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特開2025-11822プログラム、情報処理方法および情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011822
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/525 20140101AFI20250117BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20250117BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20250117BHJP
【FI】
A63F13/525
A63F13/55
A63F13/53
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114161
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100207619
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 知晴
(72)【発明者】
【氏名】野尻 尚希
(57)【要約】
【課題】より自然にゲームのプレイ状況を同期できるゲームシステムを提供する。
【解決手段】視線方向決定手段66は、入力操作受付手段62で受け付けられたプレイヤからの入力情報に基づいて、プレイヤキャラクタの位置、向き、視線などの各種動作を制御し、プレイヤキャラクタの視線の方向を決定する。視線方向決定手段66は、決定された視線の方向において、もっとも視線方向の中心に近い位置に存在する他プレイヤの操作する他プレイヤキャラクタを、プレイヤキャラクタの視線の対象となるオブジェクトとして決定する。端末側ゲーム状況管理手段68は、視線方向決定手段66で決定されたプレイヤキャラクタの視線の対象となる他プレイヤキャラクタに関する視線対象情報を、サーバ2へ送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレイヤによりプレイされるゲームにかかるコンピュータを、
複数の前記プレイヤのうち第1プレイヤの入力操作の内容を入力操作情報として受け付ける受付手段と、
前記入力操作情報に基づいて、前記第1プレイヤの操作するプレイヤキャラクタの視線の方向を決定する第1決定手段と、
前記入力操作情報又は前記第1決定手段で決定された視線の方向に基づいて、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とするオブジェクトを決定する第2決定手段と、
前記第2決定手段で決定された前記プレイヤキャラクタの視線の対象に応じて前記ゲームの画像を生成するための情報に関する処理を実行する実行手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記第2決定手段は、前記第1決定手段により決定された視線の方向において、前記ゲームの仮想空間内でより視線の中心の近くに配置されているオブジェクトを、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とする前記オブジェクトに決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記実行手段は、前記プレイヤキャラクタの向きを反映した前記ゲームの画像を、複数の前記プレイヤのうち、前記第1プレイヤ以外の他のプレイヤに表示するための各種処理を実行する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
複数のプレイヤによりプレイされるゲームにかかるコンピュータが実行する情報処理方法であって、
複数の前記プレイヤのうち第1プレイヤの入力操作の内容を入力操作情報として受け付ける受付ステップと、
前記入力操作情報に基づいて、前記第1プレイヤの操作するプレイヤキャラクタの視線の方向を決定する第1決定ステップと、
前記入力操作情報又は前記第1決定ステップで決定された視線の方向に基づいて、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とするオブジェクトを決定する第2決定ステップと、
前記第2決定ステップで決定された前記プレイヤキャラクタの視線の向きに応じて前記ゲームの画像を生成するための情報に関する処理を実行する実行ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
複数のプレイヤによりプレイされるゲームにかかる情報処理システムであって、
複数の前記プレイヤのうち第1プレイヤの入力操作の内容を入力操作情報として受け付ける受付手段と、
前記入力操作情報に基づいて、前記第1プレイヤの操作するプレイヤキャラクタの視線の方向を決定する第1決定手段と、
