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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011949
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/022 20190101AFI20250117BHJP
   F24F 1/0057 20190101ALI20250117BHJP
   F24F 8/24 20210101ALN20250117BHJP
【FI】
F24F1/022
F24F1/0057
F24F8/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114417
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000174884
【氏名又は名称】三井ホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】峯下 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】村上 知徳
【テーマコード(参考)】
3L049
【Fターム(参考)】
3L049BB03
(57)【要約】
【課題】空気の流れに適した運転を実行しながら、構成の複雑化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】本体ケース200の第1側面206aには、第1吸込口220a、第2吸込口220b、第1吹出口222a、第2吹出口222bが配置される。シャフト300の中空空間310は分割部320により上部風路330と下部風路332に分割される。上部風路330は、第1吸込口220aと第2吹出口222bに接続し、下部風路332は、第2吸込口220bと第1吹出口222aに接続する。制御装置500は、第1吸込口220a、第1吹出口222a、第2吸込口220b、第2吹出口222bのそれぞれに対する開口または閉口を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、前記底面に対向する天面と、前記底面と前記天面とに接続する複数の側面とで形成される本体ケースと、
前記本体ケースの内部空間に内蔵される空調機と、
前記本体ケースの一側面を挟んで前記内部空間とは逆側に設けられ、前記一側面に対応する部分に鉛直上下方向に延出する中空空間を有する1本のシャフト風路と、
制御装置とを備え、
前記本体ケースは、
前記一側面の天面側に設けられ、前記中空空間の鉛直上方から搬送された空気を吸い込むための第1吸込口と、
前記一側面の底面側に設けられ、前記第1吸込口から吸い込まれた空気を前記中空空間の鉛直下方へ搬送するための第1吹出口と、
前記一側面の天面側に設けられ、前記中空空間の鉛直下方から搬送された空気を吸い込むための第2吸込口と、
前記一側面の底面側に設けられ、前記第2吸込口から吸い込まれた空気を前記中空空間の鉛直上方へ搬送するための第2吹出口と、を備え、
前記シャフト風路は、
前記中空空間内を上部風路と下部風路とに分割する分割部を備え、
前記上部風路は、
前記第1吸込口と前記第2吹出口に接続して前記中空空間と前記内部空間とを連通し、
前記下部風路は、
前記第2吸込口と前記第1吹出口に接続して前記中空空間と前記内部空間とを連通し、
前記制御装置は、前記第1吸込口と前記第1吹出口と前記第2吸込口と前記第2吹出口のそれぞれに対する開口または閉口を制御する、空調装置。
【請求項2】
前記分割部は、
前記中空空間内において前記第1吸込口と前記第2吸込口との間かつ前記第1吹出口と前記第2吹出口との間に位置して前記シャフト風路の内壁に内接する分割板と、
前記分割板の上端から前記第2吸込口よりも上方に延出し、延出先端が前記シャフト風路の内壁に内接する上端延出部と、
前記分割板の下端から前記第2吹出口よりも下方に延出し、延出先端が前記シャフト風路の内壁に内接する下端延出部と、を備える請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記シャフト風路は、
上側端が前記天面よりも鉛直上方に延出し、下側端が前記底面よりも鉛直下方に延出して設けられ、
前記上部風路は、
前記本体ケースよりも上方の空気を授受し、
前記下部風路は、
前記本体ケースよりも下方の空気を授受する、請求項1に記載の空調装置。
【請求項4】
前記空調機は、
