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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011914
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】調味液供給部洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/04 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B08B3/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114333
(22)【出願日】2023-07-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 健
(72)【発明者】
【氏名】今泉 唯晴
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB53
3B201BB21
3B201BB82
3B201BB94
(57)【要約】
【課題】調味液散布ノズルを短時間で洗浄し、調味液を設定量で均一に散布する効果を長期間維持すること。
【解決手段】調味液ポンプP1にて加圧された調味液を調味液散布ノズル41に接続する調味液供給管L1に、洗浄液を供給する洗浄液供給管L5を接続する。調味液供給管L1と洗浄液供給管L5とが接続する接続部分に洗浄液切替バルブV3を配設する。洗浄液切替バルブV3を調味液供給位置に切り替えた状態では、調味液散布ノズル41が調味液ポンプP1にて加圧された調味液を出力し、洗浄液切替バルブV3を調味液供給位置に切り替えた状態では、調味液散布ノズル41が洗浄液を出力することにより、調味液散布ノズル41に残留する調味液が洗浄液に置換され、調味液散布ノズル41が洗浄される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品に調味液を供給する調味液供給部と、
前記調味液を加圧する調味液加圧部を前記調味液供給部に接続する調味液供給管と、
前記調味液加圧部と前記調味液供給部との間で前記調味液供給管に接続し、洗浄液を供給する洗浄液供給管と、
前記洗浄液供給管と前記調味液供給管との接続部分に配設され、前記調味液供給部を前記調味液加圧部に接続する第1接続位置と、前記調味液供給部を前記洗浄液供給管に接続する第2接続位置と、を切り替える切替部と、
を有し、
前記切替部を前記第2接続位置に切り替えた状態で前記調味液供給部が前記洗浄液を出力することにより、前記調味液供給部に残留する前記調味液を前記洗浄液に置換し、前記調味液供給部を洗浄する、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項2】
請求項1に記載する洗浄システムにおいて、
前記調味液供給部は、パルス信号に基づいて開閉する電磁弁を備え、前記電磁弁の開閉動作により前記調味液の散布を制御される調味液散布ノズルであり、
前記切替部を前記第2接続位置に切り替えた状態で前記電磁弁が前記パルス信号に基づいて開閉動作を繰り返すことにより、前記調味液散布ノズルに残留する前記調味液を前記洗浄液に置換し、前記調味液散布ノズルを洗浄する、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項3】
請求項2に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記切替部を前記第2接続位置に切り替えた状態で前記電磁弁が開閉動作を繰り返した後、弁閉することにより、前記調味液散布ノズルの内部に前記洗浄液を滞留させる、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記調味液散布ノズルは、箱形のノズルカバーに内設され、前記調味液を散布する散布部が前記ノズルカバーに開設された開口部に嵌合されている、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項5】
請求項1に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記調味液供給部は、調味液の滴下を防止する逆止弁である、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項6】
請求項1に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記洗浄液供給管は、外部装置の給湯タンクに接続する給湯管から分岐して前記切替部に接続し、前記給湯タンクに貯蔵される高温の洗浄液を前記洗浄液として使用する、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項7】
請求項1に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記調味液供給部は、前記調味液が散布される食品の搬送方向に対して直交する方向に複数配設されている、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項8】
請求項7に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記調味液供給管は、前記切替部の下流側で分岐して前記複数の調味液供給部に接続し、
前記複数の調味液供給部は、電気信号により動作を制御可能であり、
前記複数の調味液供給部は、1個の制御部により制御される、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味液供給部洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品加工では、調味液を散布して味付けすることが行われている。例えば、特許文献1には、コンベヤによって白飯をほぐしながら搬送する搬送経路上にスプレユニットを配設し、調味液を白飯に散布して混ぜる技術が開示されている。
【0003】
また例えば、特許文献2には、調味液タンクとロート状容器とを接続する調味液供給管に調味液供給開閉弁を配設し、調味液タンクからロート状容器に供給された調味液を散布ノズルから白飯に散布する調味液添加装置が開示されている。この調味液添加装置は、さらに、洗浄液タンクが洗浄液供給管を介してロート状容器に接続され、その洗浄液供給管に洗浄液供給開閉弁が配設されている。調味液が流れる管路は、洗浄液タンクからロート状容器に供給された洗浄用の水が散布ノズルに供給され、散布ノズルから散布されることによって、洗浄される。
