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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011717
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H05K7/20 F
H05K7/20 R
H05K7/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113991
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100130269
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 盛規
(72)【発明者】
【氏名】西田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩平
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA02
5E322AA07
5E322AA10
5E322AA11
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA05
5E322BB03
5E322DA04
5E322DB08
5E322DB12
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】発熱部品から生じた熱を効果的に放熱することができる電子機器を提供する。
【解決手段】外部からの空気が流出入する電子機器1は、吸気口35が設けられたハウジング10と、ハウジングに収容されたファン60及び基板40と、基板の第1面に実装された第1発熱部品42と、基板の第2面に実装された第2発熱部品43と、基板の第1面と対向して配置された第1金属板28と、熱伝導性の第1接続部材81と、を備える。ハウジング内には吸気口から送風された空気をファンに導く第1流路及び第2流路が形成される。第1流路は、第1面とその対向面との間に形成されて第1発熱部品が配置された空間を含み、第2流路は、第2面とその対向面との間に形成されて第2発熱部品が配置された空間を含む。第1接続部材は、基板と第1金属板とを第1発熱部品を介することなく熱移動可能に接続する。第2発熱部品の発熱量は第1発熱部品の総発熱量よりも大きい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの空気が流出入する電子機器であって、
吸気口が設けられたハウジングと、
前記ハウジングに収容されたファンと、
前記ハウジングに収容された基板と、
前記基板の第1面に実装される1つ以上の第1発熱部品と、
前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に実装される1つ以上の第2発熱部品と、
前記基板の前記第1面と対向して配置された第1金属板と、
熱伝導性の第1接続部材と、を備え、
前記第1金属板は、前記ハウジングの少なくとも一部を構成するように形成されるか又は前記ハウジングとは別体として形成され、
前記ハウジング内には前記吸気口から流入した空気を前記ファンに導く第1流路及び第2流路が形成され、
前記第1流路は、少なくとも一部が前記第1面と該第1面に対向する第1対向面とによって形成され、
前記第2流路は、少なくとも一部が前記第2面と該第2面に対向する第2対向面とによって形成され、
前記第1接続部材は、前記基板と前記第1金属板とを熱移動可能に接続し、
前記第2発熱部品全ての総発熱量は前記第1発熱部品全ての総発熱量よりも大きい、又は前記第2発熱部品のうち最も発熱量の大きい部品の発熱量は前記第1発熱部品のうち最も発熱量の大きい部品の発熱量よりも大きい、電子機器。
【請求項2】
前記基板の第2面と対向して配置された第2金属板と、
前記基板と前記第2金属板とを前記第2発熱部品を介することなく熱移動可能に接続する熱伝導性の第2接続部材と、を更に備え、
前記第2金属板は、前記ハウジングの少なくとも一部を構成するように形成されるか又は前記ハウジングとは別体として形成され、
前記電子機器内に設けられる前記第1接続部材の数は前記第2接続部材の数よりも多い、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記基板の第2面と対向して配置された第2金属板と、
前記基板と前記第2金属板とを前記第2発熱部品を介することなく熱移動可能に接続する熱伝導性の第2接続部材と、を更に備え、
前記第2金属板は、前記ハウジングの少なくとも一部を構成するように形成されるか又は前記ハウジングとは別体として形成され、
前記第1接続部材は前記第2接続部材よりも熱伝導率の高い材料で構成されている、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1金属板と前記第2金属板とを接続する熱伝導性の第3接続部材をさらに備える、請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記基板に第1配線パターンが設けられ、
前記第1配線パターンは、前記第1発熱部品と熱移動可能に接続されると共に、前記第1接続部材と熱移動可能に接続される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1金属板及び前記第2金属板はそれぞれ前記第1接続部材及び前記第2接続部材を介して前記基板のグランド電位と電気的に接続され、
前記基板に垂直な方向に見たときに、前記第1金属板と重なる位置に前記第1発熱部品が配置され、及び前記第2金属板と重なる位置に前記第2発熱部品が配置される、請求項2に記載の電子機器。
【請求項7】
前記吸気口は、前記ファンに対して互いに異なる方向に位置するように互いに離間して配置された第1吸気口及び第2吸気口の2つの吸気口を有し、
前記第1流路は、前記第1吸気口から前記ファンに流れる空気の流路を含み、
前記第2流路は、前記第2吸気口から前記ファンに流れる空気の流路を含み、
前記第1発熱部品及び前記第2発熱部品は、前記基板に垂直な方向に見たときに互いに重ならない位置に配置される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項8】
前記ハウジング内に配置されたバッテリを更に有し、
前記バッテリは、前記第2吸気口と前記ファンの流入口との間の空間よりも前記第1吸気口と前記流入口との間の空間に近接して配置される、請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記吸気口は、前記ファンに対して互いに異なる方向に位置するように互いに離間して配置された第1吸気口及び第2吸気口の2つの吸気口を有し、
前記第1発熱部品のうち最も発熱量の多い部品は、前記基板に垂直な方向に見たときに、少なくとも部分的に前記第1吸気口と前記ファンの流入口との間に位置するように配置され、
前記第2発熱部品のうち最も発熱量の多い部品は、前記基板に垂直な方向に見たときに、少なくとも部分的に前記第2吸気口と前記流入口との間に位置するように配置される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第2金属板を構成する金属は前記第1金属板を構成する金属よりも熱伝導率が高く、かつ、比重が大きい、請求項2に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第2金属板は前記第2発熱部品のうち最も発熱量の多い部品に対向するように位置し、
前記基板に垂直な方向に見たときに、前記第2金属板の面積は、前記第1金属板の面積よりも小さい、請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
該電子機器の第1面を構成する第1半体と、該電子機器の前記第1面とは反対側の第2面を構成する第2半体とを有するハウジングを更に備え、
前記第1金属板の周囲は樹脂部材に囲われ、
前記樹脂部材は前記第1半体の少なくとも一部を構成する、請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記樹脂部材は、前記第1金属板の、前記基板と対向する面とは反対側の面を覆わない、請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
前記ファンから流出した空気を前記ハウジングの外部へ排出する排気口と、
前記ファンの流出口と排気口との間に配置された放熱部材と、
前記基板に垂直な方向において前記第1発熱部品と前記第1金属板との間に配置され、前記第1発熱部品から生じた熱を前記第1金属板に伝える熱伝導性シート又は熱伝導性グリスと、
前記基板と垂直な方向において前記第2発熱部品と前記第2金属板との間に配置され、前記第2発熱部品から生じた熱を前記放熱部材へ伝えるヒートパイプ又はベイパーチャンバーと、を備える、請求項2に記載の電子機器。
【請求項15】
ディスプレイパネルと、熱伝導性シート又は熱伝導性グリスを更に有し、
前記ディスプレイパネルは、前記第1金属板の、前記基板と対向する面とは反対側の面上に配置され、
前記熱伝導性シート又は熱伝導性グリスは、前記ディスプレイパネルと前記第1金属板との間に配置される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸気口及び排気口を有する筐体と、筐体内に配置されて発熱部品が実装された基板と、を有する電子機器が知られている(例えば、特許文献1)。特に、特許文献1に記載された電子機器は、基板に設けられた孔に配置されたファンを有し、且つ、吸気口から吸入された空気が基板の下を通ってファンまで流れ、その後、ファンから流出した空気が基板の上を通って排気口まで流れるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-111275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された電子機器では、発熱部品から生じた熱を放熱するにあたって、改善の余地がある。
【0005】
上記課題に鑑みて、本開示の目的は、発熱部品から生じた熱を効果的に放熱することができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0007】
(1)外部からの空気が流出入する電子機器であって、
吸気口が設けられたハウジングと、
前記ハウジングに収容されたファンと、
前記ハウジングに収容された基板と、
前記基板の第1面に実装される1つ以上の第1発熱部品と、
前記基板の前記第1面とは反対側の第2面に実装される1つ以上の第2発熱部品と、
前記基板の前記第1面と対向して配置された第1金属板と、
熱伝導性の第1接続部材と、を備え、
前記第1金属板は、前記ハウジングの少なくとも一部を構成するように形成されるか又は前記ハウジングとは別体として形成され、
前記ハウジング内には前記吸気口から流入した空気を前記ファンに導く第1流路及び第2流路が形成され、
