(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025114982
(43)【公開日】2025-08-06
(54)【発明の名称】光学系及びそれを有する撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/02 20060101AFI20250730BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20250730BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20250730BHJP
【FI】
G02B13/02
G03B5/00 J
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009256
(22)【出願日】2024-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】木村 公平
【テーマコード(参考)】
2H087
2K005
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA02
2H087MA07
2H087MA09
2H087NA07
2H087NA18
2H087PA13
2H087PA14
2H087PA15
2H087PA16
2H087PB18
2H087PB19
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA05
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA33
2H087QA37
2H087QA38
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA42
2H087RA44
2K005CA02
2K005CA23
(57)【要約】
【課題】 高い光学性能を有し、長焦点距離かつ小型軽量な光学系を提供すること。
【解決手段】 物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、所定の条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、
前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、
d線を基準としたときのアッベ数をνdとするとき、前記第2部分群において配置された少なくとも3枚の正レンズの材料は、
70.0<νd<100.0
なる条件式を満足し、
前記第1部分群と、前記第2部分群との空気間隔をDmax、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.70<Dmax/f1<1.50
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記光学系において、最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をOTL、全系の焦点距離をfとするとき、
0.45<OTL/f<1.20
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第1部分群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
0.20<f1a/f<1.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
全系の焦点距離をfとするとき、
0.20<f1/f<0.80
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記第1レンズ群において配置された正レンズのうち、最も焦点距離の短い正レンズの焦点距離をf1a_minとするとき、
1.50<f1a_min/f1<8.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記第2部分群において配置された正レンズの材料のうち、アッベ数の最小値をνd_minとするとき、
10.0<νd_min<35.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記中間群において配置された、フォーカシングに際して移動するレンズ群のうち、位置敏感度の絶対値の最大値をBab_max、前記光学系のFナンバーをFnoとするとき、
0.50<Bab_max/Fno<2.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記光学系における最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をBF、最大像高をIHとするとき、
1.3<BF/IH<5.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
前記第2部分群の焦点距離をf1b、全系の焦点距離をfとするとき、
0.10<f1b/f<0.80
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
前記第1部分群は、2枚の正レンズからなることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記中間群は、負の屈折力を有することを特徴とする特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項12】
前記第2部分群は、2枚の負レンズを有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項13】
像ぶれ補正に際して、前記最終レンズ群の一部または全体は、光軸に垂直な方向の成分を含む方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項14】
前記光学系は、前記第1レンズ群において最も像側に配置された開口絞りを有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項15】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、
前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、
前記最終レンズ群は、負レンズを4枚以上有し、
前記第1部分群と、前記第2部分群との空気間隔をDmax、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.40<Dmax/f1<1.50
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項16】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、
前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、
前記最終レンズ群は、負レンズを4枚以上有し、
d線を基準としたときのアッベ数をνdとするとき、前記第2部分群において配置された少なくとも3枚の正レンズの材料は、
70.0<νd<100.0
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の光学系と、
該光学系によって形成された像を受光する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系に関し、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ等の撮像装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
焦点距離の長い、すなわち長焦点距離の光学系として、物体側に正の屈折力のレンズ群を配置し、像側に負の屈折力のレンズ群を配置した、いわゆるテレフォトタイプの光学系が知られている。テレフォトタイプの光学系は、例えば単焦点の超望遠レンズに用いられている。
【0003】
一般にFナンバーが一定の場合、レンズの焦点距離が長くなるほど、レンズの光線有効径は大きくなる。そのため特に長焦点距離の光学系において、Fナンバーが小さく、かつレンズが小型軽量で諸収差が良好に補正されているレンズが求められている。
