(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011907
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】エルボ管保持装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20250117BHJP
B25B 1/20 20060101ALI20250117BHJP
F16L 43/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B23Q3/06 304G
B25B1/20
F16L43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114323
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】519191754
【氏名又は名称】株式会社関本管工
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】関本 雅輔
【テーマコード(参考)】
3C016
3C020
3H019
【Fターム(参考)】
3C016CA07
3C016CB06
3C016CC01
3C016CE03
3C020HH01
3H019EA14
3H019EA18
(57)【要約】
【課題】角度を変化させたエルボ管を形成できるようにエルボ管を保持するエルボ管保持装置を提供する。
【解決手段】本発明のエルボ管保持装置1は、第1挟み込み部に取付けられる第1エルボ管受け部28と、第2挟み込み部に取付けられる第2エルボ管受け部30とを備え、第1エルボ管受け部と第2エルボ管受け部との間にエルボ管2が挟持されると共に、第1エルボ管受け部と第2エルボ管受け部とが第1挟み込み部と第2挟み込み部との間に挟持された状態で、第1エルボ管受け部28と第2エルボ管受け部30とを、第1挟み込み部22等に対して角度を変更させ、エルボ管の角度を変えた状態で、第1エルボ管受け部及び第2エルボ管受け部から露出された第2エルボ管端部2bを加工装置により加工することにより、第1エルボ管端部2aと第2エルボ管端部2bとが成す角度を変化させることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルボ管の第1エルボ管端部と第2エルボ管端部とが成す角度を調整できるように上記エルボ管を保持するエルボ管保持装置であって、
第1挟み込み部と、
第2挟み込み部と、
上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間の距離を操作する操作部と、
上記第1挟み込み部に取付けられる第1エルボ管受け部であって、上記第1エルボ管受け部の内面が、上記エルボ管の上記第1挟み込み部側の外面と嵌合するように形成される、上記第1エルボ管受け部と、
上記第2挟み込み部に取付けられる第2エルボ管受け部であって、上記第2エルボ管受け部の内面が、上記エルボ管の上記第2挟み込み部側の外面と嵌合するように形成される、上記第2エルボ管受け部と、を備え、
上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部との間に上記エルボ管が挟持されると共に、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とが上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間に挟持された状態で、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とを、上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部とに対して角度を変更させ、
上記エルボ管の角度を変えた状態で、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部から露出された上記第2エルボ管端部を加工装置により加工することにより、上記エルボ管の上記第1エルボ管端部と上記第2エルボ管端部とが成す角度を変化させることができる、エルボ管保持装置。
【請求項2】
さらに、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とが上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間に挟持された状態で、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部の傾きを表示する傾き表示部を備える、請求項1に記載のエルボ管保持装置。
【請求項3】
上記第1エルボ管受け部が、上記エルボ管の上記第1エルボ管端部を支持する第1端部を備え、上記第2エルボ管受け部が、上記エルボ管の上記第1エルボ管端部を支持する第2端部を備える、請求項1に記載のエルボ管保持装置。
【請求項4】
上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とが上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間に挟持された状態で、
上記第1挟み込み部及び上記第2挟み込み部は、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部よりも下方側まで延び、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部の下方側に隙間空間を形成する、請求項1に記載のエルボ管保持装置。
【請求項5】
上記第1挟み込み部が、上記第1エルボ管受け部側に突出する第1凸部を備え、
上記第1凸部が、円形の外周を有する突出部を形成すると共に、上記第1エルボ管受け部に形成された第1凹部と嵌合するように形成され、
上記第2挟み込み部が、上記第2エルボ管受け部側に突出する第2凸部を備え、
上記第2凸部が、円形の外周を有する突出部を形成すると共に、上記第2エルボ管受け部に形成された第2凹部と嵌合するように形成される、請求項1に記載のエルボ管保持装置。
【請求項6】
上記第1挟み込み部の上記第1凸部が、上記第1エルボ管受け部側に向けて直径が減少するテーパ部を形成すると共に、上記第2挟み込み部の上記第2凸部が、上記第2エルボ管受け部側に向けて直径が減少するテーパ部を形成する、請求項5に記載のエルボ管保持装置。
【請求項7】
上記第1エルボ管受け部が、上記第1挟み込み部側に第1磁石を備え、上記第1エルボ管受け部は、上記第1磁石により上記第1挟み込み部に吸着された状態で取付けられ、
上記第2エルボ管受け部が、上記第2挟み込み部側に第2磁石を備え、上記第2エルボ管受け部は、上記第2磁石により上記第2挟み込み部に吸着された状態で取付けられる、請求項1に記載のエルボ管保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エルボ管保持装置に関し、特に、エルボ管の第1エルボ管端部と第2エルボ管端部とが成す角度を調整できるようにエルボ管を保持するエルボ管保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、配管として90度エルボ配管を使用することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような90度エルボ管を、配管として使用するときに、現場の状況に合わせて、エルボ管の曲がり角度を89度や88度等に調整したいという要請がある場合がある。
