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特開2025-11695腸状態推定プログラム、腸状態推定装置、および腸状態推定システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011695
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】腸状態推定プログラム、腸状態推定装置、および腸状態推定システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20250117BHJP
   A61B 7/04 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61B10/00 M
A61B7/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113955
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 悠喜
(72)【発明者】
【氏名】加藤 成宏
(72)【発明者】
【氏名】平山 喬弘
(72)【発明者】
【氏名】樫本 寛子
(72)【発明者】
【氏名】榎本 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】原口 毅之
(57)【要約】
【課題】所定の刺激が付与された後の腸の状態を推定する。
【解決手段】腸状態推定プログラムは、対象者に関する刺激前指標を取得する刺激前指標取得処理と、記憶装置(420)に予め記憶された複数人に関する相関情報を取得する相関情報取得処理と、刺激前指標取得処理において取得した刺激前指標と相関情報取得処理において取得した相関情報とに基づいて、対象者に関する刺激後指標を推定する推定処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の腸の状態を推定する処理をコンピュータ(200,400)に実行させる腸状態推定プログラムであって、
腸音に関する指標を腸音指標とし、
所定の刺激が付与される前の上記腸音指標を刺激前指標とし、
所定の刺激が付与された後の上記腸音指標を刺激後指標とし、
上記刺激前指標と、上記刺激前指標に対する上記刺激後指標の比との関係を示す情報を相関情報としたときに、
コンピュータ(200,400)に、
上記対象者に関する上記刺激前指標を取得する刺激前指標取得処理と、
記憶装置(420)に予め記憶された複数人に関する上記相関情報を取得する相関情報取得処理と、
上記刺激前指標取得処理において取得した上記刺激前指標と上記相関情報取得処理において取得した上記相関情報とに基づいて、上記対象者に関する上記刺激後指標を推定する推定処理とを、実行させる
腸状態推定プログラム。
【請求項2】
上記刺激前指標は、上記推定処理を実行する直前に集音装置(110)において計測された指標である
請求項1に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項3】
上記刺激前指標は、過去の平常時に計測された指標である
請求項1に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項4】
上記対象者が推定したい刺激を推定刺激としたときに、
上記対象者によって入力された推定刺激の情報を取得する推定刺激取得処理と、
上記推定処理としての、上記推定刺激取得処理において取得した上記推定刺激に関する上記対象者の上記刺激後指標を推定する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項1に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項5】
上記推定処理において推定された上記刺激後指標を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理を、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項4に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項6】
上記推定処理において推定された上記刺激後指標と上記刺激前指標取得処理において取得された上記刺激前指標との差に基づいて、刺激の強度を判定する強度判定処理と、
上記強度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項4に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項7】
過去に上記推定処理によって推定された上記刺激後指標と、過去に計測された上記刺激後指標との差に基づいて、刺激の推奨度合いを示す推奨度を判定する推奨度判定処理と、
上記推奨度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項4に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項8】
上記相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、
過去の上記乖離量に基づいて、刺激の適合度合いを示す適合度を判定する適合度判定処理と、
上記適合度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項4に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項9】
上記刺激前指標取得処理において取得した上記刺激前指標と上記相関情報取得処理において取得した上記相関情報とに基づいて、上記対象者に関する上記刺激後指標を、複数種類の刺激のそれぞれについて推定する処理を、上記推定処理としてコンピュータ(200,400)に実行させる
請求項1に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項10】
上記推定処理において推定された上記刺激後指標と上記刺激前指標取得処理において取得された上記刺激前指標との差に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の強度を判定する強度判定処理と、
上記強度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項9に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項11】
上記強度判定処理において判定された強度順に、上記刺激を並べ替える強度並べ替え処理と、
上記推定表示出力処理として、上記強度順に、上記強度と該強度に対応する上記刺激とを上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項10に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項12】
過去に上記推定処理によって推定された上記刺激後指標と、過去に計測された上記刺激後指標との差に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の推奨度合いを示す推奨度を判定する推奨度判定処理と、
上記推奨度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項9に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項13】
上記推奨度判定処理において判定された上記推奨度の高い順に、上記刺激を並べ替える推奨度並べ替え処理と、
上記推定表示出力処理として、上記推奨度の高い順に、上記推奨度と該推奨度に対応する上記刺激とを上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項12に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項14】
上記相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、
過去の上記乖離量に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の適合度合いを示す適合度を判定する適合度判定処理と、
上記適合度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項9に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項15】
上記適合度判定処理において判定された上記適合度の高い順に、上記刺激を並べ替える適合度並べ替え処理と、
上記推定表示出力処理として、上記適合度の高い順に、上記適合度と該適合度に対応する上記刺激とを上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項14に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項16】
上記対象者が実際に受け入れた刺激を受入刺激としたときに、
上記対象者によって入力された上記受入刺激の情報を取得する受入刺激取得処理を、上記推定表示出力処理の後に、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項5~8、10~15のいずれか1つに記載の腸状態推定プログラム。
【請求項17】
上記対象者に関する上記受入刺激についての上記刺激後指標を取得する刺激後指標取得処理と、
上記推定処理において上記受入刺激について推定された上記刺激後指標と上記刺激後指標取得処理において取得した上記刺激後指標との差に基づいて、上記受入刺激による効果を判定する効果判定処理と、
上記効果を含む結果情報を上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する結果表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項16に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項18】
上記相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、
上記乖離量に基づいて、上記受入刺激が上記対象者にとって適合するか否かを判定する適合判定処理と、
上記適合判定処理における判定結果を含む結果情報を上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する結果表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項16に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項19】
上記適合判定処理において、
上記乖離量が所定の基準値以下である場合、上記受入刺激が上記対象者にとって適合すると判定し、
上記乖離量が所定の基準値より大きい場合、上記受入刺激が上記対象者にとって適合しないと判定する
請求項18に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項20】
上記対象者が入力した排便に関する排便情報を取得する排便情報取得処理と、
上記排便情報と、上記受入刺激の情報と、上記受入刺激に関する上記刺激前指標と、上記受入刺激に関する上記刺激後指標とに基づいて、上記相関情報を更新する更新処理と、をコンピュータ(200,400)に実行させる
請求項16に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項21】
対象者の腸の状態を推定する腸状態推定装置であって、
腸音に関する指標を腸音指標とし、
所定の刺激が付与される前の上記腸音指標を刺激前指標とし、
所定の刺激が付与された後の上記腸音指標を刺激後指標とし、
上記刺激前指標と、上記刺激前指標に対する上記刺激後指標の比との関係を示す情報を相関情報としたときに、
上記対象者に関する上記刺激前指標を取得し、
記憶装置(420)に予め記憶された複数人に関する上記相関情報を取得し、
取得した上記刺激前指標と取得した上記相関情報とに基づいて、上記対象者に関する上記刺激後指標を推定する処理部(430)を備える
腸状態推定装置。
【請求項22】
請求項21に記載の腸状態推定装置と、
上記対象者の腹部の音を集音する集音装置(110)と、
刺激の情報を入力するための入力装置(240)と、
推定された刺激後の腸状態に関する推定情報を表示するための表示装置(250)と、を備える
腸状態推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、腸状態推定プログラム、腸状態推定装置、および腸状態推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する意識が高まっており、健康に関する情報提供の支援を行うための各種装置やサービスが提供され始めている。特に、健康を管理する指標として、腸の調子を重視するユーザも増加しつつある。特許文献1では、ユーザの腹部の音情報と、予め用意された学習情報とを用いて、ユーザの腸の調子を腸スコアとして表示するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/124190号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
腸の活動状態は、ユーザの活動状況や摂取した飲食物などの刺激に応じて変化する。そのため、実際に刺激を受けないと、その刺激を受けた後にユーザの腸の状態がどのように変化するのか分からない。また、毎日同じ食物を摂取して同じ刺激を受けたとしても、日によって腸の活動度合いが異なる場合もあり、刺激による腸活動の変化を把握することは難しい。
【0005】
一方で、例えば、慢性的な便秘状態を解消したいが重要な会議がある日には腸活動を促進させたくないというように、腸の調子やスケジュールに合わせてユーザ自身が受ける刺激の内容を調節したいという要望がある。
【0006】
本開示の目的は、所定の刺激が付与された後の腸の状態を推定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、対象者の腸の状態を推定する処理をコンピュータ(200,400)に実行させる腸状態推定プログラムを対象とする。腸状態推定プログラムは、腸音に関する指標を腸音指標とし、所定の刺激が付与される前の上記腸音指標を刺激前指標とし、所定の刺激が付与された後の上記腸音指標を刺激後指標とし、上記刺激前指標と、上記刺激前指標に対する上記刺激後指標の比との関係を示す情報を相関情報としたときに、コンピュータ(200,400)に、上記対象者に関する上記刺激前指標を取得する刺激前指標取得処理と、記憶装置(420)に予め記憶された複数人に関する上記相関情報を取得する相関情報取得処理と、上記刺激前指標取得処理において取得した上記刺激前指標と上記相関情報取得処理において取得した上記相関情報とに基づいて、上記対象者に関する上記刺激後指標を推定する推定処理とを、実行させる。
【0008】
