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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011507
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】薬剤投入ケースおよび洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
D06F39/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113666
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 遼
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA04
3B166AA05
3B166AD03
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA22
3B166BA35
3B166BA73
3B166CA04
3B166CA11
3B166DC47
3B166FA01
3B166FA06
3B166FA12
3B166FA14
3B166FB01
3B166FB09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬剤投入ケースに投入される薬剤による汚れの発生を防止する。
【解決手段】洗濯機は薬剤投入ケースを5備える。薬剤投入ケース5は、薬剤が供給される供給部と、供給部に水を供給する供給口54とを有する。供給口54から供給された水は、供給部の内面に沿って周方向に流れるように構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤が供給される供給部と、前記供給部に水を供給する供給口とを有する薬剤投入ケースであって、
前記供給口から供給された水が前記供給部の内面に沿って周方向に流れるように構成された薬剤投入ケース。
【請求項2】
前記供給部は、底面と、前記底面に接続された周面とを有し、
前記周面は、
高さ方向において前記供給口が形成された領域に位置する第1周面と、
高さ方向において前記第1周面よりも下方に位置する第2周面と、
前記第1周面と前記第2周面とを接続しており、前記第1周面よりも水平方向とのなす角の大きさが小さい接続面と、
を含む、請求項1に記載の薬剤投入ケース。
【請求項3】
平面視において、前記接続面は、
前記供給口の中心の幅方向の一方側から周方向に沿って延びる第1接続面と、
前記供給口の中心の幅方向の他方側から周方向に沿って延び、前記第1接続面とは周方向に沿った長さが異なる第2接続面と、
を含む、請求項2に記載の薬剤投入ケース。
【請求項4】
前記第2接続面は、前記第1接続面よりも周方向に沿った長さが短く、前記第1接続面よりも水平方向に対する平均傾斜角が大きい、請求項3に記載の薬剤投入ケース。
【請求項5】
前記第1接続面の前記供給口側端部の幅が、前記第2接続面の前記供給口側端部の幅よりも広い、請求項3または4に記載の薬剤投入ケース。
【請求項6】
前記接続面は、前記第1接続面の前記供給口側とは反対側の端部と、前記第2接続面の前記供給口とは反対側の端部とが高さ方向に重ならないように設けられている、請求項3に記載の薬剤投入ケース。
【請求項7】
前記第1接続面の前記供給口とは反対側の端部と、前記第2接続面の前記供給口とは反対側の端部とは、高さ方向において異なる位置に位置している、請求項3または6に記載の薬剤投入ケース。
【請求項8】
前記第1接続面の前記供給口とは反対側の端部が、前記第2接続面の前記供給口とは反対側の端部よりも上方に位置している、請求項7に記載の薬剤投入ケース。
【請求項9】
平面視において、前記第1接続面の曲率半径は、前記第2接続面の曲率半径よりも小さい、請求項3に記載の薬剤投入ケース。
【請求項10】
前記底面に第1貫通孔が形成され、前記第2周面および前記底面を構成する上壁と、
前記上壁の外面から下方に向かって延び、前記第1貫通孔から離間して前記第1貫通孔の少なくとも一部を囲う下壁とを有し、
前記上壁には、前記下壁の前記第1貫通孔側の面に隣接する領域に位置する少なくとも一つの第2貫通孔が形成されている、請求項2に記載の薬剤投入ケース。
【請求項11】
平面視において、前記第2貫通孔が前記第1貫通孔の端縁に沿って複数形成されている、請求項10に記載の薬剤投入ケース。
