(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011792
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】断熱容器及び断熱容器を用いた運搬方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B65D81/38 F
B65D81/38 Q
B65D81/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114119
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】517447965
【氏名又は名称】株式会社ENEOSサンエナジー
(71)【出願人】
【識別番号】000244084
【氏名又は名称】明星工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523265375
【氏名又は名称】株式会社望月塗料興業
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】飯守 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘
(72)【発明者】
【氏名】山城 博隆
(72)【発明者】
【氏名】毛利 健吾
(72)【発明者】
【氏名】中川 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】望月 健司
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB41
3E067AB81
3E067AB99
3E067AC01
3E067AC03
3E067BA05A
3E067BB02C
3E067BB17B
3E067BC06B
3E067BC06C
3E067CA18
3E067EA32
3E067EB17
3E067EB27
3E067FA03
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA11
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】保温性の低下を抑制することができると共に、軽量な断熱容器1を提供する。
【解決手段】本発明に係る断熱容器1は、矩形状の底面部110と、前記底面部110に対して垂直方向に連設され、前記底面部110と共に収納空間103を形成する4つの側面部140と、からなる収納部100と、前記収納部100における天面に嵌合し、前記収納部100に対して蓋をする天面蓋部と、を有する断熱容器1であって、前記天面蓋部210には、矩形状の真空断熱材(212)が用いられており、前記天面蓋部210が前記収納部100の天面に嵌合したとき、前記天面蓋部210における真空断熱材(212)の周縁部(218)が、前記側面部140における発泡断熱材(141)と当接する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底面部と、前記底面部に対して垂直方向に連設され、前記底面部と共に収納空間を形成する4つの側面部と、からなる収納部と、
前記収納部における天面に嵌合し、前記収納部に対して蓋をする天面蓋部と、
前記収納部内に配される蓄熱材と、を有する断熱容器であって、
前記天面蓋部には、矩形状の真空断熱材が用いられており、前記天面蓋部が前記収納部の天面に嵌合したとき、前記天面蓋部における真空断熱材の周縁部が、前記側面部における発泡断熱材と当接する断熱容器。
【請求項2】
前記収納部の少なくとも一部は、外側から内側へと順に、発泡断熱材、真空断熱材、発泡断熱材、複合シート材、蓄熱材が配される請求項1に記載の断熱容器。
【請求項3】
前記天面蓋部の少なくとも一部は、外側から内側へと順に、発泡断熱材、真空断熱材、蓄熱材が配される請求項1又は請求項2に記載の断熱容器。
【請求項4】
前記蓄熱材は、パラフィン系化合物を主成分とする請求項1又は請求項2に記載の断熱容器。
【請求項5】
前記真空断熱材は、グラスウールの芯材を気密状態に保持するガスバリア性フィルムを含む請求項1又は請求項2に記載の断熱容器。
【請求項6】
前記真空断熱材は、前記芯材と共に、水分吸着剤とガス吸着剤とが前記ガスバリア性フィルムによって気密状態に保持される請求項5に記載の断熱容器。
【請求項7】
前記ガスバリア性フィルムは、ガスバリア層を含み、前記ガスバリア層が樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの一方の面に配されるアルミニウム蒸着膜と、前記樹脂フィルムの他方の面に配されるアルミニウム箔とを有する請求項5又は請求項6に記載の断熱容器。
