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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011739
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20250117BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20250117BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
G08G1/01 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114022
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100220663
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】中園 博行
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC17
5H181DD02
5H181DD07
5H181FF05
5H181FF25
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】周辺車両の位置関係を通報する技術を改善する。
【解決手段】情報処理装置20は、自車両10A及び対象車両10Bの位置情報と、地図情報とから、自車両10A及び対象車両10Bが走行する走行レーンを判定し、自車両10A及び対象車両10Bの進行方位角の差から、自車両10Aに対する対象車両10Bの進行方向を判定し、走行レーン及び対象車両10Bの進行方向の判定結果に応じた注意喚起情報を出力する制御部23を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報処理装置であって、
自車両及び対象車両の位置情報と、地図情報とから、前記自車両及び前記対象車両が走行する走行レーンを判定し、前記自車両及び前記対象車両の進行方位角の差から、前記自車両に対する前記対象車両の進行方向を判定し、前記走行レーン及び前記対象車両の進行方向の判定結果に応じた注意喚起情報を出力する制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記対象車両は、前記自車両と車車間通信を可能とする距離の圏内に位置する車両である、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記自車両及び前記対象車両の進行方位角の差が閾値以上であると、前記対象車両が逆走車両であると判定する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記自車両及び前記対象車両の位置情報及び地図情報に基づいて、前記自車両及び前記対象車両が走行する区間に応じた閾値を算出する、情報処理装置。
【請求項5】
車両に搭載される情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
自車両及び対象車両の位置情報と、地図情報とから、前記自車両及び前記対象車両が走行する走行レーンを判定することと、
前記自車両及び前記対象車両の進行方位角の差から、前記自車両に対する前記対象車両の進行方向を判定することと、
前記走行レーン及び前記対象車両の進行方向の判定結果に応じた注意喚起情報を出力することと、
を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周辺車両の位置関係を通報する技術が知られている。例えば特許文献1には、地図情報を提供するサーバを用いて、周辺車両の位置関係を車車間通信でドライバに通報する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-188406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、一方通行道路を走行中に逆走してくる車両を検知することが可能である。しかし、特許文献1には、複数レーンがある道路において、前方から接近してくる車両が自車両と同一レーンを走行しているか否かを検知する技術は開示されていない。
【0005】
したがって、周辺車両の位置関係を通報する技術には改善の余地があった。
【0006】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、周辺車両の位置関係を通報する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、車両に搭載される情報処理装置であって、
自車両及び対象車両の位置情報と、地図情報とから、前記自車両及び前記対象車両が走行する走行レーンを判定し、前記自車両及び前記対象車両の進行方位角の差から、前記自車両に対する前記対象車両の進行方向を判定し、前記走行レーン及び前記対象車両の進行方向の判定結果に応じた注意喚起情報を出力する制御部を備える。
【0008】
