(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025115557
(43)【公開日】2025-08-07
(54)【発明の名称】ゲート装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20250731BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20250731BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20250731BHJP
【FI】
G07G1/12 361Z
G07G1/00 311E
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010068
(22)【出願日】2024-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中原 可南子
(72)【発明者】
【氏名】大谷 優奈
(72)【発明者】
【氏名】中司 文雄
(72)【発明者】
【氏名】岡野 昂輝
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智則
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142CA12
3E142CA17
3E142EA30
3E142FA03
3E142FA08
3E142GA02
3E142GA03
3E142GA17
3E142GA18
3E142GA32
3E142GA41
3E142JA01
(57)【要約】
【課題】サーバとの通信がオフラインの場合でも決済を終えた客の通過を許容できるようにする。
【解決手段】ゲート装置は、通路の通行を阻止するゲート機構と、読取手段と、問合せ手段と、解除手段と、処理手段とを備える。読取手段は、通路への進入口の手前で、客との取引の識別情報を読み取る。問合せ手段は、読取手段により読み取られた識別情報で識別される取引が決済を完了しているかサーバに問い合わせる。解除手段は、サーバから決済を完了している旨の応答があると、ゲート機構による通行阻止の状態を解除する。処理手段は、サーバへの問い合わせが不能な場合に、客が通路を通過し得るための処理を行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路の通行を阻止するゲート機構と、
前記通路への進入口の手前で、客との取引の識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記識別情報で識別される取引が決済を完了しているかサーバに問い合わせる問合せ手段と、
前記サーバから決済を完了している旨の応答があると、前記ゲート機構による通行阻止の状態を解除する解除手段と、
前記サーバへの問い合わせが不能な場合に、前記客が通路を通過し得るための処理を行う処理手段と、
を具備するゲート装置。
【請求項2】
前記処理は、店員を呼び出す処理を含む、請求項1記載のゲート装置。
【請求項3】
前記読取手段は、決済装置で取引が決済された際に発行されるレシートに記録された識別情報を読み取る手段である、請求項1又は2記載のゲート装置。
【請求項4】
前記識別情報は、前記決済装置で取引が決済された際の日付を含み、
前記処理手段は、前記識別情報に含まれている日付が現時点の日付と一致することを条件に、前記ゲート機構による通行阻止の状態を解除する、請求項3記載のゲート装置。
【請求項5】
前記通路への進入口の手前で取引の決済を実行する決済手段、
をさらに具備し、
前記解除手段は、さらに前記決済手段により取引の決済が実行されると前記ゲート機構による通行阻止の状態を解除する請求項1記載のゲート装置。
【請求項6】
通路の通行を阻止するゲート機構、を備えたゲート装置のコンピュータを、
前記通路への進入口の手前で、客との取引の識別情報を読み取る読取手段、
前記読取手段により読み取られた前記識別情報で識別される取引が決済を完了しているかサーバに問い合わせる問合せ手段、
前記サーバから決済を完了している旨の応答があると、前記ゲート機構による通行阻止の状態を解除する解除手段、及び、
前記サーバへの問い合わせが不能な場合に、前記客が通路を通過し得るための処理を行う処理手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ゲート装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品が陳列されている売場において、客が自らモバイル端末を操作して買上商品の登録を行い、その買上商品の会計も、売場とは別の会計場において客が自ら会計機を操作して行うようにした店舗システムが開発されている。スーパーマーケット等の量販店等においてこの種の店舗システムを導入することにより、会計場の混雑緩和を図ることができる。また、会計担当の店員(従業員)を減らせるので、人件費の削減も図ることができる。しかしその一方で、決済に店員が関わらないので、客が決済をせずに店を立ち去る不正が発生しやすいという懸念がある。
【0003】
そこで従来、会計場の出口へと通じる通路にゲート機構を設けて、通路の不正通行を阻止するようにしたゲート装置が提案されている。この種のゲート装置は、サーバとの通信によりゲート機構の通行阻止状態を維持したり解除したりすることができる。しかしこの種のゲート装置は、サーバとの通信がオフラインになるとゲート機構の通行阻止状態が解除されない、という懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、サーバとの通信がオフラインの場合でも決済を終えた客の通過を許容できるゲート装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、ゲート装置は、通路の通行を阻止するゲート機構と、読取手段と、問合せ手段と、解除手段と、処理手段とを備える。読取手段は、通路への進入口の手前で、客との取引の識別情報を読み取る。問合せ手段は、読取手段により読み取られた識別情報で識別される取引が決済を完了しているかサーバに問い合わせる。解除手段は、サーバから決済を完了している旨の応答があると、ゲート機構による通行阻止の状態を解除する。処理手段は、サーバへの問い合わせが不能な場合に、客が通路を通過し得るための処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る店舗システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、取引ファイルに記述される主要なデータを示す模式図である。
【
図3】
図3は、ゲート装置を構成する第1会計機及びゲート機構の要部回路構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、ゲート機構の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、ゲート装置のプロセッサが有する主要な機能構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、ゲート装置のプロセッサが実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図7】
