(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011572
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ポット保持具
(51)【国際特許分類】
A01G 9/029 20180101AFI20250117BHJP
【FI】
A01G9/029 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113761
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】593049914
【氏名又は名称】株式会社東海化成
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】西森 勝時
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327NC24
2B327ND03
2B327SA22
2B327SA24
2B327TC09
2B327TC19
2B327TC25
2B327VA20
(57)【要約】
【課題】多層に積層されたポットから上層の1層のポットのみを安定的に引き上げるポット保持具を提供する。
【解決手段】
ポット保持具1のロッド2は、上下方向の空洞2aが下端2bに開口している。腕部5には、押圧面5aに、ポットpの内面Spに固着力を発揮する爪部6が設けられている。腕部5の交差中心JCには摺動部7aが立設されており、摺動部7aはロッド2の下端2bの開口に差し込まれ、空洞2a内を上下方向に摺動する。押下手段3は、ロッド2が上昇するときに摺動部7aを下方向に摺動させて、腕部5をロッド2に対して下降させる。一方で、ロッド2が下降するときに、交差中心JCがロッド2の下端2bに当接して摺動部7aが上昇できない状態になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層に積み重ねられたポットの上層から1つずつポットを引き上げるポット保持具において、
上下方向の空洞が下端に開口し、上下動するロッドと、
帯状の板材を交差させて結合し、交差中心から放射状に上に向けて広げ、前記ポットの内面を押圧する押圧面を有する腕部と、
前記押圧面に設けられ、前記ポットの内面に固着力を発揮する爪部と、
前記腕部の交差中心に立設され、前記ロッドの下端の開口に差し込まれ、前記空洞内を上下方向に摺動する摺動部と、
前記ロッドが上昇するときに前記摺動部を下方向に摺動させ、前記腕部を前記ロッドに対して下降させる押下手段とを具備し、
前記ロッドが下降するときに前記ポットの内面に前記腕部が当接し、前記交差中心が前記ロッドの下端に当接して前記摺動部が上昇できない状態になることを特徴とするポット保持具。
【請求項2】
前記押下手段は、長さ方向には、余り伸縮せず、一方で、外力により撓み方向には自由変形し、外力がなくなったら若しくは弱まったら、元の形状に戻る若しくは戻ろうとする短冊状の手段であり、根元端が前記ロッドに固定され、他端が前記腕部の先端となる自由端に接続されていること特徴とする請求項1記載のポット保持具。
【請求項3】
請求項1のポット保持具が行列状に配置された支持体と、
行列状の窓を有する平面体であって、前記支持体から延びるポット保持具のロッドが貫通している窓であって、当該窓の大きさはポットの大きさよりも小さい邪魔部材と、
前記支持体を介して複数のポット保持具を上下動させる可動部と、
多層行列の状態のポットが配置された元トレイを搭載する第1搭載台と、
ポットの移載先の作業トレイを搭載する第2搭載台とを具備し、
前記元トレイの直上で前記支持体を下降して前記ポット保持具にポットを保持させて引き上げ、前記作業トレイの直上で前記邪魔部材とポット保持具に保持されたポットとを突き当てて落下させることを特徴とするポット移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層に積み重なった園芸用のポットを1つずつ引き上げるポット保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物の栽培や流通の現場においては、移植又は出荷などにおいて、薄肉の軟質樹脂で形成された園芸用ポット(以下、単にポットと称する)を空状態で作業トレイ内に並べる移載作業が行われる。作業トレイは複数のカゴを行列状に有している。ポットは多層積みされた多層行列の状態で納入され、これを一層ずつ上層から取り出して、一層行列状のポットを作業トレイのカゴに移載する。
【0003】
多層行列の状態のポットから一層を行列状に引き上げて作業トレイに移し替えることのできる装置として、例えば特許文献1には、ポット内に挿入して、ポットに付着して引き上げるポット保持具を備えたポット装填装置が開示されている。ポット保持具は、四角形の対角線上に四方に腕部を有し、腕部の先端にバネ鋼板等からなる係合機能を有する係合爪が設けられている。また、特許文献2には、ポット保持具を有するポットセット装置が開示されている。ポット保持具は、弾性力のある帯状板材を折曲げて腕部を製作したものであり、その先端部の係合爪の形状として、将棋の駒状、平端面形状、半円形状などの任意の形状を呈することが示されている。また、特許文献3には、弾性復元力により当該ポットの内面を押圧する腕部に穴が開けられ、穴を開けたときに穴の周囲に立設したバリにより係合爪を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3568806号公報
【特許文献2】特開2002-247921号公報
【特許文献3】実用新案登録第3230964号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2、3に示されるような腕部は、上層の1層のポットに挿入されたとき、ポットの側面に押し付けられ、その反作用としてポットの側面を押し返す。この腕部が押し返す力は、次の層のポットにも伝わる。ポットが引き上げられたときにも、この力は次の層のポットにも伝わり続けるため、重なった状態の複数のポットを引き上げてしまうことが生じる。
【0006】
本発明は、上層の1層のポットのみを安定的に引き上げるポット保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、多層に積み重ねられたポットの上層から1つずつポットを引き上げるポット保持具において、
上下方向の空洞が下端に開口し、上下動するロッドと、
帯状の板材を交差させて結合し、交差中心から放射状に上に向けて広げ、前記ポットの内面を押圧する押圧面を有する腕部と、
前記押圧面に設けられ、前記ポットの内面に固着力を発揮する爪部と、
前記腕部の交差中心に立設され、前記ロッドの下端の開口に差し込まれ、前記空洞内を上下方向に摺動する摺動部と、
前記ロッドが上昇するときに前記摺動部を下方向に摺動させ、前記腕部を前記ロッドに対して下降させる押下手段とを具備し、
前記ロッドが下降するときに前記ポットの内面に前記腕部が当接し、前記交差中心が前記ロッドの下端に当接して前記摺動部が上昇できない状態になることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポット保持具を引き上げたとき、腕部の交差中心がロッドの下端から離れることにより、腕部に蓄積された弾発力は腕部の全体の歪みとして分散する。その結果、押圧面にのみ集中していた圧力を小さくできる。そして、爪部に固定されているポットの位置から底面までの範囲において、交差中心が下降したこと、及び、圧力が弱まったことにより、微妙な形状変化が発生する。この変形は、最上層のポットにだけ発生し、下層のポットには発生しない変形であるため、最上層のポットと下層のポットとの間に僅かなズレを生じさせる。これらの要因により、最上層のポットは下層のポットに対して、外れやすい状況を作ることができ、重なった状態の複数ポットを引き上げてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るポット移載装置を示す図である。
【
図4】ポット移載装置の使用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
[実施例1]
図1において、本実施例のポット移載装置10は、機械部11と棚部15とを具備する。機械部11は、ポットpを把持するための複数のポット保持具1と、複数のポット保持具1が行列状に配置された支持体12と、邪魔部材13と、支持体12を介して複数のポット保持具1を上下動させる可動部14とを備える。
【0011】
邪魔部材13は、行列状の窓を有する平面体であって、上下方向の位置が固定されている。邪魔部材13の窓13aには、支持体12から延びるポット保持具1のロッド2が貫通している。窓13aの大きさはポットpの大きさよりも小さく、ポット保持具1が上下動するとき、ポット保持具1に保持されたポットpが通過できないようになっている。
【0012】
棚部15は、多層行列の状態のポットpが配置された元トレイ20を搭載する第1搭載台17と、ポットpの移載先の作業トレイ21を搭載する第2搭載台22を備えている。第2搭載台22は、案第1搭載台17の直上であって、邪魔部材13の下側に案内軌道9により移動可能である。尚、
図1においては、機械部11と棚部15とは、離れた状態で描かれているが、使用する際には、複数のポット保持具1は、第1搭載台17に搭載されたポットpの直上に配置される。
【0013】
図2を用いてポット保持具1を説明する。
図2Aは斜視図、
図2Bは分解図、
図2Cは側面図、
図2Dは断面図である。ポット保持具1は、ロッド2、押下手段3,腕部5、爪部6、押力緩和手段7を具備している。図中、ロッド2の中心を中心軸cとして示している。中心軸cは、上下方向の軸である。
【0014】
図2Aにおいて、腕部5は、真鍮板、アルミ板、銅板、鋼板等の金属板、樹脂板等の形状復元力を有する帯状板材からなっており、特にバネ鋼板により作成されることが好ましい。腕部5は、帯状のバネ鋼板を交差させて結合し、交差中心JCから放射状に上に向けて広げている。本実施例では、十字の交差とし、四方に上に向けて腕部5が広がっている。交差中心JCの位置は、ロッド2の直下のポット保持具1の最下部である。腕部5は、ポットp内に押し込まれたとき、腕部5の弾性復元力でポットpを内側から押圧する押圧面5aを有している。押圧面5aには、ポットpの内面Spに対して固着力を発揮する爪部6が設けられている。爪部6は、腕部5にドリル若しくはポンチにより穿孔した際に裏側に生じる「バリ」若しくは「カエリ」と称されるもの(以下、「バリ」と総称する)により形成されたものである。「バリ」は不揃いであり、かつ鋭利である。金属板の「バリ」は、軟質樹脂のポットpに対してはるかに固く、変形することが少なく、またポットpを貫くことも少ない。腕部5の先端となる自由端5bは中心軸c側に向けて折られている。
【0015】
図2Bにおいて、押下手段3と腕部5との接続を分解した図を示している。腕部5とロッド2は、押下手段3を介してのみ固定されている。押下手段3は、ロッド2から腕部5を押し下げる短冊状の手段である。ロッド2には、下端2bに開口した中心軸c方向の空洞2aがある。押下手段3と腕部5とは、押下手段3の端部3b(図において、薄墨ppで示した)の位置に、腕部5の自由端5bが埋め込まれて接続している。押力緩和手段7は、ポット保持具1がポットpに押し込まれた時に蓄積された腕部5の弾発力を、ポット保持具1が持ち上げられたときに緩和するものである。具体的には、押力緩和手段7は、腕部5の十字の交差中心JCに立設された摺動部7aが、ロッド2の下端2bの開口に差し込まれ、空洞2a内を中心軸c方向に摺動する構成によって実現される。そして、ポット保持具1が持ち上げられたときに摺動部7aを摺動させ、腕部5をロッド2に対して下降させるのが、押下手段3である。
【0016】
図2Cにおいて、押下手段3の根元端3aがロッド2の途中位置に固定されている。押下手段3は、ポット保持具1を繰り返し使用出来るように、ロッド2に対して腕部5の自由端5bの位置を安定的に維持するものである。押下手段3は、長さ方向には、余り伸縮しないものがよく、一方で、外力により撓み方向には自由変形し、外力がなくなったら若しくは弱まったら、元の形状に戻る若しくは戻る弾発力があるものが良い。
【0017】
図2Dにおいて、摺動部7aは、ロッド2の空洞2aに下端2bの開口から差し込まれて、上下(中心軸c方向)に自由に摺動するようになっている。押下手段3は、ゴムやスポンジ等の弾性体であるので、通常時に摺動部7aを空洞2aの中で下降した位置にする。一方で、可動部14の押し下げが開始すると、ロッド2の下端2bは、腕部5の交差中心JCに対して接触して、腕部5に押し下げ力を伝える。
【0018】
図3A、3B、3Cを用いて、ポット保持具1の形態の変化状況を説明する。
図3A、3Bにおいて、左側が断面、右側が平面を示している。
図3Aは、ポット保持具1がポットp内に押し込まれる直前の状態である。ポットpの内面Spは底面Bpに向けて狭まるテーパ状であるため、ポット保持具1が押し込まれるにつれて、押圧面5aはポットpの側面から、内側に向けた圧力を受けるようになっている。
【0019】
図3Bは、ポット保持具1がポットp内に押し込まれている時の状態である。交差中心JCがロッド2の下端BRに接触して、直接的に可動部14の力が押圧面5aに加わる。押圧面5aはポットpの内面Spに押し付けられ、弾発力が蓄積される。更に押し込まれると、最上層のポットpの底面Bpに接触し、ポットpの平面視の形状を四角形に次第に変形させる。変形の限界に達した状態では、その反作用として弾発力は押圧面5aに集中してポットpの側面を押し返す力として圧力Faが生じている。圧力Faは、腕部5に蓄積された弾発力と、押下手段3に蓄積された弾発力が合わされている。この圧力Faで、爪部6がポットpの側面に固定される。腕部5は、ポットpの側面により中心軸c方向に屈して、押下手段3の端部3bの位置を押し上げる。この結果、押下手段3は撓み変形している。尚、最上層のポットpの次に下層のポットpに対しても、圧力Faは伝達されている。
【0020】
図3Cは、ポットp内に押し込まれたポット保持具1が持ち上げられた時の状態である。ロッド2が持ち上がると、ロッド2の下端2bの位置が上昇して、交差中心JCをポットの底面Bpに押し付けていた力が消失する。一方で、爪部6がポットpの側面に固定されているので、腕部5の爪部6とポットpとの位置関係は変わらない。押下手段3は、元の状態に復帰する力により、交差中心JCの位置を下端2bから離して降下させるように働きかける。押力緩和手段7は、摺動部7aを空洞2aの中で引き下げた位置に移動させる。その結果、次の2つの現象が発生する。
【0021】
まず、交差中心JCが下端2bから離れることにより、押下手段3に蓄積された弾発力は摺動部7aを空洞2aの中で引き下げた位置に移動させることにより減少する。また、腕部5に蓄積された弾発力は、腕部5の全体の歪みとして分散する。その結果、押圧面にのみ集中していた圧力Faは小さくなる。
【0022】
そして、爪部6に固定されているポットpの位置から底面Bpまでの範囲において、交差中心JCが下降したこと、及び、圧力Faが弱まったことにより、微妙な形状変化が発生する。図面において、形状変化が発生する前の形状を予想して破線BLで模式的に過大に示した。この変形は、最上層のポットpにだけ発生し、下層のポットpには発生しない変形である。この微妙な形状変化は、最上層のポットpとその下層のポットpとの間に僅かなズレを生じさせる。
【0023】
これらの要因により、最上層のポットpは下層のポットpに対して、外れやすい状況を作ることができ、重なった状態の複数のポットを引き上げてしまうことを抑制することができるのである。
【0024】
次に、ポット移載装置10の使用方法について
図4を用いて説明する。行列状に多層積みされたポットpに対して、ポット保持具1が各ポットpの真上になるように位置させ(
図4A)、可動部14を動作させて、ポット保持具1を下降し腕部5をポットp内に押し込む。これにより、各腕部5はポットpの内側で圧縮されて、弾性力により逆にポットpの内面に対して爪部6を押し付ける(
図4B)。この状態で可動部14により、ポット保持具1を引き上げる(
図4C)。
【0025】
作業トレイ21を搭載した第2搭載台22を案内軌道19により、第1搭載台17の直上、邪魔部材13の下側に移動させる(
図4D)。可動部14により、ポット保持具1をさらに引き上げて、ポットpと邪魔部材13とを互いに突き当てて、ポット保持具1から外す。既に説明したように、腕部5の弾発力は緩和している状態であり、爪部6により保持されているだけなので、容易に外すことができる。
【0026】
また、押下手段3の根元端3aがロッド2の途中位置に固定され、押下手段3の端部3bは腕部5の自由端5bに接続していることも、ポットpを容易に外すこと寄与する。すなわち、押下手段3は長さ方向には、伸縮しにくい物であるため、押下手段3が腕部5の自由端5bが広がる(中心軸cから離れる)ことを抑制している。このため、ポットpが邪魔部材13に押し当てられたとき、落下しようとするポットpに対して、爪部6がポットpの内面Spから離れないで、腕部5の自由端5bを広げることを阻止することができる。ポットpが落下するときに腕部5の自由端5bが広がると、爪部6が内面Spを切り裂くという状況が発生するが、これが回避できる。
【0027】
ポットpは、直下の作業トレイ21に落下する(
図4E)。作業トレイ21を案内軌道19により、元の位置に戻す(
図4F)。以下、この作業を繰り返すだけで、ポットpの移載をすることができる。
本実施例においては、腕部5にドリル若しくはポンチにより穿孔した際に裏側に生じる「バリ」を爪部6として用いたが、このような爪部以外の他の形態で固着力を発揮する爪部であっても良い。例えば、摩擦性を高めたもの、粘着性のものでも良い。摩擦性を高めるものとして、形状の尖った鉱物の粒を貼り付けても良い。又は粘着性のものとして、再剥離素材であっても良い。また、押下手段3として、ゴムやスポンジ等の弾性体を用いたが、外力により撓み方向には自由変形し、外力がなくなったら若しくは弱まったら、元の形状に戻る若しくは戻る弾発力がある他の手段として、圧縮バネも適用可能である。
【0028】
[実施例2]
上記実施例においては、押下手段3として弾性体が持つ元の形状に戻ろうとする作用を利用したが、押下手段3の他の形態の例として
図5に押しバネや重力を利用する実施例を示す。図中、実施例1と同じ他の構成は、同一の引用符号が付してある。
図5A、5Bに示す例では、押下手段3としての押しバネ3cを、ロッド2の空洞2aに配置して、交差中心JCを押し下げるようにしている。
【0029】
図5Cに示す例では、押下手段3としての錘3dを、押力緩和手段7である摺動部7aの中に配置して、錘3dの重さにより腕部5を押し下げるようにしている。腕部5がロッド2から脱落しないように止めておく構成として、ロッド2に中心軸c方向の縦孔2cを設ける。摺動部7aから縦孔2cを介してピン7bを装着し、ピン7bが縦孔2cの開口範囲のみで上下に移動出来るようにした。
【0030】
押下手段3として、押しバネ3cを用いる例、錘3dを用いる例の何れにおいても、腕部5の自由端5bとロッド2との間を接続するストリング3eが設けられている。ストリング3eは、長さ方向には伸縮せず、一方で、外力により撓み方向には自由変形する。元の形状に戻るが、戻る弾発力は無い。ストリング3eは、上層の1層のポットのみを安定的に引き上げる際には、腕部5をロッド2に対して下降させる作用はないが、ポットpが邪魔部材13に押し当てられたとき、腕部5の自由端5bを広げることを阻止するために設けられている。
【0031】
本実施例においても、上層の1層のポットpのみを引き上げるために、次の2つの現象を発生させる。
まず、交差中心JCが下端2bから離れることにより、腕部5に蓄積された弾発力は、腕部5の全体の歪みとして分散する。その結果、押圧面にのみ集中していた圧力Faは小さくなる。
【0032】
そして、爪部6に固定されているポットpの位置から底面Bpまでの範囲において、交差中心JCが下降したこと、及び、圧力Faが弱まったことにより、微妙な形状変化が発生する。図面において、形状変化が発生する前の形状を予想して破線BLで模式的に過大に示した。この変形は、最上層のポットpにだけ発生し、下層のポットpには発生しない変形である。この微妙な形状変化は、最上層のポットpとその下層のポットpとの間に僅かなズレを生じさせる。
【0033】
上記実施例では、作業トレイ21を搭載した第2搭載台22を案内軌道19により、第1搭載台17の直上、邪魔部材13の下側に移動させるようにしたが、第1搭載台17と第2搭載台22とを並置して、ポット移載装置10側を左右に動かしても良い。また、可動部14により、ポット保持具1をさらに引き上げて、ポットpを邪魔部材13に当てていたが、邪魔部材13を動かして、ポットpに当てても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 ポット保持具
2 ロッド
2a 空洞
2b 下端
2c 縦孔
3 押下手段
3a 根元端
3b 端部
3c 押しバネ
3d 錘
5 腕部
5a 押圧面
5b 自由端
6 爪部
7 押力緩和手段
7a 摺動部
7b ピン
10 ポット移載装置
11 機械部
12 支持体
13 邪魔部材
13a 窓
14 可動部
15 棚部
17 第1搭載台
19 案内軌道
20 元トレイ
21 作業トレイ
22 第2搭載台
BL 破線
BM 交差中心
BR 下端
Bp 底面
Fa 圧力
Fp 上面
JC 交差中心
Sp 内面
c 中心軸
p ポット