(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011676
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】計算機システム、基盤管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/445 20180101AFI20250117BHJP
G06F 8/60 20180101ALI20250117BHJP
【FI】
G06F9/445 150
G06F8/60
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113920
(22)【出願日】2023-07-11
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】524132520
【氏名又は名称】日立ヴァンタラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松井 郁
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博文
(72)【発明者】
【氏名】山田 創
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AB12
5B376EA17
5B376EA21
(57)【要約】
【課題】サービスを構成するインスタンスが使用するボリュームを割り当てるストレージプールの選択を支援する。
【解決手段】少なくとも二つ以上の基盤は、インスタンスから構成される業務システムを構築するための環境を提供し、少なくとも一つの基盤は、インスタンスが使用するボリュームに記憶領域を割り当てるための複数のストレージプールを有し、管理システムは、複数の業務システムを一元管理するための管理情報を保持する。ストレージプールを管理する基盤に含まれる計算機は、インスタンスが使用するボリュームへの記憶領域の割当要求を受け付けた場合、管理システムに対して、当該インスタンスの属性の問合せを行い、当該インスタンスの属性に関する情報を受信し、受信した情報に基づいて使用可能なストレージプールを検索し、検索されたストレージプールを提示するための表示情報を生成する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基盤及び管理システムを備える計算機システムであって、
前記複数の基盤は、プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有する複数の計算機を有し、
少なくとも二つ以上の前記基盤は、少なくとも一つ以上のインスタンスから構成される業務システムを構築するための環境を提供し、
少なくとも一つの前記基盤は、前記インスタンスが使用するボリュームに記憶領域を割り当てるための複数のストレージプールを有し、
前記管理システムは、前記環境を提供する前記基盤に構築された複数の前記業務システムを一元管理するための管理情報を保持し、
前記複数のストレージプールを管理する前記基盤に含まれる前記計算機である管理用計算機は、
ターゲットインスタンスが使用するボリュームへの記憶領域の割当要求を受け付けた場合、前記管理システムに対して、前記ターゲットインスタンスの特徴を表す属性の問合せを行い、
前記管理システムから、前記管理情報を用いた生成された、前記問合せに対する前記ターゲットインスタンスの属性に関する情報を受信し、
受信した前記情報に基づいて、前記複数のストレージプールの中から使用可能な前記ストレージプールを検索し、
検索された前記ストレージプールを提示するための表示情報を生成し、出力することを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記複数のストレージプールを有する前記基盤は、前記インスタンスの属性及び要求される前記ストレージプールの特性の対応付けを管理するためのポリシ管理情報と、前記複数のストレージプールの構成を管理するためのストレージプール管理情報と、を保持し、
前記管理用計算機は、
前記ポリシ管理情報を参照して、前記ターゲットインスタンスの属性に対応する前記ストレージプールの特性を特定し、
前記ストレージプール管理情報を参照して、特定された前記ストレージプールの特性を有する前記ストレージプールを検索することを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記管理用計算機は、使用可能な前記ストレージプールが存在しない場合、前記ターゲットインスタンスの属性を含む前記表示情報を生成することを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記割当要求は、前記業務システムを開発又は運用するユーザから送信され、
前記表示情報は、前記ストレージプールを有する前記基盤の管理者に対して出力されることを特徴とする計算機システム。
【請求項5】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記複数の基盤は、オンプレミス型のシステム、プライベートクラウドシステム、及びパブリッククラウドシステムの少なくともいずれかを含むことを特徴とする計算機システム。
