(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025115092
(43)【公開日】2025-08-06
(54)【発明の名称】モータおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20250730BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009435
(22)【出願日】2024-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 匠馬
(72)【発明者】
【氏名】小槇 正朋
(72)【発明者】
【氏名】宮木 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 拓也
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC13
5H604DB01
5H604PB03
5H604QA08
5H604QB03
(57)【要約】
【課題】駆動してコイルに大電流を流した際の安定性を向上する。
【解決手段】モータは、端子を備えるステータと、前記ステータに設けられた、孔部を有するバスバーと、を備え、前記バスバーの前記孔部の側面と端子の一部分とが接続している。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を備えるステータと、
前記ステータに設けられた、孔部を有するバスバーと、
を備え、
前記バスバーの前記孔部の側面と端子の一部分とが接続している、モータ。
【請求項2】
前記バスバーの前記孔部は軸方向に開口し、
前記端子の一部分は軸方向に延在している、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記バスバーは、前記ステータに対して、前記端子を介して支持されている、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記端子を第1端子とし、前記バスバーを第1バスバーとし、
第2端子を有する前記ステータに設けられた、第2バスバーを備え、
前記第2バスバーの孔部に前記第2端子の一部分が電気接続している、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項5】
前記ステータは、コイルを備え、
前記第2バスバーは、前記コイルと電気的に接続されている、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記第2バスバーを含む複数の第2バスバーを備え、
前記複数の第2バスバーのうち、軸方向において重なる位置にある2つの第2バスバーを含み、
前記2つの第2バスバーのそれぞれは、軸方向において、低い部分と、当該低い部分より高い部分とを備え、
軸方向において、前記2つの第2バスバーのうち、一方の第2バスバーの前記低い部分と、他方の第2バスバーの高い部分とが重なる、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
軸方向において、前記第1バスバーと前記第2バスバーとの間にインシュレータが配置されている、請求項4または5に記載のモータ。
【請求項8】
請求項6に記載のモータと、当該モータを収容する筐体と、を備える、電子機器。
【請求項9】
請求項6に記載のモータと、1又は複数のギアを備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板を用いてコイルと端子とを電気的に接続するモータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のモータには、駆動してコイルに大電流を流した際の安定性の向上に関して改良の余地がある。
【0005】
一つの側面では、駆動してコイルに大電流を流した際の安定性を向上することができる、モータおよび電子機器を提供することを目的とする。
【0006】
一つの態様において、モータは、端子を備えるステータと、前記ステータに設けられた、孔部を有するバスバーと、を備え、前記バスバーの前記孔部の側面と端子の一部分とが接続している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様によれば、モータは、駆動してコイルに大電流を流した際の安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子機器が備えるモータの平面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すモータが備えるステータおよび端子の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すステータが備える複数のコイルの電気回路図である。
