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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011825
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】多目的おしぼり
(51)【国際特許分類】
   A47K 7/00 20060101AFI20250117BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20250117BHJP
   A47H 23/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A47K7/00 101
G06K19/077 220
A47H23/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114167
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】521033022
【氏名又は名称】Shisyuoshibori.com株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】村口 義之
【テーマコード(参考)】
2D134
2E182
【Fターム(参考)】
2D134AD00
2E182AA01
2E182AB00
2E182AC11
2E182BD04
2E182CD03
2E182GG05
(57)【要約】
【課題】手を拭う機能のみならず、室内装飾を兼ねた目隠し、並びに間仕切りとしての機能も付与した多目的おしぼりを実現する。加えて、おしぼり貸出業者が、おしぼりの貸出数のみならず回収数の管理も容易に行うことを可能とする。
【解決手段】タオル地の生地からなる本体部10と、本体部10の周縁部に設けた筒状部21(吊り下げ手段20)とを備える。筒状部21には、本体部10を吊り下げる支持材51を挿通させることが可能な空洞22が本体部10の幅方向全域に亘って連続形成されている。本体部10は、吊り下げ状態で筒状部10の下方にスリット14が形成されており、スリット14によって本体部10は複数の第1片部15と第2片部16とに分割されている。本体部10に、タグ状の物品を収納可能な空間を有する収納部を設け、収納部にRFIDタグを収納するようにしてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タオル地の生地からなる本体部と、
前記本体部の周縁部に設けた吊り下げ手段と、を備え、
前記吊り下げ手段は、筒状部であって、
前記筒状部には、前記本体部を吊り下げる支持材を挿通させることが可能な空洞が前記本体部の幅方向全域に亘って連続形成されている、多目的おしぼり。
【請求項2】
前記本体部は、吊り下げ状態で前記筒状部の下方に1又は複数のスリットが形成されており、前記スリットによって前記本体部が複数の片部に分割されている、請求項1に記載の多目的おしぼり。
【請求項3】
前記本体部にタグ状の物品を収納可能な空間を有する収納部が設けられており、前記収納部にRFIDタグが収納されている、請求項1又は2に記載の多目的おしぼり。
【請求項4】
前記収納部は、前記筒状部以外の位置に設けられている、請求項3に記載の多目的おしぼり。
【請求項5】
前記本体部は、吊り下げ状態で前記筒状部の下方に1又は複数のスリットが形成されており、
前記収納部は、前記スリットの近傍に設けられている、請求項3に記載の多目的おしぼり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手を拭う目的で使用できることに加え、暖簾に類した目的でも使用することが可能な多目的おしぼりに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、飲食店では、オーダーした商品が配膳される前に、図11に示すようなロール状に巻かれたおしぼり101が、おしぼり皿102の上に載せられた状態で顧客に提供されている。
【0003】
