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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001163
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】仕切り板取付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100605
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀政
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA04
3D022BA16
3D022BB01
3D022BC09
(57)【要約】
【課題】仕切り板の取付け作業の容易、迅速化を適切に図ることが可能な仕切り板取付け構造を提供する。
【解決手段】デッキボード4と、ロアバック部5と、仕切り板3と、を備えている、仕切り板取付け構造Aであって、デッキボード4の後端部40には、車両後方側に突出する後側突出部40aおよび非突出部40bが設けられ、かつデッキボード4が荷室10のフロア13上に敷設されている状態時において、非突出部40bとロアバック部5との相互間には、隙間領域Cを形成可能であり、仕切り板3の下部には、下方側に部分的に突出する下側突出部32が設けられ、仕切り板3の取付け態様として、下側突出部32が隙間領域Cに差し込まれて位置規制が図られたデッキボード利用取付け態様を設定可能である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部の荷室のフロア上に敷設されるデッキボードと、
前記フロアの後部側に設けられた上向き起立壁状であり、かつ前記車両のバックドア用の開口部の下側周縁部を形成するロアバック部と、
前記荷室のうち、前記ロアバック部よりも車両前方側に配され、かつ前記デッキボードの上側において上下高さ方向に起立する取付け態様に設定される仕切り板と、
を備えている、仕切り板取付け構造であって、
前記デッキボードの後端部には、車両後方側に突出する後側突出部およびこの後側突出部よりも車両前方側に位置する非突出部が設けられ、かつ前記デッキボードが前記フロア上に敷設されている状態時において、前記非突出部と前記ロアバック部との相互間には、隙間領域を形成可能であり、
前記仕切り板の下部には、下方側に部分的に突出する下側突出部が設けられ、
前記仕切り板の取付け態様として、前記下側突出部が前記隙間領域に差し込まれていることにより前記仕切り板の下部の位置規制が図られたデッキボード利用取付け態様を、設定可能な構成とされていることを特徴とする、仕切り板取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両に適用される仕切り板取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
仕切り板取付け構造の具体例として、特許文献1~3に記載された構造がある。
この構造においては、たとえば略矩形のプレート状の仕切り板と、この仕切り板を支持する複数のバンドと、が具備されている。複数のバンドのそれぞれの一端部は、仕切り板の四隅部分のそれぞれに取付けられ、かつ他端部は、荷室の適当な箇所にフック部材などを用いて取付けられている。このことにより、仕切り板は、複数のバンドにより支持され、荷室の所定箇所に上下高さ方向に起立した姿勢に設定されている。仕切り板は、たとえば荷室に載せられた荷物の移動を抑制し、荷物がリヤシートに衝突すること、あるいはバックドアを開けた際に荷物が車外に落ちることを阻止するラゲージフェンスとして役立つ。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、仕切り板の取付けは、仕切り板の四隅部分のそれぞれにバンドを連結して行なわれるため、その作業は面倒であり、比較的長い時間を要し易い。ユーザとしては、仕切り板を簡易な作業によって短時間で取付けたいという要望があるが、前記従来技術においては、そのような要望に的確に応えることは難しい。
また、車両に荷物を搭載するときの態様として、荷室のフロア上にデッキボードを敷設しておき、このデッキボード上に荷物を載せる場合がある。このような場合、仕切り板の取付け高さを、デッキボードとの関係において比較的低くし(仕切り板がデッキボードの上方において、宙に浮いた状態にならないようにし)、車両の揺れなどに起因してデッキボード上の荷物が仕切り板の下を潜り抜けないように設定できることが要望される。これに対し、前記従来技術においては、そのような要望に対しても簡易かつ適切に応えることは難しいものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-108790号公報