【0004】
また例えば、特許文献3には、醤油を貯蔵するタンクからコンプレッサに醤油を供給し、コンプレッサで加圧された醤油をノズルに供給し、コンベヤで搬送されるお握りに向けて醤油をノズルから噴霧する調味液供給装置が開示されている。この調味液供給装置は、醤油を貯蔵するタンクに水と蒸気を供給し、蒸気で加熱した水をコンプレッサに供給し、醤油の管路を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-261021号公報
【特許文献2】特開2008-126002号公報
【特許文献3】特開2008-193915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
調味液を散布される食品の味は、調味液の供給量によって決まる。そのため、調味液を散布する調味液散布装置では、例えば、外部からのパルス信号に応じて電磁弁を開閉して調味液を散布する調味液散布ノズルが使用される。また例えば、調味液の滴下を防止する逆止弁が使用される。
【0007】
しかし、調味液には、食酢、砂糖、醤油、塩、昆布出汁など、各種調味料が含まれている。その中でも特にアミノ酸や塩分、酢酸を含む調味液は、酸化作用が強い。調味液散布ノズルあるいは逆止弁は、調味液の酸化作用によって弁部が酸化すると、調味液の流れが悪くなる。調味液散布ノズルあるいは逆止弁に滞る酢は粘度を増す。この場合、調味液散布ノズルから散布される調味液の粒径が大きくなったり、不均一になったりして、調味液散布ノズルが調味液を食品に均一に散布できなくなるおそれがある。また、逆止弁は、弁が開きにくくなり、調味液の供給量が設定量より減るおそれがある。例えば、調味液が塩を含む場合、逆止弁や調味液散布ノズルの電磁弁の弁部に塩が結晶化することがあった。この場合、電磁弁や逆止弁の弁閉時に塩の結晶によって弁体と弁座との間に隙間が生じ、調味液がその隙間から漏れて食品に供給されることがあった。このような調味液散布ノズルや逆止弁の動作障害を抑制し、調味液を設定量で供給する効果を長期間維持するには、調味液散布ノズルや逆止弁を洗浄することが望ましい。
【0008】
特許文献1には、スプレユニットの洗浄について何ら記載および示唆されていない。特許文献2および特許文献3に開示される技術は、ノズルに洗浄液を流通させてノズルを洗浄している。しかし、特許文献2および特許文献3に開示される技術は、調味液が流れる管路全体を洗浄してノズルを洗浄するため、ノズルの洗浄に時間がかかっていた。よって、調味液散布ノズルを洗浄する技術には、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、本明細書で開示する技術の一態様は、(1)食品に調味液を供給する調味液供給部と、前記調味液を加圧する調味液加圧部を前記調味液供給部に接続する調味液供給管と、前記調味液加圧部と前記調味液供給部との間で前記調味液供給管に接続し、洗浄液を供給する洗浄液供給管と、前記洗浄液供給管と前記調味液供給管との接続部分に配設され、前記調味液供給部を前記調味液加圧部に接続する第1接続位置と、前記調味液供給部を前記洗浄液供給管に接続する第2接続位置と、を切り替える切替部と、を有し、前記切替部を前記第2接続位置に切り替えた状態で前記調味液供給部が前記洗浄液を出力することにより、前記調味液供給部に残留する前記調味液を前記洗浄液に置換し、前記調味液供給部を洗浄する、ように構成されている。
【0010】
上記構成の調味液供給部洗浄システムでは、切替部を第1接続位置に切り替えた状態において、加圧供給部で加圧された調味液が切替部を介して調味液供給部に供給され、調味液供給部が食品に調味液を供給する。切替部を第2接続位置に切り替えた状態では、洗浄液が切替部を介して調味液供給部に供給され、調味液供給部から出力される。上記調味液供給部洗浄システムは、調味液加圧部を含め、切替部より上流側の領域を洗浄せず、切替部から調味液供給部までの領域を洗浄するので、調味液が流れる管路全体を洗浄する場合と比べて洗浄領域が狭く、調味液供給部の洗浄時間を短くできる。また切替部を第2接続位置から第1接続位置に切り替えて調味液を供給する際も、管路に残る洗浄液が少ないため、短時間で洗浄液を押し流し調味液を食品に噴射可能な状態にできる。他にも、調味液供給部の洗浄により、例えば、アミノ酸や塩分、酢酸を含む強酸化作用を有する調味液を使用する場合でも、調味液供給部は、酸化しにくく、調味液の流れが悪くなりにくい。そのため、調味液が食酢を含んでいても、調味液供給部で酢の粘度が高くなりにくく、調味液供給部は、調味液を設定量で供給する効果を長期間維持できる。また例えば、塩分を含む調味液を使用する場合でも、調味液供給部に塩が結晶化しにくいので、調味液供給部は、弁閉時に流体漏れせず、調味液を設定量で供給する効果を長期間維持できる。
【0011】
(2)(1)に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、前記調味液供給部は、パルス信号に基づいて流路を開閉する電磁弁を備え、前記電磁弁の開閉動作により前記調味液の散布を制御される調味液散布ノズルであり、前記切替部を前記第2接続位置に切り替えた状態で前記電磁弁が前記パルス信号に基づいて開閉動作を繰り返すことにより、前記調味液散布ノズルに残留する前記調味液を前記洗浄液に置換し、前記調味液散布ノズルを洗浄する、ことが好ましい。
【0012】
上記構成の調味液供給部洗浄システムでは、調味液供給時、調味液散布ノズルの電磁弁がパルス信号に基づいて開閉を繰り返すことにより、調味液の散布量を管理できる。洗浄時に、電磁弁が繰り返し開閉することにより、洗浄液が調味液散布ノズルの隅々まで行き渡り、調味液散布ノズルに残留する調味液と置換されやすい。
【0013】
(3)(2)に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、前記切替部を前記第2接続位置に切り替えた状態で前記電磁弁が開閉動作を繰り返した後、弁閉することにより、前記調味液散布ノズルの内部に前記洗浄液を滞留させる、ことが好ましい。
【0014】
上記構成の調味液供給部洗浄システムでは、調味液散布ノズルの洗浄後、調味液散布ノズルの内部に洗浄液を滞留させることで、調味液散布ノズルの内部が空気と接触することを抑制するため、例えば、アミノ酸や塩分、酢酸などを含む調味液が、電磁弁の弁閉中に、電磁弁の電気系統側に回り込み、電磁弁が故障したり、調味液散布ノズルの構成部品の腐食が進んだりすることを回避できる。
【0015】
(4)(2)または(3)に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、前記調味液散布ノズルは、箱形のノズルカバーに内設され、前記調味液を散布する散布部が前記ノズルカバーに開設された開口部に嵌合されている、ことが好ましい。
