素子を放射電極により電界の変化を生じさせる第1アンテナ素子として機能させる第1給電電極と、放射素子をスリットにより磁界の変化を生じさせる第2アンテナ素子として機能させる第2給電電極と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様は、小型化、及び、アンテナ素子間のアイソレーションの改善を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかるアンテナ装置の構成例の平面図
【
図4】
図1のアンテナ装置の第1アンテナ素子の周波数特性のグラフ
【
図5】
図1のアンテナ装置の第2アンテナ素子の周波数特性のグラフ
【
図6】実施の形態2にかかるアンテナ装置の構成例の平面図
【
図9】実施の形態1及び実施の形態2のアンテナ装置のアイソレーションの測定の結果のグラフ
【
図10】実施の形態3にかかるアンテナ装置の構成例の平面図
【
図12】実施の形態4にかかるアンテナ装置の構成例の平面図
【
図13】実施の形態5にかかるアンテナ装置の構成例の平面図
【
図14】実施の形態6にかかるアンテナ装置の構成例の平面図
【
図15】実施の形態7にかかるアンテナ装置の構成例の平面図
【
図17】実施の形態8にかかるアンテナ装置の構成例の平面図
【
図19】
図17のアンテナ装置の第1整合回路の構成例の概略回路図
【
図20】
図17のアンテナ装置の第2整合回路の構成例の概略回路図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.実施の形態]
以下、場合によって図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。ただし、以下の実施の形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容(例えば、各構成要素の形状、寸法、配置等)に限定する趣旨ではない。上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施の形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0012】
なお、以下の説明において、複数ある構成要素を互いに区別する必要がある場合には、「第1」、「第2」等の接頭辞を構成要素の名称に付すが、構成要素に付した符号により互いに区別可能である場合には、文章の読みやすさを考慮して、「第1」、「第2」等の接頭辞を省略する場合がある。
【0013】
[1.1 実施の形態1]
[1.1.1 構成]
図1は、実施の形態1にかかるアンテナ装置1の構成例の平面図である。
図2は、アンテナ装置1の底面図である。
図3は、
図1のA-A線断面図である。
【0014】
アンテナ装置1は、所定の周波数帯域で通信するために機器に搭載される。
図1、
図2及び
図3に示すように、アンテナ装置1は、放射素子2と、第1給電電極5と、第2給電電極6と、第1グランド電極71と、第2グランド電極72と、基板8と、を備える。
【0015】
図1の基板8は、厚み方向Z、厚み方向Zに直交する第1方向X、及び、厚み方向Z及び第1方向Xにそれぞれ直交する第2方向Yを有する。本実施の形態において、基板8は、矩形の板状である。例えば、第1方向Xは基板8の幅方向、第2方向Yは基板8の長さ方向である。
【0016】
基板8は、誘電体層80を含む。誘電体層80は、第1主表面801と、第1主表面801とは反対側の第2主表面802とを有する。第1主表面801及び第2主表面802は、例えば、誘電体層80の厚み方向の両面である。
【0017】
基板8は、例えば、誘電体基板である。誘電体基板の例としては、低温同時焼成セラミックス(LTCC)多層基板、エポキシ、ポリイミド等の樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、より低い誘電率を有する液晶ポリマ(LCP)から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、フッ素系樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板、及び、LTCC以外のセラミックス多層基板が挙げられる。
【0018】
図1に示すように、放射素子2と、第1給電電極5と、第1グランド電極71とは、誘電体層80の第1主表面801に位置する。
【0019】
放射素子2と、第1給電電極5と、第1グランド電極71とは、基板8の長さ方向Yにおいて、誘電体層80の第1主表面801に並ぶ。
【0020】
第1グランド電極71は、放射素子2に対するグランドとして用いられる。第1グランド電極71は、基板8の誘電体層80の第1主表面801に第1グランド電極71が配置されていない第1所定領域801aが存在するように第1主表面801を覆う導体パターンである。
図1では、第1グランド電極71は、第1所定領域801aが基板8の長さ方向Yの第1端側(
図1における上端側)に位置するように、基板8の長さ方向Yの第2端側(
図1における下端側)に位置する。
【0021】
放射素子2は、アンテナとして用いられる。詳しくは後述するが、放射素子2は、第1アンテナ素子21及び第2アンテナ素子22として作用する。放射素子2は、誘電体層80の第1主表面810の第1所定領域801aに形成される導体パターンである。
【0022】
図1に示すように、放射素子2は、放射電極3と、スリット4とを備える。
【0023】
放射電極3は、平面状である。
図1の放射電極3は、放射電極3の厚み方向から見て略矩形状である。本実施の形態において、放射電極3の厚み方向は、基板8の厚み方向Zに対応する。
図1に示すように、放射電極3は、放射電極3の厚み方向から見て、線対称である。放射電極3の対称軸S1は、基板8の長さ方向Yに対応する。
【0024】
放射電極3は、第1アンテナ素子21を構成する。第1アンテナ素子21は、放射電極3により電界の変化を生じさせる電界アンテナである。第1アンテナ素子21は、例えば、接地型λ/4モノポールアンテナである。放射電極3の形状は、第1アンテナ素子21での通信に利用する第1周波数帯域に応じて決定される。一例として、第1周波数帯域は、UWB(Ultra Wide Band)の周波数帯域(例えば、7.25GHz~10.25GHz)が挙げられる。
【0025】
スリット4は、放射電極3に形成される。
図1に示すように、スリット4の第1端4a及び第2端4bは、放射電極3の外周3aに接続されていない閉塞端である。スリット4は、放射電極3の厚み方向から見て、線対称である。スリット4の対称軸S2は、基板8の長さ方向Yに対応する。そのため、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と第1グランド電極71とは、スリット4の対称軸S2の方向に並ぶ。特に、本実施の形態において、スリット4の対称軸S2と放射電極3の対称軸S1とは一致する。したがって、放射電極3は、放射電極3の厚み方向から見て、スリット4の対称軸S2に対して線対称である。そのため、スリット4の対称軸S2は、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3の中心を通る。
【0026】
図1のスリット4は、略U字状である。
図1のスリット4は、直線部41と、第1及び第2延出部42,43とを含む。直線部41は、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と第1グランド電極71とが並ぶ方向に交差する方向に延びる。本実施の形態において、直線部41は、基板8の幅方向Xに延びる。
図1に示すように、直線部41は、放射電極3において第1グランド電極71側の端部(
図1における下端部)に位置する。第1及び第2延出部42,43は、直線部41の両端から放射電極3において第1グランド電極71側とは反対側の端部(
図1における上端部)に向かってそれぞれ延びる。本実施の形態において、第1及び第2延出部42,43は、基板8の長さ方向Yに延びる。そのため、直線部41に対する第1及び第2延出部42,43の角度は直角である。
図1のスリット4では、第1端4aは、第1延出部42の先端であり、第2端4bは、第2延出部43の先端である。
【0027】
スリット4は、第2アンテナ素子22を構成する。より詳細には、スリット4と、放射電極3におけるスリット4の周縁部とが、第2アンテナ素子22を構成する。第2アンテナ素子22は、スリット4により磁界の変化を生じさせる磁界アンテナである。第2アンテナ素子22は、例えば、スロットアンテナである。スロットアンテナは、導体に形成されるスロットにより構成されるアンテナである。本実施の形態において、スロットは、両端が閉塞された細孔を意味する。スリット4の形状は、スロットアンテナにおいては、第2アンテナ素子22での通信に利用する第2周波数帯域に応じて決定される。例えば、スリット4の長さは、第2アンテナ素子22での通信に利用する第2周波数帯域に対応する波長の1/2に設定され得る。一例として、第2周波数帯域は、Bluetooth(登録商標)の周波数帯域(例えば、約2.4GHz)が挙げられる。
【0028】
第1給電電極5は、第1アンテナ素子21に給電するために用いられる。特に、第1給電電極5は、放射素子2を放射電極3により電界の変化を生じさせる第1アンテナ素子21として機能させる。
【0029】
図1の第1給電電極5は、誘電体層80の第1主表面801の第1所定領域801aに形成される導体パターンである。
