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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011657
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250117BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20250117BHJP
   H02H 7/16 20060101ALI20250117BHJP
   H02H 9/02 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 K
H02J7/02 F
H02H7/16 A
H02H9/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113891
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古島 耕一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 綜一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉見 政史
【テーマコード(参考)】
5G013
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G013AA04
5G013CA05
5G053AA05
5G053CA04
5G053DA01
5G053EC01
5G503AA01
5G503BA05
5G503BB01
5G503CA01
5G503DA04
5G503FA17
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】より適正に電流経路の異常を検出できる。
【解決手段】第1、第2コンデンサが共にプリチャージされるように、システムメインリレーと充電用リレーと直列接続用リレーと並列接続用リレーと第1、第2中性点リレーとを制御し、第1コンデンサの電圧に基づいて第1コンデンサを充電する第1電流経路の異常の有無を検出し、第2コンデンサの電圧に基づいて第2コンデンサを充電する第2電流経路の異常の有無を検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチング素子と前記各スイッチング素子に逆方向に並列接続されたダイオードとを有し三相交流モータを駆動するインバータ、に電力を供給する電源装置であって、
第1蓄電部と、第2蓄電部と、を有する蓄電装置と、
前記蓄電装置と前記インバータとを接続する電力ラインの正極側ラインに取り付けられた正極側リレーと、前記電力ラインの負極側ラインに取り付けられた負極側リレーと、前記負極側リレーをバイパスするようにプリチャージ用抵抗とプリチャージ用リレーとが直列接続されたプリチャージ回路と、を有するシステムメインリレーと、
前記電力ラインに取り付けられた第1コンデンサと、
外部直流電力が供給される外部充電コネクタと前記電力ラインの前記システムメインリレーと前記インバータとの間とを接続する充電用電力ラインと、前記充電用電力ラインに取り付けられた充電用リレーと、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とを直列に接続する直列接続用ラインと、前記直列接続用ラインに取り付けられた直列接続用リレーと、前記直列接続用ラインの前記直列接続用リレーより前記第1蓄電部側と前記電力ラインの前記負極側ラインの前記負極側リレーおよび前記プリチャージ回路より前記第2蓄電部側とを接続する並列接続用ラインと、前記並列接続用ラインに取り付けられた並列接続用リレーと、前記三相交流モータの中性点と前記直列接続用ラインの前記直列接続用リレーより前記第2蓄電部側とを接続する中性点ラインと、前記中性点ラインに取り付けられた第1中性点リレーと、前記中性点ラインの前記第1中性点リレーより前記第2蓄電部側に取り付けられた第2中性点リレーと、前記中性点ラインの前記第1中性点リレーと前記第2中性点リレーとの間と前記電力ラインの前記負極側ラインの前記負極側リレーおよび前記プリチャージ回路より前記インバータ側とに取り付けられた第2コンデンサと、を有し、前記外部直流電力を用いて前記蓄電装置を充電する直流充電装置と、