【0016】
上記構成の調味液供給部洗浄システムでは、調味液散布ノズルの散布部をノズルカバーの開口部に嵌合した状態で調味液散布ノズルを箱形のノズルカバーに内設することで、散布した調味液から調味液散布ノズルの電磁弁を保護し、調味液散布ノズルの故障や動作不良を抑制できる。
【0017】
(5)(1)から(4)の何れか1つに記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、前記調味液供給部は、調味液の滴下を防止する逆止弁である、ことが好ましい。
【0018】
上記構成の調味液供給部洗浄システムでは、酸化作用が強い調味液を使用する場合でも、逆止弁を洗浄して酸化や塩の結晶化を抑制するので、調味液の滴下を防ぐ効果を維持し、調味液が設定量を超えて食品に供給されることを防止できる。
【0019】
(6)(1)から(5)の何れか1つに記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、前記洗浄液供給管は、外部装置の給湯タンクに接続する給湯管から分岐して前記切替部に接続し、前記給湯タンクに貯蔵される高温の洗浄液を前記洗浄液として使用する、ことが好ましい。
【0020】
上記構成の調味液供給部洗浄システムでは、外部装置の給湯タンクに貯蔵される高温の洗浄液を洗浄液として使用することで、システムサイズを小さくでき、コストダウンできる。
【0021】
(7)(1)から(6)の何れか1つに記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、前記調味液供給部は、前記調味液が散布される食品の搬送方向に対して直交する方向に複数配設されている、ことが好ましい。
【0022】
上記構成の調味液供給部洗浄システムでは、搬送される食品に満遍なく調味液を散布できる。また、複数の調味液供給部をそれぞれ洗浄するので、複数の調味液供給部のうちの一部が故障や動作不良を生じることにより食品加工の一連の作業に影響を与えることを抑制できる。
【0023】
(8)(7)に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、前記調味液供給管は、前記切替部の下流側で分岐して前記複数の調味液供給部に接続し、前記複数の調味液供給部は、電気信号により動作を制御可能であり、前記複数の調味液供給部は、1個の制御部により制御される、ことが好ましい。
【0024】
上記構成の調味液供給部洗浄システムでは、切替部から供給される洗浄液を複数の調味液供給部に分流させ、複数の調味液供給部の動作を1個の制御部で制御することにより、複数の調味液供給部の洗浄を同時に行うことで、複数の調味液供給部を簡単な制御でメンテナンスし、各調味液供給部から調味液を設定量ずつ供給する効果を長期間維持できる。
【発明の効果】
【0025】
上記構成によれば、調味液を供給する調味液供給部を洗浄する調味液供給部洗浄システムにおいて、調味液散布ノズルを短時間で洗浄し、調味液を設定量で均一に散布する効果を長期間維持する技術を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】調味液供給装置の上面図である。
図2図1に示す調味液供給装置の側面図である。
図3】調味液散布ノズルの概略構成図である。
図4】調味液供給部洗浄システムの回路図である。
図5】調味液供給部洗浄システムの停止状態を説明する図である。
図6】調味液供給部洗浄システムの運転準備動作を説明する図である。
図7】調味液供給部洗浄システムの運転準備動作を説明する図である。
図8】調味液供給部洗浄システムの洗浄動作を説明する図である。
図9】調味液供給部洗浄システムの洗浄動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本明細書にて開示する調味液供給部洗浄システムの実施形態を説明する。本明細書は、調味液を散布する調味液散布ノズルを洗浄する調味液供給部洗浄システムを開示する。
【0028】
例えば、図1に示す調味液供給装置3は、第1ほぐしコンベヤ31にて搬送される白飯に、複数の調味液散布ノズル41から調味液を散布する装置である。調味液散布ノズル41は「調味液供給部」の一例である。調味液供給装置3は、炊飯装置2の下流側に配設されている。炊飯装置2は、例えば、ベルトコンベヤで搬送される浸漬された米を蒸気で蒸して炊き上げる装置である。炊飯装置2は、炊き上げた白飯を取り出しコンベヤ21に取り出し、調味液供給装置3へ搬送する。
【0029】
調味液供給装置3は、第1ほぐしコンベヤ31と、第2ほぐしコンベヤ32と、本体カバー33と、攪拌羽根34と、ノズルカバー35と、調味液散布ノズル41と、を有している。
【0030】
図2に示すように、第1ほぐしコンベヤ31は、上流側端部を取り出しコンベヤ21の下方に配置し、下流側端部を第2ほぐしコンベヤ32の上方に配置するように、斜めに設置されている。そのため、白飯は、取り出しコンベヤ21から第1ほぐしコンベヤ31へ落下する際、および、第1ほぐしコンベヤ31から第2ほぐしコンベヤ32へ落下する際に、それぞれ白飯を撹拌する効果がある。
【0031】
第2ほぐしコンベヤ32は、第1ほぐしコンベヤ31に対して直角に配置されることにより、第1ほぐしコンベヤ31から落下してきた白飯を撹拌する効果が高められている。例えば、第2ほぐしコンベヤ32が、第1ほぐしコンベヤ31と直線状に配置されている場合、第1ほぐしコンベヤ31上の白飯は、幅方向の白飯とは混ざることはないが、直角に配置されている場合、落下した際に幅方向の白飯と混ざることになる。そして、第2ほぐしコンベヤ32は、図示しない調味後処置装置へ搬送する。調味後処置装置では、例えば、容器詰めや冷凍などの処置が行われる。なお、白飯の処置の方法によっては、第2ほぐしコンベヤ32の設置方向が異なることがあり、さらには第2ほぐしコンベヤ32を設置せず、別の手段で白飯を受け取ることがある。
【0032】
本体カバー33は、第1ほぐしコンベヤ31を覆うように配設されている。攪拌羽根34は、第1ほぐしコンベヤ31の搬送方向に直交する幅方向に伸びる回転軸と回転軸から放射状に伸びる多数の撹拌棒からなり、第1ほぐしコンベヤ31の搬送方向に複数並んで配設されている。攪拌羽根34は、それぞれ、第1ほぐしコンベヤ31の架台に回転可能に保持され、第1ほぐしコンベヤ31によって搬送される白飯を撹拌することができる。本体カバー33の天井面には、ノズルカバー35を介して複数の調味液散布ノズル41が取り付けられている。
【0033】
