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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025116042
(43)【公開日】2025-08-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20250731BHJP
【FI】
A63F7/02 328
A63F7/02 326Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025085999
(22)【出願日】2025-05-23
(62)【分割の表示】P 2021017953の分割
【原出願日】2021-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】110004107
【氏名又は名称】弁理士法人Kighs
(72)【発明者】
【氏名】倉田 豪
(72)【発明者】
【氏名】栗本 晴久
(57)【要約】
【課題】遊技機の利便性を好適に高めることが可能な遊技機を提供すること。
【解決手段】クレジット移行ボタン42が連続的に押下され続けている間に、遊技者により発射ハンドル51が回動操作された場合、クレジット記憶部213bの値が「1000」未満か否かを判別し、規定球数以上の保持球データが存在している間は、発射ハンドル51の回動操作に伴って球送りユニット112cによる球送り処理を許容するとともに、球発射ユニット112aによる球の発射を許容する。一方、上記判別において、規定球数以上の保持球データが存在していないと判別された場合は、発射ハンドル51が開同操作されていたとしても、球送りユニット112cによる球送り処理を制限し、球発射ユニット112a側への球の送り出しを抑制する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者により操作可能な第1操作手段と、
前記操作手段の操作態様を判別可能な操作態様判別手段と、
所定間隔で所定情報を出力可能な出力手段と、を備えた遊技機において、
前記出力手段は、
前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第1態様の場合に、前記所定情報としての第1情報を出力可能な第1態様出力手段と、
前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第2態様の場合に、前記所定情報として前記第1情報と異なる第2情報を出力可能な第2態様出力手段と、を備え、
前記操作態様判別手段は、
前記所定間隔以上の特定期間に亘って前記第1操作手段が操作されている場合に、前記第2態様と判別する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定の始動条件の成立に基づいて当たり等の抽選が行われ、例えば、当たりに当選した場合には、所定の獲得条件の成立に応じて遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-068661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記例示したような遊技機等に対して、利便性を高める必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、遊技機の利便性を好適に高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技者により操作可能な第1操作手段と、前記操作手段の操作態様を判別可能な操作態様判別手段と、所定間隔で所定情報を出力可能な出力手段と、を備えた遊技機であって、前記出力手段は、前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第1態様の場合に、前記所定情報としての第1情報を出力可能な第1態様出力手段と、前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第2態様の場合に、前記所定情報として前記第1情報と異なる第2情報を出力可能な第2態様出力手段と、を備え、前記操作態様判別手段は、前記所定間隔以上の特定期間に亘って前記第1操作手段が操作されている場合に、前記第2態様と判別する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の遊技機によれば、遊技者により操作可能な第1操作手段と、前記操作手段の操作態様を判別可能な操作態様判別手段と、所定間隔で所定情報を出力可能な出力手段と、を備えた遊技機であって、前記出力手段は、前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第1態様の場合に、前記所定情報としての第1情報を出力可能な第1態様出力手段と、前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第2態様の場合に、前記所定情報として前記第1情報と異なる第2情報を出力可能な第2態様出力手段と、を備え、前記操作態様判別手段は、前記所定間隔以上の特定期間に亘って前記第1操作手段が操作されている場合に、前記第2態様と判別する。これにより、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態におけるパチンコ機、及び、カードユニットの正面図である。
図2】パチンコ機から前面枠を取り外した状態を示した正面図である。
図3】パチンコ機の背面図である。
図4】パチンコ機の遊技盤の正面図である。
図5】(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
図6】パチンコ機、カードユニット、ホールコンボックス、ホールコンピュータ、外部管理サーバおよび各遊技機メーカの電気的構成を示す全体ブロック図であり、主に、パチンコ機とカードユニットとの電気的構成を示すブロック図である。
図7】パチンコ機、カードユニット、ホールコンボックスおよびホールコンピュータの電気的構成を示すブロック図であり、主に主制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
図8】パチンコ機、カードユニット、会員カード、ホールコンボックスおよびホールコンピュータの電気的構成を示すブロック図であり、主に枠統括制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
図9】会員カードをカードユニットに投入時、球貸ボタンの押下時、又は、クレジット移行ボタンの押下時におけるパチンコ機、会員カード、カードユニット、ホールコンボックス及びホールコンピュータにおける情報の授受を示す図である。
図10】発射ハンドル操作時、各入賞口スイッチ検出時、又は、ファール球スイッチ検出時におけるパチンコ機、会員カード、カードユニット、ホールコンボックス及びホールコンピュータにおける情報の授受を示す図である。
図11】クレジット移行ボタン押下時に発射ハンドルを操作した場合におけるパチンコ機、会員カード、カードユニット、ホールコンボックス及びホールコンピュータにおける情報の授受を示す図である。
図12】カード返却ボタン押下時に発射ハンドルを操作した場合におけるパチンコ機、会員カード、カードユニット、ホールコンボックス及びホールコンピュータにおける情報の授受を示す図である。
図13】遊技機メーカから遊技履歴の問い合わせがあった場合における遊技機メーカ、外部管理サーバ、ホールコンボックス及びホールコンピュータにおける情報の授受を示す図である。
図14】枠統括制御装置とカードユニットとにおけるクレジット移行ボタン押下時の移行タイミング及び移行球数を示したタイミングチャートである。
図15】枠統括制御装置とカードユニットとにおけるクレジット移行ボタン押下時の移行タイミング、移行球数、クレジット残り球数及び発射可否を示したタイミングチャートである。
図16】枠統括制御装置とカードユニットとにおけるカード返却ボタン押下時の移行タイミング、移行球数、クレジット残り球数及び発射可否を示したタイミングチャートである。
図17】各種カウンタ、各保留球格納エリア、保留球実行エリアの構成を模式的に示した図である。
図18】大当たり乱数テーブルの一例を模式的に示した図である。
図19】各遊技状態における、該遊技状態への移行契機、特別図柄の大当たり確率、普通図柄の当たり確率、奨励される球の発射態様、主要入賞先、第1特別図柄の変動時間、第2特別図柄の変動時間、及び、右打ち可否を説明した一覧である。
図20】大当たり種別テーブルの一例を模式的に示した図である。
図21】保留数テーブルの一例を模式的に示した図である。
図22】(a)は、停止パターンテーブルのAテーブルの一例を模式的に示した図であり、(b)は、停止パターンテーブルのBテーブルの一例を模式的に示した図であり、(c)は、停止パターンテーブルのCテーブルの一例を模式的に示した図である。
図23】(a)は、停止パターンテーブルのDテーブルの一例を模式的に示した図であり、(b)は、停止パターンテーブルのEテーブルの一例を模式的に示した図であり、(c)は、停止パターンテーブルのFテーブルの一例を模式的に示した図である。
図24】(a)は、ハズレ用変動パターンテーブルの一例を模式的に示した図であり、(b)は、大当たり用変動パターンテーブルの一例を模式的に示した図である。
図25】大当たり開放テーブルの一例を模式的に示した図である。
図26】(a)は、普図当たり乱数テーブルの一例を模式的に示した図であり、(b)は、普図変動時間テーブルの一例を模式的に示した図であり、(c)は、普通電役開放テーブルの一例を模式的に示した図である。
図27】主制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。
図28】主制御装置内のMPUにより実行される設定変更処理を示すフローチャートである。
図29】主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
図30】主制御装置内のMPUにより実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。
図31】主制御装置内のMPUにより実行される始動入賞処理を示すフローチャートである。
図32】主制御装置内のMPUにより実行されるゲート通過処理を示すフローチャートである。
図33】主制御装置内のMPUにより実行される特図変動処理を示すフローチャートである。
図34】主制御装置内のMPUにより実行される変動開始処理を示すフローチャートである。
図35】主制御装置内のMPUにより実行される当たり処理を示すフローチャートである。
図36】主制御装置内のMPUにより実行される大当たり開閉制御処理を示すフローチャートである。
図37】主制御装置内のMPUにより実行される大入賞口開放中処理を示すフローチャートである。
図38】主制御装置内のMPUにより実行される大当たり終了処理を示すフローチャートである。
図39】主制御装置内のMPUにより実行される普図変動処理を示すフローチャートである。
図40】主制御装置内のMPUにより実行される普通電役制御処理を示すフローチャートである。
図41】主制御装置内のMPUにより実行されるスイッチ読み込み処理を示すフローチャートである。
図42】主制御装置内のMPUにより実行される発射制御処理を示すフローチャートである。
図43】主制御装置内のMPUにより実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。
図44】枠統括制御装置内のMPUにより実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。
図45】枠統括制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
図46】枠統括制御装置内のMPUにより実行されるコマンド判定処理を示すフローチャートである。
図47】枠統括制御装置内のMPUにより実行されるボタン判定処理を示すフローチャートである。
図48】枠統括制御装置内のMPUにより実行される貸球賞球計数処理を示すフローチャートである。
図49】枠統括制御装置内のMPUにより実行される送り球計数処理を示すフローチャートである。
図50】枠統括制御装置内のMPUにより実行される発射処理を示すフローチャートである。
図51】枠統括制御装置内のMPUにより実行される清算処理を示すフローチャートである。
図52】枠統括制御装置内のMPUにより実行される移行処理を示すフローチャートである。
図53】枠統括制御装置内のMPUにより実行される表示処理を示すフローチャートである。
図54】カードユニットで実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
図55】カードユニットで実行される受信信号処理を示すフローチャートである。
図56】ホールコンボックスで実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
図57】ホールコンボックスで実行されるカード認証処理を示すフローチャートである。
図58】ホールコンボックスで実行される信号受信処理を示すフローチャートである。
図59】ホールコンボックスで実行される外部アクセス処理を示すフローチャートである。
図60】ホールコンピュータで実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
図61】第2実施形態におけるスロットマシン、及び、カードユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1図60を参照し、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10及びカードユニット300に適用した場合の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10、及び、カードユニット300の正面図であり、図2は、パチンコ機10から前面枠14を取り外した状態を示した正面図であり、図3は、パチンコ機10の背面図であり、図4はパチンコ機10の遊技盤13の正面図である。なお、図2は、便宜上、遊技盤13面上の遊技領域内の構成を空白で示している。
【0010】
パチンコ機10は、図1に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12(以下、外枠11と内枠12とを総称して、単に「枠」と称する場合がある)とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
【0011】
内枠12には、多数の釘や入賞口(入球口)63,64,65,71等を有する遊技盤13(図4参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図6参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール24(図2参照)等が取り付けられている。なお、遊技盤13の詳細については、図4において後述する。
【0012】
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下部ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下部ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下部ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
【0013】
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
【0014】
前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などに基づいて使用可能となる球が排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図6参照)へと案内される。
【0015】
ここで、第1実施形態のパチンコ機10は、遊技で使用する球(循環球)を島設備から供給を受けたり、遊技に使用した球を島設備に排出したりするのではなく、所定個数(第1実施形態では50個)の球をパチンコ機10の中に予め用意し、該パチンコ機10内でその球を循環させて遊技に使用する、いわゆる機内循環式のパチンコ遊技機として構成されている。この機内循環式のパチンコ機10は、従来の払出装置を有しておらず、遊技者へ直接的に球の貸し出しや払い出しを行わずに、貸球や賞球を数値化して(得点として)遊技者に付与する。
【0016】
この機内循環式のパチンコ機10は、従来の島設備、即ち、該島設備に設置された各パチンコ機10から球を回収し、回収した球を洗浄して、再び各パチンコ機10へ振り分けるといった大がかりな機構を備えた島設備を不要とすることができる。よって、パチンコ機10を導入するホールにおいて、島設備にかかるコストを低減することができる。また、島設備を点検・保守するために該島設備に設置されたパチンコ機10を全て止める必要がなく、パチンコ機10毎に点検・保守を行うことができるので、パチンコ機10の稼働率を上げることができる。
【0017】
また、第1実施形態のパチンコ機10では、磁石によって引き寄せられない非磁性の球、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼球を遊技球(以下、単に「球」と称す)として使用する。これにより、遊技者が磁石を用いて球の流下方向を変更するような不正行為や、後述する遊技領域に球を流下させずに保持させて、遊技領域が開放された場合に球に対して何らかの細工を施すような不正行為が行われないようにしている。
【0018】
上皿17の正面視上方側は、樹脂製(例えば、ABS樹脂)のカバーによって覆われており、該カバーは、パチンコ機10の正面側から開閉不能および取り外し不能に構成されている。これにより、上皿17、球循環装置130及びファール球通路132(図2参照)に貯留されている球に遊技者が触れられないように構成されている。よって、上皿17、球循環装置130又はファール球通路132に貯留された球に対して、遊技者が何らかの不正行為(例えば、球を鉄球に交換したり、球に油を塗って遊技領域における球の動きを変化させたりする等の不正行為)を抑制することができる。
【0019】
上皿17の上面の正面視左側には、枠ボタン22が設けられており、該枠ボタン22は、例えば、後述する第3図柄表示装置81(図4参照)で表示される演出のステージを変更する場合に、遊技者により押下操作されるボタンである。また、枠ボタン22は、第3図柄の変動表示(以下、第3図柄の変動表示を「変動演出」という。)において実行される予告表示での演出内容を遊技者に選択させるための操作ボタンとしても使用される。
【0020】
また、変動演出とは、後述する第3図柄表示装置81(図4参照)にて表示される演出であり、後述の通り、遊技盤13の前面領域に発射された球が特定の入賞口(例えば、後述の第1始動口64又は第2始動口71(図4参照))へ入賞したことを契機として実行され、図柄(後述の第3図柄)が所定時間変動された後、停止表示された図柄の組み合わせによって、当該入賞に対して行われる抽選の結果(大当たりか否か)を遊技者に提示する演出である。
【0021】
さらに、ステージとは、後述する第3図柄表示装置81(図4参照)に表示される各種演出に統一性を持たせた演出モードのことで、本パチンコ機10では「街中ステージ」、「空ステージ」、「島ステージ」の3つのステージが設けられている。上述の変動演出や、変動演出中に実行される「リーチ表示」などの各種演出は、それぞれのステージに与えられたテーマに合わせて行われるように設計されている。
【0022】
また、「リーチ表示」とは、後述する第3図柄表示装置81(図4参照)において実行される変動演出において、大当たりが発生することを示す「大当たり表示」の一歩手前の表示のことをいう。具体的には、後述する左図柄列Z1及び右図柄列Z3(図5参照)の第3図柄が同一図柄で停止し、中図柄列Z2(図5参照)が未だ停止せず変動を継続している状態のことをいう。
【0023】
本実施形態のパチンコ機10では、「リーチ表示」として、大別して、「ノーマルリーチ」の演出を構成する一単位の要素(以下、演出を構成する一単位の要素を「変動要素」という)と、該「ノーマルリーチ」の変動要素から発展して実行され、該「ノーマルリーチ」の変動要素より大当たり期待度が高い「スーパーリーチ」の変動要素と、同じく「ノーマルリーチ」の変動要素から発展して実行され、「スーパーリーチ」の変動要素より大当たり期待度が高い「スペシャルリーチ」の変動要素とが用意されている。
【0024】
ステージの変更は、変動演出が行われていない期間(即ち、デモ表示中)や、変動演出において第3図柄が遊技者に視認不能に高速に変動される「高速変動」の変動要素中に、遊技者によって枠ボタン22が押下操作された場合に行われる。そして、枠ボタン22が操作される度に「街中ステージ」→「空ステージ」→「島ステージ」→「街中ステージ」→・・・の順で繰り返し変更される。また、電源投入直後は、初期ステージとして「街中ステージ」が設定される。
【0025】
また、後述する第3図柄表示装置81(図4参照)にて行われる変動演出において「ノーマルリーチ」の変動要素が開始された場合に、「ノーマルリーチ」の変動要素から「スーパーリーチ」の変動要素又は「スペシャルリーチ」の変動要素に発展するときは、「ノーマルリーチ」の変動要素中に「スーパーリーチ」の変動要素又は「スペシャルリーチ」の変動要素の選択画面が第3図柄表示装置81に表示されるように構成してもよい。
【0026】
具体的には、選択画面では、「スーパーリーチ」の変動要素又は「スペシャルリーチ」の変動要素として選択可能な複数の候補が表示され、その選択画面が表示されている間に、枠ボタン22が遊技者に押下操作された場合に、選択された候補が変更されるように構成する。そして、「スーパーリーチ」の変動要素又は「スペシャルリーチ」の変動要素へ発展するときに選択されていた演出候補に基づいて、「スーパーリーチ」の変動要素又は「スペシャルリーチ」の変動要素が決定され、その決定に従って「スーパーリーチ」の変動要素は「スペシャルリーチ」の変動要素が第3図柄表示装置81にて実行される。
【0027】
なお、第1実施形態では、枠ボタン22を押下操作されるボタンとして構成したが、枠ボタン22に代えて、遊技者によりパチンコ機10に対して所定方向(例えば、パチンコ機10に対して、前方、後方、右方および左方)に傾倒操作可能な、操作レバーにより構成してもよい。そして、操作レバーが傾倒操作された方向に基づいて、演出ステージが選択変更されたり、「スーパーリーチ」の変動要素又は「スペシャルリーチ」の変動要素が決定されたりしてもよい。
【0028】
また、枠ボタン22を上皿17の側面視正面側に配置するように構成しているが、枠ボタン22の配置位置は、遊技者が押下操作可能な位置であれば如何様な配置位置でも良く、例えば、上皿17の上面側に配置してもよいし、後述する下皿50の近傍(上面又は側面)に配置してもよい。
【0029】
前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定の「リーチ表示」時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、発光ダイオード(ライト・エミッティング・ダイオード(Light Emitting Diode)。以下、「LED」と略す。)等の発光手段を内蔵した電飾部29~33が設けられている。
【0030】
パチンコ機10においては、これら電飾部29~33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時や「リーチ表示」時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29~33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前の「リーチ表示」中である旨が報知される。また、前面枠14の正面視左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
【0031】
右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図4参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29~33の周りの領域にクロムメッキを施したアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene。以下、「ABS」と略す。)樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
【0032】
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、クレジット数表示部41と、クレジット移行ボタン42と、カード返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置される後述するカードユニット300に紙幣やカード等を投入した状態でカードユニット300に設けられた球貸ボタン309が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、クレジット数表示部41は遊技可能な残球数(獲得した持ち球数。以下、「クレジット球数」と称する場合がある。)が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残球数情報が数字で表示される。
【0033】
クレジット移行ボタン42は、クレジット数表示部41に表示された(内部的に記憶された)クレジット球数を、カードユニット300に投入中の会員カード700(図8参照)に移行させるためのボタンである。クレジット球数が存在する状態で、このクレジット移行ボタン42が遊技者により押下された場合に、その押下態様に応じて、パチンコ機10側に記憶されるクレジット球数が会員カード700へ移行させるように構成されている。第1実施形態のパチンコ機10では、クレジット移行ボタン42の押下時間が「0.5秒」未満(以下、「0.5秒」未満の押下態様を、「単押し」と称する場合がある)である場合に、パチンコ機10に記憶されるクレジット球数が「1球」分、会員カード700へ移行され、クレジット移行ボタン42の押下時間が「0.5秒」以上(以下、「0.5秒」以上の押下態様を、「長押し」と称する場合がある)である場合に、パチンコ機10に記憶されるクレジット球数が「125球」分(500円分の球数)、カードユニット300の通信タイミング毎に、会員カード700へ移行される。なお、クレジット球数の移行については、図14において詳細に説明する。なお、クレジット移行ボタン42を、カードユニット300に設けてもよい。
【0034】
カード返却ボタン43は、カードユニット300に投入されている会員カード700(図8参照)を排出させるためのボタンである。カードユニット300に会員カード700が投入されている状態で、このカード返却ボタン43が遊技者により押下された場合に、クレジット球数を清算(会員カード700に移行)した上で、カードユニット300から会員カード700が排出されるように構成されている。なお、カード返却ボタン43をカードユニット300に設けてもよい。
【0035】
ここで、カードユニット300の詳細について、説明する。カードユニット300は、各パチンコ機10と1対1に対応して設けられており、対応するパチンコ機10の左側側部(又は右側側部)に配置され、パチンコ機10と電気的に接続されている。パチンコ機10は、対応するカードユニット300に投入された紙幣の金額、又は、挿入中の会員カード700(図8参照)に記憶されている貯蓄データ(残球データ)の範囲内で、遊技者に球を貸し出し可能に構成される。そして、遊技者は、貸し出された球(貸球)と、遊技によって払い出された(付与された)球(賞球)とを所持球として、パチンコ機10において遊技を行うことができる。
【0036】
カードユニット300には、少なくとも、該カードユニット300の状態や投入中の会員カード700の記憶内容等を表示可能なカードユニット(以下、カードユニットを、「CU」と称する場合がある)側カード情報表示装置308と、球貸ボタン309と、会員カード700やゲストカード(図示せず)の投入又は排出を行うためのカード挿入孔311と、紙幣を投入するための紙幣投入口312と、が設けられている。なお、少なくとも、CU側情報表示装置308及び球貸ボタン309の装置又は機能を、パチンコ機10に搭載するように構成してもよい。
【0037】
CU側カード情報表示装置308の正面視上方には、貸球を得るための球貸ボタン309が配設されている。遊技者により球貸ボタン309が操作されると、会員カード700に金額データが存在する場合、又は、クレジット球数が存在する場合に限り、カードユニット300で予め設定されている貸出金額単位(例えば、500円分)毎に、同じく予め設定されている貸出レート(例えば、貸球「1球」=4円)に応じて、貸球がパチンコ機10側のクレジット記憶部213b(図8参照)に加算される。
【0038】
具体的には、例えば、カードユニット300において、貸出金額単位が500円と設定され、かつ、貸出レートが1球4円と設定されている状況において、遊技者により球貸ボタン309が操作された場合は、「125球」の貸球が遊技者に貸し出される。また、貸出金額単位が500円と設定され、かつ、貸出レートが1球2円と設定されている状況において遊技者により球貸ボタン309が操作された場合は、「250球」の貸球が遊技者に貸し出される。さらに、貸出金額単位が500円と設定され、かつ、貸出レートが1球1円と設定されている状況において遊技者により球貸ボタン309が操作された場合は、「500球」の貸球が遊技者に貸し出される。
【0039】
貸出レートは、事前にホールコンピュータ500(図8参照)からカードユニット300に対して送信され、設定される。例えば、カードユニット300に電源が入れられると、会員カード700の電源が投入されたことを示す信号がホールコンピュータ500へ送信され、該信号を受信したホールコンピュータ500は、当該カードユニット300に対し、当該カードユニット300に対応する貸出レートに係るレート信号を送信する。そして、当該レート信号を受信したカードユニット300は、当該レート信号により特定される貸出レートを、カードユニット内のRAM303(図8参照)の所定エリアに記憶することで、貸出レートを設定する。この設定された貸出レート(球単価)は、CU側カード情報表示装置308に表示される。遊技者は、CU側カード情報表示装置308に表示された貸出レートを確認することで、カードユニット300に対応するパチンコ機10における貸出球の球単価(交換レート)を知ることができる。
【0040】
また、貸出金額単位も事前にホールコンピュータ500(図8参照)からカードユニット300に対して送信され、設定される。例えば、カードユニット300に電源が入れられると、カードユニット300の電源が投入されたことを示す信号がホールコンピュータ500へ送信され、該信号を受信したホールコンピュータ500は、当該カードユニット300に対し、上述したレート信号を当該カードユニット300へ送信するとともに、当該カードユニット300に対応する貸出金額単位に係る金額単位信号を送信する。そして、当該金額単位信号を受信したカードユニット300は、当該金額単位信号により特定される貸出金額単位を、カードユニット300内のRAM303(図8参照)の所定エリアに記憶することで、貸出金額単位を設定する。この設定された貸出金額単位は、CU側カード情報表示装置308に表示される。遊技者は、CU側カード情報表示装置308に表示された貸出金額単位を確認することで、カードユニット300に対応するパチンコ機10における貸出金額単位を知ることができる。
【0041】
会員カード700(図8参照)は、遊技ホールに会員登録した遊技者に対して発行される遊技用記録媒体であり、ゲストカード(図示せず)は、遊技ホールに会員登録していない一般の遊技者に対して発行される遊技用記録媒体である。会員カード700及びゲストカードは、ICカードで構成されており、遊技者所有の遊技価値(例えば、クレジット球数)と、投入された紙幣に応じた現金データとを記録している。ゲストカードは、カードユニット300内に常時備えられており、会員カード700を有しない遊技者に対し会員カード700の代替的役割を担うものであって、会員カード700がカード挿入孔311に投入されていない状態で遊技者が紙幣投入口312に紙幣を投入した場合、カードユニット300に備えられているゲストカードに紙幣に応じた金額データが記録されるように構成されている。なお、ゲストカードの機能は、会員カード700の会員ID以外の機能と同等であるので、以下の説明では、ゲストカードに関する説明を省略する。また、第1実施形態に関する発明について会員カード700を用いて説明するが、会員カード700と同等の機能を有するゲストカードでも当然に本発明が成立するものである。
【0042】
遊技者によりカード挿入孔311に会員カード700が投入された場合、カードユニット300が後述するホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500(ともに図6参照)に対して挿入された会員カード700の正当性(不正なものでないこと)を確認し、該確認において正当性が確認された場合に、その会員カード700に記憶された金額データ(残高データ)の範囲内で遊技者への貸出球の貸出が可能な状態となると共に、該会員カード700に記憶されたクレジット球数の範囲内で球を発射可能な状態となる。
【0043】
なお、本実施形態では、カードユニット300の内部に会員カード700又はゲストカードが備えられていない状態では、遊技者による紙幣の投入が禁止されるエラー状態となるように構成されている。このように構成することで、カードユニット300に会員カード700又はゲストカードが挿入されていなければ、紙幣投入口312に紙幣を投入することができず、該エラー状態が解除されて正常な状態でのみカードユニット300に遊技者が紙幣を投入できるように構成されるので、該紙幣に応じた金額データを必ず会員カード700又はゲストカードに記録することができる。カードユニット300の内部に会員カード700又はゲストカードが備えられていないエラー状態は、遊技者により会員カード700がカード挿入孔311に投入されるか、遊技ホールのスタッフによりゲストカードがカード挿入孔311に投入されることで解消されるように構成される。
【0044】
上皿17の下側に位置する下部ユニット15には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される発射ハンドル51が配設され、かかる発射ハンドル51の内部には球発射ユニット112a(図6参照)の駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する押しボタン式の打ち止めスイッチ51bと、発射ハンドル51の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。
【0045】
発射ハンドル51が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、発射ハンドル51の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、発射ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび打ち止めスイッチ51bがオフとなっている。
【0046】
次いで、図2で示す通り、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース12aを主体に構成されており、樹脂ベース12aの中央部には略円形状の窓孔52が形成されている。この樹脂ベース12aの後側には、遊技盤13(図4参照)が内枠12に対して着脱可能に装着されている。遊技盤13は四角形状の合板より構成され、その周縁部が樹脂ベース12a(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤13の前面部の略中央部分が樹脂ベース12aの窓孔52を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
【0047】
樹脂ベース12aには、窓孔52の右下部に略四角形状の小窓47が設けられている。遊技盤13(図4参照)の右下隅部には後述する通り貼着スペースK1(図4参照)が設けられ、その貼着スペースK1に張られたシール等は、遊技盤13が樹脂ベース12aの後側に装着された場合に小窓47を通じて視認できるようになっている。また、この小窓47からシール等を貼り付けることも可能となっている。
【0048】
内枠12において、遊技盤13(図4参照)が装着される領域の下側には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112aと、その球発射ユニット112aから発射された直後の球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール24と、ファール球として回収されたファール球が流入可能なファール球通路132と、遊技盤13の前面領域から回収された遊技に使用された球が流入可能なアウト球通路133と、該ファール球通路132又はアウト球通路133に流入した球を前面枠14の上皿17(ともに図1参照)へ搬送させるための球循環装置130と、該球循環装置130によって上皿17に搬送された球を発射ハンドル51(図1参照)の操作態様に応じて球発射ユニット112a側に送り出すための球送りユニット112cとが、主に配設されている。
【0049】
球発射ユニット112aは、発射ソレノイド112b及び電磁石(図示せず)を備えており、その発射ソレノイド112bおよび電磁石は、後述する発射制御装置112(図6参照)によって駆動される。発射制御装置112は、後述の枠統括制御装置111から発射許可の指示を受けた上で、遊技者が発射ハンドル51(図1参照)に触れていることをタッチセンサ51a(図1参照)により検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51b(図1参照)のオフ(操作されていないこと)を条件に、発射ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイド112bを励磁し、発射ハンドル51の回転量に応じた強さで一定間隔(例えば、「0.6秒」)で球を発射する。
【0050】
発射レール24は、その後方の金属板を介して樹脂ベース12aに取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、発射ハンドル51(図1参照)の回動操作に伴い球発射ユニット112aにて発射された球は、まず発射レール24に沿って斜め上方に打ち出され、その後、遊技盤13(図4参照)に設けられた後述の2本のレール61,62(図4参照)で形成される球案内通路を通じて、遊技領域に案内される。
【0051】
発射レール24と遊技盤13(図4参照)に設けられた外レール62(図4参照)との間には、所定間隔の隙間が形成され、この隙間より下方にファール球通路132が形成されている。このファール球通路132は、球循環装置130へ接続されており、球発射ユニット112aから発射された球が戻り球防止部材68(図4参照)まで至らずファール球として球案内通路を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路132に排出され貯留される。
【0052】
ファール球通路132には、ファール球スイッチ131が設けられている。ファール球スイッチ131は、ファール球通路132に流入する球を検出するものであり、その検出結果は、後述する枠統括制御装置111(図6参照)へ出力される。枠統括制御装置111は、上皿17や球循環装置130等に貯留されている球や発射球、ファール球を計数しており、ファール球通路132を通過した球がファール球スイッチ131によって検出された場合に、遊技者の持ち球が1個発射されたが、遊技領域まで到達せずに有効利用されずにファール球通路132に戻ったということで、遊技者の持ち球の数(図8に示すクレジット記憶部213bの値、又は、移行中記憶部213cの値)を「1」加算する。
【0053】
第1実施形態では、遊技者が所有する球をカードユニット300に移行するタイミング(即ち、クレジット移行中)か否かに応じて、ファール球を加える球データが異なるように構成されている。具体的には、クレジット移行中ではない通常遊技期間中にファール球スイッチ131によってファール球が検出された場合は、クレジット記憶部213b(図8参照)に「1」を加算するように構成される一方(図50のS1609参照)、クレジット移行中にファール球スイッチ131によってファール球が検出された場合には、移行中記憶部213c(図8参照)に「1」を加えるように構成されている(図50のS1611参照)。
【0054】
クレジット移行中に、発射球がファール球となった際に、カードユニット300に移行中のデータであるクレジット記憶部213b(図8参照)に球データを加算してしまうと、加減算の処理が重複してしまい、処理が煩雑になるおそれ、又は、意図しないエラー(計数結果の齟齬等)が発生してしまうおそれがある。そこで、第1実施形態のパチンコ機10のように、クレジット移行中のファール球は、減算処理が行われているクレジット記憶部213bと異なる移行中記憶部213cに加算するように構成することで、上記問題が発生することを未然に防止することができる。
【0055】
遊技盤13のアウト口66(図4参照)の正面視下方側には、遊技領域に打ち込まれて各入賞口64等(図4参照)に入賞した球、若しくは、各入賞口64等に入賞せずにアウト口66に流入した球が流入可能なアウト球通路133が設けられている。このアウト球通路133は、ファール球通路132及び球循環装置130へ接続されており、球発射ユニット112aから発射された球が戻り球防止部材68(図4参照)を越えて遊技領域へ打ち込まれた場合には、各入賞口64等へ入賞したセーフ球、又は、アウト口66に流入したアウト球が、それぞれアウト球通路133に排出され貯留される。
【0056】
球循環装置130は、上述した通り、ファール球通路132およびアウト球通路133に貯留された球を、再び上皿17まで搬送するためのものである。第1実施形態では、パチンコ機10の機内に50球の球が貯留され、この50球の球を循環させながら遊技者に遊技を行わせている。遊技が行われていないときには、上皿17、球循環装置130、ファール球通路132及びアウト球通路133に貯留される。
【0057】
この球循環装置130には、螺旋形状の回転体が設けられ、該回転体が回転モータ(図示せず)によって回転することで、ファール球通路132及びアウト球通路133に貯留されている球が上皿17へ搬送するように構成されている。回転体周囲には、交換可能に構成された研磨材(例えば、フェルト等の素材。図示せず。)が、回転体で搬送される球と接触し得る位置に配設され、該研磨材によって、回転体によって搬送される球が研磨されるように構成されている。この研磨材は、研磨材駆動モータ(図示せず)によって上記回転体と同期して回転駆動可能に構成されており、回転体によって搬送される球の汚れ等を擦るようにして研磨可能に構成されている。なお、回転モータと研磨材駆動モータとのギア比を異ならせることで、球と研磨材との接触位置を異なるように構成してもよい。
【0058】
球送りユニット112cは、少なくとも、球送り機構を駆動する球送りソレノイド112d(図6参照)と、該球送りソレノイド112dが駆動されることで、上皿17から球発射ユニット112aによって送り出された球を検知可能な球送りスイッチ112eと、で構成されている。球送りソレノイド112dは、発射ハンドル51の操作された場合に一定間隔(例えば、「0.6秒」)駆動され、該球送りソレノイド112dが駆動された場合に、上皿17に貯留されている球を、1球ずつ球発射ユニット112a側へ案内するように構成されている。なお、球送りソレノイド112dの駆動タイミングと、発射ソレノイド112bとの駆動タイミングとを同期するように構成してもよいし、タイミングをずらして(例えば、「0.3秒」後)駆動するように構成してもよい。
【0059】
球送りスイッチ112eは、球送りユニット112cから球発射ユニット112aに送り出された球を検知可能な位置に配置され、該球送りスイッチ112eによって球が検出された場合に、遊技者の持ち球(クレジット記憶部213bに記憶される球データ)が1球分減算される。即ち、第1実施形態のパチンコ機10は、球を発射したタイミングではなく、上皿から球を球発射ユニット112a側へ送り出したタイミングで、遊技者の持ち球が減算されるように構成されている。
【0060】
上記構成により、ファール球、アウト球及びセーフ球は、ファール球通路132、アウト球通路133、球循環装置130、上皿17及び球送りユニット112cを介して再び球発射ユニット112aに供給され、発射ハンドル51(図1参照)の操作に応じて、遊技盤13の前面領域に向けて発射可能に構成される。
【0061】
次に、図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、枠統括制御基板(枠統括制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
【0062】
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92やパチンコ機10の各種遊技データをホールコンピュータ500(図6参照)に外部出力するための外部端子板23がユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのマイクロ・プロセッシング・ユニット(Micro-Processing Unit。以下、「MPU」と略す)、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
【0063】
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、枠統括制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100~104に収納されている。基板ボックス100~104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
【0064】
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(枠統括制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
【0065】
枠統括制御装置111には球抜きボタン120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられている。球抜きボタン120は、例えば、球循環装置130(図2参照)部の球詰まり等、内枠12内の球詰まりエラーを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイド112b(図2参照)の発射力を調整するために操作される。
【0066】
主制御装置110には、少なくとも、設定変更用の専用キー(図示せず)を挿入可能な設定キー141と、設定キー141に専用キーが挿入されている状態で操作されることで大当たり確率等の設定値を変更可能な設定変更スイッチ142と、電源投入時に操作されることでパチンコ機10を初期状態に戻すRAM消去スイッチ143と、設定されている設定値を表示可能な確率表示装置144と、遊技に使用可能な球データ(即ち、クレジット記憶部213bに記憶されるクレジット球数)が表示される球数表示部145と、球の発射数に対して各入賞口64等への入賞割合(賞球付与割合。所謂、役物比率。)を表示可能な役比モニタ146と、が設けられている。なお、設定キー141、設定変更スイッチ142、RAM消去スイッチ143、確率表示装置144、球数表示部145及び役比モニタ146の詳細については、後述する。
【0067】
次に、図4を参照して遊技盤13の具体的構成について説明する。まず、図4に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、球が入賞することで所定の賞球を得ることができる一般入賞口63、第3図柄の大当たりが発生した場合に開放される可変入賞装置65、第3図柄(所謂、特別図柄)の1つである第1特別図柄の抽選契機となる第1始動口64、第3図柄の1つである第2特別図柄の抽選契機となる第2始動口71、第2図柄(所謂、普通図柄)の抽選契機となるスルーゲート67、開放状態となることで第2始動口71へ球が入球可能となる普通電役72、第3図柄表示装置81及び第2図柄表示装置83等を有した可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。
【0068】
一般入賞口63、第1始動口64、可変入賞装置65、スルーゲート67、第2始動口71、普通電役72、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。以下に、主に図4を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
【0069】
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
【0070】
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図6参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球を再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図4の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される(以下、返しゴム69に当たる勢い等で球を発射して、該球を可変表示装置ユニット80の正面視右側を通過させる行為を「右打ち遊技」と称する一方、発射した球が可変表示装置ユニット80の正面視左側を通過させる行為を「左打ち遊技」と称する)。第1実施形態では、左打ち遊技において、第1始動口64へ球が入球し得る若しくは入球し易い一方、可変入賞装置65、スルーゲート67、第2始動口71に球が入球し難い若しくは入球しないように構成されている。また、右打ち遊技において、可変入賞装置65、スルーゲート67、第2始動口71へ球が入球し得る若しくは入球し易い一方、第1始動口64に球が入球し難い若しくは入球しないように構成されている。
【0071】
また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
【0072】
遊技領域の正面視右側上部(図4の右側上部)には、発光手段である複数のLEDで構成された状態LED群37aと特別LED群37bと右打ち報知ランプ37cとが設けられた特別図柄表示装置37が配設されている。特別図柄表示装置37は、後述する主制御装置110(図6参照)で行われる各制御に応じた第1特別図柄および第2特別図柄の各変動表示(以下、両特別図柄の変動表示を「動的表示」という)がなされると共に、パチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。
【0073】
状態LED群37aは、後述する第1始動口64又は第2始動口71に入賞(入球)した球のうち、変動表示が未実行である球(保留球)の数である保留球数を点灯状態により示すものである。また、大当たりのラウンド(以下、ラウンドを、単に「R」と称する場合がある)数やエラー表示も、該状態に対応する状態LED群37aの点灯状態により示される。なお、状態LED群37aは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるように構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
【0074】
なお、大当たりにおける「ラウンド」とは、大当たりの賞球個数を区切るために後述する可変入賞装置65を開閉する大入賞口開閉板65aが、開放されてから閉鎖されるまでのことをいい、第1実施形態のパチンコ機10では、大入賞口開閉板65aが開放開始されてから「30秒」経過するか、若しくは、大入賞口開閉板65aの開放中に球が10個入賞することで、1回の「ラウンド」が実行されるように構成されている。
【0075】
特別LED群37bは、6個のLEDで構成された上方LED群37b1と、同じく6個のLEDで構成された下方LED群37b2との計12個のLEDで構成されている。上方LED群37b1は、第1始動口64への球の入球に基づいて実行される第1抽選遊技の判定結果を示す第1特別図柄が動的表示される。また、下方LED群37b2は、第2始動口71への球の入球に基づいて実行される第2抽選遊技の判定結果を示す第2特別図柄が動的表示される。
【0076】
具体的には、上方LED群37b1には、遊技盤13の盤面中央に設けられた第1始動口64への入賞に基づいて決定された変動時間(動的表示時間)が経過するまで動的表示(第1実施形態では、上方LED群37b1の最も上方のLEDから下方のLEDを1つずつ順番に点灯し、該点灯パターンの繰り返し表示)した後に、判定結果を示す図柄(第1実施形態では、6個のLEDの各点灯パターンの組み合わせによって計64種類の停止図柄のいずれか)で停止表示される。
【0077】
また、下方LED群37b2には、遊技盤13の右側側方に設けられた第2始動口71への入賞に基づいて決定された変動時間(動的表示時間)が経過するまで動的表示(第1実施形態では、下方LED群37b2の最も上方のLEDから下方のLEDを1つずつ順番に点灯し、該点灯パターンの繰り返し表示)した後に、判定結果を示す図柄(第1実施形態では、6個のLEDの各点灯パターンの組み合わせによって計64種類の停止図柄のいずれか)で停止表示される。
【0078】
いずれのLED群37b1,37b2においても、判定結果がハズレである場合には、最も左側のLEDのみが点灯表示され、判定結果が大当たりである場合には、該大当たりの種類(種別)に対応した点灯パターンで各LED群が点灯表示される。各LED群の停止パターンの詳細については、後述する。
【0079】
本パチンコ機10では、第1始動口64又は第2始動口71への入球に対して大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、各当否判定において大当たりと判定された場合は、入賞した入賞口64,71に応じてその大当たり種別の判定も行い、各大当たり種別に応じて可変入賞装置65を開閉駆動する。
【0080】
第1実施形態において判定される大当たり種別としては、第1始動口64又は第2始動口71への入賞に基づいて、「10ラウンド確変大当たり(以下、「確変A」と称する場合がある)」と、「5ラウンド時短大当たり(以下、「時短A」と称する場合がある)」と、が用意されている(図19参照)。
【0081】
ここで、「通常遊技状態」とは、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」でない遊技状態の時をいい、各特別図柄の大当たり確率、及び、普通図柄の当たり確率が通常の状態(即ち、低確率状態)かつ普通電役72の開放が短時間である状態をいう。即ち、「通常遊技状態」は、「確率変動状態」の時より各特別図柄の大当たり確率が低く、また、「確率変動状態」および「時間短縮状態」の時より普通図柄の当たり確率が低い状態であって普通電役72の開放時間も短時間となるように構成されている。
【0082】
詳細は後述するが、「通常遊技状態」の場合、所謂右打ち遊技をした場合に第2始動口71へ球が入賞し易い遊技状態(以下、第2始動口71へ球が入賞し易い状態のことを、「入賞補助状態」と称する場合がある)ではなく、遊技者にとって最も不利な遊技状態となる。なお、「通常遊技状態」において、右打ち遊技で発射された球が検知された場合(例えば、スルーゲート67への球の通過検知等)、奨励されていない遊技が実行されているということを遊技者およびホール関係者に示唆するために、所定の警報(例えば、「左打ち遊技に戻して下さい」の音声出力や、第3図柄表示装置81において「左打ち遊技に戻してください」の表示等)を出力するように構成されている。このように構成することで、「通常遊技状態」において非奨励の右打ち遊技が継続して実行されることを抑制し、遊技仕様通りの遊技性を実現することが可能となる。
【0083】
次いで、「時間短縮状態」とは、各特別図柄の大当たり確率が「通常遊技状態」と同様に低確率状態であるが、普通図柄の当たり確率がアップするとともに普通図柄の変動表示(以下、普通図柄の変動表示を「可変表示」という)時間が短縮された所謂「時短機能」が付与された状態をいう。この「時間短縮状態」は、可変表示装置ユニット80の正面視右側に設けられた普通電役72が開放状態となり易くなり、その結果、入賞補助機能が作動して、右打ち遊技で発射された球が第2始動口71へ入球し易い状態となる。
【0084】
即ち、「時間短縮状態」は、特別図柄の大当たり確率が「通常遊技状態」と同等であるものの、普通図柄による当たりが「通常遊技状態」より短時間で導出され易く、また、普通電役72の開放状態が長くなる状態である。よって、「時間短縮状態」では、右打ち遊技により発射された球を第2始動口71へ入賞させ易いため、該第2始動口71への入賞に基づく賞球(例えば、1個/入賞)を得て持ち球の減少を抑えながらの遊技を行うことが可能となる。
【0085】
第1実施形態のパチンコ機10では、「時間短縮状態」は、該「時間短縮状態」が開始されてから予め定められた規定回数(第1実施形態では、200回)の特別図柄の動的表示が実行されるまでの間、普通図柄の当たり確率が高確率状態となる。そして、上記規定回数の特別図柄の動的表示が実行された後は、「時間短縮状態」から上記「通常遊技状態」に移行するように構成されている。
【0086】
なお、「時間短縮状態」又は後述する「確率変動状態」において、左打ち遊技により球が発射されたことが検知された場合(例えば、第1始動口64への球の入賞検知等)、奨励されていない遊技が実行されているということを遊技者およびホール関係者に示唆するために、所定の警報(例えば、「右打ちして下さい」の音声出力や、「右打ちして下さい」の表示等)を出力するように構成されている。このように構成することで、「時間短縮状態」又は「確率変動状態」において非奨励の左打ち遊技が継続して実行されることを抑制し、遊技仕様通りの遊技性を実現することが可能となる。
【0087】
次いで、「確率変動状態」では、大当たり終了後に付加価値としてその後の各特別図柄の大当たり確率がアップした高確率状態であるとともに、普通図柄の当たり確率がアップし、かつ、普通電役72の入賞補助機能が作動した状態となる。
【0088】
即ち、「確率変動状態」は、特別図柄による大当たり結果が導出され易い状態であるとともに、普通図柄による当たり結果が導出され易く、さらに、普通電役72の開放状態が長くなる状態となる。よって、「確率変動状態」では、右打ち遊技により発射された球が第2始動口71へと入賞し易いため、第2特別図柄の動的表示を連続的に実行できるとともに、該第2始動く71への入賞に基づく賞球(例えば、1個/入賞)を得て持ち球の減少を抑えながら遊技を行うことができる。よって、「確率変動状態」では、第2特別図柄の動的表示に基づく大当たり遊技(特別遊技状態)が発生し易い状態で遊技を行うことが可能となる。
【0089】
第1実施形態のパチンコ機10では、「確率変動状態」は、該「確率変動状態」が開始されてから予め定められた次の特別図柄の動的表示における大当たりに再び当選するまでの間、特別図柄の大当たり確率が高確率状態となる。そして、上記次の特別図柄の動的表示における大当たりに基づく大当たり遊技状態を経て、該大当たり終了後に、大当たり種別に応じた遊技状態(即ち、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」)に移行するように構成されている。従って、「確率変動状態」に突入した場合には、次の大当たりが実質的に保証された「連荘」状態とすることができる。
【0090】
なお、「連荘」とは、遊技者にとって明確に有利な状態から、再び有利な状態が発生することであり、第1実施形態では、右打ち遊技が行われる「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において、「通常遊技状態」に移行することなく、再度いずれかの大当たりに当選し続けている状態(状況)をいう。従って、右打ち遊技が行われ得る「確率変動状態」又は「時間短縮状態」中において大当たりに当選した場合は、「連荘」に該当し、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」が終了した後の「通常遊技状態」の間は、所謂「連荘」が途切れた状態となり、該「通常遊技状態」で大当たりに当選した場合(所謂、初回大当たり)も「連荘」での大当たりには該当しない。
【0091】
ここで、各大当たり種別の特別LED群37bの表示態様について説明する。第1特別図柄用の上方LED群37b1の停止表示(点灯表示)として、ハズレに対応する表示パターンは1種類、大当たり種別「確変A」に対応する表示パターンは32種類、大当たり種別「時短A」に対応する表示パターンは31種類の計64種類の表示パターンが設けられている。そして、各表示パターンは、大当たり種別毎に特定の規則性を有さず、無作為な表示パターンが予め対応付けられている。よって、遊技者が上方LED群37b1の表示パターンを見た場合に、ハズレの停止表示は認識することができる一方、大当たり種別「確変A」、「時短A」のいずれの停止表示であるかを識別困難に構成されている。
【0092】
また、第2特別図柄用の下方LED群37b2の停止表示(点灯表示)として、ハズレに対応する表示パターンは1種類、大当たり種別「確変A」に対応する表示パターンは32種類、大当たり種別「時短A」に対応する表示パターンは31種類、の計64種類の表示パターンが設けられている。そして、各表示パターンは、上方LED群37b1と同様、大当たり種別毎に特定の規則性を有さず、無作為な表示パターンが予め対応付けられている。よって、遊技者が下方LED群37b2の表示パターンを見た場合に、ハズレの停止表示は認識することができる一方、大当たり種別「確変A」又は「時短A」のいずれの停止表示であるかを識別困難に構成されている。
【0093】
このように構成することで、特別図柄表示装置37の特別LED群37bの停止表示において各大当たり種別を表示した場合であっても、各停止表示に対応する大当たり種別を全て把握していなければ、当選した大当たり種別を遊技者が認識することが困難となる。このため、変動演出の表示結果のみではいずれの大当たり種別かを識別困難にし、遊技者にいずれの大当たり種別であるかを推測させる遊技性が生まれ、遊技の興趣を向上することができる。
【0094】
特別図柄表示装置37の右打ち報知ランプ37cは、右打ち遊技での球の発射が奨励される遊技状態を示唆するためのランプである。この右打ち報知ランプ37cは、左打ち遊技が奨励されて右打ち遊技が非奨励である「通常遊技状態」では非点灯状態である一方、右打ち遊技が奨励される「確率変動状態」若しくは「時間短縮状態」、又は、大当たり遊技中に点灯状態となる。遊技者は、この右打ち報知ランプ37cや第3図柄表示装置81における右打ち遊技示唆表示を確認することで、右打ち遊技を行うべき状態か否かを認識することができる。
【0095】
遊技盤13の遊技領域には、球が入賞することにより3個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。
【0096】
また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1始動口64への入球又は第2始動口71への入球(以下、第1始動口64又は第2始動口71への球の入球を「始動入賞」という場合がある)をトリガとして、特別図柄表示装置37における第1特別図柄又は第2特別図柄の動的表示と同期させながら、第3図柄の変動演出を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして普通図柄の可変表示を実行可能なLEDで構成される第2図柄表示装置83(以下、第2図柄表示装置83に関し、説明の便宜上、「普通図柄表示装置83」と称する場合がある)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
【0097】
第3図柄表示装置81は17インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、後述する表示制御装置114(図6参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば左、中及び右の3つの図柄列Z1~Z3(図5参照)が表示される。
【0098】
各図柄列Z1~Z3(図5参照)は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列Z1~Z3毎に縦スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変的に表示されるようになっている。第1実施形態の第3図柄表示装置81は、第1特別図柄の第1抽選遊技および第2特別図柄の第2抽選遊技で共通的に使用されるものであり、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が特別図柄表示装置37で行われるのに対して、その特別図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を第3図柄表示装置81の第3図柄を用いて行うものである。なお、表示装置に代えて、例えば、リールやLED等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
【0099】
ここで、図5を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図5は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図5(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図5(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
【0100】
第3図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄により構成されている。各主図柄は、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(「1」,「3」,「5」,「7」,「9」)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(「0」,「2」,「4」,「6」,「8」)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にかんな、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
【0101】
また、第1実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110(図6参照)によるいずれかの特別図柄の抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動演出が行われ、その変動演出が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。例えば、大当たり種別「確変B」に当選した場合は、主に、奇数図柄、即ち、「1」、「3」、「5」、「7」又は「9」の数字を付した主図柄が揃う変動演出が行われる。一方、大当たり種別「時短A」に当選した場合は、主に、偶数図柄、即ち、「0」、「2」、「4」、「6」又は「8」の数字を付した主図柄が揃う変動演出が行われる。
【0102】
なお、第1実施形態のパチンコ機10では、大当たり種別「確変A」に当選した場合に、すべての主図柄が現出可能に構成されている。具体的には、例えば、大当たり種別「確変A」に当選した場合であっても、「2」や「8」の数字を付した同一の主図柄が揃う変動演出が行われる場合がある。このように構成することで、例えば、変動演出の停止時点では、付与され得る遊技価値の内容が確定し得ないように構成し、大当たり中における昇格演出等を行うことで、遊技のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0103】
図5(a)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下方向に3分割され、下側の2/3が第3図柄を変動演出する主表示領域Dmと保留球数などを表示するコクピット表示領域Dbとで構成され、それ以外の上側の1/3が予告演出、キャラクタなどを表示する副表示領域Dsとなっている。
【0104】
主表示領域Dmは、左・中・右の3つの表示領域Dm1~Dm3に区分けされており、その表示領域Dm1に左図柄列Z1が表示され、表示領域Dm2に中図柄列Z2が表示され、表示領域Dm3に右図柄列Z3が表示される。
【0105】
各図柄列Z1~Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1~Z3には、数字の昇順(または降順)に主図柄が配列され、各図柄列Z1~Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動演出が行われる。なお、各図柄列Z1~Z3において、数字の配列をそれぞれ異ならせるように構成してもよい。例えば、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列する一方、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列してもよい。
【0106】
また、主表示領域Dmには、各図柄列Z1~Z3毎に上・中・下の3段に第3図柄が表示される。この主表示領域Dmの中段部が有効ラインL1として設定されており、変動演出に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に、有効ラインL1上に第3図柄が停止表示される。その第3図柄の停止時に有効ラインL1上に大当たり図柄の組合せ(同一の主図柄の組合せ)で揃えば、大当たりとして大当たり動画が表示される。
【0107】
副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、更に左右方向に3つの小領域Ds1~Ds3に等区分されている。小領域Ds1~Ds3は、それぞれ、キャラクタや予告演出画像を表示する領域である。小領域Ds1~Ds3のそれぞれに表示される画像によって、主表示領域Dmにて行われる変動表示の結果として大当たりとなる期待感を遊技者に与えている。
【0108】
コクピット表示領域Dbは、各遊技状態ごとに設定されている特別図柄に対応する第1始動口64又は第2始動口71に入球された球のうち変動表示(変動演出)が未実行である球(保留球)の数である保留球数を表示する領域である。
【0109】
副表示領域Dsの右の小領域Ds3には、第1特別図柄の動的表示および保留球数と同期して変化可能な特図1用第4図柄表示領域87と、第2特別図柄の動的表示および保留球数と同期して変化可能な特図2用第4図柄表示領域88とが表示可能に構成されている。
【0110】
図1用第4図柄表示領域87は、第1特別図柄の動的表示の保留数を数字で表示する特図1用保留数表示87aと、第1特別図柄の動的表示(変動演出)の実行と同期して変化可能な特図1用変動領域87bとで構成されている。
【0111】
図1用保留数表示87aは、第1特別図柄の動的表示の保留数を「0」~「4」の範囲で数字図柄で表示可能に構成されている。具体的には、特図1用保留数表示87aが「0」を表示している場合は、第1特別図柄の動的表示の保留数が0個であることを示し、特図1用保留数表示87aが「1」を表示している場合は、第1特別図柄の動的表示の保留数が1個であることを示し、特図1用保留数表示87aが「2」を表示している場合は、第1特別図柄の動的表示の保留数が2個であることを示し、特図1用保留数表示87aが「3」を表示している場合は、第1特別図柄の動的表示の保留数が3個であることを示し、特図1用保留数表示87aが「4」を表示している場合は、第1特別図柄の動的表示の保留数が4個であることを示している。
【0112】
即ち、特図1用第4図柄表示領域87の特図1用保留数表示87aは、上述した特別図柄表示装置37の状態LED群37aの第1特別図柄の動的表示の保留球数の内容と一致するように表示されるとともに、後述する特図1用保留図柄表示領域Db1の保留球数の内容と一致するように表示される。
【0113】
図1用変動領域87bは、第1特別図柄の動的表示の実行及び結果を示すための表示領域であり、四角図柄の表示色が変化可能に構成されている。具体的には、第1特別図柄の動的表示が実行されている場合は、特図1用変動領域87bの四角図柄の表示色が、白→赤→橙→黄→緑→水色→青→紫の順で高速に変化し、紫の後は、再び、白→赤→・・・と第1特別図柄の動的表示の実行中は変化を繰り返すように構成されている。そして、第1特別図柄の動的表示が停止した場合に、特図1用変動領域87bの四角図柄が該動的表示の抽選結果と対応する表示色で表示される。
【0114】
より詳細には、特図1用変動領域87bの四角図柄が白で停止した場合は、第1特別図柄の動的表示がハズレであったことを示し、特図1用変動領域87bの四角図柄が赤で停止した場合は、第1特別図柄の動的表示が大当たりであったことを示すように構成されている。即ち、特図1用変動領域87bの四角図柄は、上述した特別図柄表示装置37の上方LED群37b1の表示内容に対応するように表示されるとともに、主表示領域Dmの表示内容と同期するように構成されている。
【0115】
図2用第4図柄表示領域88は、第2特別図柄の動的表示の保留数を数字で表示する特図2用保留数表示88aと、第2特別図柄の動的表示(変動演出)の実行と同期して変化可能な特図2用変動領域88bとで構成されている。
【0116】
図2用保留数表示88aは、第2特別図柄の動的表示の保留数を「0」~「4」の範囲で数字図柄を表示可能に構成されている。具体的には、特図2用保留数表示88aが「0」を表示している場合は、第2特別図柄の動的表示の保留数が0個であることを示し、特図2用保留数表示88aが「1」を表示している場合は、第2特別図柄の動的表示の保留数が1個であることを示し、特図2用保留数表示88aが「2」を表示している場合は、第2特別図柄の動的表示の保留数が2個であることを示し、特図2用保留数表示88aが「3」を表示している場合は、第2特別図柄の動的表示の保留数が3個であることを示し、特図2用保留数表示88aが「4」を表示している場合は、第2特別図柄の動的表示の保留数が4個であることを示している。
【0117】
即ち、特図2用第4図柄表示領域88の特図2用保留数表示88aは、上述した特別図柄表示装置37の状態LED群37aの第2特別図柄の動的表示の保留球数の内容と一致するように表示されるとともに、後述する保留図柄表示領域Db2の保留球数の内容と一致するように表示される。
【0118】
図2用変動領域88bは、第2特別図柄の動的表示の実行及び結果を示すための表示領域であり、特図1用変動領域87bと同様、四角図柄の表示色が変化可能に構成されている。具体的には、第2特別図柄の動的表示が実行されている場合は、特図2用変動領域88bの四角図柄の表示色が、白→赤→橙→黄→緑→水色→青→紫の順で高速に変化し、紫の後は、再び、白→赤→・・・と第2特別図柄の動的表示の実行中は変化を繰り返すように構成されている。そして、第2特別図柄の動的表示が停止した場合に、特図2用変動領域88bの四角図柄が該動的表示の抽選結果と対応する表示色で表示される。
【0119】
より詳細には、特図2用変動領域88bの四角図柄が白で停止した場合は、第2特別図柄の動的表示がハズレであったことを示し、特図2用変動領域88bの四角図柄が赤で停止した場合は、第2特別図柄の動的表示が大当たりであったことを示すように構成されている。即ち、特図2用変動領域88bの四角図柄は、上述した特別図柄表示装置37の下方LED群37b2の表示内容に対応するように表示されるとともに、主表示領域Dmの表示内容と同期するように構成されている。
【0120】
第3図柄表示装置81の表示画面では、図5(b)に示すように、例えば、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄が合計3個表示される。副表示領域Dsにおいては、左の小領域Ds1、右の小領域Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることを示す表示や、遊技状態に応じて奨励される発射態様等が遊技者に示唆される。中央の小領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本実施形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、通常は黒色の少年の髪の毛の色や、通常は白色のハチマキの色が変化したり、別のキャラクタが現出するなどして予告演出が行われる。
【0121】
第1実施形態のパチンコ機10では、第3図柄表示装置81(特別図柄表示装置37)にて第1特別図柄又は第2特別図柄に対応する第3図柄の変動演出(動的表示)が行われている間に球が第1始動口64へ入球した場合、その入球回数(保留球数)は最大4回まで保留される。その保留球数は特別図柄表示装置37により示されると共に、コクピット表示領域Dbの第1特別図柄に対応する第1保留図柄表示領域Db1の特図1第1~第4保留図柄表示領域Db1a~Db1dおいても示される。特図1第1~第4保留図柄表示領域Db1a~Db1dには、第1特別図柄の保留球1球(保留球数1回)につき1つの保留図柄(通常の表示態様では「○」図柄(白丸図柄))がそれぞれ表示され、特図1第1~第4保留図柄表示領域Db1a~Db1dに表示された保留図柄の表示数に応じて、保留球数が表示される。
【0122】
即ち、特図1第1~第4保留図柄表示領域Db1a~Db1dにおいて、特図1第1保留図柄表示領域Db1aに1つの保留図柄が表示されている場合は、第1特別図柄の保留球数が1回であることを示し、特図1第1・第2保留図柄表示領域Db1a,Db1bにそれぞれ1つずつ計2つの保留図柄が表示されている場合は、第1特別図柄の保留球数が2回であることを示し、特図1第1~第3保留図柄表示領域Db1a~Db1cにそれぞれ1つずつ計3つの保留図柄が表示されている場合は、第1特別図柄の保留球数が3回であることを示し、特図1第1~第4保留図柄表示領域Db1a~Db1dにそれぞれ1つずつ計4つの保留図柄が表示されている場合は、第1特別図柄の保留球数が4回であることを示す。また、特図1第1~第4保留図柄表示領域Db1a~Db1dに保留図柄が表示されていない場合は、第1特別図柄の保留球数が0回であって保留されている変動演出が存在しないことを示す。
【0123】
また、第3図柄表示装置81(特別図柄表示装置37)にて第1特別図柄又は第2特別図柄に対応する第3図柄の変動演出(動的表示)が行われている間に球が第2始動口71へ入球した場合、その入球回数(保留球数)は最大4回まで保留される。その保留球数は特別図柄表示装置37により示されると共に、コクピット表示領域Dbの第2特別図柄に対応する第2保留図柄表示領域Db2の特図2第1~第4保留図柄表示領域Db2a~Db2dおいても示される。特図2第1~第4保留図柄表示領域Db2a~Db2dには、第2特別図柄の保留球1球(保留球数1回)につき1つの保留図柄(通常の表示態様では「○」図柄(白丸図柄))がそれぞれ表示され、特図2第1~第4保留図柄表示領域Db2a~Db2dに表示された保留図柄の表示数に応じて、保留球数が表示される。
【0124】
即ち、特図2第1~第4保留図柄表示領域Db2a~Db2dにおいて、特図2第1保留図柄表示領域Db2aに1つの保留図柄が表示されている場合は、第2特別図柄の保留球数が1回であることを示し、特図2第1・第2保留図柄表示領域Db2a,Db2bにそれぞれ1つずつ計2つの保留図柄が表示されている場合は、第2特別図柄の保留球数が2回であることを示し、特図2第1~第3保留図柄表示領域Db2a~Db2cにそれぞれ1つずつ計3つの保留図柄が表示されている場合は、第2特別図柄の保留球数が3回であることを示し、特図2第1~第4保留図柄表示領域Db2a~Db2dにそれぞれ1つずつ計4つの保留図柄が表示されている場合は、第2特別図柄の保留球数が4回であることを示す。また、特図2第1~第4保留図柄表示領域Db2a~Db2dに保留図柄が表示されていない場合は、第2特別図柄の保留球数が0回であって保留されている変動演出が存在しないことを示す。
【0125】
なお、第1実施形態のパチンコ機10では、第1特別図柄の第1抽選遊技と第2特別図柄の第2抽選遊技とが同時に実行されず、いずれか一方の抽選遊技のみが実行されるように構成されている。また、第1実施形態のパチンコ機10では、実行中のいずれかの抽選遊技が終了した場合に、第1特別図柄の保留球と第2特別図柄の保留球とがそれぞれ記憶されている場合には、第2特別図柄の第2抽選遊技を第1特別図柄の第1抽選遊技より優先的に実行(所謂、特図2優先変動)するように構成されている。なお、入賞した順で抽選遊技を実行してもよいし、第1特別図柄の第1抽選遊技と第2特別図柄の第2抽選遊技とを同時に実行させるように構成してもよい。
【0126】
コクピット表示領域Dbの中央部分には、主表示領域Dmで変動演出が実行されていることを示す実行図柄が表示される実行図柄表示領域Db0が設けられている。この実行図柄表示領域Db0は、コクピット表示領域Dbの中央部分、即ち、特図1第1保留図柄表示領域Db1aの右側であって、特図2第1保留図柄表示領域Db2aの左側に設けられ、各保留図柄表示領域Db1a~Db1d,Db2a~Db2dに表示される各保留図柄より大きい実行図柄が表示されるように構成されている。また、この実行図柄表示領域Db0は、特図1第1保留図柄表示領域Db1a又は特図2第1保留図柄表示領域Db2aに表示されていた保留図柄が移動(シフト)して実行図柄として表示される。