図7は、ゲート装置のプロセッサが実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図8】
図8は、ゲート装置のプロセッサが実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図9】
図9は、ゲート装置の状態遷移の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、サーバとの通信がオフラインの場合でも決済を終えた客の通過を許容できるゲート装置の一実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、本実施形態は、取引対象者である客が自らモバイル端末を操作して買上商品の登録を行い、その買上商品の会計も客が自ら会計機を操作して行うようにした店舗システムのゲート装置を例示する。はじめに、店舗システムについて説明する。
【0009】
[店舗システムの概略説明]
図1は、一実施形態に係る店舗システム100の概略構成を示す模式図である。店舗システム100は、商品が陳列された売場に構築される売場システム10と、売場とは区分けされた会計場に構築される会計場システム20と、からなる。
【0010】
売場システム10は、複数台のモバイル端末11と、モバイルサーバ12とを含む。売場システム10は、複数台のモバイル端末11と、モバイルサーバ12とを、通信ネットワーク13のアクセスポイント14を介して無線で接続する。
【0011】
モバイル端末11は、タッチパネル、カメラ等の入出力デバイスと、アクセスポイント14と無線通信が可能な無線通信ユニットと、を備えた携帯型の情報端末である。例えば客が所有するスマートフォン、店舗から貸し出されるハンディターミナル若しくは貸出用スマートフォン、ショッピングカートに取り付けられたタブレット端末等がモバイル端末11となり得る。例えばスマートフォンの場合、売場システム10が導入された店舗での客の買物を支援するためのアプリケーションソフトウェア、いわゆる買物アプリをインストールすることによってモバイル端末11となる。
【0012】
モバイル端末11は、売場を移動しながら買上商品を集める客が操作者となる。客は、買上商品を入手する毎にモバイル端末11を操作して、その買上商品に係るデータを入力する。例えば客は、モバイル端末11のカメラで買上商品のバーコードをスキャニングすることにより、買上商品の商品コードを入力する。例えば客は、モバイル端末11のタッチパネルを操作することにより、買上商品の商品コード、買上点数等を入力する。モバイル端末11に入力された買上商品に係るデータは無線送信され、アクセスポイント14を介してモバイルサーバ12で受信される。
【0013】
モバイルサーバ12は、モバイル端末11を使用して買上商品を登録する客との取引を支援するためのコンピュータである。モバイルサーバ12は、複数の取引ファイル16を保存するための記憶領域を有する。取引ファイル16は、モバイル端末11を使用する客との取引毎に作成されるデータファイルである。
【0014】
図2は、取引ファイル16に記述される主要なデータを示す模式図である。図示するように取引ファイル16には、取引番号、取引日時、1以上の商品販売データ、合計データ、支払いデータ、決済完了フラグFa、通過フラグFb等が記述される。
【0015】
取引番号は、モバイル端末11を使用した取引を個々に識別するために発番される一意の番号である。例えば取引番号は、モバイル端末11を使用した取引が開始される毎に“1”ずつ増加する連続番号である。取引番号は、モバイル端末11を使用した取引の会計が指示される毎に“1”ずつ増加する連続番号であってもよい。取引番号は、その他のアルゴリズムに基づく一意の番号であってもよい。
【0016】
取引日時は、その取引が行われた日付及び時刻である。時刻は、取引が開始された時刻であってもよいし、取引の会計が指示された時刻であってもよい。
【0017】
商品販売データは、モバイル端末11に入力された買上商品に係るデータを基に作成される。商品販売データは、買上商品の商品コード、価格、買上点数、買上金額等を含む。商品コードは、モバイル端末11に入力された買上商品の識別コードである。価格は、各商品の商品コードと関連付けて当該商品の価格が設定されたPLU(Price Look Up)ファイルから取得した価格である。買上点数は、モバイル端末11に買上点数が入力された場合にはその点数であり、買上点数が入力されていない場合には“1”である。買上金額は、価格に買上点数を乗算して算出される金額である。
【0018】
合計データは、合計点数と合計金額のデータで構成される。合計点数は、取引ファイル16に含まれる商品販売データの買上点数の合計である。合計金額は、取引ファイル16に含まれる商品販売データの買上金額の合計である。
【0019】
支払いデータは、代金の支払い方法を識別するための支払い種別と、その支払い方法による支払い金額と、を含む。後述する会計機21において取引番号で特定される取引の決済が行われると、取引ファイル16に支払いデータが記述される。
【0020】
決済完了フラグFaは、当該取引ファイル16で管理される取引の決済が完了したか否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、決済を完了していないことを示す決済完了フラグFaを“0”とし、決済を完了したことを示す決済完了フラグFaを“1”とする。
【0021】
通過フラグFbは、当該取引ファイル16で管理される取引の対象者である客が出口へと通じる通路を通過したか否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、通路を通過していないことを示す通過フラグFbを“0”とし、通路を通過したことを示す通過フラグFbを“1”とする。
【0022】
図1の説明に戻る。
買物を終えた客は、会計を指示する操作をモバイル端末11に対して行う。会計を指示する操作が行われることにより、モバイル端末11の表示デバイスに会計用の機械可読コードが表示される。機械可読コードは、例えばバーコード又は二次元コードである。本実施形態では、機械可読コードをバーコードとする。以下では、会計用の機械可読コード(バーコード)を会計バーコードと称する。会計バーコードは、取引ファイル16を識別するための情報を含む。情報は、例えば取引番号である。客は、会計バーコードを会計機21のスキャナで読み取らせることにより、当該会計機21での決済が可能となる。会計機21での決済は、電子マネー決済、クレジットカード決済、コード決済等のキャッシュレス決済であってもよいし、現金による決済又は商品券等の金券による決済等であってもよい。
【0023】
なお、モバイル端末11にキャッシュレス決済用のアプリケーションソフトウェア、いわゆる決済アプリがインストールされている場合には、モバイル端末11での決済が可能である。決済は、電子マネー決済、クレジットカード決済、コード決済等のキャッシュレス決済である。客によりモバイル端末11に対してキャッシュレス決済のための操作が行われると、モバイル端末11から支払いデータが無線送信される。支払いデータは、代金支払い方法を示す支払い種別と支払い金額とを含む。例えば消費者が電子マネーを用いてキャッシュレス決済を行った場合には、電子マネーを示す支払い種別の情報と電子マネーによる支払い金額とを含む支払いデータが無線送信される。無線送信された支払いデータは、アクセスポイント14を介してモバイルサーバ12で受信される。
