(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011839
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】キャッピング装置
(51)【国際特許分類】
B67B 1/04 20060101AFI20250117BHJP
B67B 3/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B67B1/04
B67B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114197
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】細木 大輔
【テーマコード(参考)】
3E080
【Fターム(参考)】
3E080AA01
3E080AA10
3E080CC01
3E080FF01
(57)【要約】
【課題】 樹脂容器と脆性材料容器との型替えを効率的に行う。
【解決手段】 容器にキャップCを打栓するキャッピングヘッド5aと、容器を把持するグリッパGと、容器を支持する載置プレート12とを備えたキャッピング装置2に関する。
載置プレート12の高さを変更する間隔調整手段13を設け、上記グリッパGの把持部材は、上面が平坦な金属製のフランジ支持部41と、上記フランジ支持部41よりも内側に突出し、かつ上面よりも上方に突出しないように設けた弾性素材からなる当接部42とを備える。
樹脂容器1RにキャップCを打栓する際、上記フランジ支持部41が上記樹脂容器1Rのフランジ部1aに下方から当接し、ガラス容器1G(脆性材料容器)にキャップCを打栓する際には、上記間隔調整手段13が載置プレート12の高さを調整して、上記フランジ支持部41がガラス容器1Gに接触しないようにする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器にキャップを打栓するキャッピングヘッドと、容器を把持するグリッパと、容器を下方から支持する載置プレートとを備え、
首部にフランジが形成された樹脂からなる容器にキャップを打栓する際には、上記グリッパによって上記フランジの下部を把持し、脆性材料からなる容器にキャップを打栓する際には、上記載置プレートによって当該容器を下方から支持するキャッピング装置において、
上記グリッパと上記載置プレートとの間隔を変更する間隔調整手段を設け、
上記グリッパは、開閉可能に設けられた一対の把持部材を有し、当該把持部材は、金属で形成されるとともに上面が平坦に形成されたフランジ支持部と、上記フランジ支持部の内縁よりも内側に突出するとともに、当該フランジ支持部の上面よりも上方に突出しないように設けた弾性素材からなる当接部とを備え、
上記樹脂容器にキャップを打栓する際には、上記把持部材の上記フランジ支持部によって上記樹脂容器を上記フランジの下方から支持した状態で把持し、
上記脆性材料容器にキャップを打栓する際には、上記間隔調整手段によってグリッパと上記載置プレートとの間隔を調整して、上記把持部材の当接部を容器に接触させた状態で把持するとともに、上記フランジ支持部は容器の表面に接触しないようにすることを特徴とするキャッピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャッピング装置に関し、詳しくは容器にキャップを打栓するキャッピングヘッドと、容器を把持するグリッパと、容器を下方から支持する載置プレートとを備えたキャッピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器にキャップを装着するキャッピング装置として、上記容器に対して上記キャップを上方から押圧して打栓するものが知られ、ペットボトルなどの樹脂容器や、ガラス容器などの脆性材料容器にキャップを装着可能としたものも知られている(特許文献1)。
上記特許文献1のキャッピング装置では、樹脂容器にキャップを装着する際には、上記容器の首部に形成されたフランジ部の下方をグリッパによって把持した状態でキャッピングを行い、上記脆性材料容器にキャップを装着する際には、上記グリッパを取り外すとともに、上記容器を載置プレートによって支持した状態でキャッピングを行っている。
具体的に説明すると、上記樹脂容器にキャップを打栓する際には、グリッパによって上記フランジの下方を把持することで、当該グリッパがキャッピングヘッドからの圧力を受けるようになっている。
