(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011741
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】圧力センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
G01L9/00 303P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114024
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芦野 仁泰
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055BB01
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE14
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】圧力の測定精度の悪化を抑制できる圧力センサ装置を提供する。
【解決手段】基板と、前記基板に設けられ、絶対圧を測定するセンサと、前記基板に取り付けられ、前記センサを収容する収容空間を形成するカバーと、遮蔽部材と、を備え、前記カバーは、前記収容空間と、前記収容空間の外部とを連通する孔を有し、前記遮蔽部材は、前記孔が塞がれた状態において前記収容空間を密閉する、圧力センサ装置。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられ、絶対圧を測定するセンサと、
前記基板に取り付けられ、前記センサを収容する収容空間を形成するカバーと、
遮蔽部材と、
を備え、
前記カバーは、前記収容空間と、前記収容空間の外部とを連通する孔を有し、
前記遮蔽部材は、前記孔が塞がれた状態において前記収容空間を密閉する、
圧力センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力センサ装置であって、
前記カバーは、
天井部と、
前記天井部及び前記基板の間に位置し、前記収容空間を囲む壁部と、を含み、
前記遮蔽部材は、前記壁部と、前記基板との間に位置するシールである、
圧力センサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力センサ装置であって、
前記カバーは、
前記収容空間から見て前記壁部の外側に設けられ、前記基板に取り付けられる取付部を含む、
圧力センサ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の圧力センサ装置であって、
前記カバーと、前記基板とを固定するためのネジを備え、
前記基板には、前記ネジに対応する開口が形成され、
前記取付部には、前記ネジに対応するネジ穴が形成される、
圧力センサ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の圧力センサ装置であって、
前記カバーは、前記壁部と、前記取付部との間にスリットを有する、
圧力センサ装置。
【請求項6】
請求項1に記載の圧力センサ装置であって、
前記カバーは、
前記収容空間を形成する第1部材と、
前記第1部材の周囲を囲む第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材を接続する接続部と、
を備え、
前記接続部は、前記カバーが前記基板に取り付けられた際に前記基板から離れた位置に設けられ、
前記遮蔽部材は、前記第1部材及び前記第2部材の間に充填される部材である、
圧力センサ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の圧力センサ装置であって、
前記カバーは、
前記第1部材から見て前記第2部材の外側に設けられ、前記基板に取り付けられる取付部を含む、
圧力センサ装置。
【請求項8】
請求項7に記載の圧力センサ装置であって、
前記カバーと、前記基板とを固定するためのネジを備え、
前記基板には、前記ネジに対応する開口が形成され、
前記取付部には、前記ネジに対応するネジ穴が形成される、
圧力センサ装置。
【請求項9】
請求項8に記載の圧力センサ装置であって、
前記カバーは、前記第2部材と、前記取付部との間にスリットを有する、
圧力センサ装置。
【請求項10】
請求項6に記載の圧力センサ装置であって、
前記接続部は、前記孔が形成されたパイプである、
圧力センサ装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の圧力センサ装置であって、
前記センサは、半導体基板を含み、
前記センサは、前記孔の中心軸の延長線上に前記半導体基板が位置しないよう前記基板に配置される、
圧力センサ装置。
【請求項12】
請求項1~10の何れか一項に記載の圧力センサ装置であって、
前記センサは、半導体基板と、前記半導体基板が収容される収容部とを含み、
前記半導体基板は、前記収容部と、前記基板との間に位置する、
圧力センサ装置。
【請求項13】
基板と、
前記基板に設けられ、絶対圧を測定する第1センサと、
前記基板に設けられ、絶対圧を測定する第2センサと、
前記基板に取り付けられ、前記第1センサを収容する第1収容空間と、前記第2センサを収容する第2収容空間と、を形成するカバーと、
遮蔽部材と、
を備え、
前記カバーは、
前記第1収容空間及び前記第1収容空間の外部を連通する第1の孔と、前記第2収容空間及び前記第2収容空間の外部を連通する第2の孔と、を有し、
前記遮蔽部材は、
前記第1の孔が塞がれた状態において前記第1収容空間を密閉する第1部位と、前記第2の孔が塞がれた状態において前記第2収容空間を密閉する第2部位と、を含み、前記カバーと、前記基板との間に位置し、
前記第1部位と、前記第2部位とは、共通する部位を有する、