【0004】
特許文献1は、テレフォトタイプの光学系として、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、フォーカシングに際して移動する負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群から構成される撮影光学系を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の光学系は、第1レンズ群内に形成された空気間隔が狭いため、第1レンズ群に配置された各レンズの径が大きい。よって、軽量化を十分に実現できているとは言えない。
【0007】
そこで本発明は、高い光学性能を有し、長焦点距離かつ小型軽量な光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、
前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、
d線を基準としたときのアッベ数をνdとするとき、前記第2部分群において配置された少なくとも3枚の正レンズの材料は、
70.0<νd<100.0
なる条件式を満足し、
前記第1部分群と、前記第2部分群との空気間隔をDmax、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.70<Dmax/f1<1.50
なる条件式を満足することを特徴とする。
【0009】
本発明の他の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、
前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、
前記最終レンズ群は、負レンズを4枚以上有し、
前記第1部分群と、前記第2部分群との空気間隔をDmax、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.40<Dmax/f1<1.50
なる条件式を満足することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の一側面としての光学系は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、
前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、
前記最終レンズ群は、負レンズを4枚以上有し、
d線を基準としたときのアッベ数をνdとするとき、前記第2部分群において配置された少なくとも3枚の正レンズの材料は、
70.0<νd<100.0
なる条件式を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い光学性能を有し、長焦点距離かつ小型軽量な光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図
【
図2】実施例1の光学系において、(A)無限遠にフォーカシングしたときの収差図、(B)至近にフォーカシングしたときの収差図
【
図3】実施例2の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図
【
図4】実施例2の光学系において、(A)無限遠にフォーカシングしたときの収差図、(B)至近にフォーカシングしたときの収差図
【
図5】実施例3の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図
【
図6】実施例3の光学系において、(A)無限遠にフォーカシングしたときの収差図、(B)至近にフォーカシングしたときの収差図
【
図7】実施例4の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図
【
図8】実施例4の光学系において、(A)無限遠にフォーカシングしたときの収差図、(B)至近にフォーカシングしたときの収差図
【
図9】実施例5の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図
【
図10】実施例5の光学系において、(A)無限遠にフォーカシングしたときの収差図、(B)至近にフォーカシングしたときの収差図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る好ましい実施形態、および各実施形態に係る実施例について、添付の図面に基づいて説明する。
【0014】
図1、3、5、7、9は、各実施形態に係る実施例1から5の光学系L0において、無限遠にフォーカシングしたときのレンズ断面図である。各実施例の光学系L0はデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ、車載用カメラ等の撮像装置に用いられる光学系である。
【0015】
各レンズ断面図において左方が物体側で、右方が像側である。尚、各実施例の光学系L0をプロジェクターなどの投射レンズとして用いても良い。このときは左方がスクリーン側、右方が被投射画像側となる。
【0016】
各実施形態に係る実施例の光学系L0はそれぞれ、物体側から像側へ順に配置された、第1レンズ群L1、1つ以上のレンズ群を有する中間群M、最終レンズ群Lrからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。各レンズ群は1枚のレンズから構成されていてもよいし、複数のレンズから構成されていてもよい。また、レンズ群は、開口絞りを含んでいてもよい。
【0017】
各レンズ断面図の下方に向けて示した実線の矢印は、無限遠から至近へのフォーカシングに際しての各レンズ群の移動軌跡を表している。
【0018】
各レンズ断面図において、SPは開口絞りである。IPは像面であり、各実施例の光学系L0をデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラに使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。各実施例の光学系L0を銀塩フィルム用カメラの撮影光学系として使用する際には像面IPにはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
【0019】
図2(A)、4(A)、6(A)、8(A)、10(A)は、各実施形態に係る実施例1から5の光学系において、無限遠にフォーカシングしたときの収差図である。
【0020】
図2(B)、4(B)、6(B)、8(B)、10(B)は、各実施形態に係る実施例1から5の光学系において、至近にフォーカシングしたときの収差図である。
【0021】
球面収差図においてFnoはFナンバーであり、実線はd線(波長587.6nm)、破線はg線(波長435.8nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図において実線はサジタル像面における収差量ΔS、破線はメリディオナル像面における収差量ΔMを示している。歪曲収差図ではd線に対する歪曲収差量を示している。色収差図ではg線に対する倍率色収差量を示している。ωは半画角(°)である。
【0022】
次に、第1実施形態に係る光学系L0について述べる。
【0023】
第1実施形態に係る光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、1つ以上のレンズ群を有する中間群M、最終レンズ群Lrからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。
【0024】
第1レンズ群L1が正の屈折力を有することで、光学系L0の主点を物体側に配置し、光学系L0のレンズ全長を短くしている。ここでレンズ全長とは、光学系L0の最も物体側のレンズ面から最も像側のレンズ面までの光軸上の距離と、バックフォーカスを足した値である。ここでバックフォーカスとは、光学系L0の最も像側のレンズ面と像面との光軸上の距離を空気換算した値である。
【0025】