【0127】
実行図柄表示領域Db0に表示される実行図柄は、変動演出が終了すると消去され、その実行図柄の消去に伴って、表示されている保留図柄が下位側(第1特別図柄であれば右側、第2特別図柄であれば左側)の保留図柄として移動して表示される。具体的には、例えば、第2特別図柄の保留図柄が存在しない状況であって第1特別図柄の保留図柄が4つ存在する状況において、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の終了に伴って実行図柄表示領域Db0に表示されていた実行図柄が消去された場合、特図1第1保留図柄表示領域Db1aに表示されていた保留図柄が、実行図柄表示領域Db0における実行図柄として移動(シフト)して表示される。また、特図1第2保留図柄表示領域Db1bに表示されていた保留図柄が、特図1第1保留図柄表示領域Db1aにおける保留図柄として移動(シフト)して表示される。さらに、特図1第3保留図柄表示領域Db1cに表示されていた保留図柄が、特図1第2保留図柄表示領域Db1bにおける保留図柄として移動(シフト)して表示される。また、特図1第4保留図柄表示領域Db1dに表示されていた保留図柄が、特図1第3保留図柄表示領域Db1cにおける保留図柄として移動(シフト)して表示される。
【0128】
また、例えば、第2特別図柄の保留図柄が4つ存在する状況において、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の終了に伴って実行図柄表示領域Db0に表示されていた実行図柄が消去された場合、特図2第1保留図柄表示領域Db2aに表示されていた保留図柄が、実行図柄表示領域Db0における実行図柄として移動(シフト)して表示される。また、特図2第2保留図柄表示領域Db2bに表示されていた保留図柄が、特図2第1保留図柄表示領域Db2aにおける保留図柄として移動(シフト)して表示される。さらに、特図2第3保留図柄表示領域Db2cに表示されていた保留図柄が、特図2第2保留図柄表示領域Db2bにおける保留図柄として移動(シフト)して表示される。また、特図2第4保留図柄表示領域Db2dに表示されていた保留図柄が、特図2第3保留図柄表示領域Db2cにおける保留図柄として移動(シフト)して表示される。
【0129】
なお、第1実施形態においては、第1始動口64又は第2始動口71への入球に基づく変動演出の保留球数は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、それぞれ3回以下、又は、それぞれ5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、コクピット表示領域Dbにおける保留図柄の表示に代えて、保留球数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、特別図柄表示装置37により保留球数が示されるので、第3図柄表示装置81に保留球数を表示させなくてもよい。さらに、可変表示装置ユニット80に、保留球数を示す保留ランプを第1特別図柄および第2特別図柄の最大保留数分の4つそれぞれ設け、点灯状態の保留ランプの数に応じて、保留球数を表示するものとしてもよい。
【0130】
図4に戻って、説明を続ける。可変表示装置ユニット80の正面視右側には、スルーゲート67が設けられている。このスルーゲート67には、球が通過するための貫通孔(図示せず)が上下方向に設けられている。このスルーゲート67を球が通過すると、貫通孔に設けられた普通図柄スイッチ(図示せず)がオンとなり、そのオンに起因して主制御装置110で普通図柄の当たり抽選が行われる。なお、このスルーゲート67は、普通図柄の可変表示の抽選契機となるのみであり、球が通過した場合であっても賞球等の払い出しは行われないように構成されている。なお、普通図柄の抽選契機を取得可能な普通入賞口を設け、普通図柄の抽選契機を取得するとともに、所定の賞球を払い出すように構成してもよい。
【0131】
可変表示装置ユニット80の正面視右側側方には、普通電役72が配設されている。この普通電役72は、主に、出没板72aと、該出没板72aを出没駆動する普通電役ソレノイド(図示せず)と、により構成されている。
【0132】
第1実施形態の主制御装置110(図6参照)は、通常時、普通電役72の出没板72aを突出状態に維持して、第2始動口71の正面視上方側を覆うことで、第2始動口71への球の流入を防止している。そして、普通図柄の可変表示で当たりに当選した場合に、上記普通電役ソレノイド(図示せず)を所定時間駆動し、普通電役72の出没板72aを所定時間の間、出没板72aを突出状態から遊技盤13内に没入した没入状態に駆動させて、第2始動口71への球の流入を可能に構成して、右打ち遊技されて可変表示装置ユニット80の正面視右側を流下する球が第2始動口71へ入賞し易い状態、即ち、入賞補助状態となるように構成されている。
【0133】
また、第1実施形態のパチンコ機10では、遊技状態に応じて、普通図柄の可変表示での当たりに当選する確率が変化するように構成されている。具体的には、「通常遊技状態」では、普通図柄の当選確率を低確率状態(例えば、0/100)とし、普通図柄の可変表示において「確率変動状態」及び「時間短縮状態」より当たりに当選し難くすることで、普通電役72の出没板72aを没入状態(開放状態)とし難くして、「確率変動状態」及び「時間短縮状態」より第2始動口71へ入賞し難いように構成する。一方、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」では、普通図柄の当選確率を高確率状態(例えば、99/100)とし、普通図柄の可変表示において「通常遊技状態」より当たりに当選し易くすることで、普通電役72の出没板72aを没入状態(開放状態)とし易くし、第2始動口71へ容易に入賞し得るように構成する。
【0134】
第1実施形態のパチンコ機10では、普通図柄の高確率状態では、可変表示が高確率(即ち、99%)で当たりを導出するため、普通図柄が高確率状態である「確率変動状態」及び「時間短縮状態」では、右打ち遊技で発射された球の多くが第2始動口71に入賞し得るように構成される一方、普通図柄の低確率状態では、可変表示が低確率(即ち、0%)で当たりを導出し得る(導出しない)ため、右打ち遊技で発射された球がほぼ第2始動口71に入賞し難いように構成される。これにより、「確率変動状態」及び「時間短縮状態」では、右打ち遊技で発射された球を第2始動口71へと入賞させながら遊技を行うことが可能となることで、第2始動口71への入賞に基づく賞球の払い出しによって、遊技者は「通常遊技状態」より自身の持ち球の減少を抑えながら遊技を行うことができる。
【0135】
なお、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」のように、普通図柄の当たり確率を「通常遊技状態」から変更する代わりに、パチンコ機10の遊技状態に応じて、普通電役72の出没板72aが没入する(開放される)時間や、1回の当たりで普通電役72の出没板72aが没入する(開放される)回数を変更するものとしても良い。具体的には、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において、普通電役72の出没板72aが没入する時間を「通常遊技状態」よりも長くしたり、1回の当たりで普通電役72の出没板72aが没入する回数を「通常遊技状態」よりも多くしたりしてもよい。また、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において、普通図柄の当たり確率のアップと、普通電役72の出没板72aの没入時間の長時間化と、普通電役72の出没板72aの没入回数の多回数化との少なくとも2つを同時に行うようにしてもよい。
【0136】
普通図柄表示装置83は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(普通図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる可変表示を行うものである。パチンコ機10は、普通図柄表示装置83における可変表示が所定図柄(第1実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に第2始動口71正面視上方に設けられた普通電役72が所定時間だけ作動状態となり、所定図柄以外(第1実施形態においては「×」の図柄)で停止した場合には普通電役72が非作動状態となる(閉鎖状態が維持される)よう構成されている。
【0137】
スルーゲート67の保留球数は最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第2図柄保留ランプ84(以下、第2図柄保留ランプ84に関し、説明の便宜上、「普通図柄保留ランプ84」と称する場合がある)においても点灯表示される。普通図柄保留ランプ84は、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。そして、普通図柄保留ランプ84の点灯された数により、保留数を表示する。
【0138】
なお、普通図柄の可変表示は、第1実施形態のように、普通図柄表示装置83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、特別図柄表示装置37又は第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、普通図柄保留ランプ84の点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の通過は、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、特別図柄表示装置37により保留球数が示されるので、普通図柄保留ランプ84により点灯表示を行わないものとしても良い。
【0139】
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入球し得る第1始動口64が配設されている。この第1始動口64へは、左打ち遊技で発射された球が1分間に約6個程度(所謂、S1=6)入賞するように遊技釘等が周辺に植設されている。第1始動口64へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1始動口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1始動口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図6参照)で第1特別図柄の大当たりの抽選がなされる。そして、その抽選結果に応じた動的表示が特別図柄表示装置37の特別LED群37bの上方LED群37b1で示されると共に、第3図柄表示装置81にて第1特別図柄に基づく変動演出が実行される。なお、第1始動口64は、球が入球すると4個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
【0140】
可変表示装置ユニット80の正面視右側側方には、普通電役72が開放状態である場合にのみ球が入球し得る第2始動口71が配設されている。この第2始動口71へは、普通電役72が開放状態である場合、右打ち遊技で発射された球が1分間に約50個~60個程度入賞するように遊技釘が周辺に植設されている。第2始動口71へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2始動口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2始動口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図6参照)で第2特別図柄の大当たりの抽選がなされる。そして、その抽選結果に応じた表示が特別図柄表示装置37の特別LED群37bの下方LED群37b2で示されると共に、第3図柄表示装置81にて第2特別図柄に基づく変動演出が実行される。なお、第2始動口71は、球が入球すると1個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
【0141】
遊技盤13の正面視右側下方には可変入賞装置65の略中央部分に横長矩形状の大入賞口が設けられている。第1実施形態のパチンコ機10においては、主制御装置110(図6参照)での第1特別図柄又は第2特別図柄の抽選が大当たりとなる場合、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるように特別図柄表示装置37の特別LED群37bを点灯表示させると共に、第3図柄表示装置81にその大当たりに対応した停止図柄(例えば、同一図柄の3つ揃い(「777」等))を表示させて、大当たり遊技の発生が示される。その後、大当たり種別に応じて、可変入賞装置65に設けられた大入賞口開閉板65aが開放されて、球が大入賞口内に入賞し易い特別遊技状態(大当たり遊技)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている大入賞口開閉板65aが、所定条件が成立するまで(例えば、「30秒」経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
【0142】
この大入賞口開閉板65aは、開放された場合に、開放から所定時間が経過、又は、所定数の入賞を検知すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その大入賞口開閉板65aが開放される。この大入賞口開閉板65aの開閉動作は、最高で例えば10回(10ラウンド)繰り返し可能に構成されている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態(大当たり状態)の一形態であり、遊技者には、球を可変入賞装置65内に入賞させることで、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
【0143】
遊技盤13の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
【0144】
さらに、遊技盤13には、アウト口66が設けられている。いずれの入賞口(入球口)63,64,65,71にも入球しなかった球はアウト口66を通ってアウト球通路133(図2参照)へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。なお、各入賞口63,64,65,71に入賞した球も、アウト口66を通過した球と同様、アウト球通路133へ案内され、球循環装置130(図2参照)を介して再び上皿17(図1参照)へと搬送される。
【0145】
次に、図6図7及び図8を参照して、本パチンコ機10、カードユニット300、ホールコンボックス400、ホールコンピュータ500、外部管理サーバ600および各遊技機メーカA~Cの電気的構成について説明する。図6は、パチンコ機10、カードユニット300、ホールコンボックス400、ホールコンピュータ500、外部管理サーバ600および各遊技機メーカA~Cの電気的構成を示す全体ブロック図であり、主にパチンコ機10とカードユニット300との電気的構成を示すブロック図である。また、図7は、パチンコ機10、カードユニット300、ホールコンボックス400およびホールコンピュータ500の電気的構成を示すブロック図であり、主に主制御装置110の電気的構成を示すブロック図である。さらに、図8は、パチンコ機10、カードユニット300、会員カード700、ホールコンボックス400およびホールコンピュータ500の電気的構成を示すブロック図であり、主に枠統括制御装置111の電気的構成を示すブロック図である。
【0146】
まず、図6で示すように、パチンコ機10は、主に、遊技に関する各種制御を実行可能な主制御装置110と、該主制御装置110と双方向通信可能に構成された枠統括制御装置111と、該枠統括制御装置111からのコマンド受信可能に構成された発射制御装置112と、主制御装置110からのコマンド受信可能に構成された音声ランプ制御装置113と、該音声ランプ制御装置113と双方向通信可能に構成された表示制御装置114と、該表示制御装置114からのコマンド受信可能に構成された第3図柄表示装置81と、主制御装置110及び枠統括制御装置111等に駆動電源を供給可能な電源装置115と、主制御装置110及び枠統括制御装置111からの各種信号をホールコンピュータ500に出力可能な外部端子板23と、で構成されている。
【0147】
主制御装置110、音声ランプ制御装置113、表示制御装置114及び第3図柄表示装置81、並びに、その周辺機器は、遊技盤13(図4参照)の背面側に配設され、枠統括制御装置111、発射制御装置112及び電源装置115(外部端子板23)、並びに、その周辺機器は、内枠12(外枠11)の背面側に配設されている。
【0148】
枠統括制御装置111は、主に、主制御装置110、発射制御装置112及び電源装置115の他、クレジット数表示部41、クレジット移行ボタン42、カード返却ボタン43、球循環装置130、ファール球スイッチ131、球送りユニット112cの球送りスイッチ112e、と電気的に接続されるとともに、カードユニット300のセキュリティ基板305と電気的に接続されている。発射制御装置112は、枠統括制御装置111の他、発射ソレノイド112bが設けられた球発射ユニット112a、球送りソレノイド112d及び球送りスイッチ112eが設けられた球送りユニット112c、と電気的に接続されている。
【0149】
図8で示すように、枠統括制御装置111には、演算装置であるMPU211が搭載されている。MPU211には、該MPU211により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したリード・オンリー・メモリー(Read Only Memory。以下、「ROM」と略す)212と、そのROM212内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるランダム・アクセス・メモリー(Random Access Memory。以下、「RAM」と略す。)213と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0150】
RAM213には、少なくとも、発射許可フラグ213aと、クレジット記憶部213bと、移行中記憶部213cと、賞球バッファ213dと、クレジット移行フラグ213eと、長押しフラグ213fと、規定球数フラグ213gと、カード返却中フラグ213hと、残り球発射カウンタ213iと、が設けられている。
【0151】
発射許可フラグ213aは、オン状態で球の発射を許可(許容)し、オフ状態で球の発射を規制(停止)するためのフラグである。この発射許可フラグ213aは、パチンコ機10の電源投入時に初期値としてオフに設定される。そして、カードユニット300との電気的接続が正常である場合に、該カードユニット300から発射許可コマンドを受信したときに、オンに設定される(図46のS1207)。一方、カードユニット300との電気的接続が正常でない場合(例えば、カードユニット接続基板116がカードユニット300と接続されていない場合等)、オフに設定される(図46のS1209参照)。また、遊技者によりカード返却ボタン43が操作されてカードユニット300から会員カード700が返却中である場合、即ち、遊技者が遊技を中断することで、後述するクレジット記憶部213bの保持球データをカードユニット300の保有球データ記憶部303cに移行中である場合に、オフに設定される(図47のS1308参照)。
【0152】
第1実施形態のパチンコ機10では、遊技者により発射ハンドル51が所定量回動されて操作されている場合であっても、この発射許可フラグ213aがオンされていない状態では、球発射ユニット112aの発射ソレノイド112bが駆動されず、遊技領域等に球が発射されないように構成されている。このように構成することで、カードユニット300が正常に接続されていない状態や、会員カード700が返却中である場合に、球を発射させないことで、遊技者の保持球の計数異常が発生してしまうことを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することができる。
【0153】
クレジット記憶部213bは、パチンコ機10において遊技者が遊技を行うための保持球データを記憶するための記憶エリアである。このクレジット記憶部213bは、パチンコ機10の電源投入時に初期値として「0」クリアされ、カードユニット300から貸球信号を受信した場合(図48のS1401:Yes参照)に、500円分の貸球データである「125」が加算される。また、後述する賞球バッファ213dに賞球データが格納されている状態で、後述するクレジット移行フラグ213eがオンされていない場合(図48のS1404:No参照)、賞球バッファ213dに記憶されている賞球データに対応した値がクレジット記憶部213bに加算される(図48のS1405参照)。さらに、ファール球スイッチ131によって球が検出された場合(図50のS1607参照)、発射された球が遊技領域に到達せず、遊技で使用されなかったということなので、クレジット移行フラグ213eがオフに設定されている場合に(図50のS1608:No)、クレジット記憶部213bの値に、「1」加算される(図50のS1609参照)。
【0154】
一方、遊技者に発射ハンドル51が操作されて、上皿17(図1参照)に貯留されていた球が、球送りユニット112cによって球発射ユニット112a側に1球送り出されることで、球送りスイッチ112eにより検出された場合に、クレジット移行フラグ213eがオンされていないことを条件に(図49のS1511:No参照)、クレジット記憶部213bの値から、「1」減算される(図49のS1512参照)。
【0155】
また、クレジット記憶部213bの値は、遊技者によりクレジット移行ボタン42が操作された場合に、その操作態様に応じて、「1」又は「125」減算される。具体的には、遊技者によりクレジット移行ボタン42が単押し(即ち、「0.5秒」未満の押下時間で該押下が解消された場合)された場合に、「1」減算される(図52のS1820参照)。また、遊技者によりクレジット移行ボタン42が長押し(即ち、「0.5秒」以上連続的に押下されている場合)された場合に、カードユニット300との通信タイミング(第1実施形態では、「0.3秒」ごと)に、「125」減算される(図52のS1805参照)。このように構成することで、クレジット記憶部213bに記憶される保持球数が膨大(例えば、1000発等)である場合、クレジット移行ボタン42を保持球数分押下する必要がなく、遊技を中断(終了)する場合に、クレジット記憶部213bの値を迅速かつ簡易にカードユニット300(会員カード700)に移行させることができる。
【0156】
さらに、クレジット記憶部213bの値は、遊技者によりカード返却ボタン43が操作された場合に、カードユニット300との通信タイミング(第1実施形態では、「0.3秒」ごと)に、「125」ずつ減算される(図52のS1805参照)。
【0157】
なお、クレジット記憶部213bは、クレジット移行ボタン42又はカード返却ボタン43の押下により、カードユニット300に球移行信号を出力した場合に、該球移行信号に応じた値が減算される(図52のS1805,S1808,S1820参照)。
【0158】
移行中記憶部213cは、パチンコ機10においてクレジット記憶部213bの値をカードユニット300へ移行中、即ち、クレジット移行ボタン42の押下中に発射された球によって獲得した賞球に対応する保持球データを記憶するための記憶エリアである。この移行中記憶部213cは、パチンコ機10の電源投入時に初期値として「0」クリアされ、後述する賞球バッファ213dに賞球データが格納されている状態で、後述するクレジット移行フラグ213eがオンされている場合(図48のS1404:Yes参照)、賞球バッファ213dに記憶されている賞球データに対応した値が移行中記憶部213cに加算される(図48のS1406参照)。さらに、ファール球スイッチ131によって球が検出された場合(図50のS1607参照)、発射された球が遊技領域に到達せず、遊技で使用されなかったということなので、クレジット移行フラグ213eがオンに設定されている場合に(図50のS1608:Yes)、移行中記憶部213cの値に、「1」加算される(図50のS1611参照)。
【0159】
一方、遊技者に発射ハンドル51が操作されて、上皿17(図1参照)に貯留されていた球が、球送りユニット112cによって球発射ユニット112a側に1球送り出されることで、球送りスイッチ112eにより検出された場合に、クレジット移行フラグ213eがオンされていることを条件に(図49のS1511:Yes参照)、移行中記憶部213cの値から、「1」減算される(図49のS1513参照)。
【0160】
また、移行中記憶部213cの値は、遊技者によりクレジット移行ボタン42が操作された場合に、その操作態様に応じて、「1」又は「125」減算される。具体的には、遊技者によりクレジット移行ボタン42が単押し(即ち、「0.5秒」未満の押下時間で該押下が解消された場合)された場合に、「1」減算される(図52のS1824参照)。また、遊技者によりクレジット移行ボタン42が長押し(即ち、「0.5秒」以上連続的に押下されている場合)された場合に、カードユニット300との通信タイミング(第1実施形態では、「0.3秒」ごと)に、「125」減算される(図52のS1811参照)。
【0161】
なお、移行中記憶部213cは、クレジット移行ボタン42又はカード返却ボタン43の押下により、カードユニット300に球移行信号を出力した場合に、該球移行信号に応じた値が減算される(図52のS1811,S1813参照)。
【0162】
このように、クレジット移行中における賞球及び発射球による保持球の加減算をクレジット記憶部213bと異なる移行中記憶部213cによって行うことで、パチンコ機10からカードユニット300に保持球データを移行中に発生した賞球又は発射球による加減算を、移行処理中のクレジット記憶部213bで行わずに済むので、クレジット移行中におけるクレジット記憶部213bに関して煩雑な処理の発生を抑制し、計数異常等の発生を未然に抑制することができる。
【0163】
賞球バッファ213dは、主制御装置110から受信した賞球コマンドに基づく賞球数情報を一時的に格納しておくためのバッファである。この賞球バッファ213dは、主制御装置110から賞球コマンドを受信した場合に、該賞球コマンドで示された賞球数情報を書き込むように構成されている(図46のS1211参照)。一方、この賞球バッファ213dは、該賞球バッファ213dに格納された賞球数情報に基づく保持球データを、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cに加算した場合に、「0」クリアされる(図48のS1408参照)。
【0164】
クレジット移行フラグ213eは、遊技者によりクレジット移行ボタン42が押下されている間か否かを判別するためのフラグである。このクレジット移行フラグ213eは、パチンコ機10の電源投入時に初期値としてオフに設定される。そして、遊技者によりクレジット移行ボタン42が押下されている間、オンに設定される(図47のS1302参照)。
【0165】
第1実施形態のパチンコ機10では、遊技者の保持球データの加減算処理が発生するタイミングにおいて、このクレジット移行フラグ213eのオン/オフを判定し、該判定結果に基づいて、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cに対する保持球データの加減算処理を実行するように構成されている。具体的な処理については、後述する。
【0166】
長押しフラグ213fは、遊技者によりクレジット移行ボタン42が連続的に「0.5秒」以上押下されているか、即ち、長押し状態か否かを判別するためのフラグである。この長押しフラグ213fは、パチンコ機10の電源投入時に初期値としてオフに設定される。そして、遊技者によりクレジット移行ボタン42が「0.5秒」以上押下されている場合に、オンに設定される(図47のS1304参照)。一方、クレジット移行ボタン42の押下状態が解除された場合(非押下状態となった場合)、この長押しフラグ213fがオフに設定される(図47のS1305参照)。
【0167】
規定球数フラグ213gは、クレジット移行ボタン42の長押し中において、クレジット記憶部213bの値が「1000」未満となったか否かを判別するためのフラグである。
【0168】
第1実施形態のパチンコ機10では、クレジット移行中も球を発射して遊技を行うことが可能に構成されているが、遊技者の保持球が所定数未満(第1実施形態では、「1000球」未満)となった場合には、クレジット移行中の球の発射を制限(禁止)するように構成されている。これは、遊技者が所持する球が一定程度存在している場合(例えば、10000球等)、その保持球をカードユニット300側へ移行する際に、クレジット移行ボタン42を長押ししたとしても、カードユニット300との通信タイミング(即ち、「0.3秒」)ごとに最大で「125球」しか移行させることができない。よって、仮に、「10000球」の保持球をカードユニット300に移行する場合には、少なくとも、「10000球」÷「125球」×「0.3秒」=「24秒」の時間を有してしまう。ここで、第1実施形態のパチンコ機10では、クレジット移行中も球の発射を許容(許可)し、パチンコ機10における遊技を最後まで堪能することができるように構成されている。
【0169】
しかしながら、保持球の残数が残り少なくなっている状態、例えば、保持球データの残数が「0」に近い状態でも球の発射を許容してしまうと、球送りをした直後であって球送りスイッチ112eによって送られた球が検知される前にクレジット残数を移行させることができてしまい、実際の保持球と遊技で使用する球数との間で齟齬が生じてしまい、遊技ホールに不測の不利益を被らせてしまうおそれがある。
【0170】
そこで、第1実施形態のパチンコ機10では、クレジット移行中も球の発射を許容しつつ、クレジット残数が所定数(第1実施形態では、「1000球」未満)となった場合には、クレジット移行中における球の発射を制限して、球を発射できないように構成する。このように構成することで、クレジット残数が残りわずかなタイミングにおいて、クレジットの移行と球の発射とが重複(前後)することを抑制し、実際の保持球数と遊技で使用する球数との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することが可能となる。また、1の出力タイミングで出力可能なクレジット球数(即ち、「125球」)の8倍であるクレジット残数(即ち、「1000球」)に到達した場合、クレジット移行中における球送り処理(及び発射処理)を制限するように構成されている。これにより、少なくともクレジット情報の複数の出力タイミング以上の時間的猶予を設けた上で、クレジットの移行と球の発射とが重複(前後)することを抑制し、実際の保持球数と遊技で使用する球数との間で齟齬が生じないようにすることができる。
【0171】
カード返却中フラグ213hは、遊技者によりカード返却ボタン43が押下されたか否かを判別するためのフラグである。このカード返却中フラグ213hは、パチンコ機10の電源投入時に初期値としてオフに設定される。そして、遊技者によりカード返却ボタン43が押下された場合に、オンに設定される(図47のS1307参照)。第1実施形態のパチンコ機10では、このカード返却中フラグ213hがオンされた場合、即ち、遊技者によりカード返却ボタン43が押下された場合(押下され続けなくても)、クレジット記憶部213b(及び移行中記憶部213c)に記憶される保持球データが、カードユニット300側に移行される。オン設定されたカード返却中フラグ213hは、クレジット記憶部213b及び移行中記憶部213cの値がともに「0」となり、かつ、後述する残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい値でない場合、即ち、残り球発射カウンタ213iの値が「0」以下になった場合に、オフに設定される(図47のS1312参照)。
【0172】
残り球発射カウンタ213iは、遊技者がカード返却ボタン43を押下して遊技を中断する場合に、球発射ユニット112aに既に送り出されている球を発射させるためのカウンタである。この残り球発射カウンタ213iは、パチンコ機10の電源投入時に初期値として「0」が設定され、クレジット記憶部213b及び移行中記憶部213cの値がともに「0」となった場合であって、カード返却中フラグ213hのオン中の場合に、該残り球発射カウンタ213iの値に「2」が設定される(図52のS1817参照)。第1実施形態のパチンコ機10では、この残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい場合、発射ハンドル51が遊技者によって操作されていない場合でも、発射タイミングが到来した場合(即ち、「0.6秒」ごと)に、該残り球発射カウンタ213iの値を「1」減算するとともに(図50のS1606参照)、発射ソレノイド112bを駆動するように構成されている(図50のS1603参照)。
【0173】
このように構成することで、遊技者が遊技を中断しようとしてカード返却ボタン43が押下された場合に、既に球発射ユニット112a側に球が送り出されてしまっている状態であっても、該球発射ユニット112a側に案内された球を発射し、遊技に使用又はファール球として処理して、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制している。なお、第1実施形態のパチンコ機10では、残り球発射カウンタ213iの値に基づいて球を発射する場合、必ず遊技領域に到達する強度(例えば、右打ち発射の強度)で発射して、遊技に使用するように構成されている。なお、残り球発射カウンタ213iの構成を、従来のパチンコ機10、即ち、上皿17に貯留した球を発射可能であって、遊技者が該上皿17に球を補充可能なパチンコ機10で採用してもよい。具体的には、例えば、遊技者が発射ハンドル51の操作を初期位置に戻した場合に、該発射ハンドル51の回動操作が行われていない状態となる。その状態において、残り球発射カウンタ213iの値(例えば、「2」)をセットし、該残り球発射カウンタ213iの値分、発射ソレノイド112bを駆動(所謂、空打ち)するように構成してもよい。また、残り球発射カウンタ213iの値に「2」を設定して、所謂空打ちを2回実行可能に構成しているが、残り球発射カウンタ213iに設定する値は任意に変更可能である。具体的には、残り球発射カウンタ213iの値に「1」を設定して、所謂空打ちを1回行うように構成してもよいし、残り球発射カウンタ213iの値に「3」以上を設定して、所謂空打ちを3回以上行うように構成してもよい。
【0174】
枠統括制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や電源装置、クレジット数表示部41、クレジット移行ボタン42、カード返却ボタン43、球循環装置130、ファール球スイッチ131、発射制御装置112、球送りユニット112c内の球送りスイッチ112eなどがそれぞれ接続されている。
【0175】
発射制御装置112は、球の発射が許可状態である場合に、発射ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるように球発射ユニット112aを制御するとともに、発射ハンドル51の回転操作に応じて上皿17(図1参照)に貯留された球を球発射ユニット112a側へ搬送するように球送りユニット112cを制御するものである。
【0176】
球発射ユニット112aは、発射ソレノイド112bおよび電磁石(図示せず)を備えており、その発射ソレノイド112bおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が発射ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51a(図1参照)により検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51b(図1参照)がオフ(操作されていないこと)を条件に、発射ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイド112bが励磁され、発射ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
【0177】
球送りユニット112cは、球送りソレノイド112d及び電磁石(図示せず)、並びに、球送りスイッチ112eを備えており、その球送りソレノイド112d及び電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が発射ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51a(図1参照)により検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51b(図1参照)がオフ(操作されていないこと)を条件に、発射ハンドル51の回動量に対して、発射ソレノイド112bの駆動タイミングとずれが生じる(例えば、発射ソレノイド112bの駆動後の「0.3秒」後)ように、球送りソレノイド112dが励磁され、上皿17(図1参照)に貯留されていた球が1球ずつ球発射ユニット112a側へと送り出される(搬送される)。球送りソレノイド112dによって送り出された球は、直ちに(第1実施形態では、「0.1秒以内」に)球送りスイッチ112eによって検出されるように、該球送りユニット112cの案内通路(図示せず)及び球送りスイッチ112eが構成されている。
【0178】
第1実施形態のパチンコ機10では、球送りスイッチ112eによって球が検出されるごとに、遊技者が所持する所持球(即ち、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cの値)を更新(減算)するように構成されている。これは、球送りユニット112cによって球発射ユニット112a側に案内される球は、上記案内通路を転動しながら流下するため、該球の流下速度が比較的遅いように構成されるので、球送りスイッチ112eに球が検出し易い(検出誤差等が発生し難い)ためである。発射ソレノイド111bによって発射された球を検出して遊技者の所持球を更新(減算)することも考えられるが、発射ソレノイド112bによって発射された球は、通常、球送りソレノイド112dによって送り出される球の速度より速いため、その検出部位によっては、検出誤差が発生し得るおそれがある。よって、球送りソレノイド112dによって送り出された球によって遊技者の所持球を正確に計数することができるため、遊技者に不測の不利益を被らせることを抑制することができる。
【0179】
次いで、カードユニット300には、演算装置であるMPU301が搭載されている。MPU301には、該MPU301により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したリード・オンリー・メモリー(Read Only Memory。以下、「ROM」と略す)302と、そのROM302内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるランダム・アクセス・メモリー(Random Access Memory。以下、「RAM」と略す。)303と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0180】
RAM303には、少なくとも、カード挿入孔311(図1参照)に会員カード700(図8参照)が投入されている場合に、該会員カード700に記録された遊技者の遊技履歴データ等を一時的に記憶するための遊技履歴記憶部303aと、同じく会員カード700に記録された遊技者が保持する現金データを一時的に記憶する現金データ記憶部303bと、同じく会員カード700に記憶された遊技者が保持する持ち球データ(クレジット球数データ)を一時的に記憶する保有球データ記憶部303cと、が設けられている。
【0181】
遊技履歴記憶部303aは、会員カード700(図8参照)が投入された場合に、会員カード700の遊技履歴記憶部702(図8参照)に記憶された遊技履歴情報が記憶されるとともに、会員カード700が投入されたカードユニット300に対応するパチンコ機10で行われた遊技の結果が記憶される。そして、会員カード700の排出時に、遊技履歴記憶部303aに記憶された遊技履歴情報が会員カード700の遊技履歴記憶部702に記録される。
【0182】
現金データ記憶部303bは、会員カード700(図8参照)が投入された場合に、会員カード700の現金データ記憶部703(図8参照)に記憶された現金データを記憶される。また、カードユニット300に会員カード700が投入されている場合に、紙幣投入口312(図1参照)に紙幣が投入されたとき、該紙幣に応じた現金データが現金データ記憶部303bに加算される。一方、球貸ボタン309が操作されたとき、後述する保有球データ記憶部303cに保有球データが存在しないことを条件に、貸球に関する処理が実行されるとともに、予め設定された貸球分の値が現金データ記憶部303bから減算される。そして、会員カード700の排出時に、現金データ記憶部303bに記憶された現金データが会員カード700の現金データ記憶部703に記録される。
【0183】
保有球データ記憶部303cは、会員カード700(図8参照)が投入された場合に、会員カード700の保有球データ記憶部704(図8参照)に記憶された保有球データを記憶される。また、カードユニット300に会員カード700が投入されている場合に、パチンコ機10のクレジット移行ボタン42若しくはカード返却ボタン43が操作されたとき、該操作態様に応じた保有球データ(クレジット)が保有球データ記憶部303cに加算される。一方、球貸ボタン309が操作されたとき、貸球に関する処理が実行されるとともに、予め設定された貸球分の値が保有球データ記憶部303cから減算される。そして、会員カード700の排出時に、保有球データ記憶部303cに記憶された保有球データが会員カード700の保有球データ記憶部704に記録される。
【0184】
カードユニット300のMPU301には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポート304が接続されている。入出力ポート304には、上記セキュリティ基板305の他、カード挿入孔311に挿入された会員カード700を読み書き可能なカード読取装置306と、紙幣投入口312に投入された紙幣を読み取り可能な紙幣読取装置307と、カードユニット300の状態や会員カード700に記憶されている各種情報等を表示可能なCU側カード情報表示装置308と、球貸ボタン309と、が接続される。また、カードユニット300は、上記周辺機器の他、遊技ホールに設置されているホールコンボックス400と信号等を送受信可能に電気的に接続されている。
【0185】
カードユニット300のセキュリティ基板305は、枠統括制御装置111とシリアル通信可能に電気的に接続され、カードユニット300のセキュリティ監視機能部であり、パチンコ機10における不正や異常、カードユニット300における不正や異常を監視する機能を有する。セキュリティ基板305には、セキュリティ基板305と枠統括制御装置111との通信(シリアル通信)を制御するための通信制御チップ(図示せず)と、パチンコ機10のセキュリティを監視するためのセキュリティチップ(図示せず)とが設けられている。セキュリティチップには、不正検知部(図示せず)を備え、該不正検知部がカードユニット300側からパチンコ機10側に通知される貸球の加算要求等を監視することにより不正検知を行い、不正検知時にはホールコンピュータ500等にその旨を通知するように構成される。このように構成することで、パチンコ機10又はカードユニット300に対して何らかの不正行為や異常が発生した場合には、直ちにホールコンピュータ500(ホールコンボックス400)に向けて不正等が検出されたことを示す信号が出力される。
【0186】
ホールコンボックス400は、遊技ホールに設置されているカードユニット300を介して、該カードユニット300に対応する各パチンコ機10の遊技履歴を記憶可能に構成されている。また、ホールコンボックス400は、各カードユニット300から受信した遊技履歴情報等をホールコンピュータ500に対して出力可能に構成される。さらに、ホールコンボックス400は、インターネット等の通信手段を介して遊技ホール外に設置された外部管理サーバ600とデータ通信可能に構成され、遊技ホールにおいて予め登録された遊技機メーカA~Cが、インターネット及び外部管理サーバ600を介してホールコンボックス400に記憶される遊技履歴情報等を外部から閲覧可能に構成されている。
【0187】
より詳細には、遊技ホールが事前登録された遊技機メーカA~Cに対してアカウント(ID及びパスワード)を発行し、遊技機メーカA~Cからのホールコンボックス400へのアクセス時に、上記アカウント認証を行い、認証結果が正しい場合には、ホールコンボックス400に記憶される遊技履歴情報等を遊技機メーカA~Cから閲覧することができるように構成されている。この場合、遊技機メーカA~Cに対応するパチンコ機10、即ち、販売元の遊技機メーカA~Cのパチンコ機10の遊技履歴情報のみを閲覧可能に構成してもよいし、販売元に関わらず遊技ホールに設置されている各パチンコ機10の遊技履歴情報を閲覧可能に構成してもよい。なお、遊技機メーカA~Cが閲覧可能な遊技履歴情報等は、全履歴を確認可能に構成してもよいし、遊技ホールによって限定した限定遊技履歴情報等(例えば、売上(貸球数)や粗利等を省いた非営業情報や、役物比率に関する情報、不正遊技に関する情報、稼働率に関する情報の少なくとも1以上の情報)を閲覧可能に構成してもよい。
【0188】
ホールコンピュータ500は、各パチンコ機10およびホールコンボックス400とそれぞれ電気的に接続され、各パチンコ機10から遊技情報を受信して、各パチンコ機10における遊技状態や、遊技結果(大当たり・小当たり数)、賞球数、異常有無等を認識可能に構成されるとともに、ホールコンボックス400からの遊技履歴情報を受信して、各カードユニット300における貸球数や、遊技履歴、遊技状態、遊技結果、賞球数、異常有無等を認識可能に構成される。このように、各パチンコ機10からの情報と、各カードユニット300からの情報とをそれぞれ受信することで、いずれの機器10,300の状態を的確に把握することが可能となる。
【0189】
また、ホールコンピュータ500は、ホールコンボックス400からの遊技機メーカA~Cの認証に必要なアカウントを発行可能に構成されているとともに、外部管理サーバ600を介して遊技機メーカA~Cからホールコンボックス400に問い合わせ(ログイン等)が発生した場合に、該ホールコンボックス400からの問い合わせに応じた認証結果をホールコンボックス400に対して出力可能に構成される。これにより、遊技機メーカA~Cは、外部管理サーバ600を介して遊技ホールの遊技履歴情報等を閲覧する場合、ホールコンピュータ500の認証が適式に行われた場合にのみ、上記遊技履歴情報等を閲覧することができる。
【0190】
ここで、図9から図12を参照して、会員カード700、カードユニット300、パチンコ機10、ホールコンボックス400及びホールコンピュータ500におけるコマンド及びレスポンスの送受信の内容及びタイミングについて説明する。また、図13を参照して、遊技機メーカA~C、外部管理サーバ600、ホールコンボックス400及びホールコンピュータ500におけるコマンド及びレスポンスの送受信の内容及びタイミングについて説明する。
【0191】
図9は、会員カード700をカードユニット300に投入時、球貸ボタン309の押下時、又は、クレジット移行ボタン42の押下時におけるパチンコ機10、会員カード700、カードユニット300、ホールコンボックス400及びホールコンピュータ500における情報の授受を示す図である。また、図10は、発射ハンドル51操作時、各入賞口スイッチ64等検出時、又は、ファール球スイッチ131検出時におけるパチンコ機10、会員カード700、カードユニット300、ホールコンボックス400及びホールコンピュータ500における情報の授受を示す図である。さらに、図11は、クレジット移行ボタン42押下時に発射ハンドル51を操作した場合におけるパチンコ機10、会員カード700、カードユニット300、ホールコンボックス400及びホールコンピュータ500における情報の授受を示す図である。また、図12は、カード返却ボタン43押下時に発射ハンドル51を操作した場合におけるパチンコ機10、会員カード700、カードユニット300、ホールコンボックス400及びホールコンピュータ500における情報の授受を示す図である。さらに、図13は、遊技機メーカA~Cから遊技履歴の問い合わせがあった場合における遊技機メーカA~C、外部管理サーバ600、ホールコンボックス400及びホールコンピュータ500における情報の授受を示す図である。
【0192】
まず、図9を参照して、会員カード700をカードユニット300のカード挿入孔311に投入した際のアクション、即ち、<会員カード 投入>のアクションにおける情報の授受と、球貸ボタン309が遊技者によって操作された場合のアクション、即ち、<球貸ボタン 押下>のアクションにおける情報の授受と、クレジット移行ボタン42が遊技者によって単押し(即ち、「0.5秒」未満の押下)した場合のアクション、即ち、<クレジット移行ボタン 押下(単押し)>のアクションにおける情報の授受と、クレジット移行ボタン42が遊技者によって長押し(即ち、「0.5秒」以上の押下)した場合のアクション、即ち、<クレジット移行ボタン 押下(長押し)>のアクションにおける情報の授受と、を説明する。
【0193】
<会員カード 投入>
遊技者により、遊技者所有の会員カード700がカードユニット300のカード挿入孔311に投入された場合、まず、会員カード700の会員ID701に記憶される会員ID情報がカードユニット300に対して送信される。そして、カードユニット300に対して、遊技者が予め登録されたパスワード等のユーザ情報を入力することで、該会員ID情報およびユーザ情報(カード投入信号)がホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500に対して送信される。この場合における会員ID情報及びユーザ情報は、暗号化されて送信されることで、ホールコンボックス400では、上記会員ID及びユーザ情報を復号化することができず、ホールコンピュータ500でのみ復号化可能に構成される。このように構成することで、ホールコンボックス400では、会員ID及びユーザ情報を把握することができず、外部からアクセス可能なホールコンボックスにおいて遊技者の個人情報等が流出してしまうことを未然に防止することができる。
【0194】
ホールコンピュータ500は、カードユニット300からホールコンボックス400を介して上記会員ID情報及びユーザ情報を受信した場合、予め登録されている情報か否かの認証処理等を行い、その認証結果情報(カード認証信号)が、ホールコンボックス400を介してカードユニット300に対して送信される。この認証結果情報は、会員ID情報及びユーザ情報と同様、暗号化されて送信される。
【0195】
カードユニット300は、ホールコンピュータ500からホールコンボックス400を介して上記認証結果情報を受信した場合、該認証結果情報に基づく処理を実行する。具体的には、認証結果情報が正当なものである場合は、会員カード700の遊技履歴記憶部702、現金データ記憶部703及び保有球データ記憶部704に記憶される遊技履歴情報、現金データ及び保持球データを、カードユニット300の遊技履歴記憶部303a、現金データ記憶部303b及び保有球データ記憶部303cにそれぞれ書き込む(図54のS2007参照)。これにより、会員カード700に記憶されていた各種情報がカードユニット300に移行される。
【0196】
<球貸ボタン 押下>
カードユニット300に会員カード700が投入されている状態であって、現金データ記憶部303b又は保有球データ記憶部303cに「125球」以上の球に対応するデータが存在している場合、カードユニット300から「125球」分のクレジット情報がパチンコ機10に対して送信されるとともに、同じくカードユニット300から同様のクレジット情報がホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500に対して送信される。パチンコ機10は、「125球」分のクレジット情報を受信した場合に、枠統括制御装置111のクレジット記憶部213bの値に「125球」分加算する処理を実行する(図48のS1402参照)。また、ホールコンピュータ500は、上記クレジット情報を受信した場合に、予め登録されている会員カード700に対応するデータから上記クレジット情報に対応する値を減算する。なお、現金データ記憶部303b又は保有球データ記憶部303cに「125球」分の球に対応するデータが存在していない場合、その残り分の球数に対応するクレジット情報がパチンコ機10に対して送信され、該クレジット情報を受信したパチンコ機10は、枠統括制御装置111のクレジット記憶部213bの値に上記クレジット情報分の球数データを加算する処理を実行するように構成されている。
【0197】
<クレジット移行ボタン 押下(単押し)>
カードユニット300に会員カード700が投入されている状態において、クレジット移行ボタン42が単押し(即ち、「0.5秒」未満)で押下された場合、枠統括制御装置111のクレジット記憶部213b(又は移行中記憶部213c)から、単押しに対応するクレジット球数(即ち、「1球」分の球数)が減算され(図52のS1820又はS1821参照)、「1球」分のクレジット情報(移行信号)をカードユニット300に対して送信する。カードユニット300は、「1球」分のクレジット情報(移行信号)を受信した場合、該クレジット情報(移行信号)に応じた球数を保有球データ記憶部303cに加算するとともに、該クレジット情報(移行信号)をホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500に対して送信する(図55のS2108及びS2109参照)。ホールコンピュータ500は、ホールコンボックス400を介してクレジット情報を受信した場合、該クレジット情報に応じた球データを、会員IDと紐付けて記憶する。
【0198】
<クレジット移行ボタン 押下(長押し)>
カードユニット300に会員カード700が投入されている状態において、クレジット移行ボタン42が長押し(即ち、「0.5秒」以上)で押下された場合、枠統括制御装置111のクレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cから、長押しに対応するクレジット球数(即ち、「125球」分の球数)が減算され(図52のS1805又はS1811参照)、「125球」分のクレジット情報(移行信号)をカードユニット300に対して送信する。カードユニット300は、「125球」分のクレジット情報(移行信号)を受信した場合、該クレジット情報(移行信号)に応じた球数を保有球データ記憶部303cに加算するとともに、該クレジット情報(移行信号)をホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500に対して送信する(図52のS1806参照)。ホールコンピュータ500は、ホールコンボックス400を介してクレジット情報を受信した場合、該クレジット情報に応じた球データを、会員IDと紐付けて記憶する。
【0199】
なお、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cに「125球」分の球に対応するデータが存在していない場合、その残り分の球数に対応するクレジット情報(移行信号)をカードユニット300に対して送信する。カードユニット300は、「125球」分若しくは「125球」未満のクレジット情報(移行信号)を受信した場合、該クレジット情報(移行信号)に応じた球数を保有球データ記憶部303cに加算するとともに、該クレジット情報(移行信号)をホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500に対して送信する(図55のS2108及びS2109参照)。
【0200】
ここで、図14を参照して、クレジット移行ボタン42の押下時における枠統括制御装置111とカードユニット300との通信タイミングに応じたクレジット球数の移行タイミングと移行球数とについて説明する。図14は、枠統括制御装置111とカードユニット300とにおけるクレジット移行ボタン42押下時の移行タイミング及び移行球数を示したタイミングチャートである。
【0201】
図14で示すように、枠統括制御装置111(パチンコ機10)と、カードユニット300とは、定期的な通信タイミング(第1実施形態では、「0.3秒」間隔)でデータを送受信可能に構成されている。ここで、クレジット移行ボタン42が「0.2秒」の押下時間で押下(即ち、単押し)された場合、その押下が終了してから次に到来する通信タイミングで「1球」分のクレジット情報が枠統括制御装置111からカードユニット300に送信される。また、クレジット移行ボタン42が「0.3秒」の押下時間で押下(即ち、単押し)された場合、該「0.3秒」の間に通信タイミングが到来したとしても該通信タイミングでは「1球」分のクレジット情報を枠統括制御装置111からカードユニット300へ送信せず、上記「0.3秒」の押下が終了してから次に到来する通信タイミングで「1球」分のクレジット情報が枠統括制御装置111からカードユニット300に送信される。さらに、上記通信タイミングの間に、クレジット移行ボタン42の押下が「0.1秒」ずつ2回分押下(即ち、単押し2回)された場合、最後の押下から次に到来する通信タイミングで「2球」分のクレジット情報が枠統括制御装置111からカードユニット300に送信される。
【0202】
次いで、クレジット移行ボタン42が「0.5秒」の押下時間で押下(即ち、長押し)された場合、該「0.5秒」の間に通信タイミングが到来したとしても該通信タイミングではクレジット情報を枠統括制御装置111からカードユニット300へ送信せず、上記「0.5秒」の押下が終了してから次に到来する通信タイミングで「125球」分のクレジット情報が枠統括制御装置111からカードユニット300に送信される。
【0203】
次いで、クレジット移行ボタン42が「1.5秒」の押下時間で押下(即ち、長押し)された場合、該「1.5秒」の間の最初の「0.5秒」の間に通信タイミングが到来したとしても該通信タイミングではクレジット情報を枠統括制御装置111からカードユニット300へ送信せず、上記「0.5秒」が経過した後、次に到来する通信タイミングで「125球」分のクレジット情報が枠統括制御装置111からカードユニット300へ送信される。また、最初の「125球」分のクレジット情報を送信してから次の通信タイミングは、上記「1.5秒」の間に含まれる場合は、該通信タイミングが到来するごと、「125球」分のクレジット情報を枠統括制御装置111からカードユニット300へ送信される。ここで、クレジット移行ボタン42の押下開始タイミングによっては、同じ「1.5秒」であっても、通信タイミングが該「1.5秒」の間に含まれる回数によって、移行されるクレジット数が異なる(例えば、3回の「375球」と、2回の「250球」)ように構成されている。
【0204】
次に、図10を参照して、発射ハンドル51が遊技者によって操作された場合のアクション、即ち、<発射ハンドル 回動>のアクションにおける情報の授受および各種装置の駆動若しくは検出態様と、各種入賞口スイッチ(図示せず)によって球が検出された場合のアクション、即ち、<各種入賞口スイッチ 検出>のアクションにおける情報の授受と、ファール球スイッチ131によって球が検出された場合のアクション、即ち、<ファール球スイッチ 検出>のアクションにおける情報の授受と、を説明する。
【0205】
<発射ハンドル 回動>
クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cの値が「0」より大きい場合に、発射ハンドル51が遊技者によって所定量回動された場合、球送りユニット112cによって上皿17(図1参照)に貯留されていた球が「1球」、球発射ユニット112a側へと送り出される球送り処理が実行される(図49のS1509参照)。そして、該球送り処理によって送り出された球が球送りスイッチ112eによって検出された場合、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cの値から「1」減算するクレジット減算処理を行い(図49のS1512又はS1513)、その後、発射ハンドル51が操作され、かつ、発射タイミング(第1実施形態では、「0.6秒」ごと)が到来したことを条件に、発射ソレノイド112bを駆動して球を発射する(図50のS1603参照)。
【0206】
<各種入賞口スイッチ 検出>
次いで、発射ソレノイド112bによって遊技領域に発射された球が、各入賞口63,64,65,71によって検出された場合、入賞した入賞口63,64,65,71に応じた賞球分の球データがクレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cに加算される(図48のS1405又はS1406参照)。
【0207】
<ファール球スイッチ 検出>
次いで、発射ソレノイド112bによって発射された球が遊技領域に到達せず、ファール球となってファール球スイッチ131によって検出された場合、「1球」分の球データがクレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cに加算される(図50のS1609又はS1610参照)。
【0208】
次に、図11を参照して、クレジット移行ボタン42が遊技者によって長押しされている状況において、さらに遊技者により発射ハンドル51が操作された場合のアクション、即ち、<クレジット移行ボタン 押下(長押し)>のアクションにおける情報の授受を説明する。
【0209】
<クレジット移行ボタン 押下(長押し)>
カードユニット300に会員カード700が投入されている状態において、クレジット移行ボタン42が長押し(即ち、「0.5秒」以上)で押下された場合、枠統括制御装置111のクレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cから、長押しに対応するクレジット球数(即ち、「125球」分の球数)が減算され(図52のS1805又はS1811参照)、「125球」分のクレジット情報(移行信号)をカードユニット300に対して送信する。カードユニット300は、「125球」分のクレジット情報(移行信号)を受信した場合、該クレジット情報(移行信号)に応じた球数を保有球データ記憶部303cに加算するとともに、該クレジット情報(移行信号)をホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500に対して送信する(図52のS1806参照)。ホールコンピュータ500は、ホールコンボックス400を介してクレジット情報を受信した場合、該クレジット情報に応じた球データを、会員IDと紐付けて記憶する。
【0210】
そして、クレジット移行ボタン42が連続的に押下され続けている間に、遊技者により発射ハンドル51が回動操作された場合、クレジット記憶部213bの値が「1000」未満か否か、即ち、規定球数以上、保持球データが存在しているか否かを判別し、規定球数以上の保持球データが存在している間は、発射ハンドル51の回動操作に伴って球送りユニット112cによる球送り処理を許容するとともに、球発射ユニット112aによる球の発射を許容する(図49のS1507:Yes参照)。一方、上記判別において、規定球数以上の保持球データが存在していないと判別された場合は、発射ハンドル51が開同操作されていたとしても、球送りユニット112cによる球送り処理を制限(禁止)し、球発射ユニット112a側への球の送り出しを抑制し、その結果、球発射ユニット112aによる球の発射を制限(禁止)することができる。
【0211】
ここで、図15を参照して、クレジット移行ボタン42の押下時における枠統括制御装置111とカードユニット300との通信タイミングに応じたクレジット球数の移行タイミング、移行球数、クレジット残り球数、及び、発射可否について説明する。図15は、枠統括制御装置111とカードユニット300とにおけるクレジット移行ボタン42押下時の移行タイミング、移行球数、クレジット残り球数及び発射可否を示したタイミングチャートである。なお、図15では、クレジット残数が「2000球」ある状態からクレジット移行ボタン42が遊技者によって長押し操作された場合の状況について説明する。
【0212】
図15で示すように、クレジット記憶部213bに記憶される保持球データが「2000球」分記憶されている状態で、クレジット移行ボタン42が遊技者により長押しされた場合、クレジット移行ボタン42の押下が開始されてから「0.5秒」以上経過した後の次の通信タイミングに、「125球」分のクレジット情報がカードユニット300へ送信され、クレジット残り球数が「1875球」となる。この状態において、クレジット記憶部213bの記憶されている保持球データは発射制限の規定数である「1000球」以上存在するため、この状態では、球送りユニット112cによる球送り処理が許容され、発射ハンドル51に対する回動操作によって球送りユニット112cにより上皿17(図1参照)に貯留されている球が、球発射ユニット112a側に送り出され、該球が発射ソレノイド112bによって発射可能な状態となる。そして、クレジット移行ボタン42が押下され続けている間、通信タイミングごとに「125球」分のクレジット情報がカードユニット300へ送信され続け、クレジット残り球数も「1750球」→「1625球」→「1500球」→「1375球」→「1250球」→「1125球」→「1000球」となる。
【0213】
そして、クレジット残り球数が「1000球」、即ち、クレジット記憶部213bの値が「1000」より大きな値でなくなった場合、発射制限の規定数に到達したことで、球送りユニット112cによる球送り処理が制限(禁止)され、発射ハンドル51に対する回動操作が行われていたとしても、球送りユニット112cが作動しないことで、上皿17に貯留されている球が球発射ユニット112a側へは案内されない。この状態においてもクレジット移行ボタン42が押下され続けている間、球送り処理(発射処理)が制限されつつ、通信タイミングごとに「125球」分のクレジット情報がカードユニット300へ送信され続け、クレジット残り球数も「875球」→「750球」→「625球」→「500球」→「375球」→「250球」→「125球」→「0球」となる。このように構成することで、クレジット残数が残りわずかなタイミングにおいて、クレジットの移行と球の発射とが重複(前後)することを抑制し、実際の保持球数と遊技で使用する球数との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することが可能となる。
【0214】
図11に戻って、説明を続ける。その後、クレジット移行ボタン42が押下され続けている間、球の発射を制限(禁止)した状態で、通信タイミングが到来するごとに「125球」分のクレジット情報が枠統括制御装置111からカードユニット300へ送信され、クレジット記憶部213bの値が「0」となった場合に、クレジット移行ボタン42を押下し続けたとしてもクレジット情報の送信が行われなくなり、枠統括制御装置111からカードユニット300へのクレジット情報の移行が完了する。なお、カードユニット300は、枠統括制御装置111からクレジット情報を受信した場合、該クレジット情報(移行信号)に応じた球数を保有球データ記憶部303cに加算するとともに、該クレジット情報(移行信号)をホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500に対して送信する(図52のS1806参照)。
【0215】
次に、図12を参照して、カード返却ボタン43が遊技者によって操作された場合のアクション、即ち、<カード返却ボタン 押下>のアクションにおける情報の授受および各種装置の駆動若しくは検出態様を説明する。
【0216】
<カード返却ボタン 押下>
カードユニット300に会員カード700が投入されている状態において、カード返却ボタン43が押下された場合、枠統括制御装置111のクレジット記憶部213b及び移行中記憶部213cの値がともに「0」であったとき、残り球発射カウンタ213iの値に「2」を設定し、該残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい間は、会員カード700の排出処理を行わず、該残り球発射カウンタ213iの値が「0」となるまで、球送り処理は行わずに発射タイミングに応じた発射処理(即ち、発射ソレノイド112bの駆動)を実行する(図50のS1604~S1606,S1603参照)。これにより、遊技者が遊技を中断しようとしてカード返却ボタン43が押下された場合に、既に球発射ユニット112a側に球が送り出されてしまっている状態であっても、該球発射ユニット112a側に案内された球を発射し、遊技に使用又はファール球として処理して、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制できる。
【0217】
残り球発射カウンタ213iの値が「0」となった場合は、パチンコ機10側に遊技者の保持球に関するデータが一切無くなっている状態であるので、カード排出信号(及び遊技履歴情報等。以下、同様。)をカードユニット300へ送信する(図47のS1313参照)。カードユニット300は、枠統括制御装置111からカード排出信号を受信した場合、会員カード700に対して遊技履歴データを送信して会員カード700の遊技履歴記憶部702に遊技履歴等を記憶させるとともに、ホールコンボックス400に対しても遊技履歴データを送信する。この遊技履歴データは、暗号化せず、ホールコンボックス400でも読み取り可能な状態で出力する。
【0218】
ホールコンボックス400は、カードユニット300から遊技履歴データを受信した場合、該遊技履歴データに対応するパチンコ機10用に予め設けられた所定の記憶エリアに格納するとともに、該遊技履歴データをホールコンピュータ500に対して送信する。これにより、外部管理サーバ600から、遊技履歴等の問い合わせ要求があった場合、上記記憶エリアに記憶された遊技履歴等に応じたデータの出力が可能となる。また、カード返却時に、会員カード700が投入されている間の遊技履歴データをカード返却時に一括してホールコンボックス400に記憶させることで、カードユニット300とホールコンボックス400とが常時通信する必要性がなくなるので、カードユニット300及びホールコンボックス400のそれぞれの処理負担を軽減することができる。
【0219】
ホールコンピュータ500は、ホールコンボックス400から遊技履歴データを受信した場合、予め登録されている会員カード700に対応するデータに対して上記遊技履歴データを更新して記憶するとともに、対応するパチンコ機10の遊技履歴データと照合して、異常等が発生していないか否かを判別する。これにより、パチンコ機10側から出力される遊技情報と、カードユニット300(ホールコンボックス400)から遊技履歴データとをそれぞれ照合することで、不正や異常等の判別がより正確に行うことができ、不正対策および異常対策を的確かつ迅速に行うことが可能となる。
【0220】
<カード返却ボタン 押下>
次いで、カードユニット300に会員カード700が投入されている状態において、カード返却ボタン43が押下された場合、枠統括制御装置111のクレジット記憶部213bの値が「2000」であったとき、まず、枠統括制御装置111のクレジット記憶部213bから「125球」分のクレジット球数が減算され(図52のS1805参照)、カード返却ボタン43を押下してから次に到来する通信タイミングにて「125球」分のクレジット情報(移行信号)をカードユニット300に対して送信する。カードユニット300は、「125球」分のクレジット情報(移行信号)を受信した場合、該クレジット情報(移行信号)に応じた球数を保有球データ記憶部303cに加算するとともに、該クレジット情報(移行信号)をホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500に対して送信する(図52のS1806参照)。ホールコンピュータ500は、ホールコンボックス400を介してクレジット情報を受信した場合、該クレジット情報に応じた球データを、会員IDと紐付けて記憶する。
【0221】
このとき、遊技者により、発射ハンドル51が回動操作された場合であっても、カード返却中であることで、球送り処理は制限(禁止)されている。よって、カード返却ボタン43が1度でも押下された場合は、クレジット移行ボタン42の長押しと異なり、球の発射が制限され、遊技を行うことができないように構成される。
【0222】
ここで、図16を参照して、カード返却ボタン43の押下時における枠統括制御装置111とカードユニット300との通信タイミングに応じたクレジット球数の移行タイミング、移行球数、クレジット残り球数、及び、発射可否について説明する。図16は、枠統括制御装置111とカードユニット300とにおけるカード返却ボタン43押下時の移行タイミング、移行球数、クレジット残り球数及び発射可否を示したタイミングチャートである。なお、図16では、図15と同様、クレジット残数が「2000球」ある状態からカード返却ボタン43が遊技者によって操作された場合の状況について説明する。
【0223】
図16で示すように、クレジット記憶部213bに記憶される保持球データが「2000球」分記憶されている状態で、カード返却ボタン43が遊技者により押下された場合、クレジット記憶部213bの押下が開始されてから次の通信タイミングに、「125球」分のクレジット情報がカードユニット300へ送信され、クレジット残り球数が「1875球」となる。この状態において、カード返却中であることから、球送りユニット112cによる球送り処理が制限(禁止)され、発射ハンドル51に対する回動操作が行われていたとしても、球送りユニット112cが作動しないことで、上皿17に貯留されている球が球発射ユニット112a側へは案内されない。そして、球送り処理(発射処理)が制限されつつ、通信タイミングごとに「125球」分のクレジット情報がカードユニット300へ送信され続け、クレジット残り球数も「1750球」→「1625球」→「1500球」→「1375球」→「1250球」→「1125球」→「1000球」→「875球」→「750球」→「625球」→「500球」→「375球」→「250球」→「125球」→「0球」となる。
【0224】
その後、枠統括制御装置111のクレジット記憶部213b(及び移行中記憶部213c)の値がともに「0」となった場合、残り球発射カウンタ213iの値に「2」を設定し、該残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい間は、会員カード700の排出処理を行わず、該残り球発射カウンタ213iの値が「0」となるまで、球送り処理は行わず発射タイミングに応じた発射処理(即ち、発射ソレノイド112bの駆動)を実行する(図50のS1604~S1606,S1603参照)。
【0225】
次に、図13を参照して、遊技機メーカA~Cからインターネット及び外部管理サーバ600を介して遊技ホールに遊技履歴情報等の問い合わせ(アクセス)があった場合におけるアクション、即ち、<遊技履歴 確認>のアクションにおける情報の授受を説明する。
【0226】
<遊技履歴 確認>
まず、遊技機メーカA~Cのいずれかから、外部管理サーバ600に対して、メーカID及びパスワード等のメーカ情報が送信された場合、外部管理サーバ600は、メーカID及びパスワード等のメーカ情報に基づいて認証処理を行う。外部管理サーバ600にて認証処理が適式に行われた場合は、次いで、該メーカID及びパスワード等のメーカ情報を、遊技ホールのホールコンボックス400に対して送信する。ホールコンボックス400は、受信したメーカID及びパスワード等のメーカ情報が適式なものか否かを問い合わせる。ホールコンピュータ500は、ホールコンボックス400からメーカID及びパスワード等のメーカ情報を受信した場合、該メーカ情報が事前に登録された遊技機メーカに関するものであるか否かの認証処理を行い、認証結果が正当なものである場合には、ホールコンボックス400に対して該認証結果を送信する。ホールコンボックス400は、ホールコンピュータ500から認証結果が正当である旨を受信した場合、ホールコンボックス400に記憶される遊技機メーカA~Cに対応するパチンコ機10のみ(例えば、遊技機メーカAから問い合わせがあった場合には、遊技機メーカAが販売元となったパチンコ機10の遊技履歴のみ)の遊技履歴データを外部管理サーバ600に対して送信する。外部管理サーバ600は、ホールコンボックス400から遊技履歴データを受信した場合、問い合わせがあった遊技機メーカA~Cのいずれかに対して、該遊技履歴データを送信することで、対応する遊技機メーカA~Cにおいて、遊技ホールに設置されている自社販売のパチンコ機10の遊技履歴を把握することが可能となる。これにより、遊技機メーカA~Cにおいて、遊技ホールに設置されているパチンコ機10の遊技履歴を随時把握することができるので、パチンコ機10の稼働状態や何らかの異常(例えば、想定より多くの遊技価値が付与されている、想定と異なる遊技結果が頻出している等)を把握することが可能となり、不正や異常を早期に発見することが可能となる。また、遊技者が好む嗜好や遊技態様を把握して製品開発に資する情報を入手可能となる。
【0227】
図7に戻って、説明を続ける。図7で示すように、パチンコ機10の主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0228】
なお、枠統括制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110と枠統括制御装置111とは双方向に送信可能に構成される一方、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へは一方向にのみ送信される。
【0229】
主制御装置110では、大当たり抽選や特別図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における各特別図柄の動的表示および変動演出の設定、普通図柄表示装置83における普通図柄の可変表示の表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタを格納するカウンタ用バッファ203cが設けられている。
【0230】
また、図7で示すように、ROM202は、大当たり乱数テーブル202a、大当たり種別テーブル202b、保留数テーブル202c、停止パターンテーブル202d、変動パターンテーブル202e、大当たり開放テーブル202f、普図当たり乱数テーブル202g、普図変動テーブル202h、普通電役開放テーブル202iを少なくとも格納している。主制御装置110は、RAM203に格納された各種カウンタと、ROM202に格納された各種テーブルとによって、上記の主要な制御を実行する。
【0231】
ここで、図17を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、大当たり抽選や、特別図柄表示装置37の動的表示の設定、第3図柄表示装置81の変動演出の設定、普通図柄表示装置83における可変表示の表示結果の抽選などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。また、各種カウンタの説明の中で、図18から図26を参照して、主制御装置110のROM202に格納された各種テーブル、及び、遊技状態の遷移等について説明する。
【0232】
大当たり抽選や、特別図柄表示装置37の動的表示の設定、および、第3図柄表示装置81の変動演出の設定には、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり図柄の停止種別の選択に使用する大当たり種別カウンタC2と、変動演出の演出態様の選択に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1とが用いられる。
【0233】
また、普通図柄表示装置83の抽選には、普図当たりカウンタC4が用いられ、普図当たりカウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。
【0234】
これら各カウンタは、更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後「0」に戻るループカウンタとなっている。
【0235】
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図30参照)の実行間隔である「4ミリ秒」間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図29参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファ203cに適宜格納される。詳細については後述するが、RAM203には、第1特別図柄に関する4つの保留エリア(第1保留第1~第4エリア)からなる第1保留球格納エリア203dと、第2特別図柄に関する4つの保留エリア(第2保留第1~第4エリア)からなる第2保留球格納エリア203eとが設けられており、これらの各エリアには、第1始動口64又は第2始動口71への入球タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び変動種別カウンタCS1の各値がそれぞれ格納される。
【0236】