前記入力操作情報又は前記第1決定手段で決定された視線の方向に基づいて、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とするオブジェクトを決定する第2決定手段と、
前記第2決定手段で決定された前記プレイヤキャラクタの視線の向きに応じて前記ゲームの画像を生成するための情報に関する処理を実行する実行手段と、
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のプレイヤが一つの仮想空間を共有し、楽しむことができるゲームなどが知られている。例えば、このようなゲームでは、プレイヤ間でゲームのプレイ状況を同期させる技術が必要となる。
この点、例えば、特許文献1には、プレイヤキャラクタの位置や視線の方向などから正確にゲームのプレイ状況を同期しようという試みが開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-142592
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術を含む従来技術は、あくまでも正確にゲームのプレイ状況を同期することを目的としており、ゲームのプレイ状況によっては、正確に同期することが必ずしも妥当ではないような場合も存在する。例えば、プレイヤキャラクタが特定のオブジェクトに視線を向けていないような場合は、そのプレイヤキャラクタがどの方向に視線を向けているかが、他のプレイヤにとって分かりにくい。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より自然にゲームのプレイ状況を同期できるゲームシステムを提供することを目的とする。
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の側面は、
複数のプレイヤによりプレイされるゲームにかかるコンピュータを、
複数の前記プレイヤのうち第1プレイヤの入力操作の内容を入力操作情報として受け付ける受付手段と、
前記入力操作情報に基づいて、前記第1プレイヤの操作するプレイヤキャラクタの視線の方向を決定する第1決定手段と、
前記入力操作情報又は前記第1決定手段で決定された視線の方向に基づいて、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とするオブジェクトを決定する第2決定手段と、
前記第2決定手段で決定された前記プレイヤキャラクタの視線の対象に応じて前記ゲームの画像を生成するための情報に関する処理を実行する実行手段と、
として機能させるプログラムである。
【0007】
また、第1の側面において、前記第2決定手段は、前記第1決定手段により決定された視線の方向において、前記ゲームの仮想空間内でより視線の中心の近くに配置されているオブジェクトを、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とする前記オブジェクトに決定することができる。
【0008】
また、第1の側面において、前記実行手段は、前記プレイヤキャラクタの向きを反映した前記ゲームの画像を、複数の前記プレイヤのうち、前記第1プレイヤ以外の他のプレイヤに表示するための各種処理を実行することができる。
【0009】
また、本発明の第2の側面は、
複数のプレイヤによりプレイされるゲームにかかるコンピュータが実行する情報処理方法であって、
複数の前記プレイヤのうち第1プレイヤの入力操作の内容を入力操作情報として受け付ける受付ステップと、
前記入力操作情報に基づいて、前記第1プレイヤの操作するプレイヤキャラクタの視線の方向を決定する第1決定ステップと、
前記入力操作情報又は前記第1決定ステップで決定された視線の方向に基づいて、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とするオブジェクトを決定する第2決定ステップと、
前記第2決定ステップで決定された前記プレイヤキャラクタの視線の向きに応じて前記ゲームの画像を生成するための情報に関する処理を実行する実行ステップと、
を含む情報処理方法である。
【0010】
また、本発明の第3の側面は、
複数のプレイヤによりプレイされるゲームにかかる情報処理システムであって、
複数の前記プレイヤのうち第1プレイヤの入力操作の内容を入力操作情報として受け付ける受付手段と、
前記入力操作情報に基づいて、前記第1プレイヤの操作するプレイヤキャラクタの視線の方向を決定する第1決定手段と、
前記入力操作情報又は前記第1決定手段で決定された視線の方向に基づいて、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とするオブジェクトを決定する第2決定手段と、
前記第2決定手段で決定された前記プレイヤキャラクタの視線の向きに応じて前記ゲームの画像を生成するための情報に関する処理を実行する実行手段と、
を備える情報処理システムである。
【0011】
