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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011689
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】蓄熱槽
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
F28D20/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113946
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】後藤 功一
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 峻史
(57)【要約】
【課題】天井空気領域、底部空気領域及び側部空気領域の素通り空気の流量を減らし、蓄熱効率及び放熱効率の低下を抑制する事ができる蓄熱槽を提案する事を課題とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、蓄熱槽は、蓄熱運転時に流体から蓄熱材に蓄熱し、放熱運転時に前記蓄熱材から流体に放熱させる蓄熱槽であり、前記蓄熱材を内蔵する蓄熱材内蔵槽を備える。さらに前記蓄熱槽は、前記蓄熱材内蔵槽内の隙間流路の抵抗となる1つまたは複数の隙間流路抵抗物を備える。さらに前記蓄熱槽は、前記蓄熱材の上部に設置される蓋部を備える。さらに、前記隙間流路抵抗物は、蓄熱運転時または放熱運転時に前記蓄熱材内蔵槽内部の隙間を通過する流体の流路を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱運転時に流体から蓄熱材に蓄熱し、放熱運転時に前記蓄熱材から流体に放熱させる蓄熱槽であり、
前記蓄熱材を内蔵する蓄熱材内蔵槽と、
前記蓄熱材内蔵槽内部の隙間流路の抵抗となる1つまたは複数の隙間流路抵抗物と、
前記蓄熱材の上部に設置される蓋部とを備え、
前記隙間流路抵抗物は、蓄熱運転時または放熱運転時に前記蓄熱材内蔵槽内部の隙間を通過する流体の流路を変更する、
蓄熱槽。
【請求項2】
前記蓋部の上部に設置される外蓋をさらに備え、
前記蓋部は、固定を伴わずに前記蓄熱材の上部に設置され、自重によって前記蓄熱材を押さえつける、
請求項1に記載の蓄熱槽。
【請求項3】
前記1つまたは複数の隙間流路抵抗物は、
可撓性を有し鉛直方向下側に延伸する第1板状部材、可撓性を有し鉛直方向下側に延伸する複数の棒状部材または可撓性を有さず鉛直方向下側に延伸する第2板状部材を含み、
前記蓋部と、前記蓄熱材との間に設けられ、前記蓄熱材内蔵槽上部の隙間を通過する前記流体の流路を変更する、
請求項1または2に記載の蓄熱槽。
【請求項4】
前記隙間流路抵抗物は、前記蓋部に取り付けられる、請求項3に記載の蓄熱槽。
【請求項5】
前記1つまたは複数の隙間流路抵抗物は、
ウール状部材を含み、
前記蓋部と、前記蓄熱材との間に設けられ、前記蓄熱材内蔵槽上部の隙間を通過する前記流体の流路を変更する、
請求項1または2に記載の蓄熱槽。
【請求項6】
前記1つまたは複数の隙間流路抵抗物は、
ウール状部材を含み、
底部と、前記蓄熱材との間に設けられ、または、側部と、前記蓄熱材との間に設けられ、前記蓄熱材内蔵槽の前記底部または前記側部の隙間を通過する空気の流路を変更する、
請求項1に記載の蓄熱槽。
【請求項7】
前記1つまたは複数の隙間流路抵抗物は、
柔軟性部材を含み、
前記蓋部と、前記蓄熱材との間に設けられ、前記蓄熱材内蔵槽上部の隙間を通過する前記流体の流路を変更する、
請求項1または2に記載の蓄熱槽。
【請求項8】
前記1つまたは複数の隙間流路抵抗物は、
鉛直方向下側に延伸するフラップ状部材を含み、
前記蓋部に取り付けられ、前記蓋部を閉じた際に前記蓄熱材に接触した場合回動し、回動方向に応じて前記蓄熱材内蔵槽上部の隙間を通過する前記流体の流路を変更する、
請求項1または2に記載の蓄熱槽。
【請求項9】
前記隙間流路抵抗物は、
鉛直方向下側に延伸する波板状部材を含み、
前記蓋部に取り付けられ、前記蓄熱材内蔵槽上部の隙間を通過する前記流体の流路を変更する、
請求項1または2に記載の蓄熱槽。
【請求項10】
蓄熱運転時に流体から蓄熱材に蓄熱し、放熱運転時に前記蓄熱材から流体に放熱させる蓄熱槽であり、
前記蓄熱材を内蔵する蓄熱材内蔵槽と、
前記蓄熱材の上に設置される可撓性のあるシート状部材と、
前記シート状部材の上に設置される重石部材と、
前記シート状部材及び前記重石部材の上部に設置される蓋部とを備え、
前記シート状部材は、蓄熱運転時または放熱運転時に前記蓄熱材内蔵槽上部の隙間に流体が流出する事を抑制する、
蓄熱槽。
【請求項11】
蓄熱運転時に流体から蓄熱材に蓄熱し、放熱運転時に前記蓄熱材から流体に放熱させる蓄熱槽であり、
前記蓄熱材を内蔵する蓄熱材内蔵槽と、
前記蓄熱材内蔵槽内の隙間流路の抵抗となる第1の隙間流路抵抗物及び第2の隙間流路抵抗物を含む複数の隙間流路抵抗物と、
前記蓄熱材の上部に設置される蓋部とを備え、
第1の隙間流路抵抗物及び第2の隙間流路抵抗物は、それぞれ前記流体の流れ方向に対して水平方向に配置され、蓄熱運転時または放熱運転時に前記蓄熱材内蔵槽内部の隙間を通過する流体の流路を変更する、
蓄熱槽。
【請求項12】
前記第1の隙間流路抵抗物及び前記第2の隙間流路抵抗物は、第1のフラップ状部材及び第2のフラップ状部材であり、
前記第1のフラップ状部材と、前記第2のフラップ状部材とは、それぞれ前記流体の流れ方向に対して水平方向に、それぞれ逆方向に回動する、
請求項11に記載の蓄熱槽。
【請求項13】
前記第1の隙間流路抵抗物及び前記第2の隙間流路抵抗物は、前記流体の流れ方向に対して垂直方向に分割された、第1の列の隙間流路抵抗物及び第2の列の隙間流路抵抗物であり、
前記第1の列の隙間流路抵抗物と、前記第2の列の隙間流路抵抗物とは、前記流体の流れ方向に対して水平方向に配置される、
請求項11に記載の蓄熱槽。
【請求項14】
前記第1の列の隙間流路抵抗物における分割された各隙間流路抵抗物と、前記第2の列の隙間流路抵抗物における分割された各隙間流路抵抗物とは、千鳥配列状に配置される、
請求項13に記載の蓄熱槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄熱槽に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギによる発電が増加しており、季節や時間帯によっては、発電量が電力需要より大きくなる地域が発生している。また、季節や時間帯によっては、電力需要が大きくなり、発電量を超え電力不足となる時がある。そこで、蓄熱を用いて電力を調整する第1の従来技術について、図29を用いて説明する。
【0003】
電力が余剰である場合、蓄熱発電システム100は、復水ポンプ8、蒸気タービン10及び第2の送風機4を停止し、弁12及び13を開き、弁14及び15を閉じて、余剰電力を用いて電気ヒータ2と第1の送風機3とを稼働させる。蓄熱システム100は、第1の送風機3により、空気5を電気ヒータ2と蓄熱槽1の間を循環させる。空気5は、電気ヒータ2が発生した熱により加熱され、その熱を蓄熱槽1まで輸送し、蓄熱槽1内の蓄熱物質を加熱する。蓄熱発電システム100では、このように蓄熱運転が実施される。
【0004】
電力が余剰でない場合、蓄熱発電システム100は、電気ヒータ2と第1の送風機3を停止し、弁12及び13を閉じ、弁14及び15を開いて、復水ポンプ8と第2の送風機4を稼働させる。蓄熱発電システム100は、第2の送風機4により空気5を蓄熱槽1とボイラ9との間で循環させる。空気5は、蓄熱槽1の蓄熱物質によって加熱され、その熱をボイラ9まで輸送する。ボイラ9は、復水ポンプ8によって搬入された水6を、空気5からの熱により加熱し、蒸気7を製造し、空気5は温度低下して流出する。蓄熱発電システム100では、このように放熱運転が実施される。
【0005】
放熱運転では、蓄熱発電システム100によって製造された蒸気7は、蒸気タービン10内を低温低圧になりながら流通する事で、羽根車である蒸気タービン10を回転駆動させる。蓄熱システム100は、蒸気タービン10に機械的に接続された発電機(不図示)を発電する。蒸気タービン10から排出された蒸気7は、復水器11によって海水などの冷却水により冷却され、水6に変化する。これにより、蓄熱発電システム100は、蓄熱槽1内の蓄熱物質に蓄熱されていた熱により、蒸気7を発生し発電する。
【0006】
上述の通り、蓄熱発電システム100は、電力が余剰となっている時は、電力を使って蓄熱運転を行い、電力が不足している時は、放熱運転によって発電する事で電力調整を行っている。蓄熱発電システム100は、蓄熱槽1から放熱した熱を、蒸気タービン10の熱源として使用している構成だが、蓄熱槽1から放熱した熱は、空調などの用途に使用してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-1597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第2の従来技術として、蓄熱槽1の断面を図30に示す。蓄熱物質は固体顕熱蓄熱材16であり、例えば岩石である。蓄熱槽1は、蓄熱材内蔵槽24及び蓋部17とを備えており、蓄熱槽1に固体顕熱蓄熱材16(以下、単に蓄熱材とも呼ぶ)である岩石を充填する際に、蓋部17を閉じる。
【0009】
蓄熱槽1は、蓋部17を閉じると、蓋部17の下面と岩石の上部とが、1面にわたって接する事はないため、蓄熱材内蔵槽24の上部に隙間が生じる。蓄熱材内蔵槽24上部の隙間を天井空気領域22と呼ぶ。また、蓄熱槽1は、充分な時間が経過すると、振動または表面崩れによって岩石が下方にずれたり、蓄熱材の繰り返しの温度上下に伴う膨張収縮などによって、岩石は詰まりがよくなる。これによって、岩石の位置は全体的に低くなり、天井空気領域22が広がっていく。