第1の態様の腸状態推定プログラムは、コンピュータ(200,400)に推定処理を実行させる。推定処理は、対象者に関する刺激前指標と複数人に関する相関情報とに基づいて、対象者に関する刺激後指標を推定する。したがって、この態様によれば、所定の刺激が付与された後の腸の状態を推定できる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、上記刺激前指標は、上記推定処理を実行する直前に集音装置(110)において計測された指標である。
【0010】
第2の態様では、対象者に関する最新の刺激前指標に基づいて、対象者の刺激後指標を推定できる。
【0011】
第3の態様は、第1の態様において、上記刺激前指標は、過去の平常時に計測された指標である。
【0012】
第3の態様では、推定処理に用いる刺激前指標が過去の平常時に計測された指標であるので、対象者に関する最新の刺激前指標を取得することなく、対象者の刺激後指標を推定できる。
【0013】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、上記対象者が推定したい刺激を推定刺激としたときに、上記対象者によって入力された推定刺激の情報を取得する推定刺激取得処理と、上記推定処理としての、上記推定刺激取得処理において取得した上記推定刺激に関する上記対象者の上記刺激後指標を推定する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0014】
第4の態様では、対象者によって入力された推定刺激についての刺激後指標を推定するので、対象者が推定を希望する刺激について対象者の刺激後指標を推定できる。
【0015】
第5の態様は、第4の態様において、上記推定処理において推定された上記刺激後指標を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理を、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0016】
第5の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、対象者が推定を希望する刺激に関する推定情報を表示する。これにより、対象者が刺激を受ける前に、対象者に所定の刺激が付与された後の腸の状態を提示できる。
【0017】
第6の態様は、第4又は第5の態様において、上記推定処理において推定された上記刺激後指標と上記刺激前指標取得処理において取得された上記刺激前指標との差に基づいて、刺激の強度を判定する強度判定処理と、上記強度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0018】
第6の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、対象者が推定を希望する刺激の強度を含む推定情報を表示する。これにより、対象者が推定を希望する刺激の強度を対象者に提示できる。
【0019】
第7の態様は、第4~第6のいずれか1つの態様において、過去に上記推定処理によって推定された上記刺激後指標と、過去に計測された上記刺激後指標との差に基づいて、刺激の推奨度合いを示す推奨度を判定する推奨度判定処理と、上記推奨度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0020】
第7の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、対象者が推定を希望する刺激の推奨度を含む推定情報を表示する。これにより、対象者が推定を希望する刺激の推奨度を対象者に提示できる。
【0021】
第8の態様は、第4~第7のいずれか1つの態様において、上記相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、過去の上記乖離量に基づいて、刺激の適合度合いを示す適合度を判定する適合度判定処理と、上記適合度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0022】
第8の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、対象者が推定を希望する刺激の適合度を含む推定情報を表示する。これにより、対象者が推定を希望する刺激の適合度を対象者に提示できる。
【0023】
第9の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、上記刺激前指標取得処理において取得した上記刺激前指標と上記相関情報取得処理において取得した上記相関情報とに基づいて、上記対象者に関する上記刺激後指標を、複数種類の刺激のそれぞれについて推定する処理を、上記推定処理としてコンピュータ(200,400)に実行させる。
【0024】
第9の態様では、コンピュータ(200,400)が実行する推定処理において、複数種類の刺激のそれぞれについて対象者に関する刺激後指標を推定する。これにより、複数種類の刺激に関して、対象者の刺激後指標を推定できる。
【0025】
第10の態様は、第9の態様において、上記推定処理において推定された上記刺激後指標と上記刺激前指標取得処理において取得された上記刺激前指標との差に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の強度を判定する強度判定処理と、上記強度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0026】
第10の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する強度を含む推定情報とを表示する。これにより、対象者に複数種類の刺激の強度をまとめて提示できる。
【0027】
第11の態様は、第10の態様において、上記強度判定処理において判定された強度順に、上記刺激を並べ替える強度並べ替え処理と、上記推定表示出力処理として、上記強度順に、上記強度と該強度に対応する上記刺激とを上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0028】
第11の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、複数種類の刺激と、これらの刺激に対応する強度を含む推定情報とを、強度順に並べて表示する。これにより、複数種類の刺激の強度を対象者に分かり易く提示できる。
【0029】
第12の態様は、第9の態様において、過去に上記推定処理によって推定された上記刺激後指標と、過去に計測された上記刺激後指標との差に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の推奨度合いを示す推奨度を判定する推奨度判定処理と、上記推奨度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0030】
第12の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する推奨度を含む推定情報とを表示する。これにより、対象者に複数種類の刺激の推奨度をまとめて提示できる。
【0031】
第13の態様は、第12の態様において、上記推奨度判定処理において判定された上記推奨度の高い順に、上記刺激を並べ替える推奨度並べ替え処理と、上記推定表示出力処理として、上記推奨度の高い順に、上記推奨度と該推奨度に対応する上記刺激とを上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0032】
第13の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する推奨度を含む推定情報とを、推奨度の高い順に並べて表示する。これにより、複数種類の刺激の推奨度を対象者に分かり易く提示できる。
【0033】
第14の態様は、第9の態様において、上記相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、過去の上記乖離量に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の適合度合いを示す適合度を判定する適合度判定処理と、上記適合度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0034】
第14の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する適合度を含む推定情報とを表示する。これにより、対象者に複数種類の刺激の適合度をまとめて提示できる。
【0035】
第15の態様は、第14の態様において、上記適合度判定処理において判定された上記適合度の高い順に、上記刺激を並べ替える適合度並べ替え処理と、上記推定表示出力処理として、上記適合度の高い順に、上記適合度と該適合度に対応する刺激とを上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0036】
第15の態様では、推定表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)から信号を受信した表示装置(250)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する適合度を含む推定情報とを、適合度の高い順に並べて表示する。これにより、複数種類の刺激の適合度を対象者に分かり易く提示できる。
【0037】
第16の態様は、第5~第8、第10~第15のいずれか1つの態様において、上記対象者が実際に受け入れた刺激を受入刺激としたときに、上記対象者によって入力された上記受入刺激の情報を取得する受入刺激取得処理を、上記推定表示出力処理の後に、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0038】
第16の態様では、コンピュータ(200,400)に推定表示出力処理の後に受入刺激取得処理を実行させるので、推定表示出力処理によって表示装置(250)に表示された推定情報を参考にして、対象者が受け入れる刺激を選択できる。
【0039】
第17の態様は、第16の態様において、上記対象者に関する上記受入刺激についての上記刺激後指標を取得する刺激後指標取得処理と、上記推定処理において上記受入刺激について推定された上記刺激後指標と上記刺激後指標取得処理において取得した上記刺激後指標との差に基づいて、上記受入刺激による効果を判定する効果判定処理と、上記効果を含む結果情報を上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する結果表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0040】
第17の態様では、結果表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)からの信号を受信した表示装置(250)は、対象者が受け入れた刺激の効果を含む結果情報を表示する。これにより、対象者が受け入れた刺激の効果を対象者に提示できる。
【0041】
第18の態様は、第16又は第17の態様において、上記相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、上記乖離量に基づいて、上記受入刺激が上記対象者にとって適合するか否かを判定する適合判定処理と、上記適合判定処理における判定結果を含む結果情報を上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する結果表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる。
【0042】
第18の態様では、適合判定処理および結果表示出力処理を行うコンピュータ(200,400)からの信号を受信した表示装置(250)は、適合判定処理の判定結果を含む結果情報を表示する。これにより、対象者が受け入れた刺激が対象者にとって合う刺激か否かを、対象者に提示できる。
【0043】
第19の態様は、第18の態様において、上記適合判定処理において、上記乖離量が所定の基準値以下である場合、上記受入刺激が上記対象者にとって適合すると判定し、上記乖離量が所定の基準値より大きい場合、上記受入刺激が上記対象者にとって適合しないと判定する。
【0044】
第19の態様では、所定の基準値を設けることにより、対象者が受け入れた刺激が対象者にとって適合する刺激か否かを判定できる。
【0045】
第20の態様は、第16~第19のいずれか1つの態様において、上記対象者が入力した排便に関する排便情報を取得する排便情報取得処理と、上記排便情報と、上記受入刺激の情報と、上記受入刺激に関する上記刺激前指標と、上記受入刺激に関する上記刺激後指標とに基づいて、上記相関情報を更新する更新処理と、をコンピュータ(200,400)に実行させる。
【0046】
第20の態様では、コンピュータ(200,400)が実行する更新処理において、対象者の排便情報を含む所定の情報に基づいて相関情報を更新する。これにより、相関情報を対象者個人に合うように最適化できる。
【0047】
第21の態様は、対象者の腸の状態を推定する腸状態推定装置を対象とする。腸状態推定装置は、腸音に関する指標を腸音指標とし、所定の刺激が付与される前の上記腸音指標を刺激前指標とし、所定の刺激が付与された後の上記腸音指標を刺激後指標とし、上記刺激前指標と、上記刺激前指標に対する上記刺激後指標の比との関係を示す情報を相関情報としたときに、上記対象者に関する上記刺激前指標を取得し、記憶装置(420)に予め記憶された複数人に関する上記相関情報を取得し、取得した上記刺激前指標と取得した上記相関情報とに基づいて、上記対象者に関する上記刺激後指標を推定する処理部(430)を備える。
【0048】
第21の態様では、腸状態推定装置は、処理部(430)を備える。処理部(430)は、対象者に関する刺激前指標と複数人に関する相関情報とに基づいて、対象者に関する刺激後指標を推定する。したがって、この態様によれば、所定の刺激が付与された後の腸の状態を推定できる。
【0049】
第22の態様は、腸状態推定システムを対象とする。腸状態推定システムは、第21の態様の腸状態推定装置と、上記対象者の腹部の音を集音する集音装置(110)と、刺激の情報を入力するための入力装置(240)と、推定された刺激後の腸状態に関する推定情報を表示するための表示装置(250)と、を備える。
【0050】
第22の態様では、対象者に関する、所定の刺激が付与された後の腸の状態を推定できる腸状態推定システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、実施形態1の腸状態推定システムの概略の構成図である。
図2図2は、実施形態1の集音ユニットの構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態1の端末装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態1のサーバ装置の構成を示すブロック図である。
図5図5は、相関情報を説明するための説明図である。
図6図6は、集音ユニット及び端末装置の動作を示すフローチャートである。
図7図7は、サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図8図8は、推定処理を示すフローチャートである。
図9図9は、推定処理を説明するための相関図を示した図である。
図10図10は、強度判定処理を示すフローチャートである。
図11図11は、端末装置に表示されるメイン画面を示す図である。
図12図12は、端末装置に表示される推定表示画面を示す図である。
