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  • -搬送システムおよび搬送方法 図1
  • -搬送システムおよび搬送方法 図2A
  • -搬送システムおよび搬送方法 図2B
  • -搬送システムおよび搬送方法 図3
  • -搬送システムおよび搬送方法 図4A
  • -搬送システムおよび搬送方法 図4B
  • -搬送システムおよび搬送方法 図5
  • -搬送システムおよび搬送方法 図6
  • -搬送システムおよび搬送方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011979
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】搬送システムおよび搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20250117BHJP
   B65G 67/24 20060101ALI20250117BHJP
   B65G 13/11 20060101ALI20250117BHJP
   B65G 39/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B65G67/24
B65G13/11
B65G39/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114471
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潔人
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 久
(72)【発明者】
【氏名】永原 聡士
(72)【発明者】
【氏名】田中 航
(72)【発明者】
【氏名】山田 弘幸
【テーマコード(参考)】
3F022
3F033
3F076
【Fターム(参考)】
3F022LL07
3F022LL33
3F022MM07
3F022MM51
3F022NN31
3F022PP06
3F022QQ04
3F022QQ07
3F022QQ17
3F033BB01
3F033BB12
3F033BC02
3F033GA06
3F033GB08
3F033GD07
3F076AA01
3F076BA01
3F076CA09
3F076DA05
3F076DA07
3F076DB04
(57)【要約】
【課題】搬送車からコンベアに搬送物を移載するコンベアの制御に関して、搬送効率を低下させることなく、被搬送物にかかる負荷を抑える。
【解決手段】コンベア装置は、一端のガイドレールと回転可能に取り付けられたローラを有し、被搬送物をローラ上に載せることにより、被搬送物を取り込むコンベア移載装置を有し、搬送車は、上面に被搬送物の積載のための台座を有し、台座は、被搬送物と接触する面に複数の突起構造を有する。そして、それらの突起は、搬送車がコンベア移載装置の下に移動する際に、コンベア移載装置における複数のローラの間に位置するように配置されており、コンベア移載装置におけるローラは、被搬送物を搬送方向に移動させたときに被搬送物と接触する部分の移動方向が、コンベア装置が荷物を搬送する搬送方向に対して、搬送車のコンベア移載装置の下への進入方向に傾斜するような摺動構造を有する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト上に平行配置された複数のローラにより荷物を搬送するコンベア装置と、
被搬送物を搬送して前記コンベア装置に前記被搬送物を受け渡す搬送車と、を備える搬送システムであって、
前記コンベア装置は、
当該コンベア装置の一端に設けられたガイドレールと、前記ガイドレールに回転可能に取り付けられたローラと、前記搬送車が搬送した前記被搬送物を前記ローラ上に載せることによって前記搬送車が搬送した前記被搬送物を取り込むコンベア移載装置を有し、
前記搬送車は、上面に前記被搬送物を積載するための台座を有し、
前記台座は、前記被搬送物と接触する面に複数の突起構造を有し、
前記複数の突起構造の突起は、前記搬送車がコンベア移載装置の下に移動する際に、前記コンベア移載装置における前記複数のローラの間に位置するように配置されており、
前記コンベア移載装置における前記ローラは、前記コンベア装置が前記被搬送物を搬送方向に移動させたときに、前記ローラが前記被搬送物と接触する部分の移動方向が、前記コンベア装置が荷物を搬送する搬送方向に対して、前記搬送車の前記コンベア移載装置の下への進入方向に傾斜するような摺動構造を有する
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記ローラの前記摺動構造は、前記ローラの表面上に設ける螺旋状突起構造と、前記ローラの表面にテープを螺旋状に貼付した構造と、前記ローラの表面上に設ける螺旋状溝構造と、のいずれかである
ことを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
【請求項3】
前記ローラの前記摺動構造は、前記搬送車が前記コンベア移載装置の下に進入する部分である前記ローラの先端が、前記ガイドレールに取り付けられる前記ローラの一端に対して、前記コンベア装置が荷物を搬送する搬送方向に進んだ位置になるように、前記ローラが前記ガイドレールに傾斜して取り付けられる構造である
ことを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
【請求項4】
前記コンベア装置は、前記被搬送物の状態に基づいて前記ローラの回転速度を決定する
ことを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送車は、前記被搬送物の状態に基づいて前記搬送車の前記コンベア移載装置の下の位置への進入速度を決定する
ことを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
【請求項6】
前記コンベア装置は、