圧力センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な圧力センサ装置は、半導体基板に形成されたダイヤフラムを用いる圧力センサと、圧力センサを収容するパッケージと、を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、圧力センサ装置には、パッケージを覆うキャップに対し、チューブを直接取り付けるものがある。このような圧力センサ装置では、キャップにチューブを取り付ける際、半導体基板や、パッケージから延びる端子(いわゆる、リードフレーム)に対して力が加わることがあるため、圧力センサ装置の測定精度が悪化することがある。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、圧力の測定精度の悪化を抑制できる圧力センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明の第1の態様は、基板と、前記基板に設けられ、絶対圧を測定するセンサと、前記基板に取り付けられ、前記センサを収容する収容空間を形成するカバーと、遮蔽部材と、を備え、前記カバーは、前記収容空間と、前記収容空間の外部とを連通する孔を有し、前記遮蔽部材は、前記孔が塞がれた状態において前記収容空間を密閉する、圧力センサ装置。
【0007】
前述した課題を解決する主たる本発明の第2の態様は、基板と、前記基板に設けられ、絶対圧を測定する第1センサと、前記基板に設けられ、絶対圧を測定する第2センサと、前記基板に取り付けられ、前記第1センサを収容する第1収容空間と、前記第2センサを収容する第2収容空間と、を形成するカバーと、遮蔽部材と、を備え、前記カバーは、前記第1収容空間及び前記第1収容空間の外部を連通する第1の孔と、前記第2収容空間及び前記第2収容空間の外部を連通する第2の孔と、を有し、前記遮蔽部材は、前記第1の孔が塞がれた状態において前記第1収容空間を密閉する第1部位と、前記第2の孔が塞がれた状態において前記第2収容空間を密閉する第2部位と、を含み、前記カバーと、前記基板との間に位置し、前記第1部位と、前記第2部位とは、共通する部位を有する、圧力センサ装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、圧力の測定精度の悪化を抑制できる圧力センサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】一般的な圧力センサ装置10の斜視図である。
【
図3A】圧力センサ装置15,16を示す斜視図である。
【
図3B】
図3Aの圧力センサ装置15のB-B線の部分断面図である。
【
図3C】
図3Aの圧力センサ装置16のB-B線の部分断面図である。
【
図5B】カバー320及び遮蔽部材350を説明するための図である。
【
図6】
図5Aのセンサ310aのD-D線の断面図である。
【
図7B】第2部材402を説明するための図である。
【
図9】センサ22を用いた圧力センサ装置15の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。また、ここでは、各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。
【0011】
=====一般的な圧力センサ装置=====
図1Aは、一般的な圧力センサ装置10の斜視図であり、
図1Bは、
図1AのA-A線の部分断面図である。
【0012】
<<方向等の定義>>
まず、
図1Aを参照しつつ、圧力センサ装置10における方向等を定義する。平面上の基板20の長手方向において、紙面左から、右に向かう方向を「+X方向」とし、その反対方向(すなわち、基板20の長手方向において、紙面右から、左に向かう方向)を、「-X方向」とする。
【0013】
基板20の幅方向において、紙面奥から、手前に向かう方向を「+Y方向」とし、その反対方向(すなわち、基板20の幅方向において、紙面手前から、奥に向かう方向)を、「-Y方向」とする。また、基板20に対し、垂直な方向であり、紙面上に向かう方向を「+Z方向」とし、その反対方向(すなわち、基板20に対し、垂直な方向であり、下に向かう方向)を、「-Z方向」とする。
【0014】
なお、+X方向及び-X方向の両方向を、単に「X方向」と呼ぶことがある。同様に、+Y方向及び-Y方向の両方向を、単に「Y方向」と呼ぶことがある。また、+Z方向及び-Z方向の両方向を、単に「Z方向」と呼ぶことがある。
【0015】
図1Aでは、圧力センサ装置10における方向等の理解を容易にするために、+X方向,+Y方向及び+Z方向の各々の方向を矢印付き線分で表している。以下の説明では、+X方向を、「右方向」と呼び、-X方向を、「左方向」と呼び、X方向を「左右方向」と呼ぶことがある。+Y方向を、「前方向(または、前方)」と呼び、-Y方向を、「後ろ方向(または、後方)」と呼び、Y方向を「前後方向」と呼ぶことがある。+Z方向を、「上方向(または、おもて面方向)」と呼び、-Z方向を、「下方向(または、裏面方向)」と呼び、Z方向を「上下方向」又は「高さ方向」と呼ぶことがある。
【0016】
なお、上述した方向等の定義については、特記した場合を除き、本明細書においても共通である。
【0017】
<<圧力センサ装置10の構成>>
圧力センサ装置10は、チューブ11を介してやり取りされる気体の圧力を測定する装置であり、基板20、及びセンサ21を含んで構成される。基板20は、上面(以降、適宜「おもて面」と称することがある)にセンサ21が取り付けられた部材である。基板20には、例えば、センサ21への電源電圧を印加するためのパターン配線、センサ21からの信号を伝えるためのパターン配線、及びグランドパターン(不図示)が形成されている。
【0018】
センサ21は、チューブ11を介して流入、または流出される気体の圧力を測定する装置であり、例えば、
図2に示すように、パッケージ30、測定部31、端子32、保護部材33,キャップ34を含んで構成される。
【0019】
パッケージ30は、測定部31(後述)を収容する凹部が形成された、例えば樹脂製の部材である。端子32は、いわゆるリードフレームに相当する金属製の部材であり、測定部31に含まれる半導体チップ51(後述)と、基板20との間を、ワイヤ53(後述)を介して電気的に接続する。なお、パッケージ30は、半導体チップ51(つまり、半導体基板)を収容する「収容部」に相当する。
【0020】
保護部材33は、測定部31の半導体チップ51及びワイヤ53を保護する保護用のゲルである。なお、保護部材33としては、例えばシリコーンゲルが用いられるが、フッ素ゲル等であっても良い。キャップ34は、パッケージ30を覆うとともに、チューブ11が取り付けられる部材であり、例えば樹脂で形成されている。キャップ34は、上方向(+Z方向)から見た平面視において円形状を有する蓋部40と、チューブ11が挿入される導入パイプ41と、を含む。