【請求項6】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記管理システムは、iPaaSを提供するシステムであることを特徴とする計算機システム。
【請求項7】
複数の基盤及び管理システムを含む計算機システムの基盤管理方法であって、
前記複数の基盤は、プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有する複数の計算機を有し、
少なくとも二つ以上の前記基盤は、少なくとも一つ以上のインスタンスから構成される業務システムを構築するための環境を提供し、
少なくとも一つの前記基盤は、前記インスタンスが使用するボリュームに記憶領域を割り当てるための複数のストレージプールを有し、
前記管理システムは、前記環境を提供する前記基盤に構築された複数の前記業務システムを一元管理するための管理情報を保持し、
前記基盤管理方法は、
前記複数のストレージプールを管理する前記基盤に含まれる前記計算機である管理用計算機が、ターゲットインスタンスが使用するボリュームへの記憶領域の割当要求を受け付けた場合、前記管理システムに対して、前記ターゲットインスタンスの特徴を表す属性の問合せを行う第1のステップと、
前記管理用計算機が、前記管理情報を用いた生成された、前記問合せに対する前記ターゲットインスタンスの属性に関する情報を受信する第2のステップと、
前記管理用計算機が、受信した前記情報に基づいて、前記複数のストレージプールの中から使用可能な前記ストレージプールを検索する第3のステップと、
前記管理用計算機が、検索された前記ストレージプールを提示するための表示情報を生成し、出力する第4のステップと、を含むことを特徴とする基盤管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の基盤管理方法であって、
前記複数のストレージプールを有する前記基盤は、前記インスタンスの属性及び要求される前記ストレージプールの特性の対応付けを管理するためのポリシ管理情報と、前記複数のストレージプールの構成を管理するためのストレージプール管理情報と、を保持し、
前記第3のステップは、
前記管理用計算機が、前記ポリシ管理情報を参照して、前記ターゲットインスタンスの属性に対応する前記ストレージプールの特性を特定するステップと、
前記管理用計算機が、前記ストレージプール管理情報を参照して、特定された前記ストレージプールの特性を有する前記ストレージプールを検索するステップと、を含むことを特徴とする基盤管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の基盤管理方法であって、
前記第4のステップは、使用可能な前記ストレージプールが存在しない場合、前記管理用計算機が、前記ターゲットインスタンスの属性を含む前記表示情報を生成するステップを含むことを特徴とする基盤管理方法。
【請求項10】
請求項8に記載の基盤管理方法であって、
前記割当要求は、前記業務システムを開発又は運用するユーザから送信され、
前記表示情報は、前記ストレージプールを有する前記基盤の管理者に対して出力されることを特徴とする基盤管理方法。
【請求項11】
請求項8に記載の基盤管理方法であって、
前記複数の基盤は、オンプレミス型のシステム、プライベートクラウドシステム、及びパブリッククラウドシステムの少なくともいずれかを含むことを特徴とする基盤管理方法。
【請求項12】
請求項8に記載の基盤管理方法であって、
前記管理システムは、iPaaSを提供するシステムであることを特徴とする基盤管理方法。
【請求項13】
業務システムを構成するインスタンスが使用するボリュームに記憶領域を割り当てるための複数のストレージプールを管理する基盤に含まれる計算機に実行させるためのプログラムであって、
前記計算機は、前記業務システムを構築するための環境を提供する複数の基盤と、当該複数の基盤に構築された複数の前記業務システムを一元管理するための管理情報を保持する管理システムと接続し、
前記プログラムは、
ターゲットインスタンスが使用するボリュームへの記憶領域の割当要求を受け付けた場合、前記管理システムに対して、前記ターゲットインスタンスの特徴を表す属性の問合せを行わせる第1の手順と、
前記管理情報を用いた生成された、前記問合せに対する前記ターゲットインスタンスの属性に関する情報を受信する第2の手順と、
受信した前記情報に基づいて、前記複数のストレージプールの中から使用可能な前記ストレージプールを検索させる第3の手順と、
検索された前記ストレージプールを提示するための表示情報を生成し、出力させる第4の手順と、を前記計算機に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムであって、
前記計算機は、前記インスタンスの属性及び要求される前記ストレージプールの特性の対応付けを管理するためのポリシ管理情報と、前記複数のストレージプールの構成を管理するためのストレージプール管理情報と、を保持し、
前記第3の手順は、
前記ポリシ管理情報を参照して、前記ターゲットインスタンスの属性に対応する前記ストレージプールの特性を特定させる手順と、