前記搬送車が前記コンベア移載装置の一端から前記コンベア移載装置の下に侵入して、前記被搬送物を前記コンベア移載装置のローラに載せた後、前記被搬送物が前記ガイドレールに接触するまで、前記荷物を搬送方向に向かわせる回転とは逆方向に、前記コンベア移載装置のローラを回転させるものであり、
前記被搬送物が前記ガイドレールに接触した後、前記荷物を搬送方向に向かわせる回転方向に、前記コンベア移載装置のローラを回転させるものである
ことを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
【請求項7】
前記コンベア移載装置は、前記コンベア移載装置上の所定の位置に、前記被搬送物が前記コンベア装置による荷物の搬送方向とは逆の方向に前記所定の位置を超えて移動することを防ぐ逆走防止板を有する
ことを特徴とする請求項6記載の搬送システム。
【請求項8】
ベルト上に平行配置された複数のローラにより荷物を搬送するコンベア装置と、
被搬送物を搬送して前記コンベア装置に前記被搬送物を受け渡す搬送車と、を備える搬送システムであって、
前記コンベア装置は、
当該コンベア装置の一端に設けられたガイドレールと、前記ガイドレールに回転可能に取り付けられたローラと、前記搬送車が搬送した前記被搬送物を前記ローラ上に載せることによって前記搬送車が搬送した前記被搬送物を取り込むコンベア移載装置を有し、
前記搬送車は、上面に前記被搬送物を積載するための台座を有し、
前記台座は、前記被搬送物と接触する面に複数の突起構造を有し、
前記複数の突起構造の突起は、前記搬送車がコンベア移載装置の下に移動する際に、前記コンベア移載装置における前記複数のローラの間に位置するように配置されており、
前記コンベア移載装置における前記複数のローラは、当該ローラの直径が、前記搬送車が前記コンベア移載装置の下に進入する部分である前記ローラの先端から、前記ガイドレールに取り付けられた一端に対して線形的に小さくなるテーパ構造である
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項9】
ベルト上に平行配置された複数のローラにより荷物を搬送するコンベア装置と、
前記被搬送物を搬送して前記コンベア装置に前記被搬送物を受け渡す搬送車と、を備える搬送システムであって、
当該コンベア装置の一端に設けられたガイドレールと前記ガイドレールに回転可能に取り付けられたローラと、前記搬送車が搬送した前記被搬送物と前記ローラ上に載せることによって、前記搬送車が搬送した前記被搬送物を取り込むコンベア移載装置を有し、
前記搬送車は、上面に前記被搬送物を積載するための台座を有し、
前記台座は、前記被搬送物と接触する面に複数の突起構造を有し、
前記複数の突起構造の突起は、前記搬送車がコンベア移載装置の下に移動する際に、前記コンベア移載装置における前記複数のローラの間に位置するように配置されており、
前記コンベア移載装置における前記ローラは、前記搬送車が前記コンベア移載装置の下に進入する部分である先端の高さが、前記ガイドレールに取り付けられた一端よりも低くしたことを特徴とする搬送システム。
【請求項10】
ベルト上に平行配置された複数のローラにより荷物を搬送するコンベア装置と、
被搬送物を搬送して前記コンベア装置に前記被搬送物を受け渡す搬送車と、を備える搬送システムの搬送方法であって、
前記コンベア装置は、
当該コンベア装置の一端に設けられたガイドレールと前記ガイドレールに回転可能に取り付けられたローラと、前記搬送車が搬送した前記被搬送物を前記ローラ上に載せることによって、前記搬送車が搬送した前記被搬送物を取り込むコンベア移載装置を有し、
前記搬送車は、上面に前記被搬送物を積載するための台座を有し、
前記台座は、前記被搬送物と接触する面に複数の突起構造を有し、
前記複数の突起構造の突起は、前記搬送車がコンベア移載装置の下に移動する際に、前記コンベア移載装置における前記複数のローラの間に位置するように配置されており、
前記コンベア移載装置における前記ローラは、前記コンベア装置が前記被搬送物を搬送方向に移動させたときに、前記ローラが前記被搬送物と接触する部分の移動方向が、前記コンベア装置が荷物を搬送する搬送方向に対して、前記搬送車の前記コンベア移載装置の下の進入方向に傾斜するような摺動構造を有し、
前記搬送車が前記コンベア移載装置の一端から搬送した前記被搬送物を、前記コンベア移載装置のローラに載せるステップと、
前記コンベア移載装置のローラが前記被搬送物を移動させるステップと、を有することを特徴とする搬送方法。
【請求項11】
前記コンベア移載装置のローラが前記被搬送物を移動させるステップでは、
前記コンベア移載装置のローラを、前記コンベア装置による前記荷物の搬送方向へ前記荷物を搬送する際の回転方向に回転させ、
前記コンベア移載装置のローラが前記被搬送物を移動させるステップの前に、さらに、前記コンベア装置による前記荷物の搬送方向へ前記荷物を搬送する際の前記ローラの回転方向とは逆方向に、前記コンベア移載装置のローラを回転させるステップを有する
ことを特徴とする請求項10記載の搬送方法。
【請求項12】
前記被搬送物が、前記ガイドレールに到達したときに、前記コンベア装置による前記荷物の搬送方向へ前記荷物を搬送する際の前記ローラの回転方向とは逆方向に、前記コンベア移載装置のローラを回転させるステップを実行する
ことを特徴とする請求項11記載の搬送方法。
【請求項13】
前記コンベア移載装置は、前記コンベア移載装置上の所定の位置に、前記被搬送物が前記コンベア装置による荷物の搬送方向とは逆の方向に前記所定の位置を超えて移動することを防ぐ逆走防止板を有することを特徴とする請求項11記載の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムおよび搬送方法に係り、特に、搬送車からコンベアに搬送物を移載するコンベアの制御に関して、搬送効率を低下させることなく、被搬送物にかかる負荷を抑えることに用いて好適な搬送システムおよび搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、在庫型物流センター(DC: Distribution Center)では、顧客の注文が入ると保管棚の保管箱に保管された商品在庫を作業員が取り出し、荷合わせを行い、出荷していた。しかし、人手で行う物流センター内の作業は、ピッキング作業者の歩行距離当たりの搬出入密度が極めて低くなるため、単位時間当たりのオーダー完了数も低くなり、特に、少量・多品種の注文の多い電子商取引(EC:Electric commerce)には適さず高コストになりがちであった。そのため、作業の自動化が望まれており、一般的に、搬送・仕分けにおいてはコンベアやソーターなどを用いた自動化が行われてきている。