また、フォーカシングに際して、第1レンズ群L1と最終レンズ群Lrとを不動とし、中間群Mに配置されたレンズ群がフォーカシングに際して移動する。第1レンズ群L1は比較的径が大きいため質量が重く、また、最終レンズ群Lrは軸外光線の高さが比較的高いため、フォーカシングに際して最終レンズ群Lrを移動させると、フォーカシングに際して発生する像面湾曲等の変動が大きい。そのため、第1レンズ群L1と最終レンズ群Lrとを不動とし、中間群Mに配置されたレンズ群がフォーカシングに際して移動することで、高速なフォーカシングを行いながら、フォーカシングに際して発生する収差の変動を良好に補正することができる。
【0026】
また、第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群L1aと、第2部分群L1bとからなる。ここで、第1部分群L1aと、第2部分群L1bとは、光学系L0において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置される。第1部分群L1aが複数の正レンズを有することで、第1部分群L1aで発生する球面収差等を良好に補正することができる。
【0027】
また、テレフォトタイプの光学系においては、一般的に物体側から入射した軸上光束は像側に向かって収斂する。そのため、第1部分群L1aと、第2部分群L1bとが、光学系L0において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置されることで、第2部分群L1b以降に配置されたレンズの径を小さくすることができる。その結果、光学系L0を軽量化することができる。
【0028】
第1実施形態に係る光学系L0は、以下の条件式を満足するように構成している。
70.0<νd<100.0・・・(1)
0.70<Dmax/f1<1.50・・・(2)
【0029】
ここで、νdはd線を基準としたときのアッベ数であり、第2部分群L1bにおいて配置された少なくとも3枚の正レンズの材料が条件式(1)を満足する。Dmaxは第1部分群L1aと、第2部分群L1bとの空気間隔であり、f1は第1レンズ群L1の焦点距離である。なお、空気間隔とは光軸上の空気間隔を意味する。
【0030】
条件式(1)は、第2部分群L1bにおいて配置された正レンズによる色収差補正の効果を得るための条件式であり、条件式(1)を満足する正レンズを3枚以上有することで、光学系L0で発生する軸上色収差と倍率色収差を良好に補正しやすくなる。
【0031】
条件式(1)の下限を下回って、アッベ数νdが小さくなると、正レンズの材料が高分散になりすぎるため、軸上色収差と倍率色収差が大きくなり好ましくない。条件式(1)の上限を上回る光学ガラスは実在しない。条件式(1)を満足する正レンズが2枚以下になると、十分な色収差補正効果を出すために、正レンズの屈折力が強まり、球面収差が大きくなるため好ましくない。
【0032】
条件式(2)は、光学系L0の軽量化しやすい構成と適切な第1レンズ群L1の屈折力を得るための条件式である。条件式(2)の下限を大きく下回り、特に下限が0.40を下回るようにDmaxが小さくなると、第2部分群L1b以降に配置されたレンズの径が大きくなるため、光学系L0の質量が重くなりすぎる。好ましくは下限が0.70を上回るようにDmaxが大きくなることで、光学系L0の質量が軽くなりやすい構成となる。
【0033】
条件式(2)の上限を上回って、第1レンズ群L1の屈折力が強くなると、第1レンズ群L1で発生する球面収差が大きくなるため好ましくない。
【0034】
第1実施形態に係る光学系L0は、以上の構成を満足することにより、高い光学性能を有し、長焦点距離かつ小型軽量な光学系を提供することが可能となる。
【0035】
なお、条件式(1)、(2)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を以下の条件式(1a)、(2a)の数値とすることが好ましい。
75.0<νd<98.0・・・(1a)
0.72<Dmax/f1<1.40・・・(2a)
【0036】
さらに好ましくは、条件式(1)、(2)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を、以下の条件式(1b)、(2b)の範囲とすることが好ましい。
80.0<νd<96.0・・・(1b)
0.74<Dmax/f1<1.30・・・(2b)
【0037】
次に、第2実施形態に係る光学系L0について述べる。
【0038】
第2実施形態に係る光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、1つ以上のレンズ群を有する中間群M、最終レンズ群Lrからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。
【0039】
第1レンズ群L1が正の屈折力を有することで、光学系L0の主点を物体側に配置し、光学系L0のレンズ全長を短くしている。ここでレンズ全長とは、光学系L0の最も物体側の面から最も像側の面までの光軸上の距離と、バックフォーカスを足した値である。ここでバックフォーカスとは、光学系L0の最も像側の面と像面との光軸上の距離を空気換算した値である。
【0040】
また、フォーカシングに際して、第1レンズ群L1と最終レンズ群Lrとを不動とし、中間群Mに配置されたレンズ群がフォーカシングに際して移動する。第1レンズ群L1は比較的径が大きく質量が重く、最終レンズ群Lrは軸外光線の高さが比較的高いため、フォーカシングに際して最終レンズ群Lrを移動させると、フォーカシングに際して発生する像面湾曲等の変動が大きい。そのため、第1レンズ群L1と最終レンズ群Lrとを不動とし、中間群Mに配置されたレンズ群がフォーカシングに際して移動することで、高速なフォーカシングを行いながら、フォーカシングに際して発生する収差の変動を抑制することができる。
【0041】
また、第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群L1aと、第2部分群L1bとからなる。ここで、第1部分群L1aと、第2部分群L1bとは、光学系L0において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置される。第1部分群L1aが複数の正レンズを有することで、球面収差等を良好に補正することができる。
【0042】
また、テレフォトタイプの光学系においては、一般的に物体側から入射した軸上光束は像側に向かって収斂する。そのため、第1部分群L1aと、第2部分群L1bとが、光学系L0において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置されることで、第2部分群L1b以降に配置されたレンズの径を小さくすることができる。その結果、光学系L0を軽量化することができる。
【0043】
また、最終レンズ群Lrは負レンズを4枚以上有する。負レンズを4枚以上有することで、光学系L0のペッツバール和を良好に低減することができ、像面湾曲を補正することができる。
【0044】
第2実施形態に係る光学系L0は、以下の条件式を満足するように構成している。
0.40<Dmax/f1<1.50・・・(2c)
【0045】
ここで、Dmaxは第1部分群L1aと、第2部分群L1bとの空気間隔であり、f1は第1レンズ群L1の焦点距離である。なお、空気間隔とは光軸上の空気間隔を意味する。
【0046】
条件式(2c)は光学系L0の軽量化と適切な第1レンズ群L1の屈折力を得るための条件式である。条件式(2c)の下限を下回って、Dmaxが小さくなると、第2部分群L1b以降に配置されたレンズの径が大きくなるため、光学系L0の質量が重くなりすぎる。条件式(2c)の上限を上回って、第1レンズ群L1の屈折力が強くなると、第1レンズ群L1で発生する球面収差が大きくなるため好ましくない。
【0047】
第2実施形態に係る光学系L0は、以上の構成を満足することにより、高い光学性能を有し、長焦点距離かつ小型軽量な光学系を提供することが可能となる。
【0048】
なお、条件式(2c)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を以下の条件式(2d)の数値とすることが好ましい。
0.50<Dmax/f1<1.40・・・(2d)
【0049】
さらに好ましくは、条件式(2c)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を、以下の条件式(2e)の範囲とすることが好ましい。
