(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011644
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】計算機システム及び情報の取得方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/30 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
G06F11/30 155
G06F11/30 140A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113871
(22)【出願日】2023-07-11
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】524132520
【氏名又は名称】日立ヴァンタラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中島 淳
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042MA08
5B042MC22
5B042MC33
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】複数の基盤上に構築されたサービス提供システムを一元管理するために必要な管理情報を取得する。
【解決手段】計算機システムは複数の基盤と接続する。基盤には、サービス提供システムが構築可能であって、サービス提供システムは、提供するサービスに関するサービス管理情報を保持する。計算機システムは、監視対象のサービス提供システム、監視項目、監視項目に対応する情報を生成するために用いるサービス管理情報、及び取得ルートを含む取得ルートデータを格納する取得ルート管理情報を保持し、使用できる取得ルートの確認契機を検知した場合、使用できない前記取得ルートを特定して、前記取得ルート管理情報に結果を反映し、サービス管理情報の取得契機を検知した場合、取得ルート管理情報を参照して、取得ルートを選択し、サービス管理情報を取得する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基盤と接続する計算機システムであって、
前記基盤には、サービスを提供するサービス提供システムが構築可能であって、
前記サービス提供システムは、自サービス提供システムが提供する前記サービスに関するサービス管理情報及び他サービス提供システムが提供する前記サービスに関するサービス管理情報の少なくともいずれかを保持し、一つ以上のAPIを提供し、
前記計算機システムは、監視対象の前記サービス提供システムの識別情報、監視項目の識別情報、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報の識別情報、及び当該サービス管理情報の取得ルートを含む取得ルートデータを格納する取得ルート管理情報を保持し、
前記取得ルートは、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報を格納する前記サービス提供システム及び前記APIの識別情報の組みによって定義され、
前記計算機システムは、
使用できる前記取得ルートの確認契機を検知した場合、前記取得ルート管理情報を参照して、使用できない前記取得ルートを特定して、前記取得ルート管理情報に結果を反映し、
前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報の取得契機を検知した場合、前記取得ルート管理情報を参照して、当該サービス管理情報を取得するために使用可能な前記取得ルートを特定し、
特定された前記取得ルートの中から一つの前記取得ルートを選択し、
選択された前記取得ルートを介して、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報を取得することを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記サービス提供システムの障害発生、負荷増大、サービスレベルの低下、及びメンテナンス実施のいずれかを前記確認契機として検知した場合、当該サービス提供システムの識別情報を含む前記取得ルートデータに対応する前記取得ルートを、使用できない前記取得ルートとして特定し、
前記サービス管理情報の取得失敗を前記確認契機として検知した場合、当該サービス管理情報を格納する前記サービス提供システム及び当該サービス管理情報を取得するために用いたAPIの識別情報の組を含む前記取得ルートデータに対応する前記取得ルートを、使用できない前記取得ルートとして特定することを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記計算機システムは、使用できない前記取得ルートに対応する前記取得ルートデータに、前記取得ルートを使用できないことを示すフラグを付与することを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
請求項1に記載の計算機システムであって、
監視対象の前記サービス提供システムの種別、前記監視項目の種別、前記サービス管理情報の種別、前記サービス管理情報を格納する前記サービス提供システムの種別、及び前記サービス管理情報を取得するために用いる前記APIの種別から構成される、前記取得ルートデータのテンプレートを格納するテンプレート管理情報を保持し、
前記サービス提供システムの構成情報及び前記テンプレートを用いて、前記取得ルートデータを生成することを特徴とする計算機システム。