【0003】
しかしながら、コンベアやソーターなど自動搬送設備を用いた搬送では、保管箱の振り分け先が多数になると、それに伴い分岐の数と搬送距離が増え、結果として自動搬送設備の床面積が大きくなり、物流センターの空間利用効率が悪化する弊害も生じる課題があった。また、取り扱う商品の物流量は、季節などによって大きく変動するが、コンベアやソーターなどで構成された自動搬送設備は建屋に据え付けているため、組み替えが困難であり、物流量の少ない時期に非効率な運用となる課題があった。
【0004】
そこで、保管箱を任意の場所に搬送・振り分けする他の方式として、搬送車(AGV:Auto Guided Vehicle)に保管箱を載せて搬送する方式も併用されるようになってきた。しかしこの方式では、AGVからコンベアなどの間で保管箱を移載する必要があり、作業員による人手で行うと非効率であるため、ロボットアームでコンベアからAGV上に保管箱を移載する方式が提案されている。また、特許文献1では、搬送部の各ローラ間の間隙に一致するスリット構造をAGV上に設け(FIG.9A,FIG9Bなど)、コンベア直下で、上下させることによりコンベア上の保管箱を移載する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0297936号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
AGVが被搬送物を搬送してコンベアへと移載する場合に、AGVをコンベア周囲に位置決めして停止した後に、被搬送物をコンベアへ移載する方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、AGVのコンベアへの位置決めをして停止制御のための時間や、被搬送物の移載動作のための時間が発生し、AGVおよびコンベアによる搬送システムの搬送効率に影響を与える可能性があった。
【0007】
そのため、搬送システムの搬送効率を低下させないように、AGVが移動を続けながらコンベアへ物品を受け渡すような搬送システムを利用することが考えられる。例えば、特許文献1に記載された搬送システムにおいては、AGVの積載面に設けられた突起構造がコンベアの積載面における間隙をすり抜けられるように構成されており、AGVがコンベアの下を横切って移動することにより、被搬送物がコンベア上に移載させる。この場合、AGVがコンベアの下を横切って移動しながら被搬送物をコンベアへ移載可能であり、搬送システムの搬送効率が低下するのを抑制することができる。しかしながら、この場合、搬送された被搬送物の速度とコンベアの移動速度差が大きくことなるため、移載部の領域を大きく取る必要があり(FIG.5、FIG.29Aなどを参照のこと)、設置面積が大きくなる課題がある。そこで、コンベアに設けられたガイドレールに接触してせき止められるような構成が考えられるが、AGVが一定以上の速度で走行すると被搬送物がガイドレールに接触する際に跳ね戻りが起きてしまい、かえって被搬送物への負荷や搬送システムの搬送効率が低下する可能性がありうる。
【0008】
本発明の目的は、搬送車からコンベアに搬送物を移載するコンベアの制御に関して、搬送効率を低下させることなく、被搬送物にかかる負荷を抑えることのできる搬送システムおよび搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の搬送システムの構成は、好ましくは、ベルト上に平行配置された複数のローラにより荷物を搬送するコンベア装置と、被搬送物を搬送してコンベア装置に被搬送物を受け渡す搬送車と、を備える搬送システムであって、コンベア装置は、当該コンベア装置の一端のガイドレールとガイドレールに回転可能に取り付けられたローラと、搬送車が搬送した被搬送物とローラ上に載せることにより、搬送車が搬送した被搬送物を取り込むコンベア移載装置を有し、搬送車は、上面に被搬送物を積載するための台座を有し、台座は、被搬送物と接触する面に複数の突起構造を有し、複数の突起構造の突起は、搬送車がコンベア移載装置の下に移動する際に、コンベア移載装置における複数のローラの間に位置するように配置されており、コンベア移載装置におけるローラは、コンベア装置が被搬送物を搬送方向に移動させたときに、ローラが被搬送物と接触する部分の移動方向が、コンベア装置が荷物を搬送する搬送方向に対して、搬送車のコンベア移載装置の下への進入方向に傾斜するような摺動構造を有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送車からコンベアに搬送物を移載するコンベアの制御に関して、搬送効率を低下させることなく、被搬送物にかかる負荷を抑えることのできる搬送システムおよび搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る搬送システムのハードウェア・ソフトウェア構成図である。
図2A】搬送車の正面図である。
図2B】搬送車の側面図である。
図3】実施形態1の搬送システムのローラコンベアの構造とローラコンベアにおける被搬送物の移載動作を説明する図である。
図4A】実施形態2のローラコンベアの構造を説明する図である(その一)。
図4B】実施形態2のローラコンベアの構造を説明する図である(その二)。
図5】実施形態3のコンベア装置のローラコンベアの構造とローラコンベアにおける被搬送物の移載動作を説明する図である。
図6】実施形態3のコンベア装置の処理を示すフローチャートである。
図7】実施形態3の搬送システムのローラコンベアの構造とローラコンベアにおける被搬送物の移載動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0013】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0014】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0015】
