(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011496
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】駐車場発電システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250117BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113647
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】金原 宏
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC13
5L050CC13
(57)【要約】
【課題】通勤する事業所の駐車場などでの電力売買を行うことによって社員への福利厚生的に電力売買を進めることができる駐車場発電システムを提供すること。
【解決手段】本開示の駐車場発電システム1は、発電装置を有する複数の車10から電力を集電し、売買する。駐車場発電システム1は、複数の車10が駐車可能な駐車場を備える。また、識別部21は、駐車場に駐車された車10の所有員を識別する。給電受付部22は、識別された所有者の車10から電力の給電を受け付ける。電力測定部23は、車10から受け付けた電力の給電量を計測する。電力調整部24は、複数の車10から給電を受け付けた電力を集電し、集電された電力の電圧と電流とを調整する。対価支払部25は、計測された電力の給電量に応じて車10の所有者に対価を支払う。ここで、駐車場は、事業所の駐車場を含み、車の所有者は、事業所の社員を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置を有する複数の車から電力を集電し、売買する駐車場発電システムであって、
前記複数の車が駐車可能な駐車場と、
前記駐車場に駐車された車の所有者を識別する識別部と、
前記識別された所有者の車から電力の給電を受け付ける給電受付部と、
前記車から受け付けた電力の給電量を計測する電力測定部と、
前記複数の車から給電を受け付けた電力を集電し、集電された電力の電圧と電流とを調整する電力調整部と、
前記計測された電力の給電量に応じて前記車の所有者に対価を支払う対価支払部と、を備え、
前記駐車場は、事業所の駐車場を含み、
前記車の所有者は、前記事業所の社員を含む
駐車場発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、電気自動車(EV)のユーザが電力事業者に対して有利に電力売買させる仕組みを通じて、EVの普及を促進する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る技術は、ショッピングセンターなどの駐車場での電気自動車の電力売買を推進しているものである。しかし、特許文献1に係る技術では、通勤する事業所の駐車場などでの電力売買を行うことによって社員への福利厚生的に電力売買を進めることができないという課題があった。
【0005】
本開示は、通勤する事業所の駐車場などでの電力売買を行うことによって社員への福利厚生的に電力売買を進めることができる駐車場発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の駐車場発電システムは、
発電装置を有する複数の車から電力を集電し、売買する駐車場発電システムであって、
前記複数の車が駐車可能な駐車場と、
前記駐車場に駐車された車の所有者を識別する識別部と、
前記識別された所有者の車から電力の給電を受け付ける給電受付部と、
前記車から受け付けた電力の給電量を計測する電力測定部と、
前記複数の車から給電を受け付けた電力を集電し、集電された電力の電圧と電流とを調整する電力調整部と、
前記計測された電力の給電量に応じて前記車の所有者に対価を支払う対価支払部と、を備え、
前記駐車場は、事業所の駐車場を含み、
前記車の所有者は、前記事業所の社員を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示により、通勤する事業所の駐車場などでの電力売買を行うことによって社員への福利厚生的に電力売買を進めることができる駐車場発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る駐車場発電システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る駐車場発電システムの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
まず、
図1を用いて、第1の実施形態に係る駐車場発電システム1の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る駐車場発電システム1の構成の一例を示す図である。
【0010】
駐車場発電システム1は、発電可能な複数の車10、複数の車10が駐車可能な駐車場、複数の車10で発電された電力の給電を受け付ける給電装置20及び複数の車10で発電された電力を使用する電力使用先30を備える。
【0011】
