(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011771
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】海底資源揚収設備
(51)【国際特許分類】
B63B 35/00 20200101AFI20250117BHJP
B63B 35/44 20060101ALI20250117BHJP
B63B 27/30 20060101ALI20250117BHJP
B63B 27/22 20060101ALI20250117BHJP
E21C 45/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B63B35/00 N
B63B35/44 Z
B63B27/30
B63B27/22
E21C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114079
(22)【出願日】2023-07-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)経済産業省資源エネルギー庁、令和4年度海洋鉱物資源開発に向けた資源量評価・生産技術等調査事業に係る海底熱水鉱床開発計画の総合評価支援業務(採鉱・揚鉱技術分野)、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504117958
【氏名又は名称】独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹村 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】大城 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】太田 真
【テーマコード(参考)】
2D065
【Fターム(参考)】
2D065FA03
2D065FA21
2D065FA31
2D065FA35
(57)【要約】
【課題】海底から揚収した資源を安定的に一時貯留することができる海底資源揚収設備を提供する。
【解決手段】海底資源揚収設備は、水面下で前後方向に延びるとともに幅方向に離間して一対が設けられた潜水浮体と、一対の前記潜水浮体のそれぞれから上方に向かって延びる複数のコラムと、前記複数のコラムによって支持されて、平面視で一対の前記潜水浮体にわたって延びるプラットフォームと、を備え、前記プラットフォームは、平面視で一対の前記潜水浮体とそれぞれ重なる位置に設けられて前後方向に延びる一対の貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクの間に設けられて、海底から吸い上げた資源と海水との混合物から資源を分離させる分離装置と、前記分離装置から一対の前記貯蔵タンクに前記資源を搬送する搬送部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面下で前後方向に延びるとともに幅方向に離間して一対が設けられた潜水浮体と、
一対の前記潜水浮体のそれぞれから上方に向かって延びる複数のコラムと、
前記複数のコラムによって支持されて、平面視で一対の前記潜水浮体にわたって延びるプラットフォームと、
を備え、
前記プラットフォームは、
平面視で一対の前記潜水浮体とそれぞれ重なる位置に設けられて前後方向に延びる一対の貯蔵タンクと、
前記貯蔵タンクの間に設けられて、海底から吸い上げた資源と海水との混合物から資源を分離させる分離装置と、
前記分離装置から一対の前記貯蔵タンクに前記資源を搬送する搬送部と、
を備える海底資源揚収設備。
【請求項2】
前記貯蔵タンクは、前記前後方向に延びると共に前記資源を上方から投入可能な投入口を備え、
前記搬送部は、
前記分離装置により分離された前記資源を幅方向に振り分けて搬送可能な第一貯蔵搬送部と、
前記貯蔵タンクの前記投入口に沿って前記前後方向に延びて、前記第一貯蔵搬送部により搬送された前記資源を前後方向に搬送すると共に前記投入口に投入可能な第二貯蔵搬送部と、
を備える
請求項1に記載の海底資源揚収設備。
【請求項3】
前記搬送部は、
前記貯蔵タンクに貯蔵された前記資源を上方に搬送する第一搬出搬送部と、
前記第一搬出搬送部によって上方に搬送された前記資源を、前記幅方向に振り分ける第二搬出搬送部と、
前記第二搬出搬送部によって搬送された前記資源を、前記前後方向に搬送する第三搬出搬送部と、
前記第三搬出搬送部により搬送された前記資源を前記プラットフォームの左右外側に払い出すブームと、
を備える請求項1に記載の海底資源揚収設備。
【請求項4】
前記潜水浮体は、前記海水よりも比重の大きい固定バラストを備える
請求項1に記載の海底資源揚収設備。
【請求項5】
前記潜水浮体は、前記海水を貯留可能なバラストタンクを更に備える
請求項4に記載の海底資源揚収設備。
【請求項6】
前記海底に複数設置されたアンカーと、
複数の前記アンカーにそれぞれ接続された複数の係留索と、
前記プラットフォーム上に設けられて複数の前記係留索の長さを調整可能な係留移動装置と、
を備える請求項1に記載の海底資源揚収設備。
【請求項7】
前記プラットフォームは、
一対の前記貯蔵タンクの間に設けられ、前記海底で前記資源を集鉱する集鉱機を上下方向に挿通可能なムーンプールと、