実施例において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0016】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施例において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0017】
以下、本発明に係る各実施形態を、図1ないし図7を用いて説明する。
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1を、図1ないし図3を用いて説明する。
【0019】
先ず、図1を用いて実施形態1に係る搬送システムの構成について説明する。
本実施形態の搬送システムは、図1に示されるように、搬送システム制御装置100、搬送車1、コンベア装置300がそれぞれネットワーク90により接続された形態である。
【0020】
搬送システム制御装置100と、搬送車1のネットワーク90の接続は、アクセスポイント(図示せず)を介して無線接続となる。搬送システム制御装置100と、コンベア装置300のネットワーク90の接続は、アクセスポイント(図示せず)を介した無線接続であってもよいし有線接続であってもよい。
【0021】
搬送システム制御装置100は、搬送車1、コンベア装置300に指令し、搬送車1に積載しているから被搬送物をコンベア装置300に移動させ、その後は、コンベア装置300により、例えば、倉庫の保管位置や作業者の取り出し位置まで、搬送するように制御する。
【0022】
搬送システム制御装置100は、演算装置110、主メモリ120、入力装置130、出力装置140、記憶装置150、通信インタフェース170を含むコンピュータで実現することができる。
【0023】
演算装置110は、搬送システム制御装置100の各部を制御し、必要なプログラムを主メモリ120にロードして実行するプロセッサである。
【0024】
記憶装置150は、HDD(Hard Disk Drive)、SDD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置であり、演算装置110が実行するプログラムと、プログラムが使用するデータを格納する。搬送システム制御装置100には、経路作成プログラム161、データ入出力プログラム162、搬送車制御プログラム163がインストールされ、
また、記憶装置150には、オーダー情報データ200、地図情報データ210、装置情報データ220、経路データ230、計測データ240が格納される。
【0025】
経路作成プログラム161は、被搬送物400の位置に基づき、搬送車1が行き先のコンベア移載装置340まで移動する経路を算出するプログラムである。
【0026】
データ入出力プログラム162は、オーダー情報の受け付けや、搬送車1からセンサデータの受け付け等を実施し、被搬送物400の情報の出力などを実施するプログラムである。
【0027】
搬送車制御プログラム163は、経路作成プログラム161が算出した経路と、搬送車1の状態等に基づいて、利用可能な搬送車1に搬送する被搬送物400と、搬送先を指令する。
【0028】
オーダー情報データ200は、物品の搬送を要求するオーダーの情報のデータであり、被搬送物400および被搬送物400の収納されている箱の情報に関するデータである。被搬送物400の収納されている箱の情報も含むのは、梱包がダンボール箱であるか、金属であるかなどにより、搬送車1の制御を変える必要性が生じるからである。地図情報データ210は、倉庫内の地図情報に関するデータである。装置情報データ220は、搬送車1やコンベア移載装置340などの位置や稼働状態などのデータである。経路データ230は、搬送車1毎の経路の情報に関するデータである。計測データ240は、各搬送車1から受信したセンサデータや位置情報等のデータである。
【0029】
入力装置130は、例えば、キーボードやマウスあるいはタッチパネル等である。出力装置140は、ディスプレイ、プリンタ等である。通信インタフェース170は、ネットワーク90を介して、それぞれ搬送車1とコンベアと通信を行うためのインタフェース装置である。
【0030】
搬送車1は、搬送システム制御装置100からの指令に応じて被搬送物400を自律的に搬送する自動走行ロボットである。搬送車1は、制御装置2、記憶装置4、駆動装置7と、車載センサ5、通信インタフェース6を有する。
【0031】
制御装置2は、演算装置21と、主メモリ21、不揮発メモリ23からなる。不揮発メモリ23には、自己位置推定プログラム24、走行制御プログラム25、通信プログラム26がインストールされており、主メモリ21にロードされて演算装置21によって実行される。演算装置21は、例えば、マイクロコンピュータのような機械命令を実行するプロセッサであり、各機能部のプログラムに従って処理を実行することによって、所定の機能を発揮する装置である。例えば、演算装置21は、走行制御プログラム25に従って処理を実行することにより、走行制御を行う。他のプログラムの処理についても同様である。
【0032】
自己位置推定プログラム24は、車載センサ5が取得する床面に設置したマーカ9の画像データ等に基づいて搬送車1の位置を算出する機能を実行するプログラムである。走行制御プログラム25は、搬送車1の現在位置と、搬送システム制御装置100から受信した経路データに基づいて、駆動装置7を制御する機能を実行するプログラムである。通信プログラム26は、ネットワーク90を介して搬送システム制御装置100と通信を行う機能を実行するプログラムである。
【0033】
記憶装置4は、不揮発性のフラッシュメモリのような記憶媒体で構成されており、各プログラムが使用するデータを格納する。データの一例としては、経路データ41と、地図情報データ42と、計測データ43と、装置情報データ44が含まれる。
【0034】
経路データ41は、搬送システム制御装置100から受信した経路データ230である。地図情報データ42は、搬送システム制御装置100から受信した地図情報データ210である。計測データ43は、車載センサ5が取得したセンサデータである。
