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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011515
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113682
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞岩 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
(72)【発明者】
【氏名】松田 絢佳
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KA06
2E011KB03
2E011KC01
2E011KC08
2E011KD14
2E011KH01
(57)【要約】
【課題】新設枠材を補強材に固定する箇所の意匠性と安全性を簡単に確保するとともに、改装建具の周辺部に対する補強材の各種の納まりに容易に対応する。
【解決手段】改装建具1は、建物10の開口部11に設けられた既設縦枠材34と、既設縦枠材34を覆う新設縦枠材7と、既設縦枠材34又は建物10の躯体12に固定された補強材40と、新設縦枠材7を補強材40に固定する固定ネジ52と、補強材40に取り外し可能に取り付けられて、補強材40から突出する固定ネジ52の先端側の部分を覆うカバー60を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられた既設枠材と、前記既設枠材を覆う新設枠材と、を備えた改装建具であって、
前記既設枠材又は前記建物の躯体に固定された補強材と、
前記新設枠材を前記補強材に固定する固定ネジと、
前記補強材に取り外し可能に取り付けられて、前記補強材から突出する前記固定ネジの先端側の部分を覆うカバーと、
を備えた改装建具。
【請求項2】
請求項1に記載された改装建具において、
前記カバーは、前記補強材に取り外し可能に取り付けられる取付部と、前記取付部に連続して設けられて前記固定ネジの先端側の部分を覆う覆い部と、を有する改装建具。
【請求項3】
請求項2に記載された改装建具において、
前記覆い部は、前記取付部から突出して前記固定ネジの先端側の部分を室内外方向において覆う第1覆い片と、前記第1覆い片から突出して前記固定ネジの先端側の部分を左右方向において覆う第2覆い片と、を有する改装建具。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された改装建具において、
前記取付部を前記補強材に取り外し可能に取り付ける取付ネジを備え、
前記覆い部は、前記固定ネジの先端側の部分及び前記取付部から突出する前記取付ネジの先端側の部分を覆う改装建具。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載された改装建具において、
前記既設枠材は、既設縦枠材であり、
前記新設枠材は、新設縦枠材である改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定ネジにより、補強材に新設枠材が固定された改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具を改装するときには、既設建具の既設枠材を残して、改装用の新設枠材を設置する。その際、新設枠材を補強するため、新設枠材を補強材に固定することがある。また、このような改装建具として、従来、既設枠材である既設ドア枠の縦枠に固定された補強材と、新設枠材である新設ドア枠の縦枠の室外側部位に固定された外額縁を備えた改装ドアが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の改装ドアでは、補強材は、既設ドア枠の縦枠よりも室外側に延びる延出部を有し、新設ドア枠の縦枠は、連結ネジにより、補強材の延出部に固定される。また、外額縁は、新設ドア枠の縦枠の室外側部位から建物の外壁まで配置されて、既設ドア枠の縦枠と連結ネジを室外側から覆う。ところが、外額縁を設けた改装ドアでは、外額縁に加えて、外額縁の固定用のネジと、ネジを隠すネジカバーを設ける必要があり、部品の数が多くなる傾向がある。また、改装ドアの周辺部(例えば、建物の外壁)に対する外額縁の各種の納まりに対応して、外額縁の加工による調整作業等が必要となり、改装ドアの施工に手間がかかる虞がある。
【0004】
