(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011631
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】電力伝送制御装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250117BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20250117BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20250117BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20250117BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20250117BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20250117BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20250117BHJP
【FI】
G06Q50/10
H02J7/00 P
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/66
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113855
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植木 貴大
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BC24
5H125BE01
5H125CC04
5H125CC06
5H125CD10
5H125EE51
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】複数の契約証明書情報を有する電動車両と電力スタンドとの間における電力伝送が実行不可になる場合が生じるのを抑制することが可能な電力伝送制御装置を提供する。
【解決手段】充電制御装置100(電力伝送制御装置)は、充電(電力伝送)に関する複数のデジタル証明書154(契約証明書情報)を記録する記憶装置153(記録部)を備える。また、充電制御装置100は、電動車両200との間において充電が実行される充電スタンド300(電力スタンド)に関する所定の情報(識別情報または履歴情報)に基づいて、複数のデジタル証明書(153a、153b)のうち充電スタンド300に適合するデジタル証明書を選択するプロセッサ151(選択部)(取得部)を備える。通信装置140(取得部)(送信部)は、選択されたデジタル証明書を充電スタンド300に送信する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の二次電池の充電および放電の少なくとも一方を含む電力伝送を制御する電力伝送制御装置であって、
前記電力伝送に関する複数の契約証明書情報を記録する記録部と、
前記電動車両との間において前記電力伝送が実行される電力スタンドに関する所定の情報を取得する取得部と、
取得された前記所定の情報に基づいて、前記複数の契約証明書情報のうち前記電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する選択部と、
選択された契約証明書情報を前記電力スタンドに送信する送信部と、を備える、電力伝送制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記電力スタンドが目的地に設定された場合に、前記所定の情報として、前記目的地に設定された前記電力スタンドの識別情報を取得し、
前記選択部は、前記識別情報に基づいて、前記目的地に設定された前記電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する、請求項1に記載の電力伝送制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記電動車両と前記電力スタンドとの間の距離が所定距離以内になった場合に、前記所定の情報として、前記所定距離以内に位置する前記電力スタンドの識別情報を取得し、
前記選択部は、前記識別情報に基づいて、前記所定距離以内に位置する前記電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する、請求項1に記載の電力伝送制御装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記電動車両と前記電力スタンドとの間の距離が所定距離以内になった場合に、前記所定の情報として、前記所定距離以内に位置する前記電力スタンドにおける過去の前記電力伝送の履歴情報を取得し、
前記選択部は、前記履歴情報に基づいて、前記所定距離以内に位置する前記電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する、請求項1に記載の電力伝送制御装置。