運転モードとして前記本体ケースに吸い込まれた空気を加熱するための暖房運転モードを備え、
前記制御装置は、
前記空調機に設定された前記運転モードが前記暖房運転モードである場合、前記第1吸込口と前記第1吹出口とを開口し、前記第2吸込口と前記第2吹出口とを閉口する、請求項1から3のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項5】
前記空調機は、
運転モードとして前記本体ケースに吸い込まれた空気を冷却するための冷房運転モードを備え、
前記制御装置は、
前記空調機に設定された前記運転モードが前記冷房運転モードである場合、前記第1吸込口と前記第1吹出口とを閉口し、前記第2吸込口と前記第2吹出口とを開口する、請求項1から3のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項6】
前記本体ケースは、
前記内部空間における騒音の発生を抑制するための吸音部をさらに備える請求項1から3のいずれか1項に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調技術に関し、特に暖房運転と冷房運転を実行する空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温度差のある空気の自然の流れを考慮すると、冷房運転では、冷気を上から吹き出して冷気を自然降下させながら室内を冷やし、下から吸い込んで循環させることが好ましい。また、暖房運転では、暖気を下から吹き出して足元を温めつつ暖気を上昇させながら、上から吸い込んで循環させることが好ましい。このような運転を1つの空調機に実行させるために、上側に延びるダクトD1と、下側に延びるダクトD2とが空調機に接続される。空調機は、冷房運転においてダクトD2から空気を吸い込み、ダクトD1から空気を吹き出す。また、空調機は、暖房運転においてダクトD1から空気を吸い込み、ダクトD2から空気を吹き出す(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-44434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つのダクトが空調機に接続されると構成が複雑になる。空気の流れに適した冷房運転と暖房運転を実行するためであっても、構成が複雑になることを抑制することが求められる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、空気の流れに適した運転を実行しながら、構成の複雑化を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の空調装置は、底面と、底面に対向する天面と、底面と天面とに接続する複数の側面とで形成される本体ケースと、本体ケースの内部空間に内蔵される空調機と、本体ケースの一側面を挟んで内部空間とは逆側に設けられ、一側面に対応する部分に鉛直上下方向に延出する中空空間を有する1本のシャフト風路と、制御装置とを備える。本体ケースは、一側面の天面側に設けられ、中空空間の鉛直上方から搬送された空気を吸い込むための第1吸込口と、一側面の底面側に設けられ、第1吸込口から吸い込まれた空気を中空空間の鉛直下方へ搬送するための第1吹出口と、一側面の天面側に設けられ、中空空間の鉛直下方から搬送された空気を吸い込むための第2吸込口と、一側面の底面側に設けられ、第2吸込口から吸い込まれた空気を中空空間の鉛直上方へ搬送するための第2吹出口と、を備える。シャフト風路は、中空空間内を上部風路と下部風路とに分割する分割部を備える。上部風路は、第1吸込口と第2吹出口に接続して中空空間と内部空間とを連通し、下部風路は、第2吸込口と第1吹出口に接続して中空空間と内部空間とを連通し、制御装置は、第1吸込口と第1吹出口と第2吸込口と第2吹出口のそれぞれに対する開口または閉口を制御する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、空気の流れに適した運転を実行しながら、構成の複雑化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施例に係る住宅の構成を示す図である。
図2図2(a)-(b)は、図1の空調装置の構成を示す図である。
図3図3は、図2(a)の制御装置に記憶されるテーブルのデータ構造を示す図である。
図4図4(a)-(b)は、図2(a)-(b)の空調装置による暖房運転と冷房運転を示す図である。
図5図5は、変形例に係る住宅の構成を示す図である。