前記ストレージプール管理情報を参照して、特定された前記ストレージプールの特性を有する前記ストレージプールを検索させる手順と、を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のプログラムであって、
前記第4の手順は、使用可能な前記ストレージプールが存在しない場合、前記ターゲットインスタンスの属性を含む前記表示情報を生成させる手順を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドクラウドにおける基盤の管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッドクラウドの利用が広がっている。業務システムを自動的に構築するために、IaC(Infrastructure as Code)ツールが用いられている。IaCツールを用いることによって業務システムを効率的に構築できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IaCツールを用いる場合でも、業務システムを構成するインスタンスに要求されるセキュリティ、コンプライアンス等については人手による設計が必要である。特に、インスタンスが使用するボリュームは、セキュリティ及びコンプライアンスに関する制約が多く存在する。そのため、従来は、基盤の管理者は、業務システムの開発者又は運用者から聞き取りを行って、ボリュームに記憶領域を割り当てるストレージプールを決定する必要があった。
【0005】
なお、ボリュームのプロビジョニングの技術として特許文献1に記載の技術が知られている。
【0006】
本発明は、インスタンスが使用するボリュームに記憶領域を割り当てるストレージプールの選択を支援する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、複数の基盤及び管理システムを備える計算機システムであって、前記複数の基盤は、プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有する複数の計算機を有し、少なくとも二つ以上の前記基盤は、少なくとも一つ以上のインスタンスから構成される業務システムを構築するための環境を提供し、少なくとも一つの前記基盤は、前記インスタンスが使用するボリュームに記憶領域を割り当てるための複数のストレージプールを有し、前記管理システムは、前記環境を提供する前記基盤に構築された複数の前記業務システムを一元管理するための管理情報を保持し、前記複数のストレージプールを管理する前記基盤に含まれる前記計算機である管理用計算機は、ターゲットインスタンスが使用するボリュームへの記憶領域の割当要求を受け付けた場合、前記管理システムに対して、前記ターゲットインスタンスの特徴を表す属性の問合せを行い、前記管理システムから、前記管理情報を用いた生成された、前記問合せに対する前記ターゲットインスタンスの属性に関する情報を受信し、受信した前記情報に基づいて、前記複数のストレージプールの中から使用可能な前記ストレージプールを検索し、検索された前記ストレージプールを提示するための表示情報を生成し、出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インスタンスが使用するボリュームに記憶領域を割り当てるストレージプールの選択を支援できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の計算機システムの構成例を示す図である。
【
図3】実施例1の基盤を構成する計算機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】実施例1の管理サーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図5】実施例1のストレージプール管理情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】実施例1のポリシ管理情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】実施例1の管理システムが保持するインスタンス管理情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】実施例1の管理システムが保持する接続管理情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】実施例1の管理サーバが実行する処理の概要を説明するフローチャートである。
【
図10】実施例1のストレージプール管理情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図11A】実施例1の管理サーバが実行するインスタンス属性特定処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図11B】実施例1の管理サーバが実行するインスタンス属性特定処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図12】実施例1の管理サーバが生成するインスタンス属性情報の一例を示す図である。
【
図13】実施例1の管理サーバが実行するストレージプール検索処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0011】