【請求項5】
前記選択部は、
前記電力スタンドが目的地に設定されていない状況下において、前記電動車両と前記電力スタンドとの間の距離が所定距離以内であり、かつ、前記所定距離以内に位置する前記電力スタンドの識別情報が前記取得部により取得可能である場合に、前記識別情報に基づいて前記所定距離以内に位置する前記電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択し、
前記電力スタンドが前記目的地に設定されていない状況下において、前記電動車両と前記電力スタンドとの間の距離が前記所定距離以内であり、かつ、前記識別情報が前記取得部により取得不可能な場合に、前記所定距離以内に位置する前記電力スタンドにおける過去の前記電力伝送の履歴情報を用いて、前記所定距離以内に位置する前記電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電力伝送制御装置。
【請求項6】
前記識別情報は、前記電力スタンドが提携する電力会社の情報を含む、請求項2または3に記載の電力伝送制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力伝送制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-061185号公報(特許文献1)には、充電機器に対応づけられた識別情報と、充電認証を行うサーバ装置のアドレス情報とを含む充電側情報を取得する車載処理部を備える車両が開示されている。車両により充電側情報が取得されることを契機に、車両側認証部(ユーザ端末)とサーバ装置との接続が確立されて認証処理が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、車両に格納された複数の契約証明書情報のうち適切な契約証明書情報が車両から充電機器に送信されることによって、車両と充電機器との間における充電処理が実行される場合がある。すなわち、不適切な契約証明書情報が車両(電動車両)から充電機器(電力スタンド)に送信された場合、充電処理(電力伝送)を実行することができない。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の契約証明書情報を有する電動車両と電力スタンドとの間における電力伝送が実行不可になる場合が生じるのを抑制することが可能な電力伝送制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の局面に係る電力伝送制御装置は、電動車両の二次電池の充電および放電の少なくとも一方を含む電力伝送を制御する電力伝送制御装置であって、電力伝送に関する複数の契約証明書情報を記録する記録部と、電動車両との間において電力伝送が実行される電力スタンドに関する所定の情報を取得する取得部と、取得された所定の情報に基づいて、複数の契約証明書情報のうち電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する選択部と、選択された契約証明書情報を電力スタンドに送信する送信部と、を備える。
【0007】
本開示の一の局面に係る電力伝送制御装置では、上記のように、複数の契約証明書情報のうち電力スタンドに適合する契約証明書情報が選択されるとともに、選択された契約証明書情報が電力スタンドに送信される。これにより、電力スタンドに不適合な契約証明書情報が電力スタンドに送信されるのを抑制することができる。その結果、複数の契約証明書情報を有する電動車両と電力スタンドとの間における電力伝送が実行不可になる場合が生じるのを抑制することができる。
【0008】
上記一の局面に係る電力伝送制御装置において、好ましくは、取得部は、電力スタンドが目的地に設定された場合に、所定の情報として、目的地に設定された電力スタンドの識別情報を取得する。選択部は、上記識別情報に基づいて、目的地に設定された電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する。このように構成すれば、目的地に設定された電力スタンドにおいて電力伝送が実行不可になる場合が生じるのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面に係る電力伝送制御装置において、好ましくは、取得部は、電動車両と電力スタンドとの間の距離が所定距離以内になった場合に、所定の情報として、所定距離以内に位置する電力スタンドの識別情報を取得する。選択部は、上記識別情報に基づいて、所定距離以内に位置する電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する。このように構成すれば、所定距離以内に位置する電力スタンドにおいて電力伝送が実行不可になる場合が生じるのを抑制することができる。
【0010】
上記一の局面に係る電力伝送制御装置において、好ましくは、取得部は、電動車両と電力スタンドとの間の距離が所定距離以内になった場合に、所定の情報として、所定距離以内に位置する電力スタンドにおける過去の電力伝送の履歴情報を取得する。選択部は、履歴情報に基づいて、所定距離以内に位置する電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する。このように構成すれば、電力スタンドの識別情報がなくても、上記履歴情報を用いることにより、所定距離以内に位置する電力スタンドにおいて電力伝送が実行不可になる場合が生じるのを抑制することができる。