本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、車両に搭載される情報処理装置が実行する情報処理方法であって、自車両及び対象車両の位置情報と、地図情報とから、前記自車両及び前記対象車両が走行する走行レーンを判定することと、前記自車両及び前記対象車両の進行方位角の差から、前記自車両に対する前記対象車両の進行方向を判定することと、前記走行レーン及び前記対象車両の進行方向の判定結果に応じた注意喚起情報を出力することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、周辺車両の位置関係を通報する技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成例を示すブロック図である。
図2】情報処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】自車両及び対象車両の進行方位角の一例を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概要について説明する。システム1は、車両10と、車両10に備えられた情報処理装置20と、を有する。
【0013】
車両10は、例えば自動車であるが、これに限られず任意の車両であってもよい。自動車は、ガソリン車、BEV(Battery Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、又はFCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)等であるが、これらに限られない。本実施形態において車両10は、1以上の走行レーンを有する道路を走行する自車両10A又は対象車両10Bである。対象車両10Bの数は、任意に定められてもよい。車両10と、情報処理装置20とはCAN(Controller Area Network)等により有線接続されるが、有線接続の規格はこれに限られない。
【0014】
情報処理装置20は、例えばコンピュータである。自車両10Aは情報処理装置20Aを、対象車両10Bは情報処理装置20Bを、それぞれ備えるものとする。情報処理装置20Aと、情報処理装置20Bとは同一の情報処理装置である。情報処理装置20Aと、情報処理装置20Bとは、ネットワーク2を介して、無線接続される。ネットワーク2は、車車間通信網であるが、通信網はこれに限られない。ネットワーク2は、インターネット通信網又は移動体通信網等であってもよい。
【0015】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。情報処理装置20は、自車両10A及び対象車両10Bの位置情報と、地図情報とから、自車両10A及び対象車両10Bが走行する走行レーンを判定し、自車両10A及び対象車両10Bの進行方位角の差から、自車両10Aに対する対象車両10Bの進行方向を判定し、走行レーン及び対象車両10Bの進行方向の判定結果に応じた注意喚起情報を出力する。
【0016】
このように、本実施形態によれば、例えば情報処理装置20Aは、1以上の走行レーンを有する道路上において、自車両10A及び対象車両10Bが走行する走行レーン及び進行方向をそれぞれ判定し、判定結果に応じた注意喚起情報を自車両10Aの車室内の出力部14に出力することが可能である。このため、対象車両10Bが前方から同一の走行レーンを自車両10Aに向かって接近する場合、自車両10Aの運転者は、逆走する対象車両10Bが接近していることを注意喚起情報から察知することが可能である。したがって、自車両10Aの運転者が車線変更等の危険回避の行動をとることにより、自動車事故を回避する蓋然性が向上する点で、周辺車両の位置関係を通報する技術が改善される。
【0017】
次に、システム1の各構成について詳細に説明する。
【0018】
(車両の構成)
図1に示すように、車両10は、通信部11と、測位部12と、計測部13と、出力部14と、記憶部15と、制御部16と、情報処理装置20と、を備える。情報処理装置20に関する詳細な説明は、後述される。
【0019】
通信部11は、情報処理装置20の通信部21と有線接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えばCAN等の通信規格に対応するが、これらに限られない。
【0020】
測位部12は、車両10の位置情報を取得する1つ以上の装置を含む。具体的には、測位部12は、例えばGPSに対応する受信機を含むが、これに限られず、任意の衛星測位システムに対応する受信機を含んでもよい。
【0021】
計測部13は、1つ以上のセンサを含む。計測部13は、ジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ、及び気圧センサ等を備えてもよい。ただし、センサは、これらに限られない。
【0022】
出力部14は、音声を出力可能な少なくとも1つの音声出力用インタフェース、及び文字又は映像を表示可能な少なくとも1つの表示用インタフェースを含んで構成される。音声出力用インタフェースは、例えば、スピーカである。表示用インタフェースは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイ等のディスプレイである。音声出力用インタフェース及び表示用インタフェースはこれらに限定されない。出力部14は、情報処理装置20から受信した注意喚起情報を、車室内に出力する。