図6図6は、図2(a)-(b)の空調装置による運転手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、住宅等の施設に設けられ、施設に対する全館空調を実行する空調装置に関する。暖かい空気は下から上に上昇し、冷たい空気は上から下に下降する。このような空気の流れを考慮すると、空調装置により暖められた空気が施設の下方から吹き出され、空調装置により冷やされた空気が施設の上方から吹き出されることが望ましい。このような空調を実現しながら構成の複雑化の抑制が求められる。
【0011】
本実施例では、上下方向に延びる中空のシャフトが施設に設けられ、空調機を格納した本体ケースがシャフトに取り付けられる。本体ケースには、第1吸込口、第2吸込口、第1吹出口、第2吹出口のそれぞれが開閉可能に設けられ、これらのうちの少なくとも1つが開口することによって、本体ケースの内部とシャフトの内部とが連通する。また、シャフトの内部は分割部によって上部風路と下部風路に分割される。第1吸込口と第2吹出口は上部風路に配置され、第2吸込口と第1吹出口は下部風路に配置される。暖房運転を実行する場合、第1吸込口と第1吹出口だけが開口されることによって、空調機は、上部風路から吸い込んだ空気を暖め、暖めた空気を下部風路から吹き出す。冷房運転を実行する場合、第2吸込口と第2吹出口だけが開口されることによって、空調機は、下部風路から吸い込んだ空気を冷やし、冷やした空気を上部風路から吹き出す。
【0012】
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、並びに、ステップ(工程)およびステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
図1は、住宅10の構成を示す。住宅10は、2階建ての建物であり、床下12、床面14、1階部屋16、床18、2階部屋20、天井面22、小屋根24を含む。住宅10では、床下12、1階部屋16、2階部屋20、小屋根24が下から上に向かって順に配置される。また、床下12と1階部屋16は床面14で区切られ、1階部屋16と2階部屋20は床18で区切られ、2階部屋20と小屋根24は天井面22で区切られる。
【0014】
住宅10の2階部屋20には箱形形状の本体ケース200が設置される。本体ケース200の内部には空調機(図示せず)が配置される。住宅10には、床下12から小屋根24を貫くように上下方向に延びるシャフト300が設けられる。本体ケース200とシャフト300は空調装置100に含まれる。
【0015】
シャフト300は、中空の矩形断面管である。例えば、シャフト300では、木製の矩形断面管の内面に断熱材が貼り付けられる。シャフト300の構成はこれに限定されない。シャフト300の下側端部分の下側開口302は床下12内に配置され、シャフト300の上側端部分の上側開口304は小屋根24内に配置される。このような構成により、床下12と小屋根24との間でシャフト300を介して空気が流れる。
【0016】
床下12は、中空の空間であり、内面に断熱材を有する。床下12は、床面14の一部に設けられた開口(図示せず)を介して1階部屋16と貫通する。あるいは、床下12にはダクト(図示せず)が設置されてもよい。ダクトは下側開口302から床面14まで延びて、床面14の一部で開口する。
【0017】
小屋根24は、中空の空間であり、内面に断熱材を有する。小屋根24は、天井面22の一部に設けられた開口(図示せず)を介して2階部屋20と貫通する。あるいは、小屋根24にはダクト(図示せず)が設置されてもよい。ダクトは上側開口304から天井面22まで延びて、天井面22の一部で開口する。
【0018】
1階部屋16と2階部屋20との間には、床18を貫通するように階段(図示せず)が設けられる。このような構成により、床下12と小屋根24との間で床面14、1階部屋16、床18、2階部屋20、天井面22を介して空気が流れる。
【0019】
空調機が動作することによって本体ケース200から吹き出された空気(以下、「第1空気600」という)は、シャフト300を下方に向かって流れ、下側開口302から床下12に吹き出される。第1空気600は、床下12から、床面14、1階部屋16、床18、階部屋20を介して小屋根24に流れる。小屋根24内の第1空気600は、上側開口304からシャフト300に吸い込まれ、シャフト300を下方に向かって流れ、本体ケース200に吸い込まれる。このように第1空気600は、床下12から小屋根24に向かって上昇する。
