(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011781
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/90 20190101AFI20250117BHJP
G06F 16/9035 20190101ALI20250117BHJP
【FI】
G06F16/90 100
G06F16/9035
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114101
(22)【出願日】2023-07-11
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.SWIFT
(71)【出願人】
【識別番号】511156058
【氏名又は名称】株式会社アグリメディア
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】西野 剛平
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175EA01
5B175HA01
(57)【要約】
【課題】文章での質問に対して文章で回答する情報処理装置において、学習モデルによる再学習の手間を軽減しつつも、最新の情報を参照した回答を生成し得る情報処理装置を提供する。
【解決手段】 情報処理装置は、文章での質問に対して、文章で回答をする情報処理装置であって、質問と、質問に対する回答との対応関係を学習した学習モデルを記憶する第1記憶部と、前記回答の元となる情報である元情報を記憶する第2記憶部と、ユーザが前記回答の元となり得る追加情報を第3記憶部に登録する登録部と、ユーザからの質問を受け付ける受付部と、前記質問に対する回答を、前記学習モデルを用い、前記元情報と前記追加情報とを参照して生成する生成部と、前記生成部が生成した回答を出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文章での質問に対して、文章で回答をする情報処理装置であって、
質問と、質問に対する回答との対応関係を学習した学習モデルを記憶する第1記憶部と、
前記回答の元となる情報である元情報を記憶する第2記憶部と、
ユーザが前記回答の元となり得る追加情報を第3記憶部に登録する登録部と、
ユーザからの質問を受け付ける受付部と、
前記質問に対する回答を、前記学習モデルを用い、前記元情報と前記追加情報とを参照して生成する生成部と、
前記生成部が生成した回答を出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
少なくともユーザを識別するユーザ識別子を含むユーザのアカウント情報を記憶する第4記憶部と、
少なくともユーザ識別子を含むユーザ情報の入力を受け付けて、ユーザからのアクセスを認証する認証部と、を備え、
前記受付部は、前記認証部によりユーザを認証している場合に、当該ユーザからの質問を受け付け、
前記登録部は、前記ユーザを示すユーザ識別子と対応付けて前記追加情報を登録し、
前記生成部は、前記質問に対する回答を、前記学習モデルを用い、前記元情報と、当該質問をしたユーザのユーザ識別子に対応付けて記憶されている追加情報と、を参照して生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザにより登録された追加情報のうち、当該ユーザが指定する追加情報を前記第3記憶部から削除する削除部を更に備える
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記登録部は、ユーザから当該ユーザが追加した追加情報の参照を他のユーザに許可する許可入力を受け付けて、当該追加情報に他のユーザによる参照を許可する許可情報を対応付けて前記第3記憶部に記憶し、
前記生成部は、前記質問に対する回答を、前記学習モデルを用い、前記元情報と、質問をしたユーザが登録した追加情報と、許可情報が対応付けられている追加情報と、を参照して生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記アカウント情報には、前記ユーザごとに、当該ユーザのランクを示すランク情報が対応付けられており、
前記生成部は、前記質問に対する回答を、前記学習モデルを用い、前記元情報と、質問をしたユーザが登録した追加情報と、受付部が受け付けた質問に対応するユーザのランク以下のユーザが登録した追加情報と、を参照して生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
文章での質問に対して、文章で回答をする情報処理装置のコンピュータが、