【0023】
記憶部15は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部15に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部15は、車両10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部15は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、組み込みソフトウェア、及び地図情報等を記憶してもよい。当該地図情報には、我が国全域又は所定の地域を網羅する道路情報と、各道路の走行レーンの位置情報等が含まれる。記憶部15に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク2から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0024】
制御部16は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるがこれに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるがこれに限られない。制御部16は、車両10全体の動作を制御する。
【0025】
(情報処理装置の構成)
図1に示すように、情報処理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。
【0026】
通信部21は、ネットワーク2に接続する通信インタフェース、及びCANに接続する通信インタフェースの両方を備える。ネットワーク2に接続する通信インタフェースは、例えば車車間通信規格(例えば、V2X (Vehicle-to-Everything))、又は移動体通信規格等に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、自車両10Aの情報処理装置20Aは、通信部21及びネットワーク2を介して、対象車両10Bの情報処理装置20Bと無線接続される。一方、情報処理装置20Aは、通信部21を介して、自車両10Aの通信部11と、情報処理装置20Bは、通信部21を介して、対象車両10Bの通信部11と、CAN等により有線接続される。
【0027】
記憶部22は、1つ以上のメモリを含む。記憶部22に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、情報処理装置20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、データベース、及び地図情報等を記憶してもよい。当該地図情報には、我が国全域又は所定の地域を網羅する道路情報と、各道路の走行レーンの位置情報等が含まれる。記憶部22に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク2から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0028】
制御部23は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路又はこれらの組合せを含む。制御部23は、情報処理装置20全体の動作を制御する。
【0029】
図2に示すように、本実施形態において制御部23は、第1判定部231、及び第2判定部232、として機能する。
【0030】
第1判定部231は、自車両10A及び対象車両10Bの位置情報と、地図情報とから、自車両10A及び対象車両10Bが走行する走行レーンを判定する。第1判定部231は、走行レーンの判定結果と、自車両10Aの車速及び進行方位角と、対象車両10Bの車速及び進行方位角と、を第2判定部232へ出力する。
【0031】
第2判定部232は、第1判定部231から受け取った自車両10A及び対象車両10Bの進行方位角の差から、自車両10Aに対する対象車両10Bの進行方向を判定する。第2判定部232は、走行レーンと自車両10Aに対する対象車両10Bの進行方向の判定結果に応じた注意喚起情報を車両10の出力部14へ出力する。
【0032】
(情報処理装置の動作フロー)
図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置20の動作について説明する。本動作は、自車両10A及び対象車両10Bの走行レーン及び進行方向に応じた注意喚起情報の出力に関する。
【0033】
S101:制御部23は、自車両10Aの位置情報p1、車速s1、及び進行方位角d1を取得する。
【0034】
自車両10Aの測位部12は、例えばGPS又は準天頂衛星システムに対応する受信機により自車両10Aの位置情報p1を取得する。準天頂衛星「みちびき」を活用した準天頂衛星システムは、補強信号の送信等により、これまでの5m-10m程度の誤差であったGPSと比較し、単独でcm級への測位精度の向上を可能とする。
【0035】
計測部13は、車速センサにより自車両10Aの車速s1を計測してもよい。
【0036】
計測部13は、測位部12により取得された地球上の2地点の緯度・経度に基づいて、自車両10Aの進行方位角d1を計算するが、計測方法はこれに限られない。計測部13は、ジャイロセンサにより自車両10Aの進行方位角d1を計測してもよい。
