(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011826
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】センサ制御回路
(51)【国際特許分類】
G01J 1/44 20060101AFI20250117BHJP
G01J 1/42 20060101ALN20250117BHJP
【FI】
G01J1/44 Z
G01J1/42 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114168
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】520036123
【氏名又は名称】北野 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】北野 幹夫
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065BC01
2G065BC03
2G065BC07
2G065BC08
2G065BC19
2G065BC22
2G065DA15
(57)【要約】
【課題】従来のセンサ制御回路では、受信素子に到達する検出信号が非常に小さくなり検出対象物の測定が正しく行えない問題がある。
【解決手段】本発明にかかるセンサ制御回路10は、モニタ信号Vrecにより取得される送信素子101から受信素子102への検出信号の伝達率βsenの変化量の大きさを、基準信号V+の信号レベルとモニタ信号Vrecの信号レベルとの差により検出し、変化量の大きさに応じて伝達率βsenの変化を打ち消す方向に送信素子制御信号を変化させる送信素子制御回路11と、送信素子制御信号を、検出信号の送信強度が送信素子制御信号の信号レベルに応じた強度とするように出力端子Toに伝達する検出モードと、検出信号の送信強度を実質的にゼロに固定する非検出モードと、の間で周期的に切り替える間欠制御回路14と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物に対して照射する検出信号を送信する送信素子に前記検出信号の送信強度を制御する送信素子制御信号を出力する出力端子と、
前記検出信号を受信する受信素子が前記検出信号の受信強度の大きさに応じて信号レベルを変動させるモニタ信号が入力される入力端子と、
前記モニタ信号により取得される前記送信素子から前記受信素子への前記検出信号の伝達率の変化量の大きさを、基準信号の信号レベルと前記モニタ信号の信号レベルとの差により検出し、前記変化量の大きさに応じて前記伝達率の変化を打ち消す方向に前記送信素子制御信号を変化させる送信素子制御回路と、
前記送信素子制御信号を、前記検出信号の送信強度が前記送信素子制御信号の信号レベルに応じた強度となるように前記出力端子に伝達する検出モードと、前記検出信号の送信強度を実質的にゼロに固定する非検出モードと、の間で周期的に切り替える間欠制御回路と、
を有するセンサ制御回路。
【請求項2】
前記非検出モード寄りの前記検出モードの後半半分の期間において前記送信素子制御信号の信号レベルに対応する伝達率検出電圧をサンプリングして、伝達率検出値を出力する伝達率算出部をさらに有する請求項1に記載のセンサ制御回路。
【請求項3】
前記非検出モード中の前記モニタ信号の信号レベルをサンプリングして環境光レベル計測値を出力する環境光レベル算出部をさらに有する請求項1に記載のセンサ制御回路。
【請求項4】
前記間欠制御回路は、
前記検出モードと前記非検出モードとの切り替わりタイミングを制御するタイミング制御回路をさらに有し、
前記タイミング制御回路は、他の第1の回路から与えられたスタートパルスに応じて動作を開始し、
前記検出モードから前記非検出モードへの切り替わりタイミングを通知する信号を他の第2の回路への前記スタートパルスとして出力する請求項1に記載のセンサ制御回路。
【請求項5】
前記間欠制御回路は、
一端に前記送信素子制御信号が入力されるゲート抵抗と、
前記ゲート抵抗の他端がゲートに接続され、ドレインが前記出力端子に接続される出力トランジスタと、
前記出力トランジスタのゲートを、前記検出モードにおいては前記送信素子制御信号が与え、前記非検出モードにおいてはロウレベルに固定するように切り替える間欠制御部と、
を有する請求項1に記載のセンサ制御回路。
【請求項6】
前記受信素子が前記検出信号を受信する受信面の前面に配置され、前記検出信号を減衰させた状態で前記受信素子に伝達する減衰フィルタをさらに有する請求項1に記載のセンサ制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ制御回路に関し、例えば、検出信号を送信する送信素子と検出信号を受信する受信素子とを有するセンサ制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