本発明の一態様の情報処理方法および情報処理システムも、本発明の一態様のプログラムに対応する情報処理方法または情報処理システムとして提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より自然にゲームのプレイ状況を同期できるゲームシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するプレイヤ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するプレイヤ端末,サーバおよび他プレイヤ端末の機能的構成の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するプレイヤ端末に表示される画像の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成する他プレイヤ端末に表示される画像の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するプレイヤ端末で実行される各種処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
まず、本発明の実施形態を説明するに先立ち、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム(以下、「本システム」と呼ぶ)の適用対象となるゲーム(以下、「本ゲーム」と呼ぶ)について説明する。
本ゲームは、例えば、ネットワークを介した対戦や協力を想定したアクションゲームである。本ゲームにおいて、プレイヤは、各種入力操作により仮想空間内に表示されたキャラクタ(以下、「プレイヤキャラクタ」と呼ぶ)を自由に操作することができる。そして、プレイヤは、プレイヤキャラクタを介して銃や爆発物などのゲーム内のオブジェクトを活用しながら、各種イベント(敵キャラクタを倒すなど)をクリアしていくことでゲームを進行する。
なお、本ゲームにおいて、キャラクタ(プレイヤキャラクタや後述する他プレイヤキャラクタ)のそれぞれは、ゲーム内で存在するための所定の耐久値(以下、「HP」と呼ぶ)を有している。例えば、敵キャラクタの攻撃動作などの影響により、それぞれのキャラクタのHPが所定の値を下回った場合、そのキャラクタはゲームから除外される。
【0015】
以下、図1を参照しながら本システムの構成を説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、本システムは、プレイヤ端末1と、サーバ2と、他プレイヤ端末3-1乃至3-n(nは、任意の整数値)とを含み構成される。プレイヤ端末1と、サーバ2と、他プレイヤ端末3-1乃至3-nとは、インターネットなどの所定のネットワークNを介して相互に接続されている。ただし、ネットワークNは必須の構成要素ではなく、例えば、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、LAN(Local Area Network)などが利用されてもよい。
なお、以降の説明において、他プレイヤ端末3-1乃至3-nを区別する必要がない場合、これらをまとめて他プレイヤ端末3と呼ぶ。
また、以下、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画画像」などの任意の形式の画像を含むものとする。
【0017】
プレイヤ端末1は、汎用的なPC(Personal Computer)やゲーム機などで構成され、本ゲームをプレイするプレイヤにより使用される。プレイヤ端末1は、本ゲームに関する各種プログラムが記憶され、プレイヤが本ゲームをプレイするための主要な処理を実行する。
【0018】
サーバ2は、汎用的なPCなどで構成され、本システムの管理者などに管理される。サーバ2は、本ゲームに関する各種プログラムが記憶され、プレイヤが本ゲームをプレイするための処理のうち、一部の処理を実行する。また、サーバ2は、プレイヤ端末1に対して、本ゲームに関する各種情報(ゲームのアップデート情報や他のプレイヤの進行情報など)を提供する。
【0019】
他プレイヤ端末3は、汎用的なPC(Personal Computer)やゲーム機などで構成され、プレイヤ端末1を使用するプレイヤと同一の仮想空間を共有し、ゲームをプレイする他のプレイヤ(以下、「他プレイヤ」と呼ぶ)により使用される。他プレイヤ端末3は、本ゲームに関する各種プログラムが記憶され、他プレイヤが本ゲームをプレイするための主要な処理を実行する。
【0020】
<ハードウェア構成>
図2は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するプレイヤ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0021】
図2に示すように、プレイヤ端末1は、制御部11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0022】
制御部11は、CPU、GPU、半導体メモリを含むマイクロコンピュータ等により構成される。制御部11は、ROM12に記録されているプログラム、または、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、制御部11が各種の処理を実行する上で必要な情報等も適宜記憶される。