【請求項8】
前記複合シート材が、フィルム層と、金属箔層と、前記フィルム層と前記金属箔層とを貼り合わせる粘着層とを含む請求項3に記載の断熱容器。
【請求項9】
前記天面蓋部が前記収納部の天面に嵌合したとき、前記天面蓋部における真空断熱材が、前記側面部におけるパッキン材と当接する請求項2又は請求項3に記載の断熱容器。
【請求項10】
請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載の断熱容器に物品を収納する工程と、
物品が収納された断熱容器を段ボールに梱包する工程と、
段ボールに梱包された断熱容器を輸送する工程と、を含む断熱容器を用いた運搬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、ワクチン、人工臓器、食品、半導体および半導体製造に関する設備等の物品を収容すると共に、当該物品を保温した状態で運搬するために好適に用い得る断熱容器、及びその断熱容器を用いた運搬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡性の樹脂材料で収容本体部と、この本体部に蓋をする蓋部とで構成された断熱容器が知られており、このような断熱容器を物品の保管や輸送に供することが行われている。このような断熱容器の一例として、特許文献1(特開2019-137458号公報)には、内側断熱層と外側断熱層との間に真空断熱層が配された、少なくとも3層の積層構造を有する断熱容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるように、断熱容器においては、発泡性樹脂材料で構成される断熱層に加えて、効率のよい真空断熱層を設けることにより保温効果を高めることが行われている。ところで、断熱容器における保温効果を低下させる要因の一つしては、物品を収納する容器部本体部分に蓋部分が嵌合した際に形成される隙間での熱交換を挙げることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の発明においては、断熱容器10の容器本体1に物品を収納して、開閉蓋部3で蓋をした際に形成される隙間での熱交換を抑制させるために、前記のような効率的な真空断熱層を、どのように有効的に寄与させるかについての開示はなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、断熱容器における隙間での熱交換を抑制させることができる断熱容器、及びそのような断熱容器を用いた運搬方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る断熱容器は、矩形状の底面部と、前記底面部に対して垂直方向に連設され、前記底面部と共に収納空間を形成する4つの側面部と、からなる収納部と、前記収納部における天面に嵌合し、前記収納部に対して蓋をする天面蓋部と、前記収納部内に配される蓄熱材と、を有する断熱容器であって、前記天面蓋部には、矩形状の真空断熱材が用いられており、前記天面蓋部が前記収納部の天面に嵌合したとき、前記天面蓋部における真空断熱材の周縁部が、前記側面部における発泡断熱材と当接することができる。
【0008】
また、本発明の一態様に係る断熱容器は、前記収納部の少なくとも一部は、外側から内側へと順に、発泡断熱材、真空断熱材、発泡断熱材、複合シート材、蓄熱材が配される。
【0009】
また、本発明の一態様に係る断熱容器は、前記天面蓋部の少なくとも一部は、外側から内側へと順に、発泡断熱材、真空断熱材、蓄熱材が配される。
【0010】
また、本発明の一態様に係る断熱容器は、前記蓄熱材は、パラフィン系化合物を主成分とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係る断熱容器は、前記真空断熱材は、グラスウールの芯材を気密状態に保持するガスバリア性フィルムを含む。
【0012】
また、本発明の一態様に係る断熱容器は、前記真空断熱材は、前記芯材と共に、水分吸着剤とガス吸着剤とが前記ガスバリア性フィルムによって気密状態に保持される。
【0013】
また、本発明の一態様に係る断熱容器は、前記ガスバリア性フィルムは、ガスバリア層を含み、前記ガスバリア層が樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの一方の面に配されるアルミニウム蒸着膜と、前記樹脂フィルムの他方の面に配されるアルミニウム箔とを有する。
【0014】
また、本発明の一態様に係る断熱容器は、前記複合シート材が、フィルム層と、金属箔層と、前記フィルム層と前記金属箔層とを貼り合わせる粘着層とを含む。