【請求項12】
平面視において、前記下壁は、前記第1貫通孔の一部分の外側に設けられ、前記周面より外側には位置しないように設けられ、
複数の前記第2貫通孔は、前記第1貫通孔の周方向において前記第2貫通孔が設けられた領域の占める割合が、前記下壁が設けられた領域に位置する領域においてよりも前記下壁が設けられていない領域において低くなるように設けられている、請求項11に記載の薬剤投入ケース。
【請求項13】
前記上壁は前記下壁が接続部で接続されており、前記接続部は、前記接続部よりも上方に位置する前記上壁の上側部分よりも、高さ方向に対する傾斜角が大きい、請求項10または11に記載の薬剤投入ケース。
【請求項14】
請求項1に記載の薬剤投入ケースを備える、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤投入ケース、および洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、洗剤が投入される洗剤ケースを備える洗濯機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-43885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗濯機においては、薬剤投入ケースに投入された薬剤による汚れの発生を防止したいという要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の薬剤投入ケースは、薬剤が供給される供給部と、供給部に水を供給する供給口とを有する。薬剤投入ケースは、供給口から供給された水が供給部の内面に沿って周方向に流れるように構成されている。また、本開示の洗濯機は、このような薬剤投入ケースを備えている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、薬剤投入ケースに投入された薬剤による汚れの発生を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】洗濯機を示す斜視図である。
図2】洗濯機に備えられる収容部および薬剤投入ケースを示す斜視図である。
図3】収容部および薬剤投入ケースの分解斜視図である。
図4】薬剤投入ケースを示す平面図である。
図5】規制部を取り外した薬剤投入ケースの平面図である。
図6図4におけるA-A断面図である。
図7図4におけるB-B断面図である。
図8図4におけるC-C断面図である。
図9図4におけるD-D断面図である。
図10】薬剤投入ケースの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、洗濯機1を示す斜視図である。以下の説明においては、前側、後側、幅方向(左右方向)、奥行き方向(前後方向)、上下方向等は、洗濯機1が設置された状態における方向等を意味する。
【0009】
なお、本開示において、「洗濯機」とは、被洗濯物に対して洗濯などの各種処理を行う機器全般を意味する。被洗濯物の処理としては、例えば、洗いや乾燥、脱臭、除菌等が挙げられる。被洗濯物は、特に限定されない。被洗濯物としては、例えば、布製品が挙げられる。被洗濯物の具体例としては、例えば、衣服、帽子、手袋などの衣類、靴、カバン、ハンカチ、タオル等の持ち物、カーテン、毛布、タオルケット、ふとんカバー等の寝具、カーペット、ぬいぐるみ等が挙げられる。
【0010】
洗濯機1は、洗濯機本体10を備えている。洗濯機本体10は、洗濯機1の構成部品を収容する内部空間が形成された筐体を有する。筐体の内部空間には、槽11が配置されている。本実施形態においては、洗濯機1が、槽11の中心軸が鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って延びるように槽が配置された、いわゆるドラム型洗濯機である例について説明する。ただし、本開示の洗濯機1としてはドラム型洗濯機に限定されるものではなく、例えば、洗濯機が設置された状態において、槽の中心軸が水平方向または水平方向に対して傾斜した方向に沿って配置されたものであってもよい。
【0011】
洗濯機本体10の前面には、衣類等の洗濯物を出し入れするための投入口が設けられている。洗濯機本体10の前面には、投入口を開閉可能な扉12が回転可能に取り付けられている。
【0012】
