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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011489
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 15/04 20060101AFI20250117BHJP
   A61G 15/00 20060101ALN20250117BHJP
【FI】
A61G15/04
A61G15/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113633
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 玄明
(72)【発明者】
【氏名】勅使河原 誠一
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341JJ01
4C341MP03
(57)【要約】
【課題】着座した状態の受診者に対して受診者の姿勢を調節する場合に受診者の身体的負担を抑制することができる検査装置を提供すること。
【解決手段】検査装置1は、第1基台10と、第1基台10に配置され、受診者Mが座る腰掛部20と、腰掛部20に座り且つ前屈した受診者Mの胸部が接触し、受診者Mの胸部内の画像に基づく診断に用いられる画像診断装置30が取り付けられる第1支持部40と、を備える。第1支持部40は、腰掛部20に座り且つ前屈した受診者Mの胸部が画像診断装置30に接触した接触状態である受診者Mの左胸部が受診者Mの右胸部より上下方向下側となる下方側に向けて、接触状態である受診者Mの上半身を下半身に対して旋回させる第1旋回部43を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基台と、
前記第1基台に配置され、受診者が座る腰掛部と、
前記腰掛部に座り且つ前屈した前記受診者の胸部が接触し、前記受診者の胸部内の画像に基づく診断に用いられる画像診断装置が取り付けられる第1支持部と、を備え、
前記第1支持部は、
前記腰掛部に座り且つ前屈した前記受診者の胸部が前記画像診断装置に接触した接触状態である前記受診者の左胸部が前記受診者の右胸部より上下方向下側となる下方側に向けて、前記接触状態である前記受診者の上半身を下半身に対して旋回させる第1旋回部を備える、
検査装置。
【請求項2】
前記第1支持部は、
前記第1基台に配置される第1支持体と、
前記画像診断装置が取り付けられる第2支持体と、をさらに備え、
前記第1旋回部は、前記下方側に向けて前記第2支持体を前記第1支持体に対して旋回可能に前記第1支持体と前記第2支持体とを接続する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記接触状態である前記受診者を前記受診者の腰部を中心として前記下方側に向けて旋回させる第2旋回部をさらに備える、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
第2基台と、
前記第2基台に配置され、前記第1基台を支持する第2支持部と、をさらに備え、
前記第2支持部は、
前記第2基台に配置される第3支持体と、
前記第1基台に配置される第4支持体と、
前記第2旋回部と、を備え、
前記第2旋回部は、
前記下方側に向けて前記第4支持体を前記第3支持体に対して旋回可能に前記第3支持体と前記第4支持体とを接続する、
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記接触状態である前記受診者の前屈の度合を調節する調節部をさらに備える、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記第1旋回部は、
前記第1支持体および前記第2支持体の一方の支持体に配置され、前記第1旋回部の旋回方向に沿って延びる第1ガイドレールと、
前記第1支持体および前記第2支持体の他方の支持体に配置され、前記第1ガイドレールと嵌合する第1ガイドローラと、を備える、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項7】
前記第1旋回部は、
前記第1支持体および前記第2支持体の一方の支持体に配置され、前記第1旋回部の旋回方向に沿って配置されている複数の第1貫通穴を有する第1板部材と、
前記第1支持体および前記第2支持体の他方の支持体に配置され、複数の前記第1貫通穴のうち1つの前記第1貫通穴と重なった状態で1つの前記第1貫通穴とともに軸部材が嵌まる第2貫通穴を有する第2板部材と、を備える、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項8】
前記第2旋回部は、
前記第3支持体および前記第4支持体の一方の支持体に配置され、前記第2旋回部の旋回方向に沿って延びる第2ガイドレールと、
前記第3支持体および前記第4支持体の他方の支持体に配置され、前記第2ガイドレールと嵌合する第2ガイドローラと、を備える、
請求項4に記載の検査装置。
【請求項9】
前記第2旋回部は、
前記第3支持体および前記第4支持体の一方の支持体に配置され、前記第2旋回部の旋回方向に沿って配置されている複数の第3貫通穴を有する第3板部材と、
前記第3支持体および前記第4支持体の他方の支持体に配置され、複数の前記第3貫通穴のうち1つの前記第3貫通穴と重なった状態で1つの前記第3貫通穴とともに軸部材が嵌まる第4貫通穴を有する第4板部材と、を備える、
請求項4に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着座部および胸当て部を備える治療用椅子が開示されている。着座部および胸当て部は、互いに逆の斜め方向に移動することで、上下移動および水平移動して互いに近接および離反する。これにより、着座者の体格に関わらず最適な前傾姿勢が得られるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2857089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、医師の診察は、一般的には受診者が椅子に着座した状態で行われる。診察の結果、超音波検査などの検査が必要となった場合、受診者はベッドに横たわる。また、超音波検査を行う装置が診察室とは異なる部屋にある場合、受診者は、当該異なる部屋に移動する。このように、検査は、受診者が着座している椅子から移動して行われており、医師および受診者の双方に手間がかかっている。よって、検査は、受診者が椅子に座った状態のまま行われることが望ましい。
【0005】