【特許文献2】特開2009-280197号公報
【特許文献3】実開昭63-144330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、仕切り板の取付け作業の容易、迅速化を適切に図ることが可能な仕切り板取付け構造を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される仕切り板取付け構造は、車両後部の荷室のフロア上に敷設されるデッキボードと、前記フロアの後部側に設けられた上向き起立壁状であり、かつ前記車両のバックドア用の開口部の下側周縁部を形成するロアバック部と、前記荷室のうち、前
記ロアバック部よりも車両前方側に配され、かつ前記デッキボードの上側において上下高さ方向に起立する取付け態様に設定される仕切り板と、を備えている、仕切り板取付け構造であって、前記デッキボードの後端部には、車両後方側に突出する後側突出部およびこの後側突出部よりも車両前方側に位置する非突出部が設けられ、かつ前記デッキボードが前記フロア上に敷設されている状態時において、前記非突出部と前記ロアバック部との相互間には、隙間領域を形成可能であり、前記仕切り板の下部には、下方側に部分的に突出する下側突出部が設けられ、前記仕切り板の取付け態様として、前記下側突出部が前記隙間領域に差し込まれていることにより前記仕切り板の下部の位置規制が図られたデッキボード利用取付け態様を、設定可能な構成とされていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、仕切り板を、所定のデッキボード利用取付け態様に設定することにより、荷室に仕切り板を適切に取付けることが可能であり、次のような効果が得られる。
すなわち、仕切り板を前記したデッキボード利用取付け態様に設定するには、仕切り板の下部の下側突出部を、デッキボードの後端部の非突出部とロアバック部との相互間に形成されている隙間領域に差し込めばよい。前記従来技術とは異なり、仕切り板の下部をバンドで支持する必要を無くすことができる。さらには、バンドを一切用いることなく、仕切り板を起立状態に支持させることも可能である。したがって、仕切り板の取付け作業の容易、迅速化を適切に図ることができ、ユーザにとって便利である。
また、仕切り板を前記したデッキボード利用取付け態様に設定した際には、仕切り板のうち、前記隙間領域に差し込まれている部分よりも上側の領域が、デッキボードの上面高さの位置からその上方に起立した態様となる。つまり、デッキボードの上方において、仕切り板が宙に浮いた配置にならないようにすることが可能である。このため、車両の揺れなどに起因して、デッキボード上の荷物が仕切り板の下を潜り抜けないように設定することも簡易かつ適切に達成可能である。
さらに、仕切り板を前記したデッキボード利用取付け態様に設定した場合には、仕切り板の下部の位置決め固定を適切に図ることが可能であり、仕切り板自体の不当な位置ずれなどを的確に抑制可能である。バンドを用いて仕切り板を支持させた場合には、車両の走行時の振動などに起因して仕切り板が揺れ易くなるが、このようなこともなくし、または少なくすることが可能である。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る仕切り板取付け構造の一例を示す一部破断要部概略斜視図である。
図2】(a)は、図1の矢視II(車両後方視)の要部概略図であり、(b)は、(a)に示された仕切り板およびデッキボードの車両後方視の要部概略図であり、(c)は、(b)の分解図である。
図3図2(a)のIII-III要部断面図である。
図4図2(a)のIV-IV要部断面図である。
図5図1の分解図である。
図6】(a)は、図1におけるデッキボードの敷設状態を示す一部破断要部概略斜視図であり、(b)は、(a)の分解図である。
図7図6(a)の要部概略平面図であり、(b)は、(a)の分解図である。
図8】(a)は、図1図7に示された実施形態のデッキボードの平面図であり、(b)は、その底面図であり、(c)は、(a)のVIIIc-VIIIc断面図であり、(d)は、(a)のVIIId-VIIId断面図である。
図9】仕切り板の取付け態様の他の例を示す車両後方視の要部概略図である。
図10】デッキボードの敷設状態の他の例を示す要部概略平面図である。
図11】本発明の他の例を示す要部概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1図5に示す仕切り板取付け構造Aは、自動車などの車両1内に搭載されたリヤシート2の後側に、仕切り板3を上下高さ方向に起立した姿勢で取付けるための構造である。ただし、デッキボード4も備えている。このデッキボード4については、図7図10においては網点模様を付している。