【0023】
制御部11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20が接続されている。
【0024】
出力部16は、ディスプレイまたはスピーカなどに対して、画像情報または音声情報などを出力する。出力部16が出力した画像情報や音声情報は、ディスプレイやスピーカなどから、画像や音声として人が認識可能な状態で出力される。
【0025】
入力部17は、例えば、ゲーム用のコントローラにより構成される。入力部17は、プレイヤの入力操作に応じて、各種情報を入力する。
【0026】
記憶部18は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成され、各種情報を記憶する。例えば、記憶部18には、ゲームの進行に必要となる各種ゲームプログラム、セーブデータ、アカウント情報等が格納されている。
【0027】
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して、他のハードウェア等との間で相互に行う通信等を制御する。
【0028】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。リムーバブルメディア31には、例えば、ゲームを実行するための各種プログラム等が格納される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種情報も、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0029】
ここで、サーバ2および他プレイヤ端末3のハードウェア構成は、プレイヤ端末1のハードウェア構成と基本的に同様とすることができるため、説明を省略する。このような各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、プレイヤ端末1、サーバ2および他プレイヤ端末3における各種処理の実行が可能となる。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するプレイヤ端末、サーバおよび他プレイヤ端末の機能的構成の一例を示す図である。
【0031】
図3に示すように、プレイヤ端末1の制御部11は、各種プログラムなどを実行することにより、端末側ゲーム処理実行手段60と、入力操作受付手段62と、仮想カメラ制御手段64と、視線方向決定手段66と、端末側ゲーム状況管理手段68と、他プレイヤ情報取得手段70と、表示制御手段72として機能する。
【0032】
端末側ゲーム処理実行手段60は、プレイヤが本ゲームをプレイするために必要となる各種処理を実行する。
具体的に端末側ゲーム処理実行手段60は、プレイヤなどの各種入力操作に従い、ゲーム情報に含まれる仮想のゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどを図示せぬ記憶部から読み出すなどして、ゲームプログラムを実行しつつ、ゲームに関する2次元または3次元の画像や音声などを生成する。すなわち、端末側ゲーム処理実行手段60は、プレイヤによる操作指示の結果を生成し、管理することで、ゲームの進行を制御する。
また、端末側ゲーム処理実行手段60は、例えば、プレイヤによる入力情報、入力情報が取得された時間情報、各種ゲーム処理の結果に関する情報など、本ゲームの進行に必要となる情報を、必要に応じて適宜、サーバ2へ送信する。
【0033】
入力操作受付手段62は、プレイヤからのゲームに関する入力操作を受け付ける。なお、入力操作受付手段62が受け付ける入力操作には、例えば、入力操作が行われたボタンやアナログスティックなどの種別に関する情報や押下された回数に関する情報などが含まれる。
【0034】
仮想カメラ制御手段64は、ゲーム画像を生成するための起点として機能する仮想カメラの仮想空間における位置および角度を制御する。具体的に、仮想カメラ制御手段64は、入力操作受付手段62で受け付けられたプレイヤからの入力情報に基づいて、仮想空間内における仮想カメラの位置や角度を制御する。
【0035】
視線方向決定手段66は、前記入力操作情報に基づいて、前記第1プレイヤの操作するプレイヤキャラクタの視線の方向を決定する。また、視線方向決定手段66は、前記入力操作情報又は前記第1決定手段で決定された視線の方向に基づいて、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とするオブジェクトを決定する。
具体的に視線方向決定手段66は、入力操作受付手段62で受け付けられたプレイヤからの入力情報に基づいて、プレイヤキャラクタの位置、向き、視線などの各種動作を制御し、プレイヤキャラクタの視線の方向を決定する。
また、具体的に視線方向決定手段66は、決定された視線の方向において、もっとも視線の方向の中心に近い位置に存在する他プレイヤの操作するプレイヤキャラクタ(以下、「他プレイヤキャラクタ」と呼ぶ)を、プレイヤキャラクタの視線の対象となるオブジェクトとして決定する。