受診者が椅子に座った状態で例えば超音波検査が行われる場合、例えば特許文献1の椅子の胸当て部に受診者の胸部が押し当てられた状態で、超音波検査装置の探触子(いわゆる超音波プローブ)を受診者に接触させることが考えられる。超音波検査装置において、例えば心臓の画像を鮮明な状態で取得するには、受診者の姿勢を適切な姿勢にする必要がある。しかしながら、当該適切な姿勢は、着座している受診者の上半身を下半身に対して傾斜させたりねじったりする必要があり、特許文献1の椅子の胸当て部に受診者の胸部を押し当てた状態では受診者の身体的負担が大きくなる可能性がある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、着座した状態の受診者に対して受診者の姿勢を調節する場合に受診者の身体的負担を抑制することができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る検査装置は、第1基台と、前記第1基台に配置され、受診者が座る腰掛部と、前記腰掛部に座り且つ前屈した前記受診者の胸部が接触し、前記受診者の胸部内の画像に基づく診断に用いられる画像診断装置が取り付けられる第1支持部と、を備え、前記第1支持部は、前記腰掛部に座り且つ前屈した前記受診者の胸部が前記画像診断装置に接触した接触状態である前記受診者の左胸部が前記受診者の右胸部より上下方向下側となる下方側に向けて、前記接触状態である前記受診者の上半身を下半身に対して旋回させる第1旋回部を備える。
【0008】
これによれば、第1旋回部が接触状態である受診者の上半身を下半身に対して旋回させる。よって、着座した状態の受診者に対して受診者の姿勢を調節する場合に受診者の身体的負担を抑制することができる。また、受診者は、着座したまま検査を受けることができる。よって、受診者は、腰掛部に着座した状態で診察を受けることで、腰掛部から移動することなく検査を受けることができる。
【0009】
本開示の一態様に係る検査装置において、前記第1支持部は、前記第1基台に配置される第1支持体と、前記画像診断装置が取り付けられる第2支持体と、をさらに備え、前記第1旋回部は、前記下方側に向けて前記第2支持体を前記第1支持体に対して旋回可能に前記第1支持体と前記第2支持体とを接続する。
【0010】
これによれば、第1旋回部が第1支持体に対して第2支持体を旋回させることで、接触状態である受診者の上半身を下半身に対して容易に旋回させることができる。
【0011】
本開示の一態様に係る検査装置において、前記接触状態である前記受診者を前記受診者の腰部を中心として前記下方側に向けて旋回させる第2旋回部をさらに備える。
【0012】
これによれば、第2旋回部が接触状態である受診者を受診者の腰部を中心として旋回させる。よって、着座した状態の受診者に対して受診者の姿勢を調節する場合に受診者の身体的負担をより抑制することができる。
【0013】
本開示の一態様に係る検査装置において、第2基台と、前記第2基台に配置され、前記第1基台を支持する第2支持部と、をさらに備え、前記第2支持部は、前記第2基台に配置される第3支持体と、前記第1基台に配置される第4支持体と、前記第2旋回部と、を備え、前記第2旋回部は、前記下方側に向けて前記第4支持体を前記第3支持体に対して旋回可能に前記第3支持体と前記第4支持体とを接続する。
【0014】
これによれば、第2旋回部が第3支持体に対して第4支持体を旋回させることで、接触状態である受診者を受診者の腰部を中心として容易に旋回させることができる。
【0015】
本開示の一態様に係る検査装置において、接触状態である前記受診者の前屈の度合を調節する調節部をさらに備える。
【0016】
これによれば、着座した状態の受診者に対して受診者の前屈の度合を調節する場合に受診者の身体的負担をさらに抑制することができる。
【0017】
本開示の一態様に係る検査装置において、前記第1旋回部は、前記第1支持体および前記第2支持体の一方の支持体に配置され、前記第1旋回部の旋回方向に沿って延びる第1ガイドレールと、前記第1支持体および前記第2支持体の他方の支持体に配置され、前記第1ガイドレールと嵌合する第1ガイドローラと、を備える。
【0018】
これによれば、第1旋回部は、第1ガイドレールおよび第1ガイドローラによって第1支持体に対して第2支持体を第1旋回部の旋回方向に沿って適切に旋回させることができる。
【0019】
本開示の一態様に係る検査装置において、前記第1旋回部は、前記第1支持体および前記第2支持体の一方の支持体に配置され、前記第1旋回部の旋回方向に沿って配置されている複数の第1貫通穴を有する第1板部材と、前記第1支持体および前記第2支持体の他方の支持体に配置され、複数の前記第1貫通穴のうち1つの前記第1貫通穴と重なった状態で1つの前記第1貫通穴とともに軸部材が嵌まる第2貫通穴を有する第2板部材と、を備える。
【0020】
これによれば、1つの第1貫通穴および第2貫通穴に軸部材を手動で嵌めることで第1支持体に対する第2支持体の第1旋回部の旋回方向の位置を容易に定めることができる。
【0021】
本開示の一態様に係る検査装置において、前記第2旋回部は、前記第3支持体および前記第4支持体の一方の支持体に配置され、前記第2旋回部の旋回方向に沿って延びる第2ガイドレールと、前記第3支持体および前記第4支持体の他方の支持体に配置され、前記第2ガイドレールと嵌合する第2ガイドローラと、を備える。
【0022】
これによれば、第2旋回部は、第2ガイドレールおよび第2ガイドローラによって第3支持体に対して第4支持体を第2旋回部の旋回方向に沿って適切に旋回させることができる。
【0023】
本開示の一態様に係る検査装置において、前記第2旋回部は、前記第3支持体および前記第4支持体の一方の支持体に配置され、前記第2旋回部の旋回方向に沿って配置されている複数の第3貫通穴を有する第3板部材と、前記第3支持体および前記第4支持体の他方の支持体に配置され、複数の前記第3貫通穴のうち1つの前記第3貫通穴と重なった状態で1つの前記第3貫通穴とともに軸部材が嵌まる第4貫通穴を有する第4板部材と、を備える。
【0024】
これによれば、1つの第3貫通穴および第4貫通穴に軸部材を手動で嵌めることで第3支持体に対する第4支持体の第2旋回部の旋回方向の位置を容易に定めることができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、検査装置は、着座した状態の受診者に対して検査が行われる場合に受診者の身体的負担を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本開示の実施形態に係る検査装置の斜視図である。
図2図2は、-X側からX方向に沿って見たときの第1基台、腰掛部、画像診断装置および、第1支持部を示す図である。
図3図3は、第1基台、腰掛部、および、第1支持部のスケルトン図である。
図4図4は、画像診断装置のブロック図である。
図5図5は、+Y側から第1旋回軸線に沿って見たときの第1支持体、第2支持体および第1旋回部を示す図である。