【0037】
制御部23の第1判定部231は、自車両10Aから通信部21を介して、位置情報p1、車速s1、及び進行方位角d1を取得する。
【0038】
S102:制御部23は、対象車両10Bの位置情報p2、車速s2、及び進行方位角d2を受信する。
【0039】
自車両10Aの制御部23(第1判定部231)は、対象車両10Bからネットワーク2及び通信部21を介して、対象車両10Bにより測位又は計測された位置情報p2、車速s2、及び進行方位角d2を取得する。なお、対象車両10Bは、自車両10Aと車車間通信を可能とする距離の圏内に位置する車両である。本開示において、車車間通信を可能とする距離は、300mであるとするが、これに限られない。
【0040】
S103:制御部23は、自車両10A及び対象車両10Bの位置情報と、地図情報とから、自車両10A及び対象車両10Bが走行中の走行レーンを判定する。
【0041】
S104:制御部23は、自車両10A及び対象車両10Bが同一の走行レーンを走行しているか否かを判定する。両車両10が同一の走行レーンを走行している場合、S105へ進み、同一の走行レーンを走行していない場合、S107へ進む。
【0042】
上述したように、準天頂衛星システムによれば、cm級の測位精度で自車両10A及び対象車両10Bの位置情報の取得が可能となる。また、第1判定部231は、記憶部22に格納された地図情報を活用可能である。したがって、第1判定部231は、取得した位置情報p1,p2と、地図情報とから自車両10A及び対象車両10Bが走行する走行レーンを判定することが可能となる。
【0043】
S105:制御部23は、自車両10A及び対象車両10Bの進行方位角d1,d2の差から、自車両10Aに対する対象車両10Bの進行方向を判定する。
【0044】
第2判定部232は、自車両10Aの進行方位角d1と、対象車両10Bの進行方位角d2との差が閾値以上であるか否かを下記の式(1)により判定する。第2判定部232は、両車両10の進行方位角の差の絶対値が閾値以上である場合、対象車両10Bは逆走車両であると判定してS106へ進み、両車両10の進行方位角の差の絶対値が閾値未満である場合、対象車両10Bは逆走車両でないと判定してS110へ進む。
|d2―d1|≧閾値 (1)
【0045】
例えば、図4に示すように、進行方位角0°が北、進行方位角90°が東、進行方位角180°が南、進行方位角270°が西を指すものとする。また、対象車両10Bが自車両10Aの前方に位置し、両車両が同一の走行レーンを走行しているものとする。さらに、図4に示すように、実際に両車両が走行する道路(走行レーン)は曲折している場合が多い。したがって、第2判定部232は、自車両10A及び対象車両10Bの位置情報及び地図情報に基づいて、自車両10A及び対象車両10Bが走行する区間に応じた閾値を算出してもよい。自車両10Aの進行方位角d1と、対象車両10Bの進行方位角d2との差が当該閾値以上であると、対象車両10Bは逆走車両であると判定され、当該閾値未満であると、対象車両10Bは逆走車両でないと判定される。
【0046】
例えば、任意の区間において、閾値が135°と算出されたものとする。仮に、当該区間において自車両10Aの進行方位角d1が25°(北へ進行)、対象車両10Bの進行方位角d2が180°(南に進行)であると、自車両10Aの進行方位角d1と、対象車両10Bの進行方位角d2との差は155°となる。かかる場合、第2判定部232は、対象車両10Bが逆走車両であると判定する。
【0047】
S106:制御部23は、対象車両10Bが自車両10Aと同一の走行レーンを逆走する逆走車両であると判定する。
【0048】
S107:制御部23は、対象車両10Bが自車両10Aの走行する走行レーンと隣接する走行レーンを走行しているか否かを判定する。対象車両10Bが隣接する走行レーンを走行している場合、S108へ進み、隣接する走行レーンを走行していない場合、情報処理を終了する。
【0049】
第1判定部231は、自車両10A及び対象車両10Bの位置情報と、地図情報とから、自車両10A及び対象車両10Bが隣接する走行レーンを走行しているか否か判定する。なお、自車両10Aが走行する走行レーンと対向車線とが隣接する場合、隣接する対向車線は隣接する走行レーンの判定から除かれる。
【0050】
S108:制御部23は、自車両10Aの進行方位角と、対象車両10Bの進行方位角との差が閾値以上であるか否かを判定する。両車両10の進行方位角の差が閾値以上である場合、S109へ進み、当該閾値未満である場合、情報処理を終了する。
【0051】
S109:制御部23は、対象車両10Bが隣接の走行レーンを走行する逆走車両と判定する。
【0052】
S105と同様に、第2判定部232は、自車両10A及び対象車両10Bの位置情報及び地図情報に基づいて、自車両10A及び対象車両10Bが走行する区間に応じた閾値を算出し、自車両10Aの進行方位角d1と、対象車両10Bの進行方位角d2との差が当該閾値以上であると、対象車両10Bは逆走車両であると判定し、当該閾値未満であると、対象車両10Bは逆走車両でないと判定してもよい。なお、第2判定部232は、自車両10Aが走行する走行レーンと隣接する走行レーンは並行しているため、曲折の度合は同一であるとしてS105と同一の閾値を用いてもよいが、これに限られない。第2判定部232は、自車両10Aが走行する走行レーンと隣接する走行レーンとの間で個別の閾値を算出してもよい。
