(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011553
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】医療縫合針および医療用縫合針付き縫合糸
(51)【国際特許分類】
A61B 17/06 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61B17/06 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113737
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】594001775
【氏名又は名称】株式会社ベアーメディック
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100179132
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 知生
(72)【発明者】
【氏名】大森 健
(72)【発明者】
【氏名】東 秀友
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB12
(57)【要約】
【課題】外科手術において、容易に巾着縫合を行う医療用縫合針を提供する。
【解決手段】本発明に係る医療用縫合針10は、正面視においてS字状である。また、医療用縫合針は、腹腔鏡手術で用いられる回転機構を有する器具で保持されてもよい。また、医療用縫合針は、先端側に配置される第1湾曲部13と、基端側に配置される第2湾曲部14とを備え、第1湾曲部が第2湾曲部より長くてもよい。また、医療用縫合針は、第1湾曲部を規定する中心角が90度以上180度以下であって、第2湾曲部を規定する中心角が72度以上135度以下であってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視においてS字状である、医療用縫合針。
【請求項2】
腹腔鏡手術で用いられる回転機構を有する器具で保持される、請求項1に記載の医療用縫合針。
【請求項3】
先端側に配置される第1の湾曲部と、
基端側に配置される第2の湾曲部と
を備え、
前記第1の湾曲部の針が前記第2の湾曲部の針より長い、請求項1又は請求項2に記載の医療用縫合針。
【請求項4】
先端側に配置される第1の湾曲部と、
基端側に配置される第2の湾曲部と
を備え、
前記第1の湾曲部を規定する中心角が90度以上180度以下であって、
前記第2の湾曲部を規定する中心角が72度以上135度以下である、請求項1又は請求項2に記載の医療用縫合針。
【請求項5】
先端側に配置される第1の湾曲部と、
基端側に配置される第2の湾曲部と
を備え、
前記第1の湾曲部を規定する中心角が前記第2の湾曲部を規定する中心角より大きい、請求項1又は請求項2に記載の医療用縫合針。
【請求項6】
先端側に配置される第1の湾曲部と、
基端側に配置される第2の湾曲部と
を備え、
前記第1の湾曲部を規定する中心角が135度であって、
前記第2の湾曲部を規定する中心角が72度以上135度以下である、請求項1又は請求項2に記載の医療用縫合針。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の医療用縫合針と、
医療用縫合糸と
を備える医療用縫合針付き縫合糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術での縫合に用いる医療用縫合針および医療用縫合針付き縫合糸に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術において、生体組織の縫合として巾着縫合が施される場合がある。例えば、管腔臓器の巾着縫合として、切除された腸管を自動吻合器により吻合するときに腸管の巾着縫合が施される(例えば、特許文献1)。
【0003】
近年進展しているロボットを用いた腹腔鏡手術では、自動制御されたアームが縫合針又は持針器を保持して、縫合針を操作して巾着縫合を施す。
【0004】
巾着縫合の動作は、なみ縫いの動作に基づく。
図8に、なみ縫いの縫合動作の一例を示す。一般的な手縫いでなみ縫いを行う動作では、縫合針5で複数の対象物6を束ねて一括ですくう(刺通する)[