そのため、コストの削減等のため、外額縁を設けずに、改装ドアを設置することが求められる。しかしながら、外額縁をなくした場合には、補強材から突出する連結ネジの先端側の部分が露出することがあり、新設ドア枠の縦枠を補強材に固定する箇所の意匠性と安全性を確保するための手段が別途必要となる。これに伴い、改装ドアの施工の手間が増えることが懸念される。また、補強材については、改装ドアの周辺部に対する各種の納まりに対応することも求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7075277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、新設枠材を補強材に固定する箇所の意匠性と安全性を簡単に確保するとともに、改装建具の周辺部に対する補強材の各種の納まりに容易に対応することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
建物の開口部に設けられた既設枠材と、前記既設枠材を覆う新設枠材と、を備えた改装建具であって、
前記既設枠材又は前記建物の躯体に固定された補強材と、
前記新設枠材を前記補強材に固定する固定ネジと、
前記補強材に取り外し可能に取り付けられて、前記補強材から突出する前記固定ネジの先端側の部分を覆うカバーと、
を備えた改装建具である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、新設枠材を補強材に固定する箇所の意匠性と安全性を簡単に確保できるとともに、改装建具の周辺部に対する補強材の各種の納まりに容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の改装建具を示す正面図である。
図2】本実施形態の改装建具を示す縦断面図である。
図3】本実施形態の改装建具を示す横断面図である。
図4】本実施形態の改装建具の既設縦枠材及び新設縦枠材を含む部分を示す横断面図である。
図5】本実施形態の補強材、カバー、及び、取付ネジを示す横断面図である。
図6】カバーを補強材から取り外した改装建具の例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の改装建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の改装建具は、既設建具が改装用の新設建具により改装された建具であり、既設枠の既設枠材と新設枠の新設枠材を備えている。以下、改装建具が改装ドアである場合を例にとり、本実施形態の枠改建具について説明する。従って、既設建具は、既設ドアであり、新設建具は、新設ドアである。
【0011】
図1は、本実施形態の改装建具1を示す正面図であり、建物10に設置された改装建具1を室外側からみて示している。
図示のように、改装建具1は、建物10の玄関に設置される玄関ドアであり、建物10の室内(屋内)と室外(屋外)の間に配置される。また、改装建具1は、片開きドアであり、建物10の開口部11に設置される。
【0012】
なお、建物10に設置した改装建具1を正面からみたときに、上下となる方向が上下方向Rであり、左右となる方向が左右方向Sである。図1では、上下方向Rは鉛直方向であり、左右方向Sは水平方向である。室内外方向は、建物10に設置した改装建具1における室内外方向(屋内外方向)である。また、室内外方向は、建物10に設置した改装建具1を正面からみたときに、前後となる方向(奥行方向)であり、図1では、左右方向Sに直交する水平方向である。このように、改装建具1に関する方向は、建物10に設置した状態での方向で特定する。また、改装建具1に関して室内側、室外側とは、建物10に設置した状態での室内側、室外側である。
【0013】
改装建具1は、既設建具の既設枠(図1では図示せず)と、既設建具の改装に用いられる新設建具2を備えている。新設建具2は、既設枠を改装する新設枠3と、扉体20を有している。扉体20は、開閉可能なパネル体であり、複数の丁番21、22、23により、新設枠3に開閉可能に連結されている。扉体20は、新設枠3の内側に配置され、室外側と新設枠3側とに回動して開閉する。開閉時に、扉体20は、新設枠3の内側の閉位置から室外側の開位置に向かって回動して開き、開位置から新設枠3側の閉位置に向かって回動して閉じる。
【0014】