【0015】
また、本発明の一態様に係る断熱容器は、前記天面蓋部が前記収納部の天面に嵌合したとき、前記天面蓋部における真空断熱材が、前記側面部におけるパッキン材と当接する。
【0016】
また、本発明の一態様に係る断熱容器を用いた運搬方法は、前記のいずれかに記載の断熱容器に物品を収納する工程と、物品が収納された断熱容器を段ボールに梱包する工程と、段ボールに梱包された断熱容器を輸送する工程と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様に係る断熱容器は、前記天面蓋部には、矩形状の天面蓋部真空断熱材が用いられており、前記天面蓋部が前記収納部の天面に嵌合したとき、前記天面蓋部真空断熱材の周縁部が、前記側面部における発泡断熱材と当接するように構成されているので、本発明の一態様に係る断熱容器によれば、天面蓋部に設けられる真空断熱材によって、収納部との天面蓋部との間に形成される隙間での熱交換を抑制することができ、断熱容器の保温性の低下を防止することが可能となる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る断熱容器を用いた運搬方法は、前記のいずれかに記載の断熱容器に物品を収納する工程と、物品が収納された断熱容器を段ボールに梱包する工程と、段ボールに梱包された断熱容器を輸送する工程と、を含むことができ、このような運搬方法によれば、対象物品の温度を維持しつつ、対象物品の運搬のための輸送コストを抑制することができる。
【0019】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る断熱容器1の概略を一部分解して示す斜視図である。
【
図3】真空断熱材20で用い得るガスバリア性フィルム25の断面構造を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る断熱容器1の収納部100と天面蓋部210を分けて示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る断熱容器1の収納部100と天面蓋部210を分けて示す断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る断熱容器1の収納部100に天面蓋部210が嵌合した状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る断熱容器1の収納部100と天面蓋部210の一部拡大図である。
【
図9】各実施例に係る断熱容器1の高温環境(外気温度35℃)想定試験の結果を示す図である。
【
図10】各実施例に係る断熱容器1の低温環境(外気温度5℃)想定試験結果を示す図である
【
図11】各実施例に係る断熱容器1の座屈強度試験の結果を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0022】
図1は本発明の実施形態に係る断熱容器1の概略を一部分解して示す斜視図である。
図1は、断熱容器1の概略の構成と、それぞれの構成がどのような素材でできているかを中心に説明することを意図している。断熱容器1を構成する各部位の名称は、
図6及び
図7に関連して説明する。
【0023】
本実施形態に係る断熱容器1は、医薬品、食品等の物品を収容すると共に、当該物品を保温した状態で運搬するために好適に用い得る。このような断熱容器1は、例えば段ボール箱5に梱包され航空貨物として輸送されることなどが想定される。本実施形態に係る断熱容器1の用途がこれに限定されるわけではないが、本実施形態に係る断熱容器1が航空貨物用として用いられる場合には、高い保温性能が求められると共に、航空運賃を抑制するためにも軽量であることが求められる。本実施形態に係る断熱容器1で用いられる各素材は、断熱容器1としてのコストを抑えつつ、断熱容器1の軽量化に資するように選択されている。
【0024】
断熱容器1においては、収納される物品等は6枚の蓄熱材50に6面から囲まれるようにして収納される。断熱容器1は、収納部100と、この収納部100に嵌合して収納対象の物品等に蓋をする天面蓋部210とから構成することができる。なお、本実施形態に係る断熱容器1においては、収納部100と天面蓋部210とが独立した構成とされているが、収納部100と天面蓋部210とをヒンジ構造で連結するように構成することもできる。
【0025】