前記第1、第2コンデンサが共にプリチャージされるように、前記システムメインリレーと前記充電用リレーと前記直列接続用リレーと前記並列接続用リレーと前記第1、第2中性点リレーとを制御し、前記第1コンデンサの電圧に基づいて前記第1コンデンサを充電する第1電流経路の異常の有無を検出し、前記第2コンデンサの電圧に基づいて前記第2コンデンサを充電する第2電流経路の異常の有無を検出する制御装置と、
を備える電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置であって、
前記制御装置は、前記第1、第2コンデンサが共にプリチャージされるように、前記システムメインリレーの前記正極側リレーおよび前記プリチャージ用リレーと前記並列接続用リレーと前記第2中性点リレーとをオンし、前記システムメインリレーの前記負極側リレーと前記充電用リレーと前記直列接続用リレーと前記第1中性点リレーとをオフする
電源装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の電源装置であって、
前記制御装置は、前記外部充電コネクタに前記外部直流電力を供給する外部電源が接続されたときに、前記第1、第2コンデンサが共にプリチャージされるように、前記システムメインリレーと前記充電用リレーと前記直列接続用リレーと前記並列接続用リレーと前記第1、第2中性点リレーとを制御し、前記第1コンデンサの電圧に基づいて前記第1電流経路の異常の有無を検出し、前記第2コンデンサの電圧に基づいて前記第2電流経路の異常の有無を検出する
電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インバータやコンバータに電力を供給する電源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電源装置は、第1蓄電装置と、第2蓄電装置と、モータと、インバータと、コンバータと、第1リレーと、第2リレーと、第1コンデンサと、第2コンデンサと、直流充電装置と、を備えるモータ装置が提案されている。第2蓄電装置は、コンバータおよび第1蓄電装置と並列にインバータに接続されている。インバータは、モータを駆動する。コンバータは、第1蓄電装置からの電力を電圧の変換を伴ってインバータに供給する。第1リレーは、第1蓄電装置とコンバータとを接続する第1電力ラインに取り付けられている。第2リレーは、第2蓄電装置とインバータとを接続する第2電力ラインに取り付けられている。第1コンデンサは、第1電力ラインの第1リレーよりコンバータ側に接続されている。第2コンデンサは、インバータの電力ラインに接続されている。直流充電装置は、第2電力ラインの第2リレーより第2蓄電装置側に接続されている。直流充電装置は、外部充電コネクタから供給される外部直流電力を第2電力ラインに供給する。このモータ装置は、第1リレーをオフすると共に第2リレーをオンして、第2コンデンサの電圧に基づいて第2リレーの故障検出を行なう。第2リレーの故障検出を行なった後に、第1リレーをオンして、第1コンデンサの電圧に基づいて第1リレーの故障検出を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-87156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、第1蓄電部と第2蓄電部とを直列に接続することと、第1蓄電部と第2蓄電部とを並列に接続することと、を切り替え可能な電源装置が提案されている。この電源装置は、充電用電力ラインと、充電用リレーと、直列接続用ラインと、直列接続用リレーと、並列接続用ラインと、並列接続用リレーと、中性点ラインと、第1、第2中性点リレーと、第2コンデンサと、を有する直流充電装置を備える。充電用電力ラインは、外部充電コネクタと電力ラインのシステムメインリレーとインバータとの間とを接続する。充電用リレーは、充電用電力ラインに取り付けられている。直列接続用ラインは、第1蓄電部と第2蓄電部とを直列に接続する。直列接続用リレーは、直列接続用ラインに取り付けられている。並列接続用ラインは、直列接続用ラインの直列接続用リレーより第1蓄電部側と電力ラインの負極側ラインの負極側リレーおよびプリチャージ用リレーより第2蓄電部側とを接続する。並列接続用リレーは、並列接続用ラインに取り付けられている。中性点ラインは、三相交流モータの中性点と直列接続用ラインの直列接続用リレーより第2蓄電部側とを接続する。第1中性点リレーは、中性点ラインに取り付けられている。第2中性点リレーは、中性点ラインの第1中性点リレーより第2蓄電部側に取り付けられている。第2コンデンサは、中性点ラインの第1中性点リレーと第2中性点リレーとの間と、電力ラインの負極側ラインの負極側リレーよりインバータ側とに取り付けられている。この電源装置では、より適正に電流経路の異常を検出することが望まれている。
