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特開2025-1164超音波診断装置、医用情報処理装置、情報処理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001164
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】超音波診断装置、医用情報処理装置、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
A61B8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100608
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔也
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 直哉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広樹
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD03
4C601DE04
4C601EE01
4C601EE09
4C601HH13
4C601JB30
4C601JB34
4C601JB48
4C601JB50
4C601JC06
4C601JC21
(57)【要約】
【課題】高解像の血流情報を得るための技術を提供する。
【解決手段】本開示は、生体内で反射した超音波信号に基づいて、組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データを取得する第一取得部と、前記測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得する第二取得部と、前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成する生成部と、を有する超音波診断装置を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内で反射した超音波信号に基づいて、組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データを取得する第一取得部と、
前記測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得する第二取得部と、
前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成する生成部と、を有する超音波診断装置。
【請求項2】
前記第二取得部は、前記血流データにおける血管領域に基づいて前記変形量を取得する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記第二取得部は、前記血流データにおける血管領域の位置もしくは形状に基づいて前記変形量を取得する、
請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記第二取得部は、複数フレームの血流データのうち血流由来の情報を最も多く含むフレームを基準フレームに選択し、前記基準フレームの血流データにおける血管領域を基準として他のフレームの前記変形量を算出する、
請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記第二取得部は、血流データを入力するとその血流データの変形量を出力するように訓練された学習済モデルを用いることにより、前記変形量を取得する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記生成部は、血管領域を非剛体とし、非剛体位置合わせを用いてフレーム間の位置合わせを行う、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記血流データは、前記測定データに対し組織由来のクラッタ成分を低減することにより得られるデータである、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記第二取得部は、2以上のフレームの前記血流データを平均化した、平均化後の血流データから前記変形量を取得する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記生成部は、血流由来の情報を画素値としてもつ複数フレームの画像のそれぞれから所定の抽出範囲の画素値をもつ画素を前記特徴点として抽出する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記抽出範囲を、前記画像の最大画素値に応じて設定する、
請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記生成部は、前記画像を複数の局所領域に分け、前記局所領域ごとの最大画素値に応じて前記局所領域ごとに前記抽出範囲を設定する、
請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記生成部は、前記画像を複数の局所領域に分け、前記局所領域ごとの体表からの深さに応じて前記局所領域ごとに前記抽出範囲を設定する、
請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記生成部は、前記複数フレームの画像から前記特徴点として抽出された画素群からノイズを除去し、ノイズ除去後の画素群を合成することによって前記表示画像データを生成する、
請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記生成部は、前記複数フレームの画像をアップコンバートし、アップコンバートした画像から前記特徴点を抽出する、
請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記生成部は、前記複数フレームの画像に対し前記変形量に基づく位置合わせのための補正を行い、補正した前記複数フレームの画像のそれぞれから前記特徴点を抽出する、
請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
前記生成部は、複数フレームの測定データに対し前記変形量に基づく位置合わせのための補正を行い、補正した前記複数フレームの測定データに基づいて血流由来の情報を画素値としてもつ前記複数フレームの画像を生成し、生成した前記複数フレームの画像のそれぞれから前記特徴点を抽出する、
請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項17】
前記生成部は、前記複数フレームの画像のそれぞれから互いに画像特徴が異なる複数の特徴分離画像を生成し、前記複数の特徴分離画像のそれぞれから前記特徴点を抽出する、請求項15又は16に記載の超音波診断装置。
【請求項18】
前記画像特徴は、血流の流速に関連する画像特徴、血管の形状又は太さに関連する画像特徴、及び、血流の方向に関連する画像特徴のうち少なくともいずれかの画像特徴を含む、
請求項17に記載の超音波診断装置。
【請求項19】
前記生成部は、前記表示画像データを生成する際に、前記複数の特徴分離画像のそれぞれから抽出された前記特徴点を前記画像特徴に応じた重みを付けて合成する、
請求項17に記載の超音波診断装置。
【請求項20】
生体における組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得し、
前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成する生成部、
を有する医用情報処理装置。
【請求項21】
コンピュータによる情報処理方法であって、
生体内で反射した超音波信号に基づいて、組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データを取得することと、
前記測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得することと、
前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成することと、
を含む情報処理方法。
【請求項22】
生体内で反射した超音波信号に基づいて、組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データを取得することと、
前記測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得することと、
前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成することと、
を含む情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置、医用情報処理装置、情報処理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、生体の血流の観察や診断を行なうために広く用いられている。超音波診断装置は、ドプラ(Doppler)効果に基づくドプラ法により、超音波の反射波から血流情報の生成及び表示を行う。超音波診断装置により生成表示される血流情報としては、カラードプラ画像や、ドプラ波形(ドプラスペクトラム)等がある。
【0003】