このような場合に、従来は職人がエルボ管を現場で削りながら曲がり角度を微調整していた。このような加工調整作業は、職人の経験と感覚を頼りに行われていたため、熟練の職人が作業する必要があり、経験の浅い作業員が作業できなかったり加工の精度が低下するという問題があった。
また、熟練の職人が作業したとしても、精度がばらつく場合があるという問題があった。さらに、熟練の職人が作業したとしても、エルボ管を調整する作業に時間がかかるため、エルボ管を調整できる数が非常に限られ、短期間、例えば1日間に多数のエルボ管を調整できないという問題があった。
【0005】
発明者は、このような課題に対し、エルボ管を保持した状態で傾きを変えることができないか鋭意研究を行った。
しかしながら、保持する対象が中空の配管且つ曲がり配管であるため、ただでさえ保持することが困難であるという問題があった。また、エルボ管を刃により加工するとき、金属加工により振動が生じ、エルボ管がずれたり動いてしまうという問題もあった。エルボ管がずれてしまえば、エルボ管の第1エルボ管端部と第2エルボ管端部とが成す角度を意図する角度に形成することが困難になるばかりか、加工された面に凹凸が生じる等の不良を生じさせるおそれも生じる。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、角度を変化させたエルボ管を形成できるようにエルボ管を保持するエルボ管保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態によれば、エルボ管の第1エルボ管端部と第2エルボ管端部とが成す角度を調整できるように上記エルボ管を保持するエルボ管保持装置であって、第1挟み込み部と、第2挟み込み部と、上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間の距離を操作する操作部と、上記第1挟み込み部に取付けられる第1エルボ管受け部であって、上記第1エルボ管受け部の内面が、上記エルボ管の上記第1挟み込み部側の外面と嵌合するように形成される、上記第1エルボ管受け部と、上記第2挟み込み部に取付けられる第2エルボ管受け部であって、上記第2エルボ管受け部の内面が、上記エルボ管の上記第2挟み込み部側の外面と嵌合するように形成される、上記第2エルボ管受け部と、を備え、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部との間に上記エルボ管が挟持されると共に、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とが上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間に挟持された状態で、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とを、上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部とに対して角度を変更させ、上記エルボ管の角度を変えた状態で、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部から露出された上記第2エルボ管端部を加工装置により加工することにより、上記エルボ管の上記第1エルボ管端部と上記第2エルボ管端部とが成す角度を変化させることができる。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部との間に上記エルボ管が挟持された状態で、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とを、上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部とに対して角度を変更させることができる。これにより、上記エルボ管の角度を変えた状態でエルボ管を保持し、上記エルボ管の第2エルボ管端部を加工装置により削ることにより、エルボ管の第1エルボ管端部と第2エルボ管端部とが成す角度、例えば90度を、89度や88度等の角度に変更できる。従って、プラント工場等の配管工事の際において、エルボ管を取り付けるときに微調整したいとき、例えば90度のエルボ管を取り付けたのでは1度曲がりすぎてしまうような場合に89度のエルボ管を取り付けたいとき、比較的高い精度で角度を変化させたエルボ管を形成でき、加工したエルボ管を取付けることができる。なお、従来はエルボ管を職人が現場で削って曲がり角度を微調整していたところ、本実施形態によれば、熟練の職人の作業によらなくても、比較的高い精度で角度を変化させたエルボ管を形成できる。また、熟練の職人の作業によらなくても、角度を変化させたエルボ管を同じ時間で多数形成でき、工事の効率化に資することができる。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、好ましくは、さらに、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とが上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間に挟持された状態で、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部の傾きを表示する傾き表示部を備える。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、さらに、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とが上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間に挟持された状態で、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部の傾きを表示する傾き表示部を備える。これにより、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部が、上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部とに対して角度を変更されるときに、この角度をより容易且つより正確に調整できる。よって、角度を変化させたエルボ管をより効率的に形成でき、角度を変化させたエルボ管を同じ時間で多数形成でき、工事の効率化により資することができる。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、好ましくは、上記第1エルボ管受け部が、上記エルボ管の上記第1エルボ管端部を支持する第1端部を備え、上記第2エルボ管受け部が、上記エルボ管の上記第1エルボ管端部を支持する第2端部を備える。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1エルボ管受け部が、上記エルボ管の上記第1エルボ管端部を支持する第1端部を備え、上記第2エルボ管受け部が、上記エルボ管の上記第1エルボ管端部を支持する第2端部を備える。これにより、第1端部及び第2端部が、共に、エルボ管の第1エルボ管端部を支持し、エルボ管を切削するときに、エルボ管が第1エルボ管受け部や第2エルボ管受け部側に向けて動きにくくすることができ、エルボ管をより安定して保持できる。