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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011951
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】直動案内ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20250117BHJP
   F16N 23/00 20060101ALI20250117BHJP
   F16N 21/02 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F16C29/06
F16N23/00
F16N21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114420
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】久保田 武
【テーマコード(参考)】
3J104
【Fターム(参考)】
3J104AA03
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA80
3J104DA18
3J104DA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】直動案内ユニットの設置の向きや周囲の構成に関わらず給脂が容易でメンテナンス性に優れ、潤滑剤供給部品をスライダに対して適切な締結力で固定可能な直動案内ユニットを提供すること。
【解決手段】レールと、スライダと、スライダのエンドキャップに固定された潤滑剤供給部品4と、を備える直動案内ユニットである。潤滑剤供給部品は、スライダの給脂孔40に羅合可能なおねじ41が形成され、先端側に第1フランジ部を有する第1部品40と、基端側に第2フランジ部を有する第2部品50と、円筒状の第3部品60と、を含む。第1フランジ部および第2フランジ部の少なくとも一方の外周におねじが形成されており、第3部品の内周壁面の少なくとも一部にめねじ61が形成されている第1部品と第2部品とは、第1フランジ部の端面と第2フランジ部の端面が互いに面接触した状態で、第1部品の軸回りに相対的に回転可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールと、
前記レールの長手方向に沿って移動可能なスライダと、
前記スライダのエンドキャップに固定された潤滑剤供給部品と、
を備え、
前記潤滑剤供給部品は
中心軸に沿って第1貫通孔が形成され、基端側の外周に前記スライダの給脂孔に羅合可能なおねじが形成され、先端側に第1フランジ部を有する第1部品と、
基端側から先端側まで貫通する第2貫通孔が形成され、基端側に第2フランジ部を有する第2部品と、
円筒状の第3部品と、
を含み、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部の少なくとも一方の外周におねじが形成されており、
前記第3部品の内周壁面の少なくとも一部にめねじが形成されており、
前記第1部品と前記第2部品とは、前記第1フランジ部の端面と前記第2フランジ部の端面が互いに面接触した状態で、前記第1部品の軸回りに相対的に回転可能であり、
前記第3部品のめねじと、前記第1フランジ部または前記第2フランジ部のおねじとが螺合されることによって、前記第1部品と前記第2部品とが前記第1部品の軸方向に固定される、
直動案内ユニット。
【請求項2】
前記第3部品は、基端側または先端側の一方に、前記第3部品の壁面から内周側に突出した円環状のシート部を有し、
前記シート部と、前記第1フランジ部の端面または前記第2フランジの端面と、が当接する
請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記第1フランジ部の端面における前記第1貫通孔の周囲、または、前記第2フランジ部の端面における前記第2貫通孔の周囲に、凹部が形成され、
前記凹部に配置されたOリングをさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部の両方の外周に互いに同一径のおねじが形成されており、
前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のおねじと、前記第3部品のめねじとが互いに螺合可能である、
請求項1または請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記第2部品は、前記第1部品の軸方向と同方向に延びる第4部品と、前記第4部品に対して斜め方向に延びる第5部品とから構成される、