洗濯機本体10の上面には、給水部13、および薬剤投入部2等が設けられている。給水部13は、水道等の給水源が接続され、洗濯機本体10の内部に設けられた図示しない給水弁が接続されている。薬剤投入部2には、槽11に供給される薬剤が投入される。薬剤は、洗濯機1で使用される洗剤類をいい、液体洗剤、粉末洗剤、および柔軟剤などの種々の洗濯用洗剤を含む。薬剤投入部2は、上面に開閉可能な蓋3を備えている。蓋3を開放すると、後述する収容部4および薬剤投入ケース5が露出する。
【0013】
図2は、薬剤投入部2に備えられる収容部4および薬剤投入ケース5を示す斜視図である。図3は、収容部4および薬剤投入ケース5の分解斜視図である。
【0014】
洗濯機本体10は、薬剤投入部2として、洗濯機本体10の内側に収容部4および薬剤投入ケース5を備えている。収容部4内には、薬剤投入ケース5を収容する内部空間が形成されている。本実施形態では、図3に示すように、収容部4は、上方に開口する凹部である。
【0015】
収容部4は、平面視において、洗濯機本体10の前後方向に長い略矩形状であり、多角形状とされている。多角形には、角部が面取り形状やラウンド形状である多角形が含まれるものとする。また、多角形には、少なくとも一つの辺が曲線により構成された多角形も含まれるものとする。なお、矩形には、長方形のみならず、正方形が含まれるものとする。
【0016】
収容部4は、底部に傾斜面を有して水流れ勾配が設けられている。収容部4内の底部には、水下側に排水口45が開口されている。収容部4の側壁40には、給水管を接続するための開口である第1供給口41および第2供給口42が設けられている。第1供給口41および第2供給口42は、ともに円形状に設けられ、互いに間隔をあけて形成されている。
【0017】
収容部4の上縁には外方へ突出するフランジ43が設けられている。フランジ43は収容部4を洗濯機本体10に固定するために用いられ、複数のビス孔が開口されている。フランジ43の内周には、フランジ43よりも下方に、水平方向に延びる段部44が設けられている。
【0018】
図3に示すように、薬剤投入ケース5は、収容部4に収容可能に形成されている。薬剤投入ケース5の上縁には、外方へ突出するフランジ55が設けられている。フランジ55は、外方に延出する鍔状に形成されている。フランジ55は、収容部4の段部44の上方に配置される。フランジ55は鍔状であるには限られず、薬剤投入ケース5の外方に突出した形状であればどのように形成されてもよい。
【0019】
薬剤投入ケース5は、フランジ55に接続された壁部50を有する。薬剤投入ケース5は、薬剤が供給される供給部6を備えている。薬剤投入ケース5が収容部4の内側に収容されると、壁部50は、薬剤投入ケース5の供給部6と、収容部4の内面との間に位置する。
【0020】
壁部50には、第3供給口53および第4供給口54がそれぞれ設けられている。第3供給口53および第4供給口54は、壁部50を厚み方向に貫通している。第3供給口53の平面視形状は、第1供給口41と同径の円形状である。第4供給口54の平面視形状は、第2供給口42と同径の円形状である。本実施形態では、第3供給口53よりも第4供給口54の方が大径の開口とされている。
【0021】
第3供給口53と第4供給口54は、収容部4の第1供給口41と第2供給口42とに、それぞれ対応する位置に設けられている。収容部4に薬剤投入ケース5が収容されると、第1供給口41と第3供給口53とが合致し、第2供給口42と第4供給口54とが合致し、それぞれ接続された給水管からの水が流通可能とされる。
【0022】
薬剤投入ケース5の壁部50の一部には、着脱可能な規制部57が備えられている。規制部57は、薬剤投入ケース5の上縁から、第3供給口53および第4供給口54が設けられた壁部50の内側にかけて配置される。
【0023】
規制部57は、第3供給口53に対向する第1当接板571と、第4供給口54に対向する第2当接板572を備えている。第1当接板571および第2当接板572は、供給部6の内側に膨出するように形成されるとともに、斜め下方に延びる板状部とされている。薬剤投入ケース5の壁部50に規制部57が取り付けられることで、第3供給口53および第4供給口54は規制部57に覆い隠される。
【0024】
薬剤投入ケース5に規制部57が取り付けられている状態で、第1当接板571と壁部50との間には隙間が形成され、下方には開放されている。また、第2当接板572と壁部50との間には隙間が形成され、下方に開放されている。第2当接板572は、第1当接板571側とは反対側の側方に切欠573が設けられている。規制部57に切欠573が設けられていることで、第2当接板572と壁部50との間は、第4供給口54の側方にも開放されている。第2当接板572の側方は壁部50に当接せず、離間している。
