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特開2025-11869稼働状態判定装置、方法および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011869
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】稼働状態判定装置、方法および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114256
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】396008347
【氏名又は名称】アライドテレシスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】根岸 拓矢
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA19
2G036BA46
2G036BB20
(57)【要約】
【課題】電源ケーブルに接続された電気機器が稼働しているか否かを判定するための、電源ケーブルに流れる電流の閾値を提供する。
【解決手段】センサタグ(稼働状態判定装置)1が、電気機器2に接続された電源ケーブル4の電流を測定する電流測定部11と、電流が閾値Athを超えた場合に電気機器2の電源がオンであると判定し、電流が閾値Ath未満の場合に電気機器2の電源がオフであると判定するオン・オフ判定部13とを備える。ただし、閾値Athが、電気機器2の電源がオフであることが確実な電流の上限以上であり、かつ、電気機器2の電源がオンであることが確実な電流の下限以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に接続された電源ケーブルの電流を測定する電流測定部と、
前記電流が閾値を超えた場合に前記電気機器の電源がオンであると判定し、前記電流が前記閾値未満の場合に前記電気機器の電源がオフであると判定するオン・オフ判定部と、
を備え、
前記閾値が、
前記電気機器の電源がオフであることが確実な電流の上限以上であり、かつ
前記電気機器の電源がオンであることが確実な電流の下限以下である、
稼働状態判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の稼働状態判定装置であって、
前記電流測定部が、前記電源ケーブルに接触しない非接触センサである、
稼働状態判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の稼働状態判定装置であって、
前記閾値を導出する閾値導出部と、
前記電気機器の電源がオンである場合の電流であるオン電流の値を導出するオン電流導出部と、
前記電気機器の電源がオフである場合の電流であるオフ電流の値を導出するオフ電流導出部と、
を備え、
前記閾値導出部が、
前記オン電流の値から前記オフ電流の値を減じた値に、所定の係数を乗じて、前記閾値を導出する稼働状態判定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の稼働状態判定装置であって、
前記オン電流導出部が、前記オン電流の値を、前記電流の測定値の平均値として導出する稼働状態判定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の稼働状態判定装置であって、
前記オン電流導出部が、前記電流の測定値の平均値が、前記オン電流の値+(所定期間内の前記電流の測定値の最大値-所定期間内の前記電流の測定値の最小値)/2を超えた場合に、前記電流の測定値の平均値を新たに前記オン電流の値とする稼働状態判定装置。
【請求項6】
請求項3に記載の稼働状態判定装置であって、
前記オフ電流導出部が、前記オフ電流の値を、前記電流の測定値の平均値として導出する稼働状態判定装置。
【請求項7】
請求項4に記載の稼働状態判定装置であって、
前記オフ電流導出部が、前記電流の測定値の平均値が、前記オフ電流の値-(所定期間内の前記電流の測定値の最大値-所定期間内の前記電流の測定値の最小値)/2未満となった場合に、前記電流の測定値の平均値を新たに前記オフ電流の値とする稼働状態判定装置。
【請求項8】
請求項3に記載の稼働状態判定装置であって、
前記オフ電流導出部が、前記オフ電流の値を、前記電気機器の電源がオフである期間における前記電流の測定値の最頻値として導出する稼働状態判定装置。
【請求項9】
請求項3に記載の稼働状態判定装置であって、
前記オン電流導出部に、前記オン電流の値の導出を指示するオン電流導出指示部と、
前記オフ電流導出部に、前記オフ電流の値の導出を指示するオフ電流導出指示部と、
を備え、
前記オン電流導出指示部と、前記オフ電流導出指示部とが別々である稼働状態判定装置。