【
図7】
図7は、
図2に示すモータが備える複数のバスバーの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す複数のバスバーのうち第2バスバーを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図2に示すモータが備えるバスバーと端子とを示す拡大断面図である。
【
図10】
図10は、
図9に示すバスバーの第1孔部に端子を圧入した状態示す拡大断面図である。
【
図11】
図11は、
図3に示す端子によって第1バスバーが支持された状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図3に示す端子によって第2バスバーが支持された状態を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る電子機器が備えるモータの平面図である。
【
図17】
図17は、複数のバスバーのうち第2バスバーを示す斜視図である。
【
図18】
図18は、
図14に示す端子によって第1バスバーが支持された状態を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、
図14に示す端子によって第2バスバーが支持された状態を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、第3実施形態に係る電子機器が備えるモータの平面図である。
【
図24】
図24は、複数のバスバーの第2バスバーを示す斜視図である。
【
図25】
図25は、
図21に示す端子によって第2バスバーが支持された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下に、実施形態に係るモータ1および電子機器100を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る電子機器100の斜視図である。電子機器100は、例えば電動車両またはハイブリッド車両などの車両に搭載される機器である。電子機器100は、例えば、モータ1と、モータ1を収容する筐体101と、第1のギア102と、第2のギア103と、を備える。
【0011】
第1のギア102は、例えばウォームギアであり、モータ1のシャフト2と連動して回転する。第2のギア103は、例えば第1のギア102に噛み合うハスバギアであり、出力軸104と連動して回転する。かかる構成により、モータ1のシャフト2の駆動力が、電子機器100の出力軸104へ伝達される。
【0012】
次に、
図1~
図4を用いて電子機器100が備えるモータ1の構成について説明する。
図2は、
図1に示す電子機器100が備えるモータ1の平面図である。
図3は、
図2に示すモータ1の斜視図である。
図4は、
図2に示すモータ1が備えるステータ4および端子6の斜視図である。なお、
図2を除いた各図において、ロータ3の図示を省略している。また、
図4で示すステータ4において、説明の便宜のため、コア40の一部を省略してあり、複数のインシュレータ42のうち、一部のインシュレータ42を省略してあり、かつ、複数のコイル43のうち、一部のコイル43を省略してある。
【0013】
実施形態に係るモータ1および電子機器100の説明において、方向の理解を容易にするため、シャフト2が延びる方向を軸方向Aと呼び、ロータ3が回転する方向を周方向Cと呼び、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、シャフト2の軸心2oを通過し、周方向Cに対して直交する方向を径方向Rと呼ぶ。
【0014】
本実施形態に係る
図1に示すモータ1は、軸方向Aから視た場合、ロータ3を基準とすると、ロータ3の径方向Rの外側にステータ4が位置するインナーロータ型である。また、モータ1は、例えば、三相交流電源に対して電気的に接続される三相モータ(DCモータ)である。
【0015】
本実施形態に係るモータ1は、例えば電源からの電気エネルギーを、シャフト2の周方向Cへ回転する駆動力に変換する電動機である。
【0016】
モータ1は、
図2に示すように、例えばシャフト2と、ロータ3と、ステータ4と、バスバー5と、端子6と、インシュレータ7と、を備える。シャフト2は、いわゆる回転軸であって、例えば、金属部材で軸方向Aに沿って延びる円柱状に形成される。シャフト2は、軸心2oを有し、かつ、軸心2oを中心に回転可能に設けられる。シャフト2は、周方向Cに回転することで動力を外部に伝達する。