図1に示すように、第1給電電極5は、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と第1グランド電極71との間に位置する。本実施の形態において、第1給電電極5は、放射電極3の対称軸S1上に位置する。本実施の形態において、第1給電電極5は、第1アンテナ素子21に給電するための給電線が接続される第1接続部である。第1給電電極5は、第1給電電極5に接続される給電線から第1アンテナ素子21への直接的な給電を可能にする。第1給電電極5は、第1アンテナ素子21の給電点を構成し得る。
【0030】
図2に示すように、第2給電電極6と、第2グランド電極72とは、誘電体層80の第2主表面802に位置する。
【0031】
第2グランド電極72は、放射素子2に対するグランドとして用いられる。第2グランド電極72は、基板8の誘電体層80の第2主表面802に第2グランド電極72が配置されていない第2所定領域802aが存在するように第2主表面802を覆う導体パターンである。
図2では、第2グランド電極72は、第2所定領域802aが基板8の長さ方向Yの第1端側(
図2における上端側)に位置するように、基板8の長さ方向Yの第2端側(
図2における下端側)に位置する。本実施の形態において、第2グランド電極72の形状は、基板8の厚み方向Zにおいて第1グランド電極71の形状と一致する。そのため、第2所定領域802aの形状は、基板8の厚み方向Zにおいて第1所定領域801aの形状と一致する。
【0032】
第2給電電極6は、第2アンテナ素子22に給電するために用いられる。特に、第2給電電極6は、放射素子2をスリット4により磁界の変化を生じさせる第2アンテナ素子22として機能させる。
【0033】
図2の第2給電電極6は、誘電体層80の第2主表面802の第2所定領域802aに形成される導体パターンである。
図1に示すように、第2給電電極6は、スリット4の対称軸S2上に位置する。第2給電電極6は、誘電体層80の厚み方向から見て放射電極3の第1グランド電極71側の端部(
図1における下端部)に位置する。
【0034】
図2の第2給電電極6は、配線部61と、電極部62とを含む。
【0035】
配線部61は、第2アンテナ素子22に給電するための給電線が接続される部位である。配線部61は、放射電極3の厚み方向から見て第1給電電極5と重なる位置にある。
【0036】
電極部62は、配線部61と第2アンテナ素子22とを結合する。本実施の形態において、電極部62は、配線部61とは直接的に接続され、第2アンテナ素子22とは容量的に結合される。本実施の形態において、電極部62は、平面状である。
図2の電極部62は、放射電極3の厚み方向から見て略矩形状である。
図1に示すように、電極部62は、放射電極3の厚み方向から見てスリット4を跨ぐように放射電極3と重なる位置にある。このように、第2給電電極6は、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と一部(電極部62)が重なって位置する。特に、本実施の形態において、誘電体層80の厚み方向から見て、電極部62は、放射電極3のスリット4の直線部41の両側と重なる。これによって、電極部62は、誘電体層80を介して放射電極3と容量的に結合され、配線部61に接続される給電線から第2アンテナ素子22への間接的な給電を可能にする。第2給電電極6の電極部62において、放射電極3の厚み方向で放射電極3と重なる部位が、第2アンテナ素子22の給電点を構成し得る。
【0037】
図1に示すように、スリット4では、直線部41が、放射電極3において第1グランド電極71側の端部(
図1における下端部)に位置し、第1及び第2延出部42,43が、放射電極3において第1グランド電極71側とは反対側の端部(
図1における上端部)に向かって延びる。第2給電電極6は、誘電体層80の厚み方向から見て放射電極3の第1グランド電極71側の端部(
図1における下端部)に位置する。そのため、スリット4の対称軸S2の方向において、スリット4の中央である直線部41はスリット4の第1端4a及び第2端4bよりも第1グランド電極71、第2グランド電極72及び第2給電電極6に近い。ここで、第2アンテナ素子22に給電するための給電線と第2給電電極6との接続点は、グランド電極(第1グランド電極71、第2グランド電極72)の近傍であることが好ましい。第2アンテナ素子22においては、スリット4の中央部分で給電することが好ましい。したがって、
図1のスリット4によれば、スリット4の中央部分と、給電線と第2給電電極6との接続点との間の距離を短くできる。これによって、第2給電電極6により第2アンテナ素子22に給電するための配線経路を短くできる。そのため、第2給電電極6と他の部位との容量結合を低減できる。
【0038】
以上述べたアンテナ装置1は、平面状の放射電極3を備える第1アンテナ素子21と、放射電極3に形成されるスリット4を備える第2アンテナ素子22とを備える。第1給電電極5により給電することによって、第1アンテナ素子21を利用した無線信号の送信が可能である。第2給電電極6により給電することによって、第2アンテナ素子22を利用した無線信号の送信が可能である。アンテナ装置1は、第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22との2つのアンテナ素子が、スリット4が形成された放射電極3により実現される。換言すれば、アンテナ装置1は、平面状の放射電極3及び放射電極3に形成されるスリット4を有する放射素子2を、第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22として機能させる。そのため、第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22との実装に必要な空間を小さくできる。よって、アンテナ装置1は、小型化を可能にする。第1アンテナ素子21は、放射電極3を利用するため、放射電極3近傍において電界が磁界よりも強くなる電界アンテナとして作用する。第2アンテナ素子22は、スリット4を利用するため、スリット4近傍において磁界が電界よりも強くなる磁界アンテナとして作用する。第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22とは、アンテナとしての動作モードが異なるため、アイソレーションを確保できる。よって、アンテナ装置1は、アイソレーションの改善を可能にする。
【0039】
[1.1.2 評価]
上述したように、アンテナ装置1は、放射電極3及びスリット4を備える単一の放射素子2を、第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22との2種類のアンテナ素子として機能させる。
図4及び
図5は、アンテナ装置1において、放射素子2が第1アンテナ素子21及び第2アンテナ素子22として機能するかの評価の結果を示す。この評価において、放射素子2は、第1アンテナ素子21がUWBによる無線通信用のアンテナ、第2アンテナ素子22がBluetoothによる無線通信用のアンテナとして機能するように設計されている。
【0040】
図4は、第1アンテナ素子21の周波数特性のグラフである。周波数特性は、Sパラメータにより評価している。
図4から明らかなように、第1アンテナ素子21では、UWBによる無線通信で利用可能な6GHzより高い幅広い周波数帯域で、反射損失が低いことが確認できた。
【0041】
図5は、第2アンテナ素子22の周波数特性のグラフである。周波数特性は、Sパラメータにより評価している。
図5から明らかなように、第2アンテナ素子22では、Bluetoothによる無線通信に対応する2.4GHz近傍の周波数帯域で、反射損失が低いことが確認できた。
【0042】
[1.1.3 効果等]
以上述べたアンテナ装置1は、平面状の放射電極3を備える第1アンテナ素子21と、放射電極3に形成されるスリット4を備える第2アンテナ素子22と、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と並ぶ第1グランド電極と、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と第1グランド電極71との間に位置し、第1アンテナ素子21に給電するための第1給電電極5と、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と一部が重なって位置し第2アンテナ素子22に給電するための第2給電電極6と、を備える。この構成は、小型化、及び、第1アンテナ素子21及び第2アンテナ素子22間のアイソレーションの改善を可能にする。
【0043】
アンテナ装置1において、アンテナ装置1は、誘電体層80を含む基板8を備える。誘電体層80は、第1主表面801、及び、第1主表面801とは反対側の第2主表面802を有する。放射電極3及び第1給電電極5は、第1主表面801に位置する。第2給電電極6は、第2主表面802に位置する。第1給電電極5と放射電極3は直接接続される。第2給電電極6と放射電極3は容量結合される。この構成は、第2アンテナ素子22に対応する周波数帯域でのアイソレーションの改善を可能にする。
【0044】
アンテナ装置1において、スリット4の第1端4a及び第2端4bは、放射電極3の外周3aに接続されていない閉塞端である。この構成は、小型化、及び、第1アンテナ素子21及び第2アンテナ素子22間のアイソレーションの改善を可能にする。
