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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001150
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20241225BHJP
   H01R 13/514 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
H01R13/56
H01R13/514
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100586
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋▲崎▼ 雅史
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB07
5E021FC32
5E021FC40
5E087EE11
5E087EE14
5E087JJ08
5E087MM05
5E087RR26
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】アウターハウジングに対するインナーハウジングの半挿入を抑制可能なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、アウターハウジング30と、アウターハウジング30内に第1方向の一方側から挿入される少なくとも1つのインナーハウジング20と、インナーハウジング20から導出される電線14を収容する電線カバー40と、を備え、電線カバー40は、アウターハウジング30における第1方向の一方側に取り付けられ、電線カバー40は、インナーハウジング20に第1方向の一方側から当接する当接部46を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターハウジングと、
前記アウターハウジング内に第1方向の一方側から挿入される少なくとも1つのインナーハウジングと、
前記インナーハウジングから導出される電線を収容する電線カバーと、を備え、
前記電線カバーは、前記アウターハウジングにおける前記第1方向の一方側に取り付けられ、
前記電線カバーは、前記インナーハウジングに前記第1方向の一方側から当接する当接部を備える、コネクタ。
【請求項2】
前記電線カバー及び前記アウターハウジングのうちの一方は、第1壁部と、前記第1壁部から前記第1方向に直交する第2方向に突出する突出部と、を備え、
前記電線カバー及び前記アウターハウジングのうちの他方は、前記第1壁部と前記第2方向に対向する部分を有する第2壁部と、前記第2壁部から前記第2方向に凹む突出部受け部と、を備え、
前記突出部受け部は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に延びて前記突出部を受け入れる、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記当接部は、第1当接部と、前記第1当接部から前記第1方向の他方側に突出する第2当接部と、を備える、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記当接部は、第1当接部と、前記第1当接部から前記第1方向の他方側に突出する第2当接部と、を備え、
前記第2当接部は、前記第3方向に延び、
前記第2当接部は、前記第3方向の一方側の端部に傾斜部を有し、
前記傾斜部は、前記第3方向の他方側に向かうほど、前記第1当接部からの突出寸法が大きくなっている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記インナーハウジングは、前記当接部に当接する当接面と、前記電線カバーと前記第1方向に直交する方向に対向して配される対向面と、を有し、
前記当接面と前記対向面とは、連続して配されている、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項6】
複数の前記インナーハウジングを備える、請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2010-123385号公報(下記特許文献1)に記載のレバー式コネクタが知られている。特許文献1に記載のレバー式コネクタは、ハウジングとレバーとを備える。ハウジングは、雌型コンタクトを保持したインナーハウジングと、インナーハウジングに取り付けられるアウターハウジングと、アウターハウジングに取り付けられるワイヤカバーと、を備える。ワイヤカバーには開口部が設けられており、雌型コンタクトに接続された電線が、ワイヤカバーの内部を介して開口部から外部に導出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-123385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなレバー式コネクタの組み立て工程は、例えば、電線が接続された雌型コンタクトをインナーハウジング内に収容する工程と、インナーハウジングをアウターハウジング内に挿入する工程と、を含む。