【0036】
端末側ゲーム状況管理手段68は、前記第2決定手段で決定された前記プレイヤキャラクタの視線の対象に応じて前記ゲームの画像を生成するための情報に関する処理を実行する。
具体的に端末側ゲーム状況管理手段68は、視線方向決定手段66で決定されたプレイヤキャラクタの視線の対象となる他プレイヤキャラクタに関する情報(以下、「視線対象情報」と呼ぶ)を、サーバ2へ送信する。
なお、ゲーム進行情報には、例えば、プレイヤによる入力情報、仮想空間におけるプレイヤキャラクタの位置や視線の方向、仮想カメラの位置や角度などに関する情報が含まれていてもよい。
【0037】
他プレイヤ情報取得手段70は、サーバ2から送信されてくる他プレイヤ情報を、通信部19を介して取得する。なお、端末側ゲーム処理実行手段60は、他プレイヤ情報取得手段70で取得された他プレイヤ情報に基づいて、各種ゲーム画像を生成する。
【0038】
表示制御手段72は、端末側ゲーム処理実行手段60で生成された各種ゲーム画像などを、出力部16などに表示させる制御を実行する。
【0039】
図3に示すように、サーバ2の制御部100は、各種プログラムなどを実行することにより、ゲーム情報管理手段120と、サーバ側ゲーム処理実行手段122と、視線対象情報管理手段124として機能する。
【0040】
ゲーム情報管理手段120は、プレイヤ端末1および他プレイヤ端末3によるゲームの進行に必要となる各種情報を管理し、各種処理を実行する。具体的に例えば、ゲーム情報管理手段120は、プレイヤ端末1または他プレイヤ端末3から送信されてきたアカウント情報に対する認証、プレイヤ端末1または他プレイヤ端末3からの各種ゲーム情報のダウンロード要求に対するゲーム情報の配信などを実行する。
【0041】
サーバ側ゲーム処理実行手段122は、プレイヤが本ゲームをプレイするための処理のうち、一部の処理を実行する。
具体的にサーバ側ゲーム処理実行手段122は、例えば、プレイヤキャラクタまたは他プレイヤキャラクタが攻撃動作を実行した場合に、プレイヤ端末1または他プレイヤ端末3から送信されてきた入力情報やゲーム処理の結果などを検証し、プレイヤ端末1または他プレイヤ端末3で実行された攻撃動作が不正であったか否か判定する。
なお、サーバ側ゲーム処理実行手段122が、このような一部の処理を担うことで、例えば、プレイヤ端末1で不正行為(いわゆるチート行為)などが行われた場合でも、ゲーム全体に与える影響を低減できる。
【0042】
視線対象情報管理手段124は、プレイヤ端末1などから送信されてきた視線対象情報を、通信部110を介して取得する。また、視線対象情報管理手段124は、取得した視線対象情報を他プレイヤ端末3のそれぞれへ送信する。
なお、視線対象情報管理手段124は、他プレイヤ端末3のそれぞれの視線対象情報を取得した場合、その情報を他プレイヤ情報として、プレイヤ端末1へ送信する。
【0043】
続いて、図4を参照しながら、本システムにかかるゲーム画像の一例を具体的に説明していく。図4は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するプレイヤ端末に表示される画像の一例を示す図である。
【0044】
図4の例では、ゲームの仮想空間にキャラクタPC、キャラクタAC1、キャラクタAC2およびキャラクタAC3のそれぞれが表示されている。なお、図4の例では、キャラクタPCはプレイヤにより操作されるプレイヤキャラクタであり、キャラクタAC1乃至AC3は他プレイヤにより操作される他プレイヤキャラクタである。
ここで、図4の例において、キャラクタPCはプレイヤの入力操作の結果、キャラクタAC1とキャラクタAC2の間のあたりの領域に視線を向けている。なお、図4の例において、キャラクタPCは厳密に言えば、キャラクタAC1とキャラクタAC2の間の領域のうち、キャラクタAC2寄りの領域に視線を向けている。
このような場合、上述の特許文献1を含む従前のゲームシステムであれば、他プレイヤのプレイヤ端末において、この時点のゲーム状況をそのまま再現しようと試みるのが通常である。すなわち、他プレイヤのプレイヤ端末においても、キャラクタPCはキャラクタAC1とキャラクタAC2の間の不明確な領域に視線を向けている状況でキャラクタPCが表示される。このような仕様は、プレイヤのゲーム状況を正確に反映している反面、他プレイヤからするとプレイヤキャラクタがどこに視線を向けているのかが分かりにくく他プレイヤが不自然に感じてしまうことがある。
【0045】
これに対して、図5の例では、キャラクタAC1を中心とした視点により図4のゲーム状況と同様のゲーム状況を示すゲーム画像が表示されている。具体的に図5は、キャラクタAC1を操作する他プレイヤが使用する他プレイヤ端末3に表示されるゲーム画像の一例を示している。ここで、図5の例において、キャラクタPCは、キャラクタAC1とキャラクタAC2の間の不明確な領域に視線を向けているのではなく、キャラクタAC2の方向に明確に視線を向けて表示されている。