【請求項10】
請求項3に記載の稼働状態判定装置であって、
前記オン電流導出部および前記オフ電流導出部に導出を指示するオン・オフ電流導出指示部を備え、
前記オン・オフ電流導出指示部が、
第一の操作を受けた場合には、前記オン電流導出部に導出を指示し、
第二の操作を受けた場合には、前記オフ電流導出部に導出を指示する、
稼働状態判定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の稼働状態判定装置であって、
前記オン・オフ電流導出指示部が前記第一の操作を受けた旨および前記第二の操作を受けた旨を報知する報知部を備えた稼働状態判定装置。
【請求項12】
電気機器に接続された電源ケーブルの電流を測定する電流測定部を用いて、前記電気機器の稼働状態を判定する稼働状態判定方法であって、
前記電流が閾値を超えた場合に前記電気機器の電源がオンであると判定し、前記電流が前記閾値未満の場合に前記電気機器の電源がオフであると判定するオン・オフ判定工程を備え、
前記閾値が、
前記電気機器の電源がオフであることが確実な電流の上限以上であり、かつ
前記電気機器の電源がオンであることが確実な電流の下限以下である、
稼働状態判定方法。
【請求項13】
電気機器に接続された電源ケーブルの電流を測定する電流測定部を用いて、前記電気機器の稼働状態を判定する稼働状態判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、
前記稼働状態判定処理が、
前記電流が閾値を超えた場合に前記電気機器の電源がオンであると判定し、前記電流が前記閾値未満の場合に前記電気機器の電源がオフであると判定するオン・オフ判定工程を備え、
前記閾値が、
前記電気機器の電源がオフであることが確実な電流の上限以上であり、かつ
前記電気機器の電源がオンであることが確実な電流の下限以下である、
記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の稼働状況の判定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電源ケーブルに接続された電化製品の稼働状況を、電源ケーブルに流れる交流電流を検出することにより判断する技術が知られている(例えば、特許文献1の[0032]~[0035]を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-109634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術によれば、電源ケーブルに流れる交流電流がどの程度であれば、電源ケーブルに接続された電気機器が稼働しているといえるのかが不明である。すなわち、電気機器が稼働しているか否かを判定するための、電源ケーブルに流れる交流電流の閾値が不明である。
【0005】
そこで、本発明は、電源ケーブルに接続された電気機器が稼働しているか否かを判定するための、電源ケーブルに流れる電流の閾値を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる稼働状態判定装置は、電気機器に接続された電源ケーブルの電流を測定する電流測定部と、前記電流が閾値を超えた場合に前記電気機器の電源がオンであると判定し、前記電流が前記閾値未満の場合に前記電気機器の電源がオフであると判定するオン・オフ判定部と、を備え、前記閾値が、前記電気機器の電源がオフであることが確実な電流の上限以上であり、かつ前記電気機器の電源がオンであることが確実な電流の下限以下であるように構成される。
【0007】
上記のように構成された稼働状態判定装置によれば、電流測定部が、電気機器に接続された電源ケーブルの電流を測定する。オン・オフ判定部が、前記電流が閾値を超えた場合に前記電気機器の電源がオンであると判定し、前記電流が前記閾値未満の場合に前記電気機器の電源がオフであると判定する。前記閾値が、前記電気機器の電源がオフであることが確実な電流の上限以上であり、かつ前記電気機器の電源がオンであることが確実な電流の下限以下である。
【0008】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記電流測定部が、前記電源ケーブルに接触しない非接触センサであるようにしてもよい。