インナーハウジングをアウターハウジング内に挿入する工程においては、インナーハウジングがアウターハウジングに対して半挿入状態になってしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のコネクタは、アウターハウジングと、前記アウターハウジング内に第1方向の一方側から挿入される少なくとも1つのインナーハウジングと、前記インナーハウジングから導出される電線を収容する電線カバーと、を備え、前記電線カバーは、前記アウターハウジングにおける前記第1方向の一方側に取り付けられ、前記電線カバーは、前記インナーハウジングに前記第1方向の一方側から当接する当接部を備える、コネクタである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、アウターハウジングに対するインナーハウジングの半挿入を抑制可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態にかかるコネクタの斜視図である。
図2図2は、コネクタの側面図である。
図3図3は、図2のA-A断面図である。
図4図4は、図2のB-B断面図である。
図5図5は、図2のC-C断面図である。
図6図6は、図3のD-D断面図である。
図7図7は、図4のE-E断面図である。
図8図8は、図4のF-F断面図である。
図9図9は、図4のF-F断面において、電線カバーが第1位置に配された状態を示す図である。
図10図10は、図2のC-C断面において、電線カバーが第1位置に配された状態を示す図である。
図11図11は、図4のE-E断面において、電線カバーが第1位置に配された状態を示す図である。
図12図12は、インナーハウジングの斜視図である。
図13図13は、アウターハウジングの斜視図である。
図14図14は、インナーハウジングが挿入されたアウターハウジングの斜視図である。
図15図15は、電線カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
[1]本開示のコネクタは、アウターハウジングと、前記アウターハウジング内に第1方向の一方側から挿入される少なくとも1つのインナーハウジングと、前記インナーハウジングから導出される電線を収容する電線カバーと、を備え、前記電線カバーは、前記アウターハウジングにおける前記第1方向の一方側に取り付けられ、前記電線カバーは、前記インナーハウジングに前記第1方向の一方側から当接する当接部を備える。
【0009】
このような構成によると、インナーハウジングがアウターハウジングに対して半挿入状態にある場合、電線カバーがアウターハウジングに取り付けられる際、当接部によりインナーハウジングがアウターハウジング内に押し込まれる。したがって、アウターハウジングに対するインナーハウジングの半挿入を抑制することができる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記電線カバー及び前記アウターハウジングのうちの一方は、第1壁部と、前記第1壁部から前記第1方向に直交する第2方向に突出する突出部と、を備え、前記電線カバー及び前記アウターハウジングのうちの他方は、前記第1壁部と前記第2方向に対向する部分を有する第2壁部と、前記第2壁部から前記第2方向に凹む突出部受け部と、を備え、前記突出部受け部は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に延びて前記突出部を受け入れることが好ましい。
【0011】
このような構成によると、突出部と突出部受け部とを摺接させることにより、電線カバーをアウターハウジングに取り付けることができる。
【0012】
[3]上記[1]または[2]において、前記当接部は、第1当接部と、前記第1当接部から前記第1方向の他方側に突出する第2当接部と、を備えることが好ましい。
【0013】
このような構成によると、電線カバーとインナーハウジングとの間の隙間を減らし、インナーハウジングのガタつきを抑制することができる。
【0014】
[4]上記[2]において、前記当接部は、第1当接部と、前記第1当接部から前記第1方向の他方側に突出する第2当接部と、を備え、前記第2当接部は、前記第3方向に延び、前記第2当接部は、前記第3方向の一方側の端部に傾斜部を有し、前記傾斜部は、前記第3方向の他方側に向かうほど、前記第1当接部からの突出寸法が大きくなっていることが好ましい。
【0015】
このような構成によると、電線カバーを第3方向の一方側にスライドさせることで、電線カバーとインナーハウジングとの間の隙間をスムーズに埋めることができる。
【0016】
[5]上記[1]から[4]のいずれか1つにおいて、前記インナーハウジングは、前記当接部に当接する当接面と、前記電線カバーと前記第1方向に直交する方向に対向して配される対向面と、を有し、前記当接面と前記対向面とは、連続して配されていることが好ましい。