新設枠3は、方形状の開口枠(新設ドア枠)であり、互いに組み合わされた4つの新設枠材4~7(新設上枠材4、新設下枠材5、一対の新設縦枠材6、7)を有している。新設枠材4~7は、新設枠3を構成する新設枠構成材であり、それぞれ押出成形により形成された金属製(例えば、アルミニウム合金製)の形材からなる。新設上枠材4と新設下枠材5は、新設枠3の上部と下部に位置する上下の新設横枠材であり、横方向(左右方向S)に延びる。一対の新設縦枠材6、7は、新設枠3の左右の側部に位置して、縦方向(上下方向R)に延びる。新設上枠材4、新設下枠材5、及び、左右の新設縦枠材6、7の端部同士が接続されて、新設枠材4~7が枠組みされている。
【0015】
扉体20は、戸先側に位置する戸先部24と、吊元側に位置する吊元部25を有している。戸先部24は、扉体20の戸先側の端部を含む戸先側の部分であり、吊元部25は、扉体20の吊元側の端部を含む吊元側の部分である。扉体20が閉じた状態で、新設枠3の新設縦枠材6、7のうち、一方の新設縦枠材6は、扉体20の戸先部24側に位置し、他方の新設縦枠材7は、扉体20の吊元部25側に位置している。扉体20の戸先部24は、戸先部24側の新設縦枠材6に沿って配置され、扉体20の吊元部25は、吊元部25側の新設縦枠材7に沿って配置される。丁番21、22、23は、互いに上下方向Rに離隔して、扉体20の吊元部25と吊元部25側の新設縦枠材7に取り付けられ、扉体20の吊元部25を吊元部25側の新設縦枠材7に連結している。
【0016】
図2は、本実施形態の改装建具1を示す縦断面図であり、上下方向Rと室内外方向Tを含む面で切断した改装建具1と建物10の一部を示している。図3は、本実施形態の改装建具1を示す横断面図であり、左右方向Sと室内外方向Tを含む面で切断した改装建具1と建物10の一部を示している。図2図3では、扉体20を二点鎖線で示している。
図示のように、既設建具の既設枠30は、建物10に取り付けられて、建物10の開口部11に設けられている。新設建具2の設置前(施工前)に、既設枠30を残して、既設建具の扉体を既設枠30から取り外す。既設枠30が建物10の開口部11に残存する状態で、新設建具2は、既設枠30の内側に配置されて、建物10の開口部11に新たに設置される。新設枠3は、既設枠30の内側に配置されて、既設枠30に連結され、既設枠30の少なくとも一部を覆う。
【0017】
既設枠30は、方形状の開口枠(既設ドア枠)であり、互いに組み合わされた4つの既設枠材31~34(既設上枠材31、既設下枠材32、一対の既設縦枠材33、34)を有している。既設枠材31~34は、既設枠30を構成する既設枠構成材であり、それぞれ押出成形により形成された金属製(例えば、アルミニウム合金製)の形材からなる。既設上枠材31と既設下枠材32は、既設枠30の上部と下部に位置する上下の既設横枠材であり、横方向(左右方向S)に延びる。一対の既設縦枠材33、34は、既設枠30の左右の側部に位置して、縦方向(上下方向R)に延びる。既設上枠材31、既設下枠材32、及び、左右の既設縦枠材33、34の端部同士が接続されて、既設枠材31~34が枠組みされている。
【0018】
既設枠材31~34は、それぞれ建物10に取り付けられて、建物10の開口部11に設けられている。新設枠材4~7は、それぞれ既設枠材31~34に対して既設枠30の内側に設けられて、既設枠材31~34に沿って配置され、既設枠材31~34の少なくとも一部(一部、又は、全体)を覆う。このように、改装建具1は、建物10の開口部11に設けられた既設枠材31~34と、既設枠材31~34を覆う新設枠材4~7を備えている。また、新設枠材4~7のうちの少なくとも1つは、補強材40により補強されている。補強材40により、新設枠材4~7が支持されて、新設枠材4~7の動き及び変形が規制される。
【0019】
補強材40は、新設枠材4~7及び既設枠材31~34の長手方向における一部、新設枠材4~7及び既設枠材31~34の長手方向における複数箇所、又は、新設枠材4~7及び既設枠材31~34の長手方向における全体に設けられる。ここでは、補強材40により補強される新設枠材は、扉体20の吊元部25側に位置する新設縦枠材7であり、補強材40により補強される新設枠材により覆われる既設枠材は、新設縦枠材7により覆われる既設縦枠材34である。また、補強材40は、新設縦枠材7及び既設縦枠材34の長手方向(上下方向R)における一部に設けられている。
【0020】