【0017】
ロータ3は、シャフト2の軸心2oを中心に回転可能に設けられる。また、本実施形態に係るモータ1は、シャフト2とロータ3とを一体として形成してある。
【0018】
ロータ3は、例えば、径方向Rにおいてステータ4の内側(シャフト2側)に配置される。つまり、このモータ1は、ステータ4の径方向Rの内側にロータ3が位置するインナーロータ型のブラシレスモータである。
【0019】
ロータ3は、磁性体としてのヨーク31と、複数のマグネット32と、を有する。ヨーク31は、例えば鉄等の磁性材料で形成される。
【0020】
マグネット32は、例えば、永久磁石によって構成される。複数のマグネット32は、例えば、周方向Cに沿って所定の間隔(例えば、等間隔)に並べられる。本実施形態に係るロータ3は、例えば、14個のマグネット32を備える。
【0021】
ステータ4は、ロータ3を周方向Cへ回転させるための力を発生させる部分である。ステータ4は、
図3、
図4に示すように、例えば、1つのコア(環状の部分)40と、複数のティース(磁極部)41と、複数のインシュレータ42と、複数のコイル43と、を備える。
【0022】
コア40は、例えば、ケイ素鋼板、電磁鋼板、軟磁性鋼板等の板状の磁性体(金属部材)を軸方向Aへ積層することによって形成され、磁性を有する。コア40は、軸方向Aから視た場合、環状に形成される。また、本実施形態に係るステータ4は、コア40とティース41とを一体に形成してある。
【0023】
ティース41のそれぞれは、径方向Rにおいて、コア40の内周面からロータ3側へ突出するように形成される。本実施形態に係るステータ4は、例えば、12個のティース41を備える。
【0024】
インシュレータ42は、例えば、絶縁性の樹脂等により形成されてティース41の表面に装着され、ティース41とコイル43との間の絶縁性を確保する。本実施形態に係るステータ4は、例えば、12個のインシュレータ42を備える。
【0025】
コイル43は、例えば、インシュレータ42を介してティース41に巻線を巻き回して形成される。巻線は、導電性の芯線(不図示)と、芯線の周囲を被覆する絶縁性の被覆部(不図示)と、を有する。本実施形態に係るステータ4は、例えば12個のコイル43を有する。コイル43のそれぞれは、端子6を介してバスバー5に対して電気的に接続される。
【0026】
次に、本実施形態に係るモータ1における複数のコイル43の電気的な接続を
図5、
図6を用いて説明する。
図5は、
図4に示すステータ4が備える複数のコイル43の電気回路図である。
図6は、
図5に示す複数のコイル43の結線図である。
【0027】
ステータ4は、モータ1のU相を構成する複数(本実施形態では4個)の第1コイル43Uと、モータ1のV相を構成する複数(本実施形態では4個)の第2コイル43Vと、モータ1のW相を構成する複数(本実施形態では4個)の第3コイル43Wと、を含む。
【0028】
モータ1のU相は、4つの第1コイル43Uを並列に接続して構成される。モータ1のV相は、4つの第2コイル43Vを並列に接続して構成される。モータ1のW相は、4つの第3コイル43Wを並列に接続して構成される。
【0029】
そして、モータ1のU相と、V相と、W相とは、例えばスター結線で電気的に接続される。また、これらのコイル43に接続される不図示の交流電源は、例えばスター結線で電気的に接続される。
【0030】
本実施形態に係るモータ1では、
図6に示すように、第1バスバー51に入る線の2本を1箇所にまとめることで、端子6の数を減少することができる。
【0031】
次に、本実施形態に係るモータ1のバスバー5を
図7、
図8、
図9、
図10を用いて説明する。
図7は、
図2に示すモータ1が備える複数のバスバー5の分解斜視図である。
図8は、
図7に示す複数のバスバー5のうち第2バスバー52を示す斜視図である。
【0032】
図7に示すバスバー5のそれぞれは、例えば、導電性を有する金属によって形成される。バスバー5は、例えば端子6を介してあるコイル43と別のコイル43とを電気的に接続する。バスバー5の断面積は、比較的大きく、モータ1の駆動時においても、発熱による変形がわずかであるため、安定して大電流を流すことができる。
【0033】
複数のバスバー5には、インシュレータ7を基準として、軸方向Aの一方側に位置する第1バスバー51と、軸方向Aの他方側に位置する第2バスバー52と、が含まれる。換言すると、軸方向Aにおいて、第1バスバー51と第2バスバー52との間にインシュレータ7が配置されている。
【0034】