一対の前記貯蔵タンクの間に設けられ、前記集鉱機を格納する集鉱機格納部と、
前記ムーンプール上に設けられて前記集鉱機を昇降すると共に前記ムーンプールよりも上方に前記集鉱機を吊り上げ可能な昇降装置と、
前記集鉱機を載せて前記ムーンプール上と前記集鉱機格納部との間をスライド移動可能なスライド台と、
を備える
請求項1に記載の海底資源揚収設備。
【請求項8】
前記集鉱機格納部と、前記分離装置とは、前記前後方向に離間配置されている
請求項7に記載の海底資源揚収設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、海底資源揚収設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、海底のコレクターから揚鉱パイプを通じて連続的に海底資源を海上に上げることが可能な海底熱水鉱床の採鉱設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されているような海底の固体の資源の採掘を事業化した例は、現在のところない。しかし、数十年以上前から事業化に向けた設備の開発は行われている。このような設備では、海底から海上の浮体に固体の資源を揚収して、この揚収した固体の資源を、浮体からシャトル船などに移し替えて陸上に運搬することになる。しかしながら、例えば、海気象によっては、浮体に対しシャトル船を近づけることができない場合がある。そのため、揚収した固体の資源は、浮体に一時貯留できるようにする必要がある。しかしながら、固体の資源の重量は非常に大きいため、浮体に固体の資源を一時貯留しようとした場合、浮体の重心が高くなり、浮体が不安定になる可能性が有る。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、海底から揚収した資源を安定的に一時貯留することができる海底資源揚収設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
本開示の第一態様によれば、海底資源揚収設備は、水面下で前後方向に延びるとともに幅方向に離間して一対が設けられた潜水浮体と、一対の前記潜水浮体のそれぞれから上方に向かって延びる複数のコラムと、前記複数のコラムによって支持されて、平面視で一対の前記潜水浮体にわたって延びるプラットフォームと、を備え、前記プラットフォームは、平面視で一対の前記潜水浮体とそれぞれ重なる位置に設けられて前後方向に延びる一対の貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクの間に設けられて、海底から吸い上げた資源と海水との混合物から資源を分離させる分離装置と、前記分離装置から一対の前記貯蔵タンクに前記資源を搬送する搬送部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る海底資源揚収設備によれば、海底から揚収した資源を安定的に一時貯留することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態における海底資源揚収設備を具備した揚鉱システムの概略構成を示す構成図である。
【
図2】本開示の実施形態における海底資源揚収設備を示す側面図である。
【
図3】
図2の海底資源揚収設備をIII方向から見た矢視図である。
【
図4】
図2の海底資源揚収設備をIV方向から見た矢視図である。
【
図6】本開示の実施形態における搬送部によって鉱石を貯蔵タンクに貯蔵する経路を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態における搬送部によって鉱石をシャトル船に搬出する経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本開示の一実施形態における海底資源揚収設備を図面に基づき説明する。
<揚鉱システム>
図1は、本開示の実施形態における海底資源揚収設備を具備した揚鉱システムの概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態の揚鉱システム100は、集鉱機10と、鉱石投入装置20と、揚鉱管30と、海底資源揚収設備40と、を備えている。
【0010】
集鉱機10は、海底Sfの鉱石(資源)Mrを採取する。鉱石投入装置20は、海底Sf付近に吊下げられて、海底Sfで採取された鉱石Mrを揚鉱管30に投入するために用いられる。鉱石投入装置20は、集鉱機10により採取した鉱石Mrを一時貯留可能とされている。揚鉱管30は、鉱石投入装置20と、海底資源揚収設備40とを接続している。揚鉱管30は、往路配管31と復路配管32と備えている。例えば、海底資源揚収設備40に設けられたポンプ(図示せず)を稼働させることで、鉱石投入装置20に貯留されている鉱石Mrが海水と共に復路配管32を介して海底資源揚収設備40まで移送される。その一方で、海底資源揚収設備40に鉱石Mrと共に移送されて海水は、鉱石Mrから分離されて往路配管31を介して海底Sfに戻されて放出される。揚鉱管30としては、可撓性を有したライザー管を用いることができる。本実施形態における鉱石Mrの採掘を行う海底Sfとしては、熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガンクラスト、メタンハイドレート等を例示できる。