送信素子と受信素子との間で検出信号を送受信し、検出信号により設定される検出範囲に被検出物が入ったことを検出するセンサシステムがある。このようなセンサシステムでは、送信素子の出力強度の制御が行われることがある。そこで、センサシステムにおける送信素子の出力強度の制御回路の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のセンサ制御回路は、被検出物に対して照射する検出信号を送信する送信素子に前記検出信号の送信強度を制御する送信素子制御信号を出力する出力端子と、前記検出信号を受信する受信素子が前記検出信号の受信強度の大きさに応じて信号レベルを変動させるモニタ信号が入力される入力端子と、前記モニタ信号により取得される前記送信素子から前記受信素子への前記検出信号の伝達率の変化量に基づき前記送信素子制御信号を生成する送信素子制御回路と、を有し、前記送信素子制御回路は、前記伝達率の変化を打ち消す方向に前記送信素子制御信号を変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のセンサ制御回路では、環境光が強い状況において検出光に環境光が近くなる程環境光が検出誤差となり正しく検出出来ない問題が有る。また、特許文献1に記載のセンサ制御回路では、送信素子と受信素子との間の伝達率が極端に低い環境においては受信素子に届く検出信号を極端に小さくしないと伝達率測定が正しく行えない問題がある。この場合、環境光がそれほど大きくなくても検出誤差になるからである。つまり、特許文献1に記載のセンサ制御回路では、受信素子に到達する検出信号を非常に小さくしなくてはいけない時には、検出対象物の測定を正しく行えない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるセンサ制御回路の一態様は、被検出物に対して照射する検出信号を送信する送信素子に前記検出信号の送信強度を制御する送信素子制御信号を出力する出力端子と、前記検出信号を受信する受信素子が前記検出信号の受信強度の大きさに応じて信号レベルを変動させるモニタ信号が入力される入力端子と、前記モニタ信号により取得される前記送信素子から前記受信素子への前記検出信号の伝達率の変化量の大きさを、基準信号の信号レベルと前記モニタ信号の信号レベルとの差により検出し、前記変化量の大きさに応じて前記伝達率の変化を打ち消す方向に前記送信素子制御信号を変化させる送信素子制御回路と、前記送信素子制御信号を、前記検出信号の送信強度が前記送信素子制御信号の信号レベルに応じた強度とするように前記出力端子に伝達する検出モードと、前記検出信号の送信強度を実質的にゼロに固定する非検出モードと、の間で周期的に切り替える間欠制御回路と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかるセンサ制御回路によれば、送信素子を間欠駆動する送信素子駆動制御信号を生成することで送信素子の最大駆動電流を高めることで、受信素子に到達する検出信号の最大信号レベルを高めて、検出対象物の測定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】赤外線発光ダイオードの駆動特性を説明するグラフである。
【
図2】実施の形態1にかかるセンサ制御回路が適用されるセンサシステムのブロック図である。
【
図3】実施の形態1にかかるドライバ回路及び間欠制御回路の一例を説明する図である。
【
図4】実施の形態1にかかるセンサ制御回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【
図5】実施の形態1の第1の変形例にかかるセンサシステムのブロック図である。
【
図6】実施の形態1の第2の変形例にかかるセンサシステムのブロック図である。
【
図7】実施の形態2にかかるセンサ制御回路が適用されるセンサシステムのブロック図である。
【
図8】実施の形態3にかかるセンサ制御回路が適用されるセンサシステムのブロック図である。
【
図9】実施の形態3にかかるセンサ制御回路を複数個利用したセンサシステムのブロック図である。
【
図10】実施の形態3にかかるセンサ制御回路を複数個利用した連動計測システムの動作を説明するタイミングチャートである。
【
図11】実施の形態4にかかるセンサ制御回路が適用されるセンサシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、それらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0011】
以下の説明では、センサ制御回路と、センサ制御回路により制御されるセンサ素子である送信素子と受信素子を含むセンサシステム、当該センサシステムの出力信号を用いて様々な制御を行うセンサ組み込み機器について説明する。なお、センサ制御回路で利用するセンサ素子を構成する送信素子及び受信素子としては、空間を伝搬する媒体を検出信号として送受信する素子を利用する。空間を伝搬する媒体としては、可視光、非可視光、音、超音波、熱、水圧、電波等が考えられる。以下では、送信素子及び受信素子として、非可視光信号を送受信する発光部及び受光部を用いたセンサシステムの例について説明する。