カラードプラ画像は、カラーフローマッピング(CFM:Color Flow Mapping)法により撮像される。CFM法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行われる。そして、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号を抽出する。CFM法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等の血流情報を推定し、推定結果の分布をドプラ画像として表示する。
【0004】
Bモード画像やドプラ画像では送信超音波の波長や送受信開口幅などで決まる点広がり関数(Point Spread Function:PSF)により、解像度が低下することが知られている。送信超音波の周波数を高くするなどの解決策はあるが、プローブの周波数帯域にも限りがあるため、取得できる画像の解像度には限界がある。
【0005】
非特許文献1には、送信超音波波長の1/5程度の解像度を実現する血流画像の超解像技術について記載されている。時系列に得られた多数の血流画像からそれぞれ画素値の高い部分を抽出し積算することで、解像度を向上させた血流画像を生成している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Jorgen Arendt Jensen et al., "Fast super resolution ultrasound imaging using the erythrocytes," Proc. SPIE 12038, Medical Imaging 2022: Ultrasonic Imaging and Tomography, 120380E (4 April 2022)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1では、まず、スペックルトラッキングによって超音波画像中の組織の動き推定を行い、その推定結果を基に、全てのフレームの超音波画像を基準フレームの画像に位置合わせする。そして、位置合わせした超音波画像から組織成分を除去して血流画像を得た後、各フレームの血流画像における画素値の高い部分を抽出し積算している。
【0008】
しかしながら、例えば、組織中に特徴的な構造物があまり含まれていない超音波画像や、スペックルが支配的な超音波画像では、スペックルトラッキングの推定精度が低下し、血管位置のずれを十分に補正できない場合がある。このような場合、非特許文献1の方法では、高解像の血流情報を得ることができない。
【0009】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、高解像の血流情報を得るための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、生体内で反射した超音波信号に基づいて、組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データを取得する第一取得部と、前記測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得する第二取得部と、前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成する生成部と、を有する超音波診断装置を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高解像の血流情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図。
図2】受信信号処理ブロックが有する機能の一例を示すブロック図。
図3】第1の実施形態における超解像画像生成処理のフローを表す図。
図4】第1の実施形態における血流画像生成のフレームの設定を説明する図。
図5】第1の実施形態における超解像画像の生成を説明する図。
図6】血流画像における非線形変形を伴う変形量の補正を説明する図。
図7】変位量を算出する際の基準フレームの選出を説明する図。
図8】レイリー分布を説明する図。
図9】第2の実施形態における超解像画像生成処理のフローを表す図。
図10】第2の実施形態における血流画像生成のフレームの設定を説明する図。
図11】第3の実施形態における超解像画像生成処理のフローを表す図。
図12】第3の実施形態における血流画像生成のフレームの設定を説明する図。
図13】第4の実施形態における超解像画像生成処理のフローを表す図。
図14】第4の実施形態における血流画像生成のフレームの設定を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述のように、従来の超解像技術では、スペックルトラッキングにより超音波画像同士の位置合わせを行うことによって、フレーム間の血管位置のずれを補正していた。超音波画像には、組織由来の情報(以下単に「組織成分」とも呼ぶ)と血流由来の情報(以下単に「血流成分」とも呼ぶ)が含まれている。スペックルトラッキングは、このうちの組織成分に表れるスペックルの類似性に着目し、フレーム間でスペックルパターンを比較・追跡することにより、フレーム間の組織の対応関係や変位を推定する。この方法は、例えば心エコー像における心筋のように、超音波画像中に特徴的な構造物が写っている場合には、一定の推定精度が期待できる。しかしながら、前述のように、特徴的な構造物があまり含まれていない超音波画像や、スペックルが支配的な超音波画像では、推定精度が低下する。
【0014】
そこで本発明者らは、超音波画像中の組織成分の画像特徴を用いて血管の位置合わせを行うのではなく、血流成分の画像特徴を用いて血管の位置合わせを行う、という新たなアプローチの着想を得た。位置合わせすべき対象である血管(血流)それ自体の画像特徴を利用することによって、従来手法(組織成分の画像特徴を利用する方法)よりも、高い精度が得られると期待できる。しかしながら、一般的な超音波画像では、血流成分よりも組織成分の画像特徴の方が圧倒的に多く表れているため、超音波画像に対し単純に本アプローチを適用したとしても、フレーム毎の血管領域の変形量を精度良く捉えることは難しい。
【0015】
このような技術的課題を解決すべく、本実施形態に係る超音波診断装置では、次のような手順を採用する。
【0016】
まず、第一取得部が、生体内で反射した超音波信号に基づいて、組織由来の情報(組織成分)と血流由来の情報(血流成分)を含む測定データを取得する。「測定データ」は、例えば、超音波信号の送受信により得られる受信信号、受信信号に対し整相加算及び直交検波処理を行ったデータなどであり得る。なお、血流由来の情報は、血液に由来する情報だけでなく、血液中の造影剤に由来する情報を含んでもよい。所定のフレームレートで複数フレーム分の時系列の測定データが取得される。
【0017】
次に、第二取得部が、測定データの血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得する。「血流由来の情報を抽出」は、例えば、測定データから血流成分の画像特徴を選択的に取り出す操作である。「血流由来の情報を強調」は、例えば、血流成分の画像特徴を組織成分の画像特徴よりも相対的に目立たせる操作である。なお、第二取得部は、血流由来の情報を抽出又は強調する処理を行うことで血流データを得てもよいし、逆に、組織由来の情報を除去又は低減する処理を行うことで血流データを得てもよい。例えば、第二取得部の処理は、ドプラ法により血流の速度、分散値、パワー値などの情報(「血流情報」とも呼ぶ)を算出する処理を含んでよい。「変形量」は、基準となる位置もしくは形状に対する相対的な変位もしくは変形を表す指標である。第二取得部は、血流データにおける血管領域(例えば、血管領域の位置もしくは形状)に基づいて変形量を取得するとよい。変形量の求め方やパラメータの持ち方は任意であり、後段の補正処理(フレーム間の血管領域の位置を合わせるための処理)のアルゴリズムに合わせて適宜設計すればよい。
【0018】
次に、生成部が、血流由来の情報の中の特徴点を、変形量に基づき位置合わせしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成する。「血流由来の情報」は、第二取得部で取得された血流データから抽出してもよいし、測定データもしくは血流データから生成されるデータから抽出してもよい。「特徴点」は、血流由来の情報の中において血流の特徴が特に強く表れている部分(すなわち、血流の存在箇所を示す蓋然性が高い部分)であるとよい。例えば、血流由来の情報(血流の速度、分散値、パワー値など)を画素値としてもつ画像から特徴点を抽出するのであれば、画像の中の最大画素値をもつ画素、あるいは、所定の閾値以上の画素値をもつ画素などを特徴点として抽出してもよい。特徴点を抽出する画素値の範囲(抽出範囲)は任意に設定できる。「合成」は、複数フレームのそれぞれから抽出された複数の特徴点の情報を組み合わせて一つの血流画像を生成する操作であり、例えば、複数の特徴点を一つの画像上に積算(累積;プロット)する処理であり得る。「表示画像データ」は、処理結果として表示される高解像の血流情報を画像化したデータであり、超高解像血流画像とも呼ばれる。
【0019】
以上述べた手順によれば、血流由来の情報が支配的な血流データに基づいて変形量を求めることにより、フレーム毎の血管領域の変形量を精度良く捉えることができる。したがって、特徴的な構造物があまり含まれていない超音波画像やスペックルが支配的な超音波画像の場合であっても、フレーム間の血管領域の位置合わせを高精度に行うことができ、高品位かつ高解像の血流画像を得ることができる。
【0020】
なお、ここまでは、本発明を超音波診断装置に適用した例を説明したが、本発明を超音波診断装置以外のモダリティ(医用情報処理装置)に対して適用してもよい。例えば、超音波画像と同じように、生体から組織由来の情報と血流由来の情報とを含む測定データを取得する医用情報処理装置において、高解像の血流情報を得ることが可能となる。