【0011】
上記一の局面に係る電力伝送制御装置において、好ましくは、選択部は、電力スタンドが目的地に設定されていない状況下において、電動車両と電力スタンドとの間の距離が所定距離以内であり、かつ、所定距離以内に位置する電力スタンドの識別情報が取得部により取得可能である場合に、識別情報に基づいて所定距離以内に位置する電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する。また、選択部は、電力スタンドが目的地に設定されていない状況下において、電動車両と電力スタンドとの間の距離が所定距離以内であり、かつ、識別情報が取得部により取得不可能な場合に、所定距離以内に位置する電力スタンドにおける過去の電力伝送の履歴情報を用いて、所定距離以内に位置する電力スタンドに適合する契約証明書情報を選択する。このように構成すれば、電力スタンドが目的地に設定されていない場合でも、識別情報または履歴情報を用いることにより、所定距離以内に位置する電力スタンドにおいて電力伝送が実行不可になる場合が生じるのを抑制することができる。
【0012】
上記識別情報に基づいて契約証明書情報を選択する電力伝送制御装置において、好ましくは、識別情報は、電力スタンドが提携する電力会社の情報を含む。このように構成すれば、電力スタンドが提携する電力会社に適合する契約証明書情報を電力スタンドに送信することができる。
【0013】
本開示によれば、複数の契約証明書情報を有する電動車両と電力スタンドとの間における電力伝送が実行不可になる場合が生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態による充電制御装置を搭載する電動車両と、充電スタンドと、サーバとを示す図である。
【
図2】デジタル証明書の内容の一例を示す図である。
【
図4】一実施形態による充電システムの制御を示すシーケンス図である。
【
図5】一実施形態によるHMI装置の画面を示す第1図である。
【
図6】一実施形態によるHMI装置の画面を示す第2図である。
【
図7】
図4のステップS30の詳細を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る充電システム1の全体構成を概略的に示す図である。充電システム1は、電動車両200と、充電スタンド300と、サーバ400とを備える。なお、充電スタンド300は、本開示の「電力スタンド」の一例である。
【0017】
電動車両200は、充電スタンド300とPnC充電(車両に充電コネクタが接続されたことに応じてユーザの認証が行われる充電)を行うように構成されている。
【0018】
サーバ400は、電動車両200と充電スタンド300との間における外部充電(PnC充電)を管理する。サーバ400は、電動車両200および充電スタンド300の各々と通信する。なお、外部充電(PnC充電)は、本開示の「電力伝送」の一例である。
【0019】
電動車両200は、走行用の電力を蓄電するバッテリ210を備える。電動車両200は、バッテリ210に蓄えられた電力を用いて走行可能に構成される。本実施形態において、電動車両200は、エンジン(内燃機関)を備えない電気自動車(BEV)である。なお、電動車両200が、エンジンを備えたハイブリッド車両(HEV)、あるいは、プラグインハイブリッド車両(PHEV)であってもよい。なお、バッテリ210は、本開示の「二次電池」の一例である。
【0020】
電動車両200は、走行駆動部110と、HMI(Human Machine Interface)装置120と、監視モジュール130と、通信装置140と、制御装置(ECU:Electronic Control Unit)150と、インレット160と、GPSモジュール170と、駆動輪Wとをさらに備える。
【0021】
また、電動車両200には、バッテリ210の充電を制御する充電制御装置100が搭載されている。充電制御装置100は、監視モジュール130、通信装置140、および、ECU150を含む。なお、充電制御装置100は、本開示の「電力伝送制御装置」の一例である。
【0022】
走行駆動部110は、PCU(Power Control Unit)とMG(Motor Generator)とを含み(図示せず)、バッテリ210に蓄えられた電力を用いて電動車両200を走行させるように構成される。
【0023】
HMI装置120は、入力装置および表示装置を含む。HMI装置120は、タッチパネルディスプレイを含んでもよい。
【0024】
監視モジュール130は、バッテリ210の状態(たとえば、電圧、電流、および温度)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU150へ出力する。監視モジュール130は、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能、SOH(State of Health)推定機能、セル電圧の均等化機能、診断機能、および通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。
