(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011981
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】水位計の配置の最適化方法、マンホールの水位の予測方法およびマンホールの水位の予測システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20250117BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20250117BHJP
G01W 1/10 20060101ALI20250117BHJP
E03F 5/02 20060101ALI20250117BHJP
E03F 7/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
G06Q50/26
G01W1/00 Z
G01W1/10 P
E03F5/02
E03F7/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114473
(22)【出願日】2023-07-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】319017054
【氏名又は名称】日本インフラ計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】樋口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕貴
【テーマコード(参考)】
2D063
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2D063DA07
2D063EA03
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】より効率的にマンホールの水位を予測する。
【解決手段】水位計の配置の最適化方法であって、所定地域に設けられる複数のマンホールに備えられた各々の水位計により取得された各々の水位データを取得するデータ取得ステップと、各々の水位データに対するクラスタリングを行うことで、複数のマンホールを一以上のクラスタに分類する分類ステップと、一以上のクラスタに含まれる複数のマンホールから、一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する決定ステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水位計の配置の最適化方法であって、
所定地域に設けられる複数のマンホールに備えられた各々の水位計により取得された各々の水位データを取得するデータ取得ステップと、
前記各々の水位データに対するクラスタリングを行うことで、前記複数のマンホールを一以上のクラスタに分類する分類ステップと、
前記一以上のクラスタに含まれる複数のマンホールから、一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する決定ステップと、
を含む、水位計の配置の最適化方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記決定ステップにおいて、前記クラスタリングの結果に基づいて、前記一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する、
水位計の配置の最適化方法。
【請求項3】
請求項2に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記分類ステップにおいて用いられるクラスタリングは、階層クラスタリングであり、
前記決定ステップにおいて、前記階層クラスタリングによる近似性に基づいて、前記一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する、
水位計の配置の最適化方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記決定ステップにおいて、前記水位計の配置個数の上限が設定されている場合に、前記クラスタリングの結果に基づいて、前記代表マンホールを決定する、
水位計の配置の最適化方法。
【請求項5】
請求項1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記データ取得ステップにおいて、さらに前記マンホールに係る降水量のデータを取得し、
前記分類ステップにおいて、前記降水量のデータと前記各々の水位データを用いてクラスタリングを行う、
水位計の配置の最適化方法。
【請求項6】
請求項1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記水位データは、時系列の水位データである、
水位計の配置の最適化方法。
【請求項7】
マンホールの水位の予測方法であって、
所定地域に設けられる一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記所定地域に係る予測雨量データとを取得する過去データ取得ステップと、
前記取得した前記一のマンホールの過去の時系列の水位データと、予測雨量データとを所定のエンジンに入力することにより、前記一のマンホールの将来の時点の水位の予測情報を出力する出力ステップと、
を含む、マンホールの水位の予測方法。
【請求項8】
請求項7に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記過去データ取得ステップにおいて、前記一のマンホールと近接する他のマンホールの過去の時系列の水位データをさらに取得し、
前記出力ステップにおいて、前記他のマンホールの過去の時系列の水位データを前記所定のエンジンに入力する、
マンホールの水位の予測方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記過去の時系列の水位データは、前記一のマンホールとは異なるマンホールに設けられた水位計により取得された水位データに基づいて推定される推定水位データを含む、
マンホールの水位の予測方法。