これに対し、脆性材料容器にキャップを打栓する際には、載置プレートによって上記容器を支持することで、当該載置プレートがキャッピングヘッドからの圧力を受けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、脆性材料容器にキャップを打栓するためにはグリッパを取り外す作業が必要となっており、型替えの作業が煩雑であり、またキャッピングの際にはキャッピングヘッドに保持されたキャップの中心と容器の中心を一致させるセンタリングを行わなければならない。
しかしながら、脆性材料容器を上記特許文献1に開示されたグリッパの把持部材が金属製であると、キャップを打栓する際に脆性材料容器における把持部材との接触部分が衝撃によって破損する恐れがあった。
このような問題に鑑み、本発明は樹脂容器と脆性材料容器との型替えを容易に行うことが可能なキャッピング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかるキャッピング装置は、容器にキャップを打栓するキャッピングヘッドと、容器を把持するグリッパと、容器を下方から支持する載置プレートとを備え、
首部にフランジが形成された樹脂からなる容器にキャップを打栓する際には、上記グリッパによって上記フランジの下部を把持し、脆性材料からなる容器にキャップを打栓する際には、上記載置プレートによって当該容器を下方から支持するキャッピング装置において、
上記グリッパと上記載置プレートとの間隔を変更する間隔調整手段を設け、
上記グリッパは、開閉可能に設けられた一対の把持部材を有し、当該把持部材は、金属で形成されるとともに上面が平坦に形成されたフランジ支持部と、上記フランジ支持部の内縁よりも内側に突出するとともに、当該フランジ支持部の上面よりも上方に突出しないように設けた弾性素材からなる当接部とを備え、
上記樹脂容器にキャップを打栓する際には、上記把持部材の上記フランジ支持部によって上記樹脂容器を上記フランジの下方から支持した状態で把持し、
上記脆性材料容器にキャップを打栓する際には、上記間隔調整手段によってグリッパと上記載置プレートとの間隔を調整して、上記把持部材の当接部を容器に接触させた状態で把持するとともに、上記フランジ支持部は容器の表面に接触しないようにすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、間隔調整手段によって上記グリッパと上記載置プレートとの間隔を変更することにより、上記グリッパが容器を保持する位置を調整することができる。
上記樹脂容器にキャップを打栓する際には、金属製のフランジ支持部が樹脂容器のフランジを下方から支持することで、キャッピングヘッドからの圧力を受けながらキャップを打栓することができる。
一方、上記脆性材料容器にキャップを打栓する際には、弾性素材からなる当接部を容器の表面に接触させて把持することで、キャッピングヘッドとのセンタリングを行うことができ、キャッピングヘッドからの圧力は上記載置プレートによって受けることができる。一方、金属製のフランジ支持部は容器の表面に接触しないことから、脆性材料容器の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかるキャッピング装置の平面図
【
図9】グリッパを大径用開閉位置および小径用開閉位置に位置させる際の動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施形態について説明すると、
図1は容器1にキャップCを装着するキャッピング装置2を示しており、上記容器1として、樹脂容器1R(
図6(a)参照)および脆性材料容器としてのガラス容器1G(
図7(a)参照)にキャップCの装着をすることが可能となっている。
また本実施形態のキャッピング装置は、
図4(a)(b)に示すように、小径の容器1Sおよび大径の容器1Lであっても、これらの容器1の中心をセンタリングしてキャップCを装着することが可能となっている。
上記樹脂容器1Rは例えばPETなどの樹脂からなり、
図6(a)に示すように容器の首部にはフランジ部1aが形成され、樹脂容器1Rを搬送する際には当該フランジ部1aの下部をグリッパGによって把持するようになっている。
これに対し、脆性材料からなる上記ガラス容器1Gには、
図7(a)に示すように開口部に厚肉部1bが形成されているものの、上記樹脂容器1Rのフランジ部1aに相当する構成は備えておらず、ガラス容器1Gを搬送する際には下記載置プレート12によって下方から支持するようになっている。なお、脆性材料としては上記ガラスの他、陶器などが考えられる。