前記第1流路は、少なくとも一部が前記第1面と該第1面に対向する第1対向面とによって形成され、 前記第2流路は、少なくとも一部が前記第2面と該第2面に対向する第2対向面とによって形成され、
前記第1接続部材は、前記基板と前記第1金属板とを熱移動可能に接続し、
前記第2発熱部品全ての総発熱量は前記第1発熱部品全ての総発熱量よりも大きい、又は前記第2発熱部品のうち最も発熱量の大きい部品の発熱量は前記第1発熱部品のうち最も発熱量の大きい部品の発熱量よりも大きい、電子機器。
(2)前記基板の第2面と対向して配置された第2金属板と、
前記基板と前記第2金属板とを前記第2発熱部品を介することなく熱移動可能に接続する熱伝導性の第2接続部材と、を更に備え、
前記第2金属板は、前記ハウジングの少なくとも一部を構成するように形成されるか又は前記ハウジングとは別体として形成され、
前記電子機器内に設けられる前記第1接続部材の数は前記第2接続部材の数よりも多い、上記(1)に記載の電子機器。
(3)前記基板の第2面と対向して配置された第2金属板と、
前記基板と前記第2金属板とを前記第2発熱部品を介することなく熱移動可能に接続する熱伝導性の第2接続部材と、を更に備え、
前記第2金属板は、前記ハウジングの少なくとも一部を構成するように形成されるか又は前記ハウジングとは別体として形成され、
前記第1接続部材は前記第2接続部材よりも熱伝導率の高い材料で構成されている、上記(1)又は(2)に記載の電子機器。
(4)前記第1金属板と前記第2金属板とを接続する熱伝導性の第3接続部材をさらに備える、上記(2)又は(3)に記載の電子機器。
(5)前記基板に第1配線パターンが設けられ、
前記第1配線パターンは、前記第1発熱部品と熱移動可能に接続されると共に、前記第1接続部材と熱移動可能に接続される、上記(1)又は(2)に記載の電子機器。
(6)前記第1金属板及び前記第2金属板はそれぞれ前記第1接続部材及び前記第2接続部材を介して前記基板のグランド電位と電気的に接続され、
前記基板に垂直な方向に見たときに、前記第1金属板と重なる位置に前記第1発熱部品が配置され、及び前記第2金属板と重なる位置に前記第2発熱部品が配置される、上記(2)又は(3)に記載の電子機器。
(7)前記吸気口は、前記ファンに対して互いに異なる方向に位置するように互いに離間して配置された第1吸気口及び第2吸気口の2つの吸気口を有し、
前記第1流路は、前記第1吸気口から前記ファンに流れる空気の流路を含み、
前記第2流路は、前記第2吸気口から前記ファンに流れる空気の流路を含み、
前記第1発熱部品及び前記第2発熱部品は、前記基板に垂直な方向に見たときに互いに重ならない位置に配置される、上記(1)又は(2)に記載の電子機器。
(8)前記ハウジング内に配置されたバッテリを更に有し、
前記バッテリは、前記第2吸気口と前記流入口との間の空間よりも前記第1吸気口と前記流入口との間の空間に近接して配置される、上記(7)に記載の電子機器。
(9)前記吸気口は、前記ファンに対して互いに異なる方向に位置するように互いに離間して配置された第1吸気口及び第2吸気口の2つの吸気口を有し、
前記第1発熱部品のうち最も発熱量の多い部品は、前記基板に垂直な方向に見たときに、少なくとも部分的に前記第1吸気口と前記ファン吸気口との間に位置するように配置され、
前記第2発熱部品のうち最も発熱量の多い部品は、前記基板に垂直な方向に見たときに、少なくとも部分的に前記第2吸気口と前記ファン吸気口との間に位置するように配置される、上記(1)又は(2)に記載の電子機器。
(10)前記第2金属板を構成する金属は前記第1金属板を構成する金属よりも熱伝導率が高く、かつ、比重が大きい、上記(2)又は(3)に記載の電子機器。
(11)前記第2金属板は前記第2発熱部材のうち最も発熱量の多い部品に対向するように位置し、
前記基板に垂直な方向に見たときに、前記第2金属板の面積は、前記第1金属板の面積よりも小さい、上記(10)に記載の電子機器。
(12)該電子機器の第1面を構成する第1半体と、該電子機器の前記第1面とは反対側の第2面を構成する第2半体とを有するハウジングを更に備え、
前記第1金属板の周囲は樹脂部材に囲われ、
前記樹脂部材は前記第1半体の少なくとも一部を構成する、上記(11)に記載の電子機器。
(13)前記樹脂部材は、前記第1金属板の、前記基板と対向する面とは反対側の面を覆わない、上記(12)に記載の電子機器。
(14)前記ファンから流出した空気を前記ハウジングの外部へ排出する排気口と、
前記ファンの流出口と排気口との間に配置された放熱部材と、
前記基板に垂直な方向において前記第1発熱部品と前記第1金属板との間に配置され、前記第1発熱部品から生じた熱を前記第1金属板に伝える熱伝導性シート又は熱伝導性グリスと、
前記基板と垂直な方向において前記第2発熱部品と前記第2金属板との間に配置され、前記第2発熱部品から生じた熱を前記放熱部材へ伝えるヒートパイプ又はベイパーチャンバーと、を備える、上記(2)又は(3)に記載の電子機器。
(15)ディスプレイパネルと、熱伝導性シート又は熱伝導性グリスを更に有し、
前記ディスプレイパネルは、前記第1金属板の、前記基板と対向する面とは反対側の面上に配置され、
前記熱伝導性シート又は熱伝導性グリスは、前記ディスプレイパネルと前記第1金属板との間に配置される、上記(1)又は(2)に記載の電子機器。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、発熱部品から生じた熱を効果的に放熱することができる電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、電子機器を前上方から見た概略的な斜視図である。
図2図2は、電子機器を前上方から見た概略的な分解斜視図である。
図3図3は、前方ハウジング半体を後方から見た平面図である。
図4図4は、基板を後方から見た平面図である。
図5図5は、後方ハウジング半体及び後方金属板を取り外した状態において電子機器を後方から見た平面図である。
図6図6は、図5の線VI-VIに沿って見た、電子機器の部分的な断面図である。
図7図7は、図5の線VII-VIIに沿って見た、電子機器の断面図である。
図8図8は、締結具によって前方金属板、基板及び後方金属板が互いに取り付けられる様子を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0011】
<電子機器の全体構成>
まず、図1及び図2を参照して、一つの実施形態に係る電子機器1の全体構成について概略的に説明する。電子機器1は、ディスプレイパネルを備えた略直方体状の機器であり、例えばポータブルゲーム機、タブレット、モバイルモニタなどである。特に、本実施形態では、電子機器1は、床面や卓上面などの載置面上に載置して用いられる持ち運び可能な機器である。
【0012】
図1は、電子機器1を前上方から見た概略的な斜視図である。図2は、電子機器1を前上方から見た概略的な分解斜視図である。図1に示されるように、電子機器1は、略直方体状に形成されたハウジング10と、ハウジング10の一つの側面側に設けられたディスプレイパネル5と、を有する。
【0013】
本明細書では、ハウジング10に対してディスプレイパネル5が設けられた方向を前方、前方とは反対向きの方向を後方と称する。したがって、ディスプレイパネル5はハウジング10の前面に設けられている。また、通常の向きで載置面に対して垂直に電子機器1を立てて置いたときに電子機器1を前方から見て、上方向、下方向、左方向、右方向をそれぞれ電子機器1及びその構成部品の上方、下方、左方、右方と称し、また、電子機器1の左右方向を横幅方向とも称する。
【0014】
図2に示されるように、電子機器1は、ハウジング10及びディスプレイパネル5に加えて、基板40、後方金属板50、ファン60、ヒートパイプ70、ヒートシンク72及びバッテリ75を有する。基板40、後方金属板50、ファン60、ヒートパイプ70、ヒートシンク72及びバッテリ75は、ハウジング10内に収容される。
【0015】
<ハウジング>
次に、図1図3を参照して、ハウジング10について説明する。図1に示されるように、ハウジング10は、ハウジング10の前方側に位置する前壁11、ハウジング10の後方側に位置する後壁12、並びにこれら前壁11と後壁12との間に位置する上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16を有する。特に、上壁13はハウジング10の上側に、下壁14はハウジング10の下側に、左壁15はハウジング10の左側に、右壁16はハウジング10の右側にそれぞれ設けられる。本実施形態では、これら上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16は、前壁11及び後壁12に対して垂直に延びる。なお、垂直に延びることは、壁同士が厳密に垂直に延びることのみならず、実質的に垂直に延びることを含む。また、本実施形態では、前壁11及び後壁12は平坦に形成される。加えて、本実施形態では、上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16も平坦に形成される。
【0016】
図2に示されるように、ハウジング10は、主に、二つのハウジング半体20、30によって形成される。前方ハウジング半体20は相対的に前方に、後方ハウジング半体30は、相対的に後方に配置される。
【0017】
図2に示されるように、本実施形態では、前方ハウジング半体20は、主に、ハウジング10の前壁11、左壁15及び右壁16を構成する。また、後方ハウジング半体30は、主に、ハウジング10の後壁12、上壁13及び下壁14を構成する。したがって、前方ハウジング半体20に後方ハウジング半体30を取り付けると、前壁11、後壁12、上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16を有するハウジング10が形成される。なお、上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16は、それぞれ、前方ハウジング半体20及び後方ハウジング半体30のうちいずれによって構成されてもよい。したがって、前方ハウジング半体20が主に前壁11、上壁13及び下壁14を構成し、後方ハウジング半体30が主に後壁12、左壁15及び右壁16を形成してもよい。或いは、上壁13、下壁14、左壁15及び右壁16のうちの少なくともいずれか一つは、前方ハウジング半体20及び後方ハウジング半体30の両方(例えば、前後方向の中央で両ハウジング半体20、30が合わさるように)によって形成されてもよい。
【0018】
前方ハウジング半体20は、前方主壁21、左側壁22及び右側壁23を有し、これらはそれぞれハウジング10の前壁11、左壁15及び右壁16を構成する。図2に示されるように前方主壁21にはディスプレイパネル5が設けられる。また、前方主壁21は、前後方向に対して垂直な方向に延びる。左側壁22は、前方主壁21の左側端部から後方に向かって延びる。右側壁23は、前方主壁21の右側端部から後方に向かって延びる。また、左側壁22及び右側壁23は、前方主壁21の上下方向の長さ全体に亘って延びる。
【0019】