【0025】
図2に示すように、薬剤投入ケース5は、供給部6として、第1供給部601と第2供給部602とを備えている。第1供給部601と第2供給部602とは、上下方向に延びる内壁56で区画され、互いに離間している。第1供給部601および第2供給部602は、どちらも、上方に開口し、下方には凹状に窪んだ形状に形成されている。第1供給部601および第2供給部602は、それぞれ例えば、円筒状、長円筒状、または楕円筒状であってもよい。
【0026】
第1供給部601の底面611には、第1供給部601内の水を収容部4側へ排出するための排出部612が設けられている。排出部612は適宜のカバーで覆われて設けられもよい。第2供給部602の底面64には、第1貫通孔65が開口されている。
【0027】
規制部57の第1当接板571は第1供給部601に対応して設けられ、第2当接板572は第2供給部602に対応して設けられている。規制部57によって、第3供給口53から流入した水は、規制部57の第1当接板571の内面に当接して、下方に流れを変え、第1供給部601内に流入するよう規制される。また、第4供給口54から流入した水は、規制部57の第2当接板572の内面に当接して下方へ、また切欠573を介して第4供給口54の側方へも流れ、第2供給部602内に流入するように規制される。
【0028】
第1供給部601には、薬剤として例えば柔軟剤が投入される。第1供給口41および第3供給口53を介して供給された水と薬剤は第1供給部601で混合され、排出部612から排出される。第2供給部602には、薬剤として例えば液体洗剤または粉末洗剤が投入される。第2供給口42および第4供給口54を介して供給された水と薬剤とは第2供給部602で混合され、第1貫通孔65から排出される。混合水は、第1供給部601または第2供給部602から収容部4に排出されて、収容部4の排水口45を通じて槽11に供給される。
【0029】
図4は、薬剤投入ケース5を示す平面図である。図4を参照して、第2供給部602における水の流れについて概説する。第2供給部602には、第4供給口54を通じて給水部13からの水が供給される。前述のとおり、第4供給口54から流入した水は、第2当接板572の内面に当接して下方へ流れるとともに、切欠573を通じて第4供給口54の側方からも第2供給部602へ流れ込む。供給された水は、第2供給部602の内周面に沿って周方向に流れるように構成されている。詳細については後述する。
【0030】
図5は、規制部57を取り外した薬剤投入ケース5を示す平面図である。図6図9は、図4に示す薬剤投入ケース5の断面図であり、図6はA-A断面図、図7はB-B断面図、図8はC-C断面図、図9はD-D断面図である。なお、図4図5および後述する図10においては、内外に貫通している開口(貫通孔)には薄墨色を付して示している。
【0031】
図5に示すように、薬剤投入ケース5の壁部50には、第1供給部601または第2供給部602と、薬剤投入ケース5の外側とに接続する開口67が形成されている。本実施形態に係る薬剤投入ケース5では、壁部50に複数の開口67が設けられている。第1供給部601には、第3供給口53より下方の領域に複数の開口67が設けられている。また、第3供給口53に対向する面にも1つの開口67が設けられている。第2供給部602には、第4供給口54より下方の領域に1つの開口67が設けられている。薬剤投入ケース5に供給された水は、これらの複数の開口67を通じて薬剤投入ケース5の外側にも流れるように構成されている。
【0032】
薬剤投入ケース5に設けられる第2供給部602の構成について、より詳細に説明する。図6に示すように、薬剤投入ケース5は、第2供給部602を構成している周面60および底面64を有する。底面64には、第2供給部602と、薬剤投入ケース5の外側とを接続する第1貫通孔65が形成されている。
【0033】
周面60は、高さ方向Xにおいて、第4供給口54(以下、単に供給口54という。)が形成された領域に位置する第1周面61と、第1周面61よりも下方に位置する第2周面62とを含む。さらに、第2供給部602の周面60は、第1周面61と第2周面62とを接続する接続面(631、632)有している。
【0034】
図5に示すように、平面視において、周面60を構成する接続面の一方である第1接続面631は、供給口54の中心の幅方向(水平方向)の一方側から周方向に沿って延びている。第1接続面631は、高さ方向Xに直交する水平方向とのなす角が、第1周面61よりも小さい角となるように形成されている。