【0009】
そして上記キャッピング装置2は、上記容器1を搬送方向上流側から順に設けられた供給コンベヤ3、供給ホイール4、キャッピングホイール5、排出ホイール6、排出コンベヤ7によって搬送しながら、上記キャッピングホイール5に設けられたキャッピングヘッド5a(
図2参照)によって容器1にキャップCを装着するようになっている。
上記キャッピングホイール5の外周には容器1を把持するグリッパGが等間隔に設けられており、例えば供給ホイール4とキャッピングホイール5とが接近した位置で容器1の受け渡しを行うようになっている。
【0010】
図2は
図1におけるII-II部の断面図を示し、上記キャッピングホイール5の断面図を示したものとなっている。
キャッピングホイール5は、回転軸11aを中心に回転する回転テーブル11と、当該回転テーブル11の外周に沿って等間隔に設けられたグリッパGと、当該グリッパGの下方に設けられた載置プレート12と、各グリッパGの上方に設けられたキャッピングヘッド5aとから構成されている。
また上記キャッピングホイール5は図示しない駆動手段によって駆動されるとともに、隣接して設けられた上記供給ホイール4および排出ホイール6と同期して回転するように構成されている。
上記グリッパGは、上記回転テーブル11の略中央の高さに設けられた支持プレート11bの下方に設けられ、後述する開閉機構22によって把持部材21を開閉させることにより容器1の首部の把持および解放を行うようになっている。
また本実施形態のグリッパGは間隔設定機構23を備え、把持部材21の間隔を、大径の容器1Lを把持可能な大径用開閉位置(
図4(b))と、小径の容器1Sを把持可能な小径用開閉位置(
図4(a))とに設定することが可能となっている。
【0011】
上記載置プレート12は上記回転軸11aを囲繞するように設けられた、リング状を有する板状の部材となっており、その上面に上記容器1が載置されるようになっている。また載置プレート12は上記回転テーブル11の回転軸11aに対して、間隔調整手段13によって上下に昇降可能に設けられている。
上記間隔調整手段13は、上記回転軸の円筒状の外周面に沿って複数設けられるとともに、上下方向に設けられたレール13aと、当該レール13aに沿って上下動するスライダ13bと、当該スライダ13bと上記載置プレート12とを連結する連結部材13cとから構成されている。
上記スライダ13bは、図示しないサーボシリンダや、電動、油圧、空圧等を用いたアクチュエータによって駆動され、載置プレート12を昇降させることにより、上記グリッパと載置プレート12との間隔の調整を行うようになっている。
なお本実施形態において、上記載置プレート12はリング状を有しているが、載置プレート12を上記キャッピングヘッド5aと同じ間隔で個別に設けてもよく、この場合であっても、各載置プレート12を連結部材13cによって連結すれば、異なる数のスライダ13bを用いて全ての載置プレート12を昇降させることができる。
さらに、載置プレート12は所定の高さで固定しておき、その他の構成を上述したようなアクチュエータによって昇降させることにより、上記グリッパGと載置プレート12との間隔を調整するようにしても良い。
【0012】
上記キャッピングヘッド5aは従来公知の構成を有しているため詳細な説明は省略するが、保持したキャップCを上方から押圧することで、当該キャップCを容器1に装着する、いわゆる打栓方式を採用したものとなっている。
またキャッピングヘッド5aは上記回転テーブル11に対して昇降可能に設けられており、所要のキャッピング位置で下降することにより、容器1にキャップCを装着するようになっている。このような昇降動作を行う機構としては、カム機構を採用することが知られているが、その他に、モータやシリンダ等の駆動手段を採用してもよい。
【0013】
本実施形態のグリッパGは上記支持プレート11bの外周縁に沿って等間隔に設けられており、上記支持プレート11bの下方には、連結部材11eを介して略円盤状の上部支持部材11cと下部支持部材11dとが固定されている。
ここで、上記上部支持部材11cおよび下部支持部材11dについては、上記グリッパGによる容器1の把持動作やキャッピングヘッド5aの動作に支障が無いような形状に形成されている。
図3~
図5は上記グリッパGを説明する図となっており、
図3は側面図を、
図4は平面図を、