質問と、質問に対する回答との対応関係を学習した学習モデルを記憶する第1記憶ステップと、
前記回答の元となる情報である元情報を記憶する第2記憶ステップと、
ユーザが前記回答の元となり得る追加情報を第3記憶部に登録する登録ステップと、
ユーザからの質問を受け付ける受付ステップと、
前記質問に対する回答を、前記学習モデルを用い、前記元情報と前記追加情報とを参照して生成する生成ステップと、
前記生成ステップが生成した回答を出力する出力ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項7】
文章での質問に対して、文章で回答をする情報処理装置のコンピュータに、
質問と、質問に対する回答との対応関係を学習した学習モデルを記憶する第1記憶機能と、
前記回答の元となる情報である元情報を記憶する第2記憶機能と、
ユーザが前記回答の元となり得る追加情報を第3記憶部に登録する登録機能と、
ユーザからの質問を受け付ける受付機能と、
前記質問に対する回答を、前記学習モデルを用い、前記元情報と前記追加情報とを参照して生成する生成機能と、
前記生成機能が生成した回答を出力する出力機能と、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文章での質問に対して文章での回答をする情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生成型AI(Artificial Intelligence)と呼称され、文章での質問や依頼に対して、あたかも人間が回答するような文章で回答をするAIの発展が目覚ましい(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような生成型AIの回答は、あくまで、AIが学習済みのデータに基づいて行われるものであるため、AIの学習済みの知識データの更新がなければ、最新の情報に基づいた回答ができないという問題がある。しかしながら、学習済みの知識データの更新は最新の情報のみとは言え、その情報量は多大かつ多岐にわたるため、更新に時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、学習済みの知識データを更新せずとも、ユーザが所望する回答を生成することが容易な生成型AIを提供する情報処理装置、およびその方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様に係る情報処理装置は、文章での質問に対して、文章で回答をする情報処理装置であって、質問と、質問に対する回答との対応関係を学習した学習モデルを記憶する第1記憶部と、回答の元となる情報である元情報を記憶する第2記憶部と、ユーザが回答の元となり得る追加情報を第3記憶部に登録する登録部と、ユーザからの質問を受け付ける受付部と、質問に対する回答を、学習モデルを用い、元情報と追加情報とを参照して生成する生成部と、生成部が生成した回答を出力する出力部と、を備える。
【0007】
また、上記情報処理装置において、少なくともユーザを識別するユーザ識別子を含むユーザのアカウント情報を記憶する第4記憶部と、少なくともユーザ識別子を含むユーザ情報の入力を受け付けて、ユーザからのアクセスを認証する認証部と、を備え、受付部は、認証部によりユーザを認証している場合に、当該ユーザからの質問を受け付け、登録部は、ユーザを示すユーザ識別子と対応付けて追加情報を登録し、生成部は、質問に対する回答を、学習モデルを用い、元情報と、当該質問をしたユーザのユーザ識別子に対応付けて記憶されている追加情報と、を参照して生成することとしてもよい。
【0008】
また、上記情報処理装置において、ユーザにより登録された追加情報のうち、当該ユーザが指定する追加情報を第3記憶部から削除する削除部を更に備えることとしてもよい。
【0009】
また、上記情報処理装置において、登録部は、ユーザから当該ユーザが追加した追加情報の参照を他のユーザに許可する許可入力を受け付けて、当該追加情報に他のユーザによる参照を許可する許可情報を対応付けて第3記憶部に記憶し、生成部は、質問に対する回答を、学習モデルを用い、元情報と、質問をしたユーザが登録した追加情報と、許可情報が対応付けられている追加情報と、を参照して生成することとしてもよい。
【0010】
また、上記情報処理装置において、アカウント情報には、ユーザごとに、当該ユーザのランクを示すランク情報が対応付けられており、生成部は、質問に対する回答を、学習モデルを用い、元情報と、質問をしたユーザが登録した追加情報と、受付部が受け付けた質問に対応するユーザのランク以下のユーザが登録した追加情報と、を参照して生成することとしてもよい。
【0011】