【請求項10】
請求項7または8に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記所定のエンジンは、少なくとも、前記一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記対象領域に係る過去の雨量データとを用いて学習して得られる学習モデルに基づくエンジンである、
マンホールの水位の予測方法。
【請求項11】
請求項10に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記所定のエンジンは、さらに前記一のマンホールと近接する他のマンホールの過去の時系列の水位データを用いて学習して得られる、
マンホールの水位の予測方法。
【請求項12】
請求項7または8に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記出力ステップにおいて、前記一のマンホールとともに、または前記一のマンホールに代えて、前記対象領域に含まれる他のマンホールのマンホールの将来の時点の水位の予測情報を出力する、
マンホールの水位の予測方法。
【請求項13】
マンホールの水位の予測システムであって、
対象領域に含まれる一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記所定地域に係る予測雨量データとを取得する過去データ取得部と、
前記取得した前記一のマンホールの過去の時系列の水位データと、予測雨量データを所定のエンジンに入力することにより、前記一のマンホールの将来の時点の水位の予測情報を出力する出力部と、
を含む、マンホールの水位の予測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水位計の配置の最適化方法、マンホールの水位の予測方法およびマンホールの水位の予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集中豪雨や雷雨による雨量の増加により、マンホールから水が溢れ、浸水被害が発生する事象が相次いでいる。そのため、浸水が想定される地域においては、マンホールにおける水位の変動(特に上昇)を実時間で計測し、かつ浸水を予測することが求められる。例えば特許文献1には、下水幹線内の水位やポンプ場の水位、降雨量等の情報を用いて、ポンプ場の水位や流入量を予測する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載した技術は、あくまでポンプ場への流入量の予測であり、下水道管内の水位の情報を用いる前提である。そのため、地上への溢水に関する予測はできない。また、地上への溢水に関する予測においては、下水管から地上へと繋ぐ空間であるマンホールの水位をモニタする必要がある。しかしマンホールは多数存在するため、すべてのマンホールの水位をモニタし、水位の変動を予測するには多数の水位計を設ける必要があり、実現は困難である。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、より効率的にマンホールの水位を予測することが可能な、新規かつ改良された水位計の配置の最適化方法、マンホールの水位の予測方法およびマンホールの水位の予測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、水位計の配置の最適化方法であって、所定地域に設けられる複数のマンホールに備えられた各々の水位計により取得された各々の水位データを取得するデータ取得ステップと、前記各々の水位データに対するクラスタリングを行うことで、前記複数のマンホールを一以上のクラスタに分類する分類ステップと、前記一以上のクラスタに含まれる複数のマンホールから、一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する決定ステップと、を含む、水位計の配置の最適化方法が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、マンホールの水位の予測方法であって、所定地域に設けられる一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記所定地域に係る予測雨量データとを取得する過去データ取得ステップと、前記取得した前記一のマンホールの過去の時系列の水位データと、予測雨量データとを所定のエンジンに入力することにより、前記一のマンホールの将来の時点の水位の予測情報を出力する出力ステップと、を含む、マンホールの水位の予測方法が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、マンホールの水位の予測システムであって、対象領域に含まれる一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記所定地域に係る予測雨量データとを取得する過去データ取得部と、前記取得した前記一のマンホールの過去の時系列の水位データと、予測雨量データとを所定のエンジンに入力することにより、前記一のマンホールの将来の時点の水位の予測情報を出力する出力部と、を含む、マンホールの水位の予測システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、より効率的にマンホールの水位を予測することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概要を説明するための説明図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るサーバ10の機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る分類部102によるマンホール4のクラスタリング処理の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る分類部102によるクラスタリング処理の結果の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る分類部102によるクラスタリング処理の結果の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るサーバ10による水位計の配置の最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係るサーバ10の機能構成例を示すブロック図である。