図5はグリッパGを回転テーブル11の中心側から見た図を示している。また
図3~
図5において、(a)はグリッパGによって小径の容器1Sを保持した状態を、(b)は大径の容器1Lを保持した状態をそれぞれ示している。
【0014】
上記グリッパGは、容器1を把持する一対の把持部材21と、上記一対の把持部材21を開閉させる開閉機構22と、上記把持部材21の間隔を、大径の容器1Lを把持可能な大径用開閉位置と、小径の容器1Sを把持可能な小径用開閉位置とに設定可能な間隔設定機構23とを備えている。
上記把持部材21は、
図4に示すように図示右方に設けられた右側把持部材21Rと、図示左方に設けられた左側把持部材21Lとから構成され、各把持部材21の先端部には、対向する把持部材21に向けて凹部21aが形成され、把持部材21が接近した閉鎖状態とすることで、
図4(a)(b)に示すように小径の容器1Sおよび大径の容器1Lを把持することが可能となっている。
上記凹部21aは、平面視において中央部が外側に膨出した曲線状を有しており、この曲線は容器1の外周縁に密着しないような形状に設定されている。このため、グリッパGによって容器1を把持すると、二つの凹部21aの間に容器1が収容され、各凹部21aの所要の2ヶ所がそれぞれ容器1の外周に接触するようになっている。
換言すると、上記容器1と二つの凹部21aとは4点で接触し、その状態で容器1が把持されるようになっている。従って接触部分以外には容器1と凹部21aとの間に隙間が形成されるようになっている。
【0015】
図3~
図5に示すように、上記開閉機構22は、上記把持部材21を開閉可能に支持する上記下部支持部材11dと、当該下部支持部材11dに対して上下に移動可能に設けられた昇降プレート24と、上記昇降プレート24に設けられたカムフォロア25に係合して、上記昇降プレート24を上下動させる円筒カム26とを備えている。
上記下部支持部材11dは上記連結部材11eによって上記回転テーブル11に固定されており、当該下部支持部材11dの上面には、平行に設けられた2つのスライドガイド27が回転テーブル11の回転軌跡に対して接線方向に設けられている。そして一方のスライドガイド27には上記右側把持部材21Rが、他方のスライドガイド27に上記左側把持部材21Lがそれぞれ設けられている。
このような構成とすることで、上記右側把持部材21Rと上記左側把持部材21Lとは、それぞれ上記回転テーブル11の回転軌跡に対して接線方向、すなわち直線上を相対移動して接近または離隔するようになっている。
【0016】
上記昇降プレート24は板状の部材となっており、当該昇降プレート24の中心軸11a側となる背面には上記カムフォロア25が設けられている。
上記支持プレート11bと上部支持部材11cとの間には2本のガイドロッド28が設けられ、上記昇降プレート24の正面に固定されたスライダ24aが上下に摺動することで、上記昇降プレート24を
図3(a)(b)、
図5(a)(b)に示すように上下動させることが可能となっている。
上記昇降プレート24の背面には、上下方向に2本のガイドロッド29が設けられており、上記カムフォロア25はガイドロッド29に沿って上下に移動可能に設けられている。また上記カムフォロア25は、上方に弾装されたバネ30によって常時下方に付勢されるようになっている。
【0017】
上記円筒カム26は円筒状を有し、上記回転テーブル11の回転軸11aを囲繞するように設けられている。当該円筒カム26の外周面には無端状にカム溝が形成され、上記カムフォロア25は上記カム溝の下方側の端面に形成されたカム面26aに当接するようになっている。
上記カム面26aの高さは円筒カム26の外周面に沿って上下に変位しており、上記回転テーブル11が回転して各グリッパGが円周方向に移動すると、上記カムフォロア25が上記円筒カム26に従って上下動し、これにより昇降プレート24を上下動させるようになっている。
その際、上記バネ30がカムフォロア25を下方に付勢しているため、カムフォロア25が円筒カム26に押し当てられる状態が維持され、また把持部材21によって容器1を把持した際には当該容器1を把持するための付勢力として作用するようになっている。
【0018】
図5に示すように、上記昇降プレート24には上記一対の把持部材21に設けられた係合部21bを収容可能な、略逆ハの字形に配置された2つの長穴状のガイド部31が形成されている。