【0012】
実施の形態1にかかるセンサ制御回路10は、送信素子を間欠駆動することで送信素子が出力する検出信号の最大信号レベルを、送信素子を連続駆動(以降、定常駆動と呼ぶ)するときよりも高くする。そこで、検出信号として赤外線を利用する際に用いる赤外線発光ダイオードの駆動特性について説明する為、
図1に赤外線発光ダイオードの駆動特性を説明するグラフを示す。
【0013】
図1に示すグラフは、定常駆動では、駆動電流となる順方向電流IFの最大値が100mAとなる赤外線発光ダイオードを、間欠駆動した際の点灯時間と消灯時間の長さによって許容される順方向電流IFの最大値がどのように変化するかを示すグラフである。
図1に示す例では、発光期間となるパルス長さ(Pulse Duration)tpを5msec、パルス周期Tを50msecとした場合(tp/T=0.1)、順方向電流IFの最大値は、定常駆動した場合の2.4倍の240mAまで高める事ができる。また、発光期間となるパルス長さtpを100μsec、パルス周期Tを5msecとした場合(tp/T=0.02)、順方向電流IFの最大値は、定常駆動した場合の10倍の1Aまで高める事ができる。
【0014】
実施の形態1にかかるセンサ駆動回路では、発光部を間欠駆動することで、検出信号となる検出光が環境光に埋没しやすい状況、或いは、発光部と受光部との間の透過率(検出信号の伝達率であり、以下単に伝達率βsenと称す)が低く受光部に検出信号が十分に届かない状況においても検出光の強度を高めて検出光の検出精度を高めることが可能になる。
【0015】
以下では、間欠駆動動作を行うための構成について詳細に説明する。
図2に実施の形態1にかかるセンサ制御回路が適用されるセンサシステム1のブロック図を示す。センサシステム1は、センサ制御回路10、サンプリング回路80、発光部101、受光部102を有する。なお、サンプリング回路80は、センサ制御回路10と別体の装置として設けることも出来るし、センサ制御回路10と一体に構成することもできる。
【0016】
センサ制御回路10は、出力端子To、入力端子Ti、送信素子制御回路11、ドライバ回路13、間欠制御回路14を有する。送信素子制御回路11は、被検出物OBJに対して照射する検出信号を送信する送信素子(例えば、発光部101)に検出信号の送信強度を制御する送信素子制御信号Voを出力する。なお、実施の形態1にかかるセンサ制御回路10では、ドライバ回路13が送信素子制御回路11から出力される送信素子制御信号Voの電圧レベルに応じて電流値が変化する駆動電流を出力端子Toを介して発光部101に与える。
【0017】
入力端子Tiは、検出信号を受信する受信素子(例えば、受光部102)が検出信号の受信強度の大きさに応じて信号レベルを変動させるモニタ信号Vrecが入力される。
【0018】
送信素子制御回路11は、モニタ信号Vrecにより取得される発光部101から受光部102への検出信号の伝達率βsenの変化量の大きさを、基準信号V+の信号レベルとモニタ信号Vrecの信号レベルとの差により検出し、変化量の大きさに応じて伝達率βsenの変化を打ち消す方向に送信素子制御信号Voを変化させる。
【0019】
図2では、送信素子制御回路11の一例として、増幅器12、第1のインピーダンス素子Zs及び第2のインピーダンス素子Zfにより構成される反転増幅器を示した。具体的には、第1のインピーダンス素子Zsは、入力端子Tiと増幅器12の反転入力端子との間に設けられる。第2のインピーダンス素子Zfは、増幅器12の出力端子と反転入力端子との間に設けられる。増幅器12の正転入力端子には、基準信号V+が入力される。なお、
図2に示す例では、基準信号V+として直流電圧を利用することを示したが、基準信号V+としては発光部101の発光と消灯の周期に同期させたパルス信号を利用することもできる。
【0020】
ドライバ回路13は、送信素子制御信号Voの電圧レベルに応じた大きさの電流値を有する駆動電流を発光部101に出力する。また、
図2に示す例では、センサ制御回路10が検出した伝達率βsenの大きさを示す伝達率検出電圧Vkをドライバ回路13が出力する構成とした。この伝達率検出電圧Vkとしては、送信素子制御信号Voを利用することもできるが、ドライバ回路13が出力する駆動電流の大きさに比例した電圧値となる伝達率検出電圧Vkとすることで、サンプリング回路80の動作レンジに合わせやすくなる。
【0021】
間欠制御回路14は、送信素子制御信号Voを、検出信号の送信強度が送信素子制御信号Voの信号レベルに応じた強度となるように出力端子Toに伝達する検出モードと、検出信号の送信強度を実質的にゼロに固定する非検出モードと、の間で周期的に切り替える。より具体的には、間欠制御回路14は、ドライバ回路13が駆動電流の大きさを送信素子制御信号Voの信号レベルに応じた大きさにする検出モードと、ドライバ回路13に駆動電流の出力を停止させる非検出モード(言い換えるとミュートモード)とするかを切り替える。
【0022】