【
図8】本実施形態に係る学習エンジン112による水位の予測値を算出する処理の概要を示す図である。
【
図9】本実施形態に係るサーバ10によるマンホールの水位の予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態の一実施例を説明するためのグラフである。
【
図11】本実施形態に係るサーバ10のハードウェア構成の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
また、本明細書及び図面では、後述する代表のマンホールを代表マンホール4A、およびそれ以外のマンホールをマンホール4Bのように必要に応じて各マンホールを区別する。ただし、各マンホールを特に区別する必要が無い場合は、各マンホールを単にマンホール4と称する。
【0013】
本発明の一実施形態は、効率的にマンホールの水位を予測することが可能な情報処理システムに関する。かかるシステムは、例えば、マンホールの水位を予測し、マンホールの地上への溢水などによる、浸水被害の事前予測のために用いられ得る。このような下水道の雨水管理システムとしては、従来技術として、監視対象である領域の気象状況と、短時間の降雨予測モデルと、監視対象領域における雨水の流出解析モデルとを組み合わせたシステムが存在する。しかしながら、このようなシステムでは、地形の変動や市街地の造成、工事等により、流出解析モデルの正確性は担保されない。また、かかるシステムはあくまでもハザードマップのようなスタティックな解析には適するものの、リアルタイムで浸水予測を行うことは困難である。リアルタイムのモニタリングを実現するためには、マンホールの水位を逐次予測する技術が求められる。
【0014】
しかしながら、従来の下水道の管内の水位をリアルタイムで計測するシステムは、例えばスマートマンホールと呼ばれる、マンホールに水位計と無線伝送システムが一体化したデバイス等であり、非常に高価である。そのため、多数のマンホールの全てにかかるシステムを設置することは現実的ではない。そこで、本発明の一実施形態に係る水位計の配置の最適化方法では、所定地域に設けられるマンホールのうちどのマンホールに水位計を配置すべきかを、クラスタリングの手法を用いて最適化する。ここでいうクラスタとは、そのクラスタに含まれる複数のマンホールでの水位の時間的変化がどのマンホールでもみな似通っているものを指す。よって同一クラスタ内で、他のマンホールの水位を簡易な計算で推定することができる。これにより、最低限の水位計(無線伝送機能を持つため高価)の配置で想定浸水域をカバーすることが可能となる。また、かかる方法で配置が最適化された水位計から得られる時系列の水位データと、短時間先の降雨の予測情報を、予め訓練された水位予測エンジンに入力することで、マンホールの予測水位を出力することができる。これにより、限られた数の水位計を用いて、高い精度で想定浸水域の浸水予測が可能となる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概要を説明するための説明図である。本実施形態に係る情報処理システム1は、例えば
図1に示すように、サーバ10を有する。本実施形態に係る情報処理システム1は、例えば、他のサーバ20や、情報端末30を介して利用することが可能である。
【0016】
サーバ10と、他のサーバ20と、情報端末30は、ネットワークを介して互いに接続されている。
【0017】
本実施形態に係るサーバ10は、複数のマンホール4を域内に含む水位予測対象領域2における各マンホール4の水位を予測するためのサーバである。具体的には、サーバ10は、水位予測対象領域2において下水管3に設けられている複数のマンホール4のうちいくつかのマンホール4(
図1に示す例では代表マンホール4A)の過去の水位データ等を取得し、学習エンジンに取得したデータを入力し、該学習エンジンから出力されたマンホール4の水位に関する予測情報を出力する。サーバ10は、予測情報を、例えば他のサーバ20や情報端末30に出力する。なお、下水管3の種類は特に限定されず、下水管3は雨水管であってもよいし、汚水管であってもよいし、合流方式の下水管であってもよい。
【0018】
サーバ10は、後述するハードウェア構成を有するようなコンピュータ等のハードウェアであり得る。サーバ10を実現するハードウェアや、該ハードウェアが設けられる態様(例えば定置のサーバであるか、エッジデバイスのプロセッサであるか)は特に限定されず、一または複数のコンピュータやサーバにより実現され得るものである。他のサーバ20を実現するハードウェアも同様である。また、情報端末30を実現するハードウェアは、コンピュータやサーバであってもよいし、スマートフォン、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、ゲーム機等の任意の端末により実現されてもよい。
【0019】
他のサーバ20や情報端末30は、例えば、マンホールの水位に関する予測情報を取得し、活用するために使用される情報処理装置の一例である。他のサーバ20や情報端末30は、例えば、国や自治体の下水道に関する権限のある機関が有するものであってもよいし、一般のユーザが利用するものであってもよい。このような予測情報は、例えば、水位予測対象領域2における浸水を防ぐための手段を講じたり、浸水の可能性があることを住民等に通知したりするために用いられ得る。
【0020】
なお、後述するように、サーバ10は、他の機能として、または追加的に、水位予測対象領域2に含まれるマンホール4のうち、どのマンホール4が水位計を常時設置すべきかどうかを決定するための機能を有していてもよい。水位予測対象領域2に多くのマンホール4が設けられている場合、そのすべてに水位計を設置することが、コストや設備の制約により困難であるケースもある。一方で、適切なマンホール4に水位計を設置しなければ、マンホール4の水位予測が難しくなる場合も存在する。そこで、一の実施形態に係るサーバ10は、水位予測対象領域2に設けられるマンホール4のうち、限られた水位計をどのマンホール4に設置すべきかを最適化することができる。これにより、水位計の設置に係る制約のなかで、より精度の高いマンホール4の水位の予測が可能となる。