【0005】
本開示の電源装置は、より適正に電流経路の異常を検出することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電源装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の電源装置は、
複数のスイッチング素子と前記各スイッチング素子に逆方向に並列接続されたダイオードとを有し三相交流モータを駆動するインバータ、に電力を供給する電源装置であって、
第1蓄電部と、第2蓄電部と、を有する蓄電装置と、
前記蓄電装置と前記インバータとを接続する電力ラインの正極側ラインに取り付けられた正極側リレーと、前記電力ラインの負極側ラインに取り付けられた負極側リレーと、前記負極側リレーをバイパスするようにプリチャージ用抵抗とプリチャージ用リレーとが直列接続されたプリチャージ回路と、を有するシステムメインリレーと、
前記電力ラインに取り付けられた第1コンデンサと、
外部直流電力が供給される外部充電コネクタと前記電力ラインの前記システムメインリレーと前記インバータとの間とを接続する充電用電力ラインと、前記充電用電力ラインに取り付けられた充電用リレーと、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とを直列に接続する直列接続用ラインと、前記直列接続用ラインに取り付けられた直列接続用リレーと、前記直列接続用ラインの前記直列接続用リレーより前記第1蓄電部側と前記電力ラインの前記負極側ラインの前記負極側リレーおよび前記プリチャージ回路より前記第2蓄電部側とを接続する並列接続用ラインと、前記並列接続用ラインに取り付けられた並列接続用リレーと、前記三相交流モータの中性点と前記直列接続用ラインの前記直列接続用リレーより前記第2蓄電部側とを接続する中性点ラインと、前記中性点ラインに取り付けられた第1中性点リレーと、前記中性点ラインの前記第1中性点リレーより前記第2蓄電部側に取り付けられた第2中性点リレーと、前記中性点ラインの前記第1中性点リレーと前記第2中性点リレーとの間と前記電力ラインの前記負極側ラインの前記負極側リレーおよび前記プリチャージ回路より前記インバータ側とに取り付けられた第2コンデンサと、を有し、前記外部直流電力を用いて前記蓄電装置を充電する直流充電装置と、
前記第1、第2コンデンサが共にプリチャージされるように、前記システムメインリレーと前記充電用リレーと前記直列接続用リレーと前記並列接続用リレーと前記第1、第2中性点リレーとを制御し、前記第1コンデンサの電圧に基づいて前記第1コンデンサを充電する第1電流経路の異常の有無を検出し、前記第2コンデンサの電圧に基づいて前記第2コンデンサを充電する第2電流経路の異常の有無を検出する制御装置と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示の電源装置は、第1、第2コンデンサが共にプリチャージされるように、システムメインリレーと充電用リレーと直列接続用リレーと並列接続用リレーと第1、第2中性点リレーとを制御し、第1コンデンサの電圧に基づいて第1コンデンサを充電する第1電流経路の異常の有無を検出し、第2コンデンサの電圧に基づいて第2コンデンサを充電する第2電流経路の異常の有無を検出する。この結果、本開示の電源装置は、より適正に電流経路の異常を検出できる。
【0009】
こうした本開示の電源装置において、前記制御装置は、前記第1、第2コンデンサが共にプリチャージされるように、前記システムメインリレーの前記正極側リレーおよび前記プリチャージ用リレーと前記並列接続用リレーと前記第2中性点リレーとをオンし、前記システムメインリレーの前記負極側リレーと前記充電用リレーと前記直列接続用リレーと前記第1中性点リレーとをオフしてもよい。これにより、制御装置は、第1電流経路を、第1電池から電力ラインの正極側ラインと第1コンデンサと電力ラインの負極側ラインと並列接続用ライン4を介して第1電池に戻る経路とすることができる。また、制御装置は、第2電流経路を、第2電池から中性点ラインと第2コンデンサと電力ラインの負極側ラインとを介して第2電池に戻る経路とすることができる。
【0010】