サンプリング回路80は、伝達率検出電圧Vkの大きさに対応したデジタル値を出力する。また、サンプリング回路80では、検出モード時の伝達率検出電圧Vkの大きさをデジタル値である伝達率検出値Dkに変換するために、間欠制御回路14から検出モードと非検出モードとの切り替えを指示する検出タイミング制御信号TX_onを取得し、検出タイミング制御信号TX_onが検出モードを示している期間に伝達率検出電圧Vkを伝達率検出値Dkに変換する。
【0023】
ここで、ドライバ回路13及び間欠制御回路14は、デジタル回路、アナログ回路等、様々な形態で構成することが可能であるが、アナログ回路とデジタル回路を組み合わせて構成することもできる。そこで、ドライバ回路13及び間欠制御回路14の具体的な構成の一例について説明する。
図3に実施の形態1にかかるドライバ回路13及び間欠制御回路14の一例を説明する図を示す。
【0024】
図3に示す例では、ドライバ回路13を一石アンプで構成し、間欠制御回路14を例えばプログラムを実行可能な演算部を含むMCU(Micro Controller Unit)により検出タイミング制御信号TX_onを生成する例を示した。
【0025】
図3に示す例では、ドライバ回路13は、ゲート抵抗Rg、ソース抵抗Rk、出力トランジスタPTを有する。出力トランジスタPTとしては、例えば、N型のMOSFET(Metal Oxide Silicon Field Effect Transistors)を利用することができる。出力トランジスタPTのゲートには、ゲート抵抗Rgを介して送信素子制御信号Voが入力される。出力トランジスタPTのソースは、ソース抵抗Rkを介して接地端子に接続される。出力トランジスタPTのドレインは、出力端子Toに接続される。そして、ドライバ回路13では、出力トランジスタPTのソースとソース抵抗Rkとの間から伝達率検出電圧Vkを出力する。
図3に示す例では、出力トランジスタPTが出力する駆動電流とソース抵抗Rkとの積により導出される電圧値が伝達率検出電圧Vkとなる。
【0026】
間欠制御回路14は、タイミング制御回路15、トランジスタQを有する。タイミング制御回路15は、例えば、プログラムを実行可能な演算部を含むMCUである。タイミング制御回路15は、センサ制御回路10の仕様に合わせて設定された周期でハイレベルとロウレベルが切り替わる検出タイミング制御信号TX_onを出力する。この検出タイミング制御信号TX_onは、ロウレベルの期間にセンサ制御回路10を検出モードとし、ハイレベルの期間にセンサ制御回路10を非検出モードとする信号である。トランジスタQは、例えばバイポーラトランジスタである。トランジスタQのベースには、検出タイミング制御信号TX_onが与えられる。トランジスタのエミッタは接地端子に接続され、トランジスタQのコレクタは、出力トランジスタPTのゲートに接続される。
【0027】
そして、
図3に示す例では、タイミング制御回路15が検出タイミング制御信号TX_onをハイレベルとしている期間は、トランジスタQがオン状態となり、出力トランジスタPTのゲートを送信素子制御信号Voの大きさに関わらずにロウレベル(出力トランジスタPTの閾値電圧以下)にすることで、ドライバ回路13が駆動電流を出力することを停止させる。一方、タイミング制御回路15が検出タイミング制御信号TX_onをロウレベルとしている期間は、トランジスタQがオフ状態となり、出力トランジスタPTのゲートに送信素子制御信号Voが伝達される状態となるため、ドライバ回路13が送信素子制御信号Voの電圧レベルに応じた大きさの駆動電流を出力する。実施の形態1にかかるセンサシステム1では、ドライバ回路13及び間欠制御回路14を用いて、発光部101を間欠駆動することで、発光部101を定常駆動した場合よりも大きな駆動電流を流すことが出来、発光部101をより明るく発光出来るので、環境光が強くても、或いは、伝達率βsenが低くても十分に大きな受信信号として受光部102が検出光を検出可能になる。
【0028】
ここで、発光部101を間欠駆動する場合、検出光の大きさに対応した伝達率検出電圧Vkをサンプリング回路80で精度良くサンプリングするには、タイミングが重要になる。そこで、実施の形態1におけるセンサ制御回路の動作とサンプリングタイミングについて説明する。
【0029】
図4に実施の形態1にかかるセンサ制御回路の動作を説明するタイミングチャートを示す。
図4に示す例では、タイミングT1以前、及び、タイミングT2以降がセンサ制御回路10が非検出モードに制御される期間であり、タイミングT1からタイミングT2までの期間がセンサ制御回路10が検出モードに制御される期間である。非検出モードでは、検出タイミング制御信号TX_onはハイレベルに維持される。そのため、間欠制御回路14のトランジスタQがオン状態となり、ドライバ回路13の出力トランジスタPTのゲート電圧Vgがロウレベルに維持されるため出力トランジスタPTがオフ状態となる。そのため、非検出モードでは、発光部101に対する駆動電流の供給が停止され、伝達率検出電圧Vkがロウレベルに維持される。また、非検出モードでは、発光部101が非発光状態であるため、モニタ信号Vrecの値が小さくなり、送信素子制御回路11は送信素子制御信号Voを高い電圧レベルに維持する。