【0021】
続いて、本発明のより具体的な実施形態について、いくつかの実施形態を例示的に説明する。
【0022】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。超音波診断装置1は、超音波プローブ(超音波探触子)102、プローブ接続部103、送信電気回路104、受信電気回路105、受信信号処理部106、画像処理部107、表示装置108、システム制御部109を有する。超音波診断装置1は、超音波プローブ102からパルス状の超音波信号を被検体100に送信し、生体内で反射した超音波信号を受信して、被検体100の内部の画像情報を生成するためのシステムである。超音波診断装置1で得られるBモード画像や血流画像などの超音波画像は各種の臨床検査で利用される。
【0023】
超音波プローブ102は、電子スキャン方式のプローブであり、その先端に1次元又は2次元に配列された複数の振動子101を有する。振動子101は、電気信号(電圧パルス信号)と超音波(音響波)のあいだの相互変換を行う電気機械変換素子である。超音波プローブ102は、被検体100に対して複数の振動子101から超音波を送信し、被検体100からの反射超音波を複数の振動子101により受信する。反射音響波は、被検体100内の音響インピーダンスの差を反映している。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射超音波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0024】
送信電気回路104は、複数の振動子101に対してパルス信号(駆動信号)を出力する送信部である。複数の振動子101に対して時間差をつけてパルス信号を印加することで、複数の振動子101から遅延時間の異なる超音波が送信されることで送信超音波ビームが形成される。パルス信号を印加する振動子101(つまり駆動する振動子101)を選択的に変えたり、パルス信号の遅延時間(印加タイミング)を変えたりすることで、送信超音波ビームの方向やフォーカスを制御できる。この送信超音波ビームの方向及びフォーカスを順次変更することで、被検体100内部の観察領域が走査(スキャン)される。また、パルス信号の遅延時間を変えることで、平面波(フォーカスが遠方)や拡散波(フォーカス点が複数の振動子101に対して超音波送信方向の逆)である送信超音波ビームを形成してもよい。あるいは、1振動子もしくは複数の振動子101の一部を用いて送信超音波ビームを形成してもよい。送信電気回路104は、所定の駆動波形のパルス信号を振動子101に送信することで、振動子101において所定の送信波形を有する送信超音波を発生させる。受信電気回路105は、反射超音波を受信した振動子101から出力される電気信号を、受信信号として入力する受信部である。受信信号は受信信号処理部106に入力される。
【0025】
送信電気回路104及び受信電気回路105の動作、すなわち、超音波の送受信は、システム制御部109によって制御される。システム制御部109は、例えば、後述するBモード画像と血流画像の生成のそれぞれに応じて電圧信号や送信超音波を形成する位置を変更する。
【0026】
Bモード画像を生成する場合には、観察領域を走査して得られる反射超音波の受信信号を取得して、画像生成に用いる。血流画像を生成する場合には、観察領域内の1つもしくは複数の走査線上のそれぞれで超音波の送受信を複数回行って、複数フレームの反射超音波の受信信号を取得して、画像生成すなわち血流情報の抽出に用いる。血流画像生成のための走査は、1つの走査線上で複数回の送受信を行ってから次の走査線で送受信を行う方式でもよいし、各走査線上で1回ずつ送受信を行うことを複数回繰り返す方式でもよい。また、Bモード画像および血流画像の生成は、走査線数を減らすように、すなわち平面波や拡散波を送信して観察領域の広範囲に超音波が送信されるようにしてもよい。また、平面波や拡散波の送信角度や送信される観察領域の範囲などを変えて、観察領域の広範囲に対して複数回の送受信を行って、受信信号を加算して用いてもよい。
【0027】
本明細書では、振動子101から出力されるアナログ信号も、それをサンプリング(デジタル変換)したデジタルデータも、特に区別することなく受信信号と呼ぶ。ただし、文脈によってデジタルデータであることを明示する目的で、受信信号を受信データ又は測定データと記す場合もある。
【0028】
受信信号処理部106は、超音波プローブ102から得られた受信信号に基づいて画像データを生成する画像生成部である。画像処理部107は、受信信号処理部106で生成された画像データに対し、輝度調整、補間、フィルタ処理などの画像処理を施す。表示装置108は、画像データ及び各種情報を表示するための表示部であり、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成される。システム制御部109は、送信電気回路104、受信電気回路105、受信信号処理部106、画像処理部107、表示装置108などを統括制御する制御部である。
【0029】
(受信信号処理ブロックの構成)
図2は受信信号処理部106が有する機能の一例を示すブロック図である。受信信号処理部106は、受信信号記憶部200、整相加算処理部201、信号記憶部202、Bモード処理部203、ドプラ処理部204、変形量算出部205、変形補正部206、超解像処理部207を有する。
【0030】
受信信号記憶部200は、受信電気回路105で受信した受信信号を保存する。なお、装置構成や受信信号の種類によっては、受信信号記憶部200では保存せず、後述する整相加算処理部201の後に信号記憶部202に保存される構成でもよい。また、受信信号記憶部200は後述する信号記憶部202と共通のブロックから成り、受信電気回路105からの受信信号および整相加算処理部201の後の受信信号を保存してもよい。
【0031】
整相加算処理部201は、受信電気回路105で得られた受信信号に整相加算や直交検波処理を行い、処理後の受信信号を信号記憶部202に保存する。整相加算処理とは、振動子101ごとに遅延時間と重みを変えて複数の振動子101の受信信号を足し合わせることで受信超音波ビームを形成する処理であり、Delay and Sum(DAS)ビームフォーミングとも呼ばれる。直交検波処理は、受信信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号)と直交信号(Q信号)とに変換する処理である。整相加算処理および直交検波処理は、システム制御部109から入力される素子配置や画像生成の各種条件(開口制御、信号フィルタ)に基づいて行われる。整相加算処理および直交検波処理後の受信信号は信号記憶部202に保存される。ここでは代表的なDASビームフォーミングの例を示したが、適応型ビームフォーミング、モデルベース型処理、機械学習を用いた処理など、受信超音波ビームを形成する処理であればどのようなものを用いてもよい。
【0032】
受信電気回路105で得られた受信信号(デジタルデータ)はRAWデータとも呼ばれる。整相加算処理部201で得られた受信信号(デジタルデータ)はRFデータとも呼ばれる。本実施形態において、RAWデータおよびRFデータは、生体内で反射した超音波信号に基づいて取得される測定データの一例であり、受信電気回路105および整相加算処理部201は、測定データを取得する第一取得部の一例である。
【0033】
Bモード処理部203は、信号記憶部202に保存されたBモード画像生成用の受信信号に対して、包絡線検波処理、対数圧縮処理などを行い、観察領域内の各点での信号強度を輝度強度で表した画像データを生成する。
【0034】
ドプラ処理部204の処理内容について詳述する。ドプラ処理部204は、信号記憶部202に保存された血流画像生成用の受信信号を周波数解析することによって、走査範囲
内にある対象物のドプラ効果に基づく血流情報を抽出する。本実施形態では、対象物が血液である例を主に説明するが、対象物は、体内組織や造影剤のような物体であってもよい。また、血流情報の例は、速度、分散値、パワー値のうちの少なくともいずれかを含む。また、ドプラ処理部204は、被検体内の1点(1つの位置)における血流情報を求めてよいし、深さ方向における複数の位置の血流情報を求めてもよい。また、ドプラ処理部204は、血流情報の時間変化が表示できるように、時系列に複数の時点の血流情報を求めてもよい。
【0035】
ドプラ法による血流画像の生成では、同一の測定位置について、時間方向に複数フレームの受信信号データ列が取得される。ドプラ処理部204は、受信信号データ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛ける。これにより、フレーム間で静止している組織、あるいは、動きの小さい組織に由来する情報(クラッタ成分)を低減して、血流に由来する情報(血流成分)が抽出される。そして、ドプラ処理部204は、この血流成分から血流の速度、血流の分散、血流のパワーなどの血流情報を算出する。算出された血流情報を2次元画像の形式で表したデータを血流画像と呼ぶ。
【0036】
MTIフィルタとしては、バタワース型のIIR(infinite impulse
response)フィルタや多項式回帰フィルタ(Polynomial Regression Filter)などフィルタ係数が固定されたフィルタを用いてもよい。MTIフィルタは、固有値分解または特異値分解などを用いて入力信号に応じて係数を変化させる適応型のフィルタであってもよい。あるいは、ドプラ処理部204は、固有値分解または特異値分解などを用いて受信信号を1つないしは複数の基底に分解し、特定の基底だけ取り出し、クラッタ成分を除去してもよい。また、ドプラ処理部204は、ベクトルドプラ法、スペックルトラッキング法、Vector Flow Mapping法などの手法を用いることにより、画像内の座標ごとの速度ベクトルを求めて、血流の大きさと向きを表す血流ベクトルを求めてもよい。ここで例示した方法以外にも、受信信号(測定データ)に含まれる血流由来の情報を抽出もしくは強調し、又は、組織由来の情報を除去もしくは低減できる方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