図13図13は、端末装置に表示される結果表示画面を示す図である。
図14図14は、実施形態1の変形例1の図4に相当する図である。
図15図15は、実施形態1の変形例1の図7に相当する図である。
図16図16は、効果判定処理を示すフローチャートである。
図17図17は、実施形態1の変形例1の図13に相当する図である。
図18図18は、実施形態1の変形例2の図4に相当する図である。
図19図19は、実施形態1の変形例2の図7に相当する図である。
図20図20は、推奨度判定処理を示すフローチャートである。
図21図21は、実施形態1の変形例2の図12に相当する図である。
図22図22は、実施形態1の変形例3の図4に相当する図である。
図23図23は、適合度を説明するための相関図を示した図である。
図24図24は、実施形態1の変形例3の図7に相当する図である。
図25図25は、適合度の判定を示す説明図である。
図26図26は、実施形態1の変形例3の図12に相当する図である。
図27図27は、実施形態2の図4に相当する図である。
図28図28は、実施形態2の図7に相当する図である。
図29図29は、実施形態2の図11に相当する図である。
図30図30は、実施形態2の変形例1の図4に相当する図である。
図31図31は、実施形態2の変形例2の図4に相当する図である。
図32図32は、実施形態2の変形例2の図7に相当する図である。
図33図33は、実施形態2の変形例2の図11に相当する図である。
図34図34は、実施形態2の変形例3の図4に相当する図である。
図35図35は、実施形態3の図4に相当する図である。
図36図36は、実施形態3の図7に相当する図である。
図37図37は、適合判定処理を示すフローチャートである。
図38図38は、実施形態3の図13に相当する図である。
図39図39は、実施形態4の図4に相当する図である。
図40図40は、更新処理を説明するための相関図を示した図である。
図41図41は、実施形態4の図7に相当する図である。
図42図42は、更新処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0053】
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態の腸状態推定装置(P)は、所定の刺激を受けた後の対象者の腸の状態を推定する装置である。ここでいう刺激は、腸の状態に影響を与える要因のことである。本実施形態の刺激には、所定の飲食物の摂取、各種の活動等が含まれる。飲食物は、例えば、食物、サプリメント、飲料水などを含む。活動は、ウォーキング、ヨガなどを含む。本実施形態の腸状態推定装置(P)は、腸状態推定システム(1)に備えられる。対象者は、腸状態推定システム(1)を使用するユーザであり、腸の状態を推定する対象となる人である。
【0054】
(1)腸状態推定システム
腸状態推定システム(1)について説明する。
【0055】
図1に示すように、腸状態推定システム(1)は、集音ユニット(100)と、端末装置(200)と、サーバ装置(400)とを備える。集音ユニット(100)と端末装置(200)とは、無線通信によって接続される。端末装置(200)及びサーバ装置(400)は、インターネットに接続される。
【0056】
本実施形態の腸状態推定システム(1)では、集音ユニット(100)によって、対象者の腹部音のデータが取得される。集音ユニット(100)が取得した腹部音のデータは、無線通信によって端末装置(200)に送信され、腸音のデータに変換される。変換された腸音のデータは、インターネットを経由して、サーバ装置(400)に送信される。サーバ装置(400)では、受信した腸音のデータに基づいて、所定の刺激が付与された後の対象者の腸の状態が推定される。対象者は、端末装置(200)を用いることで、サーバ装置(400)から出力された情報を目視により確認できる。
【0057】
(1-1)集音ユニット
図2に示すように、集音ユニット(100)は、マイク(110)と通信部(120)とを有する。マイク(110)が、本開示の集音装置に対応する。
【0058】
マイク(110)は、対象者の腹部音のデータを取得する。ここでいう腹部音は、対象者の腹部から発せられる音である。腹部音には、腸から発せられる腸音を含む。腹部音には、腸音の他に、胃などの臓器から発せられる音や、腹部の血の流れにより発せられる音を含む。
【0059】
マイク(110)は、有線又は無線の通信回線を介して、通信部(120)と接続する。マイク(110)が取得した腹部音のデータは、通信部(120)に受信される。通信部(120)は、Bluetooth(商標登録)のような短距離無線通信によって、端末装置(200)に腹部音のデータを出力する。
【0060】
本実施形態の集音ユニット(100)は、小型で持ち運び可能なユニットである。集音ユニット(100)は、対象者の腹部に密着するように装着される。対象者は、例えば、寝具の上に横たわっているときや椅子に座っているときに、集音ユニット(100)を自身の腹部に装着する。これにより、集音ユニット(100)において対象者の腹部音のデータが取得される。
【0061】
(1-2)端末装置
端末装置(200)は、対象者が操作する端末機器である。本実施形態の端末装置(200)は、スマートフォンである。端末装置(200)は、タブレット端末や、パーソナルコンピュータであってもよい。端末装置(200)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータ及びメモリディバイスを含む。メモリディバイスは、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納する。
【0062】
図3に示すように、端末装置(200)は、通信部(210)、端末記憶部(220)、端末処理部(230)、入力部(240)、及び表示部(250)を有する。
【0063】
通信部(210)は、集音ユニット(100)の通信部(120)との間で無線通信を行う。通信部(210)は、サーバ装置(400)との間で無線通信を行う。通信部(210)は、インターネットに接続可能である。通信部(210)は、高速無線通信技術を用いた通信回線を介してインターネットに接続されてもよく、無線ルータを介してインターネットに接続されてもよい。本実施形態の通信部(210)は、インターネットを介して、サーバ装置(400)に接続する。
【0064】
端末記憶部(220)は、端末装置(200)において所定の情報を記憶する。端末記憶部(220)は、機能的な構成要素として、腹部音記憶部(221)を有する。腹部音記憶部(221)には、集音ユニット(100)から送信された腹部音のデータが記憶される。所定期間の腹部音のデータが腹部音記憶部(221)に記憶されると、該腹部音のデータは端末処理部(230)に送信される。腹部音のデータは、端末処理部(230)に送信された後に腹部音記憶部(221)から直ちに削除されてもよく、所定期間が経過するまで保持されてもよい。
【0065】
端末処理部(230)は、端末装置(200)において所定の処理を行う。端末処理部(230)は、機能的な構成要素として、腸音特定部(231)を有する。腸音特定部(231)は、腸音特定処理を行う。腸音特定処理は、集音ユニット(100)から送信された対象者に関する腹部音のデータから腸音を特定し、腸音のデータを抽出する処理である。
【0066】
ここで、腸音は、腸の蠕動運動によって生じる。蠕動運動とは、腸の筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことにより、腸のくびれ部分が波のように移動する運動のことである。この蠕動運動により、腸の内容物が移動し音が発生する。つまり、腸音は、腸の蠕動運動と密接に関係している。したがって、腸音を取得することにより、腸の蠕動運動の様子を把握することができる。そして、腸の蠕動運動の様子から、腸の活動状態を把握することができる。
【0067】
腸音特定部(231)では、公知の手段により腸音のデータを抽出する。すなわち、腸音特定部(231)では、どのような手段で腹部音から腸音のデータを抽出してもよい。腸音特定部(231)で抽出された腸音のデータは、通信部(210)からサーバ装置(400)に送信される。
【0068】
入力部(240)は、対象者からの端末装置(200)に対する様々な入力操作を受け付ける。本実施形態の入力部(240)は、スマートフォンのタッチパネルである。端末装置(200)の入力部(240)が、本開示の入力装置に対応する。入力部(240)は、端末装置(200)に備えられたボタン(例えば、キーボード)であってもよい。入力部(240)は、端末装置(200)に備えられたマイクであってもよい。入力部(240)がマイクである場合には、マイクから取得した音声によって入力操作が行われる。
【0069】
対象者は、入力部(240)を用いて、端末装置(200)に記憶されたアプリケーションソフトを操作する。このアプリケーションソフトを操作することにより、サーバ装置(400)に情報を出力させる信号を送信したり、サーバ装置(400)が出力した情報を表示部(250)に表示したりできる。
【0070】
表示部(250)は、対象者に対して様々な情報を表示する。具体的には、表示部(250)には、サーバ装置(400)から出力された情報が表示される。本実施形態の表示部(250)は、スマートフォンの液晶ディスプレイである。端末装置(200)の表示部(250)が、本開示の表示装置に対応する。
【0071】
(1-3)サーバ装置
サーバ装置(400)は、インターネットのクラウド上に設けられる。本実施形態では、サーバ装置(400)が本開示の腸状態推定装置に対応する。
【0072】
サーバ装置(400)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータ及びメモリディバイスを含む。メモリディバイスは、マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納する。サーバ装置(400)には、本実施形態の腸状態推定プログラムがインストールされている。腸状態推定プログラムは、コンピュータとしてのサーバ装置(400)に、以下で説明する処理を実行させる。サーバ装置(400)は、この腸状態推定プログラムを実行することによって、腸状態推定装置(P)として機能する。
【0073】
図4に示すように、サーバ装置(400)は、通信部(410)と、記憶部(420)と、処理部(430)とを有する。
【0074】
通信部(410)は、端末装置(200)の通信部(210)との間で無線通信を行う。通信部(410)は、インターネットに接続可能である。通信部(410)は、インターネットを介して、端末装置(200)の通信部(210)に接続する。
【0075】
記憶部(420)は、サーバ装置(400)において所定の情報を記憶する。具体的には、記憶部(420)は、処理部(430)に所定の動作を実行させるための腸状態推定プログラムと、処理部(430)の動作に必要なデータとを記憶する。記憶部(420)は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)の少なくとも1つを含む。サーバ装置(400)の記憶部(420)が、本開示の記憶装置に対応する。
【0076】
記憶部(420)は、機能的な構成要素として、相関情報記憶部(421)と、ユーザ情報記憶部(422)とを有する。
【0077】
相関情報記憶部(421)には、複数の相関情報が予め記憶される。各相関情報は、複数人に関する相関情報である。各相関情報は、互いに対象とする刺激の種類が異なる。具体的には、相関情報記憶部(421)には、炭酸水に関する相関情報や、サプリメントに関する相関情報、ヨガに関する相関情報等が記憶される。相関情報の詳細については、後述する。
【0078】
ユーザ情報記憶部(422)には、ユーザ情報が記憶される。ユーザ情報は、腸状態推定システム(1)を利用する対象者を識別する識別情報と、該対象者に関する情報とが対応づけられた情報である。具体的に、ユーザ情報には、集音ユニット(100)及び端末装置(200)から送信される情報や、処理部(430)において出力される情報等が含まれる。集音装置(110)及び端末装置(200)から送信される情報には、例えば、対象者の基本情報、対象者の腸音のデータ、対象者が実際に受け入れた刺激の内容等が含まれる。処理部(430)において出力される情報には、例えば、後述する刺激前指標及び刺激後指標等が含まれる。
【0079】
処理部(430)は、サーバ装置(400)において所定の処理を行う。処理部(430)は、機能的な構成要素として、刺激前指標取得部(431)、推定刺激取得部(432)、相関情報取得部(433)、推定部(434)、強度判定部(440)、推定表示出力部(436)、受入刺激取得部(437)、刺激後指標取得部(438)、及び結果表示出力部(439)を有する。処理部(430)は、記憶部(420)が記憶する腸状態推定プログラムを実行することによって、上記各部として機能する。
【0080】
(2)処理部の詳細
処理部(430)の刺激前指標取得部(431)、推定刺激取得部(432)、相関情報取得部(433)、推定部(434)、強度判定部(440)、推定表示出力部(436)、受入刺激取得部(437)、刺激後指標取得部(438)、及び結果表示出力部(439)について説明する。
【0081】
(2-1)刺激前指標取得部
刺激前指標取得部(431)は、刺激前指標取得処理を行う。刺激前指標取得処理は、対象者に関する刺激前指標を取得する処理である。本実施形態の刺激前指標取得処理では、端末装置(200)から送信された対象者に関する所定の刺激が付与される前の腸音のデータに基づいて腸音指標を算出し、算出した腸音指標に基づいて刺激前指標を取得する。
【0082】
ここで、刺激前指標とは、所定の刺激が付与される前の腸音指標のことである。腸音指標とは、腸音に関する指標である。本実施形態の腸音指標は、単位時間(1分間)あたりの腸音の発生回数(いわゆる、BS発生回数)である。
【0083】
本実施形態では、刺激前指標の精度を向上させるために、所定の刺激付与前区間(例えば、5分間)における腸音指標の平均値を刺激前指標としている。つまり、本実施形態の刺激前指標は、所定の刺激付与前区間における、1分間あたりのBS発生回数の平均値である。腸音指標は、単位時間あたりの腸音の長さ(BS長)、腸音同士の間隔(BS間隔)、腸音の強さ(BS power)であってもよい。
【0084】
本実施形態の刺激前指標は、推定部(434)が行う処理を実行する直前に集音ユニット(100)のマイク(110)において計測された腹部音のデータに基づいて取得された指標である。刺激前指標取得部(431)は、取得した刺激前指標の情報を推定部(434)に出力するとともに、記憶部(420)のユーザ情報記憶部(422)に記憶させる。
【0085】
(2-2)推定刺激取得部
推定刺激取得部(432)は、推定刺激取得処理を行う。推定刺激取得処理は、対象者によって端末装置(200)の入力部(240)に入力された推定刺激の情報を取得する処理である。ここでいう推定刺激とは、対象者が付与された後の腸状態の状態を推定したい刺激のことである。本実施形態の推定刺激取得処理では、1種類の推定刺激の情報を取得する。推定刺激取得部(432)は、取得した推定刺激の情報を相関情報取得部(433)に出力する。
【0086】
(2-3)相関情報取得部
相関情報取得部(433)は、相関情報取得処理を行う。相関情報取得処理は、相関情報記憶部(421)から所定の刺激に関する相関情報を取得する処理である。本実施形態の相関情報取得処理では、推定刺激取得部(432)において取得された1種類の推定刺激に対応する相関情報を取得する。相関情報取得部(433)は、取得した相関情報を推定部(434)に出力する。