【0025】
通信装置140は、充電スタンド300およびサーバ400の各々との間で通信を行う。通信装置140は、DCM(Data Communication Module)を含んでいてもよいし、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。なお、通信装置140は、本開示の「取得部」および「送信部」の一例である。
【0026】
ECU150は、バッテリ210の充電制御および放電制御を行うように構成される。ECU150は、プロセッサ151と、RAM(Random Access Memory)152と、記憶装置153とを含む。なお、プロセッサ151は、本開示の「選択部」および「取得部」の一例である。また、記憶装置153は、本開示の「記録部」の一例である。
【0027】
ECU150はコンピュータであってもよい。プロセッサ151はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。
【0028】
記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、ECU150における各種制御が実行される。
【0029】
記憶装置153には、デジタル証明書154が格納されている。デジタル証明書154は、デジタル証明書154aとデジタル証明書154bとを含む。ECU150(プロセッサ151)は、デジタル証明書154を記憶装置153に書き込む処理を実行可能である。ここで、デジタル証明書154には、たとえば、OEM(Original Equipment Manufacture)証明書や充電契約証明書(Contract Certificate)などがある。なお、充電契約証明書は、充電サービスを提供するモビリティ事業者(Mobility Operator;MO)(電力会社)と、電動車両200のユーザとの間で締結された契約内容を証明するものである。なお、デジタル証明書(154、154a、154b)は、本開示の「契約証明書情報」の一例である。
【0030】
図2に示す例では、デジタル証明書154には、時刻と充電電力量とにより定まる充電料金の情報が含まれている。
図2において、デジタル証明書154aに含まれる情報の一例を示す。デジタル証明書154aには、午前0時から午前1時までは充電電力量の上限が15kWであり、かつ、充電料金が0.25EUR/kWhであることを示す情報が含まれている。また、デジタル証明書154aには、午前1時から午前2時までの間において、充電電力量が10kWまでは充電料金が0.30EUR/kWhであり、充電電力量が10kWから20kWhまでは充電料金が0.20EUR/kWhであり、充電電力量が20kWから30kWhまでは充電料金が0.10EUR/kWhであることを示す情報が含まれている。なお、デジタル証明書154aに含まれる情報は
図2に示す例に限られない。
【0031】
また、デジタル証明書154には、
図2の料金体系と関連付けられる情報が含まれる。上記情報は、たとえば、電動車両200の車両情報(VIN)、電動車両200のユーザの個人情報、および、充電料金の支払いに用いられるカード情報等を含む。また、デジタル証明書154には、有効期限が設定されている。ECU150は、デジタル証明書154により認証された充電を制御する。デジタル証明書154の有効期限が切れている場合は、デジタル証明書154の更新が必要となる。
【0032】
また、デジタル証明書154には、発行元である電力会社の情報が含まれている。具体的には、デジタル証明書154aには、電力会社310A(
図3参照)から発行されていることを示す情報が含まれている。また、デジタル証明書154bには、電力会社310B(
図3参照)から発行されていることを示す情報が含まれている。本実施形態では、充電スタンド300Aおよび充電スタンド300B(共に
図3参照)は、それぞれ、電力会社310Aおよび電力会社310Bと提携しているとする。なお、充電スタンド300Aおよび充電スタンド300Bの各々は、本開示の「電力スタンド」の一例である。
【0033】
プロセッサ151は、外部充電において使用するデジタル証明書154を切り替える処理を実行可能である。具体的には、プロセッサ151は、電動車両200が外部充電を行う際に、使用するデジタル証明書154を記憶装置153から読み出す。電動車両200は、使用するデジタル証明書154としてたとえばデジタル証明書154aが読み出されている場合に、通信装置140を通じてデジタル証明書154aを充電スタンド300に送信する。充電スタンド300に送信されたデジタル証明書154が充電スタンド300と適合している場合に、電動車両200と充電スタンド300との間において外部充電が実行される。なお、充電スタンド300Aには、充電スタンド300Aと提携する電力会社310Aが発行するデジタル証明書154aが適合する。充電スタンド300Bには、充電スタンド300Bと提携する電力会社310Bが発行するデジタル証明書154bが適合する。
【0034】