【0046】
すなわち、本システムの図4の例では、キャラクタPCはプレイヤの入力操作の結果、キャラクタAC1とキャラクタAC2の間の領域のうち、キャラクタAC2寄りの領域に視線を向けている。そのため、本システムは、このゲーム状況において、キャラクタPCはキャラクタAC2に視線を向けていると疑似的に決定し、他プレイヤ端末3においては、キャラクタPCはキャラクタAC2に明確に視線を向けているものとしてゲーム画像上に表示される。これにより、他プレイヤは、ゲーム内の各キャラクタの状況や関係性を、より自然に感じることができると考えられる。
【0047】
図6は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムを構成するプレイヤ端末で実行される各種処理の流れの一例を示す図である。
【0048】
ステップS1において、入力操作受付手段62は、プレイヤからのゲームに関する入力操作を受け付ける。
【0049】
ステップS2において、視線方向決定手段66は、入力操作受付手段62で受け付けられたプレイヤからの入力情報に基づいて、プレイヤキャラクタの位置、向き、視線などの各種動作を制御し、プレイヤキャラクタの視線の方向を決定する。
【0050】
ステップS3において、視線方向決定手段66は、決定された視線の方向において、もっとも視線方向の中心に近い位置に存在する他プレイヤキャラクタを、プレイヤキャラクタの視線の対象となるオブジェクトとして決定する。
【0051】
ステップS4において、端末側ゲーム状況管理手段68は、視線方向決定手段66で決定されたプレイヤキャラクタに正対する他プレイヤキャラクタに関する視線対象情報を、サーバ2へ送信する。これにより、視線固定処理は終了する。
【0052】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0053】
<他の実施形態>
また、上述の実施形態において、本システムは、もっとも視線の方向の中心に近い位置に存在するオブジェクトを視線の対象として決定したが、限定されない。例えば、本システムは、プレイヤキャラクタから視線の方向へのベクトルとプレイヤキャラクタから対象のオブジェクトへのベクトルのなす角度がもっとも小さいオブジェクトを視線の対象として決定してもよい。
【0054】
また、上述の実施形態において、プレイヤキャラクタの視線の対象となるオブジェクトは、他プレイヤキャラクタであるものとして説明したが限定されない。本システムは、NPC(Non Player Character),建造物,木など、プレイヤキャラクタは他の任意のオブジェクトをプレイヤキャラクタの視線の対象として決定してもよい。
【0055】
また、上述の実施形態において、本システムは、視線の対象となるオブジェクトに特に優先順位などを設けていないものとして説明したが、限定されない。例えば、本システムは、(1)他のプレイヤキャラクタ、(2)敵キャラクタ、(3)その他のオブジェクトなどのようにオブジェクトの種別に応じて、視線の対象として選択するための条件を変更したり、優先順位を設定するなどしてもよい。
【0056】
また、上述の実施形態では、仮想カメラの制御とプレイヤキャラクタの動作の制御が異なる入力操作により行われるものとして説明したが、限定されない。本システムは、例えば、いわゆる一人称視点のゲームなどを想定し、仮想カメラの制御とプレイヤキャラクタの制御が単一の操作で実現してもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、視線の対象として選択したオブジェクトであることを示す表示を行ってもよい。例えば、本システムは、視線の対象となるオブジェクトに所定のアイコンを付与したり、オブジェクトの輪郭を強調して表示するなどしてもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、例えば、自身のプレイヤキャラクタが他のプレイヤのプレイヤキャラクタの視線の対象となっている場合、その旨を示す表示などを行ってもよい。これにより、例えば、本ゲームが他のプレイヤなどとの対戦要素を含むゲームの場合に、自身のプレイヤキャラクタが攻撃される可能性があることを確認することができる。
【0059】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、プレイヤキャラクタの視線に関する各種処理を、仮想空間の所定の範囲内に複数のプレイヤキャラクタまたはオブジェクトが存在する場合にのみ行うものとしてもよい。このような仕様を採用すると、本システムは、より処理負荷を抑えながら、より自然にゲームのプレイ状況を同期できるゲームシステムを提供することができる。