図1に示すように、調味液散布ノズル41は、第1ほぐしコンベヤ31の幅方向に、複数個並んで配設されている。第1ほぐしコンベヤ31の幅方向に一列に並んで配置される調味液散布ノズル41をノズルユニット40とした場合、調味液供給装置3は、第1ほぐしコンベヤ31の搬送方向に、ノズルユニット40が複数配置されている。調味液を貯蔵する調味液タンク42(図4等参照)は、ノズルユニット40を構成している複数の調味液散布ノズル41と接続されている。よって、調味液供給装置3は、複数のノズルユニット40から同じ調味液を白飯に散布することもできるし、ノズルユニット40毎に異なる種類の調味液タンク42を接続し、複数の調味液を白飯に順次散布することもできる。
【0034】
ノズルユニット40は、隣合う攪拌羽根34の間に配設されている。白飯は、ノズルユニット40の各調味液散布ノズル41から調味液を散布され、攪拌羽根34によって調味液が白飯と混ぜ合わされる。
【0035】
調味液散布ノズル41は、例えば図3に示すように、パルス信号に応じて開閉する電磁弁410を備え、電磁弁410の開閉により調味液の散布を制御されるパルスノズルであってもよい。
【0036】
電磁弁410は、流入口412cと流出口412dとを接続する流路412eを内部に形成した流路ブロック412に、ソレノイド部411がシール部材414を介して連結し、流路ブロック412の流出口412dにノズル部413 を接続して構成されたものである。電磁弁410は、ソレノイド部411への通電に応じて弁体412bを弁座412aに当接又は離間させて流路412eを開閉する開閉弁の機能を有している。ソレノイド部411は、信号線411eからの信号により励磁されるコイル411aと、弁体412bと連結される可動鉄心411cと、スプリング411dと、を備え、可動鉄心411cがスプリング411dによって弁座方向に常時付勢されている。コイル411aに接続する信号線411eはソレノイド部の外部に取り出されている。電磁弁410は、スプリング411dの付勢力により弁体412bが弁座412aに押されることから、流路412eは常に閉状態であるが、コイル411aが信号線411eを介して通電された場合に、固定鉄心411bがスプリング411dに抗して可動鉄心411cを反弁座方向に吸引し、弁体412bを弁座412aから離間させることで、流路ブロック412の流路412eが開の状態となり、電磁弁410が開くことになる。そして信号線411eにパルス信号を入力することで、可動鉄心411cおよび弁体412bがパルス信号に合わせて上下に振動し、電磁弁410は弁体411bの振動により開閉動作を繰り返すことになる。
【0037】
調味液散布ノズル41は、電磁弁410の流路412eが開くことにより、流入口412cに流入した調味液をノズル部413から散布できる。調味液散布ノズル41は、弁体412bを備えた上記構成の電磁弁410を備えることで、加圧された高圧の調味液に対応でき、弁体412bの開閉率によって噴射量を調節することもできる。また、調味液散布ノズル41は、高圧な調味液の圧力を利用して、ノズル部413の散布口413aから調味液を細かい霧状に散布できる。そのため、少ない調味液で白飯を均一に味付けすることができる。
【0038】
図2に示すように、ノズルカバー35は、一方に開口する箱形をなし、開口端部が本体カバー33の天井面に固定されている。ノズルカバー35は、ノズルユニット40毎に設けられている。ノズルカバー35には、複数の調味液散布ノズル41が内設されている。
【0039】
具体的には、ノズルカバー35の底面には、例えば図3に示すように、調味液散布ノズル41を挿通するための開口部35aが開設されている。調味液散布ノズル41のノズル部413には、散布口413aが開口する散布部413bが突設されている。調味液散布ノズル41は、開口部35aに散布部413bを嵌合した状態で、ノズルカバー35の内部に設置されている。これにより、調味液散布ノズル41は、散布された調味液や、搬送される白飯から立ち上る湯気から、電磁弁410や信号線411eが保護されている。
【0040】
図4に基づいて調味液供給部洗浄システム4の構成を説明する。調味液散布ノズル洗浄システム4は、ノズルユニット40毎に設けられている。調味液散布ノズル洗浄システム4は、調味液散布ノズル41と、調味液タンク42と、調味液ポンプP1と、調味液切替バルブV1と、流量計Fと、調味液開閉弁V2と、洗浄液切替バルブV3と、流量調整弁V4と、湯供給ポンプP2と、温度センサTと、を備え、これらが制御部6に接続されている。調味液ポンプP1は「調味液加圧部」の一例である。洗浄液切替バルブV3は、「切替部」の一例である。制御部6は、調味液供給装置3にあってもよいし、なくてもよい。
【0041】
また、調味液供給部洗浄システム4は、調味液供給管L1と、調味液戻り管L2と、洗浄液供給管L5と、バイパス管L6と、を備えている。調味液供給管L1は、第1調味液管路L11と、第2調味液管路L12と、第3調味液管路L13と、第4調味液管路L14と、共通管路L15と、を含む。
【0042】
調味液タンク42は、白飯の味付けに用いる調味液を貯蔵している。調味液は、例えば、塩水、醤油、食酢、出汁、ケチャップ、オイルなどを含む。調味液タンク42は、調味液ポンプP1と、調味液切替バルブV1と、流量計Fと、調味液開閉弁V2と、洗浄液切替バルブV3と、を介して、バルブユニット40の各調味液散布ノズル41に接続されている。各調味液散布ノズル41には、調味液ポンプP1の駆動に応じて、調味液タンク42から調味液が供給される。調味液供給部洗浄システム4は、給湯タンク22に炊飯用に貯蔵される湯を高温の洗浄液として調味液散布ノズル41に供給できるように配管されている。
【0043】
第1調味液管路L11は、調味液タンク42と調味液ポンプP1とを接続している。第2調味液管路L12は、調味液ポンプP1と調味液切替バルブV1とを接続している。調味液ポンプP1は、制御部6からの指令に応じて駆動し、調味液タンク42の調味液を加圧して調味液切替バルブV1へ送り出すことができる。
【0044】
調味液戻り管L2は、調味液タンク42と調味液切替バルブV1とを接続している。第3調味液管路L13は、調味液切替バルブV1と調味液開閉弁V2とを接続している。調味液切替バルブV1は、制御部6からの指令に応じて流路を切り替える電動式の三方弁である。調味液切替バルブV1は、第2調味液管路L12を調味液戻り管L2に接続して調味液を調味液タンク42に循環させる循環位置と、第2調味液管路L12を第3調味液管路L13に接続して調味液を調味液散布ノズル41に吐出する吐出位置と、を切り替える。
【0045】