【0037】
変形量算出部205は、ドプラ処理部204が出力した複数フレームの血流画像を用いて、フレーム間での血管領域の位置や形状の差異(血管領域の変形量)を算出する。本実施形態において、血流画像は、血流由来の情報が抽出又は強調された血流データの一例であり、ドプラ処理部204及び変形量算出部205は、血流画像(血流データ)に基づいて複数フレーム間の変形量を取得する第二取得部の一例である。
【0038】
変形量算出部205は、変形量を算出する処理に先立ち、血流画像中の血管構造を強調ないし明瞭化するための前処理を血流画像に施してもよい。前処理として、例えば、画像の中に含まれる血管状(例えば柱状、線状、網目状など)の構造体を抽出又は強調するフィルタを血流画像にかけてもよい。逆に、画像中の背景(血管構造以外の組織部分)や背景に含まれるノイズを除去ないし低減するフィルタを血流画像にかけることによって、血管構造を相対的に強調してもよい。例えば、変形量算出部205は、血流画像に対しピラミッド変換やウェーブレット変換等の多重解像度分解を行って、それぞれの画像に適切なフィルタを適応した後に多重解像度分解の逆変換を行ってもよい。これにより、背景と異なる構造体が明瞭に抽出される。
【0039】
また、変形量算出部205は、ヘッセ行列の固有値解析による線強調処理を血流画像に施すことによって、画像中の線状構造(すなわち血管部分)を強調してもよい。また、変形量算出部205は、血管構造のテンプレートを用いたテンプレートマッチングなどの画像抽出処理などで血流画像から血管構造のみを抽出してもよい。
【0040】
変形量を算出する手法としては、剛体位置合わせを用いてもよいし、非剛体位置合わせを用いてもよい。あるいは、Deep Learningなどによる学習済モデルを利用して変形量を算出してもよい。また、これらに限られず、血流画像に対して、フレーム間で体動などによって変化した位置や形状を補正するための変形量を算出できれば、どのような手法を用いてもよい。予め用意された複数の算出手法のなかから、ユーザーが希望の手法を選択できるようにしてもよい。
【0041】
剛体位置合わせは、対象物(本実施形態では血管)を剛体と仮定して、画像内の平行移動と回転だけの要素を含む変換関数を用いて位置合わせを行う方法であり、計算コストが小さく高速処理が可能という利点がある。剛体位置合わせの場合に、画像に対し1つの変形量を算出(すなわち、画像全体を平行移動・回転させる)してもよいし、画像を複数の領域に分割して領域毎に変形量を算出してもよい。後者の場合、領域毎に移動量や回転量が異なり得るため、隣接する領域同士の境界でアーチファクトが発生しないよう境界部分を滑らかに接続する。例えば、境界部分に所定幅の重なりを作り、その重なり部分で2つの領域の画素値を平均化したりブレンドしてもよい。2つの領域の間でブレンド率を徐々に変化させてもよい。また、重なり部分において2つの領域の変形量を補間することで変形量が徐々に変化するようにしてもよい。
【0042】
非剛体位置合わせは、対象物(本実施形態では血管)を非剛体と仮定して、拡大縮小、せん断などのアフィン変換を利用する方法や、局所非線形変形などの変形要素で画像を変形させる方法などを含む。非剛体位置合わせは、DIR(deformable image registration)とも呼ばれる。なお、血流画像などの生体画像では非線形な変形を伴う移動である場合が多いので、非剛体位置合わせを用いることが望ましい。非剛体位置合わせに用いられるアルゴリズムとしては、例えば、FFD(free form deformation)法や、Demonsアルゴリズムなどがある。FFD法は、変形対象となる画像に対して、制御格子点(サンプリング点)を設定し、目標移動量から制御点行列を求めることで、Bスプライン関数を用いて画像を変形する手法である。Demonsアルゴリズムは、2つの画像の同位置における信号差や勾配に基づいて変形ベクトルを発生させる方法である。
【0043】
Deep Learningなどの深層学習を用いる場合は、例えば、血流画像を入力するとその血流画像における変形量を出力するように訓練された学習済モデルを利用するとよい。この場合に、基準データ(基準となる血管の位置・形状)は、固定(すなわち学習済モデルに予め学習されている)でもよいし、基準画像を処理対象の血流画像とともに入力として与えてもよい。モデルを機械学習する際には、基準画像と変形後の血流画像と変形量(真値)のセットを訓練データとして用いる教師あり学習を行えばよい。
【0044】
あるいは、血流画像を入力すると、血管の変形が補正された補正後画像を出力するように訓練された学習済モデルを利用してもよい。この場合は、この学習済モデルが、変形量算出部205と変形補正部206の2つの機能を兼ねることとなる。かかる学習済モデルの場合も、基準データ(基準となる血管の位置・形状)は、固定(すなわち学習済モデルに予め学習されている)でもよいし、基準画像を処理対象の血流画像とともに入力として与えてもよい。モデルを機械学習する際には、基準画像(真値)と補正前画像のセットを訓練データとして用いる教師あり学習を行えばよい。
【0045】
変形補正部206は、変形量算出部205が出力した変形量に基づいて画像中の血管の位置や形状の補正、すなわちフレーム間の血管の位置合わせを行う。変形補正部206は、受信信号記憶部200又は信号記憶部202に保存された受信信号(測定データ)に対し補正を適用してもよいし、ドプラ処理部204により得られた血流画像(血流データ)
に対し補正を適用してもよい。あるいは、変形補正部206は、受信信号もしくは血流画像から生成される二次データ(例えば、複数フレームの血流画像を平均した画像など)に対し補正を適用してもよい。なお、本実施形態では、変形補正部206によって画像を補正した後、補正後の画像を後段の超解像処理部207に渡している。しかし、変形補正を陽に行うのではなく、超解像処理部207における積算処理の際に特徴点の位置の補正を一緒に行うようにしてもよい。後者の場合、超解像処理部207が変形補正部206の役割を兼ねるため、図2の変形補正部206は無くてもよい。
【0046】
超解像処理部207は、変形補正部206によって位置合わせ(血管の変形が補正)された複数フレーム分の血流画像データから、解像度を向上させた血流画像である超解像血流画像データを生成する。超解像血流画像を取得する手法については、処理フローの説明の際に説明する。本実施形態において、変形補正部206及び超解像処理部207が、表示画像データを生成する生成部の一例である。
【0047】
Bモード処理部203、ドプラ処理部204、超解像処理部207から出力される画像データは、図1に示した画像処理部107による処理が施された後、最終的に表示装置108において表示される。それぞれの画像データは重畳されて表示されてもよいし、並列に表示されてもよいし、一部の画像データのみが表示されてもよい。
【0048】
受信信号処理部106は、1つ以上のプロセッサとメモリにより構成してもよい。その場合、図2に示す各部201~207の機能はコンピュータ・プログラムによって実現される。例えば、メモリに記憶されているプログラムをCPUが読み込み実行することにより、各部201~207の機能を提供することができる。受信信号処理部106は、CPUの他に、Bモード処理部203やドプラ処理部204、変形量算出部205、変形補正部206、超解像処理部207の演算を担当するプロセッサ(GPU、FPGAなど)を備えていてもよい。メモリは、プログラムを非一時的に記憶するためのメモリ、受信信号などのデータを一時保存しておくためのメモリ、CPUが利用するワーキングメモリなどを含むとよい。
【0049】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。続いて、超解像血流画像を取得するための処理フローを説明する。
【0050】
(超解像血流画像を取得するための処理フロー)
図3を参照して、第1の実施形態における超解像血流画像を取得するための処理フローを説明する。
【0051】
血流情報を観察したい領域を含むように測定位置を設定し、同一の測定位置に固定した状態で超音波送受信を繰り返して行い、時間方向に複数フレームのデータ列を含む受信信号を取得する(S310)。本実施形態による超解像血流画像を生成する際の受信信号のフレーム数は、通常のドプラ画像を生成するときよりも多くなるのが一般的である。例えば、通常のドプラ画像を生成する際の受信信号のフレーム数(パケット数)は5~20程度なのに対して、超解像血流画像を生成する際の受信信号のフレーム数は少なくとも100フレーム以上、好ましくは、数百~数万程度がよい。超音波診断装置1のフレームレートは機種や測定方法にもよるが数百Hz~数千Hz程度である。したがって、超解像血流画像を生成するための受信信号の測定時間は概ね数百msec~数十sec程度である。複数フレームのデータ列を含む受信信号は、整相加算処理部201によって、整相加算や直交検波処理が行われ、信号記憶部202に保存される。また、データ列における1フレームは、観察領域を含むように1回の超音波送受信を行った受信信号でもよいし、観察領域を含むように複数回送受信した受信信号を加算したものを1フレームとしてもよい。例えば、観察領域を含むように平面波もしくは拡散波を送信し、送信角度を変更した複数の
受信信号を加算して1フレームのデータとする。
【0052】