【0030】
一方、検出モードでは、検出タイミング制御信号TX_onはロウレベルに維持される。そのため、間欠制御回路14のトランジスタQがオフ状態となり、ドライバ回路13の出力トランジスタPTのゲート電圧Vgとして送信素子制御信号Voが伝達され、出力トランジスタPTがオン状態となる。そのため、検出モードでは、発光部101に対して駆動電流が供給され、伝達率検出電圧Vkがロウレベルから伝達率βsenに応じた値になる。
【0031】
ここで、実施の形態1にかかるセンサ制御回路10では、非検出モードから検出モードに切り替わるタイミングT1において、高い電圧レベルの送信素子制御信号Voが出力トランジスタPTのゲートに与えられるため、タイミングT1直後においてゲート電圧Vg及び伝達率検出電圧Vkがいったん大きく跳ね上がる。その後、センサ制御回路10では、送信素子制御信号Vo及び伝達率検出電圧Vkが伝達率βsenの大きさに対応した値に収束する。ここで、実施の形態1にかかるセンサ制御回路10では、非検出モード期間中は出力トランジスタPTのゲート電圧が0Vなので出力電流が流れない飽和領域で動作し、検出モード期間中は開始時に出力トランジスタPTのゲート電圧のミュートが解除され、出力トランジスタPTのゲート電圧には送信制御信号Voが加わり、その電圧レベルに追従して出力電流の大きさが変化する。そして、実施の形態1にかかるセンサ制御回路10では、非検出モードから検出モードに切り替わるタイミングでは、まず送信素子制御信号Voが電源電圧近くの飽和領域に切り替わり、その後、送信素子制御回路11が能動領域に徐々に移行するので、センサ制御回路10、発光部101及び受光部102により構成されるフィードバックループが安定し、かつ、出力トランジスタPTが飽和領域から能動領域の動作に切り替わって安定するまでに多少の時間を要する。
図4に示す例では、ゲート電圧Vg及び伝達率検出電圧Vkの波形にオーバーシュートが生じているように見える期間がその期間である。
【0032】
そして、センサ制御回路10では、伝達率検出電圧Vkの電圧変動が所定の範囲内に安定するタイミングでサンプリング回路80により伝達率検出電圧Vkをサンプリングする。このサンプリングタイミングは、事前の検証において十分に安定するタイミングを検証して決定することができる。伝達率検出電圧Vkの電圧変動が収束に要する時間は、パルス幅の長さtp、パルス周期T及び基準信号V+の電圧レベルによって変動する。そこで、サンプリングタイムは、これらパラメータに応じて事前の検証で十分に伝達率検出電圧Vkが安定する時間の範囲を決定し、決定した時間の範囲内に設定することが好ましい。非検出モード寄りの検出モードの後半半分の期間で、伝達率検出電圧Vkの電圧変動が所定の範囲内に安定するようにパラメータを調整することが一例として考えられる。
【0033】
上記説明より、実施の形態1にかかるセンサ制御回路10は、発光部101を間欠駆動することで、発光部101を定常駆動した場合に比べて高い最大発光量で発光させることができる。このように最大発光量を高めることで、受光部102で受信される検出信号を高める事が出来、検出光が環境光により埋没したり、低い伝達率βsenに起因して極端に小さくなったりして、センサ制御回路10における伝達率βsenの検出精度が低下することを防止することができる。
【0034】
また、センサ制御回路10では、受光部102が出力するモニタ信号Vrecが一定の電圧レベルになるように発光部101を発光させるフィードバックループを有する。このようなセンサ制御回路10において、間欠制御回路14を用いることなく基準信号V+にパルス信号を適用するなどして間欠駆動をした場合、非検出モードにおいて増幅器12の非反転入力端子に与えられる基準信号V+の電圧レベルと、増幅器12の反転入力端子の反転入力電圧V-の電圧レベルとの差が増幅器12の入力端子間に生じる不感帯の範囲内となり、フィードバックループが不安定になる問題が生じる。しかしながら、実施の形態1にかかるセンサ制御回路10では、間欠制御回路14により、ドライバ回路13をミュート状態にするものであり、増幅器12の不感帯に起因するフィードバックループの不安定さを生じさせることなく、安定したフィードバックループにより安定した動作を実現することができる。
【0035】
上記実施の形態では、送信素子制御回路11の入力側で不安定期間が生じても、出力側に間欠制御回路14を設ける事で、センサシステム1を確実に非検出モードとなるように制御したが、センサシステム1を非検出モードとする方法としては、送信素子制御回路11の入力側で不安定期間が生じない様にモニタ信号から増幅器12の反転入力端子へ伝達される信号を間欠制御する方法もある。そこで、この方法を使用する1つの変形例について説明する。
図5に実施の形態1の第1の変形例にかかるセンサシステム1aのブロック図を示す。
【0036】