請求項1または請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記第5部品は、先端に、ばねによって付勢された逆止弁を備える、
請求項5に記載の直動案内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
レールと、レール上を移動するスライダと、を備える直動案内ユニットにおいて、スライダの移動方向端面に、潤滑剤を供給するための給脂孔が設けられたものがある。この給脂孔に、グリースニップルや配管継手等の潤滑剤供給部品が取り付けられることがある。グリースニップルは、取り付け部分である基端部と給脂口である先端部とが一直線上に並ぶように形成されているタイプと、基端部に対して先端部が斜めまたは垂直方向に突出するように構成される、エルボ形と称されるタイプとがある。例えば特許文献1は、後者のタイプのグリースニップルを備える直動案内ユニットを開示している。
【0003】
直動案内ユニットにおいて、グリースニップル等の緩みを抑制するための提案がされている。特許文献2には、グリースニップルの緩みを抑制するためのアダプタを備える直動案内ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-145771号公報
【特許文献2】特開2023-74311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
直動案内ユニットは様々な装置の一部として組み込まれ、設置の向きや周囲に存在する他の装置等の環境は多種多様である。本開示の目的のひとつは、直動案内ユニットの設置の向きや周囲の構成に関わらず給脂が容易でメンテナンス性に優れ、潤滑剤供給部品をスライダに対して適切な締結力で固定可能な直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った直動案内ユニットは、レールと、前記レールの長手方向に沿って移動可能なスライダと、前記スライダのエンドキャップに固定された潤滑剤供給部品と、を備える。前記潤滑剤供給部品は、第1部品と、第2部品と、第3部品とを含む。前記第1部品は、中心軸に沿って第1貫通孔が形成され、基端側の外周に前記スライダの給脂孔に羅合可能なおねじが形成され、先端側に第1フランジ部を有する。前記第2部品は、基端側から先端側まで貫通する第2貫通孔が形成され、基端側に第2フランジ部を有する。前記第3部品は、円筒状である。前記第1フランジ部および前記第2フランジ部の少なくとも一方の外周におねじが形成されている。前記第3部品の内周壁面の少なくとも一部にめねじが形成されている。前記第1部品と前記第2部品とは、前記第1フランジ部の端面と前記第2フランジ部の端面が互いに面接触した状態で、前記第1部品の軸回りに相対的に回転可能である。前記第3部品のめねじと、前記第1フランジ部または前記第2フランジ部のおねじとが螺合されることによって、前記第1部品と前記第2部品とが前記第1部品の軸方向に固定される。
【発明の効果】
【0007】
上記直動案内ユニットによれば、直動案内ユニットの設置の向きや周囲の構成に関わらず給脂が容易でメンテナンス性に優れ、潤滑剤供給部品をスライダに対して適切な締結力で固定可能な直動案内ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示にかかる直動案内ユニットの構造を示す斜視図である。
図2図2は、本開示にかかる直動案内ユニットの一部を拡大して示す一部拡大断面図である。
図3図3は、本開示にかかる直動案内ユニットに備えられる潤滑剤供給部品の構造を示す分解斜視図である。
図4図4は、本開示にかかる直動案内ユニットに備えられる潤滑剤供給部品の構造を示す断面図である。
図5図5は、本開示にかかる直動案内ユニットに備えられる潤滑剤供給部品の構造を示す断面図である。
図6図6は、本開示にかかる直動案内ユニットに備えられる潤滑剤供給部品の構造を示す断面図である。
図7図7は、本開示にかかる直動案内ユニットの構造を示す斜視図である。
図8図8は、本開示にかかる直動案内ユニットに備えられる潤滑剤供給部品の構造を示す断面図である。