【0009】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記閾値を導出する閾値導出部と、前記電気機器の電源がオンである場合の電流であるオン電流の値を導出するオン電流導出部と、前記電気機器の電源がオフである場合の電流であるオフ電流の値を導出するオフ電流導出部と、を備え、前記閾値導出部が、前記オン電流の値から前記オフ電流の値を減じた値に、所定の係数を乗じて、前記閾値を導出するようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記オン電流導出部が、前記オン電流の値を、前記電流の測定値の平均値として導出するようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記オン電流導出部が、前記電流の測定値の平均値が、前記オン電流の値+(所定期間内の前記電流の測定値の最大値-所定期間内の前記電流の測定値の最小値)/2を超えた場合に、前記電流の測定値の平均値を新たに前記オン電流の値とするようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記オフ電流導出部が、前記オフ電流の値を、前記電流の測定値の平均値として導出するようにしてもよい。
【0013】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記オフ電流導出部が、前記電流の測定値の平均値が、前記オフ電流の値-(所定期間内の前記電流の測定値の最大値-所定期間内の前記電流の測定値の最小値)/2未満となった場合に、前記電流の測定値の平均値を新たに前記オフ電流の値とするようにしてもよい。
【0014】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記オフ電流導出部が、前記オフ電流の値を、前記電気機器の電源がオフである期間における前記電流の測定値の最頻値として導出するようにしてもよい。
【0015】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記オン電流導出部に、前記オン電流の値の導出を指示するオン電流導出指示部と、前記オフ電流導出部に、前記オフ電流の値の導出を指示するオフ電流導出指示部と、を備え、前記オン電流導出指示部と、前記オフ電流導出指示部とが別々であるようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記オン電流導出部および前記オフ電流導出部に導出を指示するオン・オフ電流導出指示部を備え、前記オン・オフ電流導出指示部が、第一の操作を受けた場合には、前記オン電流導出部に導出を指示し、第二の操作を受けた場合には、前記オフ電流導出部に導出を指示するようにしてもよい。
【0017】
なお、本発明にかかる稼働状態判定装置は、前記オン・オフ電流導出指示部が前記第一の操作を受けた旨および前記第二の操作を受けた旨を報知する報知部を備えた稼働状態判定装置。
【0018】
本発明は、電気機器に接続された電源ケーブルの電流を測定する電流測定部を用いて、前記電気機器の稼働状態を判定する稼働状態判定方法であって、前記電流が閾値を超えた場合に前記電気機器の電源がオンであると判定し、前記電流が前記閾値未満の場合に前記電気機器の電源がオフであると判定するオン・オフ判定工程を備え、前記閾値が、前記電気機器の電源がオフであることが確実な電流の上限以上であり、かつ前記電気機器の電源がオンであることが確実な電流の下限以下である稼働状態判定方法である。
【0019】
本発明は、電気機器に接続された電源ケーブルの電流を測定する電流測定部を用いて、前記電気機器の稼働状態を判定する稼働状態判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体であって、前記稼働状態判定処理が、前記電流が閾値を超えた場合に前記電気機器の電源がオンであると判定し、前記電流が前記閾値未満の場合に前記電気機器の電源がオフであると判定するオン・オフ判定工程を備え、前記閾値が、前記電気機器の電源がオフであることが確実な電流の上限以上であり、かつ前記電気機器の電源がオンであることが確実な電流の下限以下である記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1が使用される環境を説明するための図である。
図2】第一の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1の構成を示す機能ブロック図である。
図3】閾値Athを説明するための図である。
図4】第二の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1の構成を示す機能ブロック図である。
図5】第三の実施形態にかかるオン電流導出部14の構成を示す機能ブロック図である。
図6】第三の実施形態にかかるオフ電流導出部16の構成を示す機能ブロック図である。
図7】第四の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1が使用される環境を説明するための図である。
【0023】