【0014】
リヤシート2の後方には、荷室10が設けられており、図3の仮想線で示すバックドア11によって開閉されるバックドア用の開口部12から荷室10内への荷物の積み降ろしが可能とされている。仕切り板3は、荷室10に載せられた荷物の移動を規制するためのものである。なお、リヤシート2の図示は適宜省略しており、図中における符号20は、リヤシート2の取付け用台座部を示している。フロア13には、堀込み部13aが設けられ、この部分には、樹脂製などの収容用ケース13bが適宜配される。
【0015】
荷室10のフロア13の後部には、バックドア用の開口部12の下側周縁部を形成する上向き起立壁状のロアバック部5が設けられている。このロアバック部5は、図3および図4によく表われているように、ロアバックパネル51とロアバックトリム50とが組み合わされた構成である。ロアバックパネル51は、たとえば金属製パネルであり、パネルインナ51aおよびパネルアウタ51bを組み合わせて接合されている。ロアバックトリム50は、たとえば樹脂製であり、ロアバックパネル51の上側や前面側(荷室10側)を覆うように設けられている。
【0016】
仕切り板3は、たとえば樹脂製プレートであり、正面視の基本形状は、略矩形状である。ただし、この仕切り板3は、軽量用や意匠用の複数の孔部30に加え、仕切り板3の上下左右の四隅部分近傍に設けられた複数の孔部31、および後述する左右一対の下側突出部32ならびにそれらの相互間に位置する非下側突出部33を備えている。
複数の孔部31は、バンド挿通用の孔部である。本実施形態においては、仕切り板3の取付け態様として、たとえば図9に示すような、複数(計4つ)のバンド6を利用して仕切り板3を起立姿勢に取付けたバンド利用取付け態様を設定可能である。バンド6の詳細は省略するが、たとえば可撓性を有する適当な帯状のバンド本体に、長さ調整用のバックルなどが適宜取付けられた構成である。図9に示す態様においては、仕切り板3の複数の孔部31に、バンド6の一端側が挿通係止されている。バンド6の他端側は、仕切り板3よりも車幅方向外方側に位置するサイドパネルなどのパネル材19に取付けられたバンド用止着部68に止着されている。
【0017】
デッキボード4は、荷物などを載せるためのフラットな面を荷室10のフロア13上に設けるためのものであり、たとえば合成樹脂製である。このデッキボード4は、図5図8などに記載されているように、平面視における全体の基本形状は矩形であるものの、このデッキボード4の後端部40には、車両後方側に部分的に突出する後側突出部40aが設けられている。また、後端部40のうち、後側突出部40aの左右両側(車幅方向における左右両側)には、後側突出部40aよりも車両前方側に位置する一対の非突出部40bが設けられている。後側突出部40aは、デッキボード4の後端部40の他の部分よりも下方側に大きく突出し、かつ車幅方向に延びる縦壁部40a’を有している。
【0018】
デッキボード4は、車幅方向に直線状に延びる折り曲げ可能部42a,42bをさらに有している。折り曲げ可能部42aは、図8(d)の矢印Naに示すように、デッキボー
ド4の前部43を屈曲可能とする部位である。折り曲げ可能部42bは、同図矢印Nbに示すように、デッキボード4のうち、折り曲げ可能部42bよりも後側領域を、前側領域に相対させて大きく上昇させることを可能とする部位である。
その他、デッキボード4の左右両側部の下面側には、このデッキボード4をフロア13に敷設する際の位置決め固定を図るための複数の凹部44a,44bや、複数の凸部45が設けられている。
【0019】
デッキボード4がフロア13上に敷設される態様として、本実施形態においては、次に述べるような第1および第2の敷設状態が可能とされている。
第1の敷設状態は、図9および図10、ならびに図3の仮想線で示すように、デッキボード4の後側突出部40aが、ロアバック部5上に載せられた状態である。なお、図9は、デッキボード4を第1の敷設状態に設定した上で、仕切り板3については、バンド利用取付け態様に設定された状態を示している。
【0020】
デッキボード4の前記した第1の敷設状態によれば、たとえばデッキボード4の全体をロアバック部5よりも車両前方側に配置させる場合と比較して、デッキボード4の上面部のサイズを大きくすることができる。これは、荷物の搭載可能量を大きくし、ユーザの使い勝手をよくする上で好ましい。