インレット160は、充電スタンド300の充電コネクタ301が挿入可能に構成されている。充電コネクタ301は、充電スタンド300に取り付けられている充電ケーブル302の先端に設けられている。電動車両200は、インレット160に充電コネクタ301が挿入されることにより、充電スタンド300に電気的に接続される。これにより、充電スタンド300と電動車両200との間で電力の授受を行うことが可能になる。
【0035】
GPSモジュール170は、複数の人工衛星からの信号に基づいて、電動車両200の現在位置を示す情報(GPS情報)を取得し、GPS情報をプロセッサ151に出力する。なお、電動車両200は、GPSモジュール170に代えてまたは加えてビーコン受信機(図示せず)を含んでもよい。
【0036】
ここで、従来のシステムでは、不適切なデジタル証明書154が車両から電力スタンドに送信される場合がある。この場合、充電処理を実行することができない。
【0037】
本実施形態では、電動車両200の通信装置140は、充電スタンド300に関する識別情報を通信により取得する。上記識別情報とは、充電スタンド300が提携する電力会社の情報を含む。また、プロセッサ151は、充電スタンド300における過去の外部充電(PnC充電)の履歴情報を取得する。上記履歴情報は、記憶装置153に格納されている。なお、電力会社の情報(識別情報)および履歴情報の各々は、本開示の「所定の情報」の一例である。
【0038】
プロセッサ151は、通信装置140によって取得された電力会社の情報(以下、識別情報とのみ記載する場合がある)、または、記憶装置153から取得された上記履歴情報に基づいて、記憶装置153に記録されている複数のデジタル証明書154のうち(外部充電が行われる)充電スタンド300に適合するデジタル証明書154を選択する。そして、通信装置140は、プロセッサ151により選択されたデジタル証明書154を、外部充電が行われる充電スタンド300に送信する。
【0039】
これにより、充電スタンド300に適合するデジタル証明書154を容易に充電スタンド300に送信することができる。これにより、外部充電を容易に実行することができる。具体的な制御を、
図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0040】
<充電システムのシーケンス制御>
図4は、電動車両200、充電スタンド300、および、サーバ400からなる充電システム1のシーケンス制御を示すシーケンス図である。
【0041】
ステップS1において、電動車両200のECU150(プロセッサ151)は、充電スタンド300が目的地に設定されているか否かを判定する。充電スタンド300が目的地に設定されている場合(S1においてYes)、処理はステップS4に進む。充電スタンド300が目的地に設定されていない場合(S1においてNo)、処理はステップS2に進む。
【0042】
なお、充電スタンド300を検索する処理がHMI装置120において行われた場合、HMI装置120の画面121(
図5参照)に、電動車両200の周辺の充電スタンド300のリストが示される。画面121に表示されている充電スタンド300のうち1つが選択された場合、選択された充電スタンド300が目的地に設定されてもよい。
【0043】
ステップS2において、プロセッサ151は、充電スタンド300が電動車両200の所定距離以内(たとえば100m以内)にあるか否かを判定する。充電スタンド300の位置情報は、記憶装置153に格納されていてもよいし、通信装置140を通じてサーバ400から取得されてもよい。充電スタンド300が所定距離以内にある場合(S2においてYes)、処理はステップS3に進む。充電スタンド300が所定距離以内にない場合(S2においてNo)、処理はステップS1に戻る。なお、所定距離以内に充電スタンド300があるとは、電動車両200が充電スタンド300に到着している状態をも含む。
【0044】
ステップS3では、プロセッサ151は、ステップS2において所定距離以内にあると判定された充電スタンド300と提携する電力会社の情報(識別情報)を取得可能か否かを判定する。たとえば、電動車両200が上記充電スタンド300と通信不可の場合や、サーバ400に充電スタンド300の識別情報が格納されていない場合等において、識別情報が取得不可となる。充電スタンド300の識別情報が取得可能な場合(S3においてYes)、処理はステップS4に進む。充電スタンド300の識別情報が取得不可の場合(S3においてNo)、処理はステップS6に進む。
【0045】
ステップS4では、プロセッサ151は、ステップS1において目的地に設定された充電スタンド300、または、ステップS2において所定距離以内にあると判定された充電スタンド300の識別情報をサーバ400に要求する。なお、プロセッサ151は、充電スタンド300に上記要求を行ってもよい。
【0046】
たとえば、
図5に示す画面121において充電スタンド300Aが選択された場合、充電スタンド300Aが目的地に設定されたと判定され、充電スタンド300Aの識別情報を要求する信号が電動車両200からサーバ400に送信される。また、充電スタンド300Aが電動車両200の所定距離以内に入ったことに応じて、充電スタンド300Aの識別情報を要求する信号が電動車両200からサーバ400に送信される。
