(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011827
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】改修用カバー部材
(51)【国際特許分類】
E06B 1/62 20060101AFI20250117BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
E06B1/62 B
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114169
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 琢二
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KA06
2E011KB03
2E011KC02
2E011KC09
2E011KD14
2E011KF01
2E011KH01
2E011LB02
2E011LB03
2E011LB09
2E011LB10
2E011LC03
2E011LD02
2E011LD07
2E011LE13
2E011LF01
2E011LF06
(57)【要約】
【課題】容易に成形することができ、かつ見付け板部を切断する作業の容易化を図る。
【解決手段】既設枠体1の内周側に設けられた新設枠体10の室内側に設けられ、新設枠体10から室内に向けて見込み方向に延在した後、延在縁部が外周側に向けて屈曲した主カバー板部41aと、主カバー板部41aの外周側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在する第1支持板部41bと、主カバー板部41aから室内に向けて見込み方向に延在するネジ板部42bと、ネジ板部42bの室内側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在する第2支持板部42aとを有し、第1支持板部41b及び第2支持板部42aを介して支持された状態でネジ板部42bを介して躯体Bに固定用のネジ部材45が螺合される改修用カバー部材であって、第1支持板部41b及び第2支持板部42aが互いに別体に成形されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設枠体の内周側に設けられた新設枠体の室内側に設けられ、
前記新設枠体から室内に向けて見込み方向に延在した後、延在縁部が外周側に向けて屈曲した主カバー板部と、
前記主カバー板部の外周側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在する第1支持板部と、
前記主カバー板部から室内に向けて見込み方向に延在するネジ板部と、
前記ネジ板部の室内側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在する第2支持板部とを有し、
前記第1支持板部及び前記第2支持板部を介して支持された状態で前記ネジ板部を介して躯体に固定用のネジ部材が螺合される改修用カバー部材であって、
前記第1支持板部及び前記第2支持板部が互いに別体に成形されていることを特徴とする改修用カバー部材。
【請求項2】
前記主カバー板部及び前記第1支持板部が一体に成形された第1成形単位体と、前記ネジ板部及び前記第2支持板部が一体に成形された第2成形単位体とを備え、前記第1成形単位体及び前記第2成形単位体が互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の改修用カバー部材。
【請求項3】
前記第1成形単位体には、前記主カバー板部及び前記第1支持板部の室内に臨む見付け面に係合部が設けられ、
前記第2成形単位体には、前記ネジ板部の室外側となる縁部に見付け方向に沿って延在する連結片が設けられ、
前記連結片を前記係合部に係合させることにより、前記第1成形単位体及び前記第2成形単位体が互いに連結されていることを特徴とする請求項2に記載の改修用カバー部材。
【請求項4】
前記主カバー板部、前記ネジ板部及び前記第2支持板部が一体に成形された第3成形単位体と、前記第1支持板部を有した第4成形単位体とを備え、前記第3成形単位体及び前記第4成形単位体が互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の改修用カバー部材。
【請求項5】
前記第3成形単位体には、前記主カバー板部の室外に臨む部分に係合部が設けられ、
前記第4成形単位体には、前記第1支持板部の内周側となる縁部に連結片が設けられ、
