IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特開2025-11834情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011834
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H03M 7/30 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H03M7/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114186
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】平野 有一
(72)【発明者】
【氏名】倉掛 孝志
【テーマコード(参考)】
5J064
【Fターム(参考)】
5J064BB13
5J064BC03
5J064BC16
(57)【要約】
【課題】データを欠損なく圧縮することが可能な情報処理装置を提供すること。
【解決手段】本開示にかかる情報処理装置10は、時系列データを取得する取得部11と、時系列データをm進数(mは2以上の整数)に変換してm進数データを生成するm進数データ生成部13と、m進数データに対応する画素値を有する画像データを生成する画像データ生成部14と、画像データを記憶する記憶部19と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列データを取得する取得部と、
前記時系列データをm進数(mは2以上の整数)に変換してm進数データを生成するm進数データ生成部と、
前記m進数データに対応する画素値を有する画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データを記憶する記憶部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記画像データにおける縦の画素数及び横の画素数の一方は、前記時系列データのサンプリング数に対応し、他方は前記時系列データの項目数に対応する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記m進数データは、3桁の数字又は記号で表されており、
前記画像データ生成部は、前記3桁の数字又は記号に対応するRGB値を前記画素値として有する前記画像データを生成する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータが、
時系列データを取得する取得ステップと、
前記時系列データをm進数(mは2以上の整数)に変換してm進数データを生成するm進数データ生成ステップと、
前記m進数データに対応する画素値を有する画像データを生成する画像データ生成ステップと、
前記画像データを記憶する記憶ステップと、を実行する
情報処理方法。
【請求項5】
時系列データを取得する取得ステップと、
前記時系列データをm進数(mは2以上の整数)に変換してm進数データを生成するm進数データ生成ステップと、
前記m進数データに対応する画素値を有する画像データを生成する画像データ生成ステップと、
前記画像データを記憶する記憶ステップと、をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
センサなどで検出された時系列データを加工して圧縮する技術が知られている。関連する技術として、特許文献1は、プロセッサを有し、時系列データを処理するデータ処理システムを開示する。プロセッサは、時系列データに対する周波数解析において利用される窓関数を、時系列データに作用させた加工データを生成することを実行するように構成される。データ処理システムは、窓関数に基づく時系列データの圧縮処理(窓圧縮処理)を実行する。また、データ処理システムは、窓圧縮されたデータに対して、窓圧縮処理以外の手法による圧縮処理(通常圧縮処理)を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-045915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示するデータ処理システムは、時系列データを一定区間ごとに窓関数で計算し、計算結果を保存する。そのため、当該データ処理システムでは、元の時系列データが残らないという問題がある。
【0005】
本開示は、データを欠損なく圧縮することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる情報処理装置は、
時系列データを取得する取得部と、
前記時系列データをm進数(mは2以上の整数)に変換してm進数データを生成するm進数データ生成部と、
前記m進数データに対応する画素値を有する画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データを記憶する記憶部と、を備えるものである。
【0007】
本開示にかかる情報処理方法は、
コンピュータが、
時系列データを取得する取得ステップと、