【0045】
アンテナ装置1において、スリット4は、放射電極3の厚み方向から見て、線対称である。放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と第1グランド電極71とは、スリット4の対称軸S2の方向に並ぶ。スリット4の対称軸S2は、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3の中心を通る。この構成は、放射電極3におけるスリット4の周囲に流れる電流が線対称に分布し易くなるため、第2アンテナ素子22のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0046】
アンテナ装置1において、第2給電電極6は、スリット4の対称軸S2上に位置する。この構成は、放射電極3におけるスリット4の周囲に流れる電流が線対称に分布し易くなるため、第2アンテナ素子22のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0047】
アンテナ装置1において、放射電極3は、放射電極3の厚み方向から見て、スリット4の対称軸S2に対して線対称である。この構成は、放射電極3において電流が線対称に分布し易くなるため、第1アンテナ素子21のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0048】
アンテナ装置1において、第1給電電極5は、放射電極3の対称軸S1上に位置する。この構成は、放射電極3において電流が線対称に分布し易くなるため、第1アンテナ素子のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0049】
アンテナ装置1において、スリット4の対称軸S2の方向において、スリット4の中央はスリット4の第1端4a及び第2端4bよりも第1グランド電極71に近い。この構成は、第2給電電極6により第2アンテナ素子22に給電するための配線経路を短くできる。そのため、第2給電電極6と他の部位との容量結合を低減できる。
【0050】
アンテナ装置1において、スリット4は、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3と第1グランド電極71とが並ぶ方向に交差する方向に延びる直線部41を含む。この構成は、第2アンテナ素子22のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0051】
以上述べたアンテナ装置1は、平面状の放射電極3及び放射電極3に形成されるスリット4を有する放射素子2と、放射電極3の厚み方向から見て放射電極3に隣接する第1グランド電極71と、放射素子2を放射電極3により電界の変化を生じさせる第1アンテナ素子21として機能させる第1給電電極5と、放射素子2をスリット4により磁界の変化を生じさせる第2アンテナ素子22として機能させる第2給電電極6と、を備える。この構成は、小型化、及び、第1アンテナ素子21及び第2アンテナ素子22間のアイソレーションの改善を可能にする。
【0052】
[1.2 実施の形態2]
[1.2.1 構成]
図6は、実施の形態2にかかるアンテナ装置1Aの構成例の平面図である。
図7は、アンテナ装置1Aの底面図である。
図8は、
図6のB-B線断面図である。
【0053】
図6、
図7及び
図8に示すように、アンテナ装置1Aは、放射素子2と、第1給電電極5と、第2給電電極6Aと、第1グランド電極71と、第2グランド電極72と、基板8と、を備える。
【0054】
第2給電電極6Aは、第2アンテナ素子22に給電するために用いられる。特に、第2給電電極6Aは、放射素子2をスリット4により磁界の変化を生じさせる第2アンテナ素子22として機能させる。
【0055】
図7の第2給電電極6Aは、誘電体層80の第2主表面802の第2所定領域802aに形成される。
図6に示すように、第2給電電極6Aは、スリット4の対称軸S2上に位置する。第2給電電極6Aは、誘電体層80の厚み方向から見て放射電極3の第1グランド電極71側の端部(
図6における下端部)に位置する。
【0056】
図7の第2給電電極6Aは、配線部61と、電極部62Aとを含む。
【0057】
配線部61は、第2アンテナ素子22に給電するための給電線が接続される部位である。配線部61は、放射電極3の厚み方向から見て第1給電電極5と重なる位置にある。
【0058】
電極部62Aは、配線部61と第2アンテナ素子22とを結合する。本実施の形態において、電極部62Aは、配線部61及び第2アンテナ素子22を電気的に接続する。
【0059】
電極部62Aは、第1部位621と、第2部位622とを含む。第1部位621は、誘電体層80の第2主表面802の第2所定領域802aに形成される導体パターンである。第1部位621は、放射電極3の厚み方向から見て略矩形状である。
図6に示すように、第1部位621は、放射電極3の厚み方向から見てスリット4を跨ぐように放射電極3と重なる位置にある。特に、本実施の形態において、第1部位621は、放射電極3におけるスリット4の直線部41の両側と重なる。第2部位622は、第1部位621と放射電極3とを接続する。
図8に示すように、第2部位622は、誘電体層80に形成される貫通孔配線である。これによって、第1部位621は、第2部位622を介して放射電極3と電気的に結合され、配線部61に接続される給電線から第2アンテナ素子22への直接的な給電を可能にする。第2給電電極6Aの電極部62Aの第2部位622が、第2アンテナ素子22の給電点を構成し得る。
【0060】
[1.2.2 評価]
本実施の形態では、第2給電電極6Aが第2アンテナ素子22に直接的に接続されている。一方、実施の形態1では、第2給電電極6が第2アンテナ素子22に容量結合により間接的に接続されている。このような給電方式の違いが第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22とのアイソレーションにどのように影響するかを評価した。この評価において、放射素子2は、第1アンテナ素子21がUWBによる無線通信用のアンテナ、第2アンテナ素子22がBluetoothによる無線通信用のアンテナとして機能するように設計されている。
【0061】
図9は、実施の形態1及び実施の形態2のアンテナ装置1,1Aのアイソレーションの測定の結果のグラフである。
図9において、F1は、実施の形態1のアンテナ装置1のアイソレーション測定の結果を示し、F2は、実施の形態2のアンテナ装置1Aのアイソレーション測定の結果を示す。
図9において、アイソレーションの値が下方に向かうほどアイソレーションが改善されていることを示している。
【0062】
図9から、アンテナ装置1,1Aのいずれにおいても、UWBによる無線通信で利用可能な6GHzより高い幅広い周波数帯域で、第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22とのアイソレーションが良好であることが確認できた。特に、6GHzを超える周波数帯域では、アンテナ装置1Aのほうがアンテナ装置1よりも、アイソレーションが改善されている。
【0063】
図9から、アンテナ装置1,1Aのいずれにおいても、Bluetoothによる無線通信に対応する2.4GHz近傍の周波数帯域で、第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22とのアイソレーションが良好であることが確認できた。特に、2,4GHz近傍の周波数帯域では、アンテナ装置1のほうがアンテナ装置1Aよりも、アイソレーションが改善されている。
【0064】
図9の結果から、実施の形態2のアンテナ装置1Aのように、第2給電電極6Aが第2アンテナ素子22に直接的に接続されていると、UWBによる無線通信で利用可能な6GHzより高い幅広い周波数帯域、つまり、第1アンテナ素子21に対応する周波数帯域でアイソレーションがより改善される。実施の形態1のアンテナ装置1のように、第2給電電極6が第2アンテナ素子22に容量結合により間接的に接続されていると、Bluetoothによる無線通信に対応する2.4GHz近傍の周波数帯域、つまり、第2アンテナ素子22に対応する周波数帯域でアイソレーションがより改善される。
【0065】
[1.2.3 効果等]
以上述べたアンテナ装置1Aは、誘電体層80を含む基板8を更に備える。誘電体層80は、第1主表面801、及び、第1主表面801とは反対側の第2主表面802を有する。放射電極3及び第1給電電極5は、第1主表面801に位置する。第2給電電極6Aは、第2主表面802に位置する。第1給電電極5は、放射電極3に直接接続される。第2給電電極6Aは、放射電極3に直接接続される。特に、第2給電電極6Aは、第2アンテナ素子22に給電するための給電線が接続される配線部61と、配線部61及び第2アンテナ素子22を電気的に接続する電極部62Aとを有する。この構成は、第1アンテナ素子21に対応する周波数帯域でのアイソレーションの改善を可能にする。
【0066】
[1.3 実施の形態3]
[1.3.1 構成]
図10は、実施の形態3にかかるアンテナ装置1Bの構成例の平面図である。
図11は、
図10のアンテナ装置1Bの構成例の底面図である。
【0067】
図10及び
図11に示すように、アンテナ装置1Bは、放射素子2Bと、第1給電電極5と、第2給電電極6と、第1グランド電極71と、第2グランド電極72と、基板8と、を備える。
【0068】