本実施形態に係る断熱容器1に用い得る蓄熱材50としては、収納対象の物品等の保冷、保温用途に潜熱蓄熱方式を用いた蓄熱材を用い得る。潜熱蓄熱方式では、様々な公知の方法が知られており、例えば冷蔵温度帯以下の一定温度に保つ場合には、ポリアクリル酸ナトリウム等の高吸湿性の高分子樹脂に水と添加物を含ませ、ゲル状にしたものを用い得る。また、冷蔵温度帯以上の一定温度に保つ場合には、各種パラフィンや酢酸ナトリウム三水塩、硝酸塩、硫酸塩、ポリエチレングリコール等を主成分とし、これに添加物を適宜調合して、相転移が起きる凝固点、融解点を所定温度になるように調整したものを持ち得る。本実施形態に係る断熱容器1においては、例えばパラフィン系やポリエチレングリコール系の化合物、無機塩材料を主成分とする潜熱蓄熱方式を用いた蓄熱材を使用している。本明細書において「主成分」とは、ある物質を構成している成分のうち、重量の割合で50%以上を占めるものと定義する。
【0026】
本実施形態に係る断熱容器1の収納部100の少なくとも一部は、外側から内側へと順に、発泡断熱材10、真空断熱材20(
図1に不図示)、発泡断熱材10(
図1に不図示)、複合シート材40、蓄熱材50が配され得る。また、天面蓋部210の少なくとも一部は、外側から内側へと順に、発泡断熱材10、真空断熱材20、蓄熱材50が配され得る。
【0027】
本実施形態に係る断熱容器1における容積的に多くを占める材料としては、発泡断熱材10を用い得る。発泡断熱材10には、ポリスチレンフォーム、ポリオレフィンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノールフォーム又はポリ塩化ビニルフォームであってよい。ポリオレフィンフォームは、例えば、ポリエチレンフォーム又はポリプロピレンフォームを用いることができる。
【0028】
本実施形態に係る断熱容器1においては、パネル状の真空断熱材20が用いられる。この真空断熱材20は、対向する2つの主面における熱伝導性は良好とされる一方で、2つの主面の間の、真空断熱材20の厚み方向においては断熱性が高くされている。このような真空断熱材20について説明する。
【0029】
図2は真空断熱材20の断面の模式図である。真空断熱材20は、芯材21と、芯材21を気密状態に保持するガスバリア性を有するフィルム25とから構成することができる。フィルム25の中には、芯材21と共に、水分、ガス等を吸着する吸着剤22を封入して経時的に芯材21から発生するアウトガスまたは、フィルム25同士のヒートシール部(熱溶着層26)等から浸入するガスを吸収する構成にしてもよい。
【0030】
真空断熱材20は、シール層31を有するフィルム25よりなる袋体に芯材21を収納し、内部を減圧状態で密封した真空断熱材を、その全体又は未溶着部分を常圧下で加熱して前記袋体の未溶着部を熱溶着(ヒートシール)し、熱溶着層26とすることにより製造され得る。
【0031】
真空断熱材20に用いる芯材21はグラスウールと有機バインダーとを含むことができる。芯材21は、グラスウールと有機バインダーからなるグラスウールマットであってもよく、グラスウールマット1枚からなる単層体であっても、グラスウールが2以上10枚以下積層された積層体であってもよい。グラスウールの平均繊維径は2μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは2.5μm以上8μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上7μm以下である。また、有機バインダーはフェノール樹脂を主成分とする樹脂や、アクリル樹脂を主成分とする樹脂を用いることができる。
【0032】
また、真空断熱材20に用いる芯材21としては、グラスウール、有機バインダー以外に、例えば、シリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体等の繊維体等の多孔質体を使用してもよい。
【0033】
ガスバリア性を有するガスバリア性フィルム25は、ガスバリア性を有していれば特に制限されないが、以下、ガスバリア性フィルム25の一例を説明する。
図3は真空断熱材20で用い得るガスバリア性フィルム25の断面構造を示す模式図であり、
図2の点線で囲まれた部分を拡大したものである。真空断熱材20に用いられるガスバリア性フィルム25は、芯材21に接する側から順にシール層31、ガスバリア層32及び保護層33を積層した構造を有することができる。ガスバリア性フィルム25には、シール層及びガスバリア層を予め積層した多層フィルムを含めることができる。
【0034】
ガスバリア性フィルム25の厚みは、特に制限されないが、損傷や真空度の低下を防ぐため、従来用いられているものよりも厚いフィルム、例えば、厚み50μm以上150μm以下のものを使用するのが好ましく、より好ましくは55μm以上135μm以下であり、さらに好ましくは60μm以上120μm以下である。
【0035】