図8(a)~(d)]。引き続き、縫合針5を一括で対象物6に刺通して、縫合糸1を対象物6に通す[
図8(e)、(f)]。この縫合において、手首を使って縫合針5の進行方向を連続して曲げながら縫合する動作が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、腹腔鏡手術で巾着縫合を施す場合、腹腔鏡手術に用いる鉗子等の器具は回転機構を有さないので、手縫い巾着縫合を施すときの手首の動作に相当する回転動作を行うことができない。そこで、縫合針の進行方向を連続して曲げながら縫合することが困難であり、腹腔鏡手術で容易に巾着縫合を施すことはできなかった。
【0007】
また、ロボットを用いた腹腔鏡手術で巾着縫合を施す場合、アームが回転機構を有するので、手首の動作に相当する回転動作を行うことができる。しかし、
図9に示すように、従来の縫合針(丸針)8を用いるとき、一括ですくう組織6の量が少ない。また、縫合針8の進行方向の曲がる程度(曲げ幅)が大きいので、連続して進行方向を曲げて縫合することが難しい。その結果、ロボットを用いた腹腔鏡手術で従来の縫合針(丸針)8を用いて、効率的に巾着縫合を施すことができない。とくに、経験の浅い医師にとって、ロボットを用いた腹腔鏡手術で巾着縫合を施すことは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る医療用縫合針は、正面視においてS字状である。
【0009】
また、本発明に係る医療用縫合針は、腹腔鏡手術で用いられる回転機構を有する器具で保持されてもよい。
【0010】
また、本発明に係る医療用縫合針は、先端側に配置される第1の湾曲部と、基端側に配置される第2の湾曲部とを備え、前記第1の湾曲部の針が前記第2の湾曲部の針より長くてもよい。
【0011】
また、本発明に係る医療用縫合針は、先端側に配置される第1の湾曲部と、基端側に配置される第2の湾曲部とを備え、前記第1の湾曲部を規定する中心角が90度以上180度以下であって、前記第2の湾曲部を規定する中心角が72度以上135度以下であってもよい。
【0012】
また、本発明に係る医療用縫合針は、先端側に配置される第1の湾曲部と、基端側に配置される第2の湾曲部とを備え、前記第1の湾曲部を規定する中心角が前記第2の湾曲部を規定する中心角より大きくてもよい。
【0013】
また、本発明に係る医療用縫合針は、先端側に配置される第1の湾曲部と、基端側に配置される第2の湾曲部とを備え、前記第1の湾曲部を規定する中心角が135度であって、前記第2の湾曲部を規定する中心角が72度以上135度以下であってもよい。
【0014】
また、本発明に係る医療用縫合針付き縫合糸は、前記医療用縫合針と、医療用縫合糸とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、容易に巾着縫合できる医療用縫合針を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る医療用縫合針の構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る医療用縫合針の構成を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る医療用縫合針の動作を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る医療用縫合針の効果を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る医療用縫合針の効果を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る医療用縫合針の構成の一例を示す概要図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る医療用縫合針付き縫合糸の構成を示す概要図である。
【
図8】
図8は、従来の医療用縫合針の動作を説明するための図である。
【
図9】
図9は、従来の医療用縫合針の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係る医療用縫合針について、
図1~
図6を参照して説明する。
【0018】
<医療用縫合針の構成>
