IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三幸社の特許一覧

<>
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図1
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図2
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図3
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図4
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図5
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図6
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図7
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図8
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図9
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図10
  • 特開-塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011925
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 73/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
D06F73/00 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114348
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】504435818
【氏名又は名称】株式会社三幸社
(74)【代理人】
【識別番号】100084571
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 玄陽
(72)【発明者】
【氏名】打越 裕介
(57)【要約】
【課題】 フィルターの掃除にかかる手間暇を一掃し、衣服の乾燥仕上げを効率良くできるようにする。
【解決手段】 本発明の衣服立体乾燥機1は、フィルター5で捕集した塵埃4をフィルター5から取り除いて掃除する掃除機構6を備える。この掃除機構6を、フィルター5に毛先を擦接させたブラシ7aを内蔵すると共に、このブラシ7aで取り除いた塵埃4を集塵する集塵用部材7と、この集塵用部材7のブラシ7aとフィルター5とを摺動させる動作装置8と、集塵用部材7に接続して集塵用部材7内を経て塵埃4を吸引する吸引機9とで形成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物としての衣服をハンガーに吊した状態でトンネル状の通路を移送し、この衣服に熱風を吹き付け、この熱風による乾燥仕上げ時に衣服から生じる塵埃を捕集する面状のフィルターが熱風の循環路に設けられている衣服立体乾燥機であって、上記のフィルターで捕集された塵埃をフィルターから取り除いて掃除する掃除機構を備え、この掃除機構が、フィルターに毛先を擦接させたブラシを内蔵すると共に、このブラシで取り除かれた塵埃を集塵する集塵用部材と、この集塵用部材のブラシと上記のフィルターとを摺動させる動作装置と、上記の集塵用部材に接続されて集塵用部材内を経て塵埃を吸引する吸引機とで形成されていることを特徴とする塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機。
【請求項2】
請求項1記載の衣服立体乾燥機であって、集塵用部材の前側に塵埃の吸い込み口が横長状に形成され、この吸い込み口の長手方向に沿ってブラシが毛先を吸い込み口から外側に突き出させて横長状に形成され、このブラシの上下にあたる集塵用部材内の箇所が塵埃の流入路に形成され、集塵用部材が乾燥機本体に吸い込み口を横向きにして固定され、フィルターが垂直状に設けられると共に、動作装置によって上下動自在に形成されていることを特徴とする塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の衣服立体乾燥機であって、掃除機構が、フィルターの目詰まりを検知すると、フィルターに捕集された塵埃の除去信号を動作装置に出力するコントローラを備えて形成されていることを特徴とする塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