(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025115715
(43)【公開日】2025-08-07
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/02 20060101AFI20250731BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20250731BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20250731BHJP
A47C 7/48 20060101ALI20250731BHJP
A47C 7/18 20060101ALI20250731BHJP
【FI】
B60N2/02
B60N2/22
B60N2/90
A47C7/48
A47C7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010314
(22)【出願日】2024-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 勇貴
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084CA04
3B084GA00
3B087DE01
3B087DE02
3B087DE03
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】場面に応じて乗員の着座感を変化させることができる乗り物用シートを提供する。
【解決手段】乗り物用シートSは、乗員の背部を支持するシートバック1と、乗員の臀部を支持するシートクッション2と、を備える。シートバック1の骨格をなすシートフレーム4は、乗員を支持する着座面を有する内バックフレーム11と、内バックフレーム11を支持する外バックフレーム12と、を有する。内バックフレーム11の着座面は、乗員が着座するための第一着座面1aと、第一着座面1aの反対面であって、乗員が着座するための第二着座面と、を有する。内バックフレーム11は、外バックフレーム12に対して、第一着座面1aと、第一着座面1aとは表面の状態が異なる第二着座面とを切り替え可能に取り付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の背部を支持するシートバックと、前記乗員の臀部を支持するシートクッションと、を備える乗り物用シートであって、
前記シートバック及び前記シートクッションの少なくとも一方の骨格をなすシートフレームは、
前記乗員を支持する着座面を有する第一フレームと、
前記第一フレームを支持する第二フレームと、を有し、
前記第一フレームの前記着座面は、前記乗員が着座するための第一着座面と、前記第一着座面の反対面であって、前記乗員が着座するための第二着座面と、を有し、
前記第一フレームは、前記第二フレームに対して、前記第一着座面と、前記第一着座面とは表面の状態が異なる前記第二着座面とを切り替え可能に取り付けられることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項2】
前記第一フレームは、前記第二フレームの内側に配置される内フレームであって、
前記第二フレームは、前記第一着座面と前記第二着座面とを切り替え可能に前記内フレームを支持する外フレームであることを特徴とする請求項1に記載の乗り物用シート。
【請求項3】
前記シートフレームは、前記内フレームを前記外フレームに対して回転可能に支持する切り替え部材を有し、
前記切り替え部材は、前記内フレームの延在方向における中央部に設けられ、シート幅方向に延びる回転軸を有し、前記回転軸によって、前記第一着座面と前記第二着座面とを切り替えることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項4】
前記シートフレームは、前記シートバックの骨格をなすバックフレームであって、
前記内フレームは、
後方から前記乗員を支持する第一受圧部材と、
前記第一受圧部材と上下方向において異なる位置に設けられ、前記第一受圧部材と弾性力が異なり、後方から前記乗員を支持する第二受圧部材と、を有することを特徴とする請求項3に記載の乗り物用シート。
【請求項5】
前記シートフレームは、前記シートクッションの骨格をなすクッションフレームであって、
前記内フレームは、
下方から前記乗員を支持する第一受圧部材と、
前記第一受圧部材と前後方向において異なる位置に設けられ、前記第一受圧部材と弾性力が異なり、下方から前記乗員を支持する第二受圧部材と、を有することを特徴とする請求項3に記載の乗り物用シート。
【請求項6】
前記第一受圧部材及び前記第二受圧部材の一方は、シート幅方向に延びる波形状を有し、前記内フレームの内側に架け渡されて前記乗員を支持するバネ部材を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の乗り物用シート。
【請求項7】
前記第一受圧部材及び前記第二受圧部材の一方は、前記内フレームの内側に架け渡される弾性バネと、前記弾性バネに取り付けられ、前記乗員を支持する板状部材と、を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の乗り物用シート。
【請求項8】
前記第一着座面が前記乗員側に向いたときに、前記第一受圧部材は、前記第二受圧部材よりも下方に配置されて、前記乗員の腰部を後方から支持し、
前記第二着座面が前記乗員側に向いたときに、前記第二受圧部材は、前記第一受圧部材よりも下方に配置されて、前記乗員の前記腰部を後方から支持することを特徴とする請求項4に記載の乗り物用シート。
【請求項9】
前記第一着座面が前記乗員側に向いたときに、前記第二受圧部材は、前記第一受圧部材よりも後方に配置されて、前記乗員の前記臀部を下方から支持し、
前記第二着座面が前記乗員側に向いたときに、前記第一受圧部材は、前記第二受圧部材よりも後方に配置されて、前記乗員の前記臀部を下方から支持することを特徴とする請求項5に記載の乗り物用シート。
【請求項10】
前記切り替え部材は、前記外フレームに対する前記内フレームの回転をロックする回転ロック装置を有し、
前記回転ロック装置は、前記内フレームの前記延在方向と前記外フレームが延びる方向とが同じ方向になるときに、前記外フレームに対する前記内フレームの回転をロックすることを特徴とする請求項3に記載の乗り物用シート。
【請求項11】
前記乗り物用シートは、乗り物の幅方向に並んで複数配置され、
前記切り替え部材は、前記シートフレームのシート幅方向における外側面に設けられ、前記回転ロック装置のロックを解除する操作レバーを有し、
前記操作レバーは、前記乗り物の幅方向における内側の前記外側面に設けられることを特徴とする請求項10に記載の乗り物用シート。
【請求項12】
前記乗り物用シートは、
前記シートバックを前記シートクッションに対して回動可能に連結するとともに、前記シートバックの前記シートクッションに対する回転を規制するリクライニング装置と、
前記リクライニング装置の回転規制を解除するリクライニング操作レバーと、を備え、
前記切り替え部材は、前記回転ロック装置のロックを解除する操作レバーを有し、
前記操作レバー及び前記リクライニング操作レバーは、シート幅方向において前記シートフレームの異なる側面に設けられることを特徴とする請求項10に記載の乗り物用シート。
【請求項13】
前記乗り物用シートは、
前記シートフレームの前記内フレームに配置されるパッド材と、
前記パッド材を覆う表皮材と、を有し、
前記表皮材の意匠面は、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項14】
前記乗り物用シートは、前記シートフレームの前記内フレームに配置されるパッド材を有し、
前記パッド材の硬度は、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項15】
前記乗り物用シートは、前記シートフレームの前記内フレームに配置されるパッド材を有し、
前記パッド材は、
前記乗員を支持する支持部と、