図1に、本実施の形態に係る医療用縫合針10の正面図を示す。
【0019】
本実施の形態に係る医療用縫合針10は、
図1に示すように、正面視でS字状に湾曲している。詳細には、医療用縫合針10は、先端11側の第1の湾曲部13と基端12側の第2の湾曲部14とを備える。
【0020】
医療用縫合針10において、先端(針先)11が尖っており、基端12に縫合糸(図示せず)を装着する。
【0021】
本体の断面形状について限定はなく、円形形状や三角形等の多角形形状等を適用することができる。また、当該断面形状は医療用縫合針10の長手方向に変化する形状でもよい。
【0022】
医療用縫合針10は、ステンレスを材料とする。材料は他に、例えば、ポリマー、合金または適切な剛性を有する材料であればよい。
【0023】
本体は、先端11に向かって径が小さくなるテーパー形状を有しており、先端11から1mm程度の範囲でテーパー形状を有する。
【0024】
基端12には、縫合糸(図示せず)を装着する部分であり、弾機孔(バネ孔)が設けられている。弾機孔は長細い穴の先端が先割れしており、縫合糸の側面を割れ目に押し付けて穴に通すことにより、縫合糸を医療用縫合針10に装着する。基端12には、弾機孔(バネ孔)に限らず、ナミ孔(普通孔)を設けてもよい。または、基端12の端面に所定の深さを持つ止まり穴を形成して、この止まり穴に縫合糸を挿入して基端12周辺部をかしめることで、縫合糸を医療用縫合針10に装着してもよい。
【0025】
医療用縫合針10の正面視での形状の詳細について、
図2を参照して説明する。
図2に、医療用縫合針10の中心軸がなす形状の一例を示す。図中、実線が医療用縫合針10の中心軸を示し、点線が湾曲部を構成する円弧を示す。
【0026】
半径RAの円弧Aと、円弧Aに接する半径RBの円弧Bが配置される。第1の湾曲部13が中心角θAの円弧Aより構成され、第2の湾曲部14が中心角θBの円弧Bより構成される。
【0027】
本実施の形態に係る医療用縫合針10では、第1の湾曲部13の曲率半径RAと、第2の湾曲部14の曲率半径RBとを、ともに12.74mm程度とする。
【0028】
また、第1の湾曲部13に対応する中心角θAを135度であり、第2の湾曲部14に対応する中心角θBを90度とする。
【0029】
その結果、第1の湾曲部13の針の長さは30mm程度であり、第2の湾曲部14の針の長さは20mm程度である。
【0030】
<医療用縫合針の動作>
本実施の形態に係る医療用縫合針10の動作の一例について、
図3を参照して説明する。
図3は、本実施の形態に係る医療用縫合針10を用いて腸管を巾着縫合する動作を示す模式図である。
【0031】
初めに、一方の鉗子2_1で医療用縫合針10を保持し、他方の鉗子2_2で腸管の管壁における端部の組織3を把持する。引き続き、医療用縫合針10を腸管の管壁の組織3に刺し入れて、組織3をすくう[
図3(a)]。
【0032】
次に、他方の鉗子2_2で組織3を撓ませて、組織3を複数の層に束ねながら、医療用縫合針10ですくう。これにより、医療用縫合針10で複数の層の組織3を束ねて刺通する[
図3(b)、(c)]。
【0033】
次に、医療用縫合針10を束ねた複数の層の組織3から一括で引き抜いて、束ねた複数の層の組織3に一括で縫合糸1を通す[
図3(d)]。
【0034】
上述の動作を続けて、腸管の管壁の端部(周縁)全体にわたって、束ねた複数の層の組織3に縫合糸1を通す[
図3(e)]。
【0035】
最後に、腸管の管壁の端部(巾着縫合部)で縫合糸1を絞って、結紮して巾着縫合を完了する[
図3(f)]。
【0036】
<効果>
本実施の形態に係る医療用縫合針10の効果について、
図4、
図5を参照して説明する。
【0037】
上述の巾着縫合の動作は、なみ縫いの動作に基づく。
図4に、一般的な手縫いによるなみ縫いの縫合動作の一例を示す。図中矢印は、縫合針の進行方向を示す。
【0038】
一般的な手縫いによるなみ縫いの動作では、初めに、縫合針5で対象物(例えば、布や生体組織など)6をすくう(刺通する)[
図4(a)]。
【0039】
次に、縫合針5の進行方向を連続して変え(曲げ)ながら、さらに、対象物を撓ませながら、複数の層の対象物6を束ねてすくう(刺通する)[
図4(b)~(d)]。このとき、縫合針5の基端付近で、指(例えば、親指と人差し指)7で複数の層の対象物6の末端を挟んで抑えながら(支持ながら)複数の層の対象物6を束ねてすくう。