また、本発明の一実施態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、文章での質問に対して、文章で回答をする情報処理装置のコンピュータが、質問と、質問に対する回答との対応関係を学習した学習モデルを記憶する第1記憶ステップと、回答の元となる情報である元情報を記憶する第2記憶ステップと、ユーザが回答の元となり得る追加情報を第3記憶部に登録する登録ステップと、ユーザからの質問を受け付ける受付ステップと、質問に対する回答を、学習モデルを用い、元情報と追加情報とを参照して生成する生成ステップと、生成ステップが生成した回答を出力する出力ステップと、を実行する。
【0012】
また、本発明の一実施態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、文章での質問に対して、文章で回答をする情報処理装置のコンピュータに、質問と、質問に対する回答との対応関係を学習した学習モデルを記憶する第1記憶機能と、回答の元となる情報である元情報を記憶する第2記憶機能と、ユーザが回答の元となり得る追加情報を第3記憶部に登録する登録機能と、ユーザからの質問を受け付ける受付機能と、質問に対する回答を、学習モデルを用い、元情報と追加情報とを参照して生成する生成機能と、生成機能が生成した回答を出力する出力機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る情報処理装置は、適宜AIに学習させたい情報を追加情報として記憶し、回答をする際に参照させるので、学習済みのデータの再学習を行わずに、AIの知識の更新を行うことができる。その結果、ユーザが欲しい最新の回答を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図3】情報処理装置の追加情報の追加及び削除に係る動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムについて、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0016】
<実施の形態>
以下、図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置について詳細に説明する。
【0017】
図1は、情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。
【0018】
情報処理装置100は、ユーザから文章での質問を受けて、文章で回答を出力する情報処理装置(コンピュータシステム)である。情報処理装置100は、通信により、ユーザの外部の通信端末(例えば、スマートフォンやPC等)からのアクセスにより文章での質問を受け付けて、当該通信端末に対して回答を出力するウェブサーバ型の装置であってもよいし、ユーザから直接質問の入力を受け付けて回答を出力するスタンドアロン型の装置であってもよい。文章での質問とは、何らかの回答を求める文章であって、口語的な文章であってよく、回答を求める文章の他、何らかの成果物の作成を依頼する文章であってもよい。一例として、文章での質問とは、「生成型AIとはなんですか?」とか、「A氏の偉業とはなんですか?」というような質問であってもよいし、「生成型AIとはどのようなものなのか説明してください」とか「A社の過去5年の実績について教えてください」というような依頼であってもよい。別の表現をすれば、文章での質問とは、自然言語による質問であってよい。自然言語とは、人間が日常的に意思疎通や情報の伝達、記録、思考などのために用いる言語のことであってよく、例えば、日本語や英語、中国語、韓国語などであってよいが、これらに限定するものではない。
【0019】
図1に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、入力部120と、制御部130と、記憶部140と、出力部150と、を備える。
【0020】
通信部110は、外部の装置と通信する機能を有する通信インターフェースである。通信部110は、外部の装置と通信できるのであれば、有線、無線を問わない。通信部110は、例えば、情報処理装置100を利用するユーザのユーザ端末から、文章での質問を示す質問情報を受信して、制御部130に伝達してよい。また、制御部130から指示された質問に対する回答を示す回答情報を質問情報を送信してきたユーザ端末に対して送信してよい。
【0021】