図9図9は、本開示にかかる直動案内ユニットに備えられる潤滑剤供給部品の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に従った直動案内ユニットは、レールと、前記レールの長手方向に沿って移動可能なスライダと、前記スライダのエンドキャップに固定された潤滑剤供給部品と、を備える。前記潤滑剤供給部品は、第1部品と、第2部品と、第3部品とを含む。前記第1部品は、中心軸に沿って第1貫通孔が形成され、基端側の外周に前記スライダの給脂孔に羅合可能なおねじが形成され、先端側に第1フランジ部を有する。前記第2部品は、基端側から先端側まで貫通する第2貫通孔が形成され、基端側に第2フランジ部を有する。前記第3部品は、円筒状である。前記第1フランジ部および前記第2フランジ部の少なくとも一方の外周におねじが形成されている。前記第3部品の内周壁面の少なくとも一部にめねじが形成されている。前記第1部品と前記第2部品とは、前記第1フランジ部の端面と前記第2フランジ部の端面が互いに面接触した状態で、前記第1部品の軸回りに相対的に回転可能である。前記第3部品のめねじと、前記第1フランジ部または前記第2フランジ部のおねじとが螺合されることによって、前記第1部品と前記第2部品とが前記第1部品の軸方向に固定される。
【0010】
スライダの移動方向端面にグリースニップル等の潤滑剤供給部品が備えられた直動案内ユニットが公知である。例えば特許文献1に開示されるように、従来、グリースニップルは、スライダの給脂孔にねじ込まれて固定されている。潤滑剤を供給する際には、グリースニップルの先端にある供給口にグリースガンのノズルを押し当てて、潤滑剤を注入する。一方、直動案内ユニットは様々な装置の一部として備えられ、給脂が容易でない位置や向きで設置されることもある。また、直動案内ユニットの周囲に十分に広いスペースがない場合もある。このような場合に給脂を行うためには、グリースニップルを回転させて、グリースニップルの先端とグリースガンのノズル先端の位置と合わせることがある。しかしながら、グリースニップルを回転させると、スライダに対するグリースニップルの締結力が変わってしまうという問題がある。例えば、グリースニップルを時計回りに回して位置を調整すると、スライダに対してグリースニップルが過剰に締め込まれた状態となり、スライダのエンドキャップに損傷が生じる恐れがある。また、グリースニップルを反時計回りに回して位置を調整すると、スライダに対する潤滑剤供給部品の締結力が過少となり、その状態で直動案内ユニットの運転を継続するとグリースニップルの脱落につながる恐れがある。給脂のために一時的にグリースニップルを回転させて、給脂が終了すれば元の状態に戻すことも可能であるが、適切な締結力に戻すためには慎重な操作が必要であり、作業忘れの恐れもある。特許文献2のアダプタによれば、グリースニップル等の潤滑剤供給部品が固定され、潤滑剤供給部品の意図しない回転が防止される。しかしながら、スライダに対する潤滑剤供給部品の締結力を維持しながら潤滑剤供給部品の先端を任意の方向に向けることは意図されておらず、このような目的には対応できない。
【0011】
そこで、スライダに対する潤滑剤供給部品の締結力を変えることなく、潤滑剤供給部品の先端を任意の方向に向けて固定することが可能な構成が検討された。その結果、潤滑剤供給部品を、スライダに対して締結される第1部品と、第1部品に対して軸回りに回転可能である第2部品と、第1部品と第2部品とを軸方向に固定する第3部品とから構成することが想到された。この構造によれば、第1部品を適切な締結力でスライダに対して固定した状態で、第2部品を回転させて任意の方向に向けることが可能で、かつ、第2部品を任意の方向に向けた状態で第1部品と第2部品とを固定できる。
【0012】
本開示にかかる直動案内ユニットは、潤滑剤供給部品を適切な締結力でスライダに対して固定した状態を維持しながら、供給口を任意の方向に向けた状態で固定できる。このため、直動案内ユニットの設置姿勢や周辺環境に制限されることが少なく、給脂が容易であり、メンテナンス性に優れる。また、給脂口を回転させても潤滑剤供給部品のスライダに対する締結力が変わることがないため、適切な締結力が維持される。
【0013】
前記直動案内ユニットにおいて、前記第3部品は、前記第3貫通孔の基端側または先端側の一方に、前記第3部品の壁面から内周側に突出した円環状のシート部を有してもよい。前記シート部と、前記第1フランジ部の端面または前記第2フランジ部の端面と、が当接してもよい。さらに検討が重ねられた結果、第3部品を円筒状の部材で構成するとともに、第3部品の一端に第1部品または第2部品の端面と当接するシート部を備える構造とすることが想到された。この構成によれば、第3部品のシート部と、第1部品および第2部品の一方とを当接させて固定し、第1部品および第2部品の他方をねじ込むことによって、第1部品、第2部品、第3部品の相対位置を決めることができる。このため、第3部品による第1部品および第2部品の固定がより確実になり、緩みの生じない潤滑剤供給部品を有する直動案内ユニットを構成できる。
【0014】
前記直動案内ユニットは、前記第1フランジ部の端面における前記第1貫通孔の周囲、または、前記第2フランジ部の端面における前記第2貫通孔の周囲に、凹部が形成され、
前記凹部に配置されたOリングをさらに備えてもよい。この構成によって、第1部品と第2部品との接続部からの潤滑剤の漏れが防止される。