【請求項5】
請求項4に記載の計算機システムであって、
監視対象の前記サービス提供システムの前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報を取得するために使用可能な前記取得ルートが存在しない場合、前記テンプレート管理情報を参照して、当該サービス提供システム及び当該監視項目の種別を含む前記テンプレートを検索し、
検索された前記テンプレートと、監視対象の前記サービス提供システム及び前記監視項目の識別情報を含む前記取得ルートデータとを比較することによって、使用されていない前記テンプレートを特定し、
特定された前記テンプレートを出力することを特徴とする計算機システム。
【請求項6】
複数の基盤と接続する計算機システムが実行する情報の取得方法であって、
前記基盤には、サービスを提供するサービス提供システムが構築可能であって、
前記サービス提供システムは、自サービス提供システムが提供する前記サービスに関するサービス管理情報及び他サービス提供システムが提供する前記サービスに関するサービス管理情報の少なくともいずれかを保持し、一つ以上のAPIを提供し、
前記計算機システムは、監視対象の前記サービス提供システムの識別情報、監視項目の識別情報、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報の識別情報、及び当該サービス管理情報の取得ルートを含む取得ルートデータを格納する取得ルート管理情報を保持し、
前記取得ルートは、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報を格納する前記サービス提供システム及び前記APIの識別情報の組みによって定義され、
前記情報の取得方法は、
使用できる前記取得ルートの確認契機を検知した場合、前記計算機システムが、前記取得ルート管理情報を参照して、使用できない前記取得ルートを特定し、前記取得ルート管理情報に結果を反映する第1のステップと、
前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報の取得契機を検知した場合、前記計算機システムが、前記取得ルート管理情報を参照して、当該サービス管理情報を取得するために使用可能な前記取得ルートを特定する第2のステップと、
前記計算機システムが、特定された前記取得ルートの中から一つの前記取得ルートを選択する第3のステップと、
前記計算機システムが、選択された前記取得ルートを介して、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報を取得する第4のステップと、を含むことを特徴とする情報の取得方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報の取得方法であって、
前記第1のステップは、
前記サービス提供システムの障害発生、負荷増大、サービスレベルの低下、及びメンテナンス実施のいずれかを前記確認契機として検知した場合、前記計算機システムが、当該サービス提供システムの識別情報を含む前記取得ルートデータに対応する前記取得ルートを、使用できない前記取得ルートとして特定するステップと、
前記サービス管理情報の取得失敗を前記確認契機として検知した場合、前記計算機システムが、当該サービス管理情報を格納する前記サービス提供システム及び当該サービス管理情報を取得するために用いたAPIの識別情報の組を含む前記取得ルートデータに対応する前記取得ルートを、使用できない前記取得ルートとして特定するステップと、を含むことを特徴とする情報の取得方法。
【請求項8】
請求項6に記載の情報の取得方法であって、
前記第1のステップは、前記計算機システムが、特定された前記取得ルートに対応する前記取得ルートデータに、前記取得ルートを使用できないことを示すフラグを付与するステップを含むことを特徴とする情報の取得方法。
【請求項9】
請求項6に記載の情報の取得方法であって、
前記計算機システムは、監視対象の前記サービス提供システムの種別、前記監視項目の種別、前記サービス管理情報の種別、前記サービス管理情報を格納する前記サービス提供システムの種別、及び前記サービス管理情報を取得するために用いる前記APIの種別から構成される、前記取得ルートデータのテンプレートを格納するテンプレート管理情報を保持し、
前記情報の取得方法は、前記計算機システムが、前記サービス提供システムの構成情報及び前記テンプレートを用いて、前記取得ルートデータを生成するステップを含むことを特徴とする情報の取得方法。
【請求項10】
請求項9に記載の情報の取得方法であって、
監視対象の前記サービス提供システムの前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報を取得するために使用可能な前記取得ルートが存在しない場合、前記計算機システムが、前記テンプレート管理情報を参照して、当該サービス提供システム及び当該監視項目の種別を含む前記テンプレートを検索するステップと、
前記計算機システムが、検索された前記テンプレートと、監視対象の前記サービス提供システム及び前記監視項目の識別情報を含む前記取得ルートデータとを比較することによって、使用されていない前記テンプレートを特定するステップと、
前記計算機システムが、特定された前記テンプレートを出力するステップと、を含むことを特徴とする情報の取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基盤に構築されたサービス提供システムを一元管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