前記支持部のシート幅方向における外側に配置され、前記支持部から前記乗員側へ膨出し、前記乗員を側方から支持する土手部と、を有し、
前記パッド材の前記土手部の膨出量は、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項16】
前記シートフレームは、前記シートバックの骨格をなすバックフレームであって、
前記乗り物用シートは、前記バックフレームの前記内フレームに配置されるパッド材を有し、
前記パッド材の下方部分の厚さは、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項17】
前記シートフレームは、前記シートクッションの骨格をなすクッションフレームであって、
前記乗り物用シートは、前記クッションフレームの前記内フレームに配置されるパッド材を有し、
前記パッド材の後方部分の厚さは、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項18】
前記乗り物用シートは、
前記シートフレームの前記内フレームに配置されるパッド材と、
前記パッド材を覆う表皮材と、を有し、
前記表皮材の表面摩擦係数は、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項19】
前記乗り物用シートは、前記乗員の頭部を後方から支持するヘッドレストを備え、
前記ヘッドレストは、前記シートバックの前記外フレームと一体的に形成されるヘッドレストピラーと、前記ヘッドレストピラーに配置されるパッド材と、を有することを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに係り、特に、乗員の背部を支持するシートバックと、乗員の臀部を支持するシートクッションと、を備える乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗り物用シートにおいて、シートバックをシートクッションに対して前後方向へスライド移動させて、着座方向を前後で転換するものが知られている。
例えば、特許文献1に記載の乗り物用シートでは、着座方向を前後で転換させて、さらにシートバックをシートクッションに対して反転させることで着座面を着座方向に合わせることが開示されている。
【0003】
また、特許文献2に記載の乗り物用シートでは、着座方向を前後で転換させて、さらにシートバックの着座面を有する内フレームを、外フレームに対して反転させることで着座面を着座方向に合わせることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58-143731号公報
【特許文献2】実開昭58-004426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2のような乗り物用シートでは、着座方向に合わせてシートバックの着座面を反転させるため、着座面の裏面が着座面として利用されることがなかった。したがって、乗り物用シートに着座する乗員の着座感を変化させることができなかった。
【0006】
本発明の目的は、場面に応じて乗員の着座感を変化させることができる乗り物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗り物用シートによれば、乗員の背部を支持するシートバックと、前記乗員の臀部を支持するシートクッションと、を備える乗り物用シートであって、前記シートバック及び前記シートクッションの少なくとも一方の骨格をなすシートフレームは、前記乗員を支持する着座面を有する第一フレームと、前記第一フレームを支持する第二フレームと、を有し、前記第一フレームの前記着座面は、前記乗員が着座するための第一着座面と、前記第一着座面の反対面であって、前記乗員が着座するための第二着座面と、を有し、前記第一フレームは、前記第二フレームに対して、前記第一着座面と、前記第一着座面とは表面の状態が異なる前記第二着座面とを切り替え可能に取り付けられること、により解決される。
上記構成により、乗員が着座可能であって表面の状態が異なる第一着座面と第二着座面とを設け、着座面を反転させることで、乗員の着座感を変化させることができる。したがって、場面に応じて乗員の着座感を変化させることができる。
【0008】
このとき、前記第一フレームは、前記第二フレームの内側に配置される内フレームであって、前記第二フレームは、前記第一着座面と前記第二着座面とを切り替え可能に前記内フレームを支持する外フレームであるとよい。
上記構成により、外側に配置される外フレームで内フレームを支持するため、シートフレームの強度を向上させることができる。
【0009】
このとき、前記シートフレームは、前記内フレームを前記外フレームに対して回転可能に支持する切り替え部材を有し、前記切り替え部材は、前記内フレームの延在方向における中央部に設けられ、シート幅方向に延びる回転軸を有し、前記回転軸によって、前記第一着座面と前記第二着座面とを切り替えるとよい。
上記構成により、内フレームを外フレームに対して回転させることで、容易に第一着座面と第二着座面とを切り替えることができる。また、シート幅方向に延びる回転軸によって着座面を反転させることで、内フレームの厚みをコンパクトにすることができる。
【0010】
このとき、前記シートフレームは、前記シートバックの骨格をなすバックフレームであって、前記内フレームは、後方から前記乗員を支持する第一受圧部材と、前記第一受圧部材と上下方向において異なる位置に設けられ、前記第一受圧部材と弾性力が異なり、後方から前記乗員を支持する第二受圧部材と、を有するとよい。
上記構成により、上下方向において異なる弾性力の受圧部材が設けられるため、着座面を反転させたときに着座感を一層変化させることができる。
【0011】
このとき、前記シートフレームは、前記シートクッションの骨格をなすクッションフレームであって、前記内フレームは、下方から前記乗員を支持する第一受圧部材と、前記第一受圧部材と前後方向において異なる位置に設けられ、前記第一受圧部材と弾性力が異なり、下方から前記乗員を支持する第二受圧部材と、を有するとよい。
上記構成により、前後方向において異なる弾性力の受圧部材が設けられるため、着座面を反転させたときに着座感を一層変化させることができる。
【0012】
このとき、前記第一受圧部材及び前記第二受圧部材の一方は、シート幅方向に延びる波形状を有し、前記内フレームの内側に架け渡されて前記乗員を支持するバネ部材を有するとよい。
上記構成により、一方の受圧部材をコンパクトな波形状のバネ部材とすることで、乗員を好適に支持しつつ省スペース化できる。
【0013】
このとき、前記第一受圧部材及び前記第二受圧部材の一方は、前記内フレームの内側に架け渡される弾性バネと、前記弾性バネに取り付けられ、前記乗員を支持する板状部材と、を有するとよい。
上記構成により、一方の受圧部材を板状部材とすることで、乗員の支持力を向上させることができる。
【0014】
このとき、前記第一着座面が前記乗員側に向いたときに、前記第一受圧部材は、前記第二受圧部材よりも下方に配置されて、前記乗員の腰部を後方から支持し、前記第二着座面が前記乗員側に向いたときに、前記第二受圧部材は、前記第一受圧部材よりも下方に配置されて、前記乗員の前記腰部を後方から支持するとよい。
上記構成により、内フレームを反転させたときに、常に乗員の腰部周辺を支持することができる。
【0015】
このとき、前記第一着座面が前記乗員側に向いたときに、前記第二受圧部材は、前記第一受圧部材よりも後方に配置されて、前記乗員の前記臀部を下方から支持し、前記第二着座面が前記乗員側に向いたときに、前記第一受圧部材は、前記第二受圧部材よりも後方に配置されて、前記乗員の前記臀部を下方から支持するとよい。
上記構成により、内フレームを反転させたときに、常に乗員の臀部周辺を支持することができる。
【0016】
このとき、前記切り替え部材は、前記外フレームに対する前記内フレームの回転をロックする回転ロック装置を有し、前記回転ロック装置は、前記内フレームの前記延在方向と前記外フレームが延びる方向とが同じ方向になるときに、前記外フレームに対する前記内フレームの回転をロックするとよい。