従来のおしぼり101は、専ら手を拭い、手を清潔にする目的でのみ使用されている。そのため、多くの場合、おしぼり101は、全体が一色の無地の生地からなる。
【0004】
また、店舗の名称等からなるロゴやワンポイントの図柄が付されたおしぼり(例えば非特許文献1を参照)や、全体的に模様が施されたおしぼりも存在するが、それらのロゴ、図柄、模様が顧客の目に触れるのは、顧客がロール状に巻かれたおしぼりを手に取り、手を拭う間だけである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「おしぼりハンドタオル バラ刺繍色ミックス」,三和タオル製織株式会社,[令和5年6月23日検索],インターネット<https://www.towel-komachi.co.jp/SHOP/E1-O-ROSE.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のとおり、従来のおしぼりは、おしぼりに付されたロゴ、図柄、模様が、長時間に亘って鑑賞され、顧客の目を楽しませることはない。また、従来のおしぼりは、手を拭うこと以外の機能は兼ね備えていない。
【0007】
ところで、おしぼりを貸し出す業者は、複数の飲食店、美容サロンなどに対し、それぞれ指定された数量のおしぼりを貸し出しており、使用後には回収を行っている。おしぼり貸出業者によって回収された使用済みのおしぼりは、洗濯、消毒された後ロール状に巻かれ、再び飲食店、美容サロンなどに貸し出される。
【0008】
おしぼりの数量は、新しいおしぼりを配送する段階では、おしぼり貸出業者側が正確に把握しているが、一方で、使用済みのおしぼりを回収する段階においては、回収容器に投入された乱雑な状態で返却されるために、速やかに数量を確認することは困難であり、おしぼり貸出業者側で回収数を正確に把握できない。
【0009】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、手を拭う機能のみならず、室内装飾を兼ねた目隠し、並びに間仕切りとしての機能も付与した多目的おしぼりを実現することを第1の目的とする。加えて、おしぼり貸出業者が、おしぼりの貸出数のみならず回収数の管理も容易に行うことが可能な多目的おしぼりを実現することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の多目的おしぼりは、
タオル地の生地からなる本体部と、
本体部の周縁部に設けた吊り下げ手段と、を備え、
吊り下げ手段は、筒状部であって、
筒状部には、本体部を吊り下げる支持材を挿通させることが可能な空洞が本体部の幅方向全域に亘って連続形成されている。
【0011】
第1発明では、本体部の幅方向全域に亘って連続形成された筒状部の内部の空洞に支持材を挿通することにより、本体部を吊り下げて展示することが可能となる。これにより店舗の壁など任意の場所に室内装飾として多目的おしぼりを吊り下げれば、顧客は長期間に亘って本体部に施されたロゴ、図柄、模様等を鑑賞することが可能となる。
【0012】
本発明は、本体部には、吊り下げ状態で筒状部の下方に1又は複数のスリットが形成されており、スリットによって本体部が複数の片部に分割されている構成でもよい。
【0013】
第2発明では、吊り下げ状態では暖簾に類した外観を呈することになるため、おしぼり本来の手を拭う機能を備えつつ、店舗の出入口に吊り下げれば暖簾として使用することも可能となる。
【0014】
本発明は、本体部にタグ状の物品を収納可能な空間を有する収納部が設けられており、収納部にRFIDタグが収納されている構成でもよい。
【0015】
第3発明では、おしぼり貸出業者は、おしぼりの貸出数のみならず回収数の管理も容易に行うことが可能となる。
【0016】
本発明は、収納部は、筒状部以外の位置に設けられている構成でもよい。
【0017】
第4発明では、筒状部に支持材を挿通したときに、RFIDタグを損傷するおそれがなくなる。
【0018】
本発明は、本体部には、吊り下げ状態で筒状部の下方に1又は複数のスリットが形成されており、収納部は、スリットの近傍に設けられている構成でもよい。
【0019】