【0087】
(2-4)推定部
推定部(434)は、推定処理を行う。推定処理は、対象者に関する刺激前指標と相関情報とに基づいて、対象者に関する刺激後指標を推定する処理である。ここで、刺激後指標とは、所定の刺激が付与された後の腸音指標のことである。
【0088】
本実施形態の推定処理では、推定刺激取得部(432)で取得した推定刺激に関する対象者の刺激後指標を推定する。推定部(434)は、推定した刺激後指標を強度判定部(440)及び推定表示出力部(436)に出力するとともに、記憶部(420)のユーザ情報記憶部(422)に記憶させる。
【0089】
(2-5)強度判定部
強度判定部(440)は、強度判定処理を行う。強度判定処理は、推定刺激に関する刺激の強度を判定する処理である。ここでいう刺激の強度は、推定刺激が付与されることによって予測される腸の反応度合いを示す指標である。この刺激の強度が高いほど腸の活動が活発になることが予測され、この刺激の強度が低いほど腸の活動が停滞することが予測される。強度判定部(440)は、判定した刺激の強度を推定表示出力部(436)に出力する。
【0090】
(2-6)推定表示出力部
推定表示出力部(436)は、推定表示出力処理を行う。推定表示出力処理は、推定情報を端末装置(200)の表示部(250)に表示させるための信号を出力する処理である。推定情報は、推定部(434)で推定された対象者に関する刺激後指標と、強度判定部(440)で判定された刺激の強度とを含む。推定表示出力部(436)は、上記の推定情報を、通信部(410)を介して端末装置(200)に出力する。
【0091】
(2-7)受入刺激取得部
受入刺激取得部(437)は、受入刺激取得処理を行う。受入刺激取得処理は、対象者によって端末装置(200)の入力部(240)に入力された受入刺激の情報を取得する処理である。ここで、受入刺激とは、対象者が実際に受け入れた刺激のことである。例えば、対象者が炭酸水を摂取した場合には、受入刺激は“炭酸水”である。
【0092】
受入刺激取得処理は、推定表示出力処理の後に実行される。そのため、対象者は、端末装置(200)に提示された、所定の刺激についての刺激後指標および強度を確認した上で、実際に受け入れる刺激を選択することができる。受入刺激取得部(437)は、取得した受入刺激の情報を結果表示出力部(439)に出力するとともに、記憶部(420)のユーザ情報記憶部(422)に記憶させる。
【0093】
(2-8)刺激後指標取得部
刺激後指標取得部(438)は、刺激後指標取得処理を行う。刺激後指標取得処理は、対象者に関する刺激後指標を取得する処理である。刺激後指標取得処理では、所定の刺激が付与された後の対象者に関する腸音のデータに基づいて腸音指標を算出し、算出した腸音指標に基づいて刺激後指標を取得する。これにより、刺激後指標取得部(438)は、計測に基づいた刺激後指標を取得する。刺激後指標取得部(438)は、取得した刺激後指標の情報を結果表示出力部(439)に出力するとともに、記憶部(420)のユーザ情報記憶部(422)に記憶させる。
【0094】
本実施形態では、刺激後指標の精度を向上させるために、所定の刺激付与後区間(例えば、10分間)における腸音指標の平均値を刺激後指標としている。つまり、本実施形態の刺激後指標は、所定の刺激付与後区間における、1分間あたりのBS発生回数の平均値である。
【0095】
(2-9)結果表示出力部
結果表示出力部(439)は、結果表示出力処理を行う。結果表示出力処理は、結果情報を端末装置(200)の表示部(250)に表示させるための信号を出力する処理である。本実施形態の結果情報は、受入刺激と、実際に受入刺激が付与された後の刺激後指標とを含む。結果表示出力部(439)は、結果情報を、通信部(410)を介して端末装置(200)に出力する。
【0096】
(3)相関情報
次に、相関情報について詳細に説明する。
【0097】
相関情報は、複数の人に関して、所定の刺激を付与する前後における腸音指標のデータに基づいて予め作成された情報である。この相関情報は、複数人の健常者を対象として行った実験結果に基づいて作成されている。
【0098】
図5に示すように、相関情報は、刺激前指標Xaと、刺激前指標Xaに対する刺激後指標Xbの比R(R=Xb/Xa)との関係を示す情報である。詳細には、相関情報は、横軸を刺激前指標Xaとし、縦軸を比Rとする相関図である。
【0099】
本実施形態の相関図における刺激前指標Xaは、所定の刺激付与前区間(本実施形態では、5分間)における1分間あたりのBS発生回数の平均値である。また、本実施形態の相関図における刺激後指標Xbは、所定の刺激付与後区間(本実施形態では10分間)における1分間あたりのBS発生回数の平均値である。つまり、相関情報で用いる指標は、刺激前指標取得部(431)および刺激後指標取得部(438)のそれぞれで取得される指標と同様の指標である。
【0100】
図5に示すように、相関情報における正常領域Nは、刺激前指標Xaが大きいほど比Rが低下する傾向にある。つまり、この相関情報では、刺激前指標Xaと比Rとの間に負の相関関係があるといえる。これは、刺激を付与された後の腸の活動が、刺激が付与される前の腸の活動状態の影響を受けていることを示している。また、図5における正常領域Nよりも左下の領域は、刺激を付与される前後において腸の活動の変化が比較的小さい領域であるため、腸の活動状態が停滞気味であることを示す。一方、図5における正常領域Nよりも右上の領域は、刺激を付与される前後において腸の活動の変化が比較的大きい領域であるため、腸の活動状態が過活発気味であることを示す。
【0101】
そして、図5(a)に示す腸に強く作用する強い刺激を付与した場合の相関情報と、図5(b)に示す腸に強く作用しない弱い刺激を付与した場合の相関情報とにおいて、負の相関関係は共通している。一方で、それぞれの刺激では、相関図における直線の傾きが異なる。したがって、複数種類の刺激は、それぞれ異なる相関情報を有する。
【0102】
(4)腸状態推定システムの動作
次に、腸状態推定システム(1)の動作について説明する。
【0103】
本実施形態の腸状態推定システム(1)では、対象者が端末装置(200)に記憶された所定のアプリケーションを動作させることによって、対象者が集音ユニット(100)において腹部音を計測したり、端末装置(200)を介してサーバ装置(400)にアクセスしたり、サーバ装置(400)から出力される情報を確認する。
【0104】
(4-1)集音ユニットと端末装置の動作
図6に示すように、対象者が、端末装置(200)に記憶された所定のアプリケーションを起動して腸状態推定システム(1)の動作を開始すると、ステップS1が行われる。
【0105】
ステップS1において、集音ユニット(100)のマイク(110)は、対象者の腹部音を計測する。次いで、ステップS2において、集音ユニット(100)の通信部(120)は、計測した腹部音のデータを端末装置(200)に送信する。腹部音のデータは、無線通信回線を介して、端末装置(200)の通信部(210)に受信される。
【0106】
次いで、ステップS3において、端末装置(200)の腹部音記憶部(221)は、受信した腹部音のデータを記憶する。次いで、ステップS4において、端末装置(200)の端末処理部(230)は、所定期間分の腹部音のデータを受信したか否かを判定する。受信した場合には、ステップS5を行う。受信していない場合には、ステップS4を行う。
【0107】
ステップS5において、端末装置(200)の腸音特定部(231)は、所定期間分の対象者に関する腹部音のデータに基づいて、対象者に関する腸音のデータを特定し、出力する。次いで、ステップS6において、端末装置(200)の通信部(210)は、出力された腸音のデータを、サーバ装置(400)に送信する。腸音のデータは、インターネットを経由してサーバ装置(400)の通信部(410)に受信される。
【0108】
本実施形態の端末装置(200)は、腸状態推定システム(1)が動作している間、継続してサーバ装置(400)に腸音のデータを送信する。端末装置(200)は、腸状態推定システム(1)の動作中において、サーバ装置(400)から指令を受けた場合にだけ、サーバ装置(400)に腸音のデータを送信してもよい。
【0109】
(4-2)サーバ装置の動作
図7に示すように、サーバ装置(400)の通信部(410)が腸音のデータを受信すると、ステップS11が行われる。
【0110】
ステップS11において、処理部(430)は、刺激前取得処理を行う。具体的には、処理部(430)は、通信部(410)によって受信した腸音のデータに基づいて、所定の刺激付与前区間における1分間あたりのBS発生回数の平均値を刺激前指標Yとして算出し、取得する。
【0111】
次に、ステップS12において、処理部(430)は、推定刺激取得処理を行う。具体的には、処理部(430)は、対象者が推定したい刺激(推定刺激)を選択するための刺激の候補を、端末装置(200)の表示部(250)に表示させるための信号を出力する。そして、処理部(430)は、端末装置(200)の入力部(240)に入力された1種類の推定刺激の情報を取得する。
【0112】
次に、ステップS13において、処理部(430)は、相関情報取得処理を行う。具体的には、処理部(430)は、記憶部(420)の相関情報記憶部(421)から推定刺激に対応する相関情報Cを取得する。
【0113】
次に、ステップS14において、処理部(430)は、推定処理を行う。推定処理では、処理部(430)が、刺激前指標Yと複数人に関する相関情報Cとに基づいて、対象者に関する刺激後指標Z’を推定する。推定処理の詳細については、後述する。
【0114】
次に、ステップS15において、処理部(430)は、強度判定処理を行う。強度判定処理では、処理部(430)が、推定された刺激後指標Z’と刺激前指標Yとの差ΔD(ΔD=Z’-Y)に基づいて、刺激の強度を判定する。差ΔDが大きいほど強度が高いことを示し、この差が小さいほど強度が低いことを示す。強度判定処理の詳細については、後述する。
【0115】
次に、ステップS16において、処理部(430)は、推定表示出力処理を行う。具体的には、処理部(430)は、推定刺激に関して推定された対象者の刺激後指標Z’と、判定された刺激の強度とを含む推定情報を端末装置(200)の表示部(250)に表示させるための信号を出力する。出力された信号は、サーバ装置(400)の通信部(410)を介して端末装置(200)の通信部(210)に送信される。そして、通信部(210)において受信した信号は表示部(250)に送信される。これにより、端末装置(200)の表示部(250)に推定情報が表示される。
【0116】
次に、ステップS17において、処理部(430)は、通信部(410)によって、推定刺激として入力した刺激を対象者が実際に受け入れる刺激として決定したという情報を受信したか否かを判定する。受信した場合には、ステップS18を行う。受信していない場合には、ステップS12を行う。受信していない場合は、対象者が、推定刺激を変更して別の種類の刺激についての推定情報を確認したいと考えているからである。
【0117】
ステップS18において、処理部(430)は、受入刺激取得処理を行う。具体的には、処理部(430)は、通信部(410)において、推定刺激として入力した刺激を対象者が実際に受け入れたという情報を受信したか否かを判定する。受信した場合には、推定刺激として入力された刺激を受入刺激として取得した後、ステップS19を行う。受信していない場合には、ステップS18を行う。受入刺激取得処理では、対象者が端末装置(200)の入力部(240)に入力した受入刺激の情報を取得してもよい。
【0118】
ステップS19において、処理部(430)は、刺激後指標取得処理を行う。具体的には、処理部(430)は、通信部(410)によって受信した腸音のデータに基づいて、所定の刺激付与後区間における1分間あたりのBS発生回数の平均値を刺激後指標Zとして算出し、取得する。
【0119】
ステップS20において、処理部(430)は、結果表示出力処理を行う。具体的には、処理部(430)は、受入刺激と刺激後指標Zとを含む結果情報を端末装置(200)の表示部(250)に表示させるための信号を出力する。
【0120】
(4-3)推定処理
次に、推定処理について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8は推定処理のフローチャートを示し、図9は推定処理を説明するための相関図の一例を示す。
【0121】
図8に示すように、ステップS31において、処理部(430)は、相関情報Cにおいて刺激前指標Yに対応する比Ryを導く。具体的には、図9に示すように、相関図において、刺激前指標Yに対応する縦軸の値(比Ry)を算出する。
【0122】
次に、ステップS32において、処理部(430)は、刺激前指標Yに比Ryを乗じることにより、推定刺激に関して推定された刺激後指標Z’を算出する(Ry×Y=Z’)。これにより、刺激後指標Z’が推定される。
【0123】
(4-4)強度判定処理
次に、強度判定処理について、図10を参照しながら説明する。本実施形態では、刺激の強度を6段階のレベルで判定する。なお、強度の段階の数は、単なる一例であり、2段階、3段階、4段階、5段階、又は7段階以上であってもよい。
【0124】
図10に示すように、処理部(430)は、推定された刺激後指標Z’と刺激前指標Yとの差ΔDが0であるときに、強度「0」と判定する(ステップS41のYes)。差ΔDが0よりも大きく且つ第1値以下であるときに、強度「1」と判定する(ステップS42のYes)。差ΔDが第1値より大きく且つ第2値以下であるときに、強度「2」と判定する(ステップS43のYes)。差ΔDが第2値より大きく且つ第3値以下であるときに、強度「3」と判定する(ステップS44のYes)。差ΔDが第3値より大きく且つ第4値以下であるときに、強度「4」と判定する(ステップS45のYes)。差ΔDが第4値よりも大きいときに、強度「5」と判定する(ステップS45のNo)。
【0125】
ここで、第1値は、0よりも大きい値である。第2値は、第1値よりも大きい値である。第3値は、第2値よりも大きい値である。第4値は、第3よりの大きい値である。
【0126】
(5)端末装置の表示
次に、腸状態推定システム(1)における対象者が使用する端末装置(200)の画面表示について図11図13を参照しながら説明する。以下で説明する画面表示は、端末装置(200)の端末処理部(230)の制御に基づいて、表示部(250)に表示されるものである。
【0127】
図11に示すように、端末装置(200)の表示部(250)には、メイン画面(910)が表示されている。メイン画面(910)には、現在の日付を示す日付表示部(911)と、対象者の現在の腸の状態を示す腸状態表示部(912)と、排便記録を表示する排便記録表示部(913)と、複数種類の刺激を表示する刺激表示部(914)とが含まれる。排便記録表示部(913)をタップすると、不図示の排便記録画面へ遷移し、排便記録を入力できる。
【0128】
刺激表示部(914)には、複数種類の刺激が上下方向に並んで表示される。刺激表示部(914)では、推定したい刺激を選択できるように構成されている。対象者は、刺激表示部(914)に表示される複数種類の刺激のうち、1つの刺激をタップすると、図12に示す推定表示画面(920)に遷移する。
【0129】