【0011】
<海底資源揚収設備>
図2は、本開示の実施形態における海底資源揚収設備を示す側面図である。
図3は、
図2の海底資源揚収設備をIII方向から見た矢視図である。
図4は、
図2の海底資源揚収設備をIV方向から見た矢視図である。
図5は、本実施形態における下甲板の平面図である。
図2から
図4に示すように、本実施形態の海底資源揚収設備40は、半潜水式の浮体構造物であり、潜水浮体41と、コラム42と、プラットフォーム43と、を備えている。
【0012】
<潜水浮体>
図2、
図3に示すように、潜水浮体41は、水面Ws下に没して前後方向Daに延びている。潜水浮体41は、幅方向Dwに離間して複数設けられている。本実施形態では、前後方向Daの長さ、幅方向Dwの長さ、及び上下方向Dvの長さがそれぞれ同一の一対の潜水浮体41を備えている。そして、これら潜水浮体41は、互いに平行に配置されて前後方向Daの前端位置41fと後端位置41rとが互いに同一位置とされている。一対の潜水浮体41には、それぞれ浮力が作用しており、この浮力によって海底資源揚収設備40が海上に浮かんでいる。
【0013】
<バラスト>
潜水浮体41は、固定バラスト45とバラストタンク46とを備えている。固定バラスト45は、潜水浮体41の内部に固定され、着脱不能とされている。本実施形態の固定バラスト45は、潜水浮体41内の底部に設置されている。固定バラスト45は、潜水浮体41の浮かぶ周囲の海水よりも比重の高い材料によって形成されている。固定バラスト45を形成する材料としては、例えば、コンクリートに対して金属片を混ぜたものを例示できる。また、後述する貯蔵タンク51に一時貯留される鉱石の質量が5万トン程度となる場合、固定バラスト45の質量としては、4万トン程度を例示できる。
【0014】
バラストタンク46は、潜水浮体41の浮かぶ周囲の海水をバラスト水として収容可能とされている。このバラストタンク46へのバラスト水の貯水量は、海底資源揚収設備40の喫水を一定に保つために調整可能とされている。本実施形態におけるバラストタンク46は、固定バラスト45の上方に位置し、幅方向Dwに複数並んで設けられている場合を例示している。
【0015】
<コラム>
コラム42は、一対の潜水浮体41からそれぞれ上方に向かって延びている。本実施形態では、一つの潜水浮体41から複数のコラム42が延びている。これら複数のコラム42は、前後方向Daに間隔をあけて並んでいる。上述したように本実施形態の海底資源揚収設備40は一対の潜水浮体41を備えている。そのため、前後方向Daに並んだコラム42の列が二列設けられている。これら二列のコラム42の間には、コラム42を補強するトラス構造部47(
図3参照)が設けられている。トラス構造部47は、これら二列のコラム42を接続すると共にプラットフォーム43と二列のコラム42とをそれぞれ接続するトラス状に組まれた骨材48により形成されている。
【0016】
本実施形態のコラム42は、水平断面の輪郭が矩形をなした筒状に形成されている。つまり、コラム42は、四方を外板により囲まれている。そして、
図3に示すように、本実施形態では、コラム42の四方の外板のうち幅方向Dwの外側に配置される外板42oが、潜水浮体41の幅方向Dwの外側の面41oと面一に配置されている。また、本実施形態のコラム42の幅方向Dwの寸法は、上述した潜水浮体41の幅方向Dwの寸法よりも僅かに小さい。なお、本実施形態では、一つの潜水浮体41から四つのコラム42が延びている場合を例示しているが、一つの潜水浮体41から延びるコラム42の数は四つに限られない。さらに、コラム42は、断面輪郭が矩形の角筒状に限られない。また、本実施形態では、前後方向Daに隣り合うコラム42同士の間隔が、コラム42の前後方向Daの寸法よりも大きい場合を例示しているが、前後方向Daにおけるコラム42同士の間隔はこの寸法に限られない。
【0017】
<プラットフォーム>
図2から
図4に示すように、プラットフォーム43は、複数のコラム42によって下方から支持されている。プラットフォーム43は、平面視(
図4参照)で一対の潜水浮体41にわたるように延びている。本実施形態のプラットフォーム43は、平面視で矩形状をなしている。プラットフォーム43は、貯蔵タンク51と、甲板52と、分離装置53と、搬送部54と、を少なくとも備えている。
【0018】
<貯蔵タンク>
貯蔵タンク51は、海底Sfから吸い上げた鉱石Mrを一時貯留可能とされている。
図2、
図3に示すように、貯蔵タンク51は、上方から見て潜水浮体41とそれぞれ重なる位置に設けられている。本実施形態では一対の潜水浮体41を備えているため、貯蔵タンク51も一対設けられている。貯蔵タンク51は、それぞれ前後方向Daに延びている。貯蔵タンク51は、最も前後方向Daの一方Dafに設けられたコラム42から最も前後方向の他方Darに設けられたコラム42の間にわたって形成されている。
【0019】
本実施形態の貯蔵タンク51は、前後方向Daに連続して形成されている。さらに、本実施形態で例示する貯蔵タンク51は、上下方向Dvの長さよりも幅方向Dwの長さが僅かに大きい形状をなしている。
図3に示すように、貯蔵タンク51は、上方に向かって開口する投入口56を備えている。投入口56は、前後方向Daに延びている。本実施形態では、一つの貯蔵タンク51に対して、幅方向Dwに並んで二つの投入口56が形成されている。これら投入口56から鉱石Mrが投入されて鉱石Mrが貯蔵タンク51内に貯留される。貯蔵タンク51内には、一時貯留された鉱石Mrを払い出すための払出装置57(
