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  • 特開-研磨具及び研磨装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011748
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】研磨具及び研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 29/00 20060101AFI20250117BHJP
   B24B 29/08 20060101ALI20250117BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20250117BHJP
   A46B 5/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B24B29/00 C
B24B29/08
B24B45/00 Z
A46B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114033
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000154912
【氏名又は名称】株式会社北村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】扇 嘉則
(72)【発明者】
【氏名】小柳 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】石田 俊輔
【テーマコード(参考)】
3B202
3C034
3C158
【Fターム(参考)】
3B202AA00
3B202AA34
3B202AA36
3B202AB30
3B202BA03
3B202BD01
3B202BE09
3B202CA02
3B202CB04
3B202EA04
3B202ED04
3B202EE01
3B202EF10
3C034AA13
3C034BB51
3C158AA06
3C158AA09
3C158AA14
3C158AA16
3C158CA02
3C158CB03
(57)【要約】
【課題】狭隘な作業空間での研磨が可能な研磨具及び研磨装置を提供する。
【解決手段】複数の棒状体と、前記複数の棒状体の一端側を揺動自在に保持する保持部Hと、前記保持部Hに接続される延長ロッド3と、前記延長ロッド3を回動させる回転駆動部4とを備え、前記保持部Hは、前記複数の棒状体が挿通可能な取付孔を備えた基礎プレートと、前記取付孔に挿通された前記複数の棒状体の抜け止め部である頭部を前記基礎プレートとともに挟持する抑えプレートと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棒状体と、
前記複数の棒状体の一端側を揺動自在に保持する保持部と、
を備えたことを特徴とする研磨具。
【請求項2】
前記保持部は、
前記複数の棒状体が挿通可能な取付孔を備えた基礎部と、
前記取付孔に挿通された前記複数の棒状体の抜け止め部を前記基礎部とともに挟持する抑え部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の研磨具。
【請求項3】
前記抜け止め部の前記抑え部と対向する側に曲面部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の研磨具。
【請求項4】
前記抜け止め部の側面にテーパ形状を有することを特徴とする請求項2に記載の研磨具。
【請求項5】
前記曲面部は前記抑え部と当接し、
前記基礎部と前記抑え部の間に間隔を有することを特徴とする請求項3に記載の研磨具。
【請求項6】
請求項1に記載の研磨具と、
前記保持部に接続される延長ロッドと、
前記延長ロッドを回動させる回転駆動部とを備えたことを特徴とする研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨具及び研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通信局舎等の土台では、金属製の中空管材を組み構成していた。この局舎の土台は、結露や雨水や霜等の水分により中空管材の内部に錆が発生していた。この錆具合が著しい場合には、中空管材の補強や局舎の交換を行う必要があった。
【0003】