各カウンタについて詳しく説明する。大当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、「0~9999」)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、「0~9999」の値を取り得るカウンタの場合は「9999」)に達した後「0」に戻る構成となっている。特に、大当たり乱数カウンタC1の更新が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれ、その初期値から大当たり乱数カウンタC1の更新が行われる。
【0237】
第1初期値乱数カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、大当たり乱数カウンタC1が「0~9999」の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、「0~9999」の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図30参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図29参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
【0238】
大当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(第1実施形態では、タイマ割込処理(図30参照)毎に1回)更新される。そして、球が第1始動口64に入賞(始動入賞)したタイミングで、第1始動口64(第1特別図柄)に対応する第1保留球格納エリア203dに設けられた第1保留第1~第4エリアのいずれかの第1保留エリアの大当たり乱数カウンタ格納エリア203d1に格納される。また、球が第2始動口71に入賞(始動入賞)したタイミングで、第2始動口71(第2特別図柄)に対応する第2保留球格納エリア203eに設けられた第2保留第1~第4エリアのいずれかの第2保留エリアの大当たり乱数カウンタ格納エリア203e1に格納される。
【0239】
大当たり乱数カウンタC1が大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される各特別図柄に対応する大当たり乱数テーブル202aによって設定されている。つまり、第1保留球格納エリア203dの保留エリアの大当たり乱数カウンタ格納エリア203d1に格納されている大当たり乱数カウンタC1の値が、第1特別図柄に対応する大当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、大当たりと判定される。また、第2保留球格納エリア203eの保留エリアの大当たり乱数カウンタ格納エリア203e1に格納されている大当たり乱数カウンタC1の値が、第2特別図柄に対応する大当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、大当たりと判定される。
【0240】
ここで、図18を参照して、各特別図柄に対応する大当たり乱数テーブル202aの詳細についてそれぞれ説明する。図18は、ROM202に記憶される第1特別図柄及び第2特別図柄に対応する大当たり乱数テーブル202aの一例を模式的に示した模式図である。
【0241】
第1実施形態の大当たり乱数テーブル202aは、各設定値毎にそれぞれ、遊技状態が特別図柄の低確率状態の場合に使用される低確率状態用と、遊技状態が特別図柄の低確率状態より大当たりとなる確率の高い特別図柄の高確率状態の場合に使用される高確率状態用との2種類ずつに分けられる。
【0242】
そして、各設定値毎に、低確率状態用と高確率状態用とのそれぞれに含まれる大当たり乱数値の個数が異なって設定されている。また、低確率状態から高確率状態に変位させるために必要となる大当たり乱数値の個数の増加分を、ハズレに対応するハズレ乱数値の個数から補填するように構成されている。即ち、低確率状態から高確率状態に変位させるために大当たり乱数値の個数を増加させる場合、ハズレ乱数値の個数を減少させ、その減少分を大当たり乱数値の個数として割り当てるように構成する。このように、遊技状態に応じて大当たり乱数値の個数を異ならせることにより、低確率状態と高確率状態とで、大当たりとなる確率が変更される。
【0243】
このように、第1実施形態のパチンコ機10では、第1特別図柄および第2特別図柄の低確率状態から高確率状態における大当たり乱数値の個数の増加分を、すべての設定値においてハズレ乱数値の個数から補うように構成する。即ち、設定変更に伴う大当たり乱数値の個数の増加分、および、各設定毎における低確率状態から高確率状態への変更に伴う大当たり乱数値の個数の増加分を、ハズレ乱数値の個数を減少させて、その減少分を大当たり乱数値に割り当てることで補填する。このように構成することで、設定値毎の出玉率の計算を、大当たり乱数値の個数の増加分のみを考慮することで計算することが可能となり、遊技仕様の設計時における工数の増加を抑制することができる。
【0244】
また、第1実施形態のパチンコ機10では、設定変更に伴う大当たり乱数値の個数の増加分を、大当たり乱数カウンタC1のうち、遊技を行う上で最も滞在し易い場合に取得さ得る大当たり乱数値以外の最も多い乱数値の役(即ち、ハズレ乱数値)から補填するように構成する。このように構成することで、例えば、滞在率が高い「通常遊技状態」で実行が奨励されている第1特別図柄において、該第1特別図柄の変動演出で最も多い役であるハズレ役の出現回数からは設定判別を困難にすることができる。よって、遊技者による設定判別要素を、ハズレ役より現出確率が低い大当たりの出現割合のみとして、パチンコ機10の設定値を看破され難くすることができる。その結果、低設定(即ち、設定値1等)であっても遊技者に設定看破させずに遊技を継続させ、パチンコ機10の稼働を促進することができる。
【0245】
図18で示すように、第1実施形態の大当たり乱数テーブル202aでは、設定値が「1」の場合、大当たり乱数テーブル202aにおける低確率状態で大当たりとなる大当たり乱数カウンタC1の値(大当たり乱数値)の個数は32個で、その値「0~31」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。つまり、設定値「1」の各特別図柄の低確率状態(即ち、「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」)における大当たり確率は、32/10000=0.32/100(即ち、0.32%)となるように設定されている。
【0246】
一方で、設定値が「1」の場合、大当たり乱数テーブル202aにおける高確率状態で大当たりとなる乱数の値(大当たり乱数値)の数は300個で、その値「0~299」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。つまり、設定値「1」の各特別図柄の高確率状態(即ち、「確率変動状態」)における大当たり確率は、300/10000=3.00/100(即ち、3.00%)となり、特別図柄の高確率状態は、低確率状態から約10倍大当たりし易いように設定されている。
【0247】
よって、設定値が「1」の場合、大当たり乱数テーブル202aにおける低確率状態でハズレとなる乱数の値(ハズレ乱数値)の数は、大当たり乱数値以外の残りの9968個で、その値「32~9999」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。また、高確率状態の場合にハズレとなる乱数の値(ハズレ乱数値)の数は、大当たり乱数値以外の残りの9700個で、その値「300~9999」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。つまり、設定値「1」の各特別図柄の低確率状態(即ち、「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」)におけるハズレ確率は、9968/10000=99.68/100(即ち、99.68%)となるように設定され、各特別図柄の高確率状態(即ち、「確率変動状態」)におけるハズレ確率は、9700/10000=97.00/100(即ち、97.00%)となるように設定されている。
【0248】
即ち、設定値「1」において、各特別図柄の高確率状態における大当たり乱数値の個数の増加分を、遊技において最も滞在率が高い「通常遊技状態」におけるハズレ乱数値の個数を減少させて、その減少分から補うように構成しつつ、低確率状態から高確率状態の増加分の大当たり乱数値の個数が「通常遊技状態」におけるハズレ乱数値の個数の範囲内(即ち、9968個以下)となるように構成されている。
【0249】
次いで、設定値が「2」の場合、大当たり乱数テーブル202aにおける低確率状態で大当たりとなる大当たり乱数カウンタC1の値(大当たり乱数値)の個数は34個で、その値「0~33」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。つまり、設定値「2」の各特別図柄の低確率状態(即ち、「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」)における大当たり確率は、34/10000=0.34/100(即ち、0.34%)となるように設定されている。
【0250】
一方で、設定値が「2」の場合、大当たり乱数テーブル202aにおける高確率状態で大当たりとなる乱数の値(大当たり乱数値)の数は302個で、その値「0~301」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。つまり、設定値「2」の各特別図柄の高確率状態(即ち、「確率変動状態」)における大当たり確率は、302/10000=3.02/100(即ち、3.02%)となり、特別図柄の高確率状態は、低確率状態から約10倍大当たりし易いように設定されている。
【0251】
従って、設定値が「2」の場合、大当たり乱数テーブル202aにおける低確率状態でハズレとなる乱数の値(ハズレ乱数値)の数は、大当たり乱数値以外の残りの9966個で、その値「34~9999」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。また、高確率状態の場合にハズレとなる乱数の値(ハズレ乱数値)の数は、大当たり乱数値以外の残りの9698個で、その値「303~9999」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。つまり、設定値「2」の各特別図柄の低確率状態(即ち、「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」)におけるハズレ確率は、9966/10000=99.66/100(即ち、99.66%)となるように設定され、各特別図柄の高確率状態(即ち、「潜伏確率変動状態」又は「確率変動状態」)におけるハズレ確率は、9698/10000=96.98/100(即ち、96.98%)となるように設定されている。
【0252】
即ち、設定値「2」において、各特別図柄の高確率状態における大当たり乱数値の個数の増加分を、遊技において最も滞在率が高い「通常遊技状態」におけるハズレ乱数値の個数を減少させて、その減少分から補うように構成しつつ、低確率状態から高確率状態の増加分、および、設定値変更に伴う増加分の大当たり乱数値の個数が「通常遊技状態」におけるハズレ乱数値の個数の範囲内(即ち、9966個以下)となるように構成されている。
【0253】
よって、大当たり乱数テーブル202aにおける設定値「2」は、設定値「1」と比べて、大当たり確率が若干向上しており(低確率状態:0.32%→0.34%、高確率状態:3.00%→3.02%)、設定値「1」の場合より大当たり遊技が発生し易い設定であるといえる。
【0254】
次いで、設定値が「3」の場合、大当たり乱数テーブル202aにおける低確率状態で大当たりとなる大当たり乱数カウンタC1の値(大当たり乱数値)の個数は36個で、その値「0~35」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。つまり、設定値「3」の各特別図柄の低確率状態(即ち、「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」)における大当たり確率は、36/10000=0.36/100(即ち、0.36%)となるように設定されている。
【0255】
一方で、設定値が「3」の場合、大当たり乱数テーブル202aにおける高確率状態で大当たりとなる乱数の値(大当たり乱数値)の数は304個で、その値「0~303」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。つまり、設定値「3」の各特別図柄の高確率状態(即ち、「確率変動状態」)における大当たり確率は、304/10000=3.04/100(即ち、3.04%)となり、特別図柄の高確率状態は、低確率状態から約10倍大当たりし易いように設定されている。
【0256】
従って、設定値が「3」の場合、大当たり乱数テーブル202aにおける低確率状態でハズレとなる乱数の値(ハズレ乱数値)の数は、大当たり乱数値以外の残りの9964個で、その値「35~9999」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。また、高確率状態の場合にハズレとなる乱数の値(ハズレ乱数値)の数は、大当たり乱数値以外の残りの9696個で、その値「304~9999」が、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている。つまり、設定値「3」の各特別図柄の低確率状態(即ち、「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」)におけるハズレ確率は、9964/10000=99.64/100(即ち、99.64%)となるように設定され、各特別図柄の高確率状態(即ち、「確率変動状態」)におけるハズレ確率は、9696/10000=96.96/100(即ち、96.96%)となるように設定されている。
【0257】
即ち、設定値「3」において、各特別図柄の高確率状態における大当たり乱数値の個数の増加分を、遊技において最も滞在率が高い「通常遊技状態」におけるハズレ乱数値の個数を減少させて、その減少分から補うように構成しつつ、低確率状態から高確率状態の増加分、および、設定値変更に伴う増加分の大当たり乱数値の個数が「通常遊技状態」におけるハズレ乱数値の個数の範囲内(即ち、9964個以下)となるように構成されている。
【0258】
よって、大当たり乱数テーブル202aにおける設定値「3」は、設定値「2」と比べて、大当たり確率が若干向上しており(低確率状態:0.34%→0.36%、高確率状態:3.02%→3.04%)、設定値「2」の場合より大当たり遊技が発生し易い設定であるといえる。
【0259】
上述したように、大当たり乱数テーブル202aにおいて、「確率変動状態」における大当たり乱数値の個数の増加分を、「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」におけるハズレ乱数値の個数から補うように構成しつつ、「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」におけるハズレ乱数値の個数の範囲内となるように構成する。このように構成することで、設定値毎の出玉率の計算を、大当たり乱数値の増加分のみを考慮することで計算することが可能となり、遊技仕様の設計時における工数の増加を抑制することができる。
【0260】
ここで、図19を参照して、第1実施形態のパチンコ機10における各遊技状態における遊技態様と、各遊技状態における遊技状態の移行条件および移行先について説明する。図19は、各遊技状態における、該遊技状態への移行契機、特別図柄の大当たり確率、普通図柄の当たり確率、奨励される球の発射態様、主要入賞先、第1特別図柄の変動時間、第2特別図柄の変動時間、及び、右打ち可否を説明した一覧である。
【0261】
図19で示すように、「通常遊技状態」への移行契機は、工場出荷時の初期状態及びRAMクリア状態の初期状態、又は、「時間短縮状態」における特別図柄の動的表示が200回実行された場合(所謂、電サポ終了。図20参照。)、となる。
【0262】
この「通常遊技状態」では、上述したように、特別図柄の大当たり確率が低確率状態であり、普通図柄の当たり確率も低確率状態である。また、「通常遊技状態」では、左打ち遊技が奨励され、該左打ち遊技で発射された球が主に第1始動口64に入賞し得る。そして、第1特別図柄の1の動的表示の変動時間が「5秒~190秒」の範囲で行われ、第2特別図柄の1の動的表示の変動時間が「5秒~190秒」の範囲で行われる(後述する図21図24参照)。なお、「通常遊技状態」で右打ち遊技が行われた場合、その発射態様をスルーゲート67等で検知して、該検知に基づいて右打ち遊技での発射を抑制させるべく、音声出力装置226(図7参照)等によって右打ち禁止報知を実行するように構成されている。
【0263】
次いで、「確率変動状態」への移行契機は、大当たり種別「確変A」への当選となる(図20参照)。
【0264】
また、「確率変動状態」では、上述したように、特別図柄の大当たり確率が高確率状態であり、普通図柄の当たり確率も高確率状態である。さらに、「確率変動状態」では、右打ち遊技が奨励され、該右打ち遊技で発射された球が、入賞補助機能が作動している第2始動口71に入賞し得る。そして、第1特別図柄の1の動的表示の変動時間が「3秒~120秒」の範囲で行われ、第2特別図柄の1の動的表示の変動時間が「3秒~120秒」の範囲で行われる(後述する図21図24参照)。なお、この「確率変動状態」では、右打ち遊技が奨励されているため、スルーゲート67を球が通過した場合でも上記右打ち禁止報知は実行されない。
【0265】
次いで、「時間短縮状態」への移行契機は、大当たり種別「時短A」への当選となる(図20参照)。
【0266】
この「時間短縮状態」では、上述したように、特別図柄の大当たり確率が低確率状態である一方、普通図柄の当たり確率は高確率状態である。さらに、「時間短縮状態」では、「確率変動状態」と同様、右打ち遊技が奨励され、該右打ち遊技で発射された球が、入賞補助機能が作動している第2始動口71に入賞し得る。そして、第2特別図柄の1の動的表示の変動時間が「3秒~10秒」の範囲で行われ、第1特別図柄の1の動的表示の変動時間が「3秒~10秒」の範囲で行われる(後述する図21図24参照)。なお、この「時間短縮状態」では、右打ち遊技が奨励されているため、上記右打ち禁止報知は実行されない。
【0267】
図17に戻って、説明を続ける。大当たり種別カウンタC2は、大当たりとなった場合の大当たり種別を決定するものであり、所定の範囲(例えば、「0~99」)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、「0~99」の値を取り得るカウンタの場合は「99」)に達した後に「0」に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(第1実施形態では、タイマ割込処理(図30参照)毎に1回)更新される。
【0268】
そして、球が第1始動口64に入賞したタイミングで、第1始動口64に対応して設けられたRAM203の第1保留球格納エリア203dの第1保留第1~第4エリアのうち、大当たり乱数カウンタC1が格納される第1保留エリアと同じ第1保留エリアの大当たり種別カウンタ格納エリア203d2に格納される。また、球が第2始動口71に入賞したタイミングで、第2始動口71に対応して設けられたRAM203の第2保留球格納エリア203eの第2保留第1~第4エリアのうち、大当たり乱数カウンタC1が格納される第2保留エリアと同じ第2保留エリアの大当たり種別カウンタ格納エリア203e2に格納される。
【0269】
ここで、例えば、第1保留球格納エリア203d又は第2保留球格納エリア203e内の1の保留エリアに格納された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりとなる乱数(大当たり乱数値)でなければ、即ち、ハズレとなる乱数(ハズレ乱数値)であれば、変動演出における変動パターンや、停止図柄の種別(以下「停止種別」と称す)は、ハズレ時のものとなる。一方で、第1保留球格納エリア203d又は第2保留球格納エリア203e内の1の保留エリアに格納された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりとなる乱数(大当たり乱数値)であれば、変動演出における変動パターンや停止種別は大当たり時のものとなる。この場合、その大当たり時の変動パターンおよび停止種別は、同じ保留エリアに格納された大当たり種別カウンタC2の値が示す大当たり種別に対応して決定される。
【0270】
上述したように、第1実施形態のパチンコ機10における大当たり種別カウンタC2の値は、「0~99」の範囲のループカウンタとして構成されて、該大当たり種別カウンタC2とROM202に格納された大当たり種別テーブル202bとに基づいて、大当たり種別が決定される。
【0271】
ここで、図20を参照して、各特別図柄に対応する大当たり種別テーブル202bについて説明する。図20は、ROM202に記憶される第1特別図柄及び第2特別図柄に対応する大当たり種別テーブル202bの一例を模式的に示した図である。
【0272】
図20に示すように、大当たり種別テーブル202bは、第1特別図柄用と第2特別図柄用と共通的に設けられ、大当たり種別カウンタC2の値が対応付けられたテーブルである。
【0273】
第1実施形態のパチンコ機10では、大当たり種別として、最大ラウンド数が10ラウンドの大当たり後に、次の特別図柄による大当たりが発生するまでの間、特別図柄の大当たり確率および普通図柄の当たり確率がともに高確率状態となる「確率変動状態(所謂、ループタイプ)」に対応する大当たり種別「確変A」と、最大ラウンド数が5ラウンドの大当たり後に、特別図柄の大当たり確率は低確率状態であるものの、特別図柄の動的表示が200回実行されるまでの間、普通図柄の当たり確率が高確率状態となる「時間短縮状態」に対応する大当たり種別「時短A」と、が設けられている。
【0274】
大当たり種別テーブル202bでは、各大当たり種別に対して、その大当たり種別を決定する大当たり種別カウンタC2の取り得る値が対応付けられている。
【0275】
図20で示す大当たり種別テーブル202bの例では、「通常遊技状態」、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において第1特別図柄又は第2特別図柄の大当たりが発生した場合は、大当たり種別「確変A」に対して大当たり種別カウンタC2の値「0~64」が対応付けられ、大当たり種別「確変A」に対して大当たり種別カウンタC2の値「65~99」が対応付けられている。
【0276】
よって、すべての遊技状態における第1特別図柄又は第2特別図柄の当否抽選において、第1保留球格納エリア203d又は第2保留球格納エリア203eのいずれかの第1保留エリアの大当たり乱数カウンタ格納エリア203d1,203e1に格納された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりとなる値であった場合に、同じ第1保留エリアの大当たり種別カウンタ格納エリア203d2,203e2に格納された大当たり種別カウンタC2の値に対応付けられた大当たり種別が大当たり種別テーブル202bから(一時的に。一旦。以下、同様。)選定され得て、例えば、大当たり種別カウンタC2の値が「7」であれば、大当たり種別「確変A」が選定され得て、大当たり種別カウンタC2の値が「95」であれば、大当たり種別「時短A」が選定され得る。
【0277】
従って、第1特別図柄又は第2特別図柄の動的表示で大当たりに当選した場合に、大当たり種別「確変A」が65%、大当たり種別「時短A」が35%、の割合で当選することとなる。
【0278】
図17に戻って、各種カウンタの説明を続ける。停止パターン選択カウンタC3は、例えば「0~99」の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値(つまり「99」)に達した後「0」に戻る構成となっている。
【0279】
第1実施形態では、保留されている変動演出の保留数と停止パターン選択カウンタC3の値とによって、第3図柄表示装置81で表示される大当たり時およびハズレ時の変動演出の大まかな演出態様が選択される。また、第1実施形態のパチンコ機10では、各演出態様に比較的長めの変動時間が選択され易いロングパターン(以下、「ロング」と称する場合がある)と、該ロングパターンより短めの変動時間が選択され易いミドルパターン(以下、「ミドル」と称する場合がある)と、該ミドルパターンより短めの変動時間が選択され易いショートパターン(以下、「ショート」と称する場合がある)と、が用意されている。
【0280】
具体的には、「リーチ表示」が発生しない「非リーチ(ロング)」演出態様、「非リーチ(ミドル)」又は「非リーチ(ショート)」演出態様と、「リーチ表示」として「ノーマルリーチ」の変動要素のみが実行される「ノーマルリーチ」演出態様と、該「ノーマルリーチ」の変動要素から発展して「スーパーリーチ」の変動要素が実行される「スーパーリーチ」演出態様と、同じく「ノーマルリーチ」の変動要素から発展して「スペシャルリーチ」の変動要素が実行される「スペシャルリーチ」演出態様と、の6つの演出態様のいずれかが選択され得る。
【0281】
ここで、各演出態様について詳細に説明する。演出態様の中で、「非リーチ(ロング)」演出態様と「非リーチ(ミドル)」演出態様と「非リーチ(ショート)」演出態様(以下、「非リーチ(ロング)」演出態様、「非リーチ(ミドル)」演出態様及び「非リーチ(ショート)」演出態様を総称して、『「非リーチ」演出態様』と称する場合がある)とは、特別図柄の変動演出として3つの図柄列Z1~Z3が変動する第3図柄表示装置81にて、各図柄列Z1~Z3を高速でシャッフルする「高速変動」の変動要素が行われた後に、先に停止する2の図柄列Z1,Z3において同一の第3図柄が停止せず、「リーチ表示」を発生しない演出態様である。
【0282】
なお、「高速変動」の変動要素とは、例えば、第3図柄表示装置81で行われる第3図柄の変動演出において、各図柄列Z1~Z3(図5参照)に表示される第3図柄が、表示画面縦方向下方に高速にスクロールされている変動要素をいう。この「高速変動」では、遊技者によって第3図柄の表示内容を明確に認識できないように第3図柄を変動させ、前回停止表示された変動演出の停止結果を不規則に混ぜる(シャッフルする)演出が実行される。
【0283】
第1実施形態のパチンコ機10では、「高速変動」の変動要素が行われた後、特定の演出態様(「非リーチ(ショート)」演出態様)を除いて「低速変動」の変動要素が行われるように構成されている。
【0284】
「低速変動」の変動要素とは、第3図柄表示装置81で行われる第3図柄の変動演出において、上記「高速変動」の変動要素後、遊技者に視認可能な速度で第3図柄を低速にスクロールしている変動要素をいう。この「低速変動」の変動要素では、遊技者に第3図柄の表示内容を認識させながら、各図柄列Z1~Z3(図5参照)を順に停止表示する。先に停止表示する2の図柄列(例えば、左図柄列Z1と右図柄列Z3)において同一の第3図柄が停止した場合は「リーチ表示」が発生したとして「ノーマルリーチ」の変動要素へと発展する一方、該先に停止表示する2の図柄列Z1,Z3において異なる第3図柄が停止した場合は、残りの図柄列Z2を停止表示して、その変動演出を終了するように構成されている。なお、「高速変動」の変動要素、又は、「低速変動」の変動要素を含む各変動要素の詳細については、後述する。
【0285】
従って、「非リーチ(ロング)」演出態様及び「非リーチ(ミドル)」演出態様では、「高速変動」の変動要素が行われた後に「低速変動」の変動要素が行われて、各図柄列Z1~Z3がそれぞれ順番に停止し、先に停止する2つの図柄列Z1,Z3に異なる第3図柄が停止し、残りの1の図柄列Z2が停止して、1の変動演出が終了する。一方、「非リーチ(ショート)」演出態様では、「高速変動」が行われた後に「低速変動」の変動要素が行われず、該「高速変動」の変動要素の終了後、各図柄列Z1~Z3が同時に停止し、2の図柄列Z1,Z3(例えば、「非リーチ(ロング)」演出態様で先に停止する2の図柄列)に異なる第3図柄が停止するとともに、他の図柄列Z2も停止し、1の変動演出が終了する。
【0286】
演出態様の中で、「ノーマルリーチ」演出態様とは、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出において、先に停止表示する2の図柄列Z1,Z3に同一の第3図柄が停止した直後に「ノーマルリーチ」の変動要素が実行され、他の「リーチ表示」、即ち、「スーパーリーチ」の変動要素や「スペシャルリーチ」の変動要素に発展しない「リーチ表示」の演出態様の1つである。
【0287】
演出態様の中で、「スーパーリーチ」演出態様とは、「ノーマルリーチ」の変動要素から発展して「スーパーリーチ」の変動要素が実行される「リーチ表示」の演出態様の1つである。
【0288】
演出態様の中で、「スペシャルリーチ」演出態様とは、「ノーマルリーチ」の変動要素から発展して「スペシャルリーチ」の変動要素が実行される「リーチ表示」の演出態様の1つである。
【0289】
停止パターン選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(第1実施形態では、タイマ割込処理(図30参照)毎に1回)更新される。そして、球が第1始動口64に入賞したタイミングで、第1始動口64に対応する第1保留球格納エリア203dに設けられた第1保留第1~第4エリアのうち大当たり乱数カウンタC1が格納される第1保留エリアの停止パターン選択カウンタ格納エリア203d3に格納される。また、球が第2始動口71に入賞したタイミングで、第2始動口71に対応する第2保留球格納エリア203eに設けられた第2保留第1~第4エリアのうち大当たり乱数カウンタC1が格納される第2保留エリアの停止パターン選択カウンタ格納エリア203e3に格納される。
【0290】
第1実施形態のパチンコ機10では、変動演出の当否と、現在の遊技状態と、現在保留中の両特別図柄の変動演出の数(保留球数)とに応じて、停止パターン選択カウンタC3の値を参照する停止パターンテーブル202dが異なるように構成されている。即ち、停止パターンテーブル202dは、複数種類設けられ、待機中の両特別図柄の変動演出の数(保留球数)等によって選択されるように構成されている。
【0291】
また、第1実施形態では、変動演出の詳細な変動パターンを決定する場合に、まず、ROM202に備えられた保留数テーブル202cに基づいて、変動演出の当否と、現在の遊技状態と、現在の変動演出の数(保留球数)とに対応したいずれかの停止パターンテーブル202dが選択される。そして、選択された停止パターンテーブル202dと停止パターン選択カウンタC3の値とに基づいて変動演出の大まかな態様である演出態様を選択する。その後、選択された演出態様と後述する変動種別カウンタCS1の値とに基づいて、変動演出の詳細な変動パターン(変動時間)が決定される。
【0292】
この複数種類設けられた停止パターンテーブル202dは、各停止パターンテーブル202d毎に演出態様が選択される停止パターン選択カウンタC3の乱数値の範囲が異なるように設定されている。この停止パターンテーブル202dが複数用意されているのは、変動演出の当否、遊技状態及び保留球数に応じて変動演出の演出態様の選択比率を変更するためである。即ち、(1)取得した第3図柄の変動演出において大当たりが発生するか、(2)現在のパチンコ機10の遊技状態が「確率変動状態」、「時間短縮状態」又は「通常遊技状態」であるか、及び、(3)保留されている変動演出の保留球数がいくつあるか、に応じて、演出態様の選択比率を変更するためである。
【0293】
これは、第1の理由として、各演出態様毎に大当たりとなる期待度を変化させるためである。即ち、大当たり抽選に当選した場合と大当たり抽選にハズレた場合とで、停止パターン、即ち、「非リーチ」演出態様、「ノーマルリーチ」演出態様、「スーパーリーチ」演出態様、及び、「スペシャルリーチ」演出態様の選択する割合を異ならせるように構成することで、各演出態様毎に大当たりとなる期待度を変化させる。具体的には、例えば、大当たり抽選に当選した場合に「スーパーリーチ」演出態様や「スペシャルリーチ」演出態様を選択し易く構成し、大当たり抽選に当選しなかった場合には、「非リーチ」演出態様や「ノーマルリーチ」演出態様を選択し易く構成する。
【0294】
このように構成することで、「スーパーリーチ」演出態様や「スペシャルリーチ」演出態様は、大当たりし易い演出とすることができ、「ノーマルリーチ」演出態様や「非リーチ」演出態様は、大当たりし難い演出若しくは大当たりしない演出とすることができ、各演出態様毎の大当たり期待度を差別化することができる。従って、変動演出に大当たりし易い演出が現出した場合に、その大当たりし易い演出が行われている間、大当たりが発生する可能性が高いことを遊技者に示唆し、遊技の興趣を高めている。
【0295】
第1実施形態のパチンコ機10では、具体的には、取得した抽選結果が大当たりである場合には、大当たりし易い演出を選択し易く、かつ、大当たりし難い演出を選択し難い停止パターンテーブル202dに基づいて変動演出の大まかな内容である演出態様(停止パターン)を選択するように構成する。一方、取得した抽選結果がハズレである場合には、大当たりし易い演出を選択し難く、かつ、大当たりし難い演出を選択し易い停止パターンテーブル202dに基づいて変動演出の演出態様(停止パターン)を選択するように構成する。これにより、変動演出において第3図柄の抽選結果を遊技者に報知する場合に、大当たりし易い演出が実行されている場合にはその変動演出で大当たりが発生し易く、大当たりし難い演出が実行されている場合にはその変動演出で大当たりが発生し難くし、演出態様(停止パターン)ごとに大当たり期待値に差を設けることで、その変動演出の実行中に遊技の興趣を高めることができる。
【0296】
また、第2の理由として、第1特別図柄の変動演出の待機回数が上限に達している状態における第1始動口64への入球、又は、第2特別図柄の変動演出の待機回数が上限に達している状態における第2始動口71への入球に基づく無駄球(所謂、オーバーフロー入賞による特別図柄の無抽選)を極力削減するためである。
【0297】
具体的に説明すると、第1特別図柄及び第2特別図柄の変動演出の待機回数はそれぞれ最大4回と上限が設けられていると共に、変動演出は少なくとも一定時間が実行されることから、「確率変動状態」および「時間短縮状態」における第2始動口71へ球が入球し易い遊技状態では、第2特別図柄の最大保留球数に到達し易い。これらの遊技状態において、長い変動時間の変動演出を選択すると、第2特別図柄の最大保留球数に到達した状態での第2始動口71への入球が頻発し、折角、第2始動口71へ入球したにもかかわらず、第2特別図柄の抽選契機を取得できない。また、「通常遊技状態」においても、第1特別図柄の最大保留球数に到達している状態で、長い変動時間の変動演出を選択すると、その変動演出の実行中は第1特別図柄の保留球数が消化されないため、その間に第1始動口64への入球が発生しても、第1特別図柄の抽選契機を取得できない。このような状態になると、遊技者は、第1始動口64へ球を入球させても遊技価値が得られないと判断し、変動演出が消化されて再び保留球数を取得できる状態になるまで球の発射を停止して遊技を中断してしまう。遊技が中断されると、パチンコ機10の稼働率が低下してしまい、遊技場の経営に影響を与えてしまう。
【0298】
そこで、第1実施形態のパチンコ機10では、第3図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)の最大保留球数へ到達し易い遊技状態や、最大保留球数に近い(又は一致する)保留球数では、短い変動時間が選択され易い停止パターンテーブル202dに基づいて変動演出の演出態様を選択するように構成されている。これにより、第3図柄(第1特別図柄又は第2特別図柄)の最大保留球数に到達している状態での第1始動口64又は第2始動口71への入球を抑制することができる。
【0299】
さらに、第3の理由として、実行時間を長く設定して、変動演出の終了を遅らせることで、変動演出が実行されている状態を長く維持するためである。具体的に説明すると、変動演出の保留球数が少ない(無い)場合に、実行中の変動演出の変動時間内に新たに第1始動口64又は第2始動口71のいずれかに球を入球させないと、次の変動演出を開始することができず、第3図柄表示装置81でデモ画面等を表示しなければいけない。遊技者は、球を発射して遊技を行っているにもかかわらず第3図柄表示装置81において変動演出が行われない場合、遊技者が求めている大当たりの抽選に係る興趣を得ることができず、遊技に興醒めしてしまう。また、遊技者は、第3図柄表示装置81において変動演出が行われていないことで、第1始動口64又は第2始動口71へ球が入球し難いパチンコ機10であると認識し、遊技価値を得難い台と判断して、そのパチンコ機10での遊技を止めてしまうおそれがある。
【0300】
そこで、第1実施形態のパチンコ機10では、変動演出の保留球数が少ない場合に、長い変動時間が選択され易い停止パターンテーブル202dに基づいて変動演出の演出態様を選択するように構成されている。これにより、第3図柄表示装置81において変動演出が行われていない状況を起こり難く構成し、第3図柄表示装置81における変動演出の実行状態を長く維持することができる。
【0301】
なお、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において、左打ち遊技は遊技仕様としては奨励されていないが、該非奨励の遊技(即ち、左打ち遊技)を行った場合であっても、奨励されている遊技(即ち、右打ち遊技)を行った場合より遊技者が得られる遊技価値が低く設定されている。このため、遊技ホールにとって不利となる遊技態様ではないので、特段の罰則(ペナルティ)は設けられていない。
【0302】
ここで、図21を参照して、保留数テーブル202cの詳細について説明する。図21は、第1特別図柄及び第2特別図柄に対応する保留数テーブル202cを模式的に示した図である。
【0303】
上述したように、第1実施形態のパチンコ機10では、第1始動口64又は第2始動口71に球が入球したことに基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出を行う場合に、該変動演出の当否と、その時点における遊技状態と、同じくその時点における第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の各合計保留数とに基づいて保留数テーブル202cを参照し、いずれかの停止パターンテーブル202d1~202d2を選択するように構成されている。そして、選択された停止パターンテーブル202d1~202d2のいずれかと停止パターン選択カウンタC3の値とに基づいて変動演出の大まかな演出態様が決定される。
【0304】
具体的には、図21の保留数テーブル202cで示すように、「通常遊技状態」のハズレ抽出時であって、第1特別図柄又は第2特別図柄の保留球数が「1個~3個」の場合には、停止パターンテーブル202dのAテーブル202d1(図22(a)参照)が選択される。また、「通常遊技状態」のハズレ抽出時であって、第1特別図柄又は第2特別図柄の保留球数が「4個」の場合には、停止パターンテーブル202dのBテーブル202d2(図22(b)参照)が選択される。一方、「通常遊技状態」の大当たり抽出時には、いずれの保留球数であっても、停止パターンテーブル202dのCテーブル202d3(図22(c)参照)が選択される。
【0305】
次いで、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」のハズレ抽出時であって、第1特別図柄又は第2特別図柄の保留球数が「1個」の場合には、停止パターンテーブル202dのDテーブル202d4(図23(a)参照)が選択される。また、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」のハズレ抽出時であって、第1特別図柄又は第2特別図柄の保留球数が「2個~4個」の場合には、停止パターンテーブル202dのEテーブル202d5(図23(b)参照)が選択される。一方、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」の大当たり抽出時には、いずれの保留球数であっても、停止パターンテーブル202dのFテーブル202d6(図23(c)参照)が選択される。
【0306】
即ち、「通常遊技状態」において、第1特別図柄又は第2特別図柄の動的表示で大当たりに当選しない場合(即ち、ハズレ)は、その時点での第1特別図柄又は第2特別図柄の保留球数に基づいて、停止パターンテーブル202dのAテーブル202d1又はBテーブル202d2を選択するように構成されている。一方、「通常遊技状態」において、第1特別図柄又は第2特別図柄の動的表示で大当たりに当選した場合は、その時点での保留球数に関係なく、停止パターンテーブル202dのCテーブル202d3が選択されるように構成されている。
【0307】
また、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において、第1特別図柄又は第2特別図柄の動的表示で大当たりに当選しない場合(即ち、ハズレ)は、その時点での第1特別図柄又は第2特別図柄の保留球数に基づいて、停止パターンテーブル202dのDテーブル202d4又はEテーブル202d5を選択するように構成されている。一方、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において、第1特別図柄又は第2特別図柄の動的表示で大当たりに当選した場合は、その時点での保留球数に関係なく、停止パターンテーブル202dのFテーブル202d6が選択されるように構成されている。
【0308】
なお、「通常遊技状態」、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において大当たりに当選した場合、保留球数応じて停止パターンテーブル202dが異なるように構成してもよい。例えば、大当たりに当選した場合に保留球数が多いとき、比較的短い変動パターンが選ばれ易い停止パターンテーブル202dを選択し得るように構成してもよい。
【0309】
この場合、例えば、「リーチ表示」が実行される各演出態様において、「高速変動」の変動要素の部分の時間のみが10秒間から5秒間のみに変更された演出態様を選択するように構成する。このように構成することで、例えば、第1特別図柄の最大保留球数が4回ある状態で変動演出を開始する場合に、「高速変動」の変動要素が5秒間で行われたとしても、該5秒間の「高速変動」の変動要素が終了した時点(5秒間の「高速変動」の変動要素と認識した時点)では、その変動演出において「リーチ表示」が発生することがある。そのため、5秒間の「高速変動」の変動要素が行われた場合であっても、「非リーチ(ショート)」演出態様以外の「リーチ表示」が実行される演出態様が実行されるように構成することで、5秒間の「高速変動」の変動要素の実行時点では該変動演出が大当たりとなるかハズレとなるか分からなくすることができる。
【0310】
次に、図22及び図23を参照して、各停止パターンテーブル202dについて説明する。図22(a)は、停止パターンテーブル202dのAテーブル202d1の一例を模式的に示した図であり、図22(b)は、停止パターンテーブル202dのBテーブル202d2の一例を模式的に示した図であり、図22(c)は、停止パターンテーブル202dのCテーブル202d3の一例を模式的に示した図である。また、図23(a)は、停止パターンテーブル202dのDテーブル202d4の一例を模式的に示した図であり、図23(b)は、停止パターンテーブル202dのEテーブル202d5の一例を模式的に示した図である。さらに、図23(c)は、停止パターンテーブル202dのFテーブル202d6の一例を模式的に示した図である。
【0311】
図22(a)で示すように、停止パターンテーブル202dのAテーブル202d1では、「非リーチ(ロング)」演出態様別に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「0」~「74」に設定され、「ノーマルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「75」~「94」に設定され、「スーパーリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「95」~「97」に設定され、「スペシャルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「98」,「99」に設定されている。
【0312】
なお、Aテーブル202d1では、「非リーチ(ミドル)」演出態様及び「非リーチ(ショート)」演出態様に対して停止パターン選択カウンタC3の値が割り振られておらず、いずれの「非リーチ(ミドル)」演出態様及び「非リーチ(ショート)」演出態様も選択されないように設定されている。
【0313】
次に、図22(b)で示すように、停止パターンテーブル202dのBテーブル202d2では、「非リーチ(ミドル)」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「0」~「74」に設定され、「ノーマルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「75」~「94」に設定され、「スーパーリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「95」~「97」に設定され、「スペシャルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「98,99」に設定されている。
【0314】
なお、Bテーブル202d2では、「非リーチ(ロング)」演出態様及び「非リーチ(ショート)」演出態様に対して停止パターン選択カウンタC3の値が割り振られておらず、いずれの「非リーチ(ロング)」演出態様及び「非リーチ(ショート)」演出態様も選択されないように設定されている。
【0315】
即ち、Aテーブル202d1では、「非リーチ(ロング)」演出態様が75%、「ノーマルリーチ」演出態様が20%、「スーパーリーチ」演出態様が3%、「スペシャルリーチ」演出態様が2%、の選択割合となるように設定されている。また、Bテーブル202d2では、「非リーチ(ミドル)」演出態様が75%、「ノーマルリーチ」演出態様が20%、「スーパーリーチ」演出態様が3%、「スペシャルリーチ」演出態様が2%、の選択割合となるように設定されている。
【0316】
つまり、Aテーブル202d1では、「非リーチ(ロング)」演出態様が選択され、Bテーブル202d2では、「非リーチ(ロング)」演出態様の代わりに「非リーチ(ミドル)」演出態様が選択されるように構成されている。一方、Aテーブル202d1及びBテーブル202d2では、各「リーチ表示」に関しては、同一の割合で選択されるように構成されている。
【0317】
従って、Aテーブル202d1及びBテーブル202d2は、「非リーチ」演出態様でのみロング演出態様かミドル演出態様かが異なるように選択されているため、Aテーブル202d1はBテーブル202d2と比べて選択される変動演出の変動時間が比較的長くなり易いと言える。換言すれば、Bテーブル202d2は、Aテーブル202d1と比べて選択される変動演出の変動時間が短くなり易いといえる。
【0318】
このように、左打ち遊技が奨励されている「通常遊技状態」において、ハズレの抽選結果が抽出された場合に、保留中の変動演出の保留球数に基づいて、変動演出の演出態様を選択するように構成する。例えば、変動演出の保留球数が多い場合には、変動演出時間が比較的短い「非リーチ(ミドル)」演出態様を選択する。これにより、変動演出の保留球数が多い場合に、実行される変動演出の実行時間を短くし、変動演出の実行回数を多くすることで、変動演出の実行効率を高めることができる。
【0319】
また、例えば、変動演出の保留球数が少ない場合には、第1始動口64又は第2始動口71への球の入球時間を確保するために、「非リーチ(ミドル)」演出態様より変動演出時間が長い「非リーチ(ロング)」演出態様を選択する。これにより、「非リーチ(ミドル)」演出態様が選択される場合より変動演出時間の長い「非リーチ(ロング)」演出態様を行うことができるので、第1始動口64への球の入球時間を確保し易くなり、第3図柄表示装置81における変動演出の実行時間中に新たな始動入賞が発生する可能性を高くすることで、変動演出が実行されている状況を維持することができる。
【0320】
なお、第1実施形態では、ハズレの変動演出における演出態様の選択において、変動演出の保留球数に基づいて選択される停止パターンテーブル202dが異なるように構成されているが、第1始動口64又は第2始動口71への球の入球時に基づく変動演出の決定と、該入球に基づく変動演出の開始時に基づく変動演出の決定とで、実質的に同一の演出態様が選択されるように構成されている。
【0321】
具体的には、例えば、ハズレの変動演出である場合は、変動演出の保留球数に基づいて、Aテーブル202d1又はBテーブル202d2のいずれか一方が選択されるように構成されているが、Aテーブル202d1とBテーブル202d2とでは、「非リーチ(ロング)」演出態様若しくは「非リーチ(ミドル)」演出態様、「ノーマルリーチ」演出態様、「スーパーリーチ」演出態様、又は、「スペシャルリーチ」演出態様に割り振られた停止パターン選択カウンタC3の値がそれぞれ同一に設定されている。
【0322】
即ち、変動演出の保留球数に基づいて、「非リーチ」演出態様における「非リーチ(ロング)」演出態様が選択されるか「非リーチ(ミドル)」演出態様が選択されるかが異なるのみであり、「高速変動」の変動要素の時間が異なるだけで、実質的同一の演出態様が選択される。よって、始動入賞時に選択される演出態様と、変動開始時に選択される演出態様とは、遊技状態が遷移(例えば、保留球数が増加)した場合であっても、実質的に同一(同種)の演出態様が選択される。その結果、始動入賞時に選択された演出態様に基づいて「保留変化予告」等の先読み予告を行った場合であっても、実行される変動演出の内容が実質的に同一(同種)となり、先読み予告の対象となった変動演出において、該先読み予告の内容に対して齟齬が発生しない演出を実行することができる。
【0323】
次に、図22(c)で示すように、停止パターンテーブル202dのCテーブル202d3では、「ノーマルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「0」~「4」に設定され、「スーパーリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「5」~「39」に設定され、「スペシャルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「40」~「99」に設定されている。
【0324】
なお、Cテーブル202d3は、大当たり時に選択される停止パターンテーブル202dであり、必ず「リーチ表示」が発生するので、「非リーチ」演出態様は選択されない。
【0325】
よって、大当たり当選時の変動演出において、「スペシャルリーチ」演出態様>「スーパーリーチ」演出態様>「ノーマルリーチ」演出態様の順で選択割合が高く、ハズレ時の変動演出において、「ノーマルリーチ」演出態様>「スーパーリーチ」演出態様>「スペシャルリーチ」演出態様の順で選択割合が高くなるように設定されている。従って、各「リーチ表示」の現出時における大当たり期待度は、「スペシャルリーチ」演出態様>「スーパーリーチ」演出態様>「ノーマルリーチ」演出態様の順に大当たりの表示結果が現出する可能性が高くなるように構成される。これにより、変動演出の演出態様の種類によって遊技者に大当たりへの期待度を示すことができ、遊技者が実行された変動演出の演出態様に応じて大当たりへの高揚感を味わうことができる。
【0326】
次に、図23(b)で示すように、停止パターンテーブル202dのDテーブル202d4では、「非リーチ(ミドル)」演出態様別に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「0」~「89」に設定され、「ノーマルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「90」~「99」に設定されている。
【0327】
なお、Dテーブル202d4では、「非リーチ(ロング)」演出態様、「非リーチ(ショート)」演出態様、「スーパーリーチ」演出態様、及び、「スペシャルリーチ」演出態様に対して停止パターン選択カウンタC3の値が割り振られておらず、いずれの「非リーチ(ロング)」演出態様、「非リーチ(ショート)」演出態様、「スーパーリーチ」演出態様、及び、「スペシャルリーチ」演出態様も選択されないように設定されている。
【0328】
次に、図23(b)で示すように、停止パターンテーブル202dのEテーブル202d5では、「非リーチ(ショート)」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「0」~「89」に設定され、「ノーマルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「90」~「99」に設定されている。
【0329】
なお、Eテーブル202d5では、「非リーチ(ロング)」演出態様、「非リーチ(ミドル)」演出態様、「スーパーリーチ」演出態様、及び、「スペシャルリーチ」演出態様に対して停止パターン選択カウンタC3の値が割り振られておらず、いずれの「非リーチ(ロング)」演出態様、「非リーチ(ミドル)」演出態様、「スーパーリーチ」演出態様、及び、「スペシャルリーチ」演出態様も選択されないように設定されている。
【0330】
即ち、Dテーブル202d4では、「非リーチ(ミドル)」演出態様が90%、「ノーマルリーチ」演出態様が10%、の選択割合となるように設定されている。また、Eテーブル202d5では、「非リーチ(ショート)」演出態様が90%、「ノーマルリーチ」演出態様が10%、の選択割合となるように設定されている。
【0331】
つまり、Dテーブル202d4では、「非リーチ(ミドル)」演出態様が選択され、Eテーブル202d5では、「非リーチ(ミドル)」演出態様の代わりに「非リーチ(ショート)」演出態様が選択されるように構成されている。一方、Dテーブル202d4及びEテーブル202d5では、「ノーマルリーチ」演出態様に関しては、同一の割合で選択されるように構成されている。
【0332】
従って、Dテーブル202d4及びEテーブル202d5は、「非リーチ」演出態様でのみミドル演出態様かショート演出態様かが異なるように選択されているため、Dテーブル202d4はEテーブル202d5と比べて選択される変動演出の変動時間が比較的長くなり易いと言える。換言すれば、Eテーブル202d5は、Dテーブル202d4と比べて選択される変動演出の変動時間が短くなり易いといえる。
【0333】
このように、右打ち遊技が奨励されている「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において、ハズレの抽選結果が抽出された場合に、保留中の変動演出の保留球数に基づいて、変動演出の演出態様を選択するように構成する。例えば、変動演出の保留球数が多い場合には、変動演出時間が比較的短い「非リーチ(ショート)」演出態様を選択する。これにより、変動演出の保留球数が多い場合に、実行される変動演出の実行時間を短くし、変動演出の実行回数を多くすることで、変動演出の実行効率を高めることができる。
【0334】
また、例えば、変動演出の保留球数が少ない場合には、第2始動口71(又は第1始動口64)への球の入球時間を確保するために、「非リーチ(ショート)」演出態様より変動演出時間が長い「非リーチ(ミドル)」演出態様を選択する。これにより、「非リーチ(ショート)」演出態様が選択される場合より変動演出時間の長い「非リーチ(ミドル)」演出態様を行うことができるので、第2始動口71(第1始動口64)への球の入球時間を確保し易くなり、第3図柄表示装置81における変動演出の実行時間中に新たな始動入賞が発生する可能性を高くすることで、変動演出が実行されている状況を維持することができる。
【0335】
なお、第1実施形態では、ハズレの変動演出における演出態様の選択において、変動演出の保留球数に基づいて選択される停止パターンテーブル202dが異なるように構成されているが、第1始動口64又は第2始動口71への球の入球時に基づく変動演出の決定と、該入球に基づく変動演出の開始時に基づく変動演出の決定とで、実質的に同一の演出態様が選択されるように構成されている。
【0336】
具体的には、例えば、ハズレの変動演出である場合は、変動演出の保留球数に基づいて、Dテーブル202d4又はEテーブル202d5のいずれか一方が選択されるように構成されているが、Dテーブル202d4とEテーブル202d5とでは、「非リーチ(ミドル)」演出態様若しくは「非リーチ(ショート)」演出態様、又は、「ノーマルリーチ」演出態様に割り振られた停止パターン選択カウンタC3の値がそれぞれ同一に設定されている。
【0337】
即ち、変動演出の保留球数に基づいて、「非リーチ」演出態様における「非リーチ(ミドル)」演出態様が選択されるか「非リーチ(ショート)」演出態様が選択されるかが異なるのみであり、「高速変動」の変動要素の時間が異なるだけで、実質的同一の演出態様が選択される。よって、始動入賞時に選択される演出態様と、変動開始時に選択される演出態様とは、遊技状態が遷移(例えば、保留球数が増加)した場合であっても、実質的に同一(同種)の演出態様が選択される。その結果、始動入賞時に選択された演出態様に基づいて「保留変化予告」等の先読み予告を行った場合であっても、実行される変動演出の内容が実質的に同一(同種)となり、先読み予告の対象となった変動演出において、該先読み予告の内容に対して齟齬が発生しない演出を実行することができる。
【0338】
次に、図23(c)で示すように、停止パターンテーブル202dのFテーブル202d6では、「ノーマルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「0」~「19」に設定され、「スーパーリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「20」~「49」に設定され、「スペシャルリーチ」演出態様に対応した停止パターン選択カウンタC3の範囲が「50」~「99」に設定されている。
【0339】
なお、Fテーブル202d6は、大当たり時に選択される停止パターンテーブル202dであり、必ず「リーチ表示」が発生するので、「非リーチ」演出態様は選択されない。
【0340】
よって、Cテーブル202d3及びFテーブル202d6で示すように、大当たり当選時の変動演出において、「スペシャルリーチ」演出態様>「スーパーリーチ」演出態様>「ノーマルリーチ」演出態様の順で選択割合が高く、Aテーブル202d1、Bテーブル202d2、Dテーブル202d4及びEテーブル202d5で示すように、ハズレ時の変動演出において、「ノーマルリーチ」演出態様>「スーパーリーチ」演出態様>「スペシャルリーチ」演出態様の順で選択割合が高くなるように設定されている。従って、各「リーチ表示」の現出時における大当たり期待度は、「スペシャルリーチ」演出態様>「スーパーリーチ」演出態様>「ノーマルリーチ」演出態様の順に大当たりの表示結果が現出する可能性が高くなるように構成される。これにより、変動演出の演出態様によって遊技者に大当たりへの期待度を示すことができ、遊技者が実行された変動演出の演出態様に応じて大当たりへの高揚感を味わうことができる。
【0341】
以上より、変動演出の当否と、その時点における遊技状態と、その時点における変動演出の保留球数とに基づいて、実行する変動演出の演出態様を決定することにより、遊技が行われている状況に基づいて変動演出の実行時間を短くし、変動演出の実行回数を多くすることで、変動演出の実行効率を高める演出態様を選択することができる。
【0342】
なお、変動演出の保留球数が多い場合(例えば、「4」個)に、「リーチ表示」が選択されたとき、各「リーチ表示」の「高速変動」の演出要素が短縮された停止パターンテーブル202dを設けてもよい。また、第1特別図柄と第2特別図柄の合計保留数に基づいて演出態様を選択するように構成してもよい。さらに、変動演出の保留球数が多い場合に、各演出態様において「低速変動」の演出要素を省略した停止パターンテーブル202dを設けてもよい。さらに、変動演出の保留球数に応じて、各演出態様の選択率が全く異なる停止パターンテーブル202dを設けてもよい。ただし、変動演出の保留球数に応じて各演出態様の選択率が異なるような場合は、「保留変化予告」等の先読み予告を行う上で、先読み予告実行決定時における保留球数と、該先読み予告の対象となった変動演出の実行時における保留球数とが異なる場合がある。このような場合、先読み予告の内容と変動演出の内容との整合性を保つ処理が必要となるため、処理が煩雑となる。
【0343】
図17に戻って、説明を続ける。変動種別カウンタCS1は、例えば「0~9」の範囲内で順に「1」ずつ加算され、最大値(つまり「9」)に達した後「0」に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1の値は、後述するタイマ割込処理(図30参照)が1回実行される毎に1回更新され、メイン処理(図29参照)内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、球が第1始動口64に入賞したタイミングで、その時点での大当たり種別カウンタC2の値が、第1始動口64に対応して設けられたRAM203の第1保留球格納エリア203dに設けられた第1保留第1~第4エリアのうち大当たり乱数カウンタC1が格納される第1保留エリアの変動種別カウンタ格納エリア203d4に格納される。また、球が第2始動口71に入賞したタイミングで、その時点での大当たり種別カウンタC2の値が、第2始動口71に対応して設けられたRAM203の第2保留球格納エリア203eに設けられた第2保留第1~第4エリアのうち大当たり乱数カウンタC1が格納される第2保留エリアの変動種別カウンタ格納エリア203e4に格納される。
【0344】
この変動種別カウンタCS1は、変動演出の詳細な変動時間(大まかな変動パターン)の決定に用いられる。即ち、主制御装置110のMPU201は、停止パターンテーブル202d及び停止パターン選択カウンタC3によって選択された演出態様において、変動種別カウンタCS1の値と、ROM202に格納された変動パターンテーブル202eとによって、詳細な変動時間を決定する。音声ランプ制御装置113および表示制御装置114は、変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様を決定し、また予告演出実行の有無や予告演出の実行態様を決定する。
【0345】
このように、主制御装置110のMPU201は、変動演出の大まかな変動パターンを選択して変動時間のみを決定する。このように構成することで、主制御装置110のMPU201において、変動演出を実行するために必要な詳細な予告抽選等の制御を行う必要がなくなるので、変動演出に関するMPU201の処理を軽減することができる。また、主制御装置110において変動演出の全変動パターンのコマンドを用意する必要がなくなり、主制御装置110のROM容量を削減することができる。
【0346】
また、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114において、主制御装置110で決定された変動時間(大まかな変動パターン)に基づいて、変動演出における詳細な変動パターンを決定することで、変動演出を選択する自由度を高めるができる。さらに、遊技状態が刻々と変化するパチンコ機10において、該変化に対応して随時、変動演出の演出内容の選択又は変更することが可能となり、遊技状態に応じて適切な演出を実行することができる。
【0347】
ここで、図24を参照して、変動パターンテーブル202eの詳細について説明する。本パチンコ機10は、変動パターンテーブル202eとして、第1特別図柄又は第2特別図柄のハズレ時に用いられるハズレ用変動パターンテーブル202e1と、第1特別図柄又は第2特別図柄の大当たり時に用いられる大当たり用変動パターンテーブル202e2と、が用意されている。
【0348】
図24(a)は、ROM202に記憶されるハズレ用変動パターンテーブル202e1の一例を模式的に示した図であり、図24(b)は、ROM202に記憶される大当たり用変動パターンテーブル202e2の一例を模式的に示した図である。図24に示すように、各変動パターンテーブル202e1,202e2は、選択された演出態様に基づいてグループ分けされている。
【0349】
具体的には、ハズレ時の演出態様として、「非リーチ(ロング)」演出態様が決定された場合に参照される「E0:非リーチ・ロング」用と、「非リーチ(ミドル)」演出態様が決定された場合に参照される「E1:非リーチ・ミドル」用と、「非リーチ(ショート)」演出態様が決定された場合に参照される「E2:非リーチ・ショート」用と、「ノーマルリーチ」演出態様が決定された場合に参照される「E4:ノーマルリーチ」用と、「スーパーリーチ」演出態様が決定された場合に参照される「E5:スーパーリーチ」用と、「スペシャルリーチ」演出態様が決定された場合に参照される「E6:スペシャルリーチ」用と、に区分けされている。
【0350】
また、大当たり時の演出態様として、「ノーマルリーチ」演出態様が決定された場合に参照される「E4:ノーマルリーチ」用と、「スーパーリーチ」演出態様が決定された場合に参照される「E5:スーパーリーチ」用と、「スペシャルリーチ」演出態様が決定された場合に参照される「E6:スペシャルリーチ」用と、に区分けされている。
【0351】
そして、その区分けされたグループに対してそれぞれ変動種別カウンタCS1の値が対応付けされている。
【0352】
第1実施形態では、第1特別図柄に対応する第1保留球格納エリア203dのある保留エリアに格納された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりとなる値(大当たり乱数値)ではない場合、即ち、ハズレとなる値であった場合に、保留数テーブル202cを参照して、その時点での遊技状態と、その時点での保留球数と、に基づいて停止パターンテーブル202dを選択し、同じ保留エリアに格納された停止パターン選択カウンタC3の値と上記停止パターンテーブル202dとに基づいて演出態様を選択する。そして、選択された演出態様に基づいて特図1ハズレ用変動パターンテーブル202e1の中で参照するグループ(群)を決定する。その特図1ハズレ用変動パターンテーブル202e1のグループ(群)において、同保留エリアに格納された変動種別カウンタCS1の値に対応付けられた変動パターン(変動時間)が、その保留エリアに保留された変動演出における変動パターンとして決定される。
【0353】
第1特別図柄又は第2特別図柄のハズレ時に参照されるハズレ用変動パターンテーブル202e1において、「E0:非リーチ・ロング」には、全体の変動時間が「15秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素』の1つの変動パターン(変動時間。以下、「変動パターン」を「変動時間」と置き換えることは当然に可能である。)が用意されている。
【0354】
図24(a)で示す例では、「E0:非リーチ・ロング」における変動パターンと変動種別カウンタCS1の値との対応付けが、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素』に対して「0~9」となっており、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素』のみを選択可能に設定されている。
【0355】
即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行時に参照されるハズレ用変動パターンテーブル202e1において「非リーチ(ロング)」演出態様が選択された場合、変動種別カウンタCS1がとり得るすべての値(「0~9」)に対して『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素』が対応付けられている。つまり、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出における「非リーチ(ロング)」演出態様の場合は、変動パターンとして必ず『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素』が選択される。
【0356】
ここで、変動パターンを構成する各変動要素について説明する。変動要素とは、1の変動演出の一部分を構成するものであり、各変動要素を組み合わせて1の変動演出が構成される。第1実施形態のパチンコ機10では、変動要素として、「高速変動」の変動要素、「低速変動」の変動要素、「ノーマルリーチ」の変動要素、「スーパーリーチ」の変動要素、「スペシャルリーチ」の変動要素、「再変動」の変動要素、が設けられている。
【0357】
「高速変動」の変動要素とは、遊技者によって第3図柄の内容を明確に認識できないように高速にスクロール変動する変動要素である。この「高速変動」の変動要素は、「非リーチ(ロング)」演出態様等が選択された場合は、変動演出の冒頭に「10秒」行われ(以下、「高速変動(長)」と称する場合がある)、「非リーチ(ミドル)」演出態様等が選択された場合は、変動演出の冒頭に「5秒」行われ(以下、「高速変動(中)」と称する場合がある)、「非リーチ(ショート)」演出態様等が選択された場合は、変動演出の冒頭に「3秒」行われる(以下、「高速変動(短)」と称する場合がある)。なお、この「高速変動」の変動要素が終了した場合、後述する「低速変動」の変動要素が開始(実行)されるか、或いは、そのまま変動演出が終了するように構成されている。
【0358】
「低速変動」の変動要素とは、「10秒」の「高速変動」の変動要素の実行後に開始され、第3図柄を視認可能にスクロール変動して「リーチ表示」を発生するか否かを見せる変動要素である。この「低速変動」の変動要素は、「非リーチ(ミドル)」演出態様及び「非リーチ(ショート)」演出態様が選択された場合は実行されず、「非リーチ(ロング)」演出態様、「ノーマルリーチ」演出態様、「スーパーリーチ」演出態様、又は、「スペシャルリーチ」演出態様が選択された場合は、「高速変動」の変動要素の後に「5秒」行われる。
【0359】
即ち、「非リーチ(ミドル)」演出態様又は「非リーチ(ショート)」演出態様では、「高速変動」の変動要素が行われた後、第3図柄表示装置81の各図柄列が「低速変動」の変動要素を経由せずに急速に停止(所謂、ビタ止まり)するように構成されている。なお、この「低速変動」の変動要素が終了した場合は、そのまま変動演出が終了する場合がある。
【0360】
従って、第1実施形態のパチンコ機10では、「非リーチ(ロング)」演出態様は、「10秒」の「高速変動」の変動要素と「5秒」の「低速変動」の変動要素とを含む変動パターンで変動演出が構成される。また、「非リーチ(ミドル)」演出態様は、「5秒」の「高速変動」の変動要素のみの変動パターンで変動演出が構成される。さらに、「非リーチ(ショート)」演出態様は、「3秒」の「高速変動」の変動要素のみの変動パターンで変動演出が構成される。
【0361】
「ノーマルリーチ」の変動要素は、「低速変動」の変動要素において先に停止する2の図柄列に同一の図柄(以下、「リーチ形成図柄」と称する場合がある)が停止表示した場合に、残りの図柄列の変動結果によって大当たりが発生するか否かを見せる変動要素である。この「ノーマルリーチ」の変動要素は、「ノーマルリーチ」演出態様等が選択された場合は、「低速変動」の変動要素の後に「5秒」行われる。
【0362】
第1実施形態のパチンコ機10では、「ノーマルリーチ」の変動要素の実行後は、直接「ハズレ表示」を現出するパターンと、直接「大当たり表示」を現出するパターンと、「スーパーリーチ」の変動要素に発展するパターンと、「スペシャルリーチ」の変動要素に発展するパターンと、一旦、仮の「ハズレ表示」を現出させた後に「再変動」の変動要素を実行するパターンと、が用意されている。
【0363】
「スーパーリーチ」の変動要素は、「ノーマルリーチ」の変動要素において「ハズレ表示」が停止せずに残りの図柄列の変動が継続された場合に発展して実行され、第3図柄表示装置81において所定演出(例えば、「バトル演出」)を行って大当たりが発生するか否かを見せる変動要素である。この「スーパーリーチ」の変動要素は、「ノーマルリーチ」の変動要素の実行後に「40秒」行われる。
【0364】
第1実施形態のパチンコ機10では、「スーパーリーチ」の変動要素の実行後は、直接「ハズレ表示」を現出するパターンと、直接「大当たり表示」を現出するパターンと、一旦、仮の「ハズレ表示」を現出させた後に「再変動」の変動要素を実行するパターンと、が用意されている。
【0365】
「スペシャルリーチ」の変動要素は、「ノーマルリーチ」の変動要素において「ハズレ表示」が停止せずに残りの図柄列の変動が継続された場合に発展して実行され、第3図柄表示装置81において上記所定演出と異なる特殊演出(例えば、「競争演出」)を行って大当たりが発生するか否かを見せる変動要素である。この「スペシャルリーチ」の変動要素は、「ノーマルリーチ」の変動要素の実行後に「160秒」行われる。
【0366】
第1実施形態のパチンコ機10では、「スペシャルリーチ」の変動要素の実行後は、直接「ハズレ表示」を現出するパターンと、直接「大当たり表示」を現出するパターンと、一旦、仮の「ハズレ表示」を現出させた後に「再変動」するパターンと、が用意されている。
【0367】
なお、「ノーマルリーチ」の変動要素の実行後に「スーパーリーチ」の変動要素又は「スペシャルリーチ」の変動要素に発展するように構成されているが、この構成に代えて、「低速変動」後にリーチ形成図柄が停止した場合に、「ノーマルリーチ」の変動要素を経由せず、直接「スーパーリーチ」の変動要素や「スペシャルリーチ」の変動要素に発展するように構成してもよい。また、「スーパーリーチ」の変動要素の実行後に「スペシャルリーチ」の変動要素が行われるように構成してもよい。
【0368】
「再変動」の変動要素は、いずれかの「リーチ表示」において一旦「ハズレ表示」が現出した後に発展して実行され、「大当たり表示」を現出する変動要素である。この「再変動」の変動要素は、いずれかの「リーチ表示」後に「10秒」行われる。
【0369】
第1実施形態のパチンコ機10では、「再変動」の変動要素の実行後は、「大当たり表示」が現出するパターンが用意されている。
【0370】
また、この「再変動」の変動要素は、大当たり遊技に当選した場合にのみ発生するように構成されている。即ち、「ハズレ表示」の場合には、「再変動」の変動要素は実行されないように構成されている。これは、「再変動」の変動要素は、仮に停止表示された「ハズレ表示」をいずれかの「大当たり表示」に変更する変動要素であるため、大当たりに当選していない「ハズレ表示」の場合に行ってしまうと、演出上の齟齬が発生してしまう。よって、この「再変動」の変動要素は、大当たり用変動パターンテーブル202e2(図24(b)参照)でのみ選定され、ハズレ用変動パターンテーブル202e1(図24(a)参照)では選定されないように構成されている。
【0371】
また、上記変動要素以外に、所謂「疑似連」の変動要素を実行するように構成してもよい。この「疑似連」の変動要素としては、1回の変動演出の中で変動演出の開始が複数回(疑似停止が1回)発生する変動要素である。具体的には、第3図柄表示装置81の各図柄列Z1~Z3にて「高速変動」の変動要素が開始されて「低速変動」の変動要素に切り替わり、その後に全図柄列Z1~Z3における変動演出が終了されて所定の停止結果(例えば、疑似連チャンス目「677」)が表示されるという単位の演出が行われる変動要素である。この「疑似連」の変動要素は、「低速変動」の変動要素後に、上記所定の停止結果が停止することで、その停止結果から再び「高速変動」の変動要素が始まって、あたかももう1回変動演出が開始されたかのような演出が実行される。この場合、該「疑似連」の変動要素は、遊技者の保持球データを使用することなく、また、保留されている保留球数も使用することなく遊技が追加的に実行される。
【0372】
次いで、ハズレ用変動パターンテーブル202e1において、「E1:非リーチ・ミドル」には、全体の変動時間が「5秒」の『「高速変動(中)」の変動要素のみ』の1つの変動パターンが用意されている。
【0373】
図24(a)で示す例では、「E1:非リーチ・ミドル」における変動パターンと変動種別カウンタCS1の値との対応付けが、『「高速変動(中)」の変動要素のみ』に対して「0~9」となっており、『「高速変動(中)」の変動要素のみ』だけを選択可能に設定されている。
【0374】
即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行時に参照されるハズレ用変動パターンテーブル202e1において「非リーチ(ミドル)」演出態様が選択された場合、変動種別カウンタCS1がとり得るすべての値(「0~9」)に対して『「高速変動(中)」の変動要素のみ』が対応付けられている。つまり、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出における「非リーチ(ミドル)」演出態様の場合は、変動パターンとして必ず『「高速変動(中)」の変動要素のみ』が選択される。
【0375】
次いで、ハズレ用変動パターンテーブル202e1において、「E2:非リーチ・ショート」には、全体の変動時間が「3秒」の『「高速変動(短)」の変動要素のみ』の1つの変動パターンが用意されている。
【0376】
図24(a)で示す例では、「E2:非リーチ・ショート」における変動パターンと変動種別カウンタCS1の値との対応付けが、『「高速変動(短)」の変動要素のみ』に対して「0~9」となっており、『「高速変動(短)」の変動要素のみ』だけを選択可能に設定されている。
【0377】
即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行時に参照されるハズレ用変動パターンテーブル202e1において「非リーチ(ショート)」演出態様が選択された場合、変動種別カウンタCS1がとり得るすべての値(「0~9」)に対して『「高速変動(短)」の変動要素のみ』が対応付けられている。つまり、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出における「非リーチ(ショート)」演出態様の場合は、変動パターンとして必ず『「高速変動(短)」の変動要素のみ』が選択される。
【0378】
次いで、ハズレ用変動パターンテーブル202e1において、「E4:ノーマルリーチ」には、全体の変動時間が「20秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素』の1つの変動パターンが用意されている。
【0379】
図24(a)の示す例では、「E4:ノーマルリーチ」における変動パターンと変動種別カウンタCS1の値との対応付けが、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素』に対して「0~9」となっており、該『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素』だけを選択可能に設定されている。
【0380】
即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行時に参照されるハズレ用変動パターンテーブル202e1において「ノーマルリーチ」演出態様が選択された場合、変動種別カウンタCS1がとり得るすべての値(「0~9」)に対して『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素』が対応付けられている。つまり、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出における「ノーマルリーチ」演出態様の場合は、変動パターンとして必ず『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素』が選択される。
【0381】
次いで、ハズレ用変動パターンテーブル202e1において、「E5:スーパーリーチ」には、全体の変動時間が「60秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素』の1つの変動パターンが用意されている。
【0382】
図24(a)の示す例では、「E5:スーパーリーチ」における変動パターンと変動種別カウンタCS1の値との対応付けが、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素』に対して「0~9」となっており、該『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素』だけを選択可能に設定されている。
【0383】
即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行時に参照されるハズレ用変動パターンテーブル202e1において「スーパーリーチ」演出態様が選択された場合、変動種別カウンタCS1がとり得るすべての値(「0~9」)に対して『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素』が対応付けられている。つまり、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出における「スーパーリーチ」演出態様の場合は、変動パターンとして必ず『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素』が選択される。
【0384】
次いで、ハズレ用変動パターンテーブル202e1において、「E6:スペシャルリーチ」には、全体の変動時間が「180秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素』の1つの変動パターンが用意されている。