【0047】
ステップS10では、サーバ400は、ステップS4において電動車両200から送信された要求信号に応じて、要求された充電スタンド300の識別情報を電動車両200に送信する。これにより、電動車両200のHMI装置120には、上記充電スタンド300の識別情報を含む画面122(
図6参照)が表示される。
図6に示す例では、充電スタンド300Aと提携する会社がAAA電力会社であること、充電スタンド300AがPnC充電に対応していること、および、充電スタンド300Aの位置を示す地図が表示されている。
【0048】
ステップS10においてサーバ400から送信された識別情報を受信した電動車両200のプロセッサ151は、ステップS5において、外部充電を行うのに適切なデジタル証明書154を読み出す。具体的には、プロセッサ151は、ステップS10においてサーバ400から送信された識別情報に基づき、充電スタンド300と提携する電力会社(
図6ではAAA電力会社)が発行したデジタル証明書154を読み出す。なお、充電スタンド300と提携する電力会社の関連会社が発行したデジタル証明書154が読み出されてもよい。ステップS5の後、処理はステップS8に進む。
【0049】
一方、ステップS6では、プロセッサ151は、ステップS2において所定距離以内にあると判定された充電スタンド300と過去にPnC充電を行った履歴があるか否かを判定する。具体的には、プロセッサ151は、記憶装置153に格納されているPnC充電の実行履歴を読み出して上記判定を行う。履歴がある場合(S6においてYes)、処理はステップS7に進む。履歴がない場合(S6においてNo)、処理は終了する。
【0050】
ステップS7では、プロセッサ151は、ステップS6における履歴に基づいて、読み出すデジタル証明書154を選択する。具体的には、上記履歴に対応するPnC充電の際に使用されたデジタル証明書154が読み出される。その後、処理はステップS8に進む。
【0051】
ステップS8では、プロセッサ151は、ステップS5またはS7において読み出されたデジタル証明書154を、通信装置140を通じて充電スタンド300に送信する。その後、処理はステップS30に進む。なお、ステップS5において、適合するデジタル証明書154が記憶装置153に記録されていない場合、たとえば記憶装置153に記録されているデジタル証明書154のうち最も優先度が高いデジタル証明書154が充電スタンド300に送信されてもよい。
【0052】
ステップS20では、充電スタンド300は、ステップS8において電動車両200から送信されたデジタル証明書154が自身に適合するデジタル証明書154か否かを判定する。具体的には、充電スタンド300は、自身と提携する電力会社が発行したデジタル証明書154を受信したか否かを判定する。充電スタンド300に適合するデジタル証明書154が受信された場合(S20においてYes)、処理はステップS21に進む。充電スタンド300に適合するデジタル証明書154が受信されていない場合(S20においてNo)、処理は終了する。
【0053】
ステップS21では、充電スタンド300は、ステップS20においてデジタル証明書154が適合している旨を、電動車両200およびサーバ400に通知する。なお、サーバ400には、電動車両200から通知されてもよい。その後、処理はステップS30に進む。
【0054】
ステップS11では、サーバ400は、ステップS20において充電スタンド300と適合していると判定されたデジタル証明書154の有効期限が切れているか否かを判定する。有効期限が切れている場合(S11においてYes)、処理は終了する。有効期限が切れていない場合(S11においてNo)、処理はステップS30に進む。
【0055】
ステップS30では、電動車両200、充電スタンド300、および、サーバ400によりPnC充電制御が実行される。
【0056】
図7は、
図4のステップS30の具体的なシーケンスを示す図である。
図7のステップS31~S33は、
図4のステップS5において、適合するデジタル証明書154が複数読み出されている場合に実行される処理である。
【0057】
ステップS31において、電動車両200のプロセッサ151は、PnC充電において使用されるデジタル証明書154が設定されているか否かを判定する。言い換えると、
図4のステップS5において読み出された複数のデジタル証明書154の中に、ユーザがPnC充電において使用予定の証明書として予め設定しているデジタル証明書154があるか否かが判定される。ステップS31においてYesの場合、処理はステップS32に進む。ステップS31においてNoの場合、処理はステップS33に進む。
【0058】
ステップS32では、プロセッサ151は、PnC充電での使用が設定されているデジタル証明書154を、PnC充電に用いるデジタル証明書154として設定する。その後、処理はステップS34に進む。
【0059】
ステップS33では、プロセッサ151は、ステップS5において読み出された複数のデジタル証明書154のうち最も優先度が高いデジタル証明書154を、PnC充電に用いるデジタル証明書154として設定する。なお、デジタル証明書154の優先度は予め設定されている。その後、処理はステップS34に進む。