ガスバリア層32は、ガスの透過を抑制する層であり、真空断熱材20の真空度の低下を防ぐ観点から設けられる。ガスバリア層32としては、金属箔や、樹脂フィルム上に金属等を蒸着した積層フィルム(蒸着膜フィルム)等が挙げられる。金属箔の金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄等が挙げられ、好ましくはアルミニウムである。蒸着膜は、蒸着法、スパッタ法等により、アルミニウム、ステンレス、コバルト、ニッケル等の金属又はシリカ、アルミナ、若しくはこれらの組み合わせを蒸着させて形成したものが挙げられる。
【0036】
上記の蒸着膜フィルムの基材となる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン・アジピン酸縮合体等のポリアミド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル酸エステル樹脂とメチルメタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール樹脂及びこれを部分ケン化したもの等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂から製造されるフィルムが挙げられる。
【0037】
ガスバリア層32は、好ましくはエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂上にアルミ蒸着を行った蒸着膜フィルム、又はPET樹脂上にアルミ蒸着やシリカ蒸着を行った蒸着膜フィルム、又はアルミニウム箔、又はこれらの積層構造である。ガスバリア層32に用いられる金属箔や蒸着膜フィルムは市場で一般的に入手することができるか、又は調製することができる。
【0038】
本実施例においてはガスバリア層32としては、周囲からの熱漏出の低減のために、一方の面にアルミニウムの蒸着膜を設けた蒸着膜フィルムであって、アルミニウムの蒸着膜が設けられていない、他方の面には気体透過性を下げるためにアルミニウム箔を設けたものを用いた。ガスバリア層32の厚みは、特に制限されないが、蒸着膜フィルムの場合には、蒸着膜の厚みが200Å以上2000Å以下であることが好ましく、アルミニウム箔などの金属箔は、5μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0039】
真空断熱材20のシール層31としては、融点温度が比較的低い樹脂が使われ、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)のいずれかのプラスチックフィルム、又はこれらのプラスチックフィルムの積層フィルムを使用することができる。この熱溶着層26の厚みは、5μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0040】
真空断熱材20の保護層33としては、耐熱温度が高く、刃物などの鋭利なものによる突き刺しに対して強い樹脂が用いられる。保護層33の樹脂には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の芳香族ポリエステル系樹脂や、ナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン・アジピン酸縮合体等のポリアミド樹脂を用いることができる。
【0041】
吸着剤22の形態(形状)は、特に限定されず、粉体、ペレット、またはタブレット等であってもよい。吸着剤22は水分を主に吸着する吸着剤と、外部より浸透する大気ガスを主に吸着する吸着剤に分けて封入すると良く、その材料は特に限定されない。例えば、吸着剤22としては、酸化カルシウム、シリカゲル、ゼオライト等を挙げることができる。
【0042】
吸着剤22は吸着剤パックとしてパッケージしてもよい。吸着剤パックは、吸着剤がガス透過性シートからなる袋体に封入されたものを用いることができる。ガス透過性シートとしては、例えばプラスチック繊維からなる不織布、和紙等を挙げることができる。
【0043】
本実施形態に係る断熱容器1においては、複合シート材40を用いることにより、断熱容器1の物品等が収納される空間(収納空間103)内の温度変化を抑制するようにしている。この複合シート材40は、金属を含みつつも、プラスチック製のベースフィルムが用いられており、アルミニウムなどの金属単体の部材を用いるよりも、断熱容器1の軽量化を図ることができる。
【0044】
図4は複合シート材40の断面の模式図である。複合シート材40は、例えば、フィルム層41と、前記フィルム層41上に設けられた粘着層42と、前記粘着層42上に設けられた金属箔層43と、を備えるものを用いることができる。
【0045】