入力部120は、情報処理装置100のユーザからの入力を受け付ける。入力部120は、ユーザから文章での質問や依頼の入力を受け付けてよい。入力部120は、受け付けた質問ら依頼内容を示す情報を制御部130に伝達する。入力部120は、情報処理装置100に備えられたキーボードやタッチパネル等により実現されてもよいし、音声による入力を受け付けるためにマイクロフォンにより実現されてもよい。音声による入力を受け付ける場合には、既存の音声解析ソフト等により入力された音声を文字列に変換した文章情報が制御部130に伝達される。
【0022】
制御部130は、情報処理装置100の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部130は、記憶部140に記憶されている各種プログラムを実行して、情報処理装置100としての機能を果たす。制御部130は、各種プログラムを実行することで、受付部131、生成部132、出力部133、登録部134、削除部135、認証部136としての機能を果たす。
【0023】
受付部131は、通信部110あるいは入力部120を介して、文章での質問・依頼を受け付ける。受付部131は、受け付けた質問・依頼の内容を、生成部132に伝達する。
【0024】
生成部132は、受付部131から伝達された質問・依頼に対する回答を生成する。生成部132は、受付部131から伝達された文章での質問・依頼を示す質問情報に対して、学習モデル141を用いて、元情報142を参照して、回答を生成する。即ち、生成部132は、学習モデル141により受付部131から伝達された文章での質問を解析(例えば、構文解析や単語の抽出)し、質問に含まれる単語や文字列との相互関係、文脈を解析し、その結果から元情報142を参照して、回答を生成するために必要となる情報を特定し、特定した情報から回答を生成する。このとき、生成部132は、質問をしてきたユーザに対して利用が許容されている追加情報143がある場合に、元情報142と追加情報143と、を参照して回答を生成する。生成部132は、生成した回答情報を出力部133に伝達する。
【0025】
出力部133は、生成部132により生成された回答情報を出力する。出力部133は、例えば、情報処理装置100の出力部150により回答情報を出力することとしてもよいし、通信部110を介して情報処理装置100に対してアクセスしているユーザの通信端末に送信することで回答情報を出力することとしてもよい。
【0026】
登録部134は、通信部110又は入力部120を介して、ユーザからの指示に基づき、ユーザから入力された文章情報(回答を生成する際に参照される知識情報)を、追加情報として、記憶部140に登録する。登録部134は、ユーザにより追加された追加情報を、当該ユーザを示すユーザ識別子に対応付けて登録することとしてよい。
【0027】
削除部135は、通信部110又は入力部120を介して、ユーザからの指示に基づき、ユーザにより指定された追加情報を、記憶部140から削除する。削除された追加情報は、生成部132により質問に対する回答を生成する際に参照されなくなる。
【0028】
認証部136は、ユーザが情報処理装置100に、ユーザの通信端末を介してアクセスしてきた場合に、当該ユーザの認証を行う。認証部136は、通信部110又は入力部120を介して、ユーザを示すユーザ識別子と、当該ユーザに対応付けられたパスワードとの入力を受け付ける。そして、認証部136は、入力されたパスワードが、ユーザ情報144上で、当該ユーザ識別子に対応付けられているパスワードに一致した場合には、認証成功とし、それ以外の場合は、認証失敗とする。認証成功の場合には、ユーザからの質問を受け付け、認証失敗の場合には、ユーザからの質問を受け付けない。
【0029】
記憶部140は、情報処理装置100が動作上必要とする各種のプログラム及びデータを記憶する機能を有する記憶媒体である。記憶部140は、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリ等により実現することができる。記憶部140は、物理的に複数の異なる記憶媒体により実現されていてもよいし、1つの記憶媒体が、それぞれの記憶領域を異ならせて各種の情報を記憶をするものであってもよい。記憶部140は、質問と、質問に対する回答との対応関係を学習した学習モデル141と、質問に対する回答を生成する際に参照される元情報142と、ユーザにより追加され質問に対する回答を生成する際に参照される追加情報143と、情報処理装置100を利用する各ユーザについての情報を示すユーザ情報144とを記憶していることとしてよい。また、記憶部140は、ユーザから質問を受け付けて学習モデル141を用い、元情報142や追加情報143を参照して質問に対する回答を生成するためのプログラムを記憶していてよい。なお、記憶部140は、情報処理装置100がアクセス可能なクラウドストレージにより実現されてもよい。
【0030】