【0021】
以下、第1の実施形態では、サーバ10による水位計の配置の最適化方法の一例について説明する。また、第2の実施形態では、サーバ10によるマンホールの水位の予測方法の一例について説明する。これらの実施形態は同一のサーバ10により実現されてもよいし、異なるサーバにより実現されてもよい。
【0022】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るサーバ10の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係るサーバ10は、データ取得部101と、分類部102と、決定部103と、水位/降雨DB(データベース)104と、を有する。
【0023】
データ取得部101は、所定地域に設けられる複数のマンホールに備えられた各々の水位計により取得された各々の水位データを取得する機能を有する。例えば、データ取得部101は、過去に蓄積された水位データを、水位/降雨DB104や、外部のサーバから取得し得る。ここでいう水位データとは時系列の水位データである。時系列の水位データは、例えば数か月間取得連続的または断続的に取得された水位データである。
【0024】
水位データは、水位予測対象領域2の域内に設けられているマンホール4に設置されている水位計から適宜取得され得る。水位計の種類は設置態様については特に限定されず、マンホールにおける水位を連続的または断続的に取得できるものであればよい。
【0025】
また、データ取得部101は、マンホールに係る降水量のデータを取得してもよい。マンホールに係る降水量のデータは、例えば、マンホール4が設けられている水位予測対象領域2の属する地域における、気象庁等の機関が提供する過去の降水量のデータであってもよいし、水位予測対象領域2に設けられた水量計に基づく降水量のデータであってもよい。
【0026】
分類部102は、各々の水位データに対するクラスタリングを行うことで、複数のマンホールを一以上のクラスタに分類する機能を有する。分類部102は、例えば階層クラスタリング等の方法を用いて、複数のマンホール4を、一または複数のクラスタに分類する。ここでは、分類部102は、階層クラスタリングによる近似性に基づいて、一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する。近似性とは、例えば、水位の時間的変化の近似性を意味する。すなわち、水位の時系列変化がある程度似通っているものがあれば、クラスタリング処理において近似性が高いと判定される。その閾値はクラスタリング処理において適宜決定され得る。クラスタリングの手法は特に限定されないが、クラスタ内またはクラスタ外の距離を評価可能な手法が好ましい。
【0027】
図3は、本実施形態に係る分類部102によるマンホール4のクラスタリング処理の一例を示す図である。分類部102は、データ取得部101が取得したマンホール4の水位データの各々について、構造化クラスタリング等の技術を用いてクラスタリング処理を行う。これにより、例えば、水位予測対象領域2において、複数のクラスタ5(
図3に示す例では4つのクラスタ5)に分類され得る。
【0028】
図4および
図5は、本実施形態に係る分類部102によるクラスタリング処理の結果の一例を示す図である。例えば水位予測対象領域2において15個のマンホールが存在する場合に、
図4および
図5の結果から、4番、5番、13番のマンホールは他のマンホールとは独立したクラスタを形成していることが分かる。また、
図5に示すように、他のマンホールについても、複数のクラスタに分類され得る。例えば、上記の3つのマンホール以外のクラスタで、9番のマンホール単独のクラスタと、Cluster Aに分類することができる。さらにCluster Aのうち、6番のマンホール単独のクラスタと、Cluster A1と、Cluster A2に分類することができる。クラスタの粒度については適宜設定することができ、例えば後述するように、設置可能な水位計の配置個数の上限等に基づいて、このクラスタの粒度が決まってもよい。
【0029】
決定部103は、一以上のクラスタに含まれる複数のマンホールから、一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する機能を有する。例えば、決定部103は、
図3に示すように、分類部102によるクラスタリングの結果に基づいて、一以上の代表マンホール4Aをクラスタ5毎に決定する。
【0030】
例えば、
図4および
図5に示すように、水位計を設置すべき代表マンホール4Aとして、4番、5番、13番のマンホールを決定してもよい。4番、5番、13番のマンホールは、他のマンホールとは独立したクラスタであるため、これらのマンホールの水位を他のマンホールの結果から推定することは困難である。そのため、水位計の配置の最適化として、これらのマンホールを代表マンホール4Aとして決定する。
【0031】
また、決定部103は、水位計の配置個数の上限が設定されている場合に、クラスタリングの結果に基づいて、代表マンホールを決定してもよい。
図5に示すように、例えば水位計の配置個数の上限が5個である場合、決定部103は、他のクラスタから独立している4番、5番、13番のマンホール以外に、構造化ツリーの最上位から見て他のクラスタから最も孤立している9番のマンホールと、構造化ツリーの最下位から見て隣接するマンホールを最も包含する8番のマンホールとを、代表マンホールとして決定してもよい。これにより、クラスタリングの結果を反映した、最も効果的な配置を実現することができる。
【0032】
同様に、水位計の配置個数の上限が7個である場合は、上記の5個に加え、Cluster A1に含まれる1番のマンホールと、Cluster A2に含まれる6番のマンホールとを、代表マンホールとして決定してもよい。1番のマンホールと6番のマンホールは、他のマンホールから最も孤立しているため、より精度を向上させるために選択することが好ましい。
【0033】