また、従来、錆を除去する研磨具としては、研磨サンダーを旋回ワイヤーの先端に装着して、旋回ワイヤーをモーターで回転させて研磨サンダーで研磨を行う清掃器があった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全昭52-000969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献1の清掃器では、中空管材の内面のような狭隘な空間で研磨サンダーを操作することが難しく、狭隘な空間の研磨には不向きであるという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、中空管材の内部のような狭隘な作業空間での研磨が可能な研磨具及び研磨装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の研磨具は、複数の棒状体と、前記複数の棒状体の一端側を揺動自在に保持する保持部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、狭隘な作業空間の錆を効率的に除去できる研磨具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1を示す研磨装置の斜視図である。
図2】同上、(A)はケレン部付近の拡大図、(B)はさらに拡大したケレン部付近を示す拡大図である。
図3】同上、中空管材内部において回動時のケレン部付近を示す拡大断面図である。
図4】同上、ケレン部を各部品(A)~(C)に分解した状態を示す説明図である。
図5】同上、(A)磁石を示す斜視図と、(B)磁石を延長ロッドに装着した状態を示す斜視図である。
図6】同上、局舎の土台の底側斜視図である。
図7】同上、局舎の土台に側面に貫通部を開けた状態を示す斜視図である。
図8】同上、局舎の土台の側面の貫通部に研磨装置を挿入しようと構えた状態を示す斜視図である。
図9】同上、局舎の土台の側面の貫通部から研磨装置のケレン部を挿入した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0011】
図1乃至図9は、本発明の研磨装置の一実施例を示しており、図1に示すように研磨装置1は、研磨具としてのケレン部2と、延長ロッド3と、電動ドリル等の回転駆動部4とを備えている。
【0012】
図2図4に示すようにケレン部2は、ニードル5、キャップスクリュー(六角穴付きボルト)等の雄螺子部材6、基礎プレート7、抑えプレート8、ロックプレート9を備えている。
【0013】
ニードル5は、鉄等の金属製の棒状体5Aからなり、棒状体5Aの一端側を拡径した抜け止め部としての頭部10の先端は円弧状に形成された曲面部11を備えている。尚、頭部10の側面形状は棒状体5A側から曲面部11側にかけて拡径した略円錐状のテーパ面状に形成されている。ニードル5は、撓りのない剛性に優れた棒状体であるのが好ましく、さらに磁石に吸着する磁性体であることが好ましい。
【0014】
基礎プレート7は、ステンレス鋼等の金属製の円盤からなり、中央に雄螺子部材6が挿通可能な中央貫通部12と、ニードル5の軸部5Aが挿通可能な取付孔13が中央貫通部12の周囲に複数形成されている。尚、取付孔13の直径は、棒状体5Aの直径以上、頭部10の直径未満とする。
【0015】
抑えプレート8は、ステンレス鋼等の金属製の円盤からなり、中央に雄螺子部材6が挿通且つ螺合可能な雌螺子部14を備えている。
【0016】
ロックプレート9は、ステンレス鋼等の金属製の円盤からなり、中央に雄螺子部材6が挿通且つ螺合可能な雌螺子部15を備えている。
【0017】
抑えプレート8の雌螺子部14とロックプレート9の雌螺子部15は互い螺子溝が異なる向きとなるように雄螺子部材6に螺合されており、抑えプレート8とロックプレート9はダブルナットの関係となる。そのため、雄螺子部材6における抑えプレート8の螺合位置はロックプレート9により弛緩しないように固定される。
【0018】
基礎プレート7、抑えプレート8およびロックプレート9の各直径D1、D2、D3はほぼ等しく形成されている。雄螺子部材6、基礎プレート7、抑えプレート8およびロックプレート9は、ニードル5を揺動自在に保持する保持部H(図4(B)(C)参照)を構成している。
【0019】
図3に示すように基礎プレート7と抑えプレート8の間隔Lが一定に保持されるようにロックプレート9によって抑えプレート8の位置が固定されている。ここで基礎プレート7と抑えプレート8の間隔Lは、ニードル5の揺動時に曲面部11が抑えプレート8に摺動可能な間隔である。つまり、間隔Lは、基礎プレート7と抑えプレート8によってニードル5の頭部10が挟持固定されてしまい、ニードル5の揺動動作が規制されることがない間隔とする。
【0020】
延長ロッド3は、ステンレス鋼等の金属製の棒状体からなる。延長ロッド3は、作業場所に合わせて棒状体の全長を異なる長さに設定して複数備えている。図3に示すように延長ロッド3の先端には、雄螺子部材6が螺合可能な雌螺子部3Aを備えている。延長ロッド3の操作性の向上を図るために先端と基端を中実として中間部分を中空として軽量化してもよいものとする。
【0021】
図5に示すように延長ロッド3の雌螺子部3Aに螺合可能な磁石16を備えている。磁石16は、その基端に延長ロッド3の雌螺子部3Aに螺合可能な雄螺子部16Aを備えている。磁石16は、破断したニードル5を接着して回収するためのものである。
【0022】