第4調味液管路L14は、調味液開閉弁V2と洗浄液切替バルブV3とを接続している。調味液開閉弁V2は、制御部6からの指令に応じて流路を開閉し、第4調味液管路L14から第3調味液管路L13への逆流を防止する機能として利用する開閉バルブである。流量計Fは、第3調味液管路L13に配設され、調味液散布ノズル41へ供給される調味液の流量を計測する。
【0046】
バイパス管L6は、第1調味液管路L11と調味液戻り管L2とを接続している。バイパス管L6には、流量調整弁V4が配設されている。制御部6は、流量計Fが計測する流量計測値と設定流量との差分に応じて流量調整弁V4の弁開度を調整し、調味液散布ノズル41に供給する調味液の流量を制御する。設定流量は、調味液の種類などに応じて適宜設定あるいは変更できる。調味液の流量を制御することで、調味液散布ノズル41から噴射される散布圧がコントロールされることになる。
【0047】
共通管路L15は、洗浄液切替バルブV3と調味液散布ノズル41とを接続している。共通管路L15は、分岐して、ノズルユニット40の各調味液散布ノズル41に接続している。図4では、共通管路L15は、4本の分岐管L15a,L15b,L15c,L15dを備え、各分岐管L15a,L15b,L15c,L15dの先端部に調味液散布ノズル41が取り付けられている。
【0048】
調味液供給管L1には、洗浄液切替バルブV3を介して洗浄液供給管L5が接続している。洗浄液供給管L5は、炊飯装置2と給湯タンク22とを接続する給湯管23から分岐し、調味液供給管L1に配設される洗浄液切替バルブV3に接続している。
【0049】
給湯タンク22および給湯管23は、炊飯装置2の一部である。給湯タンク22には、炊飯装置2の炊飯時に使用する湯や、コンベヤの洗浄時などに使用される洗浄液としての湯を、貯蔵している。給湯タンク22は、常温水を所定の湯温(例えば95℃前後)に加熱する機能を有する。給湯タンク22の温度は温度センサTによって計測できる。湯供給ポンプP2は、洗浄液供給管L5が給湯管23から分岐する分岐点と、給湯タンク22との間に配設されている。洗浄液開閉弁V5は、洗浄液供給管L5の流路に接続されていて、制御部6からの指令に応じて流路を開閉し、洗浄液切替バルブV3から給湯管23への逆流を防止する機能として利用する開閉バルブである。
【0050】
洗浄液切替バルブV3は、手動で流路を切り替える三方弁である。洗浄液切替バルブV3は、共通管路L15を第4調味液管路L14に接続して調味液散布ノズル41に調味液を供給する調味液供給位置と、共通管路L15を洗浄液供給管L5に接続して調味液散布ノズル41に高温の洗浄液を供給する洗浄液供給位置と、を切り替える。調味液供給位置は「第1接続位置」の一例である。洗浄液供給位置は「第2接続位置」の一例である。本形態の洗浄液切替バルブV3は、制御部6からの指令に応じたタイミングで手動により切り替えているが、制御部6からの指令に応じて調味液供給位置と、洗浄液供給位置と、を自動で切り替えても良い。
【0051】
制御部6は、周知のマイクロコンピュータであり、CPUと、メモリと、を有する。制御部6は、各種の指示や設定値を受け付ける操作部63を有している。操作部63は、例えば、調味液供給装置3をオンまたはオフする運転スイッチを有する。また例えば、操作部63は、調味液を白飯に供給する準備を指示する準備スイッチを有する。また例えば、操作部63は、調味液の供給開始および停止を指示する吐出スイッチと、を有する。また例えば、操作部63は、調味液散布ノズル41の洗浄を指示する洗浄スイッチを有する。
【0052】
続いて、調味液供給部洗浄システム4の動作について図5図9を参照して説明する。なお、調味液と洗浄液とを区別するため、図5図9に記載する管のうち、調味液がある管は太線で記載し、洗浄液がある管は斜線を付記している。図5に示すように、操作部63の運転スイッチがオフされている場合、調味液供給部洗浄システム4が停止している。このとき、調味液散布ノズル41は、それぞれ、電磁弁410がパルス信号を供給されず、弁閉しているため、流体を出力しない。また、調味液ポンプP1は停止している(停止工程)。調味液切替バルブV1は、循環位置にあり、調味液が調味液散布ノズル41側へ流出しないようにしている。このとき、調味液開閉弁V2が弁閉され、調味液開閉弁V2より下流側に残留する流体の逆流を防止している。同じく洗浄液開閉弁V5も弁閉され、下流側(洗浄液切替バルブV3側)に残留する流体の逆流を防止している。洗浄液切替バルブV3は、洗浄液供給位置に切り替えられている。調味液散布ノズル洗浄システム4の停止時、共通管路L15には、洗浄液が滞留し、各調味液散布ノズル41は、電磁弁410の弁体412bまで洗浄液で満たされている。
【0053】
操作部63の運転スイッチがオンされると、図6に示すように、制御部6は、調味液を散布する準備を開始する(準備工程)。準備工程では、調味液散布ノズル41に供給する調味液の圧力を安定させる圧力安定処理を行う。具体的には、調味液ポンプP1を駆動する。このとき、制御部6は、調味液切替バルブV1が循環位置であることを確認する。調味液ポンプP1から送出される調味液は調味液戻り管L2を介して調味液タンク42に戻る。調味液ポンプP1と調味液タンク42との間で調味液を循環させることによって、調味液ポンプP1から送出される調味液の圧力が安定する。また、運転スイッチのオンにより、第1ほぐしコンベヤ31、第2ほぐしコンベヤ32、撹拌はね34も合わせて駆動を開始される。
【0054】
図6の準備工程では、準備スイッチのオンにより調味液開閉弁V2が開かれ、作業者は、洗浄液切替バルブV3を洗浄液供給位置から調味液供給位置に切り替えておく。これにより、調味液を共通管路L15へ流す経路が形成される。
【0055】
その後、作業者が操作部63の吐出スイッチをオンにすると、図7に示すように、制御部6は、調味液切替バルブV1を循環位置から吐出位置に切り替えるとともに、各調味液散布ノズル41の電磁弁410にパルス信号を送信し、電磁弁410を開閉させる。調味液ポンプP1から調味液切替バルブV1に送出された調味液は、調味液開閉弁V2、洗浄液切替バルブV3を介して共通管路L15に流れ出す。調味液は、共通管路L15に滞留している洗浄液を押し出しながら各調味液散布ノズル41に供給され、各調味液散布ノズル41から散布される。制御部6は、この状態を所定時間(例えば5分)維持する。これにより、共通管路L15および調味液散布ノズル41の電磁弁410の内部(特に流路ブロック412とノズル部413の内部)とノズル部413に残存する洗浄液が調味液と一緒に排出され、所定時間の間に調味液に完全に置換される(第1置換処理)。
【0056】