【0024】
会計場システム20は、複数台の会計機21と、店舗サーバ22と、アテンダント端末23とを含む。会計場システム20は、複数台の会計機21と店舗サーバ22とアテンダント端末23とを通信ネットワーク24で接続する。通信ネットワーク24は、例えばLANである。なお、
図1においてはアテンダント端末23を一台のみ示しているが、2台以上のアテンダント端末23を通信ネットワーク24に接続して、会計場システム20を構成してもよい。
【0025】
会計場システム20は、通信ネットワーク24に通信サーバ31を接続する。売場システム10は、通信ネットワーク13に通信サーバ32を接続する。店舗システム100は通信サーバ31と通信サーバ32との間をサーバ間ネットワーク30で接続する。このような接続により、会計場システム20における各会計機21及び店舗サーバ22と、売場システム10における各モバイル端末11及びモバイルサーバ12とは、相互間でデータを送受信することが可能となる。
【0026】
会計機21は、ゲート機構40を備えた第1会計機21-1と、ゲート機構40を備えていない第2会計機21-2と、を含む。ゲート機構40を備えた第1会計機21-1は、ゲート装置の一例である。ゲート装置、つまりはゲート機構40を備えた第1会計機21-1については後で詳細に説明する。
【0027】
第2会計機21-2は、モバイル端末11を操作して買上商品をセルフで登録した客との取引を決済するための機器である。第2会計機21-2は、POS(Point Of Sales)端末、決済端末等とも称される周知の会計機をそのまま適用できる。第2会計機21-2は、典型的には、客が自ら取引を決済するための操作を実行するセルフ式である。第2会計機21-2は、取引を決済するための操作を店員が行う対面式であってもよい。
【0028】
第2会計機21-2は、会計バーコードを読み取るためのスキャナを備える。スキャナで会計バーコードを読み取ることにより、第2会計機21-2は、その会計バーコードの情報により識別される取引ファイル16をモバイルサーバ12から取得する。そして第2会計機21-2は、その取引ファイル16のデータを基に取引を決済する。決済は、前述したように電子マネー決済、クレジットカード決済、コード決済等のキャッシュレス決済であってもよいし、現金による決済又は商品券等の金券による決済等であってもよい。
【0029】
第2会計機21-2は、取引を決済する毎に、取引番号、取引日時、商品販売データ、合計データ、支払いデータ等の取引の明細を記録したレシートを発行する。そして第2会計機21-2は、そのレシートに、バーコード又は二次元コードの機械可読コードを印刷する。当該機械可読コードは、レシートに記録された取引番号と取引日時とを含むものである。本実施形態では、機械可読コードをバーコードとする。以下では、レシートに印刷された機械可読コード(バーコード)をレシートバーコードと称する。
【0030】
レシートは、客が保有するモバイル端末11に電子レシートの形態で表示されてもよい。電子レシートには、紙を媒体とするレシートと同様に、取引番号、取引日時、商品販売データ、合計データ、支払いデータ等の取引の明細を記録した情報が含まれる。そして、この電子レシートにも、レシートバーコードが表示される。なお、取引の明細を記録した情報は表示されず、レシートバーコードだけがモバイル端末11に表示されてもよい。
【0031】
店舗サーバ22は、各会計機21において決済された取引のデータを、通信ネットワーク24を介して収集し集計することにより、商品販売時点における店舗の売上、在庫等の情報を管理するサービス等を行うコンピュータである。
【0032】
アテンダント端末23は、アテンダントと称される店員が常駐するアテンダントカウンタに設置される。アテンダント端末23は、表示デバイスを備え、アテンダントが各会計機21に対する入力内容等を監視するために使用される。具体的にはアテンダント端末23は、表示デバイスにおいて会計機21別に、その会計機21でそれぞれ処理されている情報をリアルタイムに表示する。表示デバイスに表示される情報は、会計機21で決済された取引の商品販売データ、例えば商品名、価格、数量等を含む。また、取引の合計金額(決済金額)、支払方法別の代金支払金額等も表示デバイスに表示される。アテンダント端末23は、店員が携帯するハンディ型の端末であってもよい。
【0033】
[ゲート装置の構成説明]
図3は、ゲート装置を構成する第1会計機21-1及びゲート機構40の要部回路構成を示すブロック図である。第1会計機21-1は、プロセッサ51、メインメモリ52、補助記憶デバイス53、時計54、通信インターフェース55、タッチパネル56、固定スキャナ57、プリンタ58、スキャナインターフェース59、カードリーダインターフェース60、釣銭機インターフェース61、ゲート機構インターフェース62及びシステム伝送路63等を備える。システム伝送路63は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路63は、プロセッサ51と他の各部とを接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0034】
第1会計機21-1は、プロセッサ51と、メインメモリ52、補助記憶デバイス53、時計54及び通信インターフェース55とを、システム伝送路63で接続することにより、コンピュータを構成する。そしてシステム伝送路63に、タッチパネル56、固定スキャナ57、プリンタ58等の入出力デバイス及びスキャナインターフェース59、カードリーダインターフェース60、釣銭機インターフェース61、ゲート機構インターフェース62等のデバイスインターフェースを接続し、コンピュータで制御することにより、第1会計機21-1としての機能を実現している。なお、システム伝送路63に接続される入出力デバイスまたはデバイスインターフェースは、上記のものに限定されない。例えばキーボード等の他の入出力デバイスが接続されてもよいし、キャッシュレス決済端末のインターフェース等が接続されてもよい。
【0035】
プロセッサ51は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ51は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、ゲート装置としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ51は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ51は、複数のプロセッサコアを含み、複数の処理を並行して実行することが可能なマルチコア・プロセッサであることが好ましい。
【0036】
メインメモリ52は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ52は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ52は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ52は、プロセッサ51が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ52は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ51によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0037】