【0385】
図24(a)の示す例では、「E6:スペシャルリーチ」における変動パターンと変動種別カウンタCS1の値との対応付けが、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素』に対して「0~9」となっており、該『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素』だけを選択可能に設定されている。
【0386】
即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行時に参照されるハズレ用変動パターンテーブル202e1において「スペシャルリーチ」演出態様が選択された場合、変動種別カウンタCS1がとり得るすべての値(「0~9」)に対して『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素』が対応付けられている。つまり、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出における「スペシャルリーチ」演出態様の場合は、変動パターンとして必ず『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素』が選択される。
【0387】
なお、第1特別図柄又は第2特別図柄のハズレ時の変動パターンは、演出態様がそのまま変動パターンとして決定されるため、変動種別カウンタCS1を使用せずに変動パターンを決定するように構成してもよい。また、変動種別カウンタCS1のみを使用して選択するものとしたが、複数の変動種別カウンタを併用して選択(予告表示の有無等を選択)しても良い。
【0388】
次に、図24(b)を参照して、第1特別図柄又は第2特別図柄の大当たり時に参照される大当たり用変動パターンテーブル202e2について説明する。第1実施形態では、第1特別図柄に対応する第1保留球格納エリア203d又は第2特別図柄に対応する第2保留球格納エリア203eのある保留エリアに格納された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりとなる値である場合に、その時点での遊技状態に基づいて停止パターンテーブル202dを選択し、同じ保留エリアに格納された停止パターン選択カウンタC3の値と上記停止パターンテーブル202dとに基づいて演出態様を選択する。そして、選択された演出態様に基づいて大当たり用変動パターンテーブル202e2の中で参照するグループ(群)を決定する。その大当たり用変動パターンテーブル202e2のグループ(群)において、同保留エリアに格納された変動種別カウンタCS1の値に対応付けられた変動パターン(変動時間)が、その保留エリアに保留された変動演出における変動パターンとして決定される。
【0389】
大当たり用変動パターンテーブル202e2において、「E4:ノーマルリーチ」には、全体の変動時間が「20秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素』と、全体の変動時間が「30秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』との2つの変動パターンが選択可能に用意され、各変動パターンに対して変動種別カウンタCS1の値が対応付けられている。
【0390】
図24(b)の示す例では、「E4:ノーマルリーチ」における変動パターンと変動種別カウンタCS1の値との対応付けが、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素』に対して「0~2」、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』に対して「3~9」、となっている。
【0391】
即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行時に参照される大当たり用変動パターンテーブル202e2において「ノーマルリーチ」演出態様が選択された場合、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素』の変動パターンが30%、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』の変動パターンが70%、の割合で選択されるように設定されている。
【0392】
従って、特図1又は特図2の大当たり時に選択される「ノーマルリーチ」演出態様では、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』の変動パターンが選択され易く(全体の70%)なっている。また、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素』の変動パターンも選択されるように構成されることで、いずれの変動パターンからでも大当たりを期待できる遊技性を提供できる。
【0393】
次いで、大当たり用変動パターンテーブル202e2において、「E5:スーパーリーチ」には、全体の変動時間が「60秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素』と、全体の変動時間が「70秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』との2つの変動パターンが選択可能に用意され、各変動パターンに対して変動種別カウンタCS1の値が対応付けられている。
【0394】
図24(b)の示す例では、「E5:スーパーリーチ」における変動パターンと変動種別カウンタCS1の値との対応付けが、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素』に対して「0~3」、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』に対して「4~9」、となっている。
【0395】
即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行時に参照される大当たり用変動パターンテーブル202e2において「スーパーリーチ」演出態様が選択された場合、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素』の変動パターンが40%、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』の変動パターンが60%、の割合で選択されるように設定されている。
【0396】
従って、特図1又は特図2の大当たり時に選択される「スーパーリーチ」演出態様では、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』の変動パターンが選択され易く(全体の60%)なっている。また、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素』の変動パターンも選択されるように構成されることで、いずれの変動パターンからでも大当たりを期待できる遊技性を提供できる。
【0397】
次いで、大当たり用変動パターンテーブル202e2において、「E6:スペシャルリーチ」には、全体の変動時間が「180秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素』と、全体の変動時間が「190秒」の『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』との2つの変動パターンが選択可能に用意され、各変動パターンに対して変動種別カウンタCS1の値が対応付けられている。
【0398】
図24(b)の示す例では、「E6:スペシャルリーチ」における変動パターンと変動種別カウンタCS1の値との対応付けが、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素』に対して「0~4」、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』に対して「5~9」、となっている。
【0399】
即ち、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行時に参照される大当たり用変動パターンテーブル202e2において「スペシャルリーチ」演出態様が選択された場合、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素』の変動パターンが50%、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』の変動パターンが50%、の割合で選択されるように設定されている。
【0400】
従って、第1特別図柄又は第2特別図柄の大当たり時に選択される「スペシャルリーチ」演出態様では、『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スペシャルリーチ」の変動要素』の変動パターンと『「高速変動(長)」の変動要素+「低速変動」の変動要素+「ノーマルリーチ」の変動要素+「スーパーリーチ」の変動要素+「再変動」の変動要素』の変動パターンとが均等に選択されるように(50%ずつ)なっている。その結果、いずれの変動パターンでも同等に大当たりを期待できる遊技性を提供できる。
【0401】
このように構成することで、大当たりに当選している場合には、比較的長い変動パターンが選択され易いように構成することで、大当たりが発生する変動演出の演出内容を充実させることで遊技の興趣を向上することができる。また、大当たりに当選していない場合、即ち、ハズレの場合には、「非リーチ」演出態様等の比較的短い変動パターンが選択され易いように構成することで、ハズレ時の変動演出の演出内容を短くして、変動演出を効率よく消化することができる。
【0402】
図17に戻って、説明を続ける。普図当たりカウンタC4は、例えば「0~99」の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり「99」)に達した後「0」に戻るループカウンタとして構成されている。また、普図当たりカウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該普図当たりカウンタC4の初期値として読み込まれる。
【0403】
なお、第2初期値乱数カウンタCINI2は、普図当たりカウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=「0~99」)、タイマ割込処理(図30参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図29参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
【0404】
普図当たりカウンタC4の値は、例えば定期的(第1実施形態では、タイマ割込処理(図30参照)毎に1回)更新され、球がスルーゲート67を通過したことが検知されたタイミングで、RAM203の普図保留球格納エリア203iに設けられた普図保留第1~第4エリアのいずれかの普図保留エリアに格納される。そして、普図保留球格納エリア203iに格納された順に順次普図保留球実行エリア203jにデータをシフトし、該普図保留球実行エリア203jに格納されている普図当たりカウンタC4の値に対して当たり判定を行う。
【0405】
普通図柄の当たりとなる乱数の値は、遊技状態毎に主制御装置110のROM202に格納される普図当たり乱数テーブル202gによって設定(例えば、低確率状態で0/100、高確率状態で99/100等)されており、RAM203の普図保留球実行エリア203jに格納されている普図当たりカウンタC4の値が、普図当たり乱数テーブル202gによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、当たりと判定される。そして、遊技状態に応じて普図変動テーブル202hが参照されて、普通図柄の可変表示時間が設定(例えば、入賞補助機能非作動時において、「通常遊技状態」は10秒、入賞補助機能作動時である「確率変動状態」又は「時間短縮状態」では5秒等)され、普通図柄表示装置83において該可変表示時間の経過後、停止図柄(普通図柄)として「○」の図柄が点灯表示される。その後、遊技状態に応じて普通電役開放テーブル202iが参照されて、普通電役72の開放時間が設定(例えば、入賞補助機能非作動時において、「通常遊技状態」では当たりに当選しないことで開放し得ず、入賞補助機能作動時である「確率変動状態」又は「時間短縮状態」では「1秒」×2回等)され、該開放時間の間、普通電役72の出没板72aが開放作動し、その間、第2始動口71へ球が入賞可能に構成される。
【0406】
一方、普図保留エリアに格納されている普図当たりカウンタC4の値が、普図当たり乱数テーブル202gによって設定された当たりとなる乱数の値と一致しない場合には、ハズレと判定される。そして、遊技状態に応じて普図変動テーブル202hが参照されて可変表示時間が設定され、普通図柄表示装置83において該可変表示時間の経過後、停止図柄(普通図柄)として「×」の図柄が点灯表示される。なお、普図当たり乱数テーブル202g、普図変動テーブル202h及び普通電役開放テーブル202iについては、図26において後述する。
【0407】
図7に戻り、説明を続ける。RAM203は、図17に図示したカウンタ用バッファ203cのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、インプット/アウトプット(Input/Output。以下、「I/O」と略す。)等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
【0408】
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図29参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図27参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図43参照)が即座に実行される。
【0409】
RAM203は、さらに、第1保留球数カウンタ203a、第2保留球数カウンタ203b、第1保留球格納エリア203d、第2保留球格納エリア203e、保留球実行エリア203f、普図保留球数カウンタ203g、普図保留球格納エリア203i、普図保留球実行エリア203j、を少なくとも有している。
【0410】
第1保留球数カウンタ203aは、4ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(図30参照)の中で検出される第1始動口64への入球に基づいて、特別図柄表示装置37で行われる第1特別図柄の動的表示(第3図柄表示装置81で行われる第1特別図柄に対応する第3図柄の変動演出)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
【0411】
この第1保留球数カウンタ203aは、電源投入後のRAM203の初期設定処理(図27のS117参照)によって、初期値として「0」が設定される。そして、第1始動口64への始動入賞が検出されて第1特別図柄に関する動的表示(変動演出)の保留球数が増加する毎に、最大値「4」まで1加算される(図31のS303参照)。一方、第1保留球数カウンタ203aは、第1特別図柄の動的表示(変動演出)が実行される毎に1減算される(図33のS508参照)。
【0412】
第2保留球数カウンタ203bは、第1保留球数カウンタ203aと同様、4ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(図30参照)の中で検出される第2始動口71への始動入賞に基づいて、特別図柄表示装置37で行われる第2特別図柄の動的表示(第3図柄表示装置81で行われる第2特別図柄に対応する第3図柄の変動演出)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。
【0413】
この第2保留球数カウンタ203bは、第1保留球数カウンタ203aと同様、電源投入後のRAM203の初期設定処理(図27のS117参照)によって、初期値として「0」が設定される。そして、第2始動口71への始動入賞が検出されて第2特別図柄に関する動的表示(変動演出)の保留球数が増加する毎に、最大値「4」まで1加算される(図31のS307参照)。一方、第2保留球数カウンタ203bは、第2特別図柄の動的表示(変動演出)が実行される毎に1減算される(図33のS505参照)。
【0414】
この第1保留球数カウンタ203aの値(即ち、第1特別図柄の保留球数)又は第2保留球数カウンタ203bの値(即ち、第2特別図柄の保留球数)は、第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図31のS310参照)。第1保留球数コマンドは、第1始動口64への始動入賞が検出されて第1保留球数カウンタ203aが1加算される毎に、第2保留球数コマンドは、第2始動口71への第2保留球数カウンタ203bが1加算される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
【0415】
音声ランプ制御装置113は、第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された第1特別図柄又は第2特別図柄の動的表示(変動演出)の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113において、主制御装置110へアクセスすることなく各特別図柄の動的表示(変動演出)の保留回数を管理することができる。また、第1始動口64又は第2始動口71への始動入賞が検出される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドを送信することにより、音声ランプ制御装置113において管理される各特別図柄の動的表示(変動演出)の保留球数が、ノイズ等の影響によって主制御装置110に保留された実際の動的表示(変動演出)の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
【0416】
また、第1実施形態では、主制御装置110が音声ランプ制御装置113に対して第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドを送信する場合、その第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドにおいて、1加算された第1保留球数カウンタ203a又は第2保留球数カウンタ203bの値だけでなく、その第1保留球数カウンタ203a又は第2保留球数カウンタ203bの加算の契機となった上記始動入賞に伴い、カウンタ用バッファ203c(図17参照)より取得される大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3、変動種別カウンタCS1の各値も含める。
【0417】
つまり、始動入賞があった場合に、主制御装置110にてカウンタ用バッファ203cより取得した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3、変動種別カウンタCS1の各値が、第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に伝えられる。
【0418】
音声ランプ制御装置113では、第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドにより伝えられた大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3、変動種別カウンタCS1の各値を、その各値に基づく変動演出が実行される前に先読みし、当該変動演出がどうなるか(大当たりとなるか否か、変動時間はどうなるか等)をその変動演出の実行前に判断する。そして、その先読みによる判断結果に基づき、各種の演出の実行を決定したり、「保留変化予告」の演出内容及び実行時期(タイミング)を決定できるようになっている。
【0419】
なお、変動演出の保留球数を示す第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドと、大当たり乱数カウンタC1等の値を示すコマンドとを別々に送信するように構成してもよい。第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドとは別の大当たり乱数カウンタC1等の値を示すコマンドとしては、第1始動口64又は第2始動口71への球の入球タイミングで第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドを生成すると共に、該入球に基づく変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドに類するコマンド(事前変動パターンコマンド及び事前停止種別コマンド)を生成し、音声ランプ制御装置113へ送信するように構成してもよい。この場合に、事前変動パターンコマンド及び事前停止種別コマンドの生成のプログラムに関し、変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドのプログラムを流用することで、プログラムの作成を容易にすることができる。
【0420】
第1保留球格納エリア203dは、上述したように、第1始動口64への始動入賞の検出に伴ってカウンタ用バッファ203cより取得した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3、変動種別カウンタCS1の各値をそれぞれ記憶するためのメモリである。MPU201は、タイマ割込処理(図30参照)の中で、球が第1始動口64へ入賞(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファ203cから各カウンタC1~C3,CS1の値を取得し、第1保留球格納エリア203dに格納する。第1保留球格納エリア203dは、第1特別図柄の一の始動入賞に対応するデータ(カウンタC1~C3,CS1の各値)が、最大4回分まで記憶(保留)できるように、4つの保留エリア(第1保留第1~第4エリア)を有している(図17参照)。
【0421】
第2保留球格納エリア203eは、上述したように、第2始動口71への始動入賞の検出に伴ってカウンタ用バッファ203cより取得した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3、変動種別カウンタCS1の各値をそれぞれ記憶するためのメモリである。MPU201は、タイマ割込処理(図30参照)の中で、球が第2始動口71へ入賞(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファ203cから各カウンタC1~C3,CS1の値を取得し、第2保留球格納エリア203eに格納する。第2保留球格納エリア203eは、第2特別図柄の一の始動入賞に対応するデータ(カウンタC1~C3,CS1の各値)が、最大4回分まで記憶(保留)できるように、4つの保留エリア(第2保留第1~第4エリア)を有している(図17参照)。
【0422】
保留球実行エリア203fは、上述したように、実行を開始する、或いは、実行中の第1特別図柄又は第2特別図柄の大当たり抽選や、特別図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の動的表示および変動演出の設定等の処理において参照すべきデータ(カウンタC1~C3,CS1の各値)を記憶するためのメモリである。
【0423】
MPU201は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動演出の実行開始タイミングであることを検出すると、第1特別図柄又は第2特別図柄の大当たり抽選や、特別図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の動的表示および変動演出の設定等の処理を実行するために、上述した第1保留球格納エリア203d又は第2保留球格納エリア203eに記憶されている各始動入賞に対応するデータ(カウンタC1~C3,CS1の各値)のうち、第2保留球格納エリア203eに第2特別図柄に関する始動入賞に対応するデータが記憶されている場合は、該データの一の始動入賞に対応するデータを、この保留球実行エリア203fへシフトする。一方、第2保留球格納エリア203eに第2特別図柄に関する始動入賞に対応するデータが記憶されておらず、第1保留球格納エリア203dに第1特別図柄に関する始動入賞に対応するデータが記憶されている場合は、該データの一の始動入賞に対応するデータを、この保留球実行エリア203fへシフトする。即ち、第1実施形態のパチンコ機10では、第2特別図柄に関する動的表示(変動演出)が優先的に実行され、第1特別図柄に関する動的表示(変動演出)は、第2特別図柄に関する動的表示(変動演出)が保留されていないことを条件に実行されるように構成されている。なお、第1実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
【0424】
ここで、再び図17を参照して、第1保留球格納エリア203d、第2保留球格納エリア203e及び保留球実行エリア203fの詳細について説明する。第1保留球格納エリア203d、第2保留球格納エリア203e及び保留球実行エリア203fは、第1特別図柄又は第2特別図柄の大当たり抽選、特別図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の動的表示および変動演出の設定等を行うために、主制御装置110のMPU201により使用される。
【0425】
上述したように、第1特別図柄又は第2特別図柄の大当たり抽選や特別図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の動的表示および変動演出の設定には、大当たり抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別の決定に使用する大当たり種別カウンタC2と、変動演出の演出態様の決定に使用する停止パターン選択カウンタC3と、変動パターンの決定に使用する変動種別カウンタCS1とが用いられる。第1保留球格納エリア203dは、球が第1始動口64へ入賞(始動入賞)した場合にMPU201によってカウンタ用バッファ203cから取得される上記カウンタC1~C3,CS1の各値をそれぞれ記憶し、第2保留球格納エリア203eは、球が第2始動口71へ入賞(始動入賞)した場合にMPU201によってカウンタ用バッファ203cから取得される上記カウンタC1~C3,CS1の各値を記憶する。
【0426】
第1保留球格納エリア203dは、4つの保留エリア(第1保留第1~第4エリア)で構成されている。4つの保留エリア(第1保留第1~第4エリア)にはそれぞれ、大当たり乱数カウンタC1の値を格納する大当たり乱数カウンタ格納エリア203d1と、大当たり種別カウンタC2の値を格納する大当たり種別カウンタ格納エリア203d2と、停止パターン選択カウンタC3の値を格納する停止パターン選択カウンタ格納エリア203d3と、変動種別カウンタCS1の値を格納する変動種別カウンタ格納エリア203d4とが設けられている。
【0427】
また、第2保留球格納エリア203eは、第1保留球格納エリア203dと同様、4つの保留エリア(第2保留第1~第4エリア)で構成されている。4つの保留エリア(第2保留第1~第4エリア)にはそれぞれ、第1保留球格納エリア203dと同様、大当たり乱数カウンタC1の値を格納する大当たり乱数カウンタ格納エリア203e1と、大当たり種別カウンタC2の値を格納する大当たり種別カウンタ格納エリア203e2と、停止パターン選択カウンタC3の値を格納する停止パターン選択カウンタ格納エリア203e3と、変動種別カウンタCS1の値を格納する変動種別カウンタ格納エリア203e4とが設けられている。
【0428】
なお、第1実施形態では、大当たり乱数カウンタ格納エリア203d1,203e1と、大当たり種別カウンタ格納エリア203d2,203e2と、停止パターン選択カウンタ格納エリア203d3,203e3と、変動種別カウンタ格納エリア203d4,203e4とを1つの保留球格納エリア203d,203eの中にそれぞれまとめて設けているが、各カウンタC1~C3,CS1毎に保留球格納エリアを複数設けるようにしてもよい。
【0429】
上述した通り、第1保留球格納エリア203dには、球がいずれかの第1始動口64へ入賞(始動入賞)したタイミングで取得されるデータ(各カウンタC1~C3,CS1の各値)が最大4回分まで記憶されるが、その場合、4つの保留エリア(第1保留第1~第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1~第4)の小さいエリアから順番にデータが記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い第1始動口64への始動入賞に対応するデータが記憶され、第1保留第1エリアには、時間的に最も古い第1始動口64への始動入賞に対応するデータが記憶されることになる。
【0430】
また、第2保留球格納エリア203eには、球が第2始動口71へ入賞(始動入賞)したタイミングで取得されるデータ(各カウンタC1~C3,CS1の各値)が最大4回分まで記憶されるが、その場合、4つの保留エリア(第2保留第1~第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1~第4)の小さいエリアから順番にデータが記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い第2始動口71への始動入賞に対応するデータが記憶され、第2保留第1エリアには、時間的に最も古い第2始動口71への始動入賞に対応するデータが記憶されることになる。
【0431】
一方、保留球実行エリア203fは、1つのエリアのみで構成されている。この保留球実行エリア203fには、第1保留球格納エリア203d又は第2保留球格納エリア203eと同様に、大当たり乱数カウンタC1の値を格納する大当たり乱数カウンタ格納エリア203f1と、大当たり種別カウンタC2の値を格納する大当たり種別カウンタ格納エリア203f2と、停止パターン選択カウンタC3の値を格納する停止パターン選択カウンタ格納エリア203f3、変動種別カウンタCS1の値を格納する変動種別カウンタ格納エリア203f4とが設けられている。
【0432】
MPU201は、変動演出の実行開始タイミングになったことを判断すると、第2保留球格納エリア203eの第2保留第1エリアにデータ(各カウンタC1~C3,CS1の各値)が記憶されている場合は、該第2保留第1エリアに記憶されているデータを、この保留球実行エリア203fの各エリア203f1~203f4にそれぞれシフトする。一方、MPU201は、変動演出の実行開始タイミングとなった場合に、第2保留球格納エリア203eの第2保留第1エリアにデータが記憶されておらず、第1保留球格納エリア203dの第1保留第1エリアにデータが記憶されているとき、該第1保留第1エリアに記憶されているデータを、この保留球実行エリア203fの各エリア203f1~203f4にそれぞれシフトする。
【0433】
そして、保留球実行エリア203fにシフトされたデータを、特図変動処理(図33参照)において参照し、その参照データと遊技状態とに基づいて大当たり抽選を行うと共に、その抽選結果に対応する変動パターン及び停止種別を決定する。特別図柄表示装置37では、主制御装置110の制御により、この決定された変動パターンおよび停止種別に基づいて、動的表示が行われる。
【0434】
また、ここで決定された変動パターン及び停止種別は、変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドによって、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114へ通知される。そして、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114の制御によって、第3図柄表示装置81では、変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドにより通知された変動パターンおよび停止種別に基づいて、変動演出が行われる。
【0435】
データのシフトの詳細について説明する。MPU201は、変動演出の実行開始タイミングとなったことを判断すると、第2保留球格納エリア203eの第2保留第1エリアにデータが格納されているか否かを判断する。判断の結果、第2保留第1エリアにデータが格納されていると判断された場合は、第2保留第1エリアの大当たり乱数カウンタ格納エリア203e1の乱数値を、保留球実行エリア203fの大当たり乱数カウンタ格納エリア203f1へシフトする。同様に、第2保留第1エリアの大当たり種別カウンタ格納エリア203e2の乱数値を、大当たり種別カウンタ格納エリア203f2へシフトし、第2保留第1エリアの停止パターン選択カウンタ格納エリア203e3の乱数値を、停止パターン選択カウンタ格納エリア203f3へシフトし、第2保留第1エリアの変動種別カウンタ格納エリア203e4の乱数値を、変動種別カウンタ格納エリア203f4へシフトする。
【0436】
そして、保留球実行エリア203fへのデータのシフトが終了すると、第2保留第1エリアが空き状態となるため、第2保留球格納エリア203eの各エリア(第2~第4)に記憶(保留)されているデータを、エリア番号の1小さいエリア(第1~第3)に詰めるシフト処理を行う。なお、第1実施形態では、第2保留球格納エリア203eにおいて、データが記憶(保留)されている第2保留エリア(第1~第4)についてのみデータのシフトを行う。
【0437】
ここで、第2保留球格納エリア203e内の各保留エリアに対して行われるデータシフトについて説明する。例えば、変動演出の開始判断が行われた時の第2保留球数カウンタ203bの値が「4」であり、第2保留球格納エリア203eの全エリア(第1~第4)にデータが記憶されているとする。この状態で、第2保留第1エリアのデータが、保留球実行エリア203fへシフトされ、第2保留第1エリアが空き状態となると、MPU201は、他のエリア(第2~第4)のデータをそれぞれ、エリア番号の1小さいエリア(第1~第3)にシフトする。すなわち、第2保留第2エリアのデータを、第2保留第1エリアへシフトし、第2保留第3エリアのデータを、第2保留第2エリアへシフトし、第2保留第4エリアのデータを、第2保留第3エリアへシフトする。
【0438】
また、例えば、変動演出の開始判断が行われた時の第2保留球数カウンタ203bの値が「2」であれば、MPU201は、第2保留第2エリアのデータのみを、第2保留第1エリアへシフトして、データのシフトを終了する。上述したように、第1実施形態では、データが記憶(保留)されていない第2保留エリア(第3~第4)については、データのシフト処理を行わないので、データのシフト回数を軽減することができ、制御的負担を軽減することができる。
【0439】
なお、データの有無に関わらず、第2保留エリア(第2~第4)の各データを、エリア番号が1小さいエリアにそれぞれシフトするように構成しても良い。その場合は、第2保留エリア(第2~第4)にデータが記憶(保留)されているか否かの判定が不用となるので、プログラムの作成を容易とすることができる。
【0440】
一方、MPU201は、変動演出の実行開始タイミングとなったときに、第2保留球格納エリア203eの第2保留第1エリアにデータが格納されていないと判断された場合は、次いで、第1保留球格納エリア203dの第1保留第1エリアにデータが格納されているか否かを判断する。判断の結果、第1保留第1エリアにデータが格納されていれば、該第1保留第1エリアの大当たり乱数カウンタ格納エリア203d1の乱数値を、保留球実行エリア203fの大当たり乱数カウンタ格納エリア203f1へシフトする。同様に、第1保留第1エリアの大当たり種別カウンタ格納エリア203d2の乱数値を、大当たり種別カウンタ格納エリア203f2へシフトし、第1保留第1エリアの停止パターン選択カウンタ格納エリア203d3の乱数値を、停止パターン選択カウンタ格納エリア203f3へシフトし、第1保留第1エリアの変動種別カウンタ格納エリア203d4の乱数値を、変動種別カウンタ格納エリア203f4へシフトする。
【0441】
そして、保留球実行エリア203fへのデータのシフトが終了すると、第1保留第1エリアが空き状態となるため、第1保留球格納エリア203dの各エリア(第2~第4)に記憶(保留)されているデータを、エリア番号の1小さいエリア(第1~第3)に詰めるシフト処理を行う。なお、第1実施形態では、第1保留球格納エリア203dにおいて、データが記憶(保留)されている第1保留エリア(第1~第4)についてのみデータのシフトを行う。
【0442】
ここで、第1保留球格納エリア203d内の各保留エリアに対して行われるデータシフトについて説明する。例えば、変動演出の開始判断が行われた時の第1保留球数カウンタ203aの値が「4」であり、第1保留球格納エリア203dの全エリア(第1~第4)にデータが記憶されているとする。この状態で、第1保留第1エリアのデータが、保留球実行エリア203fへシフトされ、第1保留第1エリアが空き状態となると、MPU201は、他のエリア(第2~第4)のデータをそれぞれ、エリア番号の1小さいエリア(第1~第3)にシフトする。すなわち、第1保留第2エリアのデータを、第1保留第1エリアへシフトし、第1保留第3エリアのデータを、第1保留第2エリアへシフトし、第1保留第4エリアのデータを、第1保留第3エリアへシフトする。
【0443】
また、例えば、変動演出の開始判断が行われた時の第1保留球数カウンタ203aの値が「2」であれば、MPU201は、第1保留第2エリアのデータのみを、第1保留第1エリアへシフトして、データのシフトを終了する。上述したように、第1実施形態では、データが記憶(保留)されていない第1保留エリア(第3~第4)については、データのシフト処理を行わないので、データのシフト回数を軽減することができ、制御的負担を軽減することができる。
【0444】
なお、データの有無に関わらず、第1保留エリア(第2~第4)の各データを、エリア番号が1小さいエリアにそれぞれシフトするように構成しても良い。その場合は、第1保留エリア(第2~第4)にデータが記憶(保留)されているか否かの判定が不用となるので、プログラムの作成を容易とすることができる。
【0445】
図7に戻って、説明を続ける。普図保留球数カウンタ203hは、4ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(図30参照)の中で検出されるスルーゲート67への球の通過に基づいて、普通図柄表示装置83で行われる普通図柄の可変表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するためのカウンタである。
【0446】
この普図保留球数カウンタ203hは、保留球数カウンタ203a,203bと同様、電源投入後のRAM203の初期設定処理(図27のS117参照)によって、初期値として「0」が設定される。そして、スルーゲート67への球の通過が検出されて普通図柄に関する可変表示の保留球数が増加する毎に、最大値「4」まで1加算される(図32のS405参照)。一方、普図保留球数カウンタ203hは、普通図柄の可変表示が実行される毎に1減算される(図39のS705参照)。
【0447】
普図保留球格納エリア203iは、スルーゲート67への球の通過の検出に伴ってカウンタ用バッファ203cより取得した普図当たりカウンタC4を記憶するためのメモリである。MPU201は、タイマ割込処理(図30参照)の中で、球がスルーゲート67を通過したことを検出すると、カウンタ用バッファ203cから普図当たりカウンタC4の値を取得し、普図保留球格納エリア203iに格納する。普図保留球格納エリア203iは、普通図柄の一の保留球に対応するデータ(普図当たりカウンタC4の値)が、最大4回分まで記憶(保留)できるように、4つの保留エリア(普図保留第1~第4エリア)を有している(図17参照)。
【0448】
普図保留球実行エリア203jは、実行を開始する、或いは、実行中の普通図柄の当たり抽選や可変表示の処理において参照すべきデータ(普図当たりカウンタC4の値)を記憶するためのメモリである。
【0449】
MPU201は、普通図柄の可変表示の実行開始タイミングであることを検出すると、普通図柄の当たり抽選や普通図柄表示装置83の可変表示の設定等の処理を実行するために、上述した普図保留球格納エリア203iに記憶されているデータ(普図当たりカウンタC4の値)のうち、一のデータをこの普図保留球実行エリア203jへシフトする。なお、第1実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
【0450】
ここで、再び図17を参照して、普図保留球格納エリア203iおよび普図保留球実行エリア203jの詳細について説明する。普図保留球格納エリア203iおよび普図保留球実行エリア203jは、普通図柄の当たり抽選や普通図柄表示装置83の可変表示の設定等の処理を行うために、主制御装置110のMPU201により使用される。
【0451】
上述したように、普通図柄の当たり抽選や普通図柄表示装置83の可変表示の設定には、普通図柄の当たり抽選に使用する普図当たりカウンタC4が用いられる。普図保留球格納エリア203iは、球がスルーゲート67を通過した場合にMPU201によってカウンタ用バッファ203cから取得される普図当たりカウンタC4の値を記憶する。
【0452】
普図保留球格納エリア203iは、4つの保留エリア(普図保留第1~第4エリア)で構成されている。4つの保留エリア(普図保留第1~第4エリア)にはそれぞれ、普図当たりカウンタC4の値を格納する普図当たり乱数カウンタ格納エリア(図示せず)が設けられている。
【0453】
この普図保留球格納エリア203iには、球がスルーゲート67を通過したタイミングで取得されるデータ(普図当たりカウンタC4の値)が最大4回分まで記憶されるが、その場合、4つの保留エリア(普図保留第1~第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1~第4)の小さいエリアから順番にデータが記憶される。つまり、エリア番号が小さいエリアほど、時間的に古いスルーゲート67への球の通過に対応するデータが記憶され、普図保留第1エリアには、時間的に最も古いスルーゲート67への球の通過に対応するデータが記憶されることになる。
【0454】
一方、普図保留球実行エリア203jは、1つのエリアのみで構成されている。この普図保留球実行エリア203jには、普図保留球格納エリア203iと同様に、普図当たりカウンタC4の値を格納する普図当たり乱数カウンタ格納エリア(図示せず)が設けられている。
【0455】
MPU201は、普通図柄の可変表示の実行タイミングになったことを判断すると、普図保留球格納エリア203iの普図保留第1エリアに記憶されているデータを、この普図保留球実行エリア203jにシフトする。
【0456】
そして、普図保留球実行エリア203jにシフトされたデータを、普図変動処理(図39参照)において参照し、その参照データと遊技状態とに基づいて、当たり抽選を行うと共に、可変表示の内容を決定する。普通図柄表示装置83では、主制御装置110の制御により、この決定された内容に基づいて、可変表示が行われる。
【0457】
データのシフトの詳細について説明する。MPU201は、普通図柄の可変表示の実行開始タイミングとなったことを判断すると、普図保留球格納エリア203iの普図保留第1エリアの普図当たり乱数カウンタ格納エリア(図示せず)の乱数値を、普図保留球実行エリア203jの普図当たり乱数カウンタ格納エリア(図示せず)へシフトする。
【0458】
そして、普図保留球実行エリア203jへのデータのシフトが終了すると、普図保留第1エリアが空き状態となるため、普図保留球格納エリア203iの各エリア(第2~第4)に記憶(保留)されているデータを、エリア番号が1小さいエリア(第1~第3)に詰めるシフト処理を行う。なお、第1実施形態では、普図保留球格納エリア203iにおいて、データが記憶(保留)されている普図保留エリア(第1~第4)についてのみデータのシフトを行う。
【0459】
ここで、普図保留球格納エリア203i内の各保留エリアに対して行われるデータシフトについて説明する。例えば、普通図柄の可変表示の開始判断が行われた時の普図保留球数カウンタ203hの値が「4」であり、普図保留球格納エリア203iの全エリア(第1~第4)にデータが記憶されているとする。この状態で、普図保留第1エリアのデータが、普図保留球実行エリア203jへシフトされ、普図保留第1エリアが空き状態となると、MPU201は、他のエリア(第2~第4)のデータをそれぞれ、エリア番号の1小さいエリア(第1~第3)にシフトする。すなわち、普図保留第2エリアのデータを、普図保留第1エリアへシフトし、普図保留第3エリアのデータを、普図保留第2エリアへシフトし、普図保留第4エリアのデータを、普図保留第3エリアへシフトする。
【0460】
また、例えば、普通図柄の可変表示の開始判断が行われた時の普図保留球数カウンタ203hの値が「2」であれば、MPU201は、普図保留第2エリアのデータのみを、普図保留第1エリアへシフトして、データのシフトを終了する。上述したように、第1実施形態では、データが記憶(保留)されていない普図保留エリア(第3~第4)については、データのシフト処理を行わないので、データのシフト回数を軽減することができ、制御的負担を軽減することができる。
【0461】
なお、データの有無に関わらず、普図保留エリア(第2~第4)の各データを、エリア番号が1小さいエリアにそれぞれシフトするように構成しても良い。その場合は、普図保留エリア(第2~第4)にデータが記憶(保留)されているか否かの判定が不要となるので、プログラムの作成を容易とすることができる。
【0462】
主制御装置110のROM202には、第1特別図柄又は第2特別図柄の抽選遊技において大当たりに当選した場合に、可変入賞装置65の大入賞口開閉板65aの開放制御のために参照される大当たり開放テーブル202fが格納されている。
【0463】
ここで、図25を参照して、大当たり開放テーブル202fについて説明する。図25は、ROM202に記憶される大当たり開放テーブル202fの一例を模式的に示した模式図である。大当たり開放テーブル202fは、第1特別図柄又は第2特別図柄の大当たり時に参照され、遊技状態に応じて各特別図柄の大当たりを発生した大当たり種別に基づいて、可変入賞装置65の大入賞口開閉板65aの開放態様等(ラウンド回数、オープニング時間、インターバル時間、エンディング時間、最大開放時間、最大入賞個数、賞球数)、及び、大当たり終了後に移行する遊技状態が規定されている。
【0464】
具体的には、「通常遊技状態」において、大当たり種別「確変A」又は「時短A」に当選した場合に参照される「通常遊技状態」用と、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において、大当たり種別「確変A」又は「時短A」に当選した場合に参照される「確率変動状態・時間短縮状態」用と、で大入賞口開閉板65aの開放態様等が規定されている。
【0465】
図25で示すように、大当たり開放テーブル202fの「通常遊技状態」用において、大当たり種別「確変A」に当選した場合、可変入賞装置65の大入賞口開閉板65a(以下、可変入賞装置65の大入賞口開閉板65aを、「大入賞口」と称する場合がある)が、10ラウンドに亘って繰り返し開閉される。そして、その大当たりのオープニング時間(以下、オープニング時間を、「OP時間」と称する場合がある)が「30秒」に設定され、その大当たりの1ラウンドと次のラウンドとの閉鎖時間であるインターバル時間(以下、インターバル時間を、「IT時間」と称する場合がある)が「1秒」に設定され、その大当たりのエンディング時間(以下、エンディング時間を、「ED時間」と称する場合がある)が「10秒」に設定される。また、1のラウンドの最大開放時間が「30秒」に設定され、1のラウンドにおける最大入賞個数が「10個」に設定され、1の入賞に基づく賞球数が「15個」に設定される。そして、上記ED時間の終了後に、遊技状態が「確率変動状態」に移行するように構成されている。
【0466】
次いで、大当たり開放テーブル202fの「通常遊技状態」用において、大当たり種別「時短A」に当選した場合、可変入賞装置65の大入賞口開閉板65aが、5ラウンドに亘って繰り返し開閉される。そして、その大当たりのOP時間が「30秒」に設定され、その大当たりの1ラウンドと次のラウンドとの閉鎖時間であるIT時間が「1秒」に設定され、その大当たりのED時間が「10秒」に設定される。また、1のラウンドの最大開放時間が「30秒」に設定され、1のラウンドにおける最大入賞個数が「10個」に設定され、1の入賞に基づく賞球数が「15個」に設定される。そして、上記ED時間の終了後に、遊技状態が「時間短縮状態」に移行するように構成されている。
【0467】
次いで、大当たり開放テーブル202fの「確率変動状態・時間短縮状態」用において、大当たり種別「確変A」に当選した場合、可変入賞装置65の大入賞口開閉板65aが、10ラウンドに亘って繰り返し開閉される。そして、その大当たりのOP時間が「10秒」に設定され、その大当たりの1ラウンドと次のラウンドとの閉鎖時間であるIT時間が「1秒」に設定され、その大当たりのED時間が「5秒」に設定される。また、1のラウンドの最大開放時間が「30秒」に設定され、1のラウンドにおける最大入賞個数が「10個」に設定され、1の入賞に基づく賞球数が「15個」に設定される。そして、上記ED時間の終了後に、遊技状態が「確率変動状態」に移行するように構成されている。
【0468】
次いで、大当たり開放テーブル202fの「確率変動状態・時間短縮状態」用において、大当たり種別「確変A」に当選した場合、可変入賞装置65の大入賞口開閉板65aが、5ラウンドに亘って繰り返し開閉される。そして、その大当たりのOP時間が「10秒」に設定され、その大当たりの1ラウンドと次のラウンドとの閉鎖時間であるIT時間が「1秒」に設定され、その大当たりのED時間が「5秒」に設定される。また、1のラウンドの最大開放時間が「30秒」に設定され、1のラウンドにおける最大入賞個数が「10個」に設定され、1の入賞に基づく賞球数が「15個」に設定される。そして、上記ED時間の終了後に、遊技状態が「時間短縮状態」に移行するように構成されている。
【0469】
このように、当選した大当たり種別及び該当選したときの遊技状態により、当選した大当たり種別に基づく遊技価値に違いを生じさせることができる。その結果、特別図柄の抽選遊技において、いずれの大当たり種別に当選するか否かの遊技性を生み、遊技の興趣を向上することができる。
【0470】
また、少なくとも普通図柄の高確率状態が維持されて連続的に特別図柄の大当たりが頻発する「連荘」状態において、いずれかの大当たり種別に当選した場合における大当たり時のOP時間、IT時間、及び、ED時間を、「通常遊技状態」における初回大当たりのOP時間、IT時間、及び、ED時間より短く構成することで、「連荘」状態中における大当たり全体の消化時間を短くし、「連荘」状態において次の大当たりへの到達時間を短くすることが可能となる。これにより、「連荘」状態における次の大当たり発生までの時間を短くし得ることで、「連荘」状態にもかかわらず次の大当たりが到達するまでの時間が長引くことによる遊技者の遊技への興覚めを抑制しつつ、連続する大当たりが早期に発生させることで、遊技者に爽快感を与えて遊技の興趣を向上することができる。
【0471】
さらに、「通常遊技状態」における初回大当たりのOP時間、IT時間、及び、ED時間を、「連荘」状態における大当たりのOP時間、IT時間、及び、ED時間より長くすることで、その時間において多種多様な演出を実行することが可能となる。このように構成することで、例えば、初回大当たりのOP時間やED時間にパチンコ機10における遊技方法の説明(例えば、発射態様の示唆や、カードユニット300に挿入中の会員カード700の抜き忘れ防止示唆、今後の遊技状態の説明等)や、「通常遊技状態」から初回大当たりしたことを祝福する演出を実行することができ、遊技者にパチンコ機10の遊技方法を理解させ易くしたり、漸く大当たりしたことを実感させて遊技者の興趣向上に資する演出を行うことができる。
【0472】
なお、大当たり種別に基づく大当たり時の大入賞口開閉板65aの開放態様等(OP時間、IT時間、ED時間、回数、最大開放時間、最大入賞個数、賞球数および移行遊技状態)は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。具体的には、大当たり種別毎に開放回数(ラウンド数)を異ならせるように構成してもよいし、大当たり種別毎に最大開放時間を変更するように構成してもよいし、最大入賞個数を変更するように構成してよい。当選した大当たり種別毎に払い出され得る賞球数が異なることで、当選した大当たり種別に応じて直接的に付与される遊技価値に違いを生じさせることができる。
【0473】
また、大当たり種別毎に別々の遊技状態に移行する必要はなく、複数の大当たり種別で共通的な遊技状態に移行するように構成してもよい。
【0474】
さらに、OP時間とED時間とを異ならせるように構成してもよいし、IT時間をOP時間やED時間より長い時間に設定してもよい。また、1のラウンドの最小開放時間を、IT時間やOP時間、ED時間より短い時間に設定してもよい。さらに、大当たり種別毎にOP時間、IT時間又はED時間の少なくとも1つ以上を同一な時間となるように設定してもよい。また、「潜伏確率変動状態」における大当たりのOP時間、IT時間、及び、ED時間を、「通常遊技状態」、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」における大当たりのOP時間、IT時間、及び、ED時間よりいずれも短くなるように構成していたが、いずれか1以上のOP時間、IT時間、又は、ED時間を短くするように構成し、他の1以上のOP時間、IT時間、又は、ED時間を同等又は長くなるように構成してもよい。
【0475】
次に、図26(a)から図26(c)を参照して、普図当たり乱数テーブル202g、普図変動テーブル202h及び普通電役開放テーブル202iの詳細について説明する。まず、図26(a)は、ROM202に記憶される普図当たり乱数テーブル202gの一例を模式的に示した模式図である。
【0476】
上述したように、普図当たり乱数テーブル202gは、パチンコ機10の遊技状態が、「通常遊技状態」である普通図柄の低確率状態(「確率変動状態」又は「時間短縮状態」ではない期間(特別図柄の大当たり中を含む))の場合に使用される「普通図柄低確率状態」用と、パチンコ機10の遊技状態が、「普通図柄低確率状態」より普通図柄が当たりとなる確率の高い状態である「確率変動状態」又は「時間短縮状態」の場合に使用される「普通図柄高確率状態」用との2種類に分けられる。そして、「普通図柄低確率状態」用と「普通図柄高確率状態」用とのそれぞれに含まれる当たりとなる乱数の数が異なって設定されている。このように、「普通図柄低確率状態」と「普通図柄高確率状態」とで当たりとなる乱数の数を異ならせることにより、「普通図柄低確率状態」と「普通図柄高確率状態」とで、普通図柄の可変表示において当たりとなる確率が変更される。
【0477】
図26(a)で示すように、第1実施形態のパチンコ機10では、「普通図柄低確率状態」の場合に当たりとなる普図当たりカウンタC4の値の数は0個で、普図当たり乱数テーブル202gに当たりが割り振られていないように規定(設定)されている。つまり、「普通図柄低確率状態」(即ち、「通常遊技状態」)における普通図柄の当たり確率は、0/100となり、普通図柄の可変表示において当たりが導出されないように設定されている。
【0478】
一方で、「普通図柄高確率状態」の場合に当たりとなる普図当たりカウンタC4の値の数は99個で、その値「1~99」が、普図当たり乱数テーブル202gに規定(設定)されている。つまり、「普通図柄高確率状態」(即ち、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」)における普通図柄の当たり確率は、99/100となり、普通図柄の可変表示においてほぼ当たりが導出されるように設定されている。
【0479】
これにより、遊技状態に応じて普通図柄の当否確率を変更することで、普通電役72が開放しない状況か、開放し易い状況か否かの違いを生じさせることができる。その結果、スルーゲート67を球が通過した場合に、普通電役72が開放し易い状況であることによって第2始動口71へ入賞し得る状況か、普通電役72が開放しない状況であることで球が第2始動口71へ入賞しない状況か、を遊技状態によって異ならせることで、遊技状態毎に異なる遊技性を生むことができる。
【0480】
特に、左打ち遊技が奨励される「通常遊技状態」では、「普通図柄低確率状態」となり、普通図柄の可変表示時間も長く、また、普通電役72が開放し難く、さらに、開放した場合でも普通電役72が短時間しか開放しないため、仮に右打ち遊技で球が発射された場合でも「普通図柄高確率状態」より第2始動口71へ入賞し難くなるように構成されている。また、第1始動口64には普通電役72のような入賞を補助する装置が備え付けられておらず、さらに、左打ち遊技で発射された球の流下領域にスルーゲート67が配置されていないため、左打ち遊技により発射された球が入賞補助機能によって第1始動口64へ入賞し易くなる構成ではない。よって、換言すれば、「通常遊技状態」では、右打ち遊技されたとしても、その右打ちされた球は、第2始動口71へ入賞し難く、また、左打ち遊技で発射された球も、入賞補助機能を使わずに第1始動口64へ入賞させなければならず、第1特別図柄の動的表示を実行させるために自力で第1始動口64へ入賞させるように構成されている。なお、「通常遊技状態」において、普通図柄の可変表示時間や普通電役72の開放パターンを複数種類設けておくことで、「通常遊技状態」において遊技者が第2始動口71へ入賞可能なタイミングを把握させ難く構成して、第2始動口71への入賞を困難に構成するとより好適である。また、「通常遊技状態」において、右打ち遊技された場合に、スルーゲート67への球の通過を起因してエラー報知するように構成することで、遊技者および遊技場の従業員に対して奨励されていない遊技態様であることを示唆することで、遊技者に右打ち遊技での遊技を抑制させてもよい。
【0481】
次いで、図26(b)を参照して、普通図柄の可変表示時間を決定するための普図変動テーブル202hの詳細について説明する。図26(b)は、ROM202に記憶される普図変動テーブル202hの一例を模式的に示した模式図である。
【0482】
普図変動テーブル202hは、「通常遊技状態」で参照される「通常遊技状態」用と、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」で参照される「確率変動状態・時間短縮状態」用との2種類に分けられる。そして、「通常遊技状態」用と「確率変動状態・時間短縮状態」用とで設定される普通図柄の可変表示時間が異なって設定されている。このように、各遊技状態で普通図柄の可変表示時間を異ならせることにより、各遊技状態で普通図柄の当否結果が導出される時間が変更される。
【0483】
図26(b)で示すように、第1実施形態のパチンコ機10では、「通常遊技状態」の場合に設定される普通図柄の可変表示時間は「10秒」となるように普図変動テーブル202hで規定されている。つまり、「通常遊技状態」において普通図柄の可変表示が開始されてから停止図柄が導出されるまでの時間は、もれなく「10秒」となるように設定されている。
【0484】
また、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」の場合に設定される普通図柄の可変表示時間は「5秒」となるように普図変動テーブル202hで規定されている。つまり、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において普通図柄の可変表示が開始されてから停止図柄が導出されるまでの時間は、もれなく「5秒」となるように設定されている。
【0485】
これにより、遊技状態に応じて普通図柄の可変表示時間を変更することで、スルーゲート67を球が通過してから、普通電役72が開放されるまでの期間を変更することができる。その結果、球がスルーゲート67を通過した場合に、該スルーゲート67の通過に起因する可変表示で当たりとなり、該当たりに基づいて普通電役72が開放されて、スルーゲート67を通過した球がそのまま第2始動口71へ流入し得るか否かを遊技状態によって異ならせることができる。よって、普通図柄の可変表示時間を遊技状態毎に変更することで、1の球のスルーゲート67及び第2始動口71への入賞態様を異ならせることができ、遊技状態毎に異なる遊技性を生むことができる。
【0486】
特に、右打ち遊技が奨励される「確率変動状態」及び「時間短縮状態」では、普通図柄の可変表示時間が短く、かつ、当たりに当選し易いため、普通電役72の上面を球が転動している間に普通電役72が開放(没入)状態となって、右打ち遊技により発射された球が第2始動口71へと入賞し得るように構成されている。換言すれば、「確率変動状態」及び「時間短縮状態」で右打ちされた球は、第2始動口71へ入賞し易く、可変入賞装置65へ入賞し難いように構成されている。
【0487】
次いで、図26(c)を参照して、普通電役開放テーブル202iについて説明する。図26(c)は、ROM202に記憶される普通電役開放テーブル202iの一例を模式的に示した模式図である。普通電役開放テーブル202iは、普通図柄の当たり時に参照され、普通図柄の当たりが発生したタイミングにおける遊技状態に基づいて、普通電役72の開放(没入)時間および開放回数が規定されている。
【0488】
普通電役開放テーブル202iは、普通図柄が抽選された遊技状態に基づいてグループ毎に区分けされている。具体的には、「通常遊技状態」で参照される「通常遊技状態」用と、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」で参照される「確率変動状態・時間短縮状態」用とで、普通電役72の開放態様(開放時間)が変更される。
【0489】
図26(c)で示すように、第1実施形態のパチンコ機10では、普通図柄の低確率状態である「通常遊技状態」において、普通図柄での当たりは導出されないため、普通電役72の開放回数が設定されておらずり、その開放時間も設定されていないように普通電役開放テーブル202iで規定されている。つまり、「通常遊技状態」において普通図柄に当選した場合には、普通電役72は、開放し得ないように設定されている。
【0490】
また、普通図柄の高確率状態である「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において、普通図柄に当選した場合に設定される普通電役72の開放時間は「1秒」、かつ、開放回数が2回(開放と開放との間のインターバル時間は「5秒」)となるように普通電役開放テーブル202iで規定されている。つまり、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において普通図柄に当選した場合には、普通電役72は、「1秒」×2回=「2秒」の間、開放されるように構成される。
【0491】
これにより、遊技状態に応じて普通電役72の開放態様を変更することで、普通電役72が開放している期間の長短の違いを生じさせることができる。その結果、スルーゲート67を球が通過した場合に、普通電役72が開放している期間が長いことによって第2始動口71へ入賞し易い状況か、普通電役72が開放している状況が短いことによって球が第2始動口71へ入賞し難い状況か、を遊技状態によって異ならせることで、遊技状態毎に異なる遊技性を生むことができる。
【0492】
特に、右打ち遊技が奨励される「確率変動状態」及び「時間短縮状態」において、普通図柄の高確率状態となり、普通電役72の開放期間が長くなって、右打ち遊技により発射された球が第2始動口71へと入賞し易いように構成されている。換言すれば、「確率変動状態」及び「時間短縮状態」で右打ちされた球は、第2始動口71へ入賞し易く、第2特別図柄の動的表示の保留球数が溜まり易いため、変動短縮機能が作動し易く、第2特別図柄の動的表示が効率良く実行され易いように構成されている。
【0493】
このように、特別図柄の高確率状態又は低確率状態と、普通図柄の高確率状態又は低確率状態とをそれぞれ組み合わせた各遊技状態を設けることで、各遊技状態に遊技性を変化させ、バリエーションが豊富な遊技を提供することができ、遊技の興趣を向上することができる。
【0494】
なお、普通図柄の可変表示の当たり確率や可変表示の可変表示時間は、上記実施形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。具体的には、「通常遊技状態」等より「確率変動状態」等の方が普通図柄に当選し易い確率であれば如何様な割合でもよく、例えば、「通常遊技状態」における普通図柄の当たり確率を50/100程度として一定の割合で当たるように構成してもよいし、「確率変動状態」における普通図柄の当たり確率を50/100=1/2程度としてもよいし、普通図柄の低確率状態において当たりに当選しないように構成してもよい。また、「通常遊技状態」より「確率変動状態」等の方が可変表示時間が短ければ如何様な時間でもよく、例えば、「通常遊技状態」における普通図柄の可変表示時間を「30秒」以上の長い時間(例えば、「100秒」)としてもよいし、「10秒」未満の短い時間(例えば、「1秒」)としてもよい。
【0495】
また、普通電役72の開放時間や開放回数も、上記実施形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。具体的には、普通電役72の開放時間として、「通常遊技状態」等より「確率変動状態」等の方が遊技者にとって有利な開放時間であれば如何様な開放時間でもよく、例えば、「通常遊技状態」等における普通電役72の開放時間を「0.1秒」以上(例えば、「1秒」)に設定してもよいし、開放回数を「1回」以上(例えば、「3回」)に設定してもよい。また、「確率変動状態」等における普通電役72の開放時間を「3秒」以上の長い時間(例えば、「5秒」)としてもよいし、「3秒」未満の短い時間(例えば、「1秒」)としてもよい。さらに、「確率変動状態」等における普通電役72の開放回数を「3回」以上の多い回数(例えば、「5回」)としてもよいし、「3回」未満の少ない回数(例えば、「1回」)としてもよい。
【0496】
図7に戻り、説明を続ける。RAM203は、図17に図示したカウンタ用バッファ203c等のほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、インプット/アウトプット(Input/Output。以下、「I/O」と略す。)等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
【0497】
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図29参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図27参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図43参照)が即座に実行される。
【0498】
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、各入賞口63,64,65,71に入賞した球や、スルーゲート67を通過した球、アウト口66を通って球排出路へ案内された球をそれぞれ検出するためのスイッチ(例えば、大入賞口スイッチ65c等)を含むスイッチ群並びにセンサ群などからなる各種スイッチ208や、電源投入時の立ち上げモードを設定するための設定キー141、「設定変更モード」時に押下操作されることにより確率設定値を更新するための設定変更スイッチ142、RAM203に記憶されているデータを消去するためのRAM消去スイッチ143、設定変更スイッチ142により設定された設定値を表示可能な確率表示装置144、遊技者が所持する保持球データを表示可能な球数表示部145、各種入賞口スイッチやアウト口66に流入した球を検知可能なアウトスイッチ(図示せず)の検出結果と現在時刻とに応じて算出された役物比率データや発射球数データを表示可能な役比モニタ146、が接続される。
【0499】
また、入出力ポート205の出力側には、枠統括制御装置111、音声ランプ制御装置113、特別図柄表示装置37、普通図柄表示装置83、普通図柄保留ランプ84、可変入賞装置65の大入賞口開閉板65aの下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大入賞口ソレノイド65bや、普通電役72の出没板72aを駆動するための普通電役ソレノイド(図示せず)、その他ソレノイド209が接続されている。MPU201は、各種スイッチ208,142,143から出力される信号や、設定キー141の状態に基づいて各種処理を実行するとともに、各種処理の実行結果の1つとして確率表示装置144の表示内容等を設定する。
【0500】
枠統括制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図43参照)が即座に実行される。
【0501】
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29~33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出や、後述する「モンスター討伐ミッション」、「保留変化予告」といった第3図柄表示装置81にて行われる演出の表示態様の設定などを制御するものである。
【0502】
演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
【0503】
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、及び、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。第1実施形態では、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ一方向にのみコマンドが送信されるように構成され、音声ランプ制御装置113から主制御装置110へコマンド送信ができないように構成されている。一方、音声ランプ制御装置113と表示制御装置114とは、互いにコマンドの送受信が可能に構成されている。
【0504】
また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示される演出のステージを変更したり、「スーパーリーチ」演出態様等の背面画像を変更したりするように、音声出力装置226、ランプ表示装置227を制御すると共に、表示制御装置114へ枠ボタン22の押下に基づいた表示を第3図柄表示装置81に表示させるように指示する。
【0505】
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出や、「保留変化予告」の表示制御を実行するものである。
【0506】
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110~114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110~114等に対して必要な電圧を供給する。
【0507】
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び枠統括制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び枠統括制御装置111のNMI端子へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び枠統括制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理(図43参照)を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び枠統括制御装置111は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
【0508】
次に、図27から図43のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2ミリ秒周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがある。
【0509】
図27は、主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。
【0510】
この立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期値設定処理を実行する(S101)。例えば、RAM203へのアクセス許可を設定し、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、枠統括制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では、「1秒」)を実行する(S102)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S103)。
【0511】
その後は、主制御装置110に設けたRAM消去スイッチ143(図7参照)がオンされているか否かを判別する(S104)。判別の結果、RAM消去スイッチ143がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S105)。そして、記憶されていなければ(S105:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合は、RAM203の初期化を行うため、処理をS116へ移行する。
【0512】
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS116へ移行する。
【0513】
なお、図29のS156の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0514】
一方、RAM消去スイッチ143がオンされておらず(S104:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S108)。次いで、設定キー141がオンされているか否かを判別する(S109)。
【0515】
S109の処理において、設定キー141がオンされていると判別された場合(S109:Yes)、電源投入時においてRAM消去スイッチ143:オフ、かつ、設定キー141:オンに操作されているので、立ち上げモードを「設定確認モード」で立ち上げるべく、まず、確率表示装置144において確率設定値の表示を開始し(S110)、その後、設定キー141がオフされたか否かを判別し(S111)、設定キー141がオフされるまで該「設定確認モード」を維持する(S111:No)。一方、設定キー141がオフされた場合は(S111:Yes)、確率表示装置144における確率設定値の表示を終了して(S112)、「設定確認モード」を終了して、処理をS113へ移行する。なお、S109の処理において、設定キー141がオンされていなければ(S109:No)、立ち上げモードを「通常モード」で立ち上げるべく、S110~S112の処理をスキップして、処理をS113へ移行する。
【0516】
S113の処理では、確率設定値に基づいて設定値コマンドを生成して、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに設定し(S113)、その後、割込みを許可する(S114)。そして、後述するメイン処理(図29参照)に移行する。
【0517】
ここで設定された設定値コマンドは、後述するタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)において、音声ランプ制御装置113へと送信される。音声ランプ制御装置113は、この設定値コマンドを受信すると、RAM223に設けられた設定値メモリ(図示せず)に該設定値コマンドが示す確率設定値を格納(記憶)するように構成されている。
【0518】
一方、S104の処理において、RAM消去スイッチ143がオンされていると判別された場合は(S104:Yes)、立ち上げモードを「RAMクリアモード」か「設定変更モード」のいずれで立ち上げるかを判別すべく、設定キー141がオンされているか否かを判別する(S115)。
【0519】
S115の処理において、設定キー141がオンされていないと判別された場合は(S115:No)、立ち上げモードを「RAMクリアモード」で立ち上げるべく、処理をS116へ移行する。
【0520】
S116の処理では、RAM203の初期化処理(S116,S117)を実行する。
【0521】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、設定変更の如何を問わず電源投入時にRAMデータを初期化する場合には、RAM消去スイッチ143を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ143が押されていれば、RAMの初期化処理(S116,S117)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合(S105:No)や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合(S107:No)も同様に、RAM203の初期化処理(S116,S117)を実行する。
【0522】
RAMの初期化処理(S116,S117)、即ち、「RAMクリアモード」では、RAM203の使用領域を「0」クリアし(S116)、その後、RAM203に初期値(例えば、第1保留球数カウンタ203aの「0」クリア等)を設定する(S117)。RAM203の初期化処理の実行後は、S113の処理へ移行する。
【0523】
一方、S115の処理において、設定キー141がオンされていると判別された場合は(S115:Yes)、立ち上げモードを「設定変更モード」にするべく、設定変更処理を行う(S118)。
【0524】
ここで、図28を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される設定変更処理(S118)について説明する。図28は、この設定変更処理(S118)を示すフローチャートである。
【0525】
この設定変更処理(S118)は、立ち上げモードが「設定変更モード」である場合に実行される処理であり、ホール関係者等からの確率設定値の変更(更新)を受け付け、確定されるための処理である。
【0526】
この設定変更処理(S118)では、まず、確率表示装置144において現在の確率設定値の表示の開始を設定し(S121)、処理をS122へ移行する。この確率設定値の表示の開始設定により、確率表示装置144に確率設定値の表示が開始される。
【0527】
なお、ここで表示される確率設定値は、電源断前に設定されていた確率設定値ではなく、必ず特定の値に固定されるようにしてもよい。即ち、立ち上げモードが「設定変更モード」となった場合、確率表示装置144には、必ず特定の確率設定値で表示が開始されるようにしてもよい。特定の確率設定値としては、例えば、確率設定値(「1」~「3」)の最小値である「1」であってもよいし、確率設定値の中間値である「2」であってもよいし、確率設定値の最大値である「3」であってもよい。これにより、電源断される前に設定されていた確率設定値にかかわらず、ホール関係者等は確率設定値を特定の確率設定値から変更できる。
【0528】
一方で、立ち上げモードが「設定変更モード」となった場合、確率表示装置144には、電源断される前に設定されていた確率設定値をそのままで表示が開始されるようにしてもよい。これにより、ホール関係者等は、電源断される前に設定されていた確率設定値を考慮しながら、確率設定値を変更できる。
【0529】
また、立ち上げモードが「設定変更モード」となった場合、確率表示装置144には、電源断される前に設定されていた確率設定値が「2」以上であれば、確率設定値を「2」として表示を開始し、電源断される前に設定されていた確率設定値が「2」未満であれば、その電源断される前に設定されていた確率設定値をそのままで表示が開始されるようにしてもよい。例えば、電源断される前に設定された確率設定値が「3」などの高い場合、確率設定値を少しだけ(例えば1だけ)小さくしたい場合が多々生じ得る。このような場合において、確率設定値を、電源断される前に設定された確率設定値そのままで表示を開始すると、次のような問題が生じる。即ち、確率設定値の更新は、RAM消去スイッチ143をオンする毎に1ずつ加算され、確率設定値が「3」の場合にRAM消去スイッチ143がオンされた場合には、確率設定値を「1」に戻すことで行われる。よって、例えば、確率設定値を「3」から「2」に変更したい場合、RAM消去スイッチ143のオンを繰り返しながら、ほぼ確率設定値を1周させなければならない。これに対し、電源断される前に設定された確率設定値が高い場合に、確率設定値を「2」で表示を開始することで、RAM消去スイッチ143をオンする回数を抑えながら、確率設定値の更新を行うことができる。
【0530】
次に、S122の処理では、確率設定値が「1」~「3」の範囲にあるか否かを判断し(S122)、所定の範囲内にない、即ち、異常な確率設定値となっている場合は(S122:No)、確率設定値を初期値に変更し(S123)、S124の処理へ移行する。この初期値としては、確率設定値(「1」~「3」)の最小値である「1」であってもよいし、確率設定値の中間値である「3」又は「4」であってもよいし、確率設定値の最大値である「3」であってもよい。一方、S122の処理の結果、確率設定値が「1」~「3」の範囲内にあると判断される場合は(S122:Yes)、確率設定値は正常な値であるので、S123の処理をスキップして、S124の処理へ移行する。