図10に示すように、放射素子2Bと、第1給電電極5と、第1グランド電極71とは、誘電体層80の第1主表面801に位置する。放射素子2Bと、第1給電電極5と、第1グランド電極71とは、基板8の厚み方向Zに直交する第1方向において並ぶ。本実施の形態において、第1方向は、基板8のY方向である。放射素子2Bと、第1給電電極5と、第1グランド電極71とは、基板8の厚み方向Z及び第1方向に直交する第2方向において基板8の中央に位置する。本実施の形態において、第2方向は、基板8のX方向である。
【0069】
放射素子2Bは、第1アンテナ素子21B及び第2アンテナ素子22Bとして作用する。放射素子2Bは、誘電体層80の第1主表面810の第1所定領域801aに形成される導体パターンである。
【0070】
図10に示すように、放射素子2Bは、放射電極3Bと、スリット4Bとを備える。
【0071】
放射電極3Bは、平面状である。本実施の形態において、放射電極3Bの厚み方向は、基板8の厚み方向Zに対応する。
図10に示すように、放射電極3Bは、放射電極3Bの厚み方向から見て、線対称である。放射電極3Bの対称軸S1は、基板8の長さ方向Yに対応する。
【0072】
図10の放射電極3Bは、第1方向(長さ方向Y)において第1グランド電極71から離れるほど、放射電極3Bの厚み方向及び第1方向にそれぞれ直交する第2方向(幅方向X)での寸法が大きくなる形状を有する。
図10では、放射電極3Bの厚み方向から見て逆台形状である。
【0073】
放射電極3Bの形状は、第1アンテナ素子21Bでの通信に利用する第1周波数帯域に応じて決定される。放射電極3Bは、第1方向(長さ方向Y)において第1グランド電極71から離れるほど、放射電極3Bの厚み方向及び第1方向にそれぞれ直交する第2方向(幅方向X)での寸法が大きくなる形状を有する。そのため、放射電極3Bの第2方向の両辺3b1,3b2の長さが、第1アンテナ素子21Bでの通信に利用する第1周波数帯域に応じた電路長に設定され得る。
図1のアンテナ装置1の放射電極3の場合、放射電極3のX方向での寸法がほぼ一定であるから、放射電極3の長さ方向Yの寸法が、第1アンテナ素子21での通信に利用する第1周波数帯域に応じた電路長に設定され得る。したがって、
図10の放射電極3Bは、
図1の放射電極3よりも長さ方向Yの寸法を小さくしても、
図1の放射電極3と同じ電路長に設定することができ得る。そのため、
図10の放射電極3Bは、
図1の放射電極3よりも、長さ方向Yにおいて、小型化が可能である。これにより、第1所定領域801aを小さくできるから、基板8も小型化できる。基板8の小型化は、アンテナ装置1Bの小型化を可能にする。
【0074】
スリット4Bは、放射電極3Bに形成される。
図10に示すように、スリット4Bの第1端4a及び第2端4bは、放射電極3Bの外周3aに接続されていない閉塞端である。スリット4Bは、放射電極3Bの厚み方向から見て、線対称である。スリット4Bの対称軸S2は、基板8の長さ方向Yに対応する。そのため、放射電極3Bの厚み方向から見て放射電極3Bと第1グランド電極71とは、スリット4Bの対称軸S2の方向に並ぶ。特に、本実施の形態において、スリット4Bの対称軸S2と放射電極3Bの対称軸S1とは一致する。したがって、放射電極3Bは、放射電極3Bの厚み方向から見て、スリット4の対称軸S2に対して線対称である。そのため、スリット4Bの対称軸S2は、放射電極3Bの厚み方向から見て放射電極3Bの中心を通る。
【0075】
図10のスリット4Bは、略V字状である。
図10のスリット4Bは、直線部41と、第1及び第2延出部42,43とを含む。直線部41は、放射電極3Bの厚み方向から見て放射電極3Bと第1グランド電極71とが並ぶ方向に交差する方向に延びる。本実施の形態において、直線部41は、基板8の幅方向Xに延びる。
図10に示すように、直線部41は、放射電極3Bにおいて第1グランド電極71側の端部(
図10における下端部)に位置する。第1及び第2延出部42,43は、直線部41の両端から放射電極3Bにおいて第1グランド電極71側とは反対側の端部(
図10における上端部)に向かってそれぞれ延びる。本実施の形態において、第1及び第2延出部42,43は、第1方向(長さ方向Y)において直線部41から離れるほど、第1及び第2延出部42,43間の距離が大きくなるように、基板8の長さ方向Yに交差する方向に延びる。そのため、直線部41に対する第1及び第2延出部42,43の角度は鈍角である。直線部41に対する第1及び第2延出部42,43の角度は、例えば、90度より大きく150度以下であってよい。
図10のスリット4Bでは、第1端4aは、第1延出部42の先端であり、第2端4bは、第2延出部43の先端である。
【0076】
スリット4Bの形状は、第2アンテナ素子22Bでの通信に利用する第2周波数帯域に応じて決定される。例えば、スリット4Bの長さは、第2アンテナ素子22Bでの通信に利用する第2周波数帯域に対応する波長の1/2に設定され得る。スリット4Bでは、直線部41に対する第1及び第2延出部42,43の角度は鈍角であるから、
図1のスリット4のように直線部41に対する第1及び第2延出部42,43の角度が直角である場合に比べて、スリット4Bを形成するのに必要な放射電極3Bの長さ方向Yの寸法を短くでき得る。
図1のスリット4のように直線部41に対する第1及び第2延出部42,43の角度が直角である場合よりも、スリット4Bのように直線部41に対する第1及び第2延出部42,43の角度は鈍角であるほうが、直線部41と第1及び第2延出部42,43の間の角近傍での電流の集中を緩和でき得るから、第2アンテナ素子22Bのアンテナ特性の安定化を可能にする。
図10のスリット4Bの直線部41の長さと
図1のスリット4の直線部41の長さが等しい場合であっても、
図10のスリット4Bのほうが
図1のスリット4よりも第1及び第2延出部42,43同士が全体的に離れるため、第1及び第2延出部42,43付近を流れる電流同士の干渉を抑えることができる。
【0077】
[1.3.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置1Bにおいて、放射電極3B及び第1グランド電極71は、放射電極3Bの厚み方向から見て第1方向(長さ方向Y)において並ぶ。放射電極3Bは、第1方向において第1グランド電極71から離れるほど、放射電極3Bの厚み方向から見て第1方向に直交する第2方向(幅方向X)での寸法が大きくなる形状を有する。この構成は、放射電極3Bの第1方向における寸法を小さくでき、小型化を可能にする。
【0078】
アンテナ装置1Bにおいて、スリット4Bは、直線部41の両端それぞれから延びる第1及び第2延出部42,43を更に含む。直線部41に対する第1及び第2延出部42,43の角度は鈍角である。この構成は、第2アンテナ素子22のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0079】
[1.4 実施の形態4]
[1.4.1 構成]
図12は、実施の形態4にかかるアンテナ装置1Cの構成例の平面図である。
図12のアンテナ装置1Cは、実施の形態1にかかるアンテナ装置1の放射素子2とは異なる放射素子2Cを備える。
図12のアンテナ装置1Cは、アンテナ装置1と同様に、第1給電電極5と、第2給電電極6と、第1グランド電極71と、第2グランド電極72と、基板8と、を備える。
図12において、第2グランド電極72は図示されていないが、本実施の形態においてはアンテナ装置1Cの底面図は、
図2に示すアンテナ装置1の底面図と同様である。
【0080】
放射素子2Cは、第1アンテナ素子21C及び第2アンテナ素子22Cとして作用する。放射素子2Cは、誘電体層80の第1主表面810の第1所定領域801aに形成される導体パターンである。
【0081】
図12の放射素子2Cは、放射電極3Cと、スリット4Cとを備える。
【0082】
放射電極3Cは、平面状である。
図12の放射電極3Cは、放射電極3Cの厚み方向から見て略矩形状である。本本実施の形態において、放射電極3Cの厚み方向は、基板8の厚み方向Zに対応する。
図12に示すように、放射電極3Cは、放射電極3Cの厚み方向から見て、線対称である。放射電極3Cの対称軸S1は、基板8の長さ方向Yに対応する。放射電極3Cは、第1アンテナ素子21Cを構成する。放射電極3Cの形状は、第1アンテナ素子21Cでの通信に利用する第1周波数帯域に応じて決定される。
【0083】
スリット4Cは、放射電極3Cに形成される。
図12に示すように、スリット4Cの第1端4a及び第2端4bは、放射電極3Cの外周3aに接続されていない閉塞端である。スリット4Cは、放射電極3Cの厚み方向から見て、線対称である。スリット4Cの対称軸S2は、基板8の長さ方向Yに対応する。そのため、放射電極3Cの厚み方向から見て放射電極3Cと第1グランド電極71とは、スリット4Cの対称軸S2の方向に並ぶ。特に、本実施の形態において、スリット4Cの対称軸S2と放射電極3Cの対称軸S1とは一致する。したがって、放射電極3Cは、放射電極3Cの厚み方向から見て、スリット4の対称軸S2に対して線対称である。そのため、スリット4Cの対称軸S2は、放射電極3Cの厚み方向から見て放射電極3Cの中心を通る。
【0084】
図12のスリット4Cは、直線部41と、第1及び第2延出部42C,43Cとを含む。直線部41は、放射電極3Cの厚み方向から見て放射電極3Cと第1グランド電極71とが並ぶ方向に交差する方向に延びる。本実施の形態において、直線部41は、基板8の幅方向Xに延びる。