図6図6は、-X側からX方向に沿って見たときの第1支持体、第2支持体および第1旋回部を示す図である。
図7図7は、+Y側から第1旋回軸線に沿って見たときの第1旋回部のスケルトン図である。
図8図8は、第1旋回軸線を含む面で切断したときの第1ガイドレールの断面図である。
図9図9は、第2基台および第2支持部の拡大図である。
図10図10は、-X側からX方向に沿って見た第2基台および第2支持部の側面図である。
図11図11は、第2基台、第2支持部、および、第1基台のスケルトン図である。
図12図12は、第2旋回軸線を含む面で切断したときの第2ガイドレールの断面図である。
図13図13は、第3板部材および第4板部材の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態のおよび各変形例の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0028】
また、以下の説明においては、Z方向を検査装置1の上下方向とし、X方向を検査装置1の左右方向とし、Y方向を検査装置1の前後方向とする。Z方向において矢印が指し示す側を上側とし、その反対側を下側とする。X方向において矢印が指し示す側を左側とし、その反対側を右側とする。また、Y方向において矢印が指し示す側を前側とし、その反対側を後側とする。X方向、Y方向およびZ方向は互いに直交する。なお、X、Y、Zの方向は一例であって、本開示はこれらの方向に限定されない。
【0029】
図1は、本開示の実施形態に係る検査装置1の斜視図である。検査装置1は、受診者Mが着座した状態で適切に検査を行うものである。検査装置1が行う検査は、超音波検査である。なお、検査装置1が行う検査が超音波検査に限定されないことは言うまでもなく、例えばX線検査でもよい。
【0030】
検査装置1は、第1基台10、腰掛部20、画像診断装置30、第1支持部40、第2基台50、および、第2支持部60を備えている。
【0031】
図2は、-X側からX方向に沿って見たときの第1基台10、腰掛部20、画像診断装置30および、第1支持部40を示す図である。図3は、第1基台10、腰掛部20、および、第1支持部40のスケルトン図である。
【0032】
図1および図2に示すように、第1基台10は、複数の第1棒部材11によって、平面視矩形状の平板状に形成されている。第1基台10の複数の第1棒部材11は、Y方向に沿って延び且つX方向に沿って並ぶ一対の第1棒部材11aを備える。
【0033】
腰掛部20は、第1基台10に配置されている。腰掛部20には、受診者Mが座る。図1図2および図3に示すように、腰掛部20は、足置き部21、第1調節部22、支柱部23、および、座部24を備える。
【0034】
足置き部21は、第1基台10に取り付けられる板状である。足置き部21には、受診者Mの足が置かれる。足置き部21は、図3に示す第1接続部21aを介して第1基台10の一対の第1棒部材11aに接続されている。なお、図2および図3においては、一対の第1棒部材11aの一方が示されている。第1接続部21aは、一対の第1棒部材11aに対して足置き部21がY方向に沿って移動可能に、一対の第1棒部材11aと足置き部21とを接続する。
【0035】
第1調節部22(図3参照)は、足置き部21に配置され、一対の第1棒部材11aに対する足置き部21の位置を調節可能にする。第1調節部22は、本体部22a、レバー部22b、および、本体部22aに収納されているピン22cを備えている。レバー部22bが操作されることで本体部22aからピン22cが突出したり、本体部22aから突出したピン22cが本体部22aに収納されたりする。
【0036】
ピン22cが本体部22aに収納されている状態では、足置き部21は、一対の第1棒部材11aに対して移動可能である。一方、ピン22cが本体部22aから突出している状態では、一対の第1棒部材11aの一方にY方向に沿って配置されている複数の貫通穴(不図示)の1つにピン22cが挿入されることで、足置き部21は、一対の第1棒部材11aに固定される。つまり、第1基台10に対する足置き部21の位置が定まる。
【0037】
つまり、第1調節部22によって第1基台10に対する足置き部21の位置を調節することができる。医師は、レバー部22bの操作、および、第1基台10に対する足置き部21の位置の調節を手動で行う。なお、本体部22aから突出したピン22cが一対の第1棒部材11aの一方を押圧することで、第1基台10に対する足置き部21の位置が調節されてもよい。
【0038】
支柱部23(図2および図3参照)は、足置き部21を介して第1基台10に配置され、座部24を支持する柱状である。支柱部23は、第1柱部材23a、第2柱部材23b、および、第2調節部23cを備えている。
【0039】
第1柱部材23aは、足置き部21に配置されている。第2柱部材23bは、第2接続部23dを介して第1柱部材23aに接続されている(図3参照)。第2接続部23dは、支柱部23が延びる方向に沿って第1柱部材23aに対して第2柱部材23bが移動可能に第1柱部材23aと第2柱部材23bとを接続する。
【0040】
第2調節部23cは、第2接続部23dに配置され、第1柱部材23aに対して第2柱部材23bを昇降させて第1基台10に対する座部24の高さを調節する。第2調節部23cは、例えばレバーの操作よって第1柱部材23aに対する第2柱部材23bの位置を調節可能なガス圧式の昇降機構を含んで構成されている。当該昇降機構は、一般的な椅子に用いられる公知の機構であり、説明を省略する。なお、当該の昇降機構は、油圧式でもよい。
【0041】
また、第2調節部23cは、上記の第1調節部22と同様に、本体部、レバー部、および、本体部に収納可能なピンを含んで構成されてもよい。この場合、第2調節部23cのピンが本体部に収納されている状態では、第2柱部材23bは、第1柱部材23aに対して移動可能である。一方、第2調節部23cのピンが本体部から突出している状態では、第1柱部材23aに支柱部23の延びる方向に沿って配置されている複数の貫通穴(不図示)の1つにピンが挿入されることで、第2柱部材23bは、第1柱部材23aに対して固定される。
【0042】
座部24は、座枠部24a、座板部24b、一対の第3柱部材24c、および、第3調節部24dを備えている。
【0043】
座枠部24aは、第2柱部材23bに配置され、Y方向に沿って延び且つX方向に並ぶ一対の第2棒部材24a1を備える平面視矩形状である。図2および図3においては、一対の第2棒部材24a1の一方が示されている。
【0044】
座板部24bは、受診者Mが着座する座面Sを有する板状である。座板部24bの+Y側端部と座枠部24aの+Y側端部とは、図3に示す第3接続部24eを介して接続されている。第3接続部24eは、X方向に沿って延びる第1軸線Ax1回りに座枠部24aに対して座板部24bが回転可能に座枠部24aと座板部24bとを接続する。
【0045】