車10は、発電装置(例えばFC発電の発電機)を搭載している車である。本実施形態では、車10の所有者は、事業所の社員である。なお、車10の所有者は、事業所の社員ではない人物であってもよい。また、車10は、電気自動車等の乗用車である。なお、車10は、乗用車に限らず、タクシーや配達業者のような商用車であっても良いし、大型トラックやトレーラーでも構わない。また、車10は、原付やバイク、電動キックスターターであってもよい。つまり、車10は、発電機能及び蓄電機能を持つ移動体であればよい。
【0012】
駐車場は、複数の車10の発電場所である。本実施形態では、駐車場は、社員が所属する事業所の駐車場である。なお、駐車場は、スーパーの駐車場であってもよい。発電場所が駐車場であることが好ましい理由は、複数の車10が駐車可能なスペースがあり、多大な電力を使うであろう潜在顧客が駐車場のそばに存在するからである。送電にはロスが発生するため、複数の車10が駐車可能な駐車場と電力使用先30は近いほど望ましい。ただし、送電ロスを無視すれば、電力会社に売電しても構わない。なお、複数の車10の発電場所は、駐車場に限られない。例えば、発電場所は、送電網が充分に整備されていない僻地(例えば僻地の道の駅や観光名所等)でもよい。火力発電所などの大規模発電所から遠くまで送電線を引いて、電力を確保することは大変な労力を要する。しかしながら、駐車場発電システム1では、車10が自走できる範囲であれば、複数の車10を現地に集結して発電して電気を使用することができる。
【0013】
給電装置20は、識別部21、給電受付部22、電力測定部23、電力調整部24、対価支払部25及び売電用電力測定部26を備える。
識別部21は、駐車場に駐車された車10の所有者を識別する。
給電受付部22は、車10とコネクタ等で接続可能であり、所有者が識別された車10から電力の給電を受け付ける。また、給電受付部22は、電力調整部24と接続し、給電を受け付けた電力を給電受付部22に供給する。
電力測定部23は、車10から給電を受け付けた電力の量(以下、給電量)を計測する。例えば、電力測定部23は、積算電力計等の機器である。
駐車場には、識別部21、給電受付部22及び電力測定部23を一単位としたものが、複数設置される。
【0014】
電力調整部24は、複数の給電受付部22と接続し、複数の車10から給電を受け付けた電力を集電し、集電された電力の電圧と電流とを調整する。電力調整部24は、例えばパワーコンディショナ等の機器である。また、電力調整部24は、電力使用先30と接続する一般送電網と接続し、電圧と電流とが調整された電力を一般送電網に送電する。
【0015】
売電用電力測定部26は、電力調整部24によって電圧と電流とが調整された電力の給電量を計測する。例えば、売電用電力測定部26は、積算電力計等の機器である。
【0016】
対価支払部25は、電力測定部23によって測定された車10の給電量に応じて車10の所有者に対価(例えば金銭)を支払う。対価支払部25は、給電受付部22に設置される構成とされ、給電の際に給電量に応じて当該車10の所有者に対価を支払う。なお、対価支払部25は、サーバとして構成されており、電力を給電した車10の所有者を識別し、給電量に応じて当該車10を所有者に対価を支払ってもよい。
【0017】
本実施形態では、電力使用先30は、社員が所属する事業所である。なお、電力使用先30は、一般家庭等であってもよい。
【0018】
続いて、
図2を用いて、第1の実施形態に係る駐車場発電システム1の動作について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る駐車場発電システム1の動作を示すフローチャートである。以下の一例では、車10の所有者は「社員」である。駐車場は、「社員が所属する事業所の駐車場」である。電力使用先30は、「社員が所属する事業所」である。
【0019】
<電気の流れ>
図2に示すように、ステップS101では、社員は、自身の所有する車10で出社し、社員が所属する事業所30の駐車場に車10を駐車する。そして、社員は、車10と給電装置20の給電受付部22とを接続する。社員は、給電装置20の識別部21に社員証を差し込む。社員は、IDとパスワードを識別部21に入力してもよい
ステップS102では、給電装置20の識別部21は、入力された社員証に基づいて社員を識別する。なお、識別部21は、IDとパスワードが入力された場合、入力されたIDとパスワードに基づいて社員を識別してもよい。
【0020】
次に、識別された社員の車10は、電力を発電し、発電された電力(400V(交流))を給電装置20に給電する。具体的には、自動車は、発電された電力の整流と昇圧とを車載インバータによって行い、整流及び昇圧された電力(400V(交流))を給電装置20に給電する。
ステップS103では、給電装置20の給電受付部22は、車10から発電された電力(400V(交流))の給電を受け付ける。この際、給電装置20の電力測定部23は、電力の給電量を測定する。
【0021】
次に、ステップS104では、給電装置20の電力調整部24は、複数の車10から給電を受け付けた電力を複数の給電受付部22から集電し、集電された400V(交流)の電力を6600V(交流)の電力まで昇圧する。この際、売電用電力測定部26は、電力調整部24によって調整された電力の給電量を計測する。
【0022】