前方ハウジング半体20の前方主壁21は、その前側に後方に向かって凹む溝部24を有する。溝部24は、前方主壁21の外周部を除き、前方主壁21の前面の全体に亘って延びる。特に、溝部24は、上下方向及び横幅方向に、ディスプレイパネル5の上下方向及び横幅方向の長さとほぼ同じ長さに亘って延びる。また、溝部24は、その深さが、ディスプレイパネル5の前後方向の長さよりも僅かに長くなるように形成される。
【0020】
また、溝部24の前方には、溝部24における前方主壁21(特に、後述する前方金属板28)と接触するようにディスプレイ用熱伝導性シート25が配置される。ディスプレイ用熱伝導性シート25は、熱伝導性を有するシートである。図2に示されるように、本実施形態では、ディスプレイ用熱伝導性シート25は、溝部24の全体に亘って配置される。また、この溝部24には、ディスプレイパネル5が嵌め込まれる。したがって、ディスプレイパネル5と前方主壁21(特に、後述する前方金属板28)との間に、ディスプレイ用熱伝導性シート25が配置されることになる。また、ディスプレイ用熱伝導性シート25は、ディスプレイパネル5の後面と接触する。したがって、ディスプレイ用熱伝導性シート25は、ディスプレイパネル5の後面及び前方主壁21(特に、前方金属板28)と接触するように配置される。このようにディスプレイパネル5と前方金属板(第1金属板)28との間にディスプレイ用熱伝導性シート25を配置することにより、ディスプレイパネル5に生じた熱をディスプレイ用熱伝導性シートを介して前方金属板28に放出することができるようになる。
【0021】
なお、熱伝導性を有する要素であれば、ディスプレイ用熱伝導性シート25の代わりに他の要素が用いられてもよい。したがって、ディスプレイ用熱伝導性シート25の代わりに熱伝導性グリスが用いられてもよい。また、本実施形態では、ディスプレイ用熱伝導性シート25又は熱伝導性グリスは、ディスプレイパネル5の後面と接触しているが、ディスプレイパネル5の後面と接触せずに間に僅かな空気の層が形成されてもよい。さらに、本実施形態では、ディスプレイ用熱伝導性シート25又は熱伝導性グリスは、溝部24における前方主壁21上に配置されているが、ディスプレイパネル5の後面上に配置されてもよい。この場合、ディスプレイパネル5の後面に設けられたディスプレイ用熱伝導性シート25又は熱伝導性グリスと溝部24における前方主壁21との間に僅かな空気の層が形成されてもよい。
【0022】
図3は、前方ハウジング半体20を後方から見た平面図である。図3に示されるように、前方主壁21の後面には、バッテリ75を保持するための枠部26と、複数の締結穴27とが設けられる。
【0023】
枠部26は、前方主壁21の後面から後方に向かって延びる略矩形の壁である。枠部26は、枠部26内にバッテリ75を配置することができるようにバッテリ75の外形よりも僅かに大きくなるように配置される。また、枠部26は、その後方端部が後方金属板(第2金属板)50に接するような高さを有する。枠部26は、二つの切り欠き26a、26bを有する。第1切り欠き26aは下方に配置され、第2切り欠き26bは、ファン60側に配置される。切り欠き26a、26bが設けられた領域では、枠部26は、その後方端部が後方金属板50に到達せず、後方金属板50と枠部26との間に開口が形成されるような高さを有する。したがって、枠部26に囲まれた領域内には、切り欠き26a、26bを通って空気が流入及び流出する。
【0024】
締結穴27は、ネジ等の締結具を受容するように構成され、基板40又は後方金属板50を前方主壁21(特に、前方金属板28)に取り付けるのに用いられる。図3に示される例では、締結穴27は、基板40を取り付けるための第1締結具81(図8参照)を受容するのに用いられる複数の基板用締結穴27aと、後方金属板50を取り付けるための第3締結具83を受容するのに用いられる複数の金属板用締結穴27bとを有する。
【0025】
前方ハウジング半体20は、樹脂と金属とで形成される。特に、本実施形態では、前方ハウジング半体20のうち、溝部24が設けられている領域(溝部24の後方に位置する領域)は金属板として形成される。したがって、このように前方ハウジング半体20のうち金属で形成されている部分を、以下では、前方金属板28と称する。よって、前方ハウジング半体20のうち前方主壁21の一部は前方金属板28で形成される。一方、前方ハウジング半体20のうち前方金属板28以外の部分(前方主壁21の残りの部分、左側壁22及び右側壁23)は、樹脂部材で形成される。したがって、前方ハウジング半体20は、前後方向に見たときに、前方金属板28と、前方金属板28の周囲(上下左右)を囲う樹脂部材とによって形成される。また、本実施形態では、樹脂部材は、前方金属板28の前面及び後面を実質的に覆わないように構成される。いずれにせよ、本実施形態では、前方ハウジング半体20は、前方金属板28と樹脂部材とによって構成される。
【0026】
また、前方ハウジング半体20の前方金属板28は、マグネシウム、アルミニウム等の金属で形成される。前方金属板28は、枠部26よりも中央側に、枠部26に沿うように、上下方向に延びる複数の開口(前方金属板28を貫通する開口)29を有する。複数の開口29は上下方向に一列に整列して配置される。本実施形態では、複数の開口29は、前方金属板28の上下方向の長さのうち半分以上の長さに亘って延びるように形成される。複数の開口29それぞれには樹脂が埋め込まれる。樹脂の熱伝導率が前方金属板28を構成する金属の熱伝導率よりも低いため、このように構成された複数の開口29及び樹脂により、この複数の開口29を介した熱の移動が抑制される。この結果、開口29に対してバッテリ75とは反対側の領域からバッテリ75が配置される領域に熱が移動することが抑制され、よってバッテリ75の不必要な加熱が抑制される。例えば、本実施形態では、上下方向に並んだ開口29を基準とした左右方向において右側にSoC等の発熱部品、左側にバッテリ75を配置することで、SoC等の発熱部品からの熱が開口29に埋め込まれた樹脂を介して移動することを抑制することができる。なお、本実施形態では、前方金属板28に、前方金属板28を貫通する開口29が設けられているが、開口29の代わりに前方金属板28を貫通しない溝が設けられてもよい。
【0027】
なお、本実施形態では、前方ハウジング半体20のうち溝部24に対応する領域が前方金属板28として金属で形成されている。しかしながら、溝部24よりも大きい領域又は溝部24よりも小さい領域が前方金属板28として金属で形成されてもよい。或いは、前方ハウジング半体20全体が前方金属板28として金属で形成されてもよい。したがって、前方ハウジング半体の少なくとも一部が前方金属板28によって形成される。また、本実施形態では、前方金属板28は、前方ハウジング半体20の一部を構成している。しかしながら、前方金属板28は、前方ハウジング半体20とは別体の部材であってもよい。この場合、例えば、前方ハウジング半体20全体が樹脂で形成されると共に、前方金属板28が樹脂製の前方ハウジング半体20の後方に取り付けられる。また、前方ハウジング半体20は、前方金属板28と樹脂部材に加えて、他の部材によって構成されてもよい。
【0028】
後方ハウジング半体30は、樹脂で形成され、後方主壁31、上側壁32及び下側壁33を有する。これら後方主壁31、上側壁32及び下側壁33は、それぞれハウジング10の後壁12、上壁13及び下壁14を構成する。後方主壁31は、前後方向に対して垂直な方向に延びる。上側壁32は、後方主壁31の上端部から前方に向かって延びる。下側壁33は、後方主壁31の下端部から前方に向かって延びる。また、上側壁32及び下側壁33は、後方主壁31の横幅方向の長さ全体に亘って延びる。
【0029】
上側壁32は、横幅方向中央に一つの排気口34を有する。排気口34は、ハウジング10内の空気、特にファン60から流出した空気をハウジング10の外部へ排出するための開口である。排気口34は、上側壁32を貫通して、横幅方向に延びる。また、本実施形態では、排気口34は、前後方向において上側壁32の中央に配置される。なお、本実施形態では、排気口34は、一つの開口として形成されているが、複数の開口として形成されてもよい。この場合、排気口34は、例えば、横幅方向に一列に並んだ複数の開口として形成されてもよい。また、排気口34には、排気口34を介してハウジング10内に異物が侵入することの無いように、網状の部材等が設けられてもよい。
【0030】
下側壁33は、横幅方向において、中央の両側にそれぞれ配置された二つの吸気口35を有する。吸気口35は、ハウジング10の外部の空気をハウジング10内に吸気するための開口である。左側吸気口(第1吸気口)35aは下側壁33の中央よりも左側に配置され、右側吸気口(第2吸気口)35bは下側壁33の中央よりも右側に配置される。各吸気口35は、下側壁33を貫通して、横幅方向に延びる。また、本実施形態では、各吸気口35は、前後方向において下側壁33の中央に配置される。また、両吸気口35は、前後方向において互いに同じ位置に配置される。なお、本実施形態では、左側吸気口35a及び右側吸気口35bはそれぞれ一つの開口として形成されているが、それぞれ複数の開口として形成されてもよい。この場合、各吸気口35は、例えば、横幅方向に一列に並んだ複数の開口として形成されてもよい。また、各吸気口35には、吸気口35を介してハウジング10内に異物が侵入することの無いように、網状の部材等が設けられてもよい。また、中央の両側にそれぞれ配置された二つの吸気口35に加えて、又はこれら吸気口35に代えて、下側壁33の横幅方向中央を含む位置に吸気口35が設けられていてもよい。
【0031】
なお、本実施形態では、吸気口35は、下側壁33に(すなわち、ハウジング10の下壁14)に設けられている。しかしながら、吸気口35は、他の側壁(例えば、ハウジング10の上壁13、左壁15、右壁16をそれぞれ形成する上側壁32、左側壁22、右側壁23)に設けられてもよい。すなわち、複数の吸気口35は、ハウジング10の同一の面に互いに離間して配置されていればよい。また、複数の吸気口35は、同一の側壁である下側壁33(すなわち、ハウジング10の同一の側壁である下壁14)に設けられている。しかしながら、複数の吸気口35は、異なる側壁に、例えばハウジング10の左壁15及び右壁16をそれぞれ形成する左側壁22及び右側壁23にそれぞれ設けられてもよい。いずれにせよ、複数の吸気口35は、ファン60に対して互いに異なる方向に位置するように互いに離間して配置される。
【0032】
<ディスプレイパネル>
図1及び図2に示されるように、前方ハウジング半体20の前方主壁21には、ディスプレイパネル5が配置される。本実施形態では、ディスプレイパネル5は、前方主壁21のほぼ全面に亘って設けられ、平坦な表面を有する。ディスプレイパネル5は、電子機器1内に設けられた映像制御用の電子部品(図示せず)から出力される信号に従って、静止画や動画を表示する機器の一例である。ディスプレイパネル5は、例えば、液晶ディスプレイパネル、EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルである。ディスプレイパネル5は、その表面上に、入力装置として機能するタッチパネルを備えてもよい。