次に、本実施形態に係るサーバ10による水位計の配置の最適化処理に関して説明する。
図6は、同実施形態に係るサーバ10による水位計の配置の最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップS101において、サーバ10のデータ取得部101は、複数のマンホールの過去の水位データ等を取得する。そして、ステップS103において、サーバ10の分類部102は、これらの水位データ等についてクラスタリング処理を行い、複数のマンホールを1または複数のクラスタに分類する。そして、ステップS105において、サーバ10の決定部103は、クラスタリングされたそれぞれのクラスタにおける代表マンホールを決定する。
【0034】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。本実施形態によれば、水位予測対象領域2に設けられているマンホールのすべてに水位計を設置しなくても、各クラスタに含まれるマンホールのうち少なくとも一つのマンホールを代表マンホールとして水位計を設置することで、後述するマンホールの水位予測において、十分なデータを得ることが可能となる。これにより、コストや設置等において制約がある場合においても、効果的な水位のモニタリングおよび予測が可能となる。また、降水量(雨量とも称する)のデータをクラスタリング処理に用いることにより、水位の変化と降水量との関連付けが可能であるため、降水の影響を反映させた最適化を行うことが可能となる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るサーバ10の機能構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態に係るサーバ10は、データ取得部111と、学習エンジン112と、出力部113と、水位/降雨DB(データベース)114と、を有する。
【0036】
データ取得部111は、所定地域(水位予測対象領域2)に設けられる一のマンホールの過去の時系列の水位データと、所定地域に係る予測雨量データとを取得する機能を有する。データ取得部111は、例えば、学習エンジン112の訓練に必要なデータとして、マンホールの過去の時系列の水位データと、マンホールに係る降水量のデータと、を取得し得る。マンホールに係る降水量のデータは、第1の実施形態において説明した降水量のデータと同じであってもよい。また、データ取得部111は、後述するように、一のマンホールに隣接するマンホールの過去の時系列の水位データを取得してもよい。所定地域に係る予測雨量データは、例えば気象庁等から取得されるデータであってもよいし、適宜所定地域に設けられた雨量計等により適宜予測されるデータであってもよい。時系列の水位データや、雨量のデータは、例えば数分おきに取得されるデータであり得る。これらのデータは水位/降雨DB114に蓄積されているものでもよいし、適宜外部から取得されるものであってもよい。
【0037】
学習エンジン112は、取得した前記一のマンホールの現在の水位データ、近接するマンホールの水位と、将来の予測雨量データを入力値として、将来の水位データの予測値を出力値として算出する学習モデルを有するエンジンである。以下、学習エンジン112の学習モデルの訓練時と予測活用時とに分けて説明する。
【0038】
学習エンジン112の学習モデルの訓練時に取得されるデータは、過去の時系列の水位データ、過去の降水量のデータだけではなく、例えば、一のマンホールに近接するマンホールの過去の時系列の水位データが含まれていてもよい。一のマンホールに近接するマンホールとは、例えば、下水管3における一のマンホールの上流側または下流側の少なくともいずれかに設けられるマンホールであり得る。これらのデータは、例えば、合成説明変数として一のベクトル等の変量にまとめられ得る。
【0039】
そして、実際のマンホールの過去の水位データ、近接するマンホールの過去の水位データ、過去の累積の降水量データ、そして結果としてのマンホールのその時点からの将来時点における水位を教師データとして、例えばサポートベクター回帰等の非線形重回帰分析や、ニューラルネットワークのような機械学習によって訓練され、学習モデルが生成され得る。なお、かかる学習モデルは、予測活用時においても適宜アップデートされるものであってもよい。かかる訓練は、例えば、上記実施形態における水位計の配置の最適化において各マンホールの水位計により取得される水位データや降水量データ等を活用するものであってもよい。
【0040】
これらのデータをもとに訓練された学習モデルに基づく学習エンジン(Trained Water Level Prediction Engine)は、現時点からr分後(rは任意の正の数)のマンホールの水位の予測値を算出するために用いられる。
図8は、本実施形態に係る学習エンジン112による水位の予測値を算出する処理の概要を示す図である。
図8に示すように、学習エンジン112は、予測対象のマンホールの過去の水位データl
P,tと、近接するマンホールの過去の水位データl
Pref,tと、r分後の予想降水量のデータx
t+rを用いて、r分後のマンホールの水位の予測値l
P,t,rを算出し得る。また、学習エンジン112は、過去の降水量のデータを入力値として用いてよいが、用いられてなくてもよい。かかるマンホールの水位の予測値は、例えば数分ごとに算出されるものであってもよい。また、近接するマンホールの過去の水位データは、直接水位計により得られるものであってもよいし、第1の実施形態の技術を用いて決定された代表マンホールの水位計と、クラスタリング処理の過程で得られる近接するマンホールと代表マンホールとの水位の相関関係に基づいて推定されるものであってもよい。後者の場合であっても、時系列的なデータを反映するものであるから、予測の精度を向上させることができる。
【0041】
また、学習エンジン112は、一のマンホールの過去の水位データを用いて、一のマンホールとは異なる他のマンホールの水位の予測値を算出してもよい。この場合、例えば、他のマンホールは一のマンホールに近接するマンホールであってもよい。上述した相関関係と、水位計が設置されている代表マンホールの水位の予測値を用いることで、水位計が設置されていない近接するマンホールの水位も予測することが可能である。
【0042】