【0010】
蓄熱運転時に、空気5は、蓄熱槽1に流入し、岩石の隙間の領域を通って、蓄熱槽1から流出する。ここで、天井空気領域22は、岩石の隙間よりも通風抵抗が充分に小さいため、空気5が流入する際、天井空気領域22を素通りする素通り空気23の流量は大きい。例えば、素通り空気23は、蓄熱運転時に岩石の加熱に寄与しないため、この領域が大きいと蓄熱効率を低下させてしまう。また、放熱運転時も同様に、天井空気領域22を素通りする素通り空気23の流量は大きく、素通り空気23は、放熱運転時に岩石から加熱されないため、放熱効率を低下させてしまう。
【0011】
また、平らな面である蓄熱槽1の底部及び側部と、岩石との間の領域は、岩石の隙間の領域よりも広くなる事が多い。これらの領域をそれぞれ底部空気領域及び側部空気領域と呼ぶ。これらの空気領域が大きいと、上記と同様に蓄熱効率及び放熱効率を低下させてしまう。
【0012】
そのため、天井空気領域22、底部空気領域及び側部空気領域の素通り空気23の流量を減らし、蓄熱効率及び放熱効率の低下を抑制する事ができる蓄熱槽1を提案する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの実施形態によれば、蓄熱槽は、蓄熱運転時に流体から蓄熱材に蓄熱し、放熱運転時に前記蓄熱材から流体に放熱させる蓄熱槽であり、前記蓄熱材を内蔵する蓄熱材内蔵槽を備える。さらに前記蓄熱槽は、前記蓄熱材内蔵槽内の隙間流路の抵抗となる1つまたは複数の隙間流路抵抗物を備える。さらに前記蓄熱槽は、前記蓄熱材の上部に設置される蓋部を備える。さらに、前記隙間流路抵抗物は、蓄熱運転時または放熱運転時に前記蓄熱材内蔵槽内部の隙間を通過する流体の流路を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における蓄熱槽の蓋部の模式図である。
図2】第1実施形態における蓄熱槽の蓋部を別アングルから模式的に表した図である。
図3】第1実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
図4】第2実施形態における蓄熱槽の蓋部付近の模式図である。
図5】第2実施形態における蓄熱槽の蓋部を別アングルから模式的に表した図である。
図6】第2実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
図7】第3実施形態における蓄熱槽の蓋部の模式図である。
図8】第3実施形態における蓄熱槽の蓋部を別アングルから模式的に表した図である。
図9】第3実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
図10】第4実施形態における蓄熱槽の蓋部の模式図である。
図11】第4実施形態における蓄熱槽の蓋部付近を別アングルから模式的に表した図である。
図12】第4実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
図13】第4実施形態における蓄熱槽の変形例を模式的に表した図である。
図14】第5実施形態における蓄熱槽の蓋部の模式図である。
図15】第5実施形態における蓄熱槽の蓋部付近を別アングルから模式的に表した図である。
図16】第5実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
図17】第6実施形態における蓄熱槽の蓋部を模式的に表した図である。
図18】第6実施形態における蓄熱槽の蓋部を別アングルから模式的に表した図である。
図19】第6実施形態における蓄熱槽の変形例を模式的に表した図である。
図20】第7実施形態における蓄熱槽の蓋部を模式的に表した図である。
図21】第8実施形態における蓄熱槽の蓋部を模式的に表した図である。
図22】第9実施形態における蓄熱槽を模式的に表した図である。
図23】第10実施形態における蓄熱槽の蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
図24】第11実施形態における蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
図25】第12実施形態における蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
図26】第13実施形態における蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
図27】第14実施形態における蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
図28】第15実施形態における蓄熱槽を模式的に表した図である。
図29】第1の従来技術の蓄熱システムにおける全体構成図である。
図30】第2の従来技術の蓄熱システムにおける蓄熱槽の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における蓄熱槽の蓋部の模式図である。
【0017】
蓄熱システム100の全体構成は、図25と同様であるため、説明を省略する。また、蓄熱槽1の構成は、図26と同様であり、蓄熱材内蔵槽24内に固体顕熱蓄熱材16が内蔵され、その上部に蓋部17が設置される。
【0018】
図1は、互いに垂直なX軸、Y軸及びZ軸を示している。X方向及びY方向は、重力方向に垂直な横方向(水平方向)に相当し、Z方向は、重力方向に平行な縦方向(鉛直方向)に相当している。また、+Z方向は上方向に相当し、-Z方向は下方向に相当している。
【0019】
以下の実施形態では、蓄熱運転時及び放熱運転時において空気5が±X方向のみに流通しているが、蓄熱槽1の空気5は、主に±X方向に流通すれば、±X方向だけでなく、±Y方向や±Z方向にも流通してもよい。例えば、空気5は、蓄熱槽1内の固体顕熱蓄熱材16内で、Y方向の速度成分やZ方向の速度成分があっても、X方向の速度成分を十分に有していればよい。このような態様での空気5の流通も、X方向への空気5の流通に含まれる。また、空気5は流体の例である。天井空気領域は、天井流体領域の例である。
【0020】
また、水平方向における空気5の流れ方向に垂直な方向とは、厳密にY方向に一致する必要はない。例えば、蓄熱槽1内の固体顕熱蓄熱材16内で、Y方向の速度成分やZ方向の速度成分があっても、X方向の速度成分を十分に有する空気5に対する垂直な方向は、水平方向における空気5の流れ方向に垂直な方向として含まれる。
【0021】
本実施形態では、蓋部17には、その下面からZ方向下側に延伸する、複数の可撓性のある板状部材18が設けられている。可撓性のある板状部材18は、第1板状部材の例である。板状部材18の材料は、例えば放熱運転時や蓄熱運転時における高温の空気5に耐える事ができる金属である。図1では、各板状部材18は、可撓性の説明のために水平方向に撓った様子を表しているが、必ずしも撓っている必要はない。また、板状部材18のZ方向における寸法は、蓄熱材内蔵槽24内の固体顕熱蓄熱材16に接触する程度に充分に長いのが望ましい。可撓性のある板状部材18は、隙間流路抵抗物の例である。
【0022】
また、水平方向において、板状部材18の空気5の流れ方向とは垂直な方向(つまり、この例ではY方向)における寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましい。
【0023】
また、板状部材18は、蓋部17に1つ以上設けられていればよいが、複数設けられるのが望ましい。この例では、板状部材18は5つ設けられている例を示しており、それぞれ18a~18eとしている。
【0024】
図2は、第1実施形態における蓄熱槽の蓋部を別アングルから模式的に表した図である。
【0025】
図2は、図1の蓋部17を-Y方向から見た図である。また、図2は、蓄熱材内蔵槽24に内蔵されている固体顕熱蓄熱材16のうち、4つの固体顕熱蓄熱材16a~16dを取り上げて図示している。また、空気5は、±X方向に流通している例を示している。
【0026】
板状部材18は、蓋部17を閉じるために-Z方向に移動させる際に、真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触し撓る。全ての板状部材18が真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触するのではなく、板状部材18の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触してもよく、全く接触していなくてもよい。板状部材18の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触する場合や全く接触していない場合であっても、板状部材18は素通り空気23の抵抗物となり、蓄熱運転時及び放熱運転時にこの流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する。
【0027】
この例では、板状部材18aは、固体顕熱蓄熱材16aに接触し、板状部材18cは、固体顕熱蓄熱材16cに接触し、板状部材18dは、固体顕熱蓄熱材16dに接触する例を示している。固体顕熱蓄熱材16に当たらない板状部材18があってもよい。
【0028】
これにより、板状部材18は、蓄熱運転時及び放熱運転時に蓄熱槽1上部を通過する素通り空気23の抵抗物となり、この流路を変更する。この結果、蓄熱槽1は、素通り空気23は減少し、流入した空気5が固体顕熱蓄熱材16に接触するため、蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制される。
【0029】