よって、エルボ管を加工するときに、エルボ管が動くことを抑制し、エルボ管の加工の精度をより向上できる。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、好ましくは、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とが上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間に挟持された状態で、上記第1挟み込み部及び上記第2挟み込み部は、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部よりも下方側まで延び、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部の下方側に隙間空間を形成する。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1エルボ管受け部と上記第2エルボ管受け部とが上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間に挟持された状態で、上記第1挟み込み部及び上記第2挟み込み部は、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部よりも下方側まで延び、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部の下方側に隙間空間を形成する。これにより、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部が上記第1挟み込み部及び上記第2挟み込み部に対して角度を変更可能とされている。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、好ましくは、上記第1挟み込み部が、上記第1エルボ管受け部側に突出する第1凸部を備え、上記第1凸部が、円形の外周を有する突出部を形成すると共に、上記第1エルボ管受け部に形成された第1凹部と嵌合するように形成され、上記第2挟み込み部が、上記第2エルボ管受け部側に突出する第2凸部を備え、上記第2凸部が、円形の外周を有する突出部を形成すると共に、上記第2エルボ管受け部に形成された第2凹部と嵌合するように形成される。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、第1挟み込み部の円形の外周部を備える第1凸部と、第1エルボ管受け部の第1凹部とが嵌合した状態で、第1エルボ管受け部が第1挟み込み部に対して回転でき、第2挟み込み部の円形の外周部を備える第2凸部と、第2エルボ管受け部の第2凹部とが嵌合した状態で、第2エルボ管受け部が第2挟み込み部に対して回転できる。これにより、上記第1エルボ管受け部及び上記第2エルボ管受け部が、上記第1挟み込み部及び上記第2挟み込み部に対して角度を容易に変更でき、この角度をより容易に調整できる。よって、角度を変化させたエルボ管をより効率的に形成でき、角度を変化させたエルボ管を同じ時間で多数形成でき、工事の効率化により資することができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、好ましくは、上記第1挟み込み部の上記第1凸部が、上記第1エルボ管受け部側に向けて直径が減少するテーパ部を形成すると共に、上記第2挟み込み部の上記第2凸部が、上記第2エルボ管受け部側に向けて直径が減少するテーパ部を形成する。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1挟み込み部の上記第1凸部が、上記第1エルボ管受け部側に向けて直径が減少するテーパ部を形成すると共に、上記第2挟み込み部の上記第2凸部が、上記第2エルボ管受け部側に向けて直径が減少するテーパ部を形成する。これにより、上記第1エルボ管受け部を上記第1挟み込み部に向けて取り付けるときに、第1エルボ管受け部がテーパ部に沿って適切な位置に導かれやすくなる。よって、第1エルボ管受け部が第1挟み込み部に対して適切な位置に位置決めできると共にスムーズに取付できる。同様に、上記第2エルボ管受け部を上記第2挟み込み部に向けて取り付けるときに、第2エルボ管受け部がテーパ部に沿って適切な位置に導かれやすくなる。よって、第2エルボ管受け部が第2挟み込み部に対して適切な位置に位置決めできると共にスムーズに取付できる。さらに、第1エルボ管受け部及び第2エルボ管受け部が対向する位置に位置決めされることにより、エルボ管を所定の位置に挟む作業を効率化することができる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、好ましくは、上記第1エルボ管受け部が、上記第1挟み込み部側に第1磁石を備え、上記第1エルボ管受け部は、上記第1磁石により上記第1挟み込み部に吸着された状態で取付けられ、上記第2エルボ管受け部が、上記第2挟み込み部側に第2磁石を備え、上記第2エルボ管受け部は、上記第2磁石により上記第2挟み込み部に吸着された状態で取付けられる。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1エルボ管受け部が、上記第1挟み込み部側に第1磁石を備え、上記第1エルボ管受け部は、上記第1磁石により上記第1挟み込み部に吸着された状態で取付けられ、上記第2エルボ管受け部が、上記第2挟み込み部側に第2磁石を備え、上記第2エルボ管受け部は、上記第2磁石により上記第2挟み込み部に吸着された状態で取付けられる。これにより、上記第1挟み込み部と上記第2挟み込み部との間の距離が比較的離れているとき、例えばエルボ管を挟み込む前に距離が比較的離れているときやエルボ管を加工した後に取り外すために距離が比較的離れるとき、において第1エルボ管受け部が第1挟み込み部から外れる又は落下することや第2エルボ管受け部が第2挟み込み部から外れる又は落下することを抑制できる。よって、エルボ管を挟み込むために設置するときやエルボ管を加工後に取り外すときに、第1エルボ管受け部や第2エルボ管受け部がずれたり脱落したりすることが抑制され、エルボ管の加工作業を効率的にすることができる。また、1つのエルボ管の加工作業が終わった後に、次のエルボ管の加工作業を行う場合にも第1エルボ管受け部や第2エルボ管受け部がそのまま吸着された状態で取り付けられているので、スムーズに次のエルボ管の加工作業を行うことができ、作業の効率化に資する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のエルボ管保持装置によれば、角度を変化させたエルボ管を形成できるようにエルボ管を保持する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置を備えたエルボ管調整システムの外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置の側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置の正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置において、エルボ管を挟み込む部分を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置において、エルボ管を挟み込む部分を拡大して示す部分拡大正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置において、第1挟み込み部と第1エルボ管受け部とが嵌合されておらず且つ第2挟み込み部と第2エルボ管受け部とが嵌合されていない状態で、エルボ管を挟み込む部分を拡大して示す部分拡大上面図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置において、第1挟み込み部と第1エルボ管受け部とが嵌合され且つ第2挟み込み部と第2エルボ管受け部とが嵌合されている状態で、エルボ管を挟み込む部分を拡大して示す部分拡大上面図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置の第1エルボ管受け部を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置について説明する。