図5参照)が設けられている。払出装置57は、貯蔵タンク51内に一時貯留されている鉱石Mrを前後方向Daの一方Dafに寄せて、後述する搬送部54の第一搬出搬送部63によって搬送可能な状態とする。
【0020】
<甲板>
甲板52は、上記貯蔵タンク51をわたるように形成されている。本実施形態では、甲板52として上下に二つの階層を形成する上甲板52aと下甲板52bとを備えている。下甲板52bは、上甲板52aよりも下方で、且つ常に水面Wsよりも上方となる位置に配置される。
【0021】
<分離装置>
分離装置53は、復路配管32(
図1参照)を介して海底Sfから吸い上げた鉱石Mrと海水との混合物から鉱石Mrを分離して搬送部54に受け渡す。
図4に示すように、分離装置53は、一対の貯蔵タンク51の間に設けられている。より具体的には、分離装置53は、一対の貯蔵タンク51間の上甲板52上に配置されている。本実施形態で例示する分離装置53は、プラットフォーム43の前後方向Daの中央よりも一方Dafに配置されている。
【0022】
ここで、本実施形態の分離装置53は、上記に加えて、鉱石Mrから分離した海水を浄化している。分離装置53によって浄化された海水は、往路配管31を介して海底Sfに戻されて海中に放出される。上甲板52a上には、複数の薬剤タンク58が設けられており、これら薬剤タンク58に貯留された薬剤が海水の浄化に用いられる。
【0023】
<搬送部>
搬送部54は、鉱石Mrを搬送する。より具体的には、搬送部54は、分離装置53によって分離された鉱石Mrを貯蔵タンク51に搬送する一方で、貯蔵タンク51に一時貯留されている鉱石Mrをシャトル船等の船舶に搬出するべく搬送する。
図4に示すように、搬送部54は、鉱石Mrを貯蔵タンク51に貯蔵するための第一貯蔵搬送部61と、第二貯蔵搬送部62と、を備えている。搬送部54は、更に、鉱石Mrを潜水浮体41の外部へ搬出するための第一搬出搬送部63と、第二搬出搬送部64と、第三搬出搬送部65と、ブーム66と、を備えている。
【0024】
図6は、本開示の実施形態における搬送部によって鉱石を貯蔵タンクに貯蔵する経路を示す図である。
図4、
図6に示すように、第一貯蔵搬送部61は、分離装置53により分離された鉱石Mrを幅方向Dwに振り分けて搬送可能とされている。つまり、第一貯蔵搬送部61は、一対の貯蔵タンク51にそれぞれ貯蔵する鉱石Mrを、幅方向Dwの一方Dw1及び他方Dw2へ搬送可能となっている。第一貯蔵搬送部61の幅方向Dwの一方Dw1及び他方Dw2の端部は、第二貯蔵搬送部62の上方に配置されている。第一貯蔵搬送部61により搬送された鉱石Mrは、幅方向Dwの一方Dw1及び他方Dw2の端部から第二貯蔵搬送部62上に落下することで、第一貯蔵搬送部61から第二貯蔵搬送部62に移し替えられる。本実施形態の第一貯蔵搬送部61は、無端ベルト上に鉱石Mrを載せて搬送するいわゆるベルトコンベアである(以下、第二貯蔵搬送部62、第二搬出搬送部64、第三搬出搬送部65も同様)。
【0025】
第二貯蔵搬送部62は、貯蔵タンク51の投入口56(
図3参照)に沿って前後方向Daに延びている。第二貯蔵搬送部62は、第一貯蔵搬送部61により幅方向Dwに搬送された鉱石Mrを前後方向Daに搬送する。第二貯蔵搬送部62は、前後方向Daに搬送した鉱石Mrを貯蔵タンク51の投入口56に投入可能に構成されている。本実施形態では、貯蔵タンク51内に貯蔵されている鉱石Mrの量が前後方向Daで偏らないように、第二貯蔵搬送部62は、前後方向Daにおける鉱石Mrの投入位置を分散可能に構成されている。本実施形態で例示する貯蔵タンク51は、それぞれ一つの貯蔵タンク51当たり二つの投入口56を備えている。そして、本実施形態の第二貯蔵搬送部62は、これら投入口56毎に配置されている。つまり、第二貯蔵搬送部62は、幅方向Dwの一方Dw1と他方Dw2とにそれぞれ二つずつ設けられている。
【0026】
図7は、本開示の実施形態における搬送部によって鉱石をシャトル船に搬出する経路を示す図である。
図4、
図7に示すように、第一搬出搬送部63は、貯蔵タンク51に貯蔵された鉱石Mrを上方に搬送する。より具体的には、払出装置57によって前後方向Daの一方Dafに寄せられた鉱石Mrを上方に向かって搬送する。これにより、鉱石Mrは、貯蔵タンク51の外部に運び出される。第一搬出搬送部63によって上方に搬送された鉱石Mrは、上方から第二搬出搬送部64の上に落下することで、第一搬出搬送部63から第二搬出搬送部64に移し替えられる。本実施形態の第一搬出搬送部63は、いわゆる垂直コンベアである。なお、第一搬出搬送部63は、貯蔵タンク51に貯蔵された鉱石Mrを上方に搬送可能であればよく垂直コンベアに限られない。
【0027】
第二搬出搬送部64は、第一搬出搬送部63によって上方に搬送された鉱石Mrを、幅方向Dw(言い換えれば、左右方向)に振り分け可能とされている。ここで、鉱石Mrを陸上などに運搬するシャトル船200は、船首尾方向を前後方向Daと一致させた姿勢で、プラットフォーム43の幅方向Dwの一方Dw1又は他方Dw2に接舷される。このシャトル船200の接舷する位置は、海気象に応じて幅方向Dwの一方Dw1又は他方Dw2に決定される。つまり、第二搬出搬送部64は、第一搬出搬送部63によって上方に搬送された鉱石Mrを、シャトル船200の接舷している幅方向Dwの一方Dw1又は他方Dw2に選択的に搬送する。第二搬出搬送部64によって幅方向Dwの一方Dw1又は他方Dw2に搬送された鉱石Mrは、上方から第三搬出搬送部65に落下することで、第二搬出搬送部64から第三搬出搬送部65に移し替えられる。なお、接舷するシャトル船200の向きは本実施形態で示す向きに限られない。