【0035】
周面60を構成する接続面の他方である第2接続面632は、供給口54の中心の幅方向の他方側から周方向に沿って延びている。第2接続面632も、高さ方向Xに直交する水平方向とのなす角が、第1周面61よりも小さい角となるように形成されている。
【0036】
第2接続面632は、周方向に沿った長さが第1接続面631とは異なっている。本実施形態に係る薬剤投入ケース5においては、第2接続面632は、周方向に沿って、第1接続面631よりも短く形成されている。第1接続面631は、周方向に沿って、第2接続面632よりも長く形成されている。
【0037】
平面視において、第1接続面631は、供給口54側の端部を始端とし、供給口54側とは反対側の端部を終端として設けられている。第1接続面631は、供給口54の下方に始端が設けられ、周面60に沿って円弧状に延び、内壁56の一端部の下方近傍に終端の位置が設けられている。第1接続面631は、第2供給部602内で供給口54からは最も遠く、供給口54とは対角をなす位置まで延設されている。第1接続面631の幅は、供給口54側で最も広く、徐々に狭くなるように形成されている。
【0038】
平面視において、第2接続面632は、供給口54側の端部を始端とし、供給口54側とは反対側の端部を終端として設けられている。図6に示すように、第2接続面632の始端は、第1接続面631の始端からは離間して設けられている。また、第2接続面632の始端は、規制部57の第2当接板572の下方に位置している。
【0039】
図5に示すように、第2接続面632は、周面60に沿って延び、内壁56の一端部の下方近傍を終端として形成されている。第2接続面632も、供給口54から最も遠くなる、供給口54とは対角をなす位置まで延設されている。第2接続面632は、第1接続面631よりも周方向に沿う長さが短いものとされている。第2接続面632の幅は、供給口54側で最も広く、徐々に狭くなるように形成されている。
【0040】
平面視において、第1接続面631における供給口54側の端部の幅(始端側の幅)は、第2接続面632の供給口54側の端部の幅(始端側の幅)よりも広く設けられている。第1接続面631および第2接続面632の周方向に湾曲した形状は、供給部6の高さ方向Xに沿う軸上の点を中心とする仮想円の円周の一部を含む略円弧状の平面の連続として捉えることができる。第1接続面631は、構成する仮想円の平均の曲率半径が、第2接続面632を構成する仮想円の平均の曲率半径よりも小さく形成されている。第1接続面631は第2接続面632よりも平面視での曲がり度合いが大きく設けられている。
【0041】
図6に示すように、第1接続面631の始端と、第2接続面632の始端とは、高さ方向Xにも離間しており、異なる高さ位置に設けられている。また、図7に示すように、第1接続面631の終端と、第2接続面632の終端とは、高さ方向Xにおいて異なる位置に設けられ、離間している。第1接続面631の終端と、第2接続面632の終端とは、高さ方向Xにおいて重ならないように設けられている。本実施形態では、第1接続面631の終端は、第2接続面632の終端よりも上方に設けられている。
【0042】
第1接続面631は、第2接続面632よりも周方向に沿った勾配が緩勾配の傾斜面とされている。第1接続面631は、第2接続面632よりも、水平方向に対する平均傾斜角が小さく形成されている。第2接続面632は、第1接続面631よりも周方向に沿った勾配が急勾配の傾斜面とされている。
【0043】
このような第1接続面631および第2接続面632を有する第2供給部602は、供給口54から流入した水が、第2周面62に沿って下方に流れるだけでなく、第1接続面631および第2接続面632に沿って周方向にも流れるように構成されている。この場合、水は、第2供給部602内の周方向の一方向に流れるだけでなく、周方向の複数方向に流れることが可能となる。
【0044】
図6に示すように、供給口54に対向して設けられる規制部57の第2当接板572は、内面に一条のリブ574を備えている。リブ574は、第2当接板572から供給口54の方向に突出している。薬剤投入ケース5に規制部57が取り付けられた状態で、リブ574は、供給口54に対向して配置され、供給口54の中心の幅方向の他方側から、第1接続面631の方向に下り勾配で傾斜して設けられている。
【0045】