【0040】
最後に、複数の層の対象物6から縫合針5を引き抜き、縫合糸1を一括で対象物6に通す[
図4(e)]。
【0041】
一方、腹腔鏡手術における縫合動作では、使用できる2本の鉗子のうち、一方の鉗子で縫合針を保持し、他方の鉗子で組織を把持する。そこで、手縫いによるなみ縫いと同様に縫合する場合、束ねた組織の末端を抑える鉗子が不足する。その結果、束ねた組織の末端を抑えることができないので、組織を束ねて縫合針を刺通して一括で縫合糸を通すことが難しく、効率的になみ縫い(巾着縫合)を施すことができない。
【0042】
また、腹腔鏡手術におけるなみ縫い(巾着縫合)に通常の縫合針(丸針)を用いる場合、束ねてすくう(刺通する)組織量が少ない。さらに、束ねてすくった後に、容易に次の動作に移行できない。その結果、縫合針の進行方向を連続して曲げて(変えて)すくう(刺通する)ことが困難である。
【0043】
このように、腹腔鏡手術において、従来の縫合針(丸針)を用いて、上述のなみ縫いに基づく巾着縫合を効率的に施すことは困難である。
【0044】
一方、本実施の形態に係る医療用縫合針10を用いる場合、
図5に示すように、初めに、医療用縫合針10で対象物(腸管の組織など)6をすくう(刺通する)[
図5(a)]。
【0045】
次に、医療用縫合針10の進行方向を連続して変え(曲げ)ながら、さらに、対象物を撓ませながら、複数の層の対象物6を束ねてすくう(刺通する)[
図5(b)~(d)]。
【0046】
最後に、複数の層の対象物6から医療用縫合針10を引き抜き、縫合糸1を一括で対象物6に通す[
図5(e)、(f)]。
【0047】
医療用縫合針10を用いる場合、複数の層の対象物6を束ねてすくうときに、医療用縫合針10のS字形状における第2の湾曲部14の凸部によって束ねた対象物(組織)6を抑える(支持する)ことができる[
図5(d)]。これにより、腹腔鏡手術において、組織を束ねて医療用縫合針10を刺通して一括で縫合糸を通すことができるので、なみ縫いに基づく巾着縫合を容易に(効率的に)施すことができる。
【0048】
また、医療用縫合針10を用いる場合、通常の縫合針(丸針)に比べて、容易に多くの組織量を束ねてすくうことができる。さらに、通常の縫合針(丸針)に比べて容易に進行方向を連続して変え(曲げ)ながら、すくう(刺通する)ことができる。これにより、なみ縫いに基づく巾着縫合を容易に(効率的に)施すことができる。
【0049】
表1に、本実施の形態に係る医療用縫合針10の形状の一例を示す。
【0050】
【0051】
医療用縫合針10の第1の湾曲部13における中心角は、90度以上180度以下であってもよい。第1の湾曲部13の湾曲形状について、「強弯」では、束ねて刺通する組織量が少ない。また、「弱々弯」では、刺通動作において回転動作を活かしきれず、十分な刺通性が得られない。したがって、第1の湾曲部13の湾曲形状は、「弱弯」であることが望ましい。
【0052】
医療用縫合針10の第2の湾曲部14における中心角は、72度以上135度以下であってもよい。第2の湾曲部14の湾曲形状について、直線形状では、狭い空間で束ねた組織を刺通した後、一括で縫合針を組織から抜くことが困難である。「強弯」では、一括で縫合針を組織から抜くときに縫合針が組織に引っ掛かって、他の湾曲形状の縫合針に比べて、容易に縫合針を抜くことができない。したがって、第2の湾曲部14の湾曲形状は、「弱弯」、「弱々弯」又は「弱々々弯」が容易に組織から抜くことができるので望ましい。さらに、「弱々弯」の方が容易に組織から抜くことができるので望ましい。
【0053】
以上より、本実施の形態に係る医療用縫合針のS字形状において、第1の湾曲部の湾曲形状が「弱弯」であり、第2の湾曲部の湾曲形状が「弱弯」、「弱々弯」又は「弱々々弯」であることが望ましい。さらに、第1の湾曲部の湾曲形状が「弱弯」であり、第2の湾曲部の湾曲形状が「弱々弯」であることがより望ましい。
【0054】
また、本実施の形態に係る医療用縫合針のS字形状において、第1の湾曲部の針が第2の湾曲部の針より長いことが望ましい。また、第1の湾曲部を規定する中心角が第2の湾曲部を規定する中心角より大きいことが望ましい。
【0055】