【0033】
<基板>
次に、図2図4図6を参照して、基板40について説明する。基板40は、電子機器1の各種機能を実現するための電子部品を実装するための部材の一例である。図4は、基板40を後方から見た平面図である。図5は、後方ハウジング半体30及び後方金属板50を取り外した状態において電子機器1を後方から見た平面図である(側壁のみ断面で表されている)。また、図6は、図5の線VI-VIに沿って見た、電子機器1の部分的な断面図である。
【0034】
基板40は、前後方向において、前方主壁21と後方主壁31との間に配置され、前後方向に対して垂直な方向に延びる。図5に示されるように、基板40は、前後方向に見たときに、ファン60と重ならないような形状を有する。特に、本実施形態では、図2図4及び図5に示されるように、基板40はL字状に形成される。また、図5に示されるように、基板40は、電子機器1の横幅方向の中心線Cに対して両側に位置するように配置される。特に、本実施形態では、基板40は、電子機器1の横幅方向の中心線Cに対して右側に大部分が位置するように配置される。また、本実施形態では、基板40は、前後方向に見たときに、各吸気口35とファン60の流入口61との間の空間内に位置するように配置される。具体的には、基板40は、図5において、左側吸気口35aの左端とファン60の流入口61の左端とを結んだ直線L1lと、左側吸気口35aの右端とファン60の流入口61の右端とを結んだ直線L1rとの間の空間X1内に位置する。加えて、基板40は、図5において、右側吸気口35bの左端とファン60の流入口61の左端とを結んだ直線L2lと、右側吸気口35bの右端とファン60の流入口61の右端とを結んだ直線L2rとの間の空間X2内に位置する。なお、基板40は、複数の吸気口35のそれぞれとファン60の流入口61との間の空間(X1、X2)内に位置するように配置されていれば、どのように配置されてもよい。したがって、基板40は、電子機器1の横幅方向の中心線Cに対して片側のみに位置するように配置されてもよい。
【0035】
また、図4及び図5に示されるように、基板40には複数の電子部品41と、一部の電子部品41を覆うシールド部材44と、が取り付けられる。また、基板40は複数の基板上開口46と、グランドパターン47と、を有する。
【0036】
電子部品41は、それぞれが別々の機能を実現する基板40に実装された電子的な部品の一例であり、作動時に発熱する発熱部品である。電子部品41は、基板40の前面(第1面)に実装された1つ以上の前側電子部品(第1発熱部品)42と、基板40の後面(前面とは反対側の面。第2面)に実装された1つ以上の後側電子部品(第2発熱部品)43とを含む。図4及び図5に示される例では、基板40の前面には2つの前側電子部品42が実装され、基板40の後面には3つの後側電子部品43が実装される。前側電子部品42の全て又は一部は、前後方向において、前方金属板28と少なくとも部分的に重なるように配置される。後側電子部品43の全て又は一部は、前後方向において、後方金属板50と少なくとも部分的に重なるように配置される。また、前側電子部品42及び後側電子部品43は、前後方向において、互いに重ならないように配置される。
【0037】
図4及び図5に示される例では、前側電子部品42は、基板40の左下の端に設けられた第1前側電子部品42aと、基板40の中央左寄りに設けられた第2前側電子部品42bと、を有する。したがって、第1前側電子部品42a及び第2前側電子部品42bは、比較的左寄りに配置される。この結果、第1前側電子部品42a及び第2前側電子部品42bは、それぞれ、左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間X1内に、少なくともその一部が位置する。特に、本実施形態では、第2前側電子部品42bの方が平均的な発熱量又は最大発熱量が、第1前側電子部品42aよりも大きい。したがって、基板40の前側に設けられた前側電子部品42のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい前側電子部品42は、左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間X1内に少なくとも部分的に位置する。
【0038】
また、本実施形態では、第1前側電子部品42aは情報を書き換え可能なメモリ又はストレージ用ICを含む部品であり、第2前側電子部品42bは情報を書き換え可能なメモリ又はストレージ用ICを含まない部品である。したがって、第1前側電子部品42aは、第2前側電子部品42bと比べて熱に弱い部品である。
【0039】
なお、基板40の前側には1つのみの前側電子部品42が設けられてもよいし、3つ以上の前側電子部品42が設けられてもよい。また、前側電子部品42は、その一部又は全てが基板40の比較的右寄りに配置されてもよい。さらに、前側電子部品42は、その一部又はその全てが左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間X1内に位置していてもよいし、その全てが空間X1内に位置していなくてもよい。特に、前側電子部品42が、例えばシールド部材等のような部材と熱移動可能に配置されている場合には、斯かる部材の少なくとも一部が空間X1内に位置すれば、前側電子部品42は空間X1内に位置しなくてもよい。また、前側電子部品42のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい前側電子部品42は、左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間X1内に位置していなくてもよい。
【0040】
また、図4及び図5に示される例では、後側電子部品43は、基板40の中央右寄りに設けられた第1後側電子部品43aと、第1後側電子部品43aの右側に設けられた第2後側電子部品43bと、第1後側電子部品43aの下側に設けられた第3後側電子部品43cと、を有する。したがって、第1後側電子部品43a、第2後側電子部品43b及び第3後側電子部品43cは、比較的右寄りに配置される。この結果、第1後側電子部品43a及び第3後側電子部品43cは、それぞれ、右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間X2内に、少なくともその一部が位置する。特に、本実施形態では、第1後側電子部品43aの方が、平均的な発熱量又は最大発熱量が、第2後側電子部品43b及び第3後側電子部品43cよりも大きい。したがって、基板40の後側に設けられた後側電子部品43のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい後側電子部品43が、右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間X2内に少なくとも部分的に位置する。
【0041】
なお、基板40の後側には1つのみの後側電子部品43が設けられてもよいし、2つ又は4つ以上の後側電子部品43が設けられてもよい。また、後側電子部品43は、その一部又は全てが基板40の比較的左寄りに配置されてもよい。さらに、後側電子部品43は、その一部又はその全てが右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間X2内に位置していてもよいし、その全てが空間X2内に位置していなくてもよい。特に、後側電子部品43が、例えばシールド部材44等のような部材と熱移動可能に配置されている場合には、斯かる部材の少なくとも一部が空間X2内に位置すれば、前側電子部品42は空間X2内に位置しなくてもよい。また、後側電子部品43のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい後側電子部品43は、右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間X2内に位置していなくてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、後側電子部品43全ての総発熱量は前側電子部品42全ての総発熱量よりも大きい。加えて、本実施形態では、後側電子部品43のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が大きい部品(第1後側電子部品43a)の平均的な発熱量又は最大発熱量は、前側電子部品42のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が大きい部品(第2前側電子部品42b)の平均的な発熱量又は最大発熱量よりも大きい。
【0043】
シールド部材44は、電子部品41から放射されるノイズを遮断するのに用いられる部材の一例であり、熱伝導性を有する金属で形成される。本実施形態では、シールド部材44は、図5及び図6に示されるように、3つの後側電子部品43全てを覆うように配置される。また、本実施形態では、シールド部材44は、第1後側電子部品43aの後面と接触するように、また、第2後側電子部品43b及び第3後側電子部品43cの後面からは離間されるように、基板40に取り付けられる。なお、シールド部材44は、第1後側電子部品43a、第2後側電子部品43b、第3後側電子部品43cの少なくともいずれか又は全ての後面と熱伝導性のグリスを介して接続されるように基板40に取り付けられていてもよい。このような構成により、電子部品の高さが異なる場合であっても第1~第3後側電子部品とシールド部材44とを熱移動可能に接続することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、シールド部材44は3つの後側電子部品43を覆うように設けられる。しかしながら、シールド部材44は、3つの後側電子部品43のうちの一部のみを覆うように設けられてもよい。また、本実施形態では、一つのシールド部材44が3つの後側電子部品43を覆うように設けられる。しかしながら、基板40には複数のシールド部材44が設けられてもよく、それぞれが一つの又は複数の後側電子部品43を覆うように配置されてもよい。また、複数のシールド部材44のうちの一部は、前側電子部品42を覆うように設けられてもよい。また、シールド部材44は、第1後側電子部品43aの後面と接触するように基板40に取り付けられているが、第1後側電子部品43aに加えて又は第1後側電子部品43aに代えて、第2後側電子部品43b及び/又は第3後側電子部品43cの後面と接触するように基板40に取り付けられてもよい。加えて、シールド部材44は、前側電子部品42等、他の電子部品の後面と接触するように基板40に取り付けられてもよい。また、シールド部材44は、シールド部材44に覆われた一部の電子部品41がシールド部材44の外部に曝されるように開口を有するように形成されてもよい。
【0045】