電気機器2は、例えば、ディスプレイまたは小型扇風機といった家電製品である。電気機器2には、電源ケーブル4が接続されている。電気機器2は、電源ケーブル4を介して、図示省略した電源に接続されている。電気機器2がオンになっているときは、電源ケーブル4に交流電流が流れている。
【0024】
センサタグ(稼働状態判定装置)1は、電池6に接続され、電池6から電源の供給を受けている。センサタグ1は、電源ケーブル4に流れる電流により発生する電磁波を受けて、電気機器2の稼働状態(オンまたはオフ)を判定する。
【0025】
なお、上記したセンサタグ1が使用される環境は、以下の各実施形態に共通するものである。
【0026】
第一の実施形態
図2は、第一の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1の構成を示す機能ブロック図である。図3は、閾値Athを説明するための図である。
【0027】
第一の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1は、電流測定部11、閾値記録部12、オン・オフ判定部13、オン電流導出部14、オフ電流導出部16、閾値導出部18を備える。
【0028】
電流測定部11は、電気機器2に接続された電源ケーブル4の電流を測定する。電流測定部11は、電源ケーブル4に接触しない非接触センサである。
【0029】
閾値記録部12は、閾値Athを記録する。
【0030】
オン・オフ判定部13は、電流が閾値Athを超えた場合に電気機器2の電源がオンであると判定し、電流が閾値Ath未満の場合に電気機器2の電源がオフであると判定する。なお、オン・オフ判定部13は、電流が閾値Athに等しい場合は、電気機器2の電源がオフであると判定する(オンであると判定するようにしてもよい)。
【0031】
閾値Athは、電気機器2の電源がオフであることが確実な電流の上限(例えば、0.05Amax)以上であり、かつ、電気機器2の電源がオンであることが確実な電流の下限(例えば、0.65Amax)以下である。これについては、図3を参照して、後述する。
【0032】
オン電流導出部14は、電気機器2の電源がオンである場合の電流であるオン電流の値を導出する。オフ電流導出部16は、電気機器2の電源がオフである場合の電流であるオフ電流の値を導出する。閾値導出部18は、閾値Athを導出する。閾値導出部18は、オン電流の値(例えば、Amax)からオフ電流の値(例えば、0)を減じた値に、所定の係数(例えば、0.05以上0.65以下の値)を乗じて、閾値Athを導出する(図3参照)。
【0033】
ここで、図3を参照して、電気機器2の電源が時間0からt0までオンであり、時間t0以降はオフである場合を想定する。ただし、図3の縦軸は、電流測定部11による測定結果を示し、図3の横軸は時間を示す。
【0034】
すると、時間0からt0までは、電流測定部11の測定結果はオン電流である。ただし、図3においては、説明の便宜上、オン電流は所定の値Amaxで一定という理想的な状態であると仮定する。一方、時間t0以降は、電流測定部11の測定結果はオフ電流である。ただし、図3においては、説明の便宜上、オフ電流は0で一定という理想的な状態であると仮定する。
【0035】
ところで、電気機器2の電源がオンである場合、電気機器2内の回路が必要に応じ電流を消費し、あるいは消費しない。このため、オン電流の値の変動が大きくなる。よって、電流測定部11の測定結果がAmaxより、かなりの程度小さくても、電気機器2の電源がオンであることが確実視できる。例えば、電流測定部11の測定結果が0.65Amax(=0.65×(Amax-0))以上であれば、電気機器2の電源がオンであることが確実視できる。この0.65Amaxが、電気機器2の電源がオンであることが確実な電流の下限である。なお、図3において、電気機器2の電源がオンであることが確実な領域をAr-onとして図示した。
【0036】
一方、電気機器2の電源がオフである場合、電気機器2内の回路はほぼ停止し、最小限の電力で電源がオンになるまで待機している。このため、オフ電流の値の変動が小さくなる。よって、電流測定部11の測定結果が0より、わずかな程度大きくても、電気機器2の電源がオフであることが確実視できる。例えば、電流測定部11の測定結果が0.05Amax(=0.05×(Amax-0))以下であれば、電気機器2の電源がオフであることが確実視できる。この0.05Amaxが、電気機器2の電源がオフであることが確実な電流の上限である。なお、図3において、電気機器2の電源がオフであることが確実な領域をAr-offとして図示した。
【0037】
ここで、閾値Athは、0.05Amax以上0.65Amax以下である。例えば、閾値Athは0.5Amaxである。
【0038】
なお、図3においては、オン電流およびオフ電流が一定であると仮定して説明を行った。しかし、実際は、オン電流およびオフ電流は変動するものである。そこで、電流測定部11による電流の測定値の平均値を、オン電流またはオフ電流とする。