前記時系列データをm進数(mは2以上の整数)に変換してm進数データを生成するm進数データ生成ステップと、
前記m進数データに対応する画素値を有する画像データを生成する画像データ生成ステップと、
前記画像データを記憶する記憶ステップと、を実行するものである。
【0008】
本開示にかかるプログラムは、
時系列データを取得する取得ステップと、
前記時系列データをm進数(mは2以上の整数)に変換してm進数データを生成するm進数データ生成ステップと、
前記m進数データに対応する画素値を有する画像データを生成する画像データ生成ステップと、
前記画像データを記憶する記憶ステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムは、データを欠損なく圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態にかかる情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態にかかる計測データの圧縮処理を示すフローチャートである。
図3】実施形態にかかる計測データの一例を示す図である。
図4】実施形態にかかるm進数データの一例を示す図である。
図5】実施形態にかかる画像データの一例を示す図である。
図6】実施形態にかかる計測データの復元処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した関連する技術では、元の時系列データが残らないという問題以外に、前処理や窓関数の計算において計算量が増加するという問題がある。本開示にかかる技術は、このような問題についても解決することができる。
【0012】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されている。説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
図1を参照して、本実施形態にかかる情報処理システム1を説明する。図1は、情報処理システム1の構成を示すブロック図である。情報処理システム1は、計測装置20及び情報処理装置10を備える。計測装置20及び情報処理装置10は、ネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、無線又は有線の通信回線である。ネットワークNとしては、例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、インターネット回線などを用いることができる。通信の種別は限定されない。計測装置20及び情報処理装置10は、ネットワークNを介してデータの送受信を行う。
【0014】
情報処理システム1の概要を説明する。情報処理システム1は、計測装置20で取得された時系列データを、情報処理装置10において圧縮することが可能なシステムである。また、情報処理システム1は、圧縮された時系列データを情報処理装置10において復元する。計測装置20及び情報処理装置10は、例えばPC(Personal Computer)等である。
【0015】
計測装置20は、所定の計測を行い、計測結果を含む計測データを情報処理装置10に送信する。例えば、計測装置20は、所定の時間間隔で計測データを情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、計測装置20から計測データを受信し、計測データを時系列データとして記憶する。計測データは、サンプリング数及び項目数の情報を含む。情報処理装置10は、計測データを加工することで計測データを圧縮する。
【0016】
具体的には、情報処理装置10は、計測データをm進数に変換してm進数データを生成する。ここで、mは2以上の整数である。例えば、mは、2≦m≦255の範囲である。情報処理装置10は、生成したm進数データに対応する画素値を有する画像データを生成する。これにより、情報処理装置10は計測データを圧縮する。情報処理装置10は、生成した画像データを記憶装置に記憶する。また、情報処理装置10は、m進数を10進数に変換することで、画像データから元の計測データを復元する。以下では、情報処理システム1の各構成を説明する。
【0017】
(計測装置20)
計測装置20は、センサ21、計測部22、及び通信部27を備える。センサ21は、所定の計測を行うセンサである。センサ21は、例えば、熱センサ、温度センサ、光センサ、湿度センサ、又は振動センサ等である。センサ21の種類は限定されない。センサ21は、計測結果を含む計測データを計測部22に出力する。計測データは、例えば、計測値及び計測日時を含む。センサ21は、所定の時間間隔で計測を行ってよい。
【0018】
計測部22は、センサ21から計測データを受け取り、通信部27を介して計測データを情報処理装置10に送信する。計測部22は、計測データを受け取る都度、計測データを送信してもよいし、所定の時間間隔で計測データを送信してもよい。例えば、計測部22は、図示しない記憶部に計測データを蓄積しておき、蓄積した計測データを情報処理装置10に送信するようにしてもよい。
【0019】
通信部27は、情報処理装置10との間で通信を行う。通信部27は、有線又は無線により通信を行うための通信インタフェースにより構成されてよい。