また、ロアバック部5の上面部には、バックドア11を係止させるためのストライカ18が上向きに突設され、かつその周辺部は、上向き開口のストライカ用凹状部57とされている。好ましくは、デッキボードの縦壁部40a’(後側突出部40a)の下側に、ストライカ用凹状部57の少なくとも一部が存在する構成とされる。このような構成によれば、ストライカ用凹状部57にユーザが手指を差し入れることにより、デッキボード4の縦壁部40a’をその下方側から触り、持ち上げることが可能となり、デッキボード4に把手部を別途設ける必要をなくすことが可能である。
【0021】
第2の敷設状態は、図1図4に示すように、前記した第1の敷設状態と比較して、デッキボード4の高さを低くし、かつ車両前方側に変位させた敷設状態である。より具体的には、デッキボード4の後側突出部40aをロアバック部5の前面部に対向接近または対向接触するようにして、デッキボード4の全体をロアバック部5よりも車両前方側に配置させた状態である。その際、デッキボード4の前部は、フロア13上に設けられたガイド部材17に沿って、折り曲げ可能部42aの位置から斜めに屈曲した状態とされる。
【0022】
ロアバック部5の前面部(本実施形態ではロアバックトリム50の前面部)には、車両前方側に部分的に膨出する左右一対の膨出部55(55a,55b)が設けられている。デッキボード4の第2の敷設状態時においては、デッキボード4の後端部40の一対の非突出部40bと、一対の膨出部55との相互間に車幅方向に延びる一対の隙間領域Cが形成される。
後述するように、この隙間領域Cは、仕切り板3の取付け(デッキボード利用取付け態様の設定)に利用される。
【0023】
荷室10の側面部16には、デッキボード4を前記した第1および第2の敷設状態に設定可能とする第1および第2の支持部8A,8Bが設けられている。これら第1および第2の支持部8A,8Bのいずれかの上に、デッキボード4の左右両側縁部が載せられることにより、デッキボード4の敷設がなされる。また、デッキボード4の凹部44a,44bには、第1および第2の支持部8A,8Bに設けられている位置決め用の凸部80a,80bが嵌入し、デッキボード4の車両前後方向の位置決め固定が図られる。デッキボード4の車幅方向の位置決めは、デッキボード4の複数の凸部45が第1および第2の支持部8A,8Bの側面部に対し、車幅方向において当接することにより図られる。
【0024】
本実施形態においては、仕切り板3の取付け態様として、デッキボード利用取付け態様を設定可能である。
このデッキボード利用取付け態様は、デッキボード4が前記した第2の敷設状態にある際に、仕切り板3の下部の一対の下側突出部32を、前記した隙間領域Cにその上側から差し込んだ取付け態様である。この取付け態様においては、下側突出部32は、デッキボード4の後端部40の一対の非突出部40bとロアバック部5の前面部の一対の膨出部55との相互間に挟まれていることにより、車両前後方向の位置規制が図られている。また、一対の下側突出部32は、デッキボード4の後側突出部40aを車幅方向において挟むため、車幅方向の位置規制も図られる。さらに、仕切り板3の下部の非下側突出部32は、デッキボード4の上面上に載せられており、仕切り板3の下降も阻止されている。
【0025】
図2(a)においては、仕切り板3が、デッキボード利用取付け態様に設定されているが、仕切り板3の上部は、左右2つのバンド6を利用して支持されている。このことにより、仕切り板3の安定性を高めることができる。ただし、後述するように、バンド6による支持を省略することも可能である。
なお、左右2つのバンド6を利用する場合、図2(a)に示すように、各バンド6が仕切り板3を下向きに押圧する力Fを発揮するように設定することが好ましい。これは、バンド用止着部68の高さを孔部31よりも低くすることにより実現できる。このような構成によれば、仕切り板3の下部がデッキボード4の上面部に押さえ付けられることとなり、仕切り板3を安定させることが可能である。
また、図7(a)において、左右一対の隙間領域Cは、好ましくは、仕切り板3を湾曲させ得る構成とされている。より具体的には、一対の隙間領域Cのそれぞれは、平面視において、車幅方向に対して若干の角度だけ傾斜した方向に延びている。このため、それら一対の隙間領域Cに仕切り板3の左右一対の下側突出部32を差し込むと、同図仮想線で示すように、仕切り板3は、平面視において適当な曲率半径Raで湾曲した形状となる。このような構成によれば、仕切り板3の建付け性が向上し、仕切り板3の取付け安定性を一層高めることが可能である。
【0026】
さらに好ましくは、図2(b),(c)の一部拡大図に示すように、仕切り板3の一対の下側突出部32の相互間に形成されている凹部34の側壁部35と、これに対応するデッキボード4の側壁部46に、互いに係脱可能な係合部35a,46aを設けた構成とされる。係合部35a,46aは、たとえば適当な半径Rで窪んだ係合部(係合用凹部)35aと、これに対応した形状の係合部(係合用凸部)46aとを組み合わせた構成である。このような構成によれば、仕切り板3がデッキボード4の上側に簡単に抜け外れないようにすることができる。