【0028】
第三搬出搬送部65は、第二搬出搬送部64によって搬送された鉱石Mrを、前後方向Daに搬送する。より具体的には、第三搬出搬送部65は、鉱石Mrを前後方向Daの一方Dafから他方Darに向かって搬送する。そして、第三搬出搬送部65は、前後方向Daの他方Darの端部からブーム66に鉱石Mrを供給する。本実施形態の第三搬出搬送部65は、前後方向Daの一方Dafから他方Darに向かって漸次上方に向かって傾斜しており、前後方向Daの他方Darの端部がブーム66の上方に位置している。第三搬出搬送部65によって搬送される鉱石Mrは、前後方向Daの他方Darの端部から落下してブーム66に移し替えられる。
【0029】
ブーム66は、第三搬出搬送部65により搬送された鉱石Mrをプラットフォーム43の幅方向Dwの外側、言い換えれば左右外側に払い出す。本実施形態で例示するプラットフォーム43は、幅方向Dwの一方Dw1と他方Dw2とにそれぞれ二つずつブーム66を備えている。幅方向Dwの一方Dw1に設けられた二つのブーム66は、前後方向Daに間隔をあけて配置されている。同様に、幅方向Dwの他方Dw2に設けられた二つのブーム66も、前後方向Daに間隔をあけて配置されている。上述した第三搬出搬送部65は、一つのブーム66に対して一つが設けられている。言い換えれば、本実施形態のプラットフォーム43では、四つの第三搬出搬送部65が設けられている。これら第三搬出搬送部65の前後方向Daの長さは、それぞれブーム66の位置に応じたものとなっている。
【0030】
図2、
図4に示すように、ブーム66は、上下方向Dvに延びる軸線O1(
図2参照)回りに揺動可能に構成されるとともに、その長さを可変とされている。ブーム66は、第三搬出搬送部65から落下した鉱石Mrをその基部66bで受け取り、先端部66aに向かって搬送する。ブーム66の先端部66aには、下方に向かって鉱石Mrを落下させることが可能な落下口(図示せず)が設けられている。
【0031】
その一方で、シャトル船200には、カーゴホールド201が船首尾方向に複数並んで形成されている。複数のカーゴホールド201は、何れも上方に向かって開口している。上述したブーム66を揺動させることで、ブーム66の落下口(図示せず)が、シャトル船200の複数のカーゴホールド201の鉛直上方にそれぞれ配置させることが可能となっている。これにより、シャトル船200の複数のカーゴホールド201へ均等に鉱石Mrの搬出が行われる。ブーム66の数は、二つに限られない。接舷されるシャトル船200の各カーゴホールド201に均等に鉱石Mrを搬出可能であればよく、ブーム66を幅方向Dwの一方Dw1及び他方Dw2に一つずつ設けたり、三つ以上設けたりしてもよい。
【0032】
<昇降装置等の構成>
図2、
図4に示すように、本実施形態で例示するプラットフォーム43には、上記構成に加えて更に、第一ムーンプール71、集鉱機格納部72、昇降装置73、スライド台74、第二ムーンプール81、投入装置格納部82、デリック83、ライザーラック84、発電機85を備えている。
【0033】
第一ムーンプール71は、海底Sfで鉱石Mrを集鉱する集鉱機10を上下方向に挿通可能に形成されている。
図4に示すように、第一ムーンプール71は、階層をなす複数の甲板52の全てを上下に貫通している。第一ムーンプール71は、プラットフォーム43の前後方向Daの中央よりも他方Darに形成されている。
【0034】
集鉱機格納部72は、集鉱機10を格納する。集鉱機格納部72は、一対の貯蔵タンク51の間に設けられている。本実施形態の集鉱機格納部72は、予備も含めた二つの集鉱機10を格納できるように二つ設けられている。これら二つの集鉱機格納部72は、第一ムーンプール71を挟んで幅方向Dwの一方Dw1と他方Dw2とにそれぞれ設けられている。集鉱機格納部72は、分離装置53に対して前後方向Daに離間して配置されている。
【0035】
昇降装置73は、第一ムーンプール71上に設けられている。本実施形態の昇降装置73は、第一ムーンプール71を前後方向Daにわたるように設けられた門型のクレーンである。昇降装置73は、集鉱機10を昇降すると共に第一ムーンプール71よりも上方に集鉱機10を吊り上げ可能となっている。つまり、集鉱機10は、この昇降装置73によって海底Sfに降ろされるとともに、海底Sfから引き上げられる。
【0036】
スライド台74は、集鉱機10を載せて第一ムーンプール71上と集鉱機格納部72との間をスライド移動可能に構成されている。本実施形態のスライド台74は、集鉱機格納部72の数と同数設けられている。集鉱機格納部72に格納されている集鉱機10は、スライド台74上に載置されている。
【0037】