一対の第3柱部材24cは、座枠部24aの一対の第2棒部材24a1と座板部24bとを接続する。一対の第3柱部材24cは、それぞれX方向と直交し互いに平行である。図2および図3においては、一対の第3柱部材24cの一方が示されている。
【0046】
一対の第3柱部材24cの第1端部は、図3に示す第4接続部24fを介して座板部24bに接続されている。第4接続部24fは、一対の第3柱部材24cと座板部24bとを、X方向に沿って延びる第2軸線Ax2回りに互いに回転可能に接続する。
【0047】
一対の第3柱部材24cの第2端部は、第5接続部24gを介して座枠部24aの一対の第2棒部材24a1に接続されている。第5接続部24gは、一対の第3柱部材24cと座枠部24aの一対の第2棒部材24a1とを、X方向に沿って延びる第3軸線Ax3回りに互いに回転可能に接続する。また、第5接続部24gは、一対の第2棒部材24a1に対して一対の第3柱部材24cがY方向に沿って移動可能に一対の第2棒部材24a1と一対の第3柱部材24cとを接続する。
【0048】
これにより、座枠部24aの一対の第2棒部材24a1、座板部24b、および、一対の第3柱部材24cは、座枠部24aの一対の第2棒部材24a1に対して一対の第3柱部材24cが変位することで、座枠部24aに対する座面Sの傾斜の度合が変化するリンク機構を構成する。
【0049】
第3調節部24dは、第5接続部24gに配置され、座面Sの傾斜の度合を調節可能にする。第3調節部24dは、上記の第1調節部22と同様に、本体部、レバー部、および、本体部に収納可能なピンを含んで構成されている。第3調節部24dのピンが本体部に収納されている状態では、一対の第3柱部材24cは、一対の第2棒部材24a1に対して移動可能である。つまり、座面Sの傾斜の度合が変化する。一方、第3調節部24dのピンが本体部から突出している状態では、一対の第2棒部材24a1の一方にY方向に沿って配置されている複数の貫通穴(不図示)の1つにピンが挿入されることで、一対の第3柱部材24cは、一対の第2棒部材24a1に対する変位が制限される。つまり、座面Sの傾斜の度合が定められる。
【0050】
このように、第3調節部24dのレバー部が操作されることで座面Sの傾斜の度合が調節可能となる。なお、第3調節部24dの本体部から突出したピンが一対の第2棒部材24a1の一方を押圧することで、座面Sの傾斜の度合が調節されてもよい。
【0051】
図1図2および図3に示すように、第1支持部40は、第1支持体41、第2支持体42、および、第1旋回部43を備えている。
【0052】
第1支持体41は、腰掛部20より+Y側で第1基台10に配置される。第1支持体41は、一対の第4柱部材41a、一対の第5柱部材41b、第4調節部41c、フレーム部材41d、および、第5調節部41eを備えている。一対の第4柱部材41aおよび一対の第5柱部材41bは、それぞれ、X方向と直交し、互いに平行である。なお、図2および図3においては、一対の第4柱部材41aの一方、および、一対の第5柱部材41bの一方が示されている。
【0053】
一対の第4柱部材41aの第1端部は、図3に示す第6接続部41fを介して第1基台10の第1棒部材11に接続されている。第6接続部41fは、X方向に沿って延びる第4軸線Ax4回りに第1基台10に対して一対の第4柱部材41aが回転可能に、一対の第4柱部材41aの第1端部と第1基台10とを接続する。
【0054】
一対の第5柱部材41bは、一対の第4柱部材41aと第1基台10とを接続する。一対の第5柱部材41bの第1端部は、第7接続部41gを介して一対の第4柱部材41aに接続されている。第7接続部41gは、X方向に沿って延びる第5軸線Ax5回りに一対の第4柱部材41aに対して一対の第5柱部材41bが回転可能に一対の第4柱部材41aと一対の第5柱部材41bとを接続する。
【0055】
また、一対の第5柱部材41bの第2端部は、第8接続部41hを介して第1基台10の第1棒部材11に接続されている。第8接続部41hは、X方向に沿って延びる第6軸線Ax6回りに第1基台10に対して一対の第5柱部材41bが回転可能に第1基台10の第1棒部材11と一対の第5柱部材41bとを接続する。また、第8接続部41hは、第1基台10に対して一対の第5柱部材41bがY方向に沿って移動可能に第1基台10の第1棒部材11と一対の第5柱部材41bとを接続する。
【0056】
これにより、一対の第4柱部材41a、一対の第5柱部材41b、および、第1基台10は、第1基台10に対して一対の第5柱部材41bが変位することで、第1基台10に対する一対の第4柱部材41aの傾斜の度合が変化するリンク機構を構成する。
【0057】
第4調節部41cは、第8接続部41hに配置され、一対の第4柱部材41aの傾斜の度合を調節可能にする。第4調節部41cは、上記の第1調節部22と同様に、本体部、レバー部、および、本体部に収納可能なピンを含んで構成されている。第4調節部41cのピンが本体部に収納されている状態では、一対の第5柱部材41bは、第1基台10に対して変位可能である。つまり、一対の第4柱部材41aの傾斜の度合が変化する。一方、第4調節部41cのピンが本体部から突出している状態では、ピンが第1基台10の第1棒部材11にY方向に沿って配置されている複数の貫通穴(不図示)の1つにピンが挿入されることで、一対の第5柱部材41bは、第1基台10に対する変位が制限される。つまり、一対の第4柱部材41aの傾斜の度合が定められる。
【0058】
フレーム部材41dは、平面視矩形状の枠状である(図1参照)。フレーム部材41dは、一対の第4柱部材41aにおいて、一対の第5柱部材41bの第1端部が接続されている部位を挟んで第1基台10側とは反対側の部位に配置されている(図3参照)。フレーム部材41dは、図3に示す第9接続部41iを介して一対の第4柱部材41aに接続されている。第9接続部41iは、一対の第4柱部材41aに対してフレーム部材41dが一対の第4柱部材41aが延びる方向に沿って移動可能に一対の第4柱部材41aとフレーム部材41dとを接続する。
【0059】
第5調節部41eは、第9接続部41iに配置され、一対の第4柱部材41aに対するフレーム部材41dの位置を調節可能にする。第5調節部41eは、上記の第1調節部22と同様に、本体部、レバー部、および、本体部に収納可能なピンを含んで構成されている。第5調節部41eのピンが本体部に収納されている状態では、フレーム部材41dは、一対の第4柱部材41aに対して移動可能である。一方、第5調節部41eのピンが本体部から突出している状態では、一対の第4柱部材41aの一方に第4柱部材41aの延びる方向に沿って配置されている複数の貫通穴(不図示)の1つにピンが挿入されることで、フレーム部材41dは、一対の第4柱部材41aに固定される。つまり、一対の第4柱部材41aに対するフレーム部材41dの位置が定まる。
【0060】