0.60<Dmax/f1<1.30・・・(2e)
【0050】
次に、第3実施形態に係る光学系L0について述べる。
【0051】
第3実施形態に係る光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、1つ以上のレンズ群を有する中間群M、最終レンズ群Lrからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。
【0052】
第1レンズ群L1が正の屈折力を有することで、光学系L0の主点を物体側に配置し、光学系L0のレンズ全長を短くしている。ここでレンズ全長とは、光学系L0の最も物体側の面から最も像側の面までの光軸上の距離と、バックフォーカスを足した値である。ここでバックフォーカスとは、光学系L0の最も像側の面と像面との光軸上の距離を空気換算した値である。
【0053】
また、フォーカシングに際して、第1レンズ群L1と最終レンズ群Lrとを不動とし、中間群Mに配置されたレンズ群がフォーカシングに際して移動する。第1レンズ群L1は比較的径が大きく質量が重く、最終レンズ群Lrは軸外光線の高さが比較的高いため、フォーカシングに際して最終レンズ群Lrを移動させると、フォーカシングに際して発生する像面湾曲等の変動が大きい。そのため、第1レンズ群L1と最終レンズ群Lrとを不動とし、中間群Mに配置されたレンズ群がフォーカシングに際して移動することで、高速なフォーカシングを行いながら、フォーカシングに際して発生する収差の変動を抑制することができる。
【0054】
また、第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群L1aと、第2部分群L1bとからなる。ここで、第1部分群L1aと、第2部分群L1bとは、光学系L0において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置される。第1部分群L1aが複数の正レンズを有することで、球面収差等を良好に補正することができる。
【0055】
また、テレフォトタイプの光学系においては、一般的に物体側から入射した軸上光束は像側に向かって収斂する。そのため、第1部分群L1aと、第2部分群L1bとが、光学系L0において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置されることで、第2部分群L1b以降に配置されたレンズの径を小さくすることができる。その結果、光学系L0を軽量化することができる。
【0056】
また、最終レンズ群Lrは負レンズを4枚以上有する。負レンズを4枚以上有することで、光学系L0のペッツバール和を良好に低減することができ、像面湾曲を補正することができる。
【0057】
第3実施形態に係る光学系L0は、以下の条件式を満足するように構成している。
70.0<νd<100.0・・・(1)
【0058】
ここで、νdはd線を基準としたときのアッベ数であり、第2部分群L1bにおいて配置された少なくとも3枚の正レンズの材料が条件式(1)を満足する。
【0059】
条件式(1)は、第2部分群L1bにおいて配置された正レンズによる色収差補正の効果を得るための条件式であり、条件式(1)を満足する正レンズを3枚以上有することで、光学系L0で発生する軸上色収差と倍率色収差を良好に補正しやすくなる。
【0060】
条件式(1)の下限を下回って、アッベ数νdが小さくなると、正レンズの材料が高分散になりすぎるため、軸上色収差と倍率色収差が大きくなり好ましくない。条件式(1)の上限を上回る光学ガラスは実在しない。条件式(1)を満足する正レンズが2枚以下になると、十分な色収差補正効果を出すために、正レンズの屈折力が強まり、球面収差が大きくなるため好ましくない。
【0061】
第3実施形態に係る光学系L0は、以上の構成を満足することにより、高い光学性能を有し、長焦点距離かつ小型軽量な光学系を提供することが可能となる。
【0062】
なお、条件式(1)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を以下の条件式(1a)の数値とすることが好ましい。
75.0<νd<98.0・・・(1a)
【0063】
さらに好ましくは、条件式(1)の数値範囲の上限または下限の少なくとも一方を、以下の条件式(1b)の範囲とすることが好ましい。
80.0<νd<96.0・・・(1b)
【0064】
次に、各実施形態に係る光学系L0の好ましい構成について述べる。
【0065】
第1部分群L1aは、2枚の正レンズからなることが好ましい。2枚の正レンズからなることで、第1部分群L1aで発生する球面収差を低減しつつ、軽量化することができる。
【0066】
中間群Mは、負の屈折力を有することが好ましい。負の屈折力を有することで、光学系L0の像面湾曲等を良好に補正することができる。
【0067】
第2部分群L1bは、2枚の負レンズを有することが好ましい。2枚の負レンズを有することで、第1部分群L1aで発生する軸上色収差等を良好に補正することができる。
【0068】
像ぶれ補正に際して、最終レンズ群Lrの一部または全体は、光軸に垂直な方向の成分を含む方向に移動することが好ましい。最終レンズ群Lrに配置されたレンズは光学系L0において比較的径が小さいため、像ぶれ補正に際して移動する1枚以上のレンズを軽量化することができる。
【0069】
光学系L0は、第1レンズ群L1において最も像側に配置された開口絞りSPを有することが好ましい。開口絞りSPを第1レンズ群L1において最も像側に配置することで、特に最終レンズ群Lrを通過する軸外光線の光軸からの高さを小さくすることができ、最終レンズ群Lrを軽量化することができる。
【0070】
第2部分群L1bにおいて配置された正レンズは4枚であることが好ましい。4枚で構成されることにより、第2部分群L1bの屈折力を適切な範囲で強め光学系L0のレンズ全長を短くしつつ、球面収差等を良好に補正することができる。
【0071】
中間群Mは、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有することが好ましい。物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを有することで、球面収差等を良好に補正することができる。
【0072】
最終レンズ群Lrは、接合レンズを3つ以上有することが好ましい。像面に対して近い位置に配置されたレンズはゴースト光が発生しやすいため、像面に対して近い位置に配置されたレンズを接合レンズとすることで、ゴースト光を抑制しつつ、倍率色収差や像面湾曲等を良好に補正することができる。
【0073】
最終レンズ群Lrは、物体側から像側へ順に配置された負、正、負の3枚のレンズで構成された接合レンズを有することが好ましい。像面に対して近い位置に配置されたレンズはゴースト光が発生しやすいため、像面に対して近い位置に配置されたレンズを接合レンズとすることで、ゴースト光を抑制しつつ、倍率色収差や像面湾曲等を良好に補正することができる。
【0074】
各実施例の光学系L0は、以下の条件式のうちの1つ以上を満足することが好ましい。
0.45<OTL/f<1.20・・・(3)
0.20<f1a/f<1.00・・・(4)
0.20<f1/f<0.80・・・(5)
1.00<f1a_min/f1<8.00・・・(6)
10.0<νd_min<35.0・・・(7)
0.50<Bab_max/Fno<2.00・・・(8)
1.3<BF/IH<5.0・・・(9)
0.10<f1b/f<0.80・・・(10)
【0075】
ここで、OTLは、光学系L0において、最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離である。fは、全系すなわち光学系L0の焦点距離である。f1aは、第1部分群L1aの焦点距離である。f1a_minは、第1レンズ群L1において配置された正レンズのうち、最も焦点距離の短い正レンズの焦点距離である。νd_minは、第1部分群L1aにおいて配置された正レンズの材料のうち、アッベ数の最小値である。
【0076】
Bab_maxは、中間群Mにおいて配置された、フォーカシングに際して移動するレンズ群のうち、位置敏感度の絶対値の最大値である。Fnoは、光学系L0のFナンバーである。BFは、光学系L0における最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離である。IHは、光学系L0における最大像高である。ここで最大像高とは、軸上の像点に対して、周辺光量が20%となる像高である。f1bは、第2部分群L1bの焦点距離である。