【0017】
このような構成によると、対向面により、電線カバーを第1方向と直交する方向に位置決めすることができる。
【0018】
[6]上記[1]から[5]のいずれか1つに記載のコネクタは、複数の前記インナーハウジングを備えてもよい。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「直交」は、厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。
【0020】
また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。
【0021】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0022】
<実施形態>
本開示の実施形態について、図1から図15を参照しつつ説明する。以下の説明においては、矢線Zの示す方向を上方、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0023】
(コネクタ10)
図1及び図2に示すように、コネクタ10は、複数のインナーハウジング20と、アウターハウジング30と、電線カバー40と、を備える。コネクタ10は、図示しない相手側コネクタと嵌合するようになっている。
【0024】
本実施形態のコネクタ10はレバー式コネクタである。図1に示すように、コネクタ10は、レバー11と、レバー11の回転に連動して回転するギヤ12と、を備える。詳細に説明しないものの、レバー11及びギヤ12は回転可能にアウターハウジング30に軸支されている。レバー11及びギヤ12にはそれぞれピニオンが形成されている。ピニオンが相手側コネクタに形成されるラックと噛み合うことにより、コネクタ10と相手側コネクタとの嵌合及び離脱が補助されるようになっている。
【0025】
(インナーハウジング20)
インナーハウジング20は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。図12に示すように、インナーハウジング20は、本体部21と、フランジ部22と、を備える。本体部21は略直方体形状をなしている。本体部21には、複数の端子収容部21Aが形成されている。端子収容部21Aは、上下方向に開口している。図6に示すように、端子収容部21Aの内部には、端子13が収容されるようになっている。端子収容部21Aには、予め電線14が接続された端子13が上方から挿入される。電線14は端子収容部21Aから上方に導出される。本体部21の上面は電線導出面21Bとされている。端子収容部21Aの数や形状、本体部21における配置等は、複数のインナーハウジング20間で異なっていてもよく、同じでもよい。なお、図面において、端子13及び電線14は一部のみ図示している。
【0026】
図12に示すように、フランジ部22は、本体部21から上下方向に直交する方向に拡径している。フランジ部22は、本体部21の上端部寄りの位置に配されている。フランジ部22の上面22Aは、電線導出面21Bよりも下方に配されている。フランジ部22の上面22Aと電線導出面21Bとは、上下方向に延びる本体部21の外周面21Cを介して段差状に接続されている。フランジ部22は、フランジ部22の上面22Aから下方に凹むロック受け部23を備える。
【0027】
(アウターハウジング30)
アウターハウジング30は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。図13に示すように、アウターハウジング30は、複数のインナー収容部31と、カバー保持壁32(第2壁部の一例)と、を備える。インナー収容部31は上下方向に開口する筒状をなしている。複数のインナー収容部31は、前後方向及び左右方向に並べて配置されている。インナー収容部31は、周壁31Aと、周壁31Aを切り欠いて形成されるロック片31Bと、周壁31Aからインナー収容部31の内方に突出する係止凸部31Cと、を備える。ロック片31Bの下端は周壁31Aに接続される基端とされている。ロック片31Bは、左右方向に撓み変形可能に構成されている。ロック片31Bの上端部には、ロック片31Bからインナー収容部31の内方に突出するロック突起31B1が形成されている。係止凸部31Cは周壁31Aの下端部寄りの位置に配されている。
【0028】
図3図4図6、及び図14に示すように、インナー収容部31の内部には、インナーハウジング20が収容されるようになっている。インナーハウジング20は上方(第1方向の一方側の一例)からインナー収容部31内に挿入される。ロック片31Bがフランジ部22と係合することによりインナー収容部31の外方に撓み変形する。インナーハウジング20がインナー収容部31の正規位置に収容された状態では、図3に示すように、ロック片31Bが自然状態に復帰し、ロック受け部23とロック突起31B1とが係止している。また、図4に示すように、フランジ部22の下面22Bと係止凸部31Cとが当接している。これにより、インナーハウジング20がインナー収容部31内に保持される。