また、本開示の電源装置において、前記制御装置は、前記外部充電コネクタに、前記外部直流電力を供給する外部電源が接続されたときに、前記第1、第2コンデンサが共にプリチャージされるように、前記システムメインリレーと前記充電用リレーと前記直列接続用リレーと前記並列接続用リレーと前記第1、第2中性点リレーとを制御し、前記第1コンデンサの電圧に基づいて前記第1電流経路の異常の有無を検出し、前記第2コンデンサの電圧に基づいて前記第2電流経路の異常の有無を検出してもよい。こうすれば、本開示の電源装置は、外部充電コネクタに、外部直流電力を供給する外部電源が接続されたときに、第1電流経路、第2電流経路の異常の有無を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の電源装置20の構成の概略を示す構成図である。
図2】制御装置60により実行される接続後処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図3】ステップS110を実行したときの電源装置20における電流経路を説明するための説明図である。
図4】第3電流経路Pc3を説明するための説明図である。
図5】第4電流経路Pc4を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の電源装置20の構成の概略を示す構成図である。実施形態の電源装置20は、モータ22を駆動するインバータ24に電力を供給する装置として構成されている。電源装置20は、蓄電装置としてのバッテリ26と、システムメインリレー28と、第1コンデンサ34と、直流充電装置40と、制御装置60と、を備える。
【0013】
モータ22は、例えば外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとを備える周知の三相交流モータとして構成されている。インバータ24は、スイッチング素子としての6つのトランジスタT1~T6と、トランジスタT1~T6に逆方向に並列接続された6つのダイオードD1~D6とにより構成されている。トランジスタT1~T6は、インバータ24が電力ライン30として共用する正極母線と負極母線とに対してソース側およびシンク側になるように2個ずつペアで配置されている。トランジスタT1~T6は、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータ22の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。インバータ24は、正極母線と負極母線との間に電圧が作用している状態で、対をなすトランジスタT1~T6のオン時間の割合を制御することにより、三相コイルに回転磁界を形成して、モータ22を回転駆動させる。平滑用の第1コンデンサ34は、電力ライン30に接続されている。
【0014】
バッテリ26は、第1蓄電部としての第1電池26aと、第1電池26aのn倍(「n」は整数)の容量の第2蓄電部としての第2電池26bと、を備えており、電力ライン30に接続されている。第1電池26a、第2電池26bは、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されている。
【0015】
システムメインリレー28は、電力ライン30に接続されている。システムメインリレー28は、正極側リレーSMRBと、負極側リレーSMRGと、プリチャージ回路と、を備える。正極側リレーSMRBは、電力ライン30の正極側ライン30Bに取り付けられている。負極側リレーSMRGは、電力ライン30の負極側ライン30Gに取り付けられている。プリチャージ回路は、負極側リレーSMRGをバイパスするようにプリチャージ用抵抗Rとプリチャージ用リレーSMRPとが直列接続されている。
【0016】
直流充電装置40は、外部充電コネクタ42と、充電用電力ライン43と、充電用リレー44と、直列接続用ライン45と、直列接続用リレーDCRと、並列接続用ライン46と、並列接続用リレーDCRNGと、中性点ライン47と、第1、第2中性点リレーDCRN、DCRNBと、第2コンデンサ48と、を備える。外部充電コネクタ42は、外部の直流電源に接続されており、外部から直流電力(外部直流電力)が供給される。充電用電力ライン43は、外部充電コネクタ42に接続されると共に、電力ライン30のシステムメインリレー28とインバータ24との間に接続されている。充電用リレー44は、充電用電力ライン43に取り付けられている。直列接続用ライン45は、第1電池26aと第2電池26bとを直列に接続する。