図1図2および図3に示すように、第2支持体42は、フレーム部材41dに配置され、画像診断装置30が取り付けられる。図4は、画像診断装置30のブロック図である。
【0061】
画像診断装置30は、診断本体部31、および、探触子32を備えている。診断本体部31は、直方体状である。診断本体部31は、受診者Mの胸部が接触する接触面31aを有する(図2および図3参照)。探触子32は、いわゆる超音波プローブである。探触子32は、診断本体部31に配置され、受診者Mの胸部が接触面31aに接触している場合に受診者Mの胸部等の外表面に接触する。探触子32は、超音波を送信し、受診者Mが反射した超音波を受信する。
【0062】
画像診断装置30は、取得部33、画像生成部34、および、表示部35を備えている。取得部33、画像生成部34、および、表示部35は、診断本体部31に配置されている。
【0063】
取得部33は、探触子32が受信した超音波に対応する信号を取得する。画像生成部34は、取得部33が取得した信号に基づいて画像を生成する。つまり、画像生成部34は、受診者Mの胸部内の画像を生成する。例えば、受診者Mの心臓に対応する部位に探触子32が接触している場合、画像生成部34は、受診者Mの心臓の画像を生成する。表示部35は、画像生成部34が生成した画像を表示する。表示部35に表示される画像は、医師の診断に用いられる。
【0064】
図2に示すように、画像診断装置30の接触面31aには、腰掛部20に座り且つ前屈した受診者Mの胸部が接触する。以下、腰掛部20に座り且つ前屈した受診者Mの胸部が画像診断装置30の接触面31aに接触した受診者Mの状態を「接触状態」と称する。
【0065】
図1および図2に示すように、第2支持体42は、複数の第3棒部材42aによって直方体状に形成されている第1直方体部42b、および、複数の第4棒部材42cによって第1直方体部42bより小さい直方体状に形成されている第2直方体部42dを備えている。
【0066】
第1直方体部42bには、受診者Mの胸部が接触面31aに接触可能な状態で画像診断装置30が収納されている。
【0067】
第2直方体部42dは、第1直方体部42bにおいて接触状態である受診者M側の面に配置されている。第2直方体部42dには、接触状態である受診者Mの上半身左側が接触可能である。
【0068】
第1旋回部43は、第2支持体42を第1支持体41に対して旋回可能に第1支持体41と第2支持体42とを接続する。第1旋回部43は、接触状態である受診者Mの左胸部が受診者Mの右胸部より上下方向下側となる下方側に向けて、第2支持体42を第1支持体41に対して旋回させる。第1旋回部43は、接触面31aと平行であり、かつ、X方向と直交する第1旋回軸線As1(図1参照)回りに第2支持体42を第1側S1および第2側S2に旋回させる。第1旋回軸線As1は、接触状態である受診者Mの胸部を通る。第1旋回軸線As1の位置は、互いに体格が異なる複数の受診者Mについて、接触状態である受診者Mの胸部の位置を予め調査することで定められる。
【0069】
図5は、+Y側から第1旋回軸線As1に沿って見たときの第1支持体41、第2支持体42および第1旋回部43を示す図である。図6は、-X側からX方向に沿って見たときの第1支持体41、第2支持体42および第1旋回部43を示す図である。図7は、+Y側から第1旋回軸線As1に沿って見たときの第1旋回部43のスケルトン図である。なお、図5および図6において第1支持体41は、フレーム部材41dのみ示されている。
【0070】
図5の矢印に示すように、第1旋回部43の旋回方向である第1旋回方向D1は、第1旋回軸線As1回りの方向である。+Y側から第1旋回軸線As1に沿って見たときにおいて、第1旋回方向D1の第1側S1は、時計回り方向であり、接触状態である受診者Mの左胸部が受診者Mの右胸部より上下方向下側となる下方側に相当する。また、+Y側から第1旋回軸に沿って見たときにおいて、第1旋回方向D1の第2側S2は、上記の第1側S1とは反対の反時計回り方向である。なお、図5図6および図7において、第2支持体42は、第1支持体41に対して第1側S1(下方側)に旋回した状態である。
【0071】
第1旋回部43は、第1ガイドレール43a、一対の第1ガイドローラ43b、第1板部材43c、および、第2板部材43dを備えている。
【0072】
第1ガイドレール43aは、2つあり、第2支持体42の第1直方体部42bにおいて接触面31aを挟んでY方向両側にある面それぞれに支持板部材43e(図5参照)を介して配置されている。第1ガイドレール43aは、第1旋回方向D1に沿って延びている。第1ガイドレール43aは、2つの第1傾斜面43a1を有する(図6参照)。
【0073】
図8は、第1旋回軸線As1を含む面で切断したときの第1ガイドレール43aの断面図である。図8に示す第1ガイドレール43aの断面形状において、2つの第1傾斜面43a1は、第1旋回軸線As1に対して傾斜する。また、図8に示す第1ガイドレール43aの断面形状において、2つの第1傾斜面43a1は、第1旋回軸線As1と直交する方向における2つの第1傾斜面43a1の距離が第1旋回軸線As1に沿って第2支持体42から離れるほど小さくなる傾斜を有する。
【0074】
図5図6および図7に示すように、一対の第1ガイドローラ43bは、第1支持体41のフレーム部材41dに支持フレーム41d1を介して配置され、第1ガイドレール43aを第1旋回方向D1に沿って旋回可能に支持する。第1ガイドレール43aには、2つの一対の第1ガイドローラ43bが第1旋回方向D1に互いに離れた位置で嵌合している(図5および図7参照)。具体的には、一対の第1ガイドローラ43bの外周面は、2つの第1傾斜面43a1と接触する(図8参照)。これにより、上記の第4調節部41cによって第1基台10に対する一対の第4柱部材41aの傾斜の度合が調節された場合においても、一対の第1ガイドローラ43bは、第1旋回軸線As1と直交する方向の両側から第1ガイドレール43aを支持することができる。
【0075】
このように、第1支持体41と第2支持体42とは、第1ガイドレール43aと一対の第1ガイドローラ43bとが嵌合することで第1支持体41に対して第2支持体42が旋回可能に接続されている。これにより、例えば医師は、第1支持体41に対して第2支持体42を第1旋回方向D1に手動で旋回(傾斜)させることができる。
【0076】
図5および図6に示す第1板部材43cは、フレーム部材41dに配置されることで第1支持体41に配置されている。第1板部材43cの板面は、第1旋回軸線As1と直交する。第1板部材43cは、第1旋回方向D1に沿って配置されている複数の第1貫通穴43c1を有する。
【0077】
第2板部材43dは、第2支持体42に配置されている。第2板部材43dの板面は、第1旋回軸線As1と直交し、第1板部材43cの板面と平行である。また、第1旋回軸線As1に沿って見たときにおいて、第2板部材43dは、第1板部材43cより小さく、第1支持体41に対して第2支持体42が旋回した場合においても、第1板部材43cと重なる。