第1バスバー51は、端子6を介してU相を構成する第1コイル43Uと中性点NPを電気的に接続し、かつ、端子6を介してV相を構成する第2コイル43Vと中性点NPを電気的に接続し、かつ、端子6を介してW相を構成する第3コイル43Wとの中性点NPを電気的に接続する(
図5参照)。
【0035】
第1バスバー51は、周方向Cに延在する本体51aと、本体51aから径方向Rの外側へ向けて突出する突出部51bと、を有する。
【0036】
第2バスバー52は、端子6を介して、U相、V相、およびW相を構成するコイル43のそれぞれに対して電気的に接続する。
【0037】
第2バスバー52は、互いに形状が異なる第1の形状521と第2の形状522と第3の形状523とを有する。
【0038】
第1の形状521は、周方向Cに延在する本体521aと、本体521aから径方向Rの外側へ向けて突出する突出部521bと、本体521aから軸方向Aの他方側へ向けて突出する外部接続端子521cと、を有する。また、第1の形状521の本体521aは、軸方向Aにおいて、低い部分21Lと、その低い部分21Lより高い部分21Hと、低い部分21Lと高い部分21Hとの間に段部21Sと、を備える。
【0039】
第2の形状522は、周方向Cに延在する本体522aと、本体522aから径方向Rの外側へ向けて突出する突出部522bと、本体522aから軸方向Aの他方側へ向けて突出する外部接続端子522cと、を有する。また、第2の形状522の本体522aは、軸方向Aにおいて、低い部分22Lと、その低い部分22Lより高い部分22Hと、を備える。
【0040】
第3の形状523は、周方向Cに延在する本体523aと、本体523aから径方向Rの外側へ向けて突出する突出部523bと、本体523aから軸方向Aの他方側へ向けて突出する外部接続端子523cと、を有する。また、第3の形状523の本体523aは、軸方向Aにおいて、低い部分23Lと、その低い部分23Lより高い部分23Hと、低い部分23Lと高い部分23Hとの間に段部23Sと、を備える。
【0041】
図7、
図8に示す突出部51b、521b、522b、523bのそれぞれには、軸方向Aにおいて突出部51b、521b、522b、523bの側面それぞれを貫通する孔部5Hが形成される。孔部5Hは、軸方向Aに開口し、かつ、軸方向Aから視た場合には例えば突出部51b、521b、522b、523bに周縁(内周部)を形成する。なお、以下、孔部は所定の部材の側面を貫通するとともに、所定の部材に周縁(内周部)を形成する。
【0042】
孔部5Hには、端子6が挿通される第1孔部51Hと、インシュレータ7にバスバー5のそれぞれを保持するためのピン7P(
図3参照)が挿通される第2孔部52Hとが含まれる。軸方向Aから視た場合、
図2に示すように、第2孔部52Hの大きさ(直径)は、第1孔部51Hの大きさ(大きさ)よりも大きく、異なる大きさに形成されている。
【0043】
バスバー5の軸方向Aの厚さは、比較的大きい。従って、フレキシブルプリント基板を用いる場合と比較して、バスバー5の孔部5Hの側面と端子6との接触部位の電気抵抗を小さくすることができる。また、バスバー5は、端子6に対して直接的に接触しており、他の部品を用いる必要がなくなり、部品点数を削減することができる。
【0044】
図8に示すように、第1の形状521および第2の形状522は、軸方向Aにおいて重なる位置にあり、第2の形状522および第3の形状523は、軸方向Aにおいて重なる位置にあり、第3の形状523および第1の形状521は、軸方向Aにおいて重なる位置にある。
【0045】
次に、軸方向Aにおける第1の形状521と第2の形状522と第3の形状523との重なりについて
図8を用いて説明する。
【0046】
軸方向Aにおいて、第1の形状521の高い部分21Hと、第2の形状522の低い部分22Lとが重なる。なお、第2の形状522の高い部分22Hと、第1の形状521の低い部分21Lとが重なってもよい。
【0047】
軸方向Aにおいて、第2の形状522の高い部分22Hと、第3の形状523の低い部分23Lとが重なる。なお、第3の形状523の高い部分23Hと、第2の形状522の低い部分22Lとが重なってもよい。
【0048】
軸方向Aにおいて、第3の形状523の高い部分23Hと、第1の形状521の低い部分21Lとが重なる。なお、第1の形状521の高い部分21Hと、第3の形状523の低い部分23Lとが重なってもよい。
【0049】
次に、
図9および
図10を用いて端子6について説明する。
図9は、
図2に示すモータ1が備えるバスバー5と端子6とを示す拡大断面図である。
図10は、
図9に示すバスバー5の第1孔部51Hに端子6を圧入した状態示す拡大断面図である。
【0050】