【0020】
(情報処理装置10)
情報処理装置10は、取得部11、補正部12、m進数データ生成部13、画像データ生成部14、復元部15、通信部17、及び記憶部19を備える。情報処理装置10は、図示しない構成としてプロセッサ及びメモリを備える。また、記憶装置である記憶部19には、本実施形態にかかる処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。プロセッサは、記憶部19からコンピュータプログラムをメモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行することができる。これにより、プロセッサは、取得部11、補正部12、m進数データ生成部13、画像データ生成部14、及び復元部15の機能を実現する。
【0021】
取得部11、補正部12、m進数データ生成部13、画像データ生成部14、及び復元部15は、それぞれが専用のハードウエアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等を用いることができる。
【0022】
また、情報処理装置10の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、情報処理装置10の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0023】
取得部11は、計測データ(時系列データ)を取得する。例えば、取得部11は、通信部17において所定の時間間隔で受信された計測データを取得し、取得した計測データを計測データ191として記憶部19に記憶する。これにより、計測データは、記憶部19において時系列データとして記憶される。取得部11は、本実施形態にかかる圧縮処理を行う場合に、記憶部19を参照し、計測データ191を取得する。
【0024】
また、取得部11は、取得した計測データに関する情報を、設定ファイル192として記憶部19に記憶する。設定ファイル192は、情報処理装置10の処理に関する各種の情報を含むファイルである。例えば、取得部11は、計測データに含まれる計測時間及び列名を設定ファイル192に記憶する。計測時間は、計測開始からの経過時間を示す。計測時間の数は、計測データのサンプリング数に対応する。列名は、計測データの項目を示す。列名の数は、計測データの項目数に対応する。
【0025】
補正部12は、取得部11で取得された計測データを補正する。例えば、補正部12は、計測データを補正するための補正値を算出し、算出した補正値を用いて計測データを補正する。例えば、補正部12は、計測データの各項目の最小値が0となるように、補正値aを算出する。また補正部12は、計測データの各項目の最小桁数が1の位となるように、補正値bを算出する。補正部12は、補正値a及びbを用いて計測データを補正する。また、補正部12は、補正値a及びbを設定ファイル192に記憶する。
【0026】
m進数データ生成部13は、補正部12で補正された計測データをm進数(mは2以上の整数)に変換してm進数データを生成する。例えば、mは、2≦m≦255の範囲である。m進数データ生成部13は、補正された計測データに含まれる計測値に対して、所定の処理を行うことで、計測値をm進数に変換する。m進数データ生成部13は、計測データに含まれる全ての計測値をm進数に変換することでm進数データを生成する。
【0027】
例えば、m進数データにおいて、各データは3桁の数字又はアルファベットなどの記号で表される。各データは、数字のみで表されてもよいし、記号のみで表されてもよい。また、各データは、数字及び記号の組み合わせで表されてもよい。m進数データ生成部13の具体的な処理方法は後述する。なお、m進数データ生成部13と、以下で説明する画像データ生成部14と、をまとめて「圧縮部」と称してもよい。
【0028】
画像データ生成部14は、m進数データ生成部13で生成されたm進数データを用いて、m進数データに対応する画素値を有する画像データを生成する。具体的には、画像データ生成部14は、m進数データの各データが示す数値を、画像データの各画素の画素値に割り当てる。これにより、画像データ生成部14は、例えば3桁の数字又は記号に対応するRGB値を画素値として有する画像データを生成する。
【0029】
例えば、m進数データの各データが3桁の数字(X,Y,Z)で表されているとする。なお、ここでは説明のために、当該3桁の数字をカンマで区切って表している。画像データ生成部14は、当該3桁の数字を、画像データの各画素の画素値に割り当てる。画像データ生成部14は、m進数データの(X,Y,Z)が、画像データの画素値(R,G,B)に対応するように画像データを生成する。これにより、画像データ生成部14は、計測値を画素の色に置き換えた画像データを生成する。
【0030】
生成された画像データにおける縦の画素数及び横の画素数の一方は、計測データのサンプリング数に対応し、他方は計測データの項目数に対応する。ここでは、縦の画素数は計測データのサンプリング数に対応し、横の画素数は計測データの項目数に対応する。画像データ生成部14の処理の詳細については後述する。画像データ生成部14は、生成した画像データを記憶部19に画像データ193として記憶する。