例えば、集鉱機格納部72に格納された集鉱機10を海底Sfに降ろす際には、まずスライド台74を第一ムーンプール71の上にスライドさせる。次いで、スライド台74上に載置されている集鉱機10を昇降装置73により吊り上げて、スライド台74を集鉱機格納部72に退避させる。その後、昇降装置73によって吊られた状態の集鉱機10を第一ムーンプール71を通じて海底Sfまで下降させる。その一方で、集鉱機10を海底Sfから引き上げる際には、集鉱機10を、昇降装置73によって上昇させて第一ムーンプール71を通じて上甲板52aよりも上に吊り上げる。そして、集鉱機格納部72のスライド台74を吊り上げられた集鉱機10の下方に移動させて、集鉱機10をスライド台74上に載置させる。その後、集鉱機10の載置されたスライド台74を集鉱機格納部72までスライド移動させる。これにより集鉱機10が集鉱機格納部72に格納される。
【0038】
第二ムーンプール81は、海底Sfで投入された鉱石Mrを揚鉱する鉱石投入装置20を上下方向に挿通可能に形成されている。第二ムーンプール81は、第一ムーンプール71と同様に、階層をなす複数の甲板52の全てを上下に貫通している。第二ムーンプール81は、プラットフォーム43の前後方向Daの中央に形成されている。
【0039】
投入装置格納部82は、鉱石投入装置20を格納する。本実施形態の投入装置格納部82は、下甲板52b上に設けられている。投入装置格納部82は、一対の貯蔵タンク51の間に設けられている。本実施形態の投入装置格納部82は、二つの集鉱機10を格納できるように二つ設けられている。これら二つの集鉱機格納部72は、第二ムーンプール81を挟んで幅方向Dwの一方Dw1と他方Dw2とにそれぞれ設けられている。
【0040】
図2に示すように、デリック83は、第二ムーンプール81上に設けられている。本実施形態のデリック83は、第二ムーンプール81を前後方向Da及び幅方向Dwにわたるように設けられている。デリック83は、鉱石投入装置20を吊り上げて海底Sfとの間を昇降可能となっている。つまり、鉱石投入装置20は、このデリック83によって海底Sfに降ろされるとともに、海底Sfから引き上げられる。
【0041】
図2、
図4に示すように、ライザーラック84は、鉱石投入装置20をプラットフォーム43上に格納している際に、揚鉱管30を収容可能とされている。本実施形態のライザーラック84は、上甲板52a上に配置されると共に、前後方向Daにおける第一ムーンプール71と第二ムーンプール81との間に配置されている。
【0042】
図5に示すように、発電機85は、海底資源揚収設備40内で利用する電力を発生させる。本実施形態の発電機85は、下甲板52bに複数配置されている。本実施形態で例示する発電機85は、第二ムーンプール81よりも前後方向Daの一方Dafに配置されている。
【0043】
図2から
図4に示すように、本実施形態で例示するプラットフォーム43には、上甲板52a上に居住区を構成する上部構造87を備えている。本実施形態の上部構造87は、幅方向Dwで一対の貯蔵タンク51の間で、且つ一対の貯蔵タンク51よりも前後方向Daの一方Dafの上甲板52に配置されている。本実施形態の上部構造87は、上甲板52から上方に向かって延び、内部に複数の階層を有している。
【0044】
<海底資源揚収設備の位置決め>
図4に示すように、上述した揚鉱システム100は、海上に浮かぶ海底資源揚収設備40を位置決めするために、アンカー91と、係留索92と、係留移動装置93と、を備えている。
【0045】
アンカー91は、海底資源揚収設備40周りの海底Sfに複数設置される。係留索92は、複数設けられ、複数のアンカー91にそれぞれ接続されている。係留移動装置93は、プラットフォーム43上に設けられている。なお、係留移動装置93が上甲板52aに設けられている場合を図示しているが、係留移動装置93の配置は、上甲板52a上に限られない。
【0046】
係留移動装置93は、複数の係留索92の長さを調整可能とされている。言い換えれば、係留移動装置93は、係留索92の巻き取り及び、繰り出しを行い、係留移動装置93とアンカー91との間の距離を調整可能となっている。本実施形態の係留移動装置93は、揚錨及び投錨を行うと共に、海底Sfにおける集鉱機10の移動等に応じて、海底資源揚収設備40の位置を調整可能とされている。係留移動装置93による海底資源揚収設備40の位置調整は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)によって取得した測位情報に基づいて係留移動装置93の動作を制御するようにすることができる。なお、本実施形態の係留移動装置93は、甲板52の四隅にそれぞれ二つずつ配置されている場合を例示しているが、この個数に限られない。
【0047】
図2に示すように、海底資源揚収設備40は、複数のジブクレーン95を備えている。具体的には、本実施形態の海底資源揚収設備40は、四つのジブクレーン95を備えている。これらジブクレーン95は、前後方向Da及び幅方向Dwに互いに離間して配置されている。なお、ジブクレーン95の数は一例であって、四つに限られない。
【0048】
<作用効果>
上述した実施形態の海底資源揚収設備40は、水面Ws下で前後方向Daに延びるとともに幅方向Dwに離間して配置された一対の潜水浮体41と、潜水浮体41から上方に延びる複数のコラム42によってプラットフォーム43を支持している。そのため、水線面と接する断面積を減少させることができ、その結果、海底資源揚収設備40の動揺を少なくすることができる。さらに、前後方向Daに延びる一対の貯蔵タンク51が幅方向Dwに離間して配置され、これら貯蔵タンク51に海底Sfにて採取された固体の資源である鉱石Mrが振り分けられるため、安定的に鉱石Mrを一時貯留することができる。また、潜水浮体41の上方に貯蔵タンク51を配置することで、質量の大きい鉱石Mrを貯留した貯蔵タンク51を、潜水浮体41及びコラム42によって下方から支持できるため、貯蔵タンク51の支持強度を容易に確保できる。