図12に示すように、直線部41は、放射電極3Cにおいて第1グランド電極71側の端部(
図12における下端部)に位置する。第1及び第2延出部42C,43Cは、直線部41の両端から放射電極3Cにおいて第1グランド電極71側とは反対側の端部(
図12における上端部)に向かってそれぞれ延びる。本実施の形態において、第1及び第2延出部42C,43Cは、ミアンダ形状(蛇行形状)である。より詳細には、第1及び第2延出部42C,43Cは、基板8の幅方向Xに曲がりながら、基板8の長さ方向Yに延びる形状である。
図12のスリット4Cでは、第1端4aは、第1延出部42の先端であり、第2端4bは、第2延出部43の先端である。
【0085】
スリット4Cの形状は、第2アンテナ素子22Cでの通信に利用する第2周波数帯域に応じて決定される。例えば、スリット4Cの長さは、第2アンテナ素子22Cでの通信に利用する第2周波数帯域に対応する波長の1/2に設定され得る。スリット4Cでは、直第1及び第2延出部42C,43Cがミアンダ形状であるから、
図1のスリット4のように第1及び第2延出部42,43が直線状である場合に比べて、スリット4Cを形成するのに必要な放射電極3Cの長さ方向Yの寸法を変えなくても、スリット4Cの長さを幅広い範囲で設定することができ得る。これは、第2アンテナ素子22Cの設計の自由度の向上を可能にする。
【0086】
[1.4.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置1Cにおいて、スリット4Cは、ミアンダ形状の部位(第1及び第2延出部42C,43C)を含む。この構成は、スリット4Cの長さの調整を容易にするから、第2アンテナ素子22Cの設計の自由度の向上を可能にする。
【0087】
[1.5 実施の形態5]
[1.5.1 構成]
図13は、実施の形態5にかかるアンテナ装置1Dの構成例の平面図である。
図13のアンテナ装置1Dは、実施の形態1にかかるアンテナ装置1の放射素子2とは異なる放射素子2Dを備える。
図13のアンテナ装置1Dは、アンテナ装置1と同様に、第1給電電極5と、第2給電電極6と、第1グランド電極71と、第2グランド電極72と、基板8と、を備える。
図13において、第2グランド電極72は図示されていないが、本実施の形態においてはアンテナ装置1Dの底面図は、
図2に示すアンテナ装置1の底面図と同様である。
【0088】
放射素子2Dは、第1アンテナ素子21D及び第2アンテナ素子22Dとして作用する。放射素子2Dは、誘電体層80の第1主表面810の第1所定領域801aに形成される導体パターンである。
【0089】
図13の放射素子2Dは、放射電極3Dと、スリット4Dとを備える。
【0090】
放射電極3Dは、平面状である。
図13の放射電極3Dは、放射電極3Dの厚み方向から見て略矩形状である。本本実施の形態において、放射電極3Dの厚み方向は、基板8の厚み方向Zに対応する。
図13に示すように、放射電極3Dは、放射電極3Dの厚み方向から見て、線対称である。放射電極3Dの対称軸S1は、基板8の長さ方向Yに対応する。放射電極3Dは、第1アンテナ素子21Dを構成する。放射電極3Dの形状は、第1アンテナ素子21Dでの通信に利用する第1周波数帯域に応じて決定される。
【0091】
スリット4Dは、放射電極3Dに形成される。
図13に示すように、スリット4Dの第1端4a及び第2端4bは、放射電極3Dの外周3aに接続されていない閉塞端である。
【0092】
図13のスリット4Dは、直線部41と、延出部44とを含む。直線部41は、放射電極3Dの厚み方向から見て放射電極3Dと第1グランド電極71とが並ぶ方向に交差する方向に延びる。本実施の形態において、直線部41は、基板8の幅方向Xに延びる。
図13に示すように、直線部41は、放射電極3Dにおいて第1グランド電極71側の端部(
図13における下端部)に位置する。延出部44は、直線部41の一端から延びる。延出部44は、螺旋形状である。より詳細には、延出部44は、放射電極3Dの中央に向かう螺旋形状である。
図13のスリット4Dでは、第1端4aは、延出部44の先端であり、第2端4bは、直線部41における延出部44とは反対側の端である。
【0093】
スリット4Dの形状は、第2アンテナ素子22Dでの通信に利用する第2周波数帯域に応じて決定される。例えば、スリット4Dの長さは、第2アンテナ素子22Dでの通信に利用する第2周波数帯域に対応する波長の1/2に設定され得る。スリット4Dは、螺旋形状であるから、
図1のスリット4のように第1及び第2延出部42,43が直線状である場合に比べて、スリット4Dを形成するのに必要な放射電極3Dの長さ方向Yの寸法を変えなくても、スリット4Dの長さを幅広い範囲で設定することができ得る。これは、第2アンテナ素子22Dの設計の自由度の向上を可能にする。
【0094】
[1.5.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置1Dにおいて、スリット4Dは、螺旋形状の部位(延出部44)を含む。この構成は、スリット4Dの長さの調整を容易にするから、第2アンテナ素子22Dの設計の自由度の向上を可能にする。
【0095】
[1.6 実施の形態6]
[1.6.1 構成]
図14は、実施の形態6にかかるアンテナ装置1Eの構成例の平面図である。
図14のアンテナ装置1Eは、実施の形態1にかかるアンテナ装置1の放射素子2とは異なる放射素子2Eを備える。
図14のアンテナ装置1Eは、アンテナ装置1と同様に、第1給電電極5と、第2給電電極6と、第1グランド電極71と、第2グランド電極72と、基板8と、を備える。
図14において、第2グランド電極72は図示されていないが、本実施の形態においてはアンテナ装置1Eの底面図は、
図2に示すアンテナ装置1の底面図と同様である。
【0096】
放射素子2Eは、アンテナとして用いられる。放射素子2Eは、第1アンテナ素子21E及び第2アンテナ素子22Eとして作用する。放射素子2Eは、誘電体層80の第1主表面810の第1所定領域801aに形成される導体パターンである。
【0097】
図14に示すように、放射素子2Eは、放射電極3Eと、スリット4Eとを備える。
【0098】
放射電極3Eは、平面状である。
図14の放射電極3Eは、放射電極3Eの厚み方向から見て略矩形状である。本実施の形態において、放射電極3Eの厚み方向は、基板8の厚み方向Zに対応する。
図14に示すように、放射電極3Eは、放射電極3Eの厚み方向から見て、線対称である。放射電極3Eの対称軸S1は、基板8の長さ方向Yに対応する。放射電極3Eは、第1アンテナ素子21Eを構成する。放射電極3Eの形状は、第1アンテナ素子21Eでの通信に利用する第1周波数帯域に応じて決定される。
【0099】
スリット4Eは、放射電極3Eに形成される。
図14に示すように、スリット4の第1端4aは、放射電極3の外周3aに接続されていない閉塞端である。一方、
図14に示すように、スリット4の第2端4bは、放射電極3の外周3aに接続されている開放端である。
【0100】
図14のスリット4Eは、略L字状である。
図14のスリット4Eは、直線部41と、延出部45とを含む。直線部41は、放射電極3Eの厚み方向から見て放射電極3Eと第1グランド電極71とが並ぶ方向に交差する方向に延びる。本実施の形態において、直線部41は、基板8の幅方向Xに延びる。
図14に示すように、直線部41は、放射電極3Eにおいて第1グランド電極71側の端部(
図14における下端部)に位置する。延出部45は、直線部41の一端から放射電極3Eにおいて第1グランド電極71側とは反対側の端部(
図14における上端部)に向かって延びる。本実施の形態において、延出部45は、基板8の長さ方向Yに延びる。そのため、直線部41に対する延出部45の角度は直角である。
図14のスリット4Eでは、第1端4aは、延出部45の先端であり、第2端4bは、直線部41における延出部44とは反対側の端である。
【0101】
スリット4Eは、第2アンテナ素子22Eを構成する。より詳細には、スリット4Eと、放射電極3Eにおけるスリット4Eの周縁部とが、第2アンテナ素子22Eを構成する。第2アンテナ素子22Eは、スリット4Eにより磁界の変化を生じさせる磁界アンテナである。第2アンテナ素子22Eは、例えば、ノッチアンテナである。ノッチアンテナは、導体に形成される切り欠き(ノッチ)により構成されるアンテナである。本実施の形態において、切り欠きは、一端が閉塞され、他端が開放された細孔を意味する。スリット4Eの形状は、第2アンテナ素子22Eでの通信に利用する第2周波数帯域に応じて決定される。例えば、スリット4Eの長さは、ノッチアンテナにおいては、第2アンテナ素子22Eでの通信に利用する第2周波数帯域に対応する波長の1/4に設定され得る。一例として、第2周波数帯域は、Bluetooth(登録商標)の周波数帯域(例えば、約2.4GHz)が挙げられる。そのため、第2アンテナ素子22Eの周波数特性の設定に必要なスリット4Eの長さを、スリット4Eの第1端4a及び第2端4bが閉塞端である場合に比べて短くでき、第2アンテナ素子22Eの設計の自由度の向上が可能になる。
【0102】
第2アンテナ素子22Eには、第2給電電極6により給電される。アンテナ装置1Eの第2給電電極6は、アンテナ装置1の第2給電電極6と同じ構成である。第2給電電極6は、第2アンテナ素子22Eと誘電体層80を介して容量結合するように第2主表面802に位置する。これによって、第2給電電極6は、誘電体層80を介して放射電極3Eと容量的に結合され、第2アンテナ素子22Eへの間接的な給電を可能にする。