図3は、第1実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
【0030】
図3は、図2のAA’断面図を示しており、蓋部17を-X方向から見た図である。図3に示す通り、板状部材18dは、固体顕熱蓄熱材16dに接触し撓っている。また、この図では、板状部材18dは+X方向に撓っている例を示しているが、-X方向に撓っていてもよい。
【0031】
ここで、再び図2を用いて説明する。蓄熱槽1は、蓄熱運転及び放熱運転を繰り返す事で、当初は天井空気領域22が小さい場合であっても、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16が温度変化によって膨張収縮し、いくらか詰まりがよくなり、時間経過によって天井空気領域22が広がっていく。また、充分な時間が経過すると、蓄熱材内蔵槽24内の固体顕熱蓄熱材16が崩れるため、天井空気領域22は広がっていく。
【0032】
しかし、本実施形態における板状部材18は、可撓性を有しているため、天井空気領域22が広がった場合でも撓み量が少なくなるだけである。充分な時間が経過した場合でも、板状部材18は、素通り空気23の流路を変更する役割を有する。
【0033】
また、本実施形態では、板状部材18は、空気5の流れ方向とは垂直な方向な方向に配置された例を示しているが、必ずしもこの方向に配置する必要はない。例えば、板状部材18は、空気5の流れを妨げるように、空気5の流れ方向に対して傾斜して配置されていれば素通り空気23に対する抵抗物となる。
【0034】
また、板状部材18は、空気5の流れ方向と平行な方向に配置されてもよい。板状部材18は、空気5の流れ方向と平行な方向に配置される事で、蓄熱運転終了から放熱運転開始まで蓄熱槽1を長期保管する際に、天井空気領域22の素通り空気23が側部へ流通する事を防止できる。これにより、板状部材18は、固体顕熱蓄熱材16の隙間に存在する空気5の自然対流を抑制し、蓄熱槽1内の温度分布が上部ほど高温になる事や、外界への熱リークを抑制する事ができる。
【0035】
本実施形態によれば、蓄熱槽1の蓋部17に板状部材18を設ける事で、板状部材18は、蓄熱運転時及び放熱運転時に天井空気領域22を通過する素通り空気23の抵抗物となる。これにより、蓄熱槽1は、天井空気領域22の流路断面積が減少する事に加えて、素通り空気23の流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する事ができる。また、板状部材18は、素通り空気23の流れるルートを長くさせ、天井空気領域22への流通を防止する。これにより、素通り空気23は低減され蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制される。
【0036】
また、本実施形態によれば、蓋部17は、可撓性のある板状部材18を備えるため、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、板状部材18の撓み量が少なくなるだけであり、素通り空気23を低減する事ができる。
【0037】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態における蓄熱槽の蓋部の模式図である。
【0038】
本実施形態では、蓋部17には、その下面からZ方向下側に延伸する、可撓性のある複数の棒状部材19が設けられている。棒状部材19の材料は、例えば放熱運転時や蓄熱運転時における高温の空気5に耐える事ができる金属である。また、棒状部材19のZ方向における寸法は、蓄熱材内蔵槽24内の固体顕熱蓄熱材16に接触する程度に充分に長いのが望ましい。板状部材18は、隙間流路抵抗物の例である。棒状部材19は、必ずしも棒状の形状を有している必要はなく、Z方向下側に長手方向を有する板状の形状を有していてもよい。
【0039】
また、水平方向において、板状部材18の空気5の流れ方向とは垂直な方向(つまり、この例ではY方向)における寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましい。
【0040】
本実施形態では、蓋部17は、複数の棒状部材19が1列に並び束となっており、この1列に並んだ棒状部材19の束が水平方向に複数設けられている。棒状部材19の束は、蓋部17に1つ以上設けられていればよいが、複数設けられるのが望ましい。この例では、棒状部材19の束は5つ設けられており、それぞれ19a~19eとしている。また、複数の棒状部材19は、必ずしも1列の束を形成している必要はなく、例えば、蓋部17の下面の一部の面または全面に設けられてもよい。蓋部17に複数の棒状部材19が設けられる状態は、図4のような、空気5の流れ方向に垂直な方向に、複数の棒状部材19が束となって設けられている状態の他、蓋部17の一部または全面に棒状部材19が設けられている場合も含む。
【0041】
図5は、第2実施形態における蓄熱槽の蓋部を別アングルから模式的に表した図である。
【0042】
図5は、図4の蓋部17を-Y方向から見た図である。また、図2は、蓄熱材内蔵槽24に内蔵されている固体顕熱蓄熱材16のうち、4つの固体顕熱蓄熱材16a~16dを取り上げて図示している。
【0043】
板状部材18は、蓋部17を閉じるために-Z方向に移動させる際に、真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触し撓る。全ての棒状部材19が真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触するのではなく、棒状部材19の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触してもよく、全く接触しなくてもよい。棒状部材19は、固体顕熱蓄熱材16に接触した場合、四方八方に撓る。板状部材18の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触する場合や全く接触しない場合であっても、板状部材18は素通り空気23の抵抗物となり、蓄熱運転時及び放熱運転時にこの流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する。
【0044】
この例では、棒状部材19aは、固体顕熱蓄熱材16aに接触し、棒状部材19cは、固体顕熱蓄熱材16cに接触し、棒状部材19dは、固体顕熱蓄熱材16dに接触する例を示している。
【0045】
第1実施形態における板状部材18は、固体顕熱蓄熱材16に接触した場合、接触した面全体が撓るのに対して、本実施形態では、棒状部材19は、棒状部材19の束のうち、固体顕熱蓄熱材16に接触した棒状部材19だけが撓る。
【0046】
図6は、第2実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
【0047】
図6は、図5のBB’断面図を示しており、蓋部17を+X方向から見た図である。図6では、棒状部材19a、19c及び19dは、それぞれ固体顕熱蓄熱材16a、16c及び19dに接触し、四方八方に撓っている様子を表している。
【0048】
本実施形態における棒状部材19は、充分時間が経過して、天井空気領域22が広がった場合でも、固体顕熱蓄熱材16に接触する棒状部材19の撓み量が少なくなるだけである。充分な時間が経過した場合でも、棒状部材19は、素通り空気23の流路を変更する役割を有する。
【0049】
また、本実施形態では、棒状部材19は、空気5の流れ方向とは垂直な方向な方向に配置された例を示しているが、必ずしもこの方向に配置される必要はない。例えば、棒状部材19は、空気5の流れを妨げるように、空気5の流れ方向に対して傾斜して配置されていれば素通り空気23に対する抵抗物となる。
【0050】
また、棒状部材19は、空気5の流れ方向と平行な方向に配置されてもよい。棒状部材19は、空気5の流れ方向と平行な方向に配置される事で、蓄熱運転終了から放熱運転開始まで蓄熱槽1を長期保管する際に、天井空気領域22の素通り空気23が側部へ流通する事を防止できる。これにより、棒状部材19は、固体顕熱蓄熱材16の隙間に存在する空気5の自然対流を抑制し、蓄熱槽1内の温度分布が上部ほど高温になる事や、外界への熱リークを抑制する事ができる。
【0051】
本実施形態によれば、蓄熱槽1の蓋部17に棒状部材19を設ける事で、棒状部材19は、蓄熱運転時及び放熱運転時に天井空気領域22を通過する素通り空気23の抵抗物となる。これにより、蓄熱槽1は、流路断面積が減少する事に加えて、素通り空気23の流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する事ができる。また、棒状部材19は、素通り空気23の流れるルートを長くさせ、天井空気領域22への流通を防止する。これにより、素通り空気23は低減され蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制される。
【0052】
また、本実施形態によれば、蓄熱槽1の蓋部17に棒状部材19を設ける事で、板状部材18を設ける場合と比較して、天井空気領域22の流路断面積さらに減少させる事ができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、蓋部17は、可撓性のある棒状部材19を備えるため、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、棒状部材19の撓み量が少なくなるだけであり、素通り空気23を低減する事ができる。
【0054】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態における蓄熱槽の蓋部の模式図である。
【0055】