供給口54から流入した水は、第2当接板572の内面に当接して下方へ流れを変え、第1接続面631および第2接続面632に落下する。第1接続面631と第2接続面632に沿って水が周方向に流れていく。供給口54からの水は、リブ574にも当接して、供給口54から第1接続面631の方へも流れ込む。第2当接板572の下方からだけでなく、第2当接板572の側方に設けられた切欠573と第1周面61との隙間からも、水が流れ込むようになる。供給口54に近接して設けられた第1接続面631側には、第2接続面632側よりも多くの水が流れ込む。第1接続面631は始端側の幅が広く設けられているので、より多くの水を流すことができる。
【0046】
図4を参照して、第1接続面631を流れる水は、第1接続面631上を周方向に沿って円弧状に流れていく。より多くの水が流れる第1接続面631で、円弧状に流れる水には遠心力が作用する。図8に示すように、遠心力を受けた水は、緩勾配である第1接続面631から第2周面62へは流れ落ちにくく、第1接続面631上を周方向に旋回しながら流れていく。図9に示すように、水は、第1接続面631の終端まで流れて、下方へと流れ落ちる。
【0047】
第2接続面632を流れる水は、図7に示すように、第1接続面631よりも急勾配で短い距離を周方向に沿って流れる。水は、第2接続面632の終端まで流れて、下方に流れ落ちる。
【0048】
第1接続面631を流れる水も、第2接続面632を流れる水も、それぞれの終端まで流れるように案内される。図9に示すように、第1接続面631を流れた水と、第2接続面632を流れた水は、供給口54から離れた、供給口54とは対角をなす位置まで到達して流れ落ちる。供給口54からの水は、供給口54と対角をなす位置まで行きわたる。
【0049】
これにより、供給口54から離れて水が流れにくい部分にまで水を流すことができる。第1接続面631の終端と第2接続面632の終端とは高さ方向Xにおいて重ならないように設けられているので、一箇所に過剰に水が流れてしまうこともない。第1接続面631および第2接続面632を流れた水は、第2供給部602の内面を洗いながら下方に流れて、第1貫通孔65から排出される。第2供給部602に薬剤または混合水が付着していても、第1接続面631および第2接続面632を流れた水で洗い流すことができる。供給口54から離れた位置では汚れが発生しやすいが、第1接続面631を流れる水も、第2接続面632を流れる水も流れ落ちる位置であるので、汚れの発生を防止し得て、清潔に保つことができる。
【0050】
なお、第1周面61と第2周面62とを接続する接続面は、例示した形態で設けられるに限られない。薬剤投入ケース5は、第1接続面631と第2接続面632との一方が設けられて、周方向の一方に水が流れる構成であってもよく、水の流れ方は渦状であってもよい。接続面は第2供給部602だけでなく、第1供給部601にも同様に設けられてもよい。
【0051】
本実施形態に係る薬剤投入ケース5は、薬剤が投入される供給部6の内面だけでなく外面の汚れの発生も防止し得るように構成されている。
【0052】
図6に示すように、第2供給部602は、底面64および第2周面62を構成する上壁71と、上壁71の外面から下方に向かって延びる下壁72とを有する。下壁72は、第1貫通孔65からは離間して設けられており、第1貫通孔65の少なくとも一部を囲うように配設されている。本実施形態では、下壁72は、第1貫通孔65の外周の半分以上にかけて取り囲み、第1供給部601側(収容部4の排水口45側)には開放されている。
【0053】
図10は、薬剤投入ケース5の底面図である。図示するように、平面視において、下壁72は、第1貫通孔65の一部分の外側に設けられ、周面60より外側には位置しないように設けられている。下壁72は、第1貫通孔65を取り囲む略U字状に配設されている。
【0054】
前述のとおり、薬剤投入ケース5は、第2供給部602の底面64に、第2供給部602と薬剤投入ケース5の外側とを接続するように開口する第1貫通孔65が形成されている。図5および図10に示すように、第2供給部602には、第1貫通孔65に加えて、第2貫通孔66も設けられている。
【0055】
第2貫通孔66は上壁71に設けられている。第2貫通孔66は、第2供給部602と薬剤投入ケース5の外側とを接続する開口とされている。第2貫通孔66は、下壁72の第1貫通孔65側の面に隣接する下壁72の内側領域に位置しており、平面視において、第1貫通孔65の端縁に沿って複数形成されている。これらの複数の第2貫通孔66は、互いに間隔をあけて、周方向に沿って配列されている。
【0056】