【0060】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本ゲームは、例えば、プレイステーション(登録商標)などの家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)などの携帯用のゲーム機、業務用に設計された各種ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの電子機器などである任意のハードウェアにより実行されてもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムにかかるゲームの内容は限定されない。本システムは、例えば、FPS(First Person Shooter)、TPS(Third Person Shooter)、RPG(Role Playing Game)、ネットワークを介さないアクションゲーム、シミュレーションゲーム、スポーツゲーム、カードゲーム、バトルロワイヤル(対称型、非対称型)、MOBA(Multiplayer online battle arena)、音楽ゲーム、格闘ゲーム、クイズゲームなどのあらゆるゲームに適用されてもよい。
【0062】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3などの機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは図3などの例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図3などの例に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成されてもよいし、ソフトウェア単体で構成されてもよいし、それらの組み合わせで構成されてもよい。
【0063】
また、本システムを構成する各種ハードウェアの数や使用者は任意であるし、他のハードウェアなどを含み構成されてもよい。
【0064】
また、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータなどにネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0065】
また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータであってもよい。
すなわち、例えば、上述の実施形態における各種ハードウェアには、任意のコンピュータ、任意のスマートフォンなどの携帯端末、任意のゲーム機などが自由に採用されてもよい。さらに言えば、各種入力部や各種出力部などの種別や内容についても任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0066】
また、このようなプログラムを含む記録媒体は、プレイヤなどにプログラムを提供するために装置本体とは別に提供される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でプレイヤに提供される記録媒体などで構成されてもよい。
【0067】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段などより構成される全体的な装置を意味している。
【0068】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0069】
以上をまとめると、本発明適用される情報処理システムは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
複数のプレイヤによりプレイされるゲームにかかるコンピュータを、
複数の前記プレイヤのうち第1プレイヤの入力操作の内容を入力操作情報として受け付ける受付手段と、
前記入力操作情報に基づいて、前記第1プレイヤの操作するプレイヤキャラクタの視線の方向を決定する第1決定手段(例えば、視線方向決定手段66)と、
前記入力操作情報又は前記第1決定手段で決定された視線の方向に基づいて、前記プレイヤキャラクタが視線の対象とするオブジェクトを決定する第2決定手段(例えば、視線方向決定手段66)と、
前記第2決定手段で決定された前記プレイヤキャラクタの視線の対象に応じて前記ゲームの画像を生成するための情報に関する処理を実行する実行手段(例えば、端末側ゲーム状況管理手段68)と、
として機能させるプログラムであれば足りる。
【0070】
すなわち、視線方向決定手段66は、第1決定手段として機能する。
視線方向決定手段66は、第2決定手段としても機能する。
端末側ゲーム状況管理手段68は、実行手段として機能する。
【0071】
<効果>
これにより、プレイヤは、他のプレイヤのゲーム状況を、より違和感なく自然な形で確認しながらゲームを楽しむことができる。
【符号の説明】
【0072】
1 プレイヤ端末
11 制御部
60 端末側ゲーム処理実行手段
62 入力操作受付手段
64 仮想カメラ制御手段
66 視線方向決定手段
68 端末側ゲーム状況管理手段
70 他プレイヤ情報取得手段
72 表示制御手段
2 サーバ
100 制御部
120 ゲーム情報管理手段
122 サーバ側ゲーム処理実行手段
124 視線対象情報管理手段
3,3-1乃至3-n 他プレイヤ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6