複数の丁番21~23は、新設縦枠材7の長手方向に間隔をあけて設けられている(図1参照)。扉体20の回動(開閉)時には、新設縦枠材7が扉体20から丁番21~23を介して荷重を受けて、新設縦枠材7に動き及び変形が生じる虞がある。特に、複数の丁番21~23のうちの最も上側に位置する丁番21が新設縦枠材7に取り付けられた箇所で、新設縦枠材7の動き及び変形が生じ易い。そのため、補強材40を新設縦枠材7の長手方向における丁番21の位置と同じ位置に設けて、新設縦枠材7における丁番21が取り付けられた箇所を補強材40により補強する。これにより、新設縦枠材7における丁番21が取り付けられた箇所の動き及び変形を規制する。
【0021】
図4は、本実施形態の改装建具1の既設縦枠材34及び新設縦枠材7を含む部分を示す横断面図であり、図3の一部を拡大して、改装建具1の枠材改装構造を示している。
図示のように、既設縦枠材34は、中空状に形成され、左右方向Sにおいて、新設縦枠材7と建物10の躯体12の間、及び、新設縦枠材7と建物10の外壁13の間に設置されている。また、既設縦枠材34は、左右方向Sにおいて、建物10の外壁13と隣り合い、建物10の外壁13よりも室外側の位置まで配置されている。
【0022】
新設縦枠材7は、板状の室内側部7Aと、中空状の室外側部7Bを有し、建物10の開口部11において、室内側部7Aと室外側部7Bにより、既設縦枠材34を覆う。室内側部7Aは、新設縦枠材7の室内側の端部を含む室内側の部分であり、室外側部7Bは、新設縦枠材7の室外側の端部を含む室外側の部分である。室内側部7A、室外側部7B、及び、新設縦枠材7は、左右方向Sにおいて、既設縦枠材34から離隔した状態で、既設縦枠材34に沿って配置されている。
【0023】
新設縦枠材7の室内側部7Aは、建物10の躯体12に固定される新設縦枠材7の躯体固定部であり、室外側部7Bから室内側に突出している。ネジ50は、建物10の開口部11側から躯体12に向かって室内側部7A及び既設縦枠材34を貫通して、建物10の躯体12に取り付けられている。室内側部7A及び新設縦枠材7は、室内側の箇所で、ネジ50により、建物10の躯体12に固定されて、建物10の躯体12に保持されている。室内側部7Aは、建物10の開口部11において、室外側部7Bの室内側に位置する内額縁51により覆われている。
【0024】
新設縦枠材7の室外側部7Bは、補強材40に固定される新設縦枠材7の補強材固定部であり、室内側部7Aの室外側に位置している。室外側部7Bは、内側見込み部7Cと、内側見込み部7Cから左右方向Sに離隔した外側見込み部7Dと、内側見込み部7Cと外側見込み部7Dの間に位置する室外側見付け部7Eを有している。室外側部7B及び新設縦枠材7は、建物10の開口部11において既設縦枠材34を覆う位置から既設縦枠材34及び建物10の外壁13よりも室外側の位置まで配置されて、既設縦枠材34及び建物10の外壁13に対して室外側に張り出している。
【0025】
内側見込み部7Cは、新設枠3の内側(内周側)に位置する内周部であり、外側見込み部7Dは、新設枠3の外側(外周側)に位置する外周部である。内側見込み部7Cと外側見込み部7Dは、それぞれ新設縦枠材7の見込み方向(室内外方向T)に沿って配置されて、左右方向Sにおいて相対する。室外側見付け部7Eは、内側見込み部7Cと外側見込み部7Dのそれぞれの室外側の端部の間に位置して、室外側に向けて配置されている。室外側見付け部7Eは、新設縦枠材7の見付け方向(左右方向S)に沿って配置されている。
【0026】
改装建具1は、板状の補強材40と、新設縦枠材7を補強材40に固定する固定ネジ52と、補強材40に取り外し可能に取り付けられるカバー60と、カバー60を補強材40に取り外し可能に取り付ける取付ネジ53を備えている。補強材40は、金属製(例えば、鋼、アルミニウム合金)の板材(補強板)であり、ネジ54により、既設縦枠材34又は建物10の躯体12に固定されている。ここでは、補強材40は、鋼製であり、既設縦枠材34に固定されている。補強材40は、左右方向Sにおいて、既設縦枠材34と新設縦枠材7の間に位置して、新設縦枠材7側から既設縦枠材34に当接する。
【0027】
ネジ54は、新設縦枠材7側から補強材40の挿通孔を挿通して、既設縦枠材34のネジ孔に取り付けられ、補強材40を既設縦枠材34における新設縦枠材7側の部分に固定している。その状態で、補強材40は、既設縦枠材34から室内外方向T(ここでは、室外側)に突出して、既設縦枠材34から既設縦枠材34よりも室外側の位置まで配置されている。また、補強材40は、左右方向Sにおいて、新設縦枠材7(ここでは、室外側部7Bの外側見込み部7D)から離隔して、新設縦枠材7の見込み方向(室内外方向T)に沿って配置されている。
【0028】