図12は、推定刺激としてサプリメントAを選択したときの推定表示画面(920)である。推定表示画面(920)には、選択した刺激を表示する選択刺激表示部(921)と、推定した腸の状態をグラフとして表示する推定グラフ表示部(922)と、刺激前指標の値と推定した刺激後指標の値とを表示する推定指標変化表示部(923)と、推定した刺激の強度を表示する強度表示部(924)とが含まれる。
【0130】
推定グラフ表示部(922)には、現在の腸の状態と、推定した刺激後の腸の状態とがグラフ上に表示される。本実施形態の推定グラフ表示部(922)は、腸の状態として停滞、普通、過活発に分けて表示している。このように腸の状態をグラフ上で示すことにより、対象者に腸の活動状態の変化を分かり易く提示できる。推定指標変化表示部(923)には、刺激前指標の値と推定した刺激後指標の値とが表示される。これにより、より具体的な数値として推定された腸の活動状態の変化を対象者に提示できる。本実施形態の強度表示部(924)は、刺激の強度をアイコンで表示している。これにより、刺激の強度を文字で表示する場合に比べて、誰でも直感的に分かり易い情報として提示できる。
【0131】
図13は、受入刺激としてサプリメントAを摂取したときの結果表示画面(930)である。結果表示画面(930)には、実際に刺激を受け入れた後に計測した刺激後指標を表示する実測刺激後指標表示部(931)と、受入刺激を表示する受入刺激表示部(932)と、実測した刺激後指標に基づく腸の状態をグラフとして表示する結果グラフ表示部(933)と、刺激前指標と実測した刺激後指標とを表示する結果指標変化表示部(934)とが含まれる。
【0132】
結果グラフ表示部(933)には、刺激前の腸の状態と、実際の刺激後の腸の状態とがグラフ上に表示されるので、対象者に腸の活動状態の変化を分かり易く提示できる。結果指標変化表示部(934)には、刺激前指標の値と実測した刺激後指標の値とが表示される。これにより、より具体的な数値として実際の腸の活動状態の変化を対象者に提示できる。
【0133】
(6)特徴
(6-1)本実施形態の腸状態推定プログラムは、刺激前指標取得処理において取得した刺激前指標と、相関情報取得処理において取得した相関情報とに基づいて、対象者に関する刺激後指標を推定する推定処理を、サーバ装置(400)に実行させる。これにより、所定の刺激が付与された後の腸の状態を推定できる。
【0134】
(6-2)本実施形態の刺激前指標は、推定処理を実行する直前に集音装置(110)において計測された指標である。これにより、対象者に関する最新の刺激前指標に基づいて、対象者の刺激後指標を推定できる。
【0135】
(6-3)本実施形態の腸状態推定プログラムは、推定刺激取得処理において取得した推定刺激に関する対象者の刺激後指標を推定する処理を、推定処理として、サーバ装置(400)に実行させる。これにより、対象者が推定を希望する刺激について対象者の刺激後指標を推定できる。
【0136】
(6-4)本実施形態の腸状態推定プログラムは、推定された刺激後指標を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理を、サーバ装置(400)に実行させる。これにより、対象者が刺激を受ける前に、対象者に所定の刺激が付与された後の腸の状態を提示できる。
【0137】
(6-5)本実施形態の腸状態推定プログラムは、推定処理において推定された刺激後指標と刺激前指標取得処理において取得された刺激前指標との差に基づいて、刺激の強度を判定する強度判定処理と、強度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、サーバ装置(400)に実行させる。これにより、対象者が推定を希望する刺激の強度を対象者に提示できる。
【0138】
(6-6)本実施形態の腸状態推定プログラムは、対象者によって入力された受入刺激の情報を取得する受入刺激取得処理を、推定表示出力処理の後に、サーバ装置(400)に実行させる。これにより、推定表示出力処理によって表示装置(250)に表示された推定情報を参考にして、対象者が受け入れる刺激を選択できる。
【0139】
(6-7)本実施形態の腸状態推定装置(P)は、対象者に関する刺激前指標を取得し、記憶装置(420)に予め記憶された複数人に関する相関情報を取得し、取得した刺激前指標と取得した相関情報とに基づいて、対象者に関する刺激後指標を推定する処理部(430)を備える。これにより、所定の刺激が付与された後の腸の状態を推定する腸状態推定装置(P)を提供できる。
【0140】
(6-8)本実施形態の腸状態推定システム(1)は、腸状態推定装置(P)と、対象者の腹部の音を集音する集音装置(110)と、刺激の情報を入力するための入力装置(240)と、推定された刺激後の腸状態に関する推定情報を表示するための表示装置(250)と、を備える。これにより、対象者に関する、所定の刺激が付与された後の腸の状態を推定できる腸状態推定システム(1)を提供できる。
【0141】
(7)変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0142】
(7-1)変形例1
図14に示すように、本実施形態のサーバ装置(400)では、処理部(430)は、機能的な要素として、効果判定部(450)を更に有してもよい。
【0143】
(7-1-1)効果判定部
具体的には、効果判定部(450)は、効果判定処理を行う。効果判定処理では、推定処理において受入刺激について推定された刺激後指標Z’と刺激後指標取得処理において取得した刺激後指標Zとの差ΔZc(ΔZc=Z-Z’)に基づいて、受入刺激による効果を判定する。効果判定部(450)は、判定した効果を推定表示出力部(436)に出力するとともに、記憶部(420)のユーザ情報記憶部に記憶させる。
【0144】
ここでいう効果とは、刺激による腸の反応のことである。差ΔZcが小さいほど受入刺激の効果が低いことを示し、差ΔZcが大きいほど受入刺激の効果が高いことを示す。言い換えると、差ΔZcが小さい場合には、対象者が受け入れた刺激が対象者の腸をあまり活発に変化させない刺激であったことを示している。そして、差ΔZcが大きい場合には、対象者が受け入れた刺激が対象者の腸を活発に変化させる刺激であったことを示している。
【0145】
(7-1-2)サーバ装置の動作
図15に示すように、ステップS50において、処理部(430)は、効果判定処理を行う。サーバ装置(400)の動作において、効果判定処理(ステップS50)は、刺激後指標取得処理(ステップS19)の後、且つ結果表示出力処理(ステップS20)の前に行われる。
【0146】
本実施形態の処理部(430)は、効果判定処理において、効果を4段階のレベルで判定する。具体的には、図16に示すように、差ΔZcが第1値(例えば、0)よりも小さいときに、効果「0」と判定する(ステップS51のYes)。差ΔZcが第1値以上であり且つ第2値(例えば、10)よりも小さいときに、効果「1」と判定する(ステップS52のYes)。差ΔZcが第2値以上であり且つ第3値(例えば、30)よりも小さいときに、効果「2」と判定する(ステップS53のYes)。差ΔZcが第3値以上であるときに、効果「3」と判定する(ステップS53のNo)。ここで、第1値は、0よりも大きい値である。第2値は、第1値よりも大きい値である。第3値は、第2値よりも大きい値である。なお、効果判定処理で用いて第1値、第2値、第3値は、強度判定処理で用いた第1値、第2値、第3値とは異なる値である。効果のレベルの数は、単なる一例であり、2段階、3段階、又は5段階以上であってもよい。
【0147】
効果判定処理の後に行われる結果表示出力処理(ステップS20)において、処理部(430)が出力する信号に含まれる結果情報には、効果の情報が含まれる。したがって、端末装置(200)の表示部(250)には、効果の情報が表示される。
【0148】
(7-1-3)端末装置の表示
図17に示すように、本変形例の結果表示画面(930)には、効果表示部(935)を更に含む。効果表示部(935)では、効果判定処理において判定された効果が表示される。本実施形態では、効果「0」は「-」と、効果「1」は「+」と、効果「2」は「++」と、効果「3」は「+++」と表示する。なお、効果表示部(935)では、百分率(%)の形式で効果を表示してもよく、点数に換算して効果を表示してもよい。
【0149】
上述のように本変形例では、結果表示出力処理を行うサーバ装置(400)からの信号を受信した端末装置(200)は、対象者が受け入れた刺激の効果を含む結果情報を表示する。これにより、対象者が受け入れた刺激の効果を対象者に提示できる。
【0150】
(7-2)変形例2
図18に示すように、本実施形態のサーバ装置(400)では、処理部(430)は、機能的な要素として、推奨度判定部(460)を更に有してもよい。
【0151】
(7-2-1)推奨度判定部
推奨度判定部(460)は、推奨度判定処理を行う。推奨度判定処理では、まず、ユーザ情報記憶部(422)から過去に推定処理よって推定された刺激後指標Z’の情報と、過去に計測された刺激後指標Zの情報を取得する。その後、推奨度判定処理では、過去に推定された刺激後指標Z’と、過去に計測された刺激後指標Zとの差ΔZp(ΔZp=過去のZ-過去のZ’)の絶対値に基づいて、推奨度を判定する。推奨度判定部(460)は、判定した推奨度を推定表示出力部(436)に出力する。
【0152】
ここでいう推奨度は、対象者に対する刺激の推奨度合いを示す指標である。差ΔZpの絶対値が小さいほど推奨度は高い。つまり、差ΔZpの絶対値が小さい刺激は、対象者に対して推奨できる刺激である。差ΔZpの絶対値が小さいほど、過去に推定刺激が対象者に対して丁度よい刺激であったことを示しているからである。一方で、差ΔZpの絶対値が大きいほど推奨度は低い。つまり、差ΔZpの絶対値が大きい刺激は、対象者に対してあまり推奨できない刺激である。過去に推定刺激を受け入れた対象者の腸が過度に反応していたことを示しているからである。
【0153】
(7-2-2)サーバ装置の動作
図19に示すように、ステップS60において、処理部(430)は、推奨度判定処理を行う。サーバ装置(400)の動作において、本変形例の推奨度判定処理は、強度判定処理(ステップS15)の後、且つ推定表示出力処理(ステップS16)の前に行われる。
【0154】
本実施形態の処理部(430)は、推奨度判定処理において、推奨度を4段階のレベルで判定する。具体的には、図20に示すように、差ΔZpの絶対値が0以上であり且つ第1値よりも小さいときに、推奨度「3」と判定する(ステップS61のYes)。差ΔZpの絶対値が第1値以上であり且つ第2値よりも小さいときに、推奨度「2」と判定する(ステップS62のYes)。差ΔZpの絶対値が第2値以上であり且つ第3値よりも小さいときに、推奨度「1」と判定する(ステップS63のYes)。差ΔZpの絶対値が第3値以上であるときに、推奨度「0」と判定する(ステップS63のNo)。
【0155】
ここで、第1値は、0よりも大きい値である。第2値は、第1値よりも大きい値である。第3値は、第2値よりも大きい値である。なお、推奨度判定処理で用いた第1値、第2値、第3値は、強度判定処理及び効果判定処理で用いた第1値、第2値、第3値とは異なる値である。推奨度のレベルの数は、単なる一例であり、2段階、3段階、又は5段階以上であってもよい。また、推奨度の判定は、百分率(%)又は点数で表示できるように判定されてもよい。
【0156】
推奨度判定処理の後に行われる推定表示出力処理(ステップS16)において、処理部(430)が出力する信号に含まれる推定情報には、推奨度の情報が含まれる。したがって、端末装置(200)の表示部(250)には、推奨度の情報が表示される。
【0157】
(7-2-3)端末装置の表示
図21に示すように、本変形例の推定表示画面(920)には、推奨度表示部(925)を更に含む。推奨度表示部(925)では、推奨度判定処理において判定された推奨度が表示される。本変形例では、推奨度を「おすすめ度」として表示するとともに、推奨度を星印の数で表示している。
【0158】
上述のように本変形例では、推定表示出力処理を行うサーバ装置(400)から信号を受信した端末装置(200)は、対象者が推定を希望する刺激の推奨度を含む推定情報を表示する。これにより、対象者が推定を希望する刺激の推奨度を対象者に提示できる。
【0159】
なお、本変形例では、推奨度判定処理は、推定処理(ステップS14)の後、且つ強度判定処理(ステップS15)の前に行われてもよい。また、本実施形態では、処理部(430)は、機能的な要素として、強度判定部(440)に換えて推奨度判定部(460)を有してもよい。
【0160】
(7-3)変形例3
図22に示すように、本実施形態のサーバ装置(400)では、処理部(430)は、機能的な要素として、適合度判定部(470)を更に有してもよい。
【0161】
(7-3-1)適合度判定部
具体的には、適合度判定部(470)は、適合度判定処理を行う。適合度判定処理は、相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、過去の乖離量に基づいて刺激の適合度を判定する。適合度判定部(470)は、判定した適合度を推定表示出力部(436)に出力する処理である。ここでいう適合度とは、対象者に関して刺激が適合する度合いを示す指標である。「適合する」とは、腸が正常な範囲で活動することをいう。言い換えると、「適合する」とは、腸が刺激に過剰に反応して過活動状態になったり、腸が刺激に反応せず停滞状態になったりしていないことをいう。
【0162】
ここで、図23を参照しながら、相関情報における乖離量について説明する。図23は、所定の刺激に関する相関情報である相関図を示す。図23では、黒塗り四角印が推定値を示し、白塗り四角印が実測値を示す。また、図23では、相関図において、上側の白塗り四角印は第1対象者が所定の刺激を受けたときの実測値の例であり、下側の白塗四角印は第1対象者とは別の第2対象者が所定の刺激を受けたときの実測値の例である。なお、この例では、第1対象者及び第2対象者の推定値は、互いに同じ値である。
【0163】
相関情報における乖離量は、相関図上における推定値と実測値との距離である。図23の例では、第1対象者に関する乖離量は、0.1(=|推定値1.6-実測値1.5|)である。第2対象者に関する乖離量は、0.6(=|推定値1.6-実測値1.0|)である。ここで、推定値は、相関図における正常領域N内に位置する。そのため、この例では、第1対象者の実測値は正常領域Nに近い。したがって、所定の刺激は第1対象者にとって適合した刺激であるといえる。一方で、第2対象者の実測値は正常領域Nから遠い。したがって、所定の刺激は第2対象者にとって適合しない刺激であるといえる。
【0164】
本変形例の適合度判定処理では、乖離量が小さいほど適合度は高く、乖離量が大きいほど適合度は低い。上述のように、乖離量が小さいほど実測値が相関図における正常領域Nに近いことを示すので、刺激が対象者にとってより適合する刺激といえるからである。
【0165】
(7-3-2)サーバ装置の動作
図24に示すように、ステップS70において、処理部(430)は、適合度判定処理を行う。サーバ装置(400)の動作において、本変形例の適合度判定処理(ステップS70)は、強度判定処理(ステップS15)の後、且つ推定表示出力処理(ステップS16)の前に行われる。
【0166】
適合度判定処理では、まず、ユーザ情報記憶部(422)から推定刺激に関する過去の刺激前指標の実測値Y、過去の刺激後指標の実測値Z、及び過去の刺激後指標の推定値Z’を取得する。次に、処理部(430)は、取得した過去の各指標の情報に基づいて、過去の乖離量を算出する。そして、処理部(430)は、過去の乖離量に基づいて、適合度を判定する。なお、ユーザ情報記憶部(422)が過去の乖離量の情報を記憶している場合には、適合度判定処理において、処理部(430)は、ユーザ情報記憶部(422)から過去の乖離量を取得してもよい。