回転駆動部4は、従前の電動ドリルを用いており、電動ドリルのチャック部4Aに延長ロッド3の基端を接続して使用するものである。
【0023】
以上の構成の研磨装置1の使用方法について図6図9に基づき説明する。図7に示すように通信局舎100の土台101の側壁102に対して、断面矩形状の中空管材103の長手方向へ連通可能な貫通部104を穿孔する。貫通孔104は、ケレン部2の基礎プレート7、抑えプレート8及びロックプレート9が挿通可能な直径に形成されている。
【0024】
図8に示すように延長ロッド3を回転させず、ニードル5の棒状体5Aの束が貫通孔104を挿通できるように、作業者の手でニードル5を束ねて、ニードル5の束を基礎プレート7、抑えプレート8およびロックプレート9の各直径D1、D2、D3より細く纏めた状態(図3の一点鎖線のニードル5の状態)にしてケレン部2を貫通部104に挿入して、図9に示すようにケレン部2を中空管材103内部に挿通した後、回転駆動部4を作動させて延長ロッド3を回転させることで遠心力により延長ロッド3の回転軸X方向(図3参照)とほぼ直交する方向に沿って各ニードル5の棒状体5Aの先端部を拡開させると、清掃面103Aの形状に各ニードル5の棒状体5Aの先端部を追従させて、各ニードル5の棒状体5Aの先端部を中空管材103の清掃面103Aに打ち付けて棒状体5Aの鉄等の金属による質量と撓らない剛性による衝撃力により清掃面103Aの隅々まで錆等の付着物を効果的に打撃して剥離、除去することができる。したがって、サンドブラストやショットブラストのように付帯設備やブラスト材の回収装置も不要となり、また研磨サンダーのような研削工具に比べて操作が容易で、さらに作業者の手では作業が困難な中空管材103の内部のような狭隘な作業空間に臨む清掃面でも効率よく付着物を除去でき、簡単な構造で低コストで製造できる。
【0025】
中空管材103の内部で剥離された付着物は、中空管材103の底部に形成された貫通部105(図3図6参照)から適宜外部へ除去される。そして、全ての作業が終了した後、貫通部104、105は溶接等により閉塞される。
【0026】
図3に示すようにニードル5の棒状体5Aの回転時の回転軸Xに対する開き角度θは、揺動するニードル5の頭部10が基礎プレートの取付孔10の規制を受けるため、90度未満となっており、ニードル5の開き角度θが90度以上となる開き過ぎを防止して、付着物を効果的に剥離、除去することができる。
【0027】
以上のように本実施例では、複数の棒状体5Aと、前記複数の棒状体5Aの一端側を揺動自在に保持する保持部Hである雄螺子部材6、基礎プレート7、抑えプレート8及びロックプレート9と、前記保持部Hに接続される延長ロッド3と、前記延長ロッド3を回動させる回転駆動部4とを備えたことにより、狭隘な作業空間での研磨が可能なケレン部2を提供することができる。
【0028】
また本実施例の保持部Hは、前記複数の棒状体5Aが挿通可能な取付孔13を備えた基礎部としての基礎プレート7と、前記取付孔13に挿通された前記複数の棒状体5Aの抜け止め部としての頭部10を前記基礎プレート7とともに挟持する抑え部としての抑えプレート8と、を備えたことにより、棒状体5Aの揺動構造を簡単な構造とすることができる。
【0029】
また本実施例では、前記頭部10の前記抑えプレート8と対向する側に曲面部11を備えたことにより、棒状体5Aの揺動動作が円滑となり、作業効率の向上を図るとともに、棒状体5Aの負荷を低減させることができる。
【0030】
また本実施例では、前記頭部10の側面にテーパ形状を有することにより、棒状体5Aの揺動動作が円滑となり、作業効率の向上を図るとともに、棒状体5Aの負荷を低減させることができる。
【0031】
また本実施例では、前記曲面部11は前記抑えプレート8と当接し、前記基礎プレート7と前記抑えプレート8の間に間隔Lを有することにより、棒状体5Aの揺動動作を安定させるとともに、保持部Hの構造を簡単でコンパクトなものとすることができる。
【0032】
また本実施例では、研磨装置1は、ケレン部2と、前記保持部Hに接続される延長ロッド3と、前記延長ロッド3を回動させる回転駆動部4とを備えたことにより、狭隘な作業空間での研磨が可能な研磨装置1を提供することができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、抑えプレート8の基礎プレート7と対向する面に曲面部を形成してもよいし、取付孔12にテーパを形成してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 研磨装置
2 ケレン部(研磨具)
3 延長ロッド
4 回転駆動部
5A 棒状体
6 雄螺子部(保持部)
7 基礎プレート(基礎部、保持部)
8 抑えプレート(抑え部、保持部)
9 ロックプレート(保持部)
11 曲面部
13 取付孔
H 保持部
L 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9