本実施形態では、蓋部17には、その下面からZ方向下側に延伸する、複数の可撓性のない板状部材20が設けられている。可撓性のない板状部材20は、第2板状部材の例である。板状部材20の材料は、例えば放熱運転時や蓄熱運転時における高温の空気5に耐える事ができる金属である。また、板状部材20のZ方向における寸法は、蓄熱材内蔵槽24内の固体顕熱蓄熱材16に接触する程度に充分に長いのが望ましい。可撓性のない板状部材20は、隙間流路抵抗物の例である。
【0056】
また、水平方向において、板状部材20の空気5の流れ方向とは垂直な方向(つまり、この例ではY方向)における寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましい。
【0057】
また、板状部材20は、蓋部17に1つ以上設けられていればよいが、複数設けられるのが望ましい。この例では、板状部材20は5つ設けられている例を示しており、それぞれ20a~20eとしている。
【0058】
図8は、第3実施形態における蓄熱槽の蓋部を別アングルから模式的に表した図である。
【0059】
図8は、図7の蓋部17を-Y方向から見た図である。また、図8は、蓄熱材内蔵槽24に内蔵されている固体顕熱蓄熱材16のうち、4つの固体顕熱蓄熱材16a~16dを取り上げて図示している。
【0060】
板状部材20は、蓋部17を閉じるために-Z方向に移動させる際に、真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触する。全ての板状部材20が真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触するのではなく、板状部材20の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触してもよく、全く接触しなくてもよい。板状部材20の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触する場合や全く接触しない場合であっても、板状部材20は素通り空気23の抵抗物となり、蓄熱運転時及び放熱運転時にこの流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する。
【0061】
また、板状部材20は、可撓性がないため、固体顕熱蓄熱材16に接触した際に、変形したり、破損したりする。一方、固体顕熱蓄熱材16は、板状部材20が接触した際に、位置がずれたり、割れたりする。
【0062】
この例では、板状部材20bは、固体顕熱蓄熱材16bに接触し、板状部材20cは、固体顕熱蓄熱材16cに接触し、板状部材20dは、固体顕熱蓄熱材16dに接触する例を示している。また、板状部材20bは、固体顕熱蓄熱材16bに接触した事によって、破損し、変形した例を示している。また、固体顕熱蓄熱材16cは、板状部材20cに接触した事によって、割れた例を示している。固体顕熱蓄熱材16に当たらない板状部材20があってもよい。
【0063】
これにより、板状部材20は、蓄熱運転時及び放熱運転時に蓄熱槽1上部を通過する素通り空気23の抵抗物となり、この流路を変更する。この結果、素通り空気23は減少し、流入した空気5が固体顕熱蓄熱材16に接触するため、蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制される。
【0064】
図9は、第3実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
【0065】
図9は、図2のCC’断面図を示しており、蓋部17を-X方向から見た図である。図3に示す通り、板状部材20dは、固体顕熱蓄熱材16dに接触している。
【0066】
また、本実施形態では、板状部材20は、空気5の流れ方向とは垂直な方向な方向に配置された例を示しているが、必ずしもこの方向に配置する必要はない。例えば、板状部材20は、空気5の流れを妨げるように、空気5の流れ方向に対して傾斜して配置されていれば素通り空気23に対する抵抗物となる。
【0067】
また、板状部材20は、空気5の流れ方向と平行な方向に配置されてもよい。板状部材20は、空気5の流れ方向と平行な方向に配置される事で、蓄熱運転終了から放熱運転開始まで蓄熱槽1を長期保管する際に、天井空気領域22の素通り空気23が側部へ流通する事を防止できる。これにより、板状部材20は、固体顕熱蓄熱材16の隙間に存在する空気5の自然対流を抑制し、蓄熱槽1内の温度分布が上部ほど高温になる事や、外界への熱リークを抑制する事ができる。
【0068】
本実施形態によれば、蓄熱槽1の蓋部17に板状部材20を設ける事で、板状部材20は、蓄熱運転時及び放熱運転時に天井空気領域22を通過する素通り空気23の抵抗物となる。これにより、蓄熱槽1は、天井空気領域22の流路断面積が減少する事に加えて、素通り空気23の流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する事ができる。また、板状部材20は、素通り空気23の流れるルートを長くさせ、天井空気領域22への流通を防止する。これにより、素通り空気23は低減され蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制される。
【0069】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態における蓄熱槽の蓋部付近の模式図である。
【0070】
本実施形態では、ウール状部材21が蓋部17の下面と固体顕熱蓄熱材16との間に設けられている。ウール状部材21は、蓋部17の下面に固定されておらず、蓋部17を閉じる際に、固体顕熱蓄熱材16の上に乗せる。図10と異なり、ウール状部材21は、蓋部17に固定されていてもよい。ウール状部材21の材料は、例えば放熱運転時や蓄熱運転時における高温の空気5に耐える事ができる金属製の糸金や、セラミック製の繊維である。例えば、スチールウール、セラミックファイバまたはグラスウールを採用する事が考えられる。また、ウール状部材21の-Z方向における寸法は、蓄熱材内蔵槽24内の固体顕熱蓄熱材16に接触する程度に充分に長いのが望ましい。ウール状部材21は、隙間流路抵抗物の例である。また、ウール状部材21は、蓋部17の下面において、全面に設けられている必要はなく、下面の一部に設けられてもよい。
【0071】
また、水平方向において、ウール状部材21における空気5の流れ方向とは垂直な方向(つまり、この例ではY方向)の寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましい。
【0072】
図11は、第4実施形態における蓄熱槽の蓋部付近を別アングルから模式的に表した図である。
【0073】
図11は、図10の蓋部17を-Y方向から見た図である。ウール状部材21は、蓋部17を閉じるために-Z方向に移動させる際に、真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触し変形する。ウール状部材21の全体が真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触するのではなく、ウール状部材21の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触してもよく、全く接触しなくてもよい。ウール状部材21の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触する場合や全く接触しない場合であっても、ウール状部材21は素通り空気23の抵抗物となり、蓄熱運転時及び放熱運転時にこの流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する。
【0074】
この例では、ウール状部材21は、上部にある固体顕熱蓄熱材16に接触する例を示している。
【0075】
本実施形態におけるウール状部材21は、充分時間が経過して、天井空気領域22が広がった場合でも、固体顕熱蓄熱材16に接触するウール状部材21の変形量が少なくなるだけである。充分な時間が経過した場合でも、ウール状部材21は、素通り空気23の流路を変更する役割を有する。
【0076】
また、水平方向において、ウール状部材21における空気5の流れ方向とは垂直な方向の寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましいが、この方向以外に延伸されていてもよい。ウール状部材21は、空気5の流れを妨げるように、空気5の流れ方向に対して傾斜して延伸されていれば、素通り空気23に対する抵抗物となる。
【0077】
また、ウール状部材21は、空気5の流れ方向と平行な方向に長くしてもよい。ウール状部材21を空気5の流れ方向と平行な方向に長くする事で、蓄熱運転終了から放熱運転開始まで蓄熱槽1を長期保管する際に、天井空気領域22の素通り空気23が側部へ流通する事を防止できる。これにより、ウール状部材21は、固体顕熱蓄熱材16の隙間に存在する空気5の自然対流を抑制し、蓄熱槽1内の温度分布が上部ほど高温になる事や、外界への熱リークを抑制する事ができる。
【0078】
図12は、第4実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
【0079】
また、図12は、図11のDD’断面図を示しており、蓋部17を-X方向から見た図であり、蓋部17を閉じた際の蓋部17付近の様子を模式的に表している。図12に示す通り、ウール状部材21は、固体顕熱蓄熱材16に接触した部分のみが変形している。
【0080】
図13は、第4実施形態における蓄熱槽の変形例を模式的に表した図である。
【0081】