上記構成により、内フレームの着座面が外フレームの表面と一致するときに、回転がロックされるので、着座面を好適な位置で固定することができる。
【0017】
このとき、前記乗り物用シートは、乗り物の幅方向に並んで複数配置され、前記切り替え部材は、前記シートフレームのシート幅方向における外側面に設けられ、前記回転ロック装置のロックを解除する操作レバーを有し、前記操作レバーは、前記乗り物の幅方向における内側の前記外側面に設けられるとよい。
上記構成により、操作レバーを設けることによって、一層容易に第一着座面と第二着座面とを切り替えることができる。また、操作レバーが内側(複数の乗物用シートの間)に設けられることで、乗員が不用意に操作してしまうことを抑制できる。
【0018】
このとき、前記乗り物用シートは、前記シートバックを前記シートクッションに対して回動可能に連結するとともに、前記シートバックの前記シートクッションに対する回転を規制するリクライニング装置と、前記リクライニング装置の回転規制を解除するリクライニング操作レバーと、を備え、前記切り替え部材は、前記回転ロック装置のロックを解除する操作レバーを有し、前記操作レバー及び前記リクライニング操作レバーは、シート幅方向において前記シートフレームの異なる側面に設けられるとよい。
上記構成により、操作レバーを設けることによって、一層容易に第一着座面と第二着座面とを切り替えることができる。また、操作レバーがリクライニング操作レバーと異なる側面に設けられることで、乗員の誤操作を抑制することができる。
【0019】
このとき、前記乗り物用シートは、前記シートフレームの前記内フレームに配置されるパッド材と、前記パッド材を覆う表皮材と、を有し、前記表皮材の意匠面は、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なるとよい。
上記構成により、第一着座面と第二着座面の意匠面が異なるため、第一着座面と第二着座面を視認するだけで、反転状態が確認できる。
【0020】
このとき、前記乗り物用シートは、前記シートフレームの前記内フレームに配置されるパッド材を有し、前記パッド材の硬度は、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なるとよい。
上記構成により、第一着座面と第二着座面のパッド材の硬度が異なるため、一層乗員の着座感を変化させることができる。
【0021】
このとき、前記乗り物用シートは、前記シートフレームの前記内フレームに配置されるパッド材を有し、前記パッド材は、前記乗員を支持する支持部と、前記支持部のシート幅方向における外側に配置され、前記支持部から前記乗員側へ膨出し、前記乗員を側方から支持する土手部と、を有し、前記パッド材の前記土手部の膨出量は、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なるとよい。
上記構成により、第一着座面と第二着座面の土手部の膨出量が異なるため、一層乗員の着座感を変化させることができる。
【0022】
このとき、前記シートフレームは、前記シートバックの骨格をなすバックフレームであって、前記乗り物用シートは、前記バックフレームの前記内フレームに配置されるパッド材を有し、前記パッド材の下方部分の厚さは、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なるとよい。
上記構成により、第一着座面と第二着座面のパッド材の下方部分の厚さが異なるため、一層乗員の着座感を変化させることができる。
【0023】
このとき、前記シートフレームは、前記シートクッションの骨格をなすクッションフレームであって、前記乗り物用シートは、前記クッションフレームの前記内フレームに配置されるパッド材を有し、前記パッド材の後方部分の厚さは、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なるとよい。
上記構成により、第一着座面と第二着座面のパッド材の後方部分の厚さが異なるため、一層乗員の着座感を変化させることができる。
【0024】
このとき、前記乗り物用シートは、前記シートフレームの前記内フレームに配置されるパッド材と、前記パッド材を覆う表皮材と、を有し、前記表皮材の表面摩擦係数は、前記第一着座面と前記第二着座面とで異なるとよい。
上記構成により、第一着座面と第二着座面の表面摩擦係数が異なるため、一層乗員の着座感を変化させることができる。
【0025】
このとき、前記乗り物用シートは、前記乗員の頭部を後方から支持するヘッドレストを備え、前記ヘッドレストは、前記シートバックの前記外フレームと一体的に形成されるヘッドレストピラーと、前記ヘッドレストピラーに配置されるパッド材と、を有するとよい。
上記構成により、シートバックの外フレームとヘッドレストピラーが一体化しているため、シートフレームの剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、場面に応じて乗員の着座感を変化させることができる乗り物用シートを実現できる。
また本発明によれば、シートフレームの強度を向上させることができる。
また本発明によれば、容易に第一着座面と第二着座面とを切り替えることができる。また、内フレームの厚みをコンパクトにすることができる。
また本発明によれば、着座面を反転させたときに着座感を一層変化させることができる。
また本発明によれば、乗員を好適に支持しつつ省スペース化できる。
また本発明によれば、乗員の支持力を向上させることができる。
また本発明によれば、常に乗員の腰部周辺を支持することができる。
また本発明によれば、常に乗員の臀部周辺を支持することができる。
また本発明によれば、着座面を好適な位置で固定することができる。
また本発明によれば、一層容易に第一着座面と第二着座面とを切り替えることができる。また、乗員が不用意に操作してしまうことを抑制できる。
また本発明によれば、一層容易に第一着座面と第二着座面とを切り替えることができる。また、乗員の誤操作を抑制することができる。
また本発明によれば、第一着座面と第二着座面を視認するだけで、反転状態が確認できる。
また本発明によれば、一層乗員の着座感を変化させることができる。
また本発明によれば、シートフレームの剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態の乗り物用シートの斜視図であって、着座面が通常状態であるときを示す。
【
図2】乗り物用シートの斜視図であって、着座面が切り替え状態であるときを示す。
【
図3】乗り物用シートの側面図であって、着座面が通常状態であるときを示す。
【
図4】乗り物用シートの側面図であって、着座面が切り替え状態であるときを示す。
【
図6】乗り物用シートにおける操作レバーの位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態について
図1~
図6を参照して説明する。
以下の説明において、「前後方向」とは、乗り物用シートの前後方向であり、乗り物の走行時の進行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、乗り物用シートの幅方向であり、乗り物用シートに着座した乗員から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、乗り物の上下方向であり、乗り物が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。
【0029】
<シートの全体構成>
本実施形態の乗り物用シートSは、
図1に示すように、車体フロア上に載置され、乗り物の乗員が着座するシートである。本実施形態において、乗り物用シートSは、車両の前部座席に相当するフロントシートとして利用される。ただし、これに限定されるものではなく、乗り物用シートSは、車両のリアシートであってもよく、また、前後方向に三列のシートを備える車両において二列目のミドルシートや三列目のリアシートとしても利用可能である。
【0030】
乗り物用シートSは、
図1に示すように、シートバック1と、シートバック1の下方部分に連結されるシートクッション2と、シートバック1の上方部分に連結されるヘッドレスト3と、から主に構成されている。