直列接続用リレーDCRは、直列接続用ライン45に取り付けられている。並列接続用ライン46は、直列接続用ライン45の直列接続用リレーDCRより第1電池26a側と、電力ライン30の負極側ライン30Gの負極側リレーSMRGやプリチャージ回路より第2電池26b側と、を接続する。並列接続用リレーDCRNGは、並列接続用ライン46に取り付けられている。中性点ライン47は、モータ22の中性点と、直列接続用ライン45の直列接続用リレーDCRより第2電池26b側と、を接続する。第1中性点リレーDCRNは、中性点ライン47に取り付けられている。第2中性点リレーDCRNBは、中性点ライン47の第1中性点リレーDCRNより第2電池26b側に取り付けられている。第2コンデンサ48は、中性点ライン47の第1中性点リレーDCRNと第2中性点リレーDCRNBとの間と、電力ライン30の負極側ライン30Gの負極側リレーSMRGおよびプリチャージ回路よりインバータ24側と、に取り付けられている。
【0017】
制御装置60は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,フラッシュメモリ,入出力ポート、通信ポートなどを備える。制御装置60には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。制御装置60に入力される信号としては、例えば、モータ22の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ(例えばレゾルバ)23からの回転位置θmや、モータ22の三相コイル(U相,V相,W相)に流れる相電流、第1コンデンサ34の電圧を検出する電圧センサ34aからの電圧VH、第2コンデンサ48の電圧を検出する電圧センサ48aからの電圧VLなどを挙げることができる。また、制御装置60は、外部充電コネクタ42を介して外部電源と通信を行なうための通信線も接続されている。
【0018】
制御装置60からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。制御装置60から出力される信号としては、例えば、インバータ24のトランジスタT1~T6へのスイッチング制御信号,システムメインリレー28への駆動制御信号、充電用リレー44への駆動制御信号、直列接続用リレーDCRへの駆動制御信号、並列接続用リレーDCRNGへの駆動制御信号、第1中性点リレーDCRNへの駆動制御信号、第2中性点リレーDCRNBへの駆動制御信号などを挙げることができる。
【0019】
制御装置60は、直流充電装置40の外部充電コネクタ42に外部電源が接続されると、外部電源により供給される直流電力の電圧Vd(外部直流電圧Vd)を入力する。制御装置60は、外部直流電圧Vdが第1電池26aと第2電池26bとを直列に接続したときのバッテリ26の定格電圧V1のときには、直流充電装置40による第1充電によってバッテリ26を充電し、外部直流電圧Vdが定格電圧V1のn倍(「n」は、値1より小さい正の値)のときには、直流充電装置40による第2充電によってバッテリ26を充電する。第1充電では、制御装置60は、システムメインリレー28と充電用リレー44と直列接続用リレーDCRとをオンすると共に、並列接続用リレーDCRNGと第1、第2中性点リレーDCRN、DCRNBとをオフする。したがって、第1充電では、バッテリ26は、第1電池26aと第2電池26bとが直列に接続された状態で、充電用電力ライン43と電力ライン30と直列接続用ライン45とを用いて充電される。第2充電では、制御装置60は、システムメインリレー28の正極側リレーSMRBと充電用リレー44と並列接続用リレーDCRNGと第1、第2中性点リレーDCRN、DCRNBをオンすると共に、システムメインリレー28の負極側リレーSMRGとプリチャージ用リレーSMRPと直列接続用リレーDCRとをオフする。したがって、第2充電では、第1電池26aと第2電池26bとが並列に接続される。そして、第1電池26aは、充電用電力ライン43の正極側ラインから電力ライン30の正極側ライン30B、第1電池26a、並列接続用ライン46、電力ライン30の負極側ライン30Gを介して充電用電力ライン43の負極側ラインに戻る電流経路で充電される。第2電池26bは、充電用電力ライン43の正極側ラインからと電力ライン30の正極側ライン30B、インバータ24のD1~D3のうちのいずれかのダイオード、モータ22、中性点ライン47、第2電池26b、電力ライン30の負極側ライン30Gを介して充電用電力ライン43の負極側ラインに戻る電流経路で充電される。