所定時間が経過すると、制御部6は、流量計Fから流量計測値を取得し、流量計測値と設定流量との差分に応じて流量調整弁V4に弁開度を制御する制御信号を送信することにより、調味液散布ノズル41に供給する調味液の流量を設定流量に制御する(流量制御処理)。制御部6は、流量計測値が設定流量より多い場合、弁開度を小さくする制御信号を流量調整弁V4に送信する。これにより、調味液ポンプP1が送出する調味液は、バイパス管L6を介して調味液タンク42に戻される量が増え、調味液散布ノズル41に供給される調味液の流量が設定流量まで減少する。これに対して、制御部6は、流量計測値が設定流量より少ない場合、弁開度を大きくする制御信号を流量調整弁V4に送信する。これにより、調味液ポンプP1が送出する調味液は、バイパス管L6を介して調味液タンク42に戻される量が減り、調味液散布ノズル41に供給される調味液の流量が設定流量まで増加する。以上で、準備工程が終了する。
【0057】
準備工程が終了すると、調味液供給装置3は、白飯が取り出しコンベヤ21から第1ほぐしコンベヤ31に投入され、加工食品の製造工程を開始する。各調味液散布ノズル41は、制御部6からのパルス信号に基づいて電磁弁410が繰り返し開閉し、電磁弁410から供給される調味液を霧状に噴霧している。そのため、搬送される白飯の最初から調味液を適正な設定流量で散布できる。また、各調味液散布ノズル41は、単位時間における電磁弁410の開閉回数により調味液の散布量が管理されている。これにより、均一な調味液の散布が維持されて、味のバラツキが抑制される。調味液散布ノズル41は、第1ほぐしコンベヤ31の幅方向に複数並んで配設されているので、調味液供給装置3を通過する白飯に万遍なく調味液を散布できる。
【0058】
米の供給のタイミングや米種の切り替えなどにより第1ほぐしコンベヤ31に一時的に白飯の投入が止まる場合、その間調味液を無駄に散布させないため、調味液供給装置3は、一時的に散布を止めることができる。例えば、作業者は、操作部63の吐出スイッチをオフに操作する。この場合、制御部6は、吐出スイッチがオフに操作されるのに応じて、各調味液散布ノズル41の電磁弁410へのパルス信号の送信を停止し、各電磁弁410を弁閉させる。さらに吐出スイッチのオフにより、制御部6は、調味液切替バルブV1を吐出位置から循環位置に切り替える。これにより、調味液を散布しない間、調味液が調味液タンク42と調味液ポンプP1との間を循環し、調味液の過剰な加圧によって調味液散布ノズル41等が破損することを回避できる。
【0059】
次の白飯が搬送されてくる場合、作業者は、白飯が調味液供給装置3に投入される前に、操作部63の吐出スイッチをオンに操作する。図7に示すように、制御部6は、吐出スイッチがオンに操作されるのに応じて、調味液切替バルブV1を循環位置から吐出位置に切り替える。そして、制御部6は、各調味液散布ノズル41の電磁弁410へパルス信号を送信し、各調味液散布ノズル41から調味液を散布させる。
【0060】
加工食品の製造工程を終了する場合、あるいは、長時間(例えば2時間以上)、調味液供給装置3に白飯が供給されない場合、作業者は、調味液停止処理を実行したあと、洗浄スイッチの操作により調味液散布ノズル41を洗浄する洗浄工程を開始する必要がある。
【0061】
具体的には、制御部6は、まず、調味液の吐出を停止する調味液停止処理を行う。すなわち、図8に示すように、吐出スイッチがオフに操作されると、制御部6は、調味液切替バルブV1を循環位置に切り替え、調味液散布ノズル41への調味液の供給を停止する。このとき、制御部6は、各調味液散布ノズル41の電磁弁410へのパルス信号の送信を停止して各電磁弁410を弁閉させる。このあと、作業者が準備スイッチをオフに操作すると、制御部6により調味液開閉弁V2は弁閉されるが、作業者は、洗浄液切替バルブV3の操作はせず、調味液供給位置のままにする。よって、調味液開閉弁V2と各調味液散布ノズル41との間の流路(第4調味液管路L14と、共通管路L15)に残存している調味液の逆流を調味液開閉弁V2によって防止した状態で、調味液が切替バルブV1を通って調味液タンク42を循環することができる。制御部6は、給湯タンク22の湯温が所定温度(例えば60℃)に低下するまで、この状態を維持する。
【0062】
尚、調味液停止処理中、調味液開閉弁V2と各調味液散布ノズル41との間の流路(第3調味液管路L13と、第4調味液管路L14と、共通管路L15)は、調味液を充填され、空気に触れない。よって、例えば、電磁弁410の弁部が酸化することを抑制できる。
【0063】
制御部6は、給湯タンク22の湯温が所定温度以下(例えば60℃以下)になると、ランプやブザーなどで作業者に報知し、図9に示すように共通管路L15に残存する調味液を高温の洗浄液に置換する洗浄液置換処理を行う。作業者は、制御部6の報知により、洗浄液切替バルブV3を洗浄液供給位置に切り替えたのち、洗浄スイッチをオンにする。制御部6は、洗浄スイッチのオンにより、各調味液散布ノズル41の電磁弁410にパルス信号を送信して開閉動作を繰り返し行わせるとともに、洗浄液開閉弁V5を開く。これにより、高温の洗浄液が給湯タンク22から洗浄液切替バルブV3を介して共通管路L15へ流れ、各調味液散布ノズル41から散布される。制御部6は、この状態を所定時間(例えば5分)維持する。これにより、共通管路L15および調味液散布ノズル41の電磁弁410の内部(特に、流路ブロック412とノズル部413の内部)に残存する調味液が洗浄液と一緒に排出され、前記内部が洗浄される。そして、前記内部に残存する調味液が洗浄液に完全に置換される。さらに、所定時間洗浄液を散布し続けることで、電磁弁410の内部のうち、シール部材414を含むソレノイド部411との連結部も十分に洗浄される。
【0064】
所定時間が経過すると、制御部6は、共通管路L15に洗浄液を滞留する滞留処理を行う。すなわち、作業者が洗浄スイッチをオフにすることで、制御部6は、各調味液散布ノズル41の電磁弁410へのパルス信号の送信を停止し、各電磁弁410を弁閉させ、洗浄液開閉弁V5も弁閉させる。これにより、図6の準備工程と同じ状態に戻ることになり、各調味液散布ノズル41の電磁弁410と、共通管理L5と、洗浄液開閉弁V5までの洗浄液供給管L5と、に洗浄液が滞留した状態となる。よって、電磁弁410は、調味液がソレノイド部411側へ回り込んで信号線411eをショートさせたり、可動鉄心411c等の部材を腐食させて動作不良を生じさせたりすることを、回避できる。これにより、洗浄工程が終了する。
【0065】
最後に作業者は、運転スイッチ をオフにすることで、調味液ポンプP1が停止され、調味液供給装置3の第1ほぐしコンベヤ31、第2ほぐしコンベヤ32、攪拌羽根34も合わせて駆動が停止される。これにより図5の停止工程と同じ状態に戻ることになり、この状態で次の加工食品の製造まで待機することになる。
【0066】