【0031】
例えば、2≦m≦255の場合、画像データ生成部14は、最大255の3乗までの数値に対して本実施形態にかかる処理を適用できる。このようにすることで、画像データ生成部14は、生データを欠損させることなく、データ量を圧縮できる。また、画像データ生成部14は、少ないデータ容量で計測データを記憶できる。なお、より多くの色を表現可能な場合、255より大きなmが用いられてもよい。
【0032】
復元部15は、画像データ生成部14で生成された画像データを用いて計測データを復元する。具体的には、復元部15は、設定ファイル192及び画像データ193を読み込み、画像データ193の各画素の画素値を10進数に変換する。また、復元部15は、補正値a及びbで補正されている値を元に戻す。これにより、復元部15は、画像データから元の計測値を復元する。このように、復元部15は、画像データから元の計測データを容易に復元できる。復元部15の具体的な処理方法は後述する。
【0033】
通信部17は、計測装置20との間で通信を行う。通信部17は、有線又は無線により通信を行うための通信インタフェースにより構成されてよい。
【0034】
記憶部19は、計測データ191、設定ファイル192、及び画像データ193を記憶する。また、記憶部19は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。記憶部19は、例えば半導体メモリ等で構成される。記憶部19の少なくとも一部は、情報処理装置10の電源を切ってもデータが保持されるように、不揮発性のメモリで構成されてよい。なお、記憶部19は、情報処理装置10以外の装置に設けられてもよい。
【0035】
続いて、図2図6を参照して、情報処理装置10が行う処理を説明する。図2図5は、計測データの圧縮処理を説明するための図である。図6は、計測データの復元処理を説明するための図である。
【0036】
(圧縮処理)
図2は、計測データの圧縮処理を示すフローチャートである。ステップS11において、取得部11は、記憶部19から計測データ191を読み込む。
【0037】
図3は、計測データ191の一例を示す図である。計測データ191は、計測時間と、各項目の計測値とを対応付けたデータである。各行は、1回の計測で得られた計測データを示す。計測時間は、計測開始からの経過時間を示す。計測時間は、例えば秒数で表される。ここでは、計測開始から0秒、0.02秒、0.04秒、・・・n秒のデータを示す。項目は、計測対象の種別を示す。計測データ191は、複数の項目を含んでよい。ここでは、項目1、項目2、項目3、・・・のデータを、計測時間と対応付けて各列に示す。
【0038】
図2に戻る。ステップS12において、取得部11は、計測時間を記憶部19の設定ファイル192に記憶する。ステップS13において、取得部11は、列名を設定ファイル192に記憶する。
【0039】
ステップS14において、補正部12は、計測データ191の各列の最小値が0になるように計測データ191を補正するための補正値aを算出する。具体的には、補正部12は、計測データ191の各列の最小値を補正値aとして算出する。補正部12は、補正値aを用いて計測値を補正する。ステップS15において、補正部12は、補正値aを設定ファイル192に記憶する。
【0040】
ステップS16において、補正部12は、計測データ191における各列の最小桁数が1の位になるように補正値bを算出する。具体的には、補正部12は、計測データ191の各列の小数点の最下位をbとして算出する。補正部12は、補正値bを用いて計測値を補正する。ステップS17において、補正部12は、補正値bを設定ファイル192に記憶する。
【0041】
ここで、計測データ191に含まれる各計測値を計測値A1とすると、補正部12は、補正値a及びbを用いて計測値A1を補正し、補正計測値A2を得る。補正計測値A2は以下の式(1)のように表される。
A2=(A1-a)*10・・・(1)
【0042】
ステップS18において、m進数データ生成部13は、補正計測値A2を3桁のm進数に変換する。mは2以上の整数である。3桁のm進数は、画像データのRGB値のそれぞれに対応する3つの数字を示す。3桁のm進数はアルファベットなどの記号を含んでもよい。なお、m進数データ生成部13は、計測データ191が取り得る計測値の範囲に応じてmを決定してもよい。例えば、m進数データ生成部13は、2≦m≦255を満たすmを決定する。
【0043】
ここでは、m進数データ生成部13は、m=255を決定したものとする。m進数データ生成部13は、補正計測値A2を3桁の255進数に変換し、変換計測値A3を得る。これにより、m進数データ生成部13は、上記の変換で0~16581374の数値を表現することができる。
【0044】
変換計測値A3は、以下の式(2)のように表される。ここで、B=A2/mの商、C=A2/mの余り、D=C/mの商、E=C/mの余りである。
A3=(B,D,E) ・・・(2)
【0045】
m進数データ生成部13は、計測データ191の全ての計測値について変換計測値A3を得ることで、m進数データ191aを生成する。ステップS19において、画像データ生成部14は、m進数データ191aにおける3桁のm進数をRGB値として、画像データ193を生成する。