【0021】
導入パイプ41は、円形状の蓋部40の略中心部分において、上方向に延びる円筒状の部位である。ここでは、導入パイプ41の内側には孔42が形成されているため、孔42を介して、気体がキャップ34の内側に流入、またはキャップ34の内側から流出できる。
【0022】
なお、ここでは、孔42が塞がれると、パッケージ30と、キャップ34とで形成されるセンサ21の内側の空間(以下、空間S1)は密閉されるよう、キャップ34は、パッケージ30に接着剤(不図示)等で取り付けられている。
【0023】
<<測定部31の詳細>>
測定部31は、パッケージ30に形成された凹部に収容され、センサ21内の絶対圧を測定する部位であり、ダイヤフラム50が形成された半導体チップ51、台座52、及びワイヤ53を含んで構成される。ここで、「絶対圧」とは、真空の圧力を基準とした圧力である。また、測定部31は、パッケージ30の凹部に収容された後、接着剤61で固定されている。
【0024】
半導体チップ51は、ダイヤフラム50と、ダイヤフラム50の上に、複数のピエゾ抵抗を含むブリッジ回路(不図示)と、が形成されたシリコン製のチップである。台座52は、半導体チップ51を支持する部材(例えば、ガラス製の部材)であり、半導体チップ51と台座52とが陽極接合されている。ここでは、半導体チップ51及び台座52の間の真空の空間が、真空基準室60となる。なお、半導体チップ51は、「半導体基板」に相当する。
【0025】
ワイヤ53は、半導体チップ51のおもて面のパッド(不図示)と、端子32との間を接続する金属製の部材(いわゆる、ボンディングワイヤ)である。
【0026】
ところで、このような圧力センサ装置10は、チューブ11が導入パイプ41に取り付けられる際、導入パイプ41を含むキャップ34に下方向(-Z方向)の力が加わる。この結果、端子32や、測定部31にも力が加わることがあるため、圧力センサ装置10の測定精度が悪くなることがある。以下、測定精度の悪化を防ぐことができる本実施形態の圧力センサ装置について説明する。
【0027】
=====本実施形態=====
<<<圧力センサ装置15>>>
図3Aは、圧力センサ装置15の斜視図であり、
図3Bは、
図3AのB-B線の部分断面図である。圧力センサ装置15は、基板100、センサ21、カバー110a、ネジ150を含んで構成される。なお、圧力センサ装置15のセンサ21は、上述しているため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0028】
基板100は、基板20と同様の部材であり、センサ21がおもて面に取り付けられ、複数の配線パターンが形成されている。基板100には、
図3Bの右下の拡大図に示すように、ネジ150(後述)に対応する開口101が形成されている。
【0029】
カバー110aは、基板100のおもて面に対し、上方から取り付けられることにより、センサ21を収容する収容空間S2(詳細は後述)を形成する。カバー110aは、天井部111、導入パイプ112、壁部113a、取付部114、及びスリット115を含む。
【0030】
天井部111は、カバー110aの天井部分に対応する板状の部位である。上方向から見た平面視における天井部111の略中心部分には、上方に延びる円筒状の導入パイプ112が形成されている。また、導入パイプ112の内側には孔120が形成されているため、孔120を介して、収容空間S2と、外部の空間とで気体のやり取りがされることになる。
【0031】
天井部111の裏面からは、下方向に延びる壁部113aが形成されている。具体的には、天井部111の裏面において、センサ21を囲むよう筒状の壁部113aが形成されている。
【0032】
また、天井部111の裏面の左右方向のそれぞれの端部において、カバー110aを基板100に取り付けるための取付部114が、天井部111の裏面から下方向に延びている。取付部114には、
図3Bの右下の拡大図に示すように、ネジ150(後述)に対応するネジ穴121が形成されている。また、壁部113aと、取付部114との間には、カバー110aの下側から、上側に向かってスリット115が形成されている。
【0033】
ここで、圧力センサ装置15では、カバー110aが、基板100に取り付けられる前において、壁部113aの下側の端部には、いわゆる「シール」として、例えば接着剤122が塗られている。本実施形態では、基板100のセンサ21が筒状の壁部113aの内側に位置するとともに、開口101の中心と、ネジ穴121の開口の中心とが一致するよう、カバー110aが配置される。
【0034】
そして、基板100の裏面側から、ネジ150が開口101を介して、ネジ穴121に挿入され、カバー110aと、基板100とがネジ150で固定される。この結果、カバー110aが基板100に取り付けられることになる。カバー110aが基板100に取り付けられた際(ネジ150で固定された際)、接着剤122が、壁部113a及び基板100の隙間を埋める。
【0035】
したがって、本実施形態では、孔120が塞がれると、収容空間S2は密閉されるよう、接着剤122は、収容空間S2の内部と、外部とを遮蔽する。なお、「収容空間S2」は、天井部111、壁部113a、接着剤122、及び基板100で囲まれる空間である。
【0036】
また、圧力センサ装置15のカバー110aの導入パイプ112には、
図1Aと同様にチューブ(不図示)が取り付けられる。本実施形態では、カバー110aは、基板100に直接接触しているものの、センサ21には直接接触していない。したがって、カバー110aを介して、センサ21に力が直接加わることがないため、本実施形態の圧力センサ装置15は、精度良く収容空間S2の絶対圧を測定することができる。
【0037】
また、本実施形態では、スリット115が、壁部113aと、取付部114との間に設けられているため、取付部114のネジ穴121にネジ150が挿入される際、取付部114から壁部113a方向に伝わる力を小さくすることができる。このため、カバー101aを基板100に固定する際、センサ21への影響を抑制することができる。
【0038】
なお、接着剤122は、孔120が塞がれた状態において収容空間S2を密閉するための「遮蔽部材」に相当する。