【0053】
S110:制御部23は、対象車両10Bが自車両10Aと同一の走行レーンを逆走する車両でないと判定する。
【0054】
S111:制御部23は、判定された自車両10A及び対象車両10Bの走行レーン及び進行方向に応じた注意喚起情報を出力する。
【0055】
第2判定部232は、注意喚起情報を車両10の出力部14へ出力する。出力部14は、注意喚起情報をスピーカから音声により出力し、又はディスプレイ上に文字、又は映像等により表示する。注意喚起情報は、例えば「前方から逆走車両が接近しています。左(又は右)の走行レーンに車線変更してください」、「隣接する走行レーンを、前方から逆走車両が接近しています。走行レーンを変更しないでください」或いは「隣接する右の走行レーンを、前方から逆走車両が接近しています。左の走行レーンに車線変更してください」等であるが、これらに限られない。
【0056】
以上述べたように、本実施形態に係る情報処理装置20は、自車両10A及び対象車両10Bの位置情報と、地図情報とから、自車両10A及び対象車両10Bが走行する走行レーンを判定し、自車両10A及び対象車両10Bの進行方位角の差から、自車両10Aに対する対象車両10Bの進行方向を判定し、走行レーン及び対象車両10Bの進行方向の判定結果に応じた注意喚起情報を出力する。
【0057】
かかる構成によれば、例えば情報処理装置20Aは、1以上の走行レーンを有する道路上において、自車両10A及び対象車両10Bが走行する走行レーン及び進行方向をそれぞれ判定し、判定結果に応じた注意喚起情報を自車両10Aの車室内の出力部14に出力することが可能である。このため、対象車両10Bが前方から同一の走行レーンを自車両10Aに向かって接近する場合、自車両10Aの運転者は、逆走する対象車両10Bが接近していることを注意喚起情報から察知することが可能である。したがって、自車両10Aの運転者が車線変更等の危険回避の行動をとることにより、自動車事故を回避する蓋然性が向上する点で、周辺車両の位置関係を通報する技術が改善される。
【0058】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0059】
例えば、上述した実施形態において、情報処理装置20の構成及び動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた実施形態も可能である。また例えば、情報処理装置20の一部又は全部の構成要素を車両10に設けた実施形態も可能である。例えば、車両10に搭載されるナビゲーション装置が、情報処理装置20の一部又は全部の構成要素を備えてもよい。
【0060】
上述した実施形態において、情報処理装置20は、自車両10A及び対象車両10Bの位置情報及び進行方位角に基づいて注意喚起情報を出力するものとした。しかし、情報処理装置20は、自車両10A及び対象車両10Bの車速を取得しており、更に両車両の位置情報の差から車間距離を算出することも可能である。そこで、情報処理装置20は、両車両の車間距離或いは車速の差等の他のパラメータに基づいて注意喚起情報を出力してもよい。例えば、自車両10A及び対象車両10Bが同一の走行レーンを同方向に走行している場合であっても、前を走行する対象車両10Bと、自車両10Aとの車間距離が所定の車間距離以下の場合、「衝突の危険があります。前を走行する車両との車間距離を開けてください」等の注意喚起情報を出力してもよい。また、前を走行する対象車両10Bよりも自車両10Aの車速が早い場合、自車両10Aの車速から対象車両10Bの車速を減じて得た車速の差が所定の数値以上である場合、「衝突の危険があります。車速を落としてください」等の注意喚起情報を出力してもよい。
【0061】
上述した実施形態において、情報処理装置20は、自車両10Aのスピーカ又はディスプレイに注意喚起情報を出力するものとした。しかし、自車両10Aの情報処理装置20Aから対象車両10Bの情報処理装置20Bに、車車間通信により注意喚起情報を送信してもよい。走行レーンを逆走する対象車両10Bの運転者が「危険です。あなたの車両は走行レーンを逆走しています。直ちに路肩に停車してください」等の注意喚起情報を聞くことにより、危険回避の行動をとり、自動車事故を回避する蓋然性が向上する。
【0062】
また、例えば汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る情報処理装置20として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る情報処理装置20の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 システム
2 ネットワーク
10 車両
10A 自車両
10B 対象車両
11 通信部
12 測位部
13 計測部
14 出力部
15 記憶部
16 制御部
20,20A,20B 情報処理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 第1判定部
232 第2判定部
図1
図2
図3
図4