シートバック1は、乗員の背中を後方から支持する背もたれ部であって、その内部に骨格となるシートフレーム4(バックフレーム10)が設けられる。
シートクッション2は、乗員を下方から支持する着座部であって、その内部に骨格となるシートフレーム4(クッションフレーム20)が設けられる。
ヘッドレスト3は、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、その内部に骨格となるシートフレーム4(ヘッドレストピラー30)が設けられる。
【0031】
乗り物用シートSは、
図1に示すように、シートクッション2に対してシートバック1を回動させるリクライニング装置5と、リクライニング装置5の回転規制を解除するリクライニング操作レバー6と、を備える。
乗員は、リクライニング操作レバー6を手動操作することによって、リクライニング装置5のロック状態を解除することができる。なお、リクライニング装置5は、リクライニング操作レバー6によって手動操作する構成に限らず、駆動源の駆動力によってシートクッション2に対してシートバック1を回動させる構成としてもよい。
【0032】
リクライニング装置5は、シートクッション2に対してシートバック1を回動可能に連結するとともに、シートバック1をロックすることが可能な装置である。
具体的には、リクライニング装置5は、シートバック1を通常位置と、シートクッション2から離間するように後方へ傾斜させた後傾位置とに切り替える。なお、リクライニング装置5は、シートバック1を通常位置から、シートクッション2に近接するよう前方へ傾斜させた前傾位置へ切り替えてもよい。
【0033】
リクライニング操作レバー6は、リクライニング装置5の回転規制を解除するための操作部であって、シートクッション2の右側面に設けられる。
具体的には、乗員は、リクライニング操作レバー6を操作することで、リクライニング装置5をアンロック状態にして、シートバック1を後傾させて所望の角度に調整することができる。そして、後傾角度が所望の角度に達した時点でリクライニング操作レバー6を離すと、リクライニング装置5がロック状態に復帰する構成となっている。
【0034】
乗り物用シートSは、
図1~
図4に示すように、シートバック1及びシートクッション2の着座面をそれぞれ反転可能な構成である。詳しく述べると、
図1及び
図3に示すように、乗り物用シートSは、シートバック1の第一着座面1aが乗員側(前側)を向き、シートクッション2の第三着座面2aが乗員側(上側)を向いている状態が、通常状態となる。また、
図2及び
図4に示すように、乗り物用シートSは、シートバック1の第二着座面1bが乗員側(前側)を向き、シートクッション2の第四着座面2bが乗員側(上側)を向いている状態が、切り替え状態となる。
切り替え状態では、例えば、スポーツ車のような座り心地を乗員に与えることができる。また、切り替え状態では、ホールド感を高めて支持安定性を向上させることができる。なお、切り替え状態は、スポーツ車のような状態以外の状態であってもよく、通常状態よりもリラックス可能な状態であってもよい。
【0035】
<シートフレーム>
シートフレーム4は、シートバック1、シートクッション2及びヘッドレスト3の骨格をなす。具体的には、シートフレーム4は、
図5に示すように、シートバック1の骨格をなすバックフレーム10と、シートクッション2の骨格をなすクッションフレーム20と、ヘッドレスト3のヘッドレストピラー30と、を備える。
なお、
図5は、通常状態の乗り物用シートSにおけるシートフレーム4を示す。
【0036】
<バックフレーム>
バックフレーム10は、乗員を支持する着座面を有する内バックフレーム11(第一フレーム、内フレーム)と、内バックフレーム11を支持する外バックフレーム12(第二フレーム、外フレーム)と、内バックフレーム11を外バックフレーム12に対して回転可能に支持する切り替え部材13と、を有する。
【0037】
シートバック1の着座面(内バックフレーム11の着座面)は、乗員が着座するための第一着座面1aと、第一着座面1aの反対面であって、乗員が着座するための第二着座面1bと、を有する。
内バックフレーム11は、外バックフレーム12に対して、第一着座面1aと、第二着座面1bとを切り替え可能に取り付けられる。
【0038】
シートバック1は、
図1、
図5に示すように、内バックフレーム11にパッド材P1を載置して、表皮材T1で被覆されて構成されている。言い換えると、内バックフレーム11のパッド材P1及び表皮材T1が、シートバック1の着座面となる。
また、シートバック1は、外バックフレーム12にパッド材P2を載置して、表皮材T2で被覆されて構成されている。パッド材P2は、パッド材P1よりも厚みが小さく形成される。なお、外バックフレーム12には、パッド材P2や表皮材T2が設けられなくてもよい。
【0039】
<内バックフレーム>
内バックフレーム11のパッド材P1は、乗員を後方から支持する支持部P1aと、支持部P1aのシート幅方向における外側に配置され、支持部P1aから乗員側へ膨出し、乗員を側方から支持する土手部P1bと、を有する。
具体的には、乗り物用シートSが通常状態(
図1、
図3)のとき、土手部P1bは、支持部P1aから前方へ膨出する表面土手部P1b1と、支持部P1aから後方へ膨出する裏面土手部P1b2と、を有する。言い換えると、乗り物用シートSが切り替え状態(
図2、
図4)のとき、表面土手部P1b1が後方へ向き、裏面土手部P1b2は、支持部P1aから前方へ膨出した状態となる。
【0040】
図1、
図2に示すように、第一着座面1aと第二着座面1bとでは、表面の状態が異なる。ここで、着座面の表面の状態が異なるとは、パッド材P1の形状や硬度、表皮材T2の意匠面(模様、色、材質)、及び後述する受圧部材の弾性力等の見た目や物性が異なることを意味する。言い換えると、第一着座面1aと第二着座面1bとでは、乗員に与える着座感が異なる。
【0041】
例えば、乗り物用シートSが切り替え状態(
図2、
図4)のとき、乗り物用シートSが通常状態(
図1、
図3)のときと比較して、パッド材P1の土手部P1bの膨出量が、第一着座面1aと第二着座面1bとで異なる。詳しく述べると、裏面土手部P1b2の膨出量(高さH2)は、表面土手部P1b1の膨出量(高さH1)よりも大きい。したがって、乗り物用シートSが切り替え状態のとき、膨出量が大きい裏面土手部P1b2によって乗員を側方から支持するように構成することで、スポーツ車のような座り心地を乗員に与えることができる。
【0042】
また、例えば、乗り物用シートSが切り替え状態(
図2、
図4)のとき、乗り物用シートSが通常状態(
図1、
図3)のときと比較して、パッド材P1の硬度が、第一着座面1aと第二着座面1bとで異なる。詳しく述べると、第二着座面1bのパッド材P1の硬度は、第一着座面1aの硬度よりも高い。したがって、乗り物用シートSが切り替え状態のとき、着座面が硬くなるように構成することで、スポーツ車のような座り心地を乗員に与えることができる。
【0043】
また、例えば、乗り物用シートSが切り替え状態(
図2、
図4)のとき、乗り物用シートSが通常状態(
図1、
図3)のときと比較して、パッド材P1の下方部分の厚さが、第一着座面1aと第二着座面1bとで異なる。詳しく述べると、第二着座面1bのパッド材P1の下方部分の厚さ(長さL2)は、第一着座面1aのパッド材P1の下方部分の厚さ(長さL1)よりも厚い。したがって、乗り物用シートSが切り替え状態のとき、着座面が厚くなるように構成することで、スポーツ車のような座り心地を乗員に与えることができる。
【0044】
また、例えば、乗り物用シートSが切り替え状態(
図2、
図4)のとき、乗り物用シートSが通常状態(
図1、
図3)のときと比較して、表皮材T1の表面摩擦係数が、第一着座面1aと第二着座面1bとで異なる。詳しく述べると、第二着座面1bの表皮材T1には、例えばアルカンターラ等の表面摩擦係数の大きい材質や、パンチング加工がされた皮革等が用いられ、第一着座面1aの表皮材T1には、ファブリックや本革等の表面摩擦係数の小さい材質が用いられる。したがって、乗り物用シートSが切り替え状態のとき、表面摩擦係数が高くなるように構成することで、スポーツ車のような座り心地を乗員に与えることができる。