【0167】
本変形例の処理部(430)は、適合度判定処理において、適合度を乖離量に応じて百分率(%)で判定する。具体的には、図25に示すように、乖離量が0であった場合には、適合度100%とし、乖離量が予め設定した基準値以上であった場合には、適合度0%と判定する。乖離量が0から基準値の間では、乖離量が増加するに従って適合度は低く判定される。ここで設定した「基準値」は、対象者の腸が正常に活動する範囲(対象者が刺激を許容できる範囲)の最大値である。適合度の判定は、レベル又は点数で表示できるように判定されてもよい。
【0168】
適合度判定処理の後に行われる推定表示出力処理(ステップS16)において、処理部(430)が出力する信号に含まれる推定情報には、適合度の情報が含まれる。したがって、端末装置(200)の表示部(250)には、適合度の情報が表示される。
【0169】
(7-3-3)端末装置の表示
図26に示すように、本変形例の推定表示画面(920)には、適合度表示部(926)を更に含む。適合度表示部(926)では、適合度判定処理において判定された適合度が表示される。本変形例では、適合度を百分率で表示している。
【0170】
上述のように本変形例では、推定表示出力処理を行うサーバ装置(400)から信号を受信した端末装置(200)は、対象者が推定を希望する刺激の適合度を含む推定情報を表示する。これにより、対象者が推定を希望する刺激の適合度を対象者に提示できる。
【0171】
なお、本変形例では、適合度判定処理は、推定処理(ステップS14)の後、且つ強度判定処理(ステップS15)の前に行われてもよい。また、本実施形態では、処理部(430)は、機能的な要素として、強度判定部(440)に換えて適合度判定部(470)を有してもよい。また、本実施形態では、処理部(430)は、機能的な要素として、強度判定部(440)に加えて、推奨度判定部(460)及び適合度判定部(470)を有してもよい。また、本実施形態では、処理部(430)が強度判定部(440)に換えて推奨度判定部(460)を有する場合に、適合度判定部(470)を更に有してもよい。
【0172】
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の腸状態推定システム(1)は、実施形態1の腸状態推定システム(1)において、端末装置(200)の表示部(250)に表示される推定表示画面(920)を変更したものである。本実施形態では、実施形態1のサーバ装置(400)の処理部(430)の構成を変更することにより、端末装置(200)に表示される画面を変更している。ここでは、本実施形態の腸状態推定システム(1)について、実施形態1と異なる点を説明する。
【0173】
(1)サーバ装置の処理部
本実施形態の処理部(430)は、機能的な構成要素として、刺激前指標取得部(431)、相関情報取得部(433)、推定部(434)、強度判定部(440)、強度並べ替え部(441)、推定表示出力部(436)、受入刺激取得部(437)、刺激後指標取得部(438)、及び結果表示出力部(439)を有する。言い換えると、本実施形態の処理部(430)は、推定刺激取得部を有していない。本実施形態の刺激前指標取得部(431)、受入刺激取得部(437)、刺激後指標取得部(438)、及び結果表示出力部(439)は、実施形態1と同じである。そのため、相関情報取得部(433)、推定部(434)、強度判定部(440)、強度並べ替え部(441)、及び推定表示出力部(436)について説明する。
【0174】
(1-1)相関情報取得部
本実施形態の相関情報取得部(433)が行う相関情報取得処理では、相関情報記憶部(421)から複数種類の刺激に関する相関情報を取得する。相関情報取得部(433)は、相関情報記憶部(421)に記憶された全種類の刺激に関する相関情報を取得してもよく、相関情報記憶部(421)に記憶された一部の刺激に関する相関情報を取得してもよい。相関情報取得部(433)は、取得した全ての相関情報を推定部(434)に出力する。
【0175】
(1-2)推定部
本実施形態の推定部(434)が行う推定処理では、対象者に関する刺激前指標と相関情報とに基づいて、対象者に関する刺激後指標を、複数種類の刺激のそれぞれについて推定する。言い換えると、推定部(434)は、複数の推定した刺激後指標を出力する。推定部(434)は、推定した全ての刺激後指標を、強度判定部(440)及び推定表示出力部(436)に出力するとともに、記憶部(420)のユーザ情報記憶部(422)に記憶させる。
【0176】
(1-3)強度判定部
本実施形態の強度判定部(440)が行う強度判定処理では、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の強度を判定する。強度判定部(440)は、判定した刺激の強度の全てを、強度並べ替え部(441)及び推定表示出力部(436)に出力する。
【0177】
(1-4)強度並べ替え部
強度並べ替え部(441)は、強度並べ替え処理を行う。強度並べ替え処理は、強度判定処理において判定された強度順に、各刺激を並べ替える処理である。強度並べ替え処理では、強度の高い順又は強度の低い順に各刺激を並べ替えることができる。強度並べ替え部(441)は、対象者の端末装置(200)への入力に応じて、強度の高い順又は低い順に並べ替える。強度並べ替え部(441)は、強度順に並べ替えた刺激の情報を推定表示出力部(436)に出力する。
【0178】
(1-5)推定表示出力部
推定表示出力部(436)が行う推定表示出力処理では、強度判定部(440)で判定した強度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、端末装置(200)の表示部(250)に表示させるための信号を出力する。
【0179】
(2)サーバ装置の動作
図28に示すように、本実施形態では、サーバ装置(400)の通信部(410)が腸音のデータを受信すると、ステップS211が行われる。ここで、ステップS211は実施形態1のステップS11と同じ処理である。したがって、ここでは、ステップS212の処理から説明する。
【0180】
ステップS212において、処理部(430)は、相関情報取得処理を行う。具体的には、処理部(430)は、記憶部(420)の相関情報記憶部(421)から複数種類の刺激に関する相関情報Cを取得する。言い換えると、処理部(430)は、複数の相関情報Cを取得する。
【0181】
次に、ステップS213において、処理部(430)は、推定処理を行う。本実施形態の推定処理では、複数種類の刺激のそれぞれについて、対象者に関する刺激後指標Z’を推定する。各刺激について刺激後指標Z’を推定する具体的な処理は、実施形態1と同様の処理である。
【0182】
次に、ステップS214において、処理部(430)は、強度判定処理を行う。本実施形態の強度判定処理では、処理部(430)は、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の強度を判定する。各刺激について強度を判定する具体的な処理は、実施形態1と同様の処理である。
【0183】
次に、ステップS215において、処理部(430)は、推定表示出力処理を行う。具体的には、処理部(430)は、複数種類の刺激について判定された刺激の強度を含む推定情報を端末装置(200)の表示部(250)に表示させるための信号を出力する。この信号を受信した端末装置(200)の表示部(250)には、複数種類の刺激と各刺激に対応する強度とが、一覧表の形式で表示される。なお、このとき、例えば、刺激の名称が五十音順に並べられて表示される。
【0184】
次に、ステップS216において、処理部(430)は、刺激を強度順に並べ替えるという信号を受信したか否かを判定する。この信号は、対象者が端末装置(200)の入力部(240)に所定の指示を入力したときに端末装置(200)の通信部(210)から送信される。受信した場合には、ステップS217を行う。受信しなかった場合には、ステップS219を行う。
【0185】
次に、ステップS217において、処理部(430)は、強度並べ替え処理を行う。具体的には、処理部(430)は、端末装置(200)からの信号に基づいて、強度が高い順又は低い順に、各刺激を並べ替える。
【0186】
次に、ステップS218において、処理部(430)は、推定表示出力処理を行う。具体的には、処理部(430)は、強度並べ替え処理において並べ替えた強度順に、推定情報としての強度と、該強度に対応する刺激とを端末装置(200)の表示部(250)に表示するための信号を出力する。この信号を受信した端末装置(200)の表示部(250)には、複数種類の刺激と、各刺激に対応する強度とが、強度順に並べられた一覧表の形式で表示される。
【0187】
次に、ステップS219が行われる。本実施形態において、ステップS219よりも後の処理は、実施形態1のS17以降の処理と同じである。
【0188】
(3)端末装置の表示
次に、本実施形態の端末装置(200)の画面表示について、図29を参照しながら説明する。本実施形態のメイン画面(910)は、実施形態1のメイン画面と異なる。したがって、以下では、本実施形態のメイン画面(910)について説明する。
【0189】
図29には、対象者が刺激の強い順に刺激を並べ替えるように指定したときのメイン画面を示す。図29に示すように、メイン画面(910)には、並べ替え指定部(915)と、強度表示部(916)とが更に含まれる。並べ替え指定部(915)では、例えば、刺激の強い順、刺激の弱い順、などのように、刺激を並べ替える指標を選択できるように構成されている。強度表示部(916)は、刺激表示部(914)の右横に設けられる。この例では、強度表示部(916)には、所定のアイコンを用いて各刺激に対応する強度を表示している。
【0190】
(4)特徴
(4-1)本実施形態の腸状態推定プログラムは、対象者に関する刺激後指標を、複数種類の刺激のそれぞれについて推定する処理を、推定処理として、サーバ装置(400)に実行させる。これにより、複数種類の刺激に関して、対象者の刺激後指標を推定できる。
【0191】
(4-2)本実施形態の腸状態推定プログラムは、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の強度を判定する強度判定処理と、上記強度を含む推定情報を対応する刺激と関連付けた状態で、端末装置(200)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、サーバ装置(400)に実行させる。
【0192】
本実施形態では、推定表示出力処理を行うサーバ装置(400)から信号を受信した端末装置(200)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する強度を含む推定情報とを表示する。これにより、対象者に複数種類の刺激の強度をまとめて提示できる。
【0193】
(4-3)本実施形態の腸状態推定プログラムは、強度判定処理において判定された強度順に、刺激を並べ替える強度並べ替え処理と、推定表示出力処理として、強度順に、強度と該強度に対応する刺激とを端末装置(200)に表示するための信号を出力する処理とを、サーバ装置(400)に実行させる。
【0194】
本実施形態では、推定表示出力処理を行うサーバ装置(400)から信号を受信した端末装置(200)は、複数種類の刺激と、これらの刺激に対応する強度を含む推定情報とを、強度順に並べて表示する。これにより、複数種類の刺激の強度を対象者に分かり易く提示できる。
【0195】
(5)変形例
上記実施形態については以下のような変形例としてもよい。なお、以下の説明では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
【0196】
(5-1)変形例1
図30に示すように、本実施形態のサーバ装置(400)では、処理部(430)は、機能的な要素として、効果判定部(450)を更に有してもよい。効果判定部(450)が行う効果判定処理は、実施形態1の変形例1と同様である。したがって、本変形例においても、実施形態1の変形例1と同様に、結果表示画面(930)に、効果判定処理において判定された効果が表示される。
【0197】
(5-2)変形例2
図31に示すように、本実施形態のサーバ装置(400)では、処理部(430)は、機能的な要素として、推奨度判定部(460)及び推奨度並べ替え部(461)を更に有してもよい。
【0198】
(5-2-1)推奨度判定部
推奨度判定部(460)は、推奨度判定処理を行う。本変形例の推奨度判定処理では、まず、ユーザ情報記憶部(422)から過去に推定処理よって推定された刺激後指標Z’の情報と、過去に計測された刺激後指標Zの情報を、複数種類の刺激のそれぞれについて、取得する。その後、推奨度判定処理では、過去に推定された刺激後指標Z’と、過去に計測された刺激後指標Zとの差ΔZp(ΔZp=過去のZ-過去のZ’)の絶対値に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、推奨度を判定する。推奨度判定部(460)は、判定した推奨度を推定表示出力部(436)及び推奨度並べ替え部(461)に出力する。
【0199】
(5-2-2)推奨度並べ替え部
推奨度並べ替え部(461)は、推奨度並べ替え処理を行う。推奨度並べ替え処理は、推奨度判定処理において判定された推奨度の高い順に、各刺激を並べ替える処理である。推奨度並べ替え部(461)は、推奨度の高い順に並べ替えた刺激の情報を推定表示出力部(436)に出力する。
【0200】
(5-2-3)サーバ装置の動作
図32に示すように、ステップS230において、処理部(430)は、推奨度判定処理を行う。サーバ装置(400)の動作において、本変形例の推奨度判定処理(ステップS230)は、強度判定処理(ステップS214)の後、且つ推定表示出力処理(ステップS215)の前に行われる。
【0201】
本変形例の推奨度判定処理では、処理部(430)は、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の推奨度を判定する。各刺激について推奨度を判定する具体的な処理は、実施形態1の変形例2と同様の処理である。本変形例における各刺激の推奨度は、推奨する又は推奨しないの2段階のレベルで判定される。
【0202】
次に、ステップS215において、処理部(430)は、推定表示出力処理を行う。本変形例の推定情報には、複数種類の刺激について判定された刺激の推奨度を含む。推定表示出力処理によって出力された信号を受信した端末装置(200)の表示部(250)には、複数種類の刺激と、各刺激に対応する強度と、各刺激に対応する推奨度とが、一覧表の形式で表示される。
【0203】
次に処理部(430)が行うステップS216~ステップS218の処理は、実施形態2と同様の処理である。処理部(430)は、ステップS218の後に、ステップS231を行う。
【0204】
ステップS231において、処理部(430)は、刺激を推奨度の高い順に並べ替えるという信号を受信したか否かを判定する。この信号は、対象者が端末装置(200)の入力部(240)に所定の指示を入力したときに端末装置(200)の通信部(210)から送信される。受信した場合には、ステップS232を行う。受信しなかった場合には、ステップS219を行う。
【0205】