【0049】
上記実施形態では、更に、貯蔵タンク51が前後方向Daに延びると共に鉱石Mrを上方から投入可能な投入口56を備えている。そして、搬送部54は、分離装置53により分離された鉱石Mrを幅方向Dwに振り分けて搬送可能な第一貯蔵搬送部61と、貯蔵タンク51の投入口56に沿って前後方向Daに延びて、第一貯蔵搬送部61により搬送された鉱石Mrを前後方向Daに搬送して投入口56に投入可能な第二貯蔵搬送部62と、を備えている。これにより、一対の貯蔵タンク51内に鉱石Mrを均等に貯蔵させることができる。したがって、海底資源揚収設備40の復原性の低下を抑制できる。
【0050】
上記実施形態では、更に、搬送部54が、貯蔵タンク51に貯蔵された鉱石Mrを上方に搬送する第一搬出搬送部63と、第一搬出搬送部63によって上方に搬送された鉱石Mrを、幅方向Dwに振り分ける第二搬出搬送部64と、第二搬出搬送部64によって搬送された鉱石Mrを、前後方向Daに搬送する第三搬出搬送部65と、第三搬出搬送部65により搬送された鉱石Mrをプラットフォーム43の幅方向Dwの外側に払い出すブーム66と、を備えている。これにより、一対の貯蔵タンク51に貯蔵された鉱石Mrを、プラットフォーム43の幅方向Dwの一方Dw1及び他方Dw2のどちらからでもシャトル船200に積み込みすることができる。したがって、海気象の影響によりシャトル船200への鉱石Mrの積み込みに支障が生じることを低減できる。
【0051】
上記実施形態では、更に、潜水浮体41が、海水よりも比重の大きい固定バラスト45を備えている。これにより、バラスト水のみを用いる場合と比較して、同じ質量のバラストをより小さい容積で得ることができるため、鉱石Mrを一時貯留することで大きい重量となる貯蔵タンク51を備えている場合であっても、潜水浮体41の大型化を抑制できる。
【0052】
上記実施形態では、潜水浮体41が、海水を貯留可能なバラストタンク46を更に備えている。これにより、バラストの微調整を容易に行うことができる。
【0053】
上記実施形態では、複数のアンカー91と、複数のアンカー91にそれぞれ接続された複数の係留索92と、プラットフォーム43上に設けられて複数の係留索92の長さを調整可能な係留移動装置93と、を備えている。これにより、海底資源揚収設備40の位置を容易に微調整することができると共に、海底資源揚収設備40の位置決めをスラスタ等で行う場合と比較してより小さなエネルギーで行うことが可能となる。
【0054】
上記実施形態では、プラットフォーム43が、第一ムーンプール71と、集鉱機格納部72と、昇降装置73と、スライド台74と、を備えている。これにより、高重量である集鉱機10の格納及び昇降を容易に行うことが可能となる。
【0055】
上記実施形態では、集鉱機格納部72と、分離装置53とは、前後方向Daに離間配置されている。これにより、プラットフォーム43の前後方向Daの重量バランスを良好なものとすることができる。
【0056】
<その他の実施形態>
本開示は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、甲板52として上甲板52aと下甲板52bとを備える場合について説明したが、例えば、これら上甲板52aと下甲板52bとの間に中二階を構成する他の甲板52を設けるようにしてもよい。
【0057】
また、上述した第一ムーンプール71や第二ムーンプール81、これらの周囲の集鉱機格納部72や投入装置格納部82、昇降装置73やデリック83等の配置は、上記配置に限られない。
【0058】
<付記>
実施形態に記載の海底資源揚収設備は、例えば以下のように把握される。
【0059】
(1)第1の態様によれば海底資源揚収設備40は、水面Ws下で前後方向Daに延びるとともに幅方向Dwに離間して一対が設けられた潜水浮体41と、一対の前記潜水浮体41のそれぞれから上方に向かって延びる複数のコラム42と、前記複数のコラム42によって支持されて、平面視で一対の前記潜水浮体41にわたって延びるプラットフォーム43と、を備え、前記プラットフォーム43は、平面視で一対の前記潜水浮体41とそれぞれ重なる位置に設けられて前後方向Daに延びる一対の貯蔵タンク51と、前記貯蔵タンク51の間に設けられて、海底Sfから吸い上げた資源Mrと海水との混合物から資源Mrを分離させる分離装置53と、前記分離装置53から一対の前記貯蔵タンク51に前記資源Mrを搬送する搬送部54と、を備える。
海底の例としては、熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガンクラスト、メタンハイドレートが挙げられる。また、資源Mrの例としては、鉱石が挙げられる。
【0060】