【0029】
(突出部受け部33)
図13に示すように、カバー保持壁32は、複数のインナー収容部31の左右両側に配されている。カバー保持壁32は複数のインナー収容部31と連なって設けられ、複数のインナー収容部31よりも上方に延びる部分を有している。カバー保持壁32の上端部寄りの位置には、複数の突出部受け部33が形成されている。図4に示すように、突出部受け部33は、カバー保持壁32から左右方向(第2方向の一例)に凹んでいる。詳細には、突出部受け部33は、カバー保持壁32から左右方向におけるアウターハウジング30の外方に凹んでいる。突出部受け部33は、前後方向(第3方向の一例)に延びる溝状をなしている。突出部受け部33は、第1側面33Aと、第1側面33Aより下方に配される第2側面33Bと、第1側面33Aと第2側面33Bとを接続する底面33Cと、を備える。
【0030】
図8及び図9に示すように、第2側面33Bは、第1側面33Aと上下方向に重畳しない部分を含んでいる。複数の突出部受け部33は、前後方向に間隔を空けて配されている。突出部受け部33の後方には、突出部受け部33の内部空間に連通する連通空間34が形成されている。連通空間34は上方に開口している。
【0031】
図13に示すように、アウターハウジング30は、カバー保持壁32における突出部受け部33と反対側の外面から凹む進入凹部35及びカバーロック受け部36を備える。進入凹部35及びカバーロック受け部36は、アウターハウジング30の前端部寄りの位置に配されている。カバーロック受け部36は進入凹部35よりも前方に配されている。
【0032】
(電線カバー40)
電線カバー40は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。図1に示すように、電線カバー40は、アウターハウジング30の上端部に取り付けられている。図6に示すように、電線カバー40は、電線導出面21Bを上方から覆い、電線導出面21Bから導出される電線14を保護している。電線14は、電線カバー40とアウターハウジング30とにより構成される開口部15からコネクタ10の外部へと導出される。開口部15は前方に開口している。
【0033】
図15に示すように、電線カバー40は、主壁41と、主壁41から延びる2つの側壁42(第1壁部の一例)と、を備える。主壁41は、全体として浅いU字溝状をなしている。主壁41は、側面視において、上方に膨出しつつ緩やかに湾曲した形状を有している。2つの側壁42のそれぞれは、主壁41の2つの側縁のそれぞれから延び、互いに対向して配されている。図6に示すように、主壁41の後端と側壁42の後端とは一致している。主壁41の前端は側壁42の前端よりも後方かつ側壁42の前端に近い位置に配されている。
【0034】
(突出部43)
図15に示すように、電線カバー40は、側壁42から左右方向に突出する突出部43を備える。詳細には、突出部43は、左右方向における電線カバー40の外方(左右方向における主壁41と反対側)に突出している。突出部43は側壁42の下端部から延びている。突出部43は前後方向に延びている。図4に示すように、突出部43は突出部受け部33の内部に配され、第1側面33A、第2側面33B、及び底面33Cと接触している。これにより、電線カバー40がアウターハウジング30に対して、上下方向及び左右方向に位置決めされている。
【0035】
図15に示すように、電線カバー40は、側壁42から延出されるロック保護壁44と、ロック保護壁44と側壁42との間に形成されるカバーロック片45と、を備える。ロック保護壁44は、左右方向における電線カバー40の外方に延び且つ下方に延びている。カバーロック片45は、左右方向に撓み変形可能とされている。カバーロック片45は前後方向に延びている。カバーロック片45の後端は、ロック保護壁44に接続される基端とされている。カバーロック片45の前端部には、カバーロック片45から電線カバー40の内方に突出するカバーロック突起45Aが形成されている。図5に示すように、カバーロック突起45Aは、カバーロック受け部36と係止するようになっている。これにより、電線カバー40がアウターハウジング30に対して前後方向に位置決めされている。
【0036】
(当接部46)
図15に示すように、電線カバー40は、側壁42の下端部に当接部46を備える。図4に示すように、当接部46は、上方からフランジ部22の上面22A(当接面の一例)に当接する。よって、インナーハウジング20がアウターハウジング30に対して正規位置よりも上方に配された半挿入状態にある場合、電線カバー40をアウターハウジング30の上端部に取り付けると、当接部46がフランジ部22の上面22Aに当接する。これにより、インナーハウジング20がアウターハウジング30に対して下方へ押し出され、インナーハウジング20が正規位置へと挿入される。したがって、コネクタ10において、インナーハウジング20がアウターハウジング30に対して半挿入状態に配されることを抑制することができる。
【0037】