【0078】
また、第2板部材43dは、1つの第2貫通穴43d1を有する。第1支持体41に対して第2支持体42が旋回した場合、第2貫通穴43d1は、複数の第1貫通穴43c1のうち1つの第1貫通穴43c1と重なる。第2貫通穴43d1と1つの第1貫通穴43c1とが重なった状態で、第2貫通穴43d1および1つの第1貫通穴43c1に軸部材44が挿入されることで、第1支持体41に対する第2支持体42の第1旋回方向D1の位置が定まる。
【0079】
つまり、医師は、第1支持体41に対して第2支持体42を旋回(傾斜)させて、複数の第1貫通穴43c1のうち1つの第1貫通穴43c1を選択し、当該1つの第1貫通穴43c1および第2貫通穴43d1に軸部材44を嵌めることで第1支持体41に対する第2支持体42の旋回(傾斜)の度合を手動で定めることができる。なお、第1板部材43cは、第2支持体42に配置されてもよい。この場合、第2板部材43dは、第1支持体41に配置される。
【0080】
図9は、第2基台50および第2支持部60の拡大図である。図10は、-X側からX方向に沿って見た第2基台50および第2支持部60の側面図である。図11は、第2基台50、第2支持部60、および、第1基台10のスケルトン図である。
【0081】
図9および図10に示すように、第2基台50は、第1基台10より下方に位置する。第2基台50は、検査装置1が配置される載置面(例えば床面)に配置される。第2基台50は、複数の第5棒部材51によって、平面視矩形状の平板状に形成されている。複数の第5棒部材51は、X方向に沿って延び且つY方向に沿って並ぶ3つの第5棒部材51を含む1組の第5棒部材51aを備える。
【0082】
第2支持部60は、第2基台50に配置され、第1基台10を支持する。第2支持部60は、第3支持体61、第4支持体62、および、第2旋回部63を備える。
【0083】
第3支持体61は、第2基台50に配置される。第3支持体61は、3つあり、板面がY方向と直交する板状である。3つの第3支持体61は、1組の第5棒部材51aが備える3つの第5棒部材51に配置されている。3つの第3支持体61は、Y方向において+Y側から-Y側に向けて、第1の第3支持体61a、第2の第3支持体61b、および、第3の第3支持体61cの順に並ぶ。
【0084】
第4支持体62は、第1基台10に配置される。第4支持体62は、第1基台10から-Z側に向けて延びる4つの一対の第6柱部材62aを備える。第1の一対の第6柱部材62a1は、互いに平行であり、第1の第3支持体61aの+Y側でX方向に沿って並ぶ。第2の一対の第6柱部材62a2および第3の一対の第6柱部材62a3は、それぞれ互いに平行であり、第2の第3支持体61bのY方向両側に位置し、X方向に沿って並ぶ。第4の一対の第6柱部材62a4は、互いに平行であり、第3の第3支持体61cの-Y側でX方向に沿って並ぶ。図10においては、4つの一対の第6柱部材62aの一方が示されている。
【0085】
第2旋回部63は、第4支持体62を第3支持体61に対して旋回可能に第3支持体61と第4支持体62とを接続する。第2旋回部63は、接触状態である受診者Mの左胸部が受診者Mの右胸部より上下方向下側となる下方側に向けて、第4支持体62を第3支持体61に対して旋回させる。第2旋回部63は、Y方向と平行であり、かつ、接触状態である受診者Mの腰部を通る第2旋回軸線As2(図1参照)回りに第3支持体61を第3側S3および第4側S4に旋回させる。第2旋回軸線As2の位置は、互いに体格が異なる複数の受診者Mについて、接触状態である受診者Mの腰部の位置を予め調査することで定められる。
【0086】
図11の矢印に示すように、第2旋回部63の旋回方向である第2旋回方向D2は、第2旋回軸線As2回りの方向である。+Y側から第2旋回軸線As2に沿って見たときにおいて、第2旋回方向D2の第3側S3は、時計回り方向であり、接触状態である受診者Mの左胸部が受診者Mの右胸部より上下方向下側となる下方側に相当する。また、+Y側から第2旋回軸線As2に沿って見たときにおいて、第2旋回方向D2の第4側S4は、上記の第3側S3とは反対の反時計回り方向である。なお、図9および図11において、第4支持体62は、第3支持体61に対して第3側S3(下方側)に旋回した状態である。
【0087】
図9および図10に示すように、第2旋回部63は、第2ガイドレール63a、一対の第2ガイドローラ63b、第3板部材63c、および、第4板部材63dを備えている。
【0088】
第2ガイドレール63aは、4つあり、第2旋回方向D2に沿って延びている。第1の第2ガイドレール63a1は、第1の第3支持体61aにおいて第1の一対の第6柱部材62a1と対向する位置に配置されている。第2の第2ガイドレール63a2は、第2の第3支持体61bにおいて第2の一対の第6柱部材62a2と対向する位置に配置されている。第3の第2ガイドレール63a3は、第2の第3支持体61bにおいて第3の一対の第6柱部材62a3と対向する位置に配置されている。第4の第2ガイドレール63a4は、第3の第3支持体61cにおいて第4の一対の第6柱部材62a4と対向する位置に配置されている。
【0089】
図12は、第2旋回軸線As2を含む面で切断したときの第2ガイドレール63aの断面図である。図12には、第2の第2ガイドレール63a2および第3の第2ガイドレール63a3の断面形状が示されているが、第1の第2ガイドレール63a1および第4の第2ガイドレール63a4の断面形状についても同様である。第2ガイドレール63aは、2つの第2傾斜面63a5を有する。図12に示す第2ガイドレール63aの断面形状において、2つの第2傾斜面63a5は、第2旋回軸線As2に対して傾斜する。また、図12に示す第2ガイドレール63aの断面形状において、2つの第2傾斜面63a5は、第2旋回軸線As2と直交する方向における2つの第2傾斜面63a5の距離が第2旋回軸線As2に沿って第3支持体61から離れるほど小さくなる傾斜を有する。
【0090】
一対の第2ガイドローラ63bは、一対の第6柱部材62aに配置され、第2ガイドレール63aを第2旋回方向D2に沿って旋回可能に支持する。第2ガイドレール63aには、2つの一対の第2ガイドローラ63bが第2旋回方向D2に互いに離れた位置で嵌合している(図11参照)。具体的には、一対の第2ガイドローラ63bの外周面は、2つの第2傾斜面63a5と接触する(図12参照)。これにより、上記の第4調節部41cによって第3支持体61に対する第4支持体62の傾斜の度合が調整された場合においても、一対の第2ガイドローラ63bは、第2旋回軸線As2と直交する方向の両側から第2ガイドレール63aを支持することができる。
【0091】