本実施形態では、シールド部材44は、熱伝導性を有する金属製の取り付け具45によって基板40に取り付けられる。図5及び図6に示されるように、取り付け具45は、シールド部材44の後方にシールド部材44に接触して配置されると共に、基板40を前方ハウジング半体20(特に、前方金属板28)に取り付けるための第1締結具81によって基板40及び前方ハウジング半体20に固定される。シールド部材44に開口が形成される場合には、取り付け具45がその開口を覆うように配置されてもよい。この場合、取り付け具45は、シールド部材44内に位置する電子部品41から放射されるノイズを遮断するのに用いられる。また、この場合、取り付け具45は、シールド部材44の開口内に位置する電子部品41の後面と接触するように配置されてもよい。なお、取り付け具45は、熱伝導性を有していれば、金属以外の材料で形成されてもよい。
【0046】
基板上開口46は、基板40を前方ハウジング半体20(特に、前方金属板28)に取り付けるための第1締結具81、又は基板40に後方金属板50を取り付けるための第2締結具82を通すための開口である。図3及び図4からわかるように、基板40を前方金属板28に取り付けるための第1締結具81を通すための第1基板上開口46aは、前方ハウジング半体20の基板用締結穴27aと対応する位置に配置される。加えて、基板40に後方金属板50を取り付けるための第2締結具82を通すための第2基板上開口46bは、後方金属板50に設けられた金属板上開口51と対応する位置に配置される。図4に示されるように、第1基板上開口46aの数は、第2基板上開口46bの数よりも多い。特に、本実施形態では、基板40には第2基板上開口46bが一つのみ設けられる。
【0047】
グランドパターン47は、電子機器1のグランド電位に電気的に接続された配線パターンである。グランドパターン47は、図4に示されるように、第1前側電子部品42aの近傍を除いて、基板40の全体に亘って延びるように配置される。したがって、グランドパターン47は、前後方向に見たときに、少なくとも一部の電子部品41と重なるように配置される。特に、本実施形態では、グランドパターン47は、前後方向に見たときに、第1前側電子部品42a以外の全ての前側電子部品42がグランドパターン47と重なるように配置される。また、本実施形態では、グランドパターン47は、前後方向に見たときに、全ての後側電子部品43がグランドパターン47と重なるように配置される。なお、前後方向に見たときに、グランドパターン47は、全ての前側電子部品42がグランドパターン47と重なるように配置されてもよいし、一部の後側電子部品43がグランドパターン47とは重ならないように配置されてもよい。また、全ての前側電子部品42及び/又は全ての後側電子部品43がグランドパターン47とは重ならないように配置されてもよい。
【0048】
グランドパターン47は、銅や銀などの導電体で構成され、プリント回路基板に配線パターンを設ける一般的な加工方法(例えばエッチング加工など)によって形成される。本実施形態では、基板40は複数の層を有するように形成され、このうちの一つの層にグランドパターン47が配置される。
【0049】
本実施形態では、グランドパターン47は、基板上開口46の少なくとも一部の内面と電気的に接続されている。特に、本実施形態では、グランドパターン47は第1基板上開口46aの少なくとも一部の内面と電気的に接続されている。この結果、グランドパターン47は、第1基板上開口46aに挿入される第1締結具81を介して、前方金属板28に電気的に接続される。したがって、前方金属板28は、第1締結具81を介してグランド電位に電気的に接続される。また、本実施形態では、グランドパターン47は第2基板上開口46bの内面(第2基板上開口46bが複数あるときには少なくとも一部の第2基板上開口46bの内面)と電気的に接続されている。この結果、グランドパターン47は、第2基板上開口46bに挿入される第2締結具82を介して、後方金属板50に電気的に接続される。したがって、後方金属板50は、第2締結具82を介してグランド電位に電気的に接続される。
【0050】
また、グランドパターン47は、基板上開口46の少なくとも一部の内面と熱移動可能に接続されている。特に、グランドパターン47は、第1基板上開口46aの少なくとも一部の内面と熱移動可能に接続されている。この結果、グランドパターン47は、第1基板上開口46aに挿入される第1締結具81を介して、前方金属板28に熱移動可能に接続される。また、グランドパターン47は、第2基板上開口46bの内面(第2基板上開口46bが複数あるときには少なくとも一部の第2基板上開口46bの内面)と熱移動可能に接続されている。この結果、グランドパターン47は、第2基板上開口46bに挿入される第2締結具82を介して、後方金属板50に熱移動可能に接続される。
【0051】
また、本実施形態では、グランドパターン47は、基板40に設けられた全ての電子部品41又は一部の電子部品41と電気的に及び熱移動可能に接続される。具体的には、グランドパターン47は、基板40に設けられた全ての電子部品41又は一部の電子部品41の一部の端子と接触するように、これら電子部品41の近傍まで延びる。
【0052】
なお、本実施形態では、第1基板上開口46a及び第2基板上開口46bはいずれも同一のグランドパターン47に接続され、前側電子部品42及び後側電子部品43はいずれも同一のグランドパターン47に接続されている。しかしながら、基板40は複数のグランドパターンを有してもよく、この場合、第1基板上開口46aと第2基板上開口46bとは互いに異なるグランドパターンに電気的に及び熱移動可能に接続されてもよく、前側電子部品42と後側電子部品43とは互いに異なるグランドパターンに電気的に及び熱移動可能に接続されてもよい。この場合、前側電子部品42の少なくとも一部は、前後方向に見たときに、前側電子部品42に接続されたグランドパターンと重なるように配置される。加えて、後側電子部品43の少なくとも一部は、前後方向に見たときに、後側電子部品43に接続されたグランドパターンと重なるように配置される。
【0053】
さらに、基板40は、グランドパターン47とは異なる(電子機器1のグランド電位に電気的に接続されていない)一つ又は複数の配線パターンを有してもよい。この場合、第1基板上開口46a及び/又は第2基板上開口46bは、グランドパターン47に加えて、又はグランドパターン47に代えて、グランドパターン47とは異なる配線パターンに接続されてもよい。このとき、第1基板上開口46aと第2基板上開口46bとは、グランドパターン47とは異なる同一の配線パターンに接続されてもよいし、グランドパターン47とは異なる別々の配線パターンにそれぞれ接続されてもよい。以上をまとめると、前方金属板28は、第1基板上開口46a及び第1基板上開口46aに挿入される第1締結具81を介して、基板40の第1配線パターンに電気的に及び熱移動可能に接続され、後方金属板50は、第2基板上開口46b及び第2基板上開口46bに挿入される第2締結具82を介して、基板40の第2配線パターンに電気的に及び熱移動可能に接続される。そして、第1配線パターン及び第2配線パターンは、同一の配線パターンであってもよいし、互いに異なる配線パターンであってもよい。また、第1配線パターン及び第2配線パターンは、電子機器1のグランド電位に電気的に接続されたグランドパターンであってもよいし、グランドパターンとは異なる配線パターンであってもよい。
【0054】
同様に、前側電子部品42及び後側電子部品43は、グランドパターン47に加えて、又はグランドパターン47に代えて、グランドパターン47とは異なる配線パターンに接続されてもよい。このとき、前側電子部品42と後側電子部品43とは、グランドパターン47とは異なる同一の配線パターンに接続されてもよいし、グランドパターン47とは異なる別々の配線パターンに接続されてもよい。以上をまとめると、前側電子部品42は、基板40の第2配線パターンに電気的に及び熱移動可能に接続され、後側電子部品43は、基板40の第1配線パターンに電気的に及び熱移動可能に接続される。そして、第1配線パターン及び第2配線パターンは、同一の配線パターンであってもよいし、互いに異なる配線パターンであってもよい。また、第1配線パターン及び第2配線パターンは、電子機器1のグランド電位に電気的に接続されたグランドパターンであってもよいし、グランドパターンとは異なる配線パターンであってもよい。
【0055】
なお、本実施形態では、グランドパターン47は、一般的な加工方法によって形成されているが、グランドパターン47又は第1基板上開口46a及び/又は第2基板上開口46bに接続されるその他の配線パターンは、樹脂フレームとして形成された基板上に固定された、メンブレンシートとして形成された配線パターンであってもよい。或いは、グランドパターン47又は第1基板上開口46a及び/又は第2基板上開口46bに接続されるその他の配線パターンは、2枚の樹脂膜(例えば、ポリエステス製のシート)の間に印刷された導電性インクで形成された配線パターンであってもよい。
【0056】
また、本実施形態では、図4に示されるように、第1前側電子部品42aの周りにグランドパターン47が設けられない。加えて、第1前側電子部品42aの周りには、第1前側電子部品42aに接続するための配線パターン以外の配線パターンが設けられない。これにより、熱に弱い第1前側電子部品42aに、基板40に設けられた配線パターンを介して熱が伝わることが抑制され、第1前側電子部品42aが熱により作動不良を起こすことが抑制される。特に、本実施形態では、第1前側電子部品42aは情報を書き換え可能なメモリ又はストレージ用ICを含む部品であり、よって熱により書き換え等に対する作動不良が発生しにくくなる。
【0057】
また、基板40は、グランドパターン47及びグランドパターン47以外の配線パターンとは異なる、金属製のパターンを有してもよい。斯かる金属製のパターンは、第1基板上開口46a及び第2基板上開口46bの内面うち少なくとも一方に熱移動可能に接続される。斯かる金属製のパターンは、基板40がグランドパターン47又はその他の配線パターンを有している場合であっても、これらグランドパターン47又はその他の配線パターンには接続されない。斯かる金属製のパターンにより、基板40の熱を前方金属板28及び後方金属板50のうちの少なくとも一方に移動させることができる。
【0058】
<後方金属板>
次に、図2図6及び図7を参照して、後方金属板50について説明する。図7は、図5の線VII-VIIに沿って見た、電子機器1の断面図である。後方金属板50は、電子部品41において生じた熱を放熱させるために用いられる、基板40の後方の部材の一例である。図2に示されるように、後方金属板50は、板状に形成される。
【0059】
後方金属板50は、マグネシウム、アルミニウム等の金属で形成される。特に、本実施形態では、後方金属板50は、前方金属板28よりも熱伝導率が高く且つ比重が大きい材料により形成される。したがって、例えば、前方金属板28はマグネシウムで形成され、後方金属板50はアルミニウムで形成される。また、本実施形態では、後方金属板50は、前後方向に見たときに、前方金属板28よりもその面積が小さい。
【0060】