学習モデル141は、一例として、文章での質問や依頼を示す質問情報と、当該質問や依頼に対して回答すべき回答情報との対応関係を教師データとして学習した学習モデルであってよい。即ち、学習モデル141は、どのような質問に対して、どのように回答すべきかを学習したモデルであってよく、質問文を入力することで、当該質問文に対する回答を推定して生成し、出力するモデルであってよい。学習モデル141は、一例として、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)と呼称される機械学習の自然言語処理モデルであってもよく、これらに類するものであってもよい。したがって、学習モデル141は、膨大な自然言語のデータの中に含まれる単語間の関係を学習したモデルであってよく、入力された自然言語の中に含まれる各単語から当該単語に関連する他の単語を類推して回答を生成するモデルであってもよい。
【0031】
元情報142は、質問に対する回答を生成する際に参照される情報であって、回答の元となる情報を記憶する情報処理装置100にとっての知識データベースである。元情報142は、各種の情報を文章情報として記憶しているものであってよく、文章に限らず画像や音声で記憶されていてもよい。元情報142は、ウェブ上から収集された情報を集積したものであってもよい。また、元情報142は、情報としての辞書的な定義に限定されず、各種の情報を導出するための考え方や手法についての情報を含んでよい。考え方や手法は求められている回答の対象となる情報を算出するための算出式の情報やプログラムのソースコードであってもよい。したがって、例えば、「月の平均売上と偏差を教えて」というような質問に対応できるよう、元情報142には、平均の算出手法についての情報と、偏差の算出手法についての情報が含まれてよく、それぞれの情報は平均という文言の情報と、偏差という文言の情報と関連付けられていてよい。また、例えば、「8月に3万円以上を購入したユーザの名前を一覧表示するSQLを教えて」というような依頼に対応できるよう、元情報142には、SQLの文法の知識(プログラミングの知識、プログラムのコードの生成手法)が含まれてよい。また、例えば、「2022年の売上を顧客別に1ヶ月単位でグラフにして」という依頼に対応できるよう、元情報142は、売上を顧客別に集計する手法についての情報、集計された数値をグラフ化する手法についての情報が含まれてよい。このように元情報142には、問われた質問に対する回答となる情報としての言葉の定義のみならず、回答を導出するための考え方や手法についての情報も含まれているので、生成部132は、受け付けた質問に対する回答を生成することができる。元情報142は、元情報142が作成された作成時以降の情報については含まれない。そのため、質問を受け付けたタイミングによっては、最新の情報が反映されていない回答が出力され得る。最新の情報が反映されるためには再学習が必要になるが、それには学習に使用する元情報142のデータ量に依存した膨大な時間を必要とする。なお、元情報142は、追加情報143との比較のために示しているが、実質的には、学習モデル141に含まれる。学習モデル141は、元情報142を使って学習により得られた膨大なパラメータ群であるということもできる。
【0032】
追加情報143は、ユーザによって追加される情報であって、ユーザが、情報処理装置100に質問した際に、質問に対する回答を生成するにあたって追加で参照される情報のことである。追加情報も文章情報であってよく、画像や音声であってもよい。音声の場合には音声解析により文字列のテキストデータに変換されてもよい。追加情報143は、追加したユーザを示すユーザ識別子に対応付けて記憶され、基本的には、当該ユーザからの質問に対しての回答を生成する際に参照される。追加情報143は、追加したユーザによる参照の許可がある場合、あるいは追加したユーザよりも上位の権限を持つ場合などにあっては、追加したユーザ以外のユーザからの質問に対する回答を生成する際に参照されてもよい。追加情報143としては、元情報142に含まれていない情報を入力することが効果的であり、特に、元情報142が作成されたタイミングよりも後に公開された、あるいは、生成された情報が有効である。例えば、質問が「2023年までの過去30年の売上を年単位で知りたい」というような内容で、仮に、元情報が2022年までの売り上げの情報しかないような場合に、追加情報143として、2023年の売上情報を入力しておけば、生成部132は、当該質問に対する回答を生成できる。また、例えば、「A社の第1開発部の実績を教えて」というような質問に対して、A社内の元情報142には含まれていなさそうな情報であっても、A社の人間がA社に関する情報を追加情報143として追加することで、生成部132は、当該質問に対する回答を生成できるようになる。