【0015】
前記直動案内ユニットは、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部の両方の外周に互いに同一径のおねじが形成されており、前記第1フランジ部および前記第2フランジ部のおねじと、前記第3部品のめねじとが互いに螺合可能であってよい。この構成によれば、第3部品の外径をより小径に構成することが可能である。このため、より小型の直動案内ユニットに対して適用することが可能であり、従来の潤滑剤供給部品に対する重量増加も抑えることができる。
【0016】
前記直動案内ユニットにおいて、前記第2部品は、前記第1部品の軸方向と同方向に延びる第4部品と、前記第4部品に対して斜め方向に延びる第5部品とから構成されてもよい。基端部を構成する第4部品に対して先端部である第5部品が斜めに構成されている潤滑剤供給部品では、給油口を任意に回転させることによって給脂の利便性が格段に向上する。このため、直動案内ユニットの設置姿勢や周囲の環境からの制約がより少なく、メンテナンスが容易な直動案内ユニットを構成できる。
【0017】
前記直動案内ユニットは、前記第5部品は、先端に、ばねによって付勢された逆止弁を備えるものであってよい。一般にB型グリースニップルと称される、潤滑剤供給口が基端部に対して斜めに突出するように構成されるグリースニップルにおいて、本開示にかかる構成は好適に適用される。
【0018】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の直動案内ユニットの具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本開示にかかる直動案内ユニット1の構造を示す斜視図である。図1において、X軸は直動案内ユニット1の幅方向、Y軸方向は直動案内ユニット1(レール2)の長さ方向、Z軸は直動案内ユニット1の厚み(高さ)方向である。
【0020】
図1を参照して、直動案内ユニット1は、レール2と、レールの長手方向に沿って移動可能なスライダ3とを備える。レール2とスライダ3の間には軌道路が形成され、軌道路に複数の転動体が挿入されている。転動体はボールであってもローラであってもよい。また、軌道路は単列であっても複列であってもよい。スライダ3は、ケーシング31と、エンドキャップ32と、エンドシール33と、を含む。エンドキャップ32およびエンドシール33をまとめて、スライダエンドキャップ34と称する。スライダ3の移動方向(Y軸方向)端面を構成するスライダエンドキャップ34に、潤滑剤供給部品4が固定されている。なお、以下の説明では、潤滑剤供給部品4またはその構成部品において、スライダ3に近い側を「基端側」、スライダ3から遠い側を「先端側」と称する。
【0021】
図2は、直動案内ユニット1の一部を拡大して示す一部拡大断面図である。図2は、スライダ3に対する潤滑剤供給部品4の固定構造を示す。図2を参照して、エンドキャップ32には、給脂孔35および給脂孔に連通する油溝(図示省略)が形成されている。給脂孔35の内周面にはめねじが形成されている。エンドシール33における、エンドキャップ32の給脂孔35に対応する位置に、給脂孔36が形成されている。潤滑剤供給部品4の基端側の外周にはおねじが形成されたおねじ部41がある。おねじ部41が、給脂孔35、36に螺入されている。
【0022】
潤滑剤供給部品4は、基端側の部品である第1部品40と、第1部品の先端側に配置された第2部品50と、第1部品40と第2部品50とを結合する円筒状の部品である第3部品60と、から構成される。図2の例では、潤滑剤供給部品4の先端4tは上方を向いている。潤滑剤供給部品4の先端4tの向きを変える場合には、第3部品60を緩める方向(L)に回して第2部品50の固定を緩め、第2部品50を軸α回りに回転させる。その後、第3部品60を締める方向(T)に回して、第2部品50を固定する。つまり、直動案内ユニット1では、給脂孔35、36に螺合された第1部品40を動かすことなく、潤滑剤供給部品4の先端4tを軸α回りの任意の位置に回転し、固定できる。
【0023】
図3は、潤滑剤供給部品4の構造を示す分解斜視図である。図3を参照して、第1部品40は、基端40e側におねじ部41を有し、おねじ部41に連なる中間部42を有し、中間部42の先端側にフランジ部43を有する。中間部42の外周の一部は、六角形に形成されている。フランジ部43の外周にはおねじが形成されている。第2部品50は、軸αの方向に延びる第4部品としてのベース部品52Aと、ベース部品52Aに対して斜めに突出する第5部品としての頭部部品52Bと、から構成される。ベース部品52Aに対する頭部部品52Bの角度は、特に制限されないが、例えば、65°~67.5°の角度であってよい。第2部品50は、JIS B 1575:2000に規定されるエルボ形グリースニップルの頭部形状に準じる形状であってよい。第2部品50は、基端側にフランジ部51を有し、フランジ部51の外周にはおねじが形成されている。