物としての衣服をハンガーに吊した状態でトンネル状の通路を移送して熱風で乾燥仕上げする衣服立体乾燥機に関し、更に詳しくは乾燥工程で衣服から生じる塵埃を掃除できるよう形成した塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服立体乾燥機としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この従来機は、衣服をハンガーに掛け、このハンガーをチェーンコンベアに吊るした状態でトンネル状の通路に通し、ハンガーが通路を移動する間に蒸気を衣服に吹き付け、蒸気で蒸らした後、熱風を吹き付けて衣服を乾燥仕上げするよう形成されている。
【0003】
而して、この種の衣服立体乾燥機で衣服に熱風等を吹き付けると、吊るされた状態の衣服が前後に大きく波打つように揺れ動き、通路の内壁面にあたりながら、移送されるものである。
【0004】
従って、この種の乾燥機を使用すると、衣服から繊維質の塵埃が生じるのを避けられない。そのため、従来は、熱風の循環路に面状のフィルターを設け、このフィルターで塵埃を捕集し、定期的にフィルターを人手によって掃除していた。
【0005】
その結果、従来機を使用すると、フィルターの掃除に手間暇がかかり、その分、乾燥作業の効率が低下し、乾燥仕上げにコストがかかる、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6-75395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、提案されたものである。
従って、本発明の解決しようとする技術的課題は、衣服の立体乾燥仕上げ時にフィルターの掃除にかかる手間暇を一掃し、衣服の乾燥仕上げを効率良くできるよう形成した塵埃の掃除機能付き衣服立体乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため、次のような技術的手段を採る。
即ち、本発明は、図1等に示されるように、洗濯物としての衣服2をハンガー3に吊した状態でトンネル状の通路1aを移送し、この衣服2に熱風を吹き付け、この熱風による乾燥仕上げ時に衣服2から生じる塵埃4を捕集する面状のフィルター5が熱風の循環路に設けられている衣服立体乾燥機1であって、上記のフィルター5で捕集された塵埃4をフィルター5から取り除いて掃除する掃除機構6を備え、この掃除機構6が、フィルター5に毛先を擦接させたブラシ7aを内蔵すると共に、このブラシ7aで取り除かれた塵埃4を集塵する集塵用部材7と、この集塵用部材7のブラシ7aと上記のフィルター5とを摺動させる動作装置8と、上記の集塵用部材7に接続されて集塵用部材7内を経て塵埃4を吸引する吸引機9とで形成されていることを特徴とする。
【0009】
この場合、本発明は、集塵用部材7の前側に塵埃4の吸い込み口7bが横長状に形成され、この吸い込み口7bの長手方向に沿ってブラシ7aが毛先を吸い込み口7bから外側に突き出させて横長状に形成され、このブラシ7aの上下にあたる集塵用部材7内の箇所が塵埃4の流入路7cに形成され、集塵用部材7が乾燥機本体に吸い込み口7bを横向きにして固定され、フィルター5が垂直状に設けられると共に、動作装置8によって上下動自在に形成されているのが好ましい。
【0010】
なぜならこれによると、ブラシ7aや集塵用部材7の構造、ひいては掃除機構6をコンパクト化、省スペース化でき、効率良く集塵できるからである。またこの場合は、フィルター5を上下動する構造のため、集塵用部材7を上下動可能に形成する場合に比べ、集塵用部材7に接続される排気ダクト12等に支障を与えることがなく、その分、故障の発生率等を低減できるからである。
【0011】
また本発明は、図1Bに示されるように、掃除機構6が、フィルター5の目詰まりを検知すると、フィルター5に捕集された塵埃4の除去信号を動作装置8に出力するコントローラ13を備えて形成されているのが好ましい。
【0012】
なぜならこれによると、塵埃4の除去、フィルター5の掃除を自動化でき、その分、衣服2の乾燥仕上げ作業を、楽に且つ効率良くできるからである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の衣服立体乾燥機は、このようにフィルターで捕集された塵埃をフィルターから取り除いて掃除する掃除機構を備え、この掃除機構が、フィルターに毛先を擦接させたブラシを内蔵すると共に、ブラシで取り除かれた塵埃を集塵する集塵用部材と、この集塵用部材のブラシと上記のフィルターとを摺動させる動作装置と、上記の集塵用部材に接続されて集塵用部材内を経て塵埃を吸引する吸引機とで形成されているものである。