また、追加情報143として、例えば、新規に開発されたプログラムのソースコード及びその内容を説明した情報を追加すれば、生成部132は、追加された新規のソースコードを真似て、質問の回答を得るためのソースコードを生成することも可能である。なお、追加情報143は、学習モデル141に含まれる元情報142として再学習されることなく利用される。また、追加情報143を利用するにあたって、質問文あるいは依頼文として入力する際に、どの追加情報143を参照するのか、その情報を示す識別情報を指定して、回答を生成する際に利用するように指示してもよい。例えば、追加情報143として、2023年のAの売り上げデータが追加されている場合に、「2021年から2023年までのAの売り上げデータを前年同月比を表形式で出力してください。追加情報として、2023年のAの売り上げデータを参照してください」というように質問(依頼)文に参照して欲しい追加情報を指定してもよい。
【0033】
また、生成部132は、ユーザからの質問や依頼を受けた際に、各追加情報143に含まれる各単語を抽出し、いずれの追加情報143が質問文に関連するかを特定してどの追加情報143を参照するかを自身で特定してもよい。また、追加情報143を追加する際には、単純にユーザから入力されたテキストデータをそのまま記憶するだけでなく、テキストデータと当該テキストデータを数値ベクトル形式に変換した値とを対応付けて記憶することとしてもよい。当該処理は、例えば、登録部により実現されてよい。テキストデータの数値ベクトル形式への変換(自然言語処理(Embedding)ともいう)には、例えば、word2vec等のアルゴリズムを利用することで、ベクトル化することができるが、これに限定するものではなく、例えば、Skip-Gram、Glove、fastTextを利用することとしてもよく、これら以外のアルゴリズムを使用してもよい。そして、質問(依頼)文に示されるテキストデータを同様にベクトル化し、質問(依頼)文のテキストデータのベクトルと、追加情報143のベクトルと、の間の距離を算出して、その距離が所定閾値以内であれば、回答を生成する際に利用する追加情報143として特定することとしてもよい。
【0034】
学習モデル141、元情報142、追加情報143は、生成部132により参照される。また、追加情報143は、登録部134により追加され、削除部135により削除される。
【0035】
ユーザ情報144は、情報処理装置100を利用するユーザに関する情報であって、ユーザのアカウント情報である。ユーザ情報144は、少なくとも、ユーザのユーザ識別子(ログインID)とパスワードとを対応付けた情報であってよく、更には、前述の追加情報143が対応付けられていてもよい。また、更には、各ユーザの個人情報が登録されていてもよい。ユーザ情報144は、主として認証部136により参照される。
【0036】
出力部150は、制御部130からの指示に従って指定された情報を出力する。出力部150は、例えば、情報処理装置100のモニタやスピーカ等により実現されてよい。出力部150は、ユーザがした質問あるいは依頼に対して生成した回答を出力する。出力部150は、ユーザが保持するスマートフォン等の情報処理端末に回答情報を送信し、当該情報処理端末に当該情報を表示させてもよい。
【0037】
なお、ユーザの通信端末は、一般的なスマートフォンや携帯電話、タブレット端末、ノートPC、PCなどと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0038】
<動作>
図2は、情報処理装置100の動作例を示すフローチャートである。
図2に示すフローチャートは、ユーザから質問を受け付けて、回答を出力するまでの処理を示すフローチャートである。
【0039】
図2に示すように、制御部130の認証部136は、ユーザからの情報処理装置100に対するアクセスを受け付ける(ステップS201)。ユーザからのアクセスには、ユーザのユーザ識別子(ログインID)とパスワードの情報が含まれる。認証部136は、受け付けたユーザ識別子とパスワードの対が、ユーザ情報144に登録されているか否かを認証する。登録されている場合には、認証部136は、正規のユーザであると認証し、以降の処理を実行し、登録されていない場合には、正規でないユーザであると認証し、処理を終了する。
【0040】
ユーザが正規のユーザとして認証された場合には、受付部131は、ユーザからの文章での質問を受け付ける(ステップS203)。受付部131は、受け付けた質問を生成部132に伝達する。
【0041】
生成部132は、受付部131から質問を伝達されると、参照可能な追加情報があるか否かを判定する(ステップS204)。即ち、質問をしたユーザを示すユーザ識別子に対応付けられた追加情報143が記憶部140に記憶されているか否かを判定する。