【0045】
また、例えば、乗り物用シートSが切り替え状態(
図2、
図4)のとき、乗り物用シートSが通常状態(
図1、
図3)のときと比較して、表皮材T1の意匠面が、第一着座面1aと第二着座面1bとで異なる。詳しく述べると、第一着座面1aと第二着座面1bの表皮材T1の色や模様が互いに異なる。したがって、乗り物用シートSが通常状態であるか切り替え状態であるかを、乗員が着座面を視認するだけで、確認することができる。
【0046】
内バックフレーム11は、
図5に示すように、枠状を有するフレームであって、シート幅方向における両側部に設けられる左右のバックサイドフレーム14と、左右のバックサイドフレーム14の上端部を連結するアッパフレーム15と、左右のバックサイドフレーム14の下端部を連結するロアフレーム16と、を有する。
また、内バックフレーム11は、後方から乗員を支持するバネ部材17(第一受圧部材)と、バネ部材17と上下方向において異なる位置に設けられ、バネ部材17と弾性力が異なる受圧プレート18(第二受圧部材)と、を有する。
【0047】
バックサイドフレーム14は、
図5に示すように、左右に一対設けられる。左右のバックサイドフレーム14は、それぞれ上下方向に長尺な板状部材であって、上端部分及び下端部分が上下方向における中央部分よりも前後方向に膨出した形状を有する。
バックサイドフレーム14の上下方向における中央部には、後述する切り替え部材13の回転軸13aが取り付けられる。バックサイドフレーム14の下端部分には、バネ部材17を取り付けるための取付孔14aが複数形成される。
【0048】
アッパフレーム15は、
図5に示すように、シート幅方向に延びる長尺な棒状部材である。アッパフレーム15は、左右のバックサイドフレーム14を連結するように、バックサイドフレーム14の上端部に取り付けられる。
アッパフレーム15のシート幅方向中央部には、後述する受圧プレート18の係止部18dが係止される。
【0049】
ロアフレーム16は、
図5に示すように、シート幅方向に延びる長尺な棒状部材である。ロアフレーム16は、左右のバックサイドフレーム14を連結するように、バックサイドフレーム14の下端部に取り付けられる。
内バックフレーム11は、左右のバックサイドフレーム14、アッパフレーム15及びロアフレーム16によって、枠状に構成されるため、バックフレーム10の剛性を高めることができる。
【0050】
バネ部材17は、
図5に示すように、内バックフレーム11の内部において下方側に配置される。具体的には、バネ部材17は、シート幅方向に延びる波形状を有し、内バックフレーム11の内側に架け渡されて、乗員を後方から支持する2本のSバネ17aである。Sバネ17aは、上下方向に複数回屈曲し、左右方向に長尺に延びるように形成され、所定の弾性力を有する。Sバネ17aの左右方向の端部がバックサイドフレーム14の取付孔14aに挿通されることで、Sバネ17aがバックサイドフレーム14に架け渡される。なお、Sバネ17aの本数は、2本に限らず、1本でもよく、3本以上であってもよい。
このように、Sバネ17aで乗員を支持することによって、好適に支持しつつ、省スペース化を図ることができる。
【0051】
受圧プレート18は、
図5に示すように、内バックフレーム11の内部において上方側に配置される。具体的には、受圧プレート18は、内バックフレーム11の内側に架け渡される弾性バネ18aと、弾性バネ18aに取り付けられ、乗員を支持する板状部材18bと、を有する。
【0052】
弾性バネ18aは、内バックフレーム11の内側に架け渡される弾性部材であって、シート幅方向の中央部に設けられ、上下方向に延びる延在部18cと、延在部18cの上端に設けられ、アッパフレーム15に係止するための係止部18dと、延在部18cの下端からシート幅方向外側に向かって傾斜して拡がる傾斜部18eと、を有する。
係止部18dがアッパフレーム15に取り付けられ、傾斜部18eの外端がバックサイドフレーム14の係止孔14bに挿通されることで、弾性バネ18aが内バックフレーム11の内側に架け渡される。
【0053】
板状部材18bは、弾性バネ18aの延在部18cに取り付けられる板状の部材であって、乗員を後方から支持する。
このように、面状支持構造とすることで、乗員を支持する支持力を向上させることができる。
【0054】
乗員は、バネ部材17及び受圧プレート18によって、後方から支持される。詳しく述べると、
図3に示す通常状態において、乗員の腰部は、バネ部材17によって後方から支持される。また乗員の背部は、受圧プレート18によって後方から支持される。また、
図4に示す切り替え状態において、乗員の腰部は、受圧プレート18によって後方から支持される。また乗員の背部は、バネ部材17によって後方から支持される。
【0055】
また、通常状態において、バネ部材17は受圧プレート18よりも前方に配置されるため、乗員は、比較的弾性力の大きいバネ部材17によって主に支持される。切り替え状態において、受圧プレート18はバネ部材17よりも前方に配置されるため、乗員は、比較的弾性力の小さい受圧プレート18によって主に支持される。
なお、通常状態において、乗員は、バネ部材17のみによって支持されてもよい。また、切り替え状態において、乗員は、受圧プレート18のみによって支持されてもよい。
【0056】
このように、内バックフレーム11の延在方向(上下方向)における異なる位置に、弾性力の異なる受圧部材を設けることで、内バックフレーム11を反転させて第一着座面1aと第二着座面1bとを切り替えたときに、乗員に異なる着座感を与えることができる。また、内バックフレーム11を反転させたときに、常に乗員の腰部周辺を支持することができる。
特に、乗り物用シートSが切り替え状態のとき、弾性力が小さい(支持力が大きい)受圧プレート18によって乗員の腰部を支持するように構成することで、スポーツ車のような座り心地を乗員に与えることができる。
なお、通常状態において、バネ部材17が受圧プレート18よりも上方に配置されてもよい。
【0057】
<外バックフレーム>
外バックフレーム12は、
図5に示すように、枠状を有するフレームであって、パイプ部材を屈曲して形成される。外バックフレーム12は、シート幅方向における両側部に設けられる左右のバックサイド部12aと、ヘッドレストピラー30と連結する上部連結部12bと、左右のバックサイド部12aの下端部からシート幅方向における内側へ延びて左右のバックサイド部12aを連結する下部連結部12cと、クッションフレーム20とリクライニング装置5を介して連結するフレーム連結部12dと、を有する。
【0058】
バックサイド部12aは、
図5に示すように、それぞれ上下方向に長尺に延びる部分である。バックサイド部12aの上下方向における中央部分には、後述する切り替え部材13の回転軸13aが取り付けられる。
上部連結部12bは、左右のバックサイド部12aの上端部からシート幅方向における内側へ延びて、ヘッドレストピラー30の下端部と連結する部分である。
【0059】
下部連結部12cは、
図5に示すように、シート幅方向に長尺に延びて、左右のバックサイド部12aの下端部を連結する部分である。
フレーム連結部12dは、バックサイド部12aの下端部に設けられ、クッションフレーム20とリクライニング装置5を介して連結する部分である。
外バックフレーム12は、左右のバックサイド部12a、上部連結部12b及び下部連結部12cによって、枠状に構成されるため、バックフレーム10の剛性を高めることができる。
【0060】
<切り替え部材>
切り替え部材13は、内バックフレーム11を外バックフレーム12に対して回転可能に支持する部材である。切り替え部材13は、
図5に示すように、内バックフレーム11の延在方向における中央部に設けられる回転軸13aと、外バックフレーム12に対する内バックフレーム11の回転をロックする回転ロック装置13bと、回転ロック装置13bのロックを解除する操作レバー13cと、を有する。
【0061】