【0531】
S124の処理では、RAM消去スイッチ143がオンになったか否かを判断する(S124)。その結果、RAM消去スイッチ143がオンになっていないと判断される場合は(S124:No)、次いで、設定変更スイッチ142がオンになったか否かを判断する(S125)。
【0532】
S125の結果、設定変更スイッチ142がオンされていないと判断されれば(S125:No)、S122の処理へ戻る一方、設定変更スイッチ142がオンされたと判断されれば(S125:Yes)、確率設定値を更新して(S126)、S122の処理に戻る。
【0533】
S126の処理である確率設定値の更新は、それまでの確率設定値が「1」~「5」である場合は、その確率設定値に1を加算し、それまでの確率設定値が「3」である場合は、確率設定値を「1」に戻すことで行われる。S126の処理により更新された確率設定値は、確率表示装置144に表示される。
【0534】
S122→S123→S124:No→S125(及びS126)→S122のループ処理は、S124の処理において、RAM消去スイッチ143がオンとなったと判断されるまで(S124:Yes)実行され続ける。そして、S124の処理により、RAM消去スイッチ143がオンとなったと判断される場合は(S124:Yes)、確率表示装置144に表示されている確率設定値を、これからの遊技で使用する確率設定値として確定し(S127)、該確率設定値に応じた大当たり乱数テーブル202aを設定する(S128)。
【0535】
S128の処理の後、次いで、設定キー141がオフ状態となったか否かを判断する(S129)。S129の処理では、設定キー141から出力される信号のレベルがオン状態からオフ状態へと遷移したことを検出した場合に、設定キー141がオフ状態になったと判断してもいし、設定キー141から出力される信号のレベルがオフ状態にあることを検出することで、設定キー141がオフ状態になったと判断してもよい。
【0536】
S129の処理の結果、設定キー141がオフ状態になっていないと判断される間は(S129:No)、S129の処理を繰り返し実行する。そして、S129の処理の結果、設定キー141がオフ状態になったと判断される場合は(S129:Yes)、確率表示装置144における確率設定値の表示の終了を設定し(S130)、この設定変更処理(S118)を終了する。
【0537】
なお、設定変更処理の終了後は、立ち上げ処理(図27参照)に戻り、処理をS116へ移行し、RAM203初期化処理を実行(S116,S117)し、RAM203のデータを消去(クリア)する。このように、S124の処理においてホール関係者等にRAM消去スイッチ143をオンさせて確率設定値を確定させることにより、その後、RAM203のデータの消去が行われることを、ホール関係者等に強く認識させることができる。
【0538】
また、S124の処理において、RAM消去スイッチ143のオン検出によって確率設定値を確定させていたが、設定キー141のオフ検出によって確率設定値を確定するように構成してもよい。
【0539】
次に、図29を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図29は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では、大別してカウンタの更新処理と電源断時処理とが実行される。
【0540】
メイン処理では、まず、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S151)。そして、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S151:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S152,S153)。
【0541】
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S152)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では「9999」、「99」)に達した際、「0」にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するカウンタ用バッファ203cにそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、後述するタイマ割込処理のS207(図30参照)の処理と同一の方法によって実行し(S153)、S151の処理へ移行する。
【0542】
ここで、このメイン処理が実行されている間、後述するタイマ割込処理(図30参照)が所定時間間隔(本実施形態では2ミリ秒)で起動され実行される。タイマ割込処理では、遊技の状態に応じて異なる処理が実行される。例えば、大当たり中には、可変入賞装置65の開閉を制御する処理が行われ、スルーゲート67への球の通過があれば、普通図柄表示装置83による普通図柄の表示制御が行われる。また、特別図柄表示装置37での変動表示を開始する場合に実行される大当たり抽選では、高確率状態か低確率状態かによって、取得した大当たり乱数カウンタC1と比較する大当たり乱数値の数が異なってくる。よって、1回のタイマ割込処理の実行にかかる時間は、遊技の状態に応じて変化することになる。従って、一のタイマ割込処理が終了してから次のタイマ割込処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく、その時々の遊技の状態に応じて変化する。
【0543】
メイン処理の一処理である上記のS152,S153の処理は、このタイマ割込処理の残余時間の中で実行されることになる。つまり、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新が繰り返し実行されることになるので、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、大当たり乱数カウンタC1の初期値、普図当たりカウンタC4の初期値)とをランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1についてもランダムに更新することができる。特に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2とをランダムに更新することによって、これらを更新の初期値として使用する大当たり乱数カウンタC1及び普図当たりカウンタC4の更新に、ランダム性を持たせることができる。
【0544】
S151の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S151:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図43において後述するNMI割込処理が実行されたということなので、S154以降の電源遮断時の処理が実行される。
【0545】
S154の処理では、各割込処理の発生を禁止し(S154)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(枠統括制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S155)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S156)、RAM203のアクセスを禁止して(S157)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
【0546】
なお、S151の処理は、タイマ割込処理(図30参照)の残余時間内に行われるS152とS153の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。これにより、主制御装置110のメイン処理において、タイマ割込処理による各種設定が終了し、また、各カウンタCINI1,CINI2,CS1の更新が終わったタイミングで、電源断の発生情報を確認している。よって、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS151の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS151の処理から開始することができる。
【0547】
従って、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S101)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S151の処理から開始することができる。その結果、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
【0548】
次に、図30を参照して、第1実施形態に係るパチンコ機10の主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理について説明する。図30は、第1実施形態のタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【0549】
このタイマ割込処理では、まず、外部出力処理を実行する(S201)。タイマ割込処理やメイン処理(図29参照)では、各種処理に基づいて、枠統括制御装置111や音声ランプ制御装置113、ホールコンピュータ500(図6参照)等へ送信すべきコマンド又は信号等を生成し、コマンドが生成された場合はRAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに一旦記憶し、信号が生成された場合は該信号に対応する装置(例えば、ホールコンピュータ500とパチンコ機10とを接続するための外部端子板23(図6参照)等)に信号を出力する。S201の外部出力処理では、上記コマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データを、サブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信するとともに、上記信号を各種装置へ出力する。
【0550】
S201の処理の後は、次に、枠統括制御装置111より受信した賞球信号や払出異常信号を読み込み(S202)、次いで、各特別図柄の当たり時における処理を実行する当たり処理を実行する(S203)。この当たり処理(S203)については、図35において後述する。
【0551】
S203の後は、次に、普通電役72の駆動制御処理を実行する普通電役制御処理を実行する(S204)。簡単に説明すると、球がスルーゲート67を通過したことを条件に普通図柄表示装置83にて普通図柄の可変表示が実施され、普通図柄の可変表示の結果、普通図柄の当たり図柄(例えば、「○」図柄)が現出して当たり状態となると、普通電役72を所定時間開放状態とする一方、普通図柄のハズレ図柄(例えば、「×」図柄)が現出した場合は、普通電役72の閉鎖状態を維持する。この普通電役制御処理については、図40を参照して後述する。
【0552】
S204の処理の後は、次いで、各種入賞スイッチ、アウト口66(図4参照)に流入した球を検出可能なアウトスイッチ(図示せず)の読み込み処理を実行する(S205)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチ208の状態を読み込むと共に、当該スイッチ208の状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。また、入賞検知情報に基づいて枠統括制御装置111に対して送信すべき獲得球数に対応する賞球コマンドをRAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに設定する。これにより、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(S201)によって、所定の賞球コマンドが枠統括制御装置111に向けて送信される。また、現在時刻と各種入賞口スイッチ、アウトスイッチの検出結果に応じて役物比率データ及び発射球数データを算出して、役比モニタ146(図7参照)に表示する。このスイッチ読み込み処理については、図41を参照して後述する。
【0553】
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S206)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(第1実施形態では、「9999」)に達した際、「0」にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するカウンタ用バッファ203c領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(第1実施形態では、「99」)に達した際、「0」にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するカウンタ用バッファ203c領域に格納する。
【0554】
次いで、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3、変動種別カウンタCS1及び普図当たりカウンタC4の更新を実行する(S207)。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3、変動種別カウンタCS1及び普図当たりカウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(第1実施形態では、それぞれ、「9999」,「99」,「99」,「9」,「99」)に達した際、それぞれ「0」にクリアする。また、大当たり乱数カウンタC1又は普図当たりカウンタC4が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1又は第2初期値乱数カウンタCINI2の値を当該大当たり乱数カウンタC1又は普図当たりカウンタC4の初期値として読み込み、その初期値を大当たり乱数カウンタC1又は普図当たりカウンタC4に設定する。そして、各カウンタC1~C4の更新値を、RAM203の該当するカウンタ用バッファ203c領域に格納する。
【0555】
次に、第1始動口64又は第2始動口71への入賞に伴う始動入賞処理を実行する(S208)。なお、この始動入賞処理(S208)の詳細は、図31を参照して後述する。
【0556】
次いで、スルーゲート67への球の通過有無を判断するゲート通過処理を実行する(S209)。このゲート通過処理(S209)においてスルーゲート67を球が通過したと判別された場合に、普図当たりカウンタC4の値がカウンタ用バッファ203cから取得され、その普図当たりカウンタC4の値が普図保留球格納エリア203i(図7参照)に格納されるとともに普通図柄保留ランプ84に普通図柄の可変表示の保留数が表示等される。なお、このゲート通過処理(S209)の詳細は、図32を参照して後述する。
【0557】
ゲート通過処理(S209)を実行した後は、上記始動入賞処理(S208)の処理内容に基づいて特別図柄表示装置37による特別図柄の動的表示を行うための処理や第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特図変動処理を実行する(S210)。なお、特図変動処理(S210)の詳細は、図33を参照して後述する。
【0558】
次いで、上記ゲート通過処理(S209)の処理内容に基づいて、普通図柄の当否判別を行うとともに、該判別結果に基づく普通図柄の可変表示を普通図柄表示装置83において行うための設定処理である普図変動処理を実行する(S211)。この普図変動処理(S211)では、上述した遊技状態に応じて、普通図柄の当たり確率が、高確率(例えば、99/100)か低確率(0/100)のいずれかで行われる。そして、当否結果に基づいて普通図柄の可変表示を行うとともに、該当否結果に応じた表示結果を普通図柄表示装置83に表示する。なお、普図変動処理(S211)の詳細は、図39を参照して後述する。
【0559】
普図変動処理(S211)を実行した後は、カードユニット300との接続状態を確認して、枠統括制御装置111(発射制御装置112)による球の発射が可能か否かを判別する発射制御処理を実行する(S212)。なお、発射制御処理(S212)の詳細は、図42を参照して後述する。発射制御処理(S212)を実行した後は、さらに、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S213)、このタイマ割込処理を終了する。
【0560】
なお、発射制御処理(S212)は、遊技者が発射ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理も実行する。そして、球の発射がオンである場合、発射制御装置112へ発射許可信号を送信するために、その発射許可信号の情報を、RAM203に設けられたコマンド送信用リングバッファに設定する。これにより、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(S201)によって、発射許可信号が枠統括制御装置111を介して発射制御装置112へ送信される。
【0561】
また、本実施形態では、定期的に実行する処理をタイマ割込処理(図30参照)で実行し、メイン処理(図29参照)において、タイマ割込処理の残余時間に各カウンタCINI1,CINI2,CS1の更新を実行する場合について説明したが、タイマ割込処理にて実行していた処理の一部または全部を、メイン処理の中で所定時間(例えば、2ミリ秒)毎に実行するように構成してもよい。例えば、本実施形態においてタイマ割込処理にて実行していた賞球計数信号,払出異常信号読み込み処理(S202)、当たり処理(S203)、普通電役制御処理(S204)及びスイッチ読み込み処理(S205)の一部または全部を、タイマ割込処理ではなく、メイン処理の中で2ミリ秒毎に実行するように構成してもよい。
【0562】
この場合、メイン処理の中で所定時間(2ミリ秒)経過したか否かを判断するステップを設け、所定時間経過したと判断された場合のみ、所定時間毎に実行する処理を実行し、各カウンタCINI1,CINI2,CS1の更新は、所定時間の経過の有無にかかわらず実行するようにしてもよい。これにより、各カウンタCINI1,CINI2,CS1の更新は、所定時間毎に実行する処理の残余時間に実行されることになるが、所定時間毎に実行する処理は、遊技の状態に応じてその実行にかかる時間が変化するため、このように構成した場合であっても、各カウンタCINI1,CINI2,CS1をランダムに更新することができる。
【0563】
次に、図31のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図30参照)の一処理である始動入賞処理(S208)を説明する。図31は、この始動入賞処理(S208)を示すフローチャートである。
【0564】
始動入賞処理(S208)は、第1始動口64又は第2始動口71への球の入賞の有無を判断し、入賞があった場合は、各カウンタC1~C3,CS1の値を入賞した始動口64,71に対応する第1保留球格納エリア203d又は第2保留球格納エリア203eに格納する(保留する)処理を実行する。また、保留する各カウンタC1~C3,CS1の値を保留球数と合わせて音声ランプ制御装置113へ送信するための処理を実行する。
【0565】
MPU201は、この始動入賞処理(S208)において、まず、球が第1始動口64に入賞(始動入賞)したか否かを判別する(S301)。ここでは、スイッチ読み込み処理(図30のS205参照)において読み込んだ、第1始動口64への入球(入賞)を検出する第1始動口スイッチ(図示せず)の出力信号に基づいて、第1始動口64への入球を3回のタイマ割込処理(図30参照)にわたって検出する。
【0566】
S301の判別の結果、球が第1始動口64に入賞した(始動入賞があった)と判別されると(S301:Yes)、次いで、第1保留球数カウンタ203aの値(主制御装置110において保留されている第1特別図柄の動的表示(変動演出)の作動保留球数N1)が上限値(第1実施形態では、「4」)未満であるか否かを判別する(S302)。そして、第1始動口64への入賞があっても作動保留球数N1<4でなければ(S302:No)、この始動入賞処理(S208)を終了し、タイマ割込処理(図30参照)へ戻る。
【0567】
一方、作動保留球数N1<4であれば(S302:Yes)、第1保留球数カウンタ203aの値(作動保留球数N1)を1加算する(S303)。そして、今回、第1特別図柄に対応する第1始動口64への入賞であるので、第1保留球格納エリア203dを各乱数値C1~C3,CS1の格納先として設定し(S304)、処理をS309へ移行する。
【0568】
S301の処理において、球が第1始動口64に入賞していないと判別された場合(S301:No)、次いで、球が第2始動口71に入賞(始動入賞)したか否かを判別する(S305)。ここでは、第1始動口64と同様、スイッチ読み込み処理(図30のS205参照)において読み込んだ、第2始動口71への入球(入賞)を検出する第2始動口スイッチ(図示せず)の出力信号に基づいて、第2始動口71への入球を3回のタイマ割込処理(図30参照)に亘って検出する。
【0569】
球が第2始動口71に入賞した(始動入賞があった)と判別されると(S305:Yes)、次いで、第2保留球数カウンタ203bの値(主制御装置110において保留されている第2特別図柄の動的表示(変動演出)の作動保留球数N2)が上限値(第1実施形態では、「4」)未満であるか否かを判別する(S306)。そして、第2始動口71への入賞がないか(S305:No)、或いは、第2始動口71への入賞があっても作動保留球数N2<4でなければ(S306:No)、この始動入賞処理(S208)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)へ戻る。
【0570】
一方、作動保留球数N2<4であれば(S306:Yes)、第2保留球数カウンタ203bの値(作動保留球数N2)を1加算する(S307)。そして、今回、第2特別図柄に対応する第2始動口71への入賞であるので、第2保留球格納エリア203eを各乱数値C1~C3,CS1の格納先として設定し(S308)、処理をS309へ移行する。
【0571】
また、S301及びS305の処理において、第1始動口64及び第2始動口71に同時に球が入賞した場合は、第1始動口64への球の入賞処理を優先的に実行し、第2始動口71への球の入賞処理を待機し、次のタイマ割込処理(図30参照)における始動入賞処理(S208)において、該待機した第2始動口71への球の入賞処理を実行するように構成してもよい。
【0572】
S309の処理では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び変動種別カウンタCS1の各値をカウンタ用バッファ203c(図7参照)から読み出し、各保留球格納エリアに格納する。つまり、S304で第1保留球格納エリア203dが格納先として設定された場合は、第1保留球格納エリア203dに設けられた第1保留第1~第4エリアのうち、第1保留球数カウンタ203aで示される値に対応するエリアの大当たり乱数カウンタ格納エリア203d1、大当たり種別カウンタ格納エリア203d2、停止パターン選択カウンタ格納エリア203d3及び変動種別カウンタ格納エリア203d4に各々保留(格納)する(S312)。
【0573】
具体的には、例えば、第1始動口64への入賞に基づくS304の処理において第1保留球格納エリア203dが格納先として設定され、また、S303の処理による加算後の第1保留球数カウンタ203aの値が「1」であれば、第1保留第1エリアの各格納エリアにそれぞれカウンタC1~C3,CS1の値が保留される。また、加算後の第1保留球数カウンタ203aの値が「2」であれば第1保留第2エリアの各格納エリアに、加算後の第1保留球数カウンタ203aの値が「3」であれば第1保留第3エリアの各格納エリアに、加算後の第1保留球数カウンタ203aの値が「4」であれば第1保留第4エリアの各格納エリアに、各々カウンタC1~C3,CS1の値が保留される。
【0574】
また、S308で格納先として設定された第2保留球格納エリア203eに設けられた第2保留第1~第4エリアのうち、第2保留球数カウンタ203bで示される値に対応するエリアの大当たり乱数カウンタ格納エリア203e1、大当たり種別カウンタ格納エリア203e2、停止パターン選択カウンタ格納エリア203e3及び変動種別カウンタ格納エリア203e4に各々保留(格納)する(S309)。
【0575】
具体的には、例えば、第2始動口71への入賞に基づくS308の処理において第2保留球格納エリア203eが格納先として設定され、また、S307の処理による加算後の第2保留球数カウンタ203bの値が「1」であれば、第2保留第1エリアの各格納エリアにそれぞれカウンタC1~C3,CS1の値が保留される。また、加算後の第2保留球数カウンタ203bの値が「2」であれば第2保留第2エリアの各格納エリアに、加算後の第2保留球数カウンタ203bの値が「3」であれば第2保留第3エリアの各格納エリアに、加算後の第2保留球数カウンタ203bの値が「4」であれば第2保留第4エリアの各格納エリアに、各々カウンタC1~C3,CS1の値が保留される。
【0576】
次に、S303の処理による加算後の第1保留球数カウンタ203aの値(作動保留球数N1)と、S309の処理により第1保留球格納エリア203dに格納(保留)した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び変動種別カウンタCS1の各値を含む第1保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信するために、該第1保留球数コマンドをRAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに設定する(S310)。また、S307の処理による加算後の第2保留球数カウンタ203bの値(作動保留球数N1)と、S309の処理により第2保留球格納エリア203eに格納(保留)した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び変動種別カウンタCS1の各値を含む第2保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信するために、該第2保留球数コマンドをRAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに設定する(S310)。これにより、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)によって、第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドが音声ランプ制御装置113に対して送信される。S310の処理を終えると、この始動入賞処理(S208)を終了し、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0577】
なお、S310の処理において第1保留球数コマンド又は第2保留球数コマンドに含める各カウンタC1~C3,CS1の値は、S312の処理によりカウンタ用バッファ203cから読み出した値そのものを用いてもよいし、S309の処理において第1保留球格納エリア203d又は第2保留球格納エリア203eに格納(保留)された値を読み出したものを用いてもよい。
【0578】
次に、図32を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図30参照)の一処理であるゲート通過処理(S209)を説明する。図32は、このゲート通過処理(S209)を示すフローチャートである。ゲート通過処理(S209)は、スルーゲート67への球の通過(入球)の有無を判断し、球が通過(入球)した場合は、普図当たりカウンタC4の値を普図保留球格納エリア203iに格納する(保留する)処理を実行する。
【0579】
このゲート通過処理(S209)では、まず、球がスルーゲート67を通過したか否かを判別する(S401)。ここでは、スイッチ読み込み処理(図30のS205参照)において読み込んだスルーゲート67への球の通過(入球)を検出するスルーゲートスイッチ(図示せず)の出力信号に基づいて、スルーゲート67への通過(入球)を3回のタイマ割込処理(図30参照)にわたって検出する。
【0580】
S401の処理において、スルーゲート67を球が通過していない場合は(S401:No)、このゲート通過処理(S209)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)へ戻る。一方、球がスルーゲート67を通過(入球)したと判別されると(S401:Yes)、次いで、遊技状態が「通常遊技状態」か否か、即ち、左打ち遊技の球の発射が奨励されている遊技状態か否かを判別する(S402)。判別の結果、「通常遊技状態」であれば(S402:Yes)、奨励される左打ち遊技ではなく非奨励の(禁止されている)右打ち遊技によって発射された球がスルーゲート67を通過したということなので、音声出力装置226(図7参照)から警報音を出力するとともに、第3図柄表示装置81において「左打ちに戻してね」という文字表示を表示する等の通常時右打ちエラー処理を実行し(S403)、処理をS404へ移行する。
【0581】
このように構成することで、右打ち遊技が推奨されていない「通常遊技状態」においてスルーゲート67で球が検知された場合に、警報音を出力する等のエラー処理を行うことで、右打ち遊技が奨励されていない遊技状態において遊技者に右打ち遊技の実行を敬遠させ、奨励される遊技仕様と異なる遊技形態での遊技を極力排除し、各遊技状態において想定されている遊技性を実現することができる。
【0582】
なお、S402の処理において、遊技状態が「通常遊技状態」でなければ(S402:No)、右打ち遊技が奨励される「確率変動状態」又は「時間短縮状態」であるので、S403の通常時右打ちエラー処理を行わず、S403の処理をスキップして、処理をS404へ移行する。
【0583】
S404の処理では、普図保留球数カウンタ203hの値(主制御装置110において保留されている普通図柄の可変表示の作動保留球数HN)が上限値(第1実施形態では、「4」)未満であるか否かを判別する(S404)。そして、スルーゲート67への通過(入球)があっても作動保留球数HN<4でなければ(S404:No)、このゲート通過処理(S209)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)へ戻る。
【0584】
一方、作動保留球数HN<4であれば(S404:Yes)、普図保留球数カウンタ203hの値(作動保留球数HN)を1加算する(S405)。そして、普図当たりカウンタC4の値をカウンタ用バッファ203c(図7参照)から読み出し、読み出したデータを、普図保留球格納エリア203iに設けられた普図保留第1~第4エリアのうち、普図保留球数カウンタ203hで示される値に対応するエリアに格納する(S406)。
【0585】
具体的には、例えば、S405の処理による加算後の普図保留球数カウンタ203hの値が「1」であれば、普図保留第1エリアに普図当たりカウンタC4の値が保留される。また、加算後の普図保留球数カウンタ203hの値が「2」であれば普図保留第2エリアに、加算後の普図保留球数カウンタ203hの値が「3」であれば普図保留第3エリアに、加算後の普図保留球数カウンタ203hの値が「4」であれば普図保留第4エリアに、普図当たりカウンタC4の値が保留される。S406の処理の終了後は、このゲート通過処理(S209)を終了し、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0586】
なお、第1実施形態では、普通図柄の可変表示に関する普図保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信しないように構成されているが、普通図柄の可変表示に関する普図保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信して、普通図柄の可変表示に関する保留図柄等に関する演出(報知)を行うように構成してもよい。この場合に、普図当たりカウンタC4の値を普図保留球数コマンドに含めて送信することで、音声ランプ制御装置113で普通図柄に関する所謂先読み処理を実行可能に構成し、普通図柄に関する演出のバリエーションを設けるように構成してもよい。
【0587】
次に、図33を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図30参照)の一処理である特図変動処理(S210)について説明する。図33は、この特図変動処理を示すフローチャートである。この特図変動処理は、特別図柄表示装置37における動的表示や第3図柄表示装置81にて行う変動演出に関する制御を行うと共に、第3図柄表示装置81で変動演出が行われていない場合において、デモ表示の設定を行うものである。
【0588】
MPU201は、この特図変動処理(S210)では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S501)。大当たり中としては、大当たりの際に第3図柄表示装置81及び特別図柄表示装置37で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S501:Yes)、そのまま変動処理を終了し、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0589】
大当たり中でなければ(S501:No)、特別図柄表示装置37の表示態様が動的表示中であるか否かを判別し(S502)、特別図柄表示装置37の表示態様が動的表示中でなければ(S502:No)、次いで、特別図柄表示装置37における動的表示が停止後、所定時間経過したか否かを判別する(S503)。その結果、動的表示の停止後、所定時間経過していなければ(S503:No)、タイマ割込処理(図30参照)へ戻る。これにより、動的表示(変動演出)における停止図柄が所定時間だけ特別図柄表示装置37および第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者に対して、その停止図柄を視認させることができる。
【0590】
一方、S503の処理の結果、動的表示の停止後、所定時間経過していれば(S503:Yes)、第2保留球数カウンタ203bの値(主制御装置110において保留されている第2特別図柄に関する動的表示(変動演出)の作動保留球数N2)が「0」よりも大きいか否かを判別する(S504)。その結果、第2保留球数カウンタ203bの値(作動保留球数N2)が「0」でなければ(S504:Yes)、第2特別図柄に関する動的表示(変動演出)の実行開始タイミングであると判断し、まず、第2保留球数カウンタ203bの値(作動保留球数N2)を1減算する(S505)。これは、後述する変動開始処理(S510)によって、保留されていた第2特別図柄に関する動的表示(変動演出)のうち1の動的表示(変動演出)の実行が開始されるため、第2特別図柄に関する保留球数が1つ減少するためである。
【0591】
次いで、第2保留球格納エリア203eに格納されたデータをシフト処理する(S506)。このデータシフト処理(S506)は、第2保留球格納エリア203eの第2保留第1~第4エリアに格納されているデータを保留球実行エリア203fへ向けて順にシフトさせる処理であって、第2保留第1エリア→保留球実行エリア203f、第2保留第2エリア→第2保留第1エリア、第2保留第3エリア→第2保留第2エリア、第2保留第4エリア→第2保留第3エリアといった具合に、各エリア内のデータがシフトされる。
【0592】
一方、S504の処理において、第2保留球数カウンタ203bの値(作動保留球数N2)が「0」であると判別されると(S504:No)、次に、第1保留球数カウンタ203aの値(主制御装置110において保留されている第1特別図柄に関する動的表示(変動演出)の作動保留球数N1)が「0」よりも大きいか否かを判別する(S507)。その結果、第1保留球数カウンタ203aの値(作動保留球数N1)が「0」でなければ(S507:Yes)、第1特別図柄に関する動的表示(変動演出)の実行開始タイミングであると判断し、まず、第1保留球数カウンタ203aの値(作動保留球数N1)を1減算する(S508)。これは、後述する変動開始処理(S510)によって、保留されていた第1特別図柄に関する動的表示(変動演出)のうち1の動的表示(変動演出)の実行が開始されるため、保留球数が1つ減少するためである。
【0593】
次いで、第1保留球格納エリア203dに格納されたデータをシフト処理する(S509)。このデータシフト処理(S509)は、第1保留球格納エリア203dの第1保留第1~第4エリアに格納されているデータを保留球実行エリア203fへ向けて順にシフトさせる処理であって、第1保留第1エリア→保留球実行エリア203f、第1保留第2エリア→第1保留第1エリア、第1保留第3エリア→第1保留第2エリア、第1保留第4エリア→第1保留第3エリアといった具合に、各エリア内のデータがシフトされる。
【0594】
S506又はS509のデータシフト処理の後は、データシフト処理により保留球実行エリア203fに格納された各種カウンタの値に基づいて、特別図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81に対する変動開始処理を実行し(S510)、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。なお、変動開始処理(S510)については、図34を参照して後述する。
【0595】
S507の処理において、第1保留球数カウンタ203aの値(作動保留球数N1)が「0」であると判別されると(S507:No)、第3図柄表示装置81においてデモ演出が行われている状態であるか否か、即ち、デモ中であるか否かを判別する(S511)。この判別処理では、音声ランプ制御装置113を介して表示制御装置114にデモコマンドを送信した後、第1保留球数カウンタ203a又は第2保留球数カウンタ203bの値(作動保留球数N1又は作動保留球数N2)のいずれかの値が「0」より大きいと判断されるまでの間をデモ中として判別する。
【0596】
そして、デモ中ではないと判別された場合は(S511:No)、音声ランプ制御装置113へ送信すべきデモコマンドを設定して(S512)、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。一方、デモ中であると判別された場合は(S511:Yes)、そのままタイマ割込処理(図30参照)に戻る。S512の処理で設定されたデモコマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。
【0597】
音声ランプ制御装置113は、デモコマンドを受信すると、表示用デモコマンドを表示制御装置114へ送信し、表示制御装置114は、表示用デモコマンドの受信に基づいて、第3図柄表示装置81にデモ演出を表示するように制御を行う。
【0598】
ここで、デモコマンドが設定されるのは、上述したように、変動停止後、所定時間が経過したときに保留球が1つも存在しない場合である。よって、変動停止後、所定時間経過しても変動演出が開始されない場合は、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示される。
【0599】
なお、S511の処理においてデモ中ではない(S511:No)と判断された場合に、さらに、変動停止後、前記所定時間よりも長い第2の所定時間が経過したか否かを判断する処理を実行し、変動停止後、第2の所定時間が経過したことをもってS512の処理を実行してデモコマンドを設定するようにしてもよい。これにより、変動停止後、保留球が1つも存在しない場合に、すぐにデモ演出を開始することなく、比較的長い時間、その停止した変動演出の停止図柄を遊技者に見せることができる。
【0600】
S502の処理において、特別図柄表示装置37の表示態様が動的表示中であると判別されると(S502:Yes)、動的表示時間(変動時間)が経過したか否かを判別する(S513)。特別図柄表示装置37の動的表示中の表示時間は、変動種別カウンタCS1により選択された変動パターンに応じて決められており(変動パターンコマンドに応じて決められており)、この動的表示時間(変動時間)が経過していなければ(S513:No)、特別図柄表示装置37の表示を更新して(S514)、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0601】
第1実施形態では、特別図柄表示装置37の特別LED群37bにおいて、動的表示が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、変動している特別図柄に対応する特別LED群37b(即ち、上方LED群37b1又は下方LED群37b2)が所定の点灯パターンで点灯又は消灯する表示態様が設定される。
【0602】
一方、特別図柄表示装置37における動的表示の動的表示時間(変動時間)が経過していれば(S513:Yes)、特別図柄表示装置37に対して、停止図柄に対応した表示態様を設定する(S515)。停止図柄は、図34を参照して後述する変動開始処理(S510)によって予め設定される。変動開始処理(S510)では、S506又はS509の処理によって保留球実行エリア203fに格納された大当たり乱数カウンタC1の値に応じて大当たりか否かが決定され、大当たりである場合には、大当たり種別カウンタC2の値により、大当たり種別に対応する図柄が決定される。
【0603】
第1実施形態では、判定結果がハズレである場合には、最も左側のLEDのみが点灯表示され、判定結果が大当たりである場合には、該大当たりの種類(種別)に対応した点灯パターンで各LED群が点灯表示される。
【0604】
S515の処理で停止図柄に対応した特別図柄表示装置37の表示態様が設定されると、第3図柄表示装置81における変動演出の停止図柄を、特別図柄表示装置37における特別LED群37bの表示と同調して確定表示させるために、確定コマンドを設定して(S516)、処理をS517へ移行する。確定コマンドは、第3図柄表示装置81にて実行中の変動演出を確定表示させるためコマンドである。
【0605】
音声ランプ制御装置113は、この確定コマンドを受信すると、表示制御装置114に対して表示用確定コマンドを送信する。表示制御装置114は、表示用確定コマンドを受信することによって、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出を停止して、停止図柄を確定表示させるように構成されている。
【0606】
S517の処理では、「時間短縮状態」か否かを判別するために、RAM203に設けられた時短カウンタ(図示せず)の値が「0」よりも大きいか否かを判別する(S517)。
【0607】
S517の処理において、時短カウンタ(図示せず)の値が「0」でなければ(S517:Yes)、「時間短縮状態」であって、その状態においていずれかの特別図柄の動的表示(変動演出)が1回終了したので、時短カウンタの値を1減算し(S518)、この特図変動処理(S210)を終了し、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0608】
一方、S517の処理において、時短カウンタ(図示せず)の値が「0」であれば(S517:No)、「時間短縮状態」ではなく、「通常遊技状態」又は「確率変動状態」であるので、S518の処理をスキップして、この特図変動処理(S210)を終了し、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0609】
次に、図34を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特図変動処理(S210)の一処理である変動開始処理(S510)について説明する。図34は、変動開始処理(S510)を示したフローチャートである。この変動開始処理(S510)は、遊技状態に応じて保留球実行エリア203fに格納された各種カウンタの値に基づき、遊技状態に応じて大当たり又はハズレの抽選(大当たり抽選)を行うと共に、特別図柄表示装置37および第3図柄表示装置81で行われる動的表示および変動演出の動的パターン(変動パターン及び停止種別)等を決定する。
【0610】
変動開始処理(S510)では、まず、遊技状態を判別するために、遊技状態が「確率変動状態」か否かを判別する(S5001)。判別の結果、「確率変動状態」でないと判別された場合(S5001:No)、遊技状態が「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」であり、特別図柄の大当たり確率が低確率状態であるので、低確率状態用の大当たり乱数テーブル202aを設定し(S5002)、処理をS5004へ移行する。一方、「確率変動状態」であると判別された場合は(S5001:Yes)、特別図柄の大当たり確率が高確率状態であるので、高確率状態用の大当たり乱数テーブル202aを設定し(S5003)、処理をS5004へ移行する。
【0611】
S5004の処理では、保留球実行エリア203fに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値と、S5002又はS5003において設定された大当たり乱数テーブル202aとに基づいて大当たりか否かを判別する大当たり抽選(当否判定)処理を行う(S5004)。
【0612】
第1実施形態のパチンコ機10では、大当たりか否かは、確率設定値に基づいて設定された大当たり乱数テーブル202aを参照して、保留球実行エリア203fに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値とその時々の遊技状態(モード)との関係に基づいて判別される。上述した通り、パチンコ機10の取りうる遊技状態(モード)が通常の低確率状態(「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」)にある場合には、大当たり乱数テーブル202aにおいて、大当たり確率が設定値「1」で32/10000、設定値「3」で36/10000となるように大当たり乱数値が規定されている。また、パチンコ機10の取りうる遊技状態(モード)が高確率状態(「確率変動状態」)にある場合には、大当たり乱数テーブル202aにおいて、大当たり確率が設定値「1」で300/10000、設定値「3」で304/10000となるように大当たり乱数値が規定されている。
【0613】
S5004の処理では、保留球実行エリア203fに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値と、これら大当たり乱数テーブル202aにて規定される大当たり乱数値とを比較して、それらが一致する場合に、大当たりであると判別する。S5004の処理の結果、大当たりであると判別された場合(S5004:Yes)、大当たり種別テーブル202b(図20参照)と、保留球実行エリア203fに格納されている大当たり種別カウンタC2の値とに基づいて、大当たり時の表示態様を設定する(S5005)。
【0614】
この処理では、大当たり種別テーブル202bによって、保留球実行エリア203fに格納されている大当たり種別カウンタC2の値に対応付けられた大当たり種別、即ち、最大ラウンド数が10ラウンドの大当たり後に、次回大当たりまで特別図柄が高確率状態となるとともに入賞補助機能が継続する「確率変動状態」へ移行する「確変A」か、最大ラウンド数が5ラウンドの大当たり後に、特別図柄が低確率状態であるが特別図柄が200回変動するまで入賞補助機能が有効な「時短A」か、が判別される。そして、判別された大当たり種別に基づいて、特別図柄表示装置37における大当たり時の表示態様(特別LED群37bの表示態様)が設定される。
【0615】
次に、大当たり時の変動パターンを決定し(S5006)、S5009の処理へ移行する。具体的には、特別図柄表示装置37および第3図柄表示装置81において、大当たり時の表示態様(停止種別)と、保留球実行エリア203fに格納されている停止パターン選択カウンタC3の値とに基づいて演出態様を選択し、その選択された演出態様の中から変動種別カウンタCS1の値に基づいて動的表示(変動演出)の動的時間(変動時間)が決定される。この大当たり時の変動パターンの決定では、まず、その大当たりの停止種別に応じて、使用する停止パターンテーブル202d3,202d6(図22(c)又は図23(c)参照)を選択する。
【0616】
具体的には、S5006の処理では、大当たり用に設けられた停止パターンテーブル202dのCテーブル202d3又はFテーブル202d6において、保留球実行エリア203fに格納されている停止パターン選択カウンタC3の値に対応付けられた演出態様を選択する。そして、選択された演出態様毎に設けられた変動パターンテーブル202eにおいて、保留球実行エリア203fに格納されている変動種別カウンタCS1の値に対応付けられた変動パターンを選択する。そして、予め規定された変動パターンと変動時間との関係に基づいて、変動時間が設定される。
【0617】
一方、S5004の処理で大当たりではないと判別された場合には(S5004:No)、ハズレ時の表示態様を設定する(S50007)。S5007の処理では、特別図柄表示装置37の表示態様をハズレ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、保留球実行エリア203fに格納されている停止パターン選択カウンタC3の値と第1保留球数カウンタ203a又は(及び)第2保留球数カウンタ203bの値と現在の遊技状態とに基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる演出態様として、「非リーチ(ロング)」演出態様、「非リーチ(ミドル)」演出態様、「非リーチ(ショート)」演出態様、「ノーマルリーチ」演出態様、「スーパーリーチ」演出態様、又は、「スペシャルリーチ」演出態様のいずれかを設定する。
【0618】
次に、ハズレ時の変動パターンを決定し(S5008)、S5009の処理へ移行する。S5008の処理では、特別図柄表示装置37および第3図柄表示装置81において、ハズレ図柄で停止表示するまでの変動時間が決定される。具体的には、S5008の処理において決定されたハズレ時の表示態様(演出態様)毎に設けられた変動パターンテーブル202eにおいて、保留球実行エリア203fに格納されている変動種別カウンタCS1の値に対応付けられた変動パターンを選択する。そして、予め規定された変動パターンと変動時間との関係に基づいて、変動時間が設定される。
【0619】
このように、大当たり時における演出態様および変動パターンの設定処理と、ハズレ時における演出態様および変動パターンの設定処理とを、同じ乱数値C3,CS1を用いて同じ判定プログラムによって判定して決定することで、プログラムを共通化することができ、開発時における開発工数を削減することができる。
【0620】
S5009の処理では、S5006又はS5008の処理によって決定された変動パターンの応じた変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113を介してその変動パターンに応じた変動時間を表示制御装置114へ通知する変動パターンコマンドを設定する(S5009)。具体的には、例えば、大当たり抽選に当選し、該大当たりが「確変A」であって、さらに、「60秒」の「スーパーリーチ」の変動パターンが選択されていた場合は、大当たり・「確変A」・「60秒」の「スーパーリーチ」を示す変動パターンコマンドが設定される。また、大当たり抽選にハズレて、さらに、「60秒」の「スーパーリーチ」の変動パターンが選択されていた場合は、ハズレ・「60秒」の「スーパーリーチ」を示す変動パターンコマンドが設定される。
【0621】
このように、変動演出が同じ変動時間であっても、変動パターンコマンドに変動演出の当否と大まかな変動パターンの内容も併せて設定することで、音声ランプ制御装置113は、当否を含む演出態様の内容と変動時間とを把握して、それらの情報を基により詳細は変動演出の変動パターンを決定することができる。
【0622】
S5009の処理の後は、S50005又はS5007の処理で設定された停止種別を、音声ランプ制御装置113を介して表示制御装置114へ通知するための停止種別コマンドを設定し(S5010)、特図変動処理(図33参照)へ戻る。
【0623】
具体的には、例えば、大当たりに当選し、その大当たりの内容が「確変A」であれば、具体的な第3図柄の停止態様(例えば、「7」図柄等)は特定せずに、「確変A」であることを示す停止種別コマンドを設定する。また、大当たりに当選し、その大当たりの内容が「時短A」であれば、具体的な第3図柄の停止態様(例えば、「4」図柄等)は特定せずに、「時短A」であることを示す停止種別コマンドを設定する。
【0624】
一方、大当たりに当選せず、さらに、「スーパーリーチ」演出態様が選択されていれば、具体的な第3図柄の停止態様(例えば、「787」等)は特定せずに、ハズレ時の「スーパーリーチ」演出態様であることを示す停止種別コマンドを設定する。また、大当たりに当選せず、さらに、「ノーマルリーチ」演出態様が選択されていれば、具体的な第3図柄の停止態様(例えば、「737」等)は特定せずに、ハズレ時の「ノーマルリーチ」演出態様であることを示す停止種別コマンドを設定する。さらに、大当たりに当選せず、さらに、「非リーチ」演出態様が選択されていれば、具体的な第3図柄の停止態様(例えば、「258」等)は特定せずに、ハズレ時の「非リーチ」演出態様であることを示す停止種別コマンドを設定する。
【0625】
このように、停止種別コマンドに変動演出の当否に基づいた大まかな停止種別を設定することで、音声ランプ制御装置113(表示制御装置114)は、当否に基づいた停止種別を把握して、それらの情報を基により詳細は変動演出の停止結果を決定することができる。
【0626】
これらの変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)で、これらのコマンドが音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113は、変動パターンコマンドや停止種別コマンドを受信すると、それに基づき表示用変動パターンコマンドや表示種別コマンドを生成して、表示制御装置114へ送信する。
【0627】
次に、図35を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図30参照)の一処理である当たり処理(S203)について説明する。図35は、この当たり処理(S203)を示したフローチャートである。
【0628】
この当たり処理(S203)は、各特別図柄の大当たりが発生する場合に、大当たりの種類に応じて可変入賞装置65(大入賞口)の開放回数(ラウンド数)を設定すると共に、可変入賞装置65の開放時間を設定する。そして、大当たり状態(遊技)である場合において、可変入賞装置65を開放又は閉鎖するための大当たり開閉制御処理(S608)を実行し、大当たり状態が終了するタイミングで、大当たり状態の終了を設定する大当たり終了処理(S610)を実行する。
【0629】
当たり処理(S203)では、まず、いずれかの特別図柄の動的表示において大当たりに当選したか否かを判別する(S601)。判別の結果、大当たりに当選していれば(S601:Yes)、大当たり遊技を行うために、まず、大当たり遊技中の「確変機能」及び「時短機能」を無効にすべく、確変フラグ及び時短フラグ(ともに図示せず)をオフに設定し(S602)、さらに、時短カウンタ(図示せず)の値を「0」クリアする(S603)。次いで、大当たり種別に応じたラウンド数をRAM203に設けられたラウンドカウンタ(図示せず)にセットする(S604)。そして、大当たりが開始されることを示す大当たりオープニングコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信するために、大当たりオープニングコマンドをRAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに設定し(S604)、次いで、該大当たり種別に応じたオープニング時間(例えば、「30秒」又は「10秒」)を設定して(S606)、処理をS607へ移行する。これにより、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)によって、大当たり種別に応じた大当たりオープニングコマンドが音声ランプ制御装置113に向けて送信される。
【0630】
なお、上述したラウンドカウンタは、電源投入時に初期値として「0」がセットされる。MPU201は、該ラウンドカウンタの値を確認して、ラウンドカウンタに値が設定されている場合(即ち、「1」以上)は、大当たり遊技に応じて可変入賞装置65を開放制御しつつ、該ラウンドカウンタの値を1減算する。そして、ラウンドカウンタの値が「0」になった場合に、実行中の大当たりを終了するように構成されている。
【0631】
S601の処理において、いずれかの特別図柄の動的表示において大当たりに当選していないと判別された場合は(S601:No)、次いで、大当たり中か否かを判別する(S607)。判別の結果、大当たり中であると判別された場合は(S607:Yes)、可変入賞装置65の開閉制御を実行する大当たり開閉制御処理を実行する(S608)。なお、大当たり中でないと判別された場合には(S607:No)、S608~S610の処理をスキップして、この当たり処理(S203)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0632】
ここで、図36を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される当たり処理(S203)の一処理である大当たり開閉制御処理(S608)について説明する。図36は、この大当たり開閉制御処理(S608)を示したフローチャートである。
【0633】
この大当たり開閉制御処理(S608)では、当たり処理(S203)で設定された可変入賞装置65の開放回数に基づいて、可変入賞装置65の開閉制御を実行する。
【0634】
この大当たり開閉制御処理(S608)では、まず、当たり処理(S203)のS605で設定されたオープニング時間、又は、後述する大入賞口開放中処理(S6007)のS6020(図37参照)で設定されたインターバル時間が経過したか否かを判別する(S6001)。判別の結果、大当たり時におけるオープニング時間又はインターバル時間が経過していなければ(S6001:No)、可変入賞装置65の開放タイミングではないため、該可変入賞装置65を閉鎖し続けるため、S6002~S6005の処理をスキップして、処理をS6006へ移行する。
【0635】
一方、S6001の処理において、大当たり時におけるオープニング時間又はインターバル時間が経過していれば(S6001:Yes)、可変入賞装置65の開放タイミングなので、可変入賞装置65の開放設定を行い(S6002)、次いで、入賞カウンタ(図示せず)に「10」をセットする(S6003)。そして、大当たり時おける可変入賞装置65の最大開放時間(第1実施形態では、「30秒」)を設定して(S6004)、可変入賞装置65が開放されたことを示す大入賞口開放コマンドを生成して、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに設定し(S6005)、処理をS6006に移行する。この大入賞口開放コマンドを受信した音声ランプ制御装置113は、可変入賞装置65が開放された旨を第3図柄表示装置81において実行し、遊技者に可変入賞装置65が開放されていることを遊技者に開放されている可変入賞装置65へ球を入賞させることを促すように構成されている。
【0636】
S6006の処理では、可変入賞装置65が開放中であるか否かを判別する(S6006)。判別の結果、可変入賞装置65が開放中でなければ(S6006:No)、可変入賞装置65が開放中ではなく、オープニング時間中又はインターバル時間中であるので、S6007の処理をスキップして、この大当たり開閉制御処理(S608)を終了し、当たり処理(図35参照)に戻る。一方、S6006の処理において、可変入賞装置65が開放中であると判別された場合は(S6006:Yes)、開放中の可変入賞装置65の閉鎖条件を判別するべく、大入賞口開放中処理を行い(S6007)、この大当たり開閉制御処理(S608)を終了し、当たり処理(図35参照)に戻る。
【0637】
ここで、図37を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり開閉制御処理(S608)の一処理である大入賞口開放中処理(S6007)について説明する。図37は、この大入賞口開放中処理(S6007)を示したフローチャートである。
【0638】
この大入賞口開放中処理(S6007)では、開放中の可変入賞装置65の閉鎖条件が成立するか否かを判別する処理を実行する。
【0639】
この大入賞口開放中処理(S6007)では、まず、上述した大当たり開閉制御処理(S608)のS6004において設定された可変入賞装置65の開放時間が経過したか否かを判別する(S6011)。判別の結果、可変入賞装置65の開放時間が経過したタイミングであれば(S6011:Yes)、可変入賞装置65の閉鎖条件が成立し、そのラウンドにおける可変入賞装置65の閉鎖タイミングであるため、入賞カウンタの値を「0」クリアして(S6012)、可変入賞装置65を閉鎖させるために、処理をS6016へ移行する。S6016からの可変入賞装置65の閉鎖処理については、後述する。
【0640】
一方、S6011の処理において、可変入賞装置65の開放時間が経過したタイミングでなければ(S6011:No)、次いで、大入賞口スイッチ(図示せず)がオンされたか否か、即ち、可変入賞装置65へ球が入賞したか否かを判断する(S6013)。
【0641】
S6013の処理において、大入賞口スイッチ(図示せず)によって球が検出されていなければ(S6013:No)、S6014~S6020の処理をスキップして、この大入賞口開放中処理(S6007)を終了し、大当たり開閉制御処理(図36参照)へ戻る。一方、可変入賞装置65へ球が入賞していれば(S6013:Yes)、入賞カウンタの値を1減算して(S6014)、次いで、入賞カウンタの値が「0」より大きい値か否かを判別する(S6015)。入賞カウンタの値が「0」より大きい値でない場合(S6015:No)、即ち、入賞カウンタの値が「0」以下である場合は、可変入賞装置65に球が10個以上入賞して可変入賞装置65の閉鎖条件が成立しているので、可変入賞装置65を閉鎖させるために、処理をS6016へ移行する。
【0642】
S6015の処理において、入賞カウンタの値が「0」より大きい値であると判別された場合は(S6015:Yes)、可変入賞装置65の閉鎖条件が成立しておらず、可変入賞装置65の開放を継続するために、S6016~S6020の処理をスキップして、この大入賞口開放中処理(S6007)を終了する。この大入賞口開放中処理(S6007)の終了後は、大当たり開閉制御処理(図36参照)へ戻る。
【0643】
次いで、S6016からの可変入賞装置65の閉鎖処理では、まず、可変入賞装置65の閉鎖設定を行い(S6016)、次いで、音声ランプ制御装置113に対して可変入賞装置65が閉鎖されたことを示す大入賞口閉鎖コマンドを設定して(S6017)、処理をS6018へ移行する。なお、S6017の処理で設定された大入賞口閉鎖コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。
【0644】
次いで、S6018の処理では、可変入賞装置65の1のラウンドが消化されたことから、ラウンドカウンタの値を1減算し(S6018)、次に、ラウンドカウンタの値が「0」より大きい値か否かを判別する(S6019)。ラウンドカウンタの値が「0」より大きい値である場合(S6019:Yes)、該大当たりにおけるラウンド回数(可変入賞装置65の残り開放回数)が残存している状態であるので、次の可変入賞装置65を開放させるまでのインターバル時間(例えば、「1秒」)を設定し(S6020)、この大入賞口開放中処理(S6007)を終了し、大当たり開閉制御処理(図36参照)に戻る。
【0645】
一方、S6019の処理において、ラウンドカウンタの値が「0」より大きい値でない場合(S6019:No)、即ち、ラウンドカウンタの値が「0」以下である場合は、この大当たりにおける可変入賞装置65の開放動作がすべて終了したので、大当たり状態を終了させるために、インターバル時間を設定せず(即ち、S6020をスキップして)、この大入賞口開放中処理(S6007)を終了して、大当たり開閉制御処理(図36参照)に戻る。
【0646】
図35の当たり処理(S203)に戻って、説明を続ける。S608の大当たり開閉制御処理(図36参照)の終了後は、次いで、ラウンドカウンタの値が「0」より大きい値であるか否かを判別する(S609)。判別の結果、ラウンドカウンタが「0」より大きい値であれば(S609:Yes)、大当たり状態を継続するため、大当たりの終了設定処理であるS610の処理をスキップして、この当たり処理(S203)を終了する。
【0647】
一方、S609の処理において、ラウンドカウンタの値が「0」より大きい値でない場合(S609:No)、即ち、ラウンドカウンタの値が「0」以下である場合は、この大当たりにおける可変入賞装置65の開放動作がすべて終了しているので、大当たり状態を終了させるために、大当たり終了処理を行い(S610)、この当たり処理(S203)を終了する。
【0648】
ここで、図38を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される当たり処理(S203)の一処理である大当たり終了処理(S610)について説明する。図38は、この大当たり終了処理(S610)を示したフローチャートである。
【0649】
この大当たり終了処理(S610)では、当選した大当たり種別に基づいて、確変フラグ及び時短フラグ(ともに図示せず)の設定処理を実行する。
【0650】
この大当たり終了処理(S610)では、まず、今回の大当たり種別が大当たり種別「確変A」であるかを判別する(S6101)。判別の結果、今回の大当たり種別が大当たり種別「確変A」であれば(S6101:Yes)、該大当たり終了後の遊技状態を特別図柄の高確率状態とするべく、まず、確変フラグ及び時短フラグ(ともに図示せず)をオンして(S6102)、処理をS6104に移行する。
【0651】
S6101の処理において、今回の大当たり種別が大当たり種別「確変A」でないと判別された場合は(S6101:No)、今回の大当たり種別が大当たり種別「時短A」であると判断し、時短フラグ(図示せず)をオンに設定し(S6103)、処理をS6104へ移行する。
【0652】
S6104の処理では、音声ランプ制御装置113に対して大当たりのエンディング演出の開始を示すエンディングコマンドを設定する(S6104)。S61044の処理で設定されたエンディングコマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。
【0653】
音声ランプ制御装置113は、エンディングコマンドを受信すると、大当たりのエンディング演出を実行する。
【0654】
S6104の処理の終了後は、遊技状態に応じてエンディング時間(例えば、「10秒」)を設定し(S6105)、該大当たりの終了時の各種処理を実行する大当たり終了設定処理を行い(S6106)、この大当たり終了処理(S610)を終了して、当たり処理(図35参照)に戻る。
【0655】
図35に戻って、説明を続ける。S607の処理において、大当たり中でない場合には(S607:No)、この当たり処理(S203)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)へ戻る。
【0656】
次に、図39を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図30参照)の一処理である普図変動処理(S211)について説明する。図39は、この普図変動処理(S211)を示したフローチャートである。
【0657】
この普図変動処理(S211)は、スルーゲート67への球の通過に起因して、普通図柄表示装置83における普通図柄の可変表示を制御するものである。
【0658】
この普図変動処理(S211)では、まず、今現在、普通電役72が突出中(作動中)か否か、即ち、普通図柄の当たり中であるか否かを判別する(S701)。判別の結果、普通電役72が突出中であれば(S701:Yes)、普通図柄の当たり中であるので、そのまま普図変動処理(S211)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)へ戻る。
【0659】
一方、普通電役72が突出中でなければ(S701:No)、普通図柄の当たり中ではないため、次いで、普通図柄表示装置83の表示態様が普通図柄の可変表示中であるか否かを判別する(S702)。判別の結果、普通図柄表示装置83の表示態様が普通図柄の可変表示中でなければ(S702:No)、次いで、普通図柄表示装置83における可変表示が停止後、所定時間(例えば、「1秒」)経過したか否かを判別する(S703)。その結果、可変表示の停止後、所定時間経過していなければ(S703:No)、この普図変動処理(S211)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。これにより、可変表示における停止図柄が所定時間だけ普通図柄表示装置83に表示されるので、遊技者に対して、その停止図柄を視認させることができる。
【0660】
一方、S703の処理の結果、可変表示の停止後、所定時間経過していれば(S703:Yes)、普図保留球数カウンタ203gの値(主制御装置110において保留されている普通図柄に関する可変表示の作動保留球数HN)が「0」よりも大きいか否かを判別する(S704)。
【0661】
S704の処理の結果、普図保留球数カウンタ203gの値(作動保留球数HN)が「0」より大きくなければ(S704:No)、実行すべき普通図柄の可変表示の保留球数が存在しないということなので、この普図変動処理(S211)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。一方、普図保留球数カウンタ203gの値(作動保留球数HN)が「0」より大きい値であれば(S704:Yes)、保留されていた普通図柄に関する可変表示の実行開始タイミングであると判断し、まず、普図保留球数カウンタ203gの値(作動保留球数HN)を1減算する(S705)。これは、後述する処理(S706~S710)によって、保留されていた普通図柄に関する可変表示のうち1の可変表示の実行が開始されることに伴って、普通図柄に関する保留球数が1つ減少するためである。
【0662】
次いで、普図保留球格納エリア203iに格納されたデータをシフト処理する(S706)。このデータシフト処理は、普図保留球格納エリア203iの普図保留第1~第4エリアに格納されているデータを普図保留球実行エリア203jへ向けて順にシフトさせる処理であって、普図保留第1エリア→普図保留球実行エリア203j、普図保留第2エリア→普図保留第1エリア、普図保留第3エリア→普図保留第2エリア、普図保留第4エリア→普図保留第3エリアといった具合に、各エリア内のデータがシフトされる。
【0663】
S706のデータシフト処理の後は、データシフト処理により普図保留球実行エリア203jに格納されたデータ(即ち、普図当たりカウンタC4の値)に基づいて、普通図柄表示装置83における普通図柄の可変表示を実行するために、まず、時短フラグ(図示せず)がオンされているか否かを判別する(S707)。判別の結果、時短フラグがオンされていない場合は(S707:No)、「時短機能」が無効となる「通常遊技状態」であると判断し、普通図柄の可変表示時間を「10秒」に設定し(S708)、処理をS710へ移行する。一方、時短フラグがオンされていると判別された場合(S707:Yes)、「時短機能」が有効な「確率変動状態」又は「時間短縮状態」であると判断し、普通図柄の可変表示時間を「5秒」に設定して(S709)、処理をS710へ移行する。
【0664】
S710の処理では、遊技状態に応じて普図当たり乱数テーブル202gを参照して普通図柄の可変表示における停止図柄、即ち、普通図柄の可変表示の当否を決定する(S710)。具体的には、「通常遊技状態」、即ち、普通図柄の低確率状態では、普図当たり乱数テーブル202gにおける低確率状態用のグループを参照して、普図保留球実行エリア203jに格納されている普図当たりカウンタC4の値を判定し、普通図柄の可変表示の停止図柄(即ち、普通図柄の当否)を決定する。また、「確率変動状態」及び「時間短縮状態」、即ち、普通図柄の高確率状態では、普図当たり乱数テーブル202gにおける高確率状態用のグループを参照して、普図保留球実行エリア203jに格納されている普図当たりカウンタC4の値を判定し、普通図柄の可変表示の停止図柄(即ち、普通図柄の当否)を決定する。S710の処理の後は、この普図変動処理(S211)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0665】
これにより、遊技状態に応じて普通図柄の当否確率を変更することで、遊技者が右打ちした場合に、スルーゲート67を球が通過したとき、普通電役72が開放し易いか否かの違いを生じさせることができる。その結果、スルーゲート67を球が通過した場合に、普通電役72が開放し易い状況(即ち、普通図柄の高確率状態)であって第2始動口71側へ流入し易い状況か、普通電役72が開放し得ない(し難い)状況(即ち、普通図柄の低確率状態)であって、閉鎖(突出)している普通電役72の上面を左端から右端まで転動しきり、可変入賞装置65側へ流入し得る状況か、を遊技状態によって異ならせることで、遊技状態毎に異なる遊技性を生むことができる。
【0666】
S702の処理において、普通図柄表示装置83の表示態様が可変表示中であると判別されると(S702:Yes)、可変表示時間が経過したか否かを判別する(S711)。普通図柄表示装置83の可変表示時間は、S708又はS709の処理により遊技状態に応じて決定されており、この可変表示時間が経過していなければ(S711:No)、普通図柄表示装置83の表示を更新して(S712)、この普図変動処理(S211)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0667】
一方、普通図柄表示装置83における可変表示の可変表示時間が経過していれば(S711:Yes)、普通図柄表示装置83に対して、S710によって予め設定された停止図柄に対応した表示態様を設定し(S713)、この普図変動処理(S211)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0668】
これにより、球がスルーゲート67を通過した場合に、この普図変動処理(S211)に基づいて普通図柄表示装置83における可変表示が設定され、該普通図柄表示装置83において可変表示が開始されてから可変表示時間が経過するまでは、「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる。そして、可変表示結果が当たりである場合には「○」の図柄を点灯する一方、ハズレである場合には「×」の図柄を点灯させる。
【0669】
次に、図40を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図30参照)の一処理である普通電役制御処理(S204)について説明する。図40は、この普通電役制御処理(S204)を示したフローチャートである。
【0670】
この普通電役制御処理(S204)は、普通図柄の当たりが発生する場合に、遊技状態に応じて普通電役72の開閉(突出及び没入)駆動制御を実行する。即ち、遊技状態に応じて普通電役72の開放(没入)時間を設定すると共に、設定された時間に基づいて該普通電役72を開放駆動し、設定した突出時間が経過した場合に、開放(没入)中の普通電役72を閉鎖(突出)させる制御を実行する。
【0671】
この普通電役制御処理(S204)では、まず、普通電役72が開放(没入)中か否か、即ち、普通図柄の当たり中か否かを判別する(S721)。判別の結果、普通電役72が開放中でないと判別された場合(S721:No)、即ち、普通図柄の当たり中でないと判別された場合は、次に、普通図柄の可変表示が終了したか否かを判別する(S722)。
【0672】
S722における判別の結果、普通図柄の可変表示が終了していなければ(S722:No)、この普通電役制御処理(S204)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る一方、普通図柄の可変表示が終了していれば(S722:Yes)、次いで、該可変表示において当たりに当選したか否かを判別する(S723)。
【0673】
S723における判別の結果、可変表示において当たりに当選していないと判別された場合は(S723:No)、この普通電役制御処理(S204)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)へ戻る。一方、可変表示において当たりに当選していると判別された場合は(S723:Yes)、「確率変動状態」又は「時間短縮状態」において当たりに当選したということなので、普通電役開放テーブル202iの規定内容に基づいて当たり状態における普通電役72の開放(没入)時間を「1秒」に設定し(S724)、該当たりに基づく普通電役72の開放回数を2回行うために、電役カウンタ(図示せず)の値に「2」をセットして(S725)、処理をS726へ移行する。
【0674】
S726の処理では、普通電役72の開放(没入)処理を行い(S726)、閉鎖(突出)状態であった普通電役72を開放状態に駆動し、この普通電役制御処理(S204)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0675】
これにより、遊技者が右打ちした場合において、スルーゲート67を通過した球が普通電役72の配設位置に到達し、該普通電役72が開放されている時間の長い状態か短い状態(閉鎖状態)かの違いを生じさせることができる。その結果、スルーゲート67を通過した球が第2始動口71側へ誘導され易い状況か、該普通電役72の閉鎖状態において該普通電役72の上面を左端から右端まで転動しきって、その球が可変入賞装置65側へ流下され得る状況か、を遊技状態によって異ならせることで、遊技状態毎に異なる遊技性を生むことができる。
【0676】
S721の処理において、普通電役72が開放中であると判別された場合(S721:Yes)、即ち、普通図柄の当たり中であると判別された場合は、次いで、S724において設定された普通電役72の1回の開放時間が経過しているかを判別する(S727)。判別の結果、設定された普通電役72の1回の開放時間が経過していないと判別された場合は(S727:No)、普通電役72の開放状態を維持するため、S728~S730の処理をスキップして、この普通電役制御処理(S204)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0677】
一方、S727の処理において、設定された普通電役72の1回の開放時間が経過していると判別された場合は(S727:Yes)、まず、普通電役72の閉鎖(突出)処理を行い(S728)、S725の処理で設定された電役カウンタの値から「1」を減算する(S729)。そして、減算された電役カウンタの値が「0」より大きい値であるか否かを判別する(S730)。判別の結果、電役カウンタの値が「0」より大きい値であると判別された場合は(S730:Yes)、該当たりに基づく普通電役72の開放回数が残存しているため、処理をS726へ移行し、所定のインターバル処理(第1実施形態では、「5秒」の閉鎖期間)を行った上で再び普通電役72の開放処理を行う。一方、電役カウンタの値が「0」より大きい値でないと判別された場合(S730:No)、即ち、電役カウンタの値が「0」以下である場合は、該当たりに基づく普通電役72の開放がすべて終了したということなので、普通電役72の再開放を行わず、この普通電役制御処理(S204)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0678】
次に、図41のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図30参照)の一処理であるスイッチ読み込み処理(S205)を説明する。図41は、このスイッチ読み込み処理(S205)を示すフローチャートである。
【0679】
第1実施形態のスイッチ読み込み処理(S205)では、第1始動口64に対応する第1始動口スイッチ(図示せず)、第2始動口71に対応する第2始動口スイッチ(図示せず)、可変入賞装置65に対応する大入賞口スイッチ(図示せず)、一般入賞口63に対応する一般入賞口スイッチ(図示せず)、スルーゲート67に対応するスルーゲートスイッチ(図示せず)、アウト口66に対応するアウトスイッチ(図示せず)、などにより球が検出されたか否かや、各種検知スイッチにより所定の事象(例えば、各種開放スイッチ(図示せず)の検出)が検出されたか否かを判別するとともに、該判別結果に応じて、各種コマンドを設定する。また、上記判別結果に応じて、役物比率データや発射球データを算出し、その算出結果を役比モニタ146に表示する処理を行う。
【0680】
スイッチ読み込み処理(S205)では、まず、第1始動口スイッチ、第2始動口スイッチ、大入賞口スイッチ、一般入賞口スイッチ又はスルーゲートスイッチ(いずれも図示せず。以下、上記スイッチを総称して、「各入賞口スイッチ」と称する場合がある)、又は、アウトスイッチ(図示せず)により球が検出されたか否かを判定する(S8001)。この判定処理は、各スイッチにおいて球の通過を3回のタイマ割込処理(図30参照)に亘って検出する。