【0024】
第3部品60は、円筒状の部品であり、内周面の一部にめねじが形成されている。潤滑剤供給部品4において、第1部品40と、第2部品50のベース部品52Aと、第3部品60とは共通の軸αを有する。なお、第3部品60は円筒状であるところ、外周の輪郭は必ずしも円形に限らず、外周は六角形等に形成されていてもよい。内周に円筒状の周面(めねじが形成されている)を有するものであればよい。
【0025】
図4は、潤滑剤供給部品4の構造を示す断面図である。図4を参照して、第1部品40は、中心軸である軸αに沿って基端40eから先端40tまで貫通する第1貫通孔としての貫通孔40cが形成されている。おねじ部41は中間部42よりも小径である。フランジ部43は、中間部42よりも大径である。第1部品40の先端40tには、貫通孔40cを囲む凹部45が形成されている。
【0026】
第3部品60は、側壁64を有する円筒状の部材である。第3部品60は、基端60e側に、側壁64から内周側に突出した円環状のシート部65を有する。シート部65に、第1部品40のフランジ部43の基端部側端面43bが当接している。第3部品60は、内周面60iにめねじが形成されためねじ部61を有する。めねじは、第3部品60の軸方向における先端60t側の約1/2に設けられている。第3部品60の内周面60iのうち基端60eに近い側の約1/2は平滑な壁面であり、先端60tの近い側の約1/2にめねじが形成されている。
【0027】
第2部品50は、ベース部品52Aと、頭部部品52Bと、から構成される。ベース部品52Aは、中心軸である軸αに沿って基端50eから延びる孔50cが形成されている。孔50cは第1部品40の貫通孔40cと連通し、潤滑剤の通路を構成する。孔50cと貫通孔40cとは同径である。第2部品50は、基端50e側にフランジ部51を有する。フランジ部51の外周にはおねじが形成されている。第2部品50のフランジ部51のおねじと、第3部品60のめねじ部61のめねじとが互いに螺合している。第1部品40の先端40tの端面と、第2部品50の基端50eの端面とが互いに面接触している。
【0028】
図4は、潤滑剤供給部品4の第1部品40、第2部品50、第3部品60が互いに固定された状態を示している。この状態から第2部品50の頭部部品52Bの向きを変更する場合には、まず、フランジ部51のおねじとめねじ部61のめねじとの螺合が少なくなる方向、すなわち第2部品50と第1部品40とが離隔する方向に、第2部品50を回す。そうすると、第1部品40と第2部品50との当接部、また、第1部品40と第3部品60との当接部にかかる締結力が小さくなる。この状態で、第1部品40を動かすことなく、第1部品40に対して第2部品50を軸α回りに任意の位置まで回転させる。第1部品40に対する第2部品50の位置を決めた後、第3部品60のみを第2部品50と第3部品60との螺合が進む方向に回すことで、第2部品50と第1部品40とを再び固定することができる。
【0029】
第2部品50の頭部部品52Bは、ベース部品52Aに対して螺合固定されている。頭部部品52Bには頭部部品52Bの軸βに沿って貫通孔50dが形成されている。ベース部品52Aの孔50cと、頭部部品52Bの貫通孔50dとが連通することによって、第2部品50は基端50eから先端50tまで連通する孔が形成されている。貫通孔50d内には、ばね55によって付勢され、給脂口58を封止するボール56が配置されている。ばね55およびボール56が、逆止弁を形成している。貫通孔50dの先端が給脂口58である。
【0030】
貫通孔40cと孔50cとの接続部分にはOリング81が配置されている。Oリングは貫通孔40cの周囲に形成された凹部45に配置されている。Oリング81によって、貫通孔40cと孔50cとの接続部分からの潤滑剤の漏れが防止される。
【0031】
潤滑剤供給部品4において、第1部品40のフランジ部43と第2部品50のフランジ部51とは同径であり、それぞれの外周に形成されたおねじは同一形状である。この構成によれば、潤滑剤供給部品4を組み立てる際、第3部品60に対して第1部品40を螺入することによって第3部品60の空間部に第1部品40を通すことができる。
【0032】
(変形例)