【0035】
装置情報データ44は、搬送車1の識別子や状態に関するデータである。
【0036】
駆動装置7は、台車71、モータ72、駆動輪73、バッテリ74からなる。モータ72は、駆動輪73を駆動する動力源となる機構であり、バッテリ74は、モータ72に電力を供給する。
【0037】
車載センサ5は、床を撮影するカメラや、振動を検出する加速度センサ等で構成される。床面にマーカ9などの位置情報や経路情報が付与されている場合、車載センサ5としてのカメラで床面を撮影し、自己位置推定プログラム24でマーカ9を識別することにより、搬送車1の現在位置を特定することができる。車載センサ5としての加速度センサは、搬送車1の振動(加速度)を検出することができる。
【0038】
コンベア装置300は、搬送システム制御装置100からの指令に応じて、搬送車1が搬送した被搬送物400を受け取り、搬送する移送装置である。コンベア装置300は、制御装置32、記憶装置31、コンベア移載装置340、コンベア搬送装置350、在荷センサ330と、通信インタフェース30からなる。
【0039】
制御装置32は、演算装置321、主メモリ322、不揮発メモリ323からなる。不揮発メモリ323には、ローラ制御プログラム333と、通信プログラム334がインストールされており、主メモリ322にロードされて演算装置321によって実行される。演算装置321は、例えば、マイクロコンピュータのような機械命令を実行するプロセッサである。
【0040】
ローラ制御プログラム333は、在荷センサ330が検出した被搬送物400との距離、速度、被搬送物400や被搬送物400の収納された箱の重さや材質などに基づいてコンベア移載装置340やコンベア搬送装置350のローラ回転速度や回転方向を算出する機能を実行するプログラムである。なお、被搬送物400や被搬送物400の収納された箱に関する情報は、搬送システム制御装置100から受信し搬送物データ313に記録された情報である。
【0041】
通信プログラム334は、ネットワーク90を介して搬送システム制御装置100と通信を行う機能を実行するプログラムである。
【0042】
記憶装置31は、不揮発性のフラッシュメモリのような記憶媒体で構成されており、各プログラムが使用するデータを格納する。データの一例としては、装置情報データ311と、計測データ312と、搬送物データ313が含まれる。
【0043】
搬送物データ313は、搬送システム制御装置100から受信した被搬送物400や被搬送物400の収納された箱の重さや材質などのデータである。計測データ312は、在荷センサ330が取得したセンサデータである。装置情報データ311は、コンベア装置300の識別子や状態に関する情報のデータである。
【0044】
コンベア移載駆動装置34は、複数のローラ341、モータ342からなる。モータ342は、ローラ341を回転させる機構である。
【0045】
コンベア搬送駆動装置35は、複数のローラ351、モータ352からなる。モータ352は、ローラ351を回転させる機構である。
【0046】
通信インタフェース30は、搬送システム制御装置100や搬送車1と通信を行うインタフェース装置である。
【0047】
次に、図2Aおよび図2Bを用いて搬送車の外観と構造の概要について説明する。
【0048】
本実施形態の搬送車1は、図2Aに示されるように、直進および旋回可能な直方体の台車31と、その台車31の上面に配置されて被搬送物400を積載する台座75を含む自律走行装置である。
【0049】
台座75の上方には、複数の突起構造61が設けられている。各々の突起構造61の高さhと突起幅wは、通過するローラ341の直径より大きくなるように設計されており、搬送車1がコンベア移載装置340(後述)を通過するときに、ローラ341(後述)が被搬送物400と筐体8との間を通過可能となる。台車31の前面には車載センサ5が設置されており、図2Bの側面図に示されるように、その車載センサ5により、搬送車1の前方の下面に設置されているマーカ9との位置と姿勢を計測する。
【0050】
なお、車載センサ5が磁気マーカリーダの場合は、マーカ9は、磁気マーク、RFリーダの場合は、RFタグなどを用いる。また、マーカ9の設置位置も、図2Bのような床面に限定せず、壁面や天井面などに設置してもよい。また、車載センサ5の取り付け位置は、筐体前面に限定するものではなく、筐体の下面や上面であってもよい。
【0051】
また、駆動輪33は、一方向に進行する一般的なタイヤに限定するものではなく、複数方向に移動可能なオムニホイールやメカナムホイールなどであってもよい。
【0052】
次に、図3を用いて実施形態1のコンベア装置のローラコンベアの構造とローラコンベアにおける被搬送物の移載動作について説明する。
先ず、コンベア装置のローラコンベアの構造の概要について説明する。
【0053】
コンベア装置300の駆動機構であるローラコンベア360は、図3に示されるように、被搬送物400が移載されるコンベア移載装置340と、移載された被搬送物400を棚等に搬送するコンベア搬送装置350が連結された構成である。コンベア移載装置340は、ガイドレール380が一端にあり、そのガイドレールにベルト上に平行配置されたローラ341が回転可能なように取り付けられている。コンベア搬送装置350は、ガイドレール380が両端にあり、両端のガイドレール380にベルト上に平行配置されたローラ351が回転可能なように取り付けられている。
【0054】
コンベア移載装置340は、螺旋状摺動構造390の付いたローラ341が複数本、ガイドレール380に回転可能なように設置されている。螺旋状摺動構造390は、例えば、ローラ341の表面上に設ける螺旋状突起構造である。また、ガイドレール380には、搬送車1に搭載された被搬送物400との距離を計測する在荷センサ330が設置されている。また、コンベア移載装置340の床面には、マーカ9が設置されており、搬送車1は、このマーカ9よりコンベア移載装置340との相対的な高精度の位置決めを行うことができる。
【0055】
なお、複数あるローラ330の螺旋状摺動構造390の螺旋方向は全て同じであり、本実施形態ではガイドレール380から見て左旋回方向(左ねじ、S巻き)である。