既設縦枠材34と新設縦枠材7の間の箇所、及び、既設縦枠材34よりも室外側の箇所で、新設縦枠材7と補強材40は、互いの間に隙間55を形成し、左右方向Sにおいて、隙間55を挟んで相対する。隙間55は、新設縦枠材7の室外側部7B(ここでは、外側見込み部7D)と補強材40の間に形成されて、室外側に向かって開放されている。新設縦枠材7の室外側部7Bと補強材40は、左右方向Sにおいて、隙間55を挟んで相対する。
【0029】
補強材40は、新設縦枠材7が固定される固定材である。固定ネジ52は、建物10の開口部11側から新設縦枠材7の挿通孔を挿通して、補強材40のネジ孔に取り付けられている。新設縦枠材7は、既設縦枠材34に対して室内外方向Tにずれた位置(室内外方向Tにおける既設縦枠材34のない位置)で、固定ネジ52により補強材40に固定される。固定ネジ52は、新設縦枠材7から隙間55を通って補強材40まで延び、補強材40を新設縦枠材7の反対側に向かって貫通して、補強材40から突出する。
【0030】
ここでは、既設縦枠材34及びネジ54よりも室外側の位置で、固定ネジ52により、新設縦枠材7の室外側部7Bが補強材40に固定されている。固定ネジ52は、建物10の開口部11側から、室外側部7Bの内側見込み部7Cに形成された挿入孔7Fに挿入され、挿入孔7Fを通って、室外側部7Bの内側に挿入される。また、固定ネジ52は、室外側部7Bの外側見込み部7Dに形成された挿通孔を挿通して、補強材40のネジ孔に取り付けられている。固定ネジ52の頭部は、新設縦枠材7の室外側部7Bの内側に配置される。内側見込み部7Cの挿入孔7Fにはキャップ7Gが嵌められて、挿入孔7Fがキャップ7Gにより塞がれている。
【0031】
新設縦枠材7と補強材40の間の隙間55には、バックアップ材56とシール材57が設けられている。シール材57は、不定形のシーリング材からなり、バックアップ材56により受けられて、バックアップ材56の室外側に充填されている。隙間55における室外側の箇所で、隙間55がシール材57により塞がれる。また、固定ネジ52における新設縦枠材7と補強材40の間に位置する部分は、バックアップ材56により囲まれて、室外側において、バックアップ材56及びシール材57により遮蔽されている。
【0032】
固定ネジ52の先端側の部分である先端側部52Aは、左右方向Sにおいて、補強材40から新設縦枠材7の反対側に向かって突出する。また、固定ネジ52の先端側部52Aは、補強材40に対して新設縦枠材7の反対側に位置して、カバー60の内側に配置されている。カバー60は、補強材40に対して新設縦枠材7の反対側に位置して、補強材40から突出する固定ネジ52の先端側部52Aを覆う。カバー60により、固定ネジ52の先端側部52Aが遮蔽される。
【0033】
図5は、本実施形態の補強材40、カバー60、及び、取付ネジ53を示す横断面図である。図5Aは、組み立てられた状態の補強材40、カバー60、及び、取付ネジ53を示し、図5Bは、分解された状態の補強材40、カバー60、及び、取付ネジ53を示している。
図4図5に示すように、カバー60は、補強材40に取り外し可能に取り付けられる取付部61と、固定ネジ52の先端側部52Aを覆う覆い部62と、カバー60の内側を外側に向かって開放する開放部63を有している。カバー60は、板状の取付部61と屈曲形状の覆い部62により、凹形状に形成されている。
【0034】
取付ネジ53は、新設縦枠材7側から補強材40の挿通孔41を挿通して、カバー60のネジ孔64に取り付けられ、カバー60を補強材40における新設縦枠材7の反対側の部分に固定している。ネジ孔64は、カバー60の取付部61に形成されて、取付部61を左右方向Sに貫通している。取付部61は、補強材40に新設縦枠材7の反対側から当接して、新設縦枠材7の見込み方向(室内外方向T)に沿って配置されている。取付ネジ53により、取付部61及びカバー60が補強材40に取り外し可能に取り付けられ、取付ネジ53を外すことで、取付部61及びカバー60が補強材40から取り外される。
【0035】
取付ネジ53は、補強材40及び取付部61を新設縦枠材7の反対側に向かって貫通して、取付部61から突出する。取付ネジ53の先端側の部分である先端側部53Aは、左右方向Sにおいて、取付部61から新設縦枠材7及び補強材40の反対側に向かって突出する。また、取付ネジ53の先端側部53Aは、取付部61に対して新設縦枠材7及び補強材40の反対側に位置して、カバー60の内側に配置されている。
【0036】