以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数又は順序を限定するものではない。
【実施例0013】
図1は、実施例1の計算機システムの構成例を示す図である。
【0014】
計算機システムは、管理システム100及び複数の基盤101から構成される。管理システム100及び複数の基盤101は、WAN(Wide Area Network)及びLAN(Local Area Network)等のネットワーク102を介して互いに接続される。
【0015】
基盤101は、業務システムを構築するための環境を提供する。基盤101は、例えば、オンプレミス型のシステム、プライベートクラウドシステム、及びパブリッククラウドシステムである。
【0016】
管理システム100は、一つの業務フローを構成する複数の業務システムを一元管理する。管理システム100は、例えば、iPaaS(Integration Platform AS a Service)及びCMP(Cloud Management Platform)等である。
【0017】
図2は、実施例1の基盤の構成例を示す図である。
図3は、実施例1の基盤を構成する計算機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0018】
基盤101は、アプリケーション210及びDB211等のインスタンスから構成される業務システムを構築するための環境を提供する。基盤101は、管理サーバ200と、計算機300等から構成される計算リソース201とを備える。計算機300は、プロセッサ301、主記憶装置302、副記憶装置303、及びネットワークインタフェース304を有する。なお、計算リソース201は、ネットワークスイッチ、及び記憶装置を含んでもよい。
【0019】
基盤101には、計算リソース201を用いて実現されるインスタンスから構成される業務システムが一つ以上構築される。基盤101は、ストレージプール202を有する。基盤101は、ストレージプール202の記憶領域をアプリケーション210又はDB211が使用するボリュームに割り当てる。
【0020】
なお、計算機システムには、ストレージプール202を有していない基盤101が含まれてもよい。また、計算機システムには、インスタンスを含まず、ストレージプール202のみを有する基盤101が含まれてもよい。
【0021】
管理サーバ200は、計算リソース201及びストレージプール202を管理する。管理サーバ200は、物理的な計算機を用いて実現してもよいし、仮想的な計算機を用いて実現してもよい。本実施例の管理サーバ200は、ボリューム203に記憶領域を割り当てるストレージプール202の候補を提示する。
【0022】
図4は、実施例1の管理サーバ200の機能構成の一例を示す図である。
【0023】
管理サーバ200は、ストレージプール検索部400を有し、ストレージプール管理情報410及びポリシ管理情報411を保持する。
【0024】
図5は、実施例1のストレージプール管理情報410のデータ構造の一例を示す図である。
【0025】
ストレージプール管理情報410は、ストレージプール202を管理するための情報である。ストレージプール管理情報410は、ストレージプールID501及びストレージ特性502を含むエントリを格納する。一つのストレージプール202に対して一つのエントリが存在する。なお、エントリに含まれるフィールドは前述したものに限定されない。前述したフィールドのいずれかを含まなくてもよいし、また、他のフィールドを含んでもよい。例えば、ストレージプールを構成する記憶装置のリストを格納するフィールドを含んでもよい。
【0026】
ストレージプールID501は、ストレージプール202のIDを格納するフィールドである。ストレージ特性502は、ストレージプール202の特性に関する情報を格納するフィールドである。ストレージ特性502には、例えば、ストレージプール202が有する機能、並びに、ストレージプール202を管理する基盤101の種別及びリージョン等が格納される。
【0027】
図6は、実施例1のポリシ管理情報411のデータ構造の一例を示す図である。
【0028】
ポリシ管理情報411は、インスタンスが使用するボリュームに記憶領域を割り当てるストレージプール202を選択するためのポリシを管理するための情報である。ポリシ管理情報411は、ポリシID601、インスタンス属性602、及びストレージ特性603を含むエントリを格納する。一つのポリシに対して一つのエントリが存在する。なお、エントリに含まれるフィールドは前述したものに限定されない。前述したフィールドのいずれかを含まなくてもよいし、また、他のフィールドを含んでもよい。
【0029】
ポリシID601は、ポリシのIDを格納するフィールドである。インスタンス属性602は、インスタンスの属性を格納するフィールドである。ストレージ特性603は、ストレージプール202に要求される特性を格納するフィールドである。
【0030】
ポリシでは、インスタンスの属性に対して要求されるストレージプール202の特性の対応付けが管理される。
【0031】
管理システム100は、例えば、インスタンスを管理するためのインスタンス管理情報700、及びインスタンスの連携を管理するための接続管理情報800を保持する。