第5発明では、おしぼりとして使用する場合に、本体部をロール状に巻いた状態では、収納部が外側に表れることがなく、内側に存在するのでRFIDタグが存在する収納部が目立つことがない。
【発明の効果】
【0020】
本発明の多目的おしぼりは、タオル地の生地からなる本体部と、本体部の周縁部に設けた筒状部とを備え、この筒状部を吊り下げ手段として用いる。筒状部には、本体部を吊り下げる支持材を挿通させることが可能な空洞が本体部の幅方向全域に亘って連続形成されている。
【0021】
本発明では、本体部の生地がタオル地であるため、おしぼり本来の手を拭う機能を維持しつつ、必要に応じて筒状部の幅方向に形成された空洞に支持材を貫通させ、支持材の両端を店舗の壁、出入口などに固定することで、本体部を壁、出入口などに吊り下げて展示することが可能となる。
【0022】
そのため、本発明は、室内装飾、あるいは装飾を兼ねた目隠し、装飾を兼ねた間仕切りとしても使用できる。本発明のおしぼりは、壁掛けや暖簾に類した目的でも使用できる多目的おしぼりである。
【0023】
本発明は、本体部にタグ状の物品を収納可能な空間を有する収納部が設け、収納部にRFIDタグを収納するようにしてもよい。この場合、おしぼり貸出業者は、ICタグを検出することにより、おしぼりの回収数を容易に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1(a)は、第1実施形態に係る多目的おしぼりを、吊り下げ状態で正面方向から見た図、図1(b)は、図1(a)のA-A線断面図である。
図2図2は、第1実施形態の多目的おしぼりを寿司屋の出入口に吊り下げて暖簾として使用している状態を示す斜視図である。
図3図3(a)は、第1実施形態に係る多目的おしぼりを半分に折り曲げた状態を示す図、図3(b)は、更にロール状に丸めておしぼり皿の上に載せた状態を示す斜視図である。
図4図4は、第1実施形態の第1変形例に係る多目的おしぼりを、吊り下げ状態で正面方向から見た図である。
図5図5(a)は、第1実施形態の第2変形例に係る多目的おしぼりを、吊り下げ状態で正面方向から見た図、図5(b)は、図1(a)のB-B線断面図である。
図6図6(a)~(d)は、第1実施形態の第3変形例ないし第6変形例に係る多目的おしぼりを、それぞれ吊り下げ状態で上側半分を正面方向から見た部分正面図である。
図7図7は、RFIDタグを用いる第2実施形態に係る多目的おしぼりを、吊り下げ状態で正面方向から見た図である。
図8図8は、第2実施形態の第1変形例に係る多目的おしぼりを、吊り下げ状態で背面方向から見た図である。
図9図9は、第2実施形態の第2変形例に係る多目的おしぼりを、吊り下げ状態で背面方向から見た図である。
図10図10は、その他の変形例に係る多目的おしぼりを吊り下げて暖簾として使用している状態を示す斜視図である。
図11図11は、従来のおしぼりを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、その用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0026】
本明細書において、「下」、「下側」とは、多目的おしぼり1a~1h及び2a~2cを吊り下げた状態において重力が作用する方向を、「上」、「上側」とは重量が作用する方向とは反対の方向を意味する。また、「左」、「左側」とは、多目的おしぼり1a~1h及び2a~2cの本体部10の図柄12や店舗ロゴ13が刺繍等によって描かれている表面を正面から見た場合に看者の左手の方向を、「右」、「右側」とは表面を正面から見た場合に看者の右手方向を意味する。また、本体部の左右方向は、本体部の幅方向ともいう。
【0027】
[第1実施形態]
図1(a)に示すように、第1実施形態の多目的おしぼり1aは、タオル地の生地11からなる本体部10と、本体部10の周縁部の一端に形成された筒状部21とを備えている。多目的おしぼり1aでは、図1(b)に示すように、生地11の一端を2回折り曲げ上端から2~3cm程度距離をあけた位置で左右方向に縫製17することにより、内部が空洞22になった筒状部21が形成されている。筒状部21には、本体部10を吊り下げ支持する支持材51を挿通させることが可能な空洞22が本体部10の幅方向全域に亘って連続形成されている。筒状部21は吊り下げ手段20に相当する。