図13Aは、蓄熱槽1の底部を表しており、図13Bは、蓄熱槽1の側部を表している。本変形例では、蓄熱材内蔵槽24の底部または側部に、ウール状部材21が設けられている。
【0082】
ウール状部材21は、蓄熱材内蔵槽24の底部において全面に設けられてもよく、また、一部に設けられていてもよい。水平方向において、ウール状部材21における空気5の流れ方向とは垂直な方向の寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましいが、この方向以外に延伸されていてもよい。ウール状部材21は、空気5の流れを妨げるように、空気5の流れ方向に対して傾斜して延伸されていれば、底部空気領域における素通り空気23に対する抵抗物となる。ウール状部材21は、固体顕熱蓄熱材16を充填する際に、固体顕熱蓄熱材16に接触し変形する。
【0083】
また、ウール状部材21は、蓄熱材内蔵槽24の底部において空気5の流れ方向と平行な方向に長くしてもよい。ウール状部材21を空気5の流れ方向と平行な方向に長くする事で、蓄熱運転終了から放熱運転開始まで蓄熱槽1を長期保管する際に、側部空気領域の空気が底部空気領域へ流通する事を防止できる。これにより、ウール状部材21は、固体顕熱蓄熱材16の隙間に存在する空気5の自然対流を抑制し、蓄熱槽1内の温度分布が上部ほど高温になる事や、外界への熱リークを抑制する事ができる。
【0084】
ウール状部材21は、蓄熱材内蔵槽24の側部において全面に設けられてもよく、また、一部に設けられていてもよい。ウール状部材21における空気5の流れ方向とは平行な方向(つまり、この例ではX方向)の寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましいが、この方向以外に延伸されていてもよい。ウール状部材21は、空気5の流れを妨げるように、空気5の流れ方向に対して傾斜して延伸されていれば、側部空気領域における素通り空気23に対する抵抗物となる。ウール状部材21は、固体顕熱蓄熱材16を充填する際に固体顕熱蓄熱材16に接触し変形する。
【0085】
また、ウール状部材21は、蓄熱材内蔵槽24の側部において空気5の流れ方向と垂直な方向に長くしてもよい。ウール状部材21を空気5の流れ方向と垂直な方向に長くする事で、蓄熱運転終了から放熱運転開始まで蓄熱槽1を長期保管する際に、天井空気領域22の素通り空気23が側部空気領域へ流通する事を防止できる。また、ウール状部材21は、側部空気領域の空気5が底部空気領域へ流通する事を防止できる。これにより、ウール状部材21は、固体顕熱蓄熱材16の隙間に存在する空気5の自然対流を抑制し、蓄熱槽1内の温度分布が上部ほど高温になる事や、外界への熱リークを抑制する事ができる。
【0086】
本実施形態によれば、蓄熱槽1の蓋部17にウール状部材21を設ける事で、ウール状部材21は、蓄熱運転時及び放熱運転時に天井空気領域22を通過する素通り空気23の抵抗物となる。これにより、蓄熱槽1は、天井空気領域22の流路断面積が減少する事に加えて、素通り空気23の流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16へ案内する事ができる。また、ウール状部材21は、素通り空気23の流れるルートを長くさせ、天井空気領域22への流通を防止する。これにより、素通り空気23は低減され蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制される。
【0087】
また、本実施形態によれば、蓋部17は、ウール状部材21を備えるため、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、ウール状部材21の変形量が少なくなるだけであり、素通り空気23を低減する事ができる。
【0088】
また、本実施形態の変形例によれば、蓄熱材内蔵槽24の底部または側部にウール状部材21を設ける事で、ウール状部材21は、底部空気領域または側部空気領域における素通り空気23の抵抗物となる。これにより、固体顕熱蓄熱材16の隙間に存在する空気5の自然対流を抑制し、蓄熱槽1内の温度分布が上部ほど高温になる事や、外界への熱リークを抑制する事ができる。
【0089】
(第5実施形態)
図14は、第5実施形態における蓄熱槽の蓋部付近の模式図である。
【0090】
本実施形態では、柔軟性部材34が蓋部17の下面と固体顕熱蓄熱材16との間に設けられている。柔軟性部材34は、蓋部17の下面に固定されておらず、蓋部17を閉じる際に、固体顕熱蓄熱材16の上に乗せる。図14と異なり、柔軟性部材34は、蓋部17に固定されていてもよい。柔軟性部材34の材料は、例えば、潰れる事のできるポーラス状セラミックである。また、柔軟性部材34の-Z方向における寸法は、蓄熱材内蔵槽24内の固体顕熱蓄熱材16に接触する程度に充分に長いのが望ましい。柔軟性部材34は、隙間流路抵抗物の例である。また、柔軟性部材34は、蓋部17の下面において、全面に設けられている必要はなく、下面の一部に設けられてもよい。
【0091】
また、水平方向において、柔軟性部材34における空気5の流れ方向とは垂直な方向(つまり、この例ではY方向)の寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましい。
【0092】
図15は、第4実施形態における蓄熱槽の蓋部付近を別アングルから模式的に表した図である。
【0093】
図15は、図14の蓋部17を-Y方向から見た図である。柔軟性部材34は、蓋部17を閉じるために-Z方向に移動させる際に、真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触し変形する。柔軟性部材34の全体が真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触するのではなく、柔軟性部材34の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触してもよく、全く接触しなくてもよい。柔軟性部材34の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触する場合や全く接触しない場合であっても、柔軟性部材34は素通り空気23の抵抗物となり、蓄熱運転時及び放熱運転時にこの流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する。
【0094】
この例では、柔軟性部材34は、上部にある固体顕熱蓄熱材16に接触する例を示している。
【0095】
本実施形態における柔軟性部材34は、充分時間が経過して、天井空気領域22が広がった場合でも、固体顕熱蓄熱材16に接触する柔軟性部材34の変形量が少なくなるだけである。充分な時間が経過した場合でも、柔軟性部材34は、素通り空気23の流路を変更する役割を有する。
【0096】
また、水平方向において、柔軟性部材34における空気5の流れ方向とは垂直な方向の寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましいが、この方向以外に延伸されていてもよい。柔軟性部材34は、空気5の流れを妨げるように、空気5の流れ方向に対して傾斜して延伸されていれば、素通り空気23に対する抵抗物となる。
【0097】
また、柔軟性部材34は、空気5の流れ方向と平行な方向に長くしてもよい。柔軟性部材34を空気5の流れ方向と平行な方向に長くする事で、蓄熱運転終了から放熱運転開始まで蓄熱槽1を長期保管する際に、天井空気領域22の素通り空気23が側部へ流通する事を防止できる。これにより、柔軟性部材34は、固体顕熱蓄熱材16の隙間に存在する空気5の自然対流を抑制し、蓄熱槽1内の温度分布が上部ほど高温になる事や、外界への熱リークを抑制する事ができる。
【0098】
図16は、第5実施形態における蓋部をさらに別アングルから模式的に表した図である。
【0099】
また、図16は、図15のEE’断面図を示しており、蓋部17を-X方向から見た図であり、蓋部17を閉じた際の蓋部17付近の様子を模式的に表している。図16に示す通り、柔軟性部材34は、固体顕熱蓄熱材16に接触した部分のみが変形している。
【0100】
本実施形態によれば、蓄熱槽1の蓋部17に柔軟性部材34を設ける事で、柔軟性部材34は、蓄熱運転時及び放熱運転時に天井空気領域22を通過する素通り空気23の抵抗物となる。これにより、蓄熱槽1は、天井空気領域22の流路断面積が減少する事に加えて、柔軟性部材34の流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16へ案内する事ができる。また、柔軟性部材34は、素通り空気23の流れるルートを長くさせ、天井空気領域22への流通を防止する。これにより、素通り空気23は低減され蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制される。
【0101】
また、本実施形態によれば、蓋部17は、柔軟性部材34を備えるため、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、柔軟性部材34の変形量が少なくなるだけであり、素通り空気23を低減する事ができる。
【0102】
(第6実施形態)
図17は、第6実施形態における蓄熱槽の蓋部を模式的に表した図である。
【0103】
本実施形態では、蓋部17には、その下面からZ方向下側に延伸する、複数のフラップ状部材32が設けられている。フラップ状部材32の材料は、例えば放熱運転時や蓄熱運転時における高温の空気5に耐える事ができる金属である。また、フラップ状部材32のZ方向における寸法は、蓄熱材内蔵槽24内の固体顕熱蓄熱材16に接触する程度に充分に長いのが望ましい。フラップ状部材32は、隙間流路抵抗物の例である。
【0104】