側壁42の下端部における電線カバー40の内方に配される面は、本体部21の外周面21C(対向面の一例)と左右方向に対向する。これにより、電線カバー40をアウターハウジング30に組み付ける際、電線カバー40を左右方向に位置決めすることができる。
【0038】
(第1当接部46A、第2当接部46B)
図7及び図11に示すように、当接部46は、第1当接部46Aと、第1当接部46Aから下方(第1方向の他方側の一例)に突出する第2当接部46Bと、を備える。第2当接部46Bの第1当接部46Aからの突出寸法は、電線カバー40とインナーハウジング20との間に形成されうる上下方向の隙間の大きさを考慮して設定される。すなわち、この隙間が第2当接部46Bによって埋められるように、第2当接部46Bが形成される。第2当接部46Bが設けられることにより、アウターハウジング30に対するインナーハウジング20のガタつきを抑制することができる。
【0039】
(傾斜部46B1)
本実施形態の第2当接部46Bは前後方向に延びており、第2当接部46Bの前端部(第3方向の一方側の端部の一例)には傾斜部46B1が形成されている。傾斜部46B1は、後方(第3方向の他方側の一例)に向かうほど、第1当接部46Aからの突出寸法が大きくなっている。
【0040】
(コネクタ10の組み付け)
以下、コネクタ10の組み付け方法の一例について、説明する。まず、電線14が接続された端子13をインナーハウジング20の端子収容部21Aに収容する。
【0041】
インナーハウジング20を上方からアウターハウジング30のインナー収容部31内に挿入する。インナーハウジング20がアウターハウジング30内の正規位置に挿入されると、ロック受け部23とロック突起31B1とが係止し、フランジ部22の下面22Bと係止凸部31Cとが当接する。
【0042】
アウターハウジング30にレバー11及びギヤ12を組み付ける(図14参照)。
【0043】
最後に、電線カバー40をアウターハウジング30の上端部に取り付ける工程が行われる。まず、突出部43が連通空間34の上方に配された状態で、電線カバー40をアウターハウジング30に対して下方に移動させることで、電線カバー40をアウターハウジング30に対して第1位置に配置する(図9参照)。電線カバー40が第1位置にあるとき、突出部43は連通空間34に配され、突出部受け部33の第2側面33Bに当接した状態となる。図10に示すように、カバーロック突起45Aは、進入凹部35内に配される。また、図11に示すように、第1当接部46Aはフランジ部22の上面22Aと上下方向に対向もしくは当接し、第2当接部46Bはロック受け部23の内部に配される。
【0044】
仮にインナーハウジング20がアウターハウジング30に対して半挿入状態にあった場合、電線カバー40を第1位置に移動させる過程で、フランジ部22の上面22Aに第1当接部46Aが当接する。これにより、インナーハウジング20の半挿入を検知することができる。また、フランジ部22の上面22Aに第1当接部46Aが当接した状態で、電線カバー40を第1位置まで移動させることにより、電線カバー40によってインナーハウジング20がアウターハウジング30における正規位置まで押し込まれる。
【0045】
次に、電線カバー40を第1位置から前方にスライドさせる。これにより、突出部43は突出部受け部33の内部に進入し、第1側面33A、第2側面33B、及び底面33Cに摺接する(図4及び図8参照)。突出部43と突出部受け部33との摺接により、電線カバー40を前方にスライドさせやすくなる。
【0046】
電線カバー40が前方に移動すると、カバーロック突起45Aが進入凹部35から外れ、カバー保持壁32に係合する。これにより、カバーロック片45は電線カバー40の外方へと撓み変形する。さらに電線カバー40が前方に移動し、アウターハウジング30に対して第2位置に配されると、カバーロック突起45Aはカバーロック受け部36内に配される(図5参照)。この状態では、カバーロック片45は自然状態に復帰しており、カバーロック突起45Aとカバーロック受け部36とが係止している。以上により、電線カバー40のアウターハウジング30への取り付けが完了する。
【0047】
電線カバー40が第1位置から前方に移動する際、第2当接部46Bはロック受け部23の外側に移動し、フランジ部22の上面22Aに摺接する。第2当接部46Bの前端部には傾斜部46B1が設けられているから、電線カバー40を第1位置から前方に移動させる際、第2当接部46Bがロック受け部23とフランジ部22の上面22Aとの間の段差部分に引っ掛かることが抑制される。よって、電線カバー40を第1位置から第2位置へとスムーズに移動させることができる。電線カバー40が第2位置に配された状態では、第2当接部46Bがフランジ部22の上面22Aに当接する(図7参照)。これにより、インナーハウジング20と電線カバー40との上下方向の隙間を埋め、インナーハウジング20のガタつきを抑制することができる。
【0048】
(実施形態の作用効果)