以上説明したように、本形態の調味液供給部洗浄システム4では、洗浄液切替バルブV3を調味液供給位置に切り替えた状態で、電磁弁410が流路を開く場合に、調味液が調味液散布ノズル41から散布される。調味液供給部洗浄システム4では、洗浄液切替バルブV3を洗浄液供給位置に切り替えた状態で、電磁弁410を開閉し、調味液散布ノズル41から洗浄液を散布させることで、調味液散布ノズル41の電磁弁410の内部、特に流路ブロック412とノズル部413との内部に残留する調味液を洗浄液と置換する。洗浄は、調味液ポンプP1まで洗浄しないので、調味液散布ノズル41の電磁弁410の内部を短時間で洗浄できる。また、洗浄時、電磁弁410が開閉して調味液散布ノズル41から洗浄液を散布させるので、電磁弁410の内部の隅々まで洗浄液が行き渡り流動することで、電磁弁410の内部が洗浄される。
【0067】
そのため、例えば、アミノ酸や酢酸を含む強酸化作用を有する調味液を使用する場合でも、調味液散布ノズル41の電磁弁410およびノズル部413が酸化しにくく、調味液が電磁弁410およびノズル部413に溜まりにくい。そのため、調味液が食酢を含んでいても、酢の粘度が高くならない。よって、調味液散布ノズル41は、調味液を設定量で広範囲に均一に散布できる。
【0068】
また例えば、電磁弁410は、流路ブロック412とソレノイド部411との間がシール部材414によってシールされているが、電磁弁410の内部に調味液が付着したまま長時間放置されると、シール部材414の劣化が早まり、シール部材414の劣化によるピンホールや、調味液の毛細管現象により、流路ブロック412側からソレノイド部411側へ調味液が回り込み、ソレノイド部411から信号線411eを取り出す部分をショートさせるおそれがある。また、食酢などの酸性の調味液を制御する場合、電磁弁410を構成する金属部品の腐食を早め、電磁弁410が動作不良を生じるおそれがある。電磁弁410の構成部品が耐腐食性のあるステンレスで形成されていても、塩分を含む調味液を制御する場合、その塩分によって不動態被膜が破壊され、ステンレスの腐食が進む。特に、塩分とアミノ酸とを含む調味液は、微弱電気によってステンレスの腐食が進行しやすい。しかし、本形態では、電磁弁410が洗浄されることで、調味液が電磁弁410の内部に付着した状態で長期時間放置されない。そのため、調味液が電磁弁410の電気系統に回り込み、上記ショートや電磁弁410の動作不良を引き起こすことを回避できる。
【0069】
さらに、 調味液供給部洗浄システム4を長時間停止するとき、電磁弁410は弁体412bが閉じた状態で内部に洗浄液を滞留した状態のまま次の運転まで待機するので、空気に触れる事が抑制され、弁座412aや弁体412bなど電磁弁410の内部の酸化を抑制することができる。なお、弁体412bの外側に位置するノズル部413の内部は空気に触れているが、洗浄液置換処理において十分洗浄されているほか、先端部のため外気による乾燥も早く、腐食が早まるおそれは少ない。
【0070】
また例えば、塩分を含む調味液を使用する場合でも、調味液散布ノズル41の電磁弁410が塩などにより結晶化することを防ぐことができる。そのため、電磁弁410が弁閉された後に、電磁弁410の弁体と弁座との間から流体漏れが発生しにくく、調味液が設定量を超えて白飯に散布されない。
【0071】
本形態では、第1ほぐしコンベヤ31の幅方向と搬送方向に調味液散布ノズル41を複数配設し、第1ほぐしコンベヤ31によって搬送される白米全体に調味液を均一に散布している。調味液の供給量は味の品質に影響するため、調味液散布ノズルがたった1個故障するだけで、白飯を搬送する搬送装置、白飯を炊飯する炊飯装置など、一連のシステムを停止して、故障したノズルあるいは電磁弁を修理する必要がある。更に、ノズルの不具合、修理時に搬送経路にあった白飯は、調味液不足による商品価値損失や、衛生的な問題により、廃棄される。このように、調味液散布ノズル41の故障は一連の炊飯作業に甚大な影響を及ぼす。しかし、本形態では、調味液散布ノズル41をそれぞれ洗浄し、電磁弁410のショートや動作不良を抑制しているので、上述したような一連のシステムを停止させたり、白飯を廃棄したりする事態を、回避できる。
【0072】
よって、本形態によれば、調味液を散布する調味液散布ノズル41を洗浄する調味液供給部洗浄システムにおいて、調味液散布ノズルを短時間で洗浄し、調味液を設定量で均一に散布する効果を長期間維持できる
【0073】
本明細書に開示される実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、調味液の散布対象は、コンベヤに載せられて搬送される白飯でなくてもよい。例えば、調味液の散布対象は、お握り、お菓子などであってもよい。調味液は、炊飯釜に入っている白飯に散布してもよい。調味液散布ノズル41の数や配置は上記形態に限定されない。
【0074】
調味液供給部は、調味液散布ノズル41である電磁弁410の代わりに、ボタ落ち防止ノズルなど調味液の滴下を防止する逆止弁を配設してもよい。この場合、酸化作用が強い調味液を使用する場合でも、逆止弁を洗浄して酸化や塩の結晶化を抑制するので、調味液の滴下を防ぐ効果を維持し、調味液が設定量を超えて食品に供給されることを防止できる。
【0075】
調味液供給時、および、洗浄時において、電磁弁410は、開閉を繰り返さず、弁開状態にしてもよい。ただし、調味液供給時にパルス信号に基づいて調味液散布ノズル41の電磁弁410を繰り返し開閉することで、調味液の散布量をパルス信号を用いて管理することが可能になる。また、洗浄時に、電磁弁410が繰り返し開閉することにより、弁体412bの振動動作により、弁体412bや弁座412aまわりに湯が満遍なく行き渡り、細部まで洗浄することができる。このように洗浄液である湯が電磁弁410の内部の隅々まで行き渡り、電磁弁410の内部が洗浄されながら、電磁弁410の内部に残留する調味液が湯に置換される。
【0076】
洗浄液切替バルブV3は、制御部6からの指令に応じて流路を切り替える電動式の三方弁であってもよい。この場合、例えば、制御部6は、炊飯装置2が白飯を炊き上げる5分前に準備工程を開始し、洗浄液切替バルブV3を自動で切り替えるようにしてもよい。
【0077】
洗浄工程では、洗浄液である湯を共通管路L15に滞留させなくてもよい。ただし、洗浄時に調味液散布ノズル41の電磁弁410を開閉した後、電磁弁410を弁閉し、調味液散布ノズル41の内部に洗浄液(湯)を滞留させるようにすれば、電磁弁の内部が空気と接触することを抑制し、例えば、酢酸や塩分やアミノ酸などを含む調味液が、電磁弁410の弁閉中に電気系統側(ソレノイド部411側)に回り込み、電磁弁410が故障したり、電磁弁410の構成部品の腐食が進んだりすることを回避できる。