【0056】
コンベア移載装置340のローラ341は、搬送車1または搬送システム制御装置100からの被搬送物400の重さ、被搬送物400の寸法などの情報と、在荷センサ330からの検出した位置や速度の情報に基づき、回転方向、回転速度が制御される。
【0057】
なお、被搬送物400の位置検知は、在荷センサ330に限定するものではなく、搬送車1から送信される位置情報などを用いてもよい。
【0058】
次に、ローラコンベアの被搬送物の移載動作について説明する。
【0059】
被搬送物400を台座75に積載した搬送車1は、床面に埋め込まれたマーカ9との相対位置情報に基づき、台座75の突起構造61がローラ341と接触しないように、Y軸方向位置と姿勢を維持しながらコンベア移載装置340に向かってに移動(+X方向)する(図3のStep1:移載前の状態)。
【0060】
コンベア移載装置340は、ガイドレール380に設置した在荷センサ330が搬送車1で搬送されてきた被搬送物400がコンベア移載装置340のローラ341上に到達したことを検知すると、ローラ341を右旋回方向(ガイドレール380から見て、時計回り方向)に回転させる。搬送車1がさらに+X方向に進むと、搬送車1はガイドレール380の下を通過するが、被搬送物400はガイドレール380に衝突しローラ341上に落下する。
【0061】
従来のコンベア移載装置340では、被搬送物400は、移載されたローラ341が右旋回方向に回転することで、ローラ341との摺動が発生し、搬送方向(+Y方向)に移動されるが、ガイドレール380との衝突の反力でガイドレール380と反対方向(-X方向)にも移動することになる。その結果、被搬送物400は、コンベア搬送装置350に搬送されるまでにガイドレール380と反対方向(-X方向)に移動し、コンベア移載装置から落下したり、コンベア搬送装置350のガイドレール380と接触し搬送詰まりの原因となる。
【0062】
本実施形態では、被搬送物400と接触するローラ341に左旋回の螺旋突起構造390を設ける。螺旋突起構造390は、コンベア装置300の荷物の搬送方向に荷物を搬送するようにローラ341を回転させた際に、ローラ341表面が被搬送物400と接触する部分の移動の方向が、被搬送物400の進入方向に対して傾斜するような誘導機構である。左旋回の螺旋突起構造をもつローラ341を右旋回させると、ローラ341上の被搬送物400との接触面は右斜め上方向(X、Y軸の合成成分方向)に移動し、被搬送物400に右斜め上方向(X、Y軸の合成成分方向)に摩擦力が発生する(図3のStep2:移載後の状態)。
【0063】
すなわち、コンベア移載装置300におけるローラ341は、コンベア装置300が被搬送物400を搬送方向(+Y方向)に移動させたときに、ローラ341が被搬送物400と接触する部分の移動方向が、コンベア装置300が荷物を搬送する搬送方向に対して、搬送車1のコンベア移載装置300の下への進入方向(+X方向)に傾斜するような摺動構造を有する。
【0064】
すなわち、左旋回の螺旋突起構造390のローラ341の向きは、ローラ341が回転した場合に、摺動力Fが被搬送物400の搬送方向の力Fyと被搬送物400からガイドレールに向く方向の力Fxの合力となる向きである。
【0065】
このとき、+Y方向の摩擦力は被搬送物400を+Y方向に搬送する効果となるが、+X方向の摩擦力は、被搬送物400がガイドレール380との衝突で受けた反力で生じた-X方向の慣性エネルギーを打ち消す効果となる。その結果、ガイドレール380で衝突し、-X方向に弾かれた被搬送物400は、+Y方向に移送される過程で+X方向の摩擦力により‐X方向の進行速度が減衰し、最終的には+X方向に移動する。それにより、被搬送物400はコンベア移載装置340のガイドレール380に押し付けられ、X軸方向位置が安定した状態でコンベア搬送装置350の方向(+Y方向)に搬送される。これにより、被搬送物がガイドレールに接触する際の跳ね戻りが低減され、被搬送物へ加わる負荷や搬送システムへ与える影響を低減することが出来る。また、従来技術のコンベア移載装置340で見られたような、被搬送物400のコンベア移載装置340からの落下や搬送詰まりなどの好ましくない事象を回避することができる。
【0066】
なお、ローラ341上の螺旋状摺動構造390は、平坦なローラ表面にテープなどを螺旋状に貼付した構造や、平坦なローラ表面に螺旋状の溝を形成する構造でもよい。
【0067】
また、ガイドレール380に衝突によるエネルギーを吸収するダンパー構造を設けることで、被搬送物400の衝突による反動を抑制してもよい。
【0068】
次に、搬送システムによる搬送車の速度制御とローラの回転制御について説明する。
【0069】
ローラ341と被搬送物400との接触面の摩擦力は、被搬送物400の種類、形状により異なり、さらに、被搬送物400がガイドレール380との衝突で受ける反力は、被搬送物400の移載速度や被搬送物400の重量などにより異なる。
【0070】
コンベア装置300は、記憶装置31に格納された搬送物データ313から被搬送物の速度、重さや被搬送物400の格納している箱の材質などのデータを用い、ローラ制御プログラム333で制御可能なローラ341の回転速度を演算する。例えば、ローラ341と被搬送物400との摩擦力が小さくなる条件として、被搬送物400が軽く底面がフッ素樹脂などの材料の場合は、ローラ341の回転数を上げる。
【0071】
一方で、搬送車1がコンベア移載装置340に進入する速度は、搬送車1に積載している被搬送物400の重量や底面の材質・形状などにより、減速する制御を行ってもよい。以下に処理の流れを説明する。
【0072】
搬送車1がコンベア移載装置340へ進入するとき、コンベア装置300は、コンベア移載部341に設置した在荷センサ330で被搬送物400の位置や速度を計測する。また、コンベア装置300は、記憶装置31に格納された搬送物データ313から被搬送物400の重さや被搬送物400の格納している箱の材質などのデータを用いてローラ制御プログラム333で許容可能な搬送車1の進入速度を演算する。例えば、ローラ341と被搬送物400との摩擦力の小さくなるような場合、すなわち、被搬送物400が軽く、底面がフッ素樹脂などの材料の場合で、測定された進入速度が許容速度を上回っていると判定された場合は、コンベア装置300から搬送車1へネットワーク90を介して進入速度を下げる指示を出す。