端子6は、例えば導電性の金属材料によって形成され、軸方向Aに延在するように形成され、軸方向Aの一方側がいずれかのコイル43に対して電気的に接続される一方、軸方向Aの他方側がいずれかのバスバー5に対して電気的に接続される。端子6は、いわゆるプレスフィット端子である。また、端子6と、コイル43とは、溶接することによって電気的に接続する。
【0051】
端子6は、本体部601と、本体部601の軸方向Aの他方側に形成され、バスバー5に対して電気的に接続される接続部602と、を有する。接続部602は、軸方向Aに延在している。
【0052】
接続部602は、本体部601の軸方向Aの他方側に隣接して配置される2つの突出部602aと、突出部602aの軸方向Aの他方側に隣接して配置される変形可能な部分602bと、を有する。
【0053】
一対の突出部602aは、周方向Cにおいて互いに離れるように本体部601から突出する。変形可能な部分602bの先端(端部)は、軸方向Aの一方側から他方側へ向けて、先端に向かって細る形状に形成され、周方向Cにおける変形可能な部分602bの先端の幅が徐々に狭くなる。また、変形可能な部分602bは、接続部602を径方向Rにおいて貫通する貫通孔602Hを有する。貫通孔602Hの軸方向Aの一方側の端部は、軸方向Aにおいて、接続部602の一方側の端部を超えて突出部602aの位置まで延びる。また、周方向Cにおいて、変形可能な部分602bの幅W1は、バスバー5の孔部51Hの幅W2より僅かに広い。
【0054】
次に、上述した端子6とバスバー5との電気的な接続について説明する。先ず、作業者は、バスバー5を端子6に対して軸方向Aへ移動させることによって、バスバー5の第1孔部51Hに、端子6の接続部602の先端を挿入する。次に、作業者は、バスバー5の孔部51Hに端子6の接続部602を圧入することによって、変形可能な部分602bの幅W3は、当初の幅W1より僅かに狭くなるよう変形し、第1孔部51Hの側面と端子6の接続部(一部分)602の外周面とを接触させる。このため、端子6とバスバー5とは、電気的に接続される。そして、バスバー5は、ステータ4に対して、端子6を介して支持されている。また、軸方向Aにおいて、バスバー5の第1孔部51Hに、端子6の接続部602を予め定められた所定の長さを挿入すると、端子6の一対の突出部602aにバスバー5の下面(側面)が接触する。このため、端子6が、バスバー5の上面(側面)から突出する長さは、複数の端子6において一定となると共に、ステータ4に対するバスバー5の軸方向Aにおける位置が決定される。
【0055】
次に、端子6によるバスバー5の支持について説明する。
図11は、
図3に示す端子6によって第1バスバー51が支持された状態を示す斜視図である。
図12は、
図3に示す端子6によって第2バスバー52が支持された状態を示す斜視図である。なお、説明の便宜のため、
図11において、第2バスバー52を省略してあり、
図12において、第1バスバー51を省略してある。
【0056】
端子6には、第1端子61と第2端子62とが含まれる。第1端子61は、第1バスバー51を介して中性点NPといずれかのコイル43とを電気的に接続する。第2端子62は、U相を構成する第1コイル43U、V相を構成する第2コイル43V、または、W相を構成する第3コイル43Wのいずれかと第2バスバー52とを電気的に接続される。第2端子62の軸方向Aの長さは、
図11に示すように、第1端子61の軸方向Aの長さより長い。
【0057】
第2端子62には、第1の形状621と、軸方向Aの長さが第1の形状621よりも長い第2の形状622とが含まれる。
【0058】
インシュレータ7は、例えば絶縁性を有する樹脂によって形成される。本実施形態に係るインシュレータ7は、
図2に示すように、軸方向Aから視た場合、リング状に形成される部分としての本体部71と、本体部71から軸方向Aの他方側に突出する部分としての壁部72と、を備える。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態に係るモータ1は、端子6を備えるステータ4と、ステータ4に設けられた、第1孔部51Hを有するバスバー5と、を備え、バスバー5の第1孔部51Hの側面と端子6の接続部(一部分)602とが接続している。
【0060】
また、本実施形態に係るモータ1において、バスバー5の第1孔部51Hは軸方向Aに開口し、端子6の接続部(一部分)602は軸方向Aに延在している。
【0061】
また、本実施形態に係るモータ1において、バスバー5は、ステータ4に対して、端子6を介して支持されている。
【0062】