【0028】
筒状部21の空洞22は左右方向に連続しており、その左右両端は開口23a,23bとなって外部に開放している。筒状部21には縫合等により空洞22を閉塞する部分は存在しない。そのため、筒状部21の空洞22には、一方の開口23aから他方の開口23bに向けて紐、棒材などの支持材51を挿通することが可能になっている。そして、空洞22に支持材51を挿通させた後、支持材51の両端を店舗の壁、柱などに固定した金具に掛けて取り付ければ、本体部10を店舗の壁面など任意の場所に吊り下げて展示することが可能となる。よって、多目的おしぼり1aは、壁掛けに類した機能を発揮し、顧客は長期間に亘って本体部10に付された図柄12、店舗ロゴ13、模様等を鑑賞して楽しむことが可能となる。
【0029】
本体部10は、全体として四角形状を呈している。また、本体部10には、吊り下げ状態で筒状部21の下方となる位置に、空洞22が連続形成されている方向とは交差する向きにスリット14が1本設けられている。
【0030】
つまり、本実施形態では、スリット14による切れ込みが形成されている範囲では、本体部10は2つの片部に分割されている。具体的に、2つの片部とは、無地である第1片部15と、図柄12や店舗ロゴ13が刺繍されている第2片部16である。これにより、多目的おしぼり1aは、吊り下げ状態では暖簾に類した外観を呈することになる。多目的おしぼり1aは、開閉自在で容易にくぐり抜けることができるように適宜幅員で分割された態様になるため、おしぼり本来の手を拭う機能を備えつつ、店舗の出入口に吊り下げれば暖簾として使用することも可能となる。
【0031】
多目的おしぼり1aは、例えば寿司屋の出入口に吊り下げて暖簾として使用することができる。この場合において単体では幅が不足する場合は、図2に示すように、多目的おしぼり1aを横方向に2つ連ねて吊り下げればよい。暖簾は、商人が商店の軒先に日よけ用に吊架し、商標や屋号を記して看板の役目をもたせたものであるが、現代では室内装飾を兼ねた目隠し、間仕切りとしても使用されている。多目的おしぼり1aは、看板としての機能、並びに室内装飾を兼ねた目隠し、間仕切りの機能を備えている。加えて、多目的おしぼり1aには、従来の暖簾には見られない機能があり、寿司52を食べた後、手53を拭いたい顧客は、店を出るときに暖簾として吊り下げられている本体部10で手を拭ってもよい。
【0032】
例えば屋台の寿司屋では、手洗い場は備えておらず、簡単にすぐ手を洗えるわけではない。そこで、店主は寿司を食べた顧客に、出入口に吊り下げている多目的おしぼり1を使って手を拭いてから帰っていただくように促すのである。このように運用すると、多目的おしぼり1は徐々に汚れることになるが、暖簾が汚れているということは、顧客がたくさん手を拭いたこと、つまり顧客がたくさん来た店であることを意味するのであり、暖簾が汚れていてもマイナスのイメージが生じることはない。むしろ、暖簾が汚れているということが、人気の店であること、繁盛しているおいしい店であることの証となる。多目的おしぼり1を暖簾として使用しつつ顧客が手を拭う目的でも使用することは、店舗にとってはプラスのイメージが生じるメリットがある。
【0033】
本体部10の生地11は、タオル地の織物であり、緯(ヨコ)糸、地経(ジタテ)糸、パイル経糸からなる。パイル経糸は生地11の表面から突出してループを形成しており、ふわふわした肌触りや弾力性を生み出すと共に、水分を充分に吸収する。
【0034】
このため、多目的おしぼり1aは、図3(a)及び図3(b)に示すように、適度に水分を含ませた状態で、左右方向の中央部で折り畳んで、第1片部15と第2片部16を重ね合わせ、第2片部が外側となるようにロール状に巻いて図柄12や店舗ロゴ13が美しく見える状態でおしぼり皿54の上に置き、食事を配膳する前に顧客に提供し、通常のおしぼりとしても使用することができる。多目的おしぼり1aは、例えば春から夏では5~10℃、秋から冬では60~65℃とすることで手を拭うときに気持ちよさを感じることができる。
【0035】
<第1変形例>