補助記憶デバイス53は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(登録商標)(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス53となり得る。補助記憶デバイス53は、プロセッサ51が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ51での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス53は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0038】
時計54は、日付と時刻を計時する。プロセッサ51は、時計54によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0039】
通信インターフェース55は、通信ネットワーク24に接続された店舗サーバ22、アテンダント端末23、通信サーバ31等との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0040】
タッチパネル56は、第1会計機21-1の表示デバイスとして機能するディスプレイと入力デバイスとして機能するタッチセンサとを含む。タッチパネル56は、第1会計機21-1のユーザである客又は店員に対して種々の情報をディスプレイに表示する。タッチパネル56は、ディスプレイの画面に対するタッチ操作をタッチセンサで検知して、そのタッチ位置に応じた入力を受け付ける。
【0041】
固定スキャナ57は、バーコード又は二次元コード等の機械可読コードをスキャニングして読み取る入力デバイスである。固定スキャナ57は、レシートに印刷されたレシートバーコード、モバイル端末11のディスプレイに表示された会計バーコード又はレシートバーコード等を読み取ることができる。固定スキャナ57は、店員が携帯するIDカードにプリントされた機械可読コードを読み取ることも可能である。店員が携帯するIDカードには、その店員固有の識別コード、いわゆる店員コードを示す機械可読コードがプリントされている。
【0042】
プリンタ58は、レシートを印刷し発行するための印字デバイスである。レシートは、取引番号、取引日時、商品販売データ、合計データ、支払いデータ等の取引の明細を記録した紙媒体である。
【0043】
スキャナインターフェース59は、ハンディスキャナ71(
図4を参照)とデータ通信を行うことが可能なインターフェースである。ハンディスキャナ71は、携帯型のスキャナであり、固定スキャナ57と同様に機械可読コードをスキャニングして読み取る入力デバイスである。
【0044】
カードリーダインターフェース60は、カードリーダとデータ通信を行うことが可能なインターフェースである。カードリーダは、例えばクレジットカード、電子マネーカード、ポイントカード等のカード媒体に記録されたデータを読み取る入力デバイスである。カードリーダは、ICカードのデータを読み取るICカードリーダであってもよいし、磁気カードのデータを読み取る磁気カードリーダであってもよい。ICカードリーダは、接触式のICカードリーダであってもよいし、非接触式のICカードリーダであってもよい。
【0045】
釣銭機インターフェース61は、預り金の入金及び釣銭の払出しが可能な自動釣銭機とデータ通信を行うことが可能なインターフェースである。
【0046】
ゲート機構インターフェース62は、ゲート機構40が備える機器、例えば人感センサ41、パトランプ42、LED43、スピーカ44、ディスプレイ45等とそれぞれデータ通信を行うことが可能なインターフェースである。
【0047】
[ゲート機構の構成説明]
図4は、第1会計機21-1と1対1で対応付けられるゲート機構40の一例を示す斜視図である。ゲート機構40は、略直方体の形状をなす筐体400を有する。筐体400は、客が図示矢印の方向に進む通路PAに沿って配置される。通路PAは、図示矢印方向に進む客が進入する側を入口とし、客が退出する側を出口とする。入口から進入した客は、通路PAを通って出口から出ることにより、例えば店内から店外へと退出することができる。あるいは客は、店内の一部の場所から別の場所へと移動することができる。
【0048】
筐体400は、通路PAの床面に接地する面の四辺から上方に延伸する4つの面のうち、通路PAに沿って配置された一面を側面401とし、店内側を向けて配置された一面を正面402とし、通路PAの床面に接地する面と対向した一面を上面403とする。そして、正面402と上面403との接合部を第1会計機21-1のフォルダ404とする。
【0049】
フォルダ404は、第1会計機21-1のプリンタ58と固定スキャナ57とタッチパネル56とを保持する。具体的にはフォルダ404は、レシートの発行口581が正面402側となるようにプリンタ58を保持する。フォルダ404は、プリンタ58の上部において、読取窓571が正面402側となるように固定スキャナ57を保持する。フォルダ404は、固定スキャナ57の上部において、画面561が正面402側となるようにタッチパネル56を保持する。このような配置により、ゲート機構40の正面に立つ客は、例えば発行口581から発行されるレシートを容易に受け取ることができる。また客は、レシートバーコード又は会計バーコード等を固定スキャナ57の読取窓571に容易に翳すことができる。また客は、タッチパネル56に表示される画像を見てタッチ操作することができる。
【0050】
フォルダ404の側面401とは反対側の側面には、スキャナインターフェース59に接続されたハンディ型のスキャナ、いわゆるハンディスキャナ71が係止されている。また、図示しないが、カードリーダインターフェース60に接続されたカードリーダ、釣銭機インターフェース61に接続された自動釣銭機等も筐体400の近くに配置されている。例えばカードリーダは、筐体400の上面403に配置されていてもよい。
【0051】
筐体400の上面403には、パトランプ42とディスプレイ45が取り付けられている。パトランプ42は、筐体400の正面402とは反対側の面、いわゆる裏面に近い側の上面403において、床面に対して鉛直方向に取り付けられたポール421の頂部に設けられている。そして、このポール421の手前側に、画面451を正面402側に向けてディスプレイ45が配置されている。ディスプレイ45は、タッチパネル56よりも画面が小さい表示デバイスであってもよい。
【0052】
人感センサ41、LED43、及びスピーカ44は、筐体400に内蔵されている。筐体400は、通路PAに沿った側面401に、人感センサ41用のスリット405と、LED43用のスリット406とを形成している。人感センサ41は、スリット405の位置を通過する人物の動き又は熱を感知する赤外線センサである。人感センサ41は、赤外線以外の方法でスリット405の位置を通過する人物を検知してもよい。LED43は、客に対して通路PAを矢印方向に進むように案内するための光がスリット406から漏れるように、所定の色とパターンで点灯または点滅する。
【0053】
以下では、通路PAにおいて、客が進入する入口側、すなわちタッチパネル56、固定スキャナ57等が設けられている側を上流と表し、その反対の出口側、すなわちディスプレイ45、パトランプ42等が設けられている側を下流と表す。