上記ガイド部31は例えば45°の角度で傾斜して設けられ、図示右方のガイド部31には上記右側把持部材21Rの係合部21Rbが、図示左方のガイド部31には上記左側把持部材21Lの係合部21Lbがそれぞれ収容されるようになっている。
また本実施形態のガイド部31は、両ガイド部31の下端部が相互に接近しており、上方に向かうにつれて徐々に離隔する略逆ハの字形に配置されており、また両ガイド部31の下端部は上下にオフセットされ、かつ左右方向において一部重複するように設けられている。
このようにガイド部31を配置することにより、1組のグリッパGの幅を狭くすることが可能となり、ひとつの回転テーブル11により多くのグリッパGを設けることが可能となる。
このようにガイド部31の下端部を上下にオフセットさせて配置した結果、
図2に示すように左側把持部材21Lの係合部21Lbについては、当該左側把持部材21Lの基部をクランク状に屈曲させたその端部に設けたものとなっている。
【0019】
上記構成を有する開閉機構22によれば、以下のようにして把持部材21を開閉することができる。ここでは説明のため、
図4(a)は把持部材21が接近した閉鎖状態、
図4(b)を把持部材21が離隔した開放状態として説明する。
図4(a)に示す右側把持部材21Rと左側把持部材21Lとが接近した状態において、これに対応する
図3(a)では、上記円筒カム26によって上記昇降プレート24が上昇位置に位置している。
このとき
図5(a)では、上記右側把持部材21Rの係合部21Rbと左側把持部材21Lの係合部21Lbとがそれぞれガイド部31の内側かつ下側に位置している。換言すると、上記係合部21Rbと係合部21Lbとが水平方向において接近した状態となっている。
【0020】
この状態から、上記カム面26の形状に従って昇降プレート24が下方に移動すると、上記右側把持部材21Rの係合部21Rbと左側把持部材21Lの係合部L21bがそれぞれ上記ガイド部31に沿って相対的に移動する。
つまり
図5(a)から
図5(b)へと昇降プレート24が下方に移動するのに伴い、上記係合部21Rb、21Lbはそれぞれガイド部31の内側から外側へと移動しつつ、ガイド部31の下方側から上方側へと相対的に移動するようになっている。
このとき、上記右側把持部材21Rおよび左側把持部材21Lはスライドガイド27によって下部支持部材11cに対して上下方向への移動が規制され、水平方向への移動のみが許容される。
その結果、昇降プレート24が下降して上記係合部21Rb、21Lbがガイド部31の内側から外側へと移動すると、右側把持部材21Rと左側把持部材21Lとが水平方向に離隔し、
図4(b)に示す開放状態となる。
【0021】
次に、
図6は上記グリッパGによって樹脂容器1Rを把持した状態を、
図7は上記グリッパGによってガラス容器1Gを把持した状態を示しており、
図6(a)、
図7(a)は
図4(a)(b)におけるA-A部、すなわち上記把持部材21に形成した凹部21aと容器1とが接触した部分の断面図を示している。また
図6(b)、
図7(b)は、それぞれ
図6(a)、
図7(a)の要部を拡大した図となっている。
本実施形態の上記右側把持部材21Rおよび左側把持部材21Lは、金属で形成されたフランジ支持部41と、上記凹部21aの位置に設けられて、上記フランジ支持部41の内縁よりも内側に突出するように設けられた弾性素材からなる当接部42とから構成されている。
上記フランジ支持部41にはステンレスなどの金属を用いることができ、当該フランジ支持部41の内縁は平面視において上記凹部21aを形成するために曲線状に加工されている。またフランジ支持部41における少なくとも当該凹部21aが形成されている範囲については、その上面が平坦に加工されたものとなっている。
一方、フランジ支持部41の下面側には、内縁から外側からにかけて肉厚が厚くなるように傾斜するテーパ形状41aが形成されており、当該テーパ形状41aの途中には内側に向けて開口する収容溝41bが形成されている。
【0022】
上記当接部42にはシリコンやエンジニアリングプラスティック、ゴムなどの弾性素材を用いることができ、平面視においては上記凹部21aに沿って形成した湾曲した薄板状の部材となっている。
図6、
図7に示すように、当接部42は上記フランジ支持部41に形成された上記テーパ形状41aに密着するように形成されており、外側の端部は上記テーパ形状41aに形成された収容溝41bに収容されるようになっている。
そして当接部42の内側の端部は、上記フランジ支持部41の内縁よりも内側に突出するように形成され、当該当接部42の縁部によって上記凹部21aを構成している。