ドプラ処理部204が、複数フレームのデータ列を含む受信信号に対してMTIフィルタを掛けることで、クラッタ成分を低減して、血流に由来する成分を抽出することで複数フレームの血流画像を生成する(S320)。血流画像を生成する際のフレームの設定方法を図4に示す。受信信号のデータ列の一部を取り出してMTIフィルタを設計することで、取り出したフレーム数(パケット数)と同数の血流画像(平均化前)が得られる。これらを平均化(加算平均、二乗和平方根など)することで血流画像(平均化後)が得られる。通常のドプラではこの血流画像(平均化後)を表示している。取り出すフレームを時間方向に変更していくことで、さらに血流画像が得られる。このとき、取り出すフレームは重複してもよいし重複しないように設定してもよい。得られる血流画像の例を図5Aに示す。なお、MTIフィルタのパラメータ(カットオフ周波数、取り出すフレームのパケット数・重複数など)は、受信信号の性質、測定対象の被検体などに応じて、自動又はユーザーにより調整可能であるとよい。
【0053】
変形量算出部205が、フレーム間での体動などによって生じる血管領域の変形量を血流画像から算出する(S330)。変形量の算出には、血流画像(平均化後)を用いてもよいし、血流画像(平均化前)を用いてもよい。次に、変形補正部206が、算出された変形量に基づいて、後述するS360で積算処理を行うフレーム間での血流(血管)位置が揃うように、対応する血流画像を補正する(S340)。
【0054】
血流画像における非線形変形を伴う補正の一例を、図6A図6Cを参照して説明する。図6A図6Cは時系列の血流画像を表しており、それぞれ異なるフレーム(時点)の血流画像である。図6B及び図6Cでの破線は図6Aでの血流(血管)位置を表している。血流(血管)位置が平行移動や回転だけではなく局所非線形変形となっている。このような非線形変形が生じている場合には、前述した非剛体位置合わせ又は学習済モデルによる補正を適用するとよい。例えば、変形量算出部205は、時系列の血流画像のうちから基準となる画像(基準フレーム)を選択し、基準フレームの血管領域の位置もしくは形状に対する相対的な変位もしくは変形を他のフレームの血流画像について算出する。図示の例では、図6Aが基準フレームに設定され、図6B及び図6Cのそれぞれのフレームについて変形量が求められる。局所非線形変形が生じている場合は、血流画像内の複数の座標それぞれについて局所的な変形量が求められる。そして、変形補正部206が、変形量をキャンセルするように各フレームの画像に対し非剛体位置合わせによる補正を適用することによって、図6B及び図6Cの血流画像の血管領域の位置・形状が図6Aの血流画像の血管領域と一致するようになる。
【0055】
変形量を算出する際の基準フレームはデータ列全体で1フレームだけでもよいし、時間方向位置によって基準フレームを変更(つまり、複数の基準フレームを設ける)してもよいし、隣接フレームにおける1つ前のフレームを基準フレームとしてもよい。基準フレームは、データ列の中から任意に選択してよく、例えば、1番目のフレーム、中間のフレーム、最後のフレームのいずれを基準フレームとしてもよい。ただし、好ましくは、データ列を構成する複数フレームのうち、血流由来の情報を最も多く含むフレーム、例えば最も多くの血管(血流)が可視化されているフレームを基準フレームとして選択するとよい。このように基準フレームを選択することにより、画像内のより多くの血流(血管)の位置合わせが可能になるとともに、位置合わせの精度も向上する。図7A図7Bは血流画像の例であり、図7Aでは2つに分岐した血流が明瞭に可視化されているのに対し、図7Bはノイズが多くて血流全体が不鮮明であり、図7Cでは細い血流が不鮮明である。このようなデータ列の場合は、最も品質のよい図7Aの画像を基準フレームとして選べばよい。なお、多くの血流(血管)が可視化されていることを評価するための指標としては、例えば、画像のSNR(信号対雑音比)もしくはCNR(コントラスト対雑音比)を用いてよ
い。あるいは、画像の平均輝度値、ヒストグラム、所定の閾値を超える画素の数、線状構造の数などを評価指標としてもよい。
【0056】
S330の変形量の算出で用いる血流画像は平均化前もしくは平均化後のどちらでもよいが、平均化後の血流画像の方が血流構造のSNRが良く、変形量算出の精度は高くなる。また、S340で用いる補正を適用する血流画像も平均化前もしくは平均化後のどちらでもよいが、平均化前の血流画像の方が血流内の画素値差が大きいので、後述するS350で血流画像の局所的最大値を抽出しやすい。平均化後の血流画像で変形量を算出して平均化前の血流画像を補正する際の、血流画像(平均化前)はパケット内の一部でもすべてでもよく、後述するS360での積算処理に用いるフレームを補正する。
【0057】
超解像処理部207が、補正した各血流画像から、血流由来の情報の中の特徴点を抽出する(S350)。本実施形態の血流画像は、血流由来の情報を画素値(輝度;濃度)で表す画像であり、血流由来の情報が多い(強い)画素(すなわち、血流の存在箇所に該当する画素)ほど大きな画素値をもつ。したがって、超解像処理部207は、血流画像の中から、画素値の大きい点(画素)を特徴点として抽出する。S350の操作によって、図5Bのように血流画像の中でも血流由来の情報が特に強く表れている点のみが抽出された画像が得られる。
【0058】
特徴点を抽出する画素値の範囲(以下、「所定範囲」又は「抽出範囲」と呼ぶ。)の下限及び上限は固定値でもよいし、血流画像の画素値分布(ヒストグラム)や最大画素値に応じて動的に設定してもよい。例えば、血流画像の最大画素値を上限、最大画素値に所定の係数(例えば0.8など)を掛けた値を下限としてもよい。このとき係数を1.0に設定すれば、血流画像のうちの最大画素値をもつ画素のみが抽出されることとなり、係数を小さくするほど多くの画素が抽出されるように調整できる。あるいは、ヒストグラムの上位N個(Nは任意に設定される整数)の画素を含むように抽出範囲を設定してもよい。
【0059】
超解像処理部207は、局所的最大値である画素を特徴点として抽出してもよい。例えば、血流画像を複数の局所領域に分け、局所領域ごとに特徴点を抽出する。このとき、超解像処理部207は、各局所領域の抽出範囲は固定にしてもよいし、局所最大画素値に応じて局所領域ごとに抽出範囲を設定してもよい。また、隣接する画素に比べて画素値が大きい画素(例えば3画素×3画素の局所領域で中央の画素の画素値が最大になる場合)すなわち極大となる画素を抽出して、局所的最大値を抽出してもよい。ここでは代表的な局所的最大値の抽出方法の例を示したが、局所的最大値を抽出する処理であればどのようなものを用いてもよい。局所領域ごとに抽出範囲を設定することにより、画像全体に画一の抽出範囲を設定するよりも、多くの画素を特徴点として抽出でき、後述するS360の積算処理に用いる画素を増やすことができる。なお、局所領域ごとに抽出範囲を設定した場合は、血流中の画素だけでなく組織中の画素(すなわちノイズ)も抽出される可能性がある。しかし、組織中の画素(ノイズ)は血流中の画素に比べて画素値が相対的に小さい傾向にあるため、後述するS360で抽出された画素群を画素値で積算していくことで、組織中の画素の影響は低減される。したがって殆どのケースで、最終的には元の血流画像と同等かそれ以上のSNRをもつ超解像画像が得られ、特に問題とはならない。
【0060】
あるいは、S360の積算処理を行う前に、超解像処理部207が、S350で抽出された画素群から、組織中の画素(ノイズ)を積極的に除去する処理を行ってもよい。具体的には、S350で抽出された画素群の画素値分布(ヒストグラム)に対して閾値を設定し、閾値より小さい画素値の画素をノイズとみなして除去してもよい。閾値は、ユーザーが設定できるようにしてもよい。例えば、表示装置108に表示された設定画面上で閾値を入力ないし選択できるようにしたり、スライダーバーなどのGUIにより指定できるようにしてもよい。このとき、S350で抽出された画素群の画素値分布(ヒストグラム)
を設定画面上に表示してもよく、さらに、画素値分布のNσの位置や谷の位置などの補助情報を表示してもよい。このような表示によってユーザーによる閾値の選択を補助することができる。あるいは、超解像処理部207が、閾値を自動で設定してもよい。この場合に、固定の閾値を用いてもよいし、画素値分布の分散、双峰性、外れ値などに基づいて動的に閾値を決定してもよい。あるいは、抽出された画素群のうち、画素値の小さいものから下位M個(Mは任意に設定される整数)の画素をノイズとして機械的に除去してもよい。
【0061】
また、血流画像は、生体による減衰や超音波の拡散減衰の影響で体表からの深さによって画素値が異なる。したがって、S350の処理において、超解像処理部207は、上述の抽出範囲を、血流画像における局所領域ごとの「体表からの深さ」に応じて設定してもよい。つまり、血流画像の中に体表からの深さが異なる第1の局所領域と第2の局所領域とが含まれる場合に、体表からの深さを考慮して、第1の局所領域の抽出範囲と第2の局所領域の抽出範囲を異ならせるのである。例えば、第1の局所領域よりも第2の局所領域のほうが体表から深く、超音波の減衰の影響により第2の局所領域のほうが画素値が小さくなる場合には、第1の局所領域の抽出範囲より第2の局所領域の抽出範囲を広く(例えば下限を低く)するとよい。あるいは、抽出範囲を変える代わりに、特徴点を抽出する処理の前に、生体減衰や拡散減衰を補正する処理を血流画像に適用してもよい。
【0062】
また、超解像処理部207は、複数フレームの血流画像を積算してSNRを向上した血流画像を生成した後、その積算血流画像に対しS350の特徴点の抽出を行ってもよい。また、超解像処理部207は、全てのフレームの血流画像をS350の特徴点抽出処理やS360の積算処理に用いなくてもよい。例えば、SNRが悪いフレームをS350及びS360の処理対象から除いてもよい。