次に、ステップS232において、処理部(430)は、推奨度並べ替え処理を行う。具体的には、処理部(430)は、端末装置(200)からの信号に基づいて、推奨度の高い順に、各刺激を並べ替える。
【0206】
次に、ステップS233において、処理部(430)は、推定表示出力処理を行う。具体的には、処理部(430)は、推奨度並べ替え処理において並べ替えた推奨度の高い順に、推定情報としての推奨度と、該推奨度に対応する刺激とを端末装置(200)の表示部(250)に表示するための信号を出力する。この信号を受信した端末装置(200)の表示部(250)には、複数種類の刺激と、各刺激に対応する推奨度と、各刺激に対応する強度とが、推奨度の高い順に並べられた一覧表の形式で表示される。
【0207】
次に、ステップS219が行われる。本変形例において、ステップS219よりも後の処理は、実施形態2と同様の処理である。
【0208】
(5-2-4)端末装置の表示
図33には、対象者が推奨度の高い順に刺激を並べ替えるように指定したときのメイン画面(910)を示す。図33に示すように、メイン画面(910)には、推奨度表示部(917)が更に含まれる。推奨度表示部(917)は、刺激表示部(914)と強度表示部(916)の間に設けられる。この例では、推奨度表示部(917)には、星印を用いて各刺激に対応する推奨度を表示している。
【0209】
なお、本変形例では、推奨度判定処理は、推定処理(ステップS213)の後、且つ強度判定処理(ステップS214)の前に行われてもよい。ステップS231からステップS233の処理は、ステップS215とステップS216の間に行われてもよい。また、本実施形態では、処理部(430)は、機能的な要素として、強度判定部(440)に換えて推奨度判定部(460)を有してもよい。
【0210】
(5-2-5)特徴
本変形例の腸状態推定プログラムは、推奨度を判定する推奨度判定処理と、推奨度を含む推定情報を対応する刺激と関連付けた状態で端末装置(200)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、サーバ装置(400)に実行させる。本変形例では、推定表示出力処理を行うサーバ装置(400)から信号を受信した端末装置(200)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する推奨度を含む推定情報とを表示する。これにより、対象者に複数種類の刺激の推奨度をまとめて提示できる。
【0211】
また、本変形例の腸状態推定プログラムは、推奨度の高い順に刺激を並べ替える推奨度並べ替え処理と、推定表示出力処理として、推奨度の高い順に、推奨度と該推奨度に対応する刺激とを端末装置(200)に表示するための信号を出力する処理とを、サーバ装置(400)に実行させる。本変形例では、推定表示出力処理を行うサーバ装置(400)から信号を受信した端末装置(200)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する推奨度を含む推定情報とを、推奨度の高い順に並べて表示する。これにより、複数種類の刺激の推奨度を対象者に分かり易く提示できる。
【0212】
(5-3)変形例3
図34に示すように、本実施形態のサーバ装置(400)では、処理部(430)は、機能的な要素として、適合度判定部(470)及び適合度並べ替え部(471)を更に有してもよい。
【0213】
(5-3-1)適合度判定部
具体的には、適合度判定部(470)は、適合度判定処理を行う。本変形例の適合度判定処理では、過去の乖離量に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、適合度を判定する。乖離量、及び適合度は、実施形態1の変形例3と同様である。適合度判定部(470)は、判定した適合度を推定表示出力部(436)及び適合度並べ替え部(471)に出力する。
【0214】
(5-3-2)適合度並べ替え部
適合度並べ替え部(471)では、適合度並べ替え処理を行う。適合度並べ替え処理は、適合度判定処理において判定された適合度の高い順に、各刺激を並べ替える処理である。適合度並べ替え部(471)は、適合度の高い順に並べ替えた刺激の情報を推定表示出力部(436)に出力する。
【0215】
(5-3-3)サーバ装置の動作
本変形例の適合度に関する処理は、本実施形態の変形例2における推奨度に関する処理と置き換えることができる。
【0216】
具体的には、本実施形態の変形例2のステップS230において、処理部(430)は、適合度判定処理を行う。各刺激について適合度を判定する具体的な処理は、実施形態1の変形例3と同様の処理である。変形例2のステップS231において、処理部(430)は、刺激を適合度の高い順に並べ替えるという信号を受信したか否かを判定する。変形例2のステップS232において、処理部(430)は、適合度並べ替え処理を行う。変形例2のステップS233において、処理部(430)は、推定表示出力処理を行う。ここでの推定表示出力処理における推定情報には、各刺激に対応する適合度が含まれる。
【0217】
(5-3-4)端末装置の表示
本変形例では、本実施形態の変形例2におけるメイン画面(910)において、推奨度表示部(917)に置き換えて適合度表示部が設けられる。
【0218】
なお、本変形例では、適合度判定処理は、推定処理(ステップS213)の後、且つ強度判定処理(ステップS214)の前に行われてもよい。本変形例のステップS231からステップS233の処理は、ステップS215とステップS216の間に行われてもよい。また、本実施形態では、処理部(430)は、機能的な要素として、強度判定部(440)に換えて適合度判定部(470)を有してもよい。本実施形態では、処理部(430)は、機能的な要素として、強度判定部(440)に加えて、推奨度判定部(460)及び適合度判定部(470)を有してもよい。また、本実施形態では、処理部(430)が強度判定部(440)に換えて推奨度判定部(460)を有する場合に、適合度判定部(470)を更に有してもよい。
【0219】
(5-3-4)特徴
本変形例の腸状態推定プログラムは、過去の乖離量に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の適合度合いを示す適合度を判定する適合度判定処理と、適合度を含む推定情報を対応する刺激と関連付けた状態で、端末装置(200)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、サーバ装置(400)に実行させる。本変形例では、推定表示出力処理を行うサーバ装置(400)から信号を受信した端末装置(200)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する適合度を含む推定情報とを表示する。これにより、対象者に複数種類の刺激の適合度をまとめて提示できる。
【0220】
本変形例の腸状態推定プログラムは、適合度の高い順に刺激を並べ替える適合度並べ替え処理と、推定表示出力処理として、適合度の高い順に、適合度と該適合度に対応する刺激とを端末装置(200)に表示するための信号を出力する処理とを、サーバ装置(400)に実行させる。本変形例では、推定表示出力処理を行うサーバ装置(400)から信号を受信した端末装置(200)は、複数種類の刺激とこれらの刺激に対応する適合度を含む推定情報とを、適合度の高い順に並べて表示する。これにより、複数種類の刺激の適合度を対象者に分かり易く提示できる。
【0221】
(5-4)変形例4
本実施形態では、端末装置(200)の表示部(250)に表示されるメイン画面(910)において、対象者が刺激表示部(914)に表示された複数種類の刺激のうち1つ選択すると、選択した刺激に関する詳細な推定情報を表示してもよい。詳細な推定情報の表示は、実施形態1の推定表示画面(図12)と同様の画面である。
【0222】
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態の腸状態推定システム(1)は、実施形態1の腸状態推定システム(1)において、サーバ装置(400)の処理部(430)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の腸状態推定システム(1)について、実施形態1と異なる点を説明する。
【0223】
(1)サーバ装置の処理部
図35に示すように、本実施形態の処理部(430)は、機能的な要素として、適合判定部(480)を更に有する。
【0224】
適合判定部(480)は、適合判定処理を行う。適合判定処理は、現在の乖離量に基づいて、受入刺激が対象者にとって適合するか否かを判定する処理である。ここでいう「適合する」とは、実施形態1の変形例3と同様に、腸が正常な範囲で活動することをいう。適合判定部(480)は、適合判定処理の結果を結果表示出力部(439)に出力する。
【0225】
(2)サーバ装置の動作
図36に示すように、ステップS310において、処理部(430)は、適合判定処理を行う。サーバ装置(400)の動作において、本変形例の適合判定処理(ステップS310)は、刺激後指標取得処理(ステップS19)の後、且つ結果表示出力処理(ステップS20)の前に行われる。
【0226】
具体的には、図37に示すように、適合判定処理では、ステップS311において、処理部(430)は、受入刺激に関する現在の刺激前指標の実測値Y、現在の刺激後指標の実測値Z、及び現在の刺激後指標の推定値Z’を取得する。次に、ステップS312において、処理部(430)は、取得した各指標の情報に基づいて、現在の乖離量を算出する。次に、ステップS313において、処理部(430)は、現在の乖離量に基づいて、受入刺激が適合するか否かを判定する。
【0227】
現在の乖離量が所定の基準値以下である場合(ステップS313のYes)、ステップS314において、受入刺激が対象者にとって適合すると判定する。現在の乖離量が所定の基準値よりも大きい場合(ステップS313のNo)、ステップS315において、受入刺激が対象者にとって適合しないと判定する。ここでの「基準値」は、実施形態1の変形例3と同様に、対象者の腸が正常に活動する範囲(対象者が刺激を許容できる範囲)の最大値である。言い換えると、「基準値」は、対象者における刺激の許容量である。処理部(430)は、判定した受入刺激が適合するか否かの情報を記憶部(420)のユーザ情報記憶部(422)に記憶させる。
【0228】
適合度判定処理の後に行われる結果表示出力処理(ステップS20)において、処理部(430)が出力する信号に含まれる結果情報には、受入刺激が適合するか否かの判定結果の情報が含まれる。したがって、端末装置(200)の表示部(250)には、この判定結果の情報が表示される。
【0229】
(3)端末装置の表示
図38に示すように、本実施形態の結果表示画面(930)には、適合表示部(250)を更に含む。適合表示部(250)では、適合判定処理において判定された受入刺激が適合するか否かの情報が表示される。
【0230】
(4)特徴
(4-1)本実施形態の腸状態推定プログラムは、乖離量に基づいて、受入刺激が対象者にとって適合するか否かを判定する適合判定処理と、適合判定処理における判定結果を含む結果情報を端末装置(200)に表示するための信号を出力する結果表示出力処理とを、サーバ装置(400)に実行させる。
【0231】
本実施形態では、適合判定処理および結果表示出力処理を行うサーバ装置(400)からの信号を受信した端末装置(200)は、適合判定処理の判定結果を含む結果情報を表示する。これにより、対象者が受け入れた刺激が対象者にとって合う刺激か否かを、対象者に提示できる。
【0232】
(4-2)本実施形態の腸状態推定プログラムは、適合判定処理において、乖離量が所定の基準値以下である場合、受入刺激が対象者にとって適合すると判定し、乖離量が所定の基準値より大きい場合、受入刺激が上記対象者にとって適合しないと判定する。本実施形態では、所定の基準値を設けることにより、対象者が受け入れた刺激が対象者にとって適合する刺激か否かを判定できる。
【0233】
(5)変形例
適合判定部(480)について、上記実施形態では実施形態1に適用して説明したが、実施形態2に適用してもよい。実施形態2に適用する場合、適合判定部(480)が行う適合判定処理は、実施形態2のサーバ装置(400)の動作において、図28に示すステップS223とステップS224の間に行われる。
【0234】
《実施形態4》
実施形態4について説明する。本実施形態の腸状態推定システム(1)は、実施形態3の腸状態推定システム(1)において、サーバ装置(400)の記憶部(420)及び処理部(430)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の腸状態推定システム(1)について、実施形態3と異なる点を説明する。
【0235】
(1)サーバ装置の記憶部(420)及び処理部
図39に示すように、本実施形態の記憶部(420)は、機能的な要素として、モデル記憶部(423)を更に有する。モデル記憶部(423)は、後述する学習済みモデルを記憶する。本実施形態の処理部(430)は、機能的な要素として、排便情報取得部(481)と、更新部(490)とを更に有する。
【0236】
(1-1)排便情報取得部
排便情報取得部(481)は、排便記録取得処理を行う。排便記録取得処理は、対象者が端末装置(200)の入力部(240)に入力した排便に関する情報である排便情報を取得する処理である。本実施形態の排便情報は、排便の有無の情報を含む。排便情報は、便の硬さ、便の量等の情報を含んでもよい。排便情報取得部(481)は、取得した排便情報を更新部(490)に出力する。
【0237】
(1-2)更新部
更新部(490)は、更新処理を行う。更新処理では、対象者の排便情報に基づいて、相関情報を更新する処理である。排便情報は、腸の状態と密接に関連する情報である。具体的には、排便があれば腸が正常な範囲で活動している可能性が高く、排便がなければ腸の活動が停滞している可能性が高い。
【0238】
したがって、図40に示すように、破線で示す複数人に関する相関情報の正常領域Nに対して、対象者の排便情報に基づくデータを反映することで、灰色で示す対象者に適した正常領域Npに変更される。このように、対象者の排便情報を用いて相関情報を変更することにより、複数人に関する相関情報が対象者個人に適した相関情報に最適化される。
【0239】
本実施形態の更新処理では、機械学習により生成された学習済みモデルを用いる。詳細には、本実施形態の更新部(490)は、機能的な要素として、モデル生成部(491)と、決定部(492)と、変更部(493)とを有する。
【0240】
モデル生成部(491)は、学習用のデータに基づいて、機械学習を行うことにより、学習済みモデルを生成する。学習用のデータには、排便情報と、受入刺激の情報と、受入刺激に関する刺激前指標及び刺激後指標の実測値と、受入刺激に関する基準値が含まれる。ここでいう基準値は、実施形態3の基準値と同じである。決定部(492)は、モデル生成部(491)で生成された学習済みモデルに基づいて、受入刺激に関する基準値を決定する。変更部(493)は、決定部(492)で決定された基準値に基づいて、相関情報を変更する。
【0241】
(2)サーバ装置の動作
図41に示すように、ステップS410において、処理部(430)は、排便情報取得処理を行う。次いで、ステップS420において、処理部(430)は、更新処理を行う。サーバ装置(400)の動作において、本実施形態の排便情報取得処理(ステップS410)及び更新処理(ステップS420)は、結果情報出力処理(ステップS20)の後に行われる。
【0242】