【0032】
なお、ポリシ管理情報411は、業務フロー毎に設定してもよいし、ユーザ毎に設定してもよい。
【0033】
図7は、実施例1の管理システム100が保持するインスタンス管理情報700のデータ構造の一例を示す図である。
【0034】
管理システム100は、業務フロー毎にインスタンス管理情報700を保持する。インスタンス管理情報700は、インスタンスID701、オーナ702、インスタンス概要703、及び環境ID704を含むエントリを格納する。一つのインスタンスに対して一つのエントリが存在する。なお、エントリに含まれるフィールドは前述したものに限定されない。前述したフィールドのいずれかを含まなくてもよいし、また、他のフィールドを含んでもよい。
【0035】
インスタンスID701は、インスタンスのIDを格納するフィールドである。オーナ702は、インスタンスのオーナを表す情報を格納するフィールドである。インスタンス概要703は、インスタンスの種別及び機能等を表す情報を格納するフィールドである。環境ID704は、インスタンスが稼働する環境(基盤101)のIDを格納するフィールドである。
【0036】
なお、インスタンス管理情報700は、業務フロー毎に設定してもよいし、ユーザ毎に設定してもよい。
【0037】
図8は、実施例1の管理システム100が保持する接続管理情報800のデータ構造の一例を示す図である。
【0038】
管理システム100は、業務フロー毎に接続管理情報800を保持する。接続管理情報800は、コネクタID801、接続元インスタンスID802、接続先インスタンスID803、及び処理内容804を含むエントリを格納する。連携するインスタンスの組合せに対して一つのエントリが存在する。なお、エントリに含まれるフィールドは前述したものに限定されない。前述したフィールドのいずれかを含まなくてもよいし、また、他のフィールドを含んでもよい。
【0039】
コネクタID801は、連携するインスタンス間を接続するコネクタのIDを格納するフィールドである。コネクタは向きを持ったエッジである。接続元インスタンスID802は、コネクタの接続元のインスタンスのIDを格納するフィールドである。接続先インスタンスID803は、コネクタの接続先のインスタンスのIDを格納するフィールドである。処理内容804は、インスタンスの連携に関わる処理を表す情報を格納するフィールドである。
【0040】
図9は、実施例1の管理サーバ200が実行する処理の概要を説明するフローチャートである。
【0041】
ストレージプール202を有する基盤101に含まれる管理サーバ200は、業務システムの開発者又は運用者からボリュームの割当要求を受信した場合、以下で説明する処理を実行する。ボリュームの割当要求には、業務フローの識別情報、及びインスタンス(ターゲットインスタンス)のIDが含まれるものとする。
【0042】
まず、管理サーバ200は、インスタンス属性特定処理を実行する(ステップS101)。インスタンス属性特定処理では、ターゲットインスタンスの属性が特定される。処理の詳細は後述する。
【0043】
次に、管理サーバ200は、ストレージプール検索処理を実行する(ステップS102)。ストレージプール検索処理では、ストレージプール202の候補が検索される。処理の詳細は後述する。
【0044】
実施例1では、管理サーバ200が、当該管理サーバ200が含まれる基盤101が有するストレージプール202の中から使用可能なストレージプール202を検索する。
【0045】
なお、
図9に示す処理は、ストレージプール202を有さない基盤101に含まれる管理サーバ200が実行してもよい。この場合、ストレージプール202を有さない基盤101に含まれる管理サーバ200は、ストレージプール202を有する基盤101に含まれる管理サーバ200と通信することによって同様の処理を実行できる。なお、後述するストレージプール管理情報410(
図10を参照)を用いて処理を実行してもよい。
【0046】
なお、
図9に示す処理は、計算機システム内のストレージプール202を一元管理する基盤101に含まれる管理サーバ200が実行してもよい。この場合、管理サーバ200は、
図10に示すようなストレージプール管理情報410を保持する。
図10に示すストレージプール管理情報410のエントリは基盤ID511を含む。基盤ID511は、ストレージプール202を提供する基盤101のIDを格納するフィールドである。管理サーバ200は、計算機システム内のストレージプール202の中から使用可能なストレージプール202を検索する。
【0047】
図11A及び
図11Bは、実施例1の管理サーバ200が実行するインスタンス属性特定処理の一例を説明するフローチャートである。
図12は、実施例1の管理サーバ200が生成するインスタンス属性情報の一例を示す図である。
【0048】
管理サーバ200は、インスタンス属性情報1200を初期化する(ステップS201)。
【0049】
ここで、インスタンス属性情報1200について説明する。インスタンス属性情報1200は、外部連携1201、パブリック1202、及び移行/複製1203を含む。なお、フィールドは前述したものに限定されない。前述したフィールドのいずれかを含まなくてもよいし、また、他のフィールドを含んでもよい。
【0050】