【0020】
空調機が動作することによって本体ケース200から吹き出された空気(以下、「第2空気602」という)は、シャフト300を上方に向かって流れ、上側開口304から小屋根24に吹き出される。第2空気602は、小屋根24から、天井面22、2階部屋20、床18、1階部屋16、床面14を介して床下12に流れる。床下12内の第2空気602は、下側開口302からシャフト300に吸い込まれ、シャフト300を上方に向かって流れ、本体ケース200に吸い込まれる。このように第2空気602は、小屋根24から床下12に向かって降下する。
【0021】
前述のごとく、暖かい空気は下から上に上昇するので、第1空気600の流れは空調機の暖房運転時に適する。また、冷たい空気は上から下に下降するので、第2空気602の流れは空調機の冷房運転時に適する。以下では、このような空気の流れを実現するための空調装置100の構成と動作を説明する。
【0022】
図2(a)-(b)は、空調装置100の構成を示す。図2(a)は、図1の本体ケース200とシャフト300の断面図である。図2(a)の本体ケース200とシャフト300は、図1と同一の方向から示される。本体ケース200は、前述のごとく箱形形状を有する。本体ケース200は、下側に配置される底面202と、上側に配置される天面204と、底面202と天面204に接続される第1側面206a、第2側面206b、第3側面206c(図示せず)、第4側面206d(図示せず)で形成される。第1側面206aから第4側面206dは側面206と総称される。底面202と天面204は、対向しており、いずれも矩形状である。各側面206も矩形状である。第1側面206aはシャフト300側に配置され、第2側面206bは第1側面206aに対向して配置される。また、第3側面206cと第4側面206dは対向する。
【0023】
本体ケース200の内側の空間、つまり底面202と天面204と複数の側面206で囲まれた空間が内部空間210である。詳細は後述するが、シャフト300からの第1空気600または第2空気602が、第1側面206aの上側部分を介して内部空間210に吸い込まれる。内部空間210において、第1側面206aの上側部分よりも下側にはフィルタ400が配置される。フィルタ400は、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタである。HEPAフィルタは、エアフィルタであり、内部空間210に吸い込まれた第1空気600中または第2空気602中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄された第1空気600または第2空気602を出力する。
【0024】
フィルタ400の下側には空調機410が配置される。空調機410は、エアコンディショナであり、内部空間210の空調を制御する。空調機410は、内部空間210の空気(第1空気600、第2空気602)の温度が設定された温度(以下、「設定温度」という)となるように、内部空間210に流入した空気を加熱または冷却する。ここで、空調機410の運転モードが暖房運転モードである場合、空調機410は、本体ケース200に吸い込まれた第1空気600を加熱する。また、空調機410の運転モードが冷房運転モードである場合、空調機410は、本体ケース200に吸い込まれた第2空気602を冷却する。そのため、第1空気600は空調機410において加熱された空気であり、第2空気602は空調機410において冷却された空気であるともいえる。空調機410は、加熱した第1空気600または冷却した第2空気602、つまり空調した空気を下向きに吹き出す。
【0025】
空調機410の下側には送風機420が配置される。送風機420は、空調機410からの第1空気600または第2空気602を下向きに送風する。送風機420による送風によって、図1の第1空気600の流れ、または第2空気602の流れが形成される。送風機420は、吸音材422により囲まれる。吸音材422は、例えばグラスウールであり、送風機420におけるファンの回転によって生じる音を吸収する。また、送風機420は下側から吸震材424により支持される。吸震材424は、例えばゴムであり、送風機420におけるファンの回転によって生じる振動を吸収する。吸音材422と吸震材424は、内部空間210における騒音の発生を抑制するための吸音部とも呼ばれる。
【0026】