【0039】
<<<圧力センサ装置16>>>
圧力センサ装置16は、圧力センサ装置15の接着剤122の代わりに、「シール」としてオーリング126を用いた装置であり、
図3A,3Cに示すように、基板100、センサ21、カバー110b、ネジ150を含んで構成される。なお、圧力センサ装置16と、圧力センサ装置15とを比較すると、カバー110b、及びオーリング126以外は同じであるため、ここではカバー110b、及びオーリング126について説明する。
【0040】
カバー110bは、カバー110aと同様の部材であり、基板100のおもて面に対し、上方から取り付けられることにより、センサ21を収容する収容空間S3を形成する。カバー110bは、天井部111、導入パイプ112、壁部113b、取付部114、及びスリット115を含む。カバー110bと、カバー110aとを比較すると、壁部113b以外は同じであるため、ここでは、壁部113bについて説明する。
【0041】
壁部113bは、天井部111の裏面から、下方向に延びる部材である。本実施形態では、天井部111の裏面において、センサ21を囲むよう、筒状の壁部113bが形成されている。また、壁部113bの下側の端部には、溝125が形成されている。そして、溝125には、樹脂で形成されたオーリング126が嵌め込まれている。
【0042】
カバー110bが基板100に取り付けられた際(ネジ150で固定された際)、オーリング126が、壁部113b及び基板100の隙間を埋める。したがって、本実施形態では、孔120が塞がれると、収容空間S3は密閉されるよう、オーリング126は、収容空間S3の内部と、外部とを遮蔽する。なお、「収容空間S3」は、天井部111、壁部113b、オーリング126、及び基板100で囲まれる空間である。
【0043】
そして、圧力センサ装置16のカバー110bの導入パイプ112には、
図1Aと同様にチューブ(不図示)が取り付けられる。本実施形態では、カバー110bは、基板100に直接接触しているものの、センサ21には直接接触していない。したがって、カバー110bを介して、センサ21に力が直接加わることがないため、本実施形態の圧力センサ装置16は、精度良く収容空間S3の絶対圧を測定することができる。
【0044】
なお、本実施形態は、スリット115が、壁部113bと、取付部114との間に設けられているため、取付部114のネジ穴121にネジ150が挿入される際、取付部114から壁部113b方向に伝わる力を小さくすることができる。このため、カバー110bを基板100に固定する際、センサ21への影響を抑制することができる。
【0045】
なお、オーリング126は、孔120が塞がれた状態において収容空間S3を密閉するための「遮蔽部材」に相当する。
【0046】
<<<圧力センサ装置17>>>
図4Aは、圧力センサ装置17の斜視図であり、
図4Bは、圧力センサ装置17の平面図であり、
図4Cは、
図4BのC-C線の部分断面図である。圧力センサ装置17は、基板100、センサ21、カバー140、ネジ150を含んで構成される。圧力センサ装置17と、
図3Aの圧力センサ装置15とを比較すると、カバー140以外は同じであるため、ここでは、カバー140を中心に説明する。なお、
図4Bにおいては、便宜上、接着剤205の図示を省略している。
【0047】
カバー140は、基板100のおもて面に対し、上方から取り付けられることにより、センサ21を収容する収容空間S4(詳細は後述)を形成する。カバー140は、第1部材200、第2部材201、接続部202a~202d、取付部203、及びスリット204を含む。
【0048】
第1部材200は、センサ21を上から覆うとともに、センサ21を収容する収容空間S4を形成する部材であり、天井部210、導入パイプ211、壁部212を含んで構成される。天井部210は、第1部材200の天井部分に対応する板状の部位である。上方向から見た平面視における天井部210の略中心部分には、上方に延びる円筒状の導入パイプ211が形成されている。
【0049】
また、導入パイプ211の内側には孔230が形成されているため、孔230を介して、収容空間S4と、外部の空間とで気体のやり取りがされることになる。
【0050】
天井部210の裏面からは、筒状に下方向に延びる壁部212が形成されている。具体的には、天井部210の裏面において、センサ21を囲むよう、壁部212が形成されている。
【0051】
第2部材201は、第1部材200を囲む筒状の部材である。したがって、第1部材200と、第2部材201との間には隙間が生じる。なお、第2部材201の基板100のおもて面からの高さは、第1部材200の基板100のおもて面からの高さより低い。
【0052】
接続部202aは、
図4Aに示すように、第1部材200の右方向の面において、第1部材200と、第2部材201とを接続する部材である。接続部202bは、第1部材200の前方向の面において、第1部材200と、第2部材201とを接続し、接続部202cは、第1部材200の左方向の面において、第1部材200と、第2部材201とを接続する。また、接続部202dは、第1部材200の後方向の面において、第1部材200と、第2部材201とを接続する。
【0053】
取付部203は、カバー140を基板100に取り付けるための部位であり、第2部材201の左右方向のそれぞれの端部に形成されている。取付部203には、ネジ150(後述)に対応するネジ穴231が形成されている。また、本実施形態では、第2部材201と、取付部203との間には、カバー140の下側から、上側に向かってスリット204が形成されている。
【0054】
ここで、本実施形態では、基板100のセンサ21が筒状の壁部212の内側に位置するとともに、開口101の中心と、ネジ穴231の開口の中心とが一致するよう、カバー140が配置される。
【0055】
そして、基板100の裏面側から、ネジ150が開口101を介して、ネジ穴231に挿入され、カバー140と、基板100とがネジ150で固定される。この結果、カバー140が基板100に取り付けられることになる。
【0056】
ここで、上述のように、第1部材200と、第2部材201との間には隙間が生じている。本実施形態では、接着剤205が、第1部材200と、第2部材201との間(隙間)に充填されると、接着剤205は、第1部材200と、第2部材201との隙間を埋めることができる。なお、本実施形態の接着剤205は、例えば、シリコン樹脂のポッティング材であるが、これに限られずウレタン樹脂、エポキシ樹脂のポッティング材であっても良い。