外部連携1201は、オーナが自社(例えば、ボリュームの割当を要求した開発者)ではないインスタンスと連携するか否かを示すフラグを格納するフィールドである。オーナが自社ではないインスタンスと連携する場合「1」が設定され、オーナが自社ではないインスタンスと連携しない場合「0」が設定される。
【0051】
パブリック1202は、インスタンスが稼働する環境がパブリッククラウドシステムであるか否かを示すフラグを格納するフィールドである。インスタンスが稼働する環境がパブリッククラウドシステムである場合「1」が設定され、インスタンスが稼働する環境がパブリッククラウドシステムでない場合「0」が設定される。
【0052】
移行/複製1203は、インスタンスの連携に関する処理内容がパブリッククラウドシステムへのインスタンスの移行又は複製であるか否かを示すフラグを格納するフィールドである。インスタンスの連携に関する処理内容がパブリッククラウドシステムへのインスタンスの移行又は複製である場合「1」が設定され、インスタンスの連携に関する処理内容がパブリッククラウドシステムへのインスタンスの移行又は複製ではない場合「0」が設定される。
【0053】
ステップS201では、管理サーバ200は、外部連携1201、パブリック1202、及び移行/複製1203が空欄のインスタンス属性情報1200を生成する。
【0054】
管理サーバ200は、管理システム100に、ターゲットインスタンスの接続元のインスタンスのオーナを問い合わせる(ステップS202)。当該問合せには、業務フローの識別情報及びターゲットインスタンスのIDが含まれる。
【0055】
管理システム100は、当該問合せを受け付けた場合、業務フローに対応する接続管理情報800を参照し、接続先インスタンスID803にターゲットインスタンスのIDが格納されるエントリを検索する。管理システム100は、検索されたエントリの接続元インスタンスID802からインスタンスのIDを取得する。管理システム100は、業務フローに対応するインスタンス管理情報700を参照し、インスタンスID701に取得したインスタンスのIDが格納されるエントリを検索する。管理システム100は、検索されたエントリのオーナ702に格納される値を管理サーバ200に応答する。
【0056】
なお、接続元のインスタンスが複数存在する場合、管理システム100は、各インスタンスのオーナを通知する。
【0057】
管理サーバ200は、問合せの応答に基づいて、ターゲットインスタンスの接続元のインスタンスのオーナは全て「自社」であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0058】
ターゲットインスタンスの接続元のインスタンスのオーナは全て「自社」である場合、管理サーバ200は、インスタンス属性情報1200の外部連携1201に「0」を設定し(ステップS204)、その後、ステップS206に進む。
【0059】
ターゲットインスタンスの少なくとも一つの接続元のインスタンスのオーナが「他社」である場合、管理サーバ200は、インスタンス属性情報1200の外部連携1201に「1」を設定し(ステップS205)、その後、ステップS206に進む。
【0060】
ステップS206では、管理サーバ200は、管理システム100に、ターゲットインスタンスが稼働する基盤101を問い合わせる(ステップS206)。当該問合せには、業務フローの識別情報及びターゲットインスタンスのIDが含まれる。
【0061】
管理システム100は、当該問合せを受け付けた場合、業務フローに対応するインスタンス管理情報700を参照し、インスタンスID701にターゲットインスタンスのIDが格納されるエントリを検索する。管理システム100は、検索されたエントリの環境ID704に格納される値を管理サーバ200に応答する。
【0062】
管理サーバ200は、問合せの応答に基づいて、ターゲットインスタンスが稼働する基盤101がパブリッククラウドシステムであるか否かを判定する(ステップS207)。
【0063】
ターゲットインスタンスが稼働する基盤101がパブリッククラウドシステムではない場合、管理サーバ200は、インスタンス属性情報1200のパブリック1202に「0」を設定し(ステップS208)、その後、ステップS210に進む。
【0064】
ターゲットインスタンスが稼働する基盤101がパブリッククラウドシステムである場合、管理サーバ200は、インスタンス属性情報1200のパブリック1202に「1」を設定し(ステップS209)、その後、ステップS210に進む。
【0065】
ステップS210では、管理サーバ200は、管理システム100に、ターゲットインスタンスが接続元となる連携の処理内容を問い合わせる(ステップS210)。当該問合せには、業務フローの識別情報及びターゲットインスタンスのIDが含まれる。
【0066】
管理システム100は、当該問合せを受け付けた場合、業務フローに対応する接続管理情報800を参照し、接続元インスタンスID802にターゲットインスタンスのIDが格納されるエントリを検索する。管理システム100は、検索されたエントリの処理内容804に格納される値を管理サーバ200に応答する。
【0067】
なお、接続先のインスタンスが複数存在する場合、すなわち、コネクタが複数存在する場合、管理システム100は、各コネクタについて処理内容を通知する。
【0068】