【0681】
次いで、S8002の処理では、S8001の処理で検出された各入賞口スイッチ又はアウトスイッチ、各種検知スイッチの検出結果に応じて外部端子板23(図6参照)に向けて外部出力信号を出力する(S8002)。外部端子板23は、この外部出力信号を受信した場合に、ホールコンピュータ500に対して該外部出力信号を出力することで、ホールコンピュータ500により、パチンコ機10の遊技状態や異常状態等を把握することが可能となる。
【0682】
S8002の処理の後は、入賞のあった入賞口63,64,65,71に対応する賞球を遊技者に付与するための賞球コマンドを設定し(S8003)、処理をS8004へ移行する。S8003で設定された賞球コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)の中で、枠統括制御装置111に向けて送信される。
【0683】
具体的には、第1始動口64に球が入球したと判別された場合は、4球の賞球の払い出しを示す賞球コマンドを設定し、第2始動口71に球が入球したと判別された場合は、1球の賞球の払い出しを示す賞球コマンドを設定し、可変入賞装置65に球が入球したと判別された場合は、15個の賞球の払い出しを示す賞球コマンドを設定し、一般入賞口63に球が入球したと判別された場合は、3個から15個の賞球の払い出しを示す賞球コマンドを設定する。
【0684】
S8004の処理では、主制御装置110に搭載されているリアル・タイム・クロックで計測している現在時刻と、各入賞口スイッチの検出結果に応じて役物比率データを算出し、該算出結果を役比モニタ146(図7参照)に設定し(S8004)、次いで、現在時刻とアウトスイッチ(図示せず)の検出結果に応じて発射球数データを算出し、該算出結果を役比モニタ146に設定し(S8005)、処理をS8005へ移行する。
【0685】
S8005の処理では、上記役物比率データと上記発射球数データに基づいて遊技データを生成し、該遊技データに関する遊技データコマンドを設定し(S8006)、このスイッチ読み込み処理(S205)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。S8006で設定された遊技データコマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)の中で、枠統括制御装置111に向けて送信される。これにより、枠統括制御装置111において、遊技データコマンドにより示された役物比率データおよび球発射数データをカードユニット300に出力し、カードユニット300側でパチンコ機10に関する遊技の状況を認識することが可能となる。
【0686】
次に、図42のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図30参照)の一処理である発射制御処理(S212)を説明する。図42は、この発射制御処理(S212)を示すフローチャートである。
【0687】
この発射制御処理(S212)では、枠統括制御装置111からカードユニット300が接続されているか否かを示すカードユニット接続信号の受信有無に応じて、発射許可コマンド又は発射不可コマンドの設定を行う。なお、この発射制御処理(S212)では、上記処理の他、発射ハンドル51の操作に応じて、球送りユニット112cによる球送り処理を実行するとともに、同じく発射ハンドル51の操作に応じて、球発射ユニット112aによる発射処理を実行する。
【0688】
図42で示す発射制御処理(S212)では、まず、枠統括制御装置111からカードユニット300が接続されていることを示すカードユニット接続信号を受信したか否かを判別する(S8501)。判別の結果、カードユニット接続信号を受信していれば(S8501:Yes)、カードユニット300が枠統括制御装置111(パチンコ機10)に接続され、遊技が実行可能な状態であるので、発射許可コマンドを設定し(S8502)、その他の処理を実行した後、この発射制御処理(S212)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。一方、S8501の判別の結果、カードユニット接続信号を受信していなければ(S8501:No)、カードユニット300が枠統括制御装置111(パチンコ機10)に接続されておらず、遊技を行うことができない状態であるので、発射不可コマンドを設定し(S8503)、この発射制御処理(S212)を終了して、タイマ割込処理(図30参照)に戻る。
【0689】
S8052又はS8053で設定された発射許可コマンド又は発射不可コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、次に実行されるタイマ割込処理の外部出力処理(図30のS201参照)の中で、枠統括制御装置111に向けて送信される。これにより、賞球や貸球の管理を行うカードユニット300が接続されていない状態において、遊技を実行させないように構成することで、遊技者が遊技を始める前提条件となる適式な遊技環境を構築することができる。
【0690】
次いで、図43を参照して、停電等の発生した場合に主制御装置110において実行されるNMI割込処理について説明する。図43は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。
【0691】
このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。NMI端子に停電信号SG1が入力されたMPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S901)、NMI割込処理を終了する。
【0692】
なお、上記のNMI割込処理は、枠統括制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から枠統括制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
【0693】
次に、図44から図53のフローチャートを参照して、枠統括制御装置111内のMPU211により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU211の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
【0694】
図44は、枠統括制御装置111内のMPU211により実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は、電源投入時のリセットにより起動される。
【0695】
この立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1001)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、RAMアクセスを許可する(S1002)。
【0696】
その後は、MPU211内のRAM213に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1003)、記憶されていなければ(S1003:No)、バックアップデータは記憶されていないので、処理をS1007へ移行し、RAM213の初期化処理を実行する(S1007,S1008)。
【0697】
S1007,S1008のRAM213の初期化処理では、RAM213の全ての領域を「0」クリアした後(S1007)、RAM213の初期値を設定する(S1008)。その後、S1009の処理へ移行する。
【0698】
RAM213に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1003:Yes)、RAM判定値を算出し(S1004)、算出したRAM判定値が正常でない場合(S1005:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS1007へ移行し、RAM213の初期化処理を実行する(S1007,S1008)。図45のS1110の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM213の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM213の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0699】
一方、電源断の発生情報が設定されており(S1003:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S1005:Yes)、RAM213にバックアップされたデータを保持したまま、電源遮断の発生情報をクリアし(S1006)、その後、S1009の処理へ移行する。
【0700】
S1009の処理では、MPU211の周辺デバイスの初期設定を行う(S1009)。その後、割込みを許可して(S1010)、処理をS1011へ移行する。
【0701】
S1011では、カードユニット300に接続されているか否かを判別する(S1011)。判別の結果、カードユニット300が接続されていれば(S1011:Yes)、パチンコ機10とカードユニット300とが正常に接続されており、賞球や貸球の集計が正確にできる状態であるので、遊技の実行(球送り処理および球発射処理)を許可するために、主制御装置110に対してカードユニット接続信号を出力し(S1012)、この立ち上げ処理を終了して、メイン処理(図45参照)へ移行する。
【0702】
一方、S1011の判別の結果、カードユニット300が接続されていなければ(S1011:No)、パチンコ機10にカードユニット300が正常に接続されていない状態であるので、賞球及び貸球が正常に行える状態ではないので、S1012の処理をスキップ、即ち、主制御装置110にカードユニット接続信号を出力せず、遊技の実行(球送り処理及び発射処理)を制限させた状態に設定し、この立ち上げ処理を終了して、メイン処理(図45参照)へ移行する。第1実施形態のパチンコ機10では、主制御装置110がカードユニット接続信号を受信できなければ、主制御装置110から発射許可コマンドが送信されないため、たとえメイン処理に移行しても、遊技の実行(球送り処理及び発射処理)をすることができず、実質的に遊技を禁止させることができる。
【0703】
次に、図45を参照して、上記した立ち上げ処理(図44参照)後に枠統括制御装置111内のMPU211により実行されるメイン処理について説明する。図45は、このメイン処理を示すフローチャートである。
【0704】
このメイン処理では、まず、主制御装置110から送信されたコマンドの内容に応じて各種制御を行うコマンド判定処理(S1101)と、クレジット移行ボタン42又はカード返却ボタン43に対する遊技者の操作態様を検知するためのボタン判定処理(S1102)と、貸球処理と賞球処理とを実行する貸球賞球計数処理(S1103)と、上皿17(図1参照)に貯留されている球を球発射ユニット112a側へ案内させて該球を計数する送り球計数処理(S1104)と、球発射ユニット112a側に送り出された球を発射する発射処理(S1105)と、クレジット移行ボタン42又はカード返却ボタン43が遊技者により操作された場合にカードユニット300に対して球の移行処理を行う清算処理(S1106)と、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cに記憶される遊技者の所持球データをクレジット数表示部41に表示する表示処理(S1107)と、を1ミリ秒周期の定期処理として実行し、その残余時間で電源断の発生の監視処理(S1108)が実行される。なお、S1101~S1107の各処理については、図46から図53において後述する。
【0705】
S1108の処理では、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1108)、RAM213に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1108:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図43のNMI割込処理が実行されたということなので、S1110以降の電源遮断時の処理が実行される。
【0706】
S1110の処理では、まず、各割込処理の発生を禁止し(S1110)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(発射制御装置112等の周辺制御装置)に対して送信する(S1111)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1112)、RAM213のアクセスを禁止して(S1113)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM213のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
【0707】
なお、S1108の処理は、S1101~S1107で行われる一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1108の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、枠統括制御装置111のメイン処理において、各処理が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1101の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1101の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU211が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S1008)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S1101の処理から開始することができる。従って、枠統括制御装置111の制御負担を軽減することができると共に、枠統括制御装置111が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
【0708】
また、S1108の処理の結果、RAM213に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1108:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていないため、次の定期処理(S1101~S1107の処理)の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の定期処理の開始から所定時間(第1実施形態では1ミリ秒)が経過したか否かを判別し(S1109)、既に所定時間が経過していれば(S1109:Yes)、処理をS1101へ移行し、上述したS1101以降の各処理を繰り返し実行する。一方、前回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1109:No)、所定時間に至るまで間、S1108の処理へ回帰し、S1108の処理を繰り返し実行する。
【0709】
次に、図46を参照して、枠統括制御装置111内のMPU211によりメイン処理(図45参照)の中で実行されるコマンド判定処理(S1101)について説明する。図46は、このコマンド判定処理(S1101)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1101)は、主に、主制御装置110より受信したコマンドを判定し、そのコマンドに対応した各処理を行う。
【0710】
なお、主制御装置110より受信したコマンドは、RAM213に設けられたコマンド用のコマンド記憶領域に一旦格納される。コマンド用のコマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。コマンド判定処理(S1101)では、このコマンド用のコマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドを読み出し、そのコマンドを解析して、そのコマンドに応じた処理を実行する。
【0711】
コマンド判定処理(S1101)では、まず、RAM213に設けられたコマンド用のコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち、主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出して解析し、該コマンドが初期化コマンドか否かを判別する(S1201)。判別の結果、初期化コマンドを受信していた場合は(S1201:Yes)、RAM213の作業領域を0クリアし(S1202)、その作業領域に初期化時の初期値を設定することでRAM213の初期設定を行って(S1203)、RAM213の作業領域の初期化を実行する。そして、貸出許可信号をカードユニット300へ送信して(S1205)、コマンド判定処理(S1101)を終了する。カードユニット300は、枠統括制御装置111より貸出許可信号を受信すると、会員カード700の受付が可能な状態となる。これにより、RAM213の作業領域が初期化された状態で、カードユニット300から貸球信号が送信されることになり、所持球数の計数を初期化された状態から開始することができる。
【0712】
S1201の処理において、初期化コマンドを受信していないと判別された場合は(S1201:No)、次いで、主制御装置110より復帰コマンドを受信したか否かを判別する(S1204)。判別の結果、復帰コマンドを受信していれば(S1204:Yes)、上述したS1205の処理へ移行し、貸出許可信号をカードユニット300に対して送信し(S1205)、このコマンド判定処理(S1101)を終了する。これにより、RAM213の作業領域の値が保持されたまま、カードユニット300は、会員カード700の受付が可能な状態となるので、RAM213の作業領域の値が維持された状態で、カードユニット300から貸球信号が送信されることになり、所持球数の計数をその状態から開始することができる。
【0713】
S1204の処理の結果、復帰コマンドを受信していないと判別された場合は(S1204:No)、次いで、主制御装置110より発射許可コマンドを受信したか否かを判別する(S1206)。判別の結果、発射許可コマンドを受信している場合は(S1206:Yes)、カードユニット300が正常に接続され、球送り処理及び発射処理が適式に実行可能な状態であるので、発射許可フラグ213aをオンに設定し(S1207)、このコマンド判定処理(S1101)を終了する。これにより、発射制御装置112によって球の発射制御が実行可能な状態とすることができる。
【0714】
S1206の処理の結果、発射許可コマンドを受信していないと判別された場合は(S1206:No)、次いで、主制御装置110より発射不可コマンドを受信したか否かを判別する(S1208)。判別の結果、発射不可コマンドを受信している場合は(S1208:Yes)、カードユニット300が正常に接続されておらず、球送り処理及び発射処理が適式に実行できない状態であるので、発射許可フラグ213aをオフに設定し(S1209)、このコマンド判定処理(S1101)を終了する。これにより、カードユニット300が正常に接続されていない場合に、発射制御装置112によって球の発射制御が制限された状態とすることができる。
【0715】
S1208の処理の結果、発射不可コマンドを受信していないと判別された場合は(S1208:No)、次いで、主制御装置110より賞球コマンドを受信したか否かを判別する(S1210)。判別の結果、賞球コマンドを受信している場合は(S1210:Yes)、賞球コマンドに示された賞球数情報を賞球バッファ213dに一時格納し(S1211)、このコマンド判定処理(S1101)を終了する。S1211の処理で賞球バッファ213dに格納された賞球数情報で示される賞球数が、後述する貸球賞球計数処理(図48参照)において、クレジット移行中か否かに応じてクレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cのいずれかに加算される。
【0716】
S1210の処理の結果、賞球コマンドを受信していない場合は(S1210:No)、次いで、主制御装置110より遊技データコマンドを受信したか否かを判別する(S1212)。判別の結果、遊技データコマンドを受信している場合は(S1212:Yes)、遊技データコマンドが示す役物比率データ及び発射球数データに基づいて遊技情報信号を生成し、該遊技情報信号をカードユニット300に出力し(S1213)、このコマンド判定処理(S1101)を終了する。これにより、カードユニット300側でパチンコ機10における遊技に関する遊技情報を把握することが可能となる。
【0717】
S1212の処理の結果、遊技データコマンドを受信していない場合は(S1212:No)、その他のコマンドに応じた処理を実行し(S1214)、このコマンド判定処理(S1101)を終了する。このコマンド判定処理(S1101)の終了後は、メイン処理(図45参照)に戻る。
【0718】
次に、図47を参照して、枠統括制御装置111内のMPU211によりメイン処理(図45参照)の中で実行されるボタン判定処理(S1102)について説明する。図47は、このボタン判定処理(S1102)を示したフローチャートである。このボタン判定処理(S1102)は、主に、クレジット移行ボタン42やカード返却ボタン43の操作態様を判定し、該操作態様に対応した各処理を行う。
【0719】
このボタン判定処理(S1102)では、まず、クレジット移行ボタン42の押下中であるか否かを判別する(S1301)。ここでは、クレジット移行ボタン42の押下を検出する移行ボタンスイッチ(図示せず)の出力信号に基づいて、クレジット移行ボタン42の押下を少なくとも3回のボタン判定処理(S1102)にわたって検出する。判別の結果、クレジット移行ボタン42が押下中であれば(S1301:Yes)、クレジット移行ボタン42が押下中であることを示すクレジット移行フラグ213eをオンに設定し(S1302)、次いで、該クレジット移行ボタン42の押下時間が連続して「0.5秒」以上押下された長押し状態か否かを判別する(S1303)。
【0720】
S1303の処理の結果、クレジット移行ボタン42が「0.5秒」以上押下された長押し状態であると判別された場合は(S1303:Yes)、長押しフラグ213fをオンに設定し(S1304)、処理をS1306へ移行する。一方、クレジット移行ボタン42が押下されたものの、「0.5秒」未満の押下であった場合は(S1303:No)、所謂単押しであるので、長押しフラグ213fをオフに設定し(S1305)、処理をS1306へ移行する。これにより、クレジット移行ボタン42が単押し状態か長押し状態かの押下態様を判別し、以降の各処理において該押下態様に応じた各処理を実行することができる。なお、S1301の処理において、クレジット移行ボタン42が押下中でないと判別された場合は(S1301:No)、S1305の処理に移行する。
【0721】
S1306の処理では、カード返却ボタン43が押下されたか否かを判別する(S1306)。ここでは、クレジット移行ボタン42と同様、カード返却ボタン43の押下を検出する返却ボタンスイッチ(図示せず)の出力信号に基づいて、カード返却ボタン43の押下を少なくとも3回のボタン判定処理(S1102)にわたって検出する。判別の結果、カード返却ボタン43が押下されていれば(S1306:Yes)、会員カード700を返却された意思が示されているので、カード返却中フラグ213hをオンに設定し(S1307)、次いで、球送り処理及び発射処理を制限するために、発射許可フラグ213aをオフに設定して(S1308)、処理をS1309へ移行する。これにより、カード返却ボタン43が押下された場合に、球送り処理及び発射処理を制限しつつ、以降の各処理において会員カード700の返却処理を行うことができる。なお、S1306の処理において、カード返却ボタン43が押下されていないと判別された場合は(S1306:No)、S1307及びS1308の処理をスキップして、処理をS1309へ移行する。
【0722】
S1309の処理では、カード返却中フラグ213hがオンされているか否かを判別する(S1309)。判別の結果、カード返却中フラグ213hがオンされていなければ(S1309:No)、S1310~S1313の処理をスキップして、カード返却処理を行わず、このボタン判定処理(S1102)を終了し、メイン処理(図45参照)に戻る。一方、カード返却中フラグ213hがオンされていれば(S1309:Yes)、遊技者により会員カード700の返却意思が示されている状態なので、処理をS1310へ移行する。
【0723】
S1310の処理では、実行中の(実行していた)遊技結果を会員カード700に反映させ尽くした上でカードユニット300から排出可能な状態か否かを判断するため、まず、クレジット記憶部213b及び移行中記憶部213cの値がともに「0」以上か否かを判別する(S1310)。判別の結果、クレジット記憶部213b及び移行中記憶部213cの値がともに「0」以上である場合、即ち、パチンコ機10側に遊技者の保持球データが残存している場合は(S1310:Yes)、保持球データを会員カード700に移行させるまで会員カード700の排出を制限するべく、S1311~S1313の処理をスキップし、このボタン判定処理(S1102)を終了し、メイン処理(図45参照)に戻る。一方、クレジット記憶部213b及び移行中記憶部213cの値がともに「0」以上でない場合(S1310:No)、即ち、パチンコ機10側に遊技者の保持球データが残存していない場合は、既に遊技者の所持球データが会員カード700に移行された状態か、保持球データを消費し尽くした状態であるので、処理をS1311へ移行する。
【0724】
S1311の処理では、残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい値であるか否かを判別する(S1311)。判別の結果、残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい値である場合は(S1311:Yes)、カード返却前の残り球発射処理が終了していないので、S1312及びS1313の処理をスキップして、このボタン判定処理(S1102)を終了し、メイン処理(図45参照)に戻る。一方、残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい値でない場合、即ち、残り球発射カウンタ213iの値が「0」以下である場合は(S1311:No)、カード返却時の残り球発射処理が終了しているので、パチンコ機10側に遊技者の保持球データに基づく球が残存していない状態である。即ち、パチンコ機10側で実行していた遊技結果をすべて会員カード700に反映できている状態であるので、カード返却中フラグ213hをオフに設定するとともに(S1312)、カード排出信号をカードユニット300に出力する(S1313)。カードユニット300は、枠統括制御装置111からこのカード排出信号を受信することにより、カード挿入孔311から会員カード700を排出する。なお、S1313の処理の実行後は、このボタン判定処理(S1102)を終了し、メイン処理(図45参照)に戻る。
【0725】
次に、図48を参照して、枠統括制御装置111内のMPU211によりメイン処理(図45参照)の中で実行される貸球賞球計数処理(S1103)について説明する。図48は、この貸球賞球計数処理(S1103)を示したフローチャートである。この貸球賞球計数処理(S1103)は、主に、カードユニット300からの貸球信号を受信した場合に、クレジット記憶部213bの値を加算する処理と、賞球バッファ213dに賞球数情報が格納されている場合に、クレジット移行中か否かを判別して、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cの値を加算する処理とを行う。
【0726】
貸球賞球計数処理(S1103)では、まず、カードユニット300から貸球信号を受信しているか否かを判別する(S1401)。判別の結果、貸球信号を受信していれば(S1401:Yes)、クレジット記憶部213bに「125」を加算し(S1402)、処理をS1403へ移行する。これにより、500円分の貸球に相当する「125球」分の保持球データを加算して、遊技者の保持球データを増加させることができる。なお、S1401の処理の結果、カードユニット300から貸球信号を受信していない場合は(S1401:No)、S1402の処理をスキップして、処理をS1403へ移行する。
【0727】
S1403の処理では、賞球バッファ213dに賞球数情報が格納されているか否かを判別する(S1403)。判別の結果、賞球バッファ213dに賞球数情報が格納されていない場合は(S1403:No)、賞球が付与されていない状態であるので、S1404~S1408の処理をスキップし、この貸球賞球計数処理(S1103)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。
【0728】
S1403の処理において、賞球バッファ213dに賞球数情報が格納されていると判別された場合は(S1403:Yes)、次いで、クレジット移行フラグ213eがオンされているか否かを判別する(S1404)。判別の結果、クレジット移行フラグ213eがオンされていない場合は(S1404:No)、クレジット移行中の賞球ではないので、賞球バッファ213dに記憶されている賞球データ(賞球数情報)に応じた値をクレジット記憶部213bに加算し(S1405)、処理をS1407へ移行する。一方、S1404の処理の結果、クレジット移行フラグ213eがオンされていると判別された場合は(S1404:Yes)、クレジット移行中の賞球であるので、賞球バッファ213dに記憶されている賞球データ(賞球数情報)に応じた値を移行中記憶部213cに加算し(S1406)、処理をS1407へ移行する。これにより、クレジット移行中に獲得した賞球を、移行中に更新されているクレジット記憶部213bと異なる移行中記憶部213cに記憶させることができるので、クレジット移行中におけるクレジット記憶部213bに関して煩雑な処理の発生を抑制し、計数異常等の発生を未然に抑制することができる。
【0729】
S1407の処理では、賞球バッファ213dに記憶されている賞球データ(賞球数情報)に応じた賞球信号をカードユニット300及び外部端子板23にそれぞれ出力し(S1407)、次いで、賞球バッファ213dを「0」クリアして(S1408)、この貸球賞球計数処理(S1103)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。これにより、カードユニット300側とホールコンピュータ500側とのそれぞれで賞球数を把握することが可能となる。
【0730】
次に、図49を参照して、枠統括制御装置111内のMPU211によりメイン処理(図45参照)の中で実行される送り球計数処理(S1104)について説明する。図49は、この送り球計数処理(S1104)を示したフローチャートである。この送り球計数処理(S1104)は、主に、発射ハンドル51の回動操作に伴って球送り処理と発射処理とを行うとともに、球送り処理が行われた場合に、遊技者の保持球データを更新(減算)する処理を行う。また、クレジット移行ボタン42の長押し中である場合は、遊技者の所持球データの残り球数に応じた球送り処理の制限を行う。
【0731】
球送り計数処理(S1104)では、まず、長押しフラグ213fがオンされているか否かを判別する(S1501)。判別の結果、長押しフラグ213fがオンされていれば(S1501:Yes)、クレジット移行ボタン42が長押しされている状態であるので、次いで、クレジット記憶部213bの値が「1000」より大きい値か否かを判別する(S1502)。判別の結果、クレジット記憶部213bの値が「1000」より大きい値でない場合、即ち、クレジット記憶部213bの値が「1000」以下である場合は(S1502:No)、クレジット移行ボタン42の長押し中にクレジット記憶部213bの値が「1000」以下となっているため、以降の球送り処理及び発射処理を制限するために、規定球数フラグ213gをオンに設定し(S1503)、処理をS1504へ移行する。
【0732】
なお、S1501の処理において、長押しフラグ213fがオンされていないと判別された場合は(S1501:No)、クレジット移行ボタン42が長押しされていない状態であるので、S1502及びS1503の処理をスキップして、処理をS1504へ移行する。また、S1502の処理において、クレジット記憶部213bの値が「1000」より大きい値であると判別された場合は(S1502:Yes)、クレジット移行ボタン42の長押し中であっても、遊技者の保持球が「1000球」以上存在しているため、球送り処理及び発射処理を許容するべく、S1503の処理をスキップして、処理をS1504へ移行する。
【0733】
S1504の処理では、遊技者により発射ハンドル51が所定量回動されているか否かを判別する(S1504)。判別の結果、遊技者により発射ハンドル51が所定量回動されていなければ(S1504:No)、球の発射条件を満たさないため、S1505~S1509の処理をスキップして、処理をS1510へ移行する。一方、遊技者により発射ハンドル51が所定量回動されていると判別された場合は(S1504:Yes)、次いで、発射許可フラグ213aがオンされているか否かを判別する(S1505)。
【0734】
S1505の処理において、発射許可フラグ213aがオンされていないと判別された場合は(S1505:No)、何らかの理由(例えば、カード返却中やカードユニット300の未接続等)で球の発射が制限されている状態であるので、S1506~S1509の処理をスキップして、処理をS1510へ移行する。一方、発射許可フラグ213aがオンされていると判別された場合は(S1505:Yes)、次いで、打ち止めスイッチ51bがオンされているか否かを判別する(S1506)。
【0735】
S1506の処理において、打ち止めスイッチ51bがオンされていると判別された場合は(S1506:Yes)、遊技者により打ち止めスイッチ51bが操作されている状態であるので、球送り処理及び発射処理を制限するべく、S1507~S1509の処理をスキップして、処理をS1510へ移行する。一方、打ち止めスイッチ51bがオンされていないと判別された場合は(S1506:No)、次いで、規定球数フラグ213gがオンされているか否かを判別する(S1507)。
【0736】
S1507の処理において、規定球数フラグ213gがオンされていると判別された場合は(S1507:Yes)、クレジット移行ボタン42の長押し中にクレジット記憶部213bの値が「1000」以下となり、球送り処理及び発射処理が制限された状態であるので、S1508及びS1509の処理をスキップして、処理をS1510へ移行する。一方、規定球数フラグ213gがオンされていないと判別された場合は(S1507:No)、クレジット移行中でないか、或いは、クレジット移行中であってもクレジット記憶部213bに記憶される保持球データ数が「1000球」より多く存在しているため、次いで、クレジット記憶部213bの値が「0」より大きい値であるか否かを判別する(S1508)。
【0737】
S1508の処理において、クレジット記憶部213bの値が「0」より大きい値でない場合、即ち、クレジット記憶部213bの値が「0」以下である場合は(S1508:No)、少なくとも、遊技者の保持球データがクレジット記憶部213bに記憶されていない状態であるため、球送り処理及び発射処理を制限するため、S1509の処理をスキップして、処理をS1510へ移行する。一方、クレジット記憶部213bの値が「0」より大きい値であると判別された場合は(S1508:Yes)、球送り処理及び発射処理が可能な状態であるので、球送りユニット112cの球送りソレノイド112dを駆動して(S1509)、処理をS1510へ移行する。S1509の球送り処理が実行されることで、上皿17(図1参照)に貯留されていた球が、1球、球発射ユニット112a側に送り出される。第1実施形態では、クレジット記憶部213bに記憶される保持球データに基づいて球送り処理が実行される一方、移行中記憶部213cに記憶される保持球データによっては、球送り処理が実行されないように構成されている。これにより、移行中記憶部213cを、クレジット移行中に発生し得る賞球又はファール球を計数する専用の記憶領域として用い、クレジット移行中でも遊技を実行可能にしつつ、移行中のクレジット記憶部213bに対する加減算処理の処理負担を軽減させることができる。
【0738】
S1510の処理では、球送りユニット112cの球送りスイッチ112eによって球が検出されたか否かを判別する(S1510)。判別の結果、球送りスイッチ112eによって球が検出されていない場合は(S1510:No)、S1511~S1514の処理をスキップして、この送り球計数処理(S1104)を終了し、メイン処理(図45参照)に戻る。一方、球送りスイッチ112eによって球が検出された場合は(S1510:Yes)、球送りソレノイド112dが駆動されたことによって、上皿17に貯留されていた球が球発射ユニット112a側に送り出されたということなので、次いで、クレジット移行フラグ213eがオンされているか否かを判別する(S1511)。判別の結果、クレジット移行フラグ213eがオンされていなければ(S1511:No)、クレジット移行中に送り出された球の検出ではないため、クレジット記憶部213bの値から「1」減算し(S1512)、処理をS1514へ移行する。一方、クレジット移行フラグ213eがオンされていると判別された場合は(S1512:Yes)、クレジット移行中に送り出された球の検出であるので、移行中記憶部213cの値が「1」減算し(S1513)、処理をS1514へ移行する。
【0739】
S1514の処理では、球を1球送り出したことを示す球送り信号をカードユニット300に対して出力し(S1514)、この送り球計数処理(S1104)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。これにより、カードユニット300側で球送り処理が実行されたことを認識可能となる。
【0740】
次に、図50を参照して、枠統括制御装置111内のMPU211によりメイン処理(図45参照)の中で実行される発射処理(S1105)について説明する。図50は、この発射処理(S1105)を示したフローチャートである。この発射処理(S1105)は、主に、遊技者による発射ハンドル51の操作、或いは、残り球発射カウンタ213iの値に応じて球発射ユニット112aの発射ソレノイド112bを駆動するとともに、ファール球に関する各種処理を行う。
【0741】
この発射処理(S1105)では、まず、遊技者により発射ハンドル51が所定量回動されているか否かを判別する(S1601)。判別の結果、発射ハンドル51が所定量回動されていれば(S1601:Yes)、次いで、所定間隔(第1実施形態では、「0.6秒」)で到来する発射タイミングか否かを判別する(S1602)。判別の結果、発射タイミングでないと判別された場合は(S1602:No)、該発射タイミングが到来するまでS1603の処理をスキップして、処理をS1607へ移行する。一方、発射タイミングであると判別された場合は(S1602:Yes)、発射ハンドル51の回動量に応じた強さで発射ソレノイド112bを駆動し(S1603)、処理をS1607へ移行する。これにより、所定間隔での球の発射が可能となる。
【0742】
一方、S1601の処理において、発射ハンドル51が所定量回動されていないと判別された場合は(S1601:No)、次いで、残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい値であるか否かを判別する(S1604)。判別の結果、残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい値でない場合は(S1604:No)、カード返却中における残存球が存在していないか、或いは、遊技者が発射ハンドル51を操作していない状態であるので、S1605及びS1606の処理をスキップして、処理をS1607へ移行する。一方、S1603の判別の結果、残り球発射カウンタ213iの値が「0」より大きい値である場合は(S1604:Yes)、カード返却中における残存球が存在している可能性がある状態であるので、次いで、所定間隔(第1実施形態では、「0.6秒」)で到来する発射タイミングか否かを判別する(S1605)。判別の結果、発射タイミングでないと判別された場合は(S1605:No)、該発射タイミングが到来するまでS1606及びS1603の処理をスキップして、処理をS1607へ移行する。一方、発射タイミングであると判別された場合は(S1605:Yes)、残り球発射カウンタ213iの値から「1」減算し(S1606)、次いで、予め設定された強度(第1実施形態では、右打ち遊技の発射強度)で発射ソレノイド112bを駆動し(S1603)、処理をS1607へ移行する。これにより、遊技者が発射ハンドル51を操作していない状態でも、会員カード700の返却時に、球発射ユニット112a側に案内された球を発射し、遊技に使用又はファール球として処理して、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制している。
【0743】
S1607の処理では、ファール球スイッチ131によって球が検出されているか否かを判別する(S1607)。ここでは、ファール球スイッチ131の出力信号に基づいて、ファール球の通過(入球)を3回の発射処理(S1105)にわたって検出する。判別の結果、ファール球スイッチ131によって球が検出されていない場合は(S1607:No)、S1608~S1611の処理をスキップして、この発射処理(S1105)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。一方、ファール球スイッチ131によって球が検出されている場合は(S1607:Yes)、次いで、クレジット移行フラグ213eがオンされてクレジット移行中であるか否かを判別する(S1608)。
【0744】
S1608の判別の結果、クレジット移行フラグ213eがオンされていない場合は(S1608:No)、クレジット移行中のファール球の発生ではないため、クレジット記憶部213bに「1」加算し(S1609)、処理をS1611へ移行する。一方、クレジット移行フラグ213eがオンされていると判別された場合は(S1608:Yes)、クレジット移行中のファール球の発生であるので、移行中記憶部213cの値に「1」加算し(S1610)、処理をS1611へ移行する。これにより、クレジット移行中におけるファール球を、移行中の記憶領域であるクレジット記憶部213bとは異なる記憶領域(即ち、移行中記憶部213c)に記憶させることができるので、処理の煩雑化を未然に防止するとともに、ファール球を的確に計数することができる。
【0745】
S1611の処理では、ファール球が1球発生したことを示すファール球信号をカードユニット300に対して出力し(S1611)、この発射処理(S1105)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。これにより、カードユニット300側において、ファール球が発生していることを認識することが可能となる。
【0746】
次に、図51を参照して、枠統括制御装置111内のMPU211によりメイン処理(図45参照)の中で実行される清算処理(S1106)について説明する。図51は、この清算処理(S1106)を示したフローチャートである。この清算処理(S1106)は、主に、クレジット移行ボタン42の押下態様や、カード返却ボタン43の操作に応じて、クレジット記憶部213b又は/及び移行中記憶部213cに記憶される保持球データをカードユニット300側へ送信する処理を行う。
【0747】
この清算処理(S1106)では、まず、クレジット移行フラグ213eがオンされているか否かを判別する(S1701)。判別の結果、クレジット移行フラグ213eがオンされていれば(S1701:Yes)、クレジット情報の移行タイミングが否か、即ち、カードユニット300との通信タイミング(第1実施形態では、「0.3秒」ごと)か否かを判別する(S1702)。判別の結果、クレジット情報の移行タイミングでなければ(S1702:No)、該移行タイミングが到来するまでS1704の処理をスキップして、この清算処理(S1106)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。一方、クレジット情報の移行タイミングであれば(S1702:Yes)、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cに記憶されるクレジット情報をカードユニット300側に送信する移行処理を行い(S1704)、この清算処理(S1106)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。
【0748】
一方、S1701の処理において、クレジット移行フラグ213eがオンされていないと判別された場合は(S1701:No)、クレジット移行ボタン42が押下された状況ではないので、次いで、カード返却中フラグ213hがオンされているか否かを判別する(S1702)。判別の結果、カード返却中フラグ213hがオンされていなければ(S1703:No)、クレジット移行ボタン42が押下された状況でも、カード返却ボタン43が押下された状況でもないため、この清算処理(S1106)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。一方、カード返却中フラグ213hがオンされていると判別された場合は(S1703:Yes)、S1703の処理へ移行し、クレジット情報の移行タイミングが到来するまで移行処理(S1704)をスキップし、該移行タイミングが到来した場合には(S1703:Yes)、移行処理を行い(S1704)、この清算処理(S1106)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。
【0749】
ここで、図52を参照して、上記清算処理(S1106)の中で実行される移行処理(S1704)について説明する。図52は、この移行処理(S1704)を示したフローチャートである。この移行処理(S1704)では、クレジット移行ボタン42やカード返却ボタン43の操作態様に応じて、クレジット記憶部213b又は/及び移行中記憶部213cに記憶されるクレジット情報(保持球データ)をカードユニット300に対して送信する処理等を行う。また、カード返却時には、残り球発射カウンタ213iを設定し、パチンコ機10側に残存し得る残存球の発射が可能な設定を行う。
【0750】
この移行処理(S1704)では、まず、カード返却中フラグ213hがオンされているか否かを判別する(S1801)。判別の結果、カード返却中フラグ213hがオンされていれば(S1801:Yes)、クレジット記憶部213b又は/及び移行中記憶部213cに記憶されている保持球データをまとめてカードユニット300側に移行させるために、処理をS1803へ移行する。一方、カード返却中フラグ213hがオンされていないと判別された場合は(S1801:No)、次いで、長押しフラグ213fがオンされているか否かを判別する(S1802)。判別の結果、長押しフラグ213fがオンされている場合は(S1802:Yes)、クレジット移行ボタン42が長押し状態であるので、クレジット記憶部213b又は/及び移行中記憶部213cに記憶されている保持球データをまとめてカードユニット300側に移行させるために、処理をS1803へ移行する。
【0751】
S1803の処理では、クレジット記憶部213bにクレジット情報(保持球データ)が記憶されているか否かを判別する(S1803)。判別の結果、クレジット記憶部213bに保持球データが記憶されている場合は(S1803:Yes)、次いで、クレジット記憶部213bの値が「125」以上か否かを判別する(S1804)。判別の結果、クレジット記憶部213bの値が「125」以上であれば(S1804:Yes)、カードユニット300に対して予め設定されている1回の通信で移行可能な最大移行球数以上、遊技者の保持球データが存在しているので、まず、クレジット記憶部213bの値から「125」を減算して(S1805)、次いで、125球移行信号をカードユニット300に対して出力し(S1806)、この移行処理(S1704)を終了する。移行処理(S1704)の終了後は、清算処理(図51参照)に戻る。カードユニット300は、枠統括制御装置111から125球移行信号を受信した場合に、カードユニット300の保有球データ記憶部303cに「125球」分の保持球データを加算する(図55のS2108参照)。
【0752】
一方、S1804の処理において、クレジット記憶部213bの値が「125」以上ないと判別された場合は(S1804:No)、クレジット記憶部213bに記憶される残りの保持球データに応じた球数移行信号をカードユニット300に対して送信し(S1807)、クレジット記憶部213bを「0」クリアして(S1808)、この移行処理(S1704)を終了する。カードユニット300は、枠統括制御装置111から残りの球数に対応した球数移行信号を受信した場合に、カードユニット300の保有球データ記憶部303cに残り球数分の保持球データを加算する(図55のS2108参照)。これにより、クレジット記憶部213bに記憶されるすべての保持球データをカードユニット300側に移行させることができる。
【0753】
S1803の処理において、クレジット記憶部213bにクレジット情報(保持球データ)が記憶されていないと判別された場合は(S1803:No)、次いで、移行中記憶部213cにクレジット情報(保持球データ)が記憶されているか否かを判別する(S1809)。判別の結果、移行中記憶部213cに保持球データが記憶されている場合は(S1809:Yes)、次いで、移行中記憶部213cの値が「125」以上か否かを判別する(S1810)。判別の結果、移行中記憶部213cの値が「125」以上であれば(S1810:Yes)、カードユニット300に対して予め設定されている1回の通信で移行可能な最大移行球数以上、遊技者の保持球データが存在しているので、まず、移行中記憶部213cの値から「125」を減算して(S1811)、次いで、処理をS1806に移行して、125球移行信号をカードユニット300に対して出力し(S1806)、この移行処理(S1704)を終了する。
【0754】
一方、S1810の処理において、移行中記憶部213cの値が「125」以上ないと判別された場合は(S1810:No)、移行中記憶部213cに記憶される残りの保持球データに応じた球数移行信号をカードユニット300に対して送信し(S1812)、移行中記憶部213cを「0」クリアして(S1813)、この移行処理(S1704)を終了する。カードユニット300は、枠統括制御装置111から残りの球数に対応した球数移行信号を受信した場合に、カードユニット300の保有球データ記憶部303cに残り球数分の保持球データを加算する(図55のS2108参照)。これにより、移行中記憶部213cに記憶されるすべての保持球データをカードユニット300側に移行させることができる。また、移行中記憶部213cへの保持球データの記憶(加算)は、クレジット記憶部213bの値が「1000」より大きい値である場合が多く、クレジット記憶部213bの値が「1000」より小さい状況では移行中記憶部213cの値に保持球データが加算され難い状況となる。このため、クレジット記憶部213bの残りの保持球データ(例えば、「1000」)を送信している間に、移行中記憶部213cの保持球データの内容が決定され、その後は加算処理等が行われ難いので、移行中記憶部213cの値の更新(加算)中に久ジレット情報の移行によって減算されるといった事象を未然に防止することができる。
【0755】
S1809の処理において、移行中記憶部213cにクレジット情報(保持球データ)が記憶されていないと判別された場合は(S1809:No)、クレジット記憶部213b及び移行中記憶部213cのいずれにも保持球データが記憶されていない状態であるので、パチンコ機10側に遊技者の所持球データが存在せず、クレジット情報の移行が終了している。よって、クレジット移行フラグ213eをオフに設定し(S1812)、規定球数フラグ213gをオフに設定して(S1813)、処理をS1816へ移行する。
【0756】
S1816の処理では、カード返却中フラグ213hがオンされているか否か、即ち、カード返却ボタン43が押下された状況か否かを判別する(S1816)。判別の結果、カード返却中フラグ213hがオンされている場合は(S1816:Yes)、遊技者により会員カード700の排出を求められた状態であって、かつ、クレジット記憶部213b及び移行中記憶部213cの保持球データも全てカードユニット300側に移行済みである状況なので、球発射ユニット112a側に球が残存している場合に該球を発射させるため、残り球発射カウンタ213iの値に「2」をセットして(S1817)、この移行処理(S1704)を終了する。これにより、会員カード700の返却時に、球発射ユニット112a側に案内された球を発射し、遊技に使用又はファール球として処理して、遊技者の保持球データを全て有効活用できるため、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制している。なお、S1816の処理において、カード返却中フラグ213hがオンされていないと判別された場合は(S1816:No)、カード返却中ではなく、クレジット移行中であったため、S1817の処理をスキップして、この移行処理(S1704)を終了する。
【0757】
S1802の処理において、長押しフラグ213fがオンされていないと判別された場合は(S1802:No)、次いで、クレジット移行ボタン42の押下が継続しているか否かを判別する(S1818)。判別の結果、クレジット移行ボタン42の押下中である場合は(S1818:Yes)、未だクレジット移行ボタン42の押下態様が単押しか長押しかが判別できないため、S1819~S1822の処理をスキップして、クレジット情報の移行は行わず、この移行処理(S1704)を終了して、清算処理(図51参照)に戻る。
【0758】
S1818の処理において、クレジット移行ボタン42が押下中でなければ(S1818:No)、クレジット移行ボタン42が単押しされたということなので、次いで、クレジット記憶部213bの値が「0」より大きいか否かを判別する(S1819)。判別の結果、クレジット記憶部213bの値が「0」より大きければ(S1819:Yes)、クレジット記憶部213bの値から「1」を減算して(S1820)、次いで、1球移行信号をカードユニット300に対して出力し(S1821)、クレジット移行フラグ213eをオフに設定して(S1822)、この移行処理(S1704)を終了する。カードユニット300は、枠統括制御装置111から1球移行信号を受信した場合に、カードユニット300の保有球データ記憶部303cに「1球」分の保持球データを加算する(図55のS2108参照)。
【0759】
一方、S1819の処理において、クレジット記憶部213bの値が「0」より大きい値でない場合、即ち、「0」以下であると判別された場合は(S1819:No)、次いで、移行中記憶部213cの値が「0」より大きいか否かを判別する(S1823)。判別の結果、移行中記憶部213cの値が「0」より大きければ(S1823:Yes)、移行中記憶部213cの値から「1」を減算して(S1824)、処理をS1821へ移行し、1球移行信号をカードユニット300に対して出力し(S1821)、クレジット移行フラグ213eをオフに設定して(S1822)、この移行処理(S1704)を終了する。これにより、クレジット移行ボタン42が単押しされた場合に、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213cの値に基づいて1球ずつクレジット情報をカードユニット300側へ移行することができる。
【0760】
なお、S1823の処理において、移行中記憶部213cにクレジット情報(保持球データ)が記憶されていないと判別された場合は(S1823:No)、クレジット記憶部213b及び移行中記憶部213cのいずれにも保持球データが記憶されていない状態であるので、パチンコ機10側に遊技者の所持球データが存在せず、クレジット情報の移行が終了している。よって、処理をS1814へ移行し、クレジット移行フラグ213eをオフに設定し(S1812)、規定球数フラグ213gをオフに設定して(S1813)、処理をS1816へ移行する。
【0761】
次に、図53を参照して、枠統括制御装置111内のMPU211によりメイン処理(図45参照)の中で実行される表示処理(S1107)について説明する。図53は、この表示処理(S1107)を示したフローチャートである。この表示処理(S1107)は、主に、クレジット記憶部213bに記憶される遊技者の保持球データをクレジット数表示部41(図1参照)に表示する処理を行うとともに、クレジット移行中は、該クレジット数表示部41に、移行中記憶部213cに記憶される遊技者の保持球データを追加的に表示する処理を行う。
【0762】
この表示処理(S1107)は、まず、クレジット記憶部213bに記憶される遊技者の所持球データ(以下、「保有クレジット数」と称する場合がある)をクレジット数表示部41に表示設定し(S1901)、次いで、クレジット移行フラグ213eがオンされているか否かを判別する(S1902)。判別の結果、クレジット移行フラグ213eがオンされていれば(S1902:Yes)、クレジット移行中であり、移行中記憶部213cに保持球データが記憶されている場合があるので、移行中記憶部213cに記憶される保有クレジット数をクレジット数表示部41に追加的に表示設定し(S1903)、この表示処理(S1107)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。一方、S1902の処理において、クレジット移行フラグ213eがオンされていないと判別された場合は(S1902:No)、移行中記憶部213cに保持球データが記憶されている状況ではないので、S1903の処理をスキップして、この表示処理(S1107)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。
【0763】
クレジット数表示部41にクレジット記憶部213bの値と移行中記憶部213cの値とを同時に表示する方法としては、例えば、交互にいずれかの値を表示し、各表示の表示色を変化させて表示する場合や、クレジット数表示部41の、正面視左側にクレジット記憶部213bの値を表示し、正面視右側に移行中記憶部213cの値を表示する場合、クレジット記憶部213bの値と移行中記憶部213cの値とを合算してクレジット数表示部41に表示する場合等が例示される。
【0764】
次に、図54及び図55のフローチャートを参照して、カードユニット300内のMPU301により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU301の処理としては、起動処理後に実行されるメイン処理がある。
【0765】
図54は、カードユニット300内のMPU301により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、電源投入時の起動処理(S2001)後、S2002~S2017の処理を繰り返し実行するように構成されている。
【0766】
このメイン処理では、まず、初期設定処理等を実行する起動処理を実行し(S2001)、次いで、カード挿入孔311に会員カード700が投入されたか否かを判別する(S2002)。判別の結果、カード挿入孔311に会員カード700が投入されたタイミングであれば(S2002:Yes)、会員カード700の会員ID701をカード読取装置306(図8参照)によって読み取って会員ID情報を取得し(S2003)、次いで、該会員ID情報を含むものであり、会員カード700が投入されたことを示すカード投入信号をホールコンボックス400に対して出力し(S2004)、処理をS2017へ移行する。ホールコンボックス400は、カードユニット300からカード投入信号を受信した場合、該カード投入信号をホールコンピュータ500に対して出力することで、ホールコンピュータ500において会員カード700がカードユニット300に投入されたことを認識することができる。
【0767】
S2002の処理において、カード挿入孔311に会員カード700が投入されたタイミングではない(即ち、カード未挿入、或いは、既にカード挿入済み等)と判別された場合は(S2002:No)、次いで、ホールコンピュータ500からホールコンボックス400を介して認証信号を受信したか否かを判別する(S2005)。判別の結果、認証信号を受信していれば(S2005:Yes)、次いで、受信した認証情報が正常であるか否かを判別する(S2006)。判別の結果、受信した認証情報が正常なものである場合は(S2006:Yes)、会員カード700の認証が正常に行われたということなので、会員カード700の遊技履歴記憶部702、現金データ記憶部703及び保有球データ記憶部704に記憶される遊技履歴情報、現金データ情報および保有球データ情報を、カードユニット300の遊技履歴記憶部303a、現金データ記憶部303b及び保有球データ記憶部303cにそれぞれ書き込み(S2007)、処理をS2017へ移行する。一方、受信した認証情報が正常なものでないと判別された場合は(S2006:No)、会員カード700の認証が正常に行われていないため、会員カード700の各データをカードユニット300側には書き込まず、処理をS2017へ移行する。
【0768】
S2005の処理において、認証信号を受信していないと判別された場合は(S2005:No)、次いで、遊技者により紙幣投入口312に紙幣が投入されたか否かを判別する(S2008)。判別の結果、紙幣投入口312に紙幣が投入されたと紙幣読取装置307(図8参照)によって読み取られた場合は(S2008:Yes)、投入された紙幣に応じて現金データ記憶部303bの値を更新し(S2009)、処理をS2017へ移行する。
【0769】
S2008の処理において、紙幣投入口312に紙幣が投入されていないと判別された場合は(S2008:No)、次いで、遊技者により球貸ボタン309が操作されたか否かを判別する(S2010)。判別の結果、球貸ボタン309が操作されていれば(S2010:Yes)、カードユニット300の保有球データ記憶部303cの値が「0」より大きいか否かを判別する(S2011)。判別の結果、保有球データ記憶部303cの値が「0」より大きければ(S2011:Yes)、遊技者が所持する所持球データが存在しているので、該保有球データに基づいて球の貸し出し処理を実行するために、まず、貸球数分(例えば、「125球」)の所持球データを保有球データ記憶部303cから減算(更新)し(S2012)、次いで、貸球数分の貸球信号を枠統括制御装置111に対して出力し(S2015)、処理をS2017へ移行する。
【0770】
一方、S2011の処理において、保有球データ記憶部303cの値が「0」より大きい値でない場合、即ち、保有球データ記憶部303cの値が「0」以下である場合は(S2011:No)、次いで、現金データ記憶部303bの値が「0」より大きい値であるか否かを判別する(S2013)。判別の結果、現金データ記憶部303bの値が「0」より大きければ(S2013:Yes)、遊技者が所持する現金データが存在しているので、該現金データに基づいて球の貸し出し処理を実行するために、まず、貸球数分(例えば、「125球」)の現金データを現金データ記憶部303bから減算(更新)し(S2014)、処理をS2015へ移行して、貸球数分の貸球信号を枠統括制御装置111に対して出力し(S2015)、処理をS2017へ移行する。なお、S2013の処理において、現金データ記憶部303bの値が「0」より大きい値でない場合、即ち、現金データ記憶部303bの値が「0」以下である場合は(S2011:No)、保有球データ記憶部303cに保有球データも、現金データ記憶部303bに現金データも記憶されていない状態であるので、球の貸し出し処理を行わず、処理をS2017へ移行する。
【0771】
S2010の処理において、球貸ボタン309が操作されていないと判別された場合は(S2010:No)、次いで、枠統括制御装置111から受信した各種信号に基づいて各種制御を行う受信信号処理を行い(S2016)、その後、その他の処理を実行した後(S2017)、処理をS2002へ移行し、再び、S2002~S2017の処理を繰り返す。
【0772】
ここで、図55を参照して、上記メイン処理(図54参照)の中で実行される受信信号処理(S2016)について説明する。図55は、この受信信号処理(S2016)を示したフローチャートである。この受信信号処理(S2016)では、枠統括制御装置111から受信した各種信号に基づいて、カードユニット300のRAM303内のデータを更新する処理を実行するとともに、ホールコンボックス400に対して各種信号を出力する。
【0773】
この受信信号処理(S2016)では、まず、遊技情報信号を受信したか否かを判別する(S2101)。判別の結果、遊技情報信号を受信していれば(S2101:Yes)、該遊技情報信号をホールコンボックス400(及びホールコンピュータ500)に対して出力し(S2102)、この受信信号処理(S2016)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。ホールコンボックス400(及びホールコンピュータ500)は、遊技情報信号を受信することで、パチンコ機10の遊技結果や遊技履歴を把握することが可能となる。
【0774】
S2101の処理において、遊技情報信号を受信していないと判別された場合は(S2101:No)、次いで、賞球信号を受信したか否かを判別する(S2103)。判別の結果、賞球信号を受信していれば(S2103:Yes)、該賞球信号をホールコンボックス400(ホールコンピュータ500)に対して出力し(S2104)、この受信信号処理(S2016)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。ホールコンボックス400(及びホールコンピュータ500)は、賞球信号を受信することで、パチンコ機10で取得された賞球数を把握可能となる。
【0775】
S2103の処理において、賞球信号を受信していないと判別された場合は(S2103:No)、次いで、球送り信号を受信したか否かを判別する(S2105)。判別の結果、球送り信号を受信していれば(S2105:Yes)、該球送り信号をホールコンボックス400(ホールコンピュータ500)に対して出力し(S2106)、この受信信号処理(S2016)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。ホールコンボックス400(及びホールコンピュータ500)は、球送り信号を受信することで、パチンコ機10で1球の球が遊技に使用されたことを把握可能となる。
【0776】
S2105の処理において、球送り信号を受信していないと判別された場合は(S2105:No)、次いで、クレジット情報の移行球数を示す各移行信号を受信したか否かを判別する(S2107)。判別の結果、各移行信号のいずれかを受信していれば(S2107:Yes)、該各移行信号が示すクレジット球数をカードユニット300の保有球データ記憶部303cに加算し(S2108)、次いで、該各移行信号をホールコンボックス400(ホールコンピュータ500)に対して出力し(S2109)、この受信信号処理(S2016)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。ホールコンボックス400(及びホールコンピュータ500)は、各移行信号を受信することで、パチンコ機10で行われた遊技結果に基づく遊技者の保持球データを把握可能となる。
【0777】
S2107の処理において、各移行信号を受信していないと判別された場合は(S2107:No)、次いで、ファール球信号を受信したか否かを判別する(S2110)。判別の結果、ファール球信号を受信していれば(S2110:Yes)、該ファール球信号をホールコンボックス400(ホールコンピュータ500)に対して出力し(S2111)、この受信信号処理(S2016)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。ホールコンボックス400(及びホールコンピュータ500)は、ファール球信号を受信することで、パチンコ機10で1球のファール球が発生したことを把握可能となる。
【0778】
S2110の処理において、ファール球信号を受信していないと判別された場合は(S2110:No)、次いで、カード排出信号を受信したか否かを判別する(S2112)。判別の結果、カード排出信号を受信していれば(S2112:Yes)、会員カード700の排出条件が満たされているため、カード挿入孔311に挿入されている会員カード700の排出処理を行い(S2113)、次いで、該カード排出信号をホールコンボックス400(ホールコンピュータ500)に対して出力し(S2114)、この受信信号処理(S2016)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。ホールコンボックス400(及びホールコンピュータ500)は、カード排出信号を受信することで、カードユニット300から会員カード700が排出されたことを把握可能となる。
【0779】
S2112の処理において、カード排出信号を受信していないと判別された場合は(S2112:No)、次いで、その他の信号に応じた処理を実行し(S2115)、この受信信号処理(S2016)を終了して、メイン処理(図45参照)に戻る。
【0780】
このように構成することで、カードユニット300に投入された会員カード700に基づいて、遊技者の保持球に応じてパチンコ機10での遊技を行うことが可能となるとともに、遊技終了時には、会員カード700に遊技結果としての保持球データや遊技履歴を記憶させることができる。また、パチンコ機10側から受信した遊技情報を、ホールコンボックス400及びホールコンピュータ500に対して出力可能に構成することで、ホールコンボックス400及びホールコンピュータ500でパチンコ機10の遊技情報を把握することが可能となる。
【0781】
次に、図56から図59のフローチャートを参照して、ホールコンボックス400により実行される各制御処理を説明する。かかるホールコンボックス400の処理としては、起動処理後に実行されるメイン処理がある。
【0782】
図56は、ホールコンボックス400により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、電源投入時の起動処理(S3001)の実行後、S3002~S3005の処理を繰り返し実行するように構成されている。
【0783】
このメイン処理では、まず、初期設定処理等を実行する起動処理を実行し(S3001)、次いで、カードユニット300からのカード投入信号、又は、ホールコンピュータ500からのカード認証信号に基づく処理を行う(S3002)。なお、カード認証処理(S3002)の詳細については、図57において後述する。
【0784】
カード認証処理(S3002)の実行後は、次いで、カードユニット300から受信した各種信号に基づく処理を実行する信号受信処理を行う(S3003)。なお、信号受信処理(S3003)の詳細については、図58において後述する。
【0785】
信号受信処理(S3003)の実行後は、インターネットを介して外部管理サーバ600からのアクセスに応じた処理を行う外部アクセス処理を行い(S3004)、その他の処理を実行して(S3005)、処理をS3002へ移行し、S3002~S3005の処理を繰り返し実行する。なお、外部アクセス処理(S3004)の詳細については、図59において後述する。
【0786】
次に、図57を参照して、ホールコンボックス400によりメイン処理(図56参照)の中で実行されるカード認証処理(S3002)について説明する。図57は、このカード認証処理(S3002)を示したフローチャートである。
【0787】
このカード認証処理(S3002)では、まず、カードユニット300からカード投入信号を受信したか否かを判別する(S3101)。判別の結果、カード投入信号を受信していれば(S3101:Yes)、該カード投入信号をホールコンピュータ500に対して出力し(S3102)、処理をS3103へ移行する。一方、カード投入信号を受信していなければ(S3101:No)、S3102の処理をスキップして、処理をS3103へ移行する。これにより、カードユニット300に会員カード700が投入され、会員ID情報等の認証情報をホールコンピュータ500に出力することができる。この場合において、カード投入信号に含まれる会員ID情報及びユーザ情報は、暗号化されて送信されることで、ホールコンボックス400では、上記会員ID及びユーザ情報を復号化することができず、ホールコンピュータ500でのみ復号化可能に構成される。このように構成することで、ホールコンボックス400では、会員ID及びユーザ情報を把握することができず、外部からアクセス可能なホールコンボックスにおいて遊技者の個人情報等が流出してしまうことを未然に防止することができる。
【0788】
S3103の処理では、ホールコンピュータ500からカード認証信号を受信したか否かを判別する(S3103)。判別の結果、カード認証信号を受信していれば(S3103:Yes)、該カード認証信号をカードユニット300に対して出力し(S3104)、このカード認証処理(S3002)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。一方、カード認証信号を受信していなければ(S3103:No)、S3104の処理をスキップして、このカード認証処理(S3002)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。これにより、ホールコンピュータ500の認証結果をカードユニット300に出力することができる。この場合において、このカード認証信号は、会員ID情報及びユーザ情報のカード投入信号と同様、暗号化されて送信される。
【0789】
次に、図58を参照して、ホールコンボックス400によりメイン処理(図56参照)の中で実行される信号受信処理(S3003)について説明する。図58は、この信号受信処理(S3003)を示したフローチャートである。
【0790】
この信号受信処理(S3003)では、まず、カードユニット300から遊技情報信号を受信したか否かを判別する(S3201)。判別の結果、遊技情報信号を受信していれば(S3201:Yes)、該遊技情報信号に対応するパチンコ機10に関する遊技データ(役物比率データ、球発射数データ、遊技履歴情報等)を読み込んで、所定の記憶領域に記憶させ(S3202)、次いで、該遊技情報信号をホールコンピュータ500に対して出力し(S3203)、この信号受信処理(S3003)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。これにより、ホールコンボックス400において、パチンコ機10の遊技情報(役物比率データ、球発射数データ、遊技履歴情報等)を把握することができる。
【0791】
S3201の処理において、遊技情報信号を受信していないと判別された場合は(S3201:No)、次いで、カードユニット300から賞球信号を受信したか否かを判別する(S3204)。判別の結果、賞球信号を受信していれば(S3204:Yes)、該賞球信号に対応するパチンコ機10に関する賞球データを読み込んで、所定の記憶領域に記憶させ(S3205)、次いで、該賞球信号をホールコンピュータ500に対して出力し(S3206)、この信号受信処理(S3003)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。これにより、ホールコンボックス400において、パチンコ機10の賞球情報を把握することができる。
【0792】
S3204の処理において、賞球信号を受信していないと判別された場合は(S3204:No)、次いで、カードユニット300から球送り信号を受信したか否かを判別する(S3207)。判別の結果、球送り信号を受信していれば(S3207:Yes)、該球送り信号に対応するパチンコ機10に関する球送りデータを読み込んで、所定の記憶領域に記憶させ(S3208)、次いで、該球送り信号をホールコンピュータ500に対して出力し(S3209)、この信号受信処理(S3003)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。これにより、ホールコンボックス400において、パチンコ機10の球送り情報(発射情報)を把握することができる。
【0793】
S3207の処理において、球送り信号を受信していないと判別された場合は(S3207:No)、次いで、カードユニット300から各移行信号のいずれかを受信したか否かを判別する(S3210)。判別の結果、各移行信号のいずれかを受信していれば(S3210:Yes)、該各移行信号に対応するパチンコ機10に関するクレジット情報を読み込んで、所定の記憶領域に記憶させ(S3211)、次いで、該各移行信号をホールコンピュータ500に対して出力し(S3212)、この信号受信処理(S3003)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。これにより、ホールコンボックス400において、パチンコ機10のクレジット情報の移行状態を把握することができる。
【0794】
S3210の処理において、各移行信号を受信していないと判別された場合は(S3210:No)、次いで、カードユニット300からファール球信号を受信したか否かを判別する(S3213)。判別の結果、ファール球信号を受信していれば(S3213:Yes)、該ファール球信号に対応するパチンコ機10に関するファール球データを読み込んで、所定の記憶領域に記憶させ(S3214)、次いで、該ファール球信号をホールコンピュータ500に対して出力し(S3215)、この信号受信処理(S3003)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。これにより、ホールコンボックス400において、パチンコ機10のファール球情報を把握することができる。
【0795】
S3213の処理において、ファール球信号を受信していないと判別された場合は(S3213:No)、次いで、カードユニット300からカード排出信号を受信したか否かを判別する(S3216)。判別の結果、カード排出信号を受信していれば(S3216:Yes)、該カード排出信号に対応するパチンコ機10に関するカード排出情報を読み込んで、所定の記憶領域に記憶させ(S3217)、次いで、該カード排出信号をホールコンピュータ500に対して出力し(S3218)、この信号受信処理(S3003)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。これにより、ホールコンボックス400において、パチンコ機10に対応するカードユニット300から会員カード700が排出されたことを把握することができる。なお、S3216の処理において、カード排出信号を受信していないと判別された場合は(S3216:No)、この信号受信処理(S3003)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。
【0796】
これにより、カードユニット300から送信される各種信号に応じて、パチンコ機10側で発生した各種事象に対応した情報をホールコンボックス400側でも把握及び記憶することができるので、外部管理サーバ600からの問い合わせがあった場合に、パチンコ機10に関する各種情報を、ホールコンピュータ500やカードユニット300、パチンコ機10に直接アクセスさせることなく、外部管理サーバ600に対して出力することができる。よって、遊技ホールの各種情報を外部から閲覧する場合でも、セキュリティの構築を容易化するとともに、個人情報等をアクセスさせなくすることができる。
【0797】
次に、図59を参照して、ホールコンボックス400によりメイン処理(図56参照)の中で実行される外部アクセス処理(S3003)について説明する。図59は、この外部アクセス処理(S3003)を示したフローチャートである。この外部アクセス処理(S3003)では、外部管理サーバ600を介して遊技機メーカA~Cからの問い合わせがあった場合に、該遊技機メーカA~Cの認証処理を行うとともに、上記問い合わせに応じて遊技データの送信処理を行う。
【0798】
この外部アクセス処理(S3003)では、まず、外部管理サーバ600を介して遊技機メーカA~Cのいずれかからアクセス(問い合わせ)があったか否かを判別する(S3301)。判別の結果、外部管理サーバ600を介して遊技機メーカA~Cからアクセスがあった場合は(S3301:Yes)、遊技機メーカA~Cのメーカ認証信号をホールコンピュータ500に対して出力し(S3302)、処理をS3303へ移行する。一方、外部管理サーバ600を介して遊技機メーカA~Cからアクセスがないと判別された場合は(S3301:No)、S3302の処理をスキップして、処理をS3303へ移行する。ホールコンボックス400は、メーカ認証信号として、問い合わせがあった遊技機メーカA~CのメーカID及びパスワード等のメーカ情報をホールコンピュータ500に対して出力し、該メーカ情報が事前に登録されたもの(正当なもの)であるか否かを問い合わせる。
【0799】
S3303の処理では、ホールコンピュータ500からメーカ認証正常信号を受信したか否かを判別する(S3303)。判別の結果、メーカ認証正常信号を受信していれば(S3303:Yes)、問い合わせのあった遊技機メーカA~Cの認証処理が正常に行われたということなので、遊技機メーカA~Cに対応する(により販売された)パチンコ機10の遊技データを外部管理サーバ600に向けて送信し(S3304)、処理をS3305へ移行する。一方、メーカ認証正常信号を受信していないと判別された場合は(S3303:No)、S3304の処理をスキップして、処理をS3305へ移行する。