また、本実施形態に係るモータ1において、ステータ4は、第1バスバー51と、第2バスバー52と、第1端子61と、第2端子62とを備え、第2バスバー52の孔部51Hに第2端子62の接続部(一部分)602が電気接続している。
【0063】
また、本実施形態に係るモータ1において、ステータ4は、複数のコイル43を備え、第2バスバー52は、端子6を介してコイル43と電気的に接続されている。
【0064】
また、本実施形態に係るモータ1において、第2バスバー52を含む複数の第2バスバー52を備え、複数の第2バスバー52うち、軸方向Aにおいて重なる位置にある2つの第2バスバー52を含む。そして、2つの第2バスバー52のそれぞれは、軸方向Aにおいて、低い部分21L、22Lと、当該低い部分21L、22Lより高い部分21H、22Hと、段部21S、22Sと、を備え、軸方向Aにおいて、2つの第2バスバー52のうち、一方の第2バスバー52の低い部分22Lと、他方の第2バスバー52の高い部分21Hとが重なる。
【0065】
また、本実施形態に係るモータ1の軸方向Aにおいて、第1バスバー51と第2バスバー52との間にインシュレータ7が配置されている。
【0066】
また、電子機器100は、上述したモータ1と、モータ1を収容する筐体101と、を備える。
【0067】
また、電子機器100は、上述したモータ1と、1又は複数のギア102、103を備える。
【0068】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るモータ1Aの概略構成に関して
図13、
図14を用いて説明する。
図13は、電子機器100が備えるモータ1Aの平面図である。
図14は、
図13に示すモータ1Aの斜視図である。
【0069】
本実施形態に係るモータ1Aは、主として、ステータ4Aにおいてコイル43の接続が第1実施形態のモータ1のステータ4におけるコイル43の接続と異なり、各部において種々の変更が加えられる。なお、第2実施形態に係るモータ1Aの構成において、第1実施形態に係るモータ1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、第2実施形態に係るモータ1Aの各図において、ロータ3の図示を省略している。
【0070】
モータ1Aは、
図13に示すように、例えばシャフト2と、ロータ3と、ステータ4Aと、バスバー5Aと、端子6Aと、インシュレータ7と、を備える。
【0071】
ステータ4Aは、
図14に示すように、例えば、1つのコア(環状の部分)40と、複数のティース(磁極部)41と、複数のインシュレータ42と、複数のコイル43と、を備える。
【0072】
次に、本実施形態に係るモータ1Aにおける複数のコイル43の電気的な接続を
図15、
図16を用いて説明する。
図15は、
図14に示すステータ4Aが備える複数のコイル43の電気回路図である。
図16は、
図15に示す複数のコイル43の結線図である。
【0073】
ステータ4Aは、モータ1AのU相を構成する複数(本実施形態では4個)の第1コイル43Uと、モータ1AのV相を構成する複数(本実施形態では4個)の第2コイル43Vと、モータ1AのW相を構成する複数(本実施形態では4個)の第3コイル43Wと、を含む。
【0074】
モータ1AのU相は、4つの第1コイル43Uのうち、2つの第1コイル43Uを直列に接続し、かつ、直列に接続した2つの第1コイル43Uを並列に接続して構成される。
【0075】
モータ1AのV相は、4つの第2コイル43Vのうち、2つの第2コイル43Vを直列に接続し、かつ、直列に接続した2つの第2コイル43Vを並列に接続して構成される。
【0076】
モータ1AのW相は、4つの第3コイル43Wのうち、2つの第3コイル43Wを直列に接続し、かつ、直列に接続した2つの第3コイル43Wを並列に接続して構成される。
【0077】
そして、モータ1AのU相と、V相と、W相とは、例えばスター結線で電気的に接続される。また、これらのコイル43に接続される不図示の交流電源は、例えばスター結線で電気的に接続される。
【0078】
次に、本実施形態に係るモータ1Aの複数のバスバー5Aについて
図17、
図18、
図19を用いて説明する。
図17は、複数のバスバー5Aのうち第2バスバー52Aを示す斜視図である。
図18は、
図14に示す端子6Aによって第1バスバー51Aが支持された状態を示す斜視図である。
図19は、
図14に示す端子6Aによって第2バスバー52Aが支持された状態を示す斜視図である。なお、説明の便宜のため、
図18において、第2バスバー52Aを省略してあり、
図19において、第1バスバー51Aを省略してある。
【0079】
バスバー5Aは、第1バスバー51Aと、複数の第2バスバー52Aと、を有する。
第1バスバー51Aは、