出力部113は、学習エンジン112により算出された一のマンホールの将来の時点の水位の予測情報を出力する機能を有する。すなわち、出力部113は、上述したマンホールの水位の予測値や、該予測値に基づく情報(例えば、マンホールの水位が危険水位になっていることや、水位の変化の大きさなど)を出力し得る。この出力される予測情報は、例えばサーバ20や情報端末30等に送信され得る。
【0043】
次に、本実施形態に係るサーバ10によるマンホールの水位の予測処理に関して説明する。
図9は、同実施形態に係るサーバ10によるマンホールの水位の予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップS111において、サーバ10のデータ取得部111は、複数のマンホールの過去の水位データや、予測雨量データ等を取得する。次に、ステップS113において、サーバ10の学習エンジン112は、取得したデータを入力し、将来のマンホールの予測水位データを算出する。そして、ステップS115において、サーバ10の出力部113は、算出された予測水位データをもとに、マンホールの水位の予測情報を出力する。
【0044】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。本実施形態によれば、水位予測対象領域2に設けられているマンホールの水位の予測にあたり、水位予測対象領域2の地形情報や下水管に関するモデル情報などを用いなくても、マンホールの水位データや降水量データを用いた学習モデルを用いるだけで、水位予測対象領域2に含まれるマンホールの水位を予測することができる。また、水位予測対象領域2に含まれるマンホールのすべてに水位計が設けられていない場合であっても、例えば第1の実施形態に記載の技術を用いて特定された代表マンホールの水位データがあれば、代表マンホールだけでなく、近接するマンホールの水位の予測も可能である。
【0045】
なお、上記実施形態では予測降雨量データを用いてマンホールの水位を予測するとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、予測降雨量データを用いなくとも、学習エンジン112の学習モデルは構成可能であり、学習エンジン112は、過去のマンホールの水位データを用いて、将来の時点でのマンホールの水位の予測値を算出することができる。これにより、雨量を考慮しなくてもよい場合に、水位の予測が可能となる。また、上記実施形態では、第1の実施形態に係る技術により最適化された配置の水位計によりマンホールの水位を予測するとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、すべてのマンホールに水位計が設けられている場合であっても、むろん本実施形態に係る技術は適用可能である。
【0046】
また、水位の予測に用いられる予測降水量のデータは、気象庁等の機関から得られるデータであってもよいが、過去のように加工された予測降水量のデータであってもよい。一般的に気象庁やその他気象データを提供する機関から得られる予測降水量のデータはインターバルをおいて提供される(例えば30分ごと等)ため、インターバルよりも短い時間での予測が難しくなり得る。そこで、例えば、予測降水量のデータとして、予測降水量のデータに対応する時刻よりも後に測定された降水量のデータを、予測降水量のデータとして置き換えてもよい。例えば、15時に提供された20分後(つまり15時20分)の予測降水量のデータがある場合に、15時20分に実際に降水量を測定してデータを得た場合に、その15時20分で測定された降水量のデータを、15時の段階で予測した15時20分の予測降水量のデータとしてもよい。これにより、より精度の高い水位の予測が可能となる。また、実際に学習エンジン112に入力される予測降水量のデータは、正味の値であってもよいし、予測降水量からマージンを正負の方向に与えたデータであってもよい。例えば、予測降水量が30mmである場合に、50%増しの45mmと、50%減の15mmを、それぞれ入力値として用いてよい。これにより、水位の予測情報について、ボラティリティを考慮した情報を提供することができる。
【0047】
図10は、本実施形態の一実施例を説明するためのグラフである。
図10に示す実線のグラフは実際の水位を示し、破線は上述した予測雨量データの50%増しのデータを学習エンジン112に入力して得られたマンホールの予測水位であり、一点鎖線は予測雨量データの50%減のデータを学習エンジン112に入力して得られたマンホールの予測水位である。なお、本グラフに示すように、予測雨量データ、マンホールの水位データおよび当該マンホールに隣接するマンホールの水位データは5分間隔で取得され、予測水位および水位の実測値は5分間隔で出力されている。また、予測雨量のデータは、上述したように、適宜実際の雨量データに適宜置き換えられたものである。
図10のグラフに示すように、予測水位と水位の実測値との差に大きな乖離はなく、ほぼ一致していることがわかる。このように、マンホールの過去の水位データと予測雨量データとを、上述した学習エンジンを用いることで、高い精度でマンホールの水位を予測することが可能である。
【0048】
以上説明した情報処理は、ソフトウェアと以下に説明するサーバ10のハードウェアとの協働により実現される。なお、以下に説明するハードウェア構成はサーバ20および情報端末30にも適用可能である。
【0049】
図11は、本実施形態に係るサーバ10のハードウェア構成の一例を説明するための説明図である。サーバ10は、例えば
図10に示すように、制御部11、メモリ12、ストレージ13、送受信部14、入出力部15等を備え、これらはバス16を通じて相互に電気的に接続される。
【0050】
制御部11は、サーバ10の全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えば制御部11はCPU(Central Processing Unit)および/またはGPU(Graphics Processing Unit)であり、ストレージ13に格納されメモリ12に展開された本システムのためのプログラム等を実行して上述したような各種情報処理を実施する。
【0051】