図42に示すように、更新処理では、ステップS421において、処理部(430)は、ユーザ情報記憶部(422)から学習用のデータを取得する。次に、ステップS422において、処理部(430)は、取得した学習用のデータに基づいて機械学習を行うことにより、学習済みモデルを生成する。ここで、処理部(430)は、例えば、教師あり学習、又は強化学習等により機械学習を行ってもよい。処理部(430)は、生成した学習済みモデルをモデル記憶部(423)に記憶させる。
【0243】
次に、ステップS423において、処理部(430)は、モデル記憶部(423)に記憶された学習済みモデルを取得する。次に、ステップS424において、処理部(430)は、排便情報、受入刺激の情報、受入刺激に関する刺激前指標と刺激後指標の実測値、及び学習済みモデルに基づいて、受入刺激に関する基準値を決定する。次に、ステップS425において、処理部(430)は、決定された基準値を相関情報に反映することにより、相関情報を変更する。次に、ステップS426において、処理部(430)は、変更された相関情報を、相関情報記憶部(421)に記憶させる。
【0244】
(3)特徴
本実施形態の腸状態推定プログラムは、対象者が入力した排便に関する排便情報を取得する排便情報取得処理と、排便情報と、受入刺激の情報と、受入刺激に関する刺激前指標と、受入刺激に関する刺激後指標とに基づいて、相関情報を更新する更新処理と、をサーバ装置(400)に実行させる。
【0245】
本実施形態では、サーバ装置(400)が実行する更新処理において、対象者の排便情報を含む所定の情報に基づいて相関情報を更新する。これにより、相関情報を対象者個人に合うように最適化できる。
【0246】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0247】
上記各実施形態の腸状態推定システム(1)において、腸状態推定装置(P)は、上記各実施形態の腸状態推定プログラムがインストールされた端末装置(200)であってもよい。この場合、腸状態推定プログラムは、上述した腸状態推定装置(P)が行う処理を、コンピュータである端末装置(200)に実行させるためのプログラムである。端末装置(200)は、腸状態推定プログラムを実行することにより、腸状態推定装置(P)として機能する。
【0248】
上記各実施形態の腸状態推定システム(1)において、刺激前指標取得処理では、ユーザ情報記憶部(422)に記憶された過去の平常時に計測された腸音データに基づいて腸音指標を算出し、算出した腸音指標に基づいて刺激前指標を出力してもよい。言い換えると、刺激前指標は、過去の平常時に計測されたデータに基づく指標であってもよい。ここでいう平常時とは、いずれの刺激も付与されておらず、対象者が安静にしている時のことである。これにより、対象者に関する最新の刺激前指標を取得することなく、刺激後指標を推定できる。例えば、対象者に関する最新の刺激前指標を取得できなかった場合においても、刺激後指標を推定できる。
【0249】
上記各実施形態の腸状態推定装置(P)の推定処理及び各判定処理では、朝(特に起床時)に集音された腹部音のデータに基づいて算出された腸音指標を用いるのが望ましい。起床時は、その他の時間帯に比べて、腸の状態を蠕動運動として確認しやすいタイミングだからである。
【0250】
上記各実施形態の腸状態推定装置(P)では、端末装置(200)の端末処理部(230)において腸音特定処理が行われたが、腸音特定処理はサーバ装置(400)の処理部(430)で行われてもよい。この場合、サーバ装置(400)の処理部(430)は、機能的な構成要素として、腸音特定部を有する。
【0251】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0252】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0253】
以上説明したように、本開示は、腸状態推定プログラム、腸状態推定装置、および腸状態推定システムについて有用である。
【符号の説明】
【0254】
110 マイク(集音装置)
200,400 コンピュータ
240 入力部(入力装置)
250 表示部(表示装置)
420 記憶部(記憶装置)
430 処理部
P 腸状態推定装置
図1
図2
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図4
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【手続補正書】
【提出日】2024-12-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の腸の状態を推定する処理をコンピュータ(200,400)に実行させる腸状態推定プログラムであって、
腸音に関する指標を腸音指標とし、前記腸音指標は、所定時間当たりの腸音の発生回数、腸音の長さ、腸音同士の間隔または腸音の強さであり、
腸の状態に影響を与える要因である所定の刺激が付与される前の上記腸音指標を刺激前指標とし、
前記刺激が付与された後の上記腸音指標を刺激後指標とし、
上記刺激前指標と、上記刺激前指標に対する上記刺激後指標の比との関係を示す情報を相関情報としたときに、
コンピュータ(200,400)に、
上記対象者に関する上記刺激前指標を取得する刺激前指標取得処理と、
記憶装置(420)に予め記憶された複数の健常者に関する上記相関情報を取得する相関情報取得処理と、
上記刺激前指標取得処理において取得した上記刺激前指標と上記相関情報取得処理において取得した上記相関情報とに基づいて、上記対象者に関する上記刺激後指標を推定する推定処理とを、実行させる
腸状態推定プログラム。
【請求項2】
上記刺激前指標は、上記推定処理を実行する直前に集音装置(110)において計測された指標である
請求項1に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項3】
上記刺激前指標は、過去の平常時に計測された指標である
請求項1に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項4】
上記対象者が推定したい刺激を推定刺激としたときに、
上記対象者によって入力された推定刺激の情報を取得する推定刺激取得処理と、
上記推定処理としての、上記推定刺激取得処理において取得した上記推定刺激に関する上記対象者の上記刺激後指標を推定する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項1に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項5】
上記推定処理において推定された上記刺激後指標を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理を、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項4に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項6】
上記推定処理において推定された上記刺激後指標と上記刺激前指標取得処理において取得された上記刺激前指標との差に基づいて、刺激の強度を判定する強度判定処理と、
上記強度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項4に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項7】
過去に上記推定処理によって推定された上記刺激後指標と、過去に計測された上記刺激後指標との差に基づいて、刺激の推奨度合いを示す推奨度を判定する推奨度判定処理と、
上記推奨度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項4に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項8】
上記相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、
過去の上記乖離量に基づいて、刺激の適合度合いを示す適合度を判定する適合度判定処理と、
上記適合度を含む推定情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項4に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項9】
上記刺激前指標取得処理において取得した上記刺激前指標と上記相関情報取得処理において取得した上記相関情報とに基づいて、上記対象者に関する上記刺激後指標を、複数種類の刺激のそれぞれについて推定する処理を、上記推定処理としてコンピュータ(200,400)に実行させる
請求項1に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項10】
上記推定処理において推定された上記刺激後指標と上記刺激前指標取得処理において取得された上記刺激前指標との差に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の強度を判定する強度判定処理と、
上記強度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項9に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項11】
上記強度判定処理において判定された強度順に、上記刺激を並べ替える強度並べ替え処理と、
上記推定表示出力処理として、上記強度順に、上記強度と該強度に対応する上記刺激とを上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項10に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項12】
過去に上記推定処理によって推定された上記刺激後指標と、過去に計測された上記刺激後指標との差に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の推奨度合いを示す推奨度を判定する推奨度判定処理と、
上記推奨度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項9に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項13】
上記推奨度判定処理において判定された上記推奨度の高い順に、上記刺激を並べ替える推奨度並べ替え処理と、
上記推定表示出力処理として、上記推奨度の高い順に、上記推奨度と該推奨度に対応する上記刺激とを上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項12に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項14】
上記相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、
過去の上記乖離量に基づいて、複数種類の刺激のそれぞれについて、刺激の適合度合いを示す適合度を判定する適合度判定処理と、
上記適合度を含む推定情報を、対応する刺激と関連付けた状態で、表示装置(250)に表示するための信号を出力する推定表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項9に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項15】
上記適合度判定処理において判定された上記適合度の高い順に、上記刺激を並べ替える適合度並べ替え処理と、
上記推定表示出力処理として、上記適合度の高い順に、上記適合度と該適合度に対応する上記刺激とを上記表示装置(250)に表示するための信号を出力する処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項14に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項16】
上記対象者が実際に受け入れた刺激を受入刺激としたときに、
上記対象者によって入力された上記受入刺激の情報を取得する受入刺激取得処理を、上記推定表示出力処理の後に、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項5~8、10~15のいずれか1つに記載の腸状態推定プログラム。
【請求項17】
上記対象者に関する上記受入刺激についての上記刺激後指標を取得する刺激後指標取得処理と、
上記推定処理において上記受入刺激について推定された上記刺激後指標と上記刺激後指標取得処理において取得した上記刺激後指標との差に基づいて、上記受入刺激による効果を判定する効果判定処理と、
上記効果を含む結果情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する結果表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項16に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項18】
上記相関情報における推定値と実測値との乖離を乖離量としたときに、
上記乖離量に基づいて、上記受入刺激が上記対象者にとって適合するか否かを判定する適合判定処理と、
上記適合判定処理における判定結果を含む結果情報を表示装置(250)に表示するための信号を出力する結果表示出力処理とを、コンピュータ(200,400)に実行させる
請求項16に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項19】
上記適合判定処理において、
上記乖離量が所定の基準値以下である場合、上記受入刺激が上記対象者にとって適合すると判定し、
上記乖離量が所定の基準値より大きい場合、上記受入刺激が上記対象者にとって適合しないと判定する
請求項18に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項20】
上記対象者が入力した排便に関する排便情報を取得する排便情報取得処理と、
上記排便情報と、上記受入刺激の情報と、上記受入刺激に関する上記刺激前指標と、上記受入刺激に関する上記刺激後指標とに基づいて、上記相関情報を更新する更新処理と、をコンピュータ(200,400)に実行させる
請求項16に記載の腸状態推定プログラム。
【請求項21】
対象者の腸の状態を推定する腸状態推定装置であって、
腸音に関する指標を所定時間当たりの腸音の回数、腸音の長さ、腸音同士の間隔または腸音の強さを示す腸音指標とし、
腸の状態に影響を与える要因である所定の刺激が付与される前の上記腸音指標を刺激前指標とし、
前記刺激が付与された後の上記腸音指標を刺激後指標とし、
上記刺激前指標と、上記刺激前指標に対する上記刺激後指標の比との関係を示す情報を相関情報としたときに、
上記対象者に関する上記刺激前指標を取得し、
記憶装置(420)に予め記憶された複数の健常者に関する上記相関情報を取得し、
取得した上記刺激前指標と取得した上記相関情報とに基づいて、上記対象者に関する上記刺激後指標を推定する処理部(430)を備える
腸状態推定装置。
【請求項22】
請求項21に記載の腸状態推定装置と、
上記対象者の腹部の音を集音する集音装置(110)と、
刺激の情報を入力するための入力装置(240)と、
推定された刺激後の腸状態に関する推定情報を表示するための表示装置(250)と、を備える
腸状態推定システム。