カバー60は、覆い部62により、補強材40から突出する固定ネジ52の先端側部52A及び取付部61から突出する取付ネジ53の先端側部53Aを覆う。覆い部62により、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aが遮蔽される。覆い部62は、取付部61に連続して設けられ、取付部61から左右方向Sに突出して、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aを覆う位置に配置されている。また、覆い部62は、取付部61の室外側の端部及び補強材40の室外側の端部から新設縦枠材7の反対側に向かって突出し、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aを室内外方向T(ここでは、室外側)及び左右方向Sにおいて覆う位置に配置されている。
【0037】
カバー60の覆い部62は、取付部61から突出する第1覆い片65と、第1覆い片65から突出する第2覆い片66を有している。覆い部62は、第1覆い片65により、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aを室内外方向T(ここでは、室外側)において覆い、第2覆い片66により、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aを左右方向Sにおいて覆う。第1覆い片65は、新設縦枠材7の見付け方向(左右方向S)に沿って配置されるカバー60の見付け片であり、取付部61から左右方向Sに突出する。第2覆い片66は、新設縦枠材7の見込み方向(室内外方向T)に沿って配置されるカバー60の見込み片であり、第1覆い片65から室内外方向Tに突出する。
【0038】
第1覆い片65は、取付部61から補強材40の反対側に向かって突出するとともに、取付部61から固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aを越えて突出して、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aに対して室外側に配置される。固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aは、室外側において、第1覆い片65により、全体にわたって覆われて遮蔽される。
【0039】
第2覆い片66は、第1覆い片65から建物10側(室内側)に向かって突出するとともに、第1覆い片65から固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aを越えて突出して、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aに対して左右方向Sの側方(補強材40の反対側)に配置される。固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aは、左右方向Sの側方において、第2覆い片66により、全体にわたって覆われて遮蔽される。
【0040】
カバー60、固定ネジ52の先端側部52A、及び、取付ネジ53の先端側部53Aは、既設縦枠材34から室外側に離隔して、既設縦枠材34の室外側に位置している。固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aは、室内外方向Tにおいて、カバー60(ここでは、第1覆い片65)と既設縦枠材34の間に位置し、左右方向Sにおいて、第2覆い片66と取付部61の間に位置している。第2覆い片66と取付部61は、第1覆い片65から既設縦枠材34に向かって室内側に突出し、左右方向Sに離隔して並列している。
【0041】
カバー60は、補強材40に着脱可能である。補強材40にカバー60を取り付けていない場合には、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aは、既設縦枠材34の室外側において露出する。これに対し、補強材40にカバー60を取り付けることで、既設縦枠材34の室外側において、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aがカバー60の覆い部62により全体にわたって覆われて遮蔽される。カバー60は、覆い部62により、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aを隠して、固定ネジ52の先端側部52A及び取付ネジ53の先端側部53Aの露出を妨げる。
【0042】