【0020】
次に、こうして構成された電源装置20の動作、特に、直流充電装置40によりバッテリ26の第1充電または第2充電を開始する際の動作について説明する。図2は、制御装置60により実行される接続後処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。制御装置60は、外部充電コネクタ42に外部電源が接続された後に、本ルーチンを実行する。なお、本ルーチンの実行前は、システムメインリレー28、充電用リレー44、直列接続用リレーDCR、並列接続用リレーDCRNG、第1、第2中性点リレーDCRN、DCRNBは、全てオフしている。
【0021】
本のプリチャージ用リレーSMRPとがオンすると、図示するように、第1電流経路Pc1ルーチンが実行されると、制御装置60は、並列接続用リレーDCRNGとシステムメインリレー28の正極側リレーSMRBと第2中性点リレーDCRNBとをオンする(ステップS100)。次に、制御装置60は、システムメインリレー28のプリチャージ用リレーSMRPをオンする(ステップS110)。図3は、ステップS110を実行したときの電源装置20における電流経路を説明するための説明図である。図中、太実線は、第1電流経路Pc1の概略を示している。太破線は、第2電流経路Pc2の概略を示している。並列接続用リレーDCRNGとシステムメインリレー28の正極側リレーSMRBと第2中性点リレーDCRNBとシステムメインリレー28と第2電流経路Pc2とが形成される。第1電流経路Pc1は、第1電池26aから電力ライン30の正極側ライン30Bと第1コンデンサ34と電力ライン30の負極側ライン30Gと並列接続用ライン46とを介して第2電池26bに戻る経路である。第1電流経路Pc1に断線などの異常がないときには、第1コンデンサ34は、第1電流経路Pc1を流れる電流でプリチャージされて(充電されて)、電圧VHが上昇する。第2電流経路Pc2は、第2電池26bから中性点ライン47と第2コンデンサ48と電力ライン30の負極側ライン30Gとを介して第2電池26bに戻る経路である。第2電流経路Pc2に断線などの異常がないときには、第2コンデンサ48は、第2電流経路Pc2を流れる電流でプリチャージされて(充電されて)、電圧VLが上昇する。
【0022】
続いて、制御装置60は、電圧センサ34aからの電圧VHと電圧センサ48aからの電圧VLとを入力する(ステップS120)。そして、制御装置60は、電圧VHが閾値Vref1以下であるか否かを判定する(ステップS130)。閾値Vref1は、第1電流経路Pc1に断線などの第1コンデンサ34を充電できない異常が発生しているか否かを判定するための閾値である。閾値Vref1は、値0より若干大きな値、例えば、3V、5V、8Vなどに設定できる。制御装置60は、ステップS130で電圧VHが閾値Vref1より高いときには、第1電流経路Pc1に異常が発生していないと判定する(ステップS140)。
【0023】
そして、制御装置60は、更に、電圧VLが閾値Vref2以下であるか否かを判定する(ステップS150)。閾値Vref2は、第2電流経路Pc2に断線などの第2コンデンサ48を充電できない異常が発生しているか否かを判定するための閾値である。閾値Vref2は、値0より若干大きな値、例えば、3V、5V、8Vなどに設定できる。制御装置60は、ステップS150で電圧VLが閾値Vref2より高いときには、第2電流経路Pc2に異常が発生していないと判定する(ステップS160)。
【0024】
制御装置60は、第1電流経路Pc1および第2電流経路Pc2に異常が発生していないときには、システムメインリレー28の負極側リレーSMRGをオンし(ステップS170)、システムメインリレー28のプリチャージ用リレーSMRPをオフし(ステップS180)、第1中性点リレーDCRNをオンする(ステップS190)。そして、制御装置60は、第1充電または第2充電を行なって(ステップS200)、本ルーチンを終了する。
【0025】
制御装置60は、ステップS130で電圧VHが閾値Vref1以下のときには、第1電流経路Pc1に異常が発生していると判定して(ステップS210)、第1充電および第2充電を行なわずに、本ルーチンを終了する。
【0026】