本実施形態では、第2貫通孔66は第2供給部602に6つ形成されている。1つの第2貫通孔66は、平面視において、細長いスリット状に設けられて、矩形状または円弧状の形状を有している。第1貫通孔65は、第2貫通孔66よりも開口面積が大きく、円形状に開口されている。
【0057】
複数の第2貫通孔66は、第1貫通孔65の端縁の周方向において、第2貫通孔66が設けられた領域の占める割合が、下壁72が設けられた領域に位置する領域においてよりも下壁72が設けられていない領域において低くなるように設けられている。図10に示す例では、複数の第2貫通孔66は、下壁72が設けられた領域に位置しており、下壁72が設けられていない領域には第2貫通孔66はない。
【0058】
第2供給部602の上壁71は、下壁72との接続部分である接続部73において、上壁71の接続部73よりも上方に位置する上側部分よりも、高さ方向Xに対する傾斜角が大きく形成されている。上壁71において、高さ方向Xに対する傾斜角は、上側部分では傾斜角が小さく、形成されている。これに対して、接続部73では、高さ方向Xに対する傾斜角は大きく、接続部73において底面64に繋がる曲面形状とされている。複数の第2貫通孔66は、接続部73の内側に沿って設けられている。
【0059】
第2供給部602では、供給口54を介して供給された水と薬剤とが混合され、第1貫通孔65から排出される。収容部4に薬剤投入ケース5が収容された状態で、下壁72は収容部4の内側に配設される。第2供給部602の外側では、第1貫通孔65の下方の領域と、収容部4の内面とが下壁72で区画されるものとなる。下壁72が設けられていることで、第1貫通孔65から排出される水が、収容部4の内面に飛散することを抑制できる。
【0060】
図8に示すように、下壁72で区画された第1貫通孔65の下方の領域には、第1貫通孔65から排水されるだけでなく、複数の第2貫通孔66からも排水される。第2貫通孔66から排出された水は、下壁72の内面721を伝って流れるとともに、第2供給部602の底面64の裏側も伝って流れていく。第2貫通孔66は、下壁72との接続部73の内側に沿って設けられており、接続部73において傾斜角が大きく形成されているので、第2貫通孔66からの水は下壁72の内面721沿って流れやすく、底面64の裏側にも行きわたる。これにより、第1貫通孔65の下方の領域で、第2供給部602の外側と下壁72の内面とを洗い流すことが可能となり、汚れの発生を防止することができる。
【0061】
なお、薬剤投入ケース5において、下壁72が設けられていない領域にも、第2貫通孔66が設けられていてもよく、例示する形態には限定されない。第2貫通孔66の大きさ、形状、数等も限定されるものではなく、第1貫通孔65に隣接する領域に位置する開口であればどのように形成されてもよい。
【0062】
洗濯機1では、薬剤投入ケース5が供給口54から供給された水が供給部6の内面に沿って周方向に流れるように構成されている。このため、薬剤が供給される供給部6の周面の広域に水流を効果的に供給することができる。よって、供給部6において薬剤等が残存しにくく、供給部6を清潔に保持し得る。
【0063】
水流が供給される領域をより広域にする観点からは、第1周面61と第2周面62とを接続しており、第1周面61よりも水平方向とのなす角の大きさが小さい接続面63(接続面63は、第1接続面631と第2接続面632を含む接続面の総称である。)が設けられていることが好ましい。この構成によれば、接続面63の上を流れる水流が接続面63によって下方に落下することを抑制し得る。よって、水流が供給される領域をより広域にし得る。このように、接続面63は、水流をガイドする機能を有する面であるため、ガイド面と呼ぶこともできる。
【0064】
接続面63は、単一の接続面で構成されていてもよいし、複数の接続面を含んでいてもよい。例えば、接続面63は、第1接続面631と、第1接続面631とは周方向に沿った長さが異なる第2接続面632とを含んでいてもよい。例えば、供給口6との位置関係などにより第1接続面631と第2接続面632とで供給される水量が異なる場合がある。第1接続面631と第2接続面632とのうち、供給される水量が少ない方の接続面の周方向に沿った長さを短くして、供給される水量が多い方の接続面の周方向に沿った長さを長くすることにより、水流をより均一に供給することができる。ただし、第1接続面631と第2接続面632との長さの比は、例えば、0.1以上0.9以下であることが好ましく、0.2以上0.8以下であることがより好ましく、0.3以上0.7以下であることがさらに好ましい。