フィルム層41は、機械的強度を有するものであれば特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、トリアセテートセルロース(TAC)、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、FEP、ETFE、PCTFE、PVDF、PVF)、ポリフェニルサルファイド(PPS)、ポリエチレン及びポリプロピレン(PP)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0046】
粘着層42を形成する粘着剤としては、常温貼合が可能なものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤及びオレフィン系粘着剤等が挙げられる。これらの粘着剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
金属箔層43としては、銅、ステンレス、黄銅、銀、アルミニウム、ニッケル及びチタンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、金属箔層43としては、熱伝導性の観点から、アルミニウム、銅、ステンレス及び黄銅からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0048】
本実施形態に係る断熱容器1の収納部100の少なくとも一部には、パッキン材60が用いられている。このパッキン材60は、天面蓋部210が収納部100の天面に嵌合したとき、収納部100と、天面蓋部210における真空断熱材20との間に位置することで、熱の流出入を防止することができる。パッキン材60には、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴムなどの密閉性及び耐久性の高い弾性部材が適している。
【0049】
次に、本実施形態に係る断熱容器1の積層構造の詳細について、
図5乃至
図7を参照して説明する。
図5は本発明の実施形態に係る断熱容器1の収納部100と天面蓋部210を分けて示す斜視図である。また、
図6は本発明の実施形態に係る断熱容器1の収納部100と天面蓋部210を分けて示す断面図である。また、
図7は本発明の実施形態に係る断熱容器1の収納部100に天面蓋部210が嵌合した状態を示す断面図である。ここでの断面図は断熱容器1の底面部110を水平面に置いたとき、当該水平面に対して垂直な線を含む面できって見た断面を示す図である。
【0050】
本実施形態に係る断熱容器1は、矩形状の底面部110と、この底面部110に対して垂直方向に連設され、前記底面部110と共に収納空間103を形成する4つの側面部140と、からなる収納部100と、この収納部100における天面に嵌合し、前記収納部100に対して蓋をする天面蓋部210と、を有するものである。
【0051】
前記収納部100における底面部110の少なくとも一部は、外側から内側へと順に、底面部外側発泡断熱材111、底面部真空断熱材112、底面部内側発泡断熱材113、底面部複合シート材114、底面部蓄熱材115が配されている。
【0052】
また、前記収納部100における側面部140の少なくとも一部は、外側から内側へと順に、側面部外側発泡断熱材141、側面部真空断熱材142、側面部内側発泡断熱材143、側面部複合シート材144、側面部蓄熱材145が配されている。側面部外側発泡断熱材141、側面部真空断熱材142、側面部内側発泡断熱材143、側面部複合シート材144、側面部蓄熱材145はいずれも、例えば側面部の四方を、それぞれ独立した4枚の部材で構成し、これらを繋ぎ合わせるように作成することができる。また、このように作成する以外に、側面部全体を一枚の部材で構成し、これに適宜3箇所に溝などの易折り曲げ部を設け、折って天面視でロ字状とするような作成方法を採用することもできる。
【0053】
また、前記天面蓋部210の少なくとも一部は、外側から内側へと順に、天面蓋部発泡断熱材211、天面蓋部真空断熱材212、天面蓋部蓄熱材215が配されている。
【0054】
天面蓋部210には、矩形状の天面蓋部真空断熱材212が用いられており、前記天面蓋部210が前記収納部100の天面に嵌合したとき、前記天面蓋部210における天面蓋部真空断熱材212の周縁部(天面蓋部真空断熱材周縁部218)が、前記側面部140における発泡断熱材(側面部外側発泡断熱材141)と当接するようになっている。
【0055】
パネル状の真空断熱材20は、対向する2つの主面における熱伝導性は良好とされる一方で、2つの主面の間の、真空断熱材20の厚み方向においては断熱性が高くされている。また、真空断熱材20は、重さあたりの断熱性能に優れている。このような真空断熱材20は、天面蓋部210の一部として用いられることで、断熱容器1自体の軽量化、保温性能の高さに資する。