【0042】
参照可能な追加情報がある場合に(ステップS204のYES)、即ち、過去にユーザが自身で追加情報を登録したことがある場合に、生成部132は、元情報142と追加情報143とを参照して、学習モデル141を用いて、質問に対する回答を生成する(ステップS205)。一方で、参照可能な追加情報がない場合に(ステップS204のNO)、即ち、過去にユーザが自身で追加情報を登録したことがない場合に、生成部132は、元情報142を参照して、学習モデル141を用いて、質問に対する回答を生成する(ステップS206)。生成部132は生成した回答情報を、出力部133に伝達する。
【0043】
出力部133は、生成部132から回答情報を伝達されると、通信部110または出力部150を介して回答情報を出力し(ステップS207)、処理を終了する。これにより、情報処理装置100は、ユーザからの文章による質問に対して、文章による回答を返す対話型であって、生成型のAIとして機能することができる。
【0044】
図3は、情報処理装置100において、追加情報の登録及び削除処理の動作例を示すフローチャートである。なお、
図3に示す処理は、ユーザが正規のユーザとして認証されている状態での処理である。
【0045】
図3に示すように、情報処理装置100の通信部110又は入力部120は、ユーザからの入力を受け付ける。制御部130は、ユーザから受け付けた情報が、追加情報であるか否かを判定する(ステップS301)。ユーザから受け付けた情報が追加情報である場合に、登録部134は、当該ユーザを示すユーザ識別子に対応付けて、受け付けた追加情報を追加情報143として記憶部140に登録(記憶)させる(ステップS302)。
【0046】
一方で、受け付けた情報が追加情報でない場合に(ステップS301のNO)、ユーザから追加情報の削除依頼を受け付けているか否かを判定する(ステップS303)。削除依頼を受け付けていない場合には(ステップS303のNO)、処理を終了する。
【0047】
追加情報の削除依頼を受け付けている場合には(ステップS303のYES)、当該ユーザに対応付けられている追加情報143であって、ユーザが指定している追加情報143を記憶部140から削除し(ステップS304)、処理を終了する。
【0048】
これによって、情報処理装置100にあっては、元情報142を更新することなく、新たな知識(追加情報)を参照した回答を生成することができる。また、追加した情報も、不要となった場合には、簡単に削除することができる。
【0049】
<まとめ>
本実施形態に係る情報処理装置100によれば、ユーザは、情報処理装置100が回答を生成する際に使用可能な追加情報を自ら登録することができる。当該追加情報の登録は、単純に文章情報を記憶させるだけであるので、元情報142を更新する処理に比べれば、時間はかからず、また、その時々で、追加したいちょっとした情報を登録するだけなので、処理も容易である。また、この追加情報は、不要となったり、あるいは間違った情報を登録したりした場合にも、簡単に削除することができるので、元情報142を更新する処理に比べれば、時間はかからず、その処理内容か簡易である。したがって、情報処理装置100は、ユーザにより簡単に登録された追加情報により当該ユーザに対して、より多岐にわたる回答を出力することができるようになるので、ユーザにとって利便性の高い情報処理装置100を提供することができる。
【0050】
<補足>
上記実施の形態に係る情報処理装置100は、上記実施の形態に示した態様に限定するものではない。以下、各種変形例について説明する。
【0051】
(1) 上記実施の形態においては、ユーザの認証が行われている場合に、情報処理装置100の利用を可能としているが、ユーザの認証は必須ではない。このとき、追加情報の登録は、ユーザの認証が行われている場合にのみ、可能であるとしてもよいし、認証が行われていない場合でも登録が可能としてもよい。認証が行われていない状態で登録される追加情報は、全てのユーザにより参照されることとしてよい。
【0052】
(2) 上記実施の形態においては、追加情報は、追加したユーザからの質問に対する回答を生成する際にのみ参照される構成を説明したが、これはその限りではない。追加情報は、当該追加情報を追加したユーザが許可している場合に、他のユーザによっても参照可能に登録されてよい。即ち、各追加情報には、登録したユーザによって他のユーザの参照が可能か否かを示す許容フラグが対応付けられてもよく、許容フラグが許容することを意味する情報になっている場合に、生成部132により全てのユーザからの質問に対する回答を生成する際に参照され、許容フラグが許容しないことを意味する情報になっている場合には、登録したユーザからの質問に対してのみ回答を生成する際に参照される。この許容フラグは、追加情報の登録後に設定されてもよいし、変更されてもよい。