回転軸13aは、シート幅方向に延びる長尺な棒状部材であって、内バックフレーム11が外バックフレーム12に対して回転するための軸となる。具体的には、回転軸13aは、左右のバックサイドフレーム14の上下方向における中央部に固定される。また、回転軸13aは、左右のバックサイド部12aの上下方向における中央部分に形成された軸孔に挿通され、回動可能に支持される。
【0062】
切り替え部材13は、回転軸13aによって第一着座面1aと第二着座面1bとを切り替える。本実施形態では、通常状態及び切り替え状態の両方の状態において、乗員の腰部周りの支持力を向上させるために、バックサイドフレーム14の下方部分及び上方部分の厚みが大きくなっている。回転軸13aの軸方向をシート幅方向に沿って延びるように構成しているため、回転軸13aの軸方向を上下方向に沿って延びるように構成する場合と比較して、乗員の腰部周りにおけるバックサイドフレーム14の厚みをコンパクトにすることができる。
【0063】
回転ロック装置13bは、外バックフレーム12に対する内バックフレーム11の回転をロックするための装置であって、左側のバックサイド部12aのシート幅方向における外側に設けられる。
回転ロック装置13bは、内バックフレーム11の延在方向と外バックフレーム12が延びる方向とが同じ方向になるときに、外バックフレーム12に対する内バックフレーム11の回転をロックする。言い換えると、第一着座面1a又は第二着座面1bが、着座者側(前側)を向いたときに、外バックフレーム12に対する内バックフレーム11の回転をロックする。
【0064】
操作レバー13cは、回転ロック装置13bのロックを解除するための操作部であって、シートバック1の左側面(シートフレーム4の外側面)に設けられる。
乗員は、操作レバー13cを操作することによって、乗り物用シートSを通常状態(
図1、
図3)と、切り替え状態(
図2、
図4)とに切り替える。具体的には、乗員は、操作レバー13cを操作することで、回転ロック装置13bをアンロック状態にして、第一着座面1a又は第二着座面1bを反転することができる。そして、第一着座面1a又は第二着座面1bを反転させて操作レバー13cを離すと、回転ロック装置13bがロック状態に復帰する構成となっている。
【0065】
このように、シートバック1の第一着座面1a及び第二着座面1bを反転させることで、乗り物用シートSの状態を通常状態と切り替え状態とに切り替えることができる。したがって、場面に応じて乗員の着座感を変化させることができる。
なお、本実施形態では、着座面を左右方向に延びる回転軸13aで反転させて、乗り物用シートSの状態を通常状態と切り替え状態とに切り替えるように構成したが、乗り物用シートSの切り替えはこれに限らない。例えば、上下方向に延びる回転軸に沿って、着座面を反転させてもよい。また、例えば、回転軸を用いずに、内バックフレーム11を外バックフレーム12に対して着脱可能に取り付け、表裏を入れ替え可能なように構成してもよい。
【0066】
<クッションフレーム>
クッションフレーム20は、乗員を支持する着座面を有する内クッションフレーム21(第一フレーム、内フレーム)と、内クッションフレーム21を支持する外クッションフレーム22(第二フレーム、外フレーム)と、内クッションフレーム21を外クッションフレーム22に対して回転可能に支持する第二切り替え部材23(切り替え部材)と、を有する。
なお、バックフレーム10と同様の構成については、説明を省略する。
【0067】
シートクッション2の着座面(内クッションフレーム21の着座面)は、乗員が着座するための第三着座面2aと、第三着座面2aの反対面であって、乗員が着座するための第四着座面2bと、を有する。
内クッションフレーム21は、外クッションフレーム22に対して、第三着座面2aと、第四着座面2bとを切り替え可能に取り付けられる。
【0068】
シートクッション2は、
図1、
図5に示すように、内クッションフレーム21にパッド材P3を載置して、表皮材T3で被覆されて構成されている。言い換えると、内クッションフレーム21のパッド材P3及び表皮材T3が、シートクッション2の着座面となる。
また、シートクッション2は、外クッションフレーム22にパッド材P4を載置して、表皮材T4で被覆されて構成されている。パッド材P4は、パッド材P3よりも厚みが小さく形成される。なお、外クッションフレーム22には、パッド材P4や表皮材T4が設けられなくてもよい。
【0069】
<内クッションフレーム>
内クッションフレーム21のパッド材P3は、乗員を下方から支持する支持部P3aと、支持部P3aのシート幅方向における外側に配置され、支持部P3aから乗員側へ膨出し、乗員を側方から支持する土手部P3bと、を有する。
具体的には、乗り物用シートSが通常状態(
図1、
図3)のとき、土手部P3bは、支持部P3aから上方へ膨出する表面土手部P3b1と、支持部P3aから下方へ膨出する裏面土手部P3b2と、を有する。言い換えると、乗り物用シートSが切り替え状態(
図2、
図4)のとき、表面土手部P3b1が下方へ向き、裏面土手部P3b2は、支持部P3aから上方へ膨出した状態となる。
【0070】
図1、
図2に示すように、第三着座面2aと第四着座面2bとでは、表面の状態が異なる。ここで、着座面の表面の状態が異なるとは、パッド材P3の形状や硬度、表皮材T3の意匠面(模様、色、材質)、及び後述する受圧部材の弾性力等の見た目や物性が異なることを意味する。言い換えると、第三着座面2aと第四着座面2bとでは、乗員に与える着座感が異なる。
なお、シートバック1の第一着座面1a及び第二着座面1bと同様の構成については、説明を省略する。
【0071】
例えば、乗り物用シートSが切り替え状態(
図2、
図4)のとき、乗り物用シートSが通常状態(
図1、
図3)のときと比較して、パッド材P3の後方部分の厚さが、第三着座面2aと第四着座面2bとで異なる。詳しく述べると、第四着座面2bのパッド材P3の後方部分の厚さ(長さL4)は、第三着座面2aのパッド材P3の後方部分の厚さ(長さL3)よりも厚い。したがって、乗り物用シートSが切り替え状態のとき、着座面が厚くなるように構成することで、スポーツ車のような座り心地を乗員に与えることができる。
【0072】
内クッションフレーム21は、
図5に示すように、枠状を有するフレームであって、シート幅方向における両側部に設けられる左右のクッションサイドフレーム24と、左右のクッションサイドフレーム24の後端部を連結する後方フレーム25と、左右のクッションサイドフレーム24の前端部を連結する前方フレーム26と、を有する。
また、内クッションフレーム21は、切り替え状態において下方から乗員の臀部を支持する第二バネ部材27(第一受圧部材)と、第二バネ部材27と前後方向において異なる位置に設けられ、第二バネ部材27と弾性力が異なり、通常状態において下方から乗員の臀部を支持する第二受圧プレート28(第二受圧部材)と、下方から乗員の大腿部を支持するパンフレーム29と、を有する。
【0073】
クッションサイドフレーム24は、
図5に示すように、左右に一対設けられる。左右のクッションサイドフレーム24は、それぞれ前後方向に長尺な板状部材であって、後端部分及び前端部分が前後方向における中央部分よりも上下方向に膨出した形状を有する。
クッションサイドフレーム24の前後方向における中央部には、後述する第二切り替え部材23の第二回転軸23aが取り付けられる。クッションサイドフレーム24の前端部分には、第二バネ部材27を取り付けるための第二取付孔24aが複数形成される。
【0074】
後方フレーム25は、
図5に示すように、シート幅方向に延びる長尺な棒状部材である。後方フレーム25は、左右のクッションサイドフレーム24を連結するように、クッションサイドフレーム24の後端部に取り付けられる。
後方フレーム25のシート幅方向中央部には、後述する第二受圧プレート28の係止部28dが係止される。
【0075】
前方フレーム26は、
図5に示すように、シート幅方向に延びる長尺な棒状部材である。前方フレーム26は、左右のクッションサイドフレーム24を連結するように、クッションサイドフレーム24の前端部に取り付けられる。
内クッションフレーム21は、左右のクッションサイドフレーム24、後方フレーム25及び前方フレーム26によって、枠状に構成されるため、クッションフレーム20の剛性を高めることができる。