これにより、複数のコラム42を備えることで、水線面と接する断面積を減少させることができるため、海底資源揚収設備40の動揺を少なくすることができる。さらに、一対の貯蔵タンク51が幅方向Dwに離間して配置され、これら貯蔵タンク51に海底Sfにて採取された資源Mrが振り分けられるため、安定的に資源Mrを一時貯留することができる。また、質量の大きい資源Mrを貯留した貯蔵タンク51を、潜水浮体41及びコラム42によって下方から支持できるため、貯蔵タンク51の支持強度を容易に確保できる。したがって、海底Sfから揚収した資源Mrを安定的に一時貯留することができる。
【0061】
(2)第2の態様によれば海底資源揚収設備40は、(1)の海底資源揚収設備40であって、前記貯蔵タンク51は、前記前後方向Daに延びると共に前記資源Mrを上方から投入可能な投入口56を備え、前記搬送部54は、前記分離装置53により分離された前記資源Mrを幅方向Dwに振り分けて搬送可能な第一貯蔵搬送部61と、前記貯蔵タンク51の前記投入口56に沿って前記前後方向Daに延びて、前記第一貯蔵搬送部61により搬送された前記資源Mrを前後方向Daに搬送すると共に前記投入口56に投入可能な第二貯蔵搬送部62と、を備える。
これにより、一対の貯蔵タンク51内に資源Mrを均等に貯蔵させることができる。したがって、海底資源揚収設備40の復原性の低下を抑制できる。
【0062】
(3)第3の態様によれば海底資源揚収設備40は、(1)又は(2)の海底資源揚収設備40であって、前記搬送部54は、前記貯蔵タンク51に貯蔵された前記資源Mrを上方に搬送する第一搬出搬送部63と、前記第一搬出搬送部63によって上方に搬送された前記資源Mrを、前記幅方向Dwに振り分ける第二搬出搬送部64と、前記第二搬出搬送部64によって搬送された前記資源Mrを、前記前後方向Daに搬送する第三搬出搬送部65と、前記第三搬出搬送部65により搬送された前記資源Mrを前記プラットフォーム43の左右外側に払い出すブーム66と、を備える。
これにより、一対の貯蔵タンク51に貯蔵された資源Mrを、プラットフォーム43の幅方向Dwの一方Dw1及び他方Dw2のどちらからでもシャトル船200に積み込みすることができる。したがって、海気象の影響によりシャトル船200への資源Mrの積み込みに支障が生じることを低減できる。
【0063】
(4)第4の態様によれば海底資源揚収設備40は、(1)から(3)の何れか一つの海底資源揚収設備40であって、前記潜水浮体41は、前記海水よりも比重の大きい固定バラスト45を備える。
これにより、バラスト水のみを用いる場合と比較して、同じ質量のバラストをより小さい容積で得ることができるため、潜水浮体41の大型化を抑制できる。
【0064】
(5)第5の態様によれば海底資源揚収設備40は、(1)から(4)の何れか一つの海底資源揚収設備40であって、前記潜水浮体41は、前記海水を貯留可能なバラストタンク46を更に備える。
これにより、バラストの微調整を容易に行うことができる。
【0065】
(6)第6の態様によれば海底資源揚収設備40は、(1)から(5)の何れか一つの海底資源揚収設備40であって、前記海底Sfに複数設置可能なアンカー91と、複数の前記アンカー91にそれぞれ接続された複数の係留索92と、前記プラットフォーム43上に設けられて複数の前記係留索92の長さを調整可能な係留移動装置93と、を備える。
これにより、海底資源揚収設備40の位置決めを、スラスタ等で行う場合と比較してより小さなエネルギーで行うことが可能となる。
【0066】
(7)第7の態様によれば海底資源揚収設備40は、(1)から(6)の何れか一つの海底資源揚収設備40であって、前記プラットフォーム43は、一対の前記貯蔵タンク51の間に設けられ、前記海底Sfで前記資源Mrを集鉱する集鉱機10を上下方向Dvに挿通可能なムーンプール71と、一対の前記貯蔵タンク51の間に設けられ、前記集鉱機10を格納する集鉱機格納部72と、前記ムーンプール71上に設けられて前記集鉱機10を昇降すると共に前記ムーンプール71よりも上方に前記集鉱機10を吊り上げ可能な昇降装置73と、前記集鉱機10を載せて前記ムーンプール71上と前記集鉱機格納部72との間をスライド移動可能なスライド台74と、を備える。
これにより、高重量である集鉱機10の格納及び昇降を容易に行うことが可能となる。
【0067】
(8)第8の態様によれば海底資源揚収設備40は、(7)の海底資源揚収設備40であって、前記集鉱機格納部と、前記分離装置53とは、前記前後方向Daに離間配置されている。
これにより、プラットフォーム43の前後方向Daの重量バランスを良好なものとすることができる。
【符号の説明】
【0068】
10…集鉱機 20…鉱石投入装置 30…揚鉱管 31…往路配管 32…復路配管 40…海底資源揚収設備 41…潜水浮体 42…コラム 43…プラットフォーム 45…固定バラスト 46…バラストタンク 47…トラス構造部 51…貯蔵タンク 52…甲板 53…分離装置 54…搬送部 56…投入口 57…払出装置 57a…垂直コンベア 58…薬剤タンク 61…第一貯蔵搬送部 62…第二貯蔵搬送部 63…第一搬出搬送部 64…第二搬出搬送部 65…第三搬出搬送部 66…ブーム 66a…先端部 66b…基部 71…第一ムーンプール(ムーンプール) 72…集鉱機格納部 73…昇降装置 74…スライド台 81…第二ムーンプール 82…投入装置格納部 83…デリック 84…ライザーラック 85…発電機 87…上部構造 91…アンカー 92…係留索 93…係留移動装置 95…ジブクレーン 100…揚鉱システム 200…シャトル船 Sf…海底 Mr…鉱石 Ws…水面