図15に示すように、端子6Aを介してU相を構成する第1コイル43Uと中性点NPを電気的に接続し、かつ、端子6Aを介してV相を構成する第2コイル43Vと中性点NPを電気的に接続し、かつ、端子6Aを介してW相を構成する第3コイル43Wとの中性点NPを電気的に接続する。
図18に示す第1バスバー51Aは、本体51aと、突出部51bと、を有する。
【0080】
第2バスバー52Aは、
図15に示すように、端子6Aを介して、U相、V相、およびW相を構成するコイル43のそれぞれに対して電気的に接続する。
【0081】
第2バスバー52Aは、
図17に示すように、互いに形状が異なる第1の形状521Aと第2の形状522Aと第3の形状523Aとを有する。
【0082】
第1の形状521Aは、本体521aと、突出部521bと、外部接続端子521cと、を有する。また、第1の形状521の本体521aは、軸方向Aにおいて、低い部分21Lと、高い部分21Hと、段部21Sと、を備える。
【0083】
第2の形状522Aは、本体522aと、突出部522bと、外部接続端子522cと、を有する。また、第2の形状522の本体522aは、軸方向Aにおいて、低い部分22Lと、高い部分22Hと、段部22Sと、を備える。
【0084】
第3の形状523Aは、本体523aと、突出部523bと、外部接続端子523cと、を有する。また、第3の形状523の本体523aは、軸方向Aにおいて、低い部分23Lと、高い部分23Hと、段部23Sと、を備える。
【0085】
図17、
図18に示す突出部51b、521b、522b、523bのそれぞれには、軸方向Aにおいて突出部51b、521b、522b、523bの(側面)それぞれを貫通する孔部5Hが形成される。
【0086】
孔部5Hには、第1孔部51Hと、第2孔部52Hとが含まれる。
図17に示すように、第1の形状521Aおよび第2の形状522Aは、軸方向Aにおいて重なる位置にあり、第2の形状522Aおよび第3の形状523Aは、軸方向Aにおいて重なる位置にあり、第3の形状523Aおよび第1の形状521Aは、軸方向Aにおいて重なる位置にある。
【0087】
次に、軸方向Aにおける第1の形状521Aと第2の形状522Aと第3の形状523Aとの重なりについて説明する。
【0088】
軸方向Aにおいて、第1の形状521Aの高い部分21Hと、第2の形状522Aの低い部分22Lとが重なる。
【0089】
軸方向Aにおいて、第2の形状522Aの高い部分22Hと、第3の形状523Aの低い部分23Lとが重なる。
【0090】
軸方向Aにおいて、第3の形状523Aの高い部分23Hと、第1の形状521Aの低い部分21Lとが重なる。
【0091】
次に、
図18および
図19を用いて端子6Aについて説明する。端子6Aの構成は、端子6の構成を含むと共に、本体部601の側面から、周方向Cへ突出する突出部603を有する。突出部603は、ある端子6Aと別の端子6Aとを、電線Wを介在させることによって電気的に接続する(
図15、
図16、
図18参照)。そのため、本実施形態に係るモータ1Aは、第1実施形態に係るモータ1と比べて、端子6Aの数を減少させることができる。
【0092】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るモータ1Bの概略構成に関して
図20、
図21を用いて説明する。
図20は、電子機器100が備えるモータ1Bの平面図である。
図21は、
図20に示すモータ1Bの斜視図である。
【0093】
本実施形態に係るモータ1Bは、主として、ステータ4Bにおいてコイル43の接続が第1実施形態のモータ1のステータ4におけるコイル43の接続と異なり、各部において種々の変更が加えられる。なお、第3実施形態に係るモータ1Bの構成において、第1実施形態に係るモータ1および第2実施形態に係るモータ1Aと同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、第3実施形態に係るモータ1Bの各図において、ロータ3の図示を省略している。
【0094】
モータ1Bは、
図20に示すように、例えばシャフト2と、ロータ3と、ステータ4Bと、バスバー5Bと、端子6Aと、インシュレータ7と、を備える。
【0095】
ステータ4Bは、
図21に示すように、例えば、1つのコア(環状の部分)40と、複数のティース(磁極部)41と、複数のインシュレータ42と、複数のコイル43と、を備える。
【0096】
次に、本実施形態に係るモータ1Bにおける複数のコイル43の電気的な接続を
図22、
図23を用いて説明する。
図22は、
図21に示すステータ4Bが備える複数のコイル43の電気回路図である。
図23は、