本変形例の多目的おしぼり1bでは、図4に示されるように、吊り下げ手段20として環状の係止部材24を用いる。係止部材24の材質は紐、樹脂、金属などである。係止部材24の形状は環状であり、より具体的には円環状、楕円環状、長円環状などである。係止部材24は本体部10の生地11に挿通することで生地11に固定されている。本変形例においても、各係止部材24の環状になった部分に支持材51を挿通することにより、本体部10を任意の場所に吊り下げることが可能となる。係止部材24は、吊り下げ手段20に相当するものである。
【0036】
<第2変形例>
本変形例の多目的おしぼり1cでは、図5(a)及び図5(b)に示すように、本体部10の周縁部に設けた筒状部25を吊り下げ手段20として用いる。本変形例では、生地11の一端を1回だけ折り曲げて上端から2~3cm程度距離をあけた位置で左右方向に縫製17することにより内部が空洞22になった筒状部25を形成している。空洞22は本体部10の幅方向全域に連続形成されている。本変形例の筒状部25は、前述した第1実施形態の筒状部21とは縦断面の形状が異なるが、筒状部25も吊り下げ手段20に相当するものであり、空洞22に支持材51を貫通させることで本体部10を吊り下げることが可能となる。
【0037】
<第3変形例ないし第6変形例>
これらの変形例では、吊り下げ手段20として、以下の構成を用いる。
【0038】
第3変形例の多目的おしぼり1d(図6(a)参照)では、本体部10の一端に複数の係止片26を、それぞれループを形成するように縫い付け、係止片26の輪状になった部分に支持材51を挿通させる。
【0039】
第4変形例の多目的おしぼり1e(図6(b)参照)では、本体部10の一端に円形状の貫通孔27を複数設け、各貫通孔27に支持材51を挿通させる。
【0040】
第5変形例の多目的おしぼり1f(図6(c)参照)では、本体部10の周縁部に設けた開孔付き筒状部28を吊り下げ手段20として用いる。本変形例では、生地11の一端を折り曲げて上端から2~3cm程度距離をあけた位置で左右方向に縫製17して、空洞22を本体部10の幅方向に連続形成する。
【0041】
第6変形例の多目的おしぼり1g(図6(d)参照)では、本体部10の一端に四角形状の貫通孔29を複数設け、各貫通孔27に支持材51を挿通させる。
【0042】
以上の複数の係止片26、円形状の貫通孔27、開孔付き筒状部28、四角形状の貫通孔29も、いずれも吊り下げ手段20に相当するものであり、支持材51を挿通することで本体部10を吊り下げることが可能となる。
【0043】
<第1実施形態の効果>
第1本実施形態の多目的おしぼり1a,1b,1c,1d,1e,1f,1gは、本体部10のタオル地の生地11が十分な吸水性を有することから、おしぼり本来の手を拭う機能を維持しつつ、必要に応じて筒状部21の空洞22に貫通させて支持材51を建物の壁や出入口に取り付けて固定することで、本体部10を建物の壁、出入口などに吊り下げて展示することが可能となる。そのため、多目的おしぼり1aないし1gは、室内装飾、あるいは装飾を兼ねた目隠し、装飾を兼ねた間仕切りとしても使用できる。
【0044】
また、多目的おしぼり1aないし1gは、筒状部の下方に1又は複数のスリット14を備えている。本体部10は、スリット14が存在する範囲では複数の片部に、具体的には第1片部15と第2片部16とに分割されている。したがって、店舗の出入口に吊り下げて暖簾として使用する場合は、複数の片部15,16が分離して垂れ下がる状態となるので、顧客が多目的おしぼり1aないし1gの下をくぐって出入口を通過する動作が容易となる。また、暖簾が汚れていることは繁盛している店であることの証でもある。よって、多目的おしぼり1は、暖簾として使用しつつ顧客が手を拭う目的でも使用することが好ましい。
【0045】
[第2実施形態]
第2実施形態の多目的おしぼり2aは、図7に示すように、本体部10にタグ状の物品を収納可能な空間を有する収納部18が設けられており、収納部18にRFIDタグ40が収納されている。
【0046】