図2に示されるように、後方金属板50は、前後方向に見たときに、ファン60とほとんど重ならないような形状を有する。本実施形態では、後方金属板50は、前後方向に見たときに、基板40及びバッテリ75と重なるように形成、配置される。特に、本実施形態では、後方金属板50は、前後方向に見たときに、ファン60を囲うようにU字状に形成される。また、本実施形態では、後方金属板50は、前後方向に見たときに、各吸気口35とファン60の流入口61との間の空間X1、X2内に位置するように配置される。具体的には、後方金属板50は、左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間X1内に位置し、右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間X2内に位置する。
【0061】
なお、後方金属板50は、左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間X1内に部分的に位置してもよい。同様に、後方金属板50は、右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間X2内に部分的に位置してもよい。
【0062】
後方金属板50は、複数の金属板上開口51を有する。金属板上開口51は、後方金属板50を前方ハウジング半体20(特に、前方金属板28)に取り付けるための第3締結具83、又は基板40に後方金属板50を取り付けるための第2締結具82を通すための開口である。図2及び図4からわかるように、後方金属板50を前方ハウジング半体20に取り付けるための第3締結具83を通すための第1金属板上開口51aは、前方ハウジング半体20の金属板用締結穴27bと対応する位置に配置される。加えて、基板40に後方金属板50を取り付けるための第2締結具82を通すための第2金属板上開口51bは、基板40に設けられた第2基板上開口46bと対応する位置に配置される。図2に示されるように、第1金属板上開口51aの数は、第2金属板上開口51bの数よりも多い。特に、本実施形態では、後方金属板50には第2金属板上開口51bが一つのみ設けられる。
【0063】
なお、本実施形態では、後方金属板50は、後方ハウジング半体30とは別体の部材として形成されている。しかしながら、後方金属板50は、後方ハウジング半体30の後方主壁31として又はその一部として形成されてもよい。この場合、後方金属板50は、例えば、一体的に形成された後方ハウジング半体30の前面に露出するように後方ハウジング半体30の一部として形成される。したがって、ハウジング10の少なくとも一部は、前方金属板28又は後方金属板50によって形成される。
【0064】
<ファン>
次に、図2及び図7を参照して、ファン60について説明する。ファン60は、流入口61から空気を取り込み、流出口62から取り込んだ空気を排出する機器である。本実施形態では、ファン60は、前方ハウジング半体20の後方において、前方ハウジング半体20(特に、前方金属板28)に取り付けられる。特に、本実施形態では、ファン60は、前方ハウジング半体20の後面と、ファン60の前面との間に隙間が形成されるように取り付けられる。また、ファン60は、前後方向に見たときに、ハウジング10の中央上方に位置するように配置される。ファン60は、その前面及び後面に設けられた流入口61と、上方に設けられた流出口62とを有する。
【0065】
流入口61は、前面側に設けられた第1流入口61a及び後面側に設けられた第2流入口61bを有する。本実施形態では、図2及び図7に示されるように、第1流入口61a及び第2流入口61bは、いずれも同一形状の円環状に形成される。なお、ファン60は、流入口61を、後面側のみに有してもよい。或いは、ファン60は、第1流入口61a及び/又は第2流入口61bに加えて、又はこれらに代えて、ファン60の下方、左方及び/又は右方に設けられた流入口を有してもよい。
【0066】
流出口62は、ファン60の上方に一つ設けられる。流出口62は、後方ハウジング半体30の排気口34を向くように配置される。なお、流出口62は、ハウジング10の排気口34の方を向くように配置されていれば、ファン60のいずれの方向に配置されてもよい。例えば、ハウジング10の排気口34がハウジング10の左壁15又は右壁16(前方ハウジング半体20の左側壁22又は右側壁23)に形成されている場合には、ファン60は、その流出口62が横幅方向を向くように配置される。
【0067】
このように構成されたファン60が駆動されると、電子機器1の外部から後方ハウジング半体30の吸気口35それぞれに空気が吸入される。そして、吸気口35に吸入された空気はハウジング10内を通ってファン60の流入口61からファン60に取り込まれる。このとき、左側吸気口35aから吸入された空気は、主に、左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間X1を通って流れる。同様に、右側吸気口35bから吸入された空気は、主に、右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間X2を通って流れる。ファン60に取り込まれた空気は、流出口62を介してファン60から排出され、排出された空気はハウジング10内を上方に流れて、後方ハウジング半体30の排気口34から電子機器1の外部へ流出する。本実施形態では、ファン60の流出口62と排気口34との間にヒートシンク72が配置されているため、ファン60の流出口62から流出した空気はヒートシンク72を通って流れた後に、排気口34から電子機器1の外部へ流出する。
【0068】
<その他の構成要素>
次に、図2図5図8を参照して、ヒートパイプ70、ヒートシンク72、バッテリ75及び締結具81~83について説明する。
【0069】
ヒートパイプ70は、後側電子部品43で生じた熱をヒートシンク72に移動させる部材の一例である。ヒートパイプ70は、銅やアルミニウムなどの熱伝導性を有する金属製のパイプの中に液体を封入したものである。図5及び図6に示されるように、ヒートパイプ70の一端は、取り付け具45の後方に取り付け具45に接触して配置される。したがって、後側電子部品43で発生した熱の一部は、シールド部材44及び取り付け具45を介して、ヒートパイプ70へ移動される。また、ヒートパイプ70の他端は、ヒートシンク72に熱移動可能に接続される。したがって、ヒートパイプ70を介して移動してきた熱は、ヒートシンク72に移動される。
【0070】
なお、後側電子部品43で生じた熱をヒートシンク72に移動させることができれば、ヒートパイプ70以外の部材が用いられてもよい。したがって、例えば、ヒートパイプ70の代わりに、ベイパーチャンバー等が用いられてもよい。また、ヒートパイプ70は、取り付け具45ではなく、シールド部材44又は後側電子部品43に直接接触するように配置されてもよい。いずれにせよ、後側電子部品43、特に後側電子部品43のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい後側電子部品43の熱がヒートパイプ70に移動するように構成されていれば、ヒートパイプ70はどのように配置されていてもよい。
【0071】
ヒートシンク72は、放熱のための放熱部材の一例であり、ヒートパイプ70を介して移動してきた熱を空気中に放出する。本実施形態では、ヒートシンク72は上下方向に延びる複数のフィンを有する。ヒートシンク72は、ヒートパイプ70に熱移動可能に接続される。また、ヒートシンク72は、ファン60の流出口62の上方に且つハウジング10の排気口34の下方に配置される。したがって、ヒートシンク72は、ファン60の流出口と排気口34との間に配置される。このように構成されたヒートシンク72では、ファン60の流出口62から流出した空気がフィンの間を通って流れると、ヒートシンク72から空気へ熱が移動する。
【0072】
バッテリ75は、電力を蓄積する部品である。本実施形態では、バッテリ75は、充放電可能な二次電池である。バッテリ75は、電子部品41やディスプレイパネル5に電力を供給する。バッテリ75は、電子機器1内の比較的大きい部品であり、前方ハウジング半体20に形成された枠部26内に保持される。
【0073】
また、本実施形態では、バッテリ75は、左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間X1内に少なくとも部分的に位置するように配置される。加えて、バッテリ75は、右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間X2内には位置しないように配置される。しかしながら、バッテリ75は、両空間X1、X2いずれにも位置するように配置されてもよいし、いずれにも位置しないように配置されてもよい。また、バッテリ75は、右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間X2よりも、左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間X1に近接して配置されてもよい。
【0074】
締結具81~83は、前方ハウジング半体20(特に、前方金属板28)、基板40及び後方金属板50を互いに取り付けるために用いられる。本実施形態では、締結具81~83は、金属製であるが、熱伝導性を有する材料、及び導電性を有する材料であれば、他の材料で形成されてもよい。
【0075】
図8は、締結具81~83によって前方金属板28、基板40及び後方金属板50が互いに取り付けられる様子を概略的に示す断面図である。図8に示されるように、第1締結具81は、基板40に形成された第1基板上開口46aを通ると共に、前方金属板28の基板用締結穴27aに取り付けられる。この結果、基板40が前方金属板28に固定されると共に、基板40と前方金属板28とは熱移動可能に接続される。また、基板40のグランドパターン47は、前方金属板28に電気的に接続される。
【0076】
第2締結具82は、基板40に形成された第2基板上開口46b及び後方金属板50に形成された第2金属板上開口51bを通ると共に、ナットにより固定される。この結果、基板40が後方金属板50に固定されると共に、基板40と後方金属板50とは熱移動可能に接続される。また、基板40のグランドパターン47は、後方金属板50に電気的に接続される。第3締結具83は、後方金属板50に形成された第1金属板上開口51aを通ると共に、前方金属板28の金属板用締結穴27bに取り付けられる。この結果、後方金属板50が前方金属板28に固定されると共に、後方金属板50と前方金属板28とは熱移動可能に接続される。また、後方金属板50は前方金属板28に電気的に接続される。
【0077】
<構成要素間の関係>