【0056】
図8は本発明の実施形態に係る断熱容器1の収納部100と天面蓋部210の一部拡大図であり、
図7の点線で囲まれた部分を拡大したものである。
図7において、一点鎖線で示す経路A-Bは、断熱容器1における収納空間103と、断熱容器1の外の空間との間に形成される隙間を示している。
【0057】
上記のような隙間のうち、天面蓋部真空断熱材212の周縁部(天面蓋部真空断熱材周縁部218)が形成する隙間については、当該周縁部に対向するようにして、側面部140における発泡断熱材(側面部外側発泡断熱材141)が当接するようにされており、当該周縁部からの熱の出入りを抑制することができる。このように本実施形態に係る断熱容器1は、保温性能が高い天面蓋部真空断熱材212の周縁部(天面蓋部真空断熱材周縁部218)が、側面部外側発泡断熱材141によって保護されるレイアウトとなっている。
【0058】
また、
図8に示される経路A-B中に示されるように、天面蓋部210が収納部100の天面に嵌合したとき、天面蓋部真空断熱材212は、側面部140における側面部パッキン材160と当接することで、真空断熱材からの熱の流出入を抑制できるようになっている。
【0059】
このように本実施形態に係る断熱容器1によれば、収納部100との天面蓋部210との間に形成される隙間での熱交換を抑制することができ、断熱容器1の保温性の低下を防止することが可能となる。
【0060】
本実施形態に係る断熱容器1を用いた運搬方法では、上記のような断熱容器1に物品等を収納して、物品等が収納された断熱容器1を段ボール5に梱包し、当該段ボール5に梱包された断熱容器1を航空貨物などとして輸送することを想定している。
【0061】
本実施形態に係る断熱容器1を用いた運搬方法によれば、軽量で保温性能が高い断熱容器1が利用されることで、特に航空貨物運賃におけるコストを抑制した運搬を行うことが可能となる。
【0062】
本実施形態に係る断熱容器1を試作して性能試験を行ったので、以下に実施例として説明する。実施例に係る断熱容器1は3種類作成した。それぞれの断熱容器1を実施例1、実施例2、実施例3に係る断熱容器1と称することがある。それぞれの断熱容器1の特徴は以下の通りである。
実施例1:軽量化と断熱性能のバランスを重視した断熱容器1の実施例。
実施例2:軽量化を重視した断熱容器1の実施例。
実施例3:断熱性能を重視した断熱容器1の実施例。
【0063】
表1に各実施例に係る断熱容器1の寸法・重量・熱抵抗(収納部100)を示す。いずれの実施例の断熱容器1も、重量の比較で、市場で流通している断熱容器より10%以上の軽量化を図ることができた。また、表2に各実施例に係る断熱容器1の収納部100における断熱指数の比較を示す。
【表1】
【表2】
【0064】
次に、全ての実施例に係る断熱容器1で共通に用いた発泡断熱材の特徴について説明する。実施例に係る断熱容器1では、発泡断熱材として、熱伝導率が小さく、環境に配慮した発泡剤(HFO:ハイドロフロオロオレフィン)を使用したウレタンフォームを用いた。HFO発泡剤ウレタンフォームは、独立した気泡の中に熱伝導率が極めて低いガス(フォームを形成する際の発泡剤でもある)が閉じ込められるため、優れた断熱性能を有しており、また常温~-162℃の液化天然ガスプラントまで幅広い温度域で使用可能な断熱材である。HFOの利点は、地球温暖化係数が低いのに加えてガス自体の断熱性能(熱伝導率)がフロン類のHFC(ハイドロフロオロカーボン)と同等以上であることである。
【0065】
次に、実施例1~実施例3に係る断熱容器1で用いた蓄熱材の特徴について説明する。蓄熱材としては、株式会社ENEOSサンエナジー提供によるエコジュール(登録商標)を用いた。蓄熱材は、ノルマルパラフィン質量90%と、ゲル化剤であるCEBC10質量%とをラミネートフィルムによってパッキングしたものである。CEBCはオレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体が化学品名であり、CAS登録番号は、CAS No68954-09-6である。また、当該ラミネートフィルムには、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム、無延伸ポリプロピレン(CPP)を積層したものを用いることができる。一つの蓄熱材の寸法は、300mm×200mm×20mm(厚み)とすることができる。
【0066】
上記のような実施例1~実施例3に係る断熱容器1を用いて、高温環境(外気温度35℃)想定試験、及び低温環境(外気温度5℃)を実施したので、結果を
図9及び
図10に示す。