【0063】
また、超解像処理部207は、血流画像を高解像度化(アップコンバート)する処理を行った後に、S350の特徴点抽出処理を適用してもよい。このとき、血流画像それ自体をアップコンバートしてもよいし、元となる受信信号をアップコンバートし、アップコンバート後の複数フレームの受信信号を用いて血流画像を生成してもよい。アップコンバートの方法は任意であり、例えば、ニアレストネイバー、線形補間、スプライン補間などで補間画素を生成してもよい。あるいは機械学習により生成したフィルタを適用することでアップコンバートを行ってもよい。S360の積算処理で得られる超解像血流画像の解像度(画素数)は、特徴点の抽出に使われる元画像の解像度(画素数)と同じであるため、元画像の解像度が低い場合は超解像処理による解像力(分解能)の向上効果が小さい。したがって、予め元画像の解像度(画素数)を増しておくことで、最終的な超解像血流画像の解像力を高めることができる。また、コンベックス型プローブやセクタ型プローブにより得られる画像では、画像中の深部領域と浅部領域で画素サイズ(解像力;分解能)が異なる。アップコンバートによって浅部領域の解像力を予め高めておくことで、最終的な超解像血流画像の解像力を向上させる効果も期待できる。
【0064】
S350の特徴点抽出では、画素値の高い部分のみを抽出しているので、点広がり関数をガウシアン分布と仮定すると、分布の中心の先鋭度の高い箇所(ピーク)のみを抽出していることになる。一般に、均一散乱媒質からの超音波受信信号の振幅分布特性は、図8に示すレイリー分布と呼ばれる確率分布でほぼ近似できることが知られている。S350において画素値の高い部分を抽出することは、多数ある赤血球由来の反射信号の中から、レイリー分布における確率は小さいが振幅値の大きい箇所を抽出することで、少数の赤血球由来の反射信号だけを抽出して空間的にスパースにすることを意味する。1フレームの画像からは点もしくは微小範囲の画素しか抽出されないが、フレーム間で画素値の高い部分が移動するため、多数のフレームからそれぞれ特徴点を抽出することで、血流範囲のほぼ全域から網羅的に特徴点を得ることができる。
【0065】
最後に、超解像処理部207は、多数のフレームからそれぞれ抽出された特徴点の画素値を積算することによって超解像血流画像を生成する(S360)。積算処理によって血流範囲に画素値の大きい画素が集中するために、超解像血流画像では、元の血流画像に比べて血流が高解像かつ鮮明に画像化(可視化)される。超解像処理部207は、生成した超解像血流画像を表示装置108上に表示する。
【0066】
なお、信号記憶部202に保存された全てのフレームの画像を特徴点抽出及び積算処理に用いて1枚の超解像血流画像を生成してもよいし、一部の時間範囲のフレームのみを超解像血流画像の生成に用いてもよい。後者の場合、超解像血流画像の生成に用いる時間範囲をユーザーに選択させてもよい。また、超解像血流画像の生成に用いる時間範囲を順にずらしながら、時系列の複数枚の超解像血流画像を生成してもよい。さらに、複数枚の超解像血流画像を順に表示装置108に表示することによって、超解像血流画像の動画表示を行ってもよい。あるいは、複数枚の超解像血流画像を表示装置108に並べて表示することによって、経時的な変化を比較できるようにしてもよい。
【0067】
以上述べた本実施形態の構成によれば、フレーム間で動きや変形がある場合でも血流位置を正確に合わせることによって、高解像かつ高品質な超解像血流画像を生成することができる。
【0068】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、変形補正後の血流画像から特徴点を抽出した。第2の実施形態では、変形補正後の血流画像から互いに画像特徴が異なる複数の特徴分離画像を生成し、それぞれの特徴分離画像から特徴点を抽出する。
【0069】
血流画像に含まれるすべての画像特徴により形成される特徴量空間を考える。例えば、特徴量空間から一部の部分空間を分離し、その部分空間に含まれる画像特徴だけで画像を再構成することにより、元の血流画像のうちの一部の画像特徴のみを分離した画像(特徴分離画像と呼ぶ)を生成できる。このとき、注目する画像特徴(つまり、特徴量空間から分離する部分空間)を異ならせることにより、一つの血流画像から、互いに画像特徴が異なる複数の特徴分離画像を生成できる。なお、各特徴分離画像の部分空間は完全に分離していてもよいし、部分空間の一部が重なっていてもよい。
【0070】
装置構成は第1の実施形態と同じでよい。図9を参照して、第2の実施形態による超解像血流画像を取得するための処理フローを説明する。S710からS740までの処理は、第1の実施形態のS310からS340と同様である。超解像処理部207は、変形補正した各血流画像から、互いに画像特徴が異なる複数の特徴分離画像を生成する(S750)。
【0071】
変形補正した血流画像から複数の特徴分離画像を生成する際のフレームの設定方法を図10に示す。超解像処理部207は、変形補正後の血流画像を取得すると、それぞれの血流画像から、注目する画像特徴の異なる複数の特徴分離画像を生成する。図10では、平均化前の血流画像に対して変形補正を行った場合を示しているが、第1の実施形態と同様で平均化後の血流画像に変形補正を行ってもよく、その場合は変形補正後の血流画像(平均化後)から複数の特徴分離画像を生成すればよい。
【0072】
ここで、血流画像を複数の特徴分離画像に分ける効果について記載する。一般に、血流画像において、「流速が速い太い血管」と「流速が遅い細い血管」では流速が速い太い血管の方が画素値は大きくなる。したがって、流速が速い太い血管と流速が遅い細い血管とが隣接している血流画像に対して所定範囲の画素値をもつ画素群を抽出した際に、流速が
遅い細い血管の画素が抽出されない可能性がある。画素値が小さい血管すなわち流速が遅い血管も抽出されるように、特徴点として抽出する画素値の抽出範囲を広げることも考えられる。しかし、前述のガウシアン分布に対する抽出で考えると、抽出される分布の範囲が広がるので、解像度が向上する効果が小さくなる。この課題を解決するためには、血流の流速に関連する画像特徴を用いて特徴分離画像を生成するとよい。すなわち、元の血流画像から、第1の流速範囲に対応する画像特徴をもつ第1の特徴分離画像、第2の流速範囲に対応する画像特徴をもつ第2の特徴分離画像・・・のように、流速範囲の異なる複数の特徴分離画像を生成する。そして、各特徴分離画像に対して適切な抽出範囲を設定し、各特徴分離画像から特徴点を抽出する。このような方法により、流速が速い太い血管の画素も流速が遅い細い血管の画素も特徴点として抽出できる。
【0073】
具体的には、複数フレームの血流画像のうちの一部のフレームを用いて、各画素の画素値の時間方向の変化に対して離散フーリエ変換を行う。離散フーリエ変換は正弦波基底であり、周波数成分を表している。よって、離散フーリエ変換によって血流画像の各画素のフレーム間の変化の周波数成分すなわち流速成分ごとに分けることができ、各基底に該当する流速範囲の血流情報を持つ特徴分離画像を生成することができる。各基底に該当する流速範囲の血流情報を持つ特徴分離画像は、離散フーリエ変換後の周波数領域の画像でもよいし、周波数領域の画像を逆離散フーリエ変換することで時間領域の画像でもよい。これを、複数フレームの血流画像のうちの離散フーリエ変換に用いる一部のフレームを時間方向に変更していくことで、各基底に該当する時系列の異なる特徴分離画像を得られる。この場合は流速に関連する画像特徴(画素値の時間変化の周波数成分)に注目して、すなわち流速を基底として、血流画像を複数の特徴分離画像に分離している。分離数すなわち離散フーリエ変換に用いるフレームを多くすることで、各基底に該当する流速範囲が小さくなるので、より細かい流速範囲ごとに血流画像を分離できるようになる。なお、流速範囲ごとに分離できる基底であれば、正弦波を基底とする離散フーリエ変換以外でもよく、ルジャンドル多項式などの多項式回帰などによって、血流画像を流速範囲ごとの画像に分離してもよい。また、ある血管の画素値のエネルギーレベル(例えば、画素値の標準偏差)がノイズのエネルギーと近い場合には、S750の処理により流速ごとに分離した特徴分離画像を生成することで、ノイズエネルギーが各基底に分散される。これにより、血流成分の画像情報に比べてノイズエネルギーが低減されるので、各特徴分離画像のSNR(信号対雑音比)あるいはCNR(コントラスト対雑音比)を向上させることができる。そのため、血流画像ではノイズと区別できなかった血管が特徴分離画像では描出することができるというメリットもある。さらには、後述するS760の処理でより多くの特徴点を抽出できるようになり、同じフレーム数で多くの特徴点を抽出できる。これにより、最終的な超解像血流画像の品質を向上させることができるとともに、第1の実施形態よりも少ないフレーム数から同等の品質の超解像血流画像を生成できることから、超解像血流画像を生成するために必要な計測時間を短縮できる。
【0074】
画像特徴は流速に関連する特徴に限ったものではない。例えば、血管の形状又は太さに関連する画像特徴に注目して特徴分離画像を生成してもよい。すなわち、各基底では抽出される血管径が異なる。例えば、2次元フーリエ変換を用いて各血流画像の空間周波数を算出する。空間周波数が高いこと、すなわち空間的に細かい構造であることは、細い血管の画像特徴であり、空間周波数が低いこと、すなわち空間的に粗い構造であることは、太い血管の画像特徴である。したがって、例えば、血流画像の2次元フーリエ変換から、所望の血管径に対応する空間周波数成分のみを抽出し逆フーリエ変換することによって、所望の血管径に対応する画像特徴をもつ特徴分離画像を生成することができる。そして、抽出する空間周波数成分を適宜変えることによって、例えば、血管径1mm~2mmに対応する特徴分離画像、血管径2mm~3mmに対応する特徴分離画像・・・のように、異なる血管径に対応する複数の特徴分離画像が得られる。また、ヘッセ行列の固有値解析による線強調処理を血流画像に適用することによって、所望の太さの血管状(線状、柱状)の