【0039】
オン電流導出部14は、オン電流の値を、電流測定部11による電流の測定値の平均値として導出する。オン電流導出部14は、オン電流導出指示部14a、オン電流平均導出部14bを有する。
【0040】
オン電流導出指示部14aは、オン電流導出部14のオン電流平均導出部14bに、オン電流の値の導出を指示する。オン電流平均導出部14bは、電流測定部11による電流の測定値の平均値をオン電流として導出し、閾値導出部18に与える。
【0041】
なお、オン電流導出指示部14aは、例えば、ユーザにより押下されるボタンである。ユーザが、電気機器2の電源がオンであると確認した上で、このボタンを押下すると、オン電流の値の導出が指示される。
【0042】
オフ電流導出部16は、オフ電流の値を、電流測定部11による電流の測定値の平均値として導出する。オフ電流導出部16は、オフ電流導出指示部16a、オフ電流平均導出部16bを有する。
【0043】
オフ電流導出指示部16aは、オフ電流導出部16のオフ電流平均導出部16bに、オフ電流の値の導出を指示する。オフ電流平均導出部16bは、電流測定部11による電流の測定値の平均値をオフ電流として導出し、閾値導出部18に与える。
【0044】
なお、オフ電流導出指示部16aは、例えば、ユーザにより押下されるボタンである。ユーザが、電気機器2の電源がオフであると確認した上で、このボタンを押下すると、オフ電流の値の導出が指示される。
【0045】
また、オン電流導出指示部14aと、オフ電流導出指示部14bとは別々である(例えば、別々のボタンである)。
【0046】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0047】
まず、電気機器2の電源をオンにする。ここで、ユーザが、電気機器2の電源がオンであると確認した上で、オン電流導出指示部14aを操作すると(ボタン押下)、オン電流平均導出部14bにオン電流の値の導出が指示される。電流測定部11による電流の測定値の平均値が、オン電流平均導出部14bによって、オン電流として導出され、閾値導出部18に与えられる。
【0048】
次に、電気機器2の電源をオフにする。ここで、ユーザが、電気機器2の電源がオフであると確認した上で、オフ電流導出指示部16aを操作すると(ボタン押下)、オフ電流平均導出部16bにオフ電流の値の導出が指示される。電流測定部11による電流の測定値の平均値が、オフ電流平均導出部16bによって、オフ電流として導出され、閾値導出部18に与えられる。
【0049】
閾値導出部18は、オン電流の値(例えば、Amax)からオフ電流の値(例えば、0)を減じた値に、所定の係数(例えば、0.05以上0.65以下の値)を乗じて、閾値Athを導出し、閾値記録部12に与える。
【0050】
ここで、電気機器2の稼働状態(オンまたはオフ)が不明な状態で、電流測定部11による電流の測定が行われる。電流の測定結果は、オン・オフ判定部13に与えられる。電流が閾値Athを超えた場合には、オン・オフ判定部13によって、電気機器2の電源がオンであると判定される。電流が閾値Ath未満の場合には、オン・オフ判定部13によって、電気機器2の電源がオフであると判定される。
【0051】
第一の実施形態にかかるセンサタグ1によれば、電源ケーブル4に接続された電気機器2が稼働しているか否かを判定するための、電源ケーブル4に流れる電流の閾値Athが、閾値導出部18により、電気機器2の電源がオフであることが確実な電流の上限以上であり、かつ、電気機器2の電源がオンであることが確実な電流の下限以下であるものとして導出される。
【0052】
第二の実施形態
第二の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1は、オン電流導出指示部14aおよびオフ電流導出指示部14bに替えてオン・オフ電流導出指示部15を備えた点が、第一の実施形態と異なる。
【0053】
図4は、第二の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1の構成を示す機能ブロック図である。第二の実施形態にかかるセンサタグ1は、電流測定部11、閾値記録部12、オン・オフ判定部13、オン電流導出部14、オン・オフ電流導出指示部15、オフ電流導出部16、報知部17、閾値導出部18を備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
電流測定部11、閾値記録部12、オン・オフ判定部13および閾値導出部18は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0055】
オン電流導出部14は、オン電流平均導出部14bを有するが、オン電流導出指示部14aを有しない。
【0056】