第2実施形態では、収納部18は、例えばRFIDタグ40よりも少し大きなサイズの生地片を生地11に縫い付けることで、RFIDタグ40の周囲を縫製し、RFIDタグ40を収納する空間を確保している。この方法によれば、多目的おしぼり2aの使用時や洗浄時にRFIDタグ40が収納部18から容易に脱落することはない。
【0047】
RFIDタグ40は、電波(電磁波)を利用して、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きすることが可能な情報媒体である。ライタから電波として送られる信号に基づいてRFIDタグ40内に任意の識別記号を記録できる。記録された識別記号は、電波信号として出力され、リーダによって読み取り可能である。リーダが読み取った識別記号のデータはコンピュータシステムに送られ、アプリケーションによって情報処理に用いることが可能である。
【0048】
RFIDタグ40は、多目的おしぼり2aに用いることから、温度に対する耐熱性、洗濯の薬剤に対する耐薬剤性、水に対する防水性を備えることが好ましい。そのため、例えばシリコーン樹脂等の樹脂材料でラミネートされていることが好ましい。また、RFIDタグ40は、メモリ等の素子の破損やアンテナの断線等を防止するため、例えばPET板等の保護材を貼着することにより機械的強度を高めることが好ましい。
【0049】
おしぼり貸出業者は、飲食店、美容サロンなどの店舗に対して個別にそれぞれ指定された数量の多目的おしぼり2aを配送して貸し出し、多目的おしぼり2aが使用された後には各店舗を回って使用済みの多目的おしぼり2aを回収している。
【0050】
第2実施形態では、RFIDのリーダを使用し、使用済みの多目的おしぼり2aの回収数をカウントする。使用済みの多目的おしぼり2aは、飲食店や美容サロンの従業員が回収容器に無造作に随時投入している。おしぼり貸出業者は、使用済みの多目的おしぼり2aが投入された回収容器をリーダの検知部にセットする。回収容器がセットされると、リーダの制御部から給電されたアンテナが電波を放射することで放射範囲にあるRFIDタグ40から識別記号が読み取られる。読み取りが完了すると、リーダと接続されたコンピュータシステムのディスプレイに多目的おしぼり2aの回収数が表示される。このため、第2実施形態では、おしぼり貸出業者が店舗から使用済みの多目的おしぼり2aを回収するときにリーダを用いてRFIDタグ40の識別記号を検出することで、回収数を速やかに確認することが可能となる。
【0051】
おしぼり貸出業者によって回収された使用済みの多目的おしぼり2aは、汚れや破損の度合いをチェックする選別工程、汚れの度合いに応じた洗浄を行う洗浄工程、洗浄後のすすぎを行うすすぎ工程、殺菌して漂白を行う殺菌漂白工程、ロール状に巻いて包装する包装工程、次回の貸出先別に仕分けする仕分け工程などが行われる。
【0052】
選別工程では、作業員による目視等によりチェックした汚れや破損の程度に応じて、洗浄工程に回す分と廃棄処理を行う分とが選別される。また、汚れが軽微なものと汚れが強いものとが選別される。そして、上記各工程にそれぞれリーダが設置されており、RFIDタグ40に記録された識別記号が読み取られる。読み取ったデータは、おしぼり管理システムに送信され、識別記号ごとに工程管理が行われる。
【0053】
おしぼり管理システムは、リーダからの信号を受信すると共にキーボード等の入力手段と接続された入力インタフェース部、主記憶及び二次記憶装置とのデータの入出力制御や演算処理を行う中央処理装置、識別記号ごとに多目的おしぼり2aの使用履歴を記録すると共に、顧客の所在地、配送予定数、過去の貸出数などの情報を記録するデータベースを備えている。また、おしぼり管理システムは、データベースから識別記号ごとに次回の貸出先となる顧客の情報を取得し、貸出先別に多目的おしぼり2aを仕分けする仕分け装置を備えている。
【0054】
おしぼり管理システムによれば、特定の識別記号の多目的おしぼり2aが現在どこにあるのか、どの顧客にいつまでの期間貸し出されるのかなどの情報を随時確認することができる。また、一定の期間内に廃棄された数量と、近日中に再生許容回数に達する数量とに基づいて、今後新規に発注すべき多目的おしぼり2aの数量を予測することができる。また、特定の顧客に貸し出された多目的おしぼり2aに強い汚れ、破損、紛失が多く発生している傾向が確認された場合は、注意を要する顧客としてアラームを出力するようにしてもよい。