構造体の輝度やコントラストを選択的に強調することで、所望の血管径に対応する画像特徴が強調された特徴分離画像を生成してもよい。この場合も、線強調処理によって強調する太さを適宜変えることによって、異なる血管径に対応する複数の特徴分離画像を生成することができる。また、テンプレートマッチングなどの類似度探索処理を利用してもよい。例えば、所望の太さの血管パターンのテンプレート画像を用いて血流画像全体を探索することによって類似度マップ(局所領域ごとのテンプレート画像との類似度を表す2次元マップ)を生成する。この類似度マップは、テンプレート画像の血管径に対応する画素ほど大きな係数が設定された2次元画像フィルタとみなすことができる。したがって、類似度マップを血流画像に乗算することにより、テンプレート画像の血管径に対応する画像特徴が強調された特徴分離画像を得ることができる。この場合は、血管径の異なる複数のテンプレート画像を用意することによって、異なる血管径に対応する複数の特徴分離画像を生成することができる。ここで挙げた方法以外でも、血管の太さや形状に対応する画像特徴を選択的に強調ないし抽出する方法であれば、どのような方法を用いて特徴分離画像を生成してもよい。
【0075】
「時間的変化および空間的構造」すなわち「流速および形状」の2つの画像特徴に基づいて特徴分離画像を生成してもよい。例えば、複数フレームの血流画像のうちの一部のフレームに対して、各画素の画素値の時間方向および画像内の空間方向の両方に離散フーリエ変換(3次元離散フーリエ変換)を行う。そして、所望の流速範囲に対応し、かつ、所望の血管径に対応する空間周波数成分のみを抽出し、逆フーリエ変換することによって、所望の流速範囲かつ所望の血管径に対応する画像特徴をもつ特徴分離画像を生成することができる。抽出する空間周波数成分を適宜変えることによって、流速範囲と血管径の組み合わせが異なる複数の特徴分離画像を得ることができる。あるいは、複数フレームの血流画像のうちの一部のフレームの個々のフレームを1次元ベクトルに変換し、各フレームを列方向に並べた行列データに対して、特異値分解を用いることでも実現することができる。これにより、空間的に異なる大きさの血管をさらに流速範囲の異なる画像に分割することができる。
【0076】
血流の方向に関連する画像特徴に注目して特徴分離画像を生成してもよい。ドプラ法による血流画像に加えて、ベクトルドプラ法、スペックルトラッキング法、Vector Flow Mapping法などの手法を用いることにより、画像内の座標ごとの速度ベクトルを求める。この速度ベクトルの向きは血流の方向を表す。所望の血流方向に対応する特徴分離画像を生成するには、例えば、所望の血流方向と座標ごとの速度ベクトルとの一致度を示す一致度マップを生成する。この一致度マップは、所望の血流方向に近い速度ベクトルをもつ座標ほど大きな係数が設定された2次元画像フィルタとみなすことができる。したがって、一致度マップを血流画像に乗算することにより、所望の血流方向に対応する画像特徴が強調された特徴分離画像を得ることができる。血流方向ごとに一致度マップを生成し、血流画像に乗算することによって、異なる血流方向に対応する複数の特徴分離画像を生成することができる。
【0077】
超解像処理部207は、S750で生成した複数の特徴分離画像のそれぞれから特徴点を抽出する(S760)。第1の実施形態では対象が変形補正した血流画像であったのに対して、第2の実施形態では血流画像から生成された特徴分離画像を対象とする。特徴点の抽出範囲の決定方法は第1の実施形態と同様でよいが、特徴分離画像ごとに適切な抽出範囲が決定される。
【0078】
最後に、超解像処理部207は、多数の特徴分離画像からそれぞれ抽出された特徴点の画素値を積算することによって超解像血流画像を生成する(S760)。超解像処理部207は、生成した超解像血流画像を表示装置108上に表示する。
【0079】
信号記憶部202に保存された全てのフレームの血流画像から生成した全ての特徴分離画像を特徴点抽出及び積算処理に用いて1枚の超解像血流画像を生成してもよいし、一部の時間範囲のフレームのみを超解像血流画像の生成に用いてもよい。後者の場合、超解像血流画像の生成に用いる時間範囲をユーザーに選択させてもよい。また、超解像血流画像の生成に用いる時間範囲を順にずらしながら、時系列の複数枚の超解像血流画像を生成してもよい。さらに、複数枚の超解像血流画像を順に表示装置108に表示することによって、超解像血流画像の動画表示を行ってもよい。あるいは、複数枚の超解像血流画像を表示装置108に並べて表示することによって、経時的な変化を比較できるようにしてもよい。
【0080】
異なる画像特徴に対応する複数の特徴分離画像から抽出された全ての特徴点を単純に積算してもよいし、一部の特徴点のみを選択して積算してもよいし、あるいは、画像特徴に応じた重みを付けて積算してもよい。例えば、流速範囲の異なる複数の特徴分離画像から抽出された全ての特徴点を単純に積算すれば、流速の遅い血管から流速の早い血管まで全ての血管(血流)を画像化することができる。ある特定の流速範囲に対応する特徴分離画像の特徴点のみ選択するか、又は、その特徴点の重みを大きくしたうえで積算すれば、その特定の流速範囲の血管が強調された画像を得ることができる。積算に用いる画像特徴(特徴分離画像)の範囲や画像特徴に応じた重みを任意に選択ないし設定させるためのGUIをユーザーに提供してもよい。このようなGUIを用いることにより、観察したい対象(血管の太さ、形状、流速、方向など)に応じて適切な超解像血流画像を生成することができる。
【0081】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、変形補正を血流画像ではなく受信信号に適用する。変形補正後の受信信号から血流画像を生成し、その血流画像を超解像処理に利用することによって、高解像かつ高品質な超解像血流画像を生成することができる。
【0082】
装置構成は第1の実施形態と同じでよい。図11を参照して、第3の実施形態による超解像血流画像を取得するための処理フローを説明する。S910からS930までの処理は、第1の実施形態のS310からS330と同様である。すなわち、第3の実施形態においても、変形量算出部205は、フレーム間での体動などによって生じる血管領域の変形量を血流画像から算出する(S930)。変形量の算出で用いる血流画像は平均化前もしくは平均化後のどちらでもよいが、平均化後の血流画像の方が血流構造のSNRが良く、変形量算出の精度は高くなる。変形量の具体的な算出方法は第1の実施形態で述べた通りである。
【0083】
次に、変形補正部206が、S930で血流画像から算出された変形量に基づいて、その血流画像に対応する受信信号を補正する(S940)。具体的な補正方法は第1の実施形態で述べたものと同じでよく、剛体位置合わせによる補正、非剛体位置合わせによる補正、学習済モデルによる補正のいずれを用いてもよい。
【0084】
次に、ドプラ処理部204が、変形補正した受信信号からクラッタを除去して複数の血流画像を生成する(S950)。血流画像の生成方法は、第1の実施形態で述べたものと同じでよい。
【0085】
変形補正した受信信号から血流画像を生成する際のフレームの設定方法を図12に示す。MTIフィルタのパラメータ(カットオフ周波数、取り出すフレームのパケット数・重複数など)は、受信信号の性質、測定対象の被検体などに応じて、自動又はユーザーにより調整可能であるとよい。MTIフィルタのパラメータは、S920とS950で同じでもよいし、変更してもよい。一般に、MTIフィルタのパケット数が多い方が(つまり観
測時間が長いほうが)低流速の血流まで観測できるようになるが、パケット内のフレーム間で体動などの影響で画像位置がずれてしまうとMTIフィルタの性能は低下する。したがって、図12に示すようにS920よりもS950の方がMTIフィルタのパケット数を多くすることが望ましい。すなわち、変形補正前の受信信号は、フレーム間で体動などの影響を含んでいる可能性が高いので、S920ではパケット数を少なく設定する。他方、変形補正後の受信信号では体動などの影響は補正できているのでパケット数を多く設定して低流速の血流まで観測できるようにする。これにより、血流の描出能が向上する。
【0086】
超解像処理部207は、S950で生成した複数フレームの血流画像のそれぞれから特徴点を抽出する(S960)。特徴点の抽出範囲の決定方法は第1の実施形態と同様でよい。また、特徴点を抽出する血流画像も、第1の実施形態と同様に平均化前もしくは平均化後のどちらでもよいが、平均化前の血流画像の方が血流内の画素値差が大きいので、特徴点を抽出しやすい。
【0087】
最後に、超解像処理部207は、多数のフレームの血流画像からそれぞれ抽出された特徴点の画素値を積算することによって超解像血流画像を生成する(S970)。超解像処理部207は、生成した超解像血流画像を表示装置108上に表示する。
【0088】
このようにして、変形量の補正と血流の抽出それぞれに適したMTIフィルタを設定することで、精度よく解像度を向上した超解像血流画像を生成することができる。
【0089】
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、第3の実施形態と同様に血管の位置合わせ(変形補正)を血流画像ではなく受信信号に適用し、補正した受信信号に対してMTIフィルタを適用して血流画像を生成する。その後、第2の実施形態と同様に、血流画像から複数の特徴分離画像を生成し、それぞれの特徴分離画像から特徴点を抽出する。すなわち、第4の実施形態は、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせたものである。