オフ電流導出部16は、オフ電流平均導出部16bを有するが、オフ電流導出指示部16aを有しない。
【0057】
オン・オフ電流導出指示部15は、オン電流導出部14のオン電流平均導出部14bおよびオフ電流導出部16のオフ電流平均導出部16bに導出を指示する。
【0058】
ただし、オン・オフ電流導出指示部15が、第一の操作を受けた場合には、オン電流導出部14に導出を指示し、第二の操作を受けた場合には、オフ電流導出部16に導出を指示する。
【0059】
ここで、オン・オフ電流導出指示部15は、例えば、ユーザにより押下されるボタンである。また、第一の操作は、例えば、このボタンの2回目(および4、6、…回目)の押下であり、第二の操作は、例えば、このボタンの1回目(および3、5、…回目)の押下である。
【0060】
ただし、ユーザが、電気機器2の電源がオフであると確認した上で、第二の操作を行う。また、ユーザが、電気機器2の電源がオンであると確認した上で、第一の操作を行う。
【0061】
報知部17は、オン・オフ電流導出指示部15が第一の操作を受けた旨および第二の操作を受けた旨を、ユーザに報知する。例えば、報知部17は、ディスプレイであり、第一の操作を受けた旨(すなわち、オン電流の導出が行われた旨)および第二の操作を受けた旨(すなわち、オフ電流の導出が行われた旨)を表示して、ユーザに見せる。
【0062】
次に、第二の実施形態の動作を説明する。
【0063】
まず、電気機器2の電源をオフにする。ここで、ユーザが、電気機器2の電源がオフであると確認した上で、オン・オフ電流導出指示部15を操作すると(ボタンの1回目の押下)、オフ電流平均導出部16bにオフ電流の値の導出が指示される。しかも、報知部17が、第二の操作を受けた旨(すなわち、オフ電流の導出が行われた旨)をユーザに報知する。さらに、電流測定部11による電流の測定値の平均値が、オフ電流平均導出部16bによって、オフ電流として導出され、閾値導出部18に与えられる。
【0064】
次に、電気機器2の電源をオンにする。ここで、ユーザが、電気機器2の電源がオンであると確認した上で、オン・オフ電流導出指示部15を操作すると(ボタンの2回目の押下)、オン電流平均導出部14bにオン電流の値の導出が指示される。しかも、報知部17が、第一の操作を受けた旨(すなわち、オン電流の導出が行われた旨)をユーザに報知する。さらに、電流測定部11による電流の測定値の平均値が、オン電流平均導出部14bによって、オン電流として導出され、閾値導出部18に与えられる。
【0065】
閾値導出部18は、オン電流の値(例えば、Amax)からオフ電流の値(例えば、0)を減じた値に、所定の係数(例えば、0.05以上0.65以下の値)を乗じて、閾値Athを導出し、閾値記録部12に与える。
【0066】
これ以降の動作(すなわち、電気機器2の稼働状態(オンまたはオフ)の判定)は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0067】
第二の実施形態にかかるセンサタグ1によれば、第一の実施形態と同様な効果を、オン電流導出指示部14aおよびオフ電流導出指示部14b(例えば、あわせて2個のボタン)に替えて、オン・オフ電流導出指示部15(例えば、1個のボタン)で奏することができる。
【0068】
第三の実施形態
第三の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1は、オン電流導出部14およびオフ電流導出部16が自動的にオン電流およびオフ電流の値を更新する点が、第一の実施形態と異なる。
【0069】
第三の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1は、電流測定部11、閾値記録部12、オン・オフ判定部13、オン電流導出部14、オフ電流導出部16、閾値導出部18を備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
電流測定部11、閾値記録部12、オン・オフ判定部13および閾値導出部18は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0071】
図5は、第三の実施形態にかかるオン電流導出部14の構成を示す機能ブロック図である。オン電流導出部14は、オン電流平均導出部14b、オン電流範囲導出部14c、オン電流平均記録部14d、オン電流範囲記録部14e、更新判定部14fを有する。
【0072】
オン電流平均導出部14bは、電流測定部11による電流の所定期間(例えば、5秒間)内の測定値の平均値をオン電流として導出する。最初に導出されたオン電流は、閾値導出部18およびオン電流平均記録部14dに与えられる。
【0073】