(1-1)実施形態にかかるコネクタ10は、アウターハウジング30と、アウターハウジング30内に第1方向の一方側(上方)から挿入される少なくとも1つのインナーハウジング20と、インナーハウジング20から導出される電線14を収容する電線カバー40と、を備え、電線カバー40は、アウターハウジング30における第1方向の一方側に取り付けられ、電線カバー40は、インナーハウジング20に第1方向の一方側から当接する当接部46を備える。
【0049】
このような構成によると、インナーハウジング20がアウターハウジング30に対して半挿入状態にある場合、電線カバー40がアウターハウジング30に取り付けられる際、当接部46によりインナーハウジング20がアウターハウジング30内に押し込まれる。したがって、アウターハウジング30に対するインナーハウジング20の半挿入を抑制することができる。
【0050】
(1-2)実施形態では、電線カバー40は、第1壁部(側壁42)と、第1壁部から第1方向に直交する第2方向(左右方向)に突出する突出部43と、を備え、アウターハウジング30は、第1壁部と第2方向に対向する部分を有する第2壁部(カバー保持壁32)と、第2壁部から第2方向に凹む突出部受け部33と、を備え、突出部受け部33は、第1方向及び第2方向に直交する第3方向(前後方向)に延びて突出部43を受け入れる。
【0051】
このような構成によると、突出部43と突出部受け部33とを摺接させることにより、電線カバー40をアウターハウジング30に取り付けることができる。
【0052】
(1-3)実施形態では、当接部46は、第1当接部46Aと、第1当接部46Aから第1方向の他方側(下方)に突出する第2当接部46Bと、を備える。
【0053】
このような構成によると、電線カバー40とインナーハウジング20との間の隙間を減らし、インナーハウジング20のガタつきを抑制することができる。
【0054】
(1-4)実施形態では、第2当接部46Bは、第3方向に延び、第2当接部46Bは、第3方向の一方側の端部(前端部)に傾斜部46B1を有し、傾斜部46B1は、第3方向の他方側(後方)に向かうほど、第1当接部46Aからの突出寸法が大きくなっている。
【0055】
このような構成によると、電線カバー40を第3方向の一方側にスライドさせることで、電線カバー40とインナーハウジング20との間の隙間をスムーズに埋めることができる。
【0056】
(1-5)実施形態では、インナーハウジング20は、当接部46に当接する当接面(フランジ部22の上面22A)と、電線カバー40と第1方向に直交する方向(左右方向)に対向して配される対向面(本体部21の外周面21C)と、を有し、当接面と対向面とは、連続して配されている。
【0057】
このような構成によると、対向面により、電線カバー40を第1方向と直交する方向に位置決めすることができる。
【0058】
(1-6)実施形態にかかるコネクタ10は、複数のインナーハウジング20を備える。
【0059】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0060】
・上記実施形態では、コネクタ10はレバー式コネクタであったが、コネクタはレバー式コネクタでなくてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、電線カバー40は突出部43を備え、アウターハウジング30は突出部43を受け入れる突出部受け部33を備えていたが、突出部はアウターハウジングに設けられ、突出部受け部は電線カバーに設けられてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、電線カバー40をアウターハウジング30に取り付ける際、突出部43及び突出部受け部33が摺接する構成であったが、電線カバー及びアウターハウジングはこのような摺接構造を備えなくてもよく、互いに係止可能に構成されていればよい。
【符号の説明】
【0063】
10: コネクタ
11: レバー
12: ギヤ
13: 端子
14: 電線
15: 開口部
20: インナーハウジング
21: 本体部
21A: 端子収容部
21B: 電線導出面
21C: 外周面(対向面)
22: フランジ部
22A: 上面(当接面)
22B: 下面
23: ロック受け部
30: アウターハウジング
31: インナー収容部
31A: 周壁
31B: ロック片
31B1: ロック突起
31C: 係止凸部
32: カバー保持壁(第2壁部)
33: 突出部受け部
33A: 第1側面
33B: 第2側面
33C: 底面
34: 連通空間
35: 進入凹部
36: カバーロック受け部
40: 電線カバー
41: 主壁
42: 側壁(第1壁部)
43: 突出部
44: ロック保護壁
45: カバーロック片
45A: カバーロック突起
46: 当接部
46A: 第1当接部
46B: 第2当接部
46B1: 傾斜部
図1
図2
図3
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図5
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