【0057】
なお、接続部202a~202dは、カバー140が基板100に取り付けられた際、基板100から離れた位置に設けられている。これにより、接着剤205は、第1部材200と、第2部材201との隙間を確実に埋めることができる。
【0058】
また、本実施形態の接着剤205は、孔230が塞がれると、収容空間S4が密閉されるよう、収容空間S4の内部と、外部とを遮蔽する。なお、「収容空間S4」は、第1部材200の内側と接着剤205、及び基板100で囲まれる空間である。
【0059】
そして、圧力センサ装置17のカバー140の導入パイプ211には、
図1Aと同様にチューブ(不図示)が取り付けられる。本実施形態では、カバー140は、基板100に直接接触しているものの、センサ21には直接接触していない。したがって、カバー140を介して、センサ21に力が直接加わることがないため、本実施形態の圧力センサ装置17は、精度良く収容空間S4の絶対圧を測定することができる。
【0060】
なお、本実施形態は、スリット204が、第2部材201と、取付部203との間に設けられているため、取付部203のネジ穴231にネジ150が挿入される際、取付部203から第1部材200方向に伝わる力を小さくすることができる。このため、カバー140を基板100に固定する際、センサ21への影響を抑制することができる。
【0061】
なお、接着剤205は、孔230が塞がれた状態において収容空間S4を密閉するための「遮蔽部材」に相当する。
【0062】
<<<圧力センサ装置18>>>
図5Aは、圧力センサ装置18の分解斜視図であり、
図5Bは、圧力センサ装置18のカバー320及び遮蔽部材350を説明するための図である。
図5Cは、圧力センサ装置18の平面図であり、
図5Dは、
図5CのE-E線の断面図であり、
図5Eは、
図5CのF-F線の断面図である。
【0063】
圧力センサ装置18は、4つの空間の絶対圧を測定可能な装置であり、基板300、ネジ302a~302f、センサ310a~310d、カバー320、及び遮蔽部材350を含んで構成される。基板300は、センサ310a~310dがおもて面に取り付けられた部材である。基板300には、例えば、センサ310a~310dへの電源電圧を印加するためのパターン配線、センサ310a~310dからの信号を伝えるためのパターン配線、及びグランドパターン(不図示)が形成されている。
【0064】
また、基板300には、ネジ302a~302f(後述)のそれぞれに対応する開口301a~301fが設けられている。ネジ302a~302fは、基板300を、カバー320に固定するための部材である。
【0065】
<センサ310a>
センサ310aは、導入パイプ321a(後述)を介して流入、または流出される気体の圧力(ここでは、絶対圧)を測定する。
図6は、
図5AのD―D線の断面図であり、センサ310aは、測定部31、パッケージ500、端子510、保護部材520,キャップ530を含んで構成される。なお、
図6のセンサ310aに用いられている測定部31は、例えば
図2に示す構成と同じである。ただし、
図2では、測定部31は、測定部31の上側の気体の圧力を測定できるよう、パッケージ30の下側に凹んだ部分に収容された。
図6では、測定部31は、測定部31の下側の気体の圧力を測定できるよう、パッケージ500の上側に凹んだ部分に収容されている。
【0066】
パッケージ500は、測定部31を収容する凹部が形成された、例えば樹脂製の部材である。端子510は、
図2の端子32と同様の金属製の部材(いわゆる、リードフレーム)であり、測定部31に含まれる半導体チップ51と基板300との間を、ワイヤ53とともに電気的に接続する。なお、パッケージ500は、半導体チップ51(つまり、半導体基板)を収容する「収容部」に相当する。
【0067】
保護部材520は、測定部31を覆い、測定部31の半導体チップ51及びワイヤ53を保護する保護用のゲルである。キャップ530は、パッケージ30の下側の開口を覆う部材であり、例えば樹脂で形成されている。
【0068】
キャップ530の略中央付近には、圧力を測定するための開口531が設けられている。このため、
図6のセンサ310aは、センサ310aの下側からの気体の圧力を測定することができる。なお、ここでは、センサ310aは、キャップ530を含むこととしたが、これに限られず、キャップ530を含まなくても良い。このような場合であっても、センサ310aは、適切に気体の圧力を測定することができる。
【0069】
センサ310b~310dのそれぞれは、導入パイプ321b~321d(後述)を介して流入、または流出される気体の絶対圧を測定する装置である。センサ310b~310dの構成は、センサ310aと同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
<カバー320>
図5Aのカバー320は、基板300のおもて面に対し、上方から取り付けられることにより、センサ310a~310dのそれぞれを収容する収容空間S10~S13(詳細は後述)を形成する。カバー320は、
図5A,5Bに示すように、略直方体の形状を有し、導入パイプ321a~321d、ネジ穴322a~322f、壁部323、及び隔壁部324a~324cを含む。
【0070】
導入パイプ321aは、収容空間S10(後述)に連通する孔330aが形成された部位であり、カバー320の前方の側面に設けられている。導入パイプ321b~321dのそれぞれは、導入パイプ321aと同様に、収容空間S11~S13(後述)に連通する孔330b~330dが形成された部位であり、カバー320の前方の側面に設けられている。
【0071】
ネジ穴322a~322fのそれぞれは、カバー320が基板300に取り付けられた際、基板300の開口301a~301fに対応する穴であり、ネジ302a~302fが挿入される。
【0072】
壁部323は、カバー320の裏面に形成された凹部を囲む部位であり、壁部323で囲まれた空間が、3つの隔壁部324a~324cで仕切られている。この結果、壁部323で囲まれた空間は、3つの隔壁部324a~324cにより、4つの空間に分割される。