また、水平方向において、フラップ状部材32の空気5の流れ方向とは垂直な方向(つまり、この例ではY方向)における寸法は、蓄熱材内蔵槽24の端から端まで延伸されているのが望ましい。
【0105】
また、フラップ状部材32は、蓋部17に1つ以上設けられていればよいが、複数設けられるのが望ましい。この例では、フラップ状部材32は5つ設けられている例を示しており、それぞれ32a~32eとしている。フラップ状部材32は、例えば、ヒンジ30によって、回動可能に設けられている。
【0106】
図18は、第6実施形態における蓄熱槽の蓋部を別アングルから模式的に表した図である。
【0107】
図18は、図17の蓋部17を-Y方向から見た図である。また、図18は、蓄熱材内蔵槽24に内蔵されている固体顕熱蓄熱材16のうち、5つの固体顕熱蓄熱材16a~16eを取り上げて図示している。
【0108】
フラップ状部材32は、蓋部17を閉じるために-Z方向に移動させる際に、真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触し回動する。また、図18に示すように、フラップ状部材32は、固体顕熱蓄熱材16の接触具合により、回動する角度が異なる。全てのフラップ状部材32が真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触するのではなく、フラップ状部材32の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触してもよく、全く接触しなくてもよい。フラップ状部材32の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触する場合や全く接触しない場合であっても、フラップ状部材32は素通り空気23の抵抗物となり、蓄熱運転時及び放熱運転時にこの流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する。
【0109】
この例では、フラップ状部材32a~32eは、それぞれ固体顕熱蓄熱材16a~16eに接触する例を示している。この図では、フラップ状部材32a~32eは、+X方向に回動している例を示しているが、-X方向に回動してもよい。
【0110】
これにより、フラップ状部材32は、蓄熱運転時及び放熱運転時に蓄熱槽1上部を通過する素通り空気23の抵抗物となり、この流路を変更する。この結果、素通り空気23は減少し、流入した空気5が固体顕熱蓄熱材16に接触するため、蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制される。
【0111】
また、本実施形態におけるフラップ状部材32は、十分な時間経過によって天井空気領域22が広がった場合でも、追従して回動する。充分な時間が経過した場合でも、フラップ状部材32は、素通り空気23の流路を変更する役割を有する。
【0112】
図19は、第6実施形態における蓄熱槽の変形例を模式的に表した図である。
【0113】
ここで、素通り空気23は、下流側で天井空気領域22に偏る可能性があり、また、固体顕熱蓄熱材16の形状に凹凸がある場合、天井空気領域22の高さは、垂直方向においてそれぞれの位置によって異なる。天井空気領域22の流路断面積を減少させるため、フラップ状部材32は、空気5の流れ方向に垂直な方向に分割する方が好ましい。
【0114】
図19は、本変形例における蓄熱槽1を+Z方向から見た図であり、また、+X方向を空気5の流れ方向として示している。本変形例では、蓋部17には、その下面からZ方向下側に延伸する複数のフラップ状部材32が設けられている。図17で示した蓋部17とは異なり、フラップ状部材32は、空気5の流れ方向に対して垂直な方向に、複数に分割されて配置されている。この例では、水平方向に5つのフラップ状部材32a~32eが配置され、各列のフラップ状部材32は、均等な大きさで3分割されている。各列のフラップ状部材32は、それぞれが均等な幅で分割されていてもよく、また異なる幅で分割されていてもよい。また、分割数は多いほどよく、例えば、例えば、フラップ状部材32は、垂直方向に、N分割(Nは正の整数)されていてもよい。なお、フラップ状部材32を分割する代わりに、後述する波板状部材も分割して用いてもよい。
【0115】
上述の通り、天井空気領域22の高さがそれぞれの位置によって異なり、凹凸がある場合でも、凹凸の形状に対応した角度で分割された各フラップ状部材32が回動し、天井空気領域22の流路断面積をさらに減少させる事ができる。
【0116】
本実施形態によれば、蓄熱槽1の蓋部17にフラップ状部材32を設ける事で、フラップ状部材32は、蓄熱運転時及び放熱運転時に天井空気領域22を通過する素通り空気23の抵抗物となる。これにより、蓄熱槽1は、天井空気領域22の流路断面積が減少する事に加えて、素通り空気23の流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16へ案内する事ができる。また、フラップ状部材32は、素通り空気23の流れるルートを長くさせ、天井空気領域22への流通を防止する。これにより、素通り空気23は低減され蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制される。
【0117】
また、本実施形態によれば、蓋部17は、フラップ状部材32を備えるため、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、それに対応した角度でフラップ状部材32が回動し、素通り空気23を低減する事ができる。
【0118】
また、本実施形態の変形例によれば、固体顕熱蓄熱材16の凹凸によって天井空気領域22の高さが位置によって異なる場合でも、凹凸の形状に対応した回転角で分割されたフラップ状部材32が回動し、天井空気領域22の流路断面積をさらに減少させる事ができる。
【0119】
(第7実施形態)
図20は、第7実施形態における蓄熱槽の蓋部を模式的に表した図である。
【0120】
蓄熱システム100は、蓄熱運転及び放熱運転において、それぞれ空気5の流れ方向が逆になる。蓄熱運転及び放熱運転の際、天井空気領域22の大きさや、素通り空気23の流量によっては、フラップ状部材32は自重が足りず、素通り空気23に押しのけられたり、蓄熱材内蔵槽24の内部の固体顕熱蓄熱材16と接触や接近ができない可能性がある。
【0121】
図20は、本実施形態における蓋部17を-Y方向から見た図である。本実施形態における蓋部17は、図18と比較して、フラップ状部材32の回転方向に指向性がある点で異なっている。
【0122】
本実施形態のフラップ状部材32は、並び順で交互に回転方向が異なっており、フラップ状部材32a、32c及び32eは+X方向に回動し、フラップ状部材32b及び32dは-X方向に回動する。また、図20に示すように、フラップ状部材32は、蓄熱材16の固体顕熱接触具合により、回動する角度が異なる。蓋部17を閉じる際に、フラップ状部材32は固体顕熱蓄熱材16に接触した場合、所定の回転方向に回動する。
【0123】
交互に回転方向が異なるフラップ状部材32の設置数は図20のように、5つに限定されない。蓋部17は、複数のフラップ状部材32を備え、また、水平方向に第1のフラップ状部材と、第2のフラップ状部材とを含み、第1のフラップ状部材と、第2のフラップ状部材とは、それぞれ水平方向において逆方向に回動する構成となっていればよい。
【0124】
本実施形態によれば、フラップ状部材32の回転方向は、並び順で交互に異なっている。これにより、蓄熱槽1は、フラップ状部材32が素通り空気23に押しのけられる事を防止できる。
【0125】
(第8実施形態)
図21は、第8実施形態における蓄熱槽の蓋部を模式的に表した図である。
【0126】
図21は、本実施形態における蓋部17を-Y方向から見た図である。本実施形態における蓋部17は、図20と比較して、フラップ状部材32の代わりに、複数の波板状部材33を備えている。波板状部材33は、例えば、板バネのような弾性及び収縮性を持つ部材を採用する事が考えられる。波板状部材33は、空気5の流れ方向に依りにくい構造物であるため、波板状部材33を隙間流路抵抗物として採用する事で、素通り空気23による流れ方向の力の影響を受けにくく、押しのけられる事を防止する事ができる。図21では、板状部材33は、水平方向において並び順で交互に波の方向が逆向きに配置されている。これにより、より素通り空気23による流れ方向の力の影響を受けにくく、押しのけられる事を防止する事ができる。
【0127】
交互に波の方向が異なる波板状部材33の設置数は図21のように、5つに限定されない。蓋部17は、複数の波板状部材33を備えていればよい。また、複数の板状部材33は、水平方向に第1の波板状部材と、第2の波板状部材とを含み、第1の波板状部材と、第2の波板状部材とは、それぞれ逆向きに配置される構成となっていてもよい。
【0128】
波板状部材33は、蓋部17を閉じるために-Z方向に移動させる際に、真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触する。全ての波板状部材33が真下に存在する固体顕熱蓄熱材16に接触するのではなく、波板状部材33の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触してもよく、全く接触しなくてもよい。波板状部材33の一部のみが固体顕熱蓄熱材16に接触する場合や全く接触しない場合であっても、波板状部材33は素通り空気23の抵抗物となり、蓄熱運転時及び放熱運転時にこの流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する。
【0129】
本実施形態によれば、蓋部17は、複数の波板状部材33を備えている。これにより蓄熱槽1は、波板状部材33が素通り空気23に押しのけられる事を防止できる。