【0103】
[1.6.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置1Eにおいて、スリット4Eの第1端4aは、放射電極3Eの外周3aに接続されていない閉塞端である。スリット4Eの第2端4bは、放射電極3Eの外周3aに接続されている開放端である。この構成は、第2アンテナ素子22Eの周波数特性の設定に必要なスリット4Eの長さを、スリット4Eの第1端4a及び第2端4bが閉塞である場合に比べて短くでき、第2アンテナ素子22Eの設計の自由度の向上が可能になる。
【0104】
アンテナ装置1Eは、誘電体層80を含む基板8を更に備える。誘電体層80は、第1主表面801、及び、第1主表面801とは反対側の第2主表面802を有する。放射電極3E及び第1給電電極5は、第1主表面801に位置する。第2給電電極6は、第2アンテナ素子22Eと誘電体層80を介して容量結合するように第2主表面802に位置する。この構成は、第2アンテナ素子22Eに対応する周波数帯域でのアイソレーションの改善を可能にする。
【0105】
[1.7 実施の形態7]
[1.7.1 構成]
図15は、実施の形態7にかかるアンテナ装置1Fの構成例の平面図である。
図16は、
図15のアンテナ装置1Fの底面図である。
【0106】
図15及び
図16に示すように、アンテナ装置1Fは、放射素子2Eと、第1給電電極5と、第2給電電極6Fと、第1グランド電極71と、第2グランド電極72と、基板8と、を備える。
【0107】
図15に示すように、放射素子2Eと、第1給電電極5と、第2給電電極6Fと、第1グランド電極71とは、誘電体層80の第1主表面801に位置する。
図16に示すように、第2グランド電極72は、誘電体層80の第2主表面802に位置する。
【0108】
第2給電電極6Fは、放射電極3Eの厚み方向から見て、放射電極3Eに隣接して位置する。第2給電電極6Fは、第2アンテナ素子22Eに給電するために用いられる。特に、第2給電電極6Fは、放射素子2Eをスリット4Eにより磁界の変化を生じさせる第2アンテナ素子22Eとして機能させる。
【0109】
図15の第2給電電極6Fは、誘電体層80の第1主表面801の第1所定領域801aに形成される導体パターンである。
図15に示すように、第2給電電極6Fは、放射電極3Eの厚み方向から見て放射電極3Eにおいてスリット4Eの第2端4bの縁部3cと第1グランド電極71との間に位置する。本実施の形態において、第2給電電極6Fは、第2アンテナ素子22Eに給電するための給電線が接続される第2接続部である。第2給電電極6Fは、第2給電電極6Fに接続される給電線から第2アンテナ素子22Eへの直接的な給電を可能にする。第2給電電極6Fは、第2アンテナ素子22Eの給電点を構成し得る。
【0110】
[1.7.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置1Fにおいて、スリット4Eの第1端4aは、放射電極3Eの外周3aに接続されていない閉塞端である。スリット4Eの第2端4bは、放射電極3Eの外周3aに接続されている開放端である。この構成は、第2アンテナ素子22Eの周波数特性の設定に必要なスリット4Eの長さを、スリット4Eの第1端4a及び第2端4bが開放端である場合に比べて短くでき、第2アンテナ素子22Eの設計の自由度の向上が可能になる。
【0111】
アンテナ装置1Fは、誘電体層80を含む基板8を更に備える。誘電体層80は、第1主表面801、及び、第1主表面801とは反対側の第2主表面802を有する。放射電極3E、第1給電電極5、及び第2給電電極6Eは、第1主表面801に位置する。第2給電電極6Fは、放射電極3Eの厚み方向から見て放射電極3Eにおいてスリット4Eの第2端4bの縁部3cと第1グランド電極71との間に位置する。この構成は、第2主表面802に第2給電電極6Fを形成しなくて済む。この構成は、第1アンテナ素子21Eに対応する周波数帯域でのアイソレーションの改善を可能にする。
【0112】
[1.8 実施の形態8]
[1.8.1 構成]
図17は、実施の形態8にかかるアンテナ装置1Gの構成例の平面図である。
図18は、
図17のアンテナ装置1Gの底面図である。
【0113】
図17及び
図18に示すように、アンテナ装置1Gは、放射素子2と、第1給電電極5と、第2給電電極6と、第1グランド電極71と、第2グランド電極72と、基板8と、第1整合回路91と、第2整合回路92と、を備える。
【0114】
図17に示すように、放射素子2と、第1給電電極5と、第1グランド電極71と、第1整合回路91とは、誘電体層80の第1主表面801に位置する。
【0115】
第1整合回路91は、第1給電電極5に接続される。本実施の形態において、第1整合回路91は、第1給電電極5の途中に接続される。これは、第1整合回路91が、第1給電電極5の電路の一部を構成することを意味する。第1整合回路91は、第1給電電極5に接続される給電線と第1アンテナ素子21との間のインピーダンスの整合のために設けられる。第1整合回路91は、第1アンテナ素子21での通信に必要な周波数帯域の信号の反射の低減を可能にする。
【0116】
図19は、アンテナ装置1Gの第1整合回路91の構成例の概略回路図である。
図19の第1整合回路91は、キャパシタC1と、インダクタL1とを含む。キャパシタC1は、第1給電電極5の途中に接続される。
図19では、キャパシタC1は、第1給電電極5において給電線が接続される第1端51と第1給電電極5において第1アンテナ素子21が接続される第2端52との間に挿入される。インダクタL1は、第1給電電極5とグラントの間に、特に第1給電電極5の第1端51とキャパシタC1との間の部位とグランドとの間に、接続される。グランドとしては、第1グランド電極71が用いられてよい。
【0117】
図19の第1整合回路91は、ハイパスフィルタとして機能し得る。第1整合回路91は、第1アンテナ素子21での通信に必要な周波数帯域の信号を通し、第1アンテナ素子21での通信に不要な周波数帯域の信号を遮断するように設定される。一例として、第1アンテナ素子21での通信に利用する第1周波数帯域が、UWB(Ultra Wide Band)の周波数帯域(例えば、7.25GHz~10.25GHz)であり、第2アンテナ素子22での通信に利用する第2周波数帯域が、Bluetoothの周波数帯域(例えば、約2.4GHz)である。この例では、第1整合回路91は、第1周波数帯域の信号を通し、第2周波数帯域の信号を遮断するように設定され得る。
【0118】
図18に示すように、第2給電電極6と、第2グランド電極72と、第2整合回路92とは、誘電体層80の第2主表面802に位置する。
【0119】
第2整合回路92は、第2給電電極6の配線部61に接続される。本実施の形態において、第2整合回路92は、第2給電電極6の配線部61の途中に接続される。これは、第2整合回路92が、第2給電電極6の配線部61の電路の一部を構成することを意味する。第2整合回路92は、配線部61に接続される給電線と第2アンテナ素子22との間のインピーダンスの整合のために設けられる。第2整合回路92は、第2アンテナ素子22での通信に必要な周波数帯域の信号の反射の低減を可能にする。
【0120】
図20は、アンテナ装置1Gの第2整合回路92の構成例の概略回路図である。
図20の第2整合回路92は、インダクタL2と、キャパシタC2とを含む。
図20のキャパシタC3は、容量結合する電極部62と放射電極3との等価回路である。インダクタL2は、第2給電電極6の配線部61の途中に接続される。
図20では、インダクタL2は、配線部61において給電線が接続される第1端611と配線部61において電極部62(キャパシタC3)が接続される第2端612との間に挿入される。キャパシタC2は、配線部61とグラントの間に、特に配線部61の第1端611とインダクタL2との間の部位とグランドとの間に、接続される。グランドとしては、第2グランド電極72が用いられてよい。
【0121】
図20の第2整合回路92は、ローパスフィルタとして機能し得る。第2整合回路92は、第2アンテナ素子22での通信に必要な周波数帯域の信号を通し、第2アンテナ素子22での通信に不要な周波数帯域の信号を遮断するように設定される。一例として、第1アンテナ素子21での通信に利用する第1周波数帯域が、UWB(Ultra Wide Band)の周波数帯域(例えば、7.25GHz~10.25GHz)であり、第2アンテナ素子22での通信に利用する第2周波数帯域が、Bluetoothの周波数帯域(例えば、約2.4GHz)である。この例では、第2整合回路92は、第2周波数帯域の信号を通し、第1周波数帯域の信号を遮断するように設定され得る。
【0122】
[1.8.2 効果等]
以上述べたアンテナ装置1Gは、第1給電電極5に接続される第1整合回路91を備える。この構成は、第1アンテナ素子21での通信に必要な周波数帯域の信号の反射の低減を可能にする。
【0123】
アンテナ装置1Gにおいて、第1整合回路91は、第1給電電極5の途中に接続された、少なくとも1つのキャパシタC1と、第1給電電極5とグランドとの間に接続された、少なくとも1つのインダクタL1と、を含む。この構成は、第1アンテナ素子21での通信に不要な周波数帯域の信号の遮断を可能にする。
【0124】