サービスを提供するために複数の基盤を用いる運用が広がっている。複数の基盤にサービス提供システムを構築した場合、管理が複雑になるという問題がある。そのため、複数の基盤に構築されたサービス提供システムを一元管理するサービス(管理サービス)が登場している。
【0003】
管理サービスは、各基盤からサービス提供システムの性能等に関する管理情報を取得し、管理情報を用いて複数のサービス提供システムを一元管理する。サービス提供システムに障害が発生した場合、管理情報を取得できなくなる。これに対して、サービス提供システムを冗長化することによって、前述の課題に対処することができる。サービス提供システムの冗長化技術として、例えば、特許文献1が知られている。基盤にアクセスするための通信経路に障害が発生した場合も管理情報を取得できなくなる。これに対して、通信経路を冗長化することによって、前述の課題に対処することができる。通信経路の冗長化技術として、例えば、特許文献2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-260072号公報
【特許文献2】特開2013-162308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
管理情報を取得できなくなる原因は多種多様であり、従来技術では全てに対応することは難しい。本発明は、複数の基盤にサービス提供システムが構築される特性を活用して、複数の基盤に構築されたサービス提供システムを一元管理するために必要な管理情報を取得するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、複数の基盤と接続する計算機システムであって、前記基盤には、サービスを提供するサービス提供システムが構築可能であって、前記サービス提供システムは、自サービス提供システムが提供する前記サービスに関するサービス管理情報及び他サービス提供システムが提供する前記サービスに関するサービス管理情報の少なくともいずれかを保持し、一つ以上のAPIを提供し、前記計算機システムは、監視対象の前記サービス提供システムの識別情報、監視項目の識別情報、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報の識別情報、及び当該サービス管理情報の取得ルートを含む取得ルートデータを格納する取得ルート管理情報を保持し、前記取得ルートは、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報を格納する前記サービス提供システム及び前記APIの識別情報の組みによって定義され、前記計算機システムは、使用できる前記取得ルートの確認契機を検知した場合、前記取得ルート管理情報を参照して、使用できない前記取得ルートを特定して、前記取得ルート管理情報に結果を反映し、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報の取得契機を検知した場合、前記取得ルート管理情報を参照して、当該サービス管理情報を取得するために使用可能な前記取得ルートを特定し、特定された前記取得ルートの中から一つの前記取得ルートを選択し、選択された前記取得ルートを介して、前記監視項目に対応する情報を生成するために用いる前記サービス管理情報を取得する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の基盤に構築されたサービス提供システムを一元管理するために必要な管理情報を取得できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1のシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施例1の管理システムを構成する計算機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】実施例1のシステムにおけるサービスの具体例を示す図である。
【
図4】実施例1のテンプレート管理情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】実施例1の取得ルート管理情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】実施例1の管理システムが実行する取得ルートデータ生成処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図7】実施例1の管理システムが実行するサービス管理情報取得処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】実施例1の管理システムが実行する取得ルート確認処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0010】
以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数又は順序を限定するものではない。
【実施例0012】
図1は、実施例1のシステムの構成の一例を示す図である。
図2は、実施例1の管理システムを構成する計算機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0013】
システムは、管理システム100及び複数の基盤101を含む。管理システム100は、WAN(Wide Area Network)及びLAN(Local Area Network)等のネットワーク102を介して、複数の基盤101と接続する。
【0014】