このように、第3支持体61と第4支持体62とは、第2ガイドレール63aと一対の第2ガイドローラ63bとが嵌合することで第3支持体61に対して第4支持体62が旋回可能に接続されている。これにより、例えば医師は、第3支持体61に対して第4支持体62を第2旋回方向D2に手動で旋回(傾斜)させることができる。
【0092】
図13は、第3板部材63cおよび第4板部材63dの拡大図である。第3板部材63cは、第4支持体62に含まれる第1の一対の第6柱部材62a1に配置されることで、第1基台10に配置されている。第3板部材63cの板面は、第2旋回軸線As2と直交する。第3板部材63cは、第2旋回方向D2に沿って配置されている複数の第3貫通穴63c1を有する。
【0093】
第4板部材63dは、第2基台50に配置されている。第4板部材63dの板面は、第2旋回軸線As2と直交し、第3板部材63cの板面と平行である。また、第2旋回軸線As2に沿って見たときにおいて、第4板部材63dは、第3板部材63cより小さく、第3支持体61に対して第4支持体62が旋回した場合においても、第3板部材63cと重なる。
【0094】
また、第4板部材63dは、1つの第4貫通穴63d1を有する。第3支持体61に対して第4支持体62が旋回した場合、第4貫通穴63d1は、複数の第3貫通穴63c1のうち1つの第3貫通穴63c1と重なる。第4貫通穴63d1と1つの第3貫通穴63c1とが重なった状態で、第4貫通穴63d1および1つの第3貫通穴63c1に軸部材64が挿入されることで、第3支持体61に対する第4支持体62の第2旋回方向D2の位置が定まる。
【0095】
つまり、医師は、第3支持体61に対して第4支持体62を旋回(傾斜)させて、複数の第3貫通穴63c1のうち1つの第3貫通穴63c1を選択し、当該1つの第3貫通穴63c1および第4貫通穴63d1に軸部材64を嵌めることで第3支持体61に対する第4支持体62の旋回(傾斜)の度合を手動で定めることができる。なお、第3板部材63cは、第2基台50に配置されてもよい。この場合、第4板部材63dは、第1基台10に配置される。
【0096】
また、検査装置1は、接触状態である受診者Mの前屈の度合を調節する調節部70をさらに備える(図3参照)。調節部70は、上記の第1調節部22、第2調節部23c、第3調節部24d、第4調節部41c、および、第5調節部41eを備える。
【0097】
上記のように、第1調節部22によって第1基台10の一対の第1棒部材11aに対する足置き部21の位置が調節され、第2調節部23cによって第1基台10に対する座部24の高さが調節され、第3調節部24dによって座面Sの傾斜の度合が調節されることで、腰掛部20に着座する受診者Mの下半身の姿勢が調節される。
【0098】
また、第4調節部41cによって一対の第4柱部材41aの傾斜の度合が調節され、第5調節部41eによって一対の第4柱部材41aに対するフレーム部材41dの位置が調節されることで、画像診断装置30の接触面31aの位置および傾斜の度合が調節される。これにより、接触状態にある受診者Mの上半身の姿勢が調節される。よって、第1調節部22、第2調節部23c、第3調節部24d、第4調節部41cおよび第5調節部41eによって、接触状態である受診者Mの前屈の度合が調節される。医師は、第1調節部22、第2調節部23c、第3調節部24d、第4調節部41cおよび第5調節部41eそれぞれについて上記のように手動で操作可能であり、接触状態である受診者Mの前屈の度合を手動で調節することができる。
【0099】
次に、検査装置1によって受診者Mに対して医師が超音波検査を行う際に、画像診断装置30が受診者Mの心臓の画像を取得する場合について説明する。
【0100】
受診者Mの心臓の画像が取得される場合、受診者Mの姿勢を適切な姿勢にすることが望ましい。心臓は、頸部から大動脈および大静脈によって胸腔内にぶら下がっている。心臓が胸腔壁に近づいている場合、心臓の画像は鮮明となる。つまり、上記の適切な姿勢は、心臓が胸腔壁に近づいている受診者Mの姿勢に相当する。
【0101】
当該適切な姿勢は、受診者Mが着座している状態においては、受診者Mが前屈しており、かつ、左肩が下がる方向に下半身に対して上半身が傾斜している姿勢である。つまり、当該適切な姿勢は、接触状態である受診者Mの左胸部が受診者Mの右胸部より上下方向下側となる下方側となる姿勢である。
【0102】
検査が始まる前に、医師は、第1基台10が第2基台50と平行であり、かつ、接触面31aがX方向と平行かつY方向およびZ方向に対して傾斜している状態の検査装置1の腰掛部20に受診者Mを着座させる。
【0103】
さらに、医師は、受診者Mの胸部と画像診断装置30の接触面31aとを接触させて、受診者Mを接触状態にする(図2参照)。このとき、受診者Mは前屈しており、受診者Mの左胸部と右胸部はおよそ同じ高さである。医師は、調節部70を手動で操作して、接触状態である受診者Mの前屈の度合を調節する。
【0104】
続けて、医師は、第1旋回部43を手動で操作して、第1支持体41に対して第2支持体42を第1旋回軸線As1回りに第1旋回方向D1の第1側S1に旋回させ、第1支持体41に対する第2支持体42の位置を定める。これにより、接触状態である受診者Mは、下半身に対して上半身が旋回し、左胸部が右胸部より下方側に位置する姿勢となる。このように、第1旋回部43は、接触状態である受診者Mの左胸部が受診者Mの右胸部より上下方向下側となる下方側に向けて接触状態である受診者Mの上半身を下半身に対して旋回させる。また、この場合、受診者Mの上半身は、第2支持体42の第2直方体部42dに支持される。
【0105】
さらに、医師は、第2旋回部63を手動で操作して、第3支持体61に対して第4支持体62を第2旋回軸線As2回りに第2旋回方向D2の第3側S3に旋回させ、第3支持体61に対する第4支持体62の位置を定める。これにより、接触状態である受診者Mは、腰部を中心に全身が旋回し、左胸部が右胸部より下方側に位置する姿勢となる。このように、第2旋回部63は、接触状態である受診者Mを受診者Mの腰部を中心として、接触状態である受診者Mの左胸部が受診者Mの右胸部より上下方向下側となる下方側に向けて旋回させる。
【0106】
上記のように調節部70、第1旋回部43および第2旋回部63が操作されることで、接触状態である受診者Mの姿勢が上記の適切な姿勢となることができ、受診者Mの心臓が胸腔壁に近づいた状態となる。つまり、検査装置1は、受診者Mが自ら動くことなく、受診者Mの姿勢を適切な姿勢にすることができる。したがって、着座した状態の受診者Mに対して検査が行われる場合に受診者Mの身体的負担を抑制することができる。
【0107】
以上、説明したように、本実施形態によれば、検査装置1は、第1基台10と、第1基台10に配置され、受診者Mが座る腰掛部20と、腰掛部20に座り且つ前屈した受診者Mの胸部が接触し、受診者Mの胸部内の画像に基づく診断に用いられる画像診断装置30が取り付けられる第1支持部40と、を備える。第1支持部40は、腰掛部20に座り且つ前屈した受診者Mの胸部が画像診断装置30に接触した接触状態である受診者Mの左胸部が受診者Mの右胸部より上下方向下側となる下方側に向けて、接触状態である受診者Mの上半身を下半身に対して旋回させる第1旋回部43を備える。