カバー60の開放部63は、室内側に位置する取付部61の先端部及び覆い部62(第2覆い片66)の先端部の間に位置している。開放部63は、既設縦枠材34側(ここでは、既設縦枠材34が位置する室内側)に向けて配置されて、カバー60の内側を室内側に向かって開放している。カバー60の内側には、バックアップ材58が設けられ、カバー60と既設縦枠材34の間の箇所には、シール材59が設けられている。シール材59は、不定形のシーリング材からなり、バックアップ材58及び補強材40により受けられて、カバー60と既設縦枠材34の間の箇所に充填されている。カバー60と既設縦枠材34の間の箇所は、シール材59により塞がれる。
【0043】
改装建具1の周辺部に対する補強材40の納まりによっては、カバー60が改装建具1の周辺部(例えば、建物10の躯体12、外壁13)に当たる等して、カバー60が改装建具1の周辺部に干渉することがある。この場合には、補強材40からカバー60を取り外して、補強材40を既設縦枠材34に固定し、新設縦枠材7を補強材40に固定する。このようにして、改装建具1の周辺部に対する補強材40の各種の納まりに対応する。
【0044】
図6は、カバー60を補強材40から取り外した改装建具1の例を示す横断面図であり、図4と同様に、改装建具1の既設縦枠材34及び新設縦枠材7を含む部分を示している。
図示のように、ここでは、既設縦枠材34は、左右方向Sにおいて、新設縦枠材7と建物10の躯体12の間に設置されて、建物10の外壁13の室内側に配置されている。建物10の外壁13は、既設縦枠材34から既設縦枠材34よりも室外側の位置まで配置されている。
【0045】
補強材40は、既設縦枠材34の室外側で、建物10の外壁13から離隔して、新設縦枠材7と建物10の外壁13の間に位置している。カバー60を補強材40に取り付けた状態では、カバー60が建物10の外壁13に当たる。これに対し、カバー60を補強材40から取り外すことで、カバー60が建物10の外壁13に干渉せずに、補強材40及び改装建具1の設置が可能となる。固定ネジ52の先端側部52Aは、補強材40と建物10の外壁13の間の箇所に配置される。
【0046】
補強材40と建物10の外壁13の間の箇所には、バックアップ材14とシール材15が設けられる。シール材15は、不定形のシーリング材からなり、バックアップ材14により受けられて、バックアップ材14の室外側に充填されている。補強材40と建物10の外壁13の間の箇所は、室外側において、シール材15により塞がれる。固定ネジ52の先端側部52Aは、バックアップ材14により囲まれて、室外側において、シール材15により遮蔽される。
【0047】
以上説明した改装建具1では、補強材40に取り付けたカバー60により、固定ネジ52の先端側部52Aの露出を妨げることができる。これにより、新設縦枠材7を補強材40に固定する箇所の意匠性及び安全性を簡単に確保することができる。また、カバー60は補強材40から取り外し可能であり、改装建具1の周辺部に対する補強材40の各種の納まりに容易に対応することができる。そのため、改装建具1の施工性を向上させることができる。新設縦枠材7を補強材40により補強して、新設縦枠材7を安定して設置することもできる。
【0048】
カバー60は、取付部61と覆い部62を有しており、取付部61を補強材40に取り付けた状態で、覆い部62により固定ネジ52の先端側部52Aを確実に覆うことができる。覆い部62の第1覆い片65と第2覆い片66により、固定ネジ52の先端側部52Aを室内外方向T及び左右方向Sにおいて確実に覆うこともできる。取付部61を補強材40に取り付ける取付ネジ53の着脱により、カバー60の補強材40への取り付けとカバー60の補強材40からの取り外しを容易に行うことができる。また、覆い部62により、固定ネジ52の先端側部52Aに加えて、取付ネジ53の先端側部53Aを遮蔽することができる。
【0049】
なお、補強材40の材料の鋼は、例えば、炭素鋼、特殊鋼、又は、ステンレス鋼である。これに対し、補強材40は、各種の鋼製に限定されず、他の金属製(例えば、アルミニウム合金製)であってもよい。カバー60は、各種の金属(例えば、鋼、アルミニウム合金)製であってもよく、金属以外の材料(例えば、合成樹脂)製であってもよい。カバー60の形状は、凹形状に限定されず、他の形状(例えば、開放部63を塞いだ中空形状)であってもよい。補強材40とカバー60は、それぞれ押出成形により形成された形材(押出形材)を加工して製造してもよい。カバー60は、取付ネジ53以外の取付手段(例えば、係止、嵌合、接着)により、補強材40に取り外し可能に取り付けてもよい。