【0060】
ステップS34では、プロセッサ151は、充電コネクタ301が電動車両200(インレット160)に接続されて、電動車両200と充電スタンド300との間においてセキュリティが確保された通信接続が確立しているか否かを判定する。通信接続が確立している場合(S33においてYes)、処理はステップS35に進む。通信接続が確立していない場合(S33においてNo)、通信接続が確立するまでステップS34の処理が繰り返される。なお、電動車両200と充電スタンド300との間は、UDP(User Datagram Protocol)、TCP(Transmission Control Protocol)、および、TLS(Transport Layer Security)などが用いられて通信接続が確立される。
【0061】
ステップS35では、電動車両200と充電スタンド300との間において各種の認証が実行される。たとえば、身元確認(identification)、データ確認(authentication)、および、権限付与(authorization)などの処理が実行される。
【0062】
ステップS36では、セッティングが実行される。たとえば、ターゲットセッティングやチャージスケジューリングセッティングなどが実行される。
【0063】
ステップS37では、電動車両200と充電スタンド300との間のPnC充電が実行される。ステップS38では、PnC充電が終了される。
【0064】
以上のように、本実施形態では、充電制御装置100は、電動車両200との間において外部充電が実行される充電スタンド300に関する所定の情報(識別情報および履歴情報)に基づいて、複数のデジタル証明書154のうち充電スタンド300に適合するデジタル証明書154を選択するプロセッサ151を備える。通信装置140は、選択されたデジタル証明書154を充電スタンド300に送信する。これにより、充電制御装置100は、充電スタンド300に適合するデジタル証明書154の情報を外部充電の事前に取得することができる。その結果、充電スタンド300に適合するデジタル証明書154の情報を事前に取得していない場合に比べて、充電スタンド300に適合するデジタル証明書154をより確実に充電スタンド300に送信することができる。これにより、外部充電をより確実に実行することができる。
【0065】
また、ユーザが手動でデジタル証明書154を切り替える場合と異なり、適切なデジタル証明書154が自動的に設定されるので、ユーザの手間を低減することができる。
【0066】
上記実施形態では、外部充電時においてデジタル証明書154を設定する(読み出す)際の制御を示したが、本開示はこれに限られない。外部充電時に代えてまたは加えて外部放電(外部給電)時にデジタル証明書154を設定する(読み出す)際に上記実施形態と同様の制御が実行されてもよい。この場合、外部放電(外部給電)は、本開示の「電力伝送」の一例である。
【0067】
上記実施形態では、充電スタンド300が目的地に設定されているか否か、所定距離以内に充電スタンド300が位置しているか否か、および、過去に充電(PnC充電)の履歴があるか否かの3つの判定が行われる例を示したが、本開示はこれに限られない。上記3つの判定のうち1つまたは2つのみが実行されてもよい。また、充電スタンド300の識別情報が取得可能か否かの判定(
図4のS6参照)は行われなくてもよい。
【0068】
上記実施形態では、充電制御装置100が電動車両200に設けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。充電制御装置100がサーバ400に設けられていてもよい。
【0069】
上記実施形態では、電動車両200、充電スタンド300、および、サーバ400により充電システム1が構成されている例を示したが、本開示はこれに限られない。電動車両200および充電スタンド300により充電システムが構成されていてもよい。
【0070】
上記実施形態では、充電スタンド300またはサーバ400から、充電スタンド300の識別情報が取得される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、記憶装置153に充電スタンド300の識別情報が格納されていてもよい。この場合、記憶装置153に格納された上記識別情報は、プロセッサ151により取得される(読み出される)。
【0071】
上記実施形態では、外部充電の履歴情報が記憶装置153に格納されている例を示したが、本開示はこれに限られない。上記履歴情報がサーバ400に格納されていてもよい。
【0072】
なお、上記の実施形態および上記の各変形例の構成が、互いに組み合わされていてもよい。
【0073】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
100 充電制御装置(電力伝送制御装置),140 通信装置(取得部)(送信部),151 プロセッサ(選択部)(取得部),153 記憶装置(記録部),154、154a、154b デジタル証明書(契約証明書情報),200 電動車両,210 バッテリ(二次電池),300、300A、300B 充電スタンド(電力スタンド),310A、310B 電力会社。