アンテナ装置1Gは、第2整合回路92を備える。第2給電電極6は、放射電極3と容量結合する電極部62と、第2アンテナ素子22に給電するための給電線が接続される配線部61と、を含む。第2整合回路92は、配線部61に接続された。この構成は、第2アンテナ素子22での通信に必要な周波数帯域の信号の反射の低減を可能にする。
【0125】
アンテナ装置1Gにおいて、第2整合回路92は、配線部61の途中に接続された、少なくとも1つのインダクタL2と、配線部61とグランドとの間に接続された、少なくとも1つのキャパシタC2と、を含む。この構成は、第2アンテナ素子22での通信に不要な周波数帯域の信号の遮断を可能にする。
【0126】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0127】
一変形例において、放射素子2,2B~2Eの形状及び寸法、特に、放射電極3,3B~3Eの形状及び寸法並びにスリット4,4B~4Eの形状及び寸法は適宜変更されてよい。一例として、放射電極3は線対称でなくてよく、スリット4も線対称でなくてもよい。放射電極3に対するスリット4の配置も適宜変更されてよい。放射電極3,3B~3Eとスリット4,4B~4Eとの組み合わせは、実施の形態1~8の構成例に限られない。例えば、任意の実施の形態の放射電極と、別の実施の形態のスリットとを組み合わせてよい。一例として、実施の形態3の放射電極3Bに、実施の形態4のスリット4Cを形成してもよい。
【0128】
一変形例において、第1周波数帯域は、必ずしもUWBによる無線通信の周波数帯域に限定されない。第2周波数帯域は、必ずしもBluetoothの周波数帯域に限定されない。第1及び第2周波数帯域は、例えば、Wi-Fiによる無線通信の周波数帯域であってもよい。Wi-Fiによる無線通信の周波数帯域としては、2.4GHz付近の周波数帯域(例えば、2.4GHz~2.5GHz)、及び、5GHz付近の周波数帯域(例えば、5.15GHz~5.8GHz)が挙げられる。第1及び第2周波数帯域は、例えば、2G(第2世代移動通信)規格のミッドバンド、4G(第4世代移動通信)規格のローバンド、5G(第5世代移動通信)規格のローバンド等の周知の周波数帯域から選択されてよい。2G規格は、例えば、GSM(登録商標)規格(GSM:Global System for Mobile Communications)である。4G規格は、例えば、3GPP(登録商標) LTE規格(LTE:Long Term Evolution)である。5G規格は、例えば、5G NR(New Radio)である。第1及び第2周波数帯域は、無線LAN、特定小電力無線、近距離無線通信の種々の通信規格に用いられる周波数帯域から選択されてよい。
【0129】
一変形例において、第1給電電極5は、実施の形態1~8の構成例に限定されず、適宜変更されてよい。
【0130】
一変形例において、第2給電電極6,6A,6Fは、実施の形態1~8の例に限定されず、適宜変更されてよい。実施の形態2の第2給電電極6Aは、実施の形態3,4,5,6,8等にも適用されてよい。
【0131】
一変形例において、第1グランド電極71及び第2グランド電極72の構成は、必ずしも実施の形態1~8の構成例に限定されない。第1グランド電極71及び第2グランド電極72は、必ずしも誘電体層80の第1主表面801及び第2主表面802それぞれに形成されていなくてもよい。基板8が多層基板である場合には、第1グランド電極71及び第2グランド電極72は、基板8の中間層として設けられてよい。第1グランド電極71及び第2グランド電極72の代わりに、第1アンテナ素子21と第2アンテナ素子22とが共用する単一のグランド電極を設けてよい。第1グランド電極71及び第2グランド電極72の形状は、矩形状に限定されず、適宜変更され得る。
【0132】
一変形例において、基板8の構成は、必ずしも実施の形態1~8の構成に限定されない。例えば、基板の形状は、矩形の板状に限定されない。基板は、両面銅張積層板、多層基板等の周知の構成であってよい。一例として、実施の形態1において、基板8は、複数の誘電体層80を備え、第1給電電極5及び第2給電電極6は、異なる誘電体層80に位置してよい。
【0133】
一変形例において、第1整合回路91は、
図19の構成例に限定されず、所望のフィルタ性能を有してよい。一例として、第1整合回路91において、インダクタL1は、第1給電電極5とグランドとの間、特に第1給電電極5の第2端52とキャパシタC1との間の部位とグランドとの間に接続されてもよい。第1整合回路91は、インダクタL1に加えて、第1給電電極5の途中、特に、第1給電電極5の第2端52とキャパシタC1との間の部位とグランドとの間に接続されるインダクタを備えてもよい。第1整合回路91は、キャパシタC1に加えて、第1給電電極5の第1端51と、キャパシタC1とインダクタL1との接続点との間に接続されるキャパシタを備えてもよい。このように、第1整合回路91は、第1給電電極5の途中に接続された少なくとも1つのキャパシタと、第1給電電極5とグランドとの間に接続された少なくとも1つのインダクタとを含んでよい。第1整合回路91は、必ずしも、第1給電電極5の途中に接続されている必要はなく、第1整合回路91の端部が第1給電電極5に直結される構成であってもよい。第1整合回路91は必須ではない。
【0134】
一変形例において、第2整合回路92は、
図20の構成例に限定されず、所望のフィルタ性能を有してよい。一例として、第2整合回路92において、キャパシタC2は、第2給電電極6の配線部61とグランドとの間、特に配線部61の第2端612とインダクタL2との間の部位とグランドとの間に接続されてもよい。第2整合回路92は、キャパシタC2に加えて、配線部61とグランドとの間、特に配線部61の第2端612とインダクタL2との間の部位とグランドとの間に接続されるキャパシタを備えてもよい。第2整合回路92は、インダクタL2に加えて、第2給電電極6の配線部61の第1端611と、キャパシタC2とインダクタL2との接続点との間に接続されるインダクタを備えてもよい。このように、第2整合回路92は、第2給電電極6の配線部61の途中に接続された少なくとも1つのキャパシタと、配線部61とグランドとの間に接続された少なくとも1つのインダクタとを含んでよい。第2整合回路92は、必ずしも、第2給電電極6の配線部61の途中に接続されている必要はなく、第2整合回路92の端部が第2給電電極6に直結される構成であってもよい。第2整合回路92は必須ではない。
【0135】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。なお、文章の見やすさを考慮して2回目以降の括弧付きの符号の記載を省略する場合がある。
【0136】
第1の態様は、アンテナ装置(1;1A~1G)であって、平面状の放射電極(3;3B~3E)を備える第1アンテナ素子(21;21B~21E)と、前記放射電極(3;3B~3E)に形成されるスリット(4;4B~4E)を備える第2アンテナ素子(22;22B~22E)と、前記放射電極(3;3B~3E)の厚み方向から見て前記放射電極(3;3B~3E)と並ぶグランド電極(第1グランド電極71)と、前記放射電極(3;3B~3E)の前記厚み方向から見て前記放射電極(3;3B~3E)と前記グランド電極(第1グランド電極71)との間に位置し、前記第1アンテナ素子(21;21B~21E)に給電するための第1給電電極(5)と、前記放射電極(3;3B~3E)の前記厚み方向から見て、前記放射電極(3;3B~3E)と一部が重なるか、前記放射電極(3;3B~3E)に隣接して位置し、前記第2アンテナ素子(22;22B~22E)に給電するための第2給電部(6;6A;6F)と、を備える。この態様は、小型化、及び、アンテナ素子(第1アンテナ素子及び第2アンテナ素子)間のアイソレーションの改善を可能にする。
【0137】
第2の態様は、第1の態様に基づくアンテナ装置(1;1B~1E;1G)である。第2の態様において、前記アンテナ装置(1;1B~1E;1G)は、誘電体層(80)を含む基板(8)を備える。前記誘電体層(80)は、第1主表面(801)、及び、前記第1主表面(801)とは反対側の第2主表面(802)を有する。前記放射電極(3;3B;3C;3D;3E)及び前記第1給電電極(5)は、前記第1主表面(801)に位置する。前記第2給電電極(6)は、前記第2主表面(802)に位置する。前記第1給電電極(5)と前記放射電極(3)は直接接続される。前記第2給電電極(6)と前記放射電極(3)は容量結合される。この態様は、第2アンテナ素子に対応する周波数帯域でのアイソレーションの改善を可能にする。
【0138】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づくアンテナ装置(1;1A;1B;1C;1D;1G)である。第3の態様において、前記スリット(4;4B;4C;4D)の第1端(4a)及び第2端(4b)は、前記放射電極(3;3B;3C;3D)の外周(3a)に接続されていない閉塞端である。この態様は、小型化、及び、アンテナ素子(第1アンテナ素子及び第2アンテナ素子)間のアイソレーションの改善を可能にする。
【0139】
第4の態様は、第3の態様に基づくアンテナ装置(1;1A;1B;1C;1D;1G)である。第4の態様において、前記スリット(4;4B;4C;4D)は、前記放射電極(3;3B;3C;3D)の前記厚み方向から見て、線対称である。前記放射電極(3;3B;3C;3D)の前記厚み方向から見て前記放射電極(3;3B;3C;3D)と前記グランド電極(第1グランド電極71)とは、前記スリット(4;4B;4C;4D)の対称軸(S2)の方向に並ぶ。前記スリット(4;4B;4C;4D)の前記対称軸(S2)は、前記放射電極(3;3B;3C;3D)の前記厚み方向から見て前記放射電極(3;3B;3C;3D)の中心を通る。この態様は、放射電極におけるスリットの周囲に流れる電流が線対称に分布し易くなるため、第2アンテナ素子のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0140】