【0050】
本実施形態では、補強材40により補強する新設枠材が新設縦枠材7であり、補強材40により補強される新設枠材により覆われる既設枠材が既設縦枠材34である例について説明した。これに対し、新設枠材は、扉体20の吊元部25側の新設縦枠材7に限定されず、扉体20の戸先部24側の新設縦枠材6であってもよく、新設縦枠材6、7以外の新設枠材(新設上枠材4、新設下枠材5)であってもよい。そのため、既設枠材は、既設縦枠材34に限定されず、新設枠材に対応した他の既設枠材(既設縦枠材33、既設上枠材31、既設下枠材32)であってもよい。本発明は、改装ドア以外の種々の改装建具(例えば、改装窓)に適用することができる。
【0051】
以上のとおり、本実施形態では、以下の(1)~(5)に記載された改装建具を開示している。
【0052】
(1) 建物の開口部に設けられた既設枠材と、前記既設枠材を覆う新設枠材と、を備えた改装建具であって、
前記既設枠材又は前記建物の躯体に固定された補強材と、
前記新設枠材を前記補強材に固定する固定ネジと、
前記補強材に取り外し可能に取り付けられて、前記補強材から突出する前記固定ネジの先端側の部分を覆うカバーと、
を備えた改装建具。
(1)に記載された改装建具では、新設枠材を補強材に固定する箇所の意匠性と安全性を簡単に確保できるとともに、改装建具の周辺部に対する補強材の各種の納まりに容易に対応することができる。
【0053】
(2) (1)に記載された改装建具において、
前記カバーは、前記補強材に取り外し可能に取り付けられる取付部と、前記取付部に連続して設けられて前記固定ネジの先端側の部分を覆う覆い部と、を有する改装建具。
(2)に記載された改装建具では、カバーの取付部を補強材に取り付けた状態で、カバーの覆い部により固定ネジの先端側の部分を確実に覆うことができる。
【0054】
(3) (2)に記載された改装建具において、
前記覆い部は、前記取付部から突出して前記固定ネジの先端側の部分を室内外方向において覆う第1覆い片と、前記第1覆い片から突出して前記固定ネジの先端側の部分を左右方向において覆う第2覆い片と、を有する改装建具。
(3)に記載された改装建具では、覆い部の第1覆い片と第2覆い片により、固定ネジの先端側の部分を室内外方向及び左右方向において確実に覆うことができる。
【0055】
(4) (2)又は(3)に記載された改装建具において、
前記取付部を前記補強材に取り外し可能に取り付ける取付ネジを備え、
前記覆い部は、前記固定ネジの先端側の部分及び前記取付部から突出する前記取付ネジの先端側の部分を覆う改装建具。
(4)に記載された改装建具では、取付ネジにより、カバーの補強材への取り付けとカバーの補強材からの取り外しを容易に行うことができる。また、覆い部により、固定ネジの先端側の部分に加えて、取付ネジの先端側の部分を遮蔽することができる。
【0056】
(5) (1)ないし(4)のいずれかに記載された改装建具において、
前記既設枠材は、既設縦枠材であり、
前記新設枠材は、新設縦枠材である改装建具。
(5)に記載された改装建具では、新設縦枠材を補強材により補強して、新設縦枠材を安定して設置することができる。
【符号の説明】
【0057】
1・・・改装建具、2・・・新設建具、3・・・新設枠、4・・・新設上枠材、5・・・新設下枠材、6・・・新設縦枠材、7・・・新設縦枠材、7A・・・室内側部、7B・・・室外側部、7C・・・内側見込み部、7D・・・外側見込み部、7E・・・室外側見付け部、7F・・・挿入孔、7G・・・キャップ、10・・・建物、11・・・開口部、12・・・躯体、13・・・外壁、14・・・バックアップ材、15・・・シール材、20・・・扉体、21・・・丁番、22・・・丁番、23・・・丁番、24・・・戸先部、25・・・吊元部、30・・・既設枠、31・・・既設上枠材、32・・・既設下枠材、33・・・既設縦枠材、34・・・既設縦枠材、40・・・補強材、41・・・挿通孔、50・・・ネジ、51・・・内額縁、52・・・固定ネジ、52A・・・先端側部、53・・・取付ネジ、53A・・・先端側部、54・・・ネジ、55・・・隙間、56・・・バックアップ材、57・・・シール材、58・・・バックアップ材、59・・・シール材、60・・・カバー、61・・・取付部、62・・・覆い部、63・・・開放部、64・・・ネジ孔、65・・・第1覆い片、66・・・第2覆い片、R・・・上下方向、S・・・左右方向、T・・・室内外方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6