【0014】
従って、本発明の場合は、掃除機構によって、フィルターが目詰まりしても、その掃除にかかる手間暇を一掃できる。その結果、これによると、衣服の乾燥仕上げの作業効率を上げることができ、乾燥仕上げにかかるコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】Aは本発明の衣服立体乾燥機の好適な一実施形態を示す斜視図、Bは要部の構成図である。
図2図1AのII―II線から見た要部斜視図である。
図3図2のIII―III線における要部断面図である。
図4】集塵用部材の平面図である。
図5図4のV―V線における要部拡大断面図である。
図6図4のVI―VI線における要部拡大断面図である。
図7】塵埃の流れを説明するための集塵用部材の平面図である。
図8】同上乾燥機の要部斜視図である。
図9】同上乾燥機の作用を説明するための要部斜視図である。
図10】A、Bとも掃除機構の作用を説明するための要部断面図である。
図11】コントローラの作用を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な一実施形態を、添付図面に従って説明する。
本発明の衣服立体乾燥機1は、図1等に示されるように、洗濯物としての衣服2をハンガー3に吊し、トンネル状の通路1aを移送して熱風で乾燥仕上げする装置である。
【0017】
衣服立体乾燥機1は、通路1aを移送する間に、通路1aの入口側に設けられている蒸気室1bで衣服2に蒸気を吹き付けて蒸らし、その後、乾燥室1cで熱風を衣服2に吹き付けて乾燥仕上げする。
【0018】
乾燥室1cは、この実施形態の場合は通路1aの延びる方向に沿って直列状に設けられている五台の乾燥ユニット1c1で形成されている。各乾燥ユニット1c1は、熱風の発生源としてのラジエーターや熱風を衣服2に上から吹き付けるブロワや熱風を上から下方に導いて循環させる熱風の循環路等を備えて形成されている。
【0019】
熱風の循環路には、衣服2を熱風によって乾燥仕上げするときに生じる塵埃4(図10参照)を捕集する面状のフィルター5(図1B図3図8等参照)が設けられている。本発明の衣服立体乾燥機1は、上記のフィルター5で捕集された塵埃4をフィルター5から取り除いて掃除する掃除機構6(図1B参照)を備えて形成されている。
【0020】
上記の掃除機構6は、図1Bに示されるように、フィルター5に毛先を擦接させたブラシ7aを内蔵すると共に、このブラシ7aで取り除かれた塵埃4を集塵する集塵用部材7と、この集塵用部材7のブラシ7aと上記のフィルター5とを摺動させる動作装置8と、上記の集塵用部材7に接続されて集塵用部材7内を経て塵埃4を吸引する吸引機9とで形成されている。
【0021】
集塵用部材7は、その前側に塵埃4の吸い込み口7bが横長状に形成されている。ブラシ7aは、この吸い込み口7bの長手方向に沿って毛先を吸い込み口7bから外側に突き出させて横長状に形成されている。なお、ブラシ7aは、熱風の高温に耐えることができるよう耐熱性に形成されている。
【0022】
また、ブラシ7aの上下にあたる集塵用部材7内の箇所が塵埃4の流入路7c(図5等参照)に形成されている。ブラシ7aは、図4図5等に示されるように、長板7dで上下から挟み付けられ、上下一対の間隔保持材7eを介して集塵用部材7の中空状の本体部7fにネジ止めされている。
【0023】
上記の間隔保持材7eは、ブラシ7aの長手方向に一定の間隔を開けて配置されている。従って、塵埃4は、図7に点線で示されるように集塵用部材7内を流れて吸引機9が接続される排気筒7gを介して排出される。排気筒7gは、バランス良く、また効率良く塵埃4を排出できるよう集塵用部材7の本体部7fの長手方向の中央で、吸い込み口7bから遠い位置に垂直に立てられている。
【0024】
また集塵用部材7は、図8等に示されるように、この実施形態では熱風を通路1aから側方に導く管路10の上面部に吸い込み口7bを横向きにして固定されている。乾燥機本体を構成するこの管路10は、縦断面が方形状に形成され、乾燥ユニット1c1の下部に、熱風の流入口10aを通路1a内に臨ませて設けられている。
【0025】
上記のフィルター5は、管路10内に垂直状に設けられると共に、上記の動作装置8によって上下動自在に形成されている。動作装置8は、この実施形態ではロッドを下向きにして垂直状に設けられているシリンダーである。フィルター5は、このシリンダーのロッドの下端に取り付けられている。管路10の両側には、フィルター5を上下方向に案内するガイド11が対向状に一対設けられている。
【0026】