【0054】
かかる構成のゲート機構40と1対1で対応するように筐体400に設けられた第1会計機21-1は、客が図示矢印の方向に進む通路PAの上流において、客との取引を決済することが可能な決済装置の一例である。なお、第1会計機21-1を構成するタッチパネル56、固定スキャナ57、プリンタ58等の筐体400に対する位置関係は、
図4に示すものに限定されない。要は、通路PAの上流に位置する客が操作しやすい位置にタッチパネル56、固定スキャナ57、プリンタ58等が配置されていればよい。
【0055】
[ゲート装置の機能説明]
図3に示すように、第1会計機21-1のプロセッサ51は、ゲート機構インターフェース62を介して接続されるゲート機構40をも制御する。すなわち第1会計機21-1のプロセッサ51は、ゲート装置のプロセッサ51であると言い換えることができる。
【0056】
図5は、ゲート装置のプロセッサ51が有する主要な機能構成を示す模式図である。図示するようにプロセッサ51は、読取手段511、問合せ手段512、解除手段513、決済手段514及び処理手段515としての機能を有する。
【0057】
読取手段511は、通路への進入口の手前で、客との取引の識別情報を読み取る機能である。識別情報は、レシートに記録された取引番号と取引日時とを含む機械可読コード、すなわちレシートバーコードである。読取手段511は、固定スキャナ57の読取窓571に翳されたレシートバーコードを読み取る。
【0058】
問合せ手段512は、読取手段511により読み取られた識別情報、すなわちレシートバーコードに含まれる取引番号と取引日時とにより識別される取引が決済を完了しているかサーバに問い合わせる機能である。サーバは、モバイルサーバ12である。モバイルサーバ12は、取引ファイル16を記憶している。この取引ファイル16の決済完了フラグFaは、第2会計機21-2で取引が決済されると“1”となる。モバイルサーバ12は、レシートバーコードに含まれる取引番号と取引日時とが記述された取引ファイル16の決済完了フラグFaが“1”になっている場合に、取引が決済を完了している旨をゲート装置に応答する。
【0059】
解除手段513は、モバイルサーバ12から取引が決済を完了している旨の応答があると、ゲート機構40による通行阻止の状態を一時的に解除する機能である。具体的には解除手段513は、人感センサ41が人の通過を検知しても、警告を発しないようにする。また解除手段513は、客に対して通路PAを矢印方向に進むように案内するための画像をディスプレイ45に表示する。さらに解除手段513は、通路PAを矢印方向に進むように案内するための光がスリット406から漏れるように、LED43を制御する。かくして、ゲート機構40による通行阻止の状態が解除される。なお、ゲート機構40は、一定時間が経過すると通行阻止の状態に戻る。
【0060】
決済手段514は、客が通過する通路PAの上流において、当該客との取引を決済する機能である。決済手段514は、固定スキャナ57で会計バーコードを読み取ることにより、その会計バーコードの情報で識別される取引ファイル16をモバイルサーバ12から取得する。そして決済手段514は、その取引ファイル16のデータを基に取引を決済する。例えば固定スキャナ57によりコード決済用の機械可読コードが読み取られると、決済手段514は、取引の代金をコード決済用の残高で支払うコード決済処理を実行する。例えばカードリーダにより電子マネーカードが読み取られると、決済手段514は、取引の代金を電子マネーで支払う電子マネー決済処理を実行する。例えばカードリーダによりクレジットカードが読み取られると、決済手段514は、取引の代金を口座の残高で支払うクレジットカード決済処理を実行する。例えば自動釣銭機に現金が投入されると、決済手段514は、取引の代金を投入金額で支払う現金決済処理を実行する。
【0061】
処理手段515は、問合せ手段512によるサーバへの問い合わせが不能な場合に、オフライン時の処理として客が通路を通過し得るための処理を行う機能である。処理手段515は、照合手段5151、許可手段5152及び呼出手段5153としての機能を含む。
【0062】
照合手段5151は、レシートバーコードに含まれる取引日付が、時計54によって計時されている現在の日付と一致するか照合する機能である。許可手段5152は、取引日付が現在の日付と一致する場合に、通路の通過を許可する機能である。具体的には、解除手段513と同様に、人感センサ41が人の通過を検知しても、警告を発しないようにする。また許可手段5152は、客に対して通路PAを矢印方向に進むように案内するための画像をディスプレイ45に表示し、通路PAを矢印方向に進むように案内するための光がスリット406から漏れるように、LED43を制御する。
【0063】
呼出手段5153は、店員を呼び出すための処理を行う。具体的には呼出手段5153は、アテンダント端末23に対して店員呼出信号を送信する。また、タッチパネル56及びディスプレイ45に対して店員呼出中であることを客に通知するための画像を表示する。店員を呼び出すことで、客は通路PAを通過することが可能となる。すなわち店員は、客が所有するレシートをチェックして決済を終えていることを確認すると、手動で、ゲート機構40による通行阻止の状態を一時的に解除する。そうすることにより、決済を終えた客は、オフライン時においても通路PAを通過して出口から退出することができる。なお、店員を呼び出すための処理の他の例として、ゲート装置のプロセッサ51は、スピーカ44を介して店員を呼び出すための音声を出力させるようにしてもよい。、また、ゲート装置は、当該パトランプ42を点灯又は点滅させる信号を出力し、店員を呼び出すための処理としてもよい。
【0064】
以上の読取手段511、問合せ手段512、解除手段513、決済手段514及び処理手段515としての機能は、プロセッサ51が所定のプログラムに従って実行する情報処理によって実現される。以下では、このプログラムをゲート装置プログラムと称する。ゲート装置プログラムは、メインメモリ52又は補助記憶デバイス53に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。ゲート装置プログラムをメインメモリ52又は補助記憶デバイス53にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体にゲート装置プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信によりゲート装置プログラムを配信して、メインメモリ52又は補助記憶デバイス53にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0065】
[ゲート装置の動作説明]
図6乃至
図8は、ゲート装置のプロセッサ51がゲート装置プログラムに従って実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。
図9は、この手順に基づくゲート装置の状態遷移の一例を示すシーケンス図である。以下、
図6乃至
図9を用いてゲート装置の主要な動作を説明する。なお、
図6乃至
図8の流れ図で示した情報処理の手順は一例である。また、
図9に示すゲート装置の状態遷移も一例である。本実施形態と同様の作用効果を奏し得るのであれば、手順は適宜変更することができる。
【0066】
プロセッサ51は、