前記連結片を前記係合部に係合させることにより、前記第3成形単位体及び前記第4成形単位体が互いに連結されていることを特徴とする請求項4に記載の改修用カバー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具を改修する際に用いられる改修用カバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建具の改修を行う場合には、建物に既設の枠体を残した状態で実施する方法がある。例えば、既設された上枠(以下、既設上枠という)の内周側に新設の上枠(以下、新設上枠という)を取り付けるようにしたものである。こうした建具では、既設上枠が室内側から視認されないように内額縁と称されるカバー部材が設けられる。カバー部材は、アルミニウム合金等の金属によって成形されたもので、新設上枠から室内に向けて見込み方向に沿って延在する見込み延在部と、見込み延在部から外周側に向けて見付け方向に延在する見付け延在部とを有して構成されている。見付け延在部は、2つの見付け板部を有して構成されている。2つの見付け板部の間には、ネジ螺合用の見込み板部が設けられている。このうち額縁は、2つの見付け板部を支持部として建物に当接させ、この状態から見込み板部を介して建物にネジ部材を螺合することによって取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既設上枠の見付け方向に沿った寸法が大きい場合には、これに応じた寸法の見付け延在部を有したカバー部材を適用すれば良い。しかしながら、上述のカバー部材では、互いにほぼ平行に延在する2つの見付け板部の延在長さが大きくなるため、押し出し形材として成形することが困難となる。また、この種のカバー部材には、折り取り線と称される溝が見付け延在部及び2つの見付け板部にそれぞれ複数設けられており、適宜箇所で切断することにより様々な寸法の建具に対応可能となっている。しかしながら、2つの見付け板部にあっては、互いの間に工具を挿入することも難しく、折り取り線があるとしても切断する場合の作業が煩雑化する懸念もある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、容易に成形することができ、かつ見付け板部を切断する作業の容易化を図ることのできる改修用カバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る改修用カバー部材は、既設枠体の内周側に設けられた新設枠体の室内側に設けられ、前記新設枠体から室内に向けて見込み方向に延在した後、延在縁部が外周側に向けて屈曲した主カバー板部と、前記主カバー板部の外周側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在する第1支持板部と、前記主カバー板部から室内に向けて見込み方向に延在するネジ板部と、前記ネジ板部の室内側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在する第2支持板部とを有し、前記第1支持板部及び前記第2支持板部を介して支持された状態で前記ネジ板部を介して躯体に固定用のネジ部材が螺合される改修用カバー部材であって、前記第1支持板部及び前記第2支持板部が互いに別体に成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1支持板部及び第2支持板部が互いに別体に成形されているため、その延在寸法が大きい場合にも押し出し形材としてそれぞれを容易に成形することができる。しかも第1支持板部及び第2支持板部を個別に取り扱うことができるため、任意の寸法に切断する作業も容易に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態である改修用カバー部材を適用した建具を室内側から見た姿図である。
【
図4】
図1に示した建具に適用する改修用カバー部材を示すもので、(a)は上枠に適用する改修用カバー部材の分解図、(b)は縦枠に適用する改修用カバー部材の分解図、(c)は(a)に示した改修用カバー部材を組み立てた状態の図、(d)は(B)に示した改修用カバー部材を組み立てた状態の図である。
【
図5】本発明の変形例である改修用カバー部材を示すもので、(a)は上枠に適用する改修用カバー部材の分解図、(b)は縦枠に適用する改修用カバー部材の分解図、(c)は(a)に示した改修用カバー部材を組み立てた状態の図、(d)は(B)に示した改修用カバー部材を組み立てた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る改修用カバー部材の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1~
図3は、本発明の実施の形態である改修用カバー部材を適用した建具を示したものである。ここで例示する建具は、戸建て住宅等の建物の玄関に用いられるドアであり、特に既設の枠体1を残した状態で設置される改修用の玄関ドアを例示している。すなわち、この玄関ドアでは、躯体Bに取り付けられた状態の既設の上枠1a、下枠1b及び左右の縦枠1cに対して個々の内周側に新たな上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を設置することにより、ドアパネルPを開閉可能に支持するための枠体10が構成してある。新たな上枠11、下枠12及び左右の縦枠13は、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。なお、以下においては便宜上、躯体Bに残した既設の枠体1の構成要素については既設上枠1a等、既設という用語を付与し、新たに設置した枠体10の構成要素については新設上枠11等、新設という用語を付与して両者を区別することとする。
【0011】