【0078】
洗浄液供給管L5は、調味液供給部洗浄システム4専用の給湯タンクに接続していてもよい。これによれば、調味液散布ノズル41の洗浄に合わせて湯温を調整できるので、湯温調整のための待ち時間を短縮できる。ただし、炊飯装置2等の外部装置の給湯タンク22に貯蔵される湯を洗浄液として使用することで、調味液供給部洗浄システム4のサイズが小さくなり、コストダウンもできる。また、既存の給湯タンクを調味液供給管L1に接続することで、既存の調味液供給装置3に調味液供給部洗浄システム4の機能を簡単に付加できる。
【0079】
調味液散布ノズル41は、第1ほぐしコンベヤ31の幅方向に1個だけ配設されていてもよい。ただし、調味液散布ノズル41が第1ほぐしコンベヤ31の幅方向に複数配設されていることにより、搬送される食品に満遍なく調味液を散布できる。また、電磁弁410を備える複数の調味液散布ノズル41をそれぞれ洗浄液で洗浄するので、複数の調味液散布ノズルおよびその電磁弁410のうちの一部が故障や動作不良を生じることにより食品加工の一連の作業に影響を与えることを抑制できる。
【0080】
制御部6は、複数の調味液散布ノズル41に対して個別に設けられていてもよい。ただし、洗浄液切替バルブV3から供給される湯を複数の調味液散布ノズル41に分流させ、複数の調味液散布ノズル41の動作を1個の制御部6で制御することにより、複数の調味液散布ノズル41の洗浄を同時に行うことで、複数の調味液散布ノズル41を簡単な制御で洗浄し、各調味液散布ノズル41から調味液を設定量ずつ散布する効果を長期間維持できる。
【0081】
ノズルカバー35は、箱型形状に限定されず、簡易的にノズルユニット40を包囲していればよく、さらに調味液の散布状況によってはなくてもよい。ただし、調味液散布ノズル41の散布部413bをノズルカバー35の開口部35aに嵌合した状態で調味液散布ノズル41を箱形のノズルカバー35に内設することで、散布した調味液から調味液散布ノズル41の電磁弁410を保護し、調味液散布ノズル41の故障や動作不良を抑制できる。
【0082】
上記実施形態では、調整弁や開閉弁や切替バルブなどバルブ類の一部を制御部6からの信号により制御しているが、総てのバルブ類を制御部6で制御するようにしてもよい。また、バルブ類の動作の順が同じであれば、総ての操作を作業者による手動で行ってもよい。その際、電磁弁410は、電磁弁410にパルス信号を発信する専用のコントローラを用いて操作することとなり、調味液ポンプP1の始動、停止は単独スイッチで行い、給湯タンク22の温度などは温度計を目視で確認することになる。
【0083】
各種処理手順は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜順序を変更したり、処理を省いたり、別の処理を追加したりしてもよい。例えば、洗浄工程は、調味液の散布が終了する都度、行ってもよい。
【符号の説明】
【0084】
4 調味液供給部洗浄システム
41 調味液散布ノズル
L1 調味液供給管
L5 洗浄液供給管
P1 調味液ポンプ
V3 洗浄液供給バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁弁を備え、前記電磁弁を開閉して食品に調味液を供給する調味液供給部と、
前記調味液を加圧する調味液加圧部を前記調味液供給部に接続する調味液供給管と、
前記調味液加圧部と前記調味液供給部との間で前記調味液供給管に接続し、洗浄液を供給する洗浄液供給管と、
前記洗浄液供給管と前記調味液供給管との接続部分に配設され、前記調味液供給部を前記調味液加圧部に接続する第1接続位置と、前記調味液供給部を前記洗浄液供給管に接続する第2接続位置と、を切り替える切替部と、
を有し、
前記切替部を前記第2接続位置に切り替えた状態で前記調味液供給部が前記洗浄液を出力することにより、前記調味液供給部に残留する前記調味液を前記洗浄液に置換し、前記調味液供給部を洗浄する洗浄処理を実行し、
前記洗浄処理は、前記調味液供給部が次の運転まで待機する場合、前記調味液供給部の洗浄後、前記電磁弁を弁閉することにより、前記調味液供給部の内部に前記洗浄液を滞留させる、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項2】
請求項1に記載する洗浄システムにおいて、
前記電磁弁は、パルス信号に基づいて開閉し、
前記調味液供給部は、前記電磁弁の開閉動作により前記調味液の散布を制御される調味液散布ノズルであり、
前記切替部を前記第2接続位置に切り替えた状態で前記電磁弁が前記パルス信号に基づいて開閉動作を繰り返すことにより、前記調味液散布ノズルに残留する前記調味液を前記洗浄液に置換し、前記調味液散布ノズルを洗浄する、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項3】
請求項2に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記切替部を前記第2接続位置に切り替えた状態で前記電磁弁が開閉動作を繰り返した後、弁閉することにより、前記調味液散布ノズルの内部に前記洗浄液を滞留させる、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記調味液散布ノズルは、箱形のノズルカバーに内設され、前記調味液を散布する散布部が前記ノズルカバーに開設された開口部に嵌合されている、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム
【請求項5】
請求項1に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記洗浄液供給管は、外部装置の給湯タンクに接続する給湯管から分岐して前記切替部に接続し、前記給湯タンクに貯蔵される高温の洗浄液を前記洗浄液として使用する、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項6】
請求項1に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記調味液供給部は、前記調味液が散布される食品の搬送方向に対して直交する方向に複数配設されている、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。
【請求項7】
請求項6に記載する調味液供給部洗浄システムにおいて、
前記調味液供給管は、前記切替部の下流側で分岐して前記複数の調味液供給部に接続し、
前記複数の調味液供給部は、電気信号により動作を制御可能であり、
前記複数の調味液供給部は、1個の制御部により制御される、
ように構成されている調味液供給部洗浄システム。