図5に示すように、変形例にかかるセンサシステム1aでは、センサシステム1の間欠制御回路14に代えて間欠制御回路14aを有する。間欠制御回路14aは、入力端子Tiから第1のインピーダンス素子Zsへの経路を切り替える。検出モードでは第1のインピーダンス素子Zsにモニタ信号Vrecの電圧を供給し、非検出モード時に第1のインピーダンス素子Zsに電圧Vupを与えることで、センサシステム1aの検出モードと非検出モードとを切り替える。つまり、変形例にかかるセンサシステム1aでは、間欠制御回路14aにより、検出信号の送信強度が送信素子制御信号Voの信号レベルに応じた強度となるように出力端子に伝達する検出モードと、検出信号の送信強度を実質的にゼロに固定する非検出モードと、を周期的に切り替える。
【0037】
間欠制御回路14aは、タイミング制御回路15a、スイッチSWを有する。スイッチSWは、電圧Vupを増幅器12に与えるのか、モニタ信号Vrecを増幅器12に与えるのかをタイミング制御回路15aが出力する検出タイミング制御信号TX_onに基づき切り替える。具体的には、間欠制御回路14aでは、検出タイミング制御信号TX_onがロウレベル(検出モードを指示レベル)である場合にはスイッチSWを入力端子Tiに接続し、増幅器12にモニタ信号Vrecが与えられる状態とする。一方、間欠制御回路14aでは、検出タイミング制御信号TX_onがハイレベル(非検出モードを指示レベル)である場合にはスイッチSWを電圧Vupが与えられる側の端子に接続し、増幅器12に電圧Vupが与えられる状態とする。ここで、電圧Vupは、例えば、増幅器12に供給される電源電圧、モニタ信号Vrecに想定される最大電圧等の受光部102が最大受光量である場合に想定されるモニタ信号Vrecの電圧レベル以上であることが好ましい。また、電圧Vupは、基準信号V+の信号レベルよりも大きな電圧値を有することが好ましい。
【0038】
変形例にかかるセンサシステム1aでは、増幅器12の反転入力を高い電圧で維持することで、増幅器12が出力する送信素子制御信号Voが受光部102の受光量に関わらずロウレベルに維持されるため、発光部101が消灯する非検出モードとすることが可能になる。また、変形例にかかるセンサシステム1aでは、モニタ信号Vrecをそのまま増幅器12に与えることで、増幅器12が出力する送信素子制御信号Voが受光部102の受光量に応じて変動する状態となるため、発光部101の発光量が伝達率βsenの大きさに対応して変化する検出モードとすることが可能になる。つまり、変形例にかかるセンサシステム1aにおいても実施の形態1にかかるセンサシステム1と同じ機能を実現可能である。
【0039】
また、センサシステム1を非検出モードとする別の方法を開示するセンサシステム1bついて説明する。センサシステム1bでは、送信素子制御回路11の入力側で不安定期間が生じない様にモニタ信号Vrecから増幅器12の反転入力端子へ第3のインピーダンス素子Zuを介して電圧Vupを反転入力端子に与えることで反転入力電圧V-にオフセットをつけた上で、増幅器12の正転入力端子を間欠制御する方法である。そこで、この方法を実現する1つの変形例について説明する。
図6に実施の形態1の第2の変形例にかかるセンサシステム1bのブロック図を示す。
【0040】
図6に示すように、第2の変形例にかかるセンサシステム1bでは、センサシステム1の間欠制御回路14に代えて間欠制御回路14bを有する。間欠制御回路14bは、増幅器12の正転入力端子への入力信号の経路を切り替えるスイッチSWを有する。スイッチSW及びタイミング制御回路15aは、検出モードでは検出動作の基準となる基準電圧Vrefの電圧を供給し、非検出モードでは0Vを与えることで、センサシステム1bの検出モードと非検出モードとを切り替える。非検出モード時に増幅器12の正転入力端子が0Vになった時でも増幅器12の反転入力端子には第3のインピーダンス素子Zuを経由して電圧Vupが直流バイアス電圧として供給されるため、増幅器12の出力はロウレベルに固定される。この場合、第3のインピーダンス素子Zuを経由して供給される電圧Vupは、増幅器12のオフセット電圧等の個体バラツキが最大値であっても増幅器12の出力はロウレベルに固定出来る程度の電圧値を設定する必要が有る事に留意が必要である。
【0041】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかるセンサ制御回路10の変形例について説明する。なお、実施の形態2の説明では、実施の形態1で説明した構成要素と同じ構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
図7に実施の形態2にかかるセンサ制御回路20が適用されるセンサシステム2のブロック図を示す。
図7に示すように、センサシステム2では、実施の形態1にかかるセンサシステム1に対してサンプリング回路81が追加されている。また、センサ制御回路20においては、間欠制御回路14が間欠制御回路24に置き換えられている。間欠制御回路24は、タイミング制御回路15を測定タイミング制御信号RX_onを出力する機能を追加したタイミング制御回路25に置き換えられている。
【0043】