新設上枠11、新設縦枠13は、それぞれ室外側の金属成形部(以下、外方金属成形部21という)及び室内側の金属成形部(以下、内方金属成形部22という)の間を樹脂製のブリッジ材23によって連結したものである。外方金属成形部21及び内方金属成形部22は、それぞれ断面が略長方形の中空状を成すものである。内方金属成形部22には、内周側となる部分に内周に向けて戸当り片22aが設けてある。上記の構成を有した新設上枠11及び新設縦枠13は、既設上枠1a及び既設縦枠1cの内周側となる部分に、それぞれ補強金具24を介して取り付けてある。
【0012】
新設上枠11及び新設縦枠13の室外に臨む見付け面から外壁材Wの外表面Waまでの間には外額縁30A,30Bが設けてあり、一方、新設上枠11及び新設縦枠13の室内に臨む見付け面から室内側に設けた躯体側額縁板25の内周側となる見込み面までの間には内額縁40A,40Bが設けてある。外額縁30A,30B及び内額縁40A,40Bは、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である。
【0013】
新設上枠11の外額縁30Aは、上方第1カバー板部31と、上方第2カバー板部32をと有して構成してある。上方第1カバー板部31は、新設上枠11の室外に臨む見付け面に取り付けられ、外周側に向けて延在した後に室外に向けて延在し、さらに外周側に向けて延在したものである。上方第2カバー板部32は、上方第1カバー板部31の外周側となる縁部から室内に向けて延在したものである。上方第1カバー板部31及び上方第2カバー板部32は、互いに別体に成形した後、相互に連結することにより外額縁30Aを構成するものである。上方第1カバー板部31は、既設上枠1aを越えて外周側に延在し、延在縁部が外壁材Wの外表面Waに対向する位置に達している。上方第2カバー板部32には、左右方向に沿った折り取り線32aが見込み方向に複数並設してある。上方第2カバー板部32の延在縁部は、外壁材Wの外表面Waに近接した位置で切断した後、外壁材Wとの間にシール材Sを充填することによって外壁材Wに隙間無く接している。
【0014】
新設縦枠13の外額縁30Bは、側方第1カバー板部33と、側方第2カバー板部34とを有して構成してある。側方第1カバー板部33は、新設縦枠13の室外に臨む見付け面に取り付けられ、室外に向けて延在した後に外周側に向けて延在したものである。側方第2カバー板部34は、側方第1カバー板部33の外周側となる縁部から室内に向けて延在したものである。側方第1カバー板部33及び側方第2カバー板部34は、互いに別体に成形した後、相互に連結することにより外額縁30Bを構成するものである。側方第1カバー板部33は、既設縦枠1cを越えて外周側に延在し、延在縁部が外壁材Wの外表面Waに対向する位置に達している。側方第2カバー板部34には、左右方向に沿った折り取り線34aが見込み方向に複数並設してある。側方第2カバー板部34の延在縁部は、外壁材Wの外表面Waに近接した位置で切断した後、外壁材Wとの間にシール材Sを充填することによって外壁材Wに隙間無く接している。
【0015】
新設上枠11の内額縁40A及び新設縦枠13の内額縁40Bは、
図4に示すように、それぞれカバー成形体41及び支持部成形体42を備えて構成してある。カバー成形体41は、主カバー板部41a及び第1支持板部41bを一体に成形したもので、外観視が略L字状を成している。支持部成形体42は、第2支持板部42a、ネジ板部42b及び連結片42cを一体に成形したものである。
【0016】
カバー成形体41の主カバー板部41aは、見込み方向に向けて延在した後、内周側となる縁部が外周側に向けて屈曲した平板状を成すものである。主カバー板部41aにおいて見込み方向に延在する部分には、左右方向に沿った折り取り線41cが見込み方向に複数並設してある。第1支持板部41bは、主カバー板部41aの外周側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在した平板状を成すものである。第1支持板部41bには、左右方向に沿った折り取り線41dが見付け方向に複数並設してある。このカバー成形体41には、主カバー板部41a及び第1支持板部41bの室内に臨む見付け面に係合部41eが設けてある。係合部41eは、室内に向けて開口する凹所である。この係合部41eには、内周側縁部及び外周側縁部にそれぞれ係合ヒレ部41fが互いに対向する方向に向けて突出している。
【0017】
支持部成形体42の第2支持板部42aは、見付け方向に沿って延在した平板状を成すものである。第2支持板部42aには、左右方向に沿った折り取り線42dが見付け方向に複数並設してある。ネジ板部42bは、第2支持板部42aの室外に臨む見付け面において内周側に位置する部分から室外に向けて見込み方向に延在したものである。ネジ板部42bの延在寸法は、螺合するネジ部材45の頭部外形寸法よりもわずかに大きく設定してある。連結片42cは、ネジ板部42bの延在縁部から見付け方向に沿って延在した平板状を成すもので、カバー成形体41に設けた係合部41eの係合ヒレ部41fの間に係合することが可能である。連結片42cの内周側に位置する縁部及び第2支持板部42aの内周側に位置する縁部には、それぞれキャップ装着片42eが設けてある。キャップ装着片42eは、互いの間にキャップ部材43を装着するためのものである。
【0018】