次に、図6及び図7を参照して、電子機器1の構成要素間の関係について説明する。図6及び図7に示されるように、基板40の前方に前方金属板28が位置する。基板40の前面(第1面)と前方金属板28の後面との間の空間には、ファン60が駆動されたときに吸気口35を介してハウジング10内に流入した空気が流れる。したがって、基板40の前面と前方金属板28の後面との間には空気の流路(第1流路。以下、「前方流路」という)91が形成される。また、上述したように、前方金属板28が前方ハウジング半体20の前方主壁21と別体の部材である場合、前方流路91は、基板40の前面と前方金属板28の後面又は前方主壁21の後面との間に形成される。したがって、前方流路91は、基板40の前面と基板40の前面に対向する前面側対向面(第1対向面)との間に形成される。換言すると、前方流路91は、基板40の前面と前面側対向面との間の空間を含む。前方流路91は、吸気口35を介してハウジング10内に流入した空気をファン60に流入口61に導く。
【0078】
図7に示されるように、前方流路91内には、前側電子部品42が配置される。特に、前方流路91内には、前側電子部品42のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい部品が配置される。
【0079】
また、図6及び図7に示されるように、基板40の後方に後方金属板50及び後方主壁31が位置する。基板40の後面(第2面)と後方金属板50の前面又は後方主壁31の前面との間の空間には、ファン60が駆動されたときに吸気口35を介してハウジング10内に流入した空気が流れる。したがって、基板40の後面と後方金属板50の前面又は後方主壁31の前面との間には空気の流路(第2流路。以下、「後方流路」という)92が形成される。また、上述したように、後方金属板50が後方ハウジング半体30の後方主壁31と一体的に形成される場合、後方流路92は、基板40の後面と後方金属板50の前面との間に形成される。したがって、後方流路92は、基板40の後面と基板40の後面に対向する後面側対向面(第2対向面)との間に形成さる。換言すると、後方流路92は、基板40の後面と後面側対向面との間の空間を含む。後方流路92は、吸気口35を介してハウジング10内に流入した空気をファン60の流入口61に導く。
【0080】
図6に示されるように、後方流路92内には後側電子部品43が配置される。特に、後方流路92内には、後側電子部品43のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい部品が配置される。
【0081】
また、本実施形態では、前後方向において、基板40の後面と後方金属板50の前面又は後方主壁31の前面との距離D2は、基板40の前面と前方金属板28の後面との間の距離D1よりも長い。したがって、発熱量の大きい後側電子部品43が設けられた後方流路92の前後方向の距離は、発熱量の小さい前側電子部品42が設けられた前方流路91の前後方向の距離よりも長い。なお、図6及び図7に示される例では、基板40の前面と前方金属板28の後面の間の距離D1は一定である。また、基板40の後面と後方金属板50の前面との間の距離D2は一定である。しかしながら、例えば、前方金属板28又は後方金属板50が凹凸を有する形状である場合などには、基板40の前面と前方金属板28の後面の間の距離及び基板40の後面と後方金属板50の前面との間の距離は一定ではない。このような場合、基板40の後面と後方金属板50の前面又は後方主壁31の前面との平均的な距離D2は、基板40の前面と前方金属板28の後面との間の平均的な距離D1よりも長いものとされる。或いは、基板40の後面と後方金属板50の前面又は後方主壁31の前面との最大距離D2は、基板40の前面と前方金属板28の後面との間の最大距離D1よりも長いものとされる。
【0082】
さらに、ファン60は、後面63(ファン第2面)と、後面63とは反対側の前面64(ファン第1面)とを有する。後面63には第1流入口61aが設けられ、前面64には第2流入口61bが設けられる。図7に示されるように、ファン60の後面63は後方主壁31に対向し、ファン60の前面64は前方金属板28に対向する。本実施形態では、ファン60の後面とその対向面である後方主壁31の前面との距離は、ファン60の前面とその対向面である前方金属板28の後面との距離よりも長い。したがって、ファン60の後面63に形成された第1流入口61aと後方主壁31の前面(すなわち、ファン60の後面63の対向面)との距離は、ファン60の前面64に形成された第2流入口61bと前方金属板28の後面(すなわち、ファン60の前面64の対向面)との距離よりも長い。
【0083】
また、本実施形態では、図6に示されるように、取り付け具45近傍の領域において、ヒートパイプ70と後方金属板50との間に後方熱伝導性シート86が設けられる。後方熱伝導性シート86は、熱伝導性を有するシートである。後方熱伝導性シート86は、ヒートパイプ70と後方金属板50とに接触するように配置される。したがって、取り付け具45と後方金属板50との間では後方熱伝導性シート86を介して熱が移動する。この結果、後側電子部品43、特に第1後側電子部品43aと後方金属板50との間には、前後方向において、シールド部材44、取り付け具45、ヒートパイプ70及び後方熱伝導性シート86が層状に配置され、これらは互いに熱移動可能に接続されている。したがって、シールド部材44、取り付け具45、ヒートパイプ70及び後方熱伝導性シート86は、後側電子部品43、特に第1後側電子部品43aと後方金属板50とを互いに熱移動可能に接続する熱伝導性の接続部材(第2接続部材)として機能する。これにより、後側電子部品43、特に第1後側電子部品43aの発熱量が大きいときには、発生した熱が、ヒートパイプ70を介してヒートシンク72に伝達されると共に、これら層状の構成部品を介して後方金属板50に伝達される。
【0084】
なお、後方熱伝導性シート86は、後側電子部品43の少なくともいずれか一つと後方金属板50とを熱移動可能に接続することができれば、どのような態様で配置されてもよい。したがって、例えば、後側電子部品43と後方金属板50との両方に接触するように配置されてもよい。また、熱伝導性を有する要素であれば、後方熱伝導性シート86の代わりに他の要素が用いられてもよい。したがって、後方熱伝導性シート86代わりに熱伝導性グリスが用いられてもよい。
【0085】
加えて、本実施形態では、図8に示されるように、基板40と後方金属板50とは、熱伝導性を有する第2締結具82によって互いに取り付けられている。したがって、基板40と後方金属板50とは、第2締結具82によって熱移動可能に互いに接続されている。よって、第2締結具82は、基板40と後方金属板50とを、後側電子部品43を介することなく、互いに熱移動可能に接続する熱伝導性の接続部材(第2接続部材)として機能する。なお、斯かる接続部材としては、熱移動可能に接続する熱伝導性の部材であれば、ネジやボルト等の締結具以外の部品が用いられてもよい。
【0086】
さらに、本実施形態では、図7に示されるように、前後方向において第2前側電子部品42bと前方金属板28との間に、前方熱伝導性シート85が設けられる。前方熱伝導性シート85は、熱伝導性を有するシートである。前方熱伝導性シート85は、第2前側電子部品42b及び前方金属板28に接触するように配置される。したがって、第2前側電子部品42bと前方金属板28との間では、前方熱伝導性シート85を介して熱が移動する。このため、前方熱伝導性シート85は、前側電子部品42と前方金属板28とを互いに熱移動可能に接続する熱伝導性の接続部材(第1接続部材)として機能する。これにより、第2前側電子部品42bの発熱量が大きいときには、発生した熱が前方熱伝導性シート85を介して前方金属板28に伝達される。
【0087】
なお、前方熱伝導性シート85は、前側電子部品42の少なくともいずれか一つと前方金属板28とを熱移動可能に接続することができれば、どのような態様で配置されてもよい。したがって、例えば、前側電子部品42と前方熱伝導性シート85との間又は前方金属板28と前方熱伝導性シート85との間に、熱伝導性を有する他の構成要素が配置されてもよい。また、熱伝導性を有する要素であれば、前方熱伝導性シート85の代わりに他の要素が用いられてもよい。したがって、前方熱伝導性シート85代わりに熱伝導性グリスが用いられてもよい。
【0088】
加えて、本実施形態では、図8に示されるように、基板40と前方金属板28とは、熱伝導性を有する第1締結具81によって互いに取り付けられている。したがって、基板40と前方金属板28とは、第1締結具81によって熱移動可能に互いに接続されている。よって、第1締結具81は、基板40と前方金属板28とを、前側電子部品42を介することなく、互いに熱移動可能に接続する熱伝導性の接続部材(第1接続部材)として機能する。なお、斯かる接続部材としては、熱移動可能に接続する熱伝導性の部材であれば、ネジやボルト等の締結具以外の部品が用いられてもよい。
【0089】
また、上述したように、本実施形態では、第1締結具81の数は、第2締結具82の数よりも多い。したがって、第1締結具81は、第2締結具に比べて熱を伝導し易くなるように構成されている。なお、第1締結具81が第2締結具に比べて熱を伝導し易くなるように構成されていれば、第1締結具81及び第2締結具82はどのように構成されてもよい。したがって、例えば、相対的に断面積の大きい第1締結具81と、相対的に断面積の小さい第2締結具82とが同数設けられてもよい。或いは、第1締結具81が第2締結具82よりも熱伝導性の高い材料で形成されてもよい。この場合、第1締結具81の数と第2締結具82の数は同じであってもよい。
【0090】
また、本実施形態では、第1締結具81及び前方熱伝導性シート85等を含む第1接続部材の数は、第2締結具82及び後方熱伝導性シート86等を含む第2接続部材の数よりも多い。したがって、第1接続部材は、第2接続部部材に比べて熱を伝導し易くなるように構成されている。なお、第1接続部材が第2接続部材に比べて熱を伝導し易くなるように構成されていれば、第1接続部材及び第2接続部材はどのように構成されてもよい。したがって、例えば、相対的に断面積の大きい第1接続部材と、相対的に断面積の小さい第2接続部材とが同数設けられてもよい。或いは、第1接続部材が第2接続部材よりも熱伝導性の高い材料で形成されてもよい。この場合、第1接続部材の数と第2接続部材の数は同じであってもよい。
【0091】
さらに、本実施形態では、図8に示されるように、前方金属板28と後方金属板50とは、熱伝導性を有する第3締結具83によって互いに取り付けられている。したがって、前方金属板28と後方金属板50とは、第3締結具83によって熱移動可能に接続されている。よって第3締結具83は、前方金属板28と後方金属板50とを、互いに熱移動可能に接続する熱伝導性の接続部材(第3接続部材)として機能する。なお、斯かる接続部材としては、熱移動可能に接続する熱伝導性の部材であれば、ネジやボルト等の締結具以外の部品が用いられてもよい。
【0092】
<効果>
本実施形態では、発熱量の大きい後側電子部品43が設けられた後方流路92の前後方向の距離は、発熱量の小さい前側電子部品42が設けられた前方流路91の前後方向の距離よりも長い。このため、発熱量の大きい後側電子部品43が設けられた後方流路92を流れる空気の流量は、前方流路91を流れる空気の流量よりも多くなり、よって後側電子部品43から放熱し易くなる。この結果、発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。
【0093】