サンプリング回路81は、非検出モード中のモニタ信号Vrecの信号レベルをサンプリングして環境光測定値Denvを出力する環境光測定部として機能する。また、実施の形態2では、タイミング制御回路25が出力する測定タイミング制御信号RX_onに基づき発光部101が消灯している期間に受光部102に入ってくるモニタ信号Vrecは環境光の成分だけになる為、この期間のモニタ信号Vrecをサンプリング回路81で環境光測定値Denvに変換する。
【0044】
なお、サンプリング回路81とサンプリング回路80との動作タイミングを制御するためには必ずしも検出タイミング制御信号TX_onと測定タイミング制御信号RX_onの両方を用いる必要はない。例えば、タイミング制御回路25、サンプリング回路80及びサンプリング回路81が1つのプロセッサに入っている場合は、プロセッサ内で実行されるプログラムにより動作シーケンスを組み、この動作シーケンスに従ってサンプリング回路80及びサンプリング回路81を順次動作させることも可能である。
図7に示す例では、サンプリング回路80とサンプリング回路81との動作タイミングを説明するために検出タイミング制御信号TX_onと測定タイミング制御信号RX_onと示したに過ぎず、サンプリング回路80とサンプリング回路81の動作タイミングの制御方法は様々あることに留意されたい。
【0045】
例えば、センサシステム2が設置される環境では、季節、時間、天候により窓の方角から受光部102に入ってくる太陽光のレベルが変化する。そこで、サンプリング回路81を用いて測定される環境光測定値Denvが予め設定した大きさを超えた場合には、例えば、アラームを鳴らすとか、環境光測定値Denvを周囲にいる作業者に提示することが考えられる。このような通知を行うことで、作業者は建屋のカーテンを閉めるとか、窓の内側に遮光壁を設置する等の環境光レベルを低減する措置をとることができる。
【0046】
このように、環境光の測定値Denvを可視化したりアラームを発報したりすることで、環境光レベルを一定の範囲を超えないように制御することが出来、実施の形態2にかかるセンサシステムでは、検出光が環境光に埋没してしまい、正しく計測を行うことが出来ない問題を解決する。
【0047】
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態2にかかるセンサ制御回路20をさらに変形させた例について説明する。なお、実施の形態3の説明では、実施の形態2で説明した構成要素と同じ構成要素については実施の形態2と同じ符号を付して説明を省略する。
【0048】
図8に実施の形態3にかかるセンサ制御回路30が適用されるセンサシステム3のブロック図を示す。
図8に示すように、実施の形態3にかかるセンサシステム3では、実施の形態2にかかるセンサシステム2のセンサ制御回路20をセンサ制御回路30に置き換えた。センサ制御回路30は、センサ制御回路20の間欠制御回路24を間欠制御回路34に置き換えたものである。また、間欠制御回路34は、間欠制御回路24のタイミング制御回路25をタイミング制御回路35に置き換えたものである。タイミング制御回路35は、タイミング制御回路25にトリガ端子TRGを追加し、他の回路から与えられるスタートパルスに応じて動作を開始する機能を追加したものである。また、タイミング制御回路35は、動作を開始すると、測定タイミング制御信号RX_on及び検出タイミング制御信号TX_onを順次出力する。また、センサ制御回路30では、検出タイミング制御信号TX_onを他の回路に出力するトリガ出力端子TX_outを追加した。このような間欠制御回路34を用いる事で、実施の形態3にかかるセンサシステム3をディジーチェーンなどで複数個連結して、連動動作を行うことが可能になる。
【0049】
そこで、
図9に実施の形態3にかかるセンサ制御回路30を複数個利用した連動計測システムのブロック図を示す。
図9に示した連動計測システムは、n個のセンサシステム3を有する。そして、初段に配置されるセンサシステム3のトリガ端子TRGには、他の回路からスタートパルスSTが入力される。また、2段目以降に配置されるセンサシステム3のトリガ端子TRGには、前段に配置されるセンサシステム3の検出タイミング制御信号TX_onが入力される。
図9に示す例では、最終段に配置されるセンサシステム3については、検出タイミング制御信号TX_onを出力しない構成としたが、最終段に配置されるセンサシステム3の検出タイミング制御信号TX_onを初段のセンサシステム3に戻しても良い。
【0050】
スタートパルスSTをどのように生成するかについては、センサシステム3が用いられるシステムの要求に基づき適宜設定することができる。例えば、スタートパルスSTは、初段に配置したセンサシステム3のタイミング制御回路35が自ら生成するものでも良く、連動計測システムの全体を統合するシステムから与えられるものでも良い。また、最終段に配置されるセンサシステム3の検出タイミング制御信号TX_onを初段のセンサシステム3に戻して連動動作が繰り返される仕様とし、伝達率検出値Dkを取得するタイミングを連動計測システムの全体を統合するシステムで調整することも考えられる。