上記のように構成した内額縁40A,40Bは、連結片42cを係合部41eに係合させることにより、第1支持板部41b及び第2支持板部42aが互いにほぼ平行に延在する状態で相互に連結し、この状態からネジ板部42b及び躯体側額縁板25を介して躯体Bにネジ部材45を螺合することにより、新設上枠11の室内に臨む見付け面から躯体側額縁板25までの間及び新設縦枠13の室内に臨む見付け面から躯体側額縁板25までの間を覆った状態でそれぞれ躯体Bに取り付けられる。主カバー板部41aの延在縁部は、新設上枠11の室内に臨む見付け面もしくは新設縦枠13の室内に臨む見付け面に近接した位置で切断することにより、それぞれの見付け面との間の隙間が最小限となる状態で配置してある。第1支持板部41bの延在縁部及び第2支持板部42aの延在縁部は、躯体側額縁板25の内周側となる見込み面に近接した位置で切断することにより、ネジ部材45を螺合する際に躯体側額縁板25に当接するため、安定した状態で躯体Bに取り付けられる。室内側に位置する第2支持板部42aと躯体側額縁板25との間には、シール材Sを充填することによって隙間が埋めてある。
【0019】
ここで、上述の内額縁40A,40Bにおいては、互いにほぼ平行に延在する第1支持板部41b及び第2支持板部42aが互いに別体に成形してある。従って、第1支持板部41b及び第2支持板部42aの延在寸法が大きなものであっても、押し出し成形体としてそれぞれを容易に成形することが可能である。しかも、第1支持板部41b及び第2支持板部42aを切断する場合には、カバー成形体41と支持部成形体42とを連結する以前の状態で実施することが可能であり、その作業を容易に行うことができる。ネジ部材45を螺合した後においては、キャップ装着片42dにそれぞれキャップ部材43を装着することで外部からネジ部材45を視認することができず、外観品質の向上を図ることができる。
【0020】
なお、上述した実施の形態では、主カバー板部41a及び第1支持板部41bを一体に成形したカバー成形体41と、第2支持板部42a、ネジ板部42b及び連結片42cを一体に成形した支持部成形体42とによって内額縁40A,40Bを構成するようにしているが、第1支持板部41b及び第2支持板部42aが互いに別体でさえあれば、これに限定されない。
【0021】
図5は、変形例である内額縁140A,140Bを示すものである。変形例の内額縁140A,140Bは、実施の形態と同様、新設上枠11の内周側となる部分及び新設縦枠13の内周側となる部分に設けるもので、カバー本体141及び支持部成形体142を有している。カバー本体141は、主カバー板部141a、ネジ板部141b及び第2支持板部141cを一体に成形したもので、外観視が略L字状を成している。支持部成形体142は、第1支持板部142a及び連結片142bを一体に成形したものである。
【0022】
カバー本体141の主カバー板部141aは、見込み方向に向けて延在した後、室内側となる縁部が外周側に向けて屈曲した平板状を成すものである。主カバー板部141aにおいて見込み方向に延在する部分には、左右方向に沿った折り取り線141dが見込み方向に複数並設してある。ネジ板部141bは、主カバー板部141aの外周側に位置する縁部から室内に向けて見込み方向に延在した平板状を成すものである。第2支持板部141cは、ネジ板部141bの室内側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在したものである。第2支持板部141cには、左右方向に沿った折り取り線141eが見付け方向に複数並設してある。このカバー本体141には、主カバー板部141aに係合部141fが設けてある。係合部141fは、主カバー板部141aの外周側に位置する縁部に設けた係合凹溝部141gと、第2支持板部141cの内周側となる縁部において室外に臨む部分に設けた係合突条141hとを有して構成したものである。また、主カバー板部141aと第2支持板部141cとの内周側に位置する縁部には、キャップ部材を装着するためのキャップ装着片141jが設けてある。
【0023】
支持部成形体142の第1支持板部142aは、見付け方向に沿って延在した平板状を成すものである。第1支持板部142aには、左右方向に沿った折り取り線142cが見付け方向に複数並設してある。連結片142bは、第1支持板部142aの内周側に位置する縁部に設けたものである。本変形例では、フック片部142d及び挿入片部142eを有して連結片142bが構成してある。フック片部142dは、第1支持板部142aから室外に向けて屈曲した後、内周側に向けて延在し、さらに内周に向けて漸次室内側となるように傾斜している。フック片部142dは、外周側の屈曲部分をネジ板部141bの外周側に位置する見込み面に当接させた場合に延在縁部が主カバー板部141aと係合突条141hとの間に挿入するように形成してある。挿入片部142eは、フック片部142dの室内に臨む部分から室内に向けて見込み方向に延在するものである。この挿入片部142eは、フック片部142dの延在縁部を主カバー板部141aと係合突条141hとの間に挿入した場合に係合凹溝部141gに挿入されるものである。
【0024】