【0108】
これによれば、第1旋回部43が接触状態である受診者Mの上半身を下半身に対して旋回させる。よって、着座した状態の受診者Mに対して受診者Mの姿勢を調節する場合に受診者Mの身体的負担を抑制することができる。また、画像診断装置30が取得する胸部の内部の画像が鮮明となる。
また、受診者Mは、着座したまま検査を受けることができる。よって、受診者Mは、腰掛部20に着座した状態で診察を受けることで、腰掛部20から移動することなく検査を受けることができる。
【0109】
また、第1支持部40は、第1基台10に配置される第1支持体41と、画像診断装置30が取り付けられる第2支持体42と、をさらに備える。第1旋回部43は、下方側に向けて第2支持体42を第1支持体41に対して旋回可能に第1支持体41と第2支持体42とを接続する。
【0110】
これによれば、第1旋回部43が第1支持体41に対して第2支持体42を旋回させることで、接触状態である受診者Mの上半身を下半身に対して容易に旋回させることができる。
【0111】
また、検査装置1は、接触状態である受診者Mを受診者Mの腰部を中心として下方側に向けて旋回させる第2旋回部63をさらに備える。
【0112】
これによれば、第2旋回部63が接触状態である受診者Mを受診者Mの腰部を中心として旋回させる。よって、着座した状態の受診者Mに対して受診者Mの姿勢を調節する場合に受診者Mの身体的負担をより抑制することができる。
また、第1旋回部43と第2旋回部63とを組み合わせることで、第1旋回部43の旋回角度を抑制することができる。これにより、受診者Mにおいて下半身に対する上半身の傾斜角度を抑制することができる。したがって、受診者Mの身体的負担をさらに抑制することができる。
【0113】
また、検査装置1は、第2基台50と、第2基台50に配置され、第1基台10を支持する第2支持部60と、をさらに備える。第2支持部60は、第2基台50に配置される第3支持体61と、第1基台10に配置される第4支持体62と、第2旋回部63と、を備える。第2旋回部63は、下方側に向けて第4支持体62を第3支持体61に対して旋回可能に第3支持体61と第4支持体62とを接続する。
【0114】
これによれば、第2旋回部63が第3支持体61に対して第4支持体62を旋回させることで、接触状態である受診者Mを受診者Mの腰部を中心として容易に旋回させることができる。
【0115】
また、検査装置1は、接触状態である受診者Mの前屈の度合を調節する調節部70をさらに備える。
【0116】
これによれば、着座した状態の受診者Mに対して受診者Mの前屈の度合を調節する場合に受診者Mの身体的負担をさらに抑制することができる。
【0117】
また、第1旋回部43は、第2支持体42に配置され、第1旋回部43の第1旋回方向D1に沿って延びる第1ガイドレール43aと、第1支持体41に配置され、第1ガイドレール43aと嵌合する第1ガイドローラ43bと、を備える。
【0118】
これによれば、第1旋回部43は、第1ガイドレール43aおよび第1ガイドローラ43bによって第1支持体41に対して第2支持体42を第1旋回方向D1に沿って適切に旋回させることができる。
【0119】
また、第1旋回部43は、第1支持体41に配置され、第1旋回部43の第1旋回方向D1に沿って配置されている複数の第1貫通穴43c1を有する第1板部材43cと、第2支持体42に配置され、複数の第1貫通穴43c1のうち1つの第1貫通穴43c1と重なった状態で1つの第1貫通穴43c1とともに軸部材44が嵌まる第2貫通穴43d1を有する第2板部材43dと、を備える。
【0120】
これによれば、1つの第1貫通穴43c1および第2貫通穴43d1に軸部材44を手動で嵌めることで第1支持体41に対する第2支持体42の第1旋回方向D1の位置を容易に定めることができる。
【0121】
また、第2旋回部63は、第3支持体61に配置され、第2旋回部63の第2旋回方向D2に沿って延びる第2ガイドレール63aと、第4支持体62に配置され、第2ガイドレール63aと嵌合する第2ガイドローラ63bと、を備える。
【0122】
これによれば、第2旋回部63は、第2ガイドレール63aおよび第2ガイドローラ63bによって第3支持体61に対して第4支持体62を第2旋回方向D2に沿って適切に旋回させることができる。
【0123】
また、第2旋回部63は、第4支持体62に配置され、第2旋回部63の第2旋回方向D2に沿って配置されている複数の第3貫通穴63c1を有する第3板部材63cと、第3支持体61に配置され、複数の第3貫通穴63c1のうち1つの第3貫通穴63c1と重なった状態で1つの第3貫通穴63c1とともに軸部材64が嵌まる第4貫通穴63d1を有する第4板部材63dと、を備える。
【0124】
これによれば、1つの第3貫通穴63c1および第4貫通穴63d1に軸部材64を手動で嵌めることで第3支持体61に対する第4支持体62の第2旋回方向D2の位置を容易に定めることができる。
【0125】
次に、本開示の実施形態の変形例に係る検査装置1について説明する。
【0126】
例えば、検査装置1は、第2基台50および第2支持部60を備えなくてもよい。この場合、第1基台10が載置面に配置される。
【0127】
また、第1ガイドレール43aは、第1旋回方向D1に沿って延びる溝を有してもよい。この場合、第1ガイドローラ43bは、第1旋回方向D1に沿って移動可能に当該溝に嵌められてもよい。
【0128】
また、調節部70は、第1調節部22、第2調節部23c、第3調節部24d、第4調節部41c、および、第5調節部41eの少なくとも1つを備えなくてもよい。
【0129】
また、第2支持体42は、第1板部材43cを挟持することで第1支持体41に対する第2支持体42の第1旋回方向D1の位置を定めるクランプ部材を備えてもよい。この場合、検査装置1は、複数の第1貫通穴43c1および第2板部材43dを備えない。
【符号の説明】
【0130】
1 検査装置
10 第1基台
20 腰掛部
30 画像診断装置
35 表示部
40 第1支持部
41 第1支持体
42 第2支持体
43 第1旋回部
43a 第1ガイドレール
43b 第1ガイドローラ
43c 第1板部材
43c1 第1貫通穴
43d 第2板部材
43d1 第2貫通穴
44 軸部材
50 第2基台
60 第2支持部
61 第3支持体
62 第4支持体
63 第2旋回部
63a 第2ガイドレール
63b 第2ガイドローラ
63c 第3板部材
63c1 第3貫通穴
63d 第4板部材
63d1 第4貫通穴
64 軸部材
70 調節部
M 受診者
S1 第1側(下方側)
S3 第3側(下方側)
図1
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