【0046】
図4は、m進数データ191aの一例を示す図である。画像データ生成部14は、太実線で示す画像化対象領域100のデータを画像化する。画像化対象領域100は、m進数データ191aのうち、計測時間及び項目名を除く領域である。画像化対象領域100は、m進数に変換された後の計測値を含む。
【0047】
図5は、画像データ193の一例を示す図である。画像データ193において、縦の画素数はサンプリング数を示す。また、横の画素数は項目数を示す。例えば、図に示すP1は、計測時間が0秒の項目1の計測値に対応する画素である。画素P1の画素値は、(R,G,B)=(0,1,0)である。
【0048】
図2に戻る。ステップS20において、画像データ生成部14は、設定ファイル192に列名、計測時間、補正値a、及び補正値bを記憶する。ステップS21において、画像データ生成部14は、設定ファイル192及び画像データ193を出力する。例えば、画像データ生成部14は、設定ファイル192と画像データ193とを対応付けて記憶部19に記憶する。これにより、情報処理装置10はこれらのデータを保存する。
【0049】
(復元処理)
図6は、計測データの復元処理を示すフローチャートである。上述した圧縮処理により、記憶部19に設定ファイル192及び画像データ193が記憶されている。ステップS31において、復元部15は、画像データ193を読み込む。ステップS32において、復元部15は、設定ファイル192を読み込む。ステップS31及びS32の順序は逆であってもよい。
【0050】
ステップS33において、復元部15は、画像データ193の各画素の画素値を10進数に変換する。ここで、上述したように、変換計測値A3は、式(2)によりA3=(B,D,E)と表される。変換計測値A3を10進数に変換する場合、変換計測値A3は、以下の式(3)のように表される。
A3=B*m+D*m+E ・・・(3)
【0051】
また、元の計測値A1は、変換計測値A3、補正値a、及び補正値bを用いて、以下の式(4)のように表される。
A1=A3*10-b+a ・・・(4)
【0052】
式(4)により計測値A1を復元するため、ステップS34において、復元部15は、変換計測値A3に10-bを掛けることで小数点以下を桁合わせする。さらに、復元部15は、ステップS35において、桁合わせ後の変換計測値A3に補正値aを加えることで計測データにおける各列の最小値を補正する。復元部15は、画像データ193の全ての画素についてステップS33~S35の処理を行う。
【0053】
ステップS36において、復元部15は、上記処理後のデータに計測時間を追加する。ステップS37において、復元部15は、計測時間追加後のデータにさらに列名を追加する。これにより、復元部15は、画像データ193から元の計測データ191を復元する。ステップS38において、復元部15は、復元データを出力する。例えば、復元部15は、復元処理を行った日時情報と対応付けて、復元データを記憶部19に記憶する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態にかかる情報処理システム1において、情報処理装置10は、計測装置20から取得した時系列データをm進数(mは2以上の整数)に変換してm進数データを生成する。また、情報処理装置10は、m進数データに対応する画素値を有する画像データを生成し、画像データを記憶する。これにより、情報処理装置10は、データを欠損なく圧縮することができる。また、情報処理装置10は、前処理や窓関数の計算における計算量増加の問題についても解決することができる。さらに、情報処理装置10は、圧縮したデータを容易に復元することができる。
【0055】
上述した情報処理装置10の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。例えば、本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0056】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)又は実体のある記憶媒体(tangible storage medium)に格納されてもよい。限定ではなく例として、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0057】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:情報処理システム、10:情報処理装置、11:取得部、12:補正部、13:m進数データ生成部、14:画像データ生成部、15:復元部、17:通信部、19:記憶部、20:計測装置、21:センサ、22:計測部、27:通信部、100:画像化対象領域、
191:計測データ、191a:m進数データ、192:設定ファイル、193:画像データ、a:補正値、b:補正値、A1:計測値、A2:補正計測値、A3:変換計測値、N:ネットワーク、P1:画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6