先ず、
図1は本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置を備えたエルボ管調整システムの外観斜視図であり、
図2は本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置の側面図であり、
図3は本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置の正面図であり、
図4は本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置において、エルボ管を挟み込む部分を拡大して示す部分拡大斜視図である。
以下、本発明の一実施形態における説明において、加工装置6の前に立ち、エルボ管2の加工作業を行う作業者から見て手前側(作業者側)を前方側とし、加工装置側を奥側の後方側とし、作業者の右手方向を右側とし、同様に左手方向を左側として説明している。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施形態によるエルボ管保持装置1は、エルボ管(エルボ)2の第1エルボ管端部2a(
図4参照)と第2エルボ管端部2b(
図4参照)とが成す角度を調整できるように加工用にエルボ管2を保持するエルボ管保持装置である。エルボ管保持装置1は、エルボ管2の第1エルボ管端部2aと第2エルボ管端部2bとの成す角度を調整できるエルボ管調整システム4に設けられている。エルボ管調整システム4は、特殊角度(端角度)のエルボ管2を形成できる特殊角度(端角度)エルボ管形成システムを構成している。
【0018】
エルボ管2は、中空筒状の配管である。エルボ管2は、第1エルボ管端部2aと第2エルボ管端部2bとが角度を有する位置に配置される曲がりエルボ管である。エルボ管2は、第1エルボ管端部2aと第2エルボ管端部2bとが成す角度が90度である90度の曲がりエルボ管である。後述するように、90度のエルボ管2を、89度や88度等のエルボ管2に加工するため、エルボ管保持装置1は、エルボ管2を加工の振動や外力で動きにくいように強固に保持する。エルボ管2は、他の角度のエルボ管であってもよく、45度の曲がりエルボ管、180度の曲がりエルボ管にも適用することができる。
【0019】
エルボ管調整システム4は、さらに、エルボ管2を加工する加工装置6を備えている。加工装置6は、エルボ管を加工、例えば切削加工できる切削加工装置、例えばNCフライス盤である。加工装置6は、例えば、刃の回転軸が縦向きのNC縦フライス盤である。加工装置6は、汎用フライス等の他のフライス盤、マシニングセンタ等であってもよい。
【0020】
加工装置6は、加工装置本体7と、エルボ管2を切削できる刃8と、刃を回転させる回転駆動部10と、エルボ管保持装置1を配置するテーブル12と、刃8及びテーブル12等を所定位置に移動させる位置調整機構14と、回転駆動部10及び位置調整機構14を制御する加工装置制御部16とを備える。
【0021】
加工装置本体7には、回転駆動部10、テーブル12及び位置調整機構14等が取付けられている。
【0022】
図1に示すように、刃8は、回転駆動部10に取付けられ、鉛直方向下方に向けて延びる。刃8は、金属製又は樹脂製のエルボ管2を加工することができるように形成されている。刃8が、エルボ管に当たることによりエルボ管2を加工、例えば切削する。
図5において、説明のために、エルボ管2の第2エルボ管端部2bを加工する刃8を例示している。刃8は、金属製又は樹脂製のエルボ管2を削ることができるように形成されている。刃8は、例えばドリル形状である。刃8は、例えば、エンドミルであるが、正面フライス等であってもよい。刃8は、回転駆動部10に交換可能に取付けられている。刃8は、金属製であり、例えば鋼、合金により形成される。
【0023】
図1に示すように、回転駆動部10は、取付けられた刃8を、主軸の回転軸を中心に回転させる。回転駆動部10は、電動式のモータである。回転駆動部10は、加工装置制御部16により制御され、刃8を所定の回転数で回転駆動させるように構成される。
【0024】
テーブル12は、平板状の台を形成している。テーブル12は、その上面に凹形状の溝部13が形成されている。テーブル12の溝部13は、左右方向に直線的に延びている。エルボ管保持装置1が、溝部13に取付けられ且つ固定されている。溝部13は、エルボ管保持装置1が、前後方向に動かないように固定すると共に、左右方向への移動のガイドとして機能できる。
【0025】
位置調整機構14は、刃8の回転軸を移動させる刃位置調整機構18と、エルボ管2等のワーク(加工対象物)の位置を調整するためにテーブル12等の位置を移動させるワーク側位置調整機構20とを備えている。
刃位置調整機構18は、回転駆動部10に取付けられる。刃位置調整機構18は、加工装置本体7に対して刃8及び刃8の回転軸の位置を変更させる機構を備える。よって、刃位置調整機構18は、刃8及び刃8の回転軸の位置を任意の位置に移動できる。刃位置調整機構18は、加工装置制御部16と電気的に接続され、加工装置制御部16の指令により、刃8及び刃8の回転軸の位置を移動させる。よって、加工装置制御部16の制御により、エルボ管2を、任意の位置で加工できる。位置調整機構14の刃位置調整機構18のみによってもエルボ管2を、任意の位置に位置決めできるが、位置調整機構14の刃位置調整機構18及びワーク側位置調整機構20によりエルボ管2を、任意の位置に位置決めしてもよい。位置調整機構14は電気的に制御されているが、変形例として手動により位置を調整されてもよい。
【0026】
ワーク側位置調整機構20は、加工装置本体7に取付けられ、エルボ管2等のワーク(加工対象物)を所定の位置に調整できるように構成される。例えば、ワーク側位置調整機構20は、加工装置本体7に対してテーブル12の位置を移動させるテーブル位置調整機構を形成している。このとき、ワーク側位置調整機構20は、テーブル12を、前後、左右、上下に移動可能な機構を備えている。よって、ワーク側位置調整機構20は、テーブル12の位置を任意の位置に移動できる。ワーク側位置調整機構20は、加工装置制御部16と電気的に接続され、加工装置制御部16の指令により、テーブル12の位置を移動させる。よって、加工装置制御部16の制御により、エルボ管2を、任意の位置で加工できる。位置調整機構14のワーク側位置調整機構20のみによりエルボ管2を、任意の位置に位置決めしてもよい。ワーク側位置調整機構20は、テーブル12の位置や向きの調整に限られず、加工装置本体7の他の部分を調整してワークの位置を調整するように構成されてもよい。
【0027】