メモリ12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ12は、制御部11のワークエリア等として使用され、また、サーバ10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0052】
ストレージ13は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ13に構築されていてもよい。
【0053】
送受信部14は、サーバ10をネットワークおよび/またはブロックチェーンネットワークに接続する。なお、送受信部14は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インターフェースを備えていてもよい。
【0054】
入出力部15は、キーボード、マイクおよびマウス類等の情報入力機器、及びディスプレイおよびスピーカ等の出力機器である。
【0055】
バス16は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0056】
情報処理装置10等の外部機器で行われる情報処理は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態の外部機器としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上述の機能や処理を提供してもよい。
【0057】
上記実施形態では、情報処理装置10が種々の記憶・制御を行ったが、情報処理装置10に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。
【0058】
上記実施形態は、情報処理システム1に限定されず、情報処理方法であっても、情報処理プログラムであってもよい。情報処理方法は、情報処理システム1の各ステップを含む。情報処理プログラムは、少なくとも1つのコンピュータに、情報処理システム1の各ステップを実行させる。
【0059】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0060】
なお、以下の形態も本発明の範疇に含まれる。
(項目1)
水位計の配置の最適化方法であって、
所定地域に設けられる複数のマンホールに備えられた各々の水位計により取得された各々の水位データを取得するデータ取得ステップと、
前記各々の水位データに対するクラスタリングを行うことで、前記複数のマンホールを一以上のクラスタに分類する分類ステップと、
前記一以上のクラスタに含まれる複数のマンホールから、一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する決定ステップと、
を含む、水位計の配置の最適化方法。
(項目2)
項目1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記決定ステップにおいて、前記クラスタリングの結果に基づいて、前記一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する、
水位計の配置の最適化方法。
(項目3)
項目2に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記分類ステップにおいて用いられるクラスタリングは、階層クラスタリングであり、
前記決定ステップにおいて、前記階層クラスタリングによる近似性に基づいて、前記一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する、
水位計の配置の最適化方法。
(項目4)
項目2または3に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記決定ステップにおいて、前記水位計の配置個数の上限が設定されている場合に、前記クラスタリングの結果に基づいて、前記代表マンホールを決定する、
水位計の配置の最適化方法。
(項目5)
項目1~4のいずれか1項に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記データ取得ステップにおいて、さらに前記マンホールに係る降水量のデータを取得し、
前記分類ステップにおいて、前記降水量のデータと前記各々の水位データを用いてクラスタリングを行う、
水位計の配置の最適化方法。
(項目6)
項目1~5のいずれか1項に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記水位データは、時系列の水位データである、
水位計の配置の最適化方法。
(項目7)
マンホールの水位の予測方法であって、
所定地域に設けられる一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記所定地域に係る予測雨量データとを取得する過去データ取得ステップと、
前記取得した前記一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記予測雨量データとを所定のエンジンに入力することにより、前記一のマンホールの将来の時点の水位の予測情報を出力する出力ステップと、
を含む、マンホールの水位の予測方法。
(項目8)
項目7に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記過去データ取得ステップにおいて、前記一のマンホールと近接する他のマンホールの過去の時系列の水位データをさらに取得し、
前記出力ステップにおいて、前記他のマンホールの過去の時系列の水位データを前記所定のエンジンに入力する、
マンホールの水位の予測方法。
(項目9)
項目7または8に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記過去の時系列の水位データは、前記一のマンホールとは異なるマンホールに設けられた水位計により取得された水位データに基づいて推定される推定水位データを含む、
マンホールの水位の予測方法。
(項目10)
項目7~9のいずれか1項に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記所定のエンジンは、少なくとも、前記一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記対象領域に係る過去の雨量データとを用いて学習して得られる学習モデルに基づくエンジンである、