次に、ステップS105では、給電装置20の電力調整部24は、事業所30と接続する一般送電網に送電する。
次に、ステップS106では、事業所30の積載電力計は、一般送電網を介して給電装置20から送電された電力の量を測定する。なお、ステップS107では、事業所30は、給電装置20から送電された電力の不足分を電力会社等から購入してもよい。
【0023】
次に、ステップS107では、事業所30の柱状変圧器は、積載電力計で測定された電力及び購入された電力を取得し、取得された6600V(交流)の電力を一般家電用の100Vの電力又はエアコン用の200Vの電力まで降圧する。
最後に、ステップS108では、事業所30は、降圧された電力を使用する。
【0024】
<金銭の流れ>
ステップS201では、給電装置20の対価支払部25は、車10から給電を受け付けた際に、給電量に応じて事業所30から社員の給与口座に金銭等の対価を振り込む。
次に、ステップS202では、車10の所有者である社員は、対価を受け取る。
【0025】
上述の一例において、車10の発電時の電圧は400V(交流)に限られない。また、ステップS104において、給電装置20の電力調整部24が変換する電圧は6600V(交流)に限られない。ステップS107では、事業所30の柱状変圧器が変換する電圧は100V又は200Vに限られない。
【0026】
第1の実施形態に係る駐車場発電システム1は、複数の車10から給電を受け付けた電力を集電し、集電された電力の電圧と電流とを調整して売電する。また、駐車場発電システム1は、車10から受け付けた電力の給電量を計測し、計測された電力の給電量に応じて車10の所有者に対価を支払う。そのため、駐車場発電システム1は、車は24時間の大半が駐車した状態で駐車中に付加価値を生むことが難しかったが、駐車中の車であっても付加価値を生みだすことができる。
【0027】
また、駐車場発電システム1では、当該システムを事業所の社員が利用した場合、勤務中の車10の駐車時間に新たに売買の利益を生じさせることができる。つまり、駐車場発電システム1は、事業所の駐車場での電力売買を行うことによって事業所に所属する社員への福利厚生的に電力売買を進めることができる。また、駐車場発電システム1では、事業者は、昼間のピーク電力を、出社してきた社員の車10で発電された電力で補うことができる。
【0028】
上述の実施形態における駐車場発電システム1の各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。
具体的には、上述の実施形態における駐車場発電システム1の各構成は、プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータによって構成される。プロセッサは、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサは、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリは、プロセッサから離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサは、図示されていないI/Oインターフェースを介してメモリにアクセスしてもよい。プロセッサは、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。
【0029】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0030】
各図面は、1又はそれ以上の実施形態を説明するための単なる例示である。各図面は、1つの特定の実施形態のみに関連付けられるのではなく、1又はそれ以上の他の実施形態に関連付けられてもよい。当業者であれば理解できるように、いずれか1つの図面を参照して説明される様々な特徴又はステップは、例えば明示的に図示または説明されていない実施形態を作り出すために、1又はそれ以上の他の図に示された特徴又はステップと組み合わせることができる。例示的な実施形態を説明するためにいずれか1つの図に示された特徴またはステップのすべてが必ずしも必須ではなく、一部の特徴またはステップが省略されてもよい。いずれかの図に記載されたステップの順序は、適宜変更されてもよい。
【0031】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。そして、各実施形態は、適宜他の実施形態と組み合わせることができる。
【0032】
例えば、上述のステップS109における電力使用先30は事業所に限られず、一般家庭であってもよい。その場合、給電装置20に社員の車から給電された電力は、給電装置20の運営会社及び電力会社を経由して一般家庭に送電される。ここで、電力を使用する一般家庭は、使用した電力量に対応する金銭を電力会社に支払う。電力会社は、一般送電網を介して給電装置20から送電された電力の量に対応する給電装置20の運営会社に金銭を支払う。給電装置20の運営会社は、給電量に応じて社員の給与口座に金銭を振り込む。
【符号の説明】
【0033】
1 駐車場発電システム
10 車
20 給電装置
21 識別部
22 給電受付部
23 電力測定部
24 電力調整部
25 対価支払部
26 売電用電力測定部
30 電力使用先(事業所)