図22に示す複数のコイル43の結線図である。
【0097】
ステータ4Bは、モータ1BのU相を構成する複数(本実施形態では4個)の第1コイル43Uと、モータ1BのV相を構成する複数(本実施形態では4個)の第2コイル43Vと、モータ1BのW相を構成する複数(本実施形態では4個)の第3コイル43Wと、を含む。
【0098】
モータ1BのU相は、4つの第1コイル43Uのうち、2つの第1コイル43Uを直接に接続し、かつ、直列に接続した2つの第1コイル43Uを並列に接続して構成される。
【0099】
モータ1BのV相は、4つの第2コイル43Vのうち、2つの第2コイル43Vを直接に接続し、かつ、直列に接続した2つの第2コイル43Vを並列に接続して構成される。
【0100】
モータ1BのW相は、4つの第3コイル43Wのうち、2つの第3コイル43Wを直接に接続し、かつ、直列に接続した2つの第3コイル43Wを並列に接続して構成される。
【0101】
そして、モータ1BのU相と、V相と、W相とは、例えばデルタ結線で電気的に接続される。また、これらのコイル43に接続される不図示の交流電源は、例えばデルタ結線で電気的に接続される。
【0102】
次に、本実施形態に係るモータ1Bの複数のバスバー5Bについて
図24、
図25を用いて説明する。
図24は、複数のバスバー5Bの第2バスバー52Bを示す斜視図である。
図25は、
図21に示す端子6Aによって第2バスバー52Aが支持された状態を示す斜視図である。
【0103】
バスバー5Bは、複数の第2バスバー52Bのみを有する。第2バスバー52Bは、端子6Aを介して、U相、V相、およびW相を構成するコイル43のそれぞれに対して電気的に接続する。
【0104】
第2バスバー52Bは、互いに形状が異なる第1の形状521Bと第2の形状522Bと第3の形状523Bとを有する。
【0105】
図24に示す突出部521b、522b、523bのそれぞれには、軸方向Aにおいて突出部521b、522b、523bのそれぞれを貫通する孔部5Hが形成される。
【0106】
孔部5Hには、第2孔部52Hが含まれる。
図24に示すように、第1の形状521Bおよび第2の形状522Bは、軸方向Aにおいて重なる位置にあり、第2の形状522Bおよび第3の形状523Bは、軸方向Aにおいて重なる位置にあり、第3の形状523Bおよび第1の形状521Bは、軸方向Aにおいて重なる位置にある。
【0107】
次に、軸方向Aにおける第1の形状521Bと第2の形状522Bと第3の形状523Bとの重なりについて説明する。
【0108】
軸方向Aにおいて、第1の形状521Bの高い部分21Hから突出する突出部521bと、第2の形状522Bの低い部分22Lとが重なる。
【0109】
軸方向Aにおいて、第2の形状522Bの高い部分22Hから突出する突出部522bと、第3の形状523Bの低い部分23Lとが重なる。
【0110】
軸方向Aにおいて、第3の形状523Bの高い部分23Hから突出する突出部523bと、第1の形状521Bの低い部分21Lとが重なる。
【0111】
本実施形態に係るモータ1Bには、例えば、
図25に示すように突出部603を備える端子6Aが用いられる。
【0112】
なお、上述した第1実施形態から第3実施形態に係るモータ1、1A、1Bは、電動車両またはハイブリッド車両などの車両に搭載されるものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1、1A、1Bは、これに用いるものに限られず、他の機器にも用いることができる。
【0113】
また、上述した第1実施形態から第3実施形態に係るモータ1、1A、1Bは、12個のコイル43と、12個のティース41と、を備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係るモータ1、1A、1Bにおいて、コイル43の数、および、ティース41の数は、これに限られず、適宜、増減することができる。
【0114】
以上、本発明に係るモータ1、1A、1B等の第1実施形態、第2実施形態、および、第3実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0115】
1、1A、1B モータ、 4、4A、4B ステータ、 43 コイル、 5、5A、5B バスバー、 51、51A 第1バスバー、 52、52A、52B 第2バスバー、 21L、22L、23L 低い部分、 21H、22H、23H 高い部分、 51H 第1孔部(孔部)、 6、6A 端子、 61 第1端子、 62 第2端子、 602 接続部(一部分)、 7 インシュレータ、 100 電子機器、 101 筐体、 102、103 ギア、 A 軸方向