送風機420の下側には加湿・次亜塩素酸散布装置430が配置される。加湿・次亜塩素酸散布装置430は、空調機410からの第1空気600または第2空気602を加湿したり、空調機410からの第1空気600または第2空気602に次亜塩素酸を散布したりする。加湿・次亜塩素酸散布装置430における加湿または次亜塩素酸散布のための処理には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。加湿・次亜塩素酸散布装置430により加湿または次亜塩素酸散布された第1空気600または第2空気602は、第1側面206aの下側部分を介してシャフト300に吹き出される。
【0027】
空調機410、送風機420、加湿・次亜塩素酸散布装置430は、無線通信または有線通信により制御装置500と通信可能である。制御装置500は、空調機410、送風機420、加湿・次亜塩素酸散布装置430の動作を制御する。例えば、制御装置500は、本体ケース200の外部の空調コントローラ(図示せず)と通信し、ユーザが空調コントローラに入力した運転モード、設定温度、設定風量、加湿または次亜塩素酸散布の有無等の情報を空調コンローラから受信する。制御装置500は、受信した運転モードの情報をもとに、空調機410の運転モードとして暖房運転モードまたは冷房運転モードを決定し、決定した運転モードの指示を空調機410に送信するとともに、設定温度を空調機410に送信する。また、制御装置500は、設定風量を送風機420に送信する。さらに、制御装置500は、加湿または次亜塩素酸散布の有無を加湿・次亜塩素酸散布装置430に送信する。運転モード、設定温度、設定風量、加湿または次亜塩素酸散布の有無等は制御装置500において自動的に決定されてもよい。
【0028】
シャフト300は、本体ケース200の第1側面206aを挟んで内部空間210とは逆側に設けられる。図1のように、シャフト300の上側端は天面204よりも鉛直上方に延出し、シャフト300の下側端は底面202よりも鉛直下方に延出する。シャフト300は、前述のごとく中空であり、1本のシャフト風路を形成する。また、シャフト300の内部における第1側面206aに対応する部分には、鉛直上下方向に延出する中空空間310が定義される。中空空間310の下側端が中空底面312であり、中空空間310の上側端が中空天面314である。中空底面312は底面202と同一の高さに位置し、中空天面314は天面204と同一の高さに位置する。
【0029】
図2(b)は、図2(a)のシャフト300側から第1側面206aとシャフト300を見た場合を示す。第1側面206aの天面204側には、第2吸込口220bと第1吸込口220aとが左右方向に並べて設けられ、第1側面206aの底面202側には、第1吹出口222aと第2吹出口222bとが左右方向に並べて設けられる。ここで、第2吸込口220bと第1吹出口222aとが上下方向に並べて設けられ、第1吸込口220aと第2吹出口222bとが上下方向に並べて設けられる。第1吸込口220a、第2吸込口220b、第1吹出口222a、第2吹出口222bのそれぞれは貫通孔である。また、第1吸込口220a、第2吸込口220b、第1吹出口222a、第2吹出口222bのそれぞれには、開閉可能な蓋が設けられる。各蓋の開閉機構は、無線または有線により図2(a)の制御装置500と通信可能であり、制御装置500からの指示を受信すると指示に応じて蓋を開閉させる。
【0030】
シャフト300の中空空間310内には、分割部320が設けられ、分割部320は、分割板322、上部延出部324、下部延出部326を含む。分割板322は、第2吸込口220bと第1吹出口222aとの組合せと、第1吸込口220aと第2吹出口222bとの組合せとの間を貫くように上下方向に延び、かつシャフト300の内壁に内接する。上部延出部324は、分割板322の上端から第2吸込口220bよりも上方を左右方向に延出し、延出先端がシャフト300の内壁に内接する。下部延出部326は、分割板322の下端から第2吹出口222bよりも下方を左右方向に延出し、延出先端がシャフト300風路の内壁に内接する。言い換えると分割部320は、図2(b)に示すように、側面視において略Z字形状を有し、例えばシャフト300内に三枚の板を挿入するのみで実現できる。
【0031】
このような分割部320は、中空空間310内を上部風路330と下部風路332とに分割する。上部風路330は、第1吸込口220aと第2吹出口222bとを含み、中空空間310の上方側に開口した風路であり、本体ケース200よりも上方の空気を授受する。また、上部風路330は、第1吸込口220aと第2吹出口222bに接続して中空空間310と内部空間210とを連通する。下部風路332は、第2吸込口220bと第1吹出口222aとを含み、中空空間310の下方側に開口した風路であり、本体ケース200よりも下方の空気を授受する。また、下部風路332は、第2吸込口220bと第1吹出口222aに接続して中空空間310と内部空間210とを連通する。
