IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-触媒装置の保護構造 図1
  • 特開-触媒装置の保護構造 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011669
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】触媒装置の保護構造
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20250117BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F01N3/28 M ZAB
B62D25/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113906
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 健太郎
【テーマコード(参考)】
3D203
3G091
【Fターム(参考)】
3D203BA06
3D203BB03
3D203CB19
3D203DA06
3G091AA02
3G091AB03
3G091AB05
3G091BA07
3G091CA17
3G091HA00
3G091HB01
(57)【要約】
【課題】触媒装置を適切に保護するとともに、触媒装置周辺に入り込んだ草を適切に除去できる触媒装置の保護構造を提供する。
【解決手段】車両の床下に配置される触媒装置10の保護構造であって、前記触媒装置10の下方に設けられ、前記触媒装置10を保護するガード部材18と、
前記ガード部材18の上方に位置する固定部材14と、前記ガード部材18と、を連結するプレート状のブラケット16と、を備え、前記ブラケット16は、その上部の幅よりもその下部の幅のほうが小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の床下に配置される触媒装置の保護構造であって、
前記触媒装置の下方に設けられ、前記触媒装置を保護するガード部材と、
前記ガード部材の上方に位置する固定部材と、前記ガード部材と、を連結するプレート状のブラケットと、
を備え、前記ブラケットは、その上部の幅よりもその下部の幅のほうが小さい、
ことを特徴とする触媒装置の保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、車両の床下に配置される触媒装置の保護構造を開示する。
【背景技術】
【0002】
通常、エンジンを搭載した車両の床下には、当該エンジンから排出される排ガスを車外に導く排気管が設けられている。この排気管の途中には、排ガスに含まれる有害物質を浄化するための触媒装置が設けられている。触媒装置は、排ガスに含まれる有害物質を酸化または還元によって浄化する装置である。
【0003】
こうした触媒装置は、上述した通り、車両の床下に配置されている。そのため、車両の走行に伴い、触媒装置に路面の異物が衝突し、触媒装置が、破損するおそれがあった。そこで、従来から、触媒装置の下側に配置され、触媒装置を保護するガード部材を設けることが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、車両の床下に、排ガスを浄化させるための反応液を排ガスに噴射する液体添加弁を配置し、さらに、当該液体添加弁を保護するガードプレートを設ける技術が開示されている。ガードプレートは、液体添加弁を下側からを覆う保護板と、保護板の縁から上に延びる遮熱板と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-076103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のガードプレートの場合、保護板と液体添加弁との隙間に入り込んだ草を、適切に除去できない。
【0007】
そこで、本明細書では、触媒装置を適切に保護するとともに、触媒装置周辺に入り込んだ草を適切に除去できる触媒装置の保護構造を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する触媒装置の保護構造は、車両の床下に配置される触媒装置の保護構造であって、前記触媒装置の下方に設けられ、前記触媒装置を保護するガード部材と、前記ガード部材の上方に位置する固定部材と、前記ガード部材と、を連結するプレート状のブラケットと、を備え、前記ブラケットは、その上部の幅よりもその下部の幅のほうが小さい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示する触媒装置の保護構造によれば、ブラケットにより草を切断できるため、触媒装置周辺に入り込んだ草を適切に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】触媒装置周辺の模式的な側面図である。
図2】触媒装置周辺を下側から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して触媒装置10の保護構造について説明する。図1は、触媒装置10周辺の模式的な側面図である。また、図2は、触媒装置10周辺を下側から見た底面図である。なお、各図においてFr、Up、Rhは、それぞれ、車両の前方、上方、右側方を示している。
【0012】