図5は、本開示にかかる直動案内ユニットに備えられる潤滑剤供給部品の一例である、潤滑剤供給部品204の構造を示す断面図である。潤滑剤供給部品204以外の直動案内ユニットの構成は直動案内ユニット1と同様とすることができるため、説明を省略する。潤滑剤供給部品204は、主に第3部品260の構成において潤滑剤供給部品4と異なる。図5を参照して、潤滑剤供給部品204は、第1部品240と、第2部品250と、第3部品260とを含む。第1部品240は、基端240e側に、外周におねじが形成されたおねじ部241を有し、おねじ部241に連なる中間部242を有し、中間部242の先端側にフランジ部243を有する。フランジ部243の外周には、おねじが形成されている。第2部品250は、基端250e側に、外周におねじが形成されたフランジ部251を有する。第2部品250の頭部部品52Bは既述のものと同様である。第2部品250は、中心軸である軸αに沿って基端250e側から延びる孔250cが形成されている。孔250cは第1部品240の貫通孔240cと連通し、潤滑剤の通路を構成する。孔250cと貫通孔240cとは同径である。孔250cと、頭部部品52Bの貫通孔50dとが連通することによって、第2部品250は基端250eから先端250tまで連通する孔が形成されている。
【0033】
第3部品260は、側壁264を有する円筒状の部材である。第3部品260は、先端260t側に、側壁264から内周側に突出した円環状のシート部265を有する。シート部265に、第2部品250のフランジ部251の先端251t部側の端面が当接している。第3部品260は、内周面にめねじが形成されためねじ部261を有する。めねじは、第3部品260の軸方向における基端260e側の約1/2に設けられている。つまり、第3部品260の内周面のうち、先端260tに近い側の約1/2は平滑な壁面であり、基端260eに近い側の約1/2にめねじが形成されている。
【0034】
第1部品240のフランジ部243のおねじと、第3部品260のめねじ部261のめねじとが螺合している。第1部品240の先端240t側の端面と、第2部品250の基端250e側の端面とが、面接触している。第3部品260の第1部品240に対する螺合を緩めると、第2部品250が第1部品240に対して中心軸回りに回転可能となる。このため、第2部品250の頭部部品52Bを所望の向きに回転させることができる。
【0035】
(変形例)
図6は、本開示にかかる直動案内ユニットに備えられる潤滑剤供給部品の一例である、潤滑剤供給部品304の構造を示す断面図である。潤滑剤供給部品304以外の直動案内ユニットの構成は直動案内ユニット1と同様とすることができるため、説明を省略する。潤滑剤供給部品304は、主に、第1部品340のフランジ部343の外周面におねじが形成されていない点、第3部品360の内周面のめねじ部361が軸方向の全域にわたる点、第3部品360の径において、潤滑剤供給部品4と異なっている。異なる点を中心に説明する。
【0036】
図6を参照して、潤滑剤供給部品304の第1部品340は、基端340e側におねじ部341を有し、おねじ部341に連なる中間部342を有し、中間部342の先端側にフランジ部343を有する。フランジ部343の基端343b側端面が、第3部品360の基端側に設けられたシート部365に当接している。第2部品350は、基端350e側に、外周におねじが形成されたフランジ部351を有する。第1部品340の先端340t側端面と、第2部品350の基端350e側の端面とは互いに面接触している。第2部品350のフランジ部351のおねじと、第3部品360のめねじ部361のめねじとが螺合している。第2部品350の頭部部品52Bは既述のものと同様である。第2部品350は、基端350e側から延びる孔350cが形成されている。孔350cは第1部品340の貫通孔340cと連通し、潤滑剤の通路を構成する。孔350cと貫通孔340cとは同径である。孔350cと、頭部部品52Bの貫通孔50dとが連通することによって、第2部品350は、基端350eから先端350tまで連通する孔が形成されている。
【0037】
第1部品340のフランジ部343の外径は、第3部品360のめねじ部361の山部分の径よりも小さい。このため、潤滑剤供給部品304を組み立てる際には、第3部品360のシート部365によって形成される貫通部365hに、第1部品340のおねじ部341および中間部342を通すだけで第3部品360に対して第1部品340を配置できる。このため、組み立てが容易である。
【0038】
(実施の形態2)
図7は、本開示にかかる直動案内ユニット7の構造を示す斜視図である。図7を参照して、直動案内ユニット7は、レール2と、レール2に沿って移動可能であるスライダ3とを備え、スライダ3の移動方向端面に潤滑剤供給部品404が備えられている。レール2、スライダ3は直動案内ユニット1と同様であり、説明を省略する。直動案内ユニット7は、潤滑剤供給部品404として配管継手である第2部品450を含む。直動案内ユニット7に潤滑剤を供給する際には、グリースガンに接続するホースの先端を、第2部品450の接続口457に螺合し、ホースを介してグリースガンから潤滑剤を注入することができる。潤滑剤供給部品404は、第2部品450を回転させることによって配管継手を所望の向きに調整できる。このため、直動案内ユニット7の設置姿勢や周囲の環境に関わらず、潤滑油の供給を円滑に行うことができる。