【0800】
S3305の処理では、ホールコンピュータ500からメーカ認証異常信号を受信したか否かを判別する(S3305)。判別の結果、メーカ認証異常信号を受信していれば(S3305:Yes)、問い合わせのあった遊技機メーカA~Cの認証処理が正常に行われなかったということなので、認証結果が正常でないことを示す認証異常信号を外部管理サーバ600に向けて送信し(S3306)、この外部アクセス処理(S3003)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。一方、メーカ認証異常信号を受信していないと判別された場合は(S3303:No)、S3306の処理をスキップして、この外部アクセス処理(S3003)を終了して、メイン処理(図56参照)に戻る。
【0801】
これにより、遊技機メーカA~Cにおいて、遊技ホールに設置されているパチンコ機10の遊技履歴を随時把握することができるので、パチンコ機10の稼働状態や何らかの異常(例えば、想定より多くの遊技価値が付与されている、想定と異なる遊技結果が頻出している等)を把握することが可能となり、不正や異常を早期に発見することが可能となる。また、遊技者が好む嗜好や遊技態様を把握して製品開発に資する情報を入手可能となる。
【0802】
次に、図60を参照して、ホールコンピュータ500により実行される各種処理について説明する。図60は、ホールコンピュータ500により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、電源投入時の起動処理(S4001)の実行後、S4002~S4012の処理を繰り返し実行し、ホールコンボックス400から受信した各種信号に基づく各種制御を実行する。
【0803】
このメイン処理では、まず、初期設定処理等を実行する起動処理を実行し(S4001)、次いで、ホールコンボックス400から何らかの信号を受信したか否かを判別する(S4002)。判別の結果、ホールコンボックス400から何らかの信号を受信していれば(S4002:Yes)、受信した信号に対応するパチンコ機10に関するデータを更新し(S4003)、処理をS4004へ移行する。一方、ホールコンボックス400から信号を受信していないと判別された場合は(S4002:No)、S4003の処理をスキップして、処理をS4004へ移行する。
【0804】
S4004の処理では、パチンコ機10から何らかの信号を受信したか否かを判別する(S4004)。判別の結果、パチンコ機10から何らかの信号を受信していれば(S4004:Yes)、受信した信号に対応するパチンコ機10に関するデータを更新し(S4005)、処理をS4006へ移行する。一方、パチンコ機10から信号を受信していないと判別された場合は(S4004:No)、S4005の処理をスキップして、処理をS4006へ移行する。これにより、ホールコンピュータ500は、パチンコ機10から受信する外部信号のみならず、ホールコンボックス400から受信するパチンコ機10に関する各種情報を把握することができ、2方向からの信号を判別可能となり、遊技データの整合性等を検証し易くなる。
【0805】
S4006の処理では、ホールコンボックス400からメーカ認証信号を受信したか否かを判別する(S4006)。判別の結果、ホールコンボックス400からメーカ認証信号を受信していれば(S4006:Yes)、次いで、該メーカ認証信号が示すメーカID及びパスワード等のメーカ情報が事前の登録済みデータと合致するか否かを判別する(S4007)。判別の結果、メーカ認証信号が示すメーカ情報が登録済みデータと合致する場合は(S4007:Yes)、メーカ認証正常信号をホールコンボックス400に対して出力し(S4008)、処理をS4010へ移行する。一方、メーカ認証信号が示すメーカ情報が登録済みデータと合致しないと判別された場合は(S4007:No)、メーカ認証異常信号をホールコンボックス400に対して出力し(S4009)、処理をS4010へ移行する。これにより、ホールコンピュータ500に事前に登録した遊技機メーカA~Cに対して認証を行い、認証結果の正否に応じてホールコンボックス400に記憶される遊技情報を遊技機メーカA~Cで把握可能にすることができる。なお、S4006の処理において、ホールコンボックス400からメーカ認証信号を受信していないと判別された場合は(S4006:No)、S4005~S4009の処理をスキップして、処理をS4010へ移行する。
【0806】
S4010の処理では、ホールコンボックス400からカード投入信号を受信したか否かを判別する(S4010)。判別の結果、ホールコンボックス400からカード投入信号を受信していれば(S4010:Yes)、会員カード700が正当なものか否か、及び、ユーザ情報が適式か否かのカード認証の結果を示すカード認証信号をホールコンボックス400に対して出力し(S4011)、処理をS4012へ移行する。一方、カード投入信号を受信していないと判別された場合は(S4010:No)、S4011の処理をスキップして、処理をS4012へ移行する。これにより、ホールコンボックス400を介して会員カード700の認証をホールコンピュータ500で行うことが可能となる。
【0807】
S4012の処理では、その他の処理を実行し(S4012)、その後、処理をS4002へ移行し、S4002~S4012の処理を繰り返し実行する。
【0808】
以上、説明したように、第1実施形態のパチンコ機10では、クレジット移行ボタン42が押下中であっても、遊技者の保持球データが規定球数(第1実施形態では、「1000球」)より大きい保持球データが存在している間は、発射ハンドル51の操作に応じて球送り処理及び発射処理を許容して、遊技を行うことが可能に構成することで、クレジット移行時間が長い場合でも遊技者が退屈してしまうことを抑制し、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0809】
また、第1実施形態のパチンコ機10では、クレジット移行中も球の発射を許容しつつ、クレジット残数が所定数(第1実施形態では、「1000球」未満)となった場合には、クレジット移行中における球の発射を制限して、球を発射できないように構成する。このように構成することで、クレジット残数が残りわずかなタイミングにおいて、クレジットの移行と球の発射とが重複(前後)する事象、例えば、クレジット情報が残り「1」の状態で、先に球送り処理が行われ、該球送り処理に応じた球送りスイッチ112eの検知前に、クレジット情報が移行してしまう事象等を抑制し、実際の保持球数と遊技で使用する球数との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することが可能となる。
【0810】
さらに、第1実施形態のパチンコ機10では、クレジット移行中における賞球及び発射球による保持球の加減算をクレジット記憶部213bと異なる移行中記憶部213cによって行うことで、パチンコ機10からカードユニット300に保持球データを移行中に発生した賞球又は発射球による加減算を、移行処理中のクレジット記憶部213bで行わずに済むので、クレジット移行中におけるクレジット記憶部213bに関して煩雑な処理の発生を抑制し、計数異常等の発生を未然に抑制することができる。
【0811】
また、第1実施形態のパチンコ機10では、会員カード700の返却時に、既に球発射ユニット112aに球が送り出されている状態であっても、発射ソレノイド112bを駆動して、球発射ユニット112a側に送り出されている球を発射するように構成されている。これにより、遊技者が発射ハンドル51を操作していない状態でも、会員カード700の返却時に、球発射ユニット112a側に案内された球を発射し、遊技に使用又はファール球として処理して、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制している。
【0812】
さらに、第1実施形態では、ホールコンピュータ500は、ホールコンボックス400からの遊技機メーカA~Cの認証に必要なアカウントを発行可能に構成されているとともに、外部管理サーバ600を介して遊技機メーカA~Cからホールコンボックス400に問い合わせ(ログイン等)が発生した場合に、該ホールコンボックス400からの問い合わせに応じた認証結果をホールコンボックス400に対して出力可能に構成される。これにより、遊技機メーカA~Cは、外部管理サーバ600を介して遊技ホールの遊技履歴情報等を閲覧する場合、ホールコンピュータ500の認証が適式に行われた場合にのみ、上記遊技履歴情報等を閲覧することができる。これにより、遊技機メーカA~Cにおいて、遊技ホールに設置されているパチンコ機10の遊技履歴を随時把握することができるので、パチンコ機10の稼働状態や何らかの異常(例えば、想定より多くの遊技価値が付与されている、想定と異なる遊技結果が頻出している等)を把握することが可能となり、不正や異常を早期に発見することが可能となる。また、遊技者が好む嗜好や遊技態様を把握して製品開発に資する情報を入手可能となる。
【0813】
また、第1実施形態のパチンコ機10では、カードユニット300からホールコンボックス400を介してホールコンピュータ500に対して送信されるカード投入信号で示す会員ID情報及びユーザ情報は、暗号化されて送信されることで、ホールコンボックス400では、上記会員ID及びユーザ情報を復号化することができず、ホールコンピュータ500でのみ復号化可能に構成される。このように構成することで、ホールコンボックス400では、会員ID及びユーザ情報を把握することができず、外部からアクセス可能なホールコンボックスにおいて遊技者の個人情報等が流出してしまうことを未然に防止することができる。
【0814】
さらに、第1実施形態では、カードユニット300から送信される各種信号に応じて、パチンコ機10側で発生した各種事象に対応した情報をホールコンボックス400側でも把握及び記憶することができるので、外部管理サーバ600からの問い合わせがあった場合に、パチンコ機10に関する各種情報を、ホールコンピュータ500やカードユニット300、パチンコ機10に直接アクセスさせることなく、外部管理サーバ600に対して出力することができる。よって、遊技ホールの各種情報を外部から閲覧する場合でも、セキュリティの構築を容易化するとともに、個人情報等をアクセスさせなくすることができる。
【0815】
<第2実施形態>
次に、図61を参照して、本発明を適用した第2実施形態のスロットマシン1000及びカードユニット300について説明する。第1実施形態では、パチンコ機10に対してカードユニット300を配設して構成されている。
【0816】
これに対し、第2実施形態では、スロットマシン1000に対してカードユニット300を配設し、スロットマシン1000とカードユニット300とでクレジット情報の送受信を行うように構成する。
【0817】
以下、第2実施形態のパチンコ機10について、第1実施形態のパチンコ機10と相違する点を中心に説明する。以下の第2実施形態のパチンコ機10の説明において、第1実施形態のパチンコ機10と同一の構成及び処理については、第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0818】
まず、図61を参照して、第2実施形態のスロットマシン1000とカードユニット300との構成について説明する。図61は、第2実施形態のスロットマシン1000、及び、カードユニット300の正面図である。なお、カードユニット300の構成は、第1実施形態と同等であるので、その説明を省略する。
【0819】
第2実施形態のスロットマシン1000は、その外殻を形成する筐体1001を備えている。筐体1001は、全体として前面を開放した箱状に形成されており、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
【0820】
筐体1001の前面側には、前面扉1002が開閉可能に取り付けられている。即ち、筐体1001には、その正面から見て左側部に上下一対の支軸(図示せず)が設けられており、前面扉1002には、各支軸と対応する位置に軸受部(図示せず)が設けられている。そして、各軸受部に各支軸が挿入された状態では、前面扉1002が筐体1001に対して両支軸を結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、前面扉1002の回動によって筐体1001の前面開放側を開放したり閉鎖したりすることができるようになっている。
【0821】
また、前面扉1002は、その裏面に設けられた施錠装置(図示せず)によって開放不能な施錠状態とされる。前面扉1002の右端側上部には、施錠装置と一体化されたキーシリンダ1003が設けられており、キーシリンダ1003に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。
【0822】
前面扉1002の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル1011 が設けられている。遊技パネル1011には、縦長の3つの表示窓1012L,1012M,1012Rが横並びに形成されており、各表示窓1012L,1012M,1012Rを通じてスロットマシン1000の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓1012L,1012M,1012Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
【0823】
筐体1001は、仕切り板(図示せず)によりその内部が上下2分割されており、仕切り板の上部には、可変表示手段を構成するリールユニット(図示せず)が取り付けられている。リールユニットは、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール1013L,中リール1013M,右リール1013Rを備えている。各リール1013L,1013M,1-13Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール1013L,1013M,1013Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール1013L,1013M,1013Rが各表示窓1012L,1012M,1012Rと1対1で対応している。したがって、各リール1013L,1013M,1013Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓1012L,1012M,1012Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール1013L,1013M,1013Rが正回転すると、各表示窓1012L,1012M,1012Rを通じてリール1013L,1013M,1013Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
【0824】
各表示窓1012L,1012M,1012Rは、対応するリールに付された図柄のうち図柄全体を視認可能となる図柄が3個となるように形成されている。このため、各リール1013L,1013M,1013Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が表示窓1012L,1012M,1012Rを介して視認可能な状態となる。
【0825】
遊技パネル1011の下方左側には、各リール1013L,1013M,1013Rの回転を開始させるために操作されるスタートレバー1021が設けられている。スタートレバー1021はリール1013L,1013M,1013Rを回転開始、すなわち図柄の可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。所定数のクレジットがベットされている状態でスタートレバー1021を操作された場合、各リール1013L,1013M,1013Rが回転を開始するようになっている。
【0826】
スタートレバー1021の右側には、回転している各リール1013L,1013M,1013Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ1022~ 1024が設けられている。各ストップスイッチ1022~1024は、停止対象となるリール1013L,1013M,1013Rに対応する表示窓1012L,1012M,1012Rの直下にそれぞれ配置されている。すなわち、左ストップスイッチ1022が操作された場合には左リール1013Lの回転が停止し、中ストップスイッチ1023が操作された場合には中リール1013Mの回転が停止し、右ストップスイッチ1024が操作された場合には右リール1013Rの回転が停止する。ストップスイッチ1022~1024はリール1013L,1013M,1013Rの回転に基づく図柄の可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。
【0827】
右ストップスイッチ1024の正面視右側には、クレジット数表示部41に表示された(内部的に記憶された)クレジット枚数を、カードユニット300に投入中の会員カード700に移行させるためのボタンである。クレジット枚数が存在する状態で、このクレジット移行ボタン42が遊技者により押下された場合に、その押下態様に応じて、スロットマシン1000側に記憶されるクレジット枚数が会員カード700へ移行させるように構成されている。第1実施形態のパチンコ機10では、クレジット移行ボタン42の押下時間が単押しである場合に、スロットマシン1000に記憶されるクレジット枚数が「1枚」分、会員カード700へ移行され、クレジット移行ボタン42の押下時間が長押しである場合に、スロットマシン1000に記憶されるクレジット枚数が「50枚」分(1000円分の枚数)、カードユニット300の通信タイミング毎に、会員カード700へ移行される。
【0828】
スタートレバー1021の正面視左側には、カードユニット300に投入されている会員カード700を排出させるためのカード返却ボタン43が設けられている。カードユニット300に会員カード700が投入されている状態で、このカード返却ボタン43が遊技者により押下された場合に、クレジット枚数を清算(会員カード700に移行)した上で、カードユニット300から会員カード700が排出されるように構成されている。
【0829】
表示窓1012L,1012M,1012Rの下方左側には、遊技媒体としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するための第1クレジット投入スイッチ1031が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ1031の左方には、第2クレジット投入スイッチ1032と、第3クレジット投入スイッチ1033とが設けられている。第2クレジット投入スイッチ1032は仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ1033は仮想メダルを1枚投入するためのものである。各クレジット投入スイッチ1031~1033は、遊技媒体を入力する入力手段を構成する。第2実施形態のスロットマシン1000では、仮想メダルが1枚投入された場合でもスタートレバー1021が操作されることで、遊技(リール1013L,1013M,1013Rが回転開始)可能に構成されている。なお、仮想メダルが1枚又は2枚投入された状態では、スタートレバー1021を操作してもリール1013L,1013M,1013Rの回転が開始されず(遊技が制限され)、仮想メダルが3枚投入された状態でのみスタートレバー1021の操作によってリール1013L,1013M,1013Rの回転が開始されるように構成してもよい(所謂、3枚掛け専用機)。
【0830】
遊技パネル1011の表示窓1012L,1012M,1012R下方には、クレジットされている仮想メダル数を表示するクレジット表示部1041と、残払出枚数表示部1042と、入賞時に払い出したメダルの枚数を表示する払出枚数表示部1043とがそれぞれ設けられている。また、払出枚数表示部1043の右下角隅部には、遊技区間を示す区間表示器1044が設けられている。これら表示部1041~1043及び区間表示器1044は、7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
【0831】
その他、第2実施形態におけるパチンコ機10は、第1実施形態と同一の構成によって、同一の効果を奏する。
【0832】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0833】
<変形例1>
上記実施形態では、クレジット移行中の状態において、遊技者の保持球データが規定球数以上存在している場合は、球送り処理および発射処理を許容し、遊技を行うことが可能に構成されている。これに対し、クレジット移行中は、保持球データの多寡によらず、球送り処理及び発射処理を禁止してもよい。
【0834】
<変形例2>
上記実施形態では、クレジット移行中の状態において、遊技者の保持球データが規定球数以上存在している場合は、球送り処理および発射処理を許容し、遊技を行うことが可能に構成されている。これに対し、クレジット移行中は、保持球データが存在している状態であれば、保持球データがいくつであっても球送り処理および発射処理を許容するように構成してもよい。
【0835】
<変形例3>
上記実施形態では、クレジット移行ボタン42の長押し判定を、枠統括制御装置111とカードユニット300との通信間隔(即ち、「0.3」秒)以上の時間(即ち、「0.5秒」)押下された場合に判定するように構成している。これに対し、クレジット移行ボタン42の長押し判定を、上記通信間隔未満(例えば、「0.2秒」)の時間押下された場合に判定するように構成してもよい。
【0836】
<変形例4>
上記実施形態では、クレジット移行ボタン42の単押し又は長押し判定が決定してから、クレジット情報の移行を開始している。これに対し、クレジット移行ボタン42の単押し又は長押し判定が決定する前であっても、クレジット移行ボタン42の押下が判定された段階で単押し分(即ち、「1球」分)のクレジット情報を移行するように構成してもよい。
【0837】
<変形例5>
上記実施形態では、クレジット移行中に発生した賞球又はファール球を、移行中のクレジット記憶部213bとは異なる移行中記憶部213cに記憶するように構成している。これに対し、クレジット移行中に賞球又はファール球が発生した場合でも、移行中のクレジット記憶部213bに記憶(加算)するように構成してもよい。このように構成することで、移行中記憶部213cを別途設ける必要がないので、RAM213の記憶容量の有効活用が可能となる。
【0838】
<変形例6>
上記実施形態では、クレジット移行中において、球送り処理及び発射処理の実行を制限する規定球数(即ち、「1000球」)を、枠統括制御装置111とカードユニット300との1回の通信タイミングで移行可能な最大球数(即ち、「125球」)以上となるように規定している。これに対し、クレジット移行中において、球送り処理及び発射処理の実行を制限する規定球数を、枠統括制御装置111とカードユニット300との1回の通信タイミングで移行可能な最大球数(即ち、「125球」)未満の球数(例えば、「100球」)となるように規定してもよい。
【0839】
<変形例7>
上記実施形態では、クレジット移行中において、球送り処理及び発射処理の実行を制限する規定球数(即ち、「1000球」)を、枠統括制御装置111とカードユニット300との1回の通信タイミングで移行可能な最大球数(即ち、「125球」)以上となるように規定している。これに対し、クレジット移行中において、球送り処理及び発射処理の実行を制限する規定球数を、1の大当たりで獲得可能な最大の球数(例えば、「15球」×「10球」×10ラウンド=「1500球」)より小さい値となるように規定してもよい。
【0840】
<変形例8>
上記実施形態では、クレジット移行中において、球送り処理及び発射処理の実行を制限する規定球数(即ち、「1000球」)を、枠統括制御装置111とカードユニット300との1回の通信タイミングで移行される移行球数(即ち、「125球」)の倍数(即ち、8倍)となる球数に規定している。これに対し、クレジット移行中において、球送り処理及び発射処理の実行を制限する規定球数を、枠統括制御装置111とカードユニット300との1回の通信タイミングで移行される移行球数と関連性を有しない値に規定してもよい。
【0841】
<変形例9>
上記実施形態では、カード返却時において、遊技者の保持球データがすべて移行した後に、球発射ユニット112aを駆動し、右打ち遊技となる強度で発射ソレノイド112bを駆動するように構成している。これに対し、カード返却時において、遊技者の保持球データがすべて移行した後に、球発射ユニット112aを駆動する場合に、所謂左打ち遊技となる強度で発射ソレノイド112bを駆動するように構成してもよい。このように構成することで、いずれの遊技状態でも入賞が許容される第1始動口64又は一般入賞口63に球を入賞させることができる。
【0842】
<変形例10>
上記実施形態では、カード返却時において、遊技者の保持球データがすべて移行した後に、球発射ユニット112aを駆動し、右打ち遊技となる強度で発射ソレノイド112bを駆動するように構成している。これに対し、カード返却時において、遊技者の保持球データがすべて移行した後に、球発射ユニット112aを駆動する場合に、ファール球となる強度で発射ソレノイド112bを駆動するように構成してもよい。これにより、球発射ユニット112a側に送り出されていた球を、直ちにファール球として処理し、クレジット情報として格納することができるので、カード返却時の待ち時間を短縮化することができる。
【0843】
<変形例11>
上記実施形態では、カード返却時において、遊技者の保持球データがすべて移行した後に、球発射ユニット112aを駆動し、右打ち遊技となる強度で発射ソレノイド112bを駆動するように構成している。これに対し、カード返却時において、遊技者の保持球データがすべて移行した後に、球発射ユニット112aを駆動する場合に、前回の発射強度と同等の強度で発射ソレノイド112bを駆動するように構成してもよい。この場合、前回の発射強度を記憶しておき、残り球発射カウンタ213iに基づく発射ソレノイド112bの駆動の場合、上記前回の発射強度を参照して発射ソレノイド112bを駆動するように構成する。また、前回の発射強度を記憶するとともに、前回の発射強度が所定発射強度(例えば、所謂天釘の正面視左側の釘(所謂ブッコミ釘)に到達する強度等)であるか否かを判別し、前回の発射強度が所定発射強度以上の発射強度であった場合には、前回の発射強度で球を発射する一方、前回の発射強度が所定発射強度未満であった場合には、予め定められた規定強度(例えば、遊技領域に到達する強度以上でブッコミ釘に到達する強度未満、又は、ファール球となる強度等)で発射ソレノイド112bを駆動するように構成してもよい。これにより、前回の発射強度が所定発射強度以上である場合は、前回の発射強度で球を発射させることができるので、意図しない強度で球が発射されることなく、遊技者に遊技に対する違和感を感じさせないようにすることができる。
【0844】
<変形例12>
上記実施形態では、カード返却時において、遊技者の保持球データがすべて移行した後に、球発射ユニット112aを駆動し、右打ち遊技となる強度で発射ソレノイド112bを駆動するように構成している。これに対し、カード返却時において、遊技者の保持球データがすべて移行した後に、球発射ユニット112aを駆動する場合に、内レール61と外レール62とで形成される球案内通路内に球と衝突し得る弁部材を突出させ、強制的にファール球となるように構成してもよい。これにより、球発射ユニット112a側に送り出されていた球を、直ちにファール球として処理し、クレジット情報として格納することができるので、カード返却時の待ち時間を短縮化することができる。
【0845】
<変形例13>
上記実施形態では、球送り処理に伴う球送りスイッチ112eによる球の検知に応じて遊技者の保持球データを減算するように構成している。これに対し、発射ソレノイド112bにより発射された球を検知した場合に、遊技者の保持球データを減算するように構成してもよい。
【0846】
<変形例14>
上記実施形態では、外部管理サーバ600からホールコンボックス400に対して問い合わせがあった場合に、遊技機メーカA~Cに関連する遊技データ、即ち、販売したパチンコ機10に関する遊技データを閲覧可能に構成している。これに対し、販売元を問わず遊技ホールに設置されている全パチンコ機10(スロットマシン1000)に関する遊技データを閲覧可能に構成してもよい。
【0847】
<変形例15>
上記実施形態では、外部管理サーバ600からホールコンボックス400に対して問い合わせがあった場合に、問い合わせのあった遊技ホールに設定され、遊技機メーカA~Cに関連する遊技データ、即ち、販売したパチンコ機10に関する遊技データを閲覧可能に構成している。これに対し、遊技ホールを特定できないようなかたちで外部管理サーバ600に記憶されている遊技データを閲覧可能に構成してもよい。
【0848】
<変形例16>
上記実施形態では、外部管理サーバ600からホールコンボックス400に対して問い合わせがあった場合に、遊技機メーカA~Cに関連する遊技データ、即ち、販売したパチンコ機10に関する遊技データを閲覧可能に構成している。これに対し、外部管理サーバ600を介さずに遊技ホールに設置されている遊技データを閲覧可能に構成してもよい。遊技機メーカA~C以外の第三者(例えば、所轄官庁等の管理団体等)でも遊技データを閲覧することが可能となり、不正行為等の発生有無を客観的に判別することが可能となる。
【0849】
<変形例17>
上記実施形態では、外部管理サーバ600からホールコンボックス400に対して問い合わせがあった場合に、遊技ホールに事前に登録されているか否かの認証を行った上で、遊技機メーカA~Cに関連する遊技データ、即ち、販売したパチンコ機10に関する遊技データを閲覧可能に構成している。これに対し、遊技ホールの認証なく遊技データを閲覧可能に構成してもよい。これにより、遊技ホールによる不正行為等を発見し易くすることができる。
【0850】
<変形例18>
上記実施形態では、外部端子板23をホールコンピュータ500に接続し、ホールコンボックス400は、カードユニット300から出力された各種信号に基づいて遊技データを記憶するように構成している。これに対し、外部端子板23をホールコンボックス400に接続し、外部端子板23から直接ホールコンボックス400に対して遊技データを出力するように構成してもよい。
【0851】
<変形例19>
上記実施形態では、カードユニット300から会員カード700の返却時に、ホールコンボックス400に対して遊技データを出力するように構成している。これに対し、所定間隔で(常時)、カードユニット300からホールコンボックス400に対して遊技データを出力するように構成してもよい。これにより、ホールコンボックス400においてリアルタイムな遊技データを入手することが可能となる。
【0852】
<変形例20>
上記実施形態では、カード返却ボタン43の押下時に、球発射ユニット112a側に案内されている球を発射させるために、発射ソレノイド112bを所定回数駆動するように構成している。これに対し、クレジット移行ボタン42の押下時に、保持球データがすべて移行しきった場合にも、球発射ユニット112a側に案内されている球を発射させるために、発射ソレノイド112bを所定回数駆動するように構成してもよい。
【0853】
<変形例21>
上記実施形態では、クレジット移行中は、クレジット記憶部213bに記憶される保持球データに基づく遊技(球送り処理)のみを実行可能とし、移行中記憶部213cに記憶される保持球データに基づく遊技(球送り処理)を実行不可に構成している。これに対し、クレジット移行中において、移行中記憶部213cに保持球データが記憶されている場合は、該移行中記憶部213cに記憶される保持球データを、クレジット記憶部213bに記憶される保持球データより優先して遊技(球送り処理)に使用するように構成してもよい。
【0854】
<変形例22>
上記実施形態では、パチンコ機10に設けられた外部端子板23をホールコンピュータ500に直接接続して、ホールコンピュータ500に遊技データを出力可能に構成し、ホールコンピュータ500において遊技データを把握可能に構成されている。これに対し、パチンコ機10の外部端子板23をホールコンボックス400に接続し、ホールコンボックス400に遊技データを出力するように構成してもよい。この場合、ホールコンボックス400からホールコンピュータ500に対してパチンコ機10から出力された遊技データを送信する。
【0855】
<変形例23>
上記実施形態では、カードユニット300とホールコンピュータ500との間にホールコンボックス400を介在させ、該ホールコンボックス400から外部管理サーバ600に対して遊技データを送信するように構成している。これに対し、カードユニット300とホールコンピュータ500との間にホールコンボックス400を介在させず、カードユニット300とホールコンピュータ500とを直接的に接続して遊技データを出力するように構成するとともに、カードユニット300を外部管理サーバ600からアクセス可能に構成して、カードユニット300から外部管理サーバ600に遊技データを送信するように構成してもよい。
【0856】
<変形例24>
上記実施形態では、カードユニット300とホールコンピュータ500との間に介在するホールコンボックス400を、外部管理サーバ600とアクセス可能に構成し、該ホールコンボックス400から外部管理サーバ600に遊技データ等を出力可能に構成している。これに対し、カードユニット300とホールコンピュータ500との間にホールコンボックス400を介在させつつ、カードユニット300を外部管理サーバ600とアクセス可能に構成し、該カードユニット300から外部管理サーバ600に遊技データ等を出力可能に構成してもよい。
【0857】
<変形例25>
上記実施形態では、カードユニット300とホールコンピュータ600との間に介在するホールコンボックス400を、外部管理サーバ600とアクセス可能に構成し、該ホールコンボックス400から外部管理サーバ600に遊技データ等を出力可能に構成している。これに対し、カードユニット300とホールコンピュータ500とを直接的に接続しつつ、カードユニット300に別途ホールコンボックス400を接続し、該ホールコンボックス400を、外部管理サーバ600とアクセス可能に構成して、該ホールコンボックス400から外部管理サーバ600に遊技データ等を出力可能に構成してもよい。
【0858】
<変形例26>
上記実施形態では、外部管理サーバ600を介して遊技機メーカA~Cからの要求(問い合わせ)があった場合に、ホールコンボックス400から遊技データを出力するように構成している。これに対し、外部管理サーバ600からの送信要求等が発生しなくても、常時(一定間隔)で、ホールコンボックス400から外部管理サーバ600へ遊技データを送信するように構成してもよい。
【0859】
上記実施形態では、遊技状態ごとに奨励される特別図柄の変動演出を第3図柄表示装置81の主表示領域Dmにおいて実行し、奨励されていない特別図柄の変動演出を第3図柄表示装置81の主表示領域Dmで実行しないように構成している。これに代えて、奨励されていない特別図柄の変動演出を、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmにおいて所定態様で実行するように構成してもよい。具体的には、例えば、奨励されている特別図柄の変動演出を主表示領域Dmで目立つように(中央部分、大部分、奨励されていない特別図柄の変動演出より大きい領域、図柄表示態様を濃く実行等)実行する一方、奨励されていない特別図柄の変動演出を主表示領域Dmで、奨励されている特別図柄の変動演出より目立たないように(隅部、小部分、奨励されている特別図柄の変動演出より小さい領域、図柄表示態様を薄く等)実行するように構成する。このように構成することで、第3図柄表示装置81によって複数の特別図柄の変動演出の実行態様を把握することが可能となる。
【0860】
上記実施形態では、第1特別図柄の動的表示の保留球数に応じて第1特別図柄の動的表示の変動時間が変化するように構成するとともに、第2特別図柄の動的表示の保留球数に応じて第2特別図柄の動的表示の変動時間が変化するように構成している。換言すると、第1特別図柄の動的表示の保留球数は第1特別図柄の動的表示にのみ影響し、第2特別図柄の動的表示の保留球数は第2特別図柄の動的表示にのみ影響するように構成している。これに代えて、一方の特別図柄の動的表示の保留球数が、他方の特別図柄の動的表示の変動時間に影響するように構成してもよい。具体的には、第1特別図柄の動的表示の変動時間を、第1特別図柄の動的表示の保留球数と第2特別図柄の動的表示の保留球数との合計保留球数に応じて変化するように構成する。このように構成することで、第1特別図柄の動的表示の保留球数と第2特別図柄の動的表示の保留球数とが混在する状態において、特異な変動時間を選択し得るように構成することで、遊技のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0861】
上記実施形態では、確率設定値を「1」~「3」の3段階で変更可能として、大当たり確率及び/又は第2図柄の当たり確率を変更可能としたが、確率設定値が変更可能な段階は6段階に限らず、任意の段階に変更可能としてもよい。
【0862】
上記実施形態では、確率設定値を変更することにより、大当たり確率を変更する場合について説明したが、普通図柄の当たり確率や、小当たりの当選確率を変更するようにしてもよい。
【0863】
また、立ち上げ処理の中で確率設定値が正常範囲内にないと判断された場合に、「1」~「3」の範囲の中から特定の確率設定値(例えば「1」)を確率設定値として強制的に設定するようにしてもよい。なお、遊技途中で(例えば、タイマ割込処理の中で)確率設定値が正常範囲内にないと判断された場合は、確率設定値を強制的に特定の確率設定値に設定しないほうがよい。これは、遊技途中で大当たり確率が突然変更さえることにより、遊技者が何らかの不利益を被ることを抑制するためである。
【0864】
上記実施形態では、RAM判定値(チェックサム)の算出に、確率設定値を含める場合について説明したが、RAM判定値の算出から確率設定値を除いてもよい。この場合、RAM判定値が正常か否かの判定を行う前に、確率設定値が正常の範囲にあるか否かを判定し、正常の範囲内になければ、強制的に設定変更処理を実行してホール関係者等に確率設定値の変更を行わせたり、ホール関係者等にパチンコ機10を設定変更モードで再立ち上げさせるように促したり、確率設定値として正常範囲内の特定の確率設定値を強制的に設定してもよい。
【0865】
上記実施形態では、RAM判定値(チェックサム)の算出に、確率設定値を含めない場合について説明したが、RAM判定値の算出から確率設定値を含めてもよい。
【0866】
上記実施形態では、「設定変更モード」でパチンコ機10を立ち上げた場合に、RAM消去スイッチ143をオンすることによって、又は、設定変更スイッチ142をオンすることによって、確率設定値を更新する場合について説明したが、これを設定キー141にて行えるようにしてもよい。具体的には、設定キー141を、オン状態から更にオフ側とは反対方向に設けた設定変更位置まで回動可能にし、設定変更位置まで設定キー141が回されると、自動でオン状態に設定キー141が戻るように付勢して構成する。そして、設定キー141をオン状態から設定変更位置まで回動させる度に、確率設定値が更新されるようにする。これによっても、確率設定値の変更を容易に行うことができる。
【0867】
上記実施形態では、「設定変更モード」でパチンコ機10を立ち上げた場合に、設定キー141をオフ状態にすることによって、又は、RAM消去スイッチ143をオンすることによって、確率設定値を確定する場合について説明したが、これを別に設けたスイッチ、例えば、設定確定スイッチが操作されることで行えるようにしてもよい。この設定確定スイッチは、例えば、「設定変更モード」中に操作されることにより、確率設定値を確定するためのスイッチであり、基板ボックス100に設けられた孔から主基板より突出して設けられ、基板ボックス100を開封しなくても、ホール関係者等によって操作可能にしてもよい。これによっても、確率設定値の確定を容易に行うことができる。
【0868】
上記実施形態では、パチンコ機10の電源オン時に「設定変更モード」又は「設定確認モード」で立ち上げる場合に、RAM消去スイッチ143と設定キー141との検知態様に応じて、立ち上げモードを設定していた。これに対し、少なくとも内枠12の開放を必須条件とし、その他、RAM消去スイッチ143と設定キー141との検知態様に応じて、立ち上げモードを設定するように構成してもよい。また、内枠12の開放を設定変更又は設定確認の条件とするか否かをホールが選択可能に設定できるように構成してもよい。
【0869】
上記各実施形態では、RAM消去スイッチ143を主制御装置110に搭載していた。これに対し、RAM消去スイッチ143を電源装置115や枠統括制御装置111に搭載するように構成してもよい。
【0870】
上記各実施形態では、設定キー141により、大当たり確率等を変更可能に構成していた。これに対し、設定キー141により、1の入賞口に入賞した場合に払い出される賞球数(例えば、3個→5個への変更)や、入賞口への入賞を補助する可動役物の駆動時間(3秒→5秒への変更)や駆動幅(例えば、20mm→30mmへの変更)、或いは、球の流下態様に影響を与える部材(例えば、球が転動可能なステージやクルーン)の傾斜態様(例えば、1度から3度への変更)、パチンコ機10自体の傾斜態様(例えば、1度から3度への変更)等、遊技者に対する有利度合いに関する設定を複数段階に変更可能に構成してもよい。
【0871】
上記各実施形態では、設定キー141の鍵孔をパチンコ機10の裏面側に向くように構成していた。これに対し、設定キー141の鍵孔の向きを、パチンコ機10の横方向(左方向又は右方向)や、パチンコ機10の斜め方向、或いは、パチンコ機10の前面側を向くように構成してもよい。
【0872】
上記実施形態において、大当たり乱数値同士、小当たり乱数値同士、及び、ハズレ乱数値同士を連続的な値とし、大当たりか否かや、小当たりか否かを範囲判定(例えば、「0」以上「49」以下か否か)可能に構成し、主制御装置110の制御負担を軽減するように構成していた。これに対し、遊技価値を付与する各乱数値(即ち、大当たり乱数値および小当たり乱数値)を連続的な配置ではなく、分散(散逸)して配置するように構成してもよい。具体的には、例えば、「0~999」で更新される大当たり乱数カウンタC1の場合に、大当たり乱数値として「7,341,555,777,831」とし、小当たり乱数値として「77,175,223,315,415,526,634,717,845」としてもよい。
【0873】
ここで、パチンコ機10の状況にかかわらず大当たり乱数値となる値(例えば、低確率状態および高確率状態において、「0~299」であれば大当たり)が連続的に存在していた場合、その値が外部から予測され得る可能性があり、不正に大当たりを引き当てられる可能性が高くなるおそれがある。よって、上記変形例のように構成することで、遊技価値を付与する各乱数値を外部から予測困難にし、不正に対する抑制効果を高め、パチンコ機10のセキュリティ性能を向上することができる。
【0874】
また、上述した変形例において、大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)されている低確率状態用の大当たり乱数値と、高確率状態用の大当たり乱数値とで、重複した値とならないように、それぞれ大当たり乱数値を設定してもよい。このように構成することで、状況に応じて(即ち、パチンコ機10が高確率状態か低確率状態か、に応じて)、大当たりとなる乱数の値を変えることで、大当たりとなる乱数の値が予測され難くすることができるので、パチンコ機10のセキュリティ性能を向上することができる。
【0875】
上記実施形態では、タイマ割込処理等のソフトウェアの処理で大当たり乱数カウンタC1や大当たり種別カウンタC2等を更新するように構成していた(所謂、ソフト乱数)。これに対し、更新周期が上記ソフト乱数より速い乱数生成ICによって大当たり乱数カウンタC1等を更新するように構成してもよい(所謂、ハード乱数)。このように構成することで、外部から更新中の乱数値の把握を困難にし、セキュリティ性能を向上することができる。
【0876】
上記実施形態では、設定値が増加するごとに均等に大当たり乱数値が増加するように構成していた。これに対し、設定値が増加するごとに不均等又は所定割合で大当たり乱数値(又は小当たり乱数値)を増加するように構成してもよい。具体的には、例えば、設定値「1」及び「2」までは、大当たり乱数値を「2」ずつ増加させる一方、設定値「3」は、大当たり乱数値を「5」ずつ増加させる。このように構成することで、設定差によって付与され得る遊技価値が大きく変化し、設定差による抑揚(メリハリ)のある遊技を提供可能に構成し、遊技の興趣を向上することができる。
【0877】
上記実施形態では、設定値ごとに大当たり乱数カウンタC1の値における対応役を変化するように構成していた。これに対し、設定値ごとに大当たり種別カウンタC2又は小当たりの内容を決定する小当たり種別カウンタ(図示せず)の値に対応する大当たり種別を変化させ、大当たり種別又は小当たり種別の選択割合が変化することによる設定差が生じるように構成してもよい。
【0878】
上記実施形態では、設定変更に伴い、遊技価値を付与する乱数値(即ち、大当たり乱数値)を変更して、その変更分を遊技価値を付与しない乱数値(即ち、ハズレ乱数値)から補填するように構成していた。これに対し、設定変更に伴い、遊技価値を付与する乱数値(例えば、大当たり乱数値)を変更した場合に、その変更分を、他の遊技価値を付与する乱数値(例えば、小当たり乱数値)から補填するように構成してもよい。このように構成することで、設定毎に付与され得る遊技価値に差を設け、設定毎に抑揚(メリハリ)のある遊技を提供し、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0879】
上記実施形態では、大当たり乱数テーブル202aにおいて、「大当たり乱数値の範囲」、「ハズレ乱数値の範囲」、「小当たり乱数値の範囲」、の並びとなるように各乱数値を規定(設定)していた。これに対し、大当たり乱数テーブル202aにおいて、「大当たり乱数値の範囲」、「小当たり乱数値の範囲」、「大当たり乱数値の範囲(以下、「再大当たり乱数値の範囲」と称する)」、「ハズレ乱数値の範囲」の並びとなるように各乱数値を規定(設定)するように構成してもよい。ここで、「再大当たり乱数値の範囲」として、設定変更に伴う大当たり乱数値の増加分が対応するように構成する。このように構成することで、設定差によって増加する乱数値(即ち、大当たり乱数値の増加分)を、設定差によって減少する乱数値(即ち、ハズレ乱数値)と隣接させ、設定変更に伴って変更されない乱数値(即ち、設定変更によっても変化しない大当たり乱数値と小当たり乱数値)の範囲を固定的にすることができる。これにより、例えば、当否判定の制御プログラムにおいて、固定的な乱数値の基本的な当否判定を全設定値で共通化しつつ、設定変更に伴う大当たり乱数値の増加分を設定値に応じて追加的に判定することができ、制御プログラムの設計を容易にし、開発工数を削減することができる。
【0880】
上記実施形態では、大当たり乱数テーブル202aにおいて、「大当たり乱数値の範囲」、「ハズレ乱数値の範囲」、「小当たり乱数値の範囲」、の並びとなるように各乱数値を規定(設定)していた。これに対し、乱数値の個数が多い順(又は少ない順)に各乱数値を規定(設定)するように構成してもよい。
【0881】
上記実施形態では、大当たり乱数テーブル202aにおいて、「大当たり乱数値の範囲」、「ハズレ乱数値の範囲」、「小当たり乱数値の範囲」、の並びとなるように各乱数値を規定(設定)していた。これに対し、設定変更に伴い増加される「大当たり乱数値の範囲」を、設定変更に伴い減少される乱数値(即ち、「ハズレ乱数値の範囲」)と隣接(隣り合う)ように大当たり乱数テーブル202aに規定(設定)するように構成してもよい。具体的には、大当たり乱数テーブル202aにおいて、「小当たり乱数値の範囲」、「大当たり乱数値の範囲」、「ハズレ乱数値の範囲」の並びとなるように各乱数値を規定(設定)する。このように構成することで、設定差によって増加する乱数値(即ち、大当たり乱数値の増加分)を、設定差によって減少する乱数値(即ち、ハズレ乱数値)と隣接させ、設定変更に伴って変更されない乱数値(即ち、小当たり乱数値)の範囲を固定的にすることができる。これにより、例えば、小当たりの当否判定の制御プログラムにおいて、小当たり乱数値の判定を全設定値で共通化しつつ、設定変更に伴う大当たり乱数値の増加分を設定値に応じて追加的に判定することができ、制御プログラムの設計を容易にし、開発工数を削減することができる。
【0882】
上記実施形態では、「通常遊技状態」から「確率変動状態」に移行する場合、特別図柄の大当たり確率が向上(2倍以上アップ)するように構成されていた。これに対し、「通常遊技状態」から「確率変動状態」に移行する場合に、特別図柄の小当たり確率を向上するように構成してもよい。また、「通常遊技状態」から「確率変動状態」に移行する場合に、特別図柄の大当たり確率の上昇度合いを2倍以上(例えば、10倍)に設定してもよい。さらに、「通常遊技状態」から「確率変動状態」に移行する場合に、大当たり確率と小当たり確率とを共に向上(例えば、大当たり確率を5倍、小当たり確率も5倍)に設定してもよい。
【0883】
上記実施形態では、第1特別図柄における小当たり遊技の当選確率と、第2特別図柄における小当たり遊技の当選確率とが同等となるように構成されていた。これに対し、第1特別図柄における小当たり遊技の当選確率を、第2特別図柄における小当たり遊技の当選確率より高くなるように構成してもよいし、第1特別図柄における小当たり遊技の当選確率を、第2特別図柄における小当たり遊技の当選確率より低くなるように構成してもよい。
【0884】
上記実施形態では、特別図柄の低確率状態および高確率状態とにおいて、いずれの状態でも大当たり確率において設定差が生じるように構成していた。これに対し、いずれか一方の状態(低確率状態又は高確率状態)における大当たり確率の設定差を無くし、他方の状態(高確率状態又は低確率状態)における大当たり確率に設定差を設けるように構成してもよい。
【0885】
上記実施形態では、設定値ごとに大当たり乱数値を増加させて、その大当たり乱数値の増加分をハズレ乱数値から補填するように構成していた。これに対し、設定値ごとに大当たり乱数値を増加させ、その大当たり乱数値の増加分を小当たり乱数及びハズレ乱数値から補填するように構成してもよい。このように構成することで、設定変更に基づく大当たり乱数値の個数の変更分を、小当たり乱数値及びハズレ乱数値のそれぞれから補填することが可能となり、大当たり乱数値の変更分を固定的な1の所定乱数値から補填する必要がなくなる。よって、上記所定乱数値の個数を、大当たり乱数値の変更分、1の所定乱数値から確保する必要性がなくなるので、遊技仕様の設計時における制約がなくなり、遊技仕様の設計自由度を高め、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0886】
上記実施形態では、第2始動口71に対して普通電役72を配設し、該普通電役72の開閉態様に応じて第2始動口71への球の流入態様が異なるように構成している。これに対し、第1始動口64に対して普通電役72を配設し、該普通電役72の開閉態様に応じて第1始動口64への球の流入態様が異なるように構成してもよいし、第1特別図柄用又は第2特別図柄用の始動口を追加で配設し、該始動口に対して普通電役72を配設し、該普通電役72の開閉態様に応じて上記始動口への球の流入態様が異なるように構成してもよい。
【0887】
上記実施形態では、突出状態と没入状態とに変位する普通電役72を用い、普通電役72の没入タイミングと没入時間とを各遊技状態で変更することで本発明の遊技性を実現するように構成されている。これに対し、回動式の羽根部材を用い、羽根部材の作動タイミングと作動時間とを各遊技状態で変更することで、本発明の遊技性を実現するように構成してもよい。具体的には、例えば、第2始動口71の左右両側に羽根部材を配置し、羽根部材が非作動状態(例えば、直立状態)では、球が羽根部材の外側(非転動側)に衝突し、そのまま下流側へ流下するように構成する。一方、羽根部材が回動した作動状態(直立状態から右側へ120度傾倒状態)では、球が羽根部材の内側(転動側)に衝突し、該羽根部材の内側を第2始動口71側に向けて転動するように構成する。このように構成することで、羽根部材の回動態様は、普通電役72の出没による駆動態様より、羽根部材自体が作動する領域が大きく駆動されたか否かを認識し易いため、普通図柄の可変表示で当選したか否かを遊技者に認識し易くすることができる。
【0888】
図1用第4図柄表示領域87と特図2用第4図柄表示領域88との表示態様及び表示位置を、主表示領域Dmで変動演出している第1特別図柄又は第2特別図柄に応じて変更するように構成してもよい。具体的には、例えば、主表示領域Dmで実行されている特別図柄に対応して、実行されている方の第4図柄表示領域87,88を上側に位置させたりアラビア数字で表示したり赤色で表示し、実行されていない方の第4図柄表示領域88,87を下側に位置させたり上記アラビア数字と異なる表記(例えば、漢数字やローマ数字)で表示したり赤色とは異なる色(例えば、青色)で表示するように構成する。このように構成することで、実行されている変動演出を識別して表示しつつ、いずれの特別図柄が実行されているかを認識し難く構成し、現在滞在している遊技状態を遊技者に認識し難く構成することで、遊技状態を推測する遊技性が生まれ、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0889】
警報音に関し、左打ち遊技が推奨される遊技状態においてスルーゲート67を球が通過した場合にもれなく出力するのではなく、さらに特定の条件が成立した場合に警報音を出力するように構成してもよい。具体的には、例えば、このように構成することで、意図的に遊技仕様より多くの出玉を得ようとする悪意ある遊技者の行為に対してのみ警報音を出力し、不慣れな遊技者や操作ミスによる善意の右打ち遊技に対しては警報音を出力しないことで、不正遊技を抑制しつつ、遊技者の遊技意欲の低下も抑制して、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0890】
普通図柄の当たり確率において、いずれの遊技状態でも同等程度となるように構成してもよい。具体的には、例えば、特別図柄の大当たり確率が低い「通常遊技状態」又は「時間短縮状態」では、普通図柄の当たり確率を50/100にするとともに、特別図柄の大当たり確率が高い「確率変動状態」や「潜伏確率変動状態」では、普通図柄の当たり確率を50/100や51/100等、「通常遊技状態」等における普通図柄の当たり確率と同一又は同等程度となるように構成する。このように構成することで、普通図柄の当たりに基づく普通電役72の開放に関し、普通図柄の可変表示時間と普通電役72の開放時間とを考慮し、普通図柄の当たり確率を考慮せずに出玉率等を算出することが可能となることで、各遊技状態における遊技仕様の設計を容易化可能となる。
【0891】
大当たりに当選した大当たり図柄ごとに、該大当たり以降に選択される特別図柄の変動パターン群(変動時間)が異なるように構成してもよい。具体的には、例えば、「確率変動状態」を発生させ得る大当たり図柄である1図柄、3図柄、5図柄、7図柄のうち、1図柄で当選した場合には「確率変動状態」において第1特別図柄および第2特別図柄がともに比較的長めの変動時間が選択され易い「両ロング変動確率変動状態」に移行するように構成する。また、3図柄で当選した場合には、「確率変動状態」において第1特別図柄は比較的長めの変動時間が選択され易い一方、第2特別図柄は比較的短い変動時間が選択され易い「特1ロング特2ショート変動確率変動状態」に移行するように構成する。さらに、5図柄で当選した場合には、「確率変動状態」において第1特別図柄および第2特別図柄がともに比較的短めの変動時間が選択され易い「両ショート変動確率変動状態」に移行するように構成する。また、7図柄で当選した場合には、「確率変動状態」において第1特別図柄は比較的短めの変動時間が選択され易い一方、第2特別図柄は比較的長めの変動時間が選択され易い「特1ショート特2ロング変動確率変動状態」に移行するように構成する。このように構成することで、大当たりした図柄の種類によって、大当たり後の遊技状態において、先に導出され得る特別図柄を異ならせることができ、例えば、いずれの特別図柄が先に停止するか否かによって、遊技状態毎に大当たりが先に現出させる確率を異ならせることができる。よって、遊技のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0892】
特別図柄の変動回数に基づいて、該特別図柄の変動パターン群(変動時間)が異なるように構成してもよい。具体的には、例えば、「潜伏確率変動状態」において、大当たり終了後1回目~10回目の特別図柄の変動演出に関しては、比較的長めの変動時間が選択され易いように構成し、11回目以降の特別図柄の変動演出に関しては、比較的短めの変動時間が選択され易いように構成する。このように構成することで、遊技にメリハリを設けつつ、遊技のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0893】
普通図柄の当たり種別を複数種類設けてもよい。具体的には、例えば、普通電役72が1回開放される1回開放当たりと、出没板72aが3回開放される3回開放当たりと、普通電役72が3回かつ長く開放される3回ロング開放当たりとを設ける。このように構成することで、「確率変動状態」や「時間短縮状態」において遊技のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0894】
上記実施形態では、「通常遊技状態」→「時間短縮状態」→「確率変動状態」の順で遊技者にとって有利な遊技状態としていた。これに対し、「通常遊技状態」より遊技者にとって不利な遊技状態として、「時間短縮状態」や「潜伏確率変動状態」、「確率変動状態」が位置づけられるように遊技仕様を設定してもよい。具体的には、例えば、第1特別図柄の始動口を、普通電役72が付属した第2特別図柄の始動口の上流側に設け、「通常遊技状態」では、普通電役72が作動し難いことによって、第2特別図柄より遊技者にとって有利な第1特別図柄の抽選契機を受け易い一方、「時間短縮状態」では、普通電役72が作動し易いことによって、第1特別図柄より遊技者にとって不利な第2特別図柄の抽選契機を受け易いように構成する。このように構成することで、遊技のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣向上を図ることができる。
【0895】
右打ち遊技を示唆する右打ち示唆表示が現出される場合に、第4図柄表示領域87,88の表示位置を変更するように構成してもよい。具体的には、左打ち遊技が奨励される「通常遊技状態」等では、副表示領域Dsの右小領域Ds3に第4図柄表示領域87,88を表示する一方、右打ち遊技が奨励される「確率変動状態」等では、右打ち示唆表示を右小領域Ds3に表示する一方、第4図柄表示領域87,88を左小領域Ds1に表示する。このように構成することで、遊技状態に応じた遊技仕様を遊技者に認識させ易くすることができる。
【0896】
上記実施形態では、同時に実行され得る複数の特別図柄の動的表示に関し、遊技状態に応じて奨励される特別図柄の変動演出を主表示領域Dmで行い、非奨励の特別図柄の変動演出を主表示領域Dmで行わないように構成している。これに対し、同時に実行され得る複数の図柄(例えば、特別図柄と普通図柄)の演出に関し、遊技状態、遊技仕様、付与される遊技価値、或いは、実行頻度等によって、実行すべき演出の優先順を予め設け、該優先順に応じた演出を優先的に実行し、優先順が低い演出に関しては、演出規模を小さくしたり、演出自体を実行しない等、優先順位が高い演出に比べて遊技者が認識し難くなるように構成してもよい。具体的には、第1特別図柄の変動演出が主表示領域Dmで実行されている場合は、第1特別図柄より遊技者に付与され得る遊技価値が低い普通図柄の可変表示に関する演出を、第3図柄表示装置81や音声出力装置226で実行しない若しくは演出規模を小さくして表示したり、第2特別図柄の変動演出が主表示領域Dmで実行されている場合は、第2特別図柄より遊技者に付与され得る遊技価値が低い普通図柄の可変表示に関する演出を、第3図柄表示装置81や音声出力装置226で実行しない若しくは演出規模を小さくして表示してもよい。このように構成することで、遊技を行う上で遊技者に認識させたい演出を優先的に実行しつつ、優先順位が低い演出規模を小さく(なくす)ことで、遊技者が煩わしさを感じない演出を実行することができる。
【0897】
上記実施形態では、主制御装置110から各コマンドが音声ランプ制御装置113に対して送信され、その音声ランプ制御装置113から表示制御装置114に対して表示の指示がなされるよう構成したが、主制御装置110から表示制御装置114に直接コマンドを送信するものとしてもよい。また、表示制御装置に音声ランプ制御装置を接続して、表示制御装置から各音声の出力とランプの点灯を指示するコマンドを音声ランプ制御装置に送信するよう構成してもよい。さらに、音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1の制御装置として構成するものとしてもよい。これらを1つの制御装置とすることで、部品点数が削減でき、パチンコ機のコスト増加を抑制することができる。
【0898】
上記実施形態では、音声ランプ制御装置113にて実行されるコマンド判定処理(S1111)において、いずれかの停止種別コマンドを受信すれば必ず対応する変動開始フラグ223a,223bをオンに設定する場合について説明したが、各変動パターンコマンドの受信があった上で対応する停止種別コマンドを受信した場合に、各変動開始フラグ223a,223bをオンに設定してもよい。これにより、各変動パターンコマンドの受信がなく、いずれかの停止種別コマンドを受信したような場合に、おかしな変動演出が実行されることを抑制できる。
【0899】
また、各変動パターンコマンドを受信したタイミングで、各変動開始フラグ223a,223bをオンに設定してもよい。この場合、音声ランプ制御装置113にて実行される変動演出処理(S1110)では、各変動開始フラグ223a,223bがオンされたことに基づいて、各変動パターンコマンドにより抽出した変動パターンを表示制御装置114へ通知する各表示用変動パターンコマンドを生成し、表示制御装置114へ送信するようにしてもよい。これにより、音声ランプ制御装置113にて各停止種別コマンドの受信を待つことなく、表示制御装置114に対して、この各表示用変動パターンコマンドに基づき、各変動演出を第3図柄表示装置81に実行させることができる。なお、この場合、音声ランプ制御装置113では、各停止種別コマンドを受信したタイミングで、該停止種別コマンドより抽出された停止種別を表示制御装置114へ通知するための表示用停止種別コマンドを生成し、表示制御装置114へ送信するようにしてもよい。そして、表示制御装置114では、この表示用停止種別コマンドに基づいて、第3図柄表示装置81に実行させた変動演出の停止図柄を決定してもよい。
【0900】
上記実施形態において、デモ演出は、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄を停止表示させてもよい。また、数字の付された主図柄または数字の付されていない主図柄からなる第3図柄を、半透明状態で停止表示させてもよい。また、第3図柄を表示させずに背面画像だけを変化させるものであってもよい。また、変動表示で用いられる第3図柄や背面画像とは全く異なるキャラクタや背面画像を表示させてもよい。
【0901】
上記実施形態において、変動演出が行われる第3図柄表示装置81にて連続予告演出を実行してもよいし、第3図柄表示装置81とは別の第4図柄表示装置を設け、第3図柄表示装置81で実行される変動演出と合わせて、第4図柄表示装置に第4図柄を表示させることによって、連続予告演出を実行してもよい。この場合、第4図柄表示装置の制御を表示制御装置114で行ってもよいし、音声ランプ制御装置113で行ってもよい。また、各種演出に応じて作動する役物をパチンコ機10に設け、その役物を変動演出と合わせて所定の態様で作動させることによって、連続予告演出を実行してもよい。また、音声ランプ制御装置113の制御により、パチンコ機10の音声出力装置226から連続予告演出用の音声を出力させることによって、連続予告演出を実行してもよいし、パチンコ機10の電飾部29~33を変動演出と合わせて点灯または点滅させることによって、連続予告演出を実行してもよい。
【0902】
これにより、第3図柄表示装置81(および特別図柄表示装置37)において変動演出が行われる度に、連続して第4図柄表示装置に図柄が表示されたり、役物が所定の態様で作動したり、音声出力装置226から音声が出力されたり、若しくは、電飾部29~33が点灯または点滅することによって、遊技者に対して大当たりの期待感を持たせることができる。また、遊技者は、通常、変動演出が行われる第3図柄表示装置81を注視して遊技を継続して行うが、第3図柄表示装置81とは別の第4図柄表示装置による図柄の表示、役物の作動、音声出力装置226からの音声出力、若しくは電飾部29~33の点灯・点滅によって連続予告演出が行われるで、遊技者に対して、通常とは異なる演出が行われたことを容易に認識させることができる。また、連続予告演出を、第4図柄表示装置による図柄の表示、役物の作動、音声出力装置226からの音声出力、または電飾部29~33の点灯・点滅といった簡単な制御で容易に連続予告演出を行わせることができる。
【0903】
また、連続予告演出を音声出力装置226からの音声出力や、電飾部29~33の点灯または点滅によって行えば、その連続予告演出の制御は音声ランプ制御装置113によって行われるので、始動入賞時における当否判定や変動開始時の抽選処理を主制御装置110に行わせ、連続予告演出を音声ランプ制御装置113に行わせ、変動演出を表示制御装置114に行わせることで、パチンコ機10により連続予告演出を行う場合、それぞれの制御装置に各処理を分担させることができる。よって、1つの制御装置に負荷が集中するのを防ぐことができるので、各制御装置のMPUに求められる性能を低く抑えることができる。
【0904】
尚、第3図柄表示装置81における連続予告演出用の図柄の表示、第4図柄表示装置における連続予告演出用の図柄の表示、役物の所定の態様での作動、音声出力装置226からの音声出力、及び、電飾部29~33の点灯または点滅のうち、少なくとも2以上を組み合わせ、それぞれを連動させて制御することにより、連続予告演出を実行してもよい。これにより、より多彩な連続予告演出を実行させることができる。また、連続予告演出の実行方法(第3図柄表示装置81による表示、第4図柄表示装置による表示、役物の作動、音声出力装置226からの音声出力、電飾部29~33の点灯または点滅、又は、それらの組み合わせ)を変えることで、連続予告演出終了後の遊技状態に応じて選定される連続予告演出態様を複数用意してもよい。
【0905】
また、連続予告演出が行われる場合に、変動演出とは別の連続予告演出用の画像が第3図柄表示装置81に表示させてもよいし、連続予告演出を、変動演出が終了したときに表示される停止図柄として、所定の図柄の組み合わせである、所謂「チャンス目」を表示させることによって行ってもよい。この場合、表示制御装置114のMPUで実行されるコマンド判定処理にて連続予告コマンドの受信を判断すると、チャンス目に対応する停止図柄判別フラグをオンにすると共に、その他の停止図柄判別フラグをオフに設定するようにしてもよい。コマンド判定処理では、停止識別コマンド処理の後にその他コマンド処理の中で連続予告コマンドに対応する処理を実行するので、表示用停止識別コマンドの受信によって設定された停止図柄に代えて、チャンス目が停止図柄として設定される。よって、変動停止時にチャンス目を確定表示させることができる。そして、第3図柄表示装置81において、変動演出ごとに停止図柄としてチャンス目が連続して表示されれば、遊技者に対して、最終的に大当たりが得られる期待感を持たせることができる。
【0906】
上記実施形態において、主制御装置110は、第1始動口64、右側第1始動口64a又は第2始動口71への入賞(始動入賞)があった場合に、「1」加算された保留球数を音声ランプ制御装置113へ通知する保留球数コマンドに対して、該始動入賞に伴いカウンタ用バッファより取得された各カウンタC1~C3,CS1をそのまま含めて、音声ランプ制御装置113へ送信する場合について説明したが、保留球数コマンドに含めるカウンタの種類は、カウンタC1~C3,CS1の一部であってもよいし、その他のカウンタの値を含めてもよい。また、主制御装置110より音声ランプ制御装置113に対して始動入賞に伴って取得した各カウンタの値を通知する場合に、これらの各カウンタの値を示す情報を保留球数コマンドに含めて通知するのではなく、保留球数コマンドとは別のコマンドに各カウンタの値を示す情報を含めて、これらの値を音声ランプ制御装置113に対して通知してもよい。別のコマンドとしては、始動入賞に伴って取得した各カウンタの値を音声ランプ制御装置113へ通知する専用のコマンドであってもよいし、変動パターンコマンドや停止図柄コマンド等、別の情報を音声ランプ制御装置113へ通知するためのコマンドに、始動入賞に伴って取得した各カウンタの値が加えられてもよい。別のコマンドとして、始動入賞に伴って取得した各カウンタの値を音声ランプ制御装置113へ通知する場合、該コマンドに、その通知する各カウンタの値が、いずれの保留回数に対応する変動演出に係るものであるかを示す情報を含めてもよい。これにより、音声ランプ制御装置113は、該コマンドに含まれる保留回数に関する情報に基づいて、その保留回数に対応する先読み情報第1~第4エリアのいずれかのエリアに、該コマンドに含まれる各カウンタの値を格納することができる。
【0907】
上記実施形態では、音声ランプ制御装置113において、保留球数コマンドを受信した場合に、該保留球数コマンドにて示される各カウンタC1~C3,CS1の値そのものをRAM223に格納してもよいし、保留球数コマンド(又は、各カウンタの値が示されるコマンド)を受信した場合に、該コマンドにて示される各カウンタの値に基づいて、大当たりか否か、大当たりの場合の大当たり種別、外れの場合の外れ種別等の一部または全部を判定し、これらの判定結果を、該コマンドにて示される各カウンタの値に代えて、または、該カウンタの値の一部または全部とあわせて、RAM223に格納してもよい。
【0908】
上記実施形態においては、第1始動口64、右側第1始動口64a若しくは第2始動口71への入賞およびスルーゲート67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定してもよい。また、第1始動口64、右側第1始動口64a若しくは第2始動口71への入賞に対し、始動口によって別箇に最大保留球数を設定するようにしてもよく、各々の始動口における最大保留球数は「4」以外の任意の数であってもよい。また、各始動口における最大保留球数は必ずしも同一の値とする必要はなく、異なる値であってもよい。また、第1始動口64、右側第1始動口64a若しくは第2始動口71への入賞に基づく変動表示の保留球数を、第3図柄表示装置81の一部において、数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしてもよく、特別図柄表示装置37とは別体でランプ等の発光部材を設け、該発光部材によって保留球数を通知するように構成してもよい。
【0909】
また、上記実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであってもよい。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。
【0910】
上記各実施形態では、変動演出を実行する場合に、全図柄Z1~Z3を遊技者が視認不可な程度に高速にスクロールする高速変動を表示させる場合について説明したが、この高速変動の表示に代えて、全図柄Z1~Z3をそれぞれ視認不可な程度に縮小して表示したり、全図柄Z1~Z3をそれぞれ多数の白い点がランダムに表示されるスノーノイズ状の画像として表示してもよい。
【0911】
本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0912】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0913】
スロットマシンでは、所定期間中に払い出された遊技媒体(コイン、メダル)の総数に対する、ボーナス(役物)により払い出された遊技媒体の数の比率が役物比率となる。そこで、各役が成立した場合に払い出される遊技媒体の数を、賞球数テーブルに代えて主制御装置のROMに格納しておき、役物比率管理チップ又は役物比率管理チップと同等の機能を実行する制御装置にて、非ボーナスゲーム期間(通常期間)において成立した(有効ライン上に図柄が揃った)役の数、ボーナスゲーム期間中において成立した役の数、AT期間中において成立した役の数を計数して、役物比率や連続役物比率を管理してもよい。
【0914】
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
【0915】
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。なお、以下に示す各種発明の概念は、それぞれ、他の発明の概念が有する構成の一部または複数部分を、その発明の概念に追加し或いはその他の発明の概念が有する構成の一部または複数部分と交換等することにより、その発明の概念を変形して構成するようにしても良い。
【0916】
<A群:クレジット移行中も遊技可能>
従来より、所定の始動条件の成立に基づいて当たり等の抽選が行われ、例えば、当たりに当選した場合には、所定の獲得条件の成立に応じて遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機がある(例えば、特許文献1(特開2018-068661号公報))。
【0917】
上記例示したような遊技機等に対して、利便性を高める必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0918】
A群の発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、遊技機の利便性を好適に高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0919】
遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段(例えば、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213c)と、
前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段(例えば、球送りユニット112c及び球発射ユニット112a、又は、スタートレバー1021及び第1クレジット投入スイッチ1031)と、
前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段(例えば、第1始動口64)と、
前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段(例えば、賞球バッファ213d)と、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な出力手段(例えば、移行処理(S1704))と、を備えた遊技機において、
前記出力手段によって前記遊技価値記憶手段の前記遊技価値情報を出力している間、前記遊技実行手段による遊技を実行可能な出力中実行手段(例えば、送り球計数手段(S1104)のS1509)、を備えている
ことを特徴とする遊技機A0。
【0920】
遊技機A0によれば、遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段と、前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段と、前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な出力手段と、を備えた遊技機であって、前記出力手段によって前記遊技価値記憶手段の前記遊技価値情報を出力している間、前記遊技実行手段による遊技を実行可能な出力中実行手段、を備えている。これにより、出力手段によって遊技価値情報を出力している間でも、遊技実行手段による遊技を実行可能とすることで、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0921】
遊技機A0において、
遊技者により操作可能な第1操作手段(例えば、クレジット移行ボタン42)、を備え、
前記出力手段は、
前記第1操作手段に対する操作態様に応じて、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報の出力内容を異ならせる
ことを特徴とする遊技機A1。
【0922】
遊技機A1によれば、遊技機A0の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技者により操作可能な第1操作手段、を備え、前記出力手段は、前記第1操作手段に対する操作態様に応じて、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報の出力内容を異ならせる。これにより、第1操作手段の操作態様に応じた遊技価値情報を出力できるので、遊技者の意思に応じた遊技価値情報を出力可能となり、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0923】
遊技機A1において、
遊技者により操作可能な第2操作手段(例えば、発射ハンドル51)、を備え、
前記遊技実行手段は、
前記第2操作手段が操作されることで、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を使用して遊技を実行可能に構成され、
前記出力手段は、
前記第1操作手段が第1態様で操作された場合に、第1遊技価値情報(例えば、「1球」のクレジット情報)を出力可能な第1態様出力手段と、
前記第1操作手段が第2態様で操作されている場合に、前記第1遊技価値情報と異なる第2遊技価値情報(例えば、「125球」のクレジット情報)を出力可能な第2態様出力手段と、を備え、
前記出力中実行手段は、
前記第2態様出力手段による前記第2遊技価値情報の出力中に、前記第2操作手段が操作されることで遊技を実行可能に構成される
ことを特徴とする遊技機A2。
【0924】
遊技機A2によれば、遊技機A0又はA1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、技者により操作可能な第2操作手段、を備え、前記遊技実行手段は、前記第2操作手段が操作されることで、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を使用して遊技を実行可能に構成され、前記出力手段は、前記第1操作手段が第1態様で操作された場合に、第1遊技価値情報を出力可能な第1態様出力手段と、前記第1操作手段が第2態様で操作されている場合に、前記第1遊技価値情報と異なる第2遊技価値情報を出力可能な第2態様出力手段と、を備え、前記出力中実行手段は、前記第2態様出力手段による前記第2遊技価値情報の出力中に、前記第2操作手段が操作されることで遊技を実行可能に構成される。これにより、第2態様出力手段によって第2遊技価値情報を出力している間でも、第2操作手段に対する操作によって遊技を実行可能とすることで、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0925】
遊技機A2において、
前記第2態様は、
前記第1操作手段に対して、前記第1態様を連続的に長く操作した態様である
ことを特徴とする遊技機A3。
【0926】
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2態様は、前記第1操作手段に対して、前記第1態様を連続的に長く操作した態様である。これにより、第1操作手段に対して第1態様を連続的に長く操作した第2態様で操作している間に、第2操作手段に対する操作によって遊技を実行可能とすることで、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0927】
遊技機A2又はA3において、
前記第2遊技価値情報は、
前記第1遊技価値情報より遊技者にとって遊技価値が大きい
ことを特徴とする遊技機A4。
【0928】
遊技機A4によれば、遊技機A2又は3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2遊技価値情報は、前記第1遊技価値情報より遊技者にとって遊技価値が大きいように構成される。これにより、第1遊技価値情報より遊技者にとって遊技価値が大きい第2遊技価値情報を出力している間に、第2操作手段に対する操作によって遊技を実行可能とすることで、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0929】
遊技機A0からA4のいずれかにおいて、
遊技者により操作可能な第3操作手段(例えば、カード返却ボタン43)、を備え、
前記出力手段は、
前記第3操作手段が操作された場合に、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な第3出力手段、を備え、
前記遊技機は、
前記第3出力手段による前記遊技価値情報の出力中に、前記遊技実行手段による遊技を制限可能な制限手段(例えば、カード返却中は、球送り処理を規制)、を備えている
ことを特徴とする遊技機A5。
【0930】