加工装置制御部16は、回転駆動部10や位置調整機構14と互いに電気的に接続され、加工装置制御部16は、回転駆動部10の回転数(刃の回転数)やON・OFF等を制御する。また、加工装置制御部16は、位置調整機構14により刃8及び/又はワーク等を移動させ、刃8をエルボ管2に対して所定の位置に制御できる。加工装置制御部16は、CPU及びメモリ等を内蔵し、メモリ等に記録された所定の制御プログラムに基づいて、位置調整機構14及び回転駆動部10を制御する。加工装置制御部16は、例えば、所定の高さにおいて、刃8を円弧を描くように移動させると共にエルボ管2を切削させ、エルボ管2の上端に水平な端部の面を形成できる。加工装置制御部16は、少なくとも刃8を同一水平面上において円を描くように移動させて第2エルボ管端部2bを水平に加工するプログラムを備える。よって、加工装置制御部16は、3次元的に刃8を移動させて角度を調整するプログラムを備えることを省略し、比較的シンプルなプログラムにより構成されることができる。
【0028】
エルボ管保持装置1は、ワーク(加工対象物)としてのエルボ管2を所定の角度に加工できるように所定の姿勢で加工中に動きにくいような強度で保持する機能を有する。エルボ管保持装置1は、加工装置6のテーブル12上に配置される。エルボ管保持装置1は、テーブル12の溝部13に沿って左右方向に位置決めできると共に溝部13に固定できるようになっている。
【0029】
図2に示すように、エルボ管保持装置1は、保持装置本体21と、保持装置本体21上に設けられ、第1の方向D1(
図6参照)から第1エルボ管受け部28等を挟み込むように構成された第1挟み込み部22と、保持装置本体21上に設けられ、第1挟み込み部22と対になるように第2の方向D2(
図6参照)から第2エルボ管受け部30等を挟み込むように構成された第2挟み込み部24と、第1挟み込み部22と第2挟み込み部24との間の距離を操作する操作部26と、第1挟み込み部22に取付けられる第1エルボ管受け部28であって、第1エルボ管受け部28が、エルボ管2の第1挟み込み部22側の外面と嵌合するように形成される、第1エルボ管受け部28と、第2挟み込み部24に取付けられる第2エルボ管受け部30であって、第2エルボ管受け部30が、エルボ管2の第2挟み込み部24側の外面と嵌合するように形成される、第2エルボ管受け部30と、を備えている。
【0030】
第1挟み込み部22は、保持装置本体21上で板状に立ち上がるように設けられる。第1挟み込み部22は、第2挟み込み部24との間で対象物を挟み込むように形成される。第1挟み込み部22は、例えば、保持装置本体21上に固定される。第1挟み込み部22は、金属製であり、内側の対象物を強固に挟み込むことができる。
【0031】
図6に示すように、第1挟み込み部22が、第1エルボ管受け部28側に突出する第1凸部22aを備えている。第1凸部22aは円形の外周を有する突出部を形成する。第1凸部22aは円形の外周を有すると共に第1平面22bから一段高い台形状に形成されている。第1凸部22aが、第1平面22bから第1エルボ管受け部28側に向けて直径が減少するテーパ部を形成する。この第1凸部22aが、第1エルボ管受け部28に形成された第1凹部28aと嵌合するように形成されている。
第1平面22bは、第1凸部22aの周囲において平坦面を形成している。第1平面22bは、第1凸部22aの外側において第1挟み込み部22の外縁まで延びる平坦面を形成している。従って、第1平面22bは、後述する第1エルボ管受け部28の第1受け入れ部側平面28bと干渉しにくく、第1受け入れ部側平面28bに対して相対的に移動可能である。よって、第1エルボ管受け部28が第1挟み込み部22に対して回転可能に構成されている。
【0032】
第2挟み込み部24は、保持装置本体21上で板状に立ち上がるように設けられる。第2挟み込み部24は、第1挟み込み部22との間で対象物を挟み込むように形成される。操作部26を回転操作することにより、操作部26に接続されたねじ(図示せず)を介して(ねじは第2挟み込み部24にも接続されている)、第2挟み込み部24が第1挟み込み部22に向けて移動される(第2挟み込み部24が対象物に当接している場合には対象物を締め付ける)ように構成されている。エルボ管保持装置1において、第1挟み込み部22と第2挟み込み部24とは、いわゆるバイス(万力)のように2方向から対象物を挟み込んで固定する機能を奏する。第2挟み込み部24は、金属製であり、内側の対象物を強固に挟み込むことができる。なお、第2挟み込み部24が保持装置本体21に固定され第1挟み込み部22が第2挟み込み部24に向けて移動するように構成されてもよいし、第2挟み込み部24及び第1挟み込み部22の両方が互いに向けて移動するように構成されてもよい。
【0033】
第2挟み込み部24が、第2エルボ管受け部30側に突出する第2凸部24aを備え、第2凸部24aが、円形の外周を有する突出部を形成する。第2凸部24aは円形の外周を有すると共に第2平面24bから一段高い台形状に形成されている。第2凸部24aが、第2平面24bから第2エルボ管受け部30側に向けて直径が減少するテーパ部を形成する。この第2凸部24aが、第2エルボ管受け部30に形成された第2凹部30aと嵌合するように形成されている。第2凸部24aは、第1凸部22aと対向する位置に配置される。
第2平面24bは、第2凸部24aの周囲において平坦面を形成している。第2平面24bは、第2凸部24aの外側において第2挟み込み部24の外縁まで平坦面を形成している。従って、第2平面24bは、後述する第2エルボ管受け部30側の第2受け入れ部側平面30bと干渉しにくく、第2受け入れ部側平面30bに対して相対的に移動可能である。よって、第2エルボ管受け部30が第2挟み込み部24に対して回転可能に構成されている。
【0034】
第1エルボ管受け部28は、第1挟み込み部22の内側の位置に配置される。第1エルボ管受け部28は、自身の内側の内側面に形成されると共に円弧状の内面を形成する第1受け入れ部32と、第1受け入れ部32の入口側の端部に設けられる第1入口部34と、第1受け入れ部32の奥側に端部を形成する第1端部36と、第1凸部22aと嵌合するように第1エルボ管受け部28の外側面に形成される第1凹部28aと、力の作用を受けて第1エルボ管受け部28の姿勢を変化させるための第1外力受け部38と、第1エルボ管受け部28と第2エルボ管受け部30とが第1挟み込み部22と第2挟み込み部24との間に挟持された状態で、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30の傾きを表示する傾き表示部40(
図5参照)と、第1エルボ管受け部28のうち第1挟み込み部22側に設けられた第1磁石44と、を備える。
【0035】
図6及び
図8に示すように、第1受け入れ部32は、円筒を半分にした半円状(ハーフパイプ形状)の内面を形成している。第1受け入れ部32は、その内側面において、エルボ管2の半分の外面よりやや小さい領域の外面に合致する形状の受け部を形成している。より具体的には、第1受け入れ部32は、エルボ管2の外面に対応する円弧形状の内面を形成し、この円弧の半径は、エルボ管2の外周の半径とほぼ同じである。第1受け入れ部32の半円状の内面は、入口部34から底部の第1端部36まで形成されている。側面視で第1受け入れ部32の第1入口部34に対し第1端部36が約90度曲がった位置に設けられ、第1受け入れ部32は、第1入口部34から第1端部36まで曲がりながら連続した凹部を形成している。
【0036】