【0130】
(第9実施形態)
図22は、第9実施形態における蓄熱槽を模式的に表した図である。
【0131】
図19では、各列のフラップ状部材32は3分割され、規則的な配置で蓋部17に配置されていた。各列のフラップ状部材32の間に多少の隙間が存在するため、フラップ状部材32または波板状部材33が固体顕熱蓄熱材16に接触していても、この隙間が大きい場合には、素通り空気23はこの隙間を流通する可能性がある。
【0132】
図22は、第9実施形態における蓄熱槽1を+Z方向から見た図であり、また、+X方向を空気5の流れ方向として示している。本実施形態では、蓋部17には、その下面からZ方向下側に延伸する複数のフラップ状部材32または波板状部材33が設けられている。以下、説明のため、複数のフラップ状部材32が設けられている例を取り上げる。
【0133】
本実施形態では、各列のフラップ状部材32は複数に分割されて配置されている。この例では、9列のフラップ状部材32a~32iが配置され、各列のフラップ状部材32について、奇数の列のフラップ状部材32は均等な大きさで3分割されている。また、偶数の列のフラップ状部材32は、異なる大きさで3分割されている。また、奇数列と偶数列とで、各フラップ状部材32の隙間が空気5の流れ方向に直線状にならないように、分割されたフラップ状部材32は千鳥配列状に配列されている。
【0134】
分割された各列のフラップ状部材32の設置数は9つに限定されない。蓋部17は水平方向に複数のフラップ状部材32を備え、垂直方向に分割された第1の列のフラップ状部材32と、垂直方向に分割された第2の列のフラップ状部材32とを含み、第1の列のフラップ状部材32における分割された各フラップ状部材32と、第2の列のフラップ状部材32における分割された各フラップ状部材32とは、千鳥配列状に配置される構成であればよい。また、蓄熱槽1は、蓋部17にフラップ状部材32の代わりに、波板状部材33を配置する場合も同様である。
【0135】
本実施形態によれば、各列のフラップ状部材32は分割され、各フラップ状部材32の隙間が空気5の流れ方向に直線状にならないように、分割されたフラップ状部材32が千鳥配列状に配列されている。これにより、蓄熱槽1は、蓄熱運転時及び放熱運転時に各列のフラップ状部材32の隙間から素通り空気23が流通する事を防止し、素通り空気23の流路を変更し、固体顕熱蓄熱材16に案内する事ができる。
【0136】
(第10実施形態)
図23は、第10実施形態における蓄熱槽の蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
【0137】
本実施形態は、蓋部17付近を-X方向から見た図である。第1実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0138】
本実施形態では、蓄熱槽1は、蓋部17を内蓋として備え、蓋部17の上部に外蓋26をさらに備える。また、本実施形態では、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていない。また、蓋部17には、その下面からZ方向下側に延伸する可撓性のある板状部材18が設けられている。蓋部17は、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0139】
蓋部17は自重によって下方に下がり、板状部材18が固体顕熱蓄熱材16に接触するため、第1実施形態と比較して、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなっている。
【0140】
また、充分な時間が経過し固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなった場合でも、板状部材18は、自重によってさらに下方に下がり、板状部材18と、固体顕熱蓄熱材16との間は広がらないため、天井空気領域22を通過する空気5の量が増加する事はない。
【0141】
本実施形態によれば、蓄熱槽1は、内蓋としての蓋部17に加え、外蓋26を備える。また、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていないため、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。これにより、蓄熱槽1は、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなり、素通り空気23を低減し、蓄熱効率及び放熱効率の低下を抑制する事ができる。
【0142】
また、本実施形態によれば、蓄熱槽1が可撓性のある板状部材18を備えるため、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、蓋部17は、板状部材18の撓み量が少なくなるだけであり、素通り空気23を低減する事ができる。
【0143】
(第11実施形態)
図24は、第11実施形態における蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
【0144】
本実施形態は、蓋部17付近を-X方向から見た図である。第2実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0145】
本実施形態では、蓄熱槽1は、蓋部17を内蓋として備え、蓋部17の上部に外蓋26をさらに備える。また、本実施形態では、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていない。また、蓋部17には、その下面からZ方向下側に延伸する可撓性のある複数の棒状部材19が設けられている。蓋部17は、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。その他の構成は第2実施形態と同様である。
【0146】
蓋部17は自重によって下方に下がり、棒状部材19が固体顕熱蓄熱材16に接触するため、第2実施形態と比較して、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなっている。
【0147】
また、充分な時間が経過し固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなった場合でも、棒状部材19は、自重によってさらに下方に下がり、棒状部材19と、固体顕熱蓄熱材16との間は広がらないため、天井空気領域22を通過する空気5の量が増加する事はない。
【0148】
本実施形態によれば、蓄熱槽1は、内蓋としての蓋部17に加え、外蓋26を備える。また、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていないため、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。これにより、蓄熱槽1は、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなり、素通り空気23を低減し、蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制する事ができる。
【0149】
また、本実施形態によれば、蓄熱槽1が可撓性のある複数の棒状部材19を備えるため、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、蓋部17は、棒状部材19の撓み量が少なくなるだけであり、素通り空気23を低減する事ができる。
【0150】
(第12実施形態)
図25は、第12実施形態における蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
【0151】
本実施形態は、蓋部17付近を-X方向から見た図である。第3実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0152】
本実施形態では、蓄熱槽1は、蓋部17を内蓋として備え、蓋部17の上部に外蓋26をさらに備える。また、本実施形態では、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていない。また、蓋部17には、その下面からZ方向下側に延伸する可撓性のない板状部材20が設けられている。蓋部17は、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。その他の構成は第3実施形態と同様である。
【0153】
蓋部17は自重によって下方に下がり、板状部材20が固体顕熱蓄熱材16に接触するため、第3実施形態と比較して、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなっている。
【0154】
また、充分な時間が経過し固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなった場合でも、板状部材20は、自重によってさらに下方に下がり、板状部材20と、固体顕熱蓄熱材16との間は広がらないため、天井空気領域22を通過する空気5の量が増加する事はない。
【0155】
本実施形態によれば、蓄熱槽1は、内蓋としての蓋部17に加え、外蓋26を備える。また、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていないため、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。これにより、蓄熱槽1は、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなり、素通り空気23を低減し、蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制する事ができる。