【0051】
ここで、複数のセンサシステムを連動させるセンサシステム3による連動計測システムの動作を例に、連動計測システムの動作を説明する。
図10に実施の形態3にかかるセンサシステム3を複数個(例えば、3個)利用しディジーチェーンシステムを構成した場合の動作を説明するタイミングチャートを示す。
図10に示す例では、1つ前の動作の完了を待って次の動作を開始するために、各動作は、各段の2つのパルス信号の後から出力されるパルス信号(
図10の例ではTx_on)の立ち下がりエッジをトリガに開始されるものとした。
【0052】
図10に示す複数のセンサシステム3を使用した連動計測システムの例では、まず外部からスタートパルスSTを入力する。そして初段のセンサシステム3は、スタートパルスSTの立ち下がりエッジが入力されたことをトリガに、測定タイミング制御信号RX_onと検出タイミング制御信号TX_onを順次出力する。次いで、2段目のセンサシステム3は、初段の検出タイミング制御信号TX_onの立ち下がりエッジが入力されたことをトリガに、測定タイミング制御信号RX_onと検出タイミング制御信号TX_onを順次出力する。次いで、3段目のセンサシステム3は、2段目の検出タイミング制御信号TX_onの立ち下がりエッジが入力されたことをトリガに、測定タイミング制御信号RX_onと検出タイミング制御信号TX_onを順次出力する。
【0053】
このように、ディジーチェーン接続で複数のセンサシステム3を順次動作させることで、1つのセンサシステムでは対応出来ない広さの検出範囲に対して伝達率βsenを検出することが可能になる。また、ディジーチェーン接続で複数のセンサシステム3を順次動作させた場合、複数のセンサシステム3のうち発光部101が発する検出光が届く範囲に他のセンサシステム3の受光部102を配置した場合においてもセンサシステム3の間の干渉を防止して、伝達率βsenの測定精度が悪化することを防止することができる。
【0054】
なお、ディジーチェーン接続するセンサシステムとして、サンプリング回路81を有さないセンサシステム1を用いても良い。この場合、タイミング制御回路15にスタートパルスSTに対応して動作を開始する機能を追加すれば良い。
【0055】
実施の形態4
実施の形態4では、実施の形態1にかかるセンサシステム1の変形例について説明する。なお、実施の形態4の説明では、実施の形態1で説明した構成要素と同じ構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
図11に実施の形態4にかかるセンサ制御回路が適用されるセンサシステム4のブロック図を示す。
図11に示すように、実施の形態4にかかるセンサシステム4は、実施の形態1にかかるセンサシステム1に減衰フィルタ(例えば、減光フィルタ82)を追加したものである。減光フィルタ82は、受信素子(例えば、受光部102)が検出信号(例えば、検出光)を受信する受信面の前面に配置され、検出光を減衰させた状態で受光部102に伝達する。検出光を減衰させる減光フィルタ82としては、丸穴や角穴など光を透過する範囲を狭める通過領域を持つ遮光物や、光を減衰する材質の透過物等が利用出来る。なお、検出信号が光、音、振動等の種類に応じて減衰フィルタの種類は変更される。
【0057】
このように、減光フィルタ82を受光部102の受信面の前面に設けることで、モニタ信号に含まれる環境光の信号レベルだけを低減して、受光部102の入力ダイナミックレンジを実質的に拡大することができる。センサシステム4では、減光フィルタ82が有っても受光部102における受光量が一定を保つように発光部101の出力を調整するようなフィードバックループが構成されるが、環境光に関しては減光フィルタ82による減衰が生じるからである。また、センサシステム4では、発光部101を間欠駆動させた場合の最大発光時に、受光部102の受光量が受光部102の入力ダイナミックレンジの最大値とするように減光フィルタ82の減光度を設定することで、受光部102の入力ダイナミックレンジを最大限活用することができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1~4 センサシステム
10、20、30 センサ制御回路
11 送信素子制御回路
12 増幅器
13 ドライバ回路
14、24、34 間欠制御回路
15、25、35 タイミング制御回路
80、81 サンプリング回路
82 減光フィルタ
101 発光部
102 受光部
Zs 第1のインピーダンス素子
Zf 第2のインピーダンス素子
Zu 第3のインピーダンス素子
SW スイッチ
OBJ 非検出物
Vk 伝達率検出電圧
V+ 基準信号
Vref 基準電圧
V- 反転入力電圧
Vrec モニタ信号
Vo 送信素子制御信号
Rg ゲート抵抗
Ti 入力端子
To 出力端子
TX_on 検出タイミング制御信号
RX_on 測定タイミング制御信号
TRG トリガ入力端子
TX_out トリガ出力端子
Dk 伝達率検出値
Denv 環境光測定値