【0073】
本実施形態では、「収容空間S10」は、カバー320の内側と、オーリングに相当する部位351a(後述)、及び基板300で囲まれ、上述した4つの空間のうち最も右側の空間である。「収容空間S11」は、カバー320の内側と、オーリングに相当する部位351b(後述)、及び基板300で囲まれ、上述した4つの空間のうち右側から2つ目の空間である。
【0074】
また、「収容空間S12」は、カバー320の内側と、オーリングに相当する部位351c(後述)、及び基板300で囲まれ、上述した4つの空間のうち、右側から3つ目(つまり、左側から2つ目)の空間である。「収容空間S13」は、カバー320の内側と、オーリングに相当する部位351d(後述)、及び基板300で囲まれ、上述した4つの空間のうち最も左側の空間である。
【0075】
このように、本実施形態では、カバー320の裏面に形成された凹部が、3つの隔壁部324a~324cで仕切られることにより、4つの収容空間S10~S13が形成されている。
【0076】
<遮蔽部材350>
遮蔽部材350は、収容空間S10~13を密閉するための部材(シール)である。本実施形態の遮蔽部材350は、
図5Bに示すように4つのオーリングに相当する部位351a~351dを有する。部位351aは、収容空間S10を密閉するための部位であり、部位351bは、収容空間S11を密閉するための部位である。また、部位351cは、収容空間S12を密閉するための部位であり、部位351dは、収容空間S13を密閉するための部位である。
【0077】
また、本実施形態では、4つの部位351a~351dの夫々は、上方から見た平面視において略正方形の形状を有する。そして、部位351a,351bは、部位351a,351bの間の辺を共有することにより、両者間で共通する部位352を有する。また、部位351b,351cは、部位351b,351cの間の辺を共有することにより、両者間で共通する部位353を有し、部位351c,351dは、部位351c,351dの間の辺を共有することにより、両者間で共通する部位354を有する。
【0078】
本実施形態では、例えば、センサ310aは、「第1センサ」に相当し、センサ310bは、「第2センサ」に相当する。収容空間S10は、「第1収容空間」に相当し、収容空間S11は、「第2収容空間」に相当する。孔330aは、「第1の孔」に相当し、孔330bは、「第2の孔」に相当する。また、収容空間S10を密閉するための遮蔽部材350の部位351aは、「第1部位」に相当し、収容空間S11を密閉するための遮蔽部材350の部位351bは、「第2部位」に相当する。また、部位351a,351bは、共通する部位352を有する。
【0079】
<カバー320の取付と収容空間>
本実施形態では、遮蔽部材350がカバー320の裏面の溝(後述)に嵌め込まれた状態で、カバー320は、基板300に取り付けられる。具体的には、カバー320が、基板300に対し、カバー320の爪で仮止めされた状態において、ネジ302a~302fが開口301a~301f、及びネジ穴322a~322fに挿入される。
【0080】
ここで、
図5Dを参照しつつ、遮蔽部材350の部位352について説明する。本実施形態のカバー320の隔壁部324aには、遮蔽部材350の部位352が嵌め込まれる溝360が形成されている。部位352が溝360に嵌め込まれた状態で、カバー320が基板300に取り付けられると、遮蔽部材350の部位352は、隔壁部324a及び基板300の隙間を埋める。
【0081】
ここでは、隔壁部324a及び基板300の間の隙間について説明したが、他の場所(例えば、隔壁部324b及び基板300の間の隙間、隔壁部324c及び基板300の間の隙間)にも、溝360は形成され、遮蔽部材350が嵌め込まれているため同様である。また、壁部323にも溝360は形成されているため、壁部323及び基板300の間の隙間も、遮蔽部材350が埋めることになる。したがって、本実施形態では、導入パイプ321a~321dの夫々の孔330a~330dが塞がれると、収容空間S10~S13は密閉されることになる。
【0082】
圧力センサ装置18のカバー320の導入パイプ321a~321dには、
図1Aと同様にチューブ(不図示)が取り付けられる。本実施形態では、カバー320は、基板300に直接接触しているものの、センサ310a~310dには直接接触していない。したがって、カバー320を介して、センサ310a~310dに力が直接加わることがないため、本実施形態の圧力センサ装置18は、精度良く収容空間S10~S13の絶対圧を測定することができる。
【0083】
また、ここでは、一つの遮蔽部材350を用いているが、例えば、4つの部位351a~351dが別々になった4つのオーリングを用いても良い。ただし、4つのオーリングを用いると、左右方向による広いスペースが必要となる。本実施形態では、遮蔽部材350が、共有する部位352~354を有しているため、左右方向にセンサ310a~310dを4つ配置した場合であっても、省スペース化を実現できる。
【0084】
また、圧力センサ装置18では、
図5Eに示すように、孔330aの中心軸A0(ここでは、孔330aが形成された導入パイプ321aの開口部の中心軸)の延長線上には、半導体チップ51が位置しないよう、センサ310aは配置されている。これにより、孔330aからゴミ等が混入した場合であっても、半導体チップ51への影響を抑制できる。また、このような配置にすることにより、例えば、センサ310aのキャップ530を設けなくても、センサ310aを安定に動作させることができるため、コストを削減できる。
【0085】
また、本実施形態では、例えば、
図6に示すように、センサ310aの半導体チップ51がパッケージ500に収容されると、パッケージ500と、基板300との間に位置する。仮に、収容空間S10の内部にゴミ等が混入した場合であっても、基板300側(下側)から、ゴミが上昇し、半導体チップ51に影響を与える可能性は小さい。したがって、圧力センサ装置18は、ゴミ等の影響を受けることなく、収容空間S10の絶対圧を測定することができる。
【0086】
<<<圧力センサ装置19>>>
図7Aは、圧力センサ装置19の分解斜視図であり、
図7Bは、第1部材401及び第2部材402を説明するための図であり、
図7Cは、圧力センサ装置19の平面図である。
図7Dは、