また、オン電流平均導出部14bは、平均値の導出を繰り返し行うが(例えば、時間t=0~5秒の測定値の平均値を導出し、時間t=5~10秒の測定値の平均値を導出し、時間t=10~15秒の測定値の平均値を導出するというようなもの)、更新判定部14fから更新の指示を受けた場合も、導出されたオン電流が閾値導出部18およびオン電流平均記録部14dに与えられる。
【0074】
オン電流範囲導出部14cは、電流測定部11による電流の所定期間(例えば、5秒間)内の測定値の最大値から最小値を減じた値(すなわち、測定値の範囲)を導出する。最初に導出された測定値の範囲は、オン電流範囲記録部14eに与えられる。
【0075】
また、オン電流範囲導出部14cは、測定値の範囲の導出を繰り返し行うが(例えば、時間t=0~5秒の測定値の範囲を導出し、時間t=5~10秒の測定値の範囲を導出し、時間t=10~15秒の測定値の範囲を導出するというようなもの)、更新判定部14fから更新の指示を受けた場合も、導出された範囲(最大値から最小値を減じた値)がオン電流範囲記録部14eに与えられる。
【0076】
オン電流平均記録部14dは、オン電流平均導出部14bの出力を記録する。オン電流範囲記録部14eは、オン電流範囲導出部14cの出力を記録する。
【0077】
更新判定部14fは、オン電流平均導出部14bの出力(電流の測定値の平均値)が、オン電流平均記録部14dの記録内容(オン電流の値)+(オン電流範囲記録部14eの記録内容)/2を超えた場合に、更新の指示をオン電流平均導出部14bおよびオン電流範囲導出部14cに与える。これにより、オン電流平均導出部14bが導出した電流の測定値の平均値が、新たなオン電流の値として、閾値導出部18に与えられる。
【0078】
図6は、第三の実施形態にかかるオフ電流導出部16の構成を示す機能ブロック図である。オフ電流導出部16は、オフ電流平均導出部16b、オフ電流範囲導出部16c、オフ電流平均記録部16d、オフ電流範囲記録部16e、更新判定部16fを有する。
【0079】
オフ電流平均導出部16bは、電流測定部11による電流の所定期間(例えば、5秒間)内の測定値の平均値をオフ電流として導出する。最初に導出されたオフ電流は、閾値導出部18およびオフ電流平均記録部16dに与えられる。
【0080】
また、オフ電流平均導出部16bは、平均値の導出を繰り返し行うが(例えば、時間t=0~5秒の測定値の平均値を導出し、時間t=5~10秒の測定値の平均値を導出し、時間t=10~15秒の測定値の平均値を導出するというようなもの)、更新判定部16fから更新の指示を受けた場合も、導出されたオフ電流が閾値導出部18およびオフ電流平均記録部16dに与えられる。
【0081】
オフ電流範囲導出部16cは、電流測定部11による電流の所定期間(例えば、5秒間)内の測定値の最大値から最小値を減じた値(すなわち、測定値の範囲)を導出する。最初に導出された測定値の範囲は、オフ電流範囲記録部16eに与えられる。
【0082】
また、オフ電流範囲導出部16cは、測定値の範囲の導出を繰り返し行うが(例えば、時間t=0~5秒の測定値の範囲を導出し、時間t=5~10秒の測定値の範囲を導出し、時間t=10~15秒の測定値の範囲を導出するというようなもの)、更新判定部16fから更新の指示を受けた場合も、導出された範囲(最大値から最小値を減じた値)がオフ電流範囲記録部16eに与えられる。
【0083】
オフ電流平均記録部16dは、オフ電流平均導出部16bの出力を記録する。オフ電流範囲記録部16eは、オフ電流範囲導出部16cの出力を記録する。
【0084】
更新判定部16fは、オフ電流平均導出部16bの出力(電流の測定値の平均値)が、オフ電流平均記録部16dの記録内容(オフ電流の値)-(オフ電流範囲記録部16eの記録内容)/2未満となった場合に、更新の指示をオフ電流平均導出部16bおよびオフ電流範囲導出部16cに与える。これにより、オフ電流平均導出部16bが導出した電流の測定値の平均値が、新たなオフ電流の値として、閾値導出部18に与えられる。
【0085】
次に、第三の実施形態の動作を説明する。
【0086】
(1)電気機器2の電源がオフからオンになる場合
この場合、オン電流平均記録部14dの導出する測定値の平均値は大きく上昇し続ける。このため、オン電流平均導出部14bの出力(電流の測定値の平均値)が、オン電流平均記録部14dの記録内容(オン電流の値)+(オン電流範囲記録部14eの記録内容)/2を超え続けることになる。よって、閾値導出部18に与えられるオン電流の値が更新され続ける。
【0087】
しかし、電気機器2の電源がオンになってしばらくすると、電流がほぼ一定となる。すると、オン電流平均導出部14bの出力(電流の測定値の平均値)が、オン電流平均記録部14dの記録内容(オン電流の値)+(オン電流範囲記録部14eの記録内容)/2を超えないようになる。すると、閾値導出部18に与えられるオン電流の値は変動しないことになる。
【0088】