通常の腹腔鏡手術で用いる器具、例えば鉗子は、人間の手首に相当する回転機構を有さず回転機構を有さない。したがって、通常の腹腔鏡手術では、医療用縫合針を回転して刺通できないので、S字形状を有する医療用縫合針10を効果的に用いることができない。
【0056】
一方、ロボットを用いた腹腔鏡手術では、ロボットアーム等が人間の手首に相当する回転機構を有する。したがって、ロボットを用いた腹腔鏡手術では、医療用縫合針を回転して刺通できるので、狭い空間の手術で、S字形状を有する医療用縫合針10を効果的に用いることができる。
【0057】
このように、本実施の形態に係る医療用縫合針10は、腹腔鏡手術において回転機構を有する器具で保持されるときに顕著な効果を奏する。
【0058】
本実施の形態に係る医療用縫合針によれば、なみ縫いに基づく巾着縫合を容易に(効率的に)施すことができる。
【0059】
本実施の形態では、第1の湾曲部と第2の湾曲部が同一平面上にある例を示したが、これに限らない。
図6に示すように、第1の湾曲部を含む面と第2の湾曲部を含む面とが所定の角度θをなしてもよい。
【0060】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係る医療用縫合針付き縫合糸について、
図8を参照して説明する。
【0061】
<医療用縫合針付き縫合糸の構成>
図7に、本実施の形態に係る医療用縫合針付き縫合糸20の斜視図を示す。本実施の形態に係る医療用縫合針付き縫合糸20は、第1の実施の形態に係る医療用縫合針10と医療用縫合糸21を備える。
【0062】
医療用縫合針10は、本体と先端11と基端12とを備える。医療用縫合糸21は、基端12に設けられた止まり穴に挿入され、基端12周辺をかしめることで、医療用縫合針10に取り付けられる。医療用縫合糸21は、熱処理や接着剤などによって医療用縫合針10に取り付けられてもよい。
【0063】
医療用縫合糸21の素材はナイロンでモノフィラメント(単糸)であり、直径は0.05mmである。医療用縫合糸21の素材はこれに限らずポリエステル、シルクでもよく、ブレード(編糸)でもよい。直径は0.001mm~0.8mmでもよい。また、医療用縫合糸21は合成吸収糸でもよく、素材はモノフィラメントまたはブレードでもよい。
【0064】
本実施の形態に係る医療用縫合針付き縫合糸は、縫合において、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0065】
本発明に係る実施の形態おける医療用縫合針は、先端が円錐状になっている丸針、先端が三角錐状(彎曲の内側が尖っている)である角針先端が三角錐状(彎曲の外側が尖っている)である逆三角針、針の全体は円柱状で先端だけが三角錐状になっているテーパーカット針、又は先端をわずかに丸く鈍にした丸針である鈍針等でよい。また、先端は、断面が逆三角形である逆角針や、逆角針の先端(頂点)を除去したヘラ型でもよい。
【0066】
本発明に係る実施の形態おける医療用縫合針の長さは50mm程度としたが、これに限らない。医療用縫合針の長さは70mmでもよく、10mm~100mmでもよい。針径は50μm~1.5mmの範囲でよい。
【0067】
本発明の実施の形態に係る医療用縫合針は、通常の製造方法で製造される。例えば、ステンレス材を所定の長さに切断した後、縫合糸用の穴を形成する。次に、先端、本体(胴部)を湾曲部の形成を含めて加工し、研磨処理後に滅菌処理を施す。
【0068】
本発明の実施の形態では、第1の湾曲部と第2の湾曲部の湾曲形状が同じ曲率半径を有する例を示したが、これに限らず、第1の湾曲部と第2の湾曲部の湾曲形状が異なる曲率半径を有してもよい。
【0069】
本発明の実施の形態では、本発明の実施の形態に係る医療用縫合針を腸管の巾着縫合に適用する例を示したが、これに限らない。食道等の他の臓器における巾着縫合に適用してもよく、巾着縫合以外の他の縫合に適用してもよい。
【0070】
本発明の実施の形態では、医療用縫合針の構成、製造方法などにおいて、各構成部の構造、寸法、材料等の一例を示したが、これに限らない。医療用縫合針の機能を発揮し効果を奏するものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、外科手術に用いる医療用縫合針に関するものであり、腹腔鏡下手術に用いる医療機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 医療用縫合針