【0065】
第1接続面631と第2接続面632とのうち、周方向に沿った長さが相対的に短い方が水平方向に対する平均傾斜角が大きいことが好ましい。周方向に沿った長さが短く、供給される水量が少なく方の傾斜面の平均傾斜角を大きくすることにより、水流の流速を高めることができる。よって、供給される水量が少ない傾斜面側においても効果的に洗浄を実施し得る。
【0066】
第1接続面631と第2接続面632とのうち、周方向に沿った長さが長い方の接続面の供給口6側の端部の幅が、周方向に沿った長さが短い方の接続面の供給口6側の端部の幅よりも広いことが好ましい。周方向に沿った長さが長い接続面において多くの水を先端側まで供給しやすくなるためである。
【0067】
第1接続面631の供給口6とは反対側の端部(先端部)と、第2接続面632の供給口6とは反対側の端部(先端部)とが高さ方向に重なっていないことが好ましい。換言すれば、周方向において第1接続面631の先端部と第2接続面632の先端部とが離間していることが好ましい。例えば、周方向において第1接続面631および第2接続面632のいずれもが設けられていない領域があることが好ましい。この場合、例えば、第1接続面631上を流れた水流と、第2接続面632上を流れた水流とが一カ所に集中してしまい、その他の部分に水流が好適に供給されなくなることを効果的に抑制することができる。その結果、周面全体により好適に水を供給し得る。
【0068】
第1接続面631の供給口6とは反対側の端部(先端部)と、第2接続面632の供給口6とは反対側の端部(先端部)とが高さ方向において異なる位置に位置していることが好ましい。この構成によれば、例えば、第1接続面631上を流れた水流と第2接続面632上を流れた水流とが正面からぶつかり水流の流速が低下する領域が発生することが抑制し得る。広い領域に対して高い流速の水流を供給することが可能となる。
【0069】
第1接続面631と第2接続面632とのうち周方向に沿った寸法が長い接続面の先端部が短い接続面の先端部よりも上方に位置していることが好ましい。周方向に沿った寸法が短く供給される水量が少ない第2接続面632上に、供給される水量が多い第1接続面631からも水が供給され得るため、供給される水が少なすぎる領域の発生を効果的に抑制し得る。
【0070】
第1接続面631と第2接続面632とのうち周方向に沿った寸法が長い接続面の曲率半径が、短い接続面の曲率半径よりも小さい(曲率が大きい)ことが好ましい。この場合、周方向に沿った長さが長い接続面上を流れる水流に大きな遠心力が働きやすくなるため、接続面の途中から周面に流れ落ちてしまう水の量を少なくでき、先端部まで多くの水を案内して供給し得る。
【0071】
上壁71には、下壁72の第1貫通孔65側の面に隣接する領域に位置する第2貫通孔66が設けられていることが好ましい。この構成によれば、第2貫通孔66から流れ出た水により、下壁72の壁面を好適に洗浄できるため、下壁72の壁面を清潔に保ち得る。下壁72の壁面をより清潔に保つ観点からは、複数の第2貫通孔66が第1貫通孔65の端縁に沿って相互に間隔をおいて複数形成されていることが好ましい。この構成によれば、下壁72の壁面のより広い範囲を清潔に保ち得る。
【0072】
下壁72は第1貫通孔65の全体の外側に設けられていてもよいが、上記と同様の観点から、一部分の外側に設けられていてもよい。その場合、複数の第2貫通孔66は、第1貫通孔65の周方向において第2貫通孔66が設けられた領域の占める割合が、下壁72が設けられた領域に位置する領域においてよりも下壁72が設けられていない領域において低くなるように設けられていることが好ましい。
【0073】
上壁71は、下壁72が接続部で接続されており、接続部は、接続部よりも上方に位置する上壁尾上側部分よりも、高さ方向に対する傾斜角が大きいことが好ましい。この構成によれば、第2貫通孔66を水が通過しやすくなり、第2貫通孔66よりも下流側においても高い水流を確保できるためである。
【0074】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0075】
1 洗濯機
10 洗濯機本体
4 収容部
5 薬剤投入ケース
50 壁部
54 供給口
6 供給部
60 周面
61 第1周面
62 第2周面
631 第1接続面
632 第2接続面
65 第1貫通孔
66 第2貫通孔
71 上壁
72 下壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10