【0077】
次に前述の条件式(3)~(10)の技術的意味について説明する。
【0078】
条件式(3)の下限を下回って、光学系L0の最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離が短くなると、第1レンズ群L1等、各レンズ群の屈折力が強くなりすぎて、諸収差が大きくなり好ましくない。条件式(3)の上限を上回ると、レンズ全長が長くなるため好ましくない。
【0079】
条件式(4)の下限を下回って、第1部分群L1aの屈折力が強くなりすぎると、第1部分群L1aで発生する球面収差等が大きくなるため好ましくない。条件式(4)の上限を上回って、第1部分群L1aの屈折力が弱くなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置される。その結果、レンズ全長が長くなるため好ましくない。
【0080】
条件式(5)の下限を下回って、第1レンズ群L1の屈折力が強くなりすぎると、第1レンズ群L1で発生する球面収差等が大きくなるため好ましくない。条件式(5)の上限を上回って、第1レンズ群L1の屈折力が弱くなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置される。その結果、レンズ全長が長くなるため好ましくない。
【0081】
条件式(6)の下限を下回って、第1レンズ群L1において配置された正レンズのうち、最も焦点距離の短い正レンズの屈折力が強くなりすぎると、最も焦点距離の短い正レンズで発生する球面収差等が大きくなるため好ましくない。条件式(6)の上限を上回って、第1レンズ群L1において配置された正レンズのうち、最も焦点距離の短い正レンズの屈折力が弱くなりすぎる。その結果、第1レンズ群L1において配置された、最も焦点距離の短い正レンズとは異なる正レンズで発生する球面収差等が大きくなるため好ましくない。
【0082】
条件式(7)は短波長側すなわち二次の軸上色収差を補正するために、第2部分群L1bにおいて配置された正レンズの材料のアッベ数の最小値を特定したものである。条件式(7)の下限を下回ると、当該正レンズのアッベ数の最小値が小さくなりすぎて、一次の軸上色収差が大きくなり好ましくない。条件式(7)の上限を上回ると、当該正レンズのアッベ数の最小値が大きくなりすぎる。その結果、当該正レンズのg線とF線に対する部分分散比が小さくなりすぎるため、二次の軸上色収差が大きくなり好ましくない。
【0083】
条件式(8)は高速かつ高精度な合焦と小型化のために、中間群Mにおいて配置された、フォーカシングに際して移動するレンズ群のうち最も位置敏感度が高いレンズ群の位置敏感度とFナンバーとの比を特定したものである。
【0084】
ここで位置敏感度とは、光軸方向に当該レンズ群が単位量移動したときの像面移動量であり、当該レンズ群の横倍率βfと、当該レンズ群より像側に配置された全てのレンズの合成横倍率βrを用いて、次式で表される。
B=(1-βf×βf)×βr×βr
【0085】
条件式(8)の下限を下回ると、フォーカシングに際して移動するレンズ群の移動量が大きくなるため、光軸方向に移動するために確保する空気間隔が大きくなる。その結果、光学系L0のレンズ全長が長くなり好ましくない。条件式(8)の上限を上回ると、Fナンバーに対してフォーカシングに際して移動するレンズ群の位置敏感度が大きくなりすぎる。その結果、フォーカシングに際して発生する停止位置ずれによるピントズレ量が大きくなり好ましくない。
【0086】
条件式(9)の下限を下回ると、光学系L0における最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離が短くなりすぎる。撮像素子を像面の位置に配置した場合、撮像素子と光学系L0における最も像側のレンズ面との間で反射して発生するゴースト光が目立ちやすくなるため好ましくない。条件式(9)の上限を上回ると、光学系L0のレンズ全長が長くなるため好ましくない。
【0087】
条件式(10)の下限を下回って、第2部分群L1bの屈折力が強くなりすぎると、第2部分群L1bで発生する球面収差等が大きくなるため好ましくない。条件式(10)の上限を上回って、第2部分群L1bの屈折力が弱くなりすぎると、光学系L0の主点が像側に配置される。その結果、レンズ全長が長くなるため好ましくない。
【0088】
なお、条件式(2)~(10)の上限と下限の少なくとも一方を以下の数値範囲のように設定することがより好ましい。
0.60<OTL/f<1.15・・・(3a)
0.40<f1a/f<0.95・・・(4a)
0.25<f1/f<0.70・・・(5a)
2.00<f1a_min/f1<7.00・・・(6a)
15.0<νd_min<34.5・・・(7a)
1.00<Bab_max/Fno<1.98・・・(8a)
1.4<BF/IH<3.0・・・(9a)
0.15<f1b/f<0.60・・・(10a)
【0089】
また、条件式(2)~(10)の上限と下限の少なくとも一方を以下の数値範囲のように設定することがさらに好ましい。
0.80<OTL/f<1.10・・・(3b)
0.60<f1a/f<0.90・・・(4b)
0.30<f1/f<0.50・・・(5b)
2.50<f1a_min/f1<6.50・・・(6b)
25.0<νd_min<34.0・・・(7b)
1.20<Bab_max/Fno<1.95・・・(8b)
1.5<BF/IH<2.0・・・(9b)
0.20<f1b/f<0.50・・・(10b)
【0090】
次に、各実施形態に係る実施例の光学系L0の構成の詳細について述べる。実施例2以降は、主に実施例1との差異について述べる。
【0091】
[実施例1]
実施例1の光学系L0は、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、中間群M、最終レンズ群Lrからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。フォーカシングのためには、第1レンズ群L1と最終レンズ群Lrとは不動である。
【0092】
ここで中間群Mは第2レンズ群L2と第3レンズ群L3とからなり、フォーカシングのために、第2レンズ群L3と第3レンズ群L3とが異なる移動量で移動する。フォーカシングのために、2つのレンズ群を移動させることで、フォーカシングに際して発生する諸収差の変動を抑制しやすい構成としている。さらに、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3をそれぞれ負の単レンズで構成することにより、フォーカシングに際して移動するレンズ群を軽量化することができている。
【0093】
また、光学系L0において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて第1部分群L1aと、第2部分群L1bとが配置され、第1部分群L1aは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズを含む2つの正レンズから構成される。物体側から入射する軸上のマージナル光線は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズのレンズ面に対して垂直に近い角度で入射するため、球面収差の発生を抑制しやすくしている。
【0094】
また、像ぶれ補正に際して、最終レンズ群Lrに配置された3枚のレンズが、光軸に垂直な方向の成分を含む方向に移動する。3枚のレンズが移動することで、像ぶれ補正に際して発生する諸収差の変動を抑制しやすくしている。
【0095】
また、第2部分群L1bは、両凸レンズを3枚有する。両凸レンズを3枚有することで、第2部分群L1bの屈折力を強めやすくし、光学系L0のレンズ全長を短くしている。
【0096】
[実施例2]
実施例2は、実施例1の最終レンズ群Lrに対して、負の屈折力の部分群を像側に追加する構成としている。これにより、実施例1に対して、さらに長焦点距離化することができている。負の屈折力の部分群について、複数の正レンズ、および複数の負レンズを配置することで、像面湾曲や倍率色収差等を抑制しやすくしている。
【0097】