【0032】
このような構成のもと、第1空気600の流れを形成するために、第1吸込口220aは、中空空間310の鉛直上方から搬送された空気を吸い込み、第1吹出口222aは、第1吸込口220aから吸い込まれた空気を中空空間310の鉛直下方へ搬送する。また、第2空気602の流れを形成するために、第2吸込口220bは、中空空間310の鉛直下方から搬送された空気を吸い込み、第2吹出口222bは、第2吸込口220bから吸い込まれた空気を中空空間310の鉛直上方へ搬送する。
【0033】
その際、第1吸込口220aと第1吹出口222aと第2吸込口220bと第2吹出口222bのそれぞれに対する開口または閉口は、制御装置500により制御される。制御装置500による開口または閉口の制御を説明するために、図3も使用する。図3は、制御装置500に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。暖房運転モードに対して、第1吸込口220aと第1吹出口222aの「開口」と、第2吸込口220bと第2吹出口222bの「閉口」とが規定される。また、冷房運転モードに対して、第1吸込口220aと第1吹出口222aの「閉口」と、第2吸込口220bと第2吹出口222bの「開口」とが規定される。図2(a)-(b)に戻る。
【0034】
制御装置500は、暖房運転モードを決定した場合、図3のテーブルを参照して、第1吸込口220aと第1吹出口222aの「開口」と、第2吸込口220bと第2吹出口222bの「閉口」とを決定する。制御装置500は、第1吸込口220aの開閉機構に開口の指示を送信する。第1吸込口220aの開閉機構は、制御装置500から開口の指示を受信すると、第1吸込口220aを蓋で覆わないことによって、第1吸込口220aを開口する。また、制御装置500は、第1吹出口222aの開閉機構に開口の指示を送信すると、第1吹出口222aは開口される。制御装置500は、第2吸込口220bと第2吹出口222bの開閉機構のそれぞれに閉口の指示を送信すると、第2吸込口220bと第2吹出口222bは閉口される。
【0035】
図4(a)-(b)は、空調装置100による暖房運転と冷房運転を示す。図4(a)は、暖房運転を示す。第1空気600は、シャフト300を上から下向きに流れ、上部風路330に進入する。上部風路330において第1吸込口220aが開口しているので、第1空気600は第1吸込口220aから本体ケース200の内部空間210内に吸い込まれる。内部空間210において第1空気600は、図2(a)のフィルタ400、空調機410、送風機420、加湿・次亜塩素酸散布装置430の順に流れ、開口している第1吹出口222aから下部風路332に吹き出される。下部風路332の第1空気600は、シャフト300を上から下に向かって流れる。これにより、図1の第1空気600の流れが形成される。図4(b)は後述し、図2(a)-(b)に戻る。
【0036】
制御装置500は、冷房運転モードを決定した場合、図3のテーブルを参照して、第1吸込口220aと第1吹出口222aの「閉口」と、第2吸込口220bと第2吹出口222bの「開口」とを決定する。制御装置500は、第1吸込口220aの開閉機構に閉口の指示を送信する。第1吸込口220aの開閉機構は、制御装置500から閉口の指示を受信すると、第1吸込口220aを蓋で覆うことによって、第1吸込口220aを閉口する。また、制御装置500は、第1吹出口222aの開閉機構に閉口の指示を送信すると、第1吹出口222aは閉口される。制御装置500は、第2吸込口220bと第2吹出口222bの開閉機構のそれぞれに開口の指示を送信すると、第2吸込口220bと第2吹出口222bは開口される。
【0037】
図4(b)は、冷房運転を示す。第2空気602は、シャフト300を下から上に向かって流れ、下部風路332に進入する。下部風路332において第2吸込口220bが開口しているので、第2空気602は第2吸込口220bから本体ケース200の内部空間210内に吸い込まれる。内部空間210において第2空気602は、図2(a)のフィルタ400、空調機410、送風機420、加湿・次亜塩素酸散布装置430の順に流れ、開口している第2吹出口222bから上部風路330に吹き出される。上部風路330の第2空気602は、シャフト300を下から上に向かって流れる。これにより、図1の第2空気602の流れが形成される。