また、本実施形態では、基板40の前面に対向して前方金属板28が配置され、基板40の後面に対向して後方金属板50が配置される。このように基板40の前面及び後面に熱伝導性の高い金属板28、50が配置されることにより、電子部品41や基板40に生じている熱を拡散させることができ、その結果、発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。
【0094】
また、本実施形態では、後方金属板50は、第2締結具82や後方熱伝導性シート86等の接続部材によって後側電子部品43及び基板40に接続されている。この結果、後側電子部品43や基板40の熱を後方金属板50を介して後方流路92を流れる空気に放熱することができる。同様に、本実施形態では、前方金属板28は、第1締結具81や前方熱伝導性シート85等の接続部材によって前側電子部品42及び基板40に接続されている。この結果、前側電子部品42や基板40の熱を前方金属板28を介して前方流路91を流れる空気に放熱することができる。
【0095】
また、本実施形態では、第2締結具82は、後方金属板50を第1配線パターンに熱移動可能に接続する。同様に、第1締結具81は、前方金属板28を第2配線パターンに熱移動可能に接続する。この結果、基板40に設けられた配線パターンは、熱の移動を促進することから、基板40の熱を第2締結具82及び第1締結具81を介して迅速に金属板28、50に移動させることができる。
【0096】
また、本実施形態では、第1配線パターン及び第2配線パターンはグランド電位に電気的に接続されると共に、第1配線パターンに接続された後方金属板50は前後方向に見たときに後側電子部品43と重なり、第2配線パターンに接続された前方金属板28は前後方向に見たときに前側電子部品42と重なる。この結果、金属板28、50がグランド電位に接続されることになり、電子部品41からのノイズの発生が抑制される。
【0097】
また、本実施形態では、ファン60の後面とその対向面である後方主壁31の前面との距離は、ファン60の前面とその対向面である前方金属板28の後面との距離よりも長い。この結果、ファン60の後面側と連通する後方流路92を流れる空気の流量が、ファン60の前面側と連通する前方流路91を流れる空気の流量よりも多くなり易くなり、よって後側電子部品43から放熱し易くなる。この結果、発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。また、本実施形態では、ファン60の前面と後面の両側に流入口が設けられており、この結果、ファン60の前面側と後面側とにそれぞれ連通する前方流路91と後方流路92とで著しく空気の流量が変わることが抑制され、発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。
【0098】
さらに、本実施形態では、ファン60の後面63に形成された第1流入口61aとファン60の後面63の対向面との距離は、ファン60の前面64に形成された第2流入口61bとファン60の前面64との距離よりも長い。この結果、ファン60の後面側において流入口付近に広い空間が形成され、よってファン60の後面側において放熱し易くなり、よって後側電子部品43から放熱し易くなる。
【0099】
また、本実施形態では、前側電子部品42のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい第2前側電子部品42b及び後側電子部品43のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい第1後側電子部品43aが、複数の吸気口35のそれぞれとファン60の流入口61との間の空間に配置される。この結果、発熱量の大きい電子部品41がハウジング10内の主要な空気の通り道に配置されることになり、よって発熱量の大きい電子部品41からの放熱を促進することができる。特に、本実施形態では、前側電子部品42のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい第2前側電子部品42bと、後側電子部品43のうち平均的な発熱量又は最大発熱量が最も大きい第1後側電子部品43aとが、別々の吸気口35とファン60の流入口61との間の空間に配置されるため、発熱量が大きい部品同士の影響を最小限に抑えることができ、よって発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。
【0100】
また、本実施形態では、後側電子部品43よりも発熱量の小さい前側電子部品42が位置する、左側吸気口35aとファン60の流入口61との間の空間に近接してバッテリ75が配置される。バッテリ75は、電子機器1の構成部品のなかで比較的大きい部品であるため、空気の流路近傍に配置されると、流路抵抗になり易い。本実施形態では、発熱量の大きい後側電子部品43が位置する、右側吸気口35bとファン60の流入口61との間の空間から離してバッテリ75を配置することにより、発熱量の大きい後側電子部品43に空気が流れやすくなり、よって発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。
【0101】
また、本実施形態では、第1締結具81及び前方熱伝導性シート85等を含む第1接続部材により、基板40と前方金属板28とが、熱移動可能に接続される。このように、基板40と前方金属板28とが熱移動可能に接続されることにより、基板40の熱の一部が第1接続部材及び前方金属板28を介して前方流路91を流れる空気に放熱することができる。この結果、後側電子部品43が配置される後方流路92を流れる空気には基板40の熱が放熱されにくくなり、発熱量の大きい後側電子部品43の後方流路92を流れる空気への放熱を促進させることができる。このため、発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。
【0102】
また、本実施形態では、第1締結具81及び前方熱伝導性シート85等を含む第1接続部材の数は、第2締結具82及び後方熱伝導性シート86等を含む第2接続部材の数よりも多い。したがって、第1接続部材は第2接続部材に比べて熱を伝導し易くなるように構成されている。この結果、基板40の熱を第1接続部材を介して前方金属板28により多く伝えることができる。これにより、後側電子部品43が配置される後方流路92には、基板40の熱が放熱されにくくなり、発熱量の大きい後側電子部品43の後方流路92を流れる空気への放熱を促進させることができる。このため、発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。
【0103】
また、本実施形態では、第1締結具81及び前方熱伝導性シート85等を含む第1接続部材は、第2締結具82及び後方熱伝導性シート86等を含む第2接続部材よりも熱伝導率の高い材料で構成されている。したがって、第1接続部材は第2接続部材に比べて熱を伝導し易くなるように構成されている。この結果、発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。
【0104】
また、本実施形態では、第1接続部材、第2接続部材に加えて、前方金属板28と後方金属板50とを熱移動可能に接続する第3締結具83を含む第3接続部材を有する。この結果、前方金属板28と後方金属板50とで熱を分散させることができ、よって、局所的な熱の発生を抑制することができる。
【0105】
また、本実施形態では、前側電子部品42に熱移動可能に接続された配線パターンが、第1接続部材に熱移動可能に接続される。このため、前側電子部品42に生じた熱を、配線パターン、第1接続部材を介して、前方金属板28に移動させることができる。この結果、前側電子部品42において生じた熱を前方金属板28に分散させることができ、局所的な熱の発生を抑制することができる。
【0106】
また、本実施形態では、後方金属板50及び前方金属板28はグランド電位に電気的に接続されると共に、後方金属板50は前後方向に見たときに後側電子部品43と重なり、前方金属板28は前後方向に見たときに前側電子部品42と重なる。この結果、金属板28、50がグランド電位に接続されることになり、電子部品41からのノイズの発生が抑制される。
【0107】
また、本実施形態では、前側電子部品42と後側電子部品43とが前後方向において互いに重ならない位置に配置される。これにより基板40に生じる熱が分散される。また、前側電子部品42と後側電子部品43とに別々の吸気口から流入した空気が流れることにより、発熱する電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。
【0108】
また、本実施形態では、後方金属板50を構成する金属は前方金属板28を構成する金属よりも熱伝導率が低く且つ比重が大きい。これにより、発熱量が相対的に大きい後側電子部品43側の金属板の熱伝導率が高くなり熱が分散し易くなると共に、発熱量が相対的に小さい前側電子部品42側の金属板の重量を小さくすることができる。よって、電子機器1全体の重量の増大を抑制しつつ、電子部品41から生じた熱を効果的に放熱することができる。特に、後方金属板50を発熱量の最も多い第1後側電子部品43aに対向するように配置しつつ後方金属板50の面積を小さくすることにより、放熱の効果の低下を抑制しつつ電子機器1の重量の増大を抑制することができる。
【0109】
また、本実施形態では、前方金属板28の周囲は樹脂部材に囲われる。金属フレームの面積が大きくなると曲げ等の塑性変形に対して弱くなるが、本実施形態では、前方金属板28の周囲が樹脂部材に囲われているため、塑性変形を抑制することができる。
【0110】
また、本実実施形態では、樹脂部材は、前方金属板28の前面及び後面を実質的に覆わないように構成される。これにより、前方金属板28からの前方への放熱がされ易くなると共に、樹脂部材が設けられることにより電子機器1の剛性の低下を抑制することができる。
【0111】
また、本実施形態では、前側電子部品42から生じた熱は熱伝導性シート等を介して放熱されると共に、後側電子部品43から生じた熱はヒートパイプ等を介して放熱される。このように発熱量が相対的に多き後側電子部品43からの生じた熱は放熱効果の大きいヒートパイプ等を介して放熱させ、発熱量が相対的に小さい前側電子部品42から生じた熱は電子機器1内のスペースをとるヒートパイプ等を用いずに放熱させることにより、放熱効果を高めつつ省スペース化をはかることができる。
【0112】
以上、本開示に係る好適な実施形態を説明したが、本開示はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0113】
1 電子機器
10 ハウジング
20 前方ハウジング半体
28 前方金属板
30 後方ハウジング半体
40 基板
50 後方金属板
60 ファン
図1
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図3
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図8