【0055】
多目的おしぼり2aも、タオル地の本体部10と、本体部10の周縁部に形成された空洞22を有する筒状部21(吊り下げ手段20)を備えている。そのため、筒状部21の空洞22に支持材51を挿通することにより、本体部10を壁、店舗の出入口などに吊り下げて展示することができる。多目的おしぼり2aでは、収納部18は、筒状部21(吊り下げ手段20)と同じ場所に設けている。
【0056】
<第1変形例>
本変形例の多目的おしぼり2bでは、図8に示すように、収納部18は、筒状部21以外の位置に設けられている。具体的に、本変形例では、収納部18は、吊り下げ状態において本体部10の下端側の端部に設けられている。
【0057】
先に説明した第2実施形態では、収納部18が筒状部21と同じ場所に設けられているため、多目的おしぼり2aを暖簾として使用するときに筒状部21に挿通した支持材51が収納部18内のRFIDタグ40を破損するおそれがあった。これに対し、本変形例では、収納部18は吊り下げ状態において本体部10の下端側の端部に設けられている。そのため、本変形例では、暖簾として使用する場合に支持材51を筒状部21の空洞22に貫通させる操作や引き抜く操作を繰り返した場合でも、支持材51との接触によってRFIDタグ40を損傷するおそれがない。
【0058】
<第2変形例>
本変形例の多目的おしぼり2cでは、図9に示すように、本体部10には、吊り下げ状態で筒状部21の下方に1又は複数のスリット14が形成されており、収納部10は、スリット14の近傍に設けられている。
【0059】
本変形例においても、収納部15は筒状部21以外の位置に設けられているので、暖簾として使用する場合に、支持材51を筒状部21の空洞22に挿抜する操作を繰り返しても、RFIDタグ40を破損するおそれがない。
【0060】
加えて、第1変形例の多目的おしぼり2bでは、収納部18が本体部10の下端側に設けられているため、図3(b)に示すように、ロール状に巻いておしぼりとして使用する場合に、収納部18が外側に表れて目立つことになる。これに対し、本変形例の多目的おしぼり2cでは、収納部18はスリット14の近傍に設けられているので、ロール状に巻いた状態では、収納部18が外側に表れることがなく、10内側に存在することになるので、RFIDタグ40が収納されている収納部18の部分が目立つおそれがない。
【0061】
したがって、本変形例は、おしぼり貸し出し業者がおしぼりの回収数を容易に把握できることに加え、RFIDタグ40を破損するおそれがなく、しかも収納部18が目立たないという利点がある。
【0062】
[その他の変形例]
上述の実施形態において、本体部10の形状やデザインは、第1実施形態および第2実施形態に示したものに限定されない。
【0063】
例えば、本体部10に設けるスリット14は、吊り下げ状態で筒状部21の下方となる位置に2本設けてもよいし、3本以上設けてもよい。例えば、図10に示す多目的おしぼり1hは、本体部10が2本のスリット14a,14bによって3つの片部14,15,19に分割されたものである。本変形例では、本体部10を適宜の幅に設計することで、多目的おしぼり1hを複数連ねなくても、単体で吊り下げる場合でも、暖簾として使用することが容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、飲食店に限らず、例えば美容室、エステサロンなど、あらゆる店舗で利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h 多目的おしぼり
2a,2b,2c 多目的おしぼり
10 本体部
11 生地
12 図柄
13 店舗ロゴ
14 スリット
15 第1片部
16 第2片部
17 縫製
18 収納部
20 吊り下げ手段
21 筒状部
22 空洞
23a 一方の開口
23b 他方の開口
25 筒状部
28 開孔付き筒状部
40 RFIDタグ
51 支持材
図1
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