【0067】
各環境想定試験の手順について説明する。高温環境(外気温度35℃)想定試験、及び、低温環境(外気温度5℃)想定試験のいずれの試験にも、ダミー検体(質量は2kg。医薬品を模擬した試験体。)を断熱容器1中に収め、当該ダミー検体の温度が、維持温度域(15~25℃)を逸脱するまでの時間を測定した。
【0068】
事前準備として、高温環境(外気温度35℃)想定試験の場合、断熱容器1を15℃×24時間恒温槽内に放置した。また、低温環境(外気温度5℃)想定試験の場合、断熱容器1を25℃×24時間恒温槽内に放置した。また、ダミー検体は、いずれの試験においても、20℃×24時間恒温槽内に放置した。
【0069】
以上のように準備した断熱容器1内にダミー検体を収め、高温環境想定試験の場合、断熱容器1を35℃の恒温槽内で144時間放置して、ダミー検体表面の温度を測定した。また、低温環境想定試験の場合、準備した断熱容器1内にダミー検体を収め、断熱容器1を5℃の恒温槽内で144時間放置して、ダミー検体表面の温度を測定した。
【0070】
環境想定試験を
図9及び
図10に示す。
図9は各実施例に係る断熱容器1の高温環境(外気温度35℃)想定試験の結果を示す図である。また、
図10は各実施例に係る断熱容器1の低温環境(外気温度5℃)想定試験結果を示す図である。高温環境(外気温度35℃)想定試験の場合、維持温度域(15~25℃)を逸脱するまでの時間は、実施例3(断熱性能重視型)で157時間、実施例1(バランス型)で136時間、実施例2(軽量重視型)で130時間であった。また、高温環境(外気温度35℃)想定試験の場合、維持温度域(15~25℃)を逸脱するまでの時間は、実施例3(断熱性能重視型)で164時間、実施例1(バランス型)で148時間、実施例2(軽量重視型)で127時間であった。いずれの試験においても、実施例1~実施例3に係る断熱容器1は、十分な断熱性能を有することが確認できた。
【0071】
次に、上記のような実施例1~実施例3に係る断熱容器1を用いて行った座屈強度試験の結果を説明する。実施例1~実施例3に係る断熱容器1を段ボール箱5に収納し輸送可能状態としたものを強度試験機にセットして、各段ボール箱上面に等分布荷重を与えながら段ボール箱の変形具合を確認した。圧縮荷重は300kgまで測定した。試験は温度23℃で行われ、載荷速度は5mm/minであった。
図11は各実施例に係る断熱容器1の座屈強度試験の結果を示す図である。以上のような座屈強度試験で断熱容器1に300kgの耐荷重をかけた後、断熱容器1を開放したが、試験前と変化および破損は見られなかった。
【0072】
以上、本発明の一態様に係る断熱容器は、前記天面蓋部には、矩形状の天面蓋部真空断熱材が用いられており、前記天面蓋部が前記収納部の天面に嵌合したとき、前記天面蓋部真空断熱材の周縁部が、前記側面部における発泡断熱材と当接するように構成されているので、本発明の一態様に係る断熱容器によれば、天面蓋部に設けられる真空断熱材によって、収納部との天面蓋部との間に形成される隙間での熱交換を抑制することができ、断熱容器の保温性の低下を防止することが可能となる。
【0073】
また、本発明の一態様に係る断熱容器を用いた運搬方法は、前記のいずれかに記載の断熱容器に物品を収納する工程と、物品が収納された断熱容器を段ボールに梱包する工程と、段ボールに梱包された断熱容器を輸送する工程と、を含むことができ、このような運搬方法によれば、対象物品の温度を維持しつつ、対象物品の運搬のための輸送コストを抑制することができる。
【0074】
なお、本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1・・・断熱容器
5・・・段ボール箱
10・・・発泡断熱材
20・・・真空断熱材
21・・・芯材
22・・・吸着剤
25・・・ガスバリア性フィルム
26・・・熱溶着層
31・・・シール層
32・・・ガスバリア層
33・・・保護層
40・・・複合シート材
41・・・フィルム層
42・・・粘着層
43・・・金属箔層
50・・・蓄熱材
60・・・パッキン材
100・・・収納部
103・・・収納空間
104・・・開口部
110・・・底面部
111・・・底面部外側発泡断熱材
112・・・底面部真空断熱材
113・・・底面部内側発泡断熱材
114・・・底面部複合シート材
115・・・底面部蓄熱材
140・・・側面部
141・・・側面部外側発泡断熱材
142・・・側面部真空断熱材
143・・・側面部内側発泡断熱材
144・・・側面部複合シート材
145・・・側面部蓄熱材
160・・・側面部パッキン材
210・・・天面蓋部
211・・・天面蓋部発泡断熱材
212・・・天面蓋部真空断熱材
215・・・天面蓋部蓄熱材
218・・・天面蓋部真空断熱材周縁部