第1受け入れ部32は、エルボ管2の管径寸法や曲がり形状に合わせた形状のものを作成する。第1受け入れ部32は、エルボ管2の管径寸法や曲がり半径等の形状に合わせ、予め複数のバリエーションのものを作成できる。第1エルボ管受け部28は、樹脂により形成されているので、エルボ管2の管径寸法や曲がり半径等の形状に合わせたバリエーションの第1受け入れ部32を比較的容易に作ることができる。
【0037】
図8に示すように、第1入口部34は、半円形の開口部を形成している。第1入口部34と、第1端部36とは90度の角度を形成している。
図4に示すように、第1入口部34は、エルボ管2の端部が第1受け入れ部32より外側まで突出するように、エルボ管2の端部よりやや下方の位置に設けられる。第1受け入れ部32の曲がりの曲率半径R1(
図5において示される第2受け入れ部46の曲がりの曲率半径R1と同じ曲率半径)に対し、第1端部36から第1入口部34の高さまでの距離L1(
図5において示される第2端部50から第2入口部48までの高さの距離L1と同じ距離)はやや短く形成されている。曲率半径R1-距離L1=エルボ管突出量L2となる。エルボ管突出量L2は、第1入口部34から第2エルボ管端部2bまでの突出量(
図5において示される第2入口部48から第2エルボ管端部2bまでのエルボ管突出量L2と同じ突出量)であり、5mm~40mmの範囲内の値である。
【0038】
第1端部36は、エルボ管2の奥側において、エルボ管2の第1エルボ管端部2aの少なくとも一部を支持するように形成されている。第1端部36は、エルボ管2の奥側の端部である第1エルボ管端部2aと対向する位置に、概ね半円形状の突き当て面を形成している。よって、エルボ管2の第1エルボ管端部2aが第1端部36に当接し、底部としてエルボ管2が第1端部36方向に向けて動きにくくなるように第1端部36がエルボ管2の動きを規制している。
【0039】
第1凹部28aは、第1凸部22aと対となる形状に形成され、第1凸部22aを受け入れて嵌合するように形成されている。第1凹部28aは円形の外周を有する底部を形成する。第1凹部28aは円形の外周を有すると共に第1受け入れ部側平面28bから一段低いすり鉢形状に形成されている。第1凹部28aが、底部から第1挟み込み部22側に向けて直径が増大するテーパ部を形成している。
【0040】
第1外力受け部38は、第1エルボ管受け部28の外周に形成された平坦面により形成されている。第1エルボ管受け部28の外周は、略直方体形状に形成される。第1外力受け部38は、第1エルボ管受け部28が四角形状の外形を有する場合に、第1エルボ管受け部28の外周に例えば4面形成される。この外周面の第1外力受け部38に力を操作部(図示せず)により作用させることにより、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30及びこれらに挟まれたエルボ管2の姿勢を一体として合わせて変化できる。操作部は、例えば、木槌や金槌、ハンマー、人の手指等とできる。
【0041】
傾き表示部40は、第1エルボ管受け部28の外周のうち入口側平坦面42(
図5参照)上又は第2エルボ管受け部30のうち入口側平坦面上に配置されている。入口側平坦面42は、90度のエルボ管2の第2エルボ管端部2bと平行な面を形成している。よって、入口側平坦面42の傾きは、第2エルボ管端部2bの傾きに対応している。従って、傾き表示部40が入口側平坦面42の傾きを測定することにより、第2エルボ管端部2bの傾きを推定できる。傾き表示部40は、図示の簡略化のため、
図5及び
図7においてのみ示され、他の図においては図示を省略されている。傾き表示部40は、例えば、入口側平坦面42に取付けられている。傾き表示部40は、例えば、入口側平坦面42の傾き(傾斜角度)を測定する傾き測定部を備えている。また、傾き表示部40は、測定した傾きを表示する機能も備えている。よって、入口側平坦面42及び挟み込まれたエルボ管2を傾けたとき、その傾きの値が確認されることができる。また、所定の角度のエルボ管2を形成するために、エルボ管2を所定の角度に傾け、傾き表示部40でその傾きを確認できる。確認後、加工装置の刃8を水平に移動させながら第2エルボ管端部2bを加工することにより、第1エルボ管端部2aと第2エルボ管端部2bとが成す角度が調整されたエルボ管2を比較的容易に得ることができる。傾き表示部40は、第1エルボ管受け部28の入口側平坦面42に設けられているが、第2エルボ管受け部30の入口側平坦面に設けられていてもよい。傾き表示部40は、電子的な傾き測定装置に限られず、予め第1挟み込み部22(又は第2エルボ管受け部30)の内側面に予め角度表示(印)を記載しておくことにより、第1エルボ管受け部28や第2エルボ管受け部30の現在の傾き角度が認識できる(表示される)ように構成されてもよい。
【0042】
第1磁石44は、第1エルボ管受け部28に取り付けられ、第1凹部28aの底部内に配置されている。第1磁石44は、第1凹部28aの円の中心に対して対称な位置に配置されている。第1磁石44の表面と、周囲の第1凹部28a内の表面は同一平面を形成している。第1磁石44は、第1挟み込み部22の第1凸部22aの金属と吸着でき、第1エルボ管受け部28を第1挟み込み部22に対して比較的簡易に取付けた状態とできる。第1エルボ管受け部28は、第1磁石44により第1挟み込み部22に吸着された状態で取付けられる。第1磁石44は、第1エルボ管受け部28を第1挟み込み部22に対して取付状態で維持できる。よって、次のエルボ管2を加工するために第1挟み込み部22と第2挟み込み部24とを離間させるように移動する場合において、第1エルボ管受け部28や第2エルボ管受け部30が第1挟み込み部22や第2挟み込み部24から離れて落ちることを抑制できる。従って、エルボ管2を配置するときの利便性を向上でき、作業効率を向上させ、単位時間に対してより多くのエルボ管2を加工することができる。第1磁石44は、第1凹部28a内に限られず第1受け入れ部側平面28bに配置されてもよい。また、第1磁石44の数や配置は任意に変更されてもよい。
【0043】
第2エルボ管受け部30は、自身の内側の内側面に形成されると共に円弧状の内面を形成する第2受け入れ部46と、第2受け入れ部46の入口側の端部に設けられる第2入口部48と、第2受け入れ部46の奥側に端部を形成する第2端部50と、第2凸部24aと嵌合するように第2エルボ管受け部30の外側面に形成される第2凹部30aと、力の作用を受けて第2エルボ管受け部30の姿勢を変化させるための第2外力受け部52と、第2エルボ管受け部30において第2挟み込み部側に設けられた第2磁石54と、を備える。
【0044】
図6に示すように、第2受け入れ部46は、円筒を半分にした半円状(ハーフパイプ形状)の内面を形成している。第2受け入れ部46は、その内側面において、エルボ管2の半分の外面よりやや小さい領域の外面に合致する形状の受け部を形成している。より具体的には、第2受け入れ部46は、エルボ管2の外面に対応する円弧形状の内面を形成し、この円弧の半径は、エルボ管2の外周の半径とほぼ同じである。
図5に示すように、第2受け入れ部46の半円状の内面は、第2入口部48から底部の第2端部50まで形成されている。側面視で第2受け入れ部46の第2入口部48に対し第2端部50が約90度曲がった位置に設けられ、第2受け入れ部46は、第2入口部48から第2端部50まで曲がりながら連続した凹部を形成している。
【0045】