図6のACT1としてゲート機構40の動作モードを通行不可モードとする。ゲート機構40の動作モードを通行不可モードとすることにより、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、通行不可画像が表示される(
図9:Sa)。
【0067】
例えば、タッチパネル56の画面561には、通路PAの入口側に来た客に対してバーコードを固定スキャナ57でスキャンさせることを指示するテキストが表示される。テキストとともに、例えば人が固定スキャナ57にバーコードを翳しているイラスト等が表示されてもよい。ディスプレイ45の画面451には、通路PAを通行できないことを示すテキストと、「×」印が点滅している画像が表示される。この状態で、人感センサ43が人物の通過を検知すると、警告が発せられる。例えば、スピーカ44から警報用の音が発せられるともに、パトランプ42が例えば赤色に点灯する。
【0068】
通行不可画像を確認した客は、バーコードを固定スキャナ57でスキャンさせる。具体的には、第2会計機21-2で決済を終えている客は、第2会計機21-2から発行されたレシートのレシートバーコードを固定スキャナ57でスキャンさせる。決済を終えていない客は、モバイル端末11の表示デバイスに表示されている会計バーコードを固定スキャナ57でスキャンさせる。
【0069】
ゲート機構40の動作モードを通行不可モードとしたプロセッサ51は、ACT2としてバーコードがスキャンされるのを待ち受ける。固定スキャナ57でバーコードがスキャンされると、プロセッサ51は、ACT3へと進む。プロセッサ51は、ACT3として会計バーコードがスキャンされたか否かを確認する。会計バーコードがスキャンされていない場合には、プロセッサ51は、ACT4としてレシートバーコードがスキャンされたか否かを確認する。会計バーコード又はレシートバーコード以外のバーコードがスキャンされた場合には、プロセッサ51は、そのバーコードの種類に応じた処理を実行する。例えば店員が携帯するIDカードにプリントされたバーコードがスキャンされた場合には、店員モードの処理を実行する。店員モードの処理は、例えば機器のメンテナンスを行うための処理である。
【0070】
ACT2の待ち受け状態において、固定スキャナ57でレシートバーコードがスキャンされると、プロセッサ51は、ACT5へと進む。プロセッサ51は、ACT5としてそのレシートバーコードを解析して、取引番号と取引日時とを取得する。そしてプロセッサ51は、ACT6として取引ファイル要求コマンドを出力するように通信インターフェース55を制御する。この制御により、ゲート装置からモバイルサーバ12へと取引ファイル要求コマンドが出力される(
図9:Sb)。
【0071】
取引ファイル要求コマンドは、通信サーバ31からサーバ間ネットワーク30を介してモバイルサーバ12へと送信される。取引ファイル要求コマンドには、レシートバーコードから取得した取引番号と取引日時とが含まれる。モバイルサーバ12は、取引ファイル16を検索して、取引ファイル要求コマンドに含まれる取引番号と取引日時とが記述された取引ファイル16を取得する。モバイルサーバ12は、その取引ファイル16を取引ファイル要求コマンド送信元のゲート装置へと送信する(
図9:Sc)。
【0072】
取引ファイル要求コマンドを送信したゲート装置のプロセッサ51は、ACT7へと進む。プロセッサ51は、ACT7としてモバイルサーバ12との通信回線がオフラインであるか否かを確認する。オフラインでない場合、プロセッサ51は、ACT8へと進む。プロセッサ51は、ACT8として取引ファイル16を受信するのを待ち受ける。
【0073】
取引ファイルを受信すると、プロセッサ51は、ACT9へと進む。プロセッサ51は、ACT9としてその取引ファイルに記述されている決済完了フラグFaを調べる。決済完了フラグFaが“1”であると、プロセッサ51は、ACT10へと進む。プロセッサ51は、ACT10としてゲート機構40の動作モードを通行許可モードとする。ゲート機構40の動作モードを通行許可モードとすることにより、人感センサ41によって人物が検知されても警告は発せられない。また、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、通行許可画像が表示される(
図9:Sd)。
【0074】
例えば、タッチパネル56の画面561には、通路PAの通行が許可されたことを示す画像とテキストが表示される。ディスプレイ45の画面451には、通路PAの通行を許容するテキストと、「〇」印が点滅している画像が表示される。「〇」印の代わりに通行可能な時間の残り時間が表示されてもよい。さらに、客に対して通路PAを矢印方向に進むように案内するための光がスリット406から漏れるように、LED43が発光する。
【0075】
ゲート機構40の動作モードを通行許可モードとしたプロセッサ51は、ACT11へと進む。プロセッサ51は、ACT11として通行許可時間が経過するのを待ち受ける。通行許可時間は、入口から進入した人物が通路PAを通って出口から退出するのに要する十分な時間である。通行許可時間は、例えば5~10秒程度の任意の時間である。なお、通行許可時間の長さは特に限定されるものではない。
【0076】
通行許可時間が経過するのを待ち受けている間、プロセッサ51は、ACT12として人感センサ41を監視する。人感センサ41により人物の通過が検知されると、プロセッサ51は、ACT13へと進む。プロセッサ51は、ACT13として通過通知コマンドを出力するように通信インターフェース55を制御する。この制御により、ゲート装置からモバイルサーバ12へと通過通知コマンドが出力される(
図9:Se)。
【0077】
通過通知コマンドは、通信サーバ31からサーバ間ネットワーク30を介してモバイルサーバ12へと送信される。通過通知コマンドには、レシートバーコードから取得した取引番号と取引日時とが含まれる。モバイルサーバ12は、通過通知コマンドに含まれる取引番号と取引日時とによって特定される取引ファイル16の通過フラグFbを“1”に変更する(
図9:Sf)。
【0078】
通行許可時間が経過すると、プロセッサ51は、ACT1へと戻る。すなわちプロセッサ51は、ゲート機構40の動作モードを通行不可モードとする。ゲート機構40の動作モードを通行不可モードとすることにより、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、再び通行不可画像が表示される(
図9:Sg)。以後、プロセッサ51は、ACT2以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0079】
ここに、プロセッサ51は、ACT2乃至ACT4の処理により読取手段511としての機能を実現する。プロセッサ51は、ACT5及びACT6の処理により問合せ手段512としての機能を実現する。プロセッサ51は、ACT8乃至ACT11の処理により解除手段513としての機能を実現する。
【0080】
なお、レシートバーコードで識別される取引ファイル16は、第2会計機21-2で決済が完了した取引のデータファイルである。このため、ACT8において取引ファイル16を受信できなかった場合、あるいはACT9において決済完了フラグFaが“0”の取引ファイル16を受信した場合には、システムエラーが発生していると考えられる。この場合、プロセッサ51は、ACT14へと進む。
【0081】