具体的には、拡大して示す
図6(b)、
図7(b)に示すように、当接部42の内側の端部はフランジ支持部41の内縁を回り込むように形成され、かつフランジ支持部41の内縁からの突出量が極力少なくなるように設定されている。
ただし、上記当接部42は上記フランジ支持部41の上面よりも上方に突出しないように形成されている。
【0023】
このような構成により、
図6を用いて上記グリッパGが樹脂容器1Rを把持する際の動作を説明する。
樹脂容器1Rが上記供給ホイール4からキャッピングホイール5に受け渡される際、樹脂容器1Rはいわゆるネック搬送によって搬送されており、供給ホイール4のグリッパとキャッピングホイール5の上記グリッパGとの間で、上記樹脂容器1Rの首部がグリッパGによって把持されたまま受け渡しを行うようになっている。
この時、上記載置プレート12は、上記間隔調整手段13によって樹脂容器1Rの下方に離隔した位置に退避しており、もしくはグリッパGに把持された樹脂容器1Rの底面に軽く接触する程度の高さに位置している。
そして上記キャッピングホイール5のグリッパGが供給ホイール4より樹脂容器1Rを受け取ると、上記グリッパGの把持部材21が樹脂容器1Rのフランジ部1aの下方を把持するようになっている。
このとき、
図6に示すように、上記フランジ支持部41の内側に設けられた当接部42が樹脂容器1Rの外面に接触して把持するが、当該当接部42の突出量は少なく設定されているため、上記フランジ支持部41の上面が樹脂容器1Rのフランジ部1aの下面に当接するようになっている。
この状態でキャッピングヘッド5aが樹脂容器1RにキャップCを打栓すると、上記キャッピングヘッド5aが樹脂容器1Rを下方に押圧することとなるが、その圧力を金属製のフランジ支持部41によって受けることで、樹脂容器1RにキャップCを打栓することが可能となる。
【0024】
一方、
図7を用いて上記グリッパGがガラス容器1Gを把持する際の動作について説明する。
ガラス容器1Gは上記供給ホイール4からキャッピングホイール5に受け渡される際、ガラス容器1Gは上記供給ホイール4から上記載置プレート12に載置され、その後上記グリッパGがガラス容器1Gを把持するようになっている。
予め、上記間隔調整手段13は上記グリッパGに対する載置プレート12の高さを調整しており、上記グリッパGが載置プレート12に載置されたガラス容器1Gを把持すると、
図7に示すように当接部42がガラス容器1Gの外面に接触するものの、フランジ支持部41の上面はガラス容器1Gの厚肉部1bよりも下方に位置するようになっている。
この状態でキャッピングヘッド5aがガラス容器1GにキャップCを打栓すると、上記キャッピングヘッド5aがガラス容器1Gを下方に押圧することとなるが、その圧力を上記載置プレート12によって受けることで、ガラス容器1GにキャップCを打栓することが可能となる。
その際、グリッパGがガラス容器1Gを把持することにより、ガラス容器1Gの中心をキャッピングヘッド5aに保持されたキャップCの中心に一致させることができ、かつ金属製のフランジ支持部41がガラス容器1Gに接触していないことから、キャップCを打栓する際の衝撃でガラス容器1Gが破損しないようにすることができる。
【0025】
次に、グリッパGが
図4(a)(b)に示すような小径の容器1Sおよび大径の容器1Lを把持するための、上記間隔設定機構23について説明する。
図8は
図1におけるVIII-VIII部の断面図を示しており、この
図8の位置は、上記供給ホイール4からキャッピングホイール5へと容器1を受け渡す受け渡し位置と、キャッピングホイール5から排出ホイール6へと容器1を受け渡す受渡し位置との間に位置しており、上記グリッパGが容器1を保持しない区間となっている。
上記間隔設定機構23は上記円筒カム26を昇降させるカム昇降手段によって構成され、当該カム昇降手段は上記円筒カム26の下方から当接する昇降部材32と、当該昇降部材32を昇降させる昇降機構33とから構成されている。
ここで上記円筒カム26の下端部には、水平方向に上記昇降機構33を構成する周り止め部材34が固定され、当該周り止め部材34の端部はキャッピングホイール5の外側に離隔して設けられたロッド35に対して上下動可能に設けられている。
このような構成により、上記円筒カム26は上記ロッド35に係合した周り止め部材34によって回転が阻止される一方、上記ロッド35に沿って上下に移動可能となっている。
【0026】