第2受け入れ部46は、エルボ管2の管径寸法や曲がり形状に合わせた形状のものを作成する。第2受け入れ部46は、エルボ管2の管径寸法や曲がり半径等の形状に合わせ、予め複数のバリエーションのものを作成できる。第2受け入れ部46は、樹脂により形成されているので、エルボ管2の管径寸法や曲がり半径等の形状に合わせたバリエーションの第2受け入れ部46を比較的容易に作ることができる。
【0046】
図6に示すように、第2入口部48は、半円形の開口部を形成している。
図5に示すように、第2入口部48と、第2端部50とは90度の角度を形成している。第2入口部48は、エルボ管2の端部が第2受け入れ部46より外側まで突出するように、エルボ管2の端部よりやや下方の位置に設けられる。第2受け入れ部46の曲がりの曲率半径R1に対し、第2端部50から第2入口部48の高さまでの距離L1はやや短く形成されている。曲率半径R1-距離L1=エルボ管突出量L2となる。エルボ管突出量L2は、第2入口部48から第2エルボ管端部2bまでの突き出し量であり、5mm~40mmの範囲内の値である。
【0047】
第2端部50は、エルボ管2の奥側において、エルボ管2の第1エルボ管端部2aの少なくとも一部を支持するように形成されている。第2端部50は、エルボ管2の奥側の端部である第1エルボ管端部2aと対向する位置に、概ね半円形状の突き当て面を形成している。よって、エルボ管2の第1エルボ管端部2aが第2端部50に当接し、底部としてエルボ管2が第2端部50方向に向けて動きにくくなるように第2端部50がエルボ管2の動きを規制している。
【0048】
第2凹部30aは、第2凸部24aと対となる形状に形成され、第2凸部24aを受け入れて嵌合するように形成されている。第2凹部30aは円形の外周を有する底部を形成する。第2凹部30aは円形の外周を有すると共に第2受け入れ部側平面30bから一段低いすり鉢形状に形成されている。第2凹部30aが、底部から第2挟み込み部24側に向けて直径が増大するテーパ部を形成している。
【0049】
第2外力受け部52は、第2エルボ管受け部30の外周に形成された平坦面により形成されている。第2外力受け部52は、第2エルボ管受け部30が四角形状の外形を有する場合に、第2エルボ管受け部30の外周に例えば4面形成される。この外周面の第2外力受け部52に力を操作部(図示せず)により作用させることにより、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30及びこれらに挟まれたエルボ管2の姿勢を一体として合わせて変化できる。操作部は、例えば、木槌や金槌、ハンマー、人の手指等とできる。
【0050】
第2磁石54は、第2エルボ管受け部30に取り付けられ、第2凹部30aの底部内に配置されている。第2磁石54は、第2凹部30aの円の中心に対して対称な位置に配置されている。第2磁石54の表面と、周囲の第2凹部30a内の表面は同一平面を形成している。第2磁石54は、第2挟み込み部24の第2凸部24aの金属と吸着でき、第2エルボ管受け部30を第2挟み込み部24に対して比較的簡易に取付けた状態とできる。第2エルボ管受け部30は、第2磁石54により第2挟み込み部24に吸着された状態で取付けられる。第2磁石54は、第2エルボ管受け部30を第2挟み込み部24に対して取付状態で維持できる。よって、次のエルボ管2を加工するために第1挟み込み部22と第2挟み込み部24とを離間させるように移動する場合において、第1エルボ管受け部28や第2エルボ管受け部30が第1挟み込み部22や第2挟み込み部24から離れて落ちることを抑制できる。従って、エルボ管2を配置するときの利便性を向上でき、作業効率を向上させ、単位時間に対してより多くのエルボ管2を加工することができる。第2磁石54は、第2凹部30a内に限られず第2受け入れ部側平面30bに配置されてもよい。また、第2磁石54の数や配置は任意に変更されてもよい。
【0051】
このような構成によれば、第1エルボ管受け部28と第2エルボ管受け部30との間にエルボ管2が挟持されると共に、第1エルボ管受け部28と第2エルボ管受け部30とが第1挟み込み部22と第2挟み込み部24との間に挟持された状態で、第1エルボ管受け部28と第2エルボ管受け部30とを、第1挟み込み部22と第2挟み込み部24とに対して角度を変更させる。エルボ管2の角度を変えた状態で、露出されたエルボ管2の第2エルボ管端部2bを加工装置6により加工することにより、エルボ管2の第1エルボ管端部2aと第2エルボ管端部2bとが成す角度を変化させることができる。先ず、エルボ管保持装置1は、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30上に露出された第2エルボ管端部2bを、水平面から傾けた状態でエルボ管2を保持できる。また、エルボ管保持装置1は、エルボ管2を、加工装置の加工に係る振動や加わる力等にも動きにくくなるように強固に保持することができる。第2エルボ管端部2bを水平面から傾けた状態で、第2エルボ管端部2bを例えば水平に削ることにより、エルボ管2の第1エルボ管端部2aと第2エルボ管端部2bとの成す角度を特殊角度(端角度)に調整できる。例えば、エルボ管2の第1エルボ管端部2aと第2エルボ管端部2bとの成す角度を、90度から89度や88度等の任意の角度に変更できる。従って、90度のエルボ管2を、89度や88度等のエルボ管2に調整し、施工現場に合わせて角度を調整できる。
【0052】
図2に示すように、第1エルボ管受け部28と第2エルボ管受け部30とが第1挟み込み部22と第2挟み込み部24との間に挟持された状態で、第1挟み込み部22及び第2挟み込み部24は、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30よりも下方側まで延び、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30の下方側に隙間空間S(
図2及び
図5参照)を形成する。隙間空間Sが形成されているので、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30が、所定の傾きを有するように任意の角度に回転可能とされている。
【0053】
次に、このように構成された本発明の一実施形態によれば、第1エルボ管受け部28と第2エルボ管受け部30との間にエルボ管2が挟持された状態で、第1エルボ管受け部28と第2エルボ管受け部30とを、第1挟み込み部22と第2挟み込み部24とに対して角度を変更させることができる。これにより、エルボ管2の角度を変えた状態でエルボ管2を保持し、エルボ管2の第2エルボ管端部2bを加工装置6により削ることにより、エルボ管2の第1エルボ管端部と第2エルボ管端部2bとが成す角度、例えば90度を、89度や88度等の角度に変更できる。従って、プラント工場等の配管工事の際において、エルボ管2を取り付けるときに微調整したいとき、例えば90度のエルボ管2を取り付けたのでは1度曲がりすぎてしまうような場合に89度のエルボ管2を取り付けたいとき、比較的高い精度で角度を変化させたエルボ管2を形成でき、加工したエルボ管2を取付けることができる。なお、従来はエルボ管2を職人が現場で削って曲がり角度を微調整していたところ、本実施形態によれば、熟練の職人の作業によらなくても、比較的高い精度で角度を変化させたエルボ管2を形成できる。また、熟練の職人の作業によらなくても、角度を変化させたエルボ管2を同じ時間で多数形成でき、工事の効率化に資することができる。
【0054】