管理サーバ200は、問合せの応答に基づいて、ターゲットインスタンスが接続元である連携の処理内容の中に移行/複製が含まれるか否かを判定する(ステップS211)。
【0069】
ターゲットインスタンスが接続元である連携の処理内容の中に移行/複製が含まれない場合、管理サーバ200は、インスタンス属性情報1200の移行/複製1203に「0」を設定し(ステップS215)、その後、処理を終了する。
【0070】
ターゲットインスタンスが接続元である連携の処理内容の中に移行/複製が含まれる場合、管理サーバ200は、移行/複製を行うターゲットインスタンスの接続先のインスタンスが稼働する基盤101を問い合わせる(ステップS212)。当該問合せには、業務フローの識別情報及び接続先のインスタンスのIDが含まれる。
【0071】
管理システム100は、当該問合せを受け付けた場合、業務フローに対応するインスタンス管理情報700を参照し、インスタンスID701に接続先のインスタンスのIDが格納されるエントリを検索する。管理システム100は、検索されたエントリの環境ID704に格納される値を管理サーバ200に応答する。
【0072】
管理サーバ200は、問合せの応答に基づいて、移行/複製を行うターゲットインスタンスの接続先のインスタンスが稼働する基盤101の中にパブリッククラウドシステムが含まれるか否かを判定する(ステップS213)。
【0073】
移行/複製を行うターゲットインスタンスの接続先のインスタンスが稼働する基盤101の中にパブリッククラウドシステムが含まれる場合、管理サーバ200は、インスタンス属性情報1200の移行/複製1203に「1」を設定し(ステップS214)、その後、処理を終了する。
【0074】
移行/複製を行うターゲットインスタンスの接続先のインスタンスが稼働する基盤101の中にパブリッククラウドシステムが含まれない場合、管理サーバ200は、インスタンス属性情報1200の移行/複製1203に「0」を設定し(ステップS215)、その後、処理を終了する。
【0075】
iPaaS(Integration Platform AS a Service)及びCMP等の管理システム100は、業務システムを開発又は運用するユーザによって利用され、従来は、基盤101の管理には用いられていなかった。本実施例では、基盤101の管理の一つである「ストレージプール202の選択」を支援するために、管理システム100が保持する情報を用いる点に特徴がある。
【0076】
図13は、実施例1の管理サーバ200が実行するストレージプール検索処理の一例を説明するフローチャートである。
【0077】
管理サーバ200は、インスタンス属性情報1200に基づいてポリシ管理情報411を参照し、ストレージプール202に要求される特性(ストレージ特性)を特定する(ステップS301)。
【0078】
具体的には、管理サーバ200は、インスタンス属性602に、「1」が設定されたフィールドに対応する属性が格納されるエントリを検索する。管理サーバ200は、検索されたエントリのストレージ特性603に格納される値を取得する。
【0079】
例えば、外部連携1201に「1」が設定されている場合、ポリシID601が「P001」のエントリが検索される。この場合、「暗号化」及び「バックアップ」がストレージ特性となる。
【0080】
管理サーバ200は、ストレージプール管理情報410を参照し、特定されたストレージ特性を有するストレージプール202を検索する(ステップS302)。
【0081】
具体的には、管理サーバ200は、ストレージ特性502に、特定されたストレージ特性に対応する値が格納されるエントリを検索する。
【0082】
管理サーバ200は、検索結果を表示するための表示情報を生成し、ストレージプール202を有する基盤101の管理者に対して出力する(ステップS303)。
【0083】
例えば、特定されたストレージ特性を有するストレージプール202が存在した場合、管理サーバ200は、当該ストレージプール202を表示するための表示情報を生成する。ステップS302において、特定されたストレージ特性を有するストレージプール202が存在しない場合、管理サーバ200は、ストレージプール202が存在しないこと、及びストレージ特性を表示するための表示情報を生成する。基盤101の管理者は、ストレージ特性を参照することによって、基盤101に新たなストレージプール202を設定することができる。
【0084】
以上で説明したように、本実施例では、業務サービスの一元管理を行う管理システム100が保持する情報を活用して、インスタンスが使用するボリュームに記憶領域を割り当てるストレージプールの選択を支援できる。
【0085】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0086】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0087】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0088】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0089】
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。