[実施例3]
実施例3の中間群Mは第2レンズ群L2からなり、フォーカシングのために、第2レンズ群L2が移動する。フォーカシングのために、1つのレンズ群のみが移動することで、フォーカシングに際して発生する隣り合うレンズ群間の相対的な偏心による収差変動を抑制しやすくしている。
【0098】
[実施例4]
実施例4の第1部分群L1aは、3つの正レンズから構成される。3つの正レンズで構成されることにより、第1部分群L1aで発生する球面収差等を抑制しやすくしている。
【0099】
[実施例5]
実施例5の第2部分群L1bは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズを2枚有する。これにより、球面収差等を抑制しやすくしている。
【0100】
以下に、実施例1から5にそれぞれ対応する数値実施例1~5を示す。
【0101】
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)を表わしている。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数を表わしている。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(波長587.6nm)、F線(波長486.1nm)、C線(波長656.3nm)、g線(波長435.8nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。
【0102】
BFはバックフォーカスである。
【0103】
また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、A12を各次数の非球面係数とするとき、
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)2}1/2]+A4×h4+A6×h6+A8×h8+A10×h10+A12×h12
で表している。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。
【0104】
[数値実施例1]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 361.590 8.96 1.48749 70.2
2 -23384.147 0.30
3 165.569 12.81 1.43387 95.1
4 622.689 132.44
5 87.354 12.05 1.43875 94.7
6 -239.145 2.50 1.80610 33.3
7 57.954 0.18
8 56.866 12.48 1.43387 95.1
9 -360.152 0.20
10 76.054 7.94 1.43387 95.1
11 814.525 2.12
12 -268.908 2.00 1.61340 44.3
13 59.417 10.11 1.66382 27.4
14 -194.105 4.41
15(絞り) ∞ (可変)
16 25372.899 1.70 1.59522 67.7
17 71.961 (可変)
18 119.836 1.70 1.59522 67.7
19 58.499 (可変)
20 196.399 1.50 1.98612 16.5
21 116.011 3.12 1.73800 32.3
22 -606.051 2.33
23 -179.127 3.48 1.80000 29.8
24 -60.919 1.50 1.57144 71.6
25 86.488 1.47
26 855.808 1.50 1.80400 46.5
27 119.682 7.35
28 -42.017 2.00 1.49700 81.5
29 -49.197 2.00
30 146.161 6.69 1.85026 32.3
31 -56.569 1.60 1.98612 16.5
32 -95.361 56.03
33 -3569.656 2.00 1.72825 28.5
34 ∞ BF
像面 ∞
各種データ
焦点距離 387.98
Fナンバー 2.91
半画角 3.19
像高 21.64
レンズ全長 372.01
BF 38.28
無限遠合焦時における隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d15 3.44
d17 5.07
d19 20.74
d34 38.28
至近(像面から物体側に2500mm離れた位置)に合焦した際の隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d15 18.74
d17 5.34
d19 5.17
d34 38.28
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
L1 1 172.37
L2 16 -121.24
L3 18 -194.02
Lr 20 207.60
【0105】
[数値実施例2]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 361.590 8.96 1.48749 70.2
2 -23384.147 0.30
3 165.569 12.81 1.43387 95.1
4 622.689 132.44
5 87.354 12.05 1.43875 94.7
6 -239.145 2.50 1.80610 33.3
7 57.954 0.18
8 56.866 12.48 1.43387 95.1
9 -360.152 0.20
10 76.054 7.94 1.43387 95.1
11 814.525 2.12
12 -268.908 2.00 1.61340 44.3
13 59.417 10.11 1.66382 27.4
14 -194.105 4.41
15(絞り) ∞ (可変)
16 25372.899 1.70 1.59522 67.7
17 71.961 (可変)
18 119.836 1.70 1.59522 67.7
19 58.499 (可変)
20 196.399 1.50 1.98612 16.5
21 116.011 3.12 1.73800 32.3
22 -606.051 2.33
23 -179.127 3.48 1.80000 29.8
24 -60.919 1.50 1.57144 71.6
25 86.488 1.47
26 855.808 1.50 1.80400 46.5
27 119.682 7.35
28 -42.017 2.00 1.49700 81.5
29 -49.197 2.00
30 146.161 6.69 1.85026 32.3
31 -56.569 1.60 1.98612 16.5
32 -95.361 2.48
33 22.976 8.53 1.48749 70.2
34 167.264 0.17
35 51.442 3.74 1.57501 41.5
36 121.848 1.00 1.90525 35.0
37 27.926 10.16
38 -672.196 0.95 1.72916 54.7
39 14.961 14.43 1.59270 35.3
40 -15.436 0.95 1.81600 46.6
41 75.686 0.65
42 31.712 9.96 1.60342 38.0
43 -22.105 1.05 2.00100 29.1
44 -102.267 1.99
45 -3569.656 2.00 1.72825 28.5
46 ∞ BF
像面 ∞
各種データ
焦点距離 543.19
Fナンバー 4.12
半画角 2.28
像高 21.64
レンズ全長 372.05
BF 38.30
無限遠合焦時における隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d15 3.44
d17 5.07
d19 20.74
d46 38.30
至近(像面から物体側に2500mm離れた位置)に合焦した際の隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d15 18.74
d17 5.34
d19 5.17
d46 38.30
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
L1 1 172.37