図7CのG-G線の部分断面図であり、
図7Eは、
図7CのH-H線の部分断面図である。
【0087】
圧力センサ装置19は、4つの空間の絶対圧を測定可能な装置であり、基板300、ネジ302a~302f、センサ310a~310d、カバー400、及び接着剤410を含んで構成される。なお、基板300、ネジ302a~302f、センサ310a~310dは、圧力センサ装置18と同じであるため、ここでは、カバー400、及び接着剤410を中心に説明する。詳細は後述するが、例えば、
図7Aにおいて、接着剤410は所定の形状を有しているが、これは液状の接着剤410が固まった状態を示している。
【0088】
<カバー400>
カバー400は、基板300のおもて面に対し、上方から取り付けられることにより、センサ310a~310dのそれぞれを収容する収容空間S20~S23(詳細は後述)を形成する。カバー400は、中空を有する第1部材401a~401d、第2部材402、接続部403a~403d,404a~404d、及び導入パイプ421a~421dを含んで構成される。
【0089】
なお、「収容空間S20」は、第1部材401aの内側、接着剤410(後述)、及び基板300で囲まれる空間であり、「収容空間S21」は、第1部材401bの内側、接着剤410、及び基板300で囲まれる空間である。また、「収容空間S22」は、第1部材401cの内側、接着剤410、及び基板300で囲まれる空間であり、「収容空間S23」は、第1部材401dの内側、接着剤410、及び基板300で囲まれる空間である。
【0090】
第1部材401aは、基板300に配置されたセンサ310aを覆い、センサ310aが収容される収容空間S20を形成する部材(つまり、内側に中空を有する部材)である(例えば、
図7B参照)。第1部材401b~401dのそれぞれは、第1部材401aと同様に、センサ310b~310dが収容された収容空間S21~S23を形成する部材である。
【0091】
第2部材402は、略直方体状の形状を有し、平面視における中央部において第1部材401a~401dを囲む開口が形成された部材である。第2部材402の前方の側面には、収容空間S20~S23が、外部と連通できるよう導入パイプ421a~421dが設けられている。
【0092】
導入パイプ421aは、収容空間S20に連通する孔430aが形成されている。導入パイプ421b~421dのそれぞれは、導入パイプ421aと同様に、収容空間S21~S23に連通する孔430b~430dが形成されている。なお、第2部材402の裏面には、ネジ302a~302fのそれぞれに対応するネジ穴322a~322fが設けられている。
【0093】
接続部403aは、第1部材401aの前方の面において、第1部材401a及び第2部材402を接続する部材である。接続部404aは、第1部材401aの後方の面において、第1部材401a及び第2部材402を接続する部材である。ここで、接続部403aは、導入パイプ421aの孔430aが連通する筒状の形状を有する。このため、実質的に、接続部403aは、導入パイプ421aに相当する。
【0094】
ここでは、便宜上、図示を省略しているが、接続部403b~403dは、接続部403aと同様であり、接続部404b~404dは、接続部404aと同様である。つまり、接続部403b,404bは、第1部材401bと、第2部材402とを接続し、接続部403c,404cは、第1部材401cと、第2部材402とを接続し、接続部403d,404dは、第1部材401dと、第2部材402とを接続する。なお、以下、4つの接続部403a~403dを、纏めて接続部403と称し、4つの接続部404a~404dを、纏めて接続部404と称することがある。したがって、本実施形態の接続部403は、「パイプ」に相当する。
【0095】
圧力センサ装置19は、上述した
図4A~4Cの圧力センサ装置17と同様に、第1部材401a~401dと、第2部材402との間には隙間が生じている。本実施形態では、接着剤410が、第1部材401a~401dと、第2部材402との間(隙間)に充填されると、接着剤410は、第1部材401a~401dと、第2部材402との隙間を埋めることができる。なお、本実施形態の接着剤410は、上述の接着剤205と同様に、例えば、シリコン樹脂のポッティング材である。
【0096】
また、本実施形態では、接続部403,404は、カバー400が基板300に取り付けられた際、基板300のから離れた位置に設けられている。これにより、接着剤410は、4つの第1部材401a~401dと、第2部材402との隙間を確実に埋めることができる。このように、本実施形態の接着剤410は、孔430a~430dが塞がれると、収容空間S20~23が密閉されるよう、収容空間S20~23の内部と、外部とを遮蔽する。
【0097】
圧力センサ装置19のカバー400の導入パイプ421a~421dのそれぞれには、
図1Aと同様にチューブ(不図示)が取り付けられる。本実施形態では、カバー400は、基板300に直接接触しているものの、センサ310a~310dには直接接触していない。したがって、カバー400を介して、センサ310a~310dに力が直接加わることがないため、本実施形態の圧力センサ装置19は、精度良く収容空間S20~23の絶対圧を測定することができる。
【0098】
また、圧力センサ装置19では、
図7Eに示すように、孔430aの中心軸A1(ここでは、孔430aが形成された導入パイプ421aの開口部の中心軸)の延長線上には、半導体チップ51が位置しないよう、センサ310aは配置されている。これにより、孔430aからゴミ等が混入した場合であっても、半導体チップ51への影響を抑制できる。また、このような配置にすることにより、例えば、センサ310aのキャップ530を設けなくても、センサ310aを安定に動作させることができるため、コストを削減できる。
【0099】
<<<圧力センサ装置15の他の実施形態)>>>
図2に示すセンサ21には、キャップ34が設けられているが、センサ21を圧力センサ装置15~17に用いる場合、チューブは、カバーの導入パイプに取り付けられるため、必ずしもキャップ34を設ける必要はない。例えば、
図8に示すように、キャップ34が無いセンサ22を用いても良い。
【0100】
図9は、圧力センサ装置15において、キャップ34が無いセンサ22を用いた場合の部分断面図の一例である。