基盤101は、サービスを提供するサービス提供システムを構築するための環境を提供する。基盤101は、オンプレミス型の基盤及びクラウド型の基盤のいずれでもよい。サービス提供システムは、計算機等の物理的な要素から構成されてもよいし、仮想計算機等の仮想的な要素から構成されてもよい。
【0015】
管理システム100は、基盤101に構築されたサービス提供システムを一元管理する。管理システム100は、例えば、
図2に示す計算機200から構成される。計算機200は、プロセッサ201、主記憶装置202、副記憶装置203、及びネットワークインタフェース204を備える。プロセッサ201は、主記憶装置202に格納されるプログラムにしたがって処理を実行することによって、特定の機能を実現する機能部(モジュール)として動作する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、プロセッサ201が当該機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。
【0016】
管理システム100は、サービス監視部110、サービス管理情報取得部111、取得ルート選択部112、及び取得ルートデータ生成部113を有し、また、テンプレート管理情報120、構成管理情報121、及び取得ルート管理情報122を保持する。
【0017】
構成管理情報121は、基盤101に構築されたサービス提供システムの構成を管理するための情報である。取得ルート管理情報122は、サービス提供システムの稼働状態及び処理性能等を監視するために用いるサービス管理情報の取得ルートを管理するための情報である。テンプレート管理情報120は、取得ルート管理情報122を設定するために用いるテンプレートを管理するための情報である。
【0018】
サービス監視部110は、サービス提供システムの監視を行う。例えば、サービス監視部110は、サービス管理情報に基づいて、サービス提供システムの状態を把握し、性能の劣化、障害発生、サービスレベルの低下、及びメンテナンスの実施等を監視する。サービス管理情報取得部111は、サービス提供システムからサービス管理情報を取得する。取得ルート選択部112は、サービス管理情報を取得するための取得ルートを選択する。取得ルートデータ生成部113は、テンプレートを用いて取得ルート管理情報122を生成する。
【0019】
なお、管理システム100は、いずれかの基盤101に含まれてもよい。
【0020】
図3は、実施例1のシステムにおけるサービスの具体例を示す図である。
【0021】
基盤(1)101は、例えば、オンプレミス型の基盤であり、管理サーバ300及びストレージシステム310を含む。管理サーバ300及びストレージシステム310はサービス提供システムの一例である。
【0022】
管理サーバ300は、ボリュームを提供するストレージシステム310を管理し、ストレージシステム310の性能等に関するデータを格納するサービス管理情報301を保持する。また、管理サーバ300は、管理システム100がアクセスするためのAPI(1)302を提供する。
【0023】
ストレージシステム310は、ボリュームを提供する。ストレージシステム310は、ストレージシステム310の性能等に関するデータを格納するサービス管理情報311を保持する。また、ストレージシステム310は、管理システム100がアクセスするためのAPI(2)312と、ボリュームを使用するユーザがアクセスするためのAPI(3)313とを提供する。
【0024】
基盤(2)101は、例えば、クラウド型の基盤であり、SDS(Software Defined Storage)320及びログ管理システム340を含む。SDS320及びログ管理システム340はサービス提供システムの一例である。
【0025】
SDS320は、ボリュームを提供する。SDS320は、サーバ330及びストレージボリューム331から構成される。サーバ330は、管理システム100及びログ管理システム340がアクセスするためのAPI(4)332を提供する。SDS320は、SDS320の性能等に関するデータを格納するサービス管理情報321を保持する。また、SDS320は、管理サーバ300がアクセスするためのAPI(5)322と、管理システム100がアクセスするためのAPI(6)323とを提供する。
【0026】
ログ管理システム340は、SDS320の稼働状態及び性能等のログを管理する。ログ管理システム340は、SDS320の性能等に関するデータを格納するサービス管理情報341を保持する。また、ログ管理システム340は、管理システム100がアクセスするためのAPI(7)342を提供する。
【0027】
図3で示した基盤101及び基盤101上のシステムは一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0028】
図4は、実施例1のテンプレート管理情報120のデータ構造の一例を示す図である。
【0029】
テンプレート管理情報120は、対象システム401、監視項目402、サービス管理情報403、格納場所404、取得API405、及び優先度406を含むエントリを格納する。一つのエントリが一つのテンプレートに対応する。
【0030】
対象システム401は、監視対象のサービス提供システムの種別を格納するフィールドである。監視項目402は、監視対象のサービス提供システムの監視項目の種別を格納するフィールドである。
【0031】
サービス管理情報403は、監視項目に対応する情報を生成するために用いるサービス管理情報の種別を格納するフィールドである。「<ユーザ指定>」はユーザが指定する識別情報であることを示す。管理システム100は、サービス管理情報を用いて監視項目に対応する情報を生成する。例えば、管理システム100は、サービス管理情報そのものを監視項目に対応する情報として生成し、また、サービス管理情報に対して統計処理又は変換処理等を実行することによって監視項目に対応する情報を生成する。