【0073】
それにより、被搬送物400がガイドレール380との衝突で発生する反力を抑制し、コンベア移載装置340の螺旋状摺動構造390を有するローラ341で制御できる範囲を超え、被搬送物400がコンベア移載装置340から落下等の制御不能となることを抑制することができる。
【0074】
以上の説明では、コンベア装置300が、搬送車の速度制御とローラの回転制御を行う例を説明したが、搬送システム制御装置100が行うようにしてもよい。
【0075】
以上のように、本実施形態の搬送システムによれば、コンベア搬送装置350に載せるための特別な別エリアを用意することなく、コンベア搬送装置350に連結した形でコンベア移載装置340を設置できるため、省スペースであり、同時に、ローラ341に設けた螺旋状摺動構造390と被搬送物400間に発生する摺動力により、被搬送物400のコンベア移載装置340からの落下や搬送詰まりなどの好ましくない事象を回避することができる。
【0076】
〔実施形態2〕
以下、本発明の実施形態2を、図4Aおよび図4Bを用いて説明する。
【0077】
実施形態1では、コンベア装置300のローラ341に螺旋状摺動構造390を設けることにより、被搬送物400のコンベア移載装置340からの落下や搬送詰まりなどの事象を防止することのできる搬送システムについて説明した。
【0078】
本実施形態は、実施形態1と同様の効果を得られるコンベア装置300のローラ341の構造について説明する。以下、実施形態1と異なる所を中心に説明する。
【0079】
本実施形態のローラコンベア360は、実施形態1と同様に、被搬送物400が移載されるコンベア移載装置340と、移載された被搬送物400を棚等に搬送するコンベア搬送装置350が連結された構成であることは同様であるが、ローラ341の構造が異なっている。
【0080】
本実施形態のコンベア装置300のローラ343の構造は、図4Aに示すように、Y軸方向に傾斜させた構造である。すなわち、搬送車1がコンベア移載装置340の下に進入する部分であるローラ343の先端は、ガイドレール380に取り付けられた一端の部分よりY軸方向に進んだ位置である。これにより、コンベア装置300の荷物の搬送方向に荷物を搬送するようにローラ343を回転させた際に、ローラ343表面が被搬送物400と接触する部分の移動の方向が、被搬送物400の進入方向に対して傾斜することとなる。そして、ローラ343と被搬送物400との接触面が右斜め上方向(X、Y軸の合成成分方向)に摺動する力が働くことになる。
【0081】
また、別の実施形態としては、図4Bに示すように、コンベア移載装置340のローラ344の直径が、搬送車1がコンベア移載装置340の下に進入する方向(+X方向)に向かって小さくなるテーパ構造であってもよい。すなわち、ローラ344の直径は、ローラ343の先端の直径からは、ガイドレール380に取り付けられた一端の部分の直径がX軸方向に線形的に小さくなっている。
【0082】
この場合、ローラ344が被搬送物400と接触する接線の移動速度は、先端に比べ根元の方が遅いため、被搬送物400にはローラ344の回転軸に対して傾斜した方向(X、Y軸の合成成分方向)に摺動する力が働くことになる。
【0083】
本構成により、実施形態1の摺動構造と同様に、被搬送物がガイドレールに接触する際の跳ね戻りが低減され、被搬送物へ加わる負荷や搬送システムへ与える影響を低減することが出来る。そのため、実施形態1に記載された摺動構造の代替手段として利用することが出来る。
【0084】
〔実施形態3〕
以下、本発明の実施形態3を、図5および図6を用いて説明する。
【0085】
実施形態1では、コンベア装置300のローラ341に螺旋状摺動構造390を設けることにより、被搬送物400のコンベア移載装置340からの落下や搬送詰まりなどの事象を防止することのできる搬送システムについて説明した。
【0086】
本実施形態でも同様の課題を解決する搬送システムに関するものであり、コンベア装置300は、よりきめの細かな制御を行って、被搬送物400のコンベア移載装置340からの落下や搬送詰まりなどの事象を防止するものである。
【0087】
本実施形態のコンベア装置300のローラコンベア360には、被搬送物400の搬送方向の逆向きのコンベア移載装置340の端の箇所に逆走防止板370が設けられている。逆走防止板370は、コンベア移載装置340上の所定の位置に、被搬送物400がコンベア装置による荷物の搬送方向とは逆の方向に所定の位置を超えて移動することを防ぐものである。
【0088】
本実施形態のコンベア装置300のコンベア移載装置340のローラ341上に移載された被搬送物400は、搬送車1による搬送時の慣性力によりガイドレール380方向(+X方向)へ移動する。一方、コンベア装置300は、ローラ341を左旋回(ガイドレール380から見て、反時計回り)させ、それにより被搬送物400は、左斜め下方向(X、Y軸の合成成分方向)に摺動力を受ける(図5のStep1:被搬送物移送)。左旋回は、コンベア装置による荷物の搬送方向へ搬送する際のローラ341の回転方向とは逆方向である。
【0089】
その結果、被搬送物400は、右斜め下方向(X、Y軸の合成成分方向)へ移動し、減速しながら逆走防止板370に衝突し、その後ガイドレール380方向(+X方向)へ移動する(図5のStep2:減速)。被搬送物400がガイドレール380に衝突したことを、在荷センサ330が検知すると、コンベア装置300は、ローラ341の回転方向を逆方向の右旋回(ガイドレール380から見て、時計回り)に切り替える。右旋回は、コンベア装置による荷物の搬送方向へ搬送する際のローラ341の回転方向である。
【0090】
その結果、被搬送物400には右斜め上方向(X、Y軸の合成成分方向)の摺動力が発生し、被搬送物400がガイドレール380との衝突で発生した反力は抑制されながら、ガイドレール380に沿ってコンベア搬送装置350方向(+Y方向)に移動する(図5のStep3:搬送)。
【0091】