制御装置60は、ステップS150で電圧VLが閾値Vref2以下のときには、第2電流経路Pc2に異常が発生していると判定して(ステップS220)、第1充電および第2充電を行なわずに、本ルーチンを終了する。このように本実施形態の電源装置20では、第1コンデンサ34の電圧VHに基づいて第1コンデンサ34を充電する第1電流経路Pc1の異常の有無を検出し、第2コンデンサ48の電圧VLに基づいて第2コンデンサ48を充電する第2電流経路Pc2の異常の有無を検出するから、より適正に電流経路の異常を検出できる。
【0027】
以上説明した本実施形態の電源装置20では、制御装置60は、第1コンデンサ34、第2コンデンサ48が共にプリチャージされるように、システムメインリレー28と充電用リレー44と直列接続用リレーDCRと並列接続用リレーDCRNGと第1中性点リレーDCRNと第2中性点リレーDCRNBとを制御し、第1コンデンサ34の電圧VHに基づいて第1コンデンサ34を充電する第1電流経路Pc1の異常の有無を検出し、第2コンデンサ48の電圧VLに基づいて第2コンデンサ48を充電する第2電流経路Pc2の異常の有無を検出することにより、電源装置20は、より適正に電流経路の異常を検出できる。
【0028】
また、制御装置60は、第1コンデンサ34、第2コンデンサ48が共にプリチャージされるように、システムメインリレー28の正極側リレーSMRBとプリチャージ用リレーSMRPと並列接続用リレーDCRNGと第2中性点リレーDCRNBとをオンし、システムメインリレー28の負極側リレーSMRGと充電用リレー44と直列接続用リレーDCRと第1中性点リレーDCRNとをオフする。これにより、制御装置60は、第1電流経路Pc1を、第1電池26aから電力ライン30の正極側ライン30Bと第1コンデンサ34と電力ライン30の負極側ライン30Gと並列接続用ライン46とを介して第1電池26aに戻る経路とすることができる。また、制御装置60は、第2電流経路Pc2を、第2電池26bから中性点ライン47と第2コンデンサ48と電力ライン30の負極側ライン30Gとを介して第2電池26bに戻る経路とすることができる。
【0029】
更に、制御装置60は、外部充電コネクタ42に外部電源が接続されたときに、第1コンデンサ34、第2コンデンサ48が共にプリチャージされるように、システムメインリレー28と充電用リレー44と直列接続用リレーDCRと並列接続用リレーDCRNGと第1中性点リレーDCRNと第2中性点リレーDCRNBとを制御し、第1コンデンサ34の電圧VHに基づいて第1電流経路Pc1の異常の有無を検出し、第2コンデンサ48の電圧VLに基づいて第2電流経路Pc2の異常の有無を検出する。これにより、電源装置20は、外部充電コネクタ42に外部電源が接続されたときに、第1電流経路Pc1、第2電流経路Pc2の異常の有無を検出できる。
【0030】
上述した実施形態では、制御装置60は、システムメインリレー28の正極側リレーSMRBとプリチャージ用リレーSMRPと並列接続用リレーDCRNGと第2中性点リレーDCRNBとをオンし、システムメインリレー28の負極側リレーSMRGと充電用リレー44と直列接続用リレーDCRと第1中性点リレーDCRNとをオフして、第1コンデンサ34、第2コンデンサ48を共にプリチャージしている。しかし、他の手法で、第1コンデンサ34、第2コンデンサ48を共にプリチャージしてもよい。この場合、制御装置60は、最初に、並列接続用リレーDCRNGとシステムメインリレー28の正極側リレーSMRBと第1中性点リレーDCRNとをオンする。制御装置60は、次に、システムメインリレー28のプリチャージ用リレーSMRPをオンする。この処理により、第3電流経路Pc3で電流を流して第1コンデンサ34をプリチャージする。図4は、第3電流経路Pc3を説明するための説明図である。第3電流経路Pc3は、第1電池26aから電力ライン30の正極側ライン30Bと第1コンデンサ34と電力ライン30の負極側ライン30Gと並列接続用ライン46とを介して第1電池26aに戻る経路である。
【0031】
続いて、制御装置60は、電圧センサ34aからの電圧VHを入力し、ステップS130と同一の処理で、電圧VHが閾値Vref1以下であるか否かを判定する。制御装置60は、電圧VHが閾値Vref1以下のときには、第3電流経路Pc3に断線などの異常が発生していると判定して、処理を終了する。制御装置60は、電圧VHが閾値Vref1を超えているときには、第3電流経路Pc3に断線などの異常が発生していないと判定する。
【0032】