【0076】
第二バネ部材27は、
図5に示すように、内クッションフレーム21の内部において前方側に配置される。具体的には、第二バネ部材27は、シート幅方向に延びる波形状を有し、内クッションフレーム21の内側に架け渡されて、乗員を下方から支持する2本のSバネ27aである。Sバネ27aは、前後方向に複数回屈曲し、左右方向に長尺に延びるように形成され、所定の弾性力を有する。Sバネ27aの左右方向の端部がクッションサイドフレーム24の第二取付孔24aに挿通されることで、Sバネ27aがクッションサイドフレーム24に架け渡される。なお、Sバネ27aの本数は、2本に限らず、1本でもよく、3本以上であってもよい。
このように、切り替え状態においてSバネ27aで乗員の臀部を支持することによって、好適に支持しつつ、省スペース化を図ることができる。
【0077】
第二受圧プレート28は、
図5に示すように、内クッションフレーム21の内部において後方側に配置される。具体的には、第二受圧プレート28は、内クッションフレーム21の内側に架け渡される弾性バネ28aと、弾性バネ28aに取り付けられ、乗員を支持する板状部材28bと、を有する。
【0078】
弾性バネ28aは、内クッションフレーム21の内側に架け渡される弾性部材であって、シート幅方向の中央部に設けられ、前後方向に延びる延在部28cと、延在部28cの後端に設けられ、後方フレーム25に係止するための係止部28dと、延在部28cの前端からシート幅方向外側に向かって傾斜して拡がる傾斜部28eと、を有する。
係止部28dが後方フレーム25に取り付けられ、傾斜部28eの外端がクッションサイドフレーム24の第二係止孔24bに挿通されることで、弾性バネ28aが内クッションフレーム21の内側に架け渡される。
【0079】
板状部材28bは、弾性バネ28aの延在部28cに取り付けられる板状の部材であって、通常状態において乗員の臀部を下方から支持する。
このように、面状支持構造とすることで、乗員を支持する支持力を向上させることができる。
【0080】
パンフレーム29は、
図5に示すように、左右のクッションサイドフレーム24を連結する板状のフレームであって、下方から乗員の大腿部を支持する。
パンフレーム29は、左右のクッションサイドフレーム24の前方部分の上側に配置される第一パンフレーム29aと、左右のクッションサイドフレーム24の後方部分の下側に配置される第二パンフレーム29bと、を有する。
パンフレーム29を設けることで、乗員の大腿部の支持力を向上させることができる。また、内クッションフレーム21の剛性を一層高めることができる。さらに、乗り物が外部から衝撃を受けたときに乗員が沈み込んでしまうサブマリン現象を抑制することができる。
【0081】
第一パンフレーム29aは、
図5に示すように、左右のクッションサイドフレーム24の前方部分の上側に形成されたフランジに取り付けられ、通常状態において乗員の大腿部を支持する。
第二パンフレーム29bは、左右のクッションサイドフレーム24の後方部分の下側に形成されたフランジに取り付けられ、切り替え状態において乗員の大腿部を支持する。
なお、第一パンフレーム29a及び第二パンフレーム29bは、どちらか一方のみ設けてもよく、パンフレーム29を設けなくてもよい。パンフレーム29を設けない場合には、乗員の大腿部は、第二バネ部材27又は第二受圧プレート28によって支持される。
【0082】
乗員は、第二バネ部材27、第二受圧プレート28及びパンフレーム29によって、下方から支持される。詳しく述べると、
図3に示す通常状態において、乗員の臀部は、第二受圧プレート28によって下方から支持される。また乗員の大腿部は、第一パンフレーム29aによって下方から支持される。また、
図5に示す切り替え状態において、乗員の臀部は、第二バネ部材27によって下方から支持される。また乗員の大腿部は、第二パンフレーム29bによって下方から支持される。
【0083】
このように、内クッションフレーム21の延在方向(前後方向)における異なる位置に、弾性力の異なる受圧部材を設けることで、内クッションフレーム21を反転させて第三着座面2aと第四着座面2bとを切り替えたときに、乗員に異なる着座感を与えることができる。また、内クッションフレーム21を反転させたときに、常に乗員の臀部周辺を支持することができる。
特に、乗り物用シートSが切り替え状態のとき、弾性力が大きい(抵抗力が小さい)第二バネ部材27によって乗員の臀部を支持するように構成することで、スポーツ車のような座り心地を乗員に与えることができる。
なお、通常状態において、第二バネ部材27が第二受圧プレート28よりも後方に配置され、乗員の臀部が第二バネ部材27によって支持されてもよい。また、切り替え状態において、第二受圧プレート28が第二バネ部材27よりも後方に配置され、乗員の臀部が第二受圧プレート28によって支持されてもよい。
【0084】
<外クッションフレーム>
外クッションフレーム22は、
図5に示すように、枠状を有するフレームである。外クッションフレーム22は、シート幅方向における両側部に設けられる左右のクッションサイド部22aと、左右のクッションサイド部22aの後端部を連結する後方連結部22bと、左右のクッションサイド部22aの前端部を連結する前方連結部22cと、を有する。クッションサイド部22aの内部には、リクライニング装置5が設けられる。
【0085】
クッションサイド部22aは、
図5に示すように、それぞれ前後方向に長尺に延びる板状部材である。クッションサイド部22aの前後方向における中央部分には、後述する第二切り替え部材23の第二回転軸23aが取り付けられる。
後方連結部22bは、シート幅方向に延びる棒状部材であって、左右のクッションサイド部22aの後端部を連結する部分である。
【0086】
前方連結部22cは、
図5に示すように、シート幅方向に長尺に延びて、左右のクッションサイド部22aの前端部を連結する部分である。
外クッションフレーム22は、左右のクッションサイド部22a、後方連結部22b及び前方連結部22cによって、枠状に構成されるため、クッションフレーム20の剛性を高めることができる。
【0087】
<第二切り替え部材>
第二切り替え部材23は、内クッションフレーム21を外クッションフレーム22に対して回転可能に支持する部材である。第二切り替え部材23は、
図5に示すように、内クッションフレーム21の延在方向における中央部に設けられる第二回転軸23aと、外クッションフレーム22に対する内クッションフレーム21の回転をロックする第二回転ロック装置23bと、第二回転ロック装置23bのロックを解除する第二操作レバー23cと、を有する。
なお、シートバック1の切り替え部材13と同様の構成については、説明を省略する。
【0088】
第二回転軸23aは、シート幅方向に延びる長尺な棒状部材であって、内クッションフレーム21が外クッションフレーム22に対して回転するための軸となる。
第二切り替え部材23は、第二回転軸23aによって第三着座面2aと第四着座面2bとを切り替える。
【0089】
第二回転ロック装置23bは、外クッションフレーム22に対する内クッションフレーム21の回転をロックするための装置であって、左側のクッションサイド部22aのシート幅方向における外側に設けられる。
第二操作レバー23cは、第二回転ロック装置23bのロックを解除するための操作部であって、シートクッション2の左側面に設けられる。
【0090】
このように、シートクッション2の第三着座面2a及び第四着座面2bを反転させることで、乗員の着座感を変化させることができる。したがって、場面に応じて乗員の着座感を変化させることができる。
【0091】
図6に示すように、乗り物用シートSは、乗り物の幅方向に並んで複数配置されてもよい。具体的には、乗り物には、二つの乗り物用シートS(右乗り物用シートS1、左乗り物用シートS2)が配置される。なお、
図6では、右乗り物用シートS1が通常状態、左乗り物用シートS2が切り替え状態である様子を示す。