L2 16 -121.24
L3 18 -194.02
Lr 20 -186.53
【0106】
[数値実施例3]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 327.048 9.19 1.48749 70.2
2 5245.194 0.30
3 162.489 13.09 1.43387 95.1
4 608.498 127.87
5 82.472 12.23 1.43875 94.7
6 -289.667 2.50 1.80610 33.3
7 58.126 0.38
8 57.018 12.94 1.43387 95.1
9 -276.265 0.20
10 81.977 6.07 1.43387 95.1
11 249.715 3.52
12 -218.769 2.00 1.61340 44.3
13 63.275 9.73 1.66382 27.4
14 -182.170 4.41
15(絞り) ∞ (可変)
16 2790.085 1.70 1.59522 67.7
17 81.683 3.94
18 90.304 1.70 1.59522 67.7
19 53.932 (可変)
20 150.289 1.50 1.98612 16.5
21 94.557 2.95 1.73800 32.3
22 1100.197 2.43
23 -268.743 3.39 1.80000 29.8
24 -68.308 1.50 1.57144 71.6
25 91.910 1.49
26 -2327.604 1.50 1.80400 46.5
27 108.456 7.61
28 -38.536 2.00 1.49700 81.5
29 -43.990 2.00
30 151.525 6.64 1.85026 32.3
31 -57.952 1.60 1.98612 16.5
32 -92.318 52.26
33 -2821.222 2.00 1.72825 28.5
34 ∞ BF
像面 ∞
各種データ
焦点距離 387.99
Fナンバー 2.91
半画角 3.19
像高 21.64
レンズ全長 366.59
BF 38.51
無限遠合焦時における隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d15 3.40
d19 24.03
d34 38.51
至近(像面から物体側に2500mm離れた位置)に合焦した際の隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d15 21.69
d19 5.74
d34 38.51
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
L1 1 182.22
L2 16 -85.88
Lr 20 241.88
【0107】
[数値実施例4]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 425.413 5.58 1.48749 70.2
2 1011.838 0.20
3 160.647 9.15 1.43387 95.1
4 296.502 4.68
5 296.502 7.00 1.52841 76.5
6 774.718 156.50
7 73.158 14.86 1.43875 94.7
8 -88.608 2.50 1.80610 33.3
9 49.119 0.18
10 49.167 11.92 1.43387 95.1
11 -393.429 0.20
12 86.394 4.64 1.53775 74.7
13 179.098 0.25
14 77.706 2.00 1.61340 44.3
15 62.770 10.09 1.66382 27.4
16 -131.534 4.41
17(絞り) ∞ (可変)
18 -312.795 1.70 1.59522 67.7
19 71.714 (可変)
20 -413.700 1.70 1.59522 67.7
21 47.958 (可変)
22 1834.208 1.50 1.98612 16.5
23 78.236 5.09 1.73800 32.3
24 -58.171 1.00
25 822.148 3.48 1.80000 29.8
26 -71.260 1.50 1.57144 71.6
27 -552.268 0.88
28 -152.904 1.50 1.80400 46.5
29 51.689 10.07
30 -34.092 2.00 1.49700 81.5
31 -44.191 5.00
32 92.722 4.77 1.85026 32.3
33 -256.516 1.60 1.98612 16.5
34 -271.981 23.21
35 487.337 2.00 1.51742 52.4
36 ∞ BF
像面 ∞
各種データ
焦点距離 387.73
Fナンバー 2.91
半画角 3.19
像高 21.64
レンズ全長 372.08
BF 38.09
無限遠合焦時における隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d17 3.22
d19 5.52
d21 24.08
d36 38.09
至近(像面から物体側に2500mm離れた位置)に合焦した際の隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d17 4.48
d19 22.67
d21 5.67
d36 38.09
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
L1 1 125.88
L2 18 -97.85
L3 20 -72.10
Lr 22 156.02
【0108】
[数値実施例5]
面データ
面番号 r d nd νd
1* 218.187 5.14 1.48749 70.2
2* 531.225 0.30
3 112.850 15.44 1.43387 95.1
4 -824.686 86.36
5 72.081 7.08 1.43875 94.7
6 -240.031 2.00 1.77047 29.7
7 29.896 0.15
8 29.769 8.41 1.43387 95.1
9 155.824 0.20
10 41.829 4.70 1.43387 95.1
11 83.309 3.40
12 104.933 1.00 1.61340 44.3
13 31.853 8.02 1.66382 27.4
14 -149.804 4.41
15(絞り) ∞ (可変)
16 82.652 1.00 1.59522 67.7
17 23.645 (可変)
18 -63.608 1.00 1.59522 67.7
19 96.881 (可変)
20 44.040 1.00 1.98612 16.5
21 29.858 4.60 1.73800 32.3
22 2010.829 1.36
23 202.596 2.67 1.80000 29.8
24 -142.939 1.00 1.49700 81.5
25 36.341 3.50
26 -124.648 1.00 1.80400 46.5
27 172.170 2.30
28 65.689 6.92 1.59270 35.3
29 -49.837 1.60 1.98612 16.5
30 -63.773 5.61
31 259.527 2.00 1.77047 29.7
32 ∞ BF
像面 ∞
非球面データ
第1面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.06568e-08 A 6=-9.98483e-12 A 8=-8.83084e-16 A10=-8.74981e-19
第2面
K = 0.00000e+00 A 4= 3.66431e-08 A 6=-8.68897e-12 A 8=-9.59089e-16 A10=-7.91548e-19
各種データ
焦点距離 289.77
Fナンバー 2.91
半画角 4.27
像高 21.64
レンズ全長 240.23
BF 37.97
無限遠合焦時における隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d15 2.68
d17 10.08
d19 7.31
d32 37.97