制御装置60は、第3電流経路Pc3に断線などの異常が発生していないと判定すると、第2中性点リレーDCRNBをオンする。この処理により、第4電流経路Pc4で電流を流して第2コンデンサ48をプリチャージする。図5は、第4電流経路Pc4を説明するための説明図である。第1コンデンサ34が既にプリチャージされているから、インバータ24のダイオードD1~D3は、逆方向のバイアス電圧が印加されており、ダイオードD1~D3、モータ22を介して電流が中性点ライン47に流れることはない。そのため、第4電流経路Pc4は、第2電池26bから中性点ライン47と第2コンデンサ48と電力ライン30の負極側ライン30Gとを介して第2電池26bに戻る経路となる。
【0033】
続いて、制御装置60は、電圧センサ48aからの電圧VLを入力し、ステップS150と同一の処理で、電圧VLが閾値Vref2以下であるか否かを判定する。制御装置60は、電圧VLが閾値Vref2以下のときには、第4電流経路Pc4に断線などの異常が発生していると判定して、処理を終了する。制御装置60は、電圧VLが閾値Vref2を超えているときには、第4電流経路Pc4に断線などの異常が発生していないと判定し、第1充電または第2充電を実行して、処理を終了する。これにより、電源装置20は、より適正に電流経路の異常を検出できる。
【0034】
上述した実施形態では、制御装置60は、外部充電コネクタ42に外部電源が接続されたときに、図2に例示する処理を実行している。しかし、制御装置60が図2に例示する処理を実行するのは、外部充電コネクタ42に外部電源が接続されたときに限定されず、第1コンデンサ34と第2コンデンサ48とをプリチャージする必要があるときなら如何なるときでもよい。
【0035】
上述した実施形態では、電源装置20は、第1電池26a、第2電池26bを有するバッテリ26を備えているが、第1電池26a、第2電池26bのうちの少なくとも一方をコンデンサにしてもよい。
【0036】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、第1電池26aが「第1蓄電部」に相当し、第2電池26bが「第2蓄電部」に相当し、バッテリ26が「蓄電装置」に相当し、正極側リレーSMRBが「正極側リレー」に相当し、負極側リレーSMRGが「負極側リレー」に相当し、プリチャージ用抵抗Rが「プリチャージ用抵抗」に相当し、プリチャージ用リレーSMRPが「プリチャージ用リレー」に相当し、システムメインリレー28が「システムメインリレー」に相当し、第1コンデンサ34が「第1コンデンサ」に相当し、充電用電力ライン43が「充電用電力ライン」に相当し、充電用リレー44が「充電用リレー」に相当し、直列接続用ライン45が「直列接続用ライン」に相当し、直列接続用リレーDCRが「直列接続用リレー」に相当し、並列接続用ライン46が「並列接続用ライン」に相当し、並列接続用リレーDCRNGが「並列接続用リレー」に相当し、中性点ライン47が「中性点ライン」に相当し、第1中性点リレーDCRNが「第1中性点リレー」に相当し、第2中性点リレーDCRNBが「第2中性点リレー」に相当し、第2コンデンサ48が「第2コンデンサ」に相当し、直流充電装置40が「直流充電装置」に相当し、制御装置60が「制御装置」に相当する。
【0037】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0038】
以上、本開示を実施するための実施形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本開示は、電源装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
20 電源装置、22 モータ、24 インバータ、26 バッテリ、26a 第1電池、26b 第2電池、28 システムメインリレー、30 電力ライン、30B 正極側ライン、30G 負極側ライン、34 第1コンデンサ、34a、48a 電圧センサ、40 直流充電装置、42 外部充電コネクタ、43 充電用電力ライン、44 充電用リレー、45 直列接続用ライン、46 並列接続用ライン、47 中性点ライン、48 第2コンデンサ、60 制御装置 、D1~D6 ダイオード、DCR 直列接続用リレー、DCRN 第1中性点リレー、DCRNB 第2中性点リレー、DCRNG 並列接続用リレー、Pc1 第1電流経路、Pc2 第2電流経路、Pc3 第3電流経路、Pc4 第4電流経路、R プリチャージ用抵抗、SMRB 正極側リレー、SMRG 負極側リレー、SMRP プリチャージ用リレー、R プリチャージ用抵抗、T1~T6 トランジスタ。
図1
図2
図3
図4
図5