このように構成された本発明の一実施形態によれば、さらに、第1エルボ管受け部28と第2エルボ管受け部30とが第1挟み込み部22と第2挟み込み部24との間に挟持された状態で、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30の傾きを表示する傾き表示部40を備える。これにより、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30が、第1挟み込み部22と第2挟み込み部24とに対して角度を変更されるときに、この角度をより容易且つより正確に調整できる。よって、角度を変化させたエルボ管2をより効率的に形成でき、角度を変化させたエルボ管2を同じ時間で多数形成でき、工事の効率化により資することができる。
【0055】
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1エルボ管受け部28が、上記エルボ管2の上記第1エルボ管端部2aを支持する第1端部36を備え、上記第2エルボ管受け部30が、上記エルボ管2の上記第1エルボ管端部2aを支持する第2端部50を備える。これにより、第1端部36及び第2端部50が、共に、エルボ管2の第1エルボ管端部2aを支持し、エルボ管2を切削するときに、エルボ管2が第1エルボ管受け部28や第2エルボ管受け部30側に向けて動きにくくすることができ、エルボ管2をより安定して保持できる。よって、エルボ管2を加工するときに、エルボ管2が動くことを抑制し、エルボ管2の加工の精度をより向上できる。
【0056】
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1エルボ管受け部28と上記第2エルボ管受け部30とが上記第1挟み込み部22と上記第2挟み込み部24との間に挟持された状態で、上記第1挟み込み部22及び上記第2挟み込み部24は、上記第1エルボ管受け部28及び上記第2エルボ管受け部30よりも下方側まで延び、上記第1エルボ管受け部28及び上記第2エルボ管受け部30の下方側に隙間空間Sを形成する。これにより、上記第1エルボ管受け部28及び上記第2エルボ管受け部30が上記第1挟み込み部22及び上記第2挟み込み部24に対して角度を変更可能とされている。
【0057】
このように構成された本発明の一実施形態によれば、第1挟み込み部22の円形の外周部を備える第1凸部22aと、第1エルボ管受け部28の第1凹部28aとが嵌合した状態で、第1エルボ管受け部28が第1挟み込み部22に対して回転でき、第2挟み込み部24の円形の外周部を備える第2凸部24aと、第2エルボ管受け部30の第2凹部とが嵌合した状態で、第2エルボ管受け部30が第2挟み込み部24に対して回転できる。これにより、上記第1エルボ管受け部28及び上記第2エルボ管受け部30が、上記第1挟み込み部22及び上記第2挟み込み部24に対して角度を容易に変更でき、この角度をより容易に調整できる。よって、角度を変化させたエルボ管2をより効率的に形成でき、角度を変化させたエルボ管2を同じ時間で多数形成でき、工事の効率化により資することができる。
【0058】
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1挟み込み部22の上記第1凸部22aが、上記第1エルボ管受け部28側に向けて直径が減少するテーパ部を形成すると共に、上記第2挟み込み部24の上記第2凸部24aが、上記第2エルボ管受け部30側に向けて直径が減少するテーパ部を形成する。これにより、上記第1エルボ管受け部28を上記第1挟み込み部22に向けて取り付けるときに、第1エルボ管受け部28がテーパ部に沿って適切な位置に導かれやすくなる。よって、第1エルボ管受け部28が第1挟み込み部22に対して適切な位置に位置決めできると共にスムーズに取付できる。同様に、上記第2エルボ管受け部30を上記第2挟み込み部24に向けて取り付けるときに、第2エルボ管受け部30がテーパ部に沿って適切な位置に導かれやすくなる。よって、第2エルボ管受け部30が第2挟み込み部24に対して適切な位置に位置決めできると共にスムーズに取付できる。さらに、第1エルボ管受け部28及び第2エルボ管受け部30が対向する位置に位置決めされることにより、エルボ管2を所定の位置に挟む作業を効率化することができる。
【0059】
このように構成された本発明の一実施形態によれば、上記第1エルボ管受け部28が、上記第1挟み込み部22側に第1磁石を備え、上記第1エルボ管受け部28は、上記第1磁石により上記第1挟み込み部22に吸着された状態で取付けられ、上記第2エルボ管受け部30が、上記第2挟み込み部24側に第2磁石を備え、上記第2エルボ管受け部30は、上記第2磁石により上記第2挟み込み部24に吸着された状態で取付けられる。これにより、上記第1挟み込み部22と上記第2挟み込み部24との間の距離が比較的離れているとき、例えばエルボ管2を挟み込む前に距離が比較的離れているときやエルボ管2を加工した後に取り外すために距離が比較的離れるとき、において第1エルボ管受け部28が第1挟み込み部22から外れる又は落下することや第2エルボ管受け部30が第2挟み込み部24から外れる又は落下することを抑制できる。よって、エルボ管2を挟み込むために設置するときやエルボ管2を加工後に取り外すときに、第1エルボ管受け部28や第2エルボ管受け部30がずれたり脱落したりすることが抑制され、エルボ管2の加工作業を効率的にすることができる。また、1つのエルボ管2の加工作業が終わった後に、次のエルボ管2の加工作業を行う場合にも第1エルボ管受け部28や第2エルボ管受け部30がそのまま吸着された状態で取り付けられているので、スムーズに次のエルボ管2の加工作業を行うことができ、作業の効率化に資する。
【0060】
本発明を実施するための形態は上記に限定されるものではなく、さらなる他の変形例を適用することができる。本実施形態においては、エルボ管2は、加工対象として90度の曲がりエルボ管が例示されているが、他の角度のエルボ管、例えば45度の曲がりエルボ管、180度の曲がりエルボ管にも適用することができる。他の角度のエルボ管を保持する場合には、第1エルボ管受け部及び第2エルボ管受け部を他の角度のエルボ管の外面と嵌合するような形状に形成する。
【0061】
本実施形態においては、第1凸部22aが第1凹部28aと嵌合し、第2凸部24aが第2凹部30aと嵌合するように形成されている。変形例として、凹部と凸部とが逆転してもよい。具体的には、第1挟み込み部22に凹部が形成され、第1エルボ管受け部28に凸部が形成されてもよい。同様に、さらなる変形例として、第2挟み込み部24に凹部が形成され、第2エルボ管受け部30に凸部が形成されてもよい。
【0062】
本実施形態においては、第1凸部22aが第1凹部28aと嵌合し、第2凸部24aが第2凹部30aと嵌合するように形成されている。変形例として、嵌合するような形状に限られず第1挟み込み部22と第1エルボ管受け部28とが係合するように形成されることができる。すなわち、第1凸部22a、第1凹部28a、第2凸部24a、及び第2凹部30aの形状は係合できる程度に任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 :エルボ管保持装置
2 :エルボ管
2a :第1エルボ管端部
2b :第2エルボ管端部
6 :加工装置
22 :第1挟み込み部
22a :第1凸部
24 :第2挟み込み部
24a :第2凸部
26 :操作部
28 :第1エルボ管受け部
28a :第1凹部
30 :第2エルボ管受け部
30a :第2凹部
36 :第1端部
40 :傾き表示部
44 :第1磁石
50 :第2端部
54 :第2磁石
S :隙間空間