プロセッサ51は、ACT14として店員呼出処理を実行する。すなわちプロセッサ51は、アテンダント端末23に対して店員呼出信号を送信する。またプロセッサ51は、タッチパネル56及びディスプレイ45に対して店員呼出画像の表示を制御する。この制御により、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、それぞれ店員呼出画像が表示される。
【0082】
店員呼出信号を受信したアテンダント端末23は、アテンダントに呼出しがあることを報知する。この報知を受けて、アテンダントである店員は、システムエラーに対する処置等を行えばよい。
【0083】
ところで、ACT6において取引ファイル要求コマンドを送信したが、例えばサーバ間ネットワーク30で通信障害が発生してモバイルサーバ12との通信回線がオフラインになることがある(
図9:Sh)。この場合、プロセッサ51は、
図7のACT21へと進む。
【0084】
プロセッサ51は、ACT21としてレシートバーコードから取引日付Daを取得する。またプロセッサ51は、ACT22として時計54によって計時されている現在の日付Dbを取得する。そしてプロセッサ51は、ACT23として取引日付Daと現在の日付Dbとを照合して両日付が一致しているかを確認する(
図9:Si)。
【0085】
取引日付Daが現在の日付Dbと一致する場合、プロセッサ51は、ACT24へと進む。プロセッサ51は、ACT24としてゲート機構40の動作モードを通行許可モードとする。ゲート機構40の動作モードを通行許可モードとすることにより、人感センサ41によって人物が検知されても警告は発せられない。また、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、前述した通行許可画像が表示される(
図9:Sj)。
【0086】
かくして、モバイルサーバ12との通信回線がオフラインになってしまっても、客は、レシートの取引日付が本日の日付であることを条件に、通路PAを通って出口から退出することができる。
【0087】
ゲート機構40の動作モードを通行許可モードとしたプロセッサ51は、ACT25へと進む。プロセッサ51は、ACT25として通行許可時間が経過するのを待ち受ける。通行許可時間は、ACT11において説明した通行許可時間と同一の時間である。プロセッサ51は、通行許可時間が経過するのを待ち受けている間、ACT26として人感センサ41を監視する。人感センサ41により人物の通過が検知されると、プロセッサ51は、ACT27へと進む。プロセッサ51は、ACT27として通過履歴データを記憶する(
図9:Sk)。
【0088】
通過履歴データは、レシートバーコードの取引番号と取引日時とを含むデータである。通過履歴データは、例えば補助記憶デバイス53で記憶される。そしてモバイルサーバ12との回線が復旧すると、通過履歴データはモバイルサーバ12へと送信される。モバイルサーバ12は、通過履歴データに含まれる取引番号と取引日時とによって特定される取引ファイル16の通過フラグFbを“1”に変更する。
【0089】
通行許可時間が経過すると、プロセッサ51は、
図6のACT1へと戻る。すなわちプロセッサ51は、ゲート機構40の動作モードを通行不可モードとする。ゲート機構40の動作モードを通行不可モードとすることにより、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、再び通行不可画像が表示される(
図9:Sm)。以後、プロセッサ51は、ACT2以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0090】
一方、ACT23において、取引日付Daが現在の日付Dbと一致しなかった場合には、プロセッサ51は、ACT28へと進む。プロセッサ51は、ACT28として店員呼出処理を実行する。すなわちプロセッサ51は、アテンダント端末23に対して店員呼出信号を送信する。またプロセッサ51は、タッチパネル56及びディスプレイ45に対して店員呼出画像の表示を制御する。この制御により、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、それぞれ店員呼出画像が表示される(
図9:Sn)。
【0091】
店員呼出信号を受信したアテンダント端末23は、アテンダントに呼出しがあることを報知する。この報知を受けて、アテンダントである店員は、ゲート装置の場所まで行って客が所持するレシートを確認する。このような事象は、例えば午前0時よりも前に第2会計機21-2で取引決済した客が午前0時以降にレシートバーコードを固定スキャナ57で読み取らせた場合に生じ得る。店員は、客が所持するレシートの正当性を確認する。そして、決済を終えた正当なレシートであることを確認すると、店員は、手動でゲート機構40による通行阻止の状態を一時的に解除する。かくして決済を終えた客は、オフライン時においても通路PAを通過して出口から店外へと出ることができる。
【0092】
ここに、プロセッサ51は、ACT21乃至ACT28の処理により、処理手段515としての機能を実現する。具体的には、プロセッサ51は、ACT21乃至ACT23の処理により、照合手段5151としての機能を実現し、ACT24及びACT25の処理により、許可手段5152としての機能を実現し、ACT28の処理により、呼出手段5153としての機能を実現する。
【0093】
図6の説明に戻る。
ACT2の待ち受け状態において、会計バーコードがスキャンされた場合には、プロセッサ51は、
図8のACT31へと進む。プロセッサ51は、ACT31として取引ファイル要求コマンドを出力するように通信インターフェース55を制御する。この制御により、取引ファイル要求コマンドが出力される。取引ファイル要求コマンドには、会計バーコードから取得した取引ファイル16を識別するための情報、例えば取引番号が含まれている。
【0094】
取引ファイル要求コマンドは、通信サーバ31からサーバ間ネットワーク30を介してモバイルサーバ12へと送信される。モバイルサーバ12は、取引ファイル16を検索して、取引ファイル要求コマンドに含まれる取引番号が記述された取引ファイル16を取得する。モバイルサーバ12は、その取引ファイル16を取引ファイル要求コマンド送信元のゲート装置へと送信する。
【0095】
取引ファイル要求コマンドを送信したゲート装置のプロセッサ51は、ACT32へと進む。プロセッサ51は、ACT32としてモバイルサーバ12との通信回線がオフラインであるか否かを確認する。オフラインでない場合、プロセッサ51は、ACT33へと進む。プロセッサ51は、ACT33として取引ファイル16を受信するのを待ち受ける。
【0096】
取引ファイル16を受信すると、プロセッサ51は、ACT34へと進む。プロセッサ51は、ACT34としてその取引ファイル16を解析する。客が第2会計機21-2で決済を行っていない場合、取引ファイル16の決済完了フラグFaは“0”である。プロセッサ51は、ACT35として決済完了フラグFaを調べる。決済完了フラグFaが“0”であった場合には、プロセッサ51は、ACT36へと進む。プロセッサ51は、ACT36として取引ファイル16のデータを基に決済処理を実行する。例えば固定スキャナ57によりコード決済用の機械可読コードが読み取られると、プロセッサ51は、取引の代金をコード決済用の残高で支払うコード決済処理を実行する。例えばカードリーダにより電子マネーカードが読み取られると、プロセッサ51は、取引の代金を電子マネーで支払う電子マネー決済処理を実行する。例えばカードリーダによりクレジットカードが読み取られると、プロセッサ51は、取引の代金を口座の残高で支払うクレジットカード決済処理を実行する。例えば自動釣銭機に現金が投入されると、プロセッサ51は、取引の代金を投入金額で支払う現金決済処理を実行する。