以上の制御により、搬送車1がコンベア移載装置340に被搬送物400を載せた最初の段階でのガイドレール380に衝突する衝撃を低減すると共に、被搬送物400が減速しながら逆走防止板370に衝突し、ガイドレール380に到達した後では、ローラ341の回転方向が切り替わり、被搬送物400に対して逆方向の摺動力が働くため、被搬送物400は、ガイドレール380に押し付けられて、ローラコンベア360上で安定した搬送を実現できる。
【0092】
次に、図6を用いてコンベア装置の処理について説明する。
本実施形態のコンベア移載装置340では、被搬送物400は、ガードレール380に衝突する前に、ローラ341に接触し、移載される。そのため、移載された被搬送物400はローラ341上をガイドレール380方向(+X方向)へ移動するため、ローラ341の回転方向・速度に応じた摩擦力により移動速度が変化する。
【0093】
コンベア移載装置340に設置した在荷センサ330は、接近する搬送車1に搭載されている被搬送物400の位置と速度を計測している(S01)。
【0094】
コンベア装置300は、被搬送物400の速度が制限速度未満であるか否かを判定し(S02)、被搬送物400の速度が制限速度以上であるときには(S02:NO)、搬送車1に対して通信により減速するように指示し(S03)、被搬送物400の速度が制限速度未満であるときには(S02:YES)、S04に行く。
【0095】
次にコンベア装置300は、被搬送物400のコンベア移載装置340の位置に到着したと判定したとき(S04:YES)、計測した被搬送物400の速度、搬送物データ313に格納されている被搬送物400の重さ、材質から、ローラ341の左旋回方向の回転速度を決定し(S05)、それに従い、ローラ341の回転を制御する(S06、図5のStep1:被搬送物移送)。
【0096】
次に、コンベア装置300は、コンベア移載装置340に移載された被搬送物400の位置が、在荷センサ330によりガイドレール380に到達したと判定すると(S07)、ローラ341を右旋回方向の回転に切り替える(S08、図5のStep2:減速、Step3:減速)。
【0097】
〔実施形態4〕
以下、本発明の実施形態4を、図7を用いて説明する。
【0098】
実施形態1、実施形態3では、ローラに螺旋状摺動構造を設けることにより、被搬送物400の速度を制御する例を説明してきた。
【0099】
本実施形態のコンベア装置300は、コンベア移載装置340のローラに対する設置方法を異ならしめたものである。
【0100】
実施形態1のコンベア装置300では、ローラ341は、床面に対して水平に向いていたが、本実施形態では、図7に示されるように、ローラ345を床面に対して斜めにして、被搬送物400の進入方向に対して勾配を設けている。
【0101】
床面に対して斜めに設置されたローラ345において、被搬送物400の移載時にコンベア移載装置340と被搬送物400の状態を時間遷移に沿って示すと、順に、図7のStep1、Step2、Step3に示されるようになる。コンベア移載装置340のローラ345は、搬送車1がコンベア移載装置340の下に進入する先端の高さが、もう一方の端部よりも低くなるように傾斜している。すなわち、ローラ345のガイドレール380に取り付けられた一端が高く、ローラ345の先端が低くなっている。
【0102】
本実施形態のコンベア装置300では、搬送車1で搬送された被搬送物400は、コンベア移載装置340のガイドレール380に衝突する前に勾配のあるローラ345に接触する(図7のStep1:搬送車/ローラ交差)。
【0103】
そして、被搬送物400は、搬送時の慣性力(+X方向)で勾配のあるローラ345の表面を移載方向(+X方向)に滑走すると共に、ローラ345の勾配により、床面からの高さが上昇(+Z方向に移動)する(図7のStep2:被搬送物移設、Step3:被搬送物位置移動)。被搬送物400の床面からの高さが上昇すると、被搬送物400の運動エネルギーの一部が位置エネルギーへ変換されるため、被搬送物400がガイドレール380に衝突するときの運動エネルギーおよび衝突による反発力が抑制でき、ローラ345の回転により生じる摺動力で被搬送物400の位置制御をしやすくなる。すなわち、実施形態1の摺動構造と同様に、被搬送物がガイドレールに接触する際の跳ね戻りが低減され、被搬送物へ加わる負荷や搬送システムへ与える影響を低減することが出来る。そのため、実施形態1に記載された摺動構造の代替手段として利用することが出来る。また、被搬送物400がガイドレール380に接触するまでにローラ345上を摺動することで、運動エネルギーが摩擦エネルギーに変換される効果も期待できる。
【符号の説明】
【0104】
1…搬送車、2…制御装置、3…駆動装置、4…記憶装置、5…車載センサ、6…通信インタフェース、7…駆動装置、8…筐体、9…マーカ、21…演算装置、22…主メモリ、23…不揮発メモリ、24…自己位置推定プログラム、25…走行制御プログラム、26…通信プログラム、41…経路データ、42…地図情報データ、43…計測データ、44…装置情報データ、71…台車、72…モータ、73…駆動輪、74…バッテリ、75…台座、
90…ネットワーク、
100…搬送システム制御装置、110…演算装置、120…主メモリ、130…入力装置、140…出力装置、161…経路作成プログラム、162…データ入出力プログラム、163…搬送車制御プログラム、170…通信インタフェース、200…オーダー情報データ、210…地図情報データ、220…装置情報データ、230…経路データ、240…計測データ、
300…コンベア装置、30…通信インタフェース、31…記憶装置、32…制御装置、33…在荷センサ、34…コンベア移載駆動装置、35…コンベア搬送駆動装置、311…装置情報データ、312…計測データ、313…搬送物データ、330…在荷センサ、333…ローラ制御プログラム、340…コンベア移載装置、341,343,344,345…ローラ、342…モータ、350…コンベア搬送装置、351…ローラ、352…モータ、360…ローラコンベア、370…逆走防止板、380…ガイドレール、390…螺旋状摺動構造、
400…被搬送物
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7