上記昇降部材32は、上記回転テーブル11の回転軸11aと、上記円筒カム26との間に設けられた円筒状の部材となっており、上記回転テーブル11の回転軸11aおよび円筒カム26に対して回転可能に設けられている。
また上記回転軸11aと上記昇降部材32との間には筒状の滑り軸受36が設けられており、当該滑り軸受36の上端部には外周側に向けてフランジ部36aが形成され、当該フランジ部36aの下面には昇降部材32の上端部が当接するようになっている。
さらに、昇降部材32の底部は上記回転軸11aに設けられたローラ37によって下方から支持されており、このような構成により、昇降部材32自体は上記回転軸11aに対して昇降できないようにされている。
そして、上記昇降部材32の下端部には、外周側に向けてフランジ状に突出したギア32aが設けられている。
上記昇降機構33は、上記周り止め部材34の下面に回転可能に設けた二つのギア38、38と、上記周り止め部材34に固定されたモータ39とから構成されている。
上記モータ39を回転させると、上記モータ39に設けたギア39aが上記回り止め部材34のギア38、38を介して、上記昇降部材32のギア32aに伝達され、昇降部材32を回転させることが可能となっている。
【0027】
また昇降部材32の外周面には台形ねじからなる雄ねじ部32bが形成され、これに対し上記円筒カム26の内周面には上記雄ねじ部32bと係合する雌ねじ部26bが形成されている。つまり上記円筒カム26は上記雄ねじ部32b、雌ねじ部26bを介して上記昇降部材32によって下方から支持された状態となっている。
また上記昇降部材32の雄ねじ部32bおよび円筒カム26の雌ねじ部26bはそれぞれ円周方向に沿って傾斜しており、上記昇降部材32が回転すると、上記雄ねじ部32bに形成された台形ねじに沿って雌ねじ部26bが連動し、昇降部材32は上下動しないものの、上記周り止め部材34によって回転が阻止されている円筒カム26が上下に昇降するようになっている。
ここで、上記円筒カム26とともに周り止め部材34が上記ロッド35に沿って上下に移動するが、上記2つのギア38、38の厚さは円筒カム26の昇降量に合わせて設けられているため、上記ギア38、38は上記昇降部材32のギア32aに対して噛合した状態を維持しながら昇降するようになっている。
なお上記構成に対し、上記昇降部材32の外周面および円筒カム26の内周面に、それぞれ円周方向に沿って傾斜する段差部を形成するとともに、これら段差部同士を摺接させるように構成した機構を用いてもよい。この場合も、昇降部材32の回転に伴って上記段差部同士が摺動し、上記円筒カム26を昇降させることができる。
また本実施形態においては、上記昇降部材32は上記モータ39によって駆動しているが、上記ギア39aにハンドル等を設けて、人手により回転させるようにすることも可能である。
【0028】
図9は上記間隔設定機構23の動作を説明する図となっており、
図9(A)は把持部材21を上記小径用開閉位置に位置させた状態を、
図9(B)は把持部材21を上記大径用開閉位置に位置させた状態をそれぞれ示している。またそれぞれ(a)は把持部材21が開放された状態を、(b)は把持部材21が閉鎖された状態をそれぞれ示している。
なお、
図9(A)(b)は
図3~
図5の(a)の状態を示しており、
図9(B)(b)は
図3~
図5の(b)の状態を示している。
まず、
図9(A)に示す小径用開閉位置とする場合、上記間隔設定機構23は上記昇降機構33によって昇降部材32を回転させ、上記円筒カム26を上昇させる。この時の円筒カム26の上昇位置、換言すると昇降部材32の回転角度は予め図示しない制御手段に登録されている。
そして上記円筒カム26が所定の上昇位置に位置したら、その後はキャッピング動作が終了するまで、間隔設定機構23は作動せずに、円筒カム26の高さが保持されるようになっている。
【0029】
このようにして円筒カム26が上昇位置に位置すると、上記昇降プレート24もこれに伴って上方に位置しており、このとき把持部材21は上記小径用開閉位置に位置するようになっている。
その状態で上記回転テーブル11を回転させると、上記円筒カム26は回転が阻止されているため、上記昇降プレート24に設けられたカムフォロア25は円筒カム26に形成されたカム面26aに従って上下動する。
一方、カムフォロア25の上下動は上記カム面26aの形状によって規定されているため、本実施形態においては
図9(A)(a)と(b)との間で、昇降プレート24が高さhの範囲内で上下動するようになる。