ここで、右乗り物用シートS1における操作レバー13cは、バックフレーム10の左側(乗り物の幅方向における内側)に配置される。左乗り物用シートS2における操作レバー13cは、バックフレーム10の右側(乗り物の幅方向における内側)の外側面に配置される。ここで、右乗り物用シートS1における第二操作レバー23cは、クッションフレーム20の左側(乗り物の幅方向における内側)の外側面に配置される。左乗り物用シートS2における第二操作レバー23cは、クッションフレーム20の右側(乗り物の幅方向における内側)に配置される。
このように、操作レバー13c及び第二操作レバー23cが内側(複数の乗り物用シートSの間)に設けられることで、乗員が不用意に操作してしまうことを抑制できる。
【0092】
また、
図6に示すように、右乗り物用シートS1におけるリクライニング操作レバー6は、クッションフレーム20の右側(乗り物の幅方向における外側)の外側面に配置される。左乗り物用シートS2におけるリクライニング操作レバー6は、クッションフレーム20の左側(乗り物の幅方向における外側)の外側面に配置される。したがって、操作レバー13c及び第二操作レバー23cと、リクライニング操作レバー6とは、シート幅方向においてシートフレーム4の異なる外側面に設けられる。
このように、操作レバー13c及び第二操作レバー23cが、リクライニング操作レバー6と異なる側面に設けられることで、乗員の誤操作を抑制することができる。
【0093】
なお、本実施形態では、シートバック1及びシートクッション2の着座面をそれぞれ反転させて、乗り物用シートSの状態を通常状態と切り替え状態とに切り替えるように構成したが、シートバック1の着座面のみが反転するように構成してもよい。また、シートクッション2の着座面のみが反転するように構成してもよい。
【0094】
<ヘッドレストピラー>
ヘッドレストピラー30は、乗員の頭部を後方から支持するフレームである。ヘッドレストピラー30は、バックフレーム10の上方に設けられ、上部連結部12bと一体的に形成される。
ヘッドレスト3は、
図1、
図5に示すように、ヘッドレストピラー30にパッド材P5を載置して、表皮材T5で被覆されて構成されている。バックフレーム10の外バックフレーム12とヘッドレストピラー30が一体化しているため、シートフレーム4の剛性を高めることができる。なお、シートバック1の外バックフレーム12の表皮材T2と、ヘッドレスト3の表皮材T5とが、一体的に形成されてもよい。
【0095】
<製造方法>
乗り物用シートSの製造方法について説明する。
まず、内バックフレーム11、外バックフレーム12及び切り替え部材13を用意する。そして、切り替え部材13を介して、外バックフレーム12に対して内バックフレーム11を回転可能に連結し、バックフレーム10を組み立てる。なお、ヘッドレストピラー30は、外バックフレーム12と一体的に形成されている。
また、内クッションフレーム21、外クッションフレーム22及び第二切り替え部材23を用意する。そして、第二切り替え部材23を介して、外クッションフレーム22に対して内クッションフレーム21を回転可能に連結し、クッションフレーム20を組み立てる。
【0096】
次に、内バックフレーム11の内部に、バネ部材17及び受圧プレート18を配置する。また、内クッションフレーム21の内部に、第二バネ部材27及び第二受圧プレート28を配置する。さらに、左右のクッションサイドフレーム24の前方部分及び後方部分に、パンフレーム29を配置する。
【0097】
そして、組み立てたバックフレーム10と、組み立てたクッションフレーム20と、リクライニング装置5と、を用意する。そして、リクライニング装置5を介して、シートクッション2に対してシートバック1を回動可能に連結する。
このとき、リクライニング装置5のリクライニング操作レバー6を、切り替え部材13の操作レバー13c及び第二切り替え部材23の第二操作レバー23cが設けられる側面とシート幅方向における反対側の側面に配置する。
【0098】
そして、内バックフレーム11にパッド材P1を配置し、外バックフレーム12にパッド材P2を配置する。また、内クッションフレーム21にパッド材P3を配置し、外クッションフレーム22にパッド材P4を配置する。また、ヘッドレストピラー30にパッド材P5を配置する。
さらに、内バックフレーム11及びパッド材P1を表皮材T1で覆い、外バックフレーム12及びパッド材P2を表皮材T2で覆う。このとき、ヘッドレストピラー30及びパッド材P5を、表皮材T2と一体化した表皮材T5で覆う。また、内クッションフレーム21及びパッド材P3を表皮材T3で覆い、外クッションフレーム22及びパッド材P4を表皮材T4で覆う。
【0099】
このとき、内バックフレーム11を、外バックフレーム12に対して、第一着座面1aと、第一着座面1aとは表面の状態が異なる第二着座面1bとを切り替え可能に取り付ける。また、内クッションフレーム21を、外クッションフレーム22に対して、第三着座面2aと、第三着座面2aとは表面の状態が異なる第四着座面2bとを切り替え可能に取り付ける。
【0100】
上述した、乗り物用シートSの製造方法は、乗員が着座するための第一着座面と、前記第一着座面の反対面であって、前記乗員が着座するための第二着座面と、を有する第一フレームを用意し、前記第一フレームを支持する第二フレームを用意し、前記第一フレームを、前記第二フレームに対して、前記第一着座面と、前記第一着座面とは表面の状態が異なる前記第二着座面とを切り替え可能に取り付けること、を含む。
上記製造方法によって、場面に応じて乗員の着座感を変化させることができる乗り物用シートSを製造することができる。
【0101】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる乗り物用シートについて説明したが、特に限定されることなく、二輪車用の二輪シート、電車やバス等の車両用シート、飛行機や船等の乗り物用シートのほか、作業用の事務イス、車イス、ショッピングカートの子供用イス等の種々のシートに対して利用することができる。
【0102】
本実施形態では、主として本発明に係る乗り物用シートに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0103】
S 乗り物用シート
S1 右乗り物用シート
S2 左乗り物用シート
1 シートバック
1a 第一着座面
1b 第二着座面
2 シートクッション
2a 第三着座面(第一着座面)
2b 第四着座面(第二着座面)
3 ヘッドレスト
4 シートフレーム
5 リクライニング装置
6 リクライニング操作レバー
10 バックフレーム
11 内バックフレーム(第一フレーム、内フレーム)
12 外バックフレーム(第二フレーム、外フレーム)
12a バックサイド部
12b 上部連結部
12c 下部連結部
12d フレーム連結部
13 切り替え部材
13a 回転軸
13b 回転ロック装置
13c 操作レバー
14 バックサイドフレーム
14a 取付孔
14b 係止孔
15 アッパフレーム
16 ロアフレーム
17 バネ部材(第一受圧部材)
17a Sバネ
18 受圧プレート(第二受圧部材)
18a 弾性バネ
18b 板状部材
18c 延在部
18d 係止部
18e 傾斜部
20 クッションフレーム
21 内クッションフレーム(第一フレーム、内フレーム)
22 外クッションフレーム(第二フレーム、外フレーム)
22a クッションサイド部
22b 後方連結部
22c 前方連結部
23 第二切り替え部材(切り替え部材)
23a 第二回転軸(回転軸)
23b 第二回転ロック装置(回転ロック装置)
23c 第二操作レバー(操作レバー)
24 クッションサイドフレーム
24a 第二取付孔
24b 第二係止孔
25 後方フレーム
26 前方フレーム
27 第二バネ部材(第一受圧部材)
27a Sバネ
28 第二受圧プレート(第二受圧部材)
28a 弾性バネ
28b 板状部材
28c 延在部
28d 係止部
28e 傾斜部
29 パンフレーム
29a 第一パンフレーム
29b 第二パンフレーム
30 ヘッドレストピラー
P1 パッド材
P1a 支持部
P1b 土手部
P1b1 表面土手部
P1b2 裏面土手部
P2 パッド材
P3 パッド材
P3a 支持部
P3b 土手部
P3b1 表面土手部
P3b2 裏面土手部
P4 パッド材
P5 パッド材
T1 表皮材
T2 表皮材
T3 表皮材
T4 表皮材
T5 表皮材