【0032】
格納場所404は、サービス管理情報を格納するサービス提供システムの種別を格納するフィールドである。取得API405は、サービス管理情報を取得するために用いるAPIの種別を格納するフィールドである。
【0033】
優先度406は、テンプレートを用いて生成された取得ルートデータの選択順位を表す優先度を格納するフィールドである。本実施例では、「1」に近い取得ルートデータが優先的に選択されるものとする。
【0034】
図5は、実施例1の取得ルート管理情報122のデータ構造の一例を示す図である。
【0035】
取得ルート管理情報122は、対象システム501、監視項目502、サービス管理情報503、格納場所504、取得API505、優先度506、及びフラグ507を含むエントリを格納する。一つのエントリが一つの取得ルートデータに対応する。
【0036】
対象システム501は、監視対象のサービス提供システムの識別情報を格納するフィールドである。監視項目502は、監視項目の識別情報を格納するフィールドである。
【0037】
サービス管理情報503は、監視項目に対応する情報を生成するために用いるサービス管理情報の識別情報を格納するフィールドである。格納場所504は、サービス管理情報を格納するサービス提供システムの識別情報を格納するフィールドである。取得API505は、サービス管理情報を取得するために用いるAPIの識別情報を格納する。格納場所504及び取得API505は、サービス管理情報の取得ルートを定義する情報である。
【0038】
優先度506は優先度406と同一のフィールドである。フラグ507は、取得ルートデータに対応する取得ルートを使用できるか否かを示すフラグを格納するフィールドである。フラグ507には、取得ルートを使用できることを表す「0」及び取得ルートを使用できないことを表す「1」のいずれかが格納される。各エントリのフラグ507には初期値として「0」が設定される。
【0039】
図6は、実施例1の管理システム100が実行する取得ルートデータ生成処理の一例を説明するフローチャートである。
【0040】
取得ルートデータ生成部113は、サービス提供システムの構成を示す構成データの登録又は更新を受け付けた場合、以下で説明する処理を実行する。
【0041】
取得ルートデータ生成部113は、構成データを構成管理情報121に格納した後、テンプレートのループ処理を開始する(ステップS101)。具体的には、取得ルートデータ生成部113は、テンプレート管理情報120から一つのテンプレート(エントリ)を選択する。
【0042】
取得ルートデータ生成部113は、構成データから、テンプレートの対象システム401、監視項目402、サービス管理情報403、格納場所404、及び取得API405に対応する値を抽出し(ステップS102)、取得ルートデータを生成できるか否かを判定する(ステップS103)。テンプレートの対象システム401、監視項目402、サービス管理情報403、格納場所404、及び取得API405の少なくとも一つについて値を取得できない場合、取得ルートデータは生成されない。
【0043】
取得ルートデータを生成できない場合、取得ルートデータ生成部113はステップS105に進む。取得ルートデータを生成できる場合、取得ルートデータ生成部113は、取得ルートデータを生成し、取得ルート管理情報122に登録する(ステップS104)。その後、取得ルートデータ生成部113はステップS105に進む。
【0044】
ステップS105では、取得ルートデータ生成部113は、全てのテンプレートについて処理が完了したか否かを判定する(ステップS105)。
【0045】
全てのテンプレートについて処理が完了していない場合、取得ルートデータ生成部113はステップS101に戻る。全てのテンプレートについて処理が完了した場合、取得ルートデータ生成部113は取得ルートデータ生成処理を終了する。
【0046】
図7は、実施例1の管理システム100が実行するサービス管理情報取得処理の一例を説明するフローチャートである。
【0047】
サービス管理情報取得部111は、管理サービス管理情報の取得契機を検知した場合、以下で説明する処理を実行する。なお、取得するサービス管理情報を指定する情報として、監視対象のサービス提供システム及び監視項目の識別情報が入力される。
【0048】
サービス管理情報取得部111は、取得ルート管理情報122を参照して、監視対象のサービス提供システム及び監視項目の識別情報の組みに対応するサービス管理情報を特定する(ステップS201)。
【0049】
具体的には、サービス管理情報取得部111は、対象システム501及び監視項目502の値の組みが、監視対象のサービス提供システムの及び監視項目の識別情報の組みに一致する取得ルートデータ(エントリ)を検索する。
【0050】
サービス管理情報取得部111は、特定されたサービス管理情報を取得可能な取得ルートを特定する(ステップS202)。
【0051】
具体的には、サービス管理情報取得部111は、ステップS201において検索された取得ルートデータの中からフラグ507が「0」の取得ルートデータを抽出する。
【0052】
サービス管理情報取得部111は、特定された取得ルートの中から使用する取得ルートを選択する(ステップS203)。
【0053】
具体的には、サービス管理情報取得部111は、抽出された取得ルートデータの優先度506の値に基づいて、一つの取得ルートデータを選択する。本実施例では、優先度506の値が最も1に近い取得ルートデータが選択される。なお、サービス管理情報取得部111は、優先度の他に、取得先のサービス提供システムの負荷及びサービスレベル(性能、可用性)等を考慮して取得ルートを選択してもよい。