【0038】
ここまでの空調装置100は、図1に示すような2階建ての住宅10に設置される。しかしながら、空調装置100が設置される住宅は2階建て以外であってもよい。図5は、変形例に係る住宅30の構成を示す。住宅30は、平屋の建物であり、床下12、床面14、1階部屋16、天井面22、小屋根24を含む。住宅30では、床下12、1階部屋16、小屋根24が下から上に向かって順に配置される。また、床下12と1階部屋16は床面14で区切られ、1階部屋16と小屋根24は天井面22で区切られる。
【0039】
住宅30の1階部屋16には箱形形状の本体ケース200が設置される。本体ケース200、シャフト300は、これまでと同様に構成される。そのため、空調装置100が暖房運転する場合に第1空気600の流れが形成され、空調装置100が冷房運転する場合に第2空気602の流れが形成される。
【0040】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0041】
以上の構成による空調装置100の動作を説明する。図6は、空調装置100による運転手順を示すフローチャートである。制御装置500は運転モードを受けつける(S10)。運転モードが暖房運転モードである場合(S12のY)、制御装置500は、第1吸込口220aと第1吹出口222aを開口させ、第2吸込口220bと第2吹出口222bを閉口させる(S14)。運転モードが暖房運転モードでない場合(S12のN)、つまり冷房運転モードである場合、制御装置500は、第1吸込口220aと第1吹出口222aを閉口させ、第2吸込口220bと第2吹出口222bを開口させる(S16)。
【0042】
本実施例によれば、シャフト300の中空空間310を分割部320により上部風路330と下部風路332に分割し、上部風路330に第1吸込口220aと第2吹出口222bを配置し、下部風路332に第2吸込口220bと第1吹出口222aを配置して、第1吸込口220aと第1吹出口222aと第2吸込口220bと第2吹出口222bのそれぞれに対する開口または閉口を制御するので、1本のシャフト300で空気の流れを切りかえることができる。また、1本のシャフト300にシンプルな略Z字形状の分割部320を配置することで空気の流れを切りかえるので、空気の流れに適した運転を実行しながら、構成の複雑化を抑制できる。
【0043】
また、分割板322と上部延出部324と下部延出部326により分割部320が構成されるので、上部風路330と下部風路332を簡易に形成できる。また、上部風路330が本体ケース200よりも上方の空気を授受し、下部風路332が本体ケース200よりも下方の空気を授受するので、1本のシャフト300で上下方向に延びる空気の流れを形成できる。
【0044】
また、暖房運転モードである場合、第1吸込口220aと第1吹出口222aとを開口し、第2吸込口220bと第2吹出口222bとを閉口するので、住宅内を下から上に向かう空気の流れを形成できる。また、冷房運転モードである場合、第1吸込口220aと第1吹出口222aとを閉口し、第2吸込口220bと第2吹出口222bとを開口するので、住宅内を上から下に向かう空気の流れを形成できる。また、本体ケース200は、吸音材422または吸震材424を含むので、騒音の発生を抑制できる。
【0045】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。
(項目1)
底面(202)と、前記底面(202)に対向する天面(204)と、前記底面(202)と前記天面(204)とに接続する複数の側面(206)とで形成される本体ケース(200)と、
前記本体ケース(200)の内部空間(210)に内蔵される空調機(410)と、
前記本体ケース(200)の一側面(206)を挟んで前記内部空間(210)とは逆側に設けられ、前記一側面(206)に対応する部分に鉛直上下方向に延出する中空空間(310)を有する1本のシャフト風路(300)と、
制御装置(500)とを備え、
前記本体ケース(200)は、
前記一側面(206)の天面(204)側に設けられ、前記中空空間(310)の鉛直上方から搬送された空気を吸い込むための第1吸込口(220a)と、
前記一側面(206)の底面(202)側に設けられ、前記第1吸込口(220a)から吸い込まれた空気を前記中空空間(310)の鉛直下方へ搬送するための第1吹出口(222a)と、