車両の床下には、エンジンからの排ガスを車外に導く排気管12が配置されている。触媒装置10は、この排気管12の経路途中に設けられている。触媒装置10は、排ガスに含まれる有害物質を、酸化または還元させて、浄化させる浄化装置である。触媒装置10の中には、有害物質を活性化させる触媒が収容されている。かかる触媒装置10は、例えば、選択式還元触媒(SCR:Selective Catalytic Reduction)である。SCRは、アンモニア(NH3)と窒素酸化物(NOx)とを反応させて、窒素(N2)と水(H2O)とに還元させる触媒装置である。ただし、触媒装置10は、SCRに限定されず、他の形態の触媒装置でもよい。例えば、触媒装置10は、窒素酸化物(NOx)とともに、炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)を酸化還元させる三元触媒装置でもよい。
【0013】
いずれにしても、触媒装置10は、図1に示す通り、排気管12に比べて大径であり、下方に出っ張っている。そのため、車両の走行に伴い、路面の障害物が、触媒装置10に干渉してしまい、触媒装置10が損傷することがある。かかる触媒装置10の損傷を防止するために、車両には、さらに、触媒装置10を保護するガード部材18が設けられている。
【0014】
ガード部材18は、保護プレート22(図1では見えず、図2参照)と、連結金具24と、サイドプレート20と、を含む。保護プレート22は、触媒装置10の真下に位置する平板状部材であり、触媒装置10の大部分を下側から覆っている。保護プレート22の車幅方向端部には、連結金具24が、取り付けられている。保護プレート22は、この連結金具24を介してサイドプレート20に連結される。
【0015】
サイドプレート20は、触媒装置10の側方かつ下側に配置される板状部材である。サイドプレート20は、その板厚方向が、上下方向に対して略直交するような姿勢で配置されている。連結金具24の他端は、このサイドプレート20に取り付けられている。
【0016】
こうしたガード部材18は、ブラケット16により固定部材14から吊り下げ保持されている。固定部材14は、車体に対して固定されている部材である。固定部材14は、例えば、車両のフレーム(例えば、サイドメンバやクロスメンバ等)でもよいし、ガード部材18を固定するために車両のフレームに締結された追加部材でもよい。本例において、固定部材14は、触媒装置10に車幅方向に隣接する位置において、車両前後方向に延びる棒状部材である。固定部材14の両端は、車両のフレームに、直接または間接的に締結されている。
【0017】
ブラケット16は、この固定部材14とガード部材18とを連結する。本例において、ブラケット16は、その板厚方向が上下方向に対して略直交するような姿勢で配置されている。また、図1に示す通り、ブラケット16は、前後方向に間隔を開けて複数(図示例では三つ)配置されている。
【0018】
各ブラケット16は、図1に示すとおり、その上部から下部に向かうにつれて、幅が細くなる、逆三角形に近い形状である。換言すれば、ブラケット16は、その上部の幅より、その下部の幅が小さい。また、別の見方をすれば、ブラケット16の前端縁は、下方に進むにつれて後方に進む方向に傾斜している。かかる構成とすることで、ガード部材18と触媒装置10との間に入り込んだ草を効果的に除去できる。
【0019】
すなわち、図1に示す通り、ガード部材18と触媒装置10との間には若干の隙間が形成されている。車両の走行に伴い、この隙間に、地面から生えている長い草100が侵入することがある。そして、この長い草100が、ガード部材18または触媒装置10に絡まって、滞留することがあった。
【0020】
本例では、上述した通り、ガード部材18を支持するブラケット16を略逆三角形状としている。かかるブラケット16は、長い草100を切断するブレードとして機能する。すなわち、車両の走行に伴い、ブラケット16の前端縁は、上述した通り、傾斜しているため、車両の走行に伴い、当該前端縁に当接した草100は、当該前端縁に沿って、下方に滑り落ちていく。この滑り落ちの過程で、草100に応力がかかり、草100が切断される。
【0021】
結果として、ガード部材18と触媒装置10との間に侵入しようとする細長い草100は、当該ブラケット16により、短く切断される。草100が短く切断されることで、当該草100がガード部材18や触媒装置10に絡まることがない。結果として、ガード部材18と触媒装置10との間に侵入する草100を効果的に除去できる。
【0022】
以上の説明で明らかな通り、本例では、触媒装置10を支持するブラケット16を、その上部の幅より、その下部の幅の方が小さくなる形状とすることで、ブラケット16を、草100を切断するプレートとしても機能させることができる。換言すれば、草100の切断のために、別途、専用の部材を設ける必要がない。その結果、コストアップを避けつつ、草100を効果的に除去できる。また、上述した通り、本例では、前後方向に間隔を開けて、複数のブラケット16を設けている。この場合、先頭のブラケット16で切断できなかった草100を、後続のブラケット16で切断できる可能性が高くなる。結果として、草100をより効果的に除去できる。
【0023】
なお、これまで説明した構成は一例であり、請求項1に記載の構成を具備するのであれば、適宜、変更されてもよい。例えば、ガード部材18の構成は、適宜変更されてもよい。また、ブラケット16は、その上部の幅より、その下部の幅が小さいのであれば、他の形状でもよい。また、ブラケット16の個数は、1つでもよいし、4つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0024】
10 触媒装置、12 排気管、14 固定部材、16 ブラケット、18 ガード部材、20 サイドプレート、22 保護プレート、24 連結金具。
図1
図2