【0054】
サービス管理情報取得部111は、選択された取得ルートを介して、サービス管理情報を取得する(ステップS204)。
【0055】
図8は、実施例1の管理システム100が実行する取得ルート確認処理の一例を説明するフローチャートである。
【0056】
取得ルート選択部112は、取得ルートの使用可否の確認を行う契機を検知した場合、以下で説明する処理を実行する。実行契機としては、サービス管理情報の取得失敗、及び、サービス提供システムの障害発生、負荷増大、サービスレベルの低下、又はメンテナンス実施等が考えられる。
【0057】
取得ルート選択部112は、使用できない取得ルートを特定する(ステップS301)。
【0058】
例えば、サービス管理情報の取得失敗が実行契機である場合、取得ルート選択部112は、取得ルート管理情報122を参照し、格納場所504及び取得API505の値の組みが、サービス管理情報の取得時に使用した値の組みと一致するエントリを検索する。
【0059】
例えば、サービス提供システムの障害発生、負荷増大、サービスレベルの低下、又はメンテナンス実施が実行契機である場合、取得ルート選択部112は、取得ルート管理情報122を参照し、格納場所504に、当該サービス提供システムに関連する値が格納されるエントリを検索する。
【0060】
なお、監視項目に予め重要度を設定しておき、必須の監視項目に関連する取得ルートのみを特定するようにしてもよい。
【0061】
取得ルート選択部112は、特定された取得ルートに対応する取得ルートデータに、取得ルートを使用できないことを示すフラグを設定する(ステップS302)。具体的には、フラグ507に「1」が設定される。
【0062】
取得ルート選択部112は、監視対象のサービス提供システム及び監視項目の組みのループ処理を開始する(ステップS303)。
【0063】
取得ルート選択部112は、監視対象のサービス提供システム及び監視項目の組みに対応する取得ルートが全て使用不可であるか否かを判定する(ステップS304)。
【0064】
監視対象のサービス提供システム及び監視項目の組みに対応する取得ルートの中に、使用可能な取得ルートが少なくとも一つ存在する場合、取得ルート選択部112はステップS306に進む。
【0065】
監視対象のサービス提供システム及び監視項目の組みに対応する取得ルートが全て使用不可である場合、取得ルート選択部112は、推奨構成データを生成し、出力する(ステップS305)。その後、取得ルート選択部112はステップS306に進む。ステップS305では、以下のような処理が実行される。
【0066】
(S305-1)取得ルート選択部112は、テンプレート管理情報120を参照し、対象システム401及び監視項目402の値の組みが、監視対象のサービス提供システムの種別及び監視項目の種別の組みに一致するテンプレートを検索する。
【0067】
(S305-2)取得ルート選択部112は、検索されたテンプレートと、監視対象のサービス提供システム及び監視項目の組みに対応する取得ルートデータとを対比し、使用されていないテンプレートを特定する。使用されていないテンプレートが存在しない場合、取得ルート選択部112はステップS305の処理を終了する。
【0068】
(S305-3)取得ルート選択部112は、使用されていないテンプレートを推奨構成データとして生成し、出力する。その後、取得ルート選択部112はステップS305の処理を終了する。このとき、取得ルート選択部112は、構成管理情報121を参照して、テンプレートの一部のフィールドに具体的な値を設定してもよい。
【0069】
ユーザは、推奨構成データを参照することによって、サービスの構成を見直すことができる。
【0070】
ステップS306では、取得ルート選択部112は、全てのサービス提供システム及び監視項目の組みについて処理が完了したか否かを判定する(ステップS306)。
【0071】
全てのサービス提供システム及び監視項目の組みについて処理が完了していない場合、取得ルート選択部112はステップS303に戻る。全てのサービス提供システム及び監視項目の組みについて処理が完了した場合、取得ルート選択部112は取得ルート確認処理を終了する。
【0072】
なお、取得ルート選択部112は、サービス管理情報の取得成功、又は、サービス提供システムの障害復旧、負荷減少、若しくはメンテナンス終了後、ステップS301と同様の処理を実行し、特定された取得ルートに対応する取得ルートデータに、取得ルートを使用できることを示すフラグを設定する。
【0073】
本実施例では、フラグを用いて使用できない取得ルートを特定していたがこれに限定されない。使用できない取得ルートを特定できる情報であればよい。
【0074】
実施例1によれば、サービス管理情報の取得失敗、及び、サービス提供システムの障害発生、負荷増大、サービスレベルの低下、又はメンテナンス実施等、サービス管理情報の取得が困難な事態が発生した場合であっても、監視に必要なサービス管理情報を取得することができる。
【0075】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0076】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0077】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0078】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0079】
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。