図9では、導入パイプ112の位置を、天井部111の端部(例えば、左側の端部)に移動させることにより、孔120の中心軸A2(孔120が形成された導入パイプ112の開口部の中心軸)の延長線上に半導体チップ51が位置しない。したがって、仮に、
図9に示す圧力センサ装置15の孔120から、ゴミ等が収容空間S2に入った場合であっても、ゴミが測定部31(特に、半導体チップ51)に直接当たる可能性は低い。
【0101】
このように、導入パイプ112の位置を、天井部111の端部(例えば、左側の端部)に移動させることにより、孔120の中心軸A2の延長線上に半導体チップ51が位置しない配置とすることで、測定精度が悪化することを防ぐことができる。
【0102】
なお、ここでは、便宜上、キャップ34が無いセンサ22を例に説明したが、
図3Bのセンサ21の場合も同様である。なお、キャップ34を省略することにより、センサ22は、センサ21に対してコストを安くすることができる。
【0103】
===まとめ===
以上、本実施形態の圧力センサ装置15~19について説明した。例えば、
図3Bに示す圧力センサ装置15は、カバー110aの導入パイプ112にチューブが取り付けられる。このような実施形態では、チューブをカバー110aに取り付ける際、カバー110aから、収容空間S2のセンサ21には直接力がかからない。したがって、圧力センサ装置15は、センサ21の測定精度の悪化を防ぐことができる。
【0104】
また、例えば、圧力センサ装置15,16に示すように、接着剤122、オーリング126を「シール」として用いることができる。このようなシールを用いることにより、収容空間S2,S3を密閉することができる。
【0105】
また、例えば圧力センサ装置15のカバー110aは、取付部114が壁部113aの外側に設けられている。このような取付部114を用いることにより、容易に基板100にカバー110aを取り付けることができる。
【0106】
また、
図3Bに示すように、基板100には開口101が形成され、取付部114には、ネジ穴121が形成されている。そして、開口101、ネジ穴121に対応するネジ150が用いられることにより、カバー110aと、基板100とは固定される。
【0107】
また、圧力センサ装置15では、壁部113aと、取付部114との間に、スリット115が形成されている。したがって、カバー110aを、基板100にネジ150で取り付ける際、力がセンサ21側に伝わることを防ぐことができるため、センサ21の測定精度の悪化を防ぐことができる。
【0108】
また、圧力センサ装置17は、第1部材200と、第1部材の周囲を囲む第2部材201と
、第1部材200及び第2部材201を接続する接続部202a~202dを含む。このような構成において、第1部材200及び第2部材201の隙間に接着剤205(ここでは、ポッティング材)を充填することにより、センサ21を収容する収容空間S4を形成することができる。このような圧力センサ装置17も、チューブをカバー140に取り付ける際、カバー140から、収容空間S4のセンサ21には直接力がかからない。したがって、圧力センサ装置17は、センサ21の測定精度の悪化を防ぐことができる。
【0109】
また、圧力センサ装置17には、第2部材201の外側に取付部203が設けられている。このような取付部203を用いることにより、容易に基板100にカバー140を取り付けることができる。
【0110】
また、カバー140は、取付部203のネジ穴231に対応するネジ150を用いて、基板100に取り付けられる。
【0111】
また、圧力センサ装置17において、第2部材201と、取付部203との間には、スリット204が形成されている。したがって、カバー140を、基板100にネジ150で取り付ける際、力がセンサ21側に伝わることを防ぐことができるため、センサ21の測定精度の悪化を防ぐことができる。
【0112】
また、例えば、
図7Dに示す圧力センサ装置19では、接続部403aが導入パイプ421aの一部となっている。このような接続部403aを用いることにより、第1部材401aと、第2部材402とを確実に接続しつつ、収容空間S20を外部に連通させることができる。
【0113】
また、例えば、
図5E、
図7E、
図9に示すように、本実施形態では、軸A0~A2の延長線上に半導体チップ51は位置しない。このため、半導体チップ51がゴミ等の影響を受けることを抑制することができる。
【0114】
また、例えば
図6に示すセンサ310aでは、半導体チップ51を収容するパッケージ500が半導体チップ51の上側に位置し、センサ310aが取り付けられる基板300が、半導体チップ51の下側に位置する。つまり、本実施形態では、半導体チップ51は、パッケージ500と、基板300との間に位置している。したがって、キャップが無い場合であっても、半導体チップ51がゴミ等の影響を受ける可能性を小さくすることができる。
【0115】
また、圧力センサ装置18では、部位351a,351bとで共通する部位352を有する遮蔽部材350を用いている。したがって、複数のセンサ310を基板300に配置する場合であっても、省スペース化が可能となる。
【0116】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0117】
10,15~19 圧力センサ装置
11 チューブ
20,100,300 基板
21,22,310a~310d センサ
30,500 パッケージ
31 測定部
32,510 端子
33,520 保護部材
34,530 キャップ
50 ダイヤフラム
51 半導体チップ
52 台座
61,122,205 接着剤
53 ワイヤ
60 真空基準室
110a,110b,320 カバー
111,210 天井部
112,211,321a~321d 導入パイプ
113a,113b,212,323 壁部
114,203 取付部
115,204 スリット
120,230,330a~330d,430a~430d 孔
121,322a~322f ネジ穴
125,360 溝
126 オーリング
150,302a~302f ネジ
200 第1部材
201 第2部材
202a~202d 接続部
324a~324c 隔壁部
350 遮蔽部材
351a~351d,352~354 部位
S1~S4,S10~S13 収容空間