(2)電気機器2の電源がオンからオフになる場合
この場合、オフ電流平均記録部16dの導出する測定値の平均値は大きく下落し続ける。このため、オフ電流平均導出部16bの出力(電流の測定値の平均値)が、オフ電流平均記録部16dの記録内容(オフ電流の値)-(オフ電流範囲記録部16eの記録内容)/2未満となり続けることになる。よって、閾値導出部18に与えられるオフ電流の値が更新され続ける。
【0089】
しかし、電気機器2の電源がオフになってしばらくすると、電流がほぼ一定となる。すると、オフ電流平均導出部16bの出力(電流の測定値の平均値)が、オフ電流平均記録部16dの記録内容(オフ電流の値)-(オフ電流範囲記録部16eの記録内容)/2未満とはならないようになる。すると、閾値導出部18に与えられるオフ電流の値は変動しないことになる。
【0090】
このように、閾値導出部18に与えられるオン電流の値およびオフ電流の値が一定となった後に、閾値導出部18は、オン電流の値(例えば、Amax)からオフ電流の値(例えば、0)を減じた値に、所定の係数(例えば、0.05以上0.65以下の値)を乗じて、閾値Athを導出し、閾値記録部12に与える。
【0091】
これ以降の動作(すなわち、電気機器2の稼働状態(オンまたはオフ)の判定)は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0092】
第三の実施形態にかかるセンサタグ1によれば、第一の実施形態と同様な効果を、オン電流導出指示部14aおよびオフ電流導出指示部14b(例えば、あわせて2個のボタン)を用いることなく、自動的に奏することができる。
【0093】
第四の実施形態
第四の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1は、オフ電流導出部16がオフ電流の値を、電気機器2の電源がオフである期間における電流の測定値の最頻値として導出する点が、第三の実施形態と異なる。
【0094】
図7は、第四の実施形態にかかるセンサタグ(稼働状態判定装置)1の構成を示す機能ブロック図である。第四の実施形態にかかるセンサタグ1は、電流測定部11、閾値記録部12、オン・オフ判定部13、オン電流導出部14、オフ電流導出部16、閾値導出部18を備える。以下、第三の実施形態と同様な部分は同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
電流測定部11、閾値記録部12、オン・オフ判定部13および閾値導出部18は、(第一および)第三の実施形態と同様であり、説明を省略する。オン電流導出部14は、第三の実施形態(図5参照)と同様であり、説明を省略する。
【0096】
オフ電流導出部16は、オフ電流の値を、電気機器2の電源がオフである期間における電流の測定値の最頻値として導出する。オフ電流導出部16は、最頻値導出部16gを有する。最頻値導出部16gは、電流測定部11による電流の測定値の最頻値をオフ電流として導出し、閾値導出部18に与える。ただし、最頻値導出部16gは、電気機器2の電源がオフである期間において動作するものとする。
【0097】
次に、第四の実施形態の動作を説明する。
【0098】
まず、電気機器2の電源をオフにする。ここで、ユーザが、電気機器2の電源がオフであると確認した上で、最頻値導出部16gを動作させると、電流測定部11による電流の測定値の最頻値が、最頻値導出部16gによって、オフ電流として導出され、閾値導出部18に与えられる。
【0099】
次の動作は、第三の実施形態の「(1)電気機器2の電源がオフからオンになる場合」と同様であり、説明を省略する。
【0100】
さらに、これ以降の動作(すなわち、電気機器2の稼働状態(オンまたはオフ)の判定)は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0101】
第四の実施形態にかかるセンサタグ1によれば、第三の実施形態と同様な効果を奏する。
【0102】
また、上記の実施形態は、以下のようにして実現できる。CPU、ハードディスク、メディア(USBメモリ、CD-ROMなど)読み取り装置を備えたコンピュータに、上記の各部分、例えばセンサタグ1の閾値記録部12、オン・オフ判定部13および閾値導出部18を実現するプログラムを記録したメディアを読み取らせて、ハードディスクにインストールする。このような方法でも、上記の機能を実現できる。
【符号の説明】
【0103】
1 センサタグ(稼働状態判定装置)
2 電気機器
4 電源ケーブル
6 電池
11 電流測定部
12 閾値記録部
13 オン・オフ判定部
14 オン電流導出部
15オン・オフ電流導出指示部
16 オフ電流導出部
17 報知部
18 閾値導出部
Ath 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7