この変形例の内額縁140A,140Bは、実施の形態と同様、連結片142bを係合部141fに係合させることにより、第1支持板部142a及び第2支持板部141cが互いにほぼ平行に延在する状態で相互に連結し、この状態からネジ板部141b及び躯体側額縁板25を介して躯体Bにネジ部材45を螺合することにより、新設上枠11の室内に臨む見付け面から躯体側額縁板25までの間及び新設縦枠13の室内に臨む見付け面から躯体側額縁板25までの間を覆った状態で躯体Bに取り付けられる。
【0025】
しかも、この内額縁140A,140Bにおいても、互いにほぼ平行に延在する第1支持板部142a及び第2支持板部141cが互いに別体に構成してある。従って、第1支持板部142a及び第2支持板部141cの延在寸法が大きなものであっても、それぞれを押し出し成形体として容易に成形することが可能である。しかも、第1支持板部142a及び第2支持板部141cを切断する場合には、カバー本体141と支持部成形体142とを連結する以前の状態で実施することが可能であり、その作業を容易に行うことができる。
【0026】
なお、上述した実施の形態では、玄関ドアに適用する改修用カバー部材を例示しているが、その他の改修建具にも適用することが可能である。
【0027】
以上のように、本発明に係る改修用カバー部材は、既設枠体の内周側に設けられた新設枠体の室内側に設けられ、前記新設枠体から室内に向けて見込み方向に延在した後、延在縁部が外周側に向けて屈曲した主カバー板部と、前記主カバー板部の外周側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在する第1支持板部と、前記主カバー板部から室内に向けて見込み方向に延在するネジ板部と、前記ネジ板部の室内側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に延在する第2支持板部とを有し、前記第1支持板部及び前記第2支持板部を介して支持された状態で前記ネジ板部を介して躯体に固定用のネジ部材が螺合される改修用カバー部材であって、前記第1支持板部及び前記第2支持板部が互いに別体に成形されていることを特徴とする。
この発明によれば、第1支持板部及び第2支持板部が互いに別体に成形されているため、その延在寸法が大きい場合にも押し出し形材としてそれぞれを容易に成形することができる。しかも第1支持板部及び第2支持板部を個別に取り扱うことができるため、任意の寸法に切断する作業も容易に実施可能である。
【0028】
また本発明は、上述した改修用カバー部材において、前記主カバー板部及び前記第1支持板部が一体に成形された第1成形単位体と、前記ネジ板部及び前記第2支持板部が一体に成形された第2成形単位体とを備え、前記第1成形単位体及び前記第2成形単位体が互いに連結されていることを特徴とする。
この発明によれば、第1成形単位体及び第2成形単位体を連結させることで改修用カバー部材を構成することができる。
【0029】
また本発明は、上述した改修用カバー部材において、前記第1成形単位体には、前記主カバー板部及び前記第1支持板部の室内に臨む見付け面に係合部が設けられ、前記第2成形単位体には、前記ネジ板部の室外側となる縁部に見付け方向に沿って延在する連結片が設けられ、前記連結片を前記係合部に係合させることにより、前記第1成形単位体及び前記第2成形単位体が互いに連結されていることを特徴とする。
この発明によれば、ネジ部材を螺合した際にネジ板部を介して加えられる外力が係合部及び連結片を介して第1支持板部でも支持されることになり、安定した姿勢で改修用カバー部材を取り付けることができる。
【0030】
また本発明は、上述した改修用カバー部材において、前記主カバー板部、前記ネジ板部及び前記第2支持板部が一体に成形された第3成形単位体と、前記第1支持板部を有した第4成形単位体とを備え、前記第3成形単位体及び前記第4成形単位体が互いに連結されていることを特徴とする。
この発明によれば、第3成形単位体及び第4成形単位体を連結させることで改修用カバー部材を構成することができる。
【0031】
また本発明は、上述した改修用カバー部材において、前記第3成形単位体には、前記主カバー板部の室外に臨む部分に係合部が設けられ、前記第4成形単位体には、前記第1支持板部の内周側となる縁部に連結片が設けられ、前記連結片を前記係合部に係合させることにより、前記第3成形単位体及び前記第4成形単位体が互いに連結されていることを特徴とする。
この発明によれば、ネジ部材を螺合した際にネジ板部を介して加えられる外力が係合部及び連結片を介して第1支持板部でも支持されることになり、安定した姿勢で改修用カバー部材を取り付けることができる。
【符号の説明】
【0032】
10 枠体、11 新設上枠、13 新設縦枠、40A,40B 内額縁、41 カバー成形体、41a 主カバー板部、41b 第1支持板部、41c 折り取り線、41d 折り取り線、41e 係合部、41f 係合ヒレ部、42 支持部成形体、42a 第2支持板部、42b ネジ板部、42c 連結片、42d 折り取り線、45 ネジ部材、140A,140B 内額縁、141 カバー本体、141a 主カバー板部、141b ネジ板部、141c 第2支持板部、141d 折り取り線、141e 折り取り線、141f 係合部、141g 係合凹溝部、141h 係合突条、142 支持部成形体、142a 第1支持板部、142b 連結片、142c 折り取り線、142d フック片部、142e 挿入片部、B 躯体