【0097】
決済処理を終えると、プロセッサ51は、ACT37へと進む。他方、ACT35において決済完了フラグFaが“1”であった場合には、プロセッサ51は、ACT36の処理をスキップしてACT37へと進む。
【0098】
プロセッサ51は、ACT37としてゲート機構40の動作モードを通行許可モードとする。ゲート機構40の動作モードを通行許可モードとすることにより、人感センサ41によって人物が検知されても警告は発せられない。また、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、前述した通行許可画像が表示される。
【0099】
ゲート機構40の動作モードを通行許可モードとしたプロセッサ51は、ACT38へと進む。プロセッサ51は、ACT38として通行許可時間が経過するのを待ち受ける。通行許可時間は、ACT11又はACT25において説明した通行許可時間と同一の時間である。プロセッサ51は、通行許可時間が経過するのを待ち受けている間、ACT39として人感センサ41を監視する。人感センサ41により人物の通過が検知されると、プロセッサ51は、ACT40へと進む。プロセッサ51は、ACT40として通過通知コマンドを出力するように通信インターフェース55を制御する。この制御により、ゲート装置からモバイルサーバ12へと通過通知コマンドが出力される。通過通知コマンドも、ACT13において説明した通過通知コマンドと同一のコマンドである。したがって、モバイルサーバ12は、通過通知コマンドに含まれる取引番号と取引日時とによって特定される取引ファイル16の通過フラグFbを“1”に変更する。
【0100】
通行許可時間が経過すると、プロセッサ51は、
図6のACT1へと戻る。すなわちプロセッサ51は、ゲート機構40の動作モードを通行不可モードとする。ゲート機構40の動作モードを通行不可モードとすることにより、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、再び通行不可画像が表示される。以後、プロセッサ51は、ACT2以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0101】
一方、ACT32において、モバイルサーバ12との通信回線がオフラインであった場合、あるいはACT33において会計バーコードで特定される取引ファイル16を取得できなかった場合には、プロセッサ51は、決済を完了している客か否かを判断することができない。プロセッサ51は、ACT41として店員呼出処理を実行する。すなわちプロセッサ51は、アテンダント端末23に対して店員呼出信号を送信する。またプロセッサ51は、タッチパネル56及びディスプレイ45に対して店員呼出画像の表示を制御する。この制御により、タッチパネル56の画面561及びディスプレイ45の画面451には、それぞれ店員呼出画像が表示される。
【0102】
店員呼出信号を受信したアテンダント端末23は、アテンダントに呼出しがあることを報知する。この報知を受けて、アテンダントである店員は、ゲート装置の場所まで行く。そして客が決済を終えていない場合には、例えば第2会計機21-2で決済を行うように指示する。これに対し、客が決済を終えていた場合には、店員は、手動でゲート機構40による通行阻止の状態を一時的に解除する。かくして決済を終えた客は、通路PAを通過して出口から店外へと出ることができる。
【0103】
ここに、プロセッサ51は、ACT36の処理により、決済手段514としての機能を実現する。
【0104】
以上詳述したように、本実施形態のゲート装置は、通路PAへの進入口の手前に固定スキャナ57を設ける。第2会計機21-2で会計を終えた客は、その第2会計機21-2から発行されたレシートに印刷されているバーコードを固定スキャナ57で読み取らせる。バーコードを読み取った固定スキャナ57は、モバイルサーバ12に問合せを行う。なお、バーコードを読み取るスキャナは、ハンディスキャナ71であってもよい。
モバイルサーバ12は、バーコードから識別されるレシートが第2会計機21-2で会計を終えた客に対して発行された正当なレシートであるか確認する。その結果、レシートの正当性が確認されると、ゲート装置は、ゲート機構40の通行阻止状態を解除する。かくして、決済を終えた客だけが通路PAを通って出口から会計場の外に退出することができる。
しかしこの種のゲート装置は、モバイルサーバ12との通信がオフラインになるとゲート機構40の通行阻止状態が解除されない、という懸念がある。この点に関して本実施形態のゲート装置は、モバイルサーバ12との通信がオフラインのときには、レシートの日付と現在の日付とを照合する。そして、レシートの日付が現在の日付と一致している場合には、ゲート機構40の通行阻止状態を解除する。したがって、モバイルサーバ12との通信がオフラインの場合においても、決済を終えた客の通過を許容できるゲート装置を提供することができる。
【0105】
[変形例]
前記実施形態では、問合せ手段により取引が決済を完了しているかを問い合わせる問合せ先のサーバをモバイルサーバ12としたが、必ずしもモバイルサーバ12に限定されるものではない。例えば、モバイルサーバ12に保存される取引ファイル16を店舗サーバ22が取込み可能とすることで、問合せ先のサーバを店舗サーバ22としてもよい。
【0106】
前記実施形態では、オフライン時の処理手段515として照合手段5151及び許可手段5152を含む場合を例示した。他の実施形態としては、オフライン時の処理手段515は、呼出手段5153だけとしてもよい。すなわち、サーバとの回線がオフライン時には、常に店員を呼び出すようにしてもよい。店員を呼び出すことによって、客は、通路PAを通行することが可能となるので、課題を解決することができる。
【0107】
また、照合手段5151によって照合する情報として取引時刻を含んでもよい。取引時刻を含むことにより、第2会計機21-2で決済を終えてからの経過時間が所定時間以内の客であれば、許可手段5152により通路の通過を許可する、といった運用を取ることができる。
【0108】
前記実施形態では、ゲート装置が決済手段514を備えている場合を例示した。他の実施形態としては、ゲート装置が決済手段514を備えていなくてもよい。すなわち、第2会計機21-2で決済を終えた客だけが通過する通路に設けたゲート装置に、読取手段511、問合せ手段512、解除手段513及び処理手段515としての機能を実装するようにしてもよい。
【0109】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
10…売場システム、11…モバイル端末、12…モバイルサーバ、16…取引ファイル、20…会計場システム、21…会計機、21-1…第1会計機、21-2…第2会計機、22…店舗サーバ、23…アテンダント端末、40…ゲート機構、51…プロセッサ、511…読取手段、512…問合せ手段、513…解除手段、514…決済手段、515…処理手段、5151…照合手段、5152…許可手段、5153…呼出手段。