図9(A)(b)の状態では、上記把持部材21の係合部21bはガイド部31の略下方端に位置しており、この状態では
図4(a)に示すように把持部材21が閉鎖されて小径の容器1Sを保持している。
この状態から、昇降プレート24が高さhだけ下降し、
図9(A)(a)の状態となると、上記把持部材21の係合部21bはガイド部31の略下方端から上方に移動しつつ、図示左右方向に移動する。
ただし、上記把持部材21は上記下部支持部材11dによって上下方向への移動が規制されているため、左右の把持部材21はそれぞれ水平方向に距離Lだけ外側に向けて直線上を移動し、把持していた容器1が解放される。
【0030】
次に、
図9(B)に示す大径用開閉位置とする場合には、上記間隔設定機構23が上記昇降機構33によって昇降部材32を回転させて、上記円筒カム26を高さHだけ下降させる。これにより、昇降プレート24が高さHだけ下降した上記大径用開閉位置に位置する。
この状態で回転テーブル11が回転すると、昇降プレート24が
図9(B)(a)と(b)との間で上下動することとなる。
図9(B)(b)の状態では、上記把持部材21の係合部21bはガイド部31の略中間に位置し、把持部材21は
図4(b)に示すように大径の容器1Lを保持した状態となっている。
この状態から、昇降プレート24が下降して
図9(B)(a)の状態となると、上記把持部材21の係合部21bがガイド部31の略上端部へと移動し、これに伴って左右の把持部材21がそれぞれ水平方向に離隔して、把持していた容器1が解放されるようになっている。
このとき、上記円筒カム26のカム面26aは変形していないため、昇降プレート24の昇降量は上記小径用開閉位置で把持部材21を開閉させた場合と同じ高さhであり、また把持部材21の水平方向の移動量も距離Lである。
【0031】
上記構成を有するグリッパGの開閉機構22によれば、把持部材21が小径用開閉位置および大径用開閉位置のいずれの位置にあっても、把持部材21は上記スライドガイド27によって直線上に相対移動することから、小径の容器1Sおよび大径の容器1Lのいずれも、中心位置をずらさずに保持することが可能となる。
また、本実施形態のグリッパGの間隔設定機構23によれば、上記カム面26aが形成された円筒カム26を昇降させることで、把持部材21を小径用開閉位置または大径用開閉位置に切り換えることができ、回転テーブル11のように遠心力が作用する部分に過剰な構成を設ける必要がない。
【0032】
ここで、上記実施形態において、
図9(A)(b)に対応する
図4(a)で把持されている容器1は、本実施形態のグリッパGによって把持可能な概ね最小径の容器1Sとなり、
図9(B)(b)に対応する
図4(b)で把持されている容器1が概ね最大径の容器1Lとなる。
しかしながら、本実施形態の構成によれば、上記ガイド部31に係合する係合部21bの位置を異ならせることにより、上記小径用開閉位置および大径用開閉位置を変更可能である。
具体的には、上記間隔設定機構23が円筒カム26の高さ(
図9におけるHの方向)を異ならせれば、
図9(A)(b)および
図7(B)(b)に示した範囲内において任意の位置に係合部21bを位置させることができ、小径用開閉位置および大径用開閉位置を任意に設定可能である。
また本実施形態では小径用開閉位置および大径用開閉位置の2段階の設定を行っているが、これらの間に一つないし複数のいわゆる中径用開閉位置を設定することも可能である。
【0033】
なお上記実施形態においては、上記昇降プレート24に設けたガイド部31はそれぞれ直線状の長孔によって構成されているが、ガイド部31を湾曲させることも可能である。この場合、小径用開閉位置および大径用開閉位置において把持部材21の開閉する距離Lを変化させることができる。
また、上記実施形態においては、上記昇降プレート24に設けたガイド部31を逆ハの字形に配置しているが、これを上端部が接近し、下方において離隔する略ハの字形に配置してもよい。
この場合、上記実施形態では昇降プレート24を下降させると把持部材21が離隔するようになっているが、ガイド部31をハの字形に配置した場合には、昇降プレート24を上昇させると把持部材21が離隔するようになる。
【符号の説明】
【0034】
1 容器 2 キャッピング装置
5 キャッピングホイール 11 回転テーブル
11d 下部支持部材 13 間隔調整手段
21 把持部材 21R 右側把持部材
21L 左側把持部材 41 フランジ支持部
42 当接部