前記一側面(206)の天面(204)側に設けられ、前記中空空間(310)の鉛直下方から搬送された空気を吸い込むための第2吸込口(220b)と、
前記一側面(206)の底面(202)側に設けられ、前記第2吸込口(220b)から吸い込まれた空気を前記中空空間(310)の鉛直上方へ搬送するための第2吹出口(222b)と、を備え、
前記シャフト風路(300)は、
前記中空空間(310)内を上部風路(330)と下部風路(332)とに分割する分割部(320)を備え、
前記上部風路(330)は、
前記第1吸込口(220a)と前記第2吹出口(222b)に接続して前記中空空間(310)と前記内部空間(210)とを連通し、
前記下部風路(332)は、
前記第2吸込口(220b)と前記第1吹出口(222a)に接続して前記中空空間(310)と前記内部空間(210)とを連通し、
前記制御装置(500)は、前記第1吸込口(220a)と前記第1吹出口(222a)と前記第2吸込口(220b)と前記第2吹出口(222b)のそれぞれに対する開口または閉口を制御する、空調装置(100)。
【0046】
(項目2)
前記分割部(320)は、
前記中空空間(310)内において前記第1吸込口(220a)と前記第2吸込口(220b)との間かつ前記第1吹出口(222a)と前記第2吹出口(222b)との間に位置して前記シャフト風路(300)の内壁に内接する分割板(322)と、
前記分割板(322)の上端から前記第2吸込口(220b)よりも上方に延出し、延出先端が前記シャフト風路(300)の内壁に内接する上端延出部(324)と、
前記分割板(322)の下端から前記第2吹出口(222b)よりも下方に延出し、延出先端が前記シャフト風路(300)の内壁に内接する下端延出部(326)と、を備える項目1に記載の空調装置(100)。
【0047】
(項目3)
前記シャフト風路(300)は、
上側端が前記天面(204)よりも鉛直上方に延出し、下側端が前記底面(202)よりも鉛直下方に延出して設けられ、
前記上部風路(330)は、
前記本体ケース(200)よりも上方の空気を授受し、
前記下部風路(332)は、
前記本体ケース(200)よりも下方の空気を授受する、項目1に記載の空調装置(100)。
【0048】
(項目4)
前記空調機(410)は、
運転モードとして前記本体ケース(200)に吸い込まれた空気を加熱するための暖房運転モードを備え、
前記制御装置(500)は、
前記空調機(410)に設定された前記運転モードが前記暖房運転モードである場合、前記第1吸込口(220a)と前記第1吹出口(222a)とを開口し、前記第2吸込口(220b)と前記第2吹出口(222b)とを閉口する、項目1から3のいずれか1項に記載の空調装置(100)。
【0049】
(項目5)
前記空調機(410)は、
運転モードとして前記本体ケース(200)に吸い込まれた空気を冷却するための冷房運転モードを備え、
前記制御装置(500)は、
前記空調機(410)に設定された前記運転モードが前記冷房運転モードである場合、前記第1吸込口(220a)と前記第1吹出口(222a)とを閉口し、前記第2吸込口(220b)と前記第2吹出口(222b)とを開口する、項目1から3のいずれか1項に記載の空調装置(100)。
【0050】
(項目6)
前記本体ケース(200)は、
前記内部空間(210)における騒音の発生を抑制するための吸音部(422、424)をさらに備える項目1から3のいずれか1項に記載の空調装置(100)。
【0051】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0052】
10 住宅、 12 床下、 14 床面、 16 1階部屋、 18 床、 20 2階部屋、 22 天井面、 24 小屋根、 30 住宅、 100 空調装置、 200 本体ケース、 202 底面、 204 天面、 206 側面、 210 内部空間、 220 吸込口、 222 吹出口、 300 シャフト、 302 下側開口、 304 上側開口、 310 中空空間、 312 中空底面、 314 中空天面、 320 分割部、 322 分割板、 324 上部延出部、 326 下部延出部、 330 上部風路、 332 下部風路、 400 フィルタ、 410 空調機、 420 送風機、 422 吸音材、 424 吸震材、 430 加湿・次亜塩素酸散布装置、 500 制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6