至近(像面から物体側に2500mm離れた位置)に合焦した際の隣り合うレンズ群の光軸上の間隔
d15 9.83
d17 7.30
d19 2.95
d32 37.97
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
L1 1 120.96
L2 16 -56.00
L3 18 -64.36
Lr 20 70.39
【0109】
各数値実施例における種々の値を、以下の表1にまとめて示す。
【0110】
【0111】
[撮像装置]
次に、本発明の光学系を撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)の実施例について、
図11を用いて説明する。
図11において、11は実施例1~5で説明したいずれかの光学系によって構成された撮像光学系である。12はカメラ本体10に内蔵され、撮像光学系11によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子(光電変換素子)である。カメラ本体10はクイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでもよいし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでもよい。
【0112】
このように、本発明の光学系L0をデジタルスチルカメラなどの撮像装置に適用することにより、高解像度で広画角な画像を得ることができる。
【0113】
各実施例の開示は、以下の構成を含む。
【0114】
(構成1)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、
前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、
d線を基準としたときのアッベ数をνdとするとき、前記第2部分群において配置された少なくとも3枚の正レンズの材料は、
70.0<νd<100.0
なる条件式を満足し、
前記第1部分群と、前記第2部分群との空気間隔をDmax、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.70<Dmax/f1<1.50
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【0115】
(構成2)
前記光学系において、最も物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をOTL、全系の焦点距離をfとするとき、
0.45<OTL/f<1.20
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載の光学系。
【0116】
(構成3)
前記第1部分群の焦点距離をf1a、全系の焦点距離をfとするとき、
0.20<f1a/f<1.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1または2に記載の光学系。
【0117】
(構成4)
全系の焦点距離をfとするとき、
0.20<f1/f<0.80
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至3のいずれか一構成に記載の光学系。
【0118】
(構成5)
前記第1レンズ群において配置された正レンズのうち、最も焦点距離の短い正レンズの焦点距離をf1a_minとするとき、
1.50<f1a_min/f1<8.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至4のいずれか一構成に記載の光学系。
【0119】
(構成6)
前記第2部分群において配置された正レンズの材料のうち、アッベ数の最小値をνd_minとするとき、
10.0<νd_min<35.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至5のいずれか一構成に記載の光学系。
【0120】
(構成7)
前記中間群において配置された、フォーカシングに際して移動するレンズ群のうち、位置敏感度の絶対値の最大値をBab_max、前記光学系のFナンバーをFnoとするとするとき、
0.50<Bab_max/Fno<2.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至6のいずれか一構成に記載の光学系。
【0121】
(構成8)
前記光学系における最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をBF、最大像高をIHとするとき、
1.3<BF/IH<5.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至7のいずれか一構成に記載の光学系。
【0122】
(構成9)
前記第2部分群の焦点距離をf1b、全系の焦点距離をfとするとき、
0.10<f1b/f<0.80
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至8のいずれか一構成に記載の光学系。
【0123】
(構成10)
前記第1部分群は、2枚の正レンズからなることを特徴とする構成1乃至9のいずれか一構成に記載の光学系。
【0124】
(構成11)
前記中間群は、負の屈折力を有することを特徴とする特徴とする構成1乃至10のいずれか一構成に記載の光学系。
【0125】
(構成12)
前記第2部分群は、2枚の負レンズを有することを特徴とする構成1乃至11のいずれか一構成に記載の光学系。
【0126】
(構成13)
像ぶれ補正に際して、前記最終レンズ群の一部または全体は、光軸に垂直な方向の成分を含む方向に移動することを特徴とする構成1乃至12のいずれか一構成に記載の光学系。
【0127】
(構成14)
前記光学系は、前記第1レンズ群において最も像側に配置された開口絞りを有することを特徴とする構成1乃至13のいずれか一構成に記載の光学系。
【0128】
(構成15)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、
前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、
前記最終レンズ群は、負レンズを4枚以上有し、
前記第1部分群と、前記第2部分群との空気間隔をDmax、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
0.40<Dmax/f1<1.50
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【0129】
(構成16)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、1つ以上のレンズ群を有する中間群と、最終レンズ群とからなり、フォーカシングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する光学系であって、
フォーカシングのためには、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群とは不動であり、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、複数の正レンズを有する第1部分群と、第2部分群とからなり、
前記第1部分群と、前記第2部分群とは、前記光学系において形成される空気間隔のうち、最も大きい空気間隔を隔てて配置され、
前記最終レンズ群は、負レンズを4枚以上有し、
d線を基準としたときのアッベ数をνdとするとき、前記第2部分群において配置された少なくとも3枚の正レンズの材料は、
70.0<νd<100.0
なる条件式を満足することを特徴とする光学系。
【0130】
(構成17)
構成1から16のいずれか1項に記載の光学系と、
該光学系によって形成された像を受光する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
【0131】
以上、本発明に好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0132】
L0 光学系
L1 第1レンズ群
M 中間群
Lr 最終レンズ群
L1a 第1部分群
L1b 第2部分群