マンホールの水位の予測方法。
(項目11)
項目10に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記所定のエンジンは、さらに前記一のマンホールと近接する他のマンホールの過去の時系列の水位データを用いて学習して得られる、
マンホールの水位の予測方法。
(項目12)
項目7~11のいずれか1項に記載のマンホールの水位の予測方法であって、
前記出力ステップにおいて、前記一のマンホールとともに、または前記一のマンホールに代えて、前記対象領域に含まれる他のマンホールのマンホールの将来の時点の水位の予測情報を出力する、
マンホールの水位の予測方法。
(項目13)
マンホールの水位の予測システムであって、
対象領域に含まれる一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記所定地域に係る予測雨量データとを取得する過去データ取得部と、
前記取得した前記一のマンホールの過去の時系列の水位データと、前記予測雨量データとを所定のエンジンに入力することにより、前記一のマンホールの将来の時点の水位の予測情報を出力する出力部と、
を含む、マンホールの水位の予測システム。
【符号の説明】
【0061】
10 サーバ
20 サーバ
30 情報端末
101 データ取得部
102 分類部
103 決定部
111 データ取得部
112 学習エンジン
113 出力部
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水位計の配置の最適化方法であって、
所定地域に設けられる複数のマンホールに備えられた各々の水位計により取得された各々の水位データを取得するデータ取得ステップと、
前記各々の水位データに対するクラスタリングを行うことで、前記複数のマンホールを一以上のクラスタに分類する分類ステップと、
前記一以上のクラスタに含まれる複数のマンホールから、一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する決定ステップと、
を含む、水位計の配置の最適化方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記決定ステップにおいて、前記クラスタリングの結果に基づいて、前記一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する、
水位計の配置の最適化方法。
【請求項3】
請求項2に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記分類ステップにおいて用いられるクラスタリングは、階層クラスタリングであり、
前記決定ステップにおいて、前記階層クラスタリングによる近似性に基づいて、前記一以上の代表マンホールをクラスタ毎に決定する、
水位計の配置の最適化方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記決定ステップにおいて、前記水位計の配置個数の上限が設定されている場合に、前記クラスタリングの結果に基づいて、前記代表マンホールを決定する、
水位計の配置の最適化方法。
【請求項5】
請求項1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記データ取得ステップにおいて、さらに前記マンホールに係る降水量のデータを取得し、
前記分類ステップにおいて、前記降水量のデータと前記各々の水位データを用いてクラスタリングを行う、
水位計の配置の最適化方法。
【請求項6】
請求項1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記水位データは、時系列の水位データである、
水位計の配置の最適化方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水位計の配置の最適化方法であって、
浸水域に対応する所定地域に設けられる複数のマンホールに備えられた各々の水位計により取得された各々の水位データを取得するデータ取得ステップと、
前記各々の水位データに対するクラスタリングを行うことで、前記複数のマンホールを複数のクラスタに分類する分類ステップと、
前記複数のクラスタのそれぞれに含まれる複数のマンホールから、前記所定地域に設けられる複数のマンホールの各々の水位の予測のための水位計を配置すべき一以上の代表マンホールを、前記複数のクラスタの各々ごとに決定する決定ステップと、を含む、水位計の配置の最適化方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記決定ステップにおいて、前記クラスタリングの結果に基づいて、前記一以上の代表マンホールを前記複数のクラスタの各々ごとに決定する、水位計の配置の最適化方法。
【請求項3】
請求項2に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記分類ステップにおいて用いられるクラスタリングは、階層クラスタリングであり、
前記決定ステップにおいて、前記階層クラスタリングによる近似性に基づいて、前記一以上の代表マンホールを前記複数のクラスタの各々ごとに決定する、水位計の配置の最適化方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記決定ステップにおいて、前記水位計の配置個数の上限が設定されている場合に、前記クラスタリングの結果に基づいて、前記代表マンホールを決定する、水位計の配置の最適化方法。
【請求項5】
請求項1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記データ取得ステップにおいて、さらに前記マンホールに係る降水量のデータを取得し、
前記分類ステップにおいて、前記降水量のデータと前記各々の水位データを用いてクラスタリングを行う、水位計の配置の最適化方法。
【請求項6】
請求項1に記載の水位計の配置の最適化方法であって、
前記水位データは、時系列の水位データである、水位計の配置の最適化方法。