上記の吸引機9は、図3に示されるように、この実施形態では一台で構成され、製造コストの低減化や省スペース化、軽量化等を図ることができるよう形成されている。この実施形態の場合、吸引機9は、ホース9aを介して塵埃4を集める中継ボックス9bに接続されている。そして、中継ボックス9bと、各乾燥ユニット1c1の集塵用部材7の排気筒7gとは、柔軟質の排気ダクト12で接続されている。
【0027】
またこの実施形態の本発明は、掃除機構6が、フィルター5の目詰まりを検知すると、フィルター5に捕集された塵埃4の除去信号を動作装置8に出力するコントローラ13(図1B参照)を備えて形成されている。動作装置8は、モータ等で構成されるのでも良いが、この実施形態ではシリンダーである。
【0028】
フィルター5の目詰まりの検知は、この実施形態ではブロワモータの電流値の低下を検知する電流センサー14(図1B参照)で行うよう形成されている。この実施形態のように乾燥室1cが、複数の乾燥ユニット1c1で形成される場合、フィルター5の目詰まりは、通路1aの入口側の乾燥ユニット1c1で発生し易いものである。従って、電流センサー14は、この箇所の乾燥ユニット1c1のブロワモータに電気的に接続されている。また上記のコントローラ13は、具体的にはマイコンやシーケンサーで形成される。
【0029】
次に、この実施形態の本発明の作用を、図1B図11等に従って説明する。
本発明の衣服立体乾燥機1は、ハンガー3に吊るされた状態の衣服2がトンネル状の通路1aに通されると、先ず蒸気室1bにおいて蒸気で蒸らされる。次に衣服2は、乾燥室1cを構成する各乾燥ユニット1c1で熱風が上から吹き付けられ、熱風で乾燥仕上げされる。
【0030】
而して、本発明の衣服立体乾燥機1は、図1B等に示されるように、熱風中の塵埃4を捕集するフィルター5と、このフィルター5から塵埃4を取り除く掃除機構6を備えて形成されている。
【0031】
掃除機構6は、ブロワモータの電流値を検出する電流センサー14を備えて形成されている。従って、フィルター5が塵埃4で目詰まりしてブロワモータの電流値が増大すると、この検出値が電流センサー14からコントローラ13に送られる。
【0032】
コントローラ13は、この検出値を設定値と比較し、検出値が設定値に至ると、塵埃4の除去信号を、吸引機9と、動作装置8としてのシリンダーに出力する。これにより、吸引機9が始動し、動作装置8としてのシリンダーはロッドが収縮する。
【0033】
シリンダーのロッドが収縮すると、フィルター5は、図9に示されるように、引き上げられる。この場合、ブラシ7aは、毛先がフィルター5に接しているから、フィルター5で捕集されている塵埃4が、図10Aに示されるように、ブラシ7aの下側に集められる。そして、この塵埃4は、同図に示されるように、集塵用部材7内を流れて排気筒7gから排気ダクト12(図3参照)、中継ボックス9b、ホース9aを経て、吸引機9により集塵、排出される。
【0034】
またこの実施形態では、フィルター5の上昇点をセンサー(図示せず)で検出し、このセンサーからの信号をコントローラ13が受けると、コントローラ13からロッドを延伸する信号が動作装置8に送られる。その結果、フィルター5が下降し、図10Bに示されるように、塵埃4がブラシ7aの毛先の上側に集められ、この塵埃4は集塵用部材7内を介して吸引機9で同様に排出される。
【0035】
そして、上記の電流センサー14の検出値が設定値より減少すると、フィルター5の目詰まりが解消したと判断され、コントローラ13から吸引機9と動作装置8に塵埃4の除去停止信号が出力される。これにより、吸引機9と動作装置8の駆動が停止する。
【0036】
以上の処において、上例では塵埃4の除去を自動化しているが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、本発明は、ブロワモータの電流値が増大して所定値に至ると、コントローラ13からの信号で警告用のランプやブザーをオンにし、この警告表示を受けて作業員が手動で動作装置8や吸引機9のスイッチを入れ、塵埃4を除去できるよう形成されているのでも良い。
【0037】
また上例では本発明の乾燥機1の低廉化や省スペース化、軽量化等を図るため、一台の吸引機9で各乾燥ユニット1c1が集めた塵埃4をまとめて吸引可能に形成されているが、本発明は吸引機9が各乾燥ユニット1c1ごと個別に設けられているのでも良いことは勿論である。また本発明の場合、乾燥室1cを構成する乾燥ユニット1c1の個数は任意である。
【符号の説明】
【0038】
1 衣服立体乾燥機
1a 通路
2 衣服
3 ハンガー
4 塵埃
5 フィルター
6 掃除機構
7 集塵用部材
7a ブラシ
8 動作装置
9 吸引機
13 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11