【0053】
当該処理を実現するにあたって、制御部130の生成部132は、
図2に示すフローチャートのステップS204の処理において、追加情報143に対応付けられている許容フラグが参照することを許容することを示す追加情報143を抽出し、元情報142と合わせて、ユーザの質問に対する回答を生成することとしてよい。
【0054】
また、追加情報は、ユーザのランクによって参照、非参照が切り替えられてもよい。即ち、ユーザ情報144には、各ユーザ毎に情報処理装置100を利用する上でのランク(権限)が設定されてもよい。そして、ランクが高いほど、より多くの情報が参照できるように設定されてよく、生成部132は、ランクの高いユーザからの質問に対する回答を生成する際には、当該ランクの高いユーザよりも相対的にランクが低いユーザが登録した追加情報も参照して、回答を生成するように構成されてもよい。なお、ランクの低いユーザからの質問に対する回答を生成する際には、当該ランクの低いユーザよりも相対的にランクが高いユーザが登録した追加情報は参照されない。
【0055】
当該処理を実現するにあたって、制御部130の生成部132は、
図2に示すフローチャートのステップS204の処理において、質問をしたユーザのランクをユーザ情報144から特定し、各追加情報143を登録したユーザそれぞれのランクと比較して、質問をユーザのランクよりも低いユーザの追加情報143を抽出し、元情報142と合わせて、ユーザの質問に対する回答を生成することとしてよい。したがって、例えば、とある会社内において、ランクがユーザの役職によって定まる場合に、平社員が参照可能な追加情報と、課長職以上ではじめて参照可能となる追加情報、部長職以上ではじめて参照可能となる追加情報などを設定できる。その結果、同じ学習モデル141を使用しながらも、追加情報143を参照可能な権限に応じて、情報処理装置100は異なる回答を生成し得る。その結果、例えば、平社員では、知り得ない情報についても、部長職以上のユーザには正確な回答を生成することができる情報処理装置100を提供することができる。
【0056】
(3) 上記実施の形態においては、ユーザによって追加情報が登録されているか否かを判定しているが(ステップS204参照)、当該判定はせずともよく、生成部132は、元情報142とユーザに対応付けられている追加情報143を探索して、回答を生成するように構成されてもよい。
【0057】
(4) 情報処理装置100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、情報処理装置100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラム及び各種情報がコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。すなわち、本発明に係る情報処理装置100は、CPUがRAM上にロードされたプログラムを実行することにより、上述した各構成部として機能する。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれた情報信号の形態でも実現され得る。
【0058】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)、Python、Rubyなどのスクリプト言語、C言語、C++、C#、Objective-C、Swift、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装されてよい。さらに、特許請求の範囲における「部(section、module、unit)」との記載は、「手段」や「回路」に読み替えてもよい。例えば、通信部は、通信手段や通信回路に読み替えることができる。また、上記仮想現実空間及び仮想現実空間を利用した情報処理のためのプログラムは、Unityのゲームエンジンを利用して、作成されてもよい。
【0059】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、情報処理装置100に提供されてもよい。
【0060】
(5) 上記実施の形態に示した各処理は、上記実施の形態に示した効果と同等の効果を実現できれば、適宜、その処理順序や処理タイミングを変更可能である。
【符号の説明】
【0061】
100 情報処理装置
110 通信部
120 入力部
130 制御部
131 受付部
132 生成部
133 出力部
134 登録部
135 削除部
136 認証部
140 記憶部
150 出力部