第5の態様は、第4の態様に基づくアンテナ装置(1;1A;1B;1C;1D;1G)である。第5の態様において、前記第2給電電極(6)は、前記スリット(4;4B;4C;4D)の前記対称軸(S2)上に位置する。この態様は、放射電極におけるスリットの周囲に流れる電流が線対称に分布し易くなるため、第2アンテナ素子のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0141】
第6の態様は、第4又は第5の態様に基づくアンテナ装置(1;1A;1B;1C;1D;1G)である。第6の態様において、前記放射電極(3;3B;3C;3D)は、前記放射電極(3;3B;3C;3D)の前記厚み方向から見て、前記スリット(4;4B;4C;4D)の前記対称軸(S2)に対して線対称である。この態様は、放射電極において電流が線対称に分布し易くなるため、第1アンテナ素子のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0142】
第7の態様は、第6の態様に基づくアンテナ装置(1;1A;1B;1C;1D;1G)である。第7の態様において、前記第1給電電極(5)は、前記放射電極(3;3B;3C;3D)の対称軸(S1)上に位置する。この態様は、放射電極において電流が線対称に分布し易くなるため、第1アンテナ素子のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0143】
第8の態様は、第4~第7の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(1;1A;1B;1C;1D;1G)である。第8の態様において、前記スリット(4;4B;4C;4D)の前記対称軸(S2)の方向において、前記スリット(4;4B;4C;4D)の中央は前記スリット(4;4B;4C;4D)の前記第1端(4a)及び前記第2端(4b)よりも前記グランド電極(第1グランド電極71)に近い。この態様は、第2給電電極により第2アンテナ素子に給電するための配線経路を短くできる。そのため、第2給電電極と他の部位との容量結合を低減できる。
【0144】
第9の態様は、第1又は第2の態様に基づくアンテナ装置(1E;1F)である。第9の態様において、前記スリット(4E)の第1端(4a)は、前記放射電極(3E)の外周(3a)に接続されていない閉塞端である。前記スリット(4E)の第2端は、前記放射電極(3E)の外周(3a)に接続されている開放端である。この態様は、第2アンテナ素子の周波数特性の設定に必要なスリットの長さを、スリットの第1端及び第2端が閉塞である場合に比べて短くでき、第2アンテナ素子の設計の自由度の向上を可能にする。
【0145】
第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(1B)である。第10の態様において、前記放射電極(3B)及び前記グランド電極(第1グランド電極71)は、前記放射電極(3B)の前記厚み方向から見て第1方向において並ぶ。前記放射電極(3B)は、前記第1方向において前記グランド電極(第1グランド電極71)から離れるほど、前記放射電極(3B)の前記厚み方向から見て前記第1方向に直交する第2方向での寸法が大きくなる形状を有する。この態様は、放射電極の第1方向における寸法を小さくでき、小型化を可能にする。
【0146】
第11の態様は、第1~第10の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(1C)である。第11の態様において、前記スリット(4C)は、ミアンダ形状の部位(42C,43C)を含む。この態様は、スリットの長さの調整を容易にするから、第2アンテナ素子の設計の自由度の向上を可能にする。
【0147】
第12の態様は、第1~第11の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(1G)である。第12の態様において、前記アンテナ装置(1G)は、前記第1給電電極(5)に接続される第1整合回路(91)を備える。この態様は、第1アンテナ素子での通信に必要な周波数帯域の信号の反射の低減を可能にする。
【0148】
第13の態様は、第12の態様に基づくアンテナ装置(1G)である。第13の態様において、前記第1整合回路(91)は、前記第1給電電極(5)の途中に接続された、少なくとも1つのキャパシタ(C1)と、前記第1給電電極(5)とグランドとの間に接続された、少なくとも1つのインダクタ(L1)、とを含む。この態様は、第1アンテナ素子での通信に不要な周波数帯域の信号の遮断を可能にする。
【0149】
第14の態様は、第1~第13の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(1G)である。第14の態様において、前記アンテナ装置(1G)は、第2整合回路(92)を備える。前記第2給電電極(6)は、前記放射電極(3)と容量結合する電極部(62)と、前記第2アンテナ素子(22)に給電するための給電線が接続される配線部(61)と、を含む。前記第2整合回路(92)は、前記配線部(61)に接続された。この態様は、第2アンテナ素子での通信に必要な周波数帯域の信号の反射の低減を可能にする。
【0150】
第15の態様は、第14の態様に基づくアンテナ装置(1G)である。第15の態様において、前記第2整合回路(92)は、前記配線部(61)の途中に接続された、少なくとも1つのインダクタ(L2)と、前記配線部(61)とグランドとの間に接続された、少なくとも1つのキャパシタ(C2)、とを含む。この態様は、第2アンテナ素子での通信に不要な周波数帯域の信号の遮断を可能にする。
【0151】
第16の態様は、第1~第15の態様のいずれか一つに基づくアンテナ装置(1;1A;1B;1C;1D;1E;1F;1G)である。第16の態様において、前記スリット(4;4B;4C;4D;4E)は、前記放射電極(3;3B;3C;3D;3E)の前記厚み方向から見て前記放射電極(3;3B;3C;3D;3E)と前記グランド電極(第1グランド電極71)とが並ぶ方向に交差する方向に延びる直線部(41)を含む。この態様は、第2アンテナ素子のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0152】
第17の態様は、第16の態様に基づくアンテナ装置(1B)である。第17の態様において、前記スリット(4B)は、前記直線部(41)の両端それぞれから延びる第1及び第2延出部(42,43)を更に含む。前記直線部(41)に対する前記第1及び第2延出部(42,43)の角度は鈍角である。この態様は、第2アンテナ素子のアンテナ特性の安定化を可能にする。
【0153】
第18の態様は、アンテナ装置(1;1A~1G)であって、平面状の放射電極(3;3B~3E)及び前記放射電極(3;3B~3E)に形成されるスリット(4;4B~4E)を有する放射素子(2;2B~2E)と、前記放射電極(3;3B~3E)の厚み方向から見て前記放射電極(3;3B~3E)に隣接するグランド電極(第1グランド電極71)と、前記放射素子(2;2B~2E)を前記放射電極(3;3B~3E)により電界の変化を生じさせる第1アンテナ素子(21;21B~21E)として機能させる第1給電電極(5)と、前記放射素子(2;2B~2E)を前記スリット(4;4B~4E)により磁界の変化を生じさせる第2アンテナ素子(22;22B~22E)として機能させる第2給電電極(6;6A;6F)と、を備える。この態様は、小型化、及び、アンテナ素子間のアイソレーションの改善を可能にする。
【0154】
第2~第17の態様は、任意の要素であり、必須ではない。第2~第17の態様は、第18の態様にも適宜変更して適用でき得る。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本開示は、アンテナ装置に適用可能である。具体的には、複数のアンテナ素子を備えるアンテナ装置に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0156】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G アンテナ装置
2,2B,2C,2D,2E 放射素子
21,21B,21C,21D,21E 第1アンテナ素子
22,22B,22C,22D,22E 第2アンテナ素子
3,3B,3C,3D,3E 放射電極
3a 外周
4,4B,4C,4D,4E スリット
4a 第1端
4b 第2端
41 直線部
42 第1延出部
42C 第1延出部(ミアンダ形状の部位)
43 第2延出部
43C 第2延出部(ミアンダ形状の部位)
5 第1給電電極
C1 キャパシタ
L1 インダクタ
6,6A,6F 第2給電電極
61 配線部
62 電極部
C2 キャパシタ
L2 インダクタ
71 第1グランド電極(グランド電極)
72 第2グランド電極
8 基板
80 誘電体層
801 第1主表面
802 第2主表面
91 第1整合回路
92 第2整合回路
S1 対称軸
S2 対称軸