【0156】
また、本実施形態によれば、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、蓋部17は、自重によってさらに下方に下がる。これにより、板状部材20は固体顕熱蓄熱材16に接触し続け、素通り空気23を低減する事ができる。
【0157】
(第13実施形態)
図26は、第13実施形態における蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
【0158】
本実施形態は、蓋部17付近を-X方向から見た図である。第4実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0159】
本実施形態では、蓄熱槽1は、蓋部17を内蓋として備え、蓋部17の上部に外蓋26をさらに備える。また、本実施形態では、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていない。また、ウール状部材21が蓋部17の下面と岩石との間に設けられている。ウール状部材21は、蓋部17の下面に固定されておらず、蓋部17を閉じる際に、固体顕熱蓄熱材16の上に乗せる。また、ウール状部材21は、蓋部17に固定されていてもよい。蓋部17は、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。その他の構成は第4実施形態と同様である。
【0160】
蓋部17は自重によって下方に下がり、ウール状部材21が固体顕熱蓄熱材16に接触するため、第4実施形態と比較して、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなっている。
【0161】
また、充分な時間が経過し固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなった場合でも、ウール状部材21は、自重によってさらに下方に下がり、ウール状部材21と、固体顕熱蓄熱材16との間は広がらないため、天井空気領域22を通過する空気5の量が増加する事はない。
【0162】
本実施形態によれば、蓄熱槽1は、内蓋としての蓋部17に加え、外蓋26を備える。また、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていないため、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。これにより、蓄熱槽1は、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなり、素通り空気23を低減し、蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制する事ができる。
【0163】
また、本実施形態によれば、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、蓋部17は、自重によってさらに下方に下がる。これにより、ウール状部材21は固体顕熱蓄熱材16に接触し続け、素通り空気23を低減する事ができる。
【0164】
(第14実施形態)
図27は、第14実施形態における蓋部付近の様子を模式的に表した図である。
【0165】
本実施形態は、蓋部17付近を-X方向から見た図である。第4実施形態と同様の内容については、説明を省略する。
【0166】
本実施形態では、蓄熱槽1は、蓋部17を内蓋として備え、蓋部17の上部に外蓋26をさらに備える。また、本実施形態では、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていない。また、柔軟性部材34が蓋部17の下面と岩石との間に設けられている。柔軟性部材34は、蓋部17の下面に固定されておらず、蓋部17を閉じる際に、固体顕熱蓄熱材16の上に乗せる。また、柔軟性部材34は、蓋部17に固定されていてもよい。蓋部17は、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。その他の構成は第5実施形態と同様である。
【0167】
蓋部17は自重によって下方に下がり、柔軟性部材34が固体顕熱蓄熱材16に接触するため、第5実施形態と比較して、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなっている。
【0168】
また、充分な時間が経過し固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなった場合でも、ウール状部材21は、自重によってさらに下方に下がり、柔軟性部材34と、固体顕熱蓄熱材16との間は広がらないため、天井空気領域22を通過する空気5の量が増加する事はない。
【0169】
本実施形態によれば、蓄熱槽1は、内蓋としての蓋部17に加え、外蓋26を備える。また、蓋部17は、蓄熱材内蔵槽24や外蓋26に固定されていないため、自重によって下方に下がり、固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。これにより、蓄熱槽1は、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなり、素通り空気23を低減し、蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制する事ができる。
【0170】
また、本実施形態によれば、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、蓋部17は、自重によってさらに下方に下がる。これにより、柔軟性部材34は固体顕熱蓄熱材16に接触し続け、素通り空気23を低減する事ができる。
【0171】
(第15実施形態)
図28は、第15実施形態における蓄熱槽を模式的に表した図である。
【0172】
図28は、本実施形態における蓄熱槽1を-Y方向から見た図である。本実施形態では、蓄熱槽1は、蓄熱材内蔵槽24に内蔵された固体顕熱蓄熱材16の上に、可撓性のあるシート状部材27が設置され、その上に重石部材28が設置される。また、本実施形態では、蓋部17は、可撓性のあるシート状部材27及び重石部材28の上部に設置される。また、シート状部材27は、少なくとも一部が固体顕熱蓄熱材16に接触して設置され、また、重石部材28は、シート状部材27の少なくとも一部に接触して設置される。シート状部材27や重石部材28の材料は例えば、空気の高温に耐えられる金属である。以下の実施形態では、このような態様について、シート状部材27は、固体顕熱蓄熱材16の「上」に配置されると表現し、また、重石部材28は、シート状部材27の「上」に配置されると表現する。
【0173】
重石部材28によって、可撓性のあるシート状部材27を押さえつけているので、シート状部材27は、固体顕熱蓄熱材16から離れない。固体顕熱蓄熱材16内部を通過する空気5は、シート状部材27によって、天井空気領域22に流出しにくくなるので、素通り空気23の流量が小さくなる。
【0174】
また、シート状部材27は、可撓性を有するため、充分な時間が経過し固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなった場合でも、固体顕熱蓄熱材16の位置の低下に対応してシート状部材27の位置が下がる。そのため、シート状部材27と、固体顕熱蓄熱材16との間は広がらず、素通り空気23の流量が増加する事はない。
【0175】
本実施形態によれば、蓄熱槽1は、固体顕熱蓄熱材16の上に、可撓性のあるシート状部材27を備え、シート状部材27の上に重石部材28を備えている。また、重石部材28は、シート状部材27を介して固体顕熱蓄熱材16を押さえつける。これにより、蓄熱槽1は、蓄熱運転時及び放熱運転時に空気5が天井空気領域22をより通過しにくくなり、素通り空気23を低減し、蓄熱効率及び放熱効率の低下が抑制する事ができる。
【0176】
また、本実施形態によれば、シート状部材27は可撓性を有するため、蓄熱槽1内部の固体顕熱蓄熱材16の位置が低くなり、天井空気領域22が広がった場合でも、この位置の低下に対応してシート状部材27の位置が下がる。これにより、シート状部材27は固体顕熱蓄熱材16に接触し続け、素通り空気23を低減する事ができる。
【0177】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定する事を意図したものではない。本明細書で説明した新規な蓄熱槽1は、その他の様々な形態で実施する事ができる。また、本明細書で説明した蓄熱槽1の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行う事ができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0178】
1:蓄熱槽、2:電気ヒータ、3:第1の送風機、4:第2の送風機、
5:空気、6:水、7:蒸気、8:復水ポンプ、9:ボイラ、
10:蒸気タービン、11:復水器、12:弁、13:弁、14;弁、
15:弁、16:固体顕熱蓄熱材、17:蓋部、18:板状部材、
19:棒状部材、20:板状部材、21:ウール状部材、
22:天井空気領域、23:素通り空気、24:蓄熱材内蔵槽、
26、外蓋、27:シート状部材、28:重石部材、30:ヒンジ、
32:フラップ状部材、33:波板状部材、34:柔軟性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
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図28
図29
図30