【0039】
図8は、直動案内ユニット7に備えられる潤滑剤供給部品404の構造を示す断面図である。図8を参照して、潤滑剤供給部品404は、第2部品450が配管継手であることが既述の潤滑剤供給部品との主な相違点である。潤滑剤供給部品404は、第1部品440と、第2部品450と、第3部品60とを含む。第1部品440は、おねじ部441と、中間部442と、フランジ部443とを含む。第1部品440の先端440t側の端面と、第2部品450の基端450e側の端面とは互いに面接触している。第1部品440の貫通孔440cと第2部品の孔450cとが連通し、第2部品450の先端450tの接続口457まで貫通する給油路が形成されている。第2部品450の基端450e側端面における孔450cの周囲には、凹部455が形成され、凹部455にOリング481が配置されている。第1部品440と第2部品450とは、中心軸である軸αを中心として相対的に回転可能である。第1部品440のフランジ部443の基端443b部側端面は、第3部品60のシート部65に当接している。第2部品450は、基端450eに、外周におねじが設けられたフランジ部451を有する。第2部品450のフランジ部451のおねじと、第3部品60のめねじ部61のめねじとが互いに螺合されている。
【0040】
(変形例)
図9は、本開示にかかる直動案内ユニットに備えられる潤滑剤供給部品の一例である、潤滑剤供給部品504の構造を示す断面図である。潤滑剤供給部品504は、主に、第1部品540のフランジ部543の外周面におねじが形成されている点で、潤滑剤供給部品404と異なっている。異なる点を中心に説明する。
【0041】
図9を参照して、潤滑剤供給部品504は、第1部品540と、第1部品540の先端540t側に並べて配置される第2部品450と、第1部品540と第2部品450とを軸αの方向に互いに固定する第3部品60と、を含む。潤滑剤供給部品504の第1部品540は、基端540e側におねじ部541を有し、おねじ部541に連なる中間部542を有し、中間部542の先端側にフランジ部543を有する。フランジ部543の基端側端面543bが、第3部品60の基端側に設けられたシート部65に当接している。第2部品450は、基端450e側に、外周におねじが形成されたフランジ部451を有する。第2部品450の基端450e側端面は、第1部品540の先端540t側端面と面接触している。第1部品540の貫通孔540cと、第2部品の孔450cとが連通している。第2部品450の基端450e側端面における孔450cの周囲には凹部455が形成され、凹部455にOリング481が配置されている。第2部品450のフランジ部451のおねじと、第3部品60のめねじ部61のめねじとが螺合している。
【0042】
潤滑剤供給部品504は、第1部品540のフランジ部543の外周におねじが形成されている。このため、潤滑剤供給部品504の組み立てに際して第3部品60に第1部品540を挿通する時、フランジ部543のおねじと第3部品60のめねじ部61のめねじとを螺合させることによって、第1部品540のフランジ部543を通過させることができる。この構成によれば、めねじ部61の山部分の径をフランジ部543の外径よりも小さくすることができる。このため、潤滑剤供給部品404における第3部品60と比べて、第3部品60の径をより小さくすることが可能である。
【0043】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1、7 直動案内ユニット、2 レール、3 スライダ、4、204、304、404、504 潤滑剤供給部品、7 直動案内ユニット、31 ケーシング、32 エンドキャップ、33 エンドシール、34 スライダエンドキャップ、35、36 給脂孔、40、240、340、440、540 第1部品、41、241、341、441、541 おねじ部、42、242、342、442、542 中間部、43、243、343、443、51、251、351、451、543 フランジ部、45、455 凹部、50、250、350、450 第2部品、52A ベース部品、52B 頭部部品、55 ばね、56 ボール、58 給脂口、60、260、360 第3部品、61、261、361 めねじ部、64、264 側壁、65、265、365 シート部、81、481 Oリング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9