【0090】
装置構成は第1の実施形態と同じでよい。図13を参照して、第4の実施形態による超解像血流画像を取得するための処理フローを説明する。S1110からS1150までの処理は、第3の実施形態のS910からS950と同様である。超解像処理部207は、S1150で生成した複数フレームの血流画像のそれぞれから、互いに画像特徴が異なる複数の特徴分離画像を生成する(S1160)。変形補正した受信信号による血流画像から複数の特徴分離画像を生成する際のフレームの設定方法を図14に示す。受信信号に対して変形補正を行った後に、MTIフィルタを適用して血流画像が生成され、各血流画像から複数の特徴分離画像が生成される。特徴分離画像の生成方法は第2の実施形態と同様でよい。
【0091】
超解像処理部207は、S1160で生成した複数の特徴分離画像のそれぞれから特徴点を抽出する(S1170)。特徴点の抽出範囲の決定方法は第1及び第2の実施形態と同様でよい。
【0092】
最後に、超解像処理部207は、多数の特徴分離画像からそれぞれ抽出された特徴点の画素値を積算することによって超解像血流画像を生成する(S1180)。超解像処理部207は、生成した超解像血流画像を表示装置108上に表示する。本実施形態においても、第2の実施形態と同じように、積算に用いるフレームを適宜選択したり、積算に用いる画像特徴の範囲や積算時の重みを適宜設定してもよい。
【0093】
このようにして、変形量の補正と血流の抽出それぞれに適したMTIフィルタを設定し、複数フレームの血流画像から広範囲の流速や太さの血流を抽出することで、解像度を向
上した超解像血流画像を生成することができる。
【0094】
<その他の実施形態>
上述した実施形態は本発明の具体例を示すものにすぎない。本発明の範囲は上述した実施形態の構成に限られることはなく、その要旨を変更しない範囲のさまざまな実施形態を採ることができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0095】
また、開示の技術は例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体(記憶媒体)等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェイス機器、撮像装置、webアプリケーション等)から構成されるシステムに適用しても良いし、また、1つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0096】
また、本発明の目的は、以下のようにすることによって達成されることはいうまでもない。すなわち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコード(ンピュータプログラム)を記録した記録媒体(または記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給する。かかる記憶媒体は言うまでもなく、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0097】
本明細書の開示は、以下の構成、方法、プログラムを含む。
【0098】
(構成1)
生体内で反射した超音波信号に基づいて、組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データを取得する第一取得部と、
前記測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得する第二取得部と、
前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成する生成部と、を有する超音波診断装置。
【0099】
(構成2)
前記第二取得部は、前記血流データにおける血管領域に基づいて前記変形量を取得する、
構成1に記載の超音波診断装置。
【0100】
(構成3)
前記第二取得部は、前記血流データにおける血管領域の位置もしくは形状に基づいて前記変形量を取得する、
構成2に記載の超音波診断装置。
【0101】
(構成4)
前記第二取得部は、複数フレームの血流データのうち血流由来の情報を最も多く含むフレームを基準フレームに選択し、前記基準フレームの血流データにおける血管領域を基準として他のフレームの前記変形量を算出する、
構成2に記載の超音波診断装置。
【0102】
(構成5)
前記第二取得部は、血流データを入力するとその血流データの変形量を出力するように訓練された学習済モデルを用いることにより、前記変形量を取得する、
構成1に記載の超音波診断装置。
【0103】
(構成6)
前記生成部は、血管領域を非剛体とし、非剛体位置合わせを用いてフレーム間の位置合わせを行う、
構成1~構成5のいずれかに記載の超音波診断装置。
【0104】
(構成7)
前記血流データは、前記測定データに対し組織由来のクラッタ成分を低減することにより得られるデータである、
構成1~構成6のいずれかに記載の超音波診断装置。
【0105】
(構成8)
前記第二取得部は、2以上のフレームの前記血流データを平均化した、平均化後の血流データから前記変形量を取得する、
構成1~構成7のいずれかに記載の超音波診断装置。
【0106】
(構成9)
前記生成部は、血流由来の情報を画素値としてもつ複数フレームの画像のそれぞれから所定の抽出範囲の画素値をもつ画素を前記特徴点として抽出する、
構成1~構成8のいずれかに記載の超音波診断装置。
【0107】
(構成10)
前記生成部は、前記抽出範囲を、前記画像の最大画素値に応じて設定する、
構成9に記載の超音波診断装置。
【0108】
(構成11)
前記生成部は、前記画像を複数の局所領域に分け、前記局所領域ごとの最大画素値に応じて前記局所領域ごとに前記抽出範囲を設定する、
構成9又は構成10に記載の超音波診断装置。
【0109】
(構成12)
前記生成部は、前記画像を複数の局所領域に分け、前記局所領域ごとの体表からの深さに応じて前記局所領域ごとに前記抽出範囲を設定する、
構成9~構成11のいずれかに記載の超音波診断装置。
【0110】
(構成13)
前記生成部は、前記複数フレームの画像から前記特徴点として抽出された画素群からノイズを除去し、ノイズ除去後の画素群を合成することによって前記表示画像データを生成する、
構成9~構成12のいずれかに記載の超音波診断装置。
【0111】
(構成14)
前記生成部は、前記複数フレームの画像をアップコンバートし、アップコンバートした画像から前記特徴点を抽出する、
構成9~構成13のいずれかに記載の超音波診断装置。
【0112】
(構成15)
前記生成部は、前記複数フレームの画像に対し前記変形量に基づく位置合わせのための補正を行い、補正した前記複数フレームの画像のそれぞれから前記特徴点を抽出する、
構成9~構成14のいずれかに記載の超音波診断装置。
【0113】
(構成16)
前記生成部は、複数フレームの測定データに対し前記変形量に基づく位置合わせのための補正を行い、補正した前記複数フレームの測定データに基づいて血流由来の情報を画素値としてもつ前記複数フレームの画像を生成し、生成した前記複数フレームの画像のそれぞれから前記特徴点を抽出する、
構成9~構成14のいずれかに記載の超音波診断装置。
【0114】
(構成17)
前記生成部は、前記複数フレームの画像のそれぞれから互いに画像特徴が異なる複数の特徴分離画像を生成し、前記複数の特徴分離画像のそれぞれから前記特徴点を抽出する、構成15又は構成16に記載の超音波診断装置。
【0115】
(構成18)
前記画像特徴は、血流の流速に関連する画像特徴、血管の形状又は太さに関連する画像特徴、及び、血流の方向に関連する画像特徴のうち少なくともいずれかの画像特徴を含む、
構成17に記載の超音波診断装置。
【0116】
(構成19)
前記生成部は、前記表示画像データを生成する際に、前記複数の特徴分離画像のそれぞれから抽出された前記特徴点を前記画像特徴に応じた重みを付けて合成する、
構成17又は構成18に記載の超音波診断装置。
【0117】
(構成20)
生体における組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得し、
前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成する生成部、
を有する医用情報処理装置。
【0118】
(方法21)
コンピュータによる情報処理方法であって、
生体内で反射した超音波信号に基づいて、組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データを取得することと、
前記測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得することと、
前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成することと、
を含む情報処理方法。
【0119】
(プログラム22)
生体内で反射した超音波信号に基づいて、組織由来の情報と血流由来の情報を含む測定データを取得することと、
前記測定データの前記血流由来の情報を抽出又は強調した血流データに基づいて、複数フレーム間の変形量を取得することと、
前記血流由来の情報の中の特徴点を、前記変形量に基づきフレーム間の位置合わせをしたうえで、複数フレーム分合成することによって、表示画像データを生成することと、
を含む情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0120】
1:超音波診断装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14