【0027】
デッキボード4が前記した第2の敷設状態に設定された場合には、一対の膨出部55(55a,55b)の少なくとも一方と、デッキボード4の後側突出部40aとの相互間に、デッキボード操作用の開口部98が形成されるように構成されている。本実施形態においては、膨出部55a,55bのうち、膨出部55a側のみに開口部98が形成されているが、これは膨出部55aの車幅方向の長さを、膨出部55bのそれよりも短くすることにより実現されている(図6も参照)。
【0028】
次に、前記した仕切り板取付け構造Aの作用について説明する。
【0029】
まず、仕切り板3の取付け態様として、図9に示したバンド利用取付け態様に加え、図1図4に示したデッキボード利用取付け態様に設定可能である。ユーザとしては、荷物の種類や量などに応じて、前記した2つの取付け態様のいずれか好ましいと思われる方を適宜に選択できるため、便利である。
【0030】
仕切り板3をデッキボード利用取付け態様に設定する際には、仕切り板3の下側突出部32を、隙間領域Cに差し込めばよく、この作業は容易である。デッキボード利用取付け態様においては、図9に示したバンド利用取付け態様とは異なり、4本のバンド6を用いる必要はない。したがって、仕切り板3に多くのバンド6を取付けるための作業が簡略化される。図2(a)には、仕切り板3の上部に2本のバンド6を連結した構成を示したが、これら2本のバンド6を省略することも可能である。このことにより、仕切り板3の取付け作業を一層容易なものとすることができる。
【0031】
仕切り板3のデッキボード利用取付け態様においては、既述したように、仕切り板3の下側突出部32が、隙間領域Cに差し込まれて、車両前後方向および車幅方向の位置規制が的確に図られる。仕切り板3は下降しないようにデッキボード4に適切に支持された状態とすることも可能である。このようなことから、仕切り板3を安定した起立姿勢状態で適切に固定保持させることが可能となり、たとえば仕切り板3が荷物に押されて容易に倒れるような不具合を生じないようにすることができる。図2(b),(c)に示した係合部35a,46aを設ければ、仕切り板3をより安定させ得ることとなる。
また、仕切り板3は、デッキボード4の上方において宙に浮いた配置にならないようにすることが可能である。このため、車両1の揺れなどに起因して、デッキボード4上の荷物が仕切り板3の下を潜り抜けないようにすることも適切に達成される。
【0032】
図11は、本発明の他の例を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0033】
図11に示す実施形態においては、デッキボード4の後端部に、左右一対の後側突出部40aが設けられており、それらの相互間に非突出部40bおよび切欠き状の凹部40cが設けられている。これに対し、仕切り板3の下部には、下側突出部32が1つ設けられ、この下側突出部32の左右両側が非下側突出部33とされている。下側突出部32は、デッキボード4の凹部40cの位置に差し込まれる。
このような構成であっても、仕切り板3を本発明が意図するデッキボード利用取付け態様に設定可能である。
【0034】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る仕切り板取付け構造の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0035】
図11を含む上述の実施形態から理解されるように、デッキボードの後側突出部、非突出部や、仕切り板の下側突出部などの具体的な形状、サイズ、配置、数などは種々に変更可能である。
上述の実施形態においては、仕切り板の下部突出部が差し込まれる隙間領域が、デッキボードの後端部の非突出部とロアバック部のロアバックトリムとの相互間に形成されているが、本発明はこれに限定されない。前記隙間領域を形成する部材として、ロアバックトリムに代えて、たとえばロアバックパネルが利用されていてもよい。
デッキボードおよび仕切り板の各部の具体的な形状、サイズ、材質なども上述した実施形態の内容に限定されない。
【符号の説明】
【0036】
A 仕切り板取付け構造
C 隙間領域
10 荷室
12 バックドア用の開口部
13 フロア
3 仕切り板
32 下側突出部
4 デッキボード
40 後端部(デッキボードの)
40a 後側突出部
40b 非突出部
5 ロアバック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11