遊技機A5によれば、遊技機A0からA4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技者により操作可能な第3操作手段、を備え、前記出力手段は、前記第3操作手段が操作された場合に、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な第3出力手段、を備え、前記遊技機は、前記第3出力手段による前記遊技価値情報の出力中に、前記遊技実行手段による遊技を制限可能な制限手段(例えば、カード返却中は、球送り処理を規制)、を備えている。これにより、第1操作手段が操作されている場合は遊技を実行可能に構成する一方、第3操作手段が操作された場合は遊技の実行を制限することで、遊技者の意思に応じた操作によって遊技の実行可否を実現することができる。よって、遊技機の稼働率を向上させつつ、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0931】
<B群:規定数未満は遊技制限>
従来より、所定の始動条件の成立に基づいて当たり等の抽選が行われ、例えば、当たりに当選した場合には、所定の獲得条件の成立に応じて遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機がある。
【0932】
この遊技機では、遊技者に遊技価値を付与し得る契機、又は、遊技価値の種類が、少なくとも2以上設けられて構成されているものもある(例えば、特許文献1(特開2018-068661号公報))。
【0933】
上記例示したような遊技機等に対して、遊技環境向上のため、利便性を高める必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0934】
B群の発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、遊技機の利便性を好適に高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0935】
遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段(例えば、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213c)と、
前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段(例えば、球送りユニット112c及び球発射ユニット112a、又は、スタートレバー1021及び第1クレジット投入スイッチ1031)と、
前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段(例えば、第1始動口64)と、
前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段(例えば、賞球バッファ213d)と、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な出力手段(例えば、クレジット移行ボタン42)と、を備えた遊技機において、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報による遊技を制限可能な制限手段(例えば、規定球数フラグ213g)、を備えている
ことを特徴とする遊技機B0。
【0936】
遊技機B0によれば、遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段と、前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段と、前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な出力手段と、を備えた遊技機であって、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報による遊技を制限可能な制限手段、を備えている。これにより、遊技価値情報が残り僅かなタイミングにおいて、遊技価値情報の出力と遊技の実行とが重複(前後)することを抑制し、実際の遊技価値情報と遊技で使用する遊技価値情報との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することができる。その結果、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0937】
なお、「遊技を制限」とは、例えば、遊技を行うことを禁止する場合や、遊技の一部の制御のみを禁止する場合、遊技の実行態様を限定的にする場合、遊技の実行を規制する場合、遊技の実行結果を採用しない場合等が例示される。
【0938】
遊技機B0において、
前記制限手段は、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報が所定数未満(例えば、「1000球」未満)の場合に、前記遊技実行手段による遊技の実行を制限する
ことを特徴とする遊技機B1。
【0939】
遊技機B1によれば、遊技機B0の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記制限手段は、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報が所定数未満の場合に、前記遊技実行手段による遊技の実行を制限する。これにより、例えば、遊技価値情報の出力中に、遊技価値が発生し得る遊技を制限することができるので、遊技価値の加減算処理が煩雑化してしまうことを未然に防止することができる。また、遊技価値情報が残り僅かなタイミングにおいて、遊技価値情報の出力と遊技の実行とが重複(前後)することを抑制し、実際の遊技価値情報と遊技で使用する遊技価値情報との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することができる。その結果、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0940】
遊技機B0又はB1において、
遊技者により操作可能な第1操作手段(例えば、クレジット移行ボタン42)、を備え、
前記出力手段は、
前記第1操作手段に対する操作に応じて、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力する
ことを特徴とする遊技機B2。
【0941】
遊技機B2によれば、遊技機B0又はB1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技者により操作可能な第1操作手段、を備え、前記出力手段は、前記第1操作手段に対する操作に応じて、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力する。これにより、遊技者によって第1操作手段が操作されることによる遊技価値情報の出力中に、遊技価値が発生し得る遊技を制限することができるので、遊技価値の加減算処理が煩雑化してしまうことを未然に防止することができる。また、遊技価値情報が残り僅かなタイミングにおいて、遊技価値情報の出力と遊技の実行とが重複(前後)することを抑制し、実際の遊技価値情報と遊技で使用する遊技価値情報との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することができる。その結果、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0942】
遊技機B0からB2のいずれかにおいて、
前記遊技実行手段は、
前記出力手段によって前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力している間、前記遊技実行手段による遊技を実行可能な出力中実行手段(例えば、送り球計数手段(S1104)のS1509)、を備え、
前記制限手段は、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報が前記所定数未満となった場合に、前記出力中実行手段による遊技の実行を制限する
ことを特徴とする遊技機B3。
【0943】
遊技機B3によれば、遊技機B0からB2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記遊技実行手段は、前記出力手段によって前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力している間、前記遊技実行手段による遊技を実行可能な出力中実行手段、を備え、前記制限手段は、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報が前記所定数未満となった場合に、前記出力中実行手段による遊技の実行を制限する。これにより、遊技者によって第1操作手段が操作されることによる遊技価値情報の出力中に、遊技価値情報が所定数未満となった場合には、遊技価値が発生し得る遊技を制限することができるので、遊技価値の加減算処理が煩雑化してしまうことを未然に防止することができる。また、遊技価値情報が残り僅かなタイミングにおいて、遊技価値情報の出力と遊技の実行とが重複(前後)することを抑制し、実際の遊技価値情報と遊技で使用する遊技価値情報との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することができる。その結果、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0944】
遊技機B0からB3のいずれかにおいて、
前記出力手段は、
1の出力により特定数(例えば、「125球」)の前記遊技価値情報を出力可能に構成され、
前記所定数は、
少なくとも、前記特定数以上である
ことを特徴とする遊技機B4。
【0945】
遊技機B4によれば、遊技機B0からB3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記出力手段は、1の出力により特定数の前記遊技価値情報を出力可能に構成され、前記所定数は、少なくとも、前記特定数以上である。これにより、遊技価値情報の出力中に、遊技価値情報が、1の出力によって出力可能な特定数以上である所定数未満となった場合には、遊技価値が発生し得る遊技を制限することができるので、遊技価値情報が所定数未満な状況において、遊技価値情報の出力と遊技の実行とが重複(前後)することを抑制し、実際の遊技価値情報と遊技で使用する遊技価値情報との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することができる。その結果、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0946】
遊技機B4において、
前記所定数は、
前記特定数の倍数である
ことを特徴とする遊技機B5。
【0947】
遊技機B5によれば、遊技機B4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記所定数は、前記特定数の倍数である。これにより、特定数の倍数である所定数になった場合に、遊技価値が発生し得る遊技を制限することができるので、少なくとも複数回の遊技価値情報の出力タイミング以上の時間的猶予を設けつつ、遊技価値情報が所定数未満な状況において、遊技価値情報の出力と遊技の実行とが重複(前後)することを抑制し、実際の遊技価値情報と遊技で使用する遊技価値情報との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することができる。その結果、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0948】
遊技機B0からB5のいずれかにおいて、
遊技者により操作可能な第3操作手段(例えば、カード返却ボタン43)、を備え、
前記出力手段は、
前記第3操作手段が操作された場合に、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技媒体情報を出力可能な第3出力手段、を備え、
前記制限手段は、
前記第3出力手段による前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報の出力中に、前記遊技実行手段による遊技の実行を制限する
ことを特徴とする遊技機B6。
【0949】
遊技機B6によれば、遊技機B0からB5の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技者により操作可能な第3操作手段、を備え、前記出力手段は、前記第3操作手段が操作された場合に、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技媒体情報を出力可能な第3出力手段、を備え、前記制限手段は、前記第3出力手段による前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報の出力中に、前記遊技実行手段による遊技の実行を制限する。これにより、これにより、第1操作手段が操作されている場合は、所定条件下で遊技を実行可能に構成する一方、第3操作手段が操作された場合は、漏れなく遊技の実行を制限することで、遊技者の意思に応じた操作によって遊技の実行可否を実現することができる。よって、遊技機の稼働率を向上させつつ、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0950】
<C群:長押し判定は複数回の通信タイミング以上の間隔>
従来より、所定の始動条件の成立に基づいて当たり等の抽選が行われ、例えば、当たりに当選した場合には、所定の獲得条件の成立に応じて遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機がある(例えば、特許文献1(特開2018-068661号公報))。
【0951】
上記例示したような遊技機等に対して、利便性を高める必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0952】
C群の発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、遊技機の利便性を好適に高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0953】
遊技者により操作可能な第1操作手段(例えば、クレジット移行ボタン42)と、
前記操作手段の操作態様を判別可能な操作態様判別手段(例えば、長押しフラグ213f)と、
所定間隔で所定情報を出力可能な出力手段(例えば、清算処理(S1106))と、を備えた遊技機において、
前記出力手段は、
前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第1態様(例えば、単押し)の場合に、前記所定情報としての第1情報(例えば、「1球」のクレジット情報)を出力可能な第1態様出力手段と、
前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第2態様(例えば、長押し)の場合に、前記所定情報として前記第1情報と異なる第2情報(例えば、「125球」のクレジット情報)を出力可能な第2態様出力手段と、を備え、
前記操作態様判別手段は、
前記所定間隔以上の特定期間に亘って前記第1操作手段が操作されている場合に、前記第2態様と判別する
ことを特徴とする遊技機C0。
【0954】
遊技機C0によれば、遊技者により操作可能な第1操作手段と、前記操作手段の操作態様を判別可能な操作態様判別手段と、所定間隔で所定情報を出力可能な出力手段と、を備えた遊技機であって、前記出力手段は、前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第1態様の場合に、前記所定情報としての第1情報を出力可能な第1態様出力手段と、前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第2態様の場合に、前記所定情報として前記第1情報と異なる第2情報を出力可能な第2態様出力手段と、を備え、前記操作態様判別手段は、前記所定間隔以上の特定期間に亘って前記第1操作手段が操作されている場合に、前記第2態様と判別する。これにより、所定情報の出力タイミングである所定間隔以上の特定期間に亘って第1操作手段が操作されている場合に、第2態様と判別することができ、1の第1操作手段における操作態様によって出力される所定情報の種類を複数化することができる。よって、1の第1操作手段を設けるのみで複数種類の所定情報を出力できるので、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0955】
遊技機C0において、
前記操作態様判別手段は、
前記所定間隔未満の前記第1操作手段への操作の場合に、前記第1態様と判別可能である
ことを特徴とする遊技機C1。
【0956】
遊技機C1によれば、遊技機C0の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記操作態様判別手段は、前記所定間隔未満の前記第1操作手段への操作の場合に、前記第1態様と判別可能である。これにより、所定情報の出力タイミングである所定間隔以上、第1操作手段が操作されている場合に、第2態様と判別することができ、また、所定間隔未満の第1操作手段の操作態様で第1態様と判別することができる。よって、1の第1操作手段における操作態様によって出力される所定情報の種類を複数化することができる。その結果、1の第1操作手段を設けるのみで複数種類の所定情報を出力できるので、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0957】
遊技機C0又はC1において、
前記出力手段は、
前記操作態様判別手段による判別がなされた後に到来する出力タイミングにおいて前記所定情報を出力する
ことを特徴とする遊技機C2。
【0958】
遊技機C2によれば、遊技機C0又はC1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記出力手段は、前記操作態様判別手段による判別がなされた後に到来する出力タイミングにおいて前記所定情報を出力する。これにより、第1操作手段の操作態様が判別した後に所定情報を出力することができるので、操作態様が定まっていない状態での所定情報の出力を抑制することができる。よって、遊技機における処理負担を軽減することができ、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0959】
遊技機C0からC2のいずれかにおいて、
遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段(例えば、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213c)と、
前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段(例えば、球送りユニット112c及び球発射ユニット112a、又は、スタートレバー1021及び第1クレジット投入スイッチ1031)と、
前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段(例えば、第1始動口64)と、
前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段(例えば、賞球バッファ213d)と、を備え、
前記出力手段は、
前記所定情報として、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能に構成される
ことを特徴とする遊技機C3。
【0960】
遊技機C3によれば、遊技機C0からC2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段と、前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段と、前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段と、を備え、前記出力手段は、前記所定情報として、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能に構成される。これにより、遊技価値情報の出力タイミングである所定間隔以上、第1操作手段が操作されている場合に、第2態様と判別することができ、1の第1操作手段における操作態様によって出力される遊技価値情報の種類を複数化することができる。よって、1の第1操作手段を設けるのみで複数種類の遊技価値情報を出力できるので、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0961】
遊技機C0からC3のいずれかにおいて、
前記第2態様は、
前記第1操作手段に対して、前記第1態様を連続的に長く操作した態様である
ことを特徴とする遊技機C4。
【0962】
遊技機C4によれば、遊技機C0からC3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2態様は、前記第1操作手段に対して、前記第1態様を連続的に長く操作した態様である。これにより、第1操作手段に対する操作が、第1態様か、該第1態様を連続的に長く操作した第2態様かで、出力される所定情報の種類を複数化することができる。よって、1の第1操作手段を設けるのみで複数種類の所定情報を出力できるので、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0963】
遊技機C4において、
前記第1情報は、
前記遊技価値記憶手段に記憶される第1遊技価値情報であり、
前記第2情報は、
前記遊技価値記憶手段に記憶される第2遊技価値情報であり、
前記第2遊技価値情報は、
前記第1遊技価値情報より遊技者にとって有利な遊技価値である
ことを特徴とする遊技機C5。
【0964】
遊技機C5によれば、遊技機C4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1情報は、前記遊技価値記憶手段に記憶される第1遊技価値情報であり、前記第2情報は、前記遊技価値記憶手段に記憶される第2遊技価値情報であり、前記第2遊技価値情報は、前記第1遊技価値情報より遊技者にとって有利な遊技価値である。これにより、第1操作手段に対する操作が、第1態様か、該第1態様を連続的に長く操作した第2態様かで、出力される遊技価値情報を、第1遊技価値情報か、該第1遊技価値情報より遊技者によって有利な第2遊技価値情報かを識別して出力することができる。よって、1の第1操作手段を設けるのみで第1遊技価値情報又は第2遊技価値情報を出力できるので、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0965】
遊技機C0からC5のいずれかにおいて、
遊技者により操作可能な第3操作手段(例えば、カード返却ボタン43)、を備え、
前記出力手段は、
前記第3操作手段が操作された場合に、前記第1操作手段が前記第2態様で操作された場合と同等の前記所定情報を出力可能に構成される
ことを特徴とする遊技機C6。
【0966】
遊技機C6によれば、遊技機C0からC5の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技者により操作可能な第3操作手段、を備え、前記出力手段は、前記第3操作手段が操作された場合に、前記第1操作手段が前記第2態様で操作された場合と同等の前記所定情報を出力可能に構成される。これにより、第3操作手段を操作することで、第1操作手段が第2態様で操作された場合と同等の所定情報を出力することができる。よって、複数の操作手段のいずれを操作するか、及び、いずれの操作態様で操作するかで、所定情報を識別して出力することができる。よって、所定情報の出力を容易化して、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0967】
遊技者により操作可能な第1操作手段(例えば、クレジット移行ボタン42)と、
前記操作手段の操作態様を判別可能な操作態様判別手段(例えば、長押しフラグ213f)と、
所定間隔で所定情報を出力可能な出力手段(例えば、清算処理(S1106))と、を備えた遊技機において、
前記出力手段は、
前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第1態様(例えば、単押し)の場合に、前記所定情報としての第1情報(例えば、「1球」のクレジット情報)を出力可能な第1態様出力手段と、
前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第2態様(例えば、長押し)の場合に、前記所定情報として前記第1情報と異なる第2情報(例えば、「125球」のクレジット情報)を出力可能な第2態様出力手段と、を備え、
前記操作態様判別手段は、
特定期間に亘って前記第1操作手段が操作されている場合に、前記第2態様と判別する
ことを特徴とする遊技機C99。
【0968】
遊技機C99によれば、遊技者により操作可能な第1操作手段と、前記操作手段の操作態様を判別可能な操作態様判別手段と、所定間隔で所定情報を出力可能な出力手段と、を備えた遊技機であって、前記出力手段は、前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第1態様の場合に、前記所定情報としての第1情報を出力可能な第1態様出力手段と、前記操作態様判別手段により前記第1操作手段への操作が第2態様の場合に、前記所定情報として前記第1情報と異なる第2情報を出力可能な第2態様出力手段と、を備え、前記操作態様判別手段は、特定期間に亘って前記第1操作手段が操作されている場合に、前記第2態様と判別する。これにより、特定間隔に亘って第1操作手段が操作されている場合に、第2態様と判別することができ、1の第1操作手段における操作態様によって出力される所定情報の種類を複数化することができる。よって、1の第1操作手段を設けるのみで複数種類の所定情報を出力できるので、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。なお、遊技機C99に対して、遊技機C1~C6の構成を適用してもよい。
【0969】
<D群:クレジット移行中の賞球(ファール球)は別途記憶>
従来より、所定の始動条件の成立に基づいて当たり等の抽選が行われ、例えば、当たりに当選した場合には、所定の獲得条件の成立に応じて遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機がある(例えば、特許文献1(特開2018-068661号公報))。
【0970】
上記例示したような遊技機等に対して、利便性を高める必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0971】
D群の発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、遊技機の利便性を好適に高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0972】
遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段(例えば、クレジット記憶部213b及び移行中記憶部213c)と、
前記第1遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段(例えば、球送りユニット112c及び球発射ユニット112a、又は、スタートレバー1021及び第1クレジット投入スイッチ1031)と、
前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段(例えば、第1始動口64)と、
前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段(例えば、賞球バッファ213d)と、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な出力手段(例えば、移行処理(S1704))と、を備えた遊技機において、
前記遊技価値記憶手段は、
第1遊技価値記憶手段(例えば、クレジット記憶部213b)と、
前記第1遊技価値記憶手段と異なる第2遊技価値記憶手段(例えば、移行中記憶部213c)と、を備え、
前記更新手段は、
前記出力手段によって前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力している間に、前記遊技価値付与手段によって前記遊技価値が付与された場合、前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新する
ことを特徴とする遊技機D0。
【0973】
遊技機D0によれば、遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段と、前記第1遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段と、前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段と、前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な出力手段と、を備えた遊技機であって、前記遊技価値記憶手段は、第1遊技価値記憶手段と、前記第1遊技価値記憶手段と異なる第2遊技価値記憶手段と、を備え、前記更新手段は、前記出力手段によって前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力している間に、前記遊技価値付与手段によって前記遊技価値が付与された場合、前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新する。これにより、第1遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報を出力している間に、遊技価値が付与される場合、該第1遊技価値記憶手段と異なる第2遊技価値記憶手段に、該遊技価値に対応して遊技価値情報を更新することができる。よって、更新中の第1遊技価値記憶手段に対して加減算処理が重複(前後)して行われることを未然に防止して、遊技価値情報を正確に更新することが可能となり、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0974】
遊技機D0において、
前記遊技価値付与手段が設けられた遊技領域、を備え、
前記遊技実行手段は、
遊技媒体を前記遊技領域へ向けて発射可能な発射手段(例えば、球発射ユニット112a)と、
前記発射手段によって発射されたものの前記遊技領域へ到達しなかった前記遊技媒体を検出可能な未到達検出手段(例えば、ファール球スイッチ131)と、を備え、
前記更新手段は、
前記出力手段によって前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力している間に、前記未到達検出手段によって前記遊技媒体が検出された場合に、前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新する
ことを特徴とする遊技機D1。
【0975】
遊技機D1によれば、遊技機D0の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記遊技価値付与手段が設けられた遊技領域、を備え、前記遊技実行手段は、遊技媒体を前記遊技領域へ向けて発射可能な発射手段と、前記発射手段によって発射されたものの前記遊技領域へ到達しなかった前記遊技媒体を検出可能な未到達検出手段と、を備え、前記更新手段は、前記出力手段によって前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力している間に、前記未到達検出手段によって前記遊技媒体が検出された場合に、前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新する。これにより、第1遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報を出力している間に、遊技領域へ未到達の遊技媒体が発生した場合、該第1遊技価値記憶手段と異なる第2遊技価値記憶手段に、該遊技媒体に対応して遊技価値情報を更新することができる。よって、更新中の第1遊技価値記憶手段に対して加減算処理が重複(前後)して行われることを未然に防止して、遊技価値情報を正確に更新することが可能となり、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0976】
遊技機D0又はD1において、
前記遊技実行手段は、
前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報に基づく遊技を制限する制限手段(例えば、送り球計数処理(S1104)のS1508)、を備えている
ことを特徴とする遊技機D2。
【0977】
遊技機D2によれば、遊技機D0又はD1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記遊技実行手段は、前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報に基づく遊技を制限する制限手段、を備えている。これにより、第1遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報を出力している間に、遊技価値が付与される場合、該第1遊技価値記憶手段と異なる第2遊技価値記憶手段に、該遊技価値に対応して遊技価値情報を更新するとともに、該第2遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報に基づく遊技を制限して、第2遊技価値記憶手段に対する更新処理を加算更新のみとすることができる。よって、更新中の第1遊技価値記憶手段に対して加減算処理が重複(前後)して行われることを未然に防止するとともに、第2遊技価値記憶手段に対して加減算処理が重複(前後)して行われることを未然に防止し、遊技価値情報を正確に更新することが可能となり、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0978】
遊技機D0又はD1において、
前記遊技実行手段は、
前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を、前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報より優先して使用する
ことを特徴とする遊技機D3。
【0979】
遊技機D3によれば、遊技機D0又はD1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記遊技実行手段は、前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を、前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報より優先して使用する。これにより、第1遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報を出力している間に、遊技価値が付与される場合、該第1遊技価値記憶手段と異なる第2遊技価値記憶手段に、該遊技価値に対応して遊技価値情報を更新するとともに、遊技を実行する場合に、第1遊技価値情報に記憶される遊技価値情報より、第2遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報に基づく遊技を優先的に実行して、少なくとも第1遊技価値記憶手段に対する更新処理を減算更新のみとすることができる。よって、更新中の第1遊技価値記憶手段に対して加減算処理が重複(前後)して行われることを未然に防止し、遊技価値情報を正確に更新することが可能となり、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0980】
遊技機D0からD3のいずれかにおいて、
前記出力手段は、
前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を、前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報より優先して出力する
ことを特徴とする遊技機D4。
【0981】
遊技機D4によれば、遊技機D0からD3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を、前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報より優先して出力する。これにより、第1遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報を出力している間にのみ遊技価値情報を記憶する第2遊技価値記憶手段より、通常時に使用され得る第1遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報を優先して出力することで、限定的な場面でのみ更新される遊技価値情報より一般的に使用及び更新される遊技価値情報を先に出力することが可能となる。よって、少なくとも使用頻度が高い遊技価値情報を正確に更新することが可能となり、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0982】
遊技機D0からD4のいずれかにおいて、
遊技者により操作可能な第3操作手段(例えば、カード返却ボタン43)、を備え、
前記出力手段は、
前記第3操作手段が操作された場合に、前記第1遊技価値記憶手段又は/及び前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能に構成される
ことを特徴とする遊技機D5。
【0983】
遊技機D5によれば、遊技機D0からD4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技者により操作可能な第3操作手段、を備え、前記出力手段は、前記第3操作手段が操作された場合に、前記第1遊技価値記憶手段又は/及び前記第2遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能に構成される。これにより、第3操作手段に対する1の操作で第1遊技価値記憶手段又は/及び第2遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報を出力することができるので、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0984】
<E群:最後の一発>
従来より、所定の始動条件の成立に基づいて当たり等の抽選が行われ、例えば、当たりに当選した場合には、所定の獲得条件の成立に応じて遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機がある(例えば、特許文献1(特開2018-068661号公報))。
【0985】
上記例示したような遊技機等に対して、利便性を高める必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【0986】
E群の発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、遊技機の利便性を好適に高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【0987】
遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段(例えば、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213c)と、
前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段(例えば、球送りユニット112c及び球発射ユニット112a、又は、スタートレバー1021及び第1クレジット投入スイッチ1031)と、
前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段(例えば、第1始動口64)と、
前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段(例えば、賞球バッファ213d)と、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な出力手段(例えば、移行処理(S1704))と、を備えた遊技機において、
前記遊技実行手段は、
前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行するための遊技用動作を実行可能な第1実行手段(例えば、球送りユニット112cによって送り出された球を発射するために発射ソレノイド112bを駆動)と、
前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用せずとも、遊技を実行するための遊技用動作を実行可能な第2実行手段(例えば、残り球発射カウンタ213iの値に基づく発射ソレノイド112bの駆動)と、を備えている
ことを特徴とする遊技機E0。
【0988】
遊技機E0によれば、遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行可能な遊技実行手段と、前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段と、前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新可能な更新手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を出力可能な出力手段と、を備えた遊技機であって、前記遊技実行手段は、前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用することにより、遊技を実行するための遊技用動作を実行可能な第1実行手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶された前記遊技価値情報を使用せずとも、遊技を実行するための遊技用動作を実行可能な第2実行手段と、を備えている。これにより、遊技価値情報を使用して遊技を行うための遊技用動作を実行する場合と、遊技価値情報を使用せずともに遊技を行うための遊技用動作を実行する場合とで遊技のバリエーションを豊富にし、遊技の興趣向上を図り、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0989】
遊技機E0において、
前記第2実行手段は、
前記出力手段によって前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報が記憶されていない状態となった場合に、遊技を実行するための前記遊技用動作を実行する
ことを特徴とする遊技機E1。
【0990】
遊技機E1によれば、遊技機E0の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2実行手段は、前記出力手段によって前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報が記憶されていない状態となった場合に、遊技を実行するための前記遊技用動作を実行するように構成される。これにより、出力手段によって遊技価値記憶手段に記憶されていた遊技価値情報がすべて出力された後に、第2実行手段によって遊技価値情報を使用せずとも遊技を実行するための遊技用動作をさせることが可能となる。よって、例えば、遊技者が遊技を中断する場合に、遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報を出力しきった後に、遊技者所有の遊技価値情報を遊技機に残存させないようにすることができるので、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制し、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0991】
遊技機E0又はE1において、
前記遊技価値付与手段が設けられた遊技領域、を備え、
前記遊技実行手段は、
遊技媒体を貯留する貯留手段(例えば、上皿17)と、
前記遊技領域に前記遊技媒体を発射可能な発射手段(例えば、球発射ユニット112a)と、
前記貯留手段に貯留されている前記遊技媒体を前記発射手段側へ送出する送出手段(例えば、球送りユニット112c)と、を備え、
前記第2実行手段は、
前記送出手段による前記遊技媒体を送出せずに、前記発射手段を駆動する
ことを特徴とする遊技機E2。
【0992】
遊技機E2によれば、遊技機E0又はE1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記遊技価値付与手段が設けられた遊技領域、を備え、前記遊技実行手段は、遊技媒体を貯留する貯留手段と、前記遊技領域に前記遊技媒体を発射可能な発射手段と、前記貯留手段に貯留されている前記遊技媒体を前記発射手段側へ送出する送出手段と、を備え、前記未使用実行手段は、前記送出手段による前記遊技媒体を送出せずに、前記発射手段を駆動するように構成される。これにより、出力手段によって遊技価値記憶手段に記憶されていた遊技価値情報がすべて出力された後に、第2実行手段によって遊技価値情報を使用せずに遊技媒体を発射可能となる。よって、例えば、遊技者が遊技を中断する場合に、遊技価値記憶手段に記憶される遊技価値情報を出力しきった後に、既に送出手段によって発射手段側へ送出されてしまった遊技媒体を発射させることで、遊技者所有の遊技価値情報を遊技機に残存させないようにすることができるので、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制し、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0993】
遊技機E2において、
前記更新手段は、
前記送出手段によって前記遊技媒体が送出された場合に、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新する
ことを特徴とする遊技機E3。
【0994】
遊技機E3によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記更新手段は、前記送出手段によって前記遊技媒体が送出された場合に、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報を更新するように構成される。これにより、送出手段による送出後、発射手段による発射前に遊技価値情報を更新することが可能となり、遊技価値情報の更新を迅速に行うことができる。よって、遊技で使用する遊技媒体と遊技者が保持する遊技価値情報とを正確に計数し易くなり、遊技者及び遊技ホールの互いに不測の不利益が生じることを抑制し、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0995】
遊技機E0からE3のいずれかにおいて、
前記第2実行手段は、
少なくとも、2以上の遊技を実行するための前記遊技用動作を実行する
ことを特徴とする遊技機E4。
【0996】
遊技機E4によれば、遊技機E0からE3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2実行手段は、少なくとも、2以上の遊技を実行するための前記遊技用動作を実行するように構成される。これにより、遊技者所有の遊技価値情報を、より遊技機に残存させないようにできるので、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制し、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0997】
遊技機E2からE4のいずれかにおいて、
前記第2実行手段は、
前記遊技媒体が前記遊技領域に到達する強度で前記発射手段を駆動する
ことを特徴とする遊技機E5。
【0998】
遊技機E5によれば、遊技機E2からE4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2実行手段は、前記遊技媒体が前記遊技領域に到達する強度で前記発射手段を駆動するように構成される。これにより、遊技機に残存している遊技媒体を必ず遊技で使用することで、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制し、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【0999】
遊技機E2からE4のいずれかにおいて、
前記第2実行手段は、
前記遊技媒体が前記遊技領域に到達し得ない強度で前記発射手段を駆動する
ことを特徴とする遊技機E6。
【1000】
遊技機E6によれば、遊技機E2からE4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2実行手段は、前記遊技媒体が前記遊技領域に到達し得ない強度で前記発射手段を駆動するように構成される。これにより、遊技機に残存している遊技媒体を再び遊技価値記憶手段に記憶させることができるので、遊技者に不測の不利益が生じることを抑制し、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1001】
遊技に使用可能な遊技媒体を貯留可能な貯留手段(例えば、上皿17)と、
前記遊技媒体を発射する発射動作を実行可能な発射手段(例えば、発射ソレノイド112b)と、
前記貯留手段に貯留される前記遊技媒体を、前記発射手段へ送出可能な送出動作を実行可能な送出手段(例えば、球送りユニット112c)と、を備えた遊技機において、
前記送出動作より前記発射動作を多く実行可能にするための多動作実行手段(例えば、残り球発射カウンタ213i)、を備えている
ことを特徴とする遊技機E99。
【1002】
遊技機E99によれば、遊技に使用可能な遊技媒体を貯留可能な貯留手段と、前記遊技媒体を発射する発射動作を実行可能な発射手段と、前記貯留手段に貯留される前記遊技媒体を、前記発射手段へ送出可能な送出動作を実行可能な送出手段と、を備えた遊技機であって、前記送出動作より前記発射動作を多く実行可能にするための多動作実行手段、を備えている。これにより、送出手段による送出動作によって貯留手段に貯留されていた遊技媒体が発射手段に送出された場合に、該送出された遊技媒体を発射手段による発射動作により発射することが可能となる。よって、例えば、送出手段による送出動作直後に遊技者が遊技を中断した場合であっても、多動作実行手段により発射手段による発射動作を実行することが可能となるので、発射手段に送出されたにも関わらず発射手段によって発射されない遊技媒体が発生することを抑制できる。その結果、遊技機に遊技媒体が残存する状況を抑制できるので、遊技ホールにおける遊技媒体数の管理を的確に行うことに資するとともに、遊技者に不測の不利益を生じさせないようにすることができ、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。なお、遊技機E99において、遊技機E1~E6の一部又は全部の構成を適用してもよい。
【1003】
<F群:クレジット移行ボタン長押しとカード返却ボタン単押しで同じ処理>
従来より、所定の始動条件の成立に基づいて当たり等の抽選が行われ、例えば、当たりに当選した場合には、所定の獲得条件の成立に応じて遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機がある(例えば、特許文献1(特開2018-068661号公報))。
【1004】
上記例示したような遊技機等に対して、利便性を高める必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【1005】
F群の発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、遊技機の利便性を好適に高めることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【1006】
遊技者により操作可能な第1操作手段(例えば、クレジット移行ボタン42)と、
遊技者により操作可能であって、前記第1操作手段と異なる第2操作手段(例えば、発射ハンドル51)と、
遊技者により操作可能であって、前記第1操作手段及び前記第2操作手段と異なる第3操作手段(例えば、カード返却ボタン43)と、を備えた遊技機において、
前記第1操作手段が操作される場合に、前記第2操作手段に基づく第1制御を実行可能な第1実行手段(例えば、発射許可フラグ213aのオン)と、
前記第3操作手段が操作される場合に、前記第2操作手段に基づく前記第1制御を制限する制限手段(例えば、発射許可フラグ213aのオフ)と、を備えている
ことを特徴とする遊技機F0。
【1007】
遊技機F0によれば、遊技者により操作可能な第1操作手段と、遊技者により操作可能であって、前記第1操作手段と異なる第2操作手段と、遊技者により操作可能であって、前記第1操作手段及び前記第2操作手段と異なる第3操作手段と、を備えた遊技機であって、前記第1操作手段が操作される場合に、前記第2操作手段に基づく第1制御を実行可能な第1実行手段と、前記第3操作手段が操作される場合に、前記第2操作手段に基づく前記第1制御を制限する制限手段と、を備えている。これにより、第1操作手段又は第3操作手段に対する操作に応じて、遊技の実行を許容又は制限することで、適式な遊技環境を構築することができる。その結果、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1008】
遊技機F0において、
前記第1操作手段による第1操作(例えば、長押し)と、前記第3操作手段に対する第2操作(例えば、カード返却ボタン43を1度押下(単押し))と、で同等の所定制御(例えば、「125球」のクレジット情報の移行)を実行可能な所定制御実行手段、を備えている
ことを特徴とする遊技機F1。
【1009】
遊技機F1によれば、遊技機F0の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1操作手段による第1操作と、前記第3操作手段に対する第2操作と、で同等の所定制御を実行可能な所定制御実行手段、を備えている。これにより、異なる操作手段に対して、異なる操作態様を実行した場合でも同等の所定制御を実行可能にすることで、遊技機の制御負担を軽減しつつ、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1010】
遊技機F1において、
前記第1操作手段に対する前記第2操作(例えば、単押し)がなされた場合に、前記所定制御と異なる特定制御(例えば、「1球」のクレジット情報の移行)を実行する特定制御実行手段、を備えている
ことを特徴とする遊技機F2。
【1011】
遊技機F2によれば、遊技機F0又はF1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1操作手段に対する前記第2操作がなされた場合に、前記所定制御と異なる特定制御を実行する特定制御実行手段、を備えている。これにより、1の第1操作手段における操作態様によって実行される制御を複数化することができる。よって、1の第1操作手段を設けるのみで複数種類の制御を実行できるので、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1012】
遊技機F2において、
前記第1操作手段の操作態様を判別可能な操作態様判別手段(例えば、長押しフラグ213f)、を備え、
前記所定制御実行手段および前記特定制御実行手段は、
前記操作態様判別手段による判別がなされた後に、前記第1操作手段への前記第1操作又は前記第2操作に対する前記所定制御又は前記特定制御を実行する
ことを特徴とする遊技機F3。
【1013】
遊技機F3によれば、遊技機F2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1操作手段の操作態様を判別可能な操作態様判別手段、を備え、前記所定制御実行手段および前記特定制御実行手段は、前記操作態様判別手段による判別がなされた後に、前記第1操作手段への前記第1操作又は前記第2操作に対する前記所定制御又は前記特定制御を実行する。これにより、第1操作手段の操作態様が判別した後に所定情報又は特定制御を実行することができるので、操作態様が定まっていない状態での重複した制御を抑制することができる。よって、遊技機における処理負担を軽減することができ、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1014】
遊技機F0からF3のいずれかにおいて、
遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段(例えば、クレジット記憶部213b又は移行中記憶部213c)、を備え、
前記第1実行手段は、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報による遊技を実行可能に構成され、
前記制限手段は、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報による遊技を制限可能に構成される
ことを特徴とする遊技機F4。
【1015】
遊技機F4によれば、遊技機F0からF3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技に使用可能な遊技価値情報を記憶可能な遊技価値記憶手段、を備え、前記第1実行手段は、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報による遊技を実行可能に構成され、前記制限手段は、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報による遊技を制限可能に構成される。これにより、第1操作手段又は第3操作手段に対する操作に応じて、遊技価値情報に基づく遊技の実行を許容又は制限することで、適式な遊技環境を構築することができる。その結果、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1016】
遊技機F4において、
前記制限手段は、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報が所定数未満(例えば、「1000球」未満)の場合に、前記第1実行手段による遊技の実行を制限する
ことを特徴とする遊技機F5。
【1017】
遊技機F5によれば、遊技機F4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記制限手段は、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記遊技価値情報が所定数未満の場合に、前記第1実行手段による遊技の実行を制限する。これにより、遊技価値情報が所定数未満な状況において、遊技の実行を抑制し、実際の遊技価値情報と遊技で使用する遊技価値情報との間で齟齬が生じないようにすることができる。よって、遊技ホールに不測の不利益を被らせることを未然に防止し、適式な遊技環境を構築することができる。その結果、遊技機の稼働率を向上するとともに、遊技機の利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1018】
<G群:ホールコンボックスシステム>
従来より、所定の始動条件の成立に基づいて当たり等の抽選が行われ、例えば、当たりに当選した場合には、所定の獲得条件の成立に応じて遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機を用いた遊技システムがある(例えば、特許文献1(特開2018-068661号公報))。
【1019】
上記例示したような遊技システム等に対して、利便性を高める必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【1020】
G群の発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、遊技システムの利便性を好適に高めることが可能な遊技システムを提供することを目的とする。
【1021】
遊技を実行可能な遊技機(例えば、パチンコ機10又はスロットマシン1000)と、
前記遊技機に対応して配置されて、該遊技機での遊技に使用する情報を記録した遊技用記録媒体(例えば、会員カード700)を読み込み可能な遊技補助手段(例えば、カードユニット300)と、
遊技ホールの状況を把握可能な管理手段(例えば、ホールコンピュータ500)と、を備えた遊技システムにおいて、
前記遊技機に設けられ、少なくとも前記遊技補助手段に対して遊技に関連する遊技関連情報の一部又は全部を出力可能な第1出力手段(例えば、枠統括制御装置111)と、
前記遊技補助手段に設けられ、前記第1出力手段から出力された前記遊技関連情報の一部又は全部を記憶可能な補助用記憶手段(例えば、RAM303)と、
遊技ホール外に設けられ、前記補助用記憶手段に記憶された前記遊技関連情報の一部又は全部を、直接的又は間接的に受信可能な第1制御手段(例えば、外部管理サーバ600)と、を備えている
ことを特徴とする遊技システムG0。
【1022】
遊技システムG0によれば、遊技を実行可能な遊技機と、前記遊技機に対応して配置されて、該遊技機での遊技に使用する情報を記録した遊技用記録媒体を読み込み可能な遊技補助手段と、遊技ホールの状況を把握可能な管理手段と、を備えた遊技システムであって、前記遊技機に設けられ、少なくとも前記遊技補助手段に対して遊技に関連する遊技関連情報の一部又は全部を出力可能な第1出力手段と、前記遊技補助手段に設けられ、前記第1出力手段から出力された前記遊技関連情報の一部又は全部を記憶可能な補助用記憶手段と、遊技ホール外に設けられ、前記補助用記憶手段に記憶された前記遊技関連情報の一部又は全部を、直接的又は間接的に受信可能な第1制御手段と、を備えている。これにより、遊技ホール外から遊技機に関連する遊技関連情報を確認できるので、遊技機又は遊技補助手段に対して何らかの不正行為や異常が発生した場合には、遊技ホール外から確認することができるので、遊技機又は遊技補助手段の状態を監視することで不正行為の抑止効果を高めて、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1023】
遊技システムG0において、
少なくとも、前記補助用記憶手段に記憶される前記遊技関連情報の一部又は全部を受信可能に構成された第2制御手段(例えば、ホールコンボックス400)、を備えている
ことを特徴とする遊技システムG1。
【1024】
遊技システムG1によれば、遊技システムG0の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、少なくとも、前記補助用記憶手段に記憶される前記遊技関連情報の一部又は全部を受信可能に構成された第2制御手段、を備えている。これにより、遊技ホール外から遊技機に関連する遊技関連情報を確認できるので、遊技機又は遊技補助手段に対して何らかの不正行為や異常が発生した場合には、遊技ホール外から確認することができるので、遊技機又は遊技補助手段の状態を監視することで不正行為の抑止効果を高めて、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1025】
遊技システムG1において、
前記第1制御手段は、
前記第2制御手段を介して前記遊技関連情報の一部又は全部を受信可能に構成される
ことを特徴とする遊技システムG2。
【1026】
遊技システムG2によれば、遊技システムG1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1制御手段は、前記第2制御手段を介して前記遊技関連情報の一部又は全部を受信可能に構成される。これにより、遊技ホール外から遊技機に関連する遊技関連情報を確認できるので、遊技機又は遊技補助手段に対して何らかの不正行為や異常が発生した場合には、遊技ホール外から確認することができるので、遊技機又は遊技補助手段の状態を監視することで不正行為の抑止効果を高めて、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1027】
遊技システムG1において、
前記第2制御手段は、
前記管理手段と通信可能に構成され、
前記第1制御手段は、
前記遊技補助手段から前記遊技関連情報の一部又は全部を受信可能に構成される
ことを特徴とする遊技システムG3。
【1028】
遊技システムG3によれば、遊技システムG1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2制御手段は、前記管理手段と通信可能に構成され、前記第1制御手段は、前記遊技補助手段から前記遊技関連情報の一部又は全部を受信可能に構成される。これにより、遊技ホール外から遊技機に関連する遊技関連情報を確認できるので、遊技機又は遊技補助手段に対して何らかの不正行為や異常が発生した場合には、遊技ホール外から確認することができるので、遊技機又は遊技補助手段の状態を監視することで不正行為の抑止効果を高めて、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1029】
遊技システムG1からG3において、
前記第2制御手段は、
受信した前記遊技関連情報の一部のみを記憶可能に構成される
ことを特徴とする遊技システムG4。
【1030】
遊技システムG4によれば、遊技システムG1からG3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2制御手段は、受信した前記遊技関連情報の一部のみを記憶可能に構成される。これにより、例えば、遊技ホールにおける営業情報や遊技者の個人情報以外の遊技に関連する情報のみを第2制御手段に記憶させることで、営業情報や個人情報の流出を抑止しつつ、遊技機又は遊技補助手段の状態を監視することで不正行為の抑止効果を高めて、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1031】
遊技システムG0からG4のいずれかにおいて、
前記遊技補助手段は、
前記遊技用記録媒体の排出時に、前記補助用記憶手段に記憶された前記遊技関連情報の一部又は全部を出力可能に構成される
ことを特徴とする遊技システムG5。
【1032】
遊技システムG5によれば、遊技システムG0からG4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記遊技補助手段は、前記遊技用記録媒体の排出時に、前記補助用記憶手段に記憶された前記遊技関連情報の一部又は全部を出力可能に構成される。これにより、第2制御手段と遊技補助手段とで常時通信することなく、遊技終了時にまとめて遊技関連情報を第2制御手段に記憶させることができる。よって、第2制御手段と遊技補助手段との処理負担を軽減しつつ、遊技ホール外から遊技機又は遊技補助手段の状態を監視可能にすることで不正行為の抑止効果を高めて、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1033】
遊技システムG1からG5のいずれかにおいて、
前記第2制御手段は、
前記第1制御手段からの要求があった場合に、前記管理手段に対して前記第1制御手段の認証を行う認証手段(例えば、外部アクセス処理(S3004))と、
前記認証手段による認証結果に応じて前記遊技関連情報を出力する認証後出力手段と、を備えている
ことを特徴とする遊技システムG6。
【1034】
遊技システムG6によれば、遊技システムG1からG5の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2制御手段は、前記第1制御手段からの要求があった場合に、前記管理手段に対して前記第1制御手段の認証を行う認証手段と、前記認証手段による認証結果に応じて前記遊技関連情報を出力する認証後出力手段と、を備えている。これにより、意図しない遊技関連情報の流出による不正を抑制して、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1035】
遊技システムG1からG6のいずれかにおいて、
前記第2制御手段は、
前記第1制御手段に関連する前記遊技機の前記遊技関連情報のみを出力する
ことを特徴とする遊技システムG7。
【1036】
遊技システムG7によれば、遊技システムG1からG6の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2制御手段は、前記第1制御手段に関連する前記遊技機の前記遊技関連情報のみを出力する。これにより、第1制御手段に関連しない遊技機の遊技関連情報を入手できないように構成することで、意図しない遊技関連情報の流出による不正を抑制して、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1037】
遊技システムG1からG7のいずれかにおいて、
前記第2制御手段は、
前記管理手段、前記遊技補助手段および前記遊技機に対する前記第1制御手段のアクセスを制限するアクセス制限手段、を備えている
ことを特徴とする遊技システムG8。
【1038】
遊技システムG8によれば、遊技システムG1からG7の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2制御手段は、前記管理手段、前記遊技補助手段および前記遊技機に対する前記第1制御手段のアクセスを制限するアクセス制限手段、を備えている。これにより、遊技ホール外に設けられた第1制御手段から、第2制御手段以外にアクセスできないように構成することで、遊技ホールにおけるセキュリティ性能を高め、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1039】
遊技システムG0からG8のいずれかにおいて、
前記遊技補助手段は、
前記遊技用記録媒体に記録される遊技者の個人情報を、前記管理手段でのみ復号化可能な暗号化情報として出力する暗号化手段、を備えている
ことを特徴とする遊技システムG9。
【1040】
遊技システムG9によれば、遊技システムG0からG8の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記遊技補助手段は、前記遊技用記録媒体に記録される遊技者の個人情報を、前記管理手段でのみ復号化可能な暗号化情報として出力する暗号化手段、を備えている。これにより、遊技ホール外からアクセス可能な第2制御手段に、遊技者の個人情報等を格納させないようにすることができるので、セキュリティ性能を高め、遊技システムの利便性を好適に高めることができる、という効果がある。
【1041】
なお、上記遊技機A0~A5のいずれかの構成に対して、上記遊技機B0~B6,C0~C6,C99,D0~D5,E0~E6,E99,F0~F5、及び、遊技システムG0~G9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。
【1042】
なお、上記遊技機B0~B6のいずれかの構成に対して、上記遊技機A0~A5,C0~C6,C99,D0~D5,E0~E6,E99,F0~F5、及び、遊技システムG0~G9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。
【1043】
なお、上記遊技機C0~C6,C99のいずれかの構成に対して、上記遊技機A0~A5,B0~B6,D0~D5,E0~E6,E99,F0~F5、及び、遊技システムG0~G9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。
【1044】
なお、上記遊技機D0~D5のいずれかの構成に対して、上記遊技機A0~A5,B0~B6,C0~C6,C99,E0~E6,E99,F0~F5、及び、遊技システムG0~G9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。
【1045】
なお、上記遊技機E0~E6又はE99のいずれかの構成に対して、上記遊技機A0~A5,B0~B6,C0~C6,C99,D0~D5,F0~F5、及び、遊技システムG0~G9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。
【1046】
なお、上記遊技機F0~F5のいずれかの構成に対して、上記遊技機A0~A5,B0~B6,C0~C6,C99,D0~D5,E0~E6,E99、及び、遊技システムG0~G9のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。
【1047】
なお、上記遊技システムG0~G9のいずれかの構成に対して、上記遊技機A0~A5,B0~B6,C0~C6,C99,D0~D5,E0~E6,E99,F0~F5のいずれか1にて限定した構成を適用してもよい。
【1048】
これらの場合、各構成を適用したことによるさらなる効果を奏することができる。
【1049】
遊技機A0からA5、B0からB6、C0からC6、C99、D0からD5、E0からE6、E99、F0からF5、及び、遊技システムG0からG9のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機X1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【1050】
遊技機A0からA5、B0からB6、C0からC6、C99、D0からD5、E0からE6、E99、F0からF5、及び、遊技システムG0からG9のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機X2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(大入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【1051】
遊技機A0からA5、B0からB6、C0からC6、C99、D0からD5、E0からE6、E99、F0からF5、及び、遊技システムG0からG9のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機X3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【符号の説明】
【1052】
10 パチンコ機(遊技機の一部)
17 上皿(貯留手段の一部)
42 クレジット移行ボタン(第1操作手段の一部)
43 カード返却ボタン(第3操作手段の一部)
51 発射ハンドル(第2操作手段の一部)
64 第1始動口(遊技価値付与手段の一部)
111 枠統括制御装置(第1出力手段の一部)
112a 球発射ユニット(遊技実行手段の一部、発射手段の一部)
112b 発射ソレノイド(第1実行手段の一部、第2実行手段の一部)
112c 球送りユニット(遊技実行手段の一部、第1実行手段の一部、送出手段の一部)
131 ファール球スイッチ(未到達検出手段の一部)
213a 発射許可フラグ(第1実行手段の一部、制限手段の一部)
213b クレジット記憶部(遊技価値記憶手段の一部、第1遊技価値記憶手段の一部)
213c 移行中記憶部(遊技価値記憶手段の一部、第2遊技価値記憶手段の一部)
213d 賞球バッファ(更新手段の一部)
213f 長押しフラグ(操作態様判別手段の一部)
213g 規定球数フラグ(制限手段の一部)
213i 残り球発射カウンタ(第2実行手段の一部、多動作実行手段の一部)
300 カードユニット(遊技補助手段の一部)
303 RAM(補助用記憶手段の一部)
400 ホールコンボックス(第2制御手段の一部)
500 ホールコンピュータ(管理手段の一部)
600 外部管理サーバ(第1制御手段の一部)
700 会員カード(遊技用記録媒体の一部)
1000 スロットマシン(遊技機の一部)
S1106 清算処理(出力手段の一部)
S1508 (制限手段の一部)
S1509 (出力中実行手段の一部)
S1704 移行処理(出力手段の一部)
S2016 受信信号処理(第2出力手段の一部)
S3003 信号受信処理(第1記憶手段の一部)
S3004 外部アクセス処理(認証手段の一部)
S3304 (第3出力手段の一部)
図1
図2
図3
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図55
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図59
図60
図61
【手続補正書】
【提出日】2025-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技関する各種遊技価値情報をそれぞれ記憶可能な遊技価値記憶手段と、
前記遊技価値記憶手段に記憶された前記各種遊技価値情報少なくとも一部を使用することにより、遊技を実行可能遊技実行手段と、
前記遊技価値記憶手段に記憶される前記各種遊技価値情報をそれぞれ更新可能な第1更新手段と、
前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段と、
前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記各種遊技価値情報をそれぞれ更新可能な第2更新手段と、を備えた遊技機において、
前記遊技価値記憶手段は、
少なくとも、前記各種遊技価値情報のうち、第1遊技価値情報を記憶可能な第1遊技価値記憶手段と、前記第1遊技価値情報と異なる第2遊技価値情報を記憶可能な第2遊技価値記憶手段と、を備え、
前記遊技機は、
前記遊技実行手段による遊技を制限可能な制限手段、を備え、
少なくとも、前記遊技実行手段によって遊技を実行している状態で前記第1更新手段によって前記各種遊技価値情報をそれぞれ更新し得る状況において、前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記第1遊技価値情報の値0よりも大きい所定範囲となる所定状況となった場合に、前記遊技実行手段による遊技の実行を前記制限手段によって制限し得るように構成される
ことを特徴とする遊技機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
上記例示したような遊技機等に対して、遊技者及び遊技ホールにとって適式となる遊技環境を構築する必要があり、この点について未だ改良の余地がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、遊技者及び遊技ホールにとって適式となる遊技環境を構築することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技関する各種遊技価値情報をそれぞれ記憶可能な遊技価値記憶手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶された前記各種遊技価値情報少なくとも一部を使用することにより、遊技を実行可能遊技実行手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記各種遊技価値情報をそれぞれ更新可能な第1更新手段と、前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段と、前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記各種遊技価値情報をそれぞれ更新可能な第2更新手段と、を備えた遊技機において、前記遊技価値記憶手段は、少なくとも、前記各種遊技価値情報のうち、第1遊技価値情報を記憶可能な第1遊技価値記憶手段と、前記第1遊技価値情報と異なる第2遊技価値情報を記憶可能な第2遊技価値記憶手段と、を備え、前記遊技機は、前記遊技実行手段による遊技を制限可能な制限手段、を備え、少なくとも、前記遊技実行手段によって遊技を実行している状態で前記第1更新手段によって前記各種遊技価値情報をそれぞれ更新し得る状況において、前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記第1遊技価値情報の値0よりも大きい所定範囲となる所定状況となった場合に、前記遊技実行手段による遊技の実行を前記制限手段によって制限し得るように構成される
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
請求項1記載の遊技機によれば、遊技関する各種遊技価値情報をそれぞれ記憶可能な遊技価値記憶手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶された前記各種遊技価値情報少なくとも一部を使用することにより、遊技を実行可能遊技実行手段と、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記各種遊技価値情報をそれぞれ更新可能な第1更新手段と、前記遊技実行手段による遊技により遊技者に遊技価値を付与可能な遊技価値付与手段と、前記遊技価値付与手段によって付与された前記遊技価値に基づいて、前記遊技価値記憶手段に記憶される前記各種遊技価値情報をそれぞれ更新可能な第2更新手段と、を備えた遊技機において、前記遊技価値記憶手段は、少なくとも、前記各種遊技価値情報のうち、第1遊技価値情報を記憶可能な第1遊技価値記憶手段と、前記第1遊技価値情報と異なる第2遊技価値情報を記憶可能な第2遊技価値記憶手段と、を備え、前記遊技機は、前記遊技実行手段による遊技を制限可能な制限手段、を備え、少なくとも、前記遊技実行手段によって遊技を実行している状態で前記第1更新手段によって前記各種遊技価値情報をそれぞれ更新し得る状況において、前記第1遊技価値記憶手段に記憶される前記第1遊技価値情報の値0よりも大きい所定範囲となる所定状況となった場合に、前記遊技実行手段による遊技の実行を前記制限手段によって制限し得るように構